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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】システム及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01Q15/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530049
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022082731
(87)【国際公開番号】W WO2023094355
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210622.3
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフベイキ, モーセン
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA02
5J020BB08
5J020BD03
5J020BD04
5J020DA01
5J020DA02
5J020DA03
(57)【要約】
本発明は、誘電体基板と、上記誘電体基板上に配置されたコーティングシステムとを備えるシステムを開示する。コーティングシステムは、n個の同軸楕円ゾーンCEZnから構成されるフレネルゾーンプレートレンズを備え、nは正の整数であり、1からNまでの番号が付けられて(n=1,2,3,...,Nであり、Nは2以上の正の整数である(N≧2))、奇数同軸楕円ゾーン及び偶数同軸楕円ゾーンを定義する。奇数同軸楕円ゾーンは、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されるか、及び/又は偶数同軸楕円ゾーンは、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。本発明はまた、コーティング除去する方法と、システムを通して、0.3GHz~110GHzの周波数を有する入射EM波を、所望の場所DLにおいて屋内設備に集束させる上記システムの使用法とに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板(2)と、
前記誘電体基板上に配置されたコーティングシステム(3)と
を備える、システム(1)において、
前記コーティングシステムが、N個の同軸楕円ゾーンCEZn(CEZ1、CEZ2、CEZ3、CEZ4、CEZ5、CEZ6、CEZ7、CEZ8)から構成されるフレネルゾーンプレートレンズ(10)を備え、nは正の整数であり、1からNまでの番号が付けられて(n=1,2,3,...,Nであり、Nは2以上の正の整数である(N≧2))、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7)及び偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8)を定義すること、及び
前記奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7)のそれぞれが、コーティング領域及びコーティング除去領域を含む特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されるか、及び/又は前記偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8)のそれぞれが、コーティング領域及びコーティング除去領域を含む特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されることを特徴とする、システム(1)。
【請求項2】
前記奇数同軸楕円ゾーンが、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、前記偶数同軸楕円ゾーンがコーティング除去されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記特定の奇数コーティング除去パターンが1次元周期構造の配列を含み、好ましくは、前記特定の奇数コーティング除去パターンが平行な線を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記特定の奇数コーティング除去パターンが2次元周期構造の配列を含み、好ましくは、前記特定の奇数コーティング除去パターンがスロットの格子又は配列を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記偶数同軸楕円ゾーンが、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、前記奇数同軸楕円ゾーンがコーティング除去されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記特定の偶数コーティング除去パターンが1次元周期構造の配列を含み、好ましくは、前記特定の偶数コーティング除去パターンが平行な線を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記特定の偶数コーティング除去パターンが2次元周期構造の配列を含み、好ましくは、前記特定の偶数コーティング除去パターンがスロットの格子又は配列を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記奇数楕円ゾーンが、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、前記偶数楕円ゾーンが、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、前記奇数コーティング除去パターンと前記偶数コーティング除去パターンとが異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
