(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】内部保管スペースを有するスタンドが設けられた繋留翼牽引システム
(51)【国際特許分類】
B63H 9/071 20200101AFI20241031BHJP
B63H 9/08 20060101ALI20241031BHJP
B64U 10/50 20230101ALI20241031BHJP
B64U 10/60 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
B63H9/071
B63H9/08
B64U10/50
B64U10/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529798
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2022082025
(87)【国際公開番号】W WO2023094224
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520485893
【氏名又は名称】エアシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラマト,エリック
(72)【発明者】
【氏名】オードボー,ジーン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】ウィール,ジョルジュ
(72)【発明者】
【氏名】レソ,レミ
(57)【要約】
本発明は繋留翼牽引システムに関し、繋留翼牽引システムは、牽引翼(2)と、軌道制御飛行デバイス(5)と、牽引翼(2)を展開及び折り畳むための構造が搭載されている基台(8)と、牽引ラインと、を備える。牽引システムは、牽引支持物上に取り付け台(13)を含むスタンド(12)を含み、このスタンド(12)は、さらに、牽引翼(2)用の内部保管スペース(20)を備える。基台(8)は、ピボット接続を介して、スタンド(12)で回転可能に搭載される。基台(8)は、内部保管スペース(20)の中で開口している保管窓を有し、この保管窓は展開及び収納構造の下に位置する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繋留翼牽引システムであって、
-風の影響により、牽引力を生成するように適応する牽引翼(2)と、
-サスペンションライン(4)によって前記牽引翼(2)に取り付けられた飛行軌道制御デバイス(5)と、
-前記牽引翼(2)を展開及び格納するための構造が搭載された基台(8)と、
-前記飛行軌道制御デバイス(5)を前記基台(8)に接続する牽引ライン(6)と、を含み、
前記繋留翼牽引システムは、
-牽引支持物上に固定台(13)を備えるスタンド(12)を含み、前記スタンド(12)は、さらに、前記牽引翼(2)用の内部保管スペース(20)を含み、
-前記基台(8)は、ピボット接続を用いて前記スタンド(12)で回転するように搭載され、
-前記基台(8)は前記内部保管スペース(20)の中で開口している保管窓(45)を含み、前記保管窓(45)は前記展開及び格納構造の前記台に位置することを特徴とする、繋留翼牽引システム。
【請求項2】
前記基台(8)は前記飛行軌道制御デバイス(5)用の支持物(10)を含み、前記支持物(10)は前記保管窓(45)の周縁に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の牽引システム。
【請求項3】
前記牽引システムは、前記牽引ライン(6)を巻き込むまたは解放するように適応するウインチ(9)を含み、前記ウインチ(9)は、前記基台(8)に搭載されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項4】
前記牽引システムは、前記保管窓(45)にアクセスを提供するシリンダー部が形成された保管ネック(17)を含み、前記シリンダーは前記基台(8)に固定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項5】
前記牽引システムは、前記保管窓(45)の方向に延在する前記牽引翼(2)を折り畳むためのガイドファンネル(11)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項6】
前記ガイドファンネル(11)は、前記牽引翼(2)の前記サスペンションライン(4)を誘導するためのガイドフック(24)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の牽引システム。
【請求項7】
前記保管ネック(17)は、前記牽引翼(2)の前記サスペンションライン(4)が通過するノッチ(30)を含むことを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項8】
前記牽引システムは、前記保管ネック(17)を閉じるためのカバー(18)を含むことを特徴とする、請求項4~7のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項9】
前記展開及び格納構造は前記保管窓(45)を通過することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項10】
前記カバーは、前記展開及び格納構造が通過する切り欠き(28)を含むことを特徴とする、請求項8を引用する場合の請求項9に記載の牽引システム。
【請求項11】
前記牽引システムは、前記基台(8)に取り付けられ、前記内部保管スペース(20)に配置される翼レセプタクル(21)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項12】
前記翼レセプタクル(21)は、前記保管ネック(17)の内壁の外周によって固定された上側開口部(35)を含むことを特徴とする、請求項4を引用する場合の請求項11に記載の牽引システム。
【請求項13】
前記牽引システムは、前記翼レセプタクル(21)の下部を回転駆動させるための手段を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の牽引システム。
