(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】水素製造のための方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20241031BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20241031BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C01B3/38
C01B3/56 Z
B01D53/047
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529708
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 IB2022061166
(87)【国際公開番号】W WO2023089571
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アラム,ロドニー ジョン
【テーマコード(参考)】
4D012
4G140
【Fターム(参考)】
4D012CA07
4D012CB11
4D012CE03
4D012CF03
4D012CF04
4D012CF05
4D012CF10
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4D012CH10
4D012CJ05
4D012CK10
4G140EA03
4G140EB12
4G140EB24
4G140EB32
4G140EB37
4G140EB46
(57)【要約】
本開示は、水素製造システムおよび方法ならびにこのようなシステムおよび方法で有用な装置を提供する。水素は、好ましくは、二酸化炭素循環ストリームの存在下で、酸化剤中の燃料の燃焼生成物を含む1つ以上のストリームを用いて加熱されるガス加熱改質器中で炭化水素の水蒸気改質により生成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシ燃料加熱水素製造プロセスであって、
触媒の存在下で、炭化水素と水を改質反応器中で反応させて、合成ガスストリームを形成すること、
少なくとも一部の合成ガスストリームを処理して、実質的に純粋な水素のストリームを分離すること、
主に二酸化炭素を含むストリームを、燃料が酸化剤で燃焼される燃焼器に通すことにより、二酸化炭素および水を含む加熱流体ストリームを形成すること、
少なくとも一部の前記加熱流体ストリームを前記改質反応器に通し、改質反応器にプロセス熱を供給すること、
を含む、オキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項2】
前記合成ガスを形成するのに効果的な反応条件下で、前記炭化水素と水が前記触媒と接触するように、および前記合成ガスが前記改質反応器から合成ガス出口を通って出て行くように、前記炭化水素および前記水を含むストリームを前記改質反応器中に通すことを含む、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項3】
前記改質反応器は、圧力格納容器および前記圧力格納容器内に配置された少なくとも一組の同心円状に配置された管を含み、それぞれの少なくとも一組の同心円状に配置された管は、外側触媒管、内側の反応生成物ガス管、ならびに前記外側触媒管の内側面と、前記内側反応生成物ガス管の外側面との間に画定された空隙内に配置された触媒材料を含む、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項4】
前記圧力格納容器内に配置された少なくとも一組の同心円状に配置された管は、垂直に配置され、それにより、少なくとも一組の同心円状に配置された管の上端は、高温端を画定し、前記改質反応器は、より高い温度で動作し、少なくとも一組の同心円状に配置された管の下端は、低温端を画定し、前記改質反応器は、高温端より低い温度で動作する、請求項3に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項5】
前記改質反応器は、前記外側触媒管と機能的に整列するように配置された上部管板、および内側の反応生成物ガス前記管と機能的に整列するように配置された下部管板を含む、請求項4に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項6】
前記上部管板と前記下部管板との間で画定される空隙の方に開口している第1の入口を通って、前記炭化水素および前記水を含むストリームを前記改質反応器中に通すことを含む、請求項5に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項7】
前記改質反応器は、前記合成ガス出口が前記第1の入口の位置より下にある、前記改質反応器のレベルに置かれるように配置される、請求項6に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項8】
前記改質反応器は、前記合成ガス出口が前記下部管板より下にあるように配置される、請求項5に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項9】
前記下部管板の底部および前記圧力格納容器の底部分は、前記合成ガスストリームのための収集空隙を画定し、これは、前記高温端から前記内側反応生成物ガス管の内孔を通って下向きに進行する、請求項5に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項10】
炭化水素および前記水を含むストリームが、前記触媒材料が配置される空隙を通って前記低温端から前記高温端へ上向きに通過するように、前記炭化水素および前記水を含むストリームを前記改質反応器に通すことを含む、請求項9に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項11】
前記高温端から前記内側の反応生成物ガス管の内孔へ下向き進行する合成ガスストリームは、前記触媒材料が配置される空隙を通って前記低温端から前記高温端へ上向きに通過する炭化水素および水を含むストリームと、熱伝達関係にある、請求項10に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項12】
前記合成ガスストリームは、前記内側の反応生成物ガス管の内孔に入る場合、約600℃~約1000℃の温度である、請求項9に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項13】
前記改質反応器に入る加熱流体は、前記合成ガスストリームが前記内側の反応生成物ガス管の内孔に入る場合、前記合成ガスストリームの温度より、約25℃~約100℃高い温度である、請求項12に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項14】
少なくとも一部の前記加熱流体ストリームを前記改質反応器へ通すことは、少なくとも一部の前記加熱流体ストリームが、前記加熱流体ストリームが少なくとも一組の同心円状に配置された管の高温端に接触し、前記加熱流体が前記改質反応器を出る加熱流体出口の方向に、前記外側触媒管の外表面の周りを下向きに流れるような位置で前記改質反応器の第2の入口に入るように実施できる、請求項3に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項15】
前記外側触媒管の外表面の周りを下向きに流れる加熱流体は、前記圧力格納容器の内表面に取り付けられた一連の調節板により画定される多重パス交差流配置で流れる、請求項14に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項16】
前記外側触媒管の外表面の周りを下向きに流れる加熱流体は、前記外側触媒管と、少なくとも一組の同心円状に配置された管を少なくとも部分的に取り囲む管との間で画定される空隙中を流れる、請求項14に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項17】
前記改質反応器の第2の入口に入る場合、前記加熱流体ストリームは、約300℃~約700℃の温度である、請求項14に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス、
【請求項18】
前記加熱流体出口を通って前記改質反応器を出る加熱流体ストリームは、前記改質反応器に通される炭化水素および前記水を含むストリームの温度より約25℃~約100℃高い温度である、請求項17に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項19】
前記改質反応器は、前記改質反応器に入る前記加熱流体と、前記改質反応器に入る炭化水素および水を含むストリームとの間の最大圧力差下で動作させられ、前記最大圧力差は、10バール未満である、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項20】
合成ガス出口を通って前記改質反応器を出て行く前記合成ガスは、約15バール~約120バールの圧力である、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項21】
前記触媒反応器の動作圧力は、約15バール~約120バールである、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項22】
前記改質反応器に通される炭化水素および水を含むストリームは、前記炭化水素中に存在する炭素に対する蒸気比率が約2.5~約7になるように配合される、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項23】
前記改質反応器を出た後で、前記熱伝達流体は、周囲温度近くまで冷却され、凝縮液体水は、それから分離される、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項24】
前記燃焼器中での燃料の燃焼から生じる二酸化炭素を含むガス混合物を冷却された熱伝達流体から取り出すことをさらに含む、請求項23に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項25】
前記改質反応器を出た後で、前記熱伝達流体は、前記改質反応器に通される炭化水素および前記水を含むストリーム中に存在する水および炭化水素の片方または両方を加熱するために使用される、請求項2に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項26】
前記燃焼器中で使用される酸化剤は、約15モル%~約75モル%の酸素濃度を有するように二酸化炭素で希釈された酸素を含む、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項27】
少なくとも一部の前記合成ガスストリームを処理することは、前記合成ガスストリーム中の少なくとも一部の一酸化炭素を二酸化炭素に転換し、少なくとも水素、二酸化炭素、および排出ガスを含むシフトストリームを出力するのに効果的な条件下で動作する少なくとも1つのシフト反応器の通過を含む、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項28】
水素分離装置中で前記シフトストリームを処理して、実質的に純粋な水素の加圧ストリームおよび少なくとも一部の前記排出ガスを含むストリームを提供することを含む、請求項27に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項29】
前記水素分離装置は、実質的に純粋な水素の加圧ストリームを出力し、少なくとも一部の前記排出ガスを含むストリームの出力に効果的な条件下で動作する水素マルチベッド圧力揺動吸着器(PSA)を含む、請求項28に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項30】
前記PSAは、水素再循環ラインを有するように構成され、前記プロセスは、実質的に純粋な水素の加圧ストリームの一部を前記PSAの入口に戻すことを含む、請求項29に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項31】
前記PSAは入口で、約60モル%~約85モル%の水素濃度の総ストリームを取り込むように、十分な量の実質的に純粋な水素の加圧ストリームを前記PSAの入口に戻す、請求項30に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項32】
前記水素分離装置は、少なくとも一部の前記排出ガスを含む少なくとも一部の前記ストリームを受け、圧縮し、圧縮排出ガスストリームを出力する少なくとも1つのコンプレッサーを更に含む、請求項29に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項33】
前記水素分離装置は、膜ガス分離器を更に含み、前記プロセスは、前記膜ガス分離器中の圧縮排出ガスストリームを、前記圧縮排出ガスストリームを加圧残余排出ガスストリームと、水素濃縮透過ストリームに分離するのに効果的な条件下で前記膜ガス分離器中で前記圧縮排出ガスストリームを処理することを更に含む、請求項32に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項34】
前記圧縮排出ガスストリームに対し向流の前記膜ガス分離器中で、膜の透過側を通って、実質的に純粋な二酸化炭素のストリームを処理することを更に含む、請求項33に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項35】
実質的に純粋な二酸化炭素のストリームは、1000ppm未満の水素を含む、請求項34に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項36】
前記水素濃縮透過ストリームは、前記膜ガス分離器中で処理された圧縮排出ガスストリームからの約70%~約95%の水素を含む、請求項32に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項37】
前記水素濃縮透過ストリームを前記PSAに戻すことを更に含む、請求項33に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項38】
少なくとも一部の前記加圧残余排出ガスストリームを前記燃焼器に通すことを更に含む、請求項33に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項39】
前記オキシ燃料加熱水素製造システムは、ガスタービンを更に含む、請求項29に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項40】
実質的に純粋な水素の加圧ストリームの少なくとも一部を、ガスタービンに通すことを更に含む、請求項39に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項41】
前記前記酸化剤は、前記ガスタービンからの排気ストリームを含む、請求項39に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項42】
前記オキシ燃料加熱水素製造システムは、アンモニア合成装置を更に含む、請求項29に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項43】
実質的に純粋な水素の加圧ストリームの少なくとも一部は、前記アンモニア合成装置に通されるラインを更に含む、請求項42に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項44】
少なくとも一部の前記合成ガスストリームを発電のために膨張させるように、前記改質反応器からの少なくとも一部の前記合成ガスストリームを発電用タービンに通すことを更に含む、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項45】
前記オキシ燃料燃焼器は、外側燃焼器シェルおよび燃焼室を内部的に画定する燃焼器ライナーを含む、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項46】
前記主に二酸化炭素を含むストリームを燃焼器に通すことは、前記主に二酸化炭素を含むストリームの少なくとも一部を燃焼器ライナーに通すことを含む、請求項45に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項47】
前記主に二酸化炭素を含むストリームを前記燃焼器に通すことは、前記主に二酸化炭素を含むストリームの第1の部分を前記燃焼室の反応ゾーンに通すことを含み、および前記主に二酸化炭素を含むストリームの第2の部分を前記燃焼室の希釈ゾーンに通すことを含む、請求項45に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項48】
前記オキシ燃料燃焼器は、イオン輸送膜(ITM)を含む、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項49】
前記ITM燃焼器は、前記ITM燃焼器の燃料側から前記ITM燃焼器の空気側を分離する酸素イオン輸送拡散膜を含む、請求項48に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項50】
前記酸素イオン輸送拡散膜は、前記ITM燃焼器の空気側を通過する空気から、前記ITM燃焼器の燃料側を通過する燃料の燃焼のために、前記ITM燃焼器の燃料側に酸素を抜き出すのに効果的である、請求項49に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項51】
前記主に二酸化炭素を含むストリームは、前記ITM燃焼器の燃料側を通過する、請求項50に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項52】
前記オキシ燃料加熱水素製造システムは、複数のITM燃焼器を含む、請求項48に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【請求項53】
前記改質反応器中で形成された合成ガスストリームは、冷却されると同時に、排熱ボイラーに熱を供給して、前記排熱ボイラー中で蒸気を形成し、1つ以上の一酸化炭素シフト反応器に通され、粗製水素生成物ストリームを形成し、周囲温度近くまで冷却されると同時に、それからの凝縮液体水を分離し、実質的に純粋な加圧水素生成物ストリームと、排出ガスストリームとに分離させ、前記排出ガスストリームは、前記改質反応器中で水と反応させられた炭化水素由来のほぼ全ての二酸化炭素を含み、前記排出ガスストリームは、前記燃焼器への供給物として必要な圧力である、請求項1に記載のオキシ燃料加熱水素製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野
本開示は、水素の製造手段を提供する。より具体的には、本開示は、水素製造における使用のために構成されている装置およびその装置を組み込むことができる水素製造のための方法を提供する。装置および方法は、水素を製造するために炭化水素改質に利用され得る。装置および方法はまた、水素の製造におけるオキシ燃料燃焼のために組み込むことができる。
【背景技術】
【0002】
エネルギー生成のための水素燃焼は、水のみを放出し、二酸化炭素の生成を回避する。二酸化炭素は、エネルギー生成のために炭化水素燃料が燃焼される場合に生ずる。水素は、その広く行き渡っている(および風力および太陽光システムからの再生可能エネルギー生成により補完される)炭化水素燃料を置換する用途は、人間活動に起因する二酸化炭素の、低乃至ゼロ排出を達成し、それにより、気候変動に対処するのを支援する最良のルートであるので、将来の燃料として見なされてきた。水素は、炭化水素燃料の代用品として使用できる。特に、水素は、家庭用、商業用、および産業用の加熱のための燃料を供給するパイプライン供給網で、天然ガスを置き換え得る。
【0003】
水素は、道路およびレールの両方用の全てのタイプの乗り物のための燃料電池として使用される場合に完全な燃料と見なされてきた。電池駆動自動車は、電気自動車が地球規模での二酸化炭素排出量を低減するのに効果的であるためには、必要に応じて利用可能な極めて大量の動力(即ち、電気)の炭素不含源由来燃料を供給する必要がある。この目的のために、水素は、既存および新規両方のガスタービンコンバインドサイクル発電プラントで天然ガスを置換できる。窒素および/または蒸気で希釈した水素は、既存のガスタービンの燃料として主要製造業者により実証されてきた。従って、発電のための水素の実現は、新規発電システムに対する大きな追加の装置投資なしに、または発電効率の大きな低下をもたらす既存のシステムに対する二酸化炭素捕捉のための高価な設備の改装をすることなく、発電からの二酸化炭素の取り出しを早急に実施するための鍵になると期待されている。水素エネルギー経済の実現の鍵は、極めて高い熱効率を有する汎用プロセスを考案することである。熱効率は、水素製品の低位発熱量(LHV)を、水素生成に使用される炭化水素供給物のLHVで除算した比率として定義される。これは、隔離のための、水素生成プロセスでの低資本コストの、二酸化炭素のほぼ100%の捕捉の同時達成と一緒でなければならない。このプロセスはまた、技術的リスクの低い、非常に大きな製造能力の装置の構築に適切でなければならない。
