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特表2024-541428化学的起泡剤としてのポリカルボナート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】化学的起泡剤としてのポリカルボナート
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/42 20060101AFI20241031BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20241031BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C08G64/42
C08K5/01
C08L69/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529700
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022050392
(87)【国際公開番号】W WO2023091662
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,893
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】メダゥス,キース
(72)【発明者】
【氏名】コサル,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ムーディ,ギャラト
(72)【発明者】
【氏名】ラジャーズ,ロバート
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CG011
4J002EA006
4J002FD326
4J029AA09
4J029AB07
4J029HC03
4J029KB05
4J029KB06
4J029KD02
4J029KH01
(57)【要約】
ポリカルボナート熱可塑性プラスチックを分解開始剤と組み合わせてポリカルボナートを分解するステップと;二酸化炭素の放出のために120℃から250℃の間の温度にポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび分解開始剤を加熱するステップと;を含む方法において、ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび分解開始剤を、二酸化炭素の放出の結果として発泡する熱活性化材料を形成するために1種または複数の追加の成分と組み合わせる、方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
ポリカルボナート熱可塑性プラスチックを分解開始剤と組み合わせてポリカルボナートを分解するステップと、
二酸化炭素の放出のために前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび前記分解開始剤を120℃から250℃の間の温度に加熱するステップとを含んでおり、
前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび前記分解開始剤を、二酸化炭素の放出の結果として発泡する熱活性化材料を形成するために1種または複数の追加の成分と組み合わせる、方法。
【請求項2】
二酸化炭素の放出の結果として発泡する熱活性化材料を形成するための方法において、
ポリカルボナート熱可塑性プラスチックを分解開始剤と組み合わせてポリカルボナートを分解するステップと、
任意選択的に、前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび前記分解開始剤を1種または複数の追加の成分と組み合わせるステップと、
二酸化炭素の放出のために前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび前記分解開始剤を120℃から200℃の間の温度に加熱するステップと
を含む方法。
【請求項3】
前記分解開始剤が、好ましくは第三級アミン、イミダゾール、アミンアダクト、トリアゾールおよびアンモニウム誘導体から選択されるアミンであるか、またはそれを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分解開始剤がジシアンジアミドであるか、またはそれを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記分解開始剤が、尿素官能基を有する化合物、好ましくは置換尿素であるか、またはそれを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記分解開始剤が、ビスフェノールAエポキシとモノエタノールアミンの反応生成物であるか、またはそれを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記分解開始剤が、金属炭酸塩、ブロックイソシアネート、およびアンモニウム塩、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、トリフリン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、有機親和性のフィロシリケート、金属アセチルアセトナート、チタナート複合体、リン酸エステル金属塩、ルイス酸、または任意のそれらの組み合わせから選択される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックが適切な溶媒中で溶解されて溶解生成物を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が液状エポキシであるか、またはそれを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が固体エポキシであるか、またはそれを含む、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が液状エポキシと固体エポキシの組み合わせであるか、またはそれを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒がポリカルボナートポリオールであるか、またはそれを含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒がポリカプロラクトンポリオールであるか、またはそれを含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、トルエンまたはキシレンを含むがこれらに限定されない有機溶媒であるか、またはそれを含む、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
組成物において、
ポリカルボナート熱可塑性プラスチックと、
ポリカルボナートを分解するための分解開始剤と、
ポリカルボナートが溶解される任意選択の溶媒と、
熱活性化接着剤を形成するための1種または複数の追加の成分とを含んでおり、
前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび前記分解開始剤が、120℃から250℃の間の温度に前記組成物を加熱すると二酸化炭素を放出するように適合させる、組成物。
【請求項16】
加熱すると硬化性かつ起泡性になる接着剤組成物において、
ポリカルボナート熱可塑性プラスチックと、
ポリカルボナート熱可塑性プラスチックを分解するための分解開始剤と、
任意選択的に、ポリカルボナート熱可塑性プラスチックが溶解される溶媒と、
任意選択的に、1種または複数の追加の成分と
を含む、組成物。
【請求項17】
前記分解開始剤が、好ましくは第三級アミン、イミダゾール、アミンアダクト、トリアゾールおよびアンモニウム誘導体から選択されるアミンであるか、またはそれを含む、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
