(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体、その製造方法及びこれを原料として製造される二次電池分離膜
(51)【国際特許分類】
C08F 297/08 20060101AFI20241031BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20241031BHJP
C08F 4/654 20060101ALI20241031BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20241031BHJP
H01M 50/494 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
C08F297/08
C08F210/16
C08F4/654
H01M50/417
H01M50/489
H01M50/494
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529835
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2022018010
(87)【国際公開番号】W WO2023090824
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159387
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0057297
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524188686
【氏名又は名称】コリア・ペトロケミカル・インダストリー シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】カン カプク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム サンゴン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ホジン
(72)【発明者】
【氏名】ハ ヒュン ス
【テーマコード(参考)】
4J026
4J100
4J128
5H021
【Fターム(参考)】
4J026HA03
4J026HA27
4J026HA32
4J026HA40
4J026HB04
4J026HB27
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4J128GA09
5H021EE04
5H021HH01
5H021HH06
5H021HH07
(57)【要約】
本発明は多段重合によって(超)高分子量ポリエチレンを線形構造の1段重合体として有し、水素を添加しないか、極微量を添加する条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molである(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体、その製造方法及びこれを原料として製造される二次電池分離膜に関する。本発明によれば、単純混合して加工するポリエチレンとポリプロピレンの異種複合素材の二次電池分離膜に比べて、混練性、フィルム表面及びその他の物性が改善される効果がある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)反応器内に、1~20の炭素原子を有する炭化水素溶媒の存在下で、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)、チタン化合物である主触媒(y)及びシリコン化合物である助触媒(z)を混合して投入するステップ;
(b)前記ステップ(a)で得られた混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入し、1段目の重合反応を行うステップ;
(c)前記1段目の重合反応の後に前記反応器内の未反応単量体を除去するステップ;
(d)前記ステップ(c)で得られた混合溶液にプロピレン単量体を投入し、2段目の重合反応を行うステップ;及び
(e)前記ステップ(d)で得られた反応溶液からポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体の粉末を濾過して乾燥するステップ;を含む、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項2】
前記共触媒(x)は、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、メタルアルミニウムジクロライド、及びエチルアルミニウムセスキクロライドからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記助触媒(z)は、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMCD)、シクロヘキシル-n-プロピルジメトキシシラン(CPDM)、シクロヘキシル-i-プロピルジメトキシシラン(CIPDM)、シクロヘキシル-n-ブチルジメトキシシラン(CBDM)、シクロヘキシル-i-ブチルジメトキシシラン(CIBDM)、シクロヘキシル-n-ヘキシルジメトキシシラン(CHDM)、シクロヘキシル-n-オクチルジメトキシシラン(CODM)、シクロヘキシル-n-デシルジメトキシシラン(CDeDM)、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン及びメチルトリアリールオキシシランからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物であることを特徴とする(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して前記アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが10~500モル含まれることを特徴とする、請求項1に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項5】
前記チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して前記シリコン化合物である助触媒(z)のSiが1~40モル含まれることを特徴とする、請求項1に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記1段目及び前記2段目の重合反応において、重合温度は30~90℃であることを特徴とする、請求項1に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記1段目及び前記2段目の重合反応において、重合圧力は1~40barであることを特徴とする、請求項1に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記1段目の重合反応において、前記エチレン単量体は3~95重量%を投入し、前記2段目の重合反応において、前記プロピレン単量体は6~98重量%を投入することを特徴とする、請求項1に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法。
【請求項9】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体において、
前記ブロック共重合体100重量%に対して、25~90重量%の(超)高分子量ポリエチレン;及び10~75重量%の超高分子量ポリプロピレンからなり、
前記(超)高分子量ポリエチレンは、粘度平均分子量が40万~500万g/molであり、前記超高分子量ポリプロピレンは、粘度平均分子量が100万~400万g/molであり、
前記ブロック共重合体は、水素を添加しないか、極微量を添加する条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molである、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体。
【請求項10】