各偶数同軸楕円ゾーン上の前記偶数コーティング除去パターンが、偶数コーティング領域Eac及び偶数コーティング除去領域Eadを画定し、前記偶数コーティング除去領域と、前記偶数楕円ゾーン、すなわち前記偶数コーティング領域及び前記偶数コーティング除去領域の和との間の比率が、多くとも0.25且つ少なくとも0.001であり(0.001≦Ead/(Eac+Ead)≦0.25)、好ましくは、多くとも0.15である、請求項1、3~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
各奇数同軸楕円ゾーン上の前記奇数コーティング除去パターンが、奇数コーティング領域Oac及び奇数コーティング除去領域Oadを画定し、前記奇数コーティング除去領域と、前記奇数楕円ゾーン、すなわち前記奇数コーティング領域及び前記奇数コーティング除去領域の和との間の比率が、多くとも0.25且つ少なくとも0.001であり(0.001≦Oad/(Oac+Oad)≦0.25)、好ましくは、多くとも0.15である、請求項1~4及び6~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記同軸楕円ゾーンが同心円形ゾーンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記誘電体基板がガラスパネルである、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
誘電体基板上に配置されたコーティングシステム(3)上に含まれるフレネルゾーンプレートレンズ(10)をコーティング除去する方法において、
前記フレネルゾーンプレートレンズが、N個の同軸楕円ゾーンCEZn(CEZ1、CEZ2、CEZ3、CEZ4、CEZ5、CEZ6、CEZ7、CEZ8)から構成され、nは正の整数であり、1からNまでの番号が付けられて(n=1,2,3,...,Nであり、Nは2以上の正の整数である(N≧2))、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7)及び偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8)を定義すること、
前記奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7)が、コーティング領域及びコーティング除去領域を含む特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されるか、及び/又は前記偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8)が、コーティング領域及びコーティング除去領域を含む特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されること、及び
前記方法が、コーティング領域及びコーティング除去領域を含む特定の奇数コーティング除去パターンで前記奇数同軸楕円ゾーンを部分的にコーティング除去する奇数コーティング除去ステップ、及び/又はコーティング領域及びコーティング除去領域を含む特定の偶数コーティング除去パターンで前記偶数同軸楕円ゾーンを部分的にコーティング除去する偶数コーティング除去ステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記方法が、前記奇数コーティング除去ステップ及び/又は前記偶数コーティング除去ステップの前に、
a.屋外基地局又は屋外中継器(100)からの到来無線信号(101)の入射角を現場で測定するステップと、
b.前記コーティングシステムと屋内設備(200)のアンテナとの間の距離を計算して、焦点を定義するステップと、
c.コーティング除去する前記楕円ゾーンの寸法及び位置を計算するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記システムを通して、0.3GHz~110GHzの周波数を有する入射EM波(101)を、前記誘電体パネル(2)に関して前記入射EM波(101)とは反対側に配置された屋内設備(200)がある所望の場所DLに集束させる、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、誘電体基板と、誘電体基板の少なくとも一部の上にあるコーティングシステムとを備えるシステムであって、システムを通して、つまりシステムの一方の側から他方の側に、入射電磁(EM)波、特に約300MHzから約110GHzまでの周波数を有する無線周波数(RF)波を所望の場所に集束させる、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最新の建物及び車両においては、温熱快適性への要求が高まっている一方で、ガラスユニットなどの開口部のサイズも大きくなっている。
【0003】
複層ガラスを使うことにより、この温熱快適性を高めることができる。
【0004】
複層ガラスとは、少なくとも2枚のガラスパネルを、2枚のガラスパネル間の距離が一定となるように2枚のガラスパネルを保持することによって一緒に組み合わせたガラスユニットを意味する。建物の外側に配置されるガラスパネルを室外側ガラスパネルと呼び、他方を室内側ガラスパネルと呼ぶ。互いとの距離が一定となるように2枚のガラスパネルを保持するために、これらの2枚のガラスパネル間に形成された空間にガスがある状態で、ガラスユニットの周囲にスペーサを使用することができ、2枚のガラスパネル間にピラーを使用することができ、2枚のガラスパネル間に真空が形成される(真空断熱ガラス(VIG)と呼ばれる)。通常、ガラスパネルの表面は主に2つの表面を有し、一方の表面は、建物や車両などの外側を向く外面であり、他方の表面は、建物や車両などの内側を向く内面である。
【0005】
