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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】カルボニル化触媒の合成
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/22 20060101AFI20241031BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20241031BHJP
   C07F 11/00 20060101ALI20241031BHJP
   C07C 251/24 20060101ALI20241031BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20241031BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20241031BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20241031BHJP
   B01J 37/06 20060101ALI20241031BHJP
   C07D 487/22 20060101ALI20241031BHJP
   C07F 5/06 20060101ALN20241031BHJP
   C07F 15/06 20060101ALN20241031BHJP
   C07F 9/50 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
C07F19/00
C07F11/00 A
C07C251/24
B01J37/08
B01J37/04 102
B01J37/00 Z
B01J37/06
C07D487/22
C07F5/06 E
C07F15/06
C07F9/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529346
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022050085
(87)【国際公開番号】W WO2023091473
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,385
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイルダース,アリソン・エム
(72)【発明者】
【氏名】テダー,ジョナサン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ボイス,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ,アシュリー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA08
4G169BA26A
4G169BA26B
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA27C
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC58A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BE38B
4G169BE39A
4G169BE39B
4G169BE40A
4G169BE42A
4G169BE42B
4G169CB72
4G169FA01
4G169FB05
4G169FB27
4G169FC02
4G169FC10
4H006AA01
4H006AB40
4H048AA02
4H048AB40
4H048BB11
4H048BB25
4H048VA32
4H048VA80
4H048VB10
4H050AA02
4H050AB40
4H050BB11
4H050BB25
4H050BC19
4H050WB11
4H050WB13
4H050WB14
4H050WB22
(57)【要約】
配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを混合物中で接触させて、触媒を形成するステップを含む方法。配位子複合体は、1つ以上の環式構造に結合した、ホスフィン、イミン及び/又はヒドロキシル基のうちの1つ以上を含む。本方法は、混合物から触媒を分離するステップを含む。混合物において、配位子複合体にメタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップは、いかなる中間体も単離することなく行われる、単一容器内で行われる、並びに/又は水分、酸素及び/又は空気を含まない環境において行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップであって、配位子複合体が、1つ以上の環式構造に結合した、ホスフィン、イミン及び/又はヒドロキシル基のうちの1つ以上を含む、ステップ、及び
b. 反応混合物から触媒を分離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させるステップが、いかなる中間体も単離又は分離することなく行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)が、単一容器において行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)が、水分、空気及び/又は酸素を含まない環境において行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a. 配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させる前に、配位子複合体に1種以上の炭化水素溶媒を接触させて、反応混合物を形成するステップ
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 反応混合物を約1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 熱を適用しながら、反応混合物を約1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 熱を適用することなく、反応混合物を約5時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 配位子複合体及び炭化水素溶媒を接触させて、第1の混合物を形成するステップ、
b. 第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ、及び
c. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップが、
a 熱を適用することなく、約5時間以上、又は熱を適用しながら約0.25時間以上、第1の混合物を混合するステップ
を含み、
第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
b. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを、約1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 第1の混合物及び極性溶媒を接触させて、第2の混合物を形成するステップ、
b. 触媒の形成を支援するのに十分な圧力のガスを第2の混合物に吹き付けるステップ、及び
c. 第2の混合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
反応混合物から触媒を分離するステップが、
a. 反応混合物から析出物の形態の触媒をろ過するステップ
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
メタル化化合物が、約0.25:1以上のモル比で配位子複合体と接触される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
a. 触媒を1種以上の炭化水素溶媒により洗浄するステップ
をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
触媒が、
a. 金属カルボニルにイオン結合した、約90重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
b. 約10重量%以下の量の結合していない配位子複合体を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
触媒が、
a. 金属カルボニルにイオン結合した、約95重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
b. 約5重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
触媒が、
a. 金属カルボニルにイオン結合した、約98重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
b. 約2重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
反応混合物、結晶化混合物、第1の混合物及び/又は第2の混合物が、溶液、スラリー及び/又は懸濁液の形態を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
触媒が、ラクトン、無水コハク酸若しくはそれらの両方を形成する、一酸化炭素及びエポキシドとの触媒活性を有する、又は触媒が、ラクタムを形成する、一酸化炭素及びアジリジンとの触媒活性を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
配位子複合体が1つ以上の芳香族基を含み、配位子複合体が、1つ以上のイミン基及び1つ以上の環式構造を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
配位子複合体が、ポルフィリン配位子、サーレン配位子、サルフ配位子、サルシ配位子、ホスファサーレン配位子、ホスファサルフ配位子、ホスファササルシ配位子、二置換ビピリジン配位子、二置換フェナントロリン配位子、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アヌレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ジアミノシクロヘキサン誘導体、それらの他の誘導体又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
メタル化化合物が、アルミニウム又はクロムを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
メタル化化合物が、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、塩化クロム(II)、塩化ジエチルアルミニウム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
メタル化化合物がトリアルキル金属化合物を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
金属カルボニルがコバルトを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、任意の他の炭化水素又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
極性溶媒が極性非プロトン性溶媒を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
極性溶媒が、エステル溶媒、ケトン溶媒、アルデヒド溶媒、エーテル溶媒又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年11月17日出願の米国仮出願第63/280,385号への優先権及びその利益を主張する。
【0002】
本開示は、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルからカルボニル化触媒を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カルボニル化は、一酸化炭素及びエポキシドを反応させてラクトンを作製するために使用することができる方法である。一部の場合、ラクトンを反応させてポリマーを作製する追加の工程が採用される。これらのラクトン又はそのポリマーは、プラスチック及び殺菌剤として使用されることが多い。これらのラクトンを作製する際に、カルボニル化触媒を使用して、競争力ある価格でラクトンを生産する反応の効率を最適化する。カルボニル化触媒は高価であり、したがって、単純な構成成分からカルボニル化触媒を合成するための新規技法が必要とされている。一部の触媒は、様々な配位子を使用して作製されてきた。例えば、米国特許第6,852,865号を参照されたい。しかし、これらの配位子からカルボニル化触媒を合成する方法は、多数の合成工程及び精製工程を利用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,852,865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、必要なことは、廃棄物のほとんどない、短期間で行うことができる、カルボニル化触媒を形成する技法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
カルボニル化触媒として有用な化合物が、本明細書において開示されている。このような化合物を調製するために使用される方法は、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルから始めて、カルボニル化触媒を得る前に、いかなる中間体も単離することなくカルボニル化触媒が得られる。炭化水素溶媒において、メタル化化合物及び配位子複合体を接触させると、メタル化された配位子複合体が形成する。メタル化された配位子複合体の形成後、金属カルボニル及び極性溶媒を同じ反応混合物に添加して、メタル化された配位子複合体などのいかなる中間化合物も単離することなく、カルボニル化触媒を得ることができる。カルボニル化触媒の形成後、成分の反応混合物に、液体から固体を分離するための公知方法、例えば、重力ろ過を施すことにより、カルボニル化反応(すなわち、ラクトンの形成)又は他の類似の開環反応(すなわち、ラクタムの形成)を触媒するのに十分な形態のカルボニル化触媒を得ることができる。
【0007】