【0004】
水素は、加圧型電気分解プラント中で水の電気分解により製造できるが、電力消費は極めて高く、電源は、環境的優位性を確保するために炭素不含でなければならない。電気分解の副産物として形成される追加の酸素はまた、効果的に利用される必要がある。電気分解の使用は、再生可能な資源からの過剰発電を処理することに制限される可能性がある。天然ガスおよび軽質炭化水素液体燃料からの水素製造は、蒸気または酸素との間の反応またはこれらの2つのプロセスの組み合わせを利用する。本明細書では、説明の単純化のために、メタン(CH4)を試料炭化水素として使用するが、他の炭化水素も必要に応じて交換し得る。最も広く使用されているプロセスは、蒸気天然ガス触媒改質である。起こる反応は、下記の式1および2で示される。
CH4+H2O=CO+3H2 式1
CO+H2O=CO2+H2(即ち、「シフト」反応) 式2
【0005】
触媒蒸気メタン改質(SMR)反応は、高度に吸熱性で、49.201Kcal/gモルの反応熱である。熱は、メタンと排出燃料ガスを大気圧近くで動作する放射炉中で燃焼させることにより供給される。放射炉は、触媒を満たした厚肉管アレイを加熱し、約30バール~35バールの圧力で動作する。最大許容可能な動作圧力は、約35バールである。典型的には、反応は、蒸気過剰で実施され、蒸気の天然ガスに対するモル比は、約3~約4の範囲である。メタンと蒸気の混合物は、約400℃~約600℃で触媒反応器中に入り、反応器排出温度は通常、約800℃~約900℃の範囲である。一酸化炭素および水素の反応生成物(即ち、「合成ガス(synthesis gas)」または「合成ガス(syngas)」)はその後、冷却され、1つ以上のシフト反応器に通され、そこで、一酸化炭素は、触媒の存在下で、式2に従って水と反応して更に水素を生成し、一酸化炭素を二酸化炭素に転換する。
【0006】
吸熱反応に必要な熱を供給するために、厚肉管は通常、列間の間隙中に配置され、触媒反応器の屋根部に取り付けたバーナーからの厚肉管の列間の隙間で下方に向けた火炎からの放射熱により加熱されるこれらの火炎は、空気とメタン(または他の炭化水素)の燃焼により生成され、得られた二酸化炭素および水蒸気は、空気由来の窒素と一緒に大気中に排出される触媒反応器の上端(入口)の近傍の燃焼ガスは通常、約1800℃~約2500℃度の温度であり、燃焼ガスは、約1000℃~約1100℃の温度で触媒反応器を出る。
【0007】
厚肉の触媒充填管の外側の圧力は通常、周囲圧よりわずかに低いだけであり、これが、管内の最大圧力が通常、約1050℃の典型的最大管表面温度で約35バールを越えない理由を説明する。約35:1の最大圧力比率は通常、信頼性の高い動作および長い管寿命のために適切であると見なされる。厚肉管は、HK40などの高ニッケル合金から遠心鋳造できる。
【0008】
炭化水素供給物から合成ガスの産生の代替プロセスは、下式3に示す反応に従って、純粋な酸素を用いた天然ガスの部分酸化(POX)であり、これは、式2のシフト反応に続けることができる。
CH4+0.5O2=CO+2H2 式3
【0009】
部分酸化反応は、わずかに発熱で、8.527Kcal/gモルであるが、反応器は、反応器中での合理的な滞在時間で炭化水素供給物の最大転化率が起こるように、約1300℃~約1400℃の排出温度で動作させる必要がある。動作圧力は、反応器設計により制御され、約100バールの高さであり得る。
【0010】
オートサーマル改質器(ATR)はまた、合成ガスの製造に利用され、これは、過剰メタンと添加蒸気で動作するPOXバーナーを備えることができ、高温排気ガスが蒸気/メタン改質触媒のベッドを通過し、そこで、式1の反応に従って更なる水素生成が起こり、生成物合成ガス(水素および一酸化炭素)は、約1050℃の温度で製造される。これらのプロセスからの高温合成ガス生成物は、蒸気発生器中で冷却され、この蒸気発生器は、反応に必要な蒸気を生成するが、それらは全て、極めて大量の過剰熱を生成し、これは、過剰蒸気発生または発電電力の形態で排出されなければならない。
【0011】
水素製造プロセスの極めて高い高温から利用可能なこの過剰の熱を利用するために、第1の段階のPOXまたはATRが、蒸気/炭化水素触媒改質器と直列または並列配置で動作させられる2段階プロセス-即ち、ガス加熱改質器(GHR)が考案された。これは、両方の段階からの高温合成ガス生成物により加熱され、それにより、蒸気発生器に入る生成物出口合成ガスストリームの温度は約600℃に下げられ、生成された蒸気の量は、合成ガス生成のためのプロセス要件に丁度足りる量である。単一段階POXまたはATRに比べて、一定の量のメタンから約25%~30%の追加の水素が生成される。
【0012】
蒸気発生器を出る高温合成ガスからの純粋な水素の製造は、ボイラー給水およびメタン予熱に使用される熱放出による合成ガスの冷却に加えて、1つ以上のシフト反応器での一酸化炭素の水素への転換が必要である。粗製水素ストリームは、マルチベッド圧力揺動吸着器(PSA)で処理され、これは、実質的に純粋な加圧型水素生成物および低圧排出ガスストリームを生成する。粗製水素流中に存在する二酸化炭素は、MDEAなどの化学溶媒、Selexol(商標)などの物理的溶媒を用いた二酸化炭素除去を含む種々の異なる方法で処理することによりPSA供給物またはPSA廃棄ガス流から除去できる。米国特許第8,900,355号に記載のシステムは、二酸化炭素の分圧が最小化される二酸化炭素凝固点に近い温度での凝結により二酸化炭素を分離する。非凝結ガスは、その後、合成ガス生成システムに再循環できる。記載したそれぞれの方法は、メタン供給ガス中の炭素由来の二酸化炭素の、少なくとも90%、および好ましくはほぼ100%の二酸化炭素の取り出しをもたらすことができる。現在利用可能な、ほぼ100%の二酸化炭素捕捉率を有する水素生成に最も効率的なプロセスは、POX+GHRおよびATR+GHRであり、総メタン供給物由来の全ての二酸化炭素は、シフト反応器および冷却機後の加圧粗製水素ストリーム中に存在する。
【0013】
蒸気/メタン触媒水素システム(SMR)は、メタンを水により触媒的に酸化し、水素生成物および二酸化炭素副産物を形成し、それにより、追加の酸素が必要ないという優位性を有する。現在のSMRシステムの欠点は、化学的および/または物理的方法を用いて、シフト合成ガスから二酸化炭素を取り出す必要があり、その後、PSAガスを燃料として使用できるということである。あるいは、多量のメタンおよび全二酸化炭素生成物を含む全てのPSA排出ガスを改質器炉で燃料ガスとして使用して、極めて大きな反応熱および反応生成物に対する予備加熱を提供し得るが、これは、約12%の濃度の大気圧に近い煙道ガスから二酸化炭素を取り出さなければならないことを意味する。大気圧に近い大量の二酸化炭素の取り出しは、非常にコストがかかり、また、全体プロセス効率を下げる。炉は、放射熱移動システムとして作用するので、流出燃焼ガスは、典型的には、約1000℃~約1100℃の範囲の温度であり、これは、触媒へのメタンおよび給水を予備加熱し、多量の中圧の副産物蒸気を生成する大きな熱回収熱交換装置を必要とする。
【発明の概要】
【0014】
本開示は、水素製造方法、水素製造に有用な個別のいくつかの機器または装置、および水素製造用に構成されたシステム、装置、またはプラントを一緒に定義できるいくつかの機器または装置の組み合わせに関する。本開示の水素製造は、製造した水素が、システム構成要素およびシステム操作手順の適切な組み合わせを通して、高められた生成物の純度および高められたプロセス効率で分離できるように、実施できる。水素製造は、プロセス熱を提供するのみでなく、排出ガス中に残っている燃焼の潜在的熱を利用するためのプロセスを通して、排出ガスを処理して戻すために統合された特徴も同様に提供するオキシ燃料加熱の使用を通して高められた効率を更に示すことができる。オキシ燃料加熱は、二酸化炭素および蒸気燃焼生成物のみを実質的に生成し、これは、別の二酸化炭素取り出しシステムの必要なしに、凝縮水の分離後の隔離のための加圧二酸化炭素の分離を可能にする。水素製造はまた、二酸化炭素取り出しおよび隔離のための送達用配置または他の使用を単純化する高められた圧力で副産物二酸化炭素を捕捉できるように、相対的に高い動作圧力を可能にすることにより、プロセス効率も改善できる。水素製造は、特に、装置/システム/プラントの選択された構成部分の利用により、プロセス効率の改善および材料コストの低減を更に示す。これには、例えば、新規および有用なガス加熱改質(GHR)反応器設計および/または空気からの酸素分離による燃焼熱の直接生成のためのイオン輸送膜(ITM)技術を挙げることができる。本開示は、従って、水素発電効率を高め、設備投資(CAPEX)を減らし、設計の複雑さを減らし、ほぼ100%の炭素捕捉を維持するクリーン水素技術を提供する。
【0015】
1つ以上の実施形態では、本開示は、オキシ燃料加熱水素製造プロセスを提供できる。例示的実施形態では、オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、触媒の存在下で、改質反応器中で炭化水素を水と反応させて、合成ガスストリームを形成すること、少なくとも一部の合成ガスストリームを処理して、実質的に純粋な水素のストリームを分離すること、主に二酸化炭素を含むストリームを燃焼器に通すことにより、二酸化炭素および水を含む加熱流体ストリームを形成すること、および少なくとも一部の加熱流体ストリームを改質反応器に通し、改質反応器にプロセス熱を提供すること、を含むことができる。
【0016】
さらなる実施形態では、オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、次の記載のいずれか1つ以上に対して更に定義できる。これらの次の記載は、任意の数および順に組み合わせできることが意図され、これらの記載の明示的リストは、本明細書で提供される全開示を考慮して読取られるように、それぞれの可能な組み合わせは次の記載を考慮すると特定可能であると理解されている。
【0017】
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、合成ガスを形成するのに効果的な反応条件下で、炭化水素と水が触媒と接触するように、および合成ガスが改質反応器から合成ガス出口を通って出て行くように、炭化水素および水を含むストリームを改質反応器中に通すことを含むことができる。
【0018】
改質反応器は、圧力格納容器および圧力格納容器内に配置された少なくとも一組の同心円状に配置された管を含むことができ、それぞれの少なくとも一組の同心円状に配置された管は、外側触媒管、内側の反応生成物ガス管、ならびに外側触媒管の内側面と、内側反応生成物ガス管の外側面との間に画定された空隙内に配置された触媒材料を含む。
【0019】
圧力格納容器内に配置された少なくとも一組の同心円状に配置された管は、垂直に配置でき、それにより、少なくとも一組の同心円状に配置された管の上端は、高温端を画定し、改質反応器は、より高い温度で動作し、少なくとも一組の同心円状に配置された管の下端は、低温端を画定し、改質反応器は、高温端より低い温度で動作する。
【0020】
更に、改質反応器は、外側触媒管と機能的に整列するように配置された上部管板、および内側の反応生成物ガス管と機能的に整列するように配置された下部管板を含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、上部管板と下部管板との間で画定される空隙の方に開口している第1の入口を通って、炭化水素および水を含むストリームを改質反応器中に通すことを含むことができる。
改質反応器は、合成ガス出口が第1の入口の位置より下にある改質反応器のレベルに置かれるように配置できる。
改質反応器は、合成ガス出口が下部管板より下に置かれるように、配置できる。
【0021】
下部管板の底部および圧力格納容器の底部分は、合成ガスストリームのための収集空隙を画定でき、これは、高温端から内側の反応生成物ガス管の内孔を通って下向きに進行する。
【0022】
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、炭化水素および水を含むストリームが触媒材料が配置される空隙を通って低温端から高温端へ上向きに通過するように、炭化水素および水を含むストリームを改質反応器に通すことを含むことができる。
【0023】
高温端から内側の反応生成物ガス管の内孔へ下向き進行する合成ガスストリームは、触媒材料が配置される空隙を通って低温端から高温端へ上向きに通過する炭化水素および水を含むストリームと、熱伝達関係にあることができる。
【0024】
合成ガスストリームは、内側の反応生成物ガス管の内孔に入る場合、約600℃~約1000℃の温度であり得る。
改質反応器に入る加熱流体は、合成ガスストリームが内側の反応生成物ガス管の内孔に入る場合、合成ガスストリームの温度より、約25℃~約100℃高い温度であり得る。
【0025】
少なくとも一部の加熱流体ストリームの改質反応器への通過は、少なくとも一部の加熱流体ストリームが、加熱流体ストリームが少なくとも一組の同心円状に配置された管の高温端に接触し、加熱流体が改質反応器を出る加熱流体出口の方向に、外側触媒管の外表面の周りを下向きに流れるような位置で改質反応器の第2の入口に入るように実施できる。
【0026】
外側触媒管の外表面の周りの下向きに多重パス交差流配置で流れ加熱流体は、圧力格納容器の内表面に取り付けられた一連の調節板により画定され得る。
外側触媒管の外表面の周りを下向きに流れる加熱流体は、外側触媒管と、少なくとも一組の同心円状に配置された管を少なくとも部分的に取り囲む管との間で画定される空隙中を流れることができる。
改質反応器の第2の入口に入る場合、加熱流体ストリームは、約300℃~約700℃の温度であり得る。
加熱流体出口を通って改質反応器を出る加熱流体ストリームは、改質反応器に通される炭化水素および水を含むストリームの温度より約25℃~約100℃高い温度であり得る。
【0027】
改質反応器は、改質反応器に入る加熱流体と、改質反応器に入る炭化水素および水を含むストリームとの間の最大圧力差下で動作させることができ、最大圧力差は、10バール未満である。
合成ガス出口を通って改質反応器を出て行く合成ガスは、約15バール~約120バールの圧力であり得る。
触媒反応器の動作圧力は、約15バール~約120バールであり得る。
【0028】
改質反応器に通される炭化水素と水を含むストリームは、炭化水素中に存在する炭素に対する蒸気比率が約2.5~約7になるように配合できる。
【0029】
改質反応器を出た後で、熱伝達流体は、周囲温度近くまで冷却でき、凝縮液体水は、それから分離される。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、燃焼器中での燃料の燃焼から生じる二酸化炭素を含むガス混合物を冷却された熱伝達流体から取り出すことを含むことができる。
改質反応器を出た後で、熱伝達流体は、改質反応器を通された炭化水素および水を含むストリーム中に存在する水および炭化水素の片方または両方を加熱できる。
燃焼器中で使用される酸化剤は、約15モル%~約75モル%の酸素濃度を有するように二酸化炭素で希釈された酸素を含むことができる。
少なくとも一部の合成ガスストリームを処理することは、合成ガスストリーム中の少なくとも一部の一酸化炭素を二酸化炭素に転換し、少なくとも水素、二酸化炭素、および排出ガスを含むシフトストリームを出力するのに効果的な条件下で動作する少なくとも1つのシフト反応器の通過を含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、水素分離装置中でシフトストリームを処理して、実質的に純粋な水素の加圧ストリームおよび少なくとも一部の排出ガスを含むストリームを提供することを含む。
【0030】
水素分離装置は、実質的に純粋な水素の加圧ストリームを出力し、少なくとも一部の排出ガスを含むストリームを出力するのに効果的な条件下で動作する水素マルチベッド圧力揺動吸着器(PSA)を含むことができる。
PSAは、水素再循環ラインを有するように構成でき、そこで、プロセスは、実質的に純粋な水素の加圧ストリームの一部をPSAの入口に戻すことを含む。
PSAは入口で、約60モル%~約85モル%の水素濃度の総ストリームを取り込むように、十分な量の実質的に純粋な水素の加圧ストリームをPSAの入口に戻すことができる。
水素分離装置は、少なくとも一部の排出ガスを含む少なくとも一部のストリームを受け、圧縮し、圧縮排出ガスストリームを出力する少なくとも1つのコンプレッサーを含むことができる。
水素分離装置は、膜ガス分離器を更に含むことができ、プロセスは、膜ガス分離器中の圧縮排出ガスストリームを圧縮排出ガスストリームを加圧残余排出ガスストリームと水素濃縮透過ストリームに分離するのに効果的な条件下で膜ガス分離器中で圧縮排出ガスストリームを処理することを更に含む。
【0031】
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、圧縮排出ガスストリームに対し向流の膜ガス分離器中で、膜の透過側を通って、実質的に純粋な二酸化炭素のストリームを処理することを含むことができる。
実質的に純粋な二酸化炭素のストリームは、1000ppm未満の水素を含むことができる。
水素濃縮透過ストリームは、膜ガス分離器中で処理された圧縮排出ガスストリームからの約70%~約95%の水素を含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、水素濃縮透過ストリームをPSAに戻すことを含むことができる。
【0032】
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、少なくとも一部の加圧残余排出ガスストリームを燃焼器に通すことを含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造システムは更に、ガスタービンを含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、実質的に純粋な水素の加圧ストリームの少なくとも一部をガスタービンに通すことを含むことができる。
酸化剤は、ガスタービンからの排気ストリームを含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造システムは更に、アンモニア合成装置を含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、少なくとも一部の実質的に純粋な水素の加圧ストリームがアンモニア合成装置に通されるラインを含むことができる。
オキシ燃料加熱水素製造プロセスは、少なくとも一部の合成ガスストリームを発電のために膨張させるように、改質反応器からの少なくとも一部の合成ガスストリームを発電用タービンに通すことを更に含むことができる。
オキシ燃料燃焼器は、外側燃焼器シェルおよび燃焼室を内部的に画定する燃焼器ライナーを含むことができる。
【0033】
主に二酸化炭素を含むストリームを燃焼器に通すことは、主に二酸化炭素を含むストリームの少なくとも一部を燃焼器ライナーに通すことを含むことができる。
主に二酸化炭素を含むストリームを燃焼器に通すことは、主に二酸化炭素を含むストリームの第1の部分を燃焼室の反応ゾーンに通すことを含むことができ、および主に二酸化炭素を含むストリームの第2の部分を燃焼室の希釈ゾーンに通すことを含むことができる。
【0034】
オキシ燃料燃焼器は、イオン輸送膜(ITM)燃焼器を含むことができる。
ITM燃焼器は、ITM燃焼器の燃料側からITM燃焼器の空気側を分離する酸素イオン輸送拡散膜を含むことができる。
酸素イオン輸送拡散膜は、ITM燃焼器の空気側を通過する空気から、ITM燃焼器の燃料側を通過する燃料の燃焼のために、ITM燃焼器の燃料側に酸素を抜き出すのに効果的であり得る。
主に二酸化炭素を含むストリームは、ITM燃焼器の燃料側を通過する。
オキシ燃料加熱水素製造システムは、複数のITM燃焼器を含むことができる。
【0035】
改質反応器中で形成された合成ガスストリームは、冷却され得ると同時に、排熱ボイラーに熱を供給して、排熱ボイラー中で蒸気を形成でき、1つ以上の一酸化炭素シフト反応器に通され、粗製水素生成物ストリームを形成し、周囲温度近くまで冷却されると同時に、それからの凝縮液体水を分離し、実質的に純粋な加圧水素生成物ストリームと、排出ガスストリームとに分離させ、排出ガスストリームは、改質反応器中で水と反応させられた炭化水素由来のほぼ全ての二酸化炭素を含み、排出ガスストリームは、燃焼器への供給物として必要な圧力である。