温熱快適性は、窓を通過する熱量を管理することによって高めることができる。
【0006】
建物や車両の内部に熱が蓄積するのを抑制するために、ガラスユニットは、太陽エネルギーを吸収又は反射するコーティングシステム、例えば日射調整コーティングシステムでコーティングされることがある。日射調整フィルムによって空調又は他の温度調整方法の必要性が低減されるため、日射調整フィルムを備えること、特に、温暖で日差しの強い気候で使用するためのガラスに日射調整フィルムを備えることが望ましい。このことは、エネルギー消費及び環境負荷の観点での削減になる。
【0007】
建物や車両の内部の温熱快適性を確保するために、2枚のガラスパネルの内面のうちの少なくとも一方に低放射率コーティングなどのコーティングシステムを設けることができる。
【0008】
しかしながら、このようなコーティングシステムは、典型的には導電性であり、無線周波数(RF)波の反射率が高く、RF波の透過率が非常に低い。この結果、屋内の無線デバイスと屋外の無線デバイスとの間で効率的な無線周波数無線通信を確立することが妨げられる。
【0009】
このことにより、コーティングシステムは、無線周波数信号の効率的且つ広帯域な反射体となる。更に、商業施設、自動車、鉄道などでは、RF信号を更に遮断する他の材料を使用する傾向がある。コンクリート、レンガ、モルタル、鋼鉄、アルミニウム、ルーフィングタール、石膏ボード、及びある種の木材などの材料はすべて、様々な度合いでRFを減衰させる。その結果、多くの新しい建造物が、RF信号の建物への出入りを大幅に妨げる。
【0010】
上記のような状況とはいえ、RFデバイスは、特にセルラ方式スマートフォン、タブレット型コンピュータ、IoT(モノのインターネット)デバイスが普及することに伴って、現代社会の重要な一部となっており、70GHzもの高スペクトラム周波数でさえも、屋内カバレッジのために電磁場を建物や自動車に深く到達させることを必要とする。ITUにおけるIMT-2020仕様は、広いチャネル帯域幅及びマッシブMIMOで達成可能な最大20Gbpsの速度を要求している。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))は、5G通信規格案として5G NR(New Radio)を提出することになっている。5G NRは、6GHz未満の低周波数及び15GHzを上回るミリ波を含み得る。それに加えて、IoTでは、大規模MTC(マシンタイプコミュニケーション)ではなく、ロボットや産業用デバイスが5G無線で遠隔制御されるクリティカルMTCのために、可能な限り良好な屋内カバレッジが必要となる。
【0011】
ミリ波では、経路損失が大きいことに起因して、信号レベルは急速に低下する。したがって、多くの住宅用/商業用の建物には、屋外中継器又は屋外-屋内中継器及び屋内CPE(カスタマ構内設備)が必要となる。それに加えて、屋外ユニットは、一般に、セキュリティ上の理由だけでなく、簡単に電力を供給するため、又は屋外ユニットを破損させ得る環境条件を避けるためにも望ましくない。
【0012】
CPE及び/又は中継器などの屋内設備が建物の内側に配置されている場合、信号は、典型的なコーティングされた窓のあるガラスユニットを通して少なくとも30dB減衰する。このことにより、屋外基地局への安定な接続が妨げられる。
【0013】
いくつかの解決策は、コーティングされた窓にコーティング除去部分を提供する。このコーティング除去部分は、建物内部の信号を改善するが、視野を狭くする。特にミリ波の周波数では、障害物によっても信号の拡散が大きくなり、鏡面反射が少なくなり、つまりはNLOSでの伝播損失が大きくなるため、信号対干渉比(SIR)を改善するためにビームフォーミングが重要である。このことは、中継器及び/又はCPEをコーティング除去部分のすぐ前に配置したり、コーティング除去部分から極めて近い距離に配置したりすることを伴う。しかしながら、この制約は、美観に関する要件及び技術的な要件を満たさないため実行不可能であり得る。
【0014】
これらの解決策は、より大きな視野を提供するためには、ガラスユニットの熱的性能の更なる劣化を犠牲にして、より大きなコーティング除去部分を必要とする。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、これらの課題を解決することができる。
【0016】
特に、本発明は、既存の解決策に比べてコーティング除去部分を最小限にすると同時に、6GHz未満の無線周波数及びミリ波において、屋内設備と基地局又は屋外中継器との間におけるガラスユニットを通したより強力な無線リンクを提供する機会を増やすことができる。
【0017】
本発明はまた、約300MHzから約110GHzまでの周波数で、視野をより大きくすることができる。
【0018】
本発明は、第1の態様では、誘電体基板と、上記誘電体基板上に配置されたコーティングシステムとを備えるシステムに関する。
【0019】
本発明の第1の態様で定義される解決策は、コーティングシステムが、N個の同軸楕円ゾーンCEZn(CEZ1、CEZ2、CEZ3、CEZ4、CEZ5、CEZ6、CEZ7、CEZ8)から構成されるフレネルゾーンプレートレンズ(10)を備え、nは正の整数であり、1からNまでの番号が付けられて(n=1,2,3,...,Nであり、Nは2以上の正の整数である(N≧2))、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、...)及び偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、...)を定義することに基づく。
【0020】