本明細書に記載されている技法により形成されるカルボニル化触媒は、不純物を含む恐れがある。カルボニル化触媒は、このような不純物の存在下、ラクトン及び/又はラクタムの形成に高い触媒活性を示す。中間体をろ過又は単離する必要がないので、使用される溶媒の量は、カルボニル化触媒が析出物として形成されて、反応混合物(すなわち、スラリー)から分離されるまで、反応工程を行うために必要なことに限定され得る。中間体を単離する必要がなく、最終生成物は、例えば、結晶化によってさらに精製される必要がないので、この方法は、合成順序を実施するために、比較的少量の溶媒しか必要としない。追加の工程を必要とすることなく、溶媒廃棄物が低減され、化合物の合成及び単離に費やされる時間量は、顕著に減少する。
【0008】
配位子複合体は、1つ以上の環式構造に結合した、ホスフィン、イミン及び/又はヒドロキシル基のうちの1つ以上を含む。配位子複合体は、金属と一体化して、続いて、カルボニル化触媒になると、ラクタム及び/又はラクトンの形成を支援するのに十分な任意の構造を有してもよい。メタル化化合物は、配位子複合体に配位する金属を含む。金属カルボニルは、メタル化された配位子複合体とイオン結合することができる金属であって、1個以上のカルボニルに結合した金属を含む。本方法の中間体の1つは、メタル化された配位子複合体を含み、この錯体は、1個以上の金属に配位される配位子複合体であり、メタル化された配位子複合体は、金属カルボニルに接触して、イオン結合し、カルボニル化触媒を形成する。
【0009】
カルボニル化触媒は、陰イオン性化合物と陽イオン性化合物との組合せ物である。例えば、カルボニル化触媒は、陽イオン性であるメタル化された配位子化合物であってもよく、メタル化された配位子化合物は、陰イオン性である金属カルボニルとイオン結合している。さらに、カルボニル化触媒は、メタル化された配位子化合物の金属に配位した1つ以上の他の極性配位子を含んでもよく、その結果、本明細書において使用される極性溶媒は、デュアル目的を有してもよい(すなわち、反応の促進と金属への配位)。カルボニル化触媒は、一緒にイオン結合している少なくとも2つの金属化合物を含む。例えば、配位子複合体に配位しているアルミニウムは、コバルトカルボニルにイオン結合し得る。カルボニル化触媒は、金属中心を含有し、かつエポキシド、ラクトン、アジリジン、ラクタム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上と触媒活性を有する、任意の触媒であってもよい。カルボニル化触媒の陽イオン性構成成分又は陰イオン性構成成分の金属は、カルボニル化を触媒する、又は開環反応を行うために十分な任意の金属であってもよい。一例として、本カルボニル化触媒は、以下の式による構造:
【0010】
【化1】
を有してもよく、式中、Mは、アルミニウム、クロム、ガリウム、インジウム、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、ルテニウム、鉄、レニウム、ニッケル、パラジウム、マグネシウム、チタン又はそれらの任意の組合せから選択されてもよい。
Rはそれぞれ、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR;又はC1~20脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20複素脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択される任意選択的に置換されている基を独立して出現ごとに含んでもよい。2つ以上のR基は、一緒になって、1つ以上の任意選択的に置換されている環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立して、水素、又はアシル;カルバモイル、アリールアルキル;6~10員のアリール;C1~12脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC1~12複素脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式;酸素保護基;並びに窒素保護基からなる群から選択される任意選択的に置換されている基であり、同一窒素原子上の2つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される0~2個の追加のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換されている4~7員の複素環式環を形成してもよい。Rはそれぞれ、水素、ハロゲン、複素脂肪族、複素環式、複素芳香族、アルキル、アルコキシド、アリール、シリルアルキル、アルキル-アリール、アミン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロカルビルオキシ、それらの誘導体、それらの置換された基又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上から独立して選択される基であってもよい。
はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシド、アリール、シリルアルキル、アルキル-アリール、アミン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロカルビルオキシ、それらの誘導体、それらの置換された基又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上から独立して選択される基であってもよい。
3a1及び/又はR3a2は、水素、メチル、C2~10アルキル鎖、それらの組合せのうちの1つ以上から独立して選択されてもよく、又は組み合わされた形態で、任意選択的に置換されているシクロヘキサン又はフェニル基であってもよい。置換された基は、芳香族基、脂肪族基、又はそれらの両方を含んでもよい。
3b1及び/又はR3b2は、水素、メチル、C2~10アルキル鎖、又はそれらの組合せのうちの1つ以上から独立して選択されてもよい。
3a1及びR3b1は、組み合わされた形態で、複素環式化合物、1つ以上の置換を有する複素環式環、環式構造、それらの任意の組合せのうちの1つ以上であってもよい。R3a1及びR3b1は、組み合わされた形態で、任意選択的に置換されている6員環、芳香族、又はそれらの両方であってもよい。複素環式環は、ピリジン、1つ以上の置換を有するピリジン、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
3a2及びR3b2は、組み合わされた形態で、ピリジン、1つ以上の置換を有するピリジン、環式構造、それらの任意の組合せのうちの1つ以上であってもよい。R3a2及びR3b2は、組み合わされた形態で、任意選択的に置換されている6員環、芳香族、又はそれらの両方であってもよい。R基、並びにR3a1及び/又はR3a2の1つは独立して、組み合わされて、環式構造の1つ以上をそれぞれ独立して形成してもよい。環式構造は、複素環式化合物、芳香族化合物又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。環式構造は、シクロヘキサン、フェニル基、ピリジン又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0011】
配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを反応混合物中で接触させて、触媒を形成するステップを含む方法が開示されている。本方法は、反応混合物から触媒を分離するステップを含む。
【0012】
触媒は、約90~約98重量%又はそれらより多い量の金属カルボニルにイオン結合したメタル化された配位子複合体;約10~約2重量%又はそれらより少ない量の非結合配位子複合体を含んでもよく、重量%は、触媒の総重量に基づく。極性溶媒は、約2:1以下と約0.5:1以下との間の体積比で反応混合物と接触させることができる。メタル化化合物は、約1:1以上のモル比で配位子複合体と接触させることができる。
【0013】
反応混合物中、配位子複合体をメタル化化合物及び金属カルボニルに接触させて、触媒を形成するステップは、いかなる中間体も単離することなく行われ得る。反応混合物中、配位子複合体をメタル化化合物及び金属カルボニルに接触させて、触媒を形成するステップは、1つ以上の容器中、又は単一容器中において行われてもよい。反応混合物中、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップは、水分、空気及び/又は酸素を含まない環境において行われてもよい。
【0014】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップは、反応混合物を混合するステップを含んでもよい。反応混合物が混合されて、メタル化された配位子複合体及び/又は触媒を形成する時間の量は、反応混合物中の反応剤又は溶媒の濃度、熱の適用、並びに溶媒の具体的な選択及び比によって影響を受けることがある。反応混合物が混合されて、触媒を形成する間、極性溶媒と炭化水素溶媒との組合せ物により、触媒が析出し得る。配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを含有する反応混合物は、約1.5時間以上又は約12時間以上、混合されて、触媒を形成することができる。反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップは、熱を適用しながら又は熱を適用せずに、反応混合物を混合するステップを含んでもよい。配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させるステップは、第1の混合物と第2の混合物との間に、いかなる中間体も単離することなく、第1の混合物及び第2の混合物として議論されてもよい。第1の混合物において、配位子複合体、炭化水素溶媒及びメタル化化合物は混合されて、メタル化された配位子複合体を形成することができる。第2の混合物において、メタル化された配位子複合体、炭化水素溶媒、極性溶媒及び金属カルボニルは混合されて、触媒を形成することができる。
【0015】
第1の混合物において、配位子複合体及び炭化水素溶媒は、配位子複合体を少なくとも一部、溶解するのに十分な任意の時間、混合されてもよい。次に、メタル化化合物は、第1の混合物に添加されて、約0.5時間以上~約7時間以上の間、混合されて、メタル化された配位子複合体を形成することができる。
【0016】
極性配位子及び金属カルボニルは、第1の混合物に添加されて、第2の混合物を形成し、第2の混合物を混合して、触媒を形成することができる。メタル化された配位子複合体、金属カルボニル、極性溶媒及び炭化水素溶媒を含有する、触媒を形成する第2の混合物は、約1時間以上又は2時間以上の間、混合されてもよい。第1の混合物への極性溶媒の添加は、メタル化された配位子複合体の溶解度を増大させて、触媒の形成後、極性溶媒が触媒に配位する。第2の混合物中の極性溶媒及び炭化水素溶媒の組合せ物は、触媒が形成された後に、第2の混合物から触媒を析出させる。
【0017】
本方法は、メタル化された配位子複合体及び炭化水素溶媒を含有する第1の混合物に極性溶媒を接触させて、第2の混合物を形成するステップ;第2の混合物に触媒の形成を支援するのに十分な圧力のガスを吹き付けるステップ;及びメタル化された配位子複合体、極性溶媒及び炭化水素溶媒を含有する第2の混合物に金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップを含んでもよい。第2の混合物に、約100kP以下の圧力においてガスが吹き付けられてもよい。
【0018】
反応混合物から触媒を分離するステップは、最終反応混合物から触媒をろ過するステップ;触媒に真空を適用し、触媒から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒などのあらゆる残留揮発性物質を除去するステップ;触媒に熱を適用して、触媒から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒などのあらゆる残留揮発性物質を除去するステップ;及び/又は触媒に窒素流を適用して、触媒から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒などのあらゆる残留揮発性物質を除去するステップを含んでもよい。
【0019】
反応混合物中、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを混合することによって触媒を形成し、触媒を反応混合物から分離する上記の工程によって、ラクトン及び/又はラクタムを形成する際の高純度及び高触媒活性を有する触媒が生じる。一層高い純度が望まれる場合、反応混合物から分離された触媒に、再結晶化工程が施されて、触媒と混合された他のいかなる不純物も除去され得る。本方法は、反応混合物から取り出された触媒に1種以上の溶媒を接触させて、結晶化混合物を形成するステップ;結晶化混合物から触媒を析出させるステップ;及び1種以上の溶媒から触媒を分離するステップをさらに含んでもよい。1種以上の溶媒は、1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒を含んでもよく、反応混合物から取り出された触媒に1種以上の溶媒を接触させて、結晶化混合物を形成するステップは、先の反応混合物から取り出された触媒に、1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒に接触させて、結晶化混合物を形成するステップ;結晶化混合物を1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒に触媒を溶解するのに十分な温度まで加熱するステップ;並びに結晶化混合物を冷却し、その結果、触媒が結晶化し、1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒から析出するステップを含んでもよい。1種以上の溶媒及び/又は1つ以上の他の化合物を触媒から分離するステップは、1種以上の極性溶媒及び/又は1種以上の炭化水素溶媒を分離し、その結果、触媒が他の化合物を実質的に含まないステップを含んでもよい。本方法は、触媒を1種以上の炭化水素溶媒により洗浄するステップをさらに含んでもよい。
【0020】