【請求項14】
前記翼レセプタクル(21)は前記展開及び格納構造にアクセスするための横側開口部(31)を含むことを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項15】
前記牽引システムは、少なくとも1つのギア(43)が噛合する歯状リング(42)を含む前記スタンド(12)で前記基台(8)を回転駆動させるためのデバイスを含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項16】
前記牽引システムは、前記スタンド(12)に対して前記基台(8)を保持するために保持ブロック(44)を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項17】
前記牽引システムは、前記保管窓(45)にわたって、前記展開及び格納構造を前記基台(8)に接続する保持脚構造(16)を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項18】
前記ガイドファンネル(11)は、前記保持脚構造(16)に取り付けられた少なくとも1つのバリア(22)から形成されることを特徴とする、請求項5を引用する場合の請求項17に記載の牽引システム。
【請求項19】
前記展開及び格納構造は係留マスト(7)を含み、前記係留マスト(7)は、前記基台(8)に固定され、前記牽引翼(2)の前縁によって、前記牽引翼(2)を係留するように適応することを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項20】
前記展開及び格納構造は、前記サスペンションライン(4)を操作するためのキャリッジ(46)を含み、前記キャリッジ(46)は、前記内部保管スペース(20)の中で、前記係留マストに沿って摺動するように適応することを特徴とする、請求項19に記載の牽引システム。
【請求項21】
前記スタンド(12)で前記基台(8)を回転させて、前記展開または格納デバイスを前記風に対して向かわせるステップを含むことを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載の牽引システムの牽引翼を展開または格納するため方法。
【請求項22】
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
-前記キャリッジ(46)が前記サスペンションライン(4)によって、前記牽引翼(2)をキャッチするステップと、
-前記キャリッジ(46)が前記展開及び格納構造に沿って降下して、前記内部保管スペース(20)の中に向かうステップと、
を含むことを特徴とする、請求項20に記載の牽引翼を折り畳む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台に対して牽引翼を展開及び格納するように適応する翼牽引システムの分野に関し、この牽引翼は、風の影響により、牽引力を生成するように適応する。
【0002】
そのような翼牽引システムは、発電のために、またはこういう種類の牽引力からメリットがあるいずれかの用途のために、車両の推進、具体的には、船の推進(主推進力として、または補助として)に役立つ牽引翼の展開を可能にする。
【背景技術】
【0003】
仏国特許出願公開第3082184号明細書では、牽引翼を展開及び格納するための繋留翼牽引システム及び方法が説明されている。本システムは、牽引翼を展開及び格納するための構造を含む。
【0004】
見掛けの風に対する牽引翼を方向付けるための手段が存在する。これらの手段は、概して、船の一時的な経路再選択が強いられ、または、展開及び格納構造の内部に、移動式の複合モバイルデバイスを必要とする。
【0005】
先行技術の展開及び格納方法は、概して、少なくとも、展開及び格納構造の近くに動作介入を必要とする特定数の手動ステップを含む。
【0006】
仏国特許出願公開第3082185号明細書では、翼が固定ポストに接続され、この固定ポストが翼を格納する専用手段が装備されたマストを含む、別の牽引システムが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3082184号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第3082185号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明は、先行技術の繋留翼牽引システムと、関連の展開、格納、及び保管に関する方法とを改善する目的がある。
【0009】
この目的を達成するために、本発明は繋留翼牽引システムを対象とし、繋留翼牽引システムは、
-風の影響により、牽引力を生成するように適応する牽引翼と、
-サスペンションラインによって牽引翼に取り付けられた飛行軌道制御デバイスと、
-牽引翼を展開及び格納するための構造が搭載された基台と、
-飛行軌道制御デバイスを基台に接続する牽引ラインと、
を含む。
【0010】
さらに、
-本システムは、牽引支持物上に固定台を備えるスタンドを含み、そのスタンドは、さらに、牽引翼用の内部保管スペースを含み、
-基台は、ピボット接続を用いてスタンドで回転するように搭載され、
-基台は内部保管スペースの中で開口している保管窓を含み、保管窓は展開及び格納構造の台に位置する。
【0011】
本発明の別の目的として、本明細書に説明される牽引システムの牽引翼を展開または格納するための方法を対象としている。本方法は、スタンド上で基台を回転させて、展開または格納デバイスを風に対して向かわせるステップを含む。
【0012】
本方法は、さらに、以下のステップ、すなわち、
-キャリッジがそのサスペンションラインによって、牽引翼をキャッチするステップと、
-キャリッジが展開及び格納構造に沿って降下して、内部保管スペースの中に向かうステップと、
を含み得る。
【0013】
ここでは、牽引支持物は、牽引力がかけられ動かされる要素、または牽引システムが固定される基準要素を意味する。例えば、牽引システムについて、エネルギー、具体的には電気エネルギーの生成を意図としている状況では、牽引支持物は地面にあり得る。牽引システムについて、車両の推進を意図としている状況では、牽引支持物が車両自体にある。