前記ブロック共重合体は、混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入する1段目の重合反応を実施した後、前記混合溶液にプロピレン単量体を投入する2段目の重合反応を行って製造されることにより、前記(超)高分子量ポリエチレンを線形構造の1段重合体で有する、請求項9に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体。
【請求項11】
前記ブロック共重合体は、見掛け密度が0.30~0.50g/cm
3である、請求項9に記載の高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体。
【請求項12】
前記ブロック共重合体は、無機物の含量が1~30ppmであり、前記無機物は、重合工程で触媒として使用されたものである、請求項9に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体。
【請求項13】
前記ブロック共重合体は、粒径が10~400μmである、請求項9に記載の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体。
【請求項14】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造され、前記(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、前記ブロック共重合体100重量%に対して、25~90重量%の(超)高分子量ポリエチレン;及び10~75重量%の超高分子量ポリプロピレンからなり、前記(超)高分子量ポリエチレンは、粘度平均分子量が40万~500万g/molであり、前記超高分子量ポリプロピレンは、粘度平均分子量が100万~400万g/molであり、前記ブロック共重合体は、水素を添加しないか、極微量を添加する条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molである、二次電池分離膜。
【請求項15】
前記二次電池分離膜は、突刺強度が300~600gfである、請求項14に記載の二次電池分離膜。
【請求項16】
前記二次電池分離膜は、引張強度が800~2,000kgf/cm
2である、請求項14に記載の二次電池分離膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体、その製造方法及びこれを原料として製造される二次電池分離膜に関し、より詳細には、二次電池分離膜に適用される(超)高分子量ポリエチレンと超高分子量ポリプロピレンの混合加工の過程でポリエチレンとポリプロピレンの相溶性の低下による問題点を解決するために、多段重合によって(超)高分子量ポリエチレンを線形構造の1段重合体で有する(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を製造することによって、均一性及び加工の安定性を向上させることができる、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体、その製造方法及びこれを原料として製造される二次電池分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリプロピレン重合は、塩化マグネシウムを担体とし、フタレート、ジエーテル、サクシネート化合物を内部電子供与体として含む塩化チタンを主触媒とし、アルキルアルミニウムを共触媒とし、アルコキシ基を含有するシリコン化合物を外部電子供与体である助触媒として重合が行われるようになり、スラリー重合、バルク重合、気相重合などの反応形態で重合が行われるようになり、ポリエチレン重合は、塩化マグネシウムを担体としたチタン触媒を主触媒とし、アルキルアルミニウム化合物を共触媒としてスラリー重合に進む。
【0003】
このように製造されたポリエチレンとポリプロピレンは、相溶性が低く一般的に複合化されないが、ロープのような特定の用途によっては、一部混合して使用し、ポリエチレン、ポリプロピレンブロック共重合体を相溶化剤として使用し、混練性を増大させることによって複合化が可能になる。
【0004】
このような相溶性の欠如にもかかわらず、最近、二次電池分離膜の性能改善のために(超)高分子量ポリエチレンにポリプロピレンを混合して分離膜を製造しているが、一般汎用のポリプロピレンは、低い粘度による加工性及び機械的物性の低下、(超)高分子量ポリエチレンと超高分子量ポリプロピレンの含有量によって不均一系が存在し、均一な性能を有する分離膜の製造に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州登録特許EP3157966B1
【特許文献2】米国登録特許US8008417
【特許文献3】韓国登録特許KR10-1161752
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような問題点を解決するために、本発明は、ポリエチレンとポリプロピレンの重合が可能な主触媒の選定、及び、主触媒、共触媒、助触媒などの組み合わせの割合と多段重合時にそれぞれのポリエチレンとポリプロピレンの分子量、基本物性などを調節するための重合条件、及び、二次電池分離膜の性能向上のための(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体、その製造方法及びこれを原料として製造される二次電池分離膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、(a)反応器内に、1~20の炭素原子を有する炭化水素溶媒の存在下で、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)、チタン化合物である主触媒(y)及びシリコン化合物である助触媒(z)を混合して投入するステップ;(b)前記ステップ(a)で得られた混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入し、1段目の重合反応を行うステップ;(c)前記1段目の重合反応の後、前記反応器内の未反応単量体を除去するステップ;(d)前記ステップ(c)で得られた混合溶液にプロピレン単量体を投入し、2段目の重合反応を行うステップ;及び(e)前記ステップ(d)で得られた反応溶液からポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体の粉末を濾過し乾燥するステップ;を含む、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法を開示する。
【0008】
ここで、前記共触媒(x)は、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、メタルアルミニウムジクロライド、及びエチルアルミニウムセスキクロライドからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物であり得る。
【0009】
ここで、前記助触媒(z)は、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMCD)、シクロヘキシル-n-プロピルジメトキシシラン(CPDM)、シクロヘキシル-i-プロピルジメトキシシラン(CIPDM)、シクロヘキシル-n-ブチルジメトキシシラン(CBDM)、シクロヘキシル-i-ブチルジメトキシシラン(CIBDM)、シクロヘキシル-n-ヘキシルジメトキシシラン(CHDM)、シクロヘキシル-n-オクチルジメトキシシラン(CODM)、シクロヘキシル-n-デシルジメトキシシラン(CDeDM)、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン及びメチルトリアリールオキシシランからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物であってもよい。
【0010】
ここで、前記チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、前記アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが10~500モル含まれることができる。