前記分解開始剤がジシアンジアミドであるか、またはそれを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記分解開始剤が、尿素官能基を有する化合物、好ましくは置換尿素である、請求項15から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記分解開始剤が、ビスフェノールAエポキシとモノエタノールアミンの反応生成物であるか、またはそれを含む、請求項15から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記分解開始剤が、アンモニウム塩、ブロックイソシアネート、金属炭酸塩、金属ハロゲン化物、金属水酸化物、トリフリン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、金属アセチルアセトナート、チタナート複合体、リン酸エステル金属塩、ルイス酸、または任意のそれらの組み合わせから選択される、請求項15から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリカルボナートが適切な溶媒中で溶解されて溶解生成物を形成する、請求項15から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記溶媒が液状エポキシであるか、またはそれを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記溶媒が固体エポキシであるか、またはそれを含む、請求項22または請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記溶媒が液状エポキシと固体エポキシの組み合わせであるか、またはそれを含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記溶媒がポリカルボナートポリオールであるか、またはそれを含む、請求項22から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記溶媒がポリカプロラクトンポリオールであるか、またはそれを含む、請求項22から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、トルエン、キシレンまたは任意のそれらの組み合わせを含む有機溶媒であるか、またはそれを含む、請求項22から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
組成物において、
少なくとも10重量%のエポキシ樹脂と、
少なくとも0.5重量%のジシアンジアミドと、
少なくとも0.5重量%の置換尿素と、
約2~15重量%のポリカルボナート熱可塑性プラスチックと
を含む組成物。
【請求項30】
ジシアンジアミド:尿素官能基を有する化合物、好ましくは置換尿素の重量比が、1:0.5~1:1.5の範囲内にある、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび分解開始剤が微小摩砕されている、請求項15から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
好ましくは化学的発泡剤、より好ましくはアゾジカルボンアミドおよびベンゼンスルホニルヒドラジド、なおより好ましくはアゾジカルボンアミドから選択される別の発泡剤をさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
別の発泡剤をさらに含まない、請求項1から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
1種または複数のポリマー粒子をさらに含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
1種または複数のコアシェル材料をさらに含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
1種または複数の可撓性付与剤をさらに含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
1種または複数のフェノキシ樹脂をさらに含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
1種または複数の追加のポリマーまたはコポリマーをさらに含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
1種または複数の硬化剤をさらに含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
1種または複数の硬化剤促進剤をさらに含む、請求項1から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
1種または複数の補強成分をさらに含む、請求項1から40のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温を超えるがポリカルボナートの融点温度未満でポリカルボナートの分解を可能にして化学的起泡剤(chemical blowing agent)としての使用のために炭酸ガスを放出するための他の原料(すなわち、分解活性剤)と組み合わせたポリカルボナートポリマーおよび/またはオリゴマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的起泡剤または化学的発泡剤(chemical foaming agent)は、発泡物品の製造に一般に使用される。熱活性化工程を介して製造される発泡体において、化学的発泡剤は、通常、組成物が配合工程を超える高い温度に曝露されたときに後続の工程で活性化される調合生成物へ配合される。しばしば、発泡剤は、高い温度に曝露されたとき、分解してガスを放出する粒子の形態である。窒素および二酸化炭素は放出される普通の主要なガスであるが、多くの事例において、追加のガスも同様に放出される。物理的発泡剤、例えば揮発性の液体および溶媒を含有するプラスチック微小球体も、しばしば発泡剤として同様に使用される。
【0003】
固体微粒子発泡剤は、工業上有用であるが、発泡剤の特殊な利用によってはいくつかの潜在的な不備がある。不備の中には、装入される調合生成物との相互作用および反応性、保管および出荷を複雑にする、配合前の可燃性、発泡製品に含まれる臭気、および発泡剤への曝露と関係する健康問題(例としてアゾジカルボンアミドにまつわる)がある。
【0004】
化学的発泡剤、例えばアゾジカルボンアミド(商標Celogen(登録商標)AZ)またはベンゼンスルホニルヒドラジド(商標Celogen(登録商標)OT)に伴う1つの帰結は、調合生成物内の他の構成要素とそれらが反応して、熱活性化前に製品の保存安定性を低下させ得ることである。特に製品が、二次的な加工、出荷または保管の間に高い温度に曝露され得るとき、製品の適合性を損なうことがある(すなわち保存寿命低下)。その次の影響は通常、発泡パーセントの低下、および、しばしば、発泡物品が接着特質を有することが期待される場合、基材への接着性の低下である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、熱活性化の結果として発泡するように意図され、調合物へ配合された場合、安定であり、非可燃性で、取り扱って安全であり、望ましくない臭気を生じる分解生成物または副生物を生成しない製品に適切な化学的起泡剤に対する必要性および要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本教示は、本明細書に記載される改良方法によって上記の必要性の1つまたは複数を満たす。
【0007】