【0014】
この種類の繋留翼牽引システムは、牽引翼の展開及び格納のトータル及び安全な自動化と互換性がある。次に、これらの動作は、牽引システムに対する人間の介入を必要とすることなく、リモート制御ステーションから制御して、牽引翼を方向付け、翼の様々なロープを操作できる、または牽引翼の折り畳みもしくは保管を補助できる。
【0015】
牽引翼は、(例えば、その前縁を見掛けの風に対面するように)自動的に方向付けられ得る。本発明は、シンプルなピボット接続を用いて、この配向を実現することを可能にする。これは、牽引翼を展開及び格納するための構造を方向付けるために、他の複合デバイスよりも信頼性があり、コストが少ない。
【0016】
牽引翼を操作することを意図された全ての要素は、好ましくは、基台上に搭載される。その要素として、例えば、牽引ラインのウインチ、牽引翼の要素のための支持物等が挙げられる。基台上に搭載された全てのこれらの要素は、展開及び格納構造と連携して回転駆動され、その結果、複雑な機械接続を同じ物理座標系内に存在するこれらの様々な要素の間に設ける必要がなくなる。
【0017】
したがって、風に対する牽引翼の位置の調整を可能にする展開及び格納構造の角度方向は、牽引支持物から独立して生じる。
【0018】
牽引翼を船等の車両上に取り付ける状況では、いくつかの先行技術の実施態様では、牽引翼に必要な方向付けを実現するために船自体を方向付ける必要はなく、これは、展開段階及び格納段階の間、船の経路を再選択することを意味しない。船の経路を再選択することなく、牽引翼を展開及び格納するための構造を含む基台に存在する機器の全てを方向付ける実現性は、コンテナ船または油タンク等、思い通りに操作できない大きい船の場合、特に利点をもたらす。この方向付けの実現性は、さらに、船の経路と組み合わせて、(例えば、船の速度を真の風速に加えることによって)見掛けの風の強度を変化させる機会をもたらす。
【0019】
スタンドは、基台と、展開及び格納構造との角度方向の調整を可能にする。好ましくは、このスタンドは、さらに、展開及び格納構造が外乱要素の影響を受ける範囲の外にあるように、十分な高さに基台の設置を可能にする。例えば、牽引システムを船に取り付ける場合、スタンドは、さらに、高度がより高くなり、基台に存在する要素の大きい波への露出を少なくでき、すなわち、特定の困難な天候状態下で、船のデッキに衝突する高い大量の水への露出が少なくなる。
【0020】
さらに、基台は、その表面上に、牽引翼を保管するためのいずれかの要素を含まないが、それらの要素は、大きい波に露出する場合に最も重要である。その理由として、これらの保管要素は、大きい平面を有し、ひいては、そのような天候状態下で高圧を受けるためである。牽引翼は、船のデッキの近くのスタンドにあるシェルターの下に保管され、スタンドの形状は、好ましくは、抵抗が低いもの(例えば、円筒形)に選ばれる。
【0021】
スタンドによって得られた高さの増加により、さらに、風を妨げる船の要素(船の上部構造、コンテナ、様々な積荷等)の存在によって生じた流体乱流のエリアの外側に牽引翼自体を設置することを可能にする。したがって、これらの展開段階及び格納段階の間、牽引翼は、層流のより近くで、風の流れがかなり乱されないことからメリットがある。そのような乱れがわずかな風況は、完全自動の操作または折り畳み方法を利用するのに、かつ風帆の折り畳み等の特定の高度なプロセスを実行するのに有利であり、牽引翼の展開に有利に働く。
【0022】
スタンドは、さらに、基台の寸法よりも小さい寸法を伴うスタンドセクションを選ぶことによって、繋留翼牽引システムの設置面積を減らすことを可能にする。
【0023】
スタンドは、その構造基礎で牽引翼用の保管部と統合する。したがって、牽引翼は、上述の保護機能に加えて、基台の外部にある要素に保管されない(または、基台上に設置される)。これにより、牽引翼の完全自動収納を容易にすることが可能になる。
【0024】
内部保管スペースの中で開口している保管窓は展開及び格納構造の台に位置し、その結果、翼は、シンプルな可動要素(例えば、レール上で摺動するキャリッジ)によって操作され、シンプルな直線軌道に続くことによって、保管スペース内で直接置かれる。
【0025】
本発明に従った牽引システムは、別々にまたは組み合わせて、以下の追加特徴を有し得る。
【0026】
-基台は、保管窓の周縁に配置された飛行軌道制御デバイス用の支持物を含む、
-本システムは、牽引ラインを巻き込むまたは解放するように適応する搭載されたウインチを含む、
-本システムは、保管窓にアクセスを提供するシリンダー部が形成された保管ネックを含み、シリンダーは基台に固定される、
-本システムは、保管窓の方向に、牽引翼を折り畳むためのガイドファンネルを含む、
-ガイドファンネルは、牽引翼のサスペンションラインを誘導するためのガイドフックを含む、
-保管ネックは、牽引翼のサスペンションラインが通過するノッチを含む、
-本システムは、保管ネックを閉じるためのカバーを含む、
-展開及び格納構造は保管窓を通過する、
-カバーは、展開及び格納構造が通過する切り欠きを含む、
-本システムは、基台に取り付けられ、内部保管スペースに配置される翼レセプタクルを含む、
-翼レセプタクルは、保管ネックの内壁の外周によって固定された上側開口部を含む、
-本システムは、翼レセプタクルの下部を回転駆動させるための手段を含む、
-翼レセプタクルは、展開及び格納構造にアクセスするための横側開口部を含む、
-本システムは、少なくとも1つのギアが噛合する歯状リングを含むスタンド上で基台を回転駆動させるためのデバイスを含む、
-本システムは、スタンドに対して基台を保持するための保持ブロックを含む、
-本システムは、保管窓にわたって、展開及び格納構造を基台に接続する保持脚構造を含む、
-ガイドファンネルは、保持脚構造に取り付けられた少なくとも1つのバリアから形成される、
-展開及び格納構造は係留マストを含み、係留マストは、基台に固定され、その前縁によって、牽引翼を係留するように適応する、
-展開及び格納構造は、サスペンションラインを操作するためのキャリッジを含み、該キャリッジは、内部保管スペースの中で、係留マストに沿って摺動するように適応する。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図を参照して、以下の非限定的な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】牽引翼が飛行中である、本発明に従った牽引システムを図示する。
