(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】(メタ)アクリレートモノマーに基づく組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20241031BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241031BHJP
C08F 220/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
C08F220/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529769
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 FR2022000115
(87)【国際公開番号】W WO2023089252
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】518221575
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド オート アルザス
【氏名又は名称原語表記】Universite de Haute Alsace
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マツァジェチク, ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】フーケイ, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】バラ, アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】ラレベー, ジャク
【テーマコード(参考)】
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J040FA141
4J040FA151
4J040FA171
4J040FA191
4J040HB04
4J040HB24
4J040HC01
4J040HC04
4J040HC05
4J040HC21
4J040HD19
4J040HD21
4J040HD39
4J040JA13
4J040KA14
4J040KA25
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA42
4J040LA05
4J040NA12
4J040NA15
4J040NA19
4J040PA30
4J040PA32
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100BC08P
4J100BC59Q
4J100FA19
(57)【要約】
本発明は、架橋可能な2成分組成物であって、
-成分Aであって、
-以下の式(Ia)または(Ib):
の1つを有する化合物と、
-少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーM1と
を含む成分Aと、
-ポリアミン、ジヒドロピリジン化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含む成分Bと
を含む架橋可能な2成分組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋可能な2成分組成物であって、
-成分Aであって、
-以下の式(Ia)または(Ib):
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
aおよびR
bのうちの各々は、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールからなる群より選択される基を表し、
-R
fは、ペルハロアルキルまたはハロアルキルを表し、
-X
-は、アニオンを表す]
の1つを有する化合物と、
-以下の式(II)、(III)、(IV)または(V):
[式中、
-R
9は、Hまたはメチルを表し、
-R
10は、H、メチルまたはエチルを表し、
-pは、0または1を表し、
-Zは、H、O、S、アルキル基、ベンジル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、
-Yは、O、S、NHまたはCH
2を表し、
-
は、単結合または二重結合であり、
ただし、ZがOを表す場合、結合
は二重結合であり、
-Gは、C
4~C
20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキルまたはアリールからなる群より選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキルおよびアリールは、アルキル基で置換されていてもよく、前記基Gは、それがヘテロ原子を含まないことを特徴とする]
の1つを有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーM1と
を含む成分Aと、
-ポリアミン、ジヒドロピリジン化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含む成分Bと
を含み、
ただし、成分Aが式(II)を有するモノマーM1を含み、成分Bがジヒドロピリジン化合物から選択されるアミン化合物を含む場合、成分Aは、25℃の水中で測定して、0.3~5.0の範囲のpKaまたはpKa1を有する有機酸または鉱酸をさらに含む、
架橋可能な2成分組成物。
【請求項2】
式(Ia)または(Ib)において、アニオンX
-が、FSO
3
-、CF
3SO
3
-、CF
2HSO
3
-、Cl
-、Br
-、BF
4
-、BF
3Cl
-、PF
6
-および(F
5Ph)
4B
-からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(Ia)または(Ib)において、
-R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8のうちの各々が、互いに独立して、水素もしくはハロゲン原子、またはアルキル、好ましくは水素もしくはフッ素原子からなる群より選択される基を表し、
-R
fが、ペルフルオロアルキルまたはフルオロアルキル、好ましくはペルフルオロアルキルを表し、
-X
-が、アニオンを表し、好ましくはFSO
3
-、CF
3SO
3
-およびBF
4
-から選択される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
式(Ia)の化合物が、
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
式(II)において、Gが、C
4~C
20アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなる群より選択され、前記アルキル、シクロアルキルおよびアリールは、アルキル基で置換されていてもよいことを特徴とし、前記基Gは、ヘテロ原子を含まないことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
式(II)において、Gが、シクロアルキルから、好ましくは
から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
式(III)のモノマーM1が、以下のモノマー:
から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
式(IV)のモノマーM1が、以下のモノマー:
から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
架橋可能な2成分組成物中の(メタ)アクリレートモノマーM1の含有量が、前記架橋可能な2成分組成物の総重量に対して20重量%~99重量%、好ましくは50重量%~99重量%、さらにより優先的には75重量%~99重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ポリアミンが、
-少なくとも1つの第一級アミン基(-NH
2)(B1)を含むポリアミン;
-第一級アミン基(-NH
2)(B2)を含まないポリアミン
から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの第一級アミン基(B1)を含むポリアミンが、