【0011】
ここで、前記チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、前記シリコン化合物である助触媒(z)のSiが1~40モル含まれることができる。
【0012】
ここで、前記1段目及び前記2段目の重合反応において、重合温度は30~90℃の範囲以内であり得る。
【0013】
ここで、前記1段目及び前記2段目の重合反応において、重合圧力は1~40barの範囲以内であり得る。
【0014】
ここで、前記1段目の重合反応において、前記エチレン単量体は3~95重量%を投入し、前記2段目の重合反応において、前記プロピレン単量体は6~98重量%を投入することができる。
【0015】
一方、前記目的を達成するために、本発明は、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体において、前記ブロック共重合体100重量%に対して、25~90重量%の(超)高分子量ポリエチレン;及び10~75重量%の超高分子量ポリプロピレンからなり、前記(超)高分子量ポリエチレンは、粘度平均分子量が40万~500万g/molであり、前記超高分子量ポリプロピレンは、粘度平均分子量が100万~400万g/molであり、前記ブロック共重合体は、水素を添加しないか、極微量を添加する条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molである、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体をさらに開示する。
【0016】
ここで、前記ブロック共重合体は、混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入する1段目の重合反応を実施した後、前記混合溶液にプロピレン単量体を投入する2段目の重合反応を行って製造されることにより、前記(超)高分子量ポリエチレンを線形構造の1段重合体で有することができる。
【0017】
ここで、前記ブロック共重合体は、見掛け密度が0.30~0.50g/cm3であってもよい。
【0018】
ここで、前記ブロック共重合体は、無機物の含量が1~30ppmであり、前記無機物は、重合工程で触媒として使用されたものであり得る。
【0019】
ここで、前記ブロック共重合体は、粒径が10~400μmであってもよい。
【0020】
一方、前記目的を達成するために、本発明は、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造され、前記(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、前記ブロック共重合体100重量%に対して、25~90重量%の(超)高分子量ポリエチレン;及び10~75重量%の超高分子量ポリプロピレンからなり、前記(超)高分子量ポリエチレンは、粘度平均分子量が40万~500万g/molであり、前記超高分子量ポリプロピレンは、粘度平均分子量が100万~400万g/molであり、前記ブロック共重合体は、水素を添加しないか、極微量を添加する条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molである、二次電池分離膜をさらに開示する。
【0021】
ここで、前記二次電池分離膜は、突刺強度が300~600gfであってもよい。
【0022】
ここで、前記二次電池分離膜は、引張強度が800~2,000kgf/cm2であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
前述した本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体によれば、相溶性が低いポリエチレンとポリプロピレンの混合、加工時の混練性増大のための相溶化剤への適用はもちろん、単純混合して加工するポリエチレンとポリプロピレンの異種複合素材の二次電池分離膜に比べて、混練性、フィルム表面及びその他の物性が改善される効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願において使用する用語は、単に特定の例示を説明するために使用されるものである。そのため、例えば、単数の表現は文脈上明らかに単数でなければならないものではない限り、複数の表現を含む。なお、本出願において使用される「含む」又は「具備する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、ステップ、機能、構成要素、又はこれらを組み合わせたものが存在することを明確に指称するために使用されるものであり、他の特徴やステップ、機能、構成要素またはこれらを組み合わせたものの存在を予備的に排除するものではないことに留意すべきである。
【0025】
一方、異なって定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味をもつものとみなければならない。従って、本明細書で明確に定義しない限り、特定の用語が過度に理想的であるとか形式的な意味に解釈されるべきではない。
【0026】
(超)高分子量ポリエチレンにポリプロピレンを混合した二次電池分離膜の性能改善のために(超)高分子量ポリエチレンと超高分子量ポリプロピレンの多段重合が可能な触媒を選定しなければならず、ポリエチレンとポリプロピレンの分子量の調節及び多段重合でのポリエチレンとポリプロピレンの重合度を調節する技術を確保しなければならない必要がある。また、粉末形態の製造、供給及び加工を容易にするために、粉末の粒形、粒度などに対する調節が要求される。
【0027】
本発明者らは、下記のように、本発明によって、ポリエチレンとポリプロピレンの分子量の調節及び多段重合によって、二次電池分離膜の性能が改善された(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を製造できることを確認して本発明を完成した。一方、本明細書で使用する用語である「(超)高分子量」とは、粘度平均分子量100万g/mol以上を意味する。
【0028】
また、本明細書で使用する用語である「高分子量」とは、粘度平均分子量40万g/mol超過100万g/mol未満の分子量を意味する。
【0029】
ポリエチレンとポリプロピレンの重合用チタン触媒の選定
上記で言及した目的を達成するために、本発明では、ポリエチレンとポリプロピレンの重合が可能で安定した粉末の形態を確保することができる主触媒の選定、及び、主触媒、共触媒及び助触媒などの組み合わせの割合が必要である。チーグラー・ナッタ系の塩化マグネシウムを担体とするチタンクロライド触媒は、チタンの酸価によってポリエチレン及びポリプロピレンの重合度が異なってあらわれ、分子量及び粒状に大きな影響を与える。
【0030】
特に、チタン3価の触媒の場合、ポリエチレンとポリプロピレンの重合がいずれも可能であることにより、本発明の(超)高分子量ポリエチレンと超高分子量ポリプロピレンの多段重合が可能な触媒としてチタン3価の触媒を選定し、ポリエチレンの重合時に分子量の調節、及び、安定した粒形を確保するために、共触媒と助触媒の割合を調節する方法を提供する。
【0031】
より具体的には、本発明では、前記塩化マグネシウムチタン化合物である主触媒として3価のチタン触媒を使用し、アルキルアルミニウム化合物である共触媒、アルコキシ基を含むシリコン化合物である助触媒の投入割合による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の多段重合方法を提示する。
【0032】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法
本発明では、前記塩化マグネシウム担体チタン化合物である主触媒として3価のチタン触媒を使用し、アルキルアルミニウム化合物である共触媒、アルコキシ基を含むシリコン化合物である助触媒の投入割合による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の多段重合方法を提示する。
【0033】
本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法において、各ステップ別の工程は、下記のとおりである。