【
図2】牽引翼が展開または格納しているプロセスで実施されている、
図1の牽引システムを図示する。
【
図3】本発明に従った牽引システムの基台と、展開及び格納構造とを表す。
【
図4】本発明に従った牽引システムの断面の概略図である。
【
図5】本発明に従った牽引システムの基台を図示する。
【
図6】上から見た本発明に従った牽引システムの基台を表す。
【
図7】本発明に従った牽引システムの翼レセプタクルを表す。
【
図8】下から見た
図6に示される牽引システムの一部を図示する。
【
図9】本発明に従った牽引システムの詳細図である。
【
図10】下から斜めに見た本発明に従った牽引システムの基台を表す。
【
図11】下から見た本発明に従った牽引システムの基台を表す。
【
図12】一方のハーフカバーが開いた状態の本発明に従った牽引システムの基台を図示する。
【
図13】他方のハーフカバーが開いた状態の本発明に従った牽引システムの基台を図示する。
【
図14】展開プロセスまたは格納プロセスを図示する、本発明に従った牽引システムの断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び
図2は、この例では、航海用貨物船である船1に搭載された繋留翼牽引システムを図示する(これらの図では、船の艦首だけが表されている)。
【0030】
本発明の例では、牽引システムは船1の船首に搭載され、燃料の節約を可能にする船を推進するための補完的手段として作動する。これに関連して、牽引システムは、牽引される船のトン数に従った寸法を有し、自動的に展開して格納するように設計されている。
【0031】
例えば、船の主要推進手段として、いずれかの他の車両を推進させるために、発電等のために、自動的に展開可能及び格納可能であるこの種類の牽引システムを必要とするいずれかの他の用途に、代替として、この牽引システムを使用できる。
【0032】
格納システムは、風の影響により、牽引力を生成するように適応する牽引翼2を含む。本発明の例では、牽引翼2はパラフォイル型翼である。代わりに、カイト、グライダー用装備、「カイト」型翼等、風の影響により、牽引力を生成するように適応するいずれかの他の飛行機器を利用し得る。牽引翼2は、従来、入射風に露出することを意図する前縁3を含む。
【0033】
牽引翼2は、牽引翼2の飛行を制御するために、サスペンションライン4に作用するように適応する飛行軌道制御デバイス5に、サスペンションライン4のセットによって接続される。
【0034】
図1では、牽引システムは牽引構成を示し、牽引カイト2が展開し飛行中であり、本システムは船1の推進に関与している。
図2は、展開段階または格納段階の間の同じ牽引システムを図示する。
【0035】
牽引システムは、さらに、船に牽引力をかけて、船を推進させることを可能にする牽引ライン6を含む。牽引ラインは、状況に応じて選ばれた寸法を有する。航海用貨物船を牽引する構造について、牽引ラインは、例えば、数センチメートルと同じ程度である可能性がある直径の繊維ケーブルであり得る。
【0036】
飛行軌道制御デバイス5は、牽引翼を方向付けて位置決めるために、牽引翼2の飛行を制御することを可能にし、場合により、飛行軌跡をたどるように牽引翼2を動かすことも可能にし、船にかかる牽引力を増加させることを可能にする。ここでは、飛行翼の分野における従来の方式で、特定の移動式サスペンションラインの長さを調整することによって、牽引翼2の軌道を制御する。
【0037】
例えば、サスペンションライン4のセットは、実際に、固定サスペンションライン(すなわち、牽引翼2の取り付け部と、飛行軌道制御デバイス5の取り付け部との間に固定長を有するライン)と、長さが変化する可能性がある移動式サスペンションラインとを含む。飛行軌道制御デバイス5は、特定の移動式サスペンションラインを引っ張る及び/または他の移動式サスペンションラインを解放するように適応し、これにより、牽引翼2の空気力学的プロファイルは、その揚力、その軌道等を制御するために修正される。軌道を制御するための牽引翼のプロファイルの修正は従来式で行われる。ここでは、より詳細に説明しない。
【0038】
牽引システムは、さらに、牽引翼を展開及び格納するための構造を含む。本発明の例では、この構造は、垂直に延在する係留マスト7を含む。係留マスト7は、展開段階及び格納段階の間、牽引翼2をキャッチして、保持し、及び方向付けることを可能にする。
図2は、これらの段階のうちの1つの例を示し、牽引翼2は風によって膨張され、その前縁は係留マスト7に対して保持される。この位置は、(展開段階中)翼の発射より前に発生する、またはそれと逆に、(格納段階中)翼の折り畳みより前に発生する。係留マスト7はフックが設けられたキャリッジを含み得、キャリッジは、係留マスト7に沿って並進して移動可能であり、牽引翼のサスペンションライン4をキャッチすることが可能になり、任意の適切な展開及び格納プロセスの実行が可能になる。サスペンションライン4は、例えば、ラインの係留、巻き上げ、または折り畳みを行う機能を有し得る。
【0039】
代替として、好ましくは自動的に、牽引翼のラインのキャッチ及び操作を可能にするいずれかの他の展開及び格納構造を使用し得る。同様に、キャリッジ以外の取付手段が提供され得る。
【0040】
牽引システムは、さらに、牽引翼2が牽引ライン6を用いて取り付ける基台8を含む。ウインチ9は基台8の上に搭載される。牽引ライン6は、モーター、例えば電気モーターまたは油圧モーターによって駆動されたウインチ9によって基台8に接続される。
【0041】
ウインチ9は、牽引翼2がある高度まで上昇することを可能にするように、牽引ライン6をほどく、または、それとは逆に、牽引翼2を基台8に向けて引くために、牽引ライン6を巻き込む、のいずれか一方を行うように適応する。
【0042】
基台8は、さらに、展開段階、格納段階、及び保管段階の間、そのデバイスを受けることを意図する飛行軌道制御デバイス5のための支持物10を含む。
【0043】