反応混合物、結晶化混合物、第1の混合物、第2の混合物又はそれらの任意の組合せは、溶液及び/又はスラリーであってもよい。配位子複合体は、芳香族基を含んでもよく、配位子複合体は、共役している、イミン又はホスファジン基及び1つ以上の環式構造を含んでもよい。配位子複合体は、マクロサイクルを含んでもよい。配位子複合体は、ポルフィリン配位子、サーレン配位子、サルフ(salph)配位子、サルシ(salcy)配位子、ホスファサーレン配位子、ホスファサルフ(phosphasalph)配位子、ホスファササルシ(phosphasalcy)配位子、二置換ビピリジン配位子、二置換フェナントロリン配位子、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アヌレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ジアミノシクロヘキサン誘導体(例えば、Trost配位子)、それらの他の誘導体又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。本方法は、炭化水素溶媒にメタル化化合物を溶解して、約1.0以上のモル濃度を有する前駆体混合物を形成するステップをさらに含んでもよく、前駆体混合物に、配位子複合体及び炭化水素溶媒を含有する反応混合物に接触させてもよい。本方法は、いかなる溶媒にもメタル化化合物を最初に溶解することなく、配位子複合体及び炭化水素溶媒を含有する混合物に、メタル化化合物を添加することを含んでもよい。メタル化化合物は、アルミニウム又はクロムを含んでもよい。メタル化化合物は、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、塩化クロム(II)、塩化ジエチルアルミニウム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。メタル化化合物は、トリアルキルアルミニウム化合物を含んでもよい。金属カルボニルは、コバルトを含んでもよい。金属カルボニルは、NaCo(CO)、HCo(CO)、Co(CO)、任意のCo(CO)化合物のうちの1つ以上を含んでもよく、x及びyは、独立して、1~12の間の整数、又はそれらの組合せである。吹き付け工程の間に導入されるガスは、一酸化炭素、合成ガス又はそれらの組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。吹き付け工程によって除去される他のガスは、アルゴン、窒素又はそれらの両方のうちの1つ以上などの不活性ガスを含んでもよい。炭化水素溶媒は、炭素及び水素だけを含む、線状構造又は環式構造を含んでもよい。炭化水素溶媒は、芳香族、脂肪族であってもよく、又は芳香族部分と脂肪族部分の両方を有してもよい。炭化水素溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、任意の他の炭化水素又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。極性溶媒は、極性非プロトン性溶媒を含んでもよい。極性溶媒は、エステル、ケトン、アルデヒド、エーテル、ニトリル又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含んでもよい。極性溶媒は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、2-シクロヘキサノン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸ブチル、酢酸メチル、シクロペンタノン又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含んでもよい。
【0021】
本開示は、エポキシド又はアジリジンと高い触媒活性を有して、ラクトン又はラクタムを形成する、カルボニル化触媒を提供する。本開示は、高い触媒活性を有するカルボニル化触媒を形成するために様々な精製工程が必要とされないので、カルボニル化触媒を最大で約80%以下まで精製するために必要な溶媒量を減量する、カルボニル化触媒を合成する方法を提供する。中間体が単離される必要がないので、高い触媒活性を有するカルボニル化触媒を形成するために利用される工程数が減ることによって、反応を行う際に、有意な時間量が低減され、その結果、反応全体の資本コストが、著しく削減される。本技法は、約90%以上のモル収率で最終カルボニル化触媒をもたらす。本技法は、結晶化工程を施す前、又はそれを行うことなく、触媒活性を有するカルボニル化触媒をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】カルボニル化触媒を形成する合成スキームである。
図2A】開示方法によって形成される、実施例1~3の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルである。これは、d8-THF中で分析されている。
図2B】触媒を形成する別の方法によって形成される、実施例4~9の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルである。これは、d8-THF中で分析されている。
図2C】開示方法によって形成される、実施例9の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルである。これは、d8-THF中で分析されている。
図2D】開示方法によって形成される、実施例10~12の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルである。これは、d8-THF中で分析されている。
図3】本明細書に記載されている方法から作製されたカルボニル化触媒の触媒活性、及び別の方法から作製されたカルボニル化触媒の触媒活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、ある特定の実施形態と関係付けて記載されているが、本開示は、開示されている実施形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲内に含まれる、様々な改変及び均等物を包含することが意図されており、添付の特許請求の範囲は、法の下で許される、このような改変及び等価物の構成のすべてを包含するよう、最も広い解釈が認められるべきであることが理解されるべきである。
【0024】
本明細書において使用される1つ以上とは、列挙されている構成要素の少なくとも1つ、又は1つ超が開示通りに使用され得ることを意味する。本明細書において開示されているポリマー又は構造体を調製するために使用される成分又は反応剤に関する残留物は、本明細書において開示されている方法の結果として含まれるものの後にポリマー又は構造体に残留する成分の一部を意味する。実質的に又は実質的なとは、本明細書において使用される場合、参照パラメータ、組成物、構造体又は化合物の90%超が、規定された基準を満たすこと、参照パラメータ、組成物又は化合物の95%超、99%超が、規定された基準を満たすこと、又は参照パラメータ、組成物又は化合物の99.5%超が、規定された基準を満たすことを意味する。実質的に含まないは、本明細書において使用される場合、参照パラメータ、組成物、構造体又は化合物が、約10%以下、約5%以下、約1%以下、約0.5%以下又は約0.1%以下を含むことを意味する。一部とは、本明細書において使用される場合、組成物、ストリーム、又はそれらの両方における構成成分の全量(amount)又は全量(quanity)より少ないことを意味する。析出物とは、本明細書において使用される場合、液体化合物及び固体化合物のスラリー又はブレンド中の固体化合物を意味する。成分又は生成物は、開示されている方法の間の、固体、液体又はガスなどの様々な状態で存在することができる。相とは、反応混合物の別の部分に溶解しない、反応混合物の部分を指す。本明細書において開示されている分散液及びスラリーは、複数の相を含むことがある。特定の成分及び生成物は、本方法の同じ時間に、及び本方法の異なる時間に、様々な状態及び相中に存在することがある。スラリー及び分散液は、液体成分、生成物及び/又は溶媒中に分散された固体成分を含む。重量部は、全組成物の総重量に対する構成成分の部を意味する。触媒構成成分は、本明細書において使用される場合、メタル化された配位子複合体、金属カルボニル、ルイス酸、ルイス酸誘導体、金属カルボニル誘導体又はそれらの任意の組合せを意味する。触媒又はカルボニル化触媒は、本明細書において使用される場合、少なくとも陽イオン性化合物及び陰イオン性化合物を含む。組成物又は混合物は、本明細書において使用される場合、単一容器内に入れることが可能な、ストリーム、反応剤ストリーム、生成物ストリーム、スラリー、析出物、溶液、液体、固体、ガス又はそれらの任意の組合せ中に、すべての構成成分を含む。言い換えると、混合物は、室温(すなわち、摂氏25度)において、固体、ガス(すなわち、揮発物)及び/又は液体である構成成分を含むことがある。ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄及びリンを意味し、より好ましいヘテロ原子は、窒素及び酸素を含む。ヒドロカルビルとは、本明細書において使用される場合、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含有してもよい、1個以上の炭素原子主鎖及び水素原子を含有する基を指す。ヒドロカルビル基がヘテロ原子を含有する場合、ヘテロ原子は、当業者に周知の1つ以上の官能基を形成してもよい。ヒドロカルビル基は、脂環式、脂肪族、芳香族又はこのようなセグメントの任意の組合せを含んでもよい。脂肪族セグメントは、直鎖又は分岐であってもよい。脂肪族及び脂環式セグメントは、1つ以上の二重結合及び/又は三重結合を含んでもよい。アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルカリール及びアラルキル基が、ヒドロカルビル基に含まれる。脂環式基は、環式部分と非環式部分の両方を含有してもよい。ヒドロカルビレンは、ヒドロカルビル基、又はアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アルカリーレン及びアラルキレンなどの、価数が1より大きな、記載されている部分集合のいずれかを意味する。1つ又は両方のヒドロカルビル基は、1個以上の炭素原子及び1個以上の水素原子からなってもよい。
【0025】
カルボニル化触媒として有用な化合物が、本明細書において開示されている。このような化合物を調製するために使用される方法は、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルから始めて、カルボニル化触媒を形成し、これは、カルボニル化触媒を得る前に、いかなる中間体も単離することなく行われ得る。本反応は、同じ反応容器内ですべてが完了され得る。例えば、炭化水素溶媒において、メタル化化合物及び配位子複合体を接触させると、メタル化された配位子複合体が形成する。メタル化された配位子複合体の形成後、金属カルボニル及び極性溶媒を反応混合物に単に添加して、メタル化された配位子複合体などのいかなる中間化合物も単離することなく、カルボニル化触媒を得ることができる。カルボニル化触媒の形成後、成分及び生成物からなる反応混合物に、液体から固体を分離するための公知方法、例えば、重力ろ過を施すことにより、カルボニル化反応(すなわち、ラクトンの形成)又は他の類似の開環反応(すなわち、ラクタムの形成)を触媒するのに十分な形態のカルボニル化触媒を得ることができる。
【0026】
本明細書に記載されている技法によって形成されるカルボニル化触媒は、不純物を含有することがあり、それでもやはり、本カルボニル化触媒は、さらに精製することなく、ラクトン及び/又はラクタムを形成する程、高い触媒活性を有する。本方法は、単一容器内に、成分のすべてを混合することによって行われ得、これは、次に、ろ過などの、液体から固体を分離する公知方法が施され、90%以上のモル収率でカルボニル化触媒を回収することができる。中間体をろ過又は単離する必要がないので、使用される溶媒は、カルボニル化触媒が析出物として形成されて、反応混合物(すなわち、スラリー)から分離されるまで、まさに反応工程を行うために必要なことに限定されることができ、これによって、本方法において使用される溶媒が減量され、化合物の合成及び単離に費やす時間の量が削減される。
【0027】
配位子複合体は、金属と結合するよう機能することができ、その結果、メタル化された配位子複合体が形成される。配位子複合体は、金属と一体化されて、続いて、カルボニル化触媒になると、ラクタム及び/又はラクトンの形成を支援するのに十分な任意の構造を有してもよい。配位子複合体は、芳香族であってもよく、その結果、配位子複合体は、完全に共役している、及び/又はカルボニル化触媒は、構造の一部において共役部を有する。配位子複合体は、芳香族基を含んでもよい。配位子複合体は、環式構造に結合している、ホスフィン基、イミン基又はアミン基のうちの1つ以上を含んでもよい。環式構造は、原子の連続ループを形成するよう、一緒に結合された原子を含んでもよい。配位子複合体は、1つ以上のマクロサイクルを含んでもよい。配位子複合体は、配位子複合体から形成されるカルボニル化触媒の立体特性及び/又は電子特性を改善するよう構成されている、1つ以上の置換部分を含んでもよい。配位子複合体は、同時係属米国仮特許出願第63/171,150号(2021年4月6日に出願);同第63/220,126号(2021年7月9日に出願);及び/又は同第63/171,152号(2021年4月6日に出願)、米国出願第2017/0225157号(2017年7月24日に出願)、及び/又は米国特許第9,327,280号及び同第8,921,581号に含まれる1つ以上の方法によって形成されることができ、これらの全体が本明細書にそれぞれ組み込まれている。配位子複合体の例は、以下の式に対応する複合体:
【0028】
【化2】
を含んでもよく、
式中、Mは、アルミニウム、クロム、ガリウム、インジウム、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、ルテニウム、鉄、レニウム、ニッケル、パラジウム、マグネシウム、チタン又はそれらの任意の組合せから選択されてもよい。
Rはそれぞれ、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR;又はC1~20脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20複素脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択される任意選択的に置換されている基を独立して出現ごとに含んでもよく、2つ以上のR基は、一緒になって、1つ以上の任意選択的に置換されている環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立して、水素、又はアシル;カルバモイル、アリールアルキル;6~10員のアリール;C1~12脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC1~12複素脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式;酸素保護基;並びに窒素保護基からなる群から選択される任意選択的に置換されている基であり、同一窒素原子上の2つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される0~2個の追加のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換されている4~7員の複素環式環を形成してもよい。