【0034】
(a)反応器内に、1~20の炭素原子を有する炭化水素溶媒の存在下で、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)、チタン化合物である主触媒(y)及びシリコン化合物である助触媒(z)を混合して投入するステップ;
【0035】
(b)前記ステップ(a)で得られた混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入し、1段目の重合反応を行うステップ;
【0036】
(c)前記1段目の重合反応の後、前記反応器内の未反応単量体を除去するステップ;
【0037】
(d)前記ステップ(c)で得られた混合溶液にプロピレン単量体を投入し、2段目の重合反応を行うステップ;及び
【0038】
(e)前記ステップ(d)で得られた反応溶液からポリエチレン系のブロック共重合体の粉末を濾過して乾燥するステップ;を含むことができる。
【0039】
本発明は、前記ステップ(b)でエチレン単量体を投入し、その後、前記ステップ(d)でプロピレン単量体を順次投入することによって、(超)高分子量ポリエチレンを線形構造の1段重合体で有する、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を製造することができる。すなわち、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体において、1段目の重合反応によって生成される(超)高分子量ポリエチレンは、線形構造の出発重合体鎖を形成することができ、その後、2段目の重合反応によって生成される超高分子量ポリプロピレンは、前記出発重合体鎖に続いて線形で結合される後続重合体鎖を形成することができる。
【0040】
具体的に、(超)高分子量ポリエチレンは、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体をなす主鎖(main chain)になり得、超高分子量ポリプロピレンは、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体をなす一つの主鎖に連続して主鎖をなすことができる。
【0041】
本明細書で用いる用語である「主鎖」とは、高分子の骨格をなす幹分子鎖を意味し、出発重合体鎖と後続重合体鎖とが一つの主鎖をなすことを意味する。本発明は、同一の主鎖内に互いに異なる高分子である(超)高分子量ポリエチレンと超高分子量ポリプロピレンがブロックをなすことを説明している。
【0042】
さらに、前記ステップ(d)を行った後、再びステップ(b)~ステップ(d)を行う、4段重合により本発明によるブロック共重合体を製造することができ、この場合、本発明による2段重合に比べて均一な混練性及び向上した物性を有するブロック共重合体及びブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜を得ることができる。
【0043】
本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の多段重合は、1~5回以内の範囲で繰り返して重合することができ、これに限定されるものではない。
【0044】
ここで、前記ステップ(a)は、窒素雰囲気下で行われることが好ましい。すなわち、前記ステップ(a)は、不活性気体の存在下で行われることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0045】
本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法において、ステップ(a)の1~20の炭素原子を有する炭化水素溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカンまたはテトラデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンまたはエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒;及びジクロロプロパン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素またはクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒からなる群より選択されたいずれか一つ以上の溶媒を含むことができ、また、炭化水素なしに高圧のプロピレン下で気相重合またはバルク重合で行われることもできる。
【0046】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法のステップ(a)において、共触媒(x)の代表的な例としては、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、メタルアルミニウムジクロライド、及びエチルアルミニウムセスキクロライドからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物を含むことができる。
【0047】
ステップ(a)において、前記共触媒(x)は、前記主触媒(y)1モル当たり3~1,000モルで添加されることが好ましいが、これに限定されるものではない。より具体的には、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが3~1,000モル含まれることが好ましく、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが5~500モル含まれることがさらに好ましい。さらに、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが10~500モル含まれることがさらに好ましい。仮に、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが5モル未満の場合、重合反応が十分に起こらない問題が生じ得、逆に、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対して、アルキルアルミニウム化合物である共触媒(x)のAlが500モル超過の場合、共触媒のアルキル基によって分子主鎖の切断現象が発生して高分子量のポリエチレン樹脂を得ることができず、均一な混練性及び改善された物性を有する(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を得ることができない問題が発生し得る。
【0048】
また、ステップ(a)において、主触媒(y)は、フタレート、ジエーテル、サクシネートが含まれたシリコン化合物を内部電子供与体として含み、塩化マグネシウムを担体とするチーグラー・ナッタ系の塩化チタン触媒として三塩化チタンが好適であり、内部電子供与体の形態によって高い立体規則性を提供する触媒がさらに好ましく、一般的に商用化された触媒を使用することができる。
【0049】
また、ステップ(a)において、前記助触媒(z)は、下記化学式(1)の化合物、下記化学式(2)の化合物及び下記化学式(3)の化合物からなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物を使用することができる。
【化1】
【化2】
【化3】
前記化学式(1)~(3)において、R
a、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、1~12の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基、又はビニル基であり、R
bは、1~6の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基であり、Rは、1~12の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基、又は-OR
cであり、このとき、R
cは、1~6の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基であり、nは、0~6の整数である。
【0050】