基台8は、さらに、ガイドファンネル11を含み、ガイドファンネル11は、格納段階中、損傷がなく、牽引翼2をその保管スペースに向けて誘導するように適応する。
【0044】
基台8は、牽引翼2を扱うための要素(ウインチ9、ガイドファンネル11、及び支持物10等)を支持する機能的な基礎構造であり、さらに、具体的には、メンテナンス及び検査のために、この機器へのアクセスを可能にする床及び作業連絡を含み得る。また、対応するガードレール及びいずれかの他の安全要素も基台8に搭載される。
【0045】
牽引システムは、さらに、牽引翼8が搭載されるスタンド12を含む。本発明の例では、スタンド12は取り付け台13を含むシリンダー胴から成り、取り付け台13は、スタンド12(ひいては、牽引システムの全体)をその牽引支持物上に固定することを可能にする。本発明の例では、牽引支持物は、牽引システムが作用する船1である。他の例では、例えば、牽引システムが発電することが意図されるとき、牽引支持物は地面に接続された固定要素であり得る。
【0046】
したがって、取り付け台13は、牽引翼2から船に牽引力を伝達する最終要素である。この取り付け台13は、例えば、船1のデッキに溶接される、またはボルト締めされる。
【0047】
本発明の例では、牽引システムは、約15メートルの全幅(この寸法は基台8の最大幅に対応する)を有する一方、スタンド12の直径は約5メートルである。ここでは、システムの設置面積はスタンド12のおかげで2/3に減る。
【0048】
基台8は、ピボット接続を用いてスタンド12で回転するように搭載される。本発明の例では、ピボット軸14は基台8に垂直である。係留マスト7は、さらに、基台8のこの回転軸に平行な軸に沿って延在する。
【0049】
したがって、スタンド12における基台8の回転は、係留マスト7(または、基台8に搭載されたいずれかの他の展開または格納構造)を駆動回転させる。展開段階または格納段階(
図2に図示される)の期間中、牽引翼2は、前縁3によって係留マスト7に対して保持され得る。次に、基台8の回転により、牽引翼2、係留マスト7、及び全ての翼操作要素(ウインチ9、支持物10、ガイドファンネル11等)を連動した方向付けを可能にし、見掛けの風に対して必要な角度位置で牽引翼2を方向付ける。したがって、具体的には、牽引翼2の前縁3は、結果として、見掛けの風に対面して方向付けできる。
【0050】
ここでは、スタンド12は、さらに、検査用作業連絡15を含み、これにより、作業員が、スタンド12を構成するバレルの周りで、かつ基台8の下で巡回することが可能になり、メンテナンス及び検査の業務を可能にする。検査用作業連絡15は有利に円形であり、基台8にアクセスするための梯子により、基台8の角度位置に関係なく、システムへのアクセスを可能にし、梯子は、可能な角度振幅の全体にわたって、検査用作業連絡15に接続できる。
【0051】
図3は、牽引システムの展開及び格納構造と、基台8とを示す斜視図である。
【0052】
本発明の例では、牽引システムは、2つの牽引翼を伴うシステムである。同じ係留マスト7から、同時にまたは交互に、2つの牽引翼2を展開するように設計されている。
【0053】
係留マスト7は、牽引翼(レール、ガイド要素等)を操作するための要素を必要な数だけ含み、これらの要素は対称的に配置され、操作する2つの牽引翼のそれぞれが独立して働く。
図3では、係留マスト7に沿って摺動するキャリッジ46は、牽引翼2を誘導するような要素を図示する。
【0054】
デュアル牽引システムは対称的に2つのウインチ9を含み、2つのウインチ9は、それぞれ、牽引翼2のそれぞれの飛行軌道制御デバイス5のために、各牽引翼及び2つの支持物10の牽引ライン6を巻き込み及び放出する。
【0055】
係留マスト7は、基台8に機械的に固定され、さらに、係留マスト7の台に位置する保管ネック17をまたぐ保持脚アセンブリ16を含む。
【0056】
保管ネック17は、基台8に固定され、ここでは、カバー18を含む円筒壁から成る。カバー18を開くとき、保管ネック17は、スタンド12に提供された内部保管スペースへのアクセスを提供する。
【0057】
【0058】
スタンド12は、その取り付け台13によって、船1のデッキに固定され、その上端で、基台8に接続される。しかしながら、代わりに、取り付け台13は、単純に、スタンド12の底部から成り得る。
【0059】
基台8とスタンド12との間のピボット接続は、ボア19によって概略的に表され、スタンド12に対する基台8の回転軸14は破線で表される。
【0060】
基台8は、内部保管スペース20の中で開口している円形保管窓45を含む。保管窓45は係留マスト7の台に位置する。ガイドファンネル11(
図5及び
図6を参照)は、保管窓45の方向に延在するファンネルを形成する。
【0061】
飛行軌道制御デバイス5の支持物10は、保管窓45の周縁で基台8に配置される。
【0062】
基台8とスタンド12との間のピボット接続は、ボールベアリング、摺動トラック等、基台8がスタンド12で回転することを可能にする任意の要素によって提供され得る。
【0063】
係留マスト7は、基台8に固定され、同様に、保管ネック17もカバー18とともに固定される。係留マスト7は、保管窓45を通過し、台8の上及び下の両方に延在する。
【0064】
スタンド12は中空であり、内部保管スペース20を区切り、内部保管スペース20は、牽引翼2を保管して、使用中ではないとき、牽引翼2を保護することが意図される。保管窓45は、この内部保管スペース20へのアクセスを提供する。
【0065】
スタンド12はさらに一定の高さ(例えば、約6メートル)を有し、これにより、船の積荷または構造要素によって風の流れが乱されるエリアの外側に、展開及び格納構造を設置することを可能にする。
【0066】
本発明の例では、牽引システムは、上側開口部35を伴う翼レセプタクル21(
図7参照)を含む。上側開口部35は、保管ネック17の内壁の外周によって固定され、その結果、牽引翼2は、折り畳み段階後に翼レセプタクル21の内側で内部保管スペース20に保管できる。
【0067】
基台8、係留マスト7、保管ネック17、及び翼レセプタクル21は、一緒に回転するように拘束された要素のアセンブリを形成する。基台がスタンド12で回転するとき、このアセンブリは基台と連携して回る。
【0068】
【0069】