【0036】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、下記で簡単に説明される添付図面と一緒に以下の詳細説明を読むことで、より明らかとなるであろう。本明細書で記載の要素、成分、および特徴が本明細書での特定の実施形態の記述で明示的に組み合わせられるかどうかに関係なく、本開示は、これらの要素、成分、および特徴の任意の組み合わせを包含する。文脈上別段の明確な記載がない限り、本開示の分離可能な特徴、成分、または要素のいずれも、その種々の態様と実施形態のいずれにおいても、組み合わせ可能であることが意図されていると見なされるように総体的に読み取られることが意図されている。
【0037】
前述の一般用語で本開示を記載してきたが、ここでは、必ずしも縮尺通りには描かれておらず、かつ本開示の主要部の例示的実施形態を示すと見なされるべきである添付図面に言及がなされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスのステップを示すフローチャートである。
【
図2A】本開示の実施形態によるガス加熱改質反応器の設計例の部分断面図である。
【
図2B】ガス加熱改質(GHR)反応器の管の配置を示す
図2Aの部分断面図の横断図である。
【
図3A】本開示の実施形態によるガス加熱改質反応器(GHR)の別の設計例の部分断面図である。
【
図3B】ガス加熱改質反応器の管の配置を示す
図3Aの部分断面図の横断図である。
【
図4】本開示の実施形態によるガス加熱改質反応器内の単一反応器管のより詳細配置を提供する部分断面図である。
【
図5】本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスで有用な少なくとも一部の構成要素を示すフローダイヤグラムである。
【
図6】本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスで特に有用であり得る水素分離装置に有用な少なくとも一部の構成要素を示すフローダイヤグラムである。
【
図7】本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスを実施するために有用な本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造システムを示すフローダイヤグラムである。
【
図8】本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスを実施するために有用な本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造システムを示すフローダイヤグラムである。
【
図9】改質反応器で加熱流体として使用する主に二酸化炭素の循環ストリームのために熱を供給する燃料として排出ガスを燃焼する酸化剤としてガスタービン排気の使用を含む、本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスを実施するために有用な本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造システムを示すフローダイヤグラムである。
【
図10】本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造プロセスを実施するために有用な本開示の例示的実施形態によるオキシ燃料水素製造システムに有用なイオン輸送膜(ITM)燃焼器配置を示すフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の主要部は、その例示的実施形態を参照しながら、ここでより完全に記載されることになる。これらの例示的実施形態は、本開示が徹底的で完全であるように、および主要部の範囲を当業者に十分に伝えることになるように記載されている。実際、本主要部は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈すべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。明細書で、および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「一」、「一つ」、「その」は、文脈上別段の明確な記載がない限り、複数形の指示対象を含む。
【0040】
本開示は、水素の製造で、個別に、または組み合わせて改善を示す、水素製造の改善された方法ならびにプロセス、システム、および機器を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書で提供され、いくつかの実施形態は、開示の容易さのために、および理解の容易さのために、個別にのみ記載される。しかし、いくつかの実施形態は、個別に有用である、またはいくつかの実施形態の任意の組み合わせで有用であることが明示的に意図される。各実施形態は、個別の実施形態の特定の特徴から生ずる水素製造の改善を提供すると理解されている。個別の実施形態は、水素製造に使用される既存の方法および機器の欠点の認識から生じ、従って、それぞれ個別の実施形態は、水素製造における有用な改善および利点を提供する。改善および利点は、個別の実施形態の組み合わせを通して高められ、各実施形態の固有の特徴は、実施形態の組み合わせで達成された改善は予測されず、累積効果は、むしろ、個別の実施形態の種々の組み合わせから生ずる相乗的効果であるという証拠である。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示は、オキシ燃料水素製造システムおよびPSAに入るストリーム中の全ての二酸化炭素を取り出す必要がないので好都合であり得る二酸化炭素凝結システムを用いるなどの水素PSA器械または装置の上流の二酸化炭素取り出しシステムを使用できる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、オキシ燃料水素製造システムおよび水素PSAと膜システムとを含む水素分離装置を含む方法を提供し、これは、単一PSAの使用を可能にし、同時に、処理されるガスストリーム中に存在する大きな割合の水素をその段階でも回収し、特定の実施形態では、98%超もの水素を回収する。いくつかの実施形態では、本開示は、オキシ燃料水素製造システムおよび深冷空気分離装置(ASU)の代わりにイオン輸送膜(ITM)酸素供給システムを使用できる方法を提供する。これは、ITM装置内の炭化水素燃料(および特定の実施形態では、PSA排出ガス)の効率的燃焼を可能にして、別の燃焼器に対する要求事項なしに、GHR用の加熱流体ストリームを産生できる。いくつかの実施形態では、本開示は、オキシ燃料水素製造システムおよび特に、オキシ燃料燃焼生成物ストリームを加熱流体として利用するように構成された新規ガス加熱改質(GHR)反応器を組み込むことができる方法を提供する。
【0042】
炭化水素源ストリームから水素製造のための一般的フローダイヤグラムを
図1に示す。図から解るように、最適の炭化水素は、ステップ1000で、触媒の存在下で蒸気と反応させられ、合成ガスを生成する。本明細書で使用される場合、用語「合成ガス」は、基準合成ガスであり、これは、主に一酸化炭素(CO)および水素(H
2)であるが、小量の追加の成分を含んでもよいと理解されている。本開示の狙いは、水素製造であるので、本開示は、合成ガス内に元々存在する主として水素生成物を取り扱うが、しかし、追加の水素への変換できるので一酸化炭素も、更にシフト反応における二酸化炭素も、同様に本明細書で記載される。合成ガス(synthesis gas)または合成ガス(syngas)について考察する場合、考察の状況が明確に合成ガスの水素および/または一酸化炭素部分を取り扱うことのみを意図しない限り、水素および一酸化炭素への言及は、従って、合成ガス中に通常小量で存在し得る他の構成成分を排除することを意味しない。
【0043】
プロセス熱は、ステップ1005で供給でき、種々の発生源から供給し得る。ステップ1000で生成された合成ガスは、ステップ1010で1つ以上のシフト反応器で処理され、一酸化炭素が二酸化炭素(CO2)に変換され、追加の水素も生成される。シフト合成ガスストリームはその後、水素を分離するために、ステップ1020で、圧力揺動吸収器で処理され、ステップ1025で更に使用するために取り出される。排出ガスストリームは同様に生成され、例えば、追加の水素、CO、二酸化炭素、および未反応の炭化水素を含むことができる。この排出ガスは、追加の使用のためにステップ1030で処理される。これは、少なくとも一部の排出ガスを捕捉のために個別の成分に分離することを含むことができ、個別の成分は、ステップ1035で個別の排出ストリームとして取り出され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一部の排出ガスは、ステップ1040で、炭化水素燃料と共に燃焼されるオキシ燃料燃焼成分に送られ得る。燃焼生成物はその後、ステップ1005で記述したプロセス加熱の少なくとも一部を形成できる。
【0044】
本開示による水素製造は、この一般的プロセスを介して進行でき、このプロセスは、本開示の任意の単一実施形態により、または2つの実施形態、3つの実施形態、またはより多くの本開示の実施形態により変更される。例示的実施形態では、水素製造は、必要な熱の供給を含む、単一段階加圧蒸気とメタン合成ガスとの触媒生成反応器を用いて実施でき、および排出ガスストリームから最大100%の二酸化炭素捕捉で高純度水素分離を達成するのに効果的な単純で低コストの水素分離システムを利用でき、この排出ガスストリームは、通常、水素製造に必要な高圧で供給できる。
【0045】
本開示特に、以前に達成できていない条件下で動作するように構成されたガス加熱改質器(GHR)を利用でき、それにより、大幅に改善された水素製造効率、低減された水素製造のための資本コスト、低減された水素製造のための操作コスト、および簡略化された水素製造のための操作手順を提供する。種々の例示的実施形態により本明細書で記載のGHR配置は、種々の水素製造プロセスで利用でき、1つ以上の本発明のGHR配置を利用するためのこのようなプロセスの変更は、それ自体で、水素製造のために、別に本明細書で記載の望ましい結果を提供する。しかし、本開示はまた、本明細書で記載の1つ以上のGHR配置の実施は、1つ以上の追加のプロセス改善および/または本明細書で記載の装置と組み合わせることができる追加の実施形態も包含すると理解されている。
【0046】
本開示は特に、水素へのメタン変換の極めて高い効率を達成する、その設計の特徴およびそのメタン(および/または他の炭化水素燃料)の転換を制御する能力に起因して、以前に当該技術分野で使用されたものより極めて高圧での水素の生成を提供するガス加熱改質反応器(GHR)の形態の加熱装置を提供する。GHRは、より高い転換圧力を利用でき、および未転換炭化水素を含む燃料ガスを結合加熱構成要素、好ましくはオキシ燃料バーナーに、効率的に再循環して戻すことができる。
【0047】
第1のGHR100のオプション配置が
図2Aに提供される。GHR100は、圧力容器であり得る外側容器105を含む。外側容器105は、下端または底端である第1の末端106から、上端または天端である第2の末端107に延びる。外側容器105内には、1つ以上の管アセンブリがあり、外側容器は好ましくは、複数の管アセンブリを含む。単一管アセンブリについて、次に記載するが、記載は、外側容器105内に存在する、任意の1つ、2つ、またはそれを超える管アセンブリに適用できると理解されている。
【0048】
GHR100内の個別の管アセンブリは、アセンブリ外側管120およびアセンブリ内側管130を含む。以下で考察するように、触媒材料は、アセンブリ外側管120内に同心円状に配置されたアセンブリ内側管130に沿って保持できるので、アセンブリ外側管120は、本明細書では外側触媒管と呼ばれ得る。触媒を通過する間に、炭化水素と蒸気の触媒反応により形成された合成ガスがアセンブリ内側管130を通って下向きに生成されるので、アセンブリ内側管130は、本明細書では、内側反応生成物ガス管と呼ばれ得る。図示されているように、管は、実質的に丸い断面形状を有するように構成されるが、しかし、他の断面形状はまた、本開示では、楕円形、矩形、正方形、などを包含する。アセンブリ外側管120およびアセンブリ内側管130は、同心円状に配置され、それにより、空隙125は、管の間に存在する(
図2B参照)。
【0049】
アセンブリ内側管130は、中央合成ガス生成物排出管として構成される。容器105は、加熱ガスを上端107で受けるように配置され、GHRの上部は、従って、GHR100の高温端として特徴付けることができ、下端106は、GHR100の低温端として特徴付けることができ、およびGHR100内の管アセンブリは、GHR100の高温端およびGHR100の低温端に対するそれらの位置に対応して、同様に高温端および低温端を有するとして特徴付けることができる。用語「高温」および「低温」は、従って、対向する上端107と下端106との間の相対的温度条件を規定するために使われる。アセンブリ外側管120の高温端は、取り外し可能なキャップ127または高温端蓋を含むことができる。用語「キャップ」は、要素の構造を制限する意図はなく、要素は、取りはずし可能なようにアセンブリ外側管120の高温端に係合してその高温端を閉鎖するように構成されることのみを必要とする。キャップ127は、アセンブリ外側管120の外表面またはアセンブリ外側管120の内表面に係合して、閉鎖機能を提供し得る。この目的のために、アセンブリ外側管120の高温端は、充填ヘッド126として構成でき、これは、アセンブリ外側管120とアセンブリ内側管130との間の空隙125に触媒の容易な添加を可能にする形状または他の配置であり得る。キャップ127はまた、アセンブリ内側管130とアセンブリ外側管120との間を通って上向きに通過する反応物質として形成される合成ガスを、折り返してアセンブリ内側管130の内側を通って下向きに移動させるように機能できる。アセンブリ内側管130の上部は、全ての触媒材料がそれを通して通過するのを実質的に防ぎ、同時にガスの通過を可能にするように構成される最上部栓123を含むことができる。最上部栓123は従って、例えば、1mm未満、0.5mm未満、または0.2mm未満、例えば、約0.01mm~約0.95mm、約0.02mm~約0.75mm、または約0.05mm~約0.5mmの平均細孔径を有するステンレス鋼またはニッケル合金などの多孔質材料から作製できる。
【0050】
アセンブリ外側管120とアセンブリ内側管130との間の空隙125は、少なくとも部分的に、GHR100中で処理される蒸気および炭化水素の改質のための触媒で満たされる。触媒は、好ましくは、顆粒状、粒子状、あるいは、改質反応を触媒するために必要な表面積を提供するために好適な形状およびサイズである。いくつかの実施形態では、空隙125は、輪形隙間として画定できる。より具体的には、空隙125は、アセンブリ外側管120の内側面121およびアセンブリ内側管130の外側面131により画定される。アセンブリ外側管120とアセンブリ内側管130との間の空隙125は、触媒で満たされる1つ以上の部分を画定できる。いくつかの実施形態では、触媒充填部分は、充填ヘッド126またはキャップ127まで実質的に延長できる。触媒充填部分の底部は、全ての触媒材料がそれを通して通過するのを実質的に防ぎ、同時にガスの通過を可能にするように構成される底部栓133により画定できる。底部栓133は従って、例えば、1mm未満、0.5mm未満、または0.2mm未満、例えば、約0.01mm~約0.95mm、約0.02mm~約0.75mm、または約0.05mm~約0.5mmの平均細孔径を有するステンレス鋼またはニッケル合金などの多孔質材料から作製できる。触媒充填部分の長さは、約5メートル~約24メートル、約7メートル~約20メートル、または約10メートル~約18メートルであり得る。
【0051】
アセンブリ内側管130は、約15mm~約40mm、約18mm~約35mm、または約20mm~約30mmの範囲の外径を有することができる。例示的実施形態では、アセンブリ内側管130は、25.4mmの外径を有することができる。アセンブリ外側管120は、約45mm~約120mm、約50mm~約110mm、または約60mm~約100mmの内径を有することができる。例示的実施形態では、アセンブリ外側管121は、76mmの内径を有することができる。アセンブリ外側管120およびアセンブリ内側管130はそれぞれ独立に、ステンレス鋼または高ニッケル合金などの耐食材料から作製でき、および、例えば、約0.8mm~約4mm、約1mm~約3mm、または約0.5mm~約5mmの壁厚を有することができる。
【0052】
管アセンブリは、管板により支持され、これは、管アセンブリ中の個別の管の両端に適切に適合するように配置され、寸法にされた孔を備えた実質的に平板として配置される。
図2Aに示すように、上部管板129は、アセンブリ外側管120と機能的に整列するように配置され、および下部管板139は、アセンブリ内側管130と機能的に整列するように配置される。上部管板129は、供給ガス入口管板として特徴付けし得、下部管板139は、合成ガス出口管板として特徴付けし得る。好ましくは、機能的整列は、管板と、管または他の設備との間の溶接結合を含み、一部は管板により、および、一部は外側容器105により、画定される実質的に密閉された部分を提供する。例えば、供給ガス入口分配空隙108は、上部管板129の下面と、下部管板139の上面との間で画定できる。さらなる例として、GHRの下端106は、下部管板139の下面と、容器105の底部の内表面との間の出口収集空隙を画定できる。
【0053】
容器105は、蒸気と炭化水素を含む反応供給ストリーム151を受けるように構成された入口150を更に含むことができる。合成ガス生成物ストリーム153は、出口152を通ってGHR100を出る。容器105はまた、加熱流体ストリーム156を受けるように配置された入口157も含む。一連の調節板155は、容器105を画定する壁の内面上に配置でき、これらは、容器105を通る加熱流体のための調節板付多重パスシェル側方流路を提供するように機能できる。加熱流体は、容器105を下方に流れ、帰還熱流体ストリーム158として出口159を通って出る。
【0054】
GHR配置100を画定する容器105の設計温度を最小化するために、および構築に使用する低コスト合金を使用可能にするために、内断熱を使用できる。アセンブリ内側管130の内表面、アセンブリ外側管120の内表面、ならびに上部管板129の表面および下部管板139は、メタルダスティング腐食を生ずる可能性のあるブドワール反応が起こる温度で、一酸化炭素高分圧に曝露される。このような反応を扱うために、特殊金属合金693などの耐食合金が使用され得る、および/または暴露構成要素は、プラズマスプレーされたアルミナなどの不透過性酸化物層でコートされ得る、および/または露出面は、不透過性内断熱材で被覆され得る。
【0055】
アセンブリ外側管120は、熱移動を促進するために、フィンの付いた外表面を有することができる。管を横切って通過する加熱流体を含むいくつかの実施形態では、半径方向フィンが好ましいが、他の実施形態では、長手方向フィンが好ましい場合がある。GHR100は、有利には、垂直に配置され(即ち、垂直に整列した長手方向軸)、それにより、高温端は、充填ヘッド126およびキャップ127を含む端部である。この配置は、加熱流体156を容器105を通って下方に流れるように注入し管アセンブリを加熱する能力を与え、同時に、充填ヘッド126およびキャップ127をGHRの最上部に備え、アセンブリ外側管120中の触媒の充填および排出も促進する。触媒の添加および/または取り出しは、容器105の取り外し可能な最上部分109の取り外しにより実施し得る。この最上部109は、GHR100のサービスおよび管アセンブリ中の触媒の交換のために取り外され、また、最上部109は、GHR100の動作のために再設置できる。
【0056】
本開示の例示的実施形態によるGHR200の第2のオプション配置が
図3Aに示される。GHR200は、第1のGHR配置と同じ全体レイアウトを有するが、第3の周囲管の追加も有する。
図3Aを参照すると、GHR200は、圧力容器であり得る外側容器205をこの場合も含む。外側容器205は、下端または底端である第1の末端206から、上端または天端である第2の末端207に延びる。外側容器205内には、1つ以上の管アセンブリがあり、外側容器は好ましくは、複数の管アセンブリを含む。単一管アセンブリについて、次に記載するが、記載は、外側容器205内に存在する、任意の1つ、2つ、またはそれを超える管アセンブリに適用できると理解されている。更に、上記のGHR100の第1の配置の材料、配置、および構成の記載は、以下で更に考察されるGHR200の第2の配置に等しく適用できると理解されている。
【0057】
GHR200内の個別の管アセンブリは、アセンブリ外側管220およびアセンブリ内側管230を含む。図示されているように、管は、実質的に丸い断面形状を有するように構成されるが、しかし、他の断面形状はまた、本開示では、楕円形、矩形、正方形、などを包含する。アセンブリ外側管220およびアセンブリ内側管230は、同心円状に配置され、それにより、空隙225は、管の間に存在する(
図3B参照)。
【0058】