第1の態様において、本明細書における教示は、二酸化炭素の放出の結果として発泡する熱活性化材料を形成するための方法において、ポリカルボナート熱可塑性プラスチック(例えば、熱可塑性プラスチックポリカルボナート)を分解開始剤と組み合わせてポリカルボナートを分解するステップと;ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび分解開始剤を、二酸化炭素の放出のために120℃から200℃の間の温度に加熱するステップを含み;ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび分解開始剤は1種または複数の追加の成分と組み合わせる方法を提供する。
【0008】
別の態様において、本明細書における教示は、ポリカルボナート熱可塑性プラスチック、ポリカルボナートを分解するための分解開始剤、ポリカルボナートが溶解される任意選択の溶媒、および熱活性化接着剤を形成するための1種または複数の追加の成分を含む組成物を提供する。ポリカルボナート熱可塑性プラスチックおよび分解開始剤は、120℃から250℃の間の温度に組成物を加熱すると二酸化炭素を放出するように適合させる。
【0009】
分解開始剤はアミンであってもよい。分解開始剤はジシアンジアミドまたはジシアンジアミドであってもよい。分解開始剤は、好ましくは置換尿素であってもよい尿素官能基を有する化合物であってもよい。分解開始剤は、ビスフェノールAエポキシとモノエタノールアミンの反応生成物であってもよい。分解開始剤は金属ハロゲン化物であってもよい。分解開始剤はブロックイソシアネートであってもよい。分解開始剤はアンモニウム塩であってもよい。分解開始剤はリン酸エステル金属塩であってもよい。分解開始剤はステアリン酸金属塩であってもよい。分解開始剤は金属炭酸塩または金属水酸化物であってもよい。分解開始剤は金属アセチルアセトナートであってもよい。分解開始剤はチタナート複合体であってもよい。分解開始剤はトリフリン酸金属塩であってもよい。分解開始剤は有機親和性のフィロシリケートであってもよい。ポリカルボナートは適切な溶媒に溶解されて溶解生成物を形成してもよい。溶媒は、引き続いてポリマー組成物へ反応する能力があってもよい。溶媒は液状エポキシであってもよい。溶媒は固体エポキシであってもよい。溶媒は液状および固体エポキシの組み合わせであってもよい。溶媒はポリカルボナートポリオールであってもよい。溶媒はポリカプロラクトンポリオールであってもよい。溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、トルエンまたはキシレンを含み、これらに限定されない有機溶媒であってもよい。
【0010】
別の態様において、本明細書における教示は、組成物の全重量に対して、少なくとも10重量%のエポキシ樹脂;少なくとも0.5重量%のジシアンジアミド;少なくとも0.5重量%の置換尿素;および約2~10重量%のポリカルボナート熱可塑性プラスチックを含む組成物を提供する。
【0011】
ジシアンジアミドと、尿素官能基、好ましくは置換尿素を有する化合物との重量比は、1:0.5~1:1.5の範囲内にあってもよい。ポリカルボナートおよび分解開始剤は微小摩砕されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】成分の様々な組み合わせにおいてCO発生の量を示すグラフを表示する。
図2A】化学構造、ならびに電子密度および立体障害の相対的なレベルを示す。
図2B】化学構造、ならびに電子密度および立体障害の相対的なレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に提示されている説明および例示は、当業者が本教示、その原理およびその実践的適用に習熟することを意図している。当業者は、本教示を特定の使用の必要条件に最も適切であり得る多くの形態に適合させ適用することができる。したがって、示されている本教示の特定の実施形態は網羅的であろうとする意図もなければ本教示を限定する意図もない。それ故、本教示の範囲は、以上の記述を参照して決定されるのではなく、代わりに付随の特許請求の範囲ならびにそのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲を参照して決定されるべきである。特許出願および特許公開を含むすべての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれる。さらに、以下の特許請求の範囲から収集され得る他の組み合わせが、実施可能であり、そのような組み合わせもまたこれによりこの書面による記述へ参照により組み込まれる。
【0014】
本出願は、2021年11月18日出願の米国特許仮出願第63/280,893号の出願日の恩典を主張する。同仮出願の内容は、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0015】
本明細書における教示の基本は、ある種の追加の原料と組み合わせたとき、ポリマーまたはオリゴマーのポリカルボナート(例えば、ポリカルボナート熱可塑性プラスチック、熱可塑性プラスチックポリカルボナート)が、その標準分解温度(400℃を超える)より十分低い温度でポリカルボナートの分解を開始して発泡剤として機能する二酸化炭素を放出することができることの理解である。低い温度でポリカルボナート分解を刺激するために、少なくとも1種の分解促進剤が利用されてもよい。分解促進剤は、通常、追加の添加剤と組み合わせた1種または複数のポリマーで構成されてもよい配合生成物の一部として利用されてもよい。
【0016】
適切な分解促進剤の例としては、以下に限定されないがアミンおよび窒素含有化合物を含む。アミンおよび窒素含有化合物の例は、第三級アミン、イミダゾール、アミンアダクト、トリアゾール、アミド、尿素およびアンモニウム誘導体を含む。他の適切な分解促進剤の例としては、金属塩化物、ブロックイソシアネート、リン酸エステル金属塩、ステアリン酸金属塩、金属炭酸塩、金属水酸化物、金属アセチルアセトナート、チタナート複合体、トリフリン酸金属塩、有機親和性のフィロシリケート、および他のルイス酸を含む。分解剤の選択および量は、ポリカルボナートの分解温度範囲および二酸化炭素分解生成物の量を決定し得る。
【0017】
ポリカルボナートポリマーの軟化点は通常、分子量に依存して150℃~170℃の範囲にある。他の方法で明確に示されなければ、軟化点は、好ましくはASTM D 1525 Rate B(50 N)に従って求められたVICAT軟化点である。したがって、これらの温度以下で活性化する熱活性化材料にポリカルボナートを組み込む要望がある場合、配合中に配合されたポリマー組成物の硬化を阻止することにより、組み込みを可能にするようにポリカルボナートを希釈することが必要であり得る。1つの非限定的な例として、ポリカルボナートをエポキシド官能性熱活性系に組み込むために、ポリカルボナートは、ビスフェノールA系液状エポキシへ溶媒として溶解されてもよい。ポリカルボナートおよびビスフェノールAの両方が共通のモノマーを有するので、標準的な液状エポキシ樹脂中でポリカルボナートの良好な溶解性がある。反応性官能基を含有するそのような溶媒には、熱活性化の間にポリマーマトリックスへ反応する能力を有するという利点がある。有機芳香族性を含有する他のエポキシドは、同様に適切な溶媒、例えばビスフェノールFエポキシ樹脂として役立つことができる。溶解を遂行するために使用される液状エポキシ樹脂の量に応じて、23℃で粘性液体から融合しない固体の範囲の溶解生成物を生成することは可能であり得る。固体溶解生成物は、ペレット、顆粒または粉末の形をとってもよい。溶解生成物はまた液体の形をとってもよい。他のエポキシ樹脂もまた、溶媒、例えばビスフェノールF液状樹脂またはさらに固体エポキシ樹脂として使用することができる。エポキシ樹脂の組み合わせは、溶解生成物の物理的な状態を最適化するために溶媒として使用することができる。
【0018】
ポリカルボナートポリマーを組み込む別の方法は、ポリカルボナートおよび分解剤を微小摩砕または凍結粉砕する工程を伴う。次いで、結果として得られる粉末は、一緒に混合されて発泡剤を形成してもよい。この発泡剤は、熱活性化材料に添加して発泡能力を与えることができる。この手法にまつわる課題は、ポリカルボナートの耐衝撃性により十分に小さなポリカルボナート粒子を得ることであり得る。