脚アセンブリ16は、係留マスト7を基台8に接続し、保管窓45を通り過ぎる。
【0070】
このデュアル牽引翼牽引システムの例では、脚アセンブリ16は、基台8のスペースを、各側に同じ要素を含む2つの対称部に分割する。したがって、スタンド12の内部保管スペース20は、2つの翼レセプタクル21を含み、これは、スタンド12の内部保管スペース20に挿入され、それぞれ半円筒形を有する。
【0071】
カバー18は、直径の一方の側で保管ネック17を開くことを可能にする2つの回転ハーフカバーを含む。したがって、第1の牽引翼は、脚アセンブリ16の一側から、第1の牽引翼を保管ネック17の一方の半分を通すことによって保管され、他方の第2の牽引翼2は、脚アセンブリ16の他側に、第2の牽引翼を保管ネック17の他方の半分を通すことによって保管される。
【0072】
ここで説明される例とは別の内容として、本発明に従った牽引システムは、当然ながら、1つだけの牽引翼を含み得る。
【0073】
牽引翼のそれぞれに、本システムは、ここでは、溶接管から形成されるバリア22を含む。バリア22のそれぞれは保管ハーフネック17の周りに延在し、保管ハーフネック17は、1つの牽引翼に対応し、牽引翼を囲み、ファンネルを形成するフレア形状を規定する。布地23またはネット(
図2参照)はバリア22を形成する管の間で張り、牽引翼を駆動させ、保管ネック17に向けて格納するように適応するファンネルを形成し、牽引翼2の帆布をいずれかの損傷から保護する。
【0074】
また、バリア22は、脚アセンブリ16にも取り付けられる。
【0075】
さらに、バリア22は、さらに、ガイドフック24(ここでは、また、成形管によって形成される)を含み、ガイドフック24は、対応する支持物10と垂直整列して配置され、支持物10に向けて方向付けられる。牽引翼2がスタンド12の内側に保管されるとき、このガイドフック24は、サスペンションライン4の全てを導き、それを保持することを意図する保持リム機能を有する。
【0076】
図6は、保管ネック17及び1つの牽引翼のバリア22を個別に示した斜視図である。
【0077】
翼レセプタクル21は、上側開口部35によって、保管ネック17に取り付けられ、上側開口部35の外周は、ストラップ25によって、保管ネック17の内壁に取り付けられる。保管ネック17は、さらに、ビーム26、または保管ネック17を2つに直径方向に分割するいずれかの他の壁要素を含み、また、ストラップ25の取り付けも可能にする。
【0078】
図6では、カバー18は閉じる。カバー18を構成するハーフカバーの一方は、他方のハーフカバーの下で旋回している。これらのハーフカバーは、この中央シャフト27で2つの異なる高さにおいて、中央シャフト27で回転するように搭載される。その結果、他のハーフカバーの下または上を通過することによって、各ハーフカバーを格納して、翼レセプタクル21の一方または他方にアクセスを提供できる(
図6では、1つだけの翼レセプタクル21が表されている)。
【0079】
カバー18を構成する2つのハーフカバーは、それぞれ、さらに、切り欠き28を含み、係留マスト7が切り欠き28を通過することを可能にする。したがって、カバー18は、係留マスト7に対して閉鎖される。シール(または、同じ機能を有する他の手段)は、カバー18と係留マスト7との間の接点の高さで提供され、水が内部保管スペース20に入るのを防止し得る。
【0080】
バリア22の管は、さらに、保管ネック17に向かうガイド経路29を形成する。ガイド経路29は、ガイドフック24と、保管ネック17の壁のノッチ30との間で延在する。
【0081】
牽引翼2がスタンド12の内側に保管され、カバー18が閉じるとき、サスペンションライン4は、ノッチ30を介して内部保管スペース20から出て、次に、ガイドフック24によって保持され、その後、支持物10に固定される飛行軌道制御デバイス5に再接続される(
図14を参照。
図14は、牽引翼2が保管位置にある状態の
図5と同様の図である)。
【0082】
図7は、単独で、翼レセプタクル21のうちの1つを図示する。ここでは、翼レセプタクル21は、それを損傷することなく、牽引翼を含むように適応する可撓性材料バッグである。翼レセプタクルは、好ましくは、全体的または部分的に、穴がある布地(例えば、ネット)から成り、空気がその布地を通過することを可能にし、牽引翼2を格納した後、牽引翼2の乾燥が可能になり得る。代替として、翼レセプタクル21は、多数または少数の可撓性シール材料ポケットまた剛体区画から成り得、これらは、例えば、複合材料から作られている。
【0083】
その上、内部保管スペース20は、さらに、牽引翼2の乾燥により有利に働かせるために、換気デバイスまたは空気抽出デバイスを含み得る。
【0084】
翼レセプタクル21は摩擦補強部47を含み、摩擦補強部47は、基台8がスタンド12に対して回るとき、内部保管スペース20の内壁に対してこすれることを防止することが意図される。
【0085】
翼レセプタクル21はさらに横側開口部31を含み、横側開口部31は、牽引翼2の格納段階中、牽引翼2を係留マスト7に沿って、翼レセプタクル21の内部まで誘導することを可能にする。係留マスト7は、基台8に固定され、この横側開口部31に対面して配置されるにように、該基台8の下に延在する。したがって、横側開口部31は、展開及び格納構造へのアクセスを提供する。
【0086】
翼レセプタクル21は、横側開口部31のリム上で、ボルトロープ32を含み、これは、係留マスト7、または係留マスト7に接続された要素(例えば、流線形要素)に翼レセプタクル21を取り付けるためのものである。ボルトロープ32は、対応するプロファイル部材に挿入され、係留マスト7(または、係留マスト7に接続されたいずれかの他の要素)に沿って配置される。
【0087】
スタンド12での基台8の回転中、翼レセプタクル21は係留マスト7に沿って保持され、回転駆動されるが、係留マスト7の回転を妨げることはない。さらに、牽引翼2のラインを扱うためのキャリッジ46等の要素は、係留マスト7に沿って自由に摺動することが可能であり、翼を翼レセプタクル21に置かれ、2つのボルトロープ32の間の横側開口部31に入る。
【0088】
【0089】
翼レセプタクル21の下側は、翼レセプタクル21の残りの部分と連携して回転駆動され、基台8の回転中、翼レセプタクル21のねじりのいずれかの現象を回避する。
