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特表2024-541411共通の分配ネットワーク上におけるコンシューマ間のフロー均等化を管理するための方法
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  • 特表-共通の分配ネットワーク上におけるコンシューマ間のフロー均等化を管理するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】共通の分配ネットワーク上におけるコンシューマ間のフロー均等化を管理するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20241031BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J13/00 301A
H04L12/28 207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529410
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022050168
(87)【国際公開番号】W WO2023091529
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/527,760
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517077810
【氏名又は名称】アストロニクス アドバンスド エレクトロニック システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファイフィールド ジョン エム.
【テーマコード(参考)】
5G064
5K033
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AB05
5G064AC05
5G064AC09
5G064BA07
5G064CB08
5G064CB13
5G064DA03
5G064DA05
5K033AA05
5K033CB06
5K033DA02
5K033DB16
5K033DB20
5K033EA06
(57)【要約】
フロー均等化方程式の開発により、共通の分配ネットワーク上において接続された3つ以上の同一のコンシューマノード間で、ネットワーク内の総入力フロー容量の量を管理及び限定する方法及びシステムを開示する。この方法、及び、この方法を実装するシステム、の目的は、最大入力フローボリュームを最小化して、それにより、他のコンシューマがフル消費量未満で動作しながら、任意の数のコンシューマデバイスがフル消費量で動作し得るようにする、ことである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の分配ネットワークにおいてフローボリュームを管理する方法であって、
前記分配ネットワーク内に複数のコンシューマノードを設けることであって、各個々のコンシューマノードが、入力フロー検出器、中央処理ユニット、データストレージユニット、及び、フローレギュレータ、を備え、各個々のコンシューマノードが、100%の総消費値を含む、設けることと、
フローファクタのセットに基づいて、管理境界限度(MBL)のセットを計算することであって、前記MBLが、前記コンシューマノードの各々についてのフロー容量の最大値であり、前記フローファクタが、前記総消費値の予め定められた百分率である、計算することと、
前記MBL及び関連するフローファクタを、各個々のコンシューマノードの前記データストレージユニット内へロードすることと、
各個々のコンシューマノードについてのコンシューマフロー値(CFV)を判別するために、前記入力フロー検出器を通じて、各個々のコンシューマノードへの入力フローボリュームを測定することであって、前記CFVが、前記総消費値と、対応する個々のコンシューマノードへの前記入力フローボリュームと、の比率である、測定することと、
前記中央処理ユニットが、フローファクタの前記セットから単一のフローファクタを選択するように、各個々のコンシューマノードの前記中央処理ユニットにおいて、前記CFVを前記MBLと比較することと、
前記中央処理ユニットにより選択された前記単一のフローファクタを、前記フローレギュレータに伝達して、各個々のコンシューマノードによるフロー容量の消費を調整することと、
を含む、方法。
【請求項2】
各コンシューマノードの前記中央処理ユニットが、前記CFVを前記MBLと比較して、i)前記CFVが超過しない最小MBL値を特定する、又は、ii)前記CFVが全てのMBLを超えることを特定して、
i)前記CFVが超過しない前記最小MBL値に対応する前記フローファクタ、又は、
ii)前記CFVが全てのMBLを超える場合、最大MBLに対応する前記フローファクタ、
のいずれかを、前記複数のコンシューマノードの各々の前記中央処理ユニットから、対応するコンシューマノードの前記フローレギュレータに伝達する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
MBL及びフローファクタの前記セットが、前記複数のコンシューマノードの各々について同一である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記複数のコンシューマノードが、前記共通の分配ネットワーク上に直列に整列される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記複数のコンシューマノードが、前記共通の分配ネットワーク上に並列に整列される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記CFVが、前記入力フロー検出器のサンプリングデューティサイクルに応じた頻度で判別される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記分配ネットワークが、流体、電気、及び、データ、のうちの1つ以上を分配する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記MBL及び対応するフローファクタの各々が、約0.05~1の範囲に分布する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記コンシューマノードが、通信でリンクされておらず、前記共通の分配ネットワークの前記フロー容量が、外部コマンド又はマスタコントローラなしで管理される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