アセンブリ内側管230は、中央合成ガス生成物排出管として構成される。容器105は、GHRの高温の上端207で加熱ガスを受けるように配置される。アセンブリ外側管220の高温端は、充填ヘッド226を画定し、取り外し可能なキャップ227または既に記載したものと同じ構成を有する高温端蓋を含むことができる。アセンブリ外側管220とアセンブリ管230との間の空隙225は、この場合も、少なくとも部分的に、GHR100中で実施される蒸気と炭化水素との改質のための触媒で満たされる。GHR200では、空隙125は、この場合も、アセンブリ外側管220の内側面221およびアセンブリ内側管230の外側面231により画定される。アセンブリ外側管220とアセンブリ内側管230との間の空隙225は、既に上記したように、触媒で満たされる1つ以上の部分を画定できる。アセンブリ内側管130の上部は、全ての触媒材料がそれを通して通過するのを実質的に防ぎ、同時にガスの通過を可能にするように構成される最上部栓223を含むことができる。触媒充填部分の底部は、全ての触媒材料がそれを通して通過するのを実質的に防ぎ、同時にガスの通過を可能にするように構成される底部栓233により画定できる。最上部栓223および底部栓233は従って、例えば、1mm未満、0.5mm未満、または0.2mm未満、例えば、約0.01mm~約0.95mm、約0.02mm~約0.75mm、または約0.05mm~約0.5mmの平均細孔径を有するステンレス鋼またはニッケル合金などの多孔質材料から作製できる。 アセンブリ内側管230およびアセンブリ外側管220は、この場合も、既に記載したような寸法を有する。管アセンブリは、管板により支持され、上部管板229は、アセンブリ外側管220と機能的に整列するように配置され、および下部管板239は、アセンブリ内側管230と機能的に整列するように配置される。上部管板229は、供給ガス入口管板として特徴付けし得、下部管板239は、合成ガス出口管板として特徴付けられ得る。好ましくは、機能的整列は、実質的に密閉された部分を提供するための管板と、管または他の設備との溶接結合は、一部は管板により、および、一部は容器により、画定される。例えば、供給ガス入口分配空隙208は、上部管板229の下面と、下部管板239の上面との間で画定できる。さらなる例として、GHRの下端206は、下部管板239の下面と、容器205の底部の内表面との間の出口収集空隙を画定できる。
【0059】
容器205は、蒸気と炭化水素を含む反応供給ストリーム251を受けるように構成された入口250を更に含むことができる。合成ガス生成物ストリーム253は、出口252を通ってGHR200を出る。容器205はまた、加熱流体ストリーム256を受けるように配置された入口257も含む。加熱流体は、容器205を下方に流れ、帰還熱流体ストリーム258として出口259を通って出る。容器205は、設計温度を最小化して、例えば、ブドワール反応に起因する腐食または他の部品の付着物を防ぐために既に上記した構築、断熱、および/またはコーティングを、この場合も同様に含む。アセンブリ外側管220は、熱移動を促進するために、フィンの付いた外表面を有することができる。このような実施形態では、長手方向フィンが好ましいが、他の実施形態では、半径方向フィンが好ましい場合がある。GHR200は、有利には、垂直に配置され(即ち、垂直に整列した長手方向軸)、最上部高温端は、アセンブリ外側管220中の触媒の充填および排出を促進する。触媒の添加および/または取り出しは、容器205の取り外し可能な最上部209の取り外しにより実施し得る。この最上部209は、GHR200のサービスおよび触媒の交換のために取り外され、また、GHR200の動作のために再設置され得る。
【0060】
図3Aの実施形態では、管アセンブリは、外側触媒管220を取り囲む第3の周囲管235を更に含む。周囲管235は、第3の管板236により容器235壁の壁に密閉され、周囲管235は、溶接によるなどの、係合のために第3の管板236に対して配置できる。例えば、二酸化炭素を含むことができる加熱流体256は、外側アセンブリ管220と、第3の周囲管235との間で画定される空隙237を通って流れ、第3の管板236および上部管板229により画定される出口冷却ガス収集空隙238に入り、その後、帰還熱流体ストリーム258として出て行く。第3の周囲管235は、高温上端で開口端であり、アセンブリ外側管220とアセンブリ内側管220との間の触媒充填空隙225に熱を伝達する循環加熱流体のための流路を形成する第3の周囲管235は、約60mm~約180mm、約70mm~約160mm、または約80mm~約140mmの内径を有することができる。例示的実施形態では、第3の周囲管235は、約102mmの内径を有することができる。
【0061】
管アセンブリの配置のより詳細な図は、
図4に示される。GHR200は、第3の周囲管235を含む例示的実施形態に関して図示されているが、それ以外の記載は、第3の周囲管を含まないGHR100に当てはまると理解されている。
図4を参照すると、予熱され、炭化水素および蒸気を含むのが好ましい、反応供給ストリーム251は、上部管板229と下部管板239との間に配置される入口250を通って入り、アセンブリ内側管230とアセンブリ外側管222との間の、触媒充填空隙225中へと通過する。入口の供給ガス流は、アセンブリ外側管220の基部近くの空隙225中に配置された多孔質栓233を通過し、多孔質栓233は、位置決めカラー234上にある。アセンブリ外側管220の上部は、蓋をされ、それにより、反応供給ストリームとして形成される合成ガス251aは、触媒充填空隙225を通して上向きに通過し、これは、若干量の未反応炭化水素および蒸気を含むことができ、その後、アセンブリ内側管230を通して下方へ流れなければならない。アセンブリ内側管230の最上部は、位置決めカラー224上にある多孔質栓223により密閉される。上部管板229は、アセンブリ外側管220を保持し、同時に、アセンブリ内側管230は、下部管板239により保持される。管板229および239は、供給ガス入口分配空隙208を画定する。GHR200の下端206は、合成ガス生成物ストリーム253のための出口収集空隙を画定する。
【0062】
短い延長管220aは、アセンブリ外側管220の密閉端部の最上部に位置しており、これは、触媒粒子の充填および排出に使用される。触媒は、アセンブリ外側管220の閉止端を充分に超える延長管220a内の位置まで充填される。延長管220aはその後、栓227により閉止され、これは、バネまたは類似の機構を用いるなどで、偏らせて、GHR200の動作中に触媒粒子に対し下向きの力を作用させることができる。この配置は、反応ガスが触媒床を通って上向きに通過する動作時に、ベッド流動化およびベッド運動を防ぐ。GHR配置200を画定する圧力容器205の最上部207は、フランジ蓋264を用いて取り外し、全てのアセンブリ外側管220および延長管220の最上部を露出させ、触媒充填および交換を促進できる。管板236、229、および239は、圧力容器205のシェルに溶接されて、GHR配置200(または本開示が同様に完全にあてはまるGHR100)を形成する。
【0063】
前述から解るように、シェルの側方流が、管アセンブリ上、特にアセンブリ外側管120、220の外表面上を通過できるいくつかの方法が存在する。1つの方法は、GHR配置100に関連して上記した、調節板付シェル多重パス交差流設計を使用することである。別の選択肢は、外側管中のそれぞれの管を覆い、それにより、各管が触媒床中の反応ガスと、アセンブリ内側管130、230の内側空隙を通って送達される冷却合成ガス生成物およびアセンブリ外側管120、220の周りの加熱ガスとして使われる二酸化炭素および水の冷却ストリームの両方により提供される加熱手段との間で純粋な向流熱移動関係を有することである。アセンブリ外側管130、230の外表面は、交差流配置の場合には、半径方向フィンを、外側を覆われた管配置の場合は、長手方向フィンを有することができる。最終選択は、資本コストおよび圧力損失に依存し、圧力損失は、二酸化炭素循環コンプレッサーの所要出力を増大させる。設計における考慮すべき重要事項は、一定の時間間隔でのそれぞれ個別の管の触媒による充填、およびこの触媒の容易な取り出しおよび交換を可能にすることである。ダブル管板配置は、冷却機末端での触媒充填および排出を極めて困難にする。好ましい配置は、アセンブリ外側管120、220とアセンブリ内側管130、230との間の空隙中の触媒部分を通って上向きに流れを有する反応器を垂直に取り付け、触媒充填管の閉止端の最上部から充填管延長部まで各部分に充填する配置である。それらは全て、反応器収納容器の最上部分を持ち上げて取り外すことにより容易に露出させることができる。容器の最上部に高温を有するこの配置は、それが加熱流体からアセンブリへの熱移動を改善し、同時に、特に使用済触媒の取り出し、および交換に関して、そのサービスを単純化する配置の管アセンブリも提供するという理由で好ましい。
【0064】
本開示のオキシ燃料GHRは、それが、完全に酸化されている高圧加熱流体ストリームを使用できるという点、およびモルベースで5%、4%、3%、2%、または1%のモルベース酸素、例えば、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、または約1%~約2%ほども多くのモルベース酸素含量も同様に有することができるという点で特に有益である。POXまたはATR合成ガス生成設備と一体になった以前のGHR反応器の適用は、その中の還元流体で動作され、これは、高濃度のCOを有するシェル側GHR加熱ガスを生じ、これは、ブドワール反応により、約850℃未満で炭素形成をもたらし(即ち、CO+CO=CO2+C)、改質器管の激しいメタルダスティングを生じる可能性がある。管は、少しのアルミニウムおよびクロムを含む耐食高ニッケル合金、例えば、特殊金属合金693を使用することにより保護する必要がある。加えて、管は、アルミナのプラズマスプレー層でコートできる。全てのこれらのコストがかかる因子は、本明細書で開示のGHR配置で、特に、以下でより完全に記載されるオキシ燃料加熱システムと組み合わせた場合に、回避できる。本明細書で開示の配置のさらなる利点は、加熱流体ストリーム(例えば、少なくとも二酸化炭素および水を含む)の圧力は、炭化水素および蒸気を含む触媒充填管アセンブリに入る反応物質供給ストリームの入口圧力の約10バール以内、約7バール以内、約5バール以内、または約3バール以内の圧力にすることができることである。換言すれば、加熱流体ストリームと、炭化水素および水/蒸気を含む反応物質ストリームとの圧力差は、15バール未満、10バール未満、または5バール未満である。管壁を全体を通してこのような小さい圧力差で動作する能力は、アセンブリ外側管120、220の壁の応力を最小化し、特に、これは、他の改質反応器に比べて、かなり薄い厚さを有する管を使用可能にする。本開示による管壁厚の減少は、管壁厚さが既知の改質反応器に比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の厚さが低減される、例えば、約10%~約75%、約15%~約60%、または約20%~約50%の厚さが低減されるようなものである。
【0065】
本明細書で記載のGHR配置は、触媒の存在下で炭化水素と蒸気との間の触媒反応による、炭化水素、特に、メタンの触媒改質で使用するように、特に、構成できる。反応熱および反応生成物の予熱に必要な熱は、各種方式で提供でき、GHR配置は、本開示のさらなる実施形態と組み合わせて使用するとは限らないと理解されている。それにもかかわらず、開示GHR配置は、更に記載される水素製造のための方法およびシステム/装置/プラントでの使用に特に有益である。いくつかの実施形態では、従って、反応熱は、主に二酸化炭素を含み、蒸気も含むストリームの循環からの間接的熱移動により提供できる。二酸化炭素と蒸気ストリーム(即ち、加熱流体ストリーム156、256)は、酸素中の炭化水素の燃焼により加熱できる。改質反応それ自体の圧力に近い圧力でGHR100、200を通って循環する加熱流体ストリームの動作は、全ての位置でのGHR配置100、200の加熱流体ストリーム156、256と、炭化水素と蒸気を含む、反応供給ストリーム151、251との間の圧力差が最小化されることを保証する。これは、最小限の圧力差(すぐ前に考察したように)を有する高温反応装置系としての動作のためにGHR配置100、200の配置を可能にし、これは、次に、比較的薄い厚さの管および管板を使用する能力を提供し(同様に、すぐ前に考察したように)、これは、経済的な反応器設計をもたらす。
【0066】
未転換炭化水素および蒸気と一緒に、一酸化炭素、水素、および二酸化炭素を含む生成物ガス混合物を生成する蒸気と炭化水素との触媒改質反応は、約600℃~約1000℃、約700℃~約1000℃、または約850℃~約950℃の範囲の反応生成物温度を提供するように設計される。これは、反応が、顆粒状触媒を含み、外部から加熱して示された反応生成物温度を達成する必要がある空隙中で起こり、また、極めて大きな吸熱反応熱があるためである。プロセス効率を最大化するために、触媒床を出ていく生成物ガス中の顕熱を使用して、このガスを改質反応器(GHR100、200)へ供給する予熱蒸気と炭化水素に対して約25℃~約100℃近くの温度まで冷却することが望ましい。これを達成できる最も簡便な方法は、GHR100、200に対して同心円管配置を使用することである。この同心円管中で、触媒は、アセンブリ外側管120、220と、アセンブリ内側管130、230との間の空隙中にあり、水素と一酸化炭素を含む反応生成物ストリーム153、253は、アセンブリ内側管130、230の中央穴に沿って戻される。上述のように、アセンブリ外側管120、220は、高温端で蓋をされる。アセンブリ外側管120、220およびアセンブリ内側管130、230は、2つの別の管板上に配置され、これらは、予熱反応供給ストリーム151、251のために入口分配空隙を、および合成ガス反応生成物ストリーム153、253のために出口収集空隙を別々に画定する。これらの管板の両方は、GHR100、200を画定する容器105、205の冷却機末端にある。同心円管設計を有する高温端管板に対する要件は存在しない。個別の管は、全ての他の構成要素に対する制限なく、および影響なく、反応器が加熱および冷却されるに伴い、自由に膨張および収縮できる。2つの管板は、それらの全体にわたり最小限の圧力差を有し、これは、既知のシステムに比較して上記で示された必要とされる管板厚さを最小限にする。管板はまた、圧力容器105、205に溶接により密閉でき、これは、既知のシステムで必要な、管板を容器内に保持するための高価な、極めて大きな直径のフランジの必要性をなくする。
【0067】
GHR100、200を出ていく合成ガス反応生成物153、253の温度より、約10℃~約200℃、約20℃~約150℃、または約25℃~約100℃高い温度で反応器収納容器のシェル側に入る伝熱媒体に応じて、複数の同心円管が反応器中で使用される。加熱流体ストリーム156、256と、GHR100、200を出ていく合成ガス反応生成物ストリーム153、253との間の圧力差は、特定の実施形態では、約1バール~約5バール、約1バール~約4バール、または約1バール~約3バールの範囲であり得る。
【0068】
本開示の水素製造方法は、有利にも、GHR配置100、200を、高効率および費用対効果が大きい方式で高い純度水素製造を提供する追加の動作可能な配置と組み合わせて組み込むことができる。いくつかの実施形態では、オキシ燃料燃焼器は、加熱流体ストリーム156、256を生成するために使用でき、オキシ燃料バーナーで使用される燃料ガスは、水素PSAシステムからの排出ガスおよびメタンなどの炭化水素の片方または両方であり得る。加熱流体ストリーム156、256は、好ましくは、GHR100、200を出る合成ガス反応生成物ストリーム153、253から5バール未満の圧力差であり、およびアセンブリ内側管130、230の中央穴に入る形成された合成ガスよりも約25℃~約100℃高い温度を有し得る。GHR100、200中で起こる改質反応に対する条件は、約3~約9、約4~約7、または約5~約7の活性炭に対する蒸気の比率が使用されるようなものである。一例として、反応物として蒸気およびメタンならびに約6の活性炭に対する蒸気の比率を用いる約90バールの圧力でのGHRの運転は、合成ガス生成物中に残された約30%の未反応メタンを生じる。本明細書で別途説明されるように、合成ガスが処理される場合、水素PSAシステムからの排出ガスストリームは、蒸気-メタン改質およびシフト反応で形成された実質的に全ての過剰メタンおよび全ての二酸化炭素を含むことができる。この排出ガスはまた、約90バールであり得、オキシ燃料燃焼器に通す前に、追加のメタンと混合できる。約90バールの循環二酸化炭素ストリームは、オキシ燃料燃焼器中の燃焼生成物と混合できる。流速は、GHR100、200のシェル側に入る加熱流体ストリーム156、256のために、必要とされる温度を生成するように調節できる。
【0069】
エコノマイザー熱交換器を使って、約500℃~約800℃、約550℃~約750℃、または約600℃~約700℃の範囲の温度でGHR反応器を出る帰還加熱流体ストリーム158、258から利用できる熱を回収できる。この熱は、オキシ燃料燃焼器と循環二酸化炭素ストリームの予熱のために、反応物質供給ストリーム151、251および任意の追加のメタンおよび排出燃料ガスを予熱する。エコノマイザー熱交換器の低温端で、循環オキシ燃料ガスは、水蒸気凝縮し、液体水が分離される、直接水接触冷却機中で冷却できる。生成物二酸化炭素ストリームは、圧力制御下で循環二酸化炭素から取り出すことができ、二酸化炭素ストリームは、ガス循環コンプレッサーに入ることができ、そこで、循環オキシ燃料システムでの圧力低下を克服するために、その圧力は約1バール~約10バール、約2バール~約8バール、または約2バール~約5バールの範囲で上昇させられる。合成ガスは、約10バール~約150バール、約15バール~約120バール、または約20バール~約100バールの範囲の圧力のGHR100、200中で生成できる。触媒床を出る合成ガスの温度は、約600℃~約1000℃、約700℃~約1000℃、または約850℃~約950℃であり得る。本明細書で記載の動作可能なパラメーターは、有利にも、最大1000℃の動作温度で約5バールのアセンブリ内側管130、230およびアセンブリ外側管120、220の壁を横切る最大圧力差をもたらすことができ、これは、以前に上記したように、管を、比較的薄い壁のステンレス鋼から構築可能にする。
【0070】
生成合成ガスは、蒸気発生器に入り、改質器供給物として必要な飽和蒸気を生成し、これは、その後、エコノマイザー熱交換器中で過熱される。必要に応じ、追加の蒸気が予熱ボイラー供給水から生成され、エコノマイザー熱交換器中で過熱される。合成ガスはその後、触媒一酸化炭素シフト転換器に入り、これは、上式2の反応に従って更に多くの水素を生成する。必要に応じ、シフト転換器後の合成ガスの温度は、エコノマイザー熱交換器中で約450℃~約600℃の範囲の温度に高めることができ、続けて、発電タービン中で、約15バール~約35バール、または約20バール~約30バールの範囲に圧力を下げることができる。タービン排気ガスから利用できる熱を使用して、蒸気生成に必要なボイラー供給水を予熱できる。合成ガスはその後冷却され、合成ガスが水素分離用の水素PSAマルチベッド吸着システムに入る前に、凝縮水は、直接接触水冷却機中で分離される。水素PSAは特に、圧縮水素PSA排出ガスを処理して、GHR100、200からの冷却合成ガス供給物とほぼ同じ水素濃度を有する水素リッチ透過ストリームを分離する膜装置と対にすることができる。水素PSA排出ガスは、コンプレッサー中で、オキシ燃料燃焼器中で燃料ガスとして使用される圧力に高める必要があり、排出ガス中の残留水素の分圧は、膜装置中で透過ストリームとして大部分の水素含量を取り出し可能にするのに十分高い。これは、水素PSA供給物に戻され、この配置は、直接接触冷却器を出る粗製水素ストリーム中に存在する水素の質量を基準にして、98%を越える水素回収をもたらす。
【0071】