【0090】
したがって、翼レセプタクル21の下側は、ここではバー33を含む回転駆動手段に接続され、バー33は、中央リング34に固定され、翼レセプタクル21の下側リムの高さでループ36に接続される。中央リング34は、メインアーム37によって、係留マスト7に堅く接続される(または、基台8に締結されたいずれかの他の要素に接続される)。アセンブリは、随意に、ケーブルを用いてバー33を相互接続させることによって硬化できる。
【0091】
台8の回転駆動中、保管ネック17は、翼レセプタクル21の上部を回転駆動させ、バー33は、基台8及び係留マスト7と連携してその下部を回転駆動させる。
【0092】
図9は、中央リング34を取り付けるための1つのオプションを図示する。中央リング34は、スタンド12に締結された中央ビーム38の周りに配置され、摺動シューズ39を介して、中央ビーム38に締結されたフランジ40に載っている。これにより、中央リング34(ひいては、バー33)とスタンド12との間でピボット接続が生じる。
【0093】
図10及び
図11は、基台8とスタンド12との間でピボット接続と、前述の回転を駆動させるためのシステムとの一実施形態を図示する。
【0094】
図10では、スタンド12は、固定台13がない状態で表されており、したがって、内部保管スペースは目視できる(固定台13及びスタンド12の残りの部分は、ボルト締め、溶接等ができる)。
【0095】
スタンド12は、スタンド12を構成するバレルの周縁にわたって延在する上側フランジ41を含む。歯状リング42は、この上側フランジ41に固定され(ここでは、ボルト締めされ)、アセンブリは、摺動または回転手段によって、基台8に接続される。
【0096】
【0097】
本発明の例では、基台は4つのギア43を含み、これらのギアは、歯状リング42と噛合し、連携して駆動され、基台8をスタンド12で駆動回転させる。ギア43を駆動させるモーターは、基台8に搭載される。
【0098】
基台8に搭載された保持ブロック44は、歯状リング42に対して基台8を保持する。
【0099】
図12及び
図13は、カバー18の一連の作動を図示する。カバー18は、任意の適切な手段によって駆動され得る。本発明の例では、これにより、ハーフカバーのうちの1つだけを回転駆動させるモーターが1つだけ必要となる(カバー18は2つのハーフカバーから成る)。2つのハーフカバーを回転して結合するための手段は、さらに、電動ハーフカバーがパッシブハーフカバーを駆動させることが可能であるように設けられている。
【0100】
図12はカバー18の開口部を図示し、右側ハーフカバーは開いている。したがって、図の右側に位置する牽引翼を展開または格納できる。
【0101】
この右側ハーフカバーだけが電動である。
図12の位置から左側ハーフカバーを開くことが必要な場合、2つのハーフカバーを回転して結合するための手段(例えば、電磁ラッチ)はアクティブになる。
【0102】
次に、右側ハーフカバーは、再度、回転してアクティブになり、右側部のその初期位置に戻り、それと一緒に、左側部の第2のハーフカバーと同調して回転し、結果的に、
図13の開位置になる。
【0103】
したがって、2つのハーフカバーは、単一の駆動システムによって駆動できる。代替として、各ハーフカバーは、独自の独立型駆動システムを有し得る。
【0104】
図14は、牽引翼2を格納する方法を図示し、最終の格納段階を表す。
【0105】
牽引システムを格納する方法は、以下の動作から成る。
【0106】
-
図1の飛行位置から始まり、牽引翼2は、係留マスト7の近くになるまで、ウインチ9によって巻き上げられる、
-基台8がスタンド12で回転駆動されるため、係留マスト7は、見掛けの風に対面して位置決めされるように角度調整して方向付けられる、
-牽引翼2の前縁3は、(専用の係留ラインによって、またはいずれかの他の既知の手段によって)係留マスト7に対して係留される、
-キャリッジ46は、牽引翼2の様々なラインをキャッチし、係留マスト7に沿って牽引翼2を折る、
-カバー18は開いている、
-次に、キャリッジ46は、係留マスト7に沿って降下し、保管ネック17及び保管窓45を通過して、牽引翼2が、翼レセプタクル21の内側に設置されるまで移動する(ガイドファンネル11は、牽引翼を保管ネック17に導く)、
-カバー18は閉じる。
【0107】
したがって、牽引翼2は、完全自動方式で、翼レセプタクル21の内側に規則的な方法で安全に保管され、キャリッジ46によって保持され続ける。これらの格納動作中、牽引翼2のサスペンションライン4は、保管中の牽引翼2と、その支持物10の飛行軌道制御デバイス5との間で移動するとき、自動方式でも誘導される。
【0108】
牽引翼2を展開する段階中、これらの動作は逆順で繰り返され、次に、翼は、係留マスト7に沿って、キャリッジの上向き摺動により翼レセプタクル21から出て、基台8は、係留マスト7が傾斜して配置されるように回転駆動され、これにより、基台8は、見掛けの風に対面し、その後、牽引翼2が飛行することが可能になる(
図2参照)。
【0109】
牽引システムの変形実施形態を使用し得る。具体的には、展開及び格納構造は、展開構造または折り畳み構造等、係留マスト7の追加または代替の要素を含み得る。
【0110】
さらに、基台8は翼レセプタクル21を有する必要がなく、次に、翼は、内部保管スペース20に直接保管され、レセプタクルを使わないで、キャリッジ46だけによって保持される。この場合、スタンド12の内壁は、好ましくは、鋭いエッジがなく、スタンド12で台8の回転中、スタンド12の内壁上でこすれる場合、牽引翼を保護するための措置(コーティング等)を含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繋留翼牽引システムであって、
-風の影響により、牽引力を生成するように適応する牽引翼(2)と、
-サスペンションライン(4)によって前記牽引翼(2)に取り付けられた飛行軌道制御デバイス(5)と、
-前記牽引翼(2)を展開及び格納するための構造が搭載された基台(8)と、
-前記飛行軌道制御デバイス(5)を前記基台(8)に接続する牽引ライン(6)と、を含み、
前記繋留翼牽引システムは、