共通の分配ネットワークにおいてフローボリュームを管理する方法であって、
前記分配ネットワーク内に複数のコンシューマノードを設けることであって、各個々のコンシューマノードが、入力フロー検出器、中央処理ユニット、データストレージユニット、及び、フローレギュレータ、を備え、前記コンシューマノードが、各個々のコンシューマノードを制御するためのマスタ制御ユニットと接続されておらず、各個々のコンシューマノードが、100%の総消費値を含む、設けることと、
フローファクタのセットに基づいて計算された管理境界限度(MBL)のセットを、各個々のコンシューマノードの前記データストレージユニットにロードすることであって、前記MBLが、前記コンシューマノードの各々に対する上限値であり、前記フローファクタが、前記総消費値の予め定められた百分率である、ロードすることと、
各個々のコンシューマノードが前記共通の分配ネットワークからフロー容量を過剰引出しすることを防止することと、
を含む、方法。
【請求項11】
MBL及びフローファクタの前記セットが、前記コンシューマノードの各々について同一である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記複数のコンシューマノードが、前記共通の分配ネットワーク上に直列に整列される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記複数のコンシューマノードが、前記共通の分配ネットワーク上に並列に整列される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記分配ネットワークが、流体、電気、及び、データ、のうちの1つ以上を分配する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記複数のコンシューマノードの各々が、前記分配ネットワークからの入力と、出力と、を有する、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記コンシューマノードが、通信でリンクされておらず、前記共通の分配ネットワークの前記フロー容量が、外部コマンド又はマスタコントローラなしで管理される、請求項10記載の方法。
【請求項17】
共通の分配ネットワークにおいて最大入力フローボリュームを超えないようにフロー容量を管理するためのシステムであって、
(a)前記分配ネットワーク内の複数の個々のコンシューマノードであって、各個々のコンシューマノードが、
(i)フローファクタのセットと、フローファクタの前記セットから計算された管理境界限度(MBL)のセットと、を包含するデータストレージユニットであって、前記MBLが、前記コンシューマノードの各々に対する上限値であり、前記フローファクタが、100%の総消費値の予め定められた百分率である、データストレージユニットと、
(ii)各個々のコンシューマノード、及び、任意の下流コンシューマノード、の入力フローボリュームを測定して、コンシューマフロー値(CFV)を判別するための入力フロー検出器であって、前記CFVが、総消費値と、対応する個々のコンシューマノードの前記入力フローボリュームと、の比率である、入力フロー検出器と、
(iii)前記CFVを前記MBLのうちの1つ以上と比較して、前記コンシューマノードに対するフローボリューム限度を判別する、ようにプログラミングされた中央処理ユニットと、
を備える、複数の個々のコンシューマノードと、
(b)各個々のコンシューマノードに関連付けられて、各個々のコンシューマノードの消費を調整するためのフローレギュレータであって、前記フローレギュレータが、各個々のコンシューマノードの内部又は外部にある、フローレギュレータと、
(c)媒体の入力フロー源と、
を備える、システム。
【請求項18】
前記フローレギュレータが、前記コンシューマノードの内部にある、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記フローレギュレータが、前記コンシューマノードの外部にある、請求項17記載のシステム。
【請求項20】
前記コンシューマノードが、前記分配ネットワークによってのみリンクされており、通信においてさらにリンクされていない、請求項17記載のシステム。
【請求項21】
前記入力フロー検出器の信号が、各コンシューマノードの外側で通信されず、前記システムが、マスタコントローラを含んでいない、請求項17記載のシステム。
【請求項22】
各コンシューマノードの前記中央処理ユニット及び前記フローレギュレータが、CAN、LIN、及び、RS485、からなる群から選択される通信プロトコルによって通信する、請求項17記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[開示の分野]
本開示の主題は、概して、共通の分配ネットワーク上に接続された、同じ最大消費ボリューム限度又は総消費値を有する3以上のコンシューマ(consumer)メンバー(即ち、「コンシューマ」又は「コンシューマノード」)(本明細書では「同一のコンシューマメンバー」と称する)間で、所定量のフローボリュームを管理する方法に関する。
【0002】
1つの実施形態において、この方法は、航空用途における機内エンターテインメント(IFE)の配電負荷又はUSB負荷に適用される。
【0003】
[開示の背景]