はそれぞれ、水素、ハロゲン、複素脂肪族、複素環式、複素芳香族、アルキル、アルコキシド、アリール、シリルアルキル、アルキル-アリール、アミン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロカルビルオキシ、それらの誘導体、それらの置換された基又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上から独立して選択される基であってもよい。
はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシド、アリール、シリルアルキル、アルキル-アリール、アミン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロカルビルオキシ、それらの誘導体、それらの置換された基又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上から独立して選択される基であってもよい。
3a1及び/又はR3a2は、水素、メチル、C2~10アルキル鎖、それらの組合せのうちの1つ以上から独立して選択されてもよく、又は組み合わされた形態で、任意選択的に置換されているシクロヘキサン又はフェニル基であってもよい。置換された基は、芳香族基、脂肪族基、又はそれらの両方を含んでもよい。
3b1及び/又はR3b2は、水素、メチル、C2~10アルキル鎖、又はそれらの組合せのうちの1つ以上から独立して選択されてもよい。
3a1及びR3b1は、組み合わされた形態で、複素環式化合物、1つ以上の置換を有する複素環式環、環式構造、それらの任意の組合せのうちの1つ以上であってもよい。R3a1及びR3b1は、組み合わされた形態で、任意選択的に置換されている6員環、芳香族、又はそれらの両方であってもよい。複素環式環は、ピリジン、1つ以上の置換を有するピリジン、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。R3a2及びR3b2は、組み合わされた形態で、ピリジン、1つ以上の置換を有するピリジン、環式構造、それらの任意の組合せのうちの1つ以上であってもよい。R3a2及びR3b2は、組み合わされた形態で、任意選択的に置換されている6員環、芳香族、又はそれらの両方であってもよい。R基、並びにR3a1及び/又はR3a2の1つは独立して、組み合わされて、環式構造の1つ以上をそれぞれ独立して形成してもよい。環式構造は、複素環式化合物、芳香族化合物又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。環式構造は、シクロヘキサン、フェニル基、ピリジン又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0029】
カルボニル化触媒の金属カルボニルは、カルボニル化触媒の陰イオン性構成成分をもたらすよう機能する。カルボニル化触媒は、1種以上、2種以上の金属カルボニル、又は組合せ物を含んでもよい。金属カルボニルは、エポキシドを開環し、生じた金属炭素結合にCOの挿入を促すことが可能となり得る。金属カルボニルは、陰イオン性金属カルボニル部分を含んでもよい。他の例において、金属カルボニル化合物は、中性の金属カルボニル化合物を含んでもよい。金属カルボニルは、金属カルボニルヒドリド化合物を含んでもよい。金属カルボニルは、1種以上の反応構成成分とインシチュにおいて反応して、最初に得られる化合物とは異なる活性種をもたらすことができるプレ触媒であってもよい。金属カルボニルは、陰イオン性金属カルボニル種を含む。金属カルボニルは、一般式Q[M’(CO)を有してもよく、Qは、水素、アルカリ金属、又はこれらの両方の組合せの1つ以上を含んでもよい。Qは、任意選択であってもよい。M’は、金属原子であり、dは、0~8(両端を含む)の間の整数であり、eは、1~6(両端を含む)の間の整数であり、wは、安定な陰イオン性金属カルボニル錯体をもたらすような数であり、yは、陰イオン性金属カルボニル種の電荷である。yは、正、負又は中性であり得る。金属カルボニルは、周期表の5族、7族若しくは9族に由来する金属の一イオン性カルボニル錯体、又は周期表の4族若しくは8族に由来する金属の二陰イオン性カルボニル錯体を含んでもよい。金属カルボニルは、チタン、バナジウム、鉄、クロム、オスミウム、レニウム、テクネチウム、コバルト、マンガン、ルテニウム、ロジウム又はそれらの任意の組合せを含有してもよい。例示的な金属カルボニルは、[Co(CO)、[Ti(CO)e]2-、[V(CO)、[Rh(CO)、[Fe(CO)2-、[Ru(CO)2-、[Os(CO)2-、[Cr(CO)102-、[Fe(CO)2-、[Tc(CO)、[Re(CO)、[Mn(CO)又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。金属カルボニルは、本方法に使用されるカルボニル化触媒における、2種以上の陰イオン性金属カルボニル錯体の混合物を含んでもよい。金属カルボニルは塩を含んでもよい。金属カルボニルは、NaCo(CO)、Co(CO)、HCo(CO)又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0030】
メタル化化合物は、1つ以上の配位子中の金属に配位して、ハロゲン及び/又はアルキル基を含有するメタル化された配位子複合体を形成するよう機能することができる。メタル化化合物は、金属並びに/又は1つ以上のアルキル基及び/若しくはハロゲン基を含有する任意の化合物を含んでもよい。メタル化化合物は、配位子複合体に1個以上の金属を配位することが可能な任意の化合物を含んでもよい。メタル化化合物の金属は、アルミニウム、クロム、亜鉛、ジルコニウム又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含んでもよい。メタル化化合物は、M(L)による構造を有してもよく、Mは金属に相当し、Lは、アルキル及び/又はハロゲン化合物に相当し、jは、1~3の整数である。メタル化化合物は、三置換又は二置換である金属を含んでもよい。メタル化化合物は、アルキル基、ハロゲン基、水素又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上により三置換又は二置換されている金属を含んでもよい。メタル化化合物は、トリアルキル金属化合物、トリハロゲン化金属化合物、ジハロゲン化金属化合物又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。メタル化化合物は、CrCl、(Et)AlCl、AlEt、AlBu、AlMe又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0031】
一部のメタル化された配位子複合体及び/又は触媒において、1つ以上の極性配位子は、配位子複合体内に位置する金属原子に配位することができ、金属原子の配位価数を満たす。極性配位子は、金属が配位子複合体に結合した後に、メタル化された配位子複合体に配位することができる。極性配位子は、金属錯体に配位し、極性溶媒に可溶性の1種以上の構成成分を溶解するという、デュアル機能を有する極性溶媒であってもよい。極性配位子は、少なくとも2個の自由原子価電子を有する任意の化合物であってもよい。極性配位子は、極性非プロトン性化合物であってもよい。極性配位子は、エーテル、窒素、ニトリル、エステル、ケトン、アセテート又はそれらの任意の組合せを含有する複素環式化合物を含んでもよい。エーテルは、環式エーテル又はジアルキルエーテルであってもよい。極性配位子は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル、メチルtert-ブチル-エーテル、酢酸エチル、2-ブタノン、ジエチルエーテル又はそれらの組合せであってもよい。
【0032】
メタル化された配位子複合体は、カルボニル化触媒の陽イオン性構成成分となるよう機能することができる。メタル化された配位子複合体は、金属カルボニル及び/又は極性配位子と結合して、カルボニル化触媒を形成するのに十分な任意の化合物であってもよい。メタル化された配位子複合体は、少なくとも1個の金属及び少なくとも1つの配位子複合体を含有する任意の化合物であってもよい。メタル化された配位子複合体は、極性配位子に配位し、陽イオンを形成し、1個以上の金属カルボニルと結合し、その結果、触媒が形成されるよう構成されている任意の化合物であってもよい。メタル化された配位子複合体は、極性溶媒及び/又は炭化水素溶媒への溶解を支援する1つ以上の部分を含有してもよい。メタル化された配位子複合体は、同時係属米国仮特許出願第63/171,150号(2021年4月6日に出願);同第63/220,126号(2021年7月9日に出願);及び/又は同第63/171,152号(2021年4月6日に出願)、米国出願第2017/0225157号(2017年7月24日に出願)、及び/又は米国特許第9,327,280号及び同第8,921,581号に記載されている1つ以上の化合物を含んでもよく、これらの全体が本明細書にそれぞれ組み込まれている。
【0033】
極性溶媒は、極性部分を有する1つ以上の化合物を溶解するよう機能する。極性溶媒は、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよい。極性溶媒は、極性非プロトン性溶媒であってもよい。極性溶媒は、少なくとも2個の自由原子価電子を有する化合物であってもよい。例えば、極性溶媒は、エステル溶媒、ケトン溶媒、アルデヒド溶媒、エーテル溶媒又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含んでもよい。極性溶媒は、極性部分を有する1つ以上の化合物を溶解するよう、及び/又はメタル化された配位子複合体若しくはカルボニル化触媒に配位するよう構成され得る。極性溶媒は、硫黄、窒素、酸素、炭素、水素、ハロゲン又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。極性溶媒は、窒素,エーテル、ニトリル、エステル、ケトン、アセテート又はそれらの任意の組合せを含有する複素環式化合物を含んでもよい。極性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル、メチルtert-ブチル-エーテル、酢酸エチル、2-ブタノン、ジエチルエーテル又はそれらの組合せであってもよい。
【0034】
炭化水素溶媒は、非極性要素を有する1つ以上の化合物を溶解するよう機能する。炭化水素溶媒は、いかなるヘテロ原子も含まなくてもよく、及び/又は自由原子価電子を含まなくてもよい。言い換えると、炭化水素溶媒は、炭素及び水素の組合せしか含んでもよくない。炭化水素溶媒は、1つ以上の環式部分及び/又は線状部分を含んでもよい。炭化水素溶媒は、アルキル部分及び/又はアリール部分を含んでもよい。炭化水素溶媒は、不飽和部分を含んでもよく、又は完全飽和であってもよい。炭化水素溶媒は、飽和又は不飽和な環式炭素化合物、飽和又は不飽和な線状炭素化合物を含んでもよい。炭化水素溶媒は、約3~約20個の炭素を含んでもよい。例えば、炭化水素溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、トルエン又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0035】
炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒は、溶媒が互いに混和性である組合せで使用され得る。例えば、1種の溶媒は、本明細書において記載されている1つ以上の化合物の溶解度を増大するよう、1種以上の他の溶媒に可溶性であってもよい。具体的には、第1の溶媒は、第1の溶媒に混和性である第2の溶媒と組み合わされてもよく、熱が適用されて、固体化合物を溶解してもよい。次に、固体化合物を溶解した第1及び第2の溶媒は、冷却されて(例えば、氷浴を用いる)結晶化させ、溶解した化合物を元々溶解したときよりも高い純度で析出させることができる。この例において、第1の溶媒と第2の溶媒の組合せ物は、望ましくない不純物からカルボニル化触媒を分離する方法をもたらすことができる。本明細書において開示されている反応工程は、成分、未回収中間体又は生成物のうちの1つ以上が、記載されている反応が起こり、反応の律速特徴がこのような反応媒体中の特定の成分、未回収中間体又は生成物の溶解度に関連する、反応混合物の一部を飽和するような条件下で行われてもよい。熱量、溶媒の選択及び溶媒の比は、各反応工程の所望の中間体及び生成物の方向に反応を移動するのを支援するために、成分、未回収中間体又は生成物の溶解度まで、反応媒体中の成分、未回収中間体又は生成物の溶解度を増大又は低下させるよう調節され得る。
【0036】
本明細書に記載されているカルボニル化触媒に伴う不純物は、金属カルボニルに結合したメタル化された配位子複合体から分離される複数の化合物を含んでもよい。不純物は、副反応によって形成される任意の化合物であることがある、及び/又は未反応の開始試薬である。不純物は、1つ以上の極性配位子を含有し、かつ金属カルボニルに結合したメタル化された配位子複合体である触媒を除くあらゆる化合物であり得る。例えば、不純物は、極性溶媒、炭化水素溶媒、金属カルボニル、メタル化化合物、配位子複合体、アルキル化合物(例えば、ブテン及び/又はブタン)、カルボニル(例えば、3-ペンタノン)、あらゆる未結合メタル化された配位子複合体又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含み得る。不純物は、1種以上の不純物が、カルボニル化触媒の反応性を妨害する、又は減速する、又は反応における1種以上の構成成分と望ましくない程度に相互作用する場合、除去されてもよい。不純物は、所望の場合、当業者によって公知の追加の分離工程により除去され得る。
【0037】
カルボニル化触媒は、陰イオン性化合物と陽イオン性化合物との組合せ物であってもよい。例えば、カルボニル化触媒は、陽イオン性であるメタル化された配位子化合物であって、陰イオン性である金属カルボニルとイオン結合している、上記のメタル化された配位子化合物であり得る。カルボニル化触媒は、メタル化された配位子化合物の金属に配位した1つ以上の他の極性配位子を含んでもよく、その結果、本明細書において使用される極性溶媒は、デュアル目的を有してもよい(すなわち、反応の促進と金属への配位)。カルボニル化触媒は、一緒にイオン結合している少なくとも2つの金属化合物を含むことがある。例えば、配位子複合体と一体化されているアルミニウムは、コバルトカルボニルにイオン結合してもよい。カルボニル化触媒は、メタル化された配位子複合体、金属カルボニル、又はそれらの両方に含まれる任意の金属を含んでもよい。カルボニル化触媒は、金属中心を含有し、かつエポキシド、ラクトン、アジリジン、ラクタム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上と触媒活性を有する、任意の触媒であってもよい。カルボニル化触媒の陽イオン性構成成分又は陰イオン性構成成分の金属は、カルボニル化又は開環反応を触媒するのに十分な任意の金属であってもよい。カルボニル化触媒は、米国仮出願第63/171,150号(2021年4月6日に出願);同第63/220,126号(2021年7月9日に出願);及び/又は同第63/171,152号(2021年4月6日に出願)、米国公開第2017/0225157号(2017年7月24日に出願)及び/又は米国特許第9,327,280号及び同第8,921,581号に示されている1つ以上の構造を有してもよく、これらの全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれている。例えば、本カルボニル化触媒は、以下の式による構造を有してもよい:
【0038】
【化3】
式中、Mは、アルミニウム、クロム、ガリウム、インジウム、亜鉛、銅、マンガン、コバルト、ルテニウム、鉄、レニウム、ニッケル、パラジウム、マグネシウム、チタン又はそれらの任意の組合せから選択されてもよい。
Rはそれぞれ、水素、ハロゲン、-OR、-NR 、-SR、-CN、-NO、-SO、-SOR、-SONR ;-CNO、-NRSO、-NCO、-N、-SiR;又はC1~20脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するC1~20複素脂肪族;6~10員のアリール;窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;並びに窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式からなる群から選択される任意選択的に置換されている基を独立して出現ごとに含んでもよく、2つ以上のR基は、一緒になって、1つ以上の任意選択的に置換されている環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立して、水素、又はアシル;カルバモイル、アリールアルキル;6~10員のアリール;C1~12脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有するC1~12複素脂肪族;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリール;窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の複素環式;酸素保護基;並びに窒素保護基からなる群から選択される任意選択的に置換されている基であり、同一窒素原子上の2つのRは、窒素原子と一緒になって、窒素、酸素及び硫黄からなる群から独立して選択される0~2個の追加のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換されている4~7員の複素環式環を形成してもよい。
はそれぞれ、水素、ハロゲン、複素脂肪族、複素環式、複素芳香族、アルキル、アルコキシド、アリール、シリルアルキル、アルキル-アリール、アミン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロカルビルオキシ、それらの誘導体、それらの置換された基又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上から独立して選択される基であってもよい。
はそれぞれ、水素、アルキル、アルコキシド、アリール、シリルアルキル、アルキル-アリール、アミン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロカルビルオキシ、それらの誘導体、それらの置換された基又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上から独立して選択される基であってもよい。
3a1及び/又はR3a2は、水素、メチル、C2~10アルキル鎖、それらの組合せのうちの1つ以上から独立して選択されてもよく、又は組み合わされた形態で、任意選択的に置換されているシクロヘキサン又はフェニル基であってもよい。置換された基は、芳香族基、脂肪族基、又はそれらの両方を含んでもよい。
3b1及び/又はR3b2は、水素、メチル、C2~10アルキル鎖、又はそれらの組合せのうちの1つ以上から独立して選択されてもよい。
3a1及びR3b1は、組み合わされた形態で、複素環式化合物、1つ以上の置換を有する複素環式環、環式構造、それらの任意の組合せのうちの1つ以上であってもよい。R3a1及びR3b1は、組み合わされた形態で、任意選択的に置換されている6員環、芳香族、又はそれらの両方であってもよい。複素環式環は、ピリジン、1つ以上の置換を有するピリジン、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。
3a2及びR3b2は、組み合わされた形態で、ピリジン、1つ以上の置換を有するピリジン、環式構造、それらの任意の組合せのうちの1つ以上であってもよい。R3a2及びR3b2は、組み合わされた形態で、任意選択的に置換されている6員環、芳香族、又はそれらの両方であってもよい。R基、並びにR3a1及び/又はR3a2の1つは独立して、組み合わされて、環式構造の1つ以上をそれぞれ独立して形成してもよい。環式構造は、複素環式化合物、芳香族化合物又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。環式構造は、シクロヘキサン、フェニル基、ピリジン又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0039】
カルボニル化触媒は、金属中心を含有し、かつエポキシド、ラクトン、アジリジン、ラクタム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上と触媒活性を有する、任意の触媒であってもよい。触媒は、カルボニル化反応においてラクトンを形成するために利用され得る。カルボニル化反応は、触媒の存在下、1種以上のエポキシド、ラクトン又はそれらの両方に一酸化炭素を接触させるステップを含んでもよい。この工程は、1つ以上の導入口、2つ以上の導入口、3つ以上の導入口、又はそれより多くの導入口を有する反応器中で行うことができる。1種以上のエポキシド、ラクトン、一酸化炭素及び触媒が、単一導入口、複数の導入口に添加されてもよく、又は各々は、個別のフィードストリーム又は一緒にしたフィードストリームとして、個別の導入口に添加されてもよい。カルボニル化反応は、1つ以上の排出口から、1種以上の生成物ストリーム又は組成物を生成することができる。
【0040】
カルボニル化反応に使用されるエポキシドは、少なくとも2個の炭素原子及び1個の酸素原子を含有する任意の環式アルコキシドであってもよい。例えば、エポキシドは、式(VII)によって示される構造:
【0041】
【化4】
を有してもよく、
式中、R及びRは、ヒドロカルビル基又は水素からなる群からそれぞれ独立して選択され、ヒドロカルビル基は、1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、ただし、そのヒドロカルビル基は、形成される配位子複合体の触媒活性に負の影響を及ぼさないことを条件とする。ヒドロカルビルは、アルキル基又はアリール基であってもよい。R及びRは、介在する原子と任意選択的に一緒になって、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含有する、3~10員の置換又は無置換の環;又はそれらの任意の組合せを形成することができる。
【0042】
カルボニル化反応から形成されるラクトンは、少なくとも1個の炭素原子及び2個の酸素原子を有する、任意の環式カルボン酸エステルであってもよい。例えば、ラクトンは、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン及びβ-バレロラクトン又はそれらの組合せであってもよい。プロピオラクトン又はラクトンが使用又は記載されている本出願の任意の場所において、別のラクトンが、本プロセス、工程又は方法において、適用可能となり得る、又は使用可能となり得る。プロピオラクトンがカルボニル化反応に使用される、又は生成される場合、プロピオラクトンは、式Vに対応する構造:
【0043】
【化5】
を有し、式中、R及びRは、ヒドロカルビル基又は水素からなる群からそれぞれ独立して選択され、ヒドロカルビル基は、1個以上のヘテロ原子を含有してもよく、ただし、そのヒドロカルビル基は、形成される配位子複合体の触媒活性に負の影響を及ぼさないことを条件とする。ヒドロカルビルは、アルキル基又はアリール基であってもよい。R及びRは、介在する原子と任意選択的に一緒になって、1個以上のヘテロ原子を任意選択的に含有する、3~10員の置換又は無置換の環;又はそれらの任意の組合せを形成することができる。
【0044】
カルボニル化反応からの生成物ストリームは、プロピオラクトン、ポリプロピオラクトン、無水コハク酸、ポリエチレングリコール、ポリ-3-ヒドロキシプロピオネート、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテル、未反応エポキシド、任意のそれらの誘導体、エポキシド及び一酸化炭素の反応に由来する任意の他のモノマー若しくはポリマー、触媒形成の任意の開始試薬、触媒形成の任意の副生物、任意のそれらの誘導体、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。生成物ストリームは、金属カルボニル、メタル化された配位子複合体、配位子複合体又はそれらの任意の組合せなどの触媒構成成分を含む、1種以上の無機化合物を含んでもよい。生成物ストリームは、ラクトンを形成するプロセスにおいて、消費されていない、又は消費し尽くしたカルボニル化触媒を含むことがある。生成物ストリームは、未反応エポキシド又は一酸化炭素のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0045】
配位子複合体からカルボニル化触媒の形成を開始するため、反応は、最少量の溶媒及び単離工程を使用して、単一容器又は複数の容器内で行うことができる、3つの工程を含んでもよい。本明細書において使用される場合、反応混合物は、第1の工程に関連する第1の混合物、及び第2の工程に関連する第2の混合物を含む。第1の工程において、配位子複合体及びメタル化化合物は、炭化水素溶媒と接触させて、又はここに溶解して、第1の混合物を形成してもよい。第1の工程は、メタル化化合物及び配位子複合体の反応から、第2の工程の前に、単離する必要のない、メタル化された配位子複合体を生じることができる。一定時間の混合後、極性溶媒及び金属カルボニルは、第2の混合物を形成するのに十分な時間の間の混合を含む第2の工程において、第1の工程からの第1の混合物に接触させてもよい。第2の工程において、カルボニル化触媒は、金属カルボニルとメタル化された配位子複合体との組合せ物を含んでもよい。形成されるカルボニル化触媒は、第2の工程における第2の混合物から析出して、スラリーを形成することができる。第3の工程において、カルボニル化触媒は、任意の公知の手段によって、スラリー又は懸濁液から分離されて、固体であるカルボニル化触媒を得ることができ、残留構成成分(例えば、未反応の開始構成成分、副生物、溶媒など)は、炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒と共に第2の混合物中に留まり得る。この方法を用いるカルボニル化触媒は、高いモル収率、最少量の妨害不純物と共に形成され得、さらなる精製又は単離技法なしに、望ましい触媒活性を有する。存在する恐れがある実質的にすべての不純物を除去することが望ましい場合、カルボニル化触媒に追加の工程が施されてもよい。
【0046】
第1の工程において、配位子複合体及びメタル化化合物は、炭化水素溶媒中で接触されて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成する。第1の工程における反応全体が、中間体のいかなる単離も、第2の工程に進む前の単離もなしに行われ得る。第1の工程における全反応は、水分、空気及び/又は酸素を含まない容器中で行われてもよく、その結果、酸素及び/又は水分は、配位子複合体、メタル化化合物、メタル化された配位子複合体又はカルボニル化触媒との望ましくない相互作用を有さない。例えば、この反応は、ドライボックス中、及び/又はシュレンクライン中、不活性雰囲気下で行われてもよい。反応容器は、1つ以上の反応区域を含んでもよく、回分反応器、連続撹拌式槽反応器、プラグフロー反応器、半回分反応器、接触式反応器、連続流通反応器、又はそれらの任意の組合せを含んでもよい。容器は、振とう器、インペラ又はそれらの両方の組合せなどの、反応を混合物するための機構が装備されてもよい。他の例において、この反応は、吹込み又は乱流などの、反応器内での流体の流れによって混合されてもよい。
【0047】
配位子複合体及びメタル化化合物は、メタル化された配位子複合体を形成するのに十分な任意のモル比で接触され得る。過剰のメタル化化合物は、メタル化された配位子複合体の形成後に、未反応配位子複合体の量を低減することができる。メタル化化合物及び配位子は、約1:1以上、約1.1:1以上又は約1.2:1以上のモル比で接触されてもよい。モル比は、約1.5:1以下、約1.4:1以下又は約1.3:1以下であってもよい。配位子複合体及び/又はメタル化化合物は、メタル化された配位子化合物が形成される第1の混合物を形成するのに十分な任意の形態の単一容器に添加されてもよい。例えば、配位子複合体及び/又はメタル化化合物は、固体(すなわち、反応容器に投入前に、炭化水素と混合しない場合)、液体(すなわち、反応容器に導入する前に、最初に炭化水素に溶解した場合)、又は未希釈形態にあることができる。固体形態の配位子複合体及び/又はメタル化化合物が添加される場合、配位子複合体及び/又はメタル化化合物は、固体の形態で、及び反応してメタル化された配位子化合物を形成するのに十分な量を添加することによって、容器に単に添加されてもよい。配位子複合体及び/又はメタル化化合物が、容器に添加される前に、最初に液体形態にある他の例において、配位子複合体及び/又はメタル化化合物は、フィードライン、パイプ、管又はそれらの任意の組合せを介して容器に添加されてもよい。メタル化化合物及び/又は配位子複合体は、第1の混合物から酸素、空気及び/又は水分を回避する技法を用いて添加されてもよい。
【0048】
配位子複合体は、最初に、炭化水素溶媒によって溶解されて、第1の混合物を形成することができ、メタル化化合物は、次に第1の混合物に溶解されて、その結果、反応は確実にメタル化された配位子複合体を形成することができる。配位子複合体は、炭化水素溶媒中に配位子複合体を一部溶解するための任意の時間、混合されてもよい。例えば、配位子複合体は、約30秒以上、約3分間以上又は約5分間以上、炭化水素溶媒と混合されてもよい。配位子複合体は、約20分間以下、約15分間以下又は約10分間以下、炭化水素溶媒と混合されてもよい。