具体的に、前記化学式(1)の化合物の代表的な例として、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMCD)、シクロヘキシル-n-プロピルジメトキシシラン(CPDM)、シクロヘキシル-i-プロピルジメトキシシラン(CIPDM)、シクロヘキシル-n-ブチルジメトキシシラン(CBDM)、シクロヘキシル-i-ブチルジメトキシシラン(CIBDM)、シクロヘキシル-n-ヘキシルジメトキシシラン(CHDM)、シクロヘキシル-n-オクチルジメトキシシラン(CODM)、シクロヘキシル-n-デシルジメトキシシラン(CDeDM)、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン及びメチルトリアリールオキシシランからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物が挙げられる。好ましくは、上記化学式(1)の化合物の代表的な例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン及びメチルトリアリールオキシシランからなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物を含んでもよい。
【0051】
前記化学式(2)の化合物の代表的な例として、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジメチル-1,3-ジシランプロパン(TMDMDP)、1,1,3,3-テトラメトキシ-1-メチル-3-ヘキシル-1,3-ジシランプロパン(TMMHDP)、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジ-n-ヘキシル-1,3-ジシランプロパン(TMDHDP)、1,1,3,3-テトラメトキシ-1-メチル-3-シクロヘキシル-1,3-ジシランプロパン(TMMCDP)、1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジシクロヘキシル-1,3-ジシランプロパン(TMDCDP)、1,1,8,8-テトラメトキシ-1,8-ジシクロヘキシル-1,8-ジシランオクタン(TMDCDO)及び1,1,3,3-テトラメトキシ-1,3-ジメチルジシロキサン(TMDMDS)からなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物を挙げることができる。
【0052】
前記化学式(3)の化合物の代表的な例として、メチル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(MTDM)、n-プロピル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(PTDM)、i-プロピル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(IPTDM)、n-ブチル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(BTDM)、i-ブチル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(IBTDM)、n-ペンチル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(PnTDM)、nヘキシル-(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(HTDM)、シクロペンチル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(CpTDM)及びシクロヘキシル(トリメチルシリルメチル)ジメトキシシラン(CTDM)からなる群より選択されるいずれか一つ以上の化合物が挙げられる。
【0053】
ステップ(a)において、前記助触媒(z)は、前記主触媒(y)1モル当たり0.5~40モルで添加されることが好ましいが、これに限定されるものではない。より具体的に、チタン化合物である主触媒のTi1モルに対して、シリコン化合物である助触媒のSiが0.5~40モル含まれることが好ましく、チタン化合物である主触媒のTi1モルに対して、シリコン化合物である助触媒のSiが1~40モル含まれることがさらに好ましい。ひいては、チタン化合物である主触媒のTi1モルに対して、シリコン化合物である助触媒のSiが1~30モル含まれることがさらに好ましい。例えば、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対してシリコン化合物である助触媒(z)のSiが1モル未満である場合、1段目の重合反応において、エチレンの急激な反応速度によって、速くて不均一な粒子の成長が触媒活性点を塞ぎ、2段目の重合反応において十分なポリプロピレンの反応が起こらなくなり、逆に、チタン化合物である主触媒(y)のTi1モルに対してシリコン化合物である助触媒のSiが40モル超過の場合、助触媒の構造に含まれている酸素原子が触媒毒として作用して急激な活性低下が起こり、低い重合度によって超高分子量のポリプロピレン樹脂を得ることができず、重合反応が起こっても均一な混練性及び改善された物性を有する(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を十分に得ることができない問題が発生し得る。
【0054】
ステップ(b)の1段目の重合反応において、エチレン単量体は3~95重量%投入することが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、前記エチレン単量体を3重量%未満で投入する場合、ブロック共重合体の製造時にエチレン含量が低く、十分な重合度が確保されず、高い分子量のポリエチレンの重合がなされず、逆に、前記エチレン単量体を95重量%超過して投入する場合、ブロック共重合体の製造時に目標とする共重合体の組成の調節が難しくなり、2段でポリプロピレン反応が進行するほどの活性を確保することができず、共重合体樹脂を確保することができない。
【0055】
一方、ステップ(b)において、混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入し、1段目の重合反応を行う重合温度は、30~90℃の範囲以内であることが好ましいが、これに限定されるものではない。仮に、重合反応を行う重合温度が30℃未満の場合、重合反応が十分に起こらない問題が発生することがあり、逆に、重合反応を行う重合温度が90℃を超える場合、重合反応が起こっても急激な反応速度によって、生成された樹脂が触媒活性点を急激に塞ぐことになり、目標とする共重合体の組成の調節が難しくなり、2段目の重合のための十分な活性を確保することができない。
【0056】
また、ステップ(b)において、混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入し、1段目の重合反応を行う重合圧力は、1~40barの範囲以内であることが好ましいが、これに限定されるものではない。仮に、重合反応を行う重合圧力が1bar未満である場合、重合反応が十分に起こらない問題が発生し得、逆に、重合反応を行う重合圧力が40barを超過する場合、重合反応が起こっても急激な反応速度によって、生成された樹脂が触媒活性点を急激に塞ぐことになり、目標とする共重合体の組成の調節が難しくなり、2段目の重合のための十分な活性を確保することができない。
【0057】
また、ステップ(b)の1段目の重合反応で混合溶液にエチレン単量体を投入し、分子量の調節剤である水素(H2)を極微量添加するか、添加しないことによって目標とする超高分子量ポリエチレン重合体の分子量の範囲を調節することができる。この時、前記1段目の重合反応に添加される水素の含有量は、反応器の条件1気圧下で0.001~500mLの範囲以内であるか、または0.001~0.5barの圧力で供給されるか、オレフィン単量体に比べて、水素モル含量の範囲が0.1~50vol%で供給され得るが、これに限定されるものではない。
【0058】