電気システム、通信、又は、流体フローシステムなどの分配ネットワーク内でのフロー均等化管理のための方法及び手法が、産業界で一般的に適用されている。フロー均等化又はフロー最適化のための現在の方法は、コンシューマデバイス間の通信ネットワーク、及び/又は、マスタ管理コントローラからの外部フロー低減コマンド、に依存して、分配ネットワーク内のフローボリュームの管理を容易にしている。通信ネットワーク及び/又はマスタコントローラの追加は、システム全体に対する、重量、並びに、ハードウェア及びソフトウェアの複雑度、の増加を伴う。さらに、コンシューマ間の通信又はマスタコントローラに依拠するこのような方法は、故障を生じやすく、通信回線又は接続の故障といった通信途絶があると、動作不能となり得る。よって、共通の分配ネットワークにおいて媒体が分配されていることを除き、コンシューマ間の全ての相互接続をなくす方法に対し、大きな必要性が存在している。
【0004】
本開示は、ネットワークにおける3以上の同一のコンシューマメンバー間でのフロー均等化を達成するために、ネットワーク内のフローの既存の測定値を使用して所定量のフローボリュームを管理し、それにより、コンシューマメンバー間の通信のいかなる増加も、又は、マスタ管理コントローラからのフロー低減コマンドも、取り除く方法を提示する。この方法は、共通の分配ネットワークにおいて、少なくとも1コンシューマ以外の全てのコンシューマを調整して、それにより、システム内への最大入力フローを、設定された所定値に制限しながら、当該少なくとも1コンシューマが100%のフローボリュームを達成することも可能にする。
【0005】
[概要]
一実施形態において、この開示は、共通の分配ネットワークにおいて最大入力フローボリュームを超えないようにフロー容量を管理する方法であって:共通の分配ネットワークと通信するシステムを設けることであって、システムが、分配ネットワーク内の複数のコンシューマを含み、各個々のコンシューマが、入力フロー検出器、中央処理ユニット、データストレージユニット、及び、フローレギュレータ、を備え、各個々のコンシューマが、100%の総消費値を含む、設けることと;フローファクタのセットに基づいて、管理境界限度(MBL)のセットを計算することであって、MBLが、コンシューマの各々についてのフロー容量の上限値であり、フローファクタが、総消費値の予め定められた百分率である、計算することと;MBL及び関連するフローファクタを、各個々のコンシューマのデータストレージユニット内へロードすることと;入力フロー検出器を通じて、各個々のコンシューマへの入力フローボリュームを測定して、各個々のコンシューマについてのコンシューマフロー値(CFV)を判別することであって、CFVが、総消費値と、対応する個々のコンシューマへの入力フローボリュームと、の比率である、判別することと;中央処理ユニットが、フローファクタのセットから単一のフローファクタを選択するように、各個々のコンシューマの中央処理ユニットにおいて、CFVをMBLと比較することと;中央処理ユニットにより選択された単一のフローファクタを、フローレギュレータに伝達して、各個々のコンシューマによるフロー容量の消費を調整することと;を含む、方法を対象とする。
【0006】
さらなる一実施形態において、各コンシューマの中央処理ユニットは、CFVをMBLと比較して、i)CFVが超過しない最小MBL値を特定する、又は、ii)CFVが全てのMBLを超えていることを特定して、i)CFVが超過しない最小MBLに対応するフローファクタ、又は、ii)CFVが全てのMBLを超える場合、最大MBLに対応するフローファクタ、のいずれかを、複数のコンシューマの各々の中央処理ユニットから、対応するコンシューマのフローレギュレータに伝達する。
【0007】
さらなる実施形態において、MBL及びフローファクタのセットは、コンシューマの各々について同一である。
【0008】
さらなる実施形態において、複数のコンシューマは、共通の分配ネットワーク上に直列に整列される。
【0009】
さらなる実施形態において、複数のコンシューマは、共通の分配ネットワーク上に並列に整列される。
【0010】
さらなる実施形態において、CFVは、入力フロー検出器のサンプリングデューティサイクルに応じた頻度で判別される。
【0011】
さらなる実施形態において、媒体は、流体、電気、及び、データ、からなる群から選択される。
【0012】
さらなる実施形態において、MBL及び対応するフローファクタの各々は、約0.05~1の範囲に分布する。
【0013】
さらなる実施形態において、コンシューマは、通信でリンクされておらず、共通の分配ネットワークのフロー容量は、外部コマンドなしで管理される。
【0014】
一実施形態において、この開示は、共通の分配ネットワークにおいて最大入力フローボリュームを超えないようにフロー容量を管理する方法であって:共通の分配ネットワークと通信するシステムを設けることであって、システムが、分配ネットワーク内に複数のコンシューマを含み、各個々のコンシューマが、入力フロー検出器、中央処理ユニット、データストレージユニット、及び、フローレギュレータ、を備え、システムが、各個々のコンシューマを制御するためのマスタ制御ユニットを含んでおらず、各個々のコンシューマが、100%の総消費値を含む、設けることと;フローファクタのセットに基づいて計算された管理境界限度(MBL)のセットを、各個々のコンシューマのデータストレージユニットにロードすることであって、MBLが、コンシューマの各々に対する上限値であり、フローファクタが、総消費値の予め定められた百分率である、ロードすることと;各個々のコンシューマが共通の分配ネットワークからフロー容量を超過引出しすることを防止することと;を含む、方法を対象とする。
【0015】
さらなる一実施形態において、MBL及びフローファクタのセットは、コンシューマの各々について同一である。
【0016】
さらなる一実施形態において、複数のコンシューマは、共通の分配ネットワーク上に直列に整列される。
【0017】
さらなる一実施形態において、複数のコンシューマは、共通の分配ネットワーク上に並列に整列される。
【0018】
さらなる一実施形態において、媒体は、流体、電気、及び、データ、からなる群から選択される。
【0019】
さらなる一実施形態において、各コンシューマは、分配ネットワークからの入力と、出力と、を有する。
【0020】
さらなる一実施形態において、コンシューマは、通信でリンクされておらず、共通の分配ネットワークのフロー容量は、外部コマンドなしで管理される。
【0021】