【0049】
メタル化化合物は、炭化水素溶媒に接触されて、第1の混合物を形成することができ、配位子複合体は、次に、第1の混合物に接触されて、その結果、反応は確実にメタル化された配位子複合体を形成することができる。メタル化化合物は、極性溶媒及び/又は炭化水素溶媒中にメタル化化合物を一部又は全部を溶解するため、任意の時間、混合されてもよい。例えば、メタル化化合物は、約30秒以上、約3分間以上又は約5分間以上、混合されてもよい。メタル化化合物は、約20分間以下、約15分間以下又は約10分間以下、混合されてもよい。
【0050】
炭化水素溶媒、メタル化化合物及び/又は配位子複合体からなる第1の混合物は、メタル化された配位子複合体を形成するのに十分な任意の時間の間、混合されてもよい。例えば、第1の混合物は、約0.5時間以上、約1.5時間以上又は約3.5時間以上、混合されてもよい。第1の混合物は、約7時間以下、約6時間以下又は約5時間以下、混合されてもよい。反応物を混合している間、第1の混合物は、メタル化された配位子複合体を形成するのに十分な任意の温度において、及びメタル化された配位子複合体の安定性に影響を及ぼすことなく、加熱されてもよい。例えば、第1の混合物は、約40摂氏度以上、約60摂氏度以上又は約80摂氏度以上で加熱されてもよい。第1の混合物は、約140摂氏度以下、約120摂氏度以下又は約100摂氏度以下で加熱されてもよい。
【0051】
配位子複合体及びメタル化化合物に炭化水素溶媒に接触させた後に、形成した第1の混合物は、スラリー、懸濁液及び/又は溶液であってもよい。配位子複合体及びメタル化化合物に炭化水素溶媒を接触させて、第1の混合物を形成した後に、極性溶媒が混合物に接触されてもよい。メタル化された配位子複合体は、極性溶媒の添加前に、完全に形成されることがある。極性溶媒の添加により、いずれかの固体構成成分(例えば、メタル化された化合物、配位子複合体及び/又はメタル化された配位子複合体)が、第2の混合物中に、一部が溶解することがある(すなわち、スラリーの場合)。極性溶媒は、メタル化された配位子複合体に配位する部分を有することがあり、その結果、メタル化された配位子複合体の金属は、極性配位子の形態の極性溶媒の分子を2つ以上含む。
【0052】
極性溶媒と、メタル化された配位子複合体及び炭化水素溶媒を含有する第1の混合物は、第1の混合物の1種以上の成分を一部溶解させて、第2の工程において第2の混合物を形成するのに十分な任意の体積比で接触されてもよい。例えば、炭化水素溶媒及びメタル化された配位子複合体を含有する第1の混合物、及び極性溶媒は、約2:1以下、約1.9:1以下又は約1.7:1以下の体積比で接触されてもよい。極性溶媒及び第1の混合物は、約1.1:1以上、約1.3:1以上又は約1.5:1以上の体積比で接触されてもよい。メタル化された配位子複合体を形成するために、極性溶媒、炭化水素溶媒、又はそれらの両方が、時間の考慮事項、混合物の構成成分のいずれかの溶解度、反応温度、溶媒の沸点に基づいて、又は複合的な理由のために選択されてもよい。極性溶媒及び炭化水素溶媒、メタル化化合物、配位子複合体及び/又はメタル化された配位子複合体の第2の混合物は、混合物の1種以上の構成成分を一部、溶解するため、及び/又はメタル化された配位子複合体の形成を改善するために十分な任意の時間、混合されてもよい。
【0053】
第2の工程前及び/又はその間に、第2の混合物に、カルボニル化触媒の形成を支援するのに十分な圧力のガスが吹き付けられてもよい。吹き付けは、金属カルボニル及び/若しくはカルボニル化触媒の安定性又は形成を支援するガスを、第2の混合物に導入してもよい。吹き付けは、第2の混合物内に他のガス(例えば、アルゴン、窒素など)に置き換えてもよい。ガスは、一酸化炭素、合成ガス(すなわち、水素及びCO)、又はそれらの両方であってもよい。吹き付けガスの分圧は、カルボニル化触媒の形成を増強する任意の分圧であってもよい。吹き付けの圧力は、約200kPa以下、約150kPa以下又は約100kPa以下であってもよい。吹き付けの圧力は、約10kPa以上、約40kPa以上又は約70kPa以上であってもよい。単一容器に、第2の混合物及び/又は反応混合物に吹き付けるのに十分な任意のデバイスが装備されてもよい。
【0054】
第2の工程において、メタル化された配位子複合体は、金属カルボニルに接触されてもよく、その結果、カルボニル化触媒は、第2の混合物中で形成される。第2の工程は、混合物を第1の工程から第2の工程に移動させる間に、いかなる化合物も単離することなく、第2の容器中で行われてもよい。第2の容器は、第1の溶液とは異なる容器であってもよく、第1の構成成分の文脈の範囲内に記載されている任意の構成成分又は特徴を含んでもよい。第2の工程は、第1の工程と同じ単一容器で行われてもよく、第2の工程の単一容器は、第1の反応の単一容器として、任意の特徴、形態又は装備品を有してもよい。第2の反応は、水分、空気及び/又は酸素を含まない環境において行われてもよく、その結果、カルボニル化触媒の形成及び/又は安定性は、負の影響を受けない。例えば、第2の反応は、シュレンクライン及び/又は不活性ガスの雰囲気を含むドライボックスを使用するなどの不活性雰囲気中で行われてもよい。
【0055】
第2の工程の前に、金属カルボニルは、極性溶媒に最初に接触されて、カルボニル化触媒の形成を改善すること、及び/又は第2の混合物への金属カルボニルの溶解度を改善することができる。金属カルボニルは、極性溶媒に接触されて、極性溶媒を含有する前駆体混合物を形成するのに十分な時間、混合されてもよい。例えば、金属カルボニル及び極性溶媒は、約1時間以下、約30分間以下又は約15分間以下、混合されてもよい。金属カルボニル及び極性溶媒は、約30秒以上、約5分間以上又は約10分間以上、混合されてもよい。金属カルボニル及び極性溶媒は、第1の工程の第1の混合物、又は極性溶媒及び炭化水素溶媒及びメタル化された配位子複合体を含有する第2の混合物と組合せ可能な前駆体混合物を形成するのに十分な任意の容器中、任意の手段によって混合されてもよい。金属カルボニルは、金属カルボニルにメタル化された配位子複合体及び極性溶媒及び炭化水素溶媒を含有する第2の混合物を接触させる前に、炭化水素溶媒を含まなくてもよい。一部の例において、金属カルボニルは、反応混合物への添加前の金属カルボニルの総質量に対して約1~5質量%の間などの、反応混合物に添加する前の金属カルボニルを安定化させるための量の炭化水素溶媒を含有してもよい。
【0056】
第2の工程において、金属カルボニルは、炭化水素溶媒及びメタル化された配位子複合体を含有する第1の混合物に接触されて、第1の混合物に極性溶媒を添加する前に第2の混合物を形成させてもよい。金属カルボニルは、メタル化された配位子複合体及び炭化水素溶媒及び極性溶媒を含有する、既に形成された第2の混合物に接触されてもよい。金属カルボニルは、カルボニル化触媒を形成するのに十分なメタル化された配位子複合体との任意のモル比で、第1の混合物又は第2の混合物に接触されてもよい。例えば、金属カルボニル及びメタル化された配位子複合体は、約1.5:1以下、約1.25:1以下又は約1:1以下のモル比で接触されてもよい。金属カルボニル及びメタル化された配位子複合体は、約0.25:1以上、約0.5:1以上、0.75:1以上又は1:1以上のモル比で接触されてもよい。金属カルボニル及びメタル化された配位子複合体のモル比は、金属カルボニル中の金属と配位子複合体中の金属とのモル比が、約1:1以上、約1.25:1以上又は約1.5:1以上となるように選択されてもよい。
【0057】
金属カルボニル、及びメタル化された配位子複合体を含有する反応混合物は、カルボニル化触媒を形成するのに十分な任意の時間、混合されてもよい。例えば、金属カルボニル、及びメタル化された配位子複合体を含有する反応混合物は、約15分間以上、約30分間以上又は約1時間以上、混合されてもよい。金属カルボニル、及びメタル化された配位子複合体を含有する反応混合物は、約24時間以下、約5時間以下又は約2時間以下、混合されてもよい。金属カルボニルの添加、及び反応混合物の混合は、カルボニル化触媒を含有する析出物を生じ得る。反応混合物は、溶解されたカルボニル化触媒のいずれも実質的に含まなくなることがある。
【0058】
第3の工程において、カルボニル化触媒は、ラクトンを形成する触媒活性を有するカルボニル化触媒を生じるのに十分な任意の分離手段によって、反応混合物から取り出されてもよい。当業者によって公知の任意の技法を、固体及び液体を分離するための分離手段として使用し、触媒活性を有する形態の固体としてカルボニル化触媒を得て、カルボニル化触媒から液体又は固体の分離物として他の構成成分を得ることができる。例えば、第1及び第2の工程において使用される単一容器に、析出物の形態のカルボニル化触媒を採集するろ過手段が施されてもよく、任意の形態の容器が、液体の形態を有する反応混合物の構成成分を採集する分離手段下に設置されてもよい。第3の工程は、空気、水分及び/又は酸素を含まない条件下で行われてもよく、その結果、カルボニル化触媒の安定性は影響を受けず、望ましくない副反応は起こらない。分離手段は、析出物を採集するのに十分な任意の技法又はデバイスを利用して、フィルターに通して液体を排出することが可能となり得る。例えば、分離手段は、真空フィルター、重力フィルター、遠心分離手段、デカンテーション手段、表面フィルター、深さフィルター、温時ろ過、冷却ろ過、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。第3の工程は、析出物内に含まれる、炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒に可溶性のさらなる望ましくない不純物の析出物を洗浄するため、カルボニル化触媒を含有する析出物の上に追加の炭化水素溶媒及び/若しくは極性溶媒を注ぐステップ、又はこれらを接触させるステップを含んでもよく、これは、第3の工程内での洗浄工程と称されることがある。洗浄工程は、析出物内に含まれる任意の望ましくない不純物を洗浄除去するのに十分な、任意の量の炭化水素溶媒及び/若しくは極性溶媒を添加するステップ又はこれらを接触させるステップ、及び触媒を含有する析出物に分離手段に施すステップを含んでもよい。第3の工程は、析出物から、残留する炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒のいずれも分離するための分離工程をさらに含んでもよい。分離工程は、析出物に1つ以上の本明細書に記載されている分離手段を施すステップなどの、析出物から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を分離するのに十分な任意の技法を含んでもよい。例えば、分離工程は、析出物から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を除去するために、析出物に真空を適用して、触媒を得るステップを含んでもよい。分離工程は、析出物から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を除去するために、析出物に加熱を適用して、触媒を得るステップを含んでもよい。熱がカルボニル化触媒の安定性に影響を及ぼすほど高くない限り、任意の熱量が適用されてもよい。例えば、熱は、分離工程の温度を約110摂氏度以下、約90摂氏度以下又は約70摂氏度以下まで上昇するよう適用されてもよい。熱は、分離工程の温度を約40摂氏度以上、約50摂氏度以上又は約60摂氏度以上まで上昇するよう適用されてもよい。分離工程は、析出物から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を除去するために、析出物に窒素流を適用するステップを含んでもよい。
【0059】
第3の工程後、カルボニル化触媒に、さらなる精製方法が施されてもよく、その結果、一層少ない量の不純物しか、カルボニル化を行うために使用される最終カルボニル化触媒中に存在しない。カルボニル化触媒に結晶化工程が施され、配位子複合体、メタル化化合物及び/又はメタル化された配位子複合体などの、1種以上の他の望ましくない不純物からカルボニル化触媒を分離してもよい。例えば、第3の工程からのカルボニル化触媒及び他の不純物を含有する析出物は、1種以上の炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒に接触されてもよく、1種以上の炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒は、析出物を溶解して結晶化混合物にするのに十分な温度まで加熱されてもよい。1種以上の極性溶媒及び/又は炭化水素溶媒は、高温において、カルボニル化触媒を含有する析出物を溶解するのに十分な任意の体積比で一緒にされてもよい。例えば、1種以上の炭化水素溶媒及び極性溶媒は、約1:1以上、約1.3:1以上又は約1.5:1以上の体積比で一緒にされてもよい。1種以上の炭化水素溶媒及び極性溶媒は、約2:1以下、約1.9:1以下又は約1.7:1以下の体積比で一緒にされてもよい。加熱後、結晶化混合物を、結晶化する、すなわち、1種以上の極性溶媒及び/又は炭化水素溶媒からカルボニル化触媒を析出させるのに十分な温度まで冷却されてもよい。例えば、氷浴が使用されて、速い速度で結晶化混合物が冷却されてもよい。この結晶化工程の後、カルボニル化触媒は、不純物を実質的に含み得ない。
【0060】
第3の工程からのカルボニル化触媒を含有する析出物は、最少量の炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒に接触されてもよく、その結果、析出物は、溶媒の組合せ物に溶解する。カルボニル化触媒を含有する析出物は、極性溶媒中で一層高い溶解度を有することがある。最少量の炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒は、析出物の実質的にすべてを溶解するのに十分な任意の量であってもよい。ある期間にわたり、炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒は、高い揮発性を有し得るので、炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒は、蒸発し始めることがある。炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒が蒸発すると、カルボニル化触媒は、結晶化混合物から析出することがあり、その結果、カルボニル化触媒は、不純物を実質的に含まない。
【0061】