ステップ(c)は、前記1段目の重合反応後、反応器内に残っている未反応単量体を除去する工程に該当する。ここで、未反応単量体はエチレン単量体であることが好ましく、もしステップ(b)でエチレン単量体の代わりにプロピレン単量体を先に添加する場合、前記未反応単量体はプロピレン単量体であり得る。未反応単量体を効果的に除去するためには、真空ポンプを利用することができるが、反応器内のヘキサンが気化して除去されることができるので、真空度は30torrに限定するか、反応器の内部温度を60度以上を維持し、窒素2barまで充填し、大気に完全に排出する方法を3回以上行う。
【0059】
ステップ(d)の2段目の重合反応において、プロピレン単量体は、全体投入される単量体のうち6~98重量%投入することが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、前記プロピレン単量体を6重量%未満で投入する場合、ブロック共重合体の製造時にプロピレン含量が低くてブロック共重合体の融点確認時に160度以上のポリプロピレンに該当する融点を発現することができず、逆に、前記プロピレン単量体を98重量%超過して投入する場合、ブロック共重合体の製造時に目標とする共重合体の組成の調節が難しくなり、共重合体を原料とする二次電池分離膜の製造時に分離膜の性能が低下する問題が発生し得る。
【0060】
一方、ステップ(d)において、混合溶液にプロピレン単量体を添加し、2段目の重合反応を行う重合温度は、30~90℃の範囲以内であることが好ましいが、これに限定されるものではない。仮に、重合反応を行う重合温度が30℃未満の場合、重合反応が十分に起こらない問題が生じ得、逆に、重合反応を行う重合温度が90℃を超過する場合、重合反応が起こっても、立体規則度が低いポリプロピレンが重合されてヘキサン内に溶解されるか、重合活性が急激に低下して目標とする共重合体の組成の調節が難しくなり、共重合体を原料とする二次電池分離膜の製造時に分離膜の性能が低下する問題が発生し得る。
【0061】
また、ステップ(d)において、混合溶液にプロピレン単量体を添加し、2段目の重合反応を行う重合圧力は、1~40barの範囲以内であることが好ましいが、これに限定されるものではない。仮に、重合反応を行う重合圧力が1bar未満である場合、重合反応が十分に起こらない問題が発生し得、逆に、重合反応を行う重合圧力が40barを超過する場合、重合反応が起こっても、目標とする共重合体の組成の調節が難しくなり、共重合体を原料とする二次電池分離膜の製造時に分離膜の性能が低下する問題が発生し得る。
【0062】
また、ステップ(d)の2段目の重合反応で混合溶液にプロピレン単量体を投入し、分子量の調節剤である水素(H2)を添加する場合、超高分子量ポリプロピレンを重合することができず、この時には分子量の範囲を調節するために、主触媒、共触媒、助触媒の割合を調節することによって、目標とする超高分子量ポリプロピレン重合体の分子量の範囲と最終生成される超高分子量ポリエチレン系ブロック共重合体の分子量の範囲を調節することができる。
【0063】
一方、ステップ(b)及び(d)で重合反応を行うステップは、液状、スラリー状、塊状(Bulk phase)または気相重合で行われ得るが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記ステップ(b)及び(d)は、懸濁重合反応器(Autoclave)で行うことが好ましく、2つ以上の連続した反応器で行うことができる。この場合、各反応器の運転条件を同一または異ならせて重合体の物性を調節することができる。
【0064】
ステップ(e)は、前記ステップ(d)で得られた反応溶液からポリエチレン系のブロック共重合体の粉末を濾過して乾燥するステップである。より具体的には、前記製造された(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体に極性有機溶媒を混合し、蒸留水(y)または濾過水(y’)を用いて分離、精製及び乾燥を行う。
【0065】
この時、前記製造された(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体と極性有機溶媒の混合割合は、製造されたブロック共重合体の重量に比べて、0.1~10倍の極性有機溶媒を投入及び混合することができ、好ましくは製造されたブロック共重合体の重量に比べて、0.5~3倍の極性有機溶媒を混合することができる。
【0066】
すなわち、製造されたブロック共重合体100重量部に対して、10~1000重量部の極性有機溶媒を混合することが好ましく、製造されたブロック共重合体100重量部に対して、50~300重量部の極性有機溶媒を混合することがさらに好ましい。
【0067】
この時、前記極性有機溶媒は、下記化学式(4)の化合物を使用することができる。
R-OH・・・・・・化学式(4)
HO-R1-R2-OH・・・・・・化学式(5)
【0068】
前記化学式(4)において、Rは、1~12の炭素原子を有する線状または分岐状のアルキル基であり、具体的には、前記化学式(4)に該当する化合物の代表的な例として、線形構造のアルカリであるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、分岐状アルキル基であるイソプロパノール、イソブタノール及びイソペンタノールからなる群より選択される一つ以上の化合物を含み得る。
【0069】
前記化学式(5)において、R1及びR2は、0~6の炭素原子を有する線状のアルキル基であり、具体的には、前記化学式(5)に該当する化合物の代表的な例としては、メタンジオール、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール及びドデカンジオールからなる群より選択される一つ以上の化合物を含み得る。
【0070】
製造されたブロック共重合体から触媒残渣を溶解した極性有機溶媒を分離するために使用される水は、蒸留水または濾過水を使用することができ、使用された極性有機溶媒の重量に比べて、1~30倍を使用し、好ましくは使用された極性有機溶媒の重量に比べて、5~20倍を使用することができる。
【0071】
すなわち、極性有機溶媒100重量部に対して、100~3000重量部の蒸留水または濾過水を用いることが好ましく、極性有機溶媒100重量部に対して、500~2000重量部の蒸留水または濾過水を用いることがさらに好ましい。製造されたブロック共重合体と極性有機溶媒の混合物質は、水と接触後、層分離がなされるが、ここで分子の極性有機溶媒は水層で混合され、製造されたブロック共重合体は、水の上層部に浮遊し、これをろ紙やフィルターを用いて分離した後、90~105℃の乾燥機で乾燥して重合工程で触媒として使用されたマグネシウム、チタン、アルミニウム、シリコンなどの無機物が除去された(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を得ることができる。
【0072】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体
一方、本明細書は、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造方法によって製造される、(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体をさらに開示する。
【0073】
本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体において、前記(超)高分子量ポリエチレンの含量は5~95重量%であり、前記超高分子量ポリエチレンの含量は5~95重量%であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0074】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体において、前記(超)高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、40万~500万g/molであることが好ましく、80万~400万g/molであることがさらに好ましい。
【0075】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体において、前記超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、100万~400万g/molであることが好ましく、120万~300万g/molであることがさらに好ましい。