【0019】
上述のように、溶媒としてエポキシを使用するポリカルボナートの溶解物は、エポキシ系の接着剤または発泡体に特定の有用性を有する。しかしながら、非エポキシ系材料の発泡を引き起こすために、同じ溶解生成物を、1種または複数の適切な分解促進剤と組み合わせることができることもまた可能である。同様に、分解剤と組み合わせた微小摩砕ポリカルボナート粉末を、非エポキシド官能性材料を発泡させるのに使用することができる。
【0020】
溶媒としてのエポキシの選択は、特に上述のエポキシ系熱硬化性材料に有用である。しかしながら、エポキシ以外の溶媒もポリカルボナート材料を溶解するために利用されてもよいことが想定される。エポキシ以外の溶媒の例は、ポリカルボナートポリオール(商標Eternacoll PH200D(登録商標))である。ポリカルボナートポリマーは、ポリカルボナートポリオール中で溶解されて溶解生成物を形成してもよい。使用されるポリオールの量に応じて、溶解生成物は、粘性液体または融合しない固体の形をとることができる。あまり好ましくはないが、有機溶媒を使用してポリカルボナートを溶媒和し、その後、蒸発によって除去することもできる。公知の有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、トルエンまたはキシレンを含んでもよい。
【0021】
固体もしくは液体溶解生成物の形態、または微小摩砕からの粉末の形態のポリカルボナートのいずれかが、調合された熱活性化組成物へ配合され、分解剤と組み合わせられる場合、次に、高い温度に曝露されると発泡物品を生じることが可能である。
【0022】
本明細書における教示では、ポリカルボナート分解および付随する二酸化炭素の放出を介して調合された組成物中で化学的起泡剤としてポリカルボナートを有利に利用する。それ自体では、ポリカルボナートは、安定なエンジニアリングポリマーである。しかしながら、他の原料、特に塩基と組み合わせたとき、その場合、分解温度を著しく低下させることができる。重要なことには、熱活性化ポリマー組成物にとってガスの生成に有用である温度範囲にそれを低下させることができる。この温度範囲は通常、発泡接着用途には140℃~250℃の間にある。典型的な自動車の接着用途では140℃~250℃で硬化される。これは、例として自動車産業で鋼鉄または他の金属の腐食防止のため使用される電着塗装(e-コート)を硬化するために存在する温度範囲を含む。
【0023】
上記に言及したように、接着剤調合物中の化学的発泡剤としてのポリカルボナートの使用は、炭酸ガスの放出を伴っている。接着剤が熱硬化性材料である場合、この放出速度は接着剤の硬化反応速度論に合致させることができる。例えば、自動車製作で利用される典型的なエポキシ接着剤は、ジシアンジアミド(例えば、Amicure(登録商標)CG-325G)などの潜在性アミンを用いて硬化されるエポキシ樹脂の組み合わせを含む。それ自体では、ジシアンジアミドは、現在ほとんどの自動車メーカーによって使用されている140℃から250℃の全体温度範囲にわたって、完全にエポキシ樹脂を硬化するほど十分に反応しない。これは一部にはジシアンジアミドの潜在性によることがあるが、しかし、また自動車で接合される必要のある厚い金属部分もある。組成物の十分な硬化を与えるために必要とされる熱エネルギーの移動を妨害し得るという事実にも関連し得る。この理由のため、エポキシマトリックス中のジシアンジアミド溶解性を増加させてそれによってより高速の反応をもたらすことによって、ジシアンジアミド硬化剤の必要な硬化温度を低下させるために、硬化剤活性剤/促進剤がしばしば使用される。
【0024】
硬化剤および硬化剤促進剤の適正な粒径およびタイプを選ぶことが、硬化反応速度論を最適化するのを支援し得ることは可能である。さらに、硬化剤と硬化剤促進剤の適正な組み合わせは、ポリカルボナート分解からの二酸化炭素が十分に接着剤を発泡させることができるように選択されるべきである。硬化薬の選択される組み合わせが材料に分子量を迅速に築く場合、二酸化炭素は、所望の程度に材料を発泡させることができないことがある。他方では、硬化薬の選択される組み合わせがエポキシ樹脂をあまりにも遅く硬化する場合、炭酸ガスは、接着剤から拡散し、所望されるほど発泡せずに、発泡物品の崩壊を招く可能性がある。
【0025】
アミンおよびアミン誘導体は、ポリカルボナートの分解温度を低下させるために特に適していることが見出された。しかし、ポリカルボナートの分解温度を低下させるために選ばれるアミンまたは窒素を含有するアミン誘導体は、接着剤における硬化機構、特に生成物潜在性と負に干渉しないように選択されるべきである。例えば、エタノールアミンはポリカルボナートとして優れた能力のある分解剤であることが見出された。しかしながら、混合されている材料がエポキシド官能基を有する場合、潜在性の熱活性化エポキシ系中でのエタノールアミンの使用は、混合または配合の間に反応すると予想される。この不備に取り組むためには、好適な温度で融解するか、そうでなければエタノールアミンを分解するシェルを用いてカプセル化し、それによりポリカルボナートの分解を促進するためのエタノールアミンを送達することができることが可能である。
【0026】
前述に基づいて、ポリカルボナート分解のために選ばれる基本組成は、混合中に反応することなく、または保存寿命を受け入れがたいほど短縮させることなく、または、他の接着特質、例えば接着性、接着耐久性もしくは機械的性質に負の影響を与えることなく、典型的な熱活性化接着剤にそれを添加することができるような方法で選ばれてもよい。ポリカルボナートの分解温度を低下させるために潜在性エポキシ接着剤で使用することができる特に有用なアミンおよび窒素含有化合物は、ジシアンジアミド、尿素官能基を有する化合物、好ましくは置換尿素化合物、例えば、Huntsman CorporationからのOmicure(登録商標)U52M(芳香族置換尿素、4,4’-m-エチレンビス(フェニルジメチル尿素))、アミンアダクト、例えばAncamine(登録商標)2441(改質ポリアミン)、およびモノエタノールアミンまたは他のモノ第一級またはジ第二級アミンのエポキシドとの反応生成物である。
【0027】
分解促進剤の有効性を試験するために、分解剤の複数の組み合わせがポリカルボナートに添加され、165℃で加熱される。ポリカルボナートおよび活性剤のみが、調合組成物とは対照的に利用される。ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GC-MS)技法が、遊離する二酸化炭素(CO)の量を求めるために使用される(結果は図1参照)。利用されたポリカルボナートはSabicからのLexan(登録商標)101Rである。図1に明らかなように、ポリカルボナートは、分解剤の使用なしで165℃に加熱しても、COは遊離しない。しかし、エタノールアミンがポリカルボナートに添加され加熱された場合、165℃でCO/O含有率は40%より大きい。
【0028】
図1において、CO量は、二酸化炭素またはCOと酸素またはOの比として列挙される。ガスクロマトグラフィー‐質量分析(GC-MS)は標準大気条件下で遂行され、Oレベルが大気条件下で安定であるので、試料サイズまたは注入量の差異が結果に影響を及ぼさないように、CO量を規格化するために使用される。
【0029】
図2は、図1に列挙された分解開始剤のいくつかの化学構造を示す。電子密度が増加し立体障害が低下するにつれて、開始剤は、COを遊離するポリカルボナートの分解温度の低下に効果的になる傾向があると見ることができる。
【0030】