-牽引支持物上に固定台(13)を備えるスタンド(12)を含み、前記スタンド(12)は、さらに、前記牽引翼(2)用の内部保管スペース(20)を含み、
-前記基台(8)は、ピボット接続を用いて前記スタンド(12)で回転するように搭載され、
-前記基台(8)は前記内部保管スペース(20)の中で開口している保管窓(45)を含み、前記保管窓(45)は前記展開及び格納構造の前記台に位置することを特徴とする、繋留翼牽引システム。
【請求項2】
前記基台(8)は前記飛行軌道制御デバイス(5)用の支持物(10)を含み、前記支持物(10)は前記保管窓(45)の周縁に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の牽引システム。
【請求項3】
前記牽引システムは、前記牽引ライン(6)を巻き込むまたは解放するように適応するウインチ(9)を含み、前記ウインチ(9)は、前記基台(8)に搭載されることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項4】
前記牽引システムは、前記保管窓(45)にアクセスを提供するシリンダー部が形成された保管ネック(17)を含み、前記シリンダーは前記基台(8)に固定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項5】
前記牽引システムは、前記保管窓(45)の方向に延在する前記牽引翼(2)を折り畳むためのガイドファンネル(11)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項6】
前記ガイドファンネル(11)は、前記牽引翼(2)の前記サスペンションライン(4)を誘導するためのガイドフック(24)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の牽引システム。
【請求項7】
前記保管ネック(17)は、前記牽引翼(2)の前記サスペンションライン(4)が通過するノッチ(30)を含むことを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項8】
前記牽引システムは、前記保管ネック(17)を閉じるためのカバー(18)を含むことを特徴とする、請求項4~7のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項9】
前記展開及び格納構造は前記保管窓(45)を通過することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項10】
前記カバーは、前記展開及び格納構造が通過する切り欠き(28)を含むことを特徴とする、請求項8を引用する場合の請求項9に記載の牽引システム。
【請求項11】
前記牽引システムは、前記基台(8)に取り付けられ、前記内部保管スペース(20)に配置される翼レセプタクル(21)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項12】
前記翼レセプタクル(21)は、前記保管ネック(17)の内壁の外周によって固定された上側開口部(35)を含むことを特徴とする、請求項4を引用する場合の請求項11に記載の牽引システム。
【請求項13】
前記牽引システムは、前記翼レセプタクル(21)の下部を回転駆動させるための手段を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の牽引システム。
【請求項14】
前記翼レセプタクル(21)は前記展開及び格納構造にアクセスするための横側開口部(31)を含むことを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項15】
前記牽引システムは、少なくとも1つのギア(43)が噛合する歯状リング(42)を含む前記スタンド(12)で前記基台(8)を回転駆動させるためのデバイスを含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項16】
前記牽引システムは、前記スタンド(12)に対して前記基台(8)を保持するために保持ブロック(44)を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項17】
前記牽引システムは、前記保管窓(45)にわたって、前記展開及び格納構造を前記基台(8)に接続する保持脚構造(16)を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項18】
前記ガイドファンネル(11)は、前記保持脚構造(16)に取り付けられた少なくとも1つのバリア(22)から形成されることを特徴とする、請求項5を引用する場合の請求項17に記載の牽引システム。
【請求項19】
前記展開及び格納構造は係留マスト(7)を含み、前記係留マスト(7)は、前記基台(8)に固定され、前記牽引翼(2)の前縁によって、前記牽引翼(2)を係留するように適応することを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の牽引システム。
【請求項20】
前記展開及び格納構造は、前記サスペンションライン(4)を操作するためのキャリッジ(46)を含み、前記キャリッジ(46)は、前記内部保管スペース(20)の中で、前記係留マストに沿って摺動するように適応することを特徴とする、請求項19に記載の牽引システム。
【請求項21】
前記スタンド(12)で前記基台(8)を回転させて、前記展開または格納デバイスを前記風に対して向かわせるステップを含むことを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載の牽引システムの牽引翼を展開または格納するため方法。
【請求項22】
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
-前記キャリッジ(46)が前記サスペンションライン(4)によって、前記牽引翼(2)をキャッチするステップと、
-前記キャリッジ(46)が前記展開及び格納構造に沿って降下して、前記内部保管スペース(20)の中に向かうステップと、
を含むことを特徴とする、請求項
21に記載の牽引翼を折り畳む方法。
【国際調査報告】