i)脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の第一級ジアミン、例えばエチレンジアミン(EDA);2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;1,3-ペンタンジアミン(DAMP);1,5-ペンタンジアミン;1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD);2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン);4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン;2,4-’ジアミノジシクロヘキシルメタン;4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキサンアミン);1,6-ヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミン、HMDA);2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン;2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン;1,7-ヘプタンジアミン;1,8-オクタンジアミン;1,9-ノナンジアミン;1,10-デカンジアミン;1,11-ウンデカンジアミン;1,12-ドデカンジアミン;1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン;ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン;1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA);2-および/または4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボランジアミン、NBDA);3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン(TCD-ジアミン);1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA);1,8-メンタンジアミン;3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン(m-XDA)、およびそれらの混合物など;
ii)少なくとも1つの第二級アミン基(-NHR、RはH以外)を含む第一級ジアミン、例えば、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT);ジエチレントリアミン(DETA);トリエチレンテトラミン(TETA);テトラエチレンペンタミン(TEPA);ペンタエチレンヘキサミン(PEHA);およびそれらの混合物など;
iii)芳香族ポリアミン、例えば、2,4-トリレンジアミン(2,4-TDA);2,6-トリレンジアミン(2,6-TDA);m-フェニレンジアミン(PDA);4,4’-ジアミノジフェニルメタン(4,4’-MDA);2,4’-ジアミノジフェニルメタン(2,4’-MDA);およびそれらの混合物など;
iv)第三級アミン基(-NR
2、RはH以外)および少なくとも2つの第一級アミン基(-NH
2)を含むポリアミン、例えば、N,N’-ビス(アミノプロピル)ピペラジン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)エチルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)プロピルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)-2-エチルヘキシルアミン;トリス(2-アミノエチル)アミン;トリス(2-アミノプロピル)アミン;トリス(3-アミノプロピル)アミン;およびそれらの混合物など;
(v)ポリエーテルアミン、特にポリエーテルジアミン、例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル;3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン;4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン;4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン;4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン;5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン;4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン;ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン;およびそれらの混合物など;
vi)第一級アミン基(-NH
2)および第二級アミン基(-NHR、RはH以外)を含むポリアミン、例えば、N-ブチル-1,2-エタンジアミン;N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン;N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン;4-アミノメチルピペリジン;N-(2-アミノエチル)ピペラジン;N-メチル-1,3-プロパンジアミン;N-ブチル-1,3-プロパンジアミン;N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン;N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン;3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン;3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン;3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン;およびそれらの混合物など;
vii)アミノアルコール、例えば、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)など;
viii)ポリアミドアミン;
ix)脂肪アミンダイマーまたはトリマー;
x)ポリエチレンイミン(およびそのデンドリマー)、例えば、450~25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し、特に以下の式:
の少なくとも1つの基を有するもの;
xi)ポリプロピレンイミン(およびそのデンドリマー);
xii)ポリ(プロピレン-エチレン)イミン;
xiii)およびそれらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリアミン(B1)が、
i)脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の第一級ジアミン;
ii)少なくとも1つの第二級アミン基(-NHR、RはH以外)を含む第一級ジアミン;
x)ポリエチレンイミン(およびそのデンドリマー);
およびそれらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ジヒドロピリジン化合物が、以下の式(VI)~(X)
[式中、
-基R
11~R
17の各々は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、基-COOR
cを表し;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル基は、置換されていてもよく、
R
cは、アルキルまたはアリール基を表し、
-またはR
11~R
17のうちの2つの基が一緒になって、置換されていてもよい単環式または多環式の環を形成する]
のうちの1つを有し、
ジヒドロピリジン化合物は、好ましくは、式(VI)または(VII)を有する
ことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ジヒドロピリジン化合物が、以下の化合物:
から選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