また、本解決策は、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、...)は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、つまり、奇数同軸楕円ゾーンのそれぞれが、同じ特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されるか、及び/又は偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、...)は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、つまり、偶数同軸楕円ゾーンのそれぞれが、同じ特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されることに基づく。
【0021】
本発明は、第2の態様では、誘電体基板上に配置されたコーティングシステム上に含まれるフレネルゾーンプレートレンズをコーティング除去する方法に関する。
【0022】
本発明の第2の態様で定義される解決策は、フレネルゾーンプレートレンズが、N個の同軸楕円ゾーンCEZn(CEZ1、CEZ2、CEZ3、CEZ4、CEZ5、CEZ6、CEZ7、CEZ8)、CCZn(CCZ1、CCZ2、CCZ3、CCZ4、CCZ5、CCZ6、CCZ7、CCZ8)から構成され、nは正の整数であり、1からNまでの番号が付けられて(n=1,2,3,...,Nであり、Nは2以上の正の整数である(N≧2))、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、...、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7、...)及び偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、...、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8,...)を定義することに基づく。
【0023】
また、本解決策は、本方法が、特定の奇数コーティング除去パターンで奇数同軸楕円ゾーンを部分的にコーティング除去する奇数コーティング除去ステップ、及び/又は特定の偶数コーティング除去パターンで偶数同軸楕円ゾーンを部分的にコーティング除去する偶数コーティング除去ステップを含むことに基づく。
【0024】
本発明は、第3の態様では、システムを通して、0.3GHz~110GHzの周波数を有する入射EM波を、誘電体パネルに関して入射EM波とは反対側に配置されたカスタマ構内設備(CPE)や中継器などの屋内設備がある所望の場所に集束させる、本発明の第1の態様によるシステムの使用法に関する。
【0025】
このように、本発明は、第1の態様、第2の態様、及び第3の態様において、システムを通して、0.3GHz~110GHzの周波数を有する入射EM波を、到来EM波の側とは反対側にある所望の場所に集束させることができる。
【0026】
本発明は、所望の場所に配置された受信機によって受信される信号強度を増大させる。
【0027】
本発明によって、所望の場所に配置された受信機が必要とする特定の受信信号強度に関して、コーティング除去部分を低減することができる。
【0028】
したがって、本発明は、高信頼の無線リンクのために誘電体基板上に大きなコーティング除去部分を有する必要性、及び/又は高性能の無線通信を維持するために高出力送信機及び高感度受信機を利用する必要性を解決する。
【0029】
本発明の目的は、上述の課題を軽減すること、及び通信性能を向上させ、且つコーティング除去部分を低減することにより、ガラスパネルの後方にカスタマ構内設備や中継器などの高性能設備を配置する必要性を解決することである。
【0030】
本発明は、特許請求の範囲や説明される実施形態に記載された特徴のすべての可能な組み合わせに関するものであることに留意されたい。
【0031】
以下の説明は、建物及び車両のガラス用途に関するが、本発明は、輸送用途、他の道路利用者、及び/又はサービスのような他の分野にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
次に、限定ではなく例示のために提供される本発明の様々な例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明の上記の態様及び他の態様をより詳細に説明する。図面は概略図であり、原寸に比例していない。図面は、いかなる仕方でも本発明を制限するものではない。更なる利点については、例を用いて説明する。
【0033】
図1】本発明の第1の態様による、自らの環境に配置されたシステムの概略図である。
図2】屋内設備200と共に示すシステムの3D概略図である。
図3】本発明の第1の態様によるシステムのxy平面における概略図である。
図4】本発明の第1の態様によるシステムのyz平面における概略図である。
図5】本発明による、N個の同軸楕円ゾーンから構成されるフレネルゾーンプレートレンズの概略図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、奇数同軸楕円ゾーンが特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されているフレネルゾーンプレートレンズの概略図である。
図7】本発明のいくつかの他の実施形態による、奇数同軸楕円ゾーンが特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数同軸楕円ゾーンが特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されているフレネルゾーンプレートレンズの概略図である。
図8】本発明のいくつかの他の実施形態による、N個の同軸楕円ゾーンが同心円形ゾーンであり、偶数同心円形ゾーンが特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されているフレネルゾーンプレートレンズの概略図である。