「20-4」とラベル付けされた図1における結果は、完全調合の熱活性化発泡接着剤である。調合物20-4は、ポリカルボナートポリマーを、接着剤中のエポキシ基を重合するために使用されるアミン含有原料と一緒に含有している。20-4調合物が、アゾジカルボンアミドなどの典型的な発泡剤を含有していないので、発泡するとは予想されなかった。したがって、アミン含有化合物は、ポリカルボナートポリマーの分解温度を低下させることができると推定される。さらに、エポキシ樹脂を硬化するために20-4調合物中で使用される2種のアミン含有化合物、DDA 10およびOmicure(登録商標)U-52Mは、COを放出するための有用なポリカルボナート分解剤であったと判断される。Lexan(登録商標)101R+Omicure(登録商標)U-52M+DDA10とラベル付けされた図1における結果は、エポキシ硬化薬であるDDA 10(ジシアンジアミド)およびDDA 10の促進剤であるOmicure(登録商標)U-52M(置換尿素)が、20-4調合物と比較して、ポリカルボナートポリマーの分解から同様の量のCO/Oの放出を引き起こすことを示す。したがって、驚くべきことに、アミンまたは窒素含有化合物は、COを放出するその軟化点より十分に下でポリカルボナートを分解することができるだけでなく、また、エポキシ熱硬化性樹脂と架橋するために通常使用される2種のアミン含有原料は、ポリカルボナート分解剤として特に優れた能力があることを見出したことは、驚くべきことであり有用である。
【0031】
尿素官能基を有する化合物、好ましくは置換尿素およびジシアンジアミドの両方がエポキシ接着剤と架橋するのに有用であり、これらのそれぞれがポリカルボナートを分解してCO放出できることを図1に示したので、CO生成に関連するアミン含有構成要素の濃度の効果を理解するために試験が遂行される。表1は、ポリカルボナートポリマーの分解でCOを放出する、ジシアンジアミドおよび尿素の効果を検討するのを助けるように選択されるモデル調合物を示す。モデル調合物では、反応性水素とエポキシ基の100%の化学量論比を使用する。この場合、化学量論(または化学量論比)は、存在する全エポキシド官能基と反応するために必要とされるエポキシド官能基に対する硬化剤(DDA 50)の比を指す。100%の化学量論が示された場合、十分な硬化剤が100%のエポキシ基と架橋するために存在することを意味する。同様に、80%の化学量論が示される場合、これは、エポキシ基の80%を消費するのに十分な硬化剤がある(エポキシド環の20%が未反応で残るか、またはホモポリマーになる)ことなどを意味する。
【0032】
【表1】
【0033】
表1のモデル調合物に基づいて、試験は、調合物中のジシアンジアミドとエポキシ含有原料との異なる化学量論比を使用して遂行される。次に、モデル調合物に基づく、それらの調合物からのポリカルボナート溶解物(PcD)とジシアンジアミドとの比が、硬化剤の変動する化学量論比を使用して、CO発生について、GC-MSを使用して試験される。ジシアンジアミドのみが、下記表2の分解促進剤として使用される。表3では、ジシアンジアミドおよび尿素の両方が使用された。ポリカルボナートと尿素の比は下記表3で一定に保持された。
【0034】
先に記載されたように、通常、その高い軟化点により調合物へポリカルボナートを配合することができないので、溶解物は、適切な溶媒へポリカルボナートを溶解することにより作られる。この場合、液状エポキシが、後で硬化組成物の一部になる溶媒として使用される。したがって、それは反応性溶媒である。この例で、溶解物は、55重量%のビスフェノールF系エポキシ樹脂に溶解される45重量%のポリカルボナートからなるが、他の比を考慮に入れることができる。140℃~250℃の温度範囲で、ポリカルボナートおよびエポキシ混合物を含有する溶解物はそれ自体では分解してCOを放出しない。しかしながら、分解促進剤、殊に効果的なアミンまたは窒素を含有する塩基の添加によって、COが生じる。生じたCOは、接着剤または封止材を発泡させるのに使用することができる。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
上の表2は、ジシアンジアミド硬化剤の存在下でポリカルボナートポリマーの分解により、COを放出することを示す。モデル調合物で使用される化学量論比には無関係に、CO放出の量は、比較的少なく、分解のため使用される温度および使用される化学量論比に依存して約0.03~0.60の比の範囲である。試験温度を上げると、生じるCOの量は増加する。
【0038】
上記表3は、尿素促進剤と組み合わせた、ジシアンジアミド硬化剤の存在によるCO放出を示す。尿素の添加を用いたCO生成の量は、ジシアンジアミドのみを用いるよりも著しく多い。存在するジシアンジアミドおよび尿素の両方を用いて生じたCOの量は、試験温度および化学量論比に応じて約0.70~3.3の比の範囲である。CO生成の量は試験温度が上がるにつれて増加した。0%とラベル付けされた表2および表3中の列は、ポリカルボナートポリマーを分解するのを支援するアミン含有硬化剤化合物を含まない。アミン含有化合物が存在しない場合、CO生成の量は非常に少なく、ジシアンジアミドと尿素を組み合わせると、ポリカルボナートポリマーの分解開始剤として作用し得ることを示す。表3は、尿素およびジシアンジアミドを一緒に使用すると、ジシアンジアミドのみの使用よりポリカルボナートを分解してCOガスを放出するのにより効果的であることを示す。
【0039】
表4および表5は、L-TE01-35EおよびL-TE01-30Aがポリカルボナート分解促進試剤として使用される場合に遊離するCOを示す。L-TE01-35Eは、エポキシ基が末端となるように過剰のエポキシを用いた、ジエポキシドとモノエタノールアミンの反応から生成されたポリマーである。L-TE01-30Aは、アミン末端となるように過剰アミンを用いた、ジエポキシドとモノエタノールアミンの反応生成物である。これらは通常、構造的結合および補強の能力のある、調合され熱活性化材料に有用になり得る熱可塑性プラスチック組成物である。とりわけ、これらの熱可塑性プラスチック材料は、構造発泡体材料の破壊歪みおよび剥離強度を上げることができる。反応生成物の骨格に沿って第三級アミンがある。これらのアミンは、ポリカルボナートの分解温度を低下させて、それによってCO生成を容易にすると推定される。表4および表5における結果は、各ポリマーについて、ポリカルボナート溶解物から生じたCOがあることを示す。この場合、ポリカルボナート溶解物(PcD)が、55重量%のビスフェノールA(または任意選択的にビスフェノールF)液状エポキシに溶解された45重量%のポリカルボナートポリマーからなることを思い起こすこと。L-TE01-35Eの濃度がPcDに対して増加すると、CO生成の量は、67/33L-TE01-35E/PcDの組成物で最大7.4の比に達する。これは恐らく、TE01-35EとPcDのより高い相対比について、ポリカルボナートのパーセントが、分解するのに十分なポリカルボナートがない点まで減少し、それによって結果として合計のガス生成が低下したという事実による。アミン末端生成物が使用される場合、同様の現象が観察される。L-TE01-30Aの濃度がPcDに対して増加すると、CO生成の量は、67/33L-TE01-35E/PcDの組成で最大6.7の比に達する。しかしながら、L-TE01-35EまたはL-TE01-30Aのいずれかの濃度の有用性の限界が、接着剤調合物において存在し得る。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
表6は、金属塩および複合体に基づく追加のポリカルボナート分解剤、アミン誘導体、ブロックイソシアネートまたはシリケートを示す。表6において示される一成分の熱活性化接着剤として特に有用な2種のポリカルボナート分解剤は、Curezol(登録商標)2MAOKおよびAncamine(登録商標)2441である。これらは保存安定性接着剤を生成することができるエポキシ硬化薬である。Curezol(登録商標)2MAOKがポリカルボナート溶解物(PcD)と混合された場合、約3.4のCO/Oガスの比が、177℃(350°F)で遊離する。Ancamine(登録商標)2441がポリカルボナート溶解物と混合された場合、約2.2のCO/Oガスの比が遊離する。これらは、比較可能な条件下で試験した場合、約0.3を放出するジシアンジアミドに比較して優れている。
【0043】
【表6】

【0044】