0.3~5の範囲のpKaまたはpka1を有する酸が、カルボン酸から、さらにより優先的にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、サリチル酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ジフルオロ酢酸およびそれらの混合物から選択される有機酸であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
接着剤、マスチックまたはコーティングとしての、好ましくは接着剤としての、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項17】
接着結合によって2つの基材を組み立てるための方法であって、
・組み立てられる2つの基材の少なくとも一方に、請求項1から15のいずれか一項において定義される成分AおよびBを混合することによって得られる組成物をコーティングすることと、次いで、
・2つの基材を効果的に接触させることと、
・組成物を架橋することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレートモノマーに基づく組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、輸送、海洋、組立、電子機器または建設分野における材料の修復および/または半構造的もしくは構造的な接着結合における前述の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
アクリル組成物は、ラジカル重合によって架橋する公知の反応系である。それらは、接着剤、マスチックおよびコーティングとして使用される。ラジカル重合は、典型的には、酸化還元反応によってラジカルの生成をもたらすレドックス系によって開始される。
【0004】
ほとんどのアクリル系は2成分系である。第1の成分は、従来、還元剤および反応性モノマーを含み、第2の成分は、酸化剤を含む。2成分が混合されると、還元剤は、例えば有機過酸化物のO-O結合の開裂を誘発し、重合を開始する。
【0005】
典型的には、(メタ)アクリル組成物は、過酸化物(酸化剤)/第三級アミン(還元剤)レドックス系を含む。しかしながら、これらの系は、(メタ)アクリレートモノマーの存在下で貯蔵安定性の問題を呈することがある。
【0006】
反応性と貯蔵安定性との両方をうまく満足させることを可能にする新規の(メタ)アクリル組成物が必要とされている。
【0007】
さらに、良好な接着特性を有する新規の(メタ)アクリル組成物も必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、架橋可能な2成分組成物であって、
-成分Aであって、
-以下の式(Ia)または(Ib):
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
aおよびR
bの各々は、互いに独立して、水素またはハロゲン原子、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールからなる群より選択される基を表し、
-R
fは、ペルハロアルキルまたはハロアルキルを表し、
-X
-は、アニオンを表す]
の1つを有する化合物と、
-以下の式(II)、(III)、(IV)または(V):
[式中、
-R
9は、Hまたはメチルを表し、
-R
10は、H、メチルまたはエチルを表し、
-pは、0または1を表し、
-Zは、H、O、S、アルキル基、ベンジル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、
-Yは、O、S、NHまたはCH
2を表し、
-
は、単結合または二重結合であり、
ただし、ZがOを表す場合、結合
は二重結合であり、
-Gは、C
4~C
20アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキルまたはアリールからなる群より選択され、前述のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキルおよびアリールは、アルキル基で置換されていてもよく、前述の基Gは、該基がヘテロ原子を含まないことを特徴とする]
の1つを有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーM1と
を含む成分Aと、
-ポリアミン、ジヒドロピリジン化合物、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含む成分Bと
を含み、
ただし、成分Aが式(II)を有するモノマーM1を含み、成分Bがジヒドロピリジン化合物から選択されるアミン化合物を含む場合、成分Aは、25℃の水中で測定して、0.3~5.0の範囲のpKaまたはpKa1を有する有機酸または鉱酸をさらに含み、
架橋可能な2成分組成物に関する。
【0009】
本発明の文脈において、「アルキル」という用語は、好ましくは1~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味すると理解される。例えば、メチル、エチルおよびプロピルを言及することができる。
【0010】
本発明の文脈において、「C4~C20アルキル」という用語は、4~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖のアルキルを意味すると理解される。
【0011】
本発明の文脈において、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味し、前記の基は、好ましくは2~20個の炭素原子を含むと理解される。例として、プロペニル、ブテニルを言及することができる。
【0012】
本発明の文脈において、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味し、前述の基は、好ましくは2~20個の炭素原子を含む。
【0013】
本発明の文脈において、「アリール」という用語は、好ましくは6~12個の炭素原子を含む単環式または二環式の芳香族基を意味すると理解される。例えば、フェニルを言及することができる。
【0014】
本発明の文脈において、「アリールアルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基を意味し、アリールアルキル基は、好ましくは7~20個の炭素原子を含むと理解される。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジルを言及することができる。
【0015】
本発明の文脈において、「アルキルアリール」という用語は、アルキル基で置換されたアリール基を意味し、前述のアルキルアリール基は、好ましくは7~20個の炭素原子を含む。
【0016】
本発明の文脈において、「ヘテロアリール」という用語は、例えばO、SまたはNなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含み、好ましくは4~12個の炭素原子を含む単環式または二環式の芳香族基を意味すると理解される。言及することができる例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、インドリルまたはイミダゾリル基が挙げられる。
【0017】
本発明の文脈において、「シクロアルキル」という用語は、好ましくは3~12個の炭素原子を含む飽和、単環式または多環式、好ましくは単環式または二環式の系を意味し、環は場合により、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルあるいはノルボルニル基などの対で架橋または縮合されていると理解される。
【0018】
本発明の文脈において、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、好ましくは3~12個の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子、例えばOまたはNなどを含む飽和、単環式または多環式、好ましくは単環式または二環式の系を意味し、環は場合により対で架橋または縮合されていると理解される。
【0019】
本発明の文脈において、「シクロアルケニル」という用語は、好ましくは3~12個の炭素原子を含む少なくとも1つの二重結合を含む単環式または多環式の系を意味し、環は場合により対で縮合または架橋されている。
【0020】
本発明の文脈において、「アルコキシ」という用語は、-O-アルキル基を意味する。
【0021】
成分A
式(Ia)または(Ib)の化合物
成分Aは、上で定義した式(Ia)または(Ib)の化合物を含む。
【0022】
アニオンX-は、FSO3
-、CF3SO3
-、CF2HSO3
-、Cl-、Br-、BF4