前述から解るように、種々の実施形態では、本開示は、炭化水素燃料と蒸気との間の触媒反応を実施して、水素および一酸化炭素を含む生成物ガスを生成するための反応器を提供できる。反応器は、いくつかの、種々の例示的実施態様での動作のために構成できる。触媒の収納は、反応生成物が回収される中央に位置する管を備え、閉止端を有する垂直に取り付けられた管アレイ中であり得る。中央に位置する管を通って、下方へ通過する反応生成物は、触媒を通って下方へ流れる反応供給ガスと熱移動の関係性があり得る。触媒は、アセンブリ内側管とアセンブリ外側管との間で画定される空隙(例えば、環形)中に配置される。触媒は、管アセンブリの最上部の閉止端に配置される充填管を介して各管アセンブリ中で充填および取り出しできる。触媒管の外表面は、触媒で充填された管アセンブリの部分中の反応ガスの上向きの流れに対し、向流的に流れる加熱流体ストリームにより加熱できる。加熱流体は、炭化水素の燃焼生成物と酸素の混合物により加熱された主に二酸化炭素を含む循環ストリームであり得る。反応器は、その最上部の高温端と垂直に取り付けられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、各管アセンブリは、各管アセンブリの周りで下方へ流れる加熱流体に対して最上部入口端部が開口した外側管によりに取り囲まれ、従って、各管アセンブリに熱供給でき、加熱流体は、出口管板の下で収集される。いくつかの実施形態では、加熱流体は、アセンブリのまわりを下方に流れ、管アセンブリの水平軸に90度で水平方向に配置された一連の調節板により画定される多重パス交差流配置で熱を反応供給ガスに供給できる。いくつかの実施形態では、それぞれの管は、別々の管板中に密閉でき、これは、垂直に画定された反応器の底部に配置される。管板は、供給ガスおよび加熱ガスのための分配空隙、ならびに生成物合成ガスおよび冷却加熱流体のための収集空隙を画定する。いくつかの実施形態では、管アセンブリの外表面は、加熱流体からの熱移動を強化するために半径方向フィンを備えることができ、これは、多重パス交差流配置では、反応供給ガスに対し、向流方向に流れる。いくつかの実施形態では、管アセンブリの外表面は、下向きに流れる加熱ガスからの熱移動を強化するために、それらの長さに沿って長手方向フィンを備えることができる。いくつかの実施形態では、反応器圧力容器は、内断熱できる。いくつかの実施形態では、ブドワール反応が起こる動作温度で一酸化炭素の分圧に曝露される反応器内の全ての内部表面は、好適な金属合金の選択により、または保護適用コーティングにより、または内断熱層により、メタルダスティング腐食から保護できる。いくつかの実施形態では、入口加熱ガスと、改質器触媒充填管へ入る入口ガスとの間の最大圧力差は、約5バールであり得る。いくつかの実施形態では、入口加熱流体と、管アセンブリへ入る入口ガスとの間の最大圧力差は、約2バールであり得る。いくつかの実施形態では、管アセンブリへの供給ガスの温度は、約400℃~約600℃の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応器を出る生成物ガスは、約20バール~約100バールの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、触媒床を出て、中央排出管に入る生成物ガスは、約800℃~約950℃の温度範囲であり得る。いくつかの実施形態では、反応器に入る加熱ガスは、触媒床を出て、中央排出管に入る生成物ガスより、約25℃~約100℃高い温度であり得る。いくつかの実施形態では、GHRを出る冷却加熱流体は、管アセンブリに入る供給ガスより、約25℃~約100℃高い温度であり得る。いくつかの実施形態では、管アセンブリの長さは、約6メートル~約18メートルであり得る。いくつかの実施形態では、それぞれの管アセンブリは、閉止端を有し得る。いくつかの実施形態では、アセンブリ内側管と、アセンブリ外側管との間の空隙の底部は、入口ガスの通過および触媒の閉じ込めを可能にする多孔質栓により密閉できる。いくつかの実施形態では、アセンブリ内側管のそれぞれの最上部は、生成物合成ガスが通って流れ、触媒を閉じ込める多孔質栓により密閉できる。いくつかの実施形態では、延長管は、各管アセンブリの密閉された最上部に配置でき、それぞれの管アセンブリ中の触媒装填のための充填および取り出し位置として機能できる。いくつかの実施形態では、それぞれの触媒充填管は、各管アセンブリ中の触媒床に対して下方への力を作用させるバネ仕掛けの栓を備えることができる。
【0073】
本明細書で記載のGHRは、水素製造装置で特に利用できる。水素製造装置は特に、炭化水素、酸素、および水のみの入力を利用するために必要な全ての構成要素を含むことができ、実質的に純粋な水素、使用または隔離のための二酸化炭素、および過剰の水の出力を提供する。組み合わせた部分は、従って、水素製造のためのシステムを規定し、システムまたは装置は、さらなる工業的機器およびプラントと組み合わせることができ、生成された水素は、さらなるプラントへの供給ストリームとして使用できる。水素製造装置は、しかし、他の機器またはプラントと組み合わせることなく、動作させ得、水素製造装置は、水素を製品として送出する独立型水素製造プラントとして動作させ得る。種々の実施形態では、水素製造装置、システム、またはプラントは、下記を含むことができる:本明細書で別途説明されるGHR、加熱流体としてGHRへの入力であり得る燃焼生成物ストリームを生成するように配置されたオキシ燃料燃焼器、GHR中で形成された合成ガス生成物を受けるように配置された1つ以上のシフト反応器、以下で更に詳細に記載され、1つ以上のみの圧力揺動吸収器(PSA)を含むことができる、または好ましくは1つ以上の分離膜および1つ以上のコンプレッサーも含むことができる、1つ以上の水素分離装置、GHR中で形成された合成ガス生成物を膨張させるように配置され、従って、連結した発電機で発電する1つ以上のタービン、および例えば、水から蒸気を形成するための排熱ボイラー、復熱器熱交換器、水冷却器、などを含むことができる複数の熱交換器部材。いくつかの実施形態では、システムの必要な動作圧力および流速を維持するために、1つ以上のポンプおよび/またはコンプレッサーを含んでもよい。同様に、水素製造装置、システム、またはプラントは、必要な配管、弁、およびそれらの動作に必要な制御要素を含むことができる。
【0074】
水素製造装置、システム、またはプラントの上記一般的考察を考慮して、本開示の例示的実施形態に存在するその構成要素の簡略化配置が
図5に与えられている。これは、上記で考察した構成要素を含む、水素製造装置、システム、またはプラントの一般的レイアウトを示す。このような装置、システム、またはプラントでの使用に好適するGHR100、200は、既に上記した。GHRで使用するためのオキシ燃料燃焼器で形成される加熱流体ストリーム156、256を提供するためのオキシ燃料燃焼器の動作の追加の考察が以下で提供される。また、以下に記載されるのは、分離膜およびPSAと組み合わせて1つ以上のコンプレッサーを含む、水素分離装置を利用した動作可能で、同様に有益な態様である。更に、以下は、適切な段階での圧縮の実施による、特に、PSAを出る排出ガスの取り扱いに関連して、オキシ燃料燃焼とGHRの動作の組み合わせを可能にする、水素生成物の改善された機能の考察を提供する。
【0075】
種々の実施形態では、本開示は、蒸気と炭化水素供給物を用いて、吸熱反応熱および反応生成物中の顕熱が加熱流体からの熱移動により提供される触媒改質反応器中で合成ガス(例えば、水素と一酸化炭素)混合物の生成のためのプロセスを提供できる。加熱流体は特に、主に二酸化炭素を含む。主に、加熱流体の50%モル以上が二酸化炭素であることを示す。二酸化炭素を主に含むストリームは、従って、少なくとも55モル%、少なくとも60モル%、少なくとも65モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%、または少なくとも80モル%の二酸化炭素を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱流体ストリームは、約55モル%~約95モル%、約60モル%~約90モル%、または約70モル%~約90モル%の二酸化炭素を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱流体ストリームは、5モル%もの多くの酸素、例えば、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、または約1%~約2%のモルベース酸素含量を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱流体ストリームは、5モル%以下、4モル%以下、3モル%以下、または2モル%以下の酸素を有し得る。主に二酸化炭素加熱流体ストリームは、液体であってもよい、または蒸気の形態であってもよい、水を含むことができる。水は、加熱流体ストリームの5%以下、10%以下、15%以下、または20%以下、例えば、約1%~約30%、約2%~約25%、または約5%~約20%のモルベースの水を含むことができる。更に、主に二酸化炭素を含むストリームは、オキシ燃料燃焼器に入る場合、加熱流体として改質反応器に入る場合より少ない含水量を有し得る。
【0076】
主に二酸化炭素を含むストリームは、特に、実質的に純粋な酸素を含み得る酸化剤による炭化水素などの燃料の、主に二酸化炭素を含む燃焼生成物のストリームとの直接混合による、オキシ燃料燃焼器中での燃焼により加熱できる。いくつかの実施形態では、触媒改質反応器中の動作圧力は、約25バール~約90バールの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、供給物中の炭化水素中の炭素に対する蒸気のモル比は、約3~約7の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、触媒改質反応器への蒸気と炭化水素供給物の温度は、約400℃~約600℃の範囲の温度であり得る。いくつかの実施形態では、触媒改質反応器を出る反応生成物は、約850℃~約950℃の範囲の温度であり得る。いくつかの実施形態では、オキシ燃料燃焼器に入る酸素は、循環二酸化炭素熱伝達流体の一部で希釈して、約20モル%~約30モル%の範囲の酸素濃度を与えることができる。いくつかの実施形態では、酸素供給ガス中の酸素濃度は、約90モル%~約99.8モル%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、炭化水素の燃焼に必要な酸素は、酸素がイオン輸送膜(ITM)を通る拡散により炭化水素および循環二酸化炭素の混合物中に分離される空気ストリームにより供給できる。いくつかの実施形態では、ITM燃焼器は、2つの熱交換器により分離された直列に動作する2つのITM反応器を含み、循環二酸化炭素供給物は第1の熱交換器中で第1のITM燃焼器を出る循環二酸化炭素に対して約800℃を超える温度に予熱され、その後、第2の熱交換器中で第2のITM燃焼器を出る循環二酸化炭素に対して約800℃を超える温度に加熱され、次に、第2のITM燃焼器中で約900℃~1100℃の温度に加熱される。いくつかの実施形態では、ITM燃焼器中の空気圧は、約1.1バール~約1.5バールの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ITM燃焼器に入る空気は、第3の熱交換器中のITM燃焼器を出る減耗空気に対して予熱できる。いくつかの実施形態では、オキシ燃料燃焼器を出て、触媒改質反応器に入る循環加熱流体混合物は、触媒を出て、合成ガス排出管に入る合成ガス生成物より約25℃~約100℃高い温度であり得る。いくつかの実施形態では、冷却した循環加熱ガス混合物は、GHR管アセンブリに入る蒸気と炭化水素供給物の温度より約25℃~約100℃高い温度で触媒改質反応器を出ることができる。いくつかの実施形態では、循環熱伝達流体混合物は、周囲温度近くまで冷却でき、オキシ燃料燃焼器への炭化水素燃料中の水素由来の凝縮液体水は分離できる。いくつかの実施形態では、オキシ燃料燃焼器中の炭化水素燃料中の炭素の燃焼由来の二酸化炭素は、水除去後に、周囲温度に近い循環熱伝達流体混合物から取り出すことができる。いくつかの実施形態では、触媒改質反応器に入る循環熱伝達流体混合物の圧力は、触媒改質反応器を出る合成ガス生成物の圧力とは約5バール未満だけ異なり得る。いくつかの実施形態では、蒸気と炭化水素の触媒改質反応器を出る循環熱伝達流体混合物を使って、蒸気と炭化水素の供給ストリームを触媒改質反応器入口温度に加熱できる。いくつかの実施形態では、触媒改質反応からの水素と一酸化炭素の生成物ストリームを、顕熱を移動することにより冷却して、水ボイラー中の蒸気を生成することができ、加熱は、触媒改質反応器中で反応する炭化水素ストリームに加えられる。いくつかの実施形態では、触媒改質反応器に入る二酸化炭素と蒸気ストリームの加熱は、触媒床を出て、GHR100、200のアセンブリ排出管130、230に入る合成ガスストリームの温度より約25℃~約100℃高い温度であり得る。いくつかの実施形態では、排熱ボイラー中で冷却して蒸気を形成し、続けて、一酸化炭素触媒シフト反応器中で一酸化炭素を蒸気と反応させた後、触媒改質反応器からの合成ガス生成物は、エコノマイザー熱交換器中で過熱し、発電用タービン中で圧力を下げることができる。必要に応じ、第2の触媒一酸化炭素シフト反応器を追加して、タービン排気ストリーム中で追加の水素を生成し、粗製水素生成物ストリームを生成し、続けて、凝縮液体水分離を用いて、周囲温度近くまで冷却できる。粗製水素ストリームは、純粋な加圧水素生成物ストリームおよび触媒改質器への炭化水素供給物由来の全ての二酸化炭素を含む排出ガスストリームに分離でき、この排出ガスストリームは、オキシ燃料燃焼器経に供給のために必要な圧力に圧縮できる。いくつかの実施形態では、追加の炭化水素ストリームを排出ガスストリームに加えて、オキシ燃料燃焼器中で十分な熱放出を提供し、GHR反応器の総必要熱量を満たすことができる。いくつかの実施形態では、二酸化炭素は、一酸化炭素と蒸気の水素および二酸化炭素への一酸化炭素シフト転換後に、既知のプロセスによる不純物を含む水素ストリームから分離できる。いくつかの実施形態では、マルチベッドPSA水素分離装置からの排出ガスは、圧縮でき、二酸化炭素は、既知の二酸化炭素分離プロセスにより取り出すことができる。いくつかの実施形態では、二酸化炭素の取り出し後の圧縮排出ガスは、第2のマルチベッドPSAで第2の水素ストリームに分離でき、これは、第1のPSA水素生成物ストリームに添加して、総水素生成物ストリームになる。いくつかの実施形態では、循環二酸化炭素熱移動混合物から圧力制御により分離された正味の生成物二酸化炭素ストリームは、触媒改質器およびオキシ燃料ヒーターへの供給物として使用される炭化水素ストリーム中の炭素由来の総二酸化炭素を含むことができる。いくつかの実施形態では、水素生成物は、約100モルppm未満の総不純物レベルを有し得る。いくつかの実施形態では、水素生成物は、家庭内、商業用、および工業用加熱を含む用途で、深冷空気分離装置からの窒素と混合して、ガスタービンコンバインドサイクル発電システム用の燃料として、および窒素に対する水素の3:1の比率のアンモニア合成ガスとして、天然ガスの代用品として使用できる。いくつかの実施形態では、触媒改質器中で生成された水素と一酸化炭素ガスの混合物は、水素PSA装置に入る前に、発電用タービン中で圧力を下げることができる。
【0077】
種々の実施形態では、本明細書で開示の水素製造は、水素分離装置の実装により特に効率的で経済的になる。このような装置は、水素製造プラントおよびプロセスで、特に最大含量の生成水素を取り出す能力を改善するために実装でき、これは、生成物として実質的に純粋な水素が製造の目標である(即ち、プロセス中で補助的燃料として使用するための不純物を含む水素ではなく)場合には、有益である。本来の水素PSAは、実質的に純粋な水素生成物ストリームを生成し、その一部は、供給ストリーム水素濃度を70モル%超の水素に高めるために、PSA供給物に戻される。これは、供給ストリーム中の比較的高い濃度の二酸化炭素とメタンを、PSA供給物中の水素の88%~90%の水素回収が達成できる点まで低減させる。少量の一酸化炭素および大量のメタンと一緒に、約11%のPSAへの総水素供給物を含むPSA排出ガスストリームは、通常、約50バール~約100バールの範囲であるSMR反応器の動作圧力まで圧縮される。圧縮PSA排出ガス中に存在する圧力エネルギーは、水素画分の分圧を高める。これは、拡散性低圧水素リッチ透過ストリームとしての、大部分の、通常は約80%~約95%の範囲の圧縮膜供給物中に存在する水素を分離するガス拡散膜の使用の機会を提供する。水素の回収は、小さい流れの純粋な、実質的にゼロ水素含量の二酸化炭素を、排出ガスに対して向流的に膜装置の透過側に再循環することにより強化される。水素リッチ透過ストリームはその後、圧縮され、水素PSA供給ガスストリームに戻される。単一水素PSA、圧縮排出ガスストリームおよび膜拡散装置と、圧縮され、水素PSA供給物に戻される拡散性低圧水素リッチストリームとのこの組み合わせは、88%~90%の範囲から、最大98%~99.5%まで、水素回収を増大させる。SMR炭化水素供給物由来の100%の炭素を含む水素減耗圧縮排出ガスストリームはその後、炭化水素と混合され、オキシ燃料燃焼器中で燃料として使用される。SMRおよびオキシ燃料ヒーター炭化水素供給ストリーム中の総炭素由来の全ての二酸化炭素は、圧力制御下で除去される液体水分離後、オキシ燃料再循環システムの周囲温度部分に近い二酸化炭素生成物として出現する。結果は、改質器と同じ圧力で利用可能な二酸化炭素を含む、実質的に100%の二酸化炭素捕捉である。
【0078】
水素分離装置の例示的実施形態を
図6に示す。この装置は、特に、合成ガスストリームなどの混合ガスストリームからの水素の分離および精製を提供する。水素分離装置は、マルチベッド圧力揺動吸着器(PSA)装置406、膜分離装置446、第1のコンプレッサー442、および第2のコンプレッサー449を含む。PSA406を出る排出ガスストリーム中にまだ存在している水素は、水素生成物ストリームを介した出力のためにPSA406に戻される透過ストリームとして膜分離構成要素により高濃度で取り出されるので、水素分離装置は、PSA406および膜分離構成要素446の組み合わせにより、混合ガス供給ストリームからの高効率水素製造を提供する。好ましくは、膜分離装置446は、透過ストリーム中のPSA排出ガス中に存在する水素の少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%の水素を透過ストリーム中に採取するのに効果的である。
【0079】
マルチベッドPSA装置406は、複数供給ストリームの組み合わせを利用して、水素分離装置の望ましい動作可能な効率を提供できる。多成分供給ガスストリーム401(例えば、合成ガス)は、上記のように、PSA排出ガスストリーム441からの高い割合の水素を含む圧縮透過ストリーム453と混合される。それはまた、水素の残りの部分が水素生成物ストリーム456として出る前に、水素PSA装置406中の実質的に純粋な水素生成物ストリーム428の一部である、増強ストリーム454とも混合できる。増強ストリーム454中の水素の量は、PSA406に入る最終混合供給ストリーム451が、60モル%より多く、65モル%より多く、70モル%より多く、例えば、約60モル%~約95モル%、約65モル%~約90モル%、または約70モル%~約85モル%になるように選択される。特定の実施形態では、この増強は、PSA406が、供給ガスストリーム401中の水素含量の、90モル%より多く、95モル%より多く、97モル%より多く、98モル%より多く、または99モル%より多くを回収可能にする。総水素生成物は、実質的に純粋な水素ストリーム428として生成される。多成分供給ガスストリーム401中に存在する相当量の他のガス(例えば、二酸化炭素およびメタンなどの炭化水素、および水素と一酸化炭素)は、その後、PSA排出ガスストリーム441中に出て行く。
【0080】
PSA排出ガスストリーム441は、第1のコンプレッサー442中で、好ましくは、排出ガスが、本明細書で別途説明される、オキシ燃料燃焼プロセス中の燃焼器に送出されるなどのさらなる目的に利用されるのに好適する圧力に圧縮できる。種々の実施形態では、第1のコンプレッサーは、PSA排出ガスストリーム441を少なくとも40バール、少なくとも70バール、または少なくとも100バール、例えば、約40バール~約140バール、約70バール~約130バール、または約100バール~約120バールの圧力に圧縮するように構成できる。特定の実施形態では、約92バールの圧力が好ましい。第1のコンプレッサー442は、各段階に続く、インタークーラー443などのガス冷却器を備える多段装置であり得る。第1のコンプレッサー442を出る圧縮排出ガスストリーム444は、約15℃~約45℃、約18℃~約40℃、または約20℃~約30℃、例えば、特定の実施形態では約25℃の温度で圧縮および冷却した排出ガスストリーム445を生成する冷却器451中で周囲温度近くに冷却できる
【0081】
ストリーム445は、膜分離装置446中に供給される。膜分離装置は、水素および入力ストリームの残りの部分を含む非透過物を含む透過ストリームを生成するように構成された任意の機器を含むことができる。
図6では、二酸化炭素ストリーム455は、膜装置の透過側に入り、圧縮および冷却された排出ガスストリームに対し向流的に流れる。二酸化炭素ストリーム455は、好ましくは、1000ppm未満の水素、750ppm未満の水素、500ppm未満の水素、250ppm未満の水素、または100ppm未満の水素(モルベースで)を含む。二酸化炭素ストリーム455はまた、好ましくは、実質的に純粋であり、1モル%未満、0.5モル%未満、または0.1モル%未満の二酸化炭素以外の任意の成分を含む。排出ガスストリーム445に対し向流的に流れる二酸化炭素ストリーム455は、残余ストリーム402中の水素濃度を5モル%未満、4モル%未満、3モル%未満、2モル%未満、1モル%未満に減らすことを可能にする。分離膜446を出る拡散性透過ストリームは、約1バール~約25バール、約1.5バール~約20バール、または約2バール~約15バールの範囲の圧力であり得、これは、透過ストリーム447中に拡散させるために、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%の水素を冷却および圧縮排出ガスストリーム445中に存在させる膜446の残余側と透過側との間の水素分圧差を提供する。