本発明のための基本として使用されるポリカルボナートは、300℃および1.2kg重で測定した場合、10g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238に従って測定して)を有するビスフェノールA系ポリカルボナートである。しかしながら、低いかまたは高いメルトインデックスを有するポリカルボナートポリマーもまた使用されてよいことが企図される。上記の実験において使用されるポリカルボナートは、ポリマー製造業者から直接得られる。しかしながら、リサイクルされたポリカルボナートも同様に発泡を与えるCOを生成するために使用することができる。また、他のカルボナートモノマーまたはポリマーを二酸化炭素放出に使用することができることも可能である。炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ポリ(アルキレンカルボナート)および他の有機カルボナートを、発泡のためのCO放出に使用することができる。
【0045】
先に明示したように、ポリカルボナートの高い軟化点または融点により、通常、配合中に調合生成物を活性化せずに、熱活性化生成物中で他の原料とこれを配合することは可能でない。したがって、ポリカルボナートの軟化点を低下させることが必要である。液状エポキシは、ポリカルボナートを溶解するために溶媒として使用されて、それにより溶解生成物を作ることができる。同様に固体エポキシを使用することができるが、それはそれほど効果的でない溶媒であり得る。その次に、この溶解生成物は、発泡熱硬化性接着剤を作るために他の原料と一緒に導入することができる。
【0046】
ビスフェノールFエポキシを使用する場合、溶媒が典型的なビスフェノールAエポキシより低粘度であるので、改善された結果が得られ、それにより、より高速の可溶化および可能性として高い溶質濃度を与える。36.85%のビスフェノールFエポキシ(Kukdo(登録商標)YDF-170)が、Cowlesブレードを使用して、撹拌反応器中で191℃に加熱される。75分の期間にわたって、30.15%のポリカルボナート(Entec(登録商標)P1010L1)が撹拌反応器に添加される。ポリカルボナートをすべて添加した後、さらに1時間ブレンドを混合してポリカルボナートをすべて溶解する。最終的に、33.00%の固体エポキシ(DER 667)は20分の期間にわたって添加される。DER 667が溶解物中で必ずしも利用されるとは限らないので、これは任意選択の工程であったが、しかし、45:55のポリカルボナート:ビスフェノールF液状エポキシ重量比は作業の全体を通して維持された。その次に、その溶解物は、反応器から取り出され、冷却され、サイズが顆粒または粉末へ減少する。固体材料がこれらの実験のために生成されるが、配合を介して組み込むために溶媒および溶質の相対的なパーセントによって規定される好ましい物理的状態に応じて、材料は半固体または液体であってもよい。冷却すると、物理的状態は、溶媒/溶質の相対的な比によって制御される。固体エポキシの添加は、室温または40℃などのわずかに高い温度で凝集しない固体溶解生成物を作る目的で添加されてもよい。
【0047】
次いで、上記の溶解生成物は、熱活性化発泡エポキシ接着剤を発現するために、追加の成分と共に組み込まれる。下記表7は、アゾジカルボンアミドなどの典型的な化学的発泡剤を含み、新しく開発されたポリカルボナート溶液を含み、2種の化学的発泡原料の組み合わせを含む発泡熱硬化性エポキシ接着剤としてのサンプル調合物を示す。
【0048】
【表7】
【0049】
表8は、表7からのそれぞれ調合された材料の基本性質を示す。結果が示すように、唯一の発泡原料としてポリカルボナートを使用して接着剤を調合することは可能である。現在の発泡剤、アゾジカルボンアミドは分子中にアミン基を有する:
【化1】
【0050】
これらのアミン基、特に4個の活性水素(2個の第一級を含む)は、調合されたエポキシ接着剤の潜在性を減少させることができると考えられる。すなわち、調合された材料は、熱活性化前の保存寿命が短縮する。発泡剤としてのポリカルボナートの使用はより潜在性の調合生成物を生成することが可能である。そのような証拠は、以下の表8に示される。23℃で保持された材料の膨張と比較して、高い温度(43℃から54℃)に曝露された材料の体積膨張の保持は、より多いポリカルボナートかつより少ないアゾジカルボンアミドを含有する組成物について、より高度である。43℃および54℃の温度が、暖かい気候での出荷および/または保管中に遭遇し得る代表的な温度として選ばれた。
【0051】
【表8】
【0052】
より多くのアゾジカルボンアミドを含有する材料について体積膨張保持が減少するという事実は、アミン基が接着剤の潜在性を減少させて、保存寿命低下のかなりの起源であるという前提を支持する。アミン基はエポキシを反応させることができ、そうすることで分子量を上げ、それにより接着剤の粘度を増加させて同じ量のガス発生でより少ない膨張を生ずるが、同時に基材への接着を展開する組成物の能力を低下させることが可能である。発泡パーセントの低下効果が通常、高いエージング温度(表8で示されるような54℃)でより明白であることに注意すること。
【0053】
表9~表10は、サンプル調合物、対応する体積膨張および重ね剪断の結果を示す。結果は、硬化温度および時間の範囲で発泡剤としてポリカルボナートを用いて良好な発泡、および重ね剪断強度を得ることが可能であることを示す。接着剤は、120℃もの低い硬化温度でさえ十分に発泡し、良好な重ね剪断性能を有する。
【0054】
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】
表8および10で示される実験結果に関して、試験は以下のように進行する:体積膨張および未硬化/硬化密度は、25 x 100 x 0.75mm(冷圧延鋼材)を測定して金属試料片を利用して測定される。未硬化のサンプルサイズは12.7 x 63.5 x 2.7mmである。硬化スケジュールは163℃(325°F)30分間である。重ね剪断強度(ASTM D1002)は、25 x 100 x 1.5mmの寸法の金属試料片(EG-60コートした)を利用して測定される。未硬化のサンプルサイズは、3mmの結合ラインおよび25mmの重なりを含む25 x 25 x 2.75mmである。硬化スケジュールは30分間163℃(325°F)であり、試験速度は50.8mm(2.00インチ)/分である。T-剥離は、25 x 100 x 0.75mmの寸法の金属試料片(EG-60コートした)を利用して測定される。試料片は、掴み具領域として25mm、材料結合領域として75mmを残して、25mmで90度の角度に曲げる。未硬化のサンプルサイズは、1.5mm(ガラスビーズ)の結合ラインを含む25 x 75 x 1.50mmである。硬化スケジュールは163℃(325°F)30分間であり、試験速度は254mm/分である。引張強度および引張破壊歪み(ASTM D638)が、3mmの硬化サンプル厚さおよびJIS 6301-1ドッグボーンのサンプルサイズ/形状を使用して測定される。硬化スケジュールは163℃(325°F)30分間であり、試験は5.0mm/分で50mmの伸縮計を利用する。ガラス転移温度はASTM D7028-07を利用して測定される。
【0057】
この中で記載された教示は、ポリカルボナート熱可塑性プラスチックが、化学的発泡剤として使用される二酸化炭素を生成する分解剤(殊にアミン)の使用によってその分解温度の前に十分に分解することができることを示している。また、熱活性化材料中で使用される他の原料とそれが容易に配合することができるように軟化点を低下させるために、ポリカルボナートを溶解する溶媒としてエポキシを使用する溶解物の開発が記載される。結局、記載されることは、良好な機械的性能を有し発泡することができる材料を製造するための、エポキシ接着剤調合物中の原料として溶解物内部でのポリカルボナートの使用である。
【0058】
本明細書において記載されるポリカルボナートが様々な調合物に利用されてもよい。そのような調合物はエポキシ系材料を含んでもよく、また、強靭化剤、可撓性付与剤、硬化剤、促進剤、様々な補強成分および他の添加剤を含む追加の成分を含んでもよい。