-、BF3Cl-、PF6
-および(F5Ph)4B-からなる群より選択され得る。
【0023】
上述の式(Ia)または(Ib)において、Rfはハロアルキルを表してもよい。
【0024】
それは、例えば、フルオロアルキル基、例えばCHF2またはCH2Fであってもよい。
【0025】
好ましくは、式(Ia)または(Ib)において、Rfはペルフルオロアルキルを表し、さらにより優先的にはCF3、C2F5、C3F7またはC4F9を表す。特に好ましい実施形態によれば、RfはCF3を表す。
【0026】
式(Ia)または(Ib)の化合物は、以下のものから選択され得、
-R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8、RaおよびRbの各々は、互いに独立して、水素もしくはハロゲン原子、またはアルキル、好ましくは水素もしくはフッ素原子からなる群より選択される基を表し、
-Rfは、ペルフルオロアルキルまたはフルオロアルキル、好ましくはペルフルオロアルキルを表し、
-X-は、アニオンを表し、好ましくはFSO3
-、CF3SO3
-およびBF4
-から選択される。
【0027】
好ましい実施形態によれば、成分Aは、特に、
からなる群より選択される式(Ia)の化合物、
さらにより優先的には、以下の化合物:
の1つから選択される化合物
を含む。
【0028】
式(Ia)の化合物は、国際公開第2016/107578号に記載されているように調製することができる。式(Ib)の化合物は、国際公開第2011/013307号に記載されているように調製することができる。
【0029】
式(Ia)または(Ib)の化合物の総含有量は、架橋可能な2成分組成物の総重量に対して0.05重量%~5.00重量%、好ましくは0.10重量%~3.00重量%、さらにより優先的には0.25重量%~1.50重量%の範囲であり得る。
【0030】
(メタ)アクリレートモノマーM1
成分Aは、上で定義した式(II)、(III)、(IV)または(V)の1つを有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーM1を含む。
【0031】
上述の式(II)において、Gは、好ましくは、C4~C20アルキル、シクロアルキルまたはアリールからなる群より選択され、前述のアルキル、シクロアルキルおよびアリールは、アルキル基で置換されていてもよく、前述の基Gは、ヘテロ原子を含まないことを特徴とする。さらにより好ましくは、Gは、シクロアルキルから選択される。
【0032】
シクロアルキルの中でも、例えば、イソボルニル、tert-ブチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、ジシクロペンテニルおよびトリシクロデシルを言及することができる。
【0033】
式(II)のモノマーの中でも、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-tert-ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3-イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5-メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5-メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5-イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5-エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3-イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、2,3,4,5-テトラ-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物を言及することができる。
【0034】
【0035】
上述の式(III)のモノマーM1の中でも、例えば、以下のモノマーを言及することができる:
【0036】
上述の式(IV)のモノマーM1の中でも、例えば、以下のモノマーを言及することができる:
【0037】
式(III)または(IV)のモノマーM1の中でも、以下のモノマーおよびそれらの混合物が好ましい:
【0038】
成分A中の(メタ)アクリレートモノマーM1の総含有量は、前述の成分Aの総重量に対して20重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらにより優先的には70重量%以上であり得る。
【0039】
本発明による架橋可能な2成分組成物中の(メタ)アクリレートモノマーM1の含有量は、前述の架橋可能な2成分組成物の総重量に対して20重量%~99重量%、好ましくは50重量%~99重量%、さらにより優先的には75重量%~99重量%の範囲であり得る。
【0040】
有機酸または鉱酸
成分Aが上述の式(II)を有するモノマーM1を含み、成分Bがジヒドロピリジン化合物、特に本出願で定義される式(VI)~(X)の1つを有するジヒドロピリジンから選択されるアミン化合物を含む場合、成分Aは、25℃の水中で測定して、0.3~5.0の範囲のpKaまたはpKa1を有する有機酸または鉱酸をさらに含む。
【0041】
成分Aが式(III)、(IV)または(V)の1つを有するモノマーM1を含み、成分Bがポリアミンから選択されるアミン化合物を含む場合、成分Aは好ましくは、25℃の水中で測定して、0.3~5.0の範囲のpKaまたはpKa1を有する有機酸または鉱酸をさらに含む。
【0042】
pKa(または酸性度定数)は、pKa=-log10Kaによって定義され、ここで、Kaは、25℃で標準的な方法で測定される酸解離定数である。pKaに推奨される標準的な測定方法は、特に電位差測定法であり、より正確には、例えばTechniques de l’ingenieur[Engineering Techniques](K695 v1を参照)に記載されているようなpH測定法である。この方法は、pKaの決定に最も使用される。
【0043】
pKa1は、pKa1=-log10Ka1によって定義され、ここで、Ka1は、ポリ酸の第1の最も強い酸性度の酸解離定数である。Ka2は、ポリ酸の第2の酸性度の酸解離定数(該当する場合)であり、Ka3は、ポリ酸の第3の最も弱い酸性度の酸解離定数(該当する場合)である。ポリ酸pKa1、pKa2またはpKa3の連続する各酸性度は、酸性度定数Ka1、Ka2およびKa3の値の減少にとりわけ対応する。それらを測定するために、先に示したのと同じ標準的な電位差測定が使用される。
【0044】
有機酸の中でも、例えば、ハロゲン化されていてもよいカルボン酸、リン系酸、およびそれらの混合物を言及することができる。
【0045】
ハロゲン化されていてもよいカルボン酸の中でも、例えば、ギ酸、酢酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ジフルオロ酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸、シアノ酢酸、サリチル酸、イタコン酸、安息香酸、グリコール酸、チオグリコール酸、ピルビン酸、桂皮酸、およびそれらの混合物を言及することができる。
【0046】
鉱酸の中でも、例えば、リン酸、亜リン酸、メチルホスホン酸、次亜リン酸およびそれらの混合物を言及することができる。
【0047】
一実施形態によれば、酸は、2~5、特に4~5の範囲のpkaまたはpka1を有する。
【0048】
好ましい実施形態によれば、0.3~5の範囲のpKaまたはpka1を有する酸は、ハロゲン化されていてもよいカルボン酸から、さらにより優先的にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、サリチル酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ジフルオロ酢酸およびそれらの混合物から選択される有機酸である。さらにより好ましくは、それはジクロロ酢酸またはジフルオロ酢酸である。
【0049】
2成分組成物が1つ以上の酸を含む場合、0.3~5の範囲のpKaまたはpKa1を有する酸の総含有量は、本発明による架橋可能な2成分組成物の総重量に対して0.5重量%~20重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%、より好ましくは0.5重量%~5重量%、さらにより好ましくは0.5重量%~2重量%の範囲であり得る。
【0050】