カルボニル化触媒は、エポキシドと一酸化炭素との間の反応を触媒してラクトンを形成するのに十分な任意の純度を有し得る。例えば、カルボニル化触媒は、約90%以上、約92%以上又は約95%以上の純度を有してもよい。カルボニル化触媒は、約100%以下、約98%以下又は約96%以下の純度を有してもよい。カルボニル化触媒は、第1、第2及び第3の工程を利用することによって形成されて、純度が100%未満のカルボニル化触媒を得ることができ、カルボニル化触媒に、本明細書に記載されているさらなる精製工程又は分離工程が施されて、カルボニル化触媒の純度が改善され得る。カルボニル化触媒が、100%未満の純度を有する場合、カルボニル化触媒は、副生物、残留反応剤又は出発原料、溶媒などを含む1種以上の他の不純物を含むことがある。カルボニル化触媒は、ラクトンを形成した際に、カルボニル化触媒が依然として望ましい触媒特性を有するような任意の量の不純物を含むことがある。例えば、カルボニル化触媒は、約10%以下、約8%以下又は約5%以下の量の不純物を含むことがある。カルボニル化触媒は、約9.9%以下、約8%以下又は約7%以下の量の不純物を含むことがある。カルボニル化触媒は、不純物を実質的に含まないことがある。
【0062】
本明細書において教示される分離工程は、カルボニル化触媒又はカルボニル化触媒の任意の前駆体の形成又は機能を妨害する恐れのある、あらゆる望ましくない構成成分を組成物から除去するよう機能する。例えば、溶媒、無機化合物、有機化合物又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上が、組成物から除去されることができ、その結果、カルボニル化触媒が一層純粋な形態で分離される。分離工程は、真空ろ過、重力ろ過、遠心分離、デカンテーション、析出、相層抽出、本明細書に記載されている別の技法、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含んでもよい。分離工程は、溶媒、無機化合物、有機化合物又はそれらの任意の組合せ物のうちの1つ以上を分離するのに十分な任意の方法を利用して、カルボニル化触媒を形成することができる。分離工程は、析出物などの、ある時点における単一タイプの化合物を除去することができる、又は溶媒に溶解した構成成分のすべてなどの、ある時点における化合物の集合物を除去することができる。分離工程は、有機相、水相、固相(すなわち、析出物)、1種以上のガス若しくは蒸気相、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上の1つ以上を含む、複数の相を形成することを含んでもよい。本明細書に記載されている1つ以上の分離工程は、配位子複合体、メタル化された配位子複合体、メタル化化合物、炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒、それらの副生成物、それらの誘導体又はそれらの任意の組合せを含めた組成物から、いかなる望ましくない構成成分も分離又は除去するのに十分な、任意の温度、圧力、撹拌速度、時間又はそれらの任意の組合せにおいて行われ得る。
【0063】
本明細書に記載されているカルボニル化触媒は、エポキシドと一酸化炭素との反応を触媒して、プロピオラクトン及び他の生成物のうちの1種以上を生成するよう機能する。カルボニル化触媒は、陰イオン性の少なくとも金属カルボニル、及び陽イオン性のメタル化された配位子複合体を含む。カルボニル化触媒は、酸素及び水をまない環境で保存され得る。
【0064】
本開示の教示を例示するために、いくつかの技法が理論構築されてきた。このような技法の1つが、以下に見出され、図1によって表されている。各教示は、単に本開示の例に過ぎず、任意の単一技法に本教示を限定することを意図するものではない。
【0065】
図1は、カルボニル化触媒を形成する合成スキームである。500mLのメディアボトルに、25.00gのテトラフェニルポルフィリン(TPPH)及び75mLのヘキサンを投入する。41.0mL(ヘキサン中の1.0M)の量のトリエチルアルミニウムをシリンジにより反応混合物に添加する。反応混合物を20時間、混合する。反応混合物を120mLのテトラヒドロフランを投入する。反応混合物に約35KPa~約50kPaの圧力の一酸化炭素を10分間、吹き付ける。このスラリーに、固体形態の1~5重量%のヘキサンを含有する7.09gの金属カルボニル(Co(CO))を加える。この反応物を室温において5時間、混合する。反応後、反応混合物をフリットに通してろ過し、得られた紫色析出物を採集し、これをヘキサンにより洗浄して真空下で乾燥する。カルボニル化触媒の収率は37.3gであり、これは、プロトンNMRによって測定すると、約95.1%の純度を有する。
【0066】
実施形態の列挙
以下の実施例は、本発明を例示するために提示されるが、その範囲を制限することを意図するものではない。部及び百分率はすべて、特に示さない限り、重量基準である。
【0067】
実施形態1.
a. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップであって、配位子複合体が、1つ以上の環式構造に結合した、ホスフィン、イミン及び/又はヒドロキシル基のうちの1つ以上を含む、ステップ、及び
b. 反応混合物から触媒を分離するステップ
を含む、方法。
【0068】
実施形態2. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させるステップが、いかなる中間体も単離又は分離することなく行われる、実施形態1の方法。
【0069】
実施形態3. ステップ(a)が、単一容器において行われる、実施形態1又は2の方法。
【0070】
実施形態4. ステップ(a)が、水分、空気及び/又は酸素を含まない環境において行われる、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0071】
実施形態5.
a. 金属カルボニルと接触させる前に、配位子複合体に1種以上の炭化水素溶媒及びメタル化化合物を接触させて、反応混合物を形成するステップ
をさらに含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0072】
実施形態6. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 反応混合物を約2時間以上、混合するステップ
を含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0073】
実施形態7. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 熱を適用しながら、反応混合物を約1.5時間以上、混合するステップ
を含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0074】
実施形態8. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 熱を適用することなく、反応混合物を約5時間以上、混合するステップ
を含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0075】
実施形態9. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 配位子複合体及び炭化水素溶媒を接触させて、第1の混合物を形成するステップ、
b. 第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ、及び
c. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0076】
実施形態10. 第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップが、
a 熱を適用することなく、約3時間以上、又は熱を適用しながら約0.25時間以上、第1の混合物を混合するステップ
を含み、
第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
b. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを、約1時間以上、混合するステップ
を含む、実施形態9の方法。
【0077】
実施形態11. 第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
a. 第1の混合物及び極性溶媒を接触させて、第2の混合物を形成するステップ、
b. 触媒の形成を支援するのに十分な圧力のガスを第2の混合物に吹き付けるステップ、及び
c. 第2の混合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0078】
実施形態12. 第2の混合物に触媒を形成するのに十分な圧力のガスを吹き付けるステップが、
a. 第2の混合物に約100kPa以下の圧力のガスを吹き付けるステップ
を含む、実施形態11の方法。
【0079】
実施形態13. 反応混合物から触媒を分離するステップが、
a. 反応混合物から析出物の形態の触媒をろ過するステップ
を含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0080】
実施形態14. 反応混合物から触媒を分離するステップが、
a. 触媒に真空を適用し、触媒から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を除去し、その結果、触媒が固体の形態を有する、ステップ、
b. 触媒に熱を適用し、触媒から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を除去し、その結果、触媒が固体の形態を有する、ステップ、及び/又は
c. 触媒に窒素流を適用し、触媒から炭化水素溶媒及び/又は極性溶媒を除去し、その結果、触媒が固体の形態を有する、ステップ、
を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0081】
実施形態15. 極性溶媒が、約1:1以下と約1:2以下との間の体積比で反応混合物と接触される、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
【0082】
実施形態16. メタル化化合物が、約0.25:1以上のモル比で配位子複合体と接触される、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
【0083】
実施形態17.
a. 反応混合物から取り出された触媒に1種以上の溶媒を接触させて、結晶化混合物を形成するステップ、
b. 結晶化混合物から触媒を析出させるステップ、及び
c. 触媒を1種以上の溶媒から分離するステップ
をさらに含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0084】
実施形態18. 1種以上の溶媒が、1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒を含み、
反応混合物から取り出された触媒に1種以上の溶媒を接触させて、反応混合物を形成するステップが、
a. 反応混合物から取り出された触媒に1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒を接触させて、結晶化混合物を形成するステップ、
b. 結晶化混合物を、1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒に触媒を溶解するのに十分な温度まで加熱するステップ、及び
c. 結晶化混合物を冷却し、その結果、触媒が1種以上の極性溶媒及び1種以上の炭化水素溶媒から結晶化して、析出するステップ
を含む、実施形態17の方法。
【0085】
実施形態19. 触媒から1種以上の溶媒及び/又は1つ以上の他の化合物を分離するステップが、
a. 1種以上の極性溶媒及び/又は1種以上の炭化水素溶媒を分離して、その結果、触媒が他の化合物を実質的に含まない、ステップ
を含む、実施形態18の方法。
【0086】
実施形態20.
a. 触媒を1種以上の炭化水素溶媒により洗浄するステップ
をさらに含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0087】
実施形態21. 触媒が、
a. 金属カルボニルにイオン結合した、約90重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
b. 約10重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0088】
実施形態22. 触媒が、
a. 金属カルボニルにイオン結合した、約95重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
b. 約5重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0089】
実施形態23. 触媒が、
a. 金属カルボニルにイオン結合した、約98重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
b. 約2重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0090】
実施形態24. 反応混合物、結晶化混合物、第1の混合物及び/又は第2の混合物が、溶液、スラリー及び/又は懸濁液の形態を有する、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0091】
実施形態25. 触媒が、ラクトン、無水コハク酸、又はそれらの両方を形成する、一酸化炭素及びエポキシドとの触媒活性を有する、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0092】
実施形態26. 触媒が、ラクタムを形成する、一酸化炭素及びアジリジンとの触媒活性を有する、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0093】
実施形態27. 配位子複合体が1つ以上の芳香族基を含み、配位子複合体が、1つ以上のイミン基及び1つ以上の環式構造を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0094】
実施形態28. 配位子複合体が、マクロサイクルを含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0095】
実施形態29. 配位子複合体が、ポルフィリン配位子、サーレン配位子、サルフ配位子、サルシ配位子、ホスファサーレン配位子、ホスファサルフ配位子、ホスファササルシ配位子、二置換ビピリジン配位子、二置換フェナントロリン配位子、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アヌレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ジアミノシクロヘキサン誘導体、それらの他の誘導体又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0096】
実施形態30.