【0059】
本明細書において記載される調合物が少なくとも1つのタイプのポリマー粒子を含むことは可能である。本明細書での使用に際し、本教示のいずれの他の原料とも同様に「ポリマー粒子」という用語は1つまたは複数のタイプのポリマー粒子を含むことができる。様々なタイプのポリマー粒子を本教示の実践で用いることができ、多くの場合、1種または複数のエラストマーを含む。概して、ポリマー粒子は、調合物の、少なくとも4重量%、より典型的には少なくとも7重量%、さらにより典型的には少なくとも10重量%、なおより典型的には少なくとも13重量%、さらになおより典型的には少なくとも16重量%であるのが好ましく、またポリマー粒子は、調合物の90重量%未満、より典型的には40重量%未満、さらにより典型的には30重量%未満であるのが好ましいが、特定の実施形態ではより多い量またはより少ない量が使用されてもよい。
【0060】
ポリマー粒子は、エポキシ中であらかじめ分散されていてもよい1種または複数のコア/シェルポリマーを含んでもよい。液状エポキシ中にコアシェル材料を形成するためのプロセスは、「乾燥」コアシェルポリマー粒子の場合によくあるコアシェル粒子の凝集(例えば、乾燥プロセス中には凝集が起こり得る)を回避する。このプロセスによって作られる生成物の例は、米国特許第3,984,497号;同第4,096,202号;同第4,034,013号;同第3,944,631号;同第4,306,040号;同第4,495,324号;同第4,304,709号および同第4,536,436号の1つまたは複数に記載されていることがある。ポリマー粒子は乳化重合プロセスによって形成されてもよい。このプロセスは、溶媒を樹脂と共に添加することを含んでもよい。樹脂/溶媒と水の間の不相溶性の結果として、コアシェル粒子が樹脂の中へ動くにつれて水は材料から沈降し、凝集の減少がもたらされる。あるいは、高速分散がコア/シェル材料の脱凝集に効果的であり得る。また一方、コア/シェル材料の噴霧乾燥または凝固後に界面活性剤が残存することもある。この残留界面活性剤は、塩水噴霧および湿気などの水を伴う環境的曝露条件に対する材料の耐性にとって有害となりかねない。環境的曝露条件に曝されない材料なら、典型的には、乾燥材料の十分な脱凝集があることを前提として乾燥コアシェルマスターバッチと液体コアシェルマスターバッチの間に差を示すことはない。
【0061】
有用なコア-シェルグラフトコポリマーの例は、スチレン、アクリロニトリル、またはメタクリル酸メチルなどの硬質含有化合物が、ブタジエンまたはアクリル酸ブチルなどの軟質またはエラストマー性化合物のポリマーから作られたコアへグラフトされたものであってもよい。米国特許第3,985,703号は、有用なコア-シェルポリマーを記載しており、そのコアはアクリル酸ブチルから作られているが、アクリル酸エチルイソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルもしくは他のアクリル酸アルキル、またはそれらの混合物をベースにすることもできる。シェル部分は、メタクリル酸メチルなどのアクリル酸メチル、任意選択的には他のアクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキル、例えばエチル系、ブチル系、またはそれらの混合系のアクリラートまたはメタクリラートから重合されていてもよいが、それは、これらの材料が、フェノキシ樹脂および調合物中に使用されるいずれかのエポキシ樹脂と相溶性があるからである。シェルモノマーの最大40重量パーセントまたはそれ以上がスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどであってもよい。コア-シェルグラフトコポリマーの例としては、以下に限定されないが、ポリブタジエンまたはポリブタジエンコポリマーゴムの存在下にメタクリル酸メチルを重合することによって作られる「MBS」(メタクリラート-ブタジエン-スチレン)ポリマーが挙げられる。
【0062】
有用なコア/シェルポリマーの例としては、以下に限定されないが、Kanekaから市販されている商標Kane Ace(登録商標)で販売されているものが挙げられる。Kane Ace(登録商標)のコア/シェルの特に好ましいグレードは、Arkemaから入手可能な名称MX-257およびM711またはClear Strength(登録商標)E-950で販売されている。コア/シェルポリマーは、調合物の約5重量%~約30重量%であってもよい。
【0063】
調合物は可撓性付与剤を含んでもよい。可撓性付与剤という用語の使用は、単一の可撓性付与剤に関連していることもあれば複数の異なる可撓性付与剤の組み合わせに関連していることもある。他の可撓性付与剤が用いられてもよいが、好ましい可撓性付与剤には、アミン改質、エポキシ改質されたポリマーまたはそれら両方のポリマーが挙げられる。これらのポリマーは、熱可塑性プラスチック、熱硬化性樹脂または熱硬化可能な樹脂(thermosettables)、エラストマー、それらの組み合わせなどを含むことができる。これらのポリマーは、芳香族エポキシまたは非芳香族エポキシで改質されていてもよく、および/またはビスフェノール-F型、ビスフェノール-A型、それらの組み合わせ、または他の型のエポキシで改質されていてもよい。好ましい可撓性付与剤の例は、Akzo Nobelから市販されている商標EPS-350およびEPS-80で販売されているエポキシ化ポリスルフィドである。
【0064】
可撓性付与剤Rez-Cure(登録商標)EP1820(Innovative Resin Systemsから入手可能)などのフェノール含有分子は、利用することのできる1つの可能な材料である。別の好ましい可撓性付与剤の例は、Huntsmanから市販されている商標HYPOX(登録商標)DA 323で販売されているエポキシ-ダイマー酸エラストマーである。他の好ましい可撓性付与剤の例は、GNS Technologiesから市販されている商標GME-3210およびGME-3220で販売されているポリウレタン改質エポキシである。実験結果から、ポリウレタン改質エポキシ可撓性付与剤は、衝撃強度(特に楔衝撃試験によって実証されたように)を改善し、しかも同時にガラス転移温度の低下に対する効果を最小限に抑えることが観察されている。好ましい可撓性付与剤のなおさらなる例は、Huntsmanから市販されているJEFFAMINE(登録商標)D-2000およびDow Chemical Companyから市販されているDER 732などの、アミンまたはエポキシ末端ポリエーテルである。エポキシ化された液状のCardolite(登録商標)NC-514およびCardolite Lite(登録商標)2513 HPなどのカシューナッツシェル液体をベースにした可撓性付与剤も有用な可撓性付与剤である。本明細書に論じられている個々の可撓性付与剤はどれも、別段の明示がない限り、本発明の調合物中に別々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。
【0065】
調合物はフェノキシ樹脂成分を含んでもよい。フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンおよびその誘導体の高分子量熱可塑性縮合生成物である。適切な材料の例は、PKHB、PKHC、PKHH、PKHJ、PKHPのペレットおよび粉末である。あるいは、フェノキシ/ポリエステルハイブリッドおよびエポキシ/フェノキシハイブリッドが使用されてもよい。
【0066】