光開始剤P1(任意選択)
成分Aは、光開始剤P1を含み得る。
【0051】
光開始剤は、当業者に公知の任意の光開始剤であり得る。UV/可視放射線の作用下で、光開始剤は、典型的には、光重合反応の開始を担うラジカルを生成し、特に光重合反応の効率を高めることを可能にする。これは、当然ながら、選択された放射線を効率的に吸収するその能力に応じて、使用される光源の関数として選択される。例えば、そのUV/可視吸収スペクトルから適切な光開始剤を選択することが可能であろう。有利には、光開始剤は、300~420nmの範囲の近傍で放射する照射源で作用するのに適している。有利には、UVまたは可視放射線はLEDであってもよい。
【0052】
光開始剤P1は、
-I型光開始剤であって、
-アセトフェノンおよびアルコキシアセトフェノンのファミリー、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンおよび2-ジエチル-2-フェニルアセトフェノン;
-ヒドロキシアセトフェノンのファミリー、例えば、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノンおよび2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシプロポキシ)-2-メチルプロピオフェノン;
-アルキルアミノアセトフェノンのファミリー、例えば、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4-モルホリノブチロフェノンおよび2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-4-モルホリノブチロフェノン;
-ベンゾインエーテルのファミリー、例えば、ベンジル、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル;
-ホスフィンオキシドのファミリー、例えば、ジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)、エチル(2,4,6トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(TPO-L)およびビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルフェニルホスフィンオキシド(BAPO);
-メタロセンのファミリー、例えば、フェロセン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ)-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタンおよび(クメン)(シクロペンタジエニル)ヘキサフルオロリン酸鉄:
から選択されるI型光開始剤;
-II型光開始剤であって、
-ベンゾフェノンのファミリー、例えば、4-フェニルベンゾフェノン、4-(4’-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノンまたは1-[4-[(4-ベンゾイルフェニル)チオ]フェニル]-2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル]-1-プロパノン;
-チオキサントンのファミリー、例えば、イソプロピルチオキサントン(ITX)、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび1-クロロ-4-イソプロピルチオキサントン;
-ベンゾイルギ酸エステルのファミリー、例えば、ベンゾイルギ酸メチル;
-ジベンジリデンケトンのファミリー、例えば、p-ジメチルアミノケトン;
-クマリンのファミリー、例えば、5-メトキシ-および7-メトキシクマリン、7-ジエチルアミノクマリンおよびN-フェニルグリシンクマリン;
から選択されるII型光開始剤:
-染料のファミリーの光開始剤、例えば、トリアジン、フルオロン、シアニン、サフラニン、4,5,6,7-テトラクロロ-3’,6’-ジヒドロキシ-2’,4’,5’,7’-テトラヨード-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン、ピリリウムおよびチオピリリウム、チアジン、フラビン、ピロニン、オキサジンまたはローダミン;
-およびそれらの混合物
からなる群より選択され得る。
【0053】
好ましい実施形態によれば、光開始剤P1は、
-ホスフィンオキシドのファミリー、例えば、ジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)、エチル(2,4,6トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(TPO-L)およびビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルフェニルホスフィンオキシド(BAPO);
-チオキサントンのファミリー、例えば、イソプロピルチオキサントン(ITX)、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび1-クロロ-4-イソプロピルチオキサントン
から選択され、
光開始剤P1は、ジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)、およびエチル(2,4,6トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(TPO-L)からさらにより優先的には選択される。
【0054】
光開始剤P1の総含有量は、本発明による架橋可能な2成分組成物の総重量に対して0重量%~5重量%、好ましくは0重量%~2重量%、さらにより優先的には0重量%~1重量%の範囲であり得る。
【0055】
成分B
成分Bは、ポリアミン、ジヒドロピリジン化合物およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのアミン化合物を含む。
【0056】
ポリアミン
ポリアミンは、
-少なくとも1つの第一級アミン基(-NH2)(B1)を含むポリアミン;
-第一級アミン基(-NH2)(B2)を含まないポリアミン
から選択され得る。
【0057】
少なくとも1つの第一級アミン基(B1)を含むポリアミンの中でも、
i)脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の第一級ジアミン、例えばエチレンジアミン(EDA);2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;1,3-ペンタンジアミン(DAMP);1,5-ペンタンジアミン;1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD);2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン);4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン;2,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン;4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキサンアミン);1,6-ヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミン、HMDA);2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン;2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン;1,7-ヘプタンジアミン;1,8-オクタンジアミン;1,9-ノナンジアミン;1,10-デカンジアミン;1,11-ウンデカンジアミン;1,12-ドデカンジアミン;1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン;ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン;ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン;1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA);2-および/または4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボランジアミン(norborane diamine)、NBDA);3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン(TCD-ジアミン);1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA);1,8-メンタンジアミン;3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン;1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン(m-XDA)、およびそれらの混合物など;