一実施形態において、この開示は、共通の分配ネットワークにおいて媒体のフロー容量を管理するためのシステムであって:(a)分配ネットワーク内の複数の個々のコンシューマであって、各個々のコンシューマが:(i)フローファクタのセットと、フローファクタのセットから計算された管理境界限度(MBL)のセットと、を包含するデータストレージユニットであって、MBLが、コンシューマの各々に対する上限値であり、フローファクタが、100%の総消費値の予め定められた百分率である、データストレージユニットと;(ii)各個々のコンシューマ、及び、任意の下流コンシューマ、の入力フローボリュームを測定して、コンシューマフロー値(CFV)を判別するための入力フロー検出器であって、CFVが、総消費値と、対応する個々のコンシューマの入力フローボリュームと、の比率である、入力フロー検出器と;(iii)CFVをMBLのうちの1つ以上と比較して、コンシューマについてのフローボリューム限度を判別する、ようにプログラミングされた中央処理ユニットと、を備える、複数の個々のコンシューマと;(b)各個々のコンシューマに関連付けられて、各個々のコンシューマの消費を調整するためのフローレギュレータであって、フローレギュレータが、各個々のコンシューマの内部又は外部にある、フローレギュレータと;(c)媒体の入力フロー源と;を備える、システムを対象とする。
【0022】
さらなる一実施形態において、フローレギュレータは、コンシューマの内部にある。
【0023】
さらなる一実施形態において、フローレギュレータは、コンシューマの外部にある。
【0024】
さらなる一実施形態において、コンシューマは、通信でリンクされておらず、分配ネットワークは、コンシューマ間における唯一のリンクである。
【0025】
さらなる一実施形態において、入力フロー検出器の信号は、コンシューマの外側で通信されず、システムは、マスタコントローラを含んでいない。
【0026】
さらなる一実施形態において、各コンシューマの中央処理ユニット及びフローレギュレータは、CAN、LIN、及び、RS485、或いは、任意の他の公知の適切な又は等価なプロトコル、からなる群から選択される通信プロトコルによって通信する。
【0027】
一実施形態において、この開示は、共通の分配ネットワークにより相互接続される複数のコンシューマへの媒体の総入力フロー容量を管理する方法であって:コンシューマフロー値を確立するステップと;コンシューマの総数に基づいて複数の管理境界値を設定して、複数の固有のフローファクタを確立するステップと;フローファクタをフローレギュレータに伝達し、それにより、媒体の総出力を調整するステップと:を含む、方法に関する。
【0028】
さらなる一実施形態において、複数のコンシューマは、共通の分配ネットワーク上に直列に整列される。
【0029】
さらなる一実施形態において、コンシューマフロー値は、入力フローボリュームと総消費値との比率であるように設定される。
【0030】
さらなる一実施形態において、管理境界は、総出力の百分率であるように設定される。
【0031】
さらなる一実施形態において、各コンシューマは、同じ最大消費レベルを有する。
【0032】
さらなる一実施形態において、媒体は、流体、電気、及び、データ、からなる群から選択される。
【0033】
さらなる一実施形態において、コンシューマフロー値を確立するステップと;コンシューマの総数に基づいて複数の管理境界値を設定して、複数の固有のフローファクタを確立するステップと;フローファクタをフローレギュレータに伝達し、それにより、媒体の総出力を調整するステップと;の各々は、コンシューマ間の通信なしに、且つ、マスタコントローラなしに、個々のコンシューマにより実施される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】スケールドフロー管理方法のデータフロー図を示す。
図2】並列分配ネットワークに適用されたスケールドフロー管理方法を示す。
図3】直列分配ネットワークに適用されたスケールドフロー管理方法を示す。
図4】スケールドフロー管理方法の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[詳細な説明]
本開示の主題は、概して、分配ネットワーク内への、定義された最大入力フローボリュームを超えないように、各コンシューマメンバーに対するフローボリュームを調整する、スケールド(scaled)フロー管理方法を使用して、フローボリュームを管理する方法に関する。
【0036】
この方法の目的は、予め定められたフロー管理境界限度の設定に基づいて、他のコンシューマがフル消費量未満で動作しながら、任意の数のコンシューマメンバーがフル消費量レベルで動作し得る、ように、最大入力フローボリュームを最小化することである。これにより、分配ネットワーク全体にわたる全てのコンシューマ間のフロー最適化が可能になる。
【0037】
スケールドフロー管理方法は、分配ネットワーク内における同一のコンシューマメンバー間でフロー最適化を効果的に且つ効率的に管理する方程式のセットを含む。
【0038】
フロー最適化方程式又はフロー方程式は、共通の分配ネットワーク内の全てのコンシューマの消費量の合計がネットワーク内への入力容量の総量に等しいという関係を示す、支配的な数学的方程式である。
【0039】
[フロー方程式]
フロー方程式についての一般形は、フロー均等化の研究においてよく知られており、各コンシューマについてのフローボリューム(Bx)の合計が、分配ネットワーク内への総最大フローボリューム(A1)に等しいことに関係する。
【0040】
【数1】
【0041】
スケールドフロー管理方法を記述する目的で、このフロー均等化方程式の代替形は、以下の通りである:
【0042】
【数2】
【0043】
式中、Cは、共通の分配ネットワーク上の最後のコンシューマを表し、共通の分配ネットワークは、スケールドフロー管理方法からのいかなる介入もなく、ボリュームフローを最大100%まで割り当てる。
【0044】
式1からのフロー方程式と共に、他のいくつかの方程式が、スケールドフロー管理方法についての定式化を確立する。これらの方程式は、この方法についての管理境界の数、管理境界限度値のセット、フローファクタのセット、及び、コンシューマフロー値、を判別する計算をおおまかには含むが、これらに限定されない。
【0045】
[管理境界(MB)数の確立]