図9】本発明のいくつかの他の実施形態による、N個の同軸楕円ゾーンが同心円形ゾーンであり、奇数同心円形ゾーンが特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数同心円形ゾーンが特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されているフレネルゾーンプレートレンズの概略図である。
図10】レーザを使用するコーティング除去ステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、限定ではなく例示のために提供される本発明の様々な例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明の上記の態様及び他の態様をより詳細に説明する。図面は概略図であり、原寸に比例していない。図面は、いかなる仕方でも本発明を制限するものではない。更なる利点については、例を用いて説明する。
【0035】
より良く理解するために、図面における各部材の比率は実際の比率とは異なることがある。本明細書では、3つの軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系が使用され、システムの長手方向がX方向と定義され、高さがY方向と定義され、横断方向がZ方向と定義される。到来EM波は-ZからZの一般方向から到来する。
【0036】
本開示の実施形態は、本明細書に記載の特徴を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、対応する実施形態の様々な変更形態、均等物、及び/又は置換形態を含む。同一又は類似の部分を参照するために、同一の参照符号が図面の全体を通じて使用されている。
【0037】
本明細書で使用される場合、「内側」、「外側」、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」などの空間又は方向に関係する用語、及びこれらに類似したものは、本発明が図面に示されたときに本発明に関係する。ただし、本発明は、様々な代わりの向きを想定することが可能であり、したがって、このような用語は、限定として解釈されるものではないことを理解されたい。更に、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている構成要素、反応条件、及びこれらに類似したものの寸法、物理的特性、処理パラメータ、量を表すすべての数値は、すべてのインスタンスにおいて「約」という用語によって修飾されているものとして理解されたい。したがって、別段の指示のない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載される数値は、本発明によって得ようとしている望ましい特性に応じて変わり得る近似値である。以下の説明において、別段の指定のない限り、「実質的に」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0038】
更に、本明細書に開示されるすべての範囲は、開始及び終了範囲値を包含し、その内部に組み込まれている任意の及びすべてのサブ範囲を包含するものと理解されたい。例えば、「1から10」と記載された範囲は、1という最小値と10という最大値との間の(及び、これらを包含する)任意の及びすべてのサブ範囲、すなわち、例えば1から6.1などの1以上の最小値によって開始し、且つ例えば5.5から10などの10以下の最大値によって終了する、すべてのサブ範囲を含むとみなすものとする。更に、本明細書で使用される場合、「~上に堆積された(deposited over)」又は「~上に設けられた(provieded over)」という用語は、上に堆積される又は設けられるが、必ずしも表面接触していないことを意味する。例えば、基板「上に堆積された」コーティングは、堆積されたコーティングと基板との間に配置された、同一又は異なる組成の1つ以上の他のコーティングフィルムの存在を排除するものではない。
【0039】
「含む(comprising)」という用語が本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、これは、他の要素又はステップを排除するものではない。単数形名詞を参照する際に、例えば、「a」又は「an」、「the」などの不定冠詞又は定冠詞が使用される場合、これは、なんらかの具体的な記載のない限り、その名詞の複数のものを含む。本明細書において、「~するように構成された(configured to)(或いは、~するように設定された(set to))」は、例えば、状況に応じて、ハードウェア及びソフトウェアにおいて、「~するのに適する」、「~するための能力を有する」、「~するように変更された」、「~するようになされた」、「~する能力を有する」、又は「~するように設計された」と交換可能に使用され得る。任意の状況において、「~するように構成されたデバイス」という表現は、デバイスが別のデバイス又はコンポーネントと一緒に「~し得る」ことを意味し得る。
【0040】
更に、本明細書及び特許請求の範囲における第1や第2などの用語は、類似の要素の間を区別するために使用され、必ずしも、時間的、空間的、順位的、又は任意の他の仕方における順序を記述するために使用されるものではない。このように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書に説明又は図示されるもの以外の順序で動作することができることを理解されたい。構成要素(例えば、第1の構成要素)が別の構成要素(例えば、第2の構成要素)に「(機能的に又は通信可能に)結合される」又は「接続される」と記載されている場合、その構成要素は別の構成要素に直接的に接続されてもよいし、別の構成要素(例えば、第3の構成要素)を介して別の構成要素に接続されてもよいと理解されたい。
【0041】
本発明は、第1の態様によれば、本発明の第1の態様によるシステムを提供する。本システムは、ある環境に配置されるべく設計される。
【0042】