(ii)少なくとも1つの第二級アミン基(-NHR、RはH以外)を含む第一級ジアミン、例えば、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT);ジエチレントリアミン(DETA);トリエチレンテトラミン(TETA);テトラエチレンペンタミン(TEPA);ペンタエチレンヘキサミン(PEHA);およびそれらの混合物など;
iii)芳香族ポリアミン、例えば、2,4-トリレンジアミン(2,4-TDA);2,6-トリレンジアミン(2,6-TDA);m-フェニレンジアミン(PDA);4,4’-ジアミノジフェニルメタン(4,4’-MDA);2,4’-ジアミノジフェニルメタン(2,4’-MDA);およびそれらの混合物など;
iv)第三級アミン基(-NR
2、RはH以外)および少なくとも2つの第一級アミン基(-NH
2)を含むポリアミン、例えば、N,N’-ビス(アミノプロピル)ピペラジン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)エチルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)プロピルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン;N,N-ビス(3-アミノプロピル)-2-エチルヘキシルアミン;トリス(2-アミノエチル)アミン;トリス(2-アミノプロピル)アミン;トリス(3-アミノプロピル)アミン;およびそれらの混合物など;
(v)ポリエーテルアミン、特にポリエーテルジアミン、例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル;3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン;4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン;4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン;4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン;5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン;4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン;ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン;およびそれらの混合物など;
vi)第一級アミン基(-NH
2)および第二級アミン基(-NHR、RはH以外)を含むポリアミン、例えば、N-ブチル-1,2-エタンジアミン;N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン;N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン;4-アミノメチルピペリジン;N-(2-アミノエチル)ピペラジン;N-メチル-1,3-プロパンジアミン;N-ブチル-1,3-プロパンジアミン;N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン;N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン;3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン;3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン;3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン;およびそれらの混合物など;
vii)アミノアルコール、例えば、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)など;
viii)ポリアミドアミン;
ix)脂肪アミンダイマーまたはトリマー;
x)ポリエチレンイミン(およびそのデンドリマー)、例えば、450~25000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し、特に以下の式:
の少なくとも1つの基を有するもの(例えば、BASF社から販売されているLupasolという名称で販売されているポリエチレンイミンを言及することができる);
xi)ポリプロピレンイミン(およびそのデンドリマー);
xii)ポリ(プロピレン-エチレン)イミン;
xiii)およびそれらの混合物
を言及することができる。
【0058】
ポリアミン(B1)は、好ましくは、
i)脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族の第一級ジアミン;
ii)少なくとも1つの第二級アミン基(-NHR、RはH以外)を含む第一級ジアミン;
x)ポリエチレンイミン(およびそのデンドリマー);
およびそれらの混合物
から選択される。
【0059】
第一級アミン基(B2)を含まないポリアミンの中でも、例えば、1つ以上の第二級アミン基(-NHR、RはH以外)および/または1つ以上の第三級アミン基(-NR2、RはH以外)を含むポリアミンを言及することができる。
【0060】
ポリアミンB2は、N,N,N’,N’-テトラアルキルアルキレンジアミン、例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED、CAS番号:110-18-9)、N,N,N’,N’-テトラメチル-2,2’-オキシビス(エチルアミン)(CAS番号:3033-62-3)、N,N,N’,N’-テトラメチルトリメチレンジアミン(CAS番号:110-95-2)およびN,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン(CAS番号:111-18-2)からなる群より選択され得る。
【0061】
アミン化合物がポリアミンである場合、ポリアミンの総含有量は、本発明による架橋可能な2成分組成物の総重量に対して0.2重量%~5.0重量%、好ましくは0.3重量%~3.0重量%、さらにより優先的には0.4重量%~1.5重量%の範囲であり得る。
【0062】
ジヒドロピリジン化合物
ジヒドロピリジン化合物は、好ましくは、以下の式(VI)~(X)
[式中、
-基R
11~R
17の各々は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、基-COOR
cを表し;
前述のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル基は、置換されていてもよく、
R
cは、アルキルまたはアリール基を表し、
-またはR
11~R
17のうちの2つの基が一緒になって、置換されていてもよい単環式または多環式の環を形成する]
のジヒドロピリジンから選択される。
【0063】
ジヒドロピリジン化合物は、式(VI)~(X)
[式中、
-R17は、アリールまたはヘテロアリールを表し、前述のアリールまたはヘテロアリールは、置換されていてもよく、
-R11~R16は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、基-COORaを表し、Raは、アルキルを表し、
R11~R16は、好ましくは、互いに独立して、水素もしくはアルキルまたは基-COORcを表し、Rcは、アルキルを表す]
のものから選択され得る。
【0064】
好ましい実施形態によれば、ジヒドロピリジン化合物は、先に定義された式(VI)または(VII)を有する。
【0065】
ジヒドロピリジン化合物は、以下の化合物から選択され得る:
【0066】
好ましい実施形態によれば、ジヒドロピリジンは、以下の化合物である:
【0067】
ジヒドロピリジンは、例えばVanderbilt Chemicals社から販売されているVanax 808 HPの市販されているものであってもよく、または例えば国際公開第2006/086602号に記載されているように合成されてもよい。