管理境界は、分配ネットワークにおける総フローの均等化を維持するために、任意の所与のコンシューマメンバーに対するフローボリュームレベルを定義する目的で、共通の分配ネットワークにおけるコンシューマの数に基づいた、予め定められた数のボリューム限度値として定義される。
【0046】
コンシューマメンバーの所与の集合について、分配ネットワーク内における実際的な最小数の境界が確立され、フル電力限度は、当該境界のうちの1つである。
以下の方程式は、最小数の境界を確立する。
【0047】
【数3】
【0048】
式2の項Floor()は、「最大整数関数」と呼ばれる関数であり、括弧内の値以下の最大整数を提供することに留意されたい。例えば、特殊なケースである、n=3の場合、式2は、値1になる。したがって、MBについて計算された値にフル消費量値を加算すると、境界の総数は最小で2になる。
【0049】
別の例について、n=6の場合、式2は、値3になる。このことは、フル消費量値を表す第3の境界に加えて、2つの境界レベルがあることを意味する。
【0050】
[フローファクタ(FlowFact)の確立]
フローファクタは、コンシューマについての消費レベル値(CLV)と総消費値との間の比率であり、通常100%に設定され、各コンシューマメンバーによる、所望の又は義務付けられた消費フローボリュームを維持することを目的とする。
【0051】
消費レベル値(CLV)は、消費出力量のノミナル可制御性レベルに基づく。消費レベル値は、消費出力量の、コンシューマの可制御性に基づく決定論的な値である。フローファクタ値の数は、管理境界の数に基づく。例えば、式2で3つの管理境界が特定される場合、3つのフローファクタが定義される。代替的に、式2で5つの管理境界が特定される場合、5つのフローファクタが定義される。CLV値の選択は、本明細書において記載される方法において実装されるような最大フロー入力限度に、直接的に影響を及ぼす。
フローファクタ値は、以下の方程式に基づく。
【0052】
【数4】
【0053】
例えば、n=6及びMB=3の場合、システムは、3つのフロー設定を必要とする。CLV_1=100%、CLV_2=75%、及び、CLV_3=50%であり、総消費値は100%である。そのため、以下のようになる:
【0054】
【数5】
【0055】
フローファクタは、任意のコンシューマメンバーについての最大フローボリュームを調整するが、ここで、各コンシューマメンバーの所望の消費量は、フローファクタ設定限度未満であり得る。
【0056】
典型的に、フローファクタは、約0.05~1の範囲であり、約5%~100%の消費限度値に対応する。いくつかの実施形態において、フローファクタは、「1」が、フローファクタとして含まれる上限である状態で、定義された範囲の全域にわたって均等に又は不均等に分散されるように選ばれる。いくつかの実施形態において、当該範囲は、約0.05~1、又は約0.1~1、又は約0.15~1、又は約0.2~1、又は約0.25~1、又は約0.3~1、又は約0.35~1、又は約0.4~1、又は約0.45~1、又は約0.5~1、又は約0.55~1、又は約0.6~1、又は約0.65~1、又は約0.7~1、又は約0.75~1、又は約0.8~1、又は約0.85~1、又は約0.9~1、又は約0.95~1、である。いくつかの実施形態において、当該範囲は、約0.25~1である。いくつかの実施形態において、当該範囲は、約0.5~1である。いくつかの実施形態において、当該範囲内に実装される厳密なフローファクタは、最適化に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、当該範囲内に実装される厳密なフローファクタは、当該範囲内においてできるだけ均等に分布するように選択される。さらなる実施形態において、当該範囲内に実装される厳密なフローファクタは、最大フロー値(MFV)を考慮して、さらに最適化される。
【0057】
最大フローボリュームは、式1により支配される。上位2つのFlowFact値は、最大フローボリューム(MFV)を判別する以下の関係の一部である。MFVは、本明細書における方法及びシステムにより必要とされる値ではないが、共通の分配ネットワーク内への適切な総最大フローボリュームを判別するために有用な関係である。MFVは、式4に従って計算され得る:
【0058】
【数6】
【0059】
例えば、n=6及びMB=3の場合、FlowFact1=1.0、及び、FlowFact2=0.75である。そのため、以下のようになる:
【0060】
【数7】
【0061】
[管理境界限度(MBL)の確立]
式2から管理境界(MB)数が与えられると、管理境界限度(MBL)の等価なセットの確立が必要とされる。例えば、式2で3つの管理境界が特定される場合、3つの管理境界限度が定義される。代替的に、式2で5つの管理境界が特定される場合、5つの管理境界限度が定義される。管理境界限度(MBL)は、各メンバーについて、フローボリューム設定間で遷移が起こる消費レベルを確立する値である。
【0062】
MBLを確立するための制約は以下の通りである:
a) n番目のコンシューマは、フル消費量を下回るアクティブなフロー管理を必要としない。
理論的根拠:n番目のコンシューマは、ネットワークの最後のメンバーであり、フローボリュームを最大容量よりも下に制限しない。
b) (n-1)以下のコンシューマは、フローボリュームを予め定められた最小量よりも下に制限しなければならない。
理論的根拠:(n-1)を上回るコンシューマ量が必要とされる場合、各コンシューマすべての消費を管理するには、入力システム容量が小さすぎる。
【0063】
[A)管理境界下限の決定]
式5は式3から導出され、式1の右辺から得られる、全てのコンシューマメンバーについて必要とされる最小フローボリュームを分母に代入することによって、境界下限を判別する。この限度値は、最後のコンシューマが100%のフロー消費に等しい状態において、最低のフローファクタ値(例:FlowFactor3 式3c)の使用に基づく(n-1)コンシューマメンバーの最小フロー量である。
【0064】
管理境界下限は、式2に基づくものであり、以下の条件を暗示する。
1) C(n)は、n番目のコンシューマのフル負荷に等しくなる。
2) 他の全てのコンシューマは、最低フローボリューム設定に設定される。
【0065】