図1に示すように、システム111、121、131は現場に配置されており、つまり、本システムは、既に静止物体、例えば建物110、120に設置されている、又は移動体130、例えば車両や列車に設置されている。
【0043】
基地局又は屋外中継器100が、EM波101を多方向に放出する。システム111、121、131は、直接EM波又は間接EM波(すなわち、そのようなEM波を別の方向に反射させることができる任意の手段によって反射された直接EM波)に面する。
【0044】
図2図4に示すように、図1に示すシステム1は、z軸方向に厚さを有する誘電体基板2を実質的にxy平面に備える。誘電体基板2は、静止物体又は移動体の外部に面する外面21と、内面22とを有する。つまり、外面21は、基地局100から到来するEM波101がシステム1に最初に触れる面である。
【0045】
いくつかの実施形態では、誘電体基板2は、見通せるように、且つ可視光を透過させるために、少なくとも可視波に対して透明であり、つまり、光透過率が1%以上である。
【0046】
本発明によれば、誘電体基板2は、窓などを形成するガラスパネルとすることができる。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態では、ガラスパネルは少なくとも1枚のガラス板を備える。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態では、ガラスパネルは、スペーサによって隔てられた少なくとも2枚のガラス板を備えて、ガラスパネルの断熱性を改善するためにアルゴンのようなガスで満たされた空間を作ることを可能にし、断熱ガラスパネルを形成する。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態では、ガラスパネルは、スペーサによって隔てられた少なくとも2枚のガラス板を備えて、ガラスパネルの断熱性を改善するために真空空間を作ることを可能にし、真空断熱ガラス(VIG)を形成する。
【0050】
本実施形態では、長方形は、長方形や正方形だけでなく、長方形や正方形の角を削って得られる形状も含む。平面視におけるガラスパネル10の形状は矩形に限定されるものではなく、円形などであってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ガラスパネルは、雑音を低減するため、及び/又は貫通の安全性を確保するために、ラミネート加工されたガラスパネルとすることができる。ラミネート加工されたガラスは、ガラスパネル間に配置された1層以上の中間膜によって保持されるガラスパネルを含む。採用される中間膜は、典型的には、剛性を調整し得るポリビニルブチラール(PVB)又はエチレンビニルアセテート(EVA)である。これらの中間膜は、ガラスが大きく鋭利な破片に割れるのを防ぐように、割れたときでもガラスパネルを結合させたままにする。
【0052】
ガラスパネルが複数のガラス板を備える実施形態では、異なる又は同じコーティングシステムがガラス板の異なる表面に配置され得る。
【0053】
ガラスパネルの材料としては、例えば、ソーダ石灰石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、又はアルミノケイ酸ガラスを挙げることができる、又は熱可塑性ポリマー、ポリカーボネートなどの他の材料が、特に自動車用途で知られており、本出願全体を通してガラスへの言及は限定的なものとみなされるべきではない。
【0054】
ガラスパネルは、フロート法、フュージョン法、リドロー法、プレス成形法、又は引き抜き法などの既知の製造方法によって製造され得る。ガラスパネル2の製造方法としては、生産性及びコストの観点から、フロート法を使用することが好ましい。
【0055】
ガラスパネル2は、熱間曲げ又は冷間曲げなどの既知の方法によって、要件に応じて平坦とすることも湾曲させることもできる。
【0056】
ガラスパネル2は、セキュリティ及び盗難防止の要件に関して、処理、すなわちアニール処理、強化ガラス化などされ得る。
【0057】
ガラス板は透明ガラスとすることもできるし、ガラスの特定の組成で着色される、又は例えば追加のコーティング若しくはプラスチック層を塗布することによって着色される着色ガラスとすることもできる。
【0058】
複数のガラス板の場合、いくつかの実施形態では、美観、断熱性能、安全性などを改善するために、各ガラス板が独立に処理及び/又は着色され得る。
【0059】
ガラスパネルの厚さは、用途の要件に応じて設定される。
【0060】
ガラスパネルは、既知の切断方法を使用することにより平面視において矩形形状に形成され得る。ガラスパネルを切断する方法としては、例えば、ガラスパネルの表面にレーザ光を照射して、ガラスパネルの表面におけるレーザ光の照射領域を切断して、ガラスパネルを切断する方法、又はカッターホイールが機械的に切断する方法が使用され得る。ガラスパネルは、用途(例えば、自動車のフロントガラス、サイドライト、サンルーフ、列車の側面ガラス、建物の窓など)に適合するように任意の形状を有し得る。
【0061】
加えて、ガラスユニットは、フレームに組み込まれたり、ダブルスキンファサード、車体、又はガラスユニットを保持することができる任意の他の手段に取り付けられたりし得る。気密性及び/若しくは液密性を確保するため、ガラスパネルを確実に締結するため、又はガラスパネルに外部要素を追加するために、なんらかのプラスチック要素がガラスパネルに固定され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、誘電体基板は、20μm~300μmを含む厚さを有する薄膜を備え得る。好ましくは、厚さは約100μmである。この薄膜は、PETフィルム又は任意の他の適切な膜とすることができる。いくつかの実施形態では、薄膜は、接着剤、静電気、又は表面に薄膜を固定する任意の他の適切な仕方によってガラスパネルの表面に固定される。
【0063】
システム1は、誘電体基板2上に配置されたコーティングシステム3を更に備える。