【0068】
アミン化合物がジヒドロピリジン化合物である場合、特に上で定義した式(VI)~(X)のうちの1つを有するジヒドロピリジン化合物の総含有量は、本発明による架橋可能な2成分組成物の総重量に対して0.25重量%~5.0重量%、好ましくは0.3重量%~3.0重量%、さらにより優先的には0.4重量%~1.5重量%の範囲であり得る。
【0069】
モノマー
成分Bは、成分Aについて定義される式(II)、(III)、(IV)または(V)の1つを有する1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーM1を含み得る。
【0070】
好ましくは、成分Bは、成分Aと同じ(メタ)アクリレートモノマーM1を含む。
【0071】
成分Bは、前述の成分Bの総重量に対して50重量%を超える、好ましくは70重量%を超える、さらにより優先的には90重量%を超えるモノマーM1を含み得る。
【0072】
成分Bは、特に、前述の成分Bの総重量に対して60重量%~99.9重量%のモノマーM1、好ましくは80重量%~99.5重量%のモノマーM1を含み得る。
【0073】
組成物
本発明による架橋可能な2成分組成物は、触媒、充填剤、酸化防止剤、光安定剤/UV吸収剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、皮膜防止剤、発泡剤、殺生物剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、レオロジー剤、耐衝撃性改良剤、接着促進剤、促進剤、蛍光増白剤、難燃剤、発汗防止剤、核形成剤、溶媒、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの添加剤を含み得る。
【0074】
これらの添加剤は、本発明による組成物の成分Aおよび/または成分B中に存在することができる。
【0075】
促進剤としては、例えばサッカリンを言及することができる。
【0076】
使用され得る可塑剤の例としては、接着剤の分野で通常使用される任意の可塑剤、例えばエポキシ樹脂、フタレート、ベンゾエート、トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールエタンエステル、トリメチロールメタンエステル、グリセロールエステル、ペンタエリスリトールエステル、ナフテン系鉱油、アジペート、シクロヘキシルジカルボキシレート、パラフィン系油、天然油(エポキシ化されていてもよい)、ポリプロピレン、ポリブチレン、水素化ポリイソプレン、およびそれらの混合物を言及することができる。
【0077】
例えば、
-フタル酸ジイソデシル、例えば、BASF社からPalatinol(商標)DIDPの名称で販売されているもの、
-アルキルスルホン酸とフェノールとのエステル、例えば、Lanxess社からMesamoll(登録商標)の名称で販売されているもの、
-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル、例えば、BASF社からHexamoll Dinch(登録商標)の名称で販売されているもの、
-ペンタエリスリチルテトラバレレート、例えば、Perstorp社からPevalen(商標)の名称で販売されているもの、
-エポキシ化大豆油、例えば、Arkema社からVioflex(登録商標)7170の名称で販売されているもの
を言及することができる。
【0078】
使用され得る(チキソトロピー)レオロジー剤の例としては、接着剤組成物の分野で慣用的に使用される任意のレオロジー剤を言及することができる。
【0079】
好ましくは、チキソトロピー剤は、
-60℃~80℃の範囲の温度に加熱することによってin situで得られる、PVCと混和性の可塑剤中のPVCの懸濁液に対応するPVCプラスチゾル
から得される。これらのプラスチゾルは、特に刊行物「Polyurethane Sealants」,Robert M.Evans,ISBN 087762-998-6に記載されているもの
-ヒュームドシリカ、例えば、Wacker社からHDK(登録商標)N20の名称で販売されているもの;
-4,4’-MDIなどの芳香族ジイソシアネートモノマーとブチルアミンなどの脂肪族アミンとの反応から生じる尿素誘導体
であり得る。そのような尿素誘導体の調製は、特に仏国特許出願公開第1591172号明細書に記載されている;
-微粉化アミドワックス、例えばArkema社から販売されているCrayvallac(登録商標)SLTまたはCrayvallac(登録商標)SLA。
【0080】
本発明による組成物はまた、少なくとも1つの有機および/または鉱物充填剤を含み得る。
【0081】
使用され得る鉱物充填剤は、有利には、架橋状態で本発明による組成物の機械的性能を改善するように選択される。
【0082】
使用され得る鉱物充填剤の例としては、接着剤組成物の分野で通常使用される任意の鉱物充填剤を使用することができる。これらの充填剤は、典型的には、多様な幾何学形状の粒子の形態である。それらは、例えば、球状もしくは繊維状であってもよく、または不規則な形状を有してもよい。
【0083】
好ましくは、充填剤は、粘土、石英、炭酸塩充填剤、カオリン、石膏、粘土類およびそれらの混合物からなる群より選択される。優先的には、充填剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩などの炭酸塩充填剤、より優先的には炭酸カルシウムまたはチョークから選択される。
【0084】
これらの充填剤は、処理されていなくても処理されていてもよく、例えば、有機酸、例えばステアリン酸、または主にステアリン酸からなる有機酸の混合物を使用して処理されていてもよい。
【0085】
中空ガラス微小球などの中空鉱物微小球、より具体的にはホウケイ酸カルシウムナトリウムまたはアルミノケイ酸塩で作られたものを使用することもできる。
【0086】
本発明による組成物はまた、好ましくは、シラン、例えばアミノシラン、エポキシシランもしくはアクリロイルシランから選択される少なくとも1つの接着促進剤、または例えば2-ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェートエステル、2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス(2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート)、2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス(2-アクリロイルオキシエチルホスフェート)、メチル-(2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート)、エチル-(2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート)、2-ヒドロキシエチルメタクリレートモノ-およびジホスフェートエステルの混合物などのホスフェートエステルに基づく接着促進剤を含み得る。
【0087】
組成物中に顔料が存在する場合、その含有量は、組成物の総重量に対して、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。存在する場合、顔料は、例えば、組成物の総重量の0.1重量%~3重量%または0.4重量%~2重量%を表し得る。
【0088】
顔料は、有機または無機顔料であってもよい。
【0089】
例えば、顔料は、TiO2、特にKronos社から販売されているKronos(登録商標)2059である。
【0090】
組成物は、0.1重量%~3重量%、好ましくは1重量%~3重量%の量の少なくとも1つのUV安定剤または抗酸化剤を含み得る。これらの化合物は、典型的には、熱または光の作用によって形成されやすい酸素との反応に起因する分解から組成物を保護するために導入される。これらの化合物は、フリーラジカルを捕捉する一次抗酸化剤を含み得る。一次抗酸化剤は、単独で、または他の二次抗酸化剤もしくはUV安定剤と組み合わせて使用することができる。
【0091】
例えば、BASF社から販売されているIrganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)B561、Irganox(登録商標)245、Irgafos(登録商標)168、Tinuvin(登録商標)328またはTinuvin(商標)770を言及することができる。
【0092】
好ましい実施形態によれば、本発明による2成分組成物は任意の過酸化物を含まない。