【数8】
これは、以下に単純化される:
【0066】
【数9】
【0067】
式6は、ネットワーク内の任意のデバイスの最大フローボリューム量が、共通の分配ネットワーク上において接続された全てのコンシューマについての最大入力フローボリュームの管理から独立していることを暗示している。
例えば、n=6、MB=3、CLV=50%、及び、FlowFact3(式3c)=0.50の場合、以下となる:
【0068】
【数10】
【0069】
[B)次の限度ファクタの決定]
次の限度は、この関係に従うフローファクタ(例 Flowfactor2:式3b)負荷値の次に大きい値に基づく:
【数11】
これは、以下に単純化される:
【0070】
【数12】
例えば、n=6、MB=3、CLV=50%、及び、FlowFact2=0.75の場合、以下となる:
【0071】
【数13】
【0072】
最後の管理境界限度MBL_1は、数値が1.0になる。このことは、全てのコンシューマからの総フローボリューム消費(需要)が、最大消費ボリューム限度を下回ることを表す。管理境界限度(MBL)データは、外部で生成されて、データセットとして、コンシューマメンバーのデバイス内の制御プロセッサユニット内へホストされる。
【0073】
[コンシューマフロー値(CFV)]
コンシューマフロー値は、総消費値(100%)と、入力フロー検出器からの測定量として提供された入力フローボリューム値と、の比率に基づいており、次の関係に従う:
【0074】
【数14】
【0075】
例えば、1メンバー(コンシューマ)への入力フローが150%であり、コンシューマ出力自体の累積フロー値と、残りの下流コンシューマの寄与と、を表す場合、CFVは以下となる:
【数15】
【0076】
コンシューマフローの計算値は、管理境界限度(MBL)値から提供された値と比較して、新たなフローファクタがコンシューマについて設定されるべきか否かを判断するために使用される。
【0077】
[フローファクタ値の設定]
コンシューマフロー値が管理境界限度のうちの1つを超えると、新たなフローファクタ値がフローボリュームレギュレータに伝達される。コンシューマCFV値が最小であるときには、MBL値、当該CFVよりも大きな最小MBL値についての対応するFlowFact値が、その対応するコンシューマのフローレギュレータに伝達されて、フロー容量の消費を調整する。CFVが最大MBLよりも大きいとき(典型的には、CFVが1よりも大きいとき)には、伝達されるフローファクタが、最大MBLに対応する(典型的には、1というフローファクタは、未調整のフローを表す)。なぜなら、1よりも大きなCFLを有するコンシューマは、受け取っている媒体が、その総消費値未満であり、したがって、調整される必要がないためである。認識できることとして、「CFVが超過しない最小MBL」という語句は、CFVが最大MBLよりも大きな状況を排除することを意図していない-「MBLが超過しない最小MBL」が存在しない場合、最大MBL(典型的には1.0)に関連するフローファクタ(典型的には1.0)が、コンシューマのフローレギュレータに伝達される。
【0078】
例えば、n=6及びMB=3について以下の情報が与えられる:
FlowFact1=1 FlowFact2=0.75 FlowFact3=0.5
MBL_1=1 MBL_2=0.7 MBL_3=0.286
【0079】
例えば、MBL_2値0.7よりも低い値である、CFV0.66の場合、設定されるフローファクタ値は、FlowFact2値に設定され、コンシューマのフローボリュームレギュレータに伝達される。
【0080】
図1を参照すると、スケールドフロー管理方法300は、共通の分配ネットワーク上において接続された、同じ最大消費ボリューム限度又は総消費値を有する3以上のコンシューマメンバー(本明細書では「同一のコンシューマメンバー」と称する)間で、所定量のフローボリュームを管理する。各コンシューマに適用されるような、スケールドフロー管理方法300は、1つの入力測定値である入力フローボリューム測定110を受け取り、フローファクタ値330と称される1つの出力を、コンシューマのフローレギュレータに出力する。
【0081】
図2を参照すると、入力フローボリューム測定110は、毎分ガロン単位の流体流量又はアンペア単位の電流流量といった、フローの定量的測定である。コンシューマ200は、分配ネットワーク105に沿って並列に整列される。分配ネットワークは、流体、電流、データ、又は、任意の他の輸送可能な媒体であり得る媒体を輸送する。各コンシューマ200~203に関連付けられたフロー検出器110~113が存在し、当該フロー検出器110~113は、関連付けられたコンシューマ及び下流コンシューマへのフローを測定する。代替的実施形態において、フロー検出器は、コンシューマパッケージの外部にあり得る。各フロー検出器は、スケールドフロー管理システムと通信120~123を行って、各コンシューマについてのコンシューマフロー値を生成する(図1における310)。
【0082】
図3を参照すると、入力フローボリューム測定110は、毎分ガロン単位の流体流量、アンペア単位若しくはワット単位の電流流量、又は、ビット毎秒単位のデータレート、といった、フローの定性的測定である。コンシューマ500は、分配ネットワーク105に沿って直列に整列される。分配ネットワークは、流体、電流、データ、又は、任意の他の輸送可能な媒体、であり得る媒体を輸送する。各関連付けられたコンシューマ500~503において、内部フロー検出器110が存在しており、内部フロー検出器110は、関連付けられたコンシューマ及び下流コンシューマへのフローを測定する。いくつかの実施形態において、各コンシューマは、各コンシューマ500~503と内部で通信120を行うフロー検出器を有する。代替的実施形態において、フロー検出器は、コンシューマパッケージの外部にあり得る。各フロー検出器は、各スケールドフロー管理システム(300)と通信120を行って、各コンシューマについてのコンシューマフロー値を生成する(図1における310)。
【0083】