【0064】
コーティングシステムは、RF放射に関して反射率が高く、透過率が低い。透過率が低いとは、透過の際に20デシベル(dB)以上のレベルで減衰を伴うことを意味する。誘電体基板は反射率が低く、つまり10デシベル(dB)以下のレベルで減衰することを理解されたい。
【0065】
本発明によれば、コーティングシステム3は、例えば、誘電体パネルの表面を加熱するため、建物若しくは車両の内部における熱の蓄積を低減するため、又は寒い時期に熱を内部に保持するための機能性コーティングであり得る。ただし、コーティングシステムは、見通せるように、且つ可視光を透過させるために、薄く、主に目には透明に見える。
【0066】
コーティングシステム3は、異なる材料の層で作ることができ、この層のうちの少なくとも1つは導電性である。コーティングシステムは、xy平面において、誘電体パネルの一方の主面の大部分にわたって導電性である。
【0067】
本発明のコーティングシステム3は、0.4以下、好ましくは0.2未満、特に0.1未満、0.05未満、又は更には0.04未満の放射率を有する。本発明のコーティングシステムは、金属ベースの低放射性コーティングシステムを含み得る。これらのコーティングは、典型的には、赤外線放射反射材料に基づく1つ以上の、例えば2つ、3つ、又は4つの機能層と、少なくとも2つの誘電体コーティングとを含む薄層のシステムであり、各機能層が誘電体コーティングによって囲まれる。本発明のコーティングシステムは、特に、少なくとも0.010の放射率を有してもよい。機能層は、一般に、数ナノメートル、主に約5から20nmの厚さを有する銀の層である。誘電体層に関しては、誘電体層は透明であり、従来、各誘電体層は金属酸化物及び/又は窒化物の1つ以上の層から作られる。これらの異なる層は、例えば、一般に「マグネトロンスパッタリング」と呼ばれる磁場支援陰極スパッタリングなどの真空蒸着法、又はCVD若しくはPECVDなどの化学蒸着法、又は任意の他の既知の堆積方法によって堆積される。誘電体層に加えて、各機能層がバリア層によって保護されてもよく、湿潤層への堆積によって改善されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、コーティングシステム3は、誘電体基板2、特にガラスパネルに適用されて、ガラスパネルをlow-Eガラスユニットに変える。この金属ベースのコーティングシステムは、low-E又は加熱可能コーティングシステムを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、コーティングシステム3は、例えば除霜機能及び/又は曇り止め機能を追加するために、誘電体基板、特にガラスパネルの上に適用される加熱可能なコーティングとすることができる。
【0070】
コーティングシステムとしては、例えば導電性膜を使用することができる。導電膜としては、例えば、透明誘電体、金属膜、及び透明誘電体を順次ラミネート加工して得られるラミネート加工された膜、ITO、フッ素添加酸化スズ(FTO)などを使用することができる。金属膜としては、例えば、Ag、Au、Cu、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種を主成分として含有する膜を使用することができる。
【0071】
好ましくは、コーティングシステムは、ガラスユニットの一方の表面の大部分、より好ましくは、xy平面において、ガラスパネルの使用可能な表面全体に配置される。
【0072】
いくつかの実施形態では、コーティング領域と非コーティング領域との間の移行を隠すために、ガラスユニットの周囲の一部にエナメル層などのマスキング要素が追加され得る。
【0073】
一実施形態を表す図2図4では、コーティングシステムは、誘電体基板2の内面22に堆積される。
【0074】
誘電体基板が複数のパネルを含む実施形態では、コーティングシステム又は複数のコーティングシステムは、パネルのどちらの面にも配置することができ、好ましくは外面21には配置されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、コーティングシステムが、システム1の曇り止め性能を高めるために外面21上に配置され得る。
【0076】
コーティングシステムは、基地局100からのEM波101の低減衰透過を可能にし、カスタマ構内設備又は中継器などの屋内設備200が配置される定められた場所にEM波101を集束させるフレネルゾーンプレートレンズ10を備える。焦点に向かう入射波の透過に影響を与える他のコーティングシステムがコーティングシステム3に平行に存在する場合、少なくとも入射EM波の経路において周波数選択性表面処理を施すことによって、それらのコーティングシステムの反射率を低くすることが好ましいことを理解されたい。屋内設備とフレネルゾーンプレートレンズとの間に周波数選択性表面を配置することもできる、及び/又は基地局とフレネルゾーンプレートレンズとの間に周波数選択性表面を配置することもできる。
【0077】
屋内設備200は、EM波の放出とは反対側の場所、つまり静止物体又は移動体内の場所に配置される。より好ましくは、設備、到来波源、及びフレネルゾーンプレートレンズは共線的である、つまり、それらがすべて実質的に一直線上にある。屋内設備はフレネルゾーンプレートレンズ10から定められた距離DLにある。この距離は、x、y、及びzの各軸に沿った成分、それぞれDLx、DLy、DLzを有する。
【0078】
本発明によれば、コーティングシステムは、システムを通して、0.3GHz~110GHzの周波数を有する入射EM波(101)を、反対側にある所望の場所DLに集束させるフレネルゾーンプレートレンズ10を備える。
【0079】
いくつかの実施形態では、コーティングシステムは、同じ又は異なる入射角及び周波数及び偏光を有する入射波101を、反対側にある同じ場所及び/又は異なる場所に集束させて、1つ以上の集束EM波102を形成する複数のフレネルゾーンプレートレンズ10を備え得る。