【0093】
本発明による組成物において、成分A/成分Bの体積比は、20/1~1/1、優先的には10/1~1/1の範囲であり得る。
【0094】
B.すぐに使えるキット
本発明はまた、2つの別個の区画に包装された、上で定義した成分Aと上で定義した成分Bとの両方を含む、すぐに使用できるキットに関する。これは、例えば、2成分カートリッジであり得る。
【0095】
実際、本発明による組成物は、例えば計量ポンプを使用した2成分の直接混合に適した割合で、第1の区画またはドラム内の成分Aと第2の区画またはドラム内の成分Bとの両方を含む、例えば、すぐに使用できるキット内の2成分形態であり得る。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、キットは、成分AおよびBを混合するための1つ以上の手段をさらに含む。好ましくは、混合手段は、使用される量に適した直径を有する計量ポンプまたは静的ミキサーから選択される。
【0097】
C.組成物の使用
本発明はまた、接着剤、マスチックまたはコーティングとしての、好ましくは接着剤としての、上で定義した架橋可能な2成分組成物の使用に関する。
【0098】
本発明はまた、輸送、自動車(車、バスもしくはトラック)、組立、海洋、電子機器または建設分野における材料の修復および/または構造的もしくは半構造的な接着結合における前述の組成物の使用に関する。
【0099】
本発明は、接着結合によって2つの基材を組み立てるための方法であって、
-組み立てられる2つの基材の少なくとも一方に、上で定義した成分AおよびBを混合することによって得られた組成物をコーティングするステップことと、次いで、
-2つの基材を効果的に接触させることと、
-組成物を架橋することと
を含む、方法に関する。
【0100】
架橋ステップは、0℃~200℃、好ましくは10℃~150℃、好ましくは23℃~80℃、特に20℃~25℃の温度で行うことができる。
【0101】
適切な基材は、例えば、コンクリート、金属または合金(例えばアルミニウム合金、鋼、非鉄金属および亜鉛メッキ金属)などの無機基材である。またはそうでなければ、有機基材、例えば木材、プラスチック、例えばPVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂;金属製の基材および塗料でコーティングされた複合材である。
【0102】
架橋は、電磁照射下で、例えばUV放射源またはLEDを用いて行うことができる。電磁照射は、不透明な基材の場合には接着結合ウェハ上で行われてもよく、透明な基材の場合には基材を介して直接行われてもよい。
【0103】
電磁照射下での架橋ステップは、300nmを超える、好ましくは360nm~680nmの範囲の、さらにより好ましくは360nm~420nmの波長で行うことができる。
【0104】
本発明による組成物は、貯蔵時に有利には安定である。
【0105】
本発明による組成物は、有利には、貯蔵時の安定性と高い反応性との両方をうまく満足させることを可能にする。
【0106】
本発明による組成物は、有利には、架橋後に良好な接着特性を示す。
【0107】
さらに、架橋組成物の表面は、有利には急速に乾燥し、非粘着性であり得、それによって、特に工業プロセスの生産性を高めることを可能にする。
【0108】
上記のすべての実施形態を組み合わせてもよい。特に、組成物の上述の様々な構成成分、とりわけ組成物の好ましい実施形態は、互いに組み合わせることができる。
【0109】
本発明の文脈において、「x~y」または「x~yの範囲」という用語は、限界値xおよびyが含まれる区間を意味すると理解される。例えば、「0%~25%」の範囲は、とりわけ0%~25%の値を含む。
【0110】
ここで、本発明を以下の実施例で説明するが、これらは純粋に例示として与えられており、その範囲を限定するために解釈されるべきではない。
【実施例】
【0111】
以下の材料を使用した:
-SR(登録商標)506 D:Arkemaから販売されているイソボルニルアクリレート(IBOA)(CAS番号:5888-33-5);
-SR(登録商標)531:Arkemaから販売されている環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CAS番号:66492-51-1);
-Vertellus Specialties社から販売されているVanax(登録商標)808 HP:3,5-ジエチル-1,2-ジヒドロ-1-フェニル-2-プロピルピリジン(CAS番号:34562-31-7);
-Sigma-Aldrich社から入手可能なジフルオロ酢酸(CAS番号:381-73-7);
-チオフェニウムIII:Sigma-Aldrich社から入手可能な5-(トリフルオロメチル)ジベンゾチオフェニウム、1,1,1-トリフルオロメタンスルホネート(CAS:129946-88-9);
-チオフェニウムI:TCI chemicals社から入手可能な2,8-ジフルオロ-5-トリフルオロメチルジベンゾチオフェニウム1,1,1-トリフルオロメタンスルホネート(CAS:1961266-44-3);
-DETA:Huntsman社から入手可能なジエチレントリアミン(DETA)(CAS番号:111-40-0)。
【0112】
実施例1:組成物番号1(本発明による)の調製
成分Aの材料を、以下の表に示す割合で、23℃の温度で、連続的に撹拌されるミキサー内および空気下で混合する。
【0113】
成分Bを構成する各種材料は、以下の表に示す割合で、23℃の温度で、連続的に撹拌されるミキサー内および空気下で混合する。
【表1】
【0114】
成分Aおよび成分Bを、Sulzer(登録商標)Mixpacミキサーを使用して23℃の周囲温度で1:1の体積比で混合する。
【0115】
実施例2:組成物番号2(本発明による)の調製
成分Aの材料を、以下の表に示す割合で、23℃の温度で、連続的に撹拌されるミキサー内および空気下で混合する。
【0116】
成分Bを構成する各種材料は、以下の表に示す割合で、23℃の温度で、連続的に撹拌されるミキサー内および空気下で混合する。
【表2】
【0117】
成分Aおよび成分Bを、Sulzer(登録商標)Mixpacミキサーを使用して23℃の周囲温度で1:1の体積比で混合する。
【0118】
実施例3:組成物番号3(本発明による)の調製
成分Aの材料を、以下の表に示す割合で、23℃の温度で、連続的に撹拌されるミキサー内および空気下で混合する。
【0119】
成分Bを構成する各種材料は、以下の表に示す割合で、23℃の温度で、連続的に撹拌されるミキサー内および空気下で混合する。
【表3】
【0120】
成分Aおよび成分Bを、Sulzer(登録商標)Mixpacミキサーを使用して23℃の周囲温度で1:1の体積比で混合する。
実施例4:組成物の性能
反応性測定:
【0121】
発熱を、パイロメーターを使用しサーマルイメージングによって連続的に分析する。
【0122】
ピーク時間は、試料が重合を開始するのに要する時間であるゲル時間(またはラグ時間)とは異なり、ピーク温度(重合中に観察される最大発熱)に達するのに要する時間である。
【0123】
時間/温度プロファイルは、2g(高さ約4.0mm)および0.25g(高さ1.4mm)の重合について±1℃の精度のOmega OS552-V1-6工業用赤外線温度計(Omega Engineering(登録商標),Inc社、コネチカット州スタンフォード)を使用して作成した。
【0124】
接着結合試験:
第1のガラス顕微鏡スライド(25×76mm)上への組成物番号1または番号2または番号3(Sulzer(登録商標)Mixpacミキサーを使用して成分AおよびBを混合することによって実施例1、2、3でそれぞれ得られた)の適用;
-組成物番号1、番号2または番号3を受けた第1のスライド上に第2のガラス顕微鏡スライド(25×76mm)を貼り付ける。
-2枚の顕微鏡スライドをスライドさせて、2枚のスライド間で組成物番号1、番号2または番号3を均等に分布させることを可能にするステップ(ここでは酸素曝露が低減する)。
【0125】
2つのスライドを分離することがもはや不可能である時間が記録される。これが接着接合時間である。
【表4】
【0126】
この表から明らかなように、組成物番号1、番号2および番号3(本発明による)は、それらの短いピーク時間(それぞれ24、22および34秒)を考慮して、迅速に(成分AおよびBを混合した後に)有利には重合する。
【0127】
さらに、組成物番号1および番号2および番号3は、有利には、速い硬化時間を有する接着結合をもたらす。
【0128】
最後に、架橋後に得られたポリマーは、表面で有利には乾燥している(タックフリー)ことが観察された。
【国際調査報告】