図4は、分配ネットワーク105に沿って直列に整列された個々のコンシューマ500についての、スケールドフロー管理を示している。入力フローの測定110が行われ、フローボリューム測定310は、制御プロセッサユニット510内に包含された、スケールドフロー管理システム300に伝達される。入力フローの測定110は、毎分ガロン単位の流体流量又はアンペア単位の電流流量といった、フローの定性的測定である。フローボリューム測定値(即ち、CFV)と、設定されたフローファクタ値に関連するMBLとの比較320が行われ、出力フローファクタ値330が、上述の内容において記載されたような比較に基づいて設定される。フローファクタ設定値の、フローレギュレータ520への信号送信530が行われる。スケールドフロー管理(SFM)データ(301~303)については、外部送信610が行われて、コンシューマメンバーデバイスのデータストレージ305内へホストされる。SFMデータは、フローファクタのセットと、それらの対応するMBLのセットと、を含み得る。
【0084】
計算されたコンシューマフロー値310は、データストレージ305に格納された総消費値と、入力フローボリューム測定110の値と、の数学的比率である。計算されたコンシューマフロー値(CFV)310のサンプリングデューティサイクルは、システムについての全体フロー変化率に依存するであろう。例えば、流体フローのケースにおいては、変化率を数時間で測定することができ、したがって、サンプリング時間を1時間に1回測定することができる。別の例において、電気フローのケースにおいては、変化率が、ミリ秒の、又は、潜在的にそれよりも長い、オーダであることが可能である。代替的実施形態において、CFVのサンプリングデューティサイクルは、約100ms、約500ms、約1s、約5s、約10s、約20s、約30s、約40s、約50s、約1分、約5分、約10分、約30分、約1時間、約10時間、又は、約1日、毎といった、固定された時間間隔に従い得る。認識できることとして、固定された時間間隔のサンプリングデューティサイクルは、媒体フローの変化率に従って選ばれ、媒体に依存し得る。一代替的実施形態において、AC電気フローのケースにおいては、デューティサイクルが、AC周波数の逓倍又は分割に基づくことが可能である。
【0085】
管理境界(MB)301は、データストレージ305に格納されるべきフローファクタ(式3)の値を確立するための、コンシューマの総数に基づく数学的方程式(式2)により記述される。フローファクタ302(式3)は、消費レベル値と、典型的には100%である総消費値と、の比率に基づくm個の数学的方程式である。mという値は、管理境界(式2)の値に基づく。消費レベル値(CLV)は、消費出力量の可制御性に基づく決定論的値である。例示的な一実施形態において、消費出力は、3つのレベルの所定可制御性出力を有し得て、レベルの数は、CLV_1=100%、CLV_2=75%、及び、CLV_3=25%、といったように、管理境界(MB)の値に基づく。
【0086】
管理境界限度(MBL)(式6及び式7)は、m個の数学的方程式であり、各方程式は、データストレージ305に格納されるべきフローファクタ(式3)値に基づく。mという値は、管理境界(MB)の値に基づく。最低の数値的管理境界限度値は、式10における最小の数値的フローファクタ(式3)値に基づき、式中、nは、共通の分配ネットワーク上のコンシューマの数である:
【0087】
【数16】
【0088】
したがって、各固有の管理境界限度(MBL)(式6)は、式3の値からの最低のフローファクタに対応することになる。
【0089】
次に高い管理境界限度(式8)は、式10に挿入されるべき、次に大きな数値的フローファクタ(式3)値に基づくMB-1方程式を超えない数式に対応し、式中、nは、共通の分配ネットワーク上のコンシューマの数である。最高のフローファクタと最低のフローファクタとの間に2つ以上のフローファクタが存在する(即ち、MB≧4の)ケースにおいては、各々が異なるフローファクタ値を使用して、複数個のMBL_(MB-1)値が計算される。
【0090】
【数17】
【0091】
最後の管理境界限度は1.0になる。これは、任意のコンシューマについてのフルフロー消費量を表す。
【0092】
設定されたフローファクタ値320の出力は、データストレージ305における各管理境界限度と、計算されたコンシューマフロー値310と、の間の比較により決定される。設定されたフローファクタ値320の出力は、計算されたコンシューマフロー値310の次に大きな数値である、データストレージ305内の管理境界限度に対応する、固有のフローファクタ(式3)値になる。
【0093】
コンシューマCFV値が最小であるときには、MBL値、CFVよりも大きな最小MBL値についての対応するFlowFact値が、その対応するコンシューマのフローレギュレータに伝達されて、フロー容量の消費を調整する。
【0094】
送信されるフローファクタ330は、それに応じてフローレギュレータ520が応答する、等価なフローファクタ(式3)値である。通信媒体530は、アナログ、デジタル、又は、ワイヤレス、であることが可能である。
【0095】
アンペアの電流測定110の代替例は、ワットの電力測定を伴い、これは、コンシューマ500内からの電圧の追加測定を必要とする。
【0096】
[例示的なシステム用途]
1) 1つの用途において、フローレギュレータ520は、内部USB給電コントローラを表し得る。USBコントローラは、接続された携帯用電子デバイスについての適正な電力設定を取り決めるための多数の電力プロファイル(設定)を包含している。フローファクタ値信号530は、IC(集積回路間プロトコル)、SPI(シリアルペリフェラルインターフェース)、LIN(ローカル相互接続ネットワーク)、又は、等価な媒体等の、通信プロトコルによって送信される。例えば、信号530は、USBコントローラ520に対し、Flow fact330が1.0未満であるときに、より低い電力プロファイルを提供するように指示する。また、フローファクタ330が1.0未満であるときに、USBコントローラ520は、PED(パーソナル電子デバイス)デバイスに対し、より高い電力プロファイルを提供してもよい。
2) 別の用途において、フローレギュレータ520は、外部USB(ユニバーサルシリアルバス)給電コントローラを表し得、これに対し、フローファクタ値信号530は、CAN(コントローラエリアネットワーク)、LIN(ローカル相互接続ネットワーク)、RS485、又は、等価な媒体等の、通信プロトコルによって送信される。