【0082】
透過生成物ストリーム447は、第2のコンプレッサー449(これは、再循環コンプレッサーと呼ぶことができる)中で混合ガス供給ストリーム401の圧力より充分高い圧力に圧縮され、第2のコンプレッサー449からの放出フローストリーム450が冷却器542を通過して、ストリーム453および混合ガス供給ストリーム401との混合物を形成することを可能にする。例示的実施形態では、充分に高い圧力は、約10バール~約50バール、約15バール~約45バール、または約20バール~約30バールの範囲、例えば、26バールであり得る。第2のコンプレッサー449は、連結インタークーラー448を有することができる。圧縮透過生成物ストリーム450は、約15℃~約45℃、約18℃~約40℃、または約20℃~約30℃、例えば、特定の実施形態では、約25℃の温度に、後部冷却機452中で冷却および圧縮透過生成物ストリーム453を生成し、これは、既に上記で考察したように取り扱われる。
【0083】
本開示の他のセクションでより詳細に考察されているように、膜装置446を出る残余ストリーム402は、オキシ燃料ヒーターのための燃料の一部を供給するために使用できる。このような使用は、オキシ燃料加熱を水素製造のためにGHRの使用と組み合わせる場合に特に有益である。水素PSA供給物へのリサイクルを備えた膜水素濃縮機の上記の使用は、PSAからの排出ガスがGHR動作圧力近くまで圧縮される場合に特に可能になる。換言すれば、
図6に関連して本明細書で記載の水素分離装置の動作は、第1のコンプレッサー442(以下で説明する
図7のコンプレッサー11も参照されたい)が、関連する水素製造システムおよびプロセスにおけるGHRの動作圧力に実質的に近い圧力で出力ストリームを提供するように特に構成できる。2つの圧力範囲は、好ましくは20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、または2%以下だけ異なる。これは、特に残留残余ストリーム402(以下で説明する
図7のストリーム46も参照されたい)をGHR動作圧力での燃焼に必要な圧力にするのを可能にする。このプロセスは、追加の二酸化炭素取り出しシステム(例えば、スクラバー、膜、または他の既知の二酸化炭素捕捉材料)を必要とせずに、関連する水素製造システムおよびプロセスにおける総炭化水素供給物からの実質的に完全な二酸化炭素捕捉(例えば、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、または少なくとも99.9重量%の捕捉)で動作する。これは、GHRから出る循環二酸化炭素と水の加熱ガスストリームをエコノマイザー熱交換器で冷却し、続けて、直接接触水冷却器で周囲温度近くまで冷却し、凝縮水を分離し、圧力制御下で循環二酸化炭素ストリームから正味の二酸化炭素生成物を取り出すことによって達成される。このプロセスは、98%より高い粗製水素供給物からの水素回収率を有し、また、約65%~約90%、約70%~約85%、または約74%~約80%の熱効率(LHV基準での水素の発熱量/炭化水素供給物の発熱量)を達成する。熱効率は、水素生成物圧力に依存する。
【0084】
前述から解るように、種々の実施形態では、蒸気と炭化水素のガス供給混合物を処理して、主に水素と一酸化炭素、ならびに、様々な量の二酸化炭素、蒸気、およびメタンを含む合成ガスストリームを生成できる。合成ガスは、蒸気との触媒反応によって一酸化炭素を水素と二酸化炭素に転換するように処理され、続いて冷却され、凝縮された水を分離して不純物を含む水素生成物ストリームを生成し、これは、実質的に純粋な水素ストリームと排出燃料ガスストリームに分離される。いくつかの実施形態では、粗製水素を水素分離および精製装置に通し、加圧された実質的に純粋な水素生成物ストリームおよび低圧の排出ガスストリームを生成できる。いくつかの実施形態では、水素分離および精製装置は、加圧された実質的に純粋な水素ストリームおよび低圧の排出ガスストリームを生成する水素マルチベッド圧力揺動吸着器を含むことができる。いくつかの実施形態では、PSAからの実質的に純粋な水素生成物の一部をPSA供給物に再循環して、約60モル%~約85モル%または約70モル%~約75モル%の総供給物水素濃度を得ることができる。いくつかの実施形態では、排出ガスを圧縮して、合成ガス供給圧力の約15バール以内、約10バール以内、約5バール以内、または約3バール以内の圧力にすることができる。いくつかの実施形態では、圧縮された周囲温度に近い排出ガスは、膜ガス分離器中で加圧された残余排出ガスストリームと、水素PSA排出ガスストリーム中に存在する水素の約70%~約95%を含む低圧濃縮水素ストリームとに分離できる。いくつかの実施形態では、約100ppm未満の水素を含む実質的に純粋な二酸化炭素ストリームを、排出ガスに対し向流的に膜の透過側を通過させることができる。いくつかの実施形態では、膜の透過側からの排出ガスストリームは、約2バール~約10バールの圧力であり得る。いくつかの実施形態では、膜の透過側からの排出ガスストリームは、圧縮し、水素PSA供給物に再循環できる。いくつかの実施形態では、水素と一酸化炭素のガス混合物は、約30バール~約100バールの範囲の圧力で供給できる。いくつかの実施形態では、システムの水素回収は、PSAおよび膜システムに供給される粗製水素中の水素の約98%より大きくできる。いくつかの実施形態では、プロセスは、膜装置の残余側からの排出燃料ガスの燃焼生成物と実質的に純粋な酸素中で燃焼する追加の炭化水素とを直接混合することによって加熱された二酸化炭素再循環ガスによって対流加熱された蒸気および炭化水素管状触媒改質器を含む供給混合物を生成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、高温一酸化炭素シフト反応後の合成ガスは、発電用タービン中の低圧まで膨張させることができる。いくつかの実施形態では、PSAからの実質的に純粋な水素は、ガスタービン用の燃料ガスとして、水素プラント中で予熱された窒素と混合できる。いくつかの実施形態では、PSAからの実質的に純粋な水素は、アンモニア合成装置への供給物として、窒素と混合でき、水素プラントからの熱およびアンモニア合成反応からの熱は、動力装置用の熱を提供できる。いくつかの実施形態では、電力システム燃焼水素は、発電用タービン、復熱器熱交換器、および再循環二酸化炭素コンプレッサーで、クローズドサイクル二酸化炭素動作流体を使用できる。いくつかの実施形態では、水素製造と水素分離の組み合わせでの使用は、プロセスへの総炭化水素供給物中の炭素を基準にしてほぼ100%の二酸化炭素捕捉で達成できる。
【0085】
水素製造システムおよびそのシステムの関連する動作方法の例示的実施形態を
図7に示す。このシステムには、本開示の1つ以上の実施形態に従ってGHR、オキシ燃料燃焼、および水素分離を含む。明確にするために記すと、GHRは、オキシ燃料水素燃焼のための方法およびシステムで有用な改質反応器の例示的実施形態である。従って、本明細書でGHRへの参照は、文脈上別段の定めがない限り、改質反応器への参照をより広範に、暗黙的に含むと理解される。
【0086】
特に
図7を参照すると、触媒管状GHR配置1(GHR100および200に関連して本明細書で既に提供された本開示と一致した内側配置を有する)は、上部管板(要素229、
図3A)と下部管板(要素239、
図3A)との間の供給ガス入口分配空隙(要素208、
図3A)へのライン60を通る入口流を有し、それにより、供給ガスは、GHR1の管アセンブリ中の触媒充填空隙に入る。入口流は、蒸気および炭化水素を含む反応供給ストリームを提供し、これは、好ましくは、低い炭素数ガス、例えば、C
1~C
5炭化水素(個別にまたは混合物で)、特にメタンまたは天然ガスである。蒸気および炭化水素は、好ましくは、約2~約9のモル比、好ましくは、約4~約7のモル比、例えば、特定の実施形態では、約5のモル比で提供される。インライン60中の反応物質供給ストリームは、約30バール~約120バール、好ましくは約30~約100バールの圧力、例えば、特定の実施形態では、約90バールの圧力である。反応物質供給ストリームの温度は、約300℃~約700℃の範囲、好ましくは、約400℃~約600℃の範囲、例えば、特定の実施形態では、約550℃の温度である。
【0087】
触媒が充填されたGHR1チューブアセンブリの部分で炭化水素と蒸気の触媒反応によって生成される合成ガス(主に一酸化炭素と水素)は、アセンブリ内側管(要素130、230、
図2Aおよび
図3A)に入る場合、最初は約600℃~約1000℃、好ましくは約800℃~約1000℃、より好ましくは約850℃~約950℃、例えば、特定の実施形態では約900℃の温度を有し、その後、アセンブリ内側管の中央穴に沿って通過し、約400℃~約800℃、好ましくは約500℃~約700℃、例えば、特定の実施形態では約600℃の温度でストリーム25としてGHR配置1から出ていく。特に、合成ガスは、アセンブリ内側管中で反応物質供給ストリームの温度の約25℃~約100℃以内である温度に冷却できる。GHR1中で形成された合成ガスは、使用した炭化水素の合計炭素に対する蒸気の比率および触媒を出る合成ガスの温度に依存する一酸化炭素濃度を有し、好ましくは、約2モル%~約15モル%、約2.5モル%~約10モル%、または約3モル%~約8モル%の範囲の濃度、例えば、特定の実施形態では、約5モル%の濃度である。
【0088】
ストリーム25は、蒸気発生器4中で冷却され、これは、気水分離器3および循環ストリーム27および26を有する熱サイホンボイラー給水循環装置を更に備える。冷却した合成ガスは、約15バール~約120バール、好ましくは約20バール~約115バール、より好ましくは約28バール~約98バール、例えば、特定の実施形態では約88バールの圧力、および約200℃~約400℃、好ましくは約225℃~約350℃、例えば、特定の実施形態では約313℃の温度で、ストリーム57中の蒸気発生器4を出る。冷却した合成ガスはその後、触媒一酸化炭素シフト反応器5に入り、そこで、その一酸化炭素含量が減らされる。好ましくは、一酸化炭素シフト反応器は、合成ガスストリーム中の一酸化炭素含量を2モル%以下に、1モル%以下に、または0.5モル%以下に、減らすのに効果的である。この例示的実施形態では、一酸化炭素含量は、5.09モル%から0.27モル%に減らされる。ストリーム56中を出るシフト合成ガスの温度は、約10℃~約80℃または約25℃~約70℃だけ温度を上げる、例えば、この例示的実施形態では、約365℃の温度まで上げる。シフト反応器5からの出口合成ガスストリーム56および蒸気分離器3を出る飽和蒸気ストリーム65は、中間点で別々にエコノマイザー熱交換器2を通過し、両方とも、約400℃~約650℃、約450℃~約625℃、または約500℃~約600℃の温度、例えば、特定の実施形態では、約550℃の温度に加熱される。ストリーム58でエコノマイザー熱交換器から出た加熱合成ガスは、発電機8を駆動する発電タービン7中で、約10バール~約40バール、約15バール~約35バール、または約20バール~約32バールの圧力、例えば、特定の実施形態では約27バールの圧力まで膨張される。シフトおよび加熱された合成ガスストリームのタービン出口ストリーム55は、熱交換器23で、約25℃~約55℃、約30℃~約50℃、または約35℃~約45℃、例えば、特定の実施形態では約40℃の温度に冷却される。これは、ポンプ24から受けたボイラー給水ストリーム28を、ストリーム28として蒸気分離器3に入る前に、約225℃~約375℃、約250℃~約350℃、または約275℃~約325℃、例えば、特定の実施形態では約300℃の温度に加熱する。あるいは、発電機10を駆動するタービン9を省略して、高圧合成ガスストリーム41を熱交換器2で冷却し、高圧の水素をPSA21から出る水素生成物ストリーム中で維持できる。ポンプ24からのボイラー給水ストリーム28は、エコノマイザー熱交換器2で加熱できる。冷却された合成ガスは、その後、直接水冷式熱交換充填塔15に入り、更に冷却されて、凝縮水が塔の底部から出て行く。凝縮水は、水ストリーム31に分かれ、水ストリーム31はボイラー給水源ストリーム29に合流してポンプ24に入り、水ストリーム32はポンプ20によって熱交換器16を通って循環し、水ストリーム33として出て、塔15に戻される。熱は、システムから熱交換器16中の冷却水ストリーム34から35に取り出される。補給水流29を含む、ポンプ24に入る全水ストリームは、イオン交換装置(図示せず)などの精製装置で精製される。
【0089】
冷却された合成ガスは、充填塔15からストリーム43として、約20バール~約35バール、約20バール~約32バール、または約24バール~約30バールの圧力、例えば、特定の実施形態では26バールの圧力の水蒸気で飽和され、約15℃~約40℃、約20℃~約35℃、または約22℃~約28℃、例えば、特定の実施形態では約25℃の温度で出て行く。ストリーム43は、不純物を含む水素再循環ストリーム42および純粋な水素再循環ストリーム70と合流して、混合ガスストリーム44を形成し、これは、マルチベッド水素PSA(圧力揺動吸着)装置21を通される。PSAユニット21は、約15バール~約35バール、約20バール~約30バール、または約22バール~約28バール、例えば、特定の実施形態では約25バールの圧力と、約15℃~約35℃、約20℃~約30℃、および約22℃~約28℃、例えば、特定の実施形態では約25℃の温度の、実質的に純粋な(たとえば、1000ppm未満、500ppm未満、または100ppm未満の不純物濃度)水素生成物ストリームを提供する。純粋な水素生成物の一部は、水素側流70として取り出すことができ、PSA供給ストリーム44に再循環して戻され、水素濃度を好ましくは70モル%以上に高め、PSAからの高純度水素の回収を維持しながら、PSAからの排出物流中に存在する大量の二酸化炭素およびメタンの回収を促進する。排出ガスは、排出ガスストリーム67としてPSA装置21から出て、モーター12によって駆動されるコンプレッサー11で、約30バール~約100バール、約40バール~約100バール、または約80バール~約100バールの圧力、例えば、特定の実施形態では約95バールの圧力に圧縮される。PSA排出ガスは、ストリーム68としてコンプレッサー11を出て、膜分離装置22を通って処理される。膜分離装置22は、排出ガスストリームを透過ストリーム、および残留水素を含む残余ストリームに分離するいずれの膜装置であってよく、追加の不純物および二酸化炭素、水、および一酸化炭素などのPSA排出ガスストリームの残りの成分を含む残余ストリームを含み得る。小量の実質的に純粋な二酸化炭素ストリーム71(例えば、100ppm未満の水素含量を含む)は、膜の残余出口端の膜22の透過側に供給され、最終排出生成物フローストリーム46中の水素の拡散を促進し、最も低い水素分圧を達成する。透過ストリーム45(すなわち、不純物を含む水素)は、約5バール~約15バール、約7バール~約14バール、または約8バール~約12バールの圧力で、例えば、特定の実施形態では約10バールの圧力で提供される。次に、このストリームは、約1.5倍~約4倍、または約2倍~約3倍圧縮され、約18バール~約50バール、約20バール~約40バール、または約22バール~約32バールの圧力、例えば、モーター14によって駆動されるコンプレッサー13の特定の実施形態では、約26バールの圧力が達成される。圧縮透過ストリームは、再循環水素ストリーム42として提供され、これは、塔15を出る、冷却合成ガスストリーム43に加えられる。再循環水素ストリーム42は、冷却合成ガスストリーム43とほぼ同じ水素モル分率を有することができる。この再循環システムは、冷却合成ガスストリーム43の98%を超える水素回収率を得るために効果的である。既に上記したように、PSAおよび膜分離の組み合わせは、水素分離装置またはコンプレッサー11、13を一緒に含むシステムを画定でき、冷却合成ガスストリーム43のシフト合成ガス中の最大比率の水素が水素生成物ストリームとして分離できる。このような水素分離装置は、冷却合成ガス流43中の水素の少なくとも95モル%、少なくとも97モル%、または少なくとも98モル%、例えば、水素の約95モル%~約99.9モル%、約96モル%~約99.8モル%、または約97モル%~約99.5モル%を回収するのに効果的である。水素分離装置は、
図6に関連して更に記載される。
【0090】
炭化水素燃料源47は、PSA21および分離膜22からの排出ガスの残余部分ストリーム46に添加するための炭化水素燃料ストリーム49を提供する。炭化水素燃料ストリーム47は、約70バール~約120バール、約80バール~約110バール、または約90バール~約100バールの圧力、例えば、特定の実施形態では約94.6バールの圧力で、全燃料ガスストリーム50を形成し、これは、エコノマイザー熱交換器2で約400℃~約700℃、約450℃~約650℃、または約500℃~約600℃の温度、例えば、特定の実施形態では約550℃の温度に加熱された後に、オキシ燃料燃焼器6にストリーム62として入る。そこで、それは、実質的に純粋な酸素ストリーム63からの酸素で燃焼され、この酸素ストリームは、飽和蒸気ストリーム65の一部を用いて、約200℃~約300℃、約215℃~約285℃、または約225℃~約275℃の温度、例えば、特定の実施形態では約250℃の温度に予熱されている。代替実施形態では、希釈した酸素ストリームを使用し得る。例えば、酸素ストリーム63は、再循環二酸化炭素ストリーム52の一部と混合されて、モル基準で約15%~約75%、約17%~約50%、または約20%~約30%の酸素濃度を有する酸化剤ストリームを形成し、残りは実質的に二酸化炭素のみを含む。次いで、希釈酸化剤ストリームは、エコノマイザー熱交換器2内で、約450℃~約700℃、約475℃~約650℃、または約500℃~約600℃の温度、例えば、特定の実施形態では約530℃の温度に加熱できる。
【0091】
燃焼器6は、オキシ燃料燃焼プロセスで有用であるとして認められる任意の配置を有してよい。例えば、燃焼器は、外側燃焼器シェル6a、および燃焼室6cを内部的に画定する燃焼器ライナー6bを画定するように配置できる。燃料および酸化剤は、燃焼器6の燃焼室6cに注入できる。酸化剤はまた、ライナー6bの少なくとも一部を介して注入してもよい。主に二酸化炭素を含むストリームは同様に、燃焼器ライナーを介して注入できる。オキシ燃料燃焼器6は、主に二酸化炭素を含むストリームの第1の部分を燃焼室6cの反応ゾーン6e中に受け、主に二酸化炭素を含むストリームの第2の部分を燃焼室6cの希釈ゾーン6d中に受けるように、配置できる。燃焼器は、尺度通りに図示されておらず、むしろ、必要に応じ配置できる構成部分の存在を示していることは
図7で理解される。 好適な燃焼器は、米国特許第10,859,264号に更に記載されている。この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。追加の燃焼器配置は、米国特許第9,068,743号に記載されている。この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
燃焼生成物は、エコノマイザー熱交換器2で約400℃~700℃、約450℃~650℃、または約500℃~600℃、例えば、特定の実施形態では約550℃の温度に加熱された加熱再循環二酸化炭素ストリーム61と混合され、約750℃~1150℃、約800℃~1100℃、または約1000℃~900℃、例えば、特定の実施形態では約950℃の温度の出口加熱流体ストリーム64が供給され、これは、GHR配置1のシェル側の最上部、または高温端に入る。加熱流体ストリーム64は、約85モル%~約98モル%、約90モル%~約98モル%、または約92モル%~約96モル%の二酸化炭素濃度を有することができる。残りの部分は、好ましくは水であるが、小量の他の不純物は存在してもよい。特に、加熱ストリーム64は、モル基準で約0.1%~約5%、約0.2%~約3%、または約3%~約2%の酸素濃度を有することができる。
【0093】
加熱流体流64は、調節板(
図2Aの155)またはアセンブリ外側管と第3の周囲管(