調合物は、熱可塑性プラスチック、エラストマー、プラストマー、それらの組み合わせなどの、様々な異なるポリマーを含み得る1種または複数の追加のポリマーまたはコポリマーを含んでもよい。例えば、限定するわけではないが、好適に組み込むことができるポリマーは、ハロゲン化ポリマー、ポリカルボナート、ポリケトン、ウレタン、ポリエステル、シラン、スルホン、アリル、オレフィン、スチレン、シリコーン、フェノール樹脂、ゴム、ポリフェニレンオキシド、テレフタラート、アセタート(例えばEVA)、アクリラート、メタクリラート(例えばエチレンアクリル酸メチルポリマー)、またはそれらの混合物を含む。他の可能性のあるポリマー材料は、限定するわけではないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリラート、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリホスファジン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリラートであり得るかまたは含み得る。
【0067】
1種または複数の硬化剤および/または硬化剤促進剤が調合物へ添加されてもよい。硬化剤および硬化剤促進剤の量は、気泡構造の所望のタイプ、調合物の所望の膨張量、所望の膨張速度、調合物の所望の構造特性などに依存して、調合物内で広範に変わり得る。調合物中に存在する硬化剤または硬化剤促進剤の例示的な範囲は、約0.001重量%~約7重量%までの範囲である。
【0068】
調合物はまた1種または複数の補強成分を含んでもよい。好ましくは、補強成分は、調合物に存在する他の成分とは一般に非反応性である材料を含む。補強成分はまた、強度および耐衝撃性などの特性を調合物へ与え得ることが企図される。
【0069】
補強成分の例には、ウォラストナイト、シリカ、珪藻土、ガラス、クレイ(例えばナノクレイを含む)、ガラスビーズまたはガラス球、ガラス、炭素繊維またはセラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、またはポリアミド繊維などが挙げられる。1種または複数の補強成分は、珪藻土、クレイ(例えばナノクレイを含む)、パイロフィライト、サウコナイト、サポナイト、ノントロナイト、ウォラストナイト、またはモンモリロナイトなどの鉱物補強材から選択されてもよい。補強成分はシリカおよび/またはカルシウム鉱物補強材を含んでもよい。補強成分は、ガラス、ガラスビーズまたはガラス球、炭素繊維またはセラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、またはポリアミド繊維(例えばKevlar(登録商標))を含んでもよい。補強成分はウォラストナイトであってもよい。補強成分は約20:1~約3:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は約15:1~約10:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は約12:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は第1の物理的特性を改善すると同時に実質的に第2の物理的特性への何らかの有意な有害効果を回避することが可能である。1つの例として、選択された補強成分は、破壊歪みへの有害効果を最小限にしつつ、材料の全体的な弾性率を改善することができる。材料は、顔料または着色剤、炭酸カルシウム、タルク、ケイ酸塩鉱物、バーミキュライト、雲母などを含む1種または複数の充填材をさらに含んでもよい。
【0070】
調合物中の補強成分は、用いられる場合には、調合物の10重量%以下から90重量%以上の範囲とすることができるが、より典型的には、調合物の約20重量%~約55重量%の範囲である。いくつかの実施形態によれば、調合物は、約0重量%~約30重量%、より好ましくは10重量%にわずかに満たない補強成分を含むことができる。
【0071】
限定するわけではないが、耐UV剤、難燃剤、ポリマー粒子、熱安定剤、着色剤、加工助剤、滑剤などを含む他の添加剤、薬剤または性能改質剤もまた所望により調合物に含めてもよい。
【0072】
本明細書で使用される場合、別段の明示がない限り、教示は、属(リスト)のいずれかの成員が属から除外されることおよび/またはマーカッシュグルーピングのいずれかの成員がグルーピングから除外されることもあり得ると想定している。
【0073】
別段の明示がない限り、本明細書に記載されているいずれの数値も、いずれかの下位値といずれかの上位値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを前提に、下位値から上位値までのすべての値を1単位の増分で含む。一例として、成分の量、性質、またはプロセス変数の値、例えば温度、圧力、時間などが、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると述べられている場合、中間範囲の値(例えば15~85、22~68、43~51、30~32など)は本明細書の教示の範囲内にあることが意図される。同様に、個々の中間値も本教示の範囲内である。1未満の値については、1単位は、それ相応に0.0001、0.001、0.01または0.1であると考えられる。これらは、何が具体的に意図されているかの一例にすぎず、列挙されている最も低い値と最も高い値との間の数値のすべての実施可能な組み合わせが、同様のやり方で、本出願内で明確に示されていると考えられる。見て分かるように、本明細書で「重量部」として表されている量の教示もまた、同じ範囲が重量%の観点で表されることを企図している。したがって、「結果として得られる組成物の少なくとも「x」重量部」という観点での範囲の表現はまた、同じ記載された量「x」について、結果として得られる組成物の重量%での範囲の教示も企図している。
【0074】
別段の明示がない限り、すべての範囲は、両終点および終点間のすべての数を含む。範囲に関連する「約」または「近似的」の使用は範囲の両端へ適用される。したがって、「約20~30」は、少なくとも指定された終点を含めて「約20~約30」をカバーすることを意図している。別段の明示がない限り、数的量と組み合わされた「約」または「近似的」という用語を用いた教示は、記載された量はもとより記載された量の近似値の教示も包含する。例として、「約100」という教示は「100」という教示を包含する。
【0075】
出願特許および公開特許を含むすべての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれる。組み合わせを記述するための「本質的に○○から構成される」という用語は、識別される要素、成分、構成要素または工程、ならびに組み合わせの基本的で新規性のある特性に実質的に影響を及ぼさないそのような他の要素、原料、成分または工程を含むものとする。本明細書での、要素、原料、成分または工程の組み合わせを記述するための「○○を備える」または「○○を含む」という用語の使用は、当該の要素、原料、成分または工程からなるまたは本質的にそれからなる実施形態をも企図している。
【0076】
複数の要素、原料、成分または工程は、単一の一体化された要素、原料、成分または工程によって提供することもできる。あるいは、単一の一体化された要素、原料、成分または工程が、別々の複数の要素、原料、成分または工程へ分割されることもあり得る。要素、原料、成分または工程を記述するための「a」または「one」の開示は、追加の要素、原料、成分または工程を排除することを意図していない。
【0077】
以上の記述は説明を目的とし、限定するものではないことが理解される。当業者には、上記説明が読まれ次第、提供されている実施例の他にも多くの実施形態ならびに多くの適用が明らかとなろう。したがって、本発明の範囲は、上記説明を参照して確定されるべきではなく、代わりに、付随の特許請求の範囲ならびにそのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。出願特許および公開特許を含むすべての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により組み込まれる。付随の特許請求の範囲での、本明細書に開示されている主題のいずれかの態様の省略は、そのような主題の放棄でもなければ、本発明者らがそのような主題を開示されている発明の主題の一部であると認めていないというように解釈されてもならない。
図1
図2A
図2B
【国際調査報告】