【0076】
ひいては、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、水素を添加しないか、極微量を添加する条件下で、好ましくは水素を添加しない条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molであってもよく、より好ましくは粘度平均分子量が90万~400万g/molであってもよい。
【0077】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、混合溶液にエチレン単量体のみ投入するか、またはエチレン単量体と極微量の水素を投入する1段目の重合反応を実施した後、前記混合溶液にプロピレン単量体を投入する2段目の重合反応を行って製造されることにより、前記(超)高分子量ポリエチレンを線形構造の1段重合体で有することができる。
【0078】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、上述したように、触媒残渣の除去工程を経ることによって、無機物の含量が30ppm以下の水準を維持することができる。より具体的に、本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の無機物の含量は、1~30ppmであることが好ましく、5~20ppmであることがさらに好ましい。
【0079】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、上述したように、触媒の粒径及び重合度を調節することによって、粒径が400μm以下の水準を維持することができる。より具体的に、本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の粒径は、10~400μmであることが好ましく、50~300μmであることがさらに好ましい。
【0080】
また、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、見掛け密度が0.30~0.50g/cm3であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0081】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造される二次電池分離膜
また、本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、従来のポリエチレン及びポリプロピレンの共重合体に比べて混練性が増大することによって、前記本発明のブロック共重合体を原料として性能に優れた二次電池分離膜を製造することができる。
【0082】
本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、突刺強度が300~600gfであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0083】
また、本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、引張強度が800~2,000kgf/cm2であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0084】
また、本発明による(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、引張伸度(Elong)が25~90%であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0085】
以下、添付した図面及び実施例を参照して本明細書が請求するところについてさらに詳しく説明する。但し、本明細書で提示している図面乃至実施例などは、通常の技術者によって多様な方式で変形されて様々な形態を有することができるところ、本明細書の記載事項は、本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての均等物乃至代替物を含んでいるものとみなければならない。なお、添付図面は、本発明を通常の技術者にとってより正確に理解できるように助けるために提示されるものであって、実際よりも誇張または縮小されて示されることがある。
【0086】
{実施例及び評価}
実施例1
攪拌機が設けられた2Lステンレス反応器を常温で真空にし、有機溶媒としてヘキサンを900mL注入した後、攪拌を行う。室温で共触媒であるトリエチルアルミニウム900mgと助触媒であるジシクロペンチルジメトキシシラン90mgを入れ、主触媒としてチタン化合物触媒を30mg投入した。その後、70℃に維持されている恒温槽に反応器を入れて60℃まで昇温する。
a.1段目の重合
分子量の調節剤として水素を200mL投入した後、質量流量計を用いて気相エチレン単量体を1,050mL/分の速度で85分間投入して70℃で重合する。
b.未反応エチレン単量体を除去する。
c.未反応エチレン単量体を除去した後、水素の投入なしに質量流量計を用いて気相プロピレン単量体を500mL/分の速度で120分間投入して70℃で重合する。反応終了後、未反応のプロピレン単量体を除去し、反応器を開放して有機溶媒と重合された樹脂を濾過、分離した後、乾燥機で樹脂を乾燥して(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体樹脂を得た。
【0087】
実施例2
実施例1のa.1段目の重合時に水素気体を100mL投入した後、気相エチレンの投入量を500mL/分に、c.2段目の重合の気相プロピレンの投入量を750mL/分に調節した以外、同様の方法で行った。
【0088】
実施例3
実施例1のa.1段目の重合時、水素気体を300mL投入した後、気相エチレンの投入量を1,100mL/分で120分間投入し、c.2段目の重合の気相プロピレンの投入量を500mL/分で60分間投入した以外、同様の方法で行った。
【0089】
実施例4
実施例1のa.1段目の重合時に水素気体を20mL投入した後、気相エチレンの投入量を300mL/分で30分間投入し、c.2段目の重合の気相プロピレンの投入量を730mL/分で150分間投入した以外、同様の方法で行った。
【0090】
実施例5
実施例1のa.1段目の重合時、水素気体を380mL投入した後、気相エチレンの投入量を1,400mL/分で120分間投入し、c.2段目の重合の気相プロピレンの投入量を200mL/分で30分間投入した以外、同様の方法で行った。
【0091】
実施例6
実施例1において、a.1段目の重合進行時に水素を投入しないこと以外、同様の方法で行った。
【0092】
実施例7
実施例1において、a.1段目の重合進行時に水素を投入しないことと2段目の重合の反応温度を55℃に調節した以外、同様の方法で行った。
【0093】
実施例8
実施例1の重合の準備ステップの後、a.1段目の重合の気相エチレンの投入量を700mL/分で60分投入し、c.2段目の重合の気相プロピレンの投入量を500mL/分で60分投入した後、再び1、2段目の重合を再度繰り返して4段重合を行った以外、同様の方法で行った。
【0094】
実施例9
実施例1において、共触媒を900mgから300mgに減量し、助触媒を90mgから30mgに減量した以外、同様の方法で行った。
【0095】
実施例10
実施例1において、共触媒を900mgから300mgに減量した以外、同様の方法で行った。
【0096】
実施例11
実施例6において、1、2段目の重合温度を70℃から30℃に下げた以外、同様の方法で行った。
【0097】
比較例1
大韓油化(株)VH035(粘度平均分子量40万)とUHMWPP(粘度平均分子量150万)とを50:50で混合した。
【0098】
比較例2
大韓油化(株)U015(粘度平均分子量150万)とUHMWPP(粘度平均分子量150万)とを50:50で混合した。
【0099】
比較例3
大韓油化(株)VH100U(粘度平均分子量100万)とUHMWPP(粘度平均分子量150万)とを45:55で混合した。
【0100】
比較例4
大韓油化(株)VH100U(粘度平均分子量100万)とUHMWPP(粘度平均分子量150万)とを40:60で混合した。