a. 配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルに接触させる前に、炭化水素溶媒にメタル化化合物を溶解して、約1.0以上のモル濃度を有する前駆体混合物を形成するステップ
をさらに含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0097】
実施形態31. メタル化化合物が、アルミニウム又はクロムを含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0098】
実施形態32. メタル化化合物がアルミニウムを含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0099】
実施形態33. メタル化化合物が、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、塩化クロム(II)、塩化ジエチルアルミニウム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0100】
実施形態34. メタル化化合物がトリアルキル金属化合物を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0101】
実施形態35. 金属カルボニルが、約1重量%~約5重量%の量の炭化水素溶媒を含み、重量%が、金属カルボニルの総重量に基づく、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0102】
実施形態36. 金属カルボニルがコバルトを含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0103】
実施形態37. 金属カルボニルが、NaCo(CO)、HCo(CO)、Co(CO)、任意のCo(CO)化合物又はそれらの組合せのうちの1つ以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0104】
実施形態38. ガスが、一酸化炭素、合成ガス、不活性ガス又はそれらの組合せのうちの1種以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0105】
実施形態39. 他のガスが、アルゴン、窒素、又はそれらの両方のうちの1つ以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0106】
実施形態40. 炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、任意の他の炭化水素又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0107】
実施形態41. 極性溶媒が極性非プロトン性溶媒を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0108】
実施形態42. 極性溶媒が、エステル溶媒、ケトン溶媒、アルデヒド溶媒、エーテル溶媒又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【0109】
実施形態43. 極性溶媒が、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、2-シクロヘキサノン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸ブチル、酢酸メチル、シクロペンタノン、エステル溶媒、ケトン溶媒又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含む、前記実施形態のいずれか1つの方法。
【実施例
【0110】
以下の実施例は、本開示を例示するために提示されるが、その範囲を制限することを意図するものではない。
【0111】
NMR分析は、300.1MHzで動作するVarian Mercury分光計で行う。試験前に、試料をTHF-d8に溶解する。
【0112】
カルボニル化触媒の触媒活性を追跡するインシチュFTIR分析は、反応器の底部に直接、取り付けた、先端部がシリコーン製センチネル(sentinel)を装備したMettler Toledo ReactIR 45mで行う。
【0113】
図2Aは、以下の方法によって形成される、実施例1~3の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルであり、d8-THF中で分析する。1Lのメディアボトルに、75.00gのテトラフェニルポルフィリン(TPPH)及び225mLのヘキサンを投入する。122.0mL(ヘキサン中の1.0M)の量のトリエチルアルミニウムをシリンジにより反応混合物に添加する。反応混合物を20時間、混合する。反応混合物に360mLのテトラヒドロフランを投入する。反応混合物に約35KPa~約50kPaの圧力の一酸化炭素を30分間、吹き付ける。このスラリーに、固体形態の1~5重量%のヘキサンを含有する21.28gの金属カルボニル(Co(CO))を加える。この反応物を室温において5時間、混合する。反応後、反応混合物をフリットに通してろ過し、得られた紫色析出物を採集し、これをヘキサンにより洗浄して真空下で乾燥する。カルボニル化触媒の収率は、112.1gであり、これは、H NMRによって、約96.4%の純度である。
【0114】
図2Bは、比較例として、触媒を形成する別の方法の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルである。これは、d8-THFにおいて分析する。図2において示されている触媒の比較例をなす方法は、1Lの3つ口フラスコに、68.4グラムのTPPH及び220mlの無水トルエンを投入することを含む。熱電対を口の側部に設置し、250mlの滴下漏斗を、フラスコの口の中央の上に置く。滴下漏斗に、85mLのAlEt(25重量%トルエン溶液)を投入する。この反応混合物に、ほぼ30分間をかけて、上記の溶液を滴下して加える。この反応物を室温において合計で3時間、撹拌する。2Lのエルレンマイヤーフラスコの上の600mlの中度フリット付き漏斗で反応混合物をろ過する。(TPP)AlEtを固体として採集し、6×30mlのヘキサンにより洗浄する。(TPP)AlEtを1Lの丸底フラスコに移し、真空下で一晩、乾燥する。60.0gの(TPP)AlEtを2Lのフラスコ中の1120mLのTHFに溶解する。この溶液に、1~5重量%のヘキサンを含有する16.2gのCo(CO)を加える。この反応は、7psiゲージ圧のCO下、室温において16時間、撹拌する。(TPP)AlEtとCo(CO)との間の反応後、反応混合物をフリットに通してろ過する。次に、ろ液を5Lのフラスコに移送する。撹拌しながら、2240mLの無水ヘキサンをろ液に加える。この混合物を24~72時間、静置する。生じた紫色析出物をフリットによってろ過し、新しいヘキサンにより洗浄して、真空下で乾燥する。カルボニル化触媒の収率は、79.2gのカルボニル化触媒であり、これは、1H NMRに基づくと、約93.7%の純度である。THF-d-8中の図2Bの1H-NMRから、生成物は、[(TPP)Al(THF)][Co(CO)]であると確認される。
【0115】
図2Cは、以下の方法によって形成される、実施例10の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルであり、d8-THF中で分析する。1Lの3つ口フラスコに、125.00gのテトラフェニルポルフィリン(TPPH)及び240mLのヘプタンを投入する。撹拌しながら、31.0mLの量のトリエチルアルミニウムをシリンジにより、反応混合物に加える。反応混合物を70℃に加熱し、3時間、混合する。反応混合物に、38.1gのCo(CO)(1~5%ヘキサンにより安定化)の325mLのテトラヒドロフラン中溶液を投入する。この反応物を室温において2時間、混合する。反応後、反応混合物をフリットに通してろ過し、得られた紫色析出物を採集し、これをヘキサンにより洗浄して真空下で乾燥する。カルボニル化触媒の収率は、190.7gであり、これは、1H NMRに基づくと、約96.6%の純度である。THF-d-8中の図2Cの1H-NMRから、生成物は、[(TPP)Al(THF)][Co(CO)]であると確認される。
【0116】
図2Dは、以下の方法によって形成される、実施例11~12の単離したカルボニル化触媒の1H NMRスペクトルであり、d8-THF中で分析する。100mLの丸底フラスコに、4.00gのテトラフェニルポルフィリン(TPPH)及び8mLのヘプタンを投入する。撹拌しながら、0.90mLの塩化ジエチルアルミニウムをシリンジにより、反応混合物に加える。反応混合物を90℃に加熱し、3時間、混合する。反応混合物を50℃まで冷却し、次に、1.26gのNaCo(CO)の10mLのテトラヒドロフラン中溶液を投入する。この反応物を50℃において2時間、混合した。反応後、反応混合物を室温まで冷却し、フリットに通してろ過し、生じた紫色析出物を採集する。この固体をヘキサンにより洗浄し、真空下で乾燥する。カルボニル化触媒の収率は、6.72gであり、これは、1H NMRに基づくと、約95.3%の純度である(0.38gのNaClもまた、析出した固体に残留する。)。THF d-8中の図2Dの1H-NMRから、生成物は、[(TPP)Al(THF)][Co(CO)]であると確認される。
【0117】
図2A及び図2C~2Dと2Bとの比較により、実施例1、10及び11~12は、NMRにより、追加の単離工程を利用する図2Bのカルボニル化触媒と類似の純度を有する。
【0118】
図3は、実施例1~12の、ベータプロピオラクトンを生成するカルボニル化触媒の触媒活性を示すグラフである。
【0119】
実施例1~3、及び10~12は、それぞれ、図2A及び図2C~2Dに関して記載されている方法から作製されたカルボニル化触媒を示す。実施例4~9は、追加の単離工程を利用して、カルボニル化触媒を得る、図2Bに関して記載されている他の方法によって作製されている。図2A及び2C~2Dによって示される通り、実施例1~3及び10~12のカルボニル化触媒は、図2Bのカルボニル化触媒と比較した場合、さらなる精製工程なしに、NMRによって類似の純度プロファイルとなり、図2A及び2C~2Dにおける新規方法によって形成されるカルボニル化触媒の活性プロファイルは、図2Bに関して記載されている標準方法によって作製される実施例4~9のカルボニル化触媒の活性プロファイルに類似している。したがって、実施例1~3及び10~12は、高い純度を有するカルボニル化触媒を生成するためにより少ない工程しか必要としないカルボニル化触媒であって、他の方法と同様のラクトンを形成する触媒活性を有する、カルボニル化触媒であることを示している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップであって、配位子複合体が、1つ以上の環式構造に結合した、ホスフィン、イミン及び/又はヒドロキシル基のうちの1つ以上を含み、
i. 配位子複合体及び炭化水素溶媒を接触させて、第1の混合物を形成するステップ、
ii. 第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ、及び
iii. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、ステップ、及び
b. 第2の混合物から触媒を分離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させるステップが、いかなる中間体も単離又は分離することなく行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)が、単一容器において行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)が、水分、空気及び/又は酸素を含まない環境において行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ(ii.)が、
1. 反応混合物を1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ(ii.)が、
1. 熱を適用しながら、反応混合物を1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ(ii.)が、
1. 熱を適用することなく、反応混合物を5時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ(ii.)が、
1. 熱を適用することなく、5時間以上、又は熱を適用しながら0.25時間以上、第1の混合物を混合するステップ
を含み、
第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
2. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを、1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ(iii.)が、
1. 第1の混合物及び極性溶媒を接触させて、第2の混合物を形成するステップ、
2. 触媒の形成を支援するのに十分な圧力のガスを第2の混合物に吹き付けるステップ、及び
3. 第2の混合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
第2の混合物から触媒を分離するステップ(b.)が、
i. 第2の応混合物から析出物の形態の触媒をろ過するステップ
を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(ii.)の間に、第1の混合物中でメタル化化合物が、0.25:1以上のモル比で配位子複合体と接触される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
c. 触媒を1種以上の炭化水素溶媒により洗浄するステップ
をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
触媒が
金属カルボニルにイオン結合した、90重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及
0重量%以下の量の結合していない配位子複合体を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
触媒が
属カルボニルにイオン結合した、95重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及
重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
触媒が
属カルボニルにイオン結合した、98重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及
重量%以下の量の結合していない配位子複合体
を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
反応混合物、第1の混合物及び/又は第2の混合物が、溶液、スラリー及び/又は懸濁液の形態を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
触媒が、ラクトン、無水コハク酸若しくはそれらの両方を形成する、一酸化炭素及びエポキシドとの触媒活性を有する、又は触媒が、ラクタムを形成する、一酸化炭素及びアジリジンとの触媒活性を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
配位子複合体が1つ以上の芳香族基を含み、配位子複合体が、1つ以上のイミン基及び1つ以上の環式構造を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
配位子複合体が、ポルフィリン配位子、サレン配位子、サルフ配位子、サルシ配位子、ホスファサレン配位子、ホスファサルフ配位子、ホスファササルシ配位子、二置換ビピリジン配位子、二置換フェナントロリン配位子、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アヌレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ジアミノシクロヘキサン誘導体、それらの他の誘導体又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
メタル化化合物が、アルミニウム又はクロムを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
メタル化化合物が、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、塩化クロム(II)、塩化ジエチルアルミニウム又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
メタル化化合物がトリアルキル金属化合物を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
金属カルボニルがコバルトを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
炭化水素溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、任意の他の炭化水素又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
極性溶媒が極性非プロトン性溶媒を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
極性溶媒が、エステル溶媒、ケトン溶媒、アルデヒド溶媒、エーテル溶媒又はそれらの任意の組合せのうちの1種以上を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップであって、配位子複合体が、1つ以上の環式構造に結合した、ホスフィン、イミン及び/又はヒドロキシル基のうちの1つ以上を含み、
i. 配位子複合体及び炭化水素溶媒を接触させて、第1の混合物を形成するステップ、
ii. 第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ、及び
iii. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップ
を含む、ステップ、及び
b. 第2の混合物から触媒を分離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
反応混合物において、配位子複合体、メタル化化合物及び金属カルボニルを接触させるステップが、いかなる中間体も単離又は分離することなく行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)が、単一容器において行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)が、水分、空気及び/又は酸素を含まない環境において行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1の混合物及びメタル化化合物を接触させて、第1の混合物中にメタル化された配位子複合体を形成するステップ(ii.)が、
1. 熱を適用することなく、5時間以上、又は熱を適用しながら0.25時間以上、第1の混合物を混合するステップ
を含み、
第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを接触させて、触媒を形成するステップが、
2. 第2の混合物において、第1の混合物、極性溶媒及び金属カルボニルを、1時間以上、混合するステップ
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第2の混合物から触媒を分離するステップ(b.)が、
i. 第2の応混合物から析出物の形態の触媒をろ過するステップ
を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
a. 触媒を1種以上の炭化水素溶媒により洗浄するステップ
をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
触媒が、
金属カルボニルにイオン結合した、90重量%以上の量のメタル化された配位子複合体、及び
10重量%以下の量の結合していない配位子複合体を含み、
重量%が、触媒の総重量に基づく、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
触媒が、ラクトン、無水コハク酸若しくはそれらの両方を形成する、一酸化炭素及びエポキシドとの触媒活性を有する、又は触媒が、ラクタムを形成する、一酸化炭素及びアジリジンとの触媒活性を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
配位子複合体が、ポルフィリン配位子、サレン配位子、サルフ配位子、サルシ配位子、ホスファサレン配位子、ホスファサルフ配位子、ホスファササルシ配位子、二置換ビピリジン配位子、二置換フェナントロリン配位子、ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アヌレン誘導体、フタロシアニン誘導体、ジアミノシクロヘキサン誘導体、それらの他の誘導体又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
メタル化化合物が、アルミニウム又はクロムを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
メタル化化合物がトリアルキル金属化合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
金属カルボニルがコバルトを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
極性溶媒が極性非プロトン性溶媒を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
配位子複合体が、ポルフィリン配位子、サレン配位子、又はそれらの両方を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】