図3Aの235)との間の空間によって促進されて、チューブアセンブリの外側表面の周囲、特にアセンブリ外側管(120、220)の外側表面の周囲をGHR中の下方に通過する。流体は、チューブアセンブリに熱が供給されるに伴い冷却され、約500℃~約800℃、約550℃~約750℃、または約600℃~約700℃の温度、例えば、本例示的実施形態では658℃の温度で、ライン59を通って帰還加熱流体ストリームとしてGHR1から出る。次に、エコノマイザー熱交換器2に入り、約20℃~約80℃、約25℃~約70℃、または約30℃~約60℃、例えば、特定の実施形態では約40℃の温度に冷却された後、ストリーム53として出て行く。ストリーム53は、精製装置に送られる。この例示的実施形態では、精製装置は直接接触充填塔水冷却器17を備えているが、精製装置は、エコノマイザー熱交換器で冷却された後、改質反応器由来の加熱流体の他の成分からの二酸化炭素の分離に効果的な、さらなる構成要素を備えることができると理解されている。水冷却器17は、循環システムを有し、そこで、ストリーム36中の水は、ポンプ19および冷却水流37から38を有する水冷却熱交換器18を用いて、ストリーム39へ循環される。過剰水は、ストリーム30を出て、ボイラー給水源ストリーム29と混合される。冷却水飽和二酸化炭素ストリームは、実験結果によると、25℃で約0.002~約0.004の範囲の飽和度水モル分率を有する。水冷却器の最上部を出るのは、主に二酸化炭素ストリーム40を含む冷却および精製されたストリームである。このストリーム40は、モーター10によって駆動される循環コンプレッサー9で、約75バール~約110バール、約80バール~約100バール、または約88バール~約92バールの圧力に圧縮され、ストリーム41として出て行き、これは、生成物ストリームおよび再循環ストリームに分割される。この方式では、主に二酸化炭素41のストリームは、オキシ燃料燃焼器6を通過するのに好適する圧力である。正味の二酸化炭素生成物ストリーム51は、圧力制御下で取り出され、再循環二酸化炭素ストリーム52は、エコノマイザー熱交換器2に入り、上記で考察したように、加熱され、燃焼器6に戻される。炭化水素源47からの炭化水素供給ストリームは、好ましくは、約75バール~約115バール、約80バール~約110バール、または約85バール~約105バール、例えば、特定の実施形態では約95バールの圧力であり、一部は改質器供給ストリーム48として送られ、これは、GHR1に送られるが、一部(ストリーム49)は分割され、ストリーム46のPSA排出物に追加されて燃料ストリーム50を形成し、これは、燃焼器6で燃焼される。ストリーム48および50の両方は、エコノマイザー熱交換器2中で、約400℃~約700℃、約450℃~約650℃、または約500℃~約600℃、例えば、特定の実施形態では約550℃の温度に加熱される。改質器供給ストリーム48は、エコノマイザー熱交換器2を加熱改質器供給ストリーム67として出て、既に上記したように、エコノマイザー熱交換器中で過熱された蒸気ストリーム65から生じた過熱蒸気ストリームと混合される。混合された蒸気飽和燃料ストリーム60は、好ましくは、約7対1~約2対1、約6対1~約3対1、または特定の実施形態では、約5対1の蒸気燃料比を有する。混合蒸気飽和燃料ストリーム60はその後、アセンブリ外側管(120、220)とアセンブリ内側管(130、230)との間の触媒充填空隙中での触媒反応のためにGHR配置1の管アセンブリに入る。
【0094】
上述システムの動作の計算は、100ポンドモルのGHR配置に対するメタン供給量をベースにしている。95バールでの総メタン供給量は、125.42ポンドモルである。25バールでの水素製造量は、313.7ポンドモルである。95バールでの必要酸素量は、94.93ポンドモルである。167℃から40℃までの温度から2200Kwの利用できる過剰な熱が存在し、これは、地域暖房または、特に、水素を使って、コンバインドサイクルガスタービン動力装置に動力を供給する場合、関連蒸気電力システムでのボイラー供給水の予熱に使用できる。94バールでの二酸化炭素製造量は、125.42ポンドモルである。
【0095】
上記は、特に、GHRアセンブリ、オキシ燃料燃焼、水素の分離および圧縮、および高効率水素製造を提供するのに有益な他の特徴のすべてを含む、本開示の好ましい実施形態について考察を提供しているが、本開示は、水素製造が望ましい効率で達成でき、特定の状況でより効果的に利用され得る他の態様も包含する。従って、本開示による追加の水素製造プロセスの例示的実施形態は、
図8を参照して、以下で提供される。
【0096】
図8では、オキシ燃料水素製造システムが図示されている。以下の例示的実施形態は、特定の動作パラメーターを利用して記載され、このような動作パラメーターは、好ましい実施形態にのみ関連し、このようなパラメーターは、オキシ燃料水素製造の類似の実施形態中の動作のための、範囲内の、特に、別に本明細書で記載の範囲内の、変動を受けやすいと理解されている。
【0097】
図8に図示されているオキシ燃料水素製造のためのシステムおよびプロセスは、好ましくは、約28バールの圧力で水素を生成できる。GHR50は単純化のために、反転して示されることに留意されたい。オキシ燃料水素製造プロセスは、直接水接触塔56中で周囲温度近くに冷却後、加圧合成ガスに対する低温二酸化炭素取り出しステップを含む。これは、PSA供給物中の二酸化炭素濃度を制限し、追加の純粋な水素生成物ストリーム89および最終の排出ガスストリーム88を生成する第2の小さいPSA装置69中で処理されるストリーム91に対する二酸化炭素取り出し装置68を出る加圧ベントガスストリーム91中の充分高い水素含量を可能にする。排出ストリーム88からの二酸化炭素および水素の別の取り出しは、それが、再圧縮され、追加の炭化水素供給物と共にGHR触媒改質器に戻され得ることを意味する。
【0098】
図8を参照すると、GHR850は、新しいメタンストリーム895およびモータードライブ871を備えたコンプレッサー870で約32バールに圧縮されている第2段階PSA869からの排出ガスストリーム888の混合物を含む約32バールおよび約550℃の供給ストリーム897を有する。2つのストリームは、熱交換器854で別々に加熱される。排出ガスは、約140℃の温度に加熱され、これは、冷却合成ガス生成物ストリーム884の露点より約5℃低温であり、低温シフト反応器855から熱交換器854に約257℃で送られる。メタンストリームは、約250℃の温度に加熱される。2つの流出ストリーム8110および896は、熱交換器877中で冷却循環二酸化炭素熱移動ストリーム8116に対して約550℃に加熱され、熱交換器877に入る。メタン8100のストリームは、550℃のメタンストリームから分離され、25モル%の酸素と75モル%の二酸化炭素ストリーム898および二酸化炭素循環ストリーム899と共に、オキシ燃料燃焼器878に入る。これらは両方共、877中で約509℃に加熱されている。燃焼生成物と循環二酸化炭素ストリームの混合物である、加熱循環二酸化炭素ストリーム8115は、GHR850に入る。残りのメタンと加熱排出ガスストリームはその後、32バール、550℃で、排熱ボイラー(WHB)851および気水分離器852から8108として生成され、熱交換器877中で過熱されたストリーム8109と混合される。
【0099】
GHRを出る約600℃の生成物合成ガスストリーム879は、WHB851中で約330℃に冷却され、ストリーム880として出て、高温シフト反応器853に入り、そこで、その温度は、約425℃に上昇され、その後、第2のWHB851の通過により約257℃に冷却され、ストリーム882として出て、熱交換器854に入る。合成ガスは、約210℃に冷却後、ストリーム883として出て、低温シフト反応器855に入った後、約260℃の温度でストリーム884として出て、熱交換器854に再入する。合成ガスは、熱交換器854をストリーム885として約40℃で出て、直接接触水冷却機856で約25℃に冷却される。直接接触水冷却機856は、循環水ポンプ858および冷却水熱交換器857を有する。総供給ストリーム895中の水素の酸化由来の出口水ストリーム8120は、水処理システム860に送られる。出口ストリーム886は、第1のPSA装置861中で、28バールの水素生成物ストリーム887と、1.2バールの排出ガスストリーム8118とに分離され、これは、モーター862により駆動されるコンプレッサー863中で約40バールの圧力に上げられる。圧縮排出ガスストリーム8119を、窒素ガスを用いて、二床式熱再生乾燥機867中で乾燥し、その後、ストリーム8120は、低温二酸化炭素取り出し装置868に入る。分離した二酸化炭素ストリーム892は、メタンのオキシ燃料燃焼由来の二酸化炭素、ストリーム8121と一緒に中間冷却を有する多段コンプレッサー864に入る。約75バールのコンプレッサーからの生成物ストリームは、水冷却器894により周囲温度近くに冷却され、得られた高密度超臨界二酸化炭素は、複数ホイール渦巻きポンプ866中で約200バールに圧力が高められ、二酸化炭素生成物ストリーム893をパイプライン輸送のために送出する。約67.6%の水素を含む未凝縮の約39バールの圧力の排出ガスストリーム891は、第2のPSA装置869中で、約38バールの第2の水素生成物ストリーム889と、約1.2バールの排出ガスストリーム888とに分離され、これは、コンプレッサー870に入る。
【0100】
熱交換器877を約40℃で出る、冷却循環二酸化炭素蒸気8117は、循環水ポンプ875および冷却水熱交換器876を有する直接接触水冷却機874中で25℃に冷却される。冷却二酸化炭素ストリーム8102は、モーター873により駆動されるガス循環コンプレッサー872中で圧縮される。オキシ燃料燃焼からの正味生成物二酸化炭素は、コンプレッサー排出ストリーム8103からのストリーム8121として取り出される。このストリームは、添加した酸素ストリーム8111と共に、熱交換器877に入る酸化剤ストリーム8112を形成する。この一部、ストリーム8113は、熱交換器854中で冷却合成ガス生成物に対し、約140℃のストリーム8114に加熱され、その後、熱交換器877中の循環酸化剤ストリームに再合流し、そこで混合流は約550℃に加熱される。直接接触冷却器856および874、ストリーム8120および8162からの正味の凝縮水と、水供給ストリーム8103は、水処理装置860中で、精製される。総水ストリーム8105は、ボイラー給水ポンプ859中で約35バールの圧力に高められ、熱交換器854中でストリーム8107として約232℃に加熱され、WHB851用のボイラー供給水として気水分離器852に送られる。
【0101】
低温シフト転換器855からのガスストリーム884は、熱交換器854中で約150℃の温度のその露点まで冷却され、これは、熱交換器のピンチポイント温度である。約150℃からの合成ガス冷却は、合成ガス凝縮物中の15.9%の残留蒸気含量として利用できる非常に大きな追加量の熱を生ずる。更に、二酸化炭素循環熱移動ストリームの冷却から利用できる類似量の熱が存在し、熱交換器877中で約117℃のその露点未満で凝縮する約6%の蒸気含量を有する。これらの2つのストリームを合わせると、この熱は、循環加圧水流を約133℃に加熱するために使用でき、これは、地域暖房に現在使われている天然ガスまたは石油を置換するために理想的な温度レベルである。代替または追加の使用は、60%の水素と40%の窒素燃料ガスを燃焼するように変換された新規または既存のガスタービンでのその燃料としての使用、またはアンモニア製造のための使用の前に、水素生成物を約133℃に予熱することであろう。
【0102】
いくつかの実施形態では、空気は、炭化水素燃料および燃焼器に供給された排出ガスを燃焼させるための酸化剤として利用できる。同様に、通常約11%~約13%の酸素を含み、約400℃~約650℃の温度で利用可能な、ガスタービン排気ストリームは酸化剤として使用可能である。これは、ASUおよび代用品の必要性を無くし、燃焼器に対しトッピングサイクルとして機能し、水素製造のためのプロセス効率を実際に高めるガスタービンを置換できる。ガスタービンは、蒸気と炭化水素触媒改質器を統合して、水素生成物を生成できる。改質器は、既に記載したように、GHR配置であり得る。GHR配置では、蒸気と炭化水素燃料の触媒反応により形成された合成ガス生成物は、アセンブリ内側管を流れ下り(
図2Aおよび
図3Aのそれぞれ、要素130および230)、これは、触媒充填管と向流的熱移動関連性で、触媒充填した外側管の末端まで伸び、吸熱反応に必要な熱の一部を提供する。残りの熱は、外側触媒充填管上を通る加熱流体により供給されなければならない。
【0103】
考慮されるそれぞれの場合で、供給されるガスタービン燃料は、選択ガスタービンにより必要な圧力のメタンまたはLPGまたは軽質ナフサなどの炭化水素である。改質器プロセスにより生成された実質的に純粋な加圧水素生成物は、マルチベッド圧力揺動吸着装置から送達され、これはまた、減圧排出燃料ガスも生成し、これは、主に二酸化炭素としての改質器炭化水素供給物の全ての炭素を含むが、一部の未転換一酸化炭素およびメタンも含む。この排出燃料は通常、約1.1バール~約1.3バールの圧力である。この減圧燃料ガスは、ガスタービン排気中に含まれる酸素を用いて燃焼させて、バーナー排気中で約1000℃~約1200℃の範囲の温度を生成する。燃焼した排出燃料ガスの量は、バーナー排気の酸素含量を、ガスタービンを出る排気中の酸素含量の約3%~約6%に減らす。メタン改質器供給物由来の全ての炭素ならびにガスタービン排気中に存在する全ての利用可能な酸素を使用するための追加のメタンを含むPSA排出ガスの燃焼は、二酸化炭素と窒素および蒸気を含み、約1%~約2%の酸素を有する高温ガスをもたらす。バーナー排気は、ガスタービン排気中の約3%~約4%に比べて、約20%~約30%の二酸化炭素濃度を有する。排出燃料ガスは、グリッドタイプバーナーのガスタービン排気中で燃焼させて、ガスタービン排気を均一に加熱できる。この配置は、水素PSA装置の送達圧力、またはこの圧力に極めて近い圧力で、排出燃料を利用できる。排出燃料ガスの量は、改質器装置の最大水素製造量を規定する。理由は、ガスタービン排気中の利用可能な酸素の最大量は、燃焼を支援するために使用されているためである。
【0104】
考慮された第1の事例では、加熱ガスタービン排気により送達された熱は、再循環二酸化炭素ストリームを加熱するために使用され、これは、次に、改質器のための熱を提供する。第2の事例では、加熱ガスタービン排気は、蒸気と炭化水素の触媒改質器の加熱流体として直接使用される。それぞれの事例では、改質器加熱後のガスタービン排気は、改質器供給物のための炭化水素供給ガス、排出燃料ガスを予熱するため、および改質器に必要な過剰蒸気を生成するための両方に熱を供給するために、ならびに改質器に対する全蒸気流を過熱するために、使用される。改質器加熱後のガスタービン排気はまた、発電のために、および熱交換部分を出るガスタービン排気を受ける、アミン二酸化炭素取り出し装置の加熱のための蒸気を生成する。加熱媒体は、PSA排出ガスと、必要に応じ、約1%~約2%のみの残留酸素濃度を残す、熱ガスタービン排気中の残りの酸素を消費するための追加の炭化水素燃料を燃焼させることにより生成される熱である。最初の事例では、高温燃焼ガスは、加圧循環二酸化炭素ストリームを約900℃~約1050℃の範囲の温度に過熱するために使用される。循環二酸化炭素ストリームは、ガス加熱改質器中の蒸気とメタンの触媒吸熱反応のための熱および反応物に対する予熱のための熱を供給する。循環二酸化炭素ストリームの圧力は、約25バール~約100バールの範囲であり得る。圧力は、触媒充填した改質器管への入口の圧力の約5バール以内の圧力である。
【0105】
第1の事例を示す例示的実施形態を
図9に示す。図は、ガスタービン、バーナー中での燃料としての排出ガスの使用、および加熱されて改質反応器のための加熱流体ストリームを提供する循環流体ストリーム、の詳細を提供する。このような実施形態で有用なさらなる要素は、
図7および
図8、ならびに上記GHR配置の更なる考察に関連して記載されるシステムおよび方法との関連などの、本明細書での追加の開示を考慮すると直ちに認識され得る。同様に、以下に記載の動作パラメーターは、示した例示的実施形態を参照するが、範囲に関連して既に本明細書で記載のパラメーターは同様に、以下で考察する例示的実施形態にも当てはまると理解されている。例えば、改質反応器に対する入力ならびに出力圧力および温度は、既に上記されたいずれの範囲内であってもよい。
【0106】
図9を参照すると、コンプレッサー部分354および発電機372を駆動するタービン部分356で吸気流371を受け、燃焼器355で加圧炭化水素燃料ストリーム334を受ける、ガスタービンが示されている。本実施例で選択されたガスタービンは、Siemens SGT-800であり、これは、iso条件で、41.4%のLHV効率、約596℃の排気温度および約135.5Kg/秒の排気流を有する62.5Mwの正味の出力を有するが、このような機器は、この例示的実施形態の例示目的のために記載されていると理解されている。この実施例に使用した燃料はメタンであるが、他の燃料も同様に使用し得る。約1.1バールの圧力の燃料ガスストリーム337がガスタービン排気中の酸素を用いて燃焼されたガスタービン排気342は、燃焼器307(例えば、グリッドバーナー)に入り、これは、ガスタービン排気ダクト全体にわたって広がり、この実施例では、約11.6モル%の濃度で入るが、既に上記した他の濃度も利用可能である。約95%の酸素がバーナー307中で消費される。
【0107】
ガスタービンは、改質反応器301と一体化される。燃料ガスストリーム337は、改質器301からの冷却粗製水素ストリーム341を処理するマルチベッド圧力揺動水素分離装置336からの排出ガスである。このような水素分離器336は、既に記載したように配置され得る。実質的に純粋な水素生成物ストリーム390および水ストリーム391は、排出ガスストリーム392と共に、分離器を出る。水素分離器からの排出ガスは、改質器への炭化水素供給物中に存在する全ての炭素を主にCO2として含むが、未転換炭化水素および一酸化炭素も含み、この炭素は、ガスタービン燃焼器355中で生成された二酸化炭素と一緒に、バーナー排気343中で二酸化炭素として出現する。バーナー排気343は、約1100℃の温度で熱回収熱交換器308に入り、クローズドサイクル加熱ガス二酸化炭素ストリーム339を加熱し、これは、約270℃および約32バールで入り、約950℃でストリーム340として出る。ストリーム340は、既に上記したように、加熱流体として機能して、改質反応器301に、吸熱改質反応を実施するために必要な熱を提供し、約625℃および約31バールでストリーム382として出る。改質反応器301を出る加熱流体のストリーム382は、熱交換器305中で冷却され、既に記載の、いくつかの追加のストリームの予熱のための熱を提供する。
【0108】
再循環二酸化炭素ストリーム382は約270℃に冷却され、ストリーム338として約31.25バールで熱交換器305を出て、モーター325により駆動される循環コンプレッサー324に入る。熱交換器305は、燃料ガスおよび蒸気要件のために予熱を提供する。水素分離器排出燃料ガスストリーム326は、例えば、約550℃に加熱され、ストリーム337として出た後に、ダクトバーナー307に入る。いくつかの実施形態では、追加の熱は、それが熱交換器305に入る前に、それに加える加熱再循環二酸化炭素ストリーム340の一部を再循環二酸化炭素ストリーム382に迂回させることにより提供できる。ガスタービン排気ストリーム344は、さらなる処理のために、必要に応じ、および発電分野で理解されるように、処理できる。
【0109】
第1の事例では、加熱ガスは、純粋な酸素中、高圧で燃料を燃焼させることによる循環二酸化炭素を加熱するための代替法として、ガスタービン由来の脱酸素高温放出ガスからの循環二酸化炭素ストリームへの熱移動に対応して提供できることが解る。特に、加熱流体は、ガスタービンからの排気による間接熱移動により加熱できる主に二酸化炭素の循環ストリームであり得る。この排気は、必要に応じ、追加の炭化水素と組み合わせて、PSAからの低圧排出ガスを含む燃料ガスを燃焼させる酸化剤としてガスタービン排気中の残留酸素を使用することにより温度が高められている。冷却ガスタービン排気は、二酸化炭素取り出しのために、必要に応じて処理され得る。
【0110】
第2の事例は、高温燃焼ガスを用いて、触媒管を直接加熱する。これは、第1の事例よりも、触媒管を横切る遥かに高い圧力差を意味し、これは、触媒管への入口での動作圧力を、約25バール~約35バールの範囲に制限し、また、厚肉のHK40などの高ニッケル管を使用する必要があることを意味する。これは、ガスタービン排気により加熱される再循環高圧二酸化炭素加熱ガスの使用に比べて、加熱ガスとしての脱酸素ガスタービン排気の直接使用を遥かに魅力の少ないものにする。それは、既に記載したGHRコンパクト触媒改質器の使用を可能にし、高価な触媒管による極めて大きな熱移動面積の必要性を生じる遥かに低い熱伝達率の低圧加熱ガスを有する直接加熱改質器よりも遥かに低いコストになる。従って、直接加熱の事例は、あまり好ましくない。それぞれの事例では、改質器加熱後のガスタービン排気は、改質器への蒸気および炭化水素供給ストリームを予熱するため、および二酸化炭素回収装置で使われた化学溶媒の再生に必要な熱を提供するために、使用される。
【0111】