【0080】
図5図10は、図2図4に示したフレネルゾーンプレートレンズのいくつかのより詳細な実施形態を、+Z側から(物体の屋内側から)見て示している。フレネルゾーンプレートレンズ(10)は、N個の同軸楕円ゾーンCEZn(CEZ1、CEZ2、CEZ3、CEZ4、CEZ5、CEZ6、CEZ7、CEZ8)、CCZn(CCZ1、CCZ2、CCZ3、CCZ4、CCZ5、CCZ6、CCZ7、CCZ8)から構成され、nは正の整数であり、1からNまでの番号が付けられて(n=1,2,3,...,Nであり、Nは2以上の正の整数である(N≧2))、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7)及び偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8)を定義する。
【0081】
これらのN個の同軸楕円ゾーンは、同軸楕円CEn及びCEn-1(CE1、CE2、CE3、CE4、CE5、CE6、CE7、CE8)間の特定の表面に対応する。これにより、奇数同軸楕円CE1、CE3、CE5、CE7及び偶数同軸楕円CE2、CE4、CE6、CE8が定義される。奇数及び偶数は、それぞれ値nで表される奇数又は偶数を持つ同軸楕円を定義することを理解されたい。
【0082】
上記実施形態において、Nは8に等しく(N=8)、つまり、8つの同軸楕円ゾーンCEZ1、CEZ2、CEZ3、CEZ4、CEZ5、CEZ6、CEZ7、CEZ8、CCZ1、CCZ2、CCZ3、CCZ4、CCZ5、CCZ6、CCZ7、CEZ8、ひいては8つの同軸楕円CE1、CE2、CE3、CE4、CE5、CE6、CE7、CE8が表されている。この同軸楕円の数は8個に限定されるものではなく、2個(N=2)から用途に応じた数とすることができることを理解されたい。
【0083】
同軸楕円ゾーンの数Nは2以上(N≧2)である。好ましくは、この数Nは、入射EM波の焦点調節を向上させるために4以上(N≧4)である。より好ましくは、この数Nは、入射波の焦点調節を更に向上させるために6以上(N≧6)である。更により好ましくは、この数Nは、入射波の焦点調節を更により向上させるために8以上(N≧8)である。
【0084】
Nの上限は、そのような同軸楕円ゾーンをコーティング除去するために利用可能なコーティングシステムの表面の寸法によって制限され得る。好ましくは、同軸楕円ゾーンの数Nは20以下(N≦20)である。より好ましくは、同軸楕円ゾーンの数Nは16以下(N≦16)である。更により好ましくは、コーティング除去の時間及びコストを最小限に抑制するために同軸楕円ゾーンの数Nは12以下(N≦12)である。
【0085】
同軸楕円ゾーンCEZn、CCZn、同軸楕円CEnは、中心(n=1)から外側(n=N)に番号が付けられる。
【0086】
図6図10は、奇数同軸楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7が特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される、及び/又は偶数同軸楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8が特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される、つまり、奇数同軸楕円ゾーンのそれぞれが同じ特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される、及び/又は偶数同軸楕円ゾーンのそれぞれが同じ特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される、いくつかの実施形態を示している。
【0087】
部分的にコーティング除去されたとは、コーティングシステムの導電層の少なくとも一部が除去されていることを意味する。
【0088】
コーティング除去パターンとは、コーティングシステムに手付かずの領域を残しながら、コーティングシステムのごく一部の領域のみがガラスパネルから除去され、コーティング表面の大部分は手付かずのままとされて、コーティングシステムの性能を維持する、コーティングシステムに形成されたアブレートされた経路を意味する。コーティング除去パターンは、コーティング領域及びコーティング除去領域を含む。
【0089】
これらのアブレートされた経路は、所定の周波数範囲及び偏光に関してRF信号がコーティングシステムを通過できるようにする一方で、ガラスパネルのエネルギー保存特性又は加熱可能特性の大部分を保つことのできるコーティングシステムの領域を維持するように生成される。つまり、コーティング除去パターンは、所定の周波数における所定の偏光の入射EM波に対して、ローパス又はバンドパスフィルタとして振る舞う。
【0090】
様々な実施形態において、経路は、スポットを形成するパルスレーザによって形成され得る。スポットの直径は約10μmから約50μmまでであり、その結果、各経路は概ねこの幅になる。代替的な実施形態では、異なるサイズのスポット(例えば、直径10~200ミクロン)及び経路が使用され得る。更に、スポットの重なり及び重なり量は、面積比で約50%であり得る。重なりの程度は、代替的な実施形態では変わり得る。いくつかの実施形態では、重なりは、例えば25%から90%超になり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、コーティングされたシステムのコーティング除去領域は、用途、ガラスユニットに使用される材料などに応じて、コーティングされた総面積の5%以下であり得る。他の実施形態では、異なるパーセンテージが使用され得る(例えば、コーティングシステムの総面積の10%以下が除去され、コーティングシステムの総面積の90%が手付かずのままにされる)。
【0092】
面積の多くのパーセンテージをアブレートすることによって、ガラスユニットを通るRF信号の透過は