3) 別の用途において、フローレギュレータ520は、2つ以上のポータブル電子デバイスに接続された外部USB給電コントローラを表し得る。
4) 別の用途において、ここでは、複数のコンシューマ、例えば、500~503が、1つ以上の内部レギュレータにフローファクタ値信号530を提供する単一のデバイス内へ組み込まれ得る。
#4は、電気システム又は流体フローシステムに適用され得て、産業界内で一般的に適用されている。
5) 別の用途において、ここでは、複数のコンシューマ、例えば、500~503が、1つ以上の外部レギュレータにフローファクタ値信号530を提供する単一のデバイス内へ組み込まれ得る。
#5は、ネットワークにわたり、複数個のレイヤにカスケードしていることがあり得る。
6) 別の用途において、データストレージ305内のデータ、具体的には、SFMデータの外部入力610からの、式3及び式4から導出された値は、CLV値を最適化するために数学的に操作され得る。このことは、まず、MVF値を設定すること、並びに、新たなFlowFact値及びCLV値について解くこと、により達成されるであろう。
7) 別の用途において、SFM300、具体的には式1~6は、共通の分配ネットワーク上において接続された非同一のコンシューマメンバーについてのCLV値、FlowFact値、及び、LimitFactor値を積算するように、数学的に操作され得る。このことは、式1から総和項「B」を展開して、個々のコンシューマ及びコンシューマ自身のCLV値、FlowFact値、及び、LimitFactor値を表すことにより、達成されるであろう。
8) 別の用途においては、フローレギュレータ520を使用して、通信ネットワーク上の帯域幅を制御する。
9) 別の用途において、単一のコンシューマ500及びそのフローレギュレータ520は、一日の或る特定の時間中にのみフルフロー(一例として充電)を可能にするために、タイマ(スケジューラ)を包含し得る。一例として、オフピーク時間中にのみ、PED又は車両の充電を可能にする。
10) #9に基づいて-コンシューマは、再生可能エネルギネットワーク(マイクログリッド)におけるエネルギ源であり得る。SFM300は、出力エネルギを限定して、伝送ラインの能力を過負荷状態にすることを回避する、ために使用され得る。次いで、フローレギュレータ520は、バッテリ又は水素ストレージといったエネルギストレージデバイスに、余分なエネルギ生産物を分流させるために使用され得る。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通分配ネットワークによって相互接続される複数の消費ノードによるリソースの消費を管理する方法であって、
前記リソースの各量を、前記複数の消費ノードのそれぞれに提供するように構成される前記共通分配ネットワークによって相互接続されるように、前記複数の消費ノードを配置するステップであって、前記消費ノードの少なくとも1つは、それぞれ対応する一つの前記消費ノードに関連付けられた入力フロー検出器と、対応する一つの前記消費ノードで消費可能なリソースの許容量を設定するためのレギュレータと、を有する、前記複数の消費ノードを配置するステップと、
前記共通分配ネットワークに対する複数の管理境界レベルを選択するステップであって、各管理境界レベルは、一つの消費ノードの、対応する前記レギュレータに設定され得る、前記リソースについての、一つの異なる許容割合に対応し、
レギュレータを有する各消費ノードについて、
総消費値と前記入力フロー検出器の指示値との比率としてコンシューマフロー値を計算し、
前記コンシューマフロー値よりも大きい、対応する最小管理境界レベルを判定することによって選択されたリソースの許容割合に、前記レギュレータを設定する、
前記複数の管理境界レベルを選択するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記複数の消費ノードが、前記共通分配ネットワーク上で、前記複数の消費ノードのそれぞれの前記入力フロー検出器に対して、直列に整列されている請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記各消費ノードが、同じ最大消費ボリューム限度を有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記リソースが、流体、電気、又はデータ、及び、それらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される1つを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記各消費ノードは、同じ複数の消費レベルを有するが、前記複数の消費レベルは、前記各消費ノードに対する複数の異なるコンシューマフロー値に対応する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記リソースについての前記異なる許容割合は、特定ノードの消費限界と前記特定ノードが利用可能な前記リソースの利用可能フローボリュームとの比を用いて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
最低管理境界レベルは、式
【数1】
の割合を用いて決定され、上式においてnは、前記共通分配ネットワークにおける前記消費ノードの数であり、フローファクタは、フロー設定値を総消費値で除算して得られる割合であり、最低フローファクタは、リソースの最低許容割合に対応する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記最低管理境界レベルよりも大きい管理境界レベルのそれぞれが、式
【数2】
の割合を用いて決定される請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記管理境界レベルの最小数は、前記共通分配ネットワークにおける前記消費ノードの数に従って決定される請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記コンシューマフロー値は、前記リソースの流量に依存するデューティサイクルに従う頻度で、計算される請求項1記載の方法。
【国際調査報告】