好ましくないが、GHRの直接加熱は、オキシ燃料水素製造を提供するために可能な経路であり、このような直接加熱経路は、以下のように実施できる。ガスタービンは、コンプレッサー部分および発電機を駆動するタービン部分で吸気流を受けることができ、燃焼器で加圧炭化水素燃料ストリーム334を受けることができる。ガスタービンは、例えば、Siemens SGT-800であり、これは、iso条件で、41.4%のLHV効率、約596℃の排気温度および約135.5Kg/秒の排気流を有する62.5Mwの正味の出力を有する(例えば、メタンを燃料として使用して)。ガスタービン排気は、ガスタービンの排気ダクト全体に広がるグリッドバーナーに入り、そこで1.1バールの圧力の燃料ガス流が、11.6モル%の濃度で流入するガスタービンの排気中の酸素を使用して燃焼される。約95%の酸素がバーナー中で消費される。ガスタービンは、既に本明細書で記載のように、蒸気およびメタン管状ガス加熱触媒改質器(GHR)と一体化される。燃料ガスストリームは、改質器からの冷却粗製水素ストリームを処理するマルチベッド圧力揺動水素分離装置からの排出ガスである。改質器反応器から出た30バール、650℃の改質された生成物水素と一酸化炭素のガスストリームは、ほぼ飽和した高圧蒸気を生成する排熱ボイラー、2段階の一酸化炭素シフト反応器、熱回収用の熱交換器、最終直接接触水冷却機および凝縮水分離器ストリームと、それに続くPSA装置を含む、実質的に純粋な水素生成物ストリームを生成する処理部分に入る。このような成分は、実質的に純粋な水素を生成する触媒改質プロセスで有用と認識される物質から選択され得る。一酸化炭素触媒シフト反応器は、水素生成過剰蒸気および二酸化炭素を用いて改質器反応器中で生成された合成ガス中の約95%の一酸化炭素を転化する。PSAからの排出ガスは、改質器へのメタン供給物中に、主に二酸化炭素として存在するが、未転換メタンおよびCOとしても存在する実質的に全ての炭素を含み、この炭素は、バーナー排気中に二酸化炭素として、ならびにガスタービン燃焼器中で生成された二酸化炭素およびメタン供給ストリームから取り出した追加のメタン燃料ガスストリームの燃焼から生成した二酸化炭素として出現する。
【0112】
バーナー排気は、約1100℃の温度で、熱回収熱交換器部分に入る。入口温度は、ストリームとしてガスタービン排気から取り出され、送風機で圧力が高められた、再循環クエンチガスストリームにより約1100℃に下げられる。第1の部分は、クローズドサイクル加熱ガス二酸化炭素ストリームを加熱し、約270℃、32バールで入り、蒸気およびメタン触媒改質器に入る前に、約950℃で出る。そこで、それは、吸熱改質反応を行うのに必要な熱を供給し、約625℃、31バールで反応器を出る反応生成物を予熱する。再循環ストリームはその後、エコノマイザー熱交換器中で冷却されて、メタン供給物を予熱し、混合改質器メタンおよび水供給ストリームを生成するための蒸気供給物および供給水ストリームを約31バール、約550℃に過熱し、PSA排出ガスストリームおよび追加のメタン燃焼ストリームを約550℃に加熱するための熱を供給する。
【0113】
その同心円管配置および3つの管板を有するガス加熱管状改質器反応器の設計は、上記で記載され、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、および
図4に図示されている。これらの3つの管板は、順に、合成ガス生成物の収集のための空隙、約31バールと約550℃で、約4:1のメタンに対する水のモル比を有するメタンと水ストリームの混合物の入口のための空隙、および多重チャネルコンパクト熱交換器に入る、約31バールで約625℃の流出口循環二酸化炭素ストリームのための空隙を画定する。再循環二酸化炭素ストリームは約270℃に冷却され、約31.25バールで出て、モーターにより駆動される循環コンプレッサーに入る。熱交換器は、燃料ガスおよび蒸気要件のために予熱を提供する。熱交換器および一酸化炭素と過剰な蒸気との反応により二酸化炭素と水素に転換する一酸化炭素シフト反応器は、熱交換器中で予熱される次の供給ストリームを生成する。メタン総供給物蒸気は、約33バールで、約250℃であり、約550℃で出る。このストリームは、約550℃で、過熱蒸気ストリームと混合され、約4:1のメタンに対する蒸気のモル比を有する改質器への供給ストリームを形成する。
【0114】
PSA排出燃料ガスストリームおよび追加のメタンストリームを混合して、1.5バール、約250℃の合計ストリームを得て、ダクトバーナーに入る前に約550℃に加熱される。約232℃のボイラー給水は、総過熱蒸気流の一部を生成し、これは、加熱されたメタンと混合して改質器301のための供給ストリームを提供する。熱交換器におけるこれらの予熱作業に必要な熱は、改質器を出る冷却再循環ストリームで利用可能な熱よりも大きい。追加の熱は、約950℃の加熱された再循環二酸化炭素ストリームの一部を迂回させ、再循環二酸化炭素ストリームが熱交換器に入る前に再循環二酸化炭素ストリームに追加することにより供給される。あるいは、このストリームは、約625℃の熱交換器中の加熱二酸化炭素再循環ストリームからの副流として取り出すこともできる。
【0115】
ガスタービン熱交換器部分には、ダクトバーナーからの燃焼生成物を含む約270℃のガスタービン排気の入口流を有する。それは、給水ストリームを加熱し、約3.5バールの圧力でストリーム37を生成する。これにより、アミン二酸化炭素分離装置の再生のための合計3.5バールの蒸気流に必要な水素プラントからの蒸気生成が追加された蒸気流が提供される。約100℃のガスタービン排気流は、熱回収熱交換器を出て、直接接触水冷却機に入り、そこで約20℃まで冷却され、ガスストリーム中で生成された水の大部分は凝縮されて処理のために取り出される。乾燥ガスは、モーターで駆動されるコンプレッサーで約0.95バールから約1.5バールに圧縮される。ガスタービン排気中の二酸化炭素の少なくとも95%(システムへの総供給量の95%)は、約2バールの平均圧力(異なる圧力の2つのストリームが利用可能)で実質的に純粋な二酸化炭素ストリームとして取り出され、最終的な排出ガスストリームは大気中に放出される。二酸化炭素生成物は、モーター314によって駆動される多段コンプレッサーで約70バールに圧縮され、そこを出て、冷却器に入り、そこで温度が約25℃に下げられる。バルブ中で圧力が約6バールまで下げられ、約6バールの飽和液体二酸化炭素生成物ストリームおよび約6バールの再循環フラッシュガスストリームが生成され、これは、コンプレッサーに再循環される。
【0116】
1つ以上の実施形態では、本開示は、反応ストリームとして蒸気と炭化水素を使用する触媒改質器(GHR)と組み合わせたガスタービンを組み込んだオキシ燃料水素製造を提供することができる。改質器触媒充填管は、外部ガス流により加熱できる。外部ガス流を加熱するために必要な熱の少なくとも一部は、ガスタービン排気中の改質器からの水素生成物ガスを精製するマルチベッド揺動吸着器からの排出ガスを燃焼させることにより生成できる。PSA排出ガスの燃焼に必要な酸素は、ガスタービンからの排気から取り出すことができる。PSAからの排出ガスは、必要に応じ、メタンを追加して、ガスタービンの排気中で燃焼させることができる。燃焼後のガスタービン排気中の酸素含有量は、約1モル%~約2モル%である。加熱ガスタービン排気は循環ガスストリームを加熱するために使用でき、これによりGHR中の触媒充填改質器管が加熱される。ガスタービン排気中に存在する利用可能最大量の酸素で燃焼する排出水素PSA排出ガスのみを使用する場合に利用できる熱が、水素プラントで必要な熱に比べて不足する場合は、燃焼器で使用される燃料ガスに炭化水素を追加することで改善できる。熱交換器から排出されるガスタービン排気中に存在する二酸化炭素は、物理的または化学的吸収プロセスで分離でき、ガスタービン排気中に存在する二酸化炭素の少なくとも95%を回収できる。二酸化炭素取り出しプロセスにおける溶媒再生に必要な熱は、脱酸素化されたガスタービン排気中に存在する熱を使用して供給できる。
【0117】
1つ以上の実施形態では、本開示による水素製造は、GHR配置の加熱流体ストリームを生成するために使用されるオキシ燃料燃焼器用の実質的に純粋な酸素を生成するための空気分離装置(ASU)などの高エネルギー入力要素を必要性としないオプションを実装することにより、更に高い効率で達成できる。いくつかの実施形態では、これは 1つ以上のイオン輸送膜装置の使用により達成できる。
【0118】
ITMオキシ燃料燃焼器と二酸化炭素再循環ヒーターの一般的な配置を
図10に示す。燃焼用の酸素は、約800℃~約1050℃の温度範囲で動作する酸素イオン輸送膜(ITM)を介した酸素分子の拡散により、大気圧に近い圧力の予熱空気ストリームから供給される。循環する再循環二酸化炭素ストリーム1212(
図7のストリーム61に対応)の入口流は、予熱された炭化水素ガスの一部1228および全排出燃料ガスストリーム1226(
図8のストリーム62に対応)と混合される。これらのストリームの両方は、約400℃~約700℃、約450℃~約650℃、または約500℃~約600℃、例えば、特定の実施形態では約550℃の範囲の温度であり、圧力は約15バール~約1340バール、約20バール~約120バール、または約25バール~約100バールの範囲の圧力である。
【0119】
混合ストリーム1227は熱交換器1202に入り、そこで約700℃~約1000℃、約725℃~約900℃、または約750℃~約850℃、例えば、特定の実施形態では約800℃の温度に加熱される。出口ストリーム1213は、第1のITM燃焼装置1207に入る。記載された入口温度は、酸素イオン輸送拡散膜1210を通して酸素が急速に拡散することを保証する。拡散酸素は、約1バール~約2バール、例えば、約1.5バールの圧力、および約600℃~約900℃、約625℃~約800℃、または約650℃~約750℃、例えば、特定の実施形態では約700℃の温度の空気ストリーム1221によりもたらされ、これは、復熱式空気熱交換器1203から出る加熱空気ストリーム1219の一部である。空気ストリーム1221は、第1のITM燃焼装置1207の空気側に入る。それは、装置1207を通過する際に、ITM膜1210を介した熱移動によって対流加熱される。酸素はITM1210を通って拡散し、減耗空気ストリーム1222は、約800℃~約1000℃の温度、例えば、特定の実施形態では約875℃の温度で第1のITM燃焼器の空気側を出る。ストリーム1222は、膜1210を通して拡散する含有酸素の濃度の約50モル%~約80モル%、約60モル%~約80モル%、または約70モル%~約80モル%が減耗している。拡散する酸素は、最大約50バール、最大約75バール、または最大約100バールの圧力になり得る再循環二酸化炭素ストリーム中の炭化水素(例えば、メタン)と反応し、生成した熱は、二酸化炭素再循環流および二酸化炭素と水の燃焼生成物の混合物の温度を上昇させる。
【0120】
加熱された再循環二酸化炭素ストリーム1214は、約800℃~約1100℃、約850℃~約1050℃、または約900℃~約1000℃、例えば、特定の実施形態では約950℃の温度で第1のITM燃焼器1207を出て、熱交換器1202に入り、そこでストリーム1213の入口温度よりも約25℃~約?(100167C)高い温度まで冷却され、ストリーム1236として出て行く。この二酸化炭素再循環ストリームは熱交換器1230に入り、そこで約650℃~約950℃、約700℃~約900℃、または約750℃~約850℃、例えば、特定の実施形態では約800℃の温度に加熱され、ストリーム1235として出て行く。熱は、第2のITM燃焼器206からで出る出口二酸化炭素再循環ストリーム1216から、約800℃~約1300℃、約900℃~約1200℃、または約950℃~約1150℃、例えば、特定の実施形態では約1050℃の温度で取り出され、それ自体が約800℃~約1100℃、約850℃~約1050℃、または約900℃~約1000℃、例えば、特定の実施形態では約950℃の温度まで冷却され、
図7のストリーム64に相当する出口ストリーム1234として熱交換器1230を出る。
【0121】
ストリーム1235は、炭化水素および排出燃料ガス供給ストリーム1229の残りの部分と混合され、混合ストリーム1215は第2のITM燃焼器1206に入る。燃焼用の拡散酸素は、約1バール~約2バール、例えば約1.5バールの圧力、および約600℃~約900℃、約600℃~約800℃、または約650℃~約750℃、例えば、特定の実施形態では約700℃の温度の空気ストリーム1220から供給され、これは加熱空気ストリーム1219の一部である。この空気ストリームは、ITM燃焼器1206の空気側に入り、減耗空気ストリーム1223は、約900℃~約1100℃、約850℃~約1050℃、または約900℃~約1000℃、例えば、特定の実施形態では約950℃の温度で出て行く。再循環空気ストリームは、ITM膜装置1206を通過する際に、ITM膜1211を介した対流による熱移動によって加熱される。第2のITM燃焼器1206の空気側を出た減耗空気ストリーム1223は、第1のITM燃焼器1207からのストリーム1222と合流し、合計ストリーム1224は空気復熱式熱交換器1203に入る。そこで、約40℃~約110℃、約50℃~約100℃、または約60℃~約90℃、例えば、特定の実施形態では約75℃の温度まで冷却され、ストリーム1225として大気中に放出される。
【0122】
吸気流1207を有するモーター205により駆動される断熱空気圧縮機1204は、約1.2バール~約5バール、約1.2バール~約3バール、または約1.2バール~約2.5バール、例えば、特定の実施形態では約1.7バールの圧力と、約35℃~約95℃、約45℃~約85℃、または約55℃~約75℃、例えば、特定の実施形態では約65℃の温度で空気流1218を送出する。空気ストリーム1218は、空気復熱式熱交換器1203に送られ、そこで約500℃~約900℃、約600℃~約800℃、または約650℃~約750℃、例えば、特定の実施形態では約700℃の温度に加熱される。ストリーム1234として出る再循環二酸化炭素ストリームは、その後、本明細書で加熱流体ストリームとして機能すると説明されている水素製造システムのさらなる実施形態のいずれかのGHT配置に入る。2段階ITM燃焼システムの性能は、各ITM燃焼器1206、1207への炭化水素および空気の流れがシステムで指定された温度を達成するように流れを制御する制御システムを動作させることにより最大化できる。
【0123】
前述から分かるように、本明細書に記載の水素製造のオキシ燃料燃焼態様は、さまざまな方法で提供できる。燃焼は、特に、炭化水素燃料が注入され、システム内に窒素が導入されないように空気から分離された酸素で燃焼されるように注入される従来の燃焼器で実行することができる。燃焼は、二酸化炭素流の存在下で行われ、主に二酸化炭素と、水および場合により、少量の1種以上の不純物を含む燃焼排気ストリームを生成する。このタイプのオキシ燃料燃焼は、
図5、
図7、および
図8に示されている水素製造システムおよび方法に関連して上記で説明されている。従って、このような図およびそれらの関連する開示は、炭化水素燃料と蒸気が触媒反応させられて合成ガスを形成する管アセンブリを加熱するためのGHR配置に追加されるように構成された加熱流体ストリームを形成するために、精製酸素を使用した従来の燃焼器でのオキシ燃料燃焼を明示的に記載していると理解される。しかしながら、このような図およびそれたの関連する開示は、記載されている従来の燃焼器の使用のみに限定されるわけではない。むしろ、従来の燃焼器(例えば、
図5の標識装置、
図7の要素6、および
図8の要素78)は、
図10に関連して上述したように、ITM装置に置き換えられ得ることが明示的に理解される。このような実施形態(例えば、
図10のITM装置と、
図5、
図7、または
図8のオキシ燃料水素製造システムのいずれかとの組み合わせ)では、ITM燃焼装置1206、1207の酸素側への酸素源入力として純粋な空気を利用できるため、また、酸素がITM燃焼装置1206、1207内のITM膜1210、1211を横切って選択的に拡散し、装置の燃料側を通過した炭化水素燃料を燃焼するため、ASUは不要になる。ITM燃焼装置を実装すると、従来の燃焼器とASUを使用して精製酸素を供給する同一の水素製造プラントと比較して、水素製造プラントの稼働に必要な電力消費を少なくとも25%、少なくとも35%、または少なくとも45%、例えば、約25%~約75%、約35%~約65%、または約45%~約55%削減できる。
【0124】
上で考察した用途に適した典型的なITM膜は、ペロブスカイト結晶構造中に配置された混合金属酸化物を含み得る。二酸化炭素と、メタンやPSA排出ガスなどのガス状炭化水素燃料とを含む混合物は、約20~約100バールの範囲の高圧でITM膜の透過側を通過させることができる。透過側の酸素の平衡分圧が極めて低いため、ITMの動作温度で酸素が炭化水素と反応し、拡散が起る。その結果は、合成ガス生成とオキシ燃料燃焼の両方に供給される炭化水素中に存在する炭素から得られる二酸化炭素を100%捕捉するプロセスである。
【0125】
本明細書で記載のように生成された水素は、さまざまな最終用途に適用できる。非限定例として、窒素と混合された水素は、ガスタービン複合サイクル発電装置において、天然ガスの代わりまたは補充の燃料として使用できる。燃料ガスのモル組成は、例えば、約60モル%の水素と約40モル%の窒素とすることができる。性能は、純度約99.999%の窒素と混合された純度約99.995%による約25バールの圧力および約25℃での水素製造を基準にしている。GE9HA-02ガスタービン2基と単一蒸気システムを含み、水素燃料ガスに天然ガスと同じ熱入力を使用するGE複合サイクル発電システムの転換により、次の条件が達成される:正味出力(iso条件)は約1681Mw、熱消費率は約5306Btu/Kwhr Net、必要な水素は約826756Nm3/時間、必要な窒素は約551171Nm3/時間、必要な酸素は約8486.9Mt/日、二酸化炭素生成量(メタン燃料)は約15573.6Mt/日、効率は約51.14%。超臨界二酸化炭素サイクルの所要出力が約0.54Mt/Mwhrであるのと比較して、酸素需要量は0.2104メートルトン/Mwhrであることに留意されたい。
【0126】
水素の使用のさらなる非限定例として、本開示に従って生成された水素を窒素と混合して、約25バールおよび約25℃でアンモニア製造用の約25%窒素および75%水素合成ガスを得ることができる。合成ガス中の不純物の総量を約50ppm未満にできる。アンモニアループは、ループからのパージガス抜きなしで操作できるため、パージガス精製システムは不要である。水素システムから得られる約300℃未満の余剰低品位熱は、アンモニア合成反応器で生成される余剰熱とともに使用して、発電用の熱として供給できる。この熱を高圧循環二酸化炭素ストリームに伝達し、それを発電タービンに通すことで電力を生成できる。高温のタービン排気は、復熱器熱交換器で冷却され、その後タービン入口圧力まで圧縮され、復熱器熱交換器で加熱される。蒸気ではなく、二酸化炭素作動流体を使用する利点は、ボイラー給水を蒸気システム内で蒸発する際に温度プラトーが存在しないことである。オキシ燃料水素システムは、約250℃~約300℃の範囲のピンチ温度未満で利用できる大量の熱を有する熱回収エコノマイザー熱交換器を備えることができる。この余剰熱は、アンモニアループに供給される圧縮された75%水素と25%窒素の合成ガス供給物を予熱するために、または再循環二酸化炭素を予熱するために利用できる。アンモニアプラントの所要電力をすべて満たした後、かなりの量の余剰電力が生成される。これは、他のどの開示アンモニア製造システムよりも、このプロセスに対して、より低い天然ガス要件をもたらす。性能は、以下の例示的実施形態に示すように、供給ガスが250,000Nm3/hrの水素、および83,333Nm3/hrの窒素であり、総不純物レベルは約50ppmであり得る。ガスストリームは約25バールで、水素オキシ燃料システムで約167℃に予熱され、アンモニア生産量は約3039Mt/日、余剰発電は約63.8Mw、電力効率60%での熱当量はNH3のMt当り約2552万Btuであり得る。
【0127】
本明細書で使用される「約」または「実質的に」という用語は、特定の記載された値または条件が、明示的に記載された値または条件だけでなく、それに比較的近い値、またはそれに比較的近いと認識される条件も含むものとして解釈されることが意図されていることを示し得る。例えば、本明細書において特に断わらない限り、ある数値の「約」またはある数値の「実質的に」という値は、特定の数値または値だけでなく、そこから5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、または1%以下変動する数値または値(+または-)も示すことができ、明確にするために必要に応じて、そのような値のいずれも「約」および/または「実質的に」という単語と同義に使用できる。同様に、本明細書で別途記載がない限り、実質的に存在する状態は、その状態が説明または主張されているとおりに正確に満たされているか、一般的な製造許容範囲内であるか、または必要な状態を完全には満たしていなくても、通り一遍の観察で必要な状態を満たしているように見えることを示すことができる。いくつかの実施形態では、値または条件は明示的であると定義することができ、したがって、「約」または「実質的に」(従って、記載された変化)という用語を明示的な値から除外することができる。
【0128】
本主要部に属する当業者であれば、前述の説明および関連する図面に示された教示の恩恵を受ければ、本開示主要部の多くの修正および他の実施形態を思いつくであろう。従って、本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正および他の実施形態も添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは一般的で説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的として使用されているものではない。
【国際調査報告】