【0101】
比較例5
実施例1において、共触媒を900mgから10mgに減量し、助触媒を90mgから30mgに減量した以外、同様の方法で行った。
【0102】
比較例6
実施例1において、共触媒を900mgから1,730mgに増量した以外、同様の方法で行った。
【0103】
比較例7
実施例1において、助触媒を90mgから3mgに減量した以外、同様の方法で行った。
【0104】
比較例8
実施例1において、助触媒を90mgから130mgに増量した以外、同様の方法で行った。
【0105】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の物性測定方法
(1)粘度平均分子量(Mv):粘度平均分子量の測定は、ASTM D5020、ISO 1628-3によって定義された固有粘度(Intrinsic Viscosity)測定方法で固有粘度を確保し、これをMargolies Equationにより換算した値を表記した。
Mv=5.37×104×[η]1.49
η:固有粘度
【0106】
(2)ポリエチレン/ポリプロピレンの含量:NMRC13で分析した値を積分して表記した。
【0107】
(3)見掛け密度(g/cm3):ブロック共重合体樹脂粉末の水分を除去した後、乾式自動密度計(AccuPycII 1340TC-10CC;株式会社島津製作所製/キャリアガス;ヘリウム)を用いて見かけ密度を測定した。測定値が連続して5回以上等しくなるまで測定を繰り返した。
【0108】
二次電池分離膜の物性測定方法
(1)突刺強度(gf):カトーテック社製KES-G5ハンディ圧縮試験機を用い、針先端の曲率半径0.5mm、突刺し速度2mm/secの条件で突刺し試験を実施し、最大突刺し荷重を突刺し強度とした。ここで、サンプルは、直径11.3mmの穴が開いた金枠(試料ホルダー)に、リコーンゴム製のパッキンもともに挟んで固定した。
【0109】
(2)引張強度(kgf/cm2):ASTM D882(1997年)に準拠して、二次電池分離膜の引張強度を測定する。また、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明における引張強度とする。引張強度の測定における試験片は、二次電池分離膜を長さ方向10mm、幅方向50mmの長方形に切り出して試験片とした。引張速度は100mm/分、測定環境は温度23℃、湿度65%RHであった。
【0110】
(3)引張伸度(Elong.%):1mm厚さのプレスシートからスタンピングしたJIS K7113号の2号形試験片1/2を評価用試料として、23℃の雰囲気下で引張速度30mm/minで行った。測定には島津製作所製AGS-50Gを使用した。
【0111】
(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の物性測定結果
実施例1~11と比較例1~8によって製造されたブロック共重合体内のポリエチレンとポリプロピレンの含量、各1~4段目の重合後の粘度平均分子量及び二次電池分離膜の特性を評価結果を下記表1に示した。
【0112】
【0113】
前記表1を参照すると、本発明の一実施例による超高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体内のポリエチレン、ポリプロピレンの含量と分子量による二次電池分離膜の特性を確認することができ、比較例の単純混合され異種複合樹脂に比べて、物性の向上と表面の改善を確認することができる。
【0114】
実施例1~11による本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、チタン化合物である主触媒のTi1モルに対して、アルキルアルミニウム化合物である共触媒のAlが10~500モル及びシリコン化合物である助触媒のSiが1~40モル含まれ、分子量の調節剤である水素(H2)を極微量添加するか、添加しない条件下で、粘度平均分子量が40万~500万g/molであることを確認することができる。
【0115】
また、実施例6及び11から、本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造時、重合温度が30~90℃である時、粘度平均分子量が40万~500万g/molである(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体の製造が可能であることを確認することができる。
【0116】
また、実施例1~11による本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、見掛け密度が0.30~0.50g/cm3であることを確認することができる。
【0117】
一方、比較例5~8によるポリエチレンとポリプロピレンのブロック共重合体は、見掛け密度はいずれも0.30g/cm3未満であることを確認することができる。
【0118】
さらに、実施例1~11による本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、比較例1~4によるブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜に比べて、突刺強度が300~600gfであって、向上した機械的物性を示すことを確認することができる。
【0119】
一方、比較例1~4によるポリエチレンとポリプロピレンのブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、突刺強度がいずれも300gf未満であることを確認することができる。
【0120】
また、実施例1~10による本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、引張強度が800~2,000kgf/cm2であり、引張伸度(Elong)が25~90%であることから、比較例1~4によるブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜に比べて、均一な混練性及び改善された物性を有することを確認することができる。
【0121】
一方、比較例1~4によるポリエチレンとポリプロピレンのブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、引張強度及び引張伸度(Elong)がそれぞれ600kgf/cm2未満及び60%未満であることを確認することができる。
【0122】
特に、実施例8による本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜は、突刺強度が559gf、引張強度が1,811kgf/cm2、引張伸度(Elong)が81%であり、二次電池分離膜として最も優れた混練性及び改善された物性を有することが分かった。
【0123】
このことから、エチレン単量体及びプロピレン単量体をそれぞれ1回ずつ投入して重合する2段目の重合に比べて、エチレン単量体及びプロピレン単量体をそれぞれ1回ずつ投入して重合後、再びエチレン単量体及びプロピレン単量体を追加的に投入して重合する4段の重合を行う場合、製造されたブロック共重合体及びこのようなブロック共重合体を原料として製造された二次電池分離膜の混練性及び機械的物性が向上することを確認することができる。
【0124】
前述した本発明の(超)高分子量ポリエチレン系のブロック共重合体は、相溶性が低いポリエチレンとポリプロピレンの混合、加工時の混練性増大のための相溶化剤への適用はもちろん、単純混合して加工するポリエチレンとポリプロピレンの異種複合素材の二次電池分離膜に比べて、混練性、フィルム表面及びその他の物性が改善される効果がある。
【0125】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。
【0126】
したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明によれば、相溶性が低いポリエチレンとポリプロピレンの混合、加工時の混練性増大のための相溶化剤への適用はもちろん、単純混合して加工するポリエチレンとポリプロピレンの異種複合素材の二次電池分離膜に比べて、混練性、フィルム表面及びその他の物性が改善された二次電池分離膜を提供することができる。
【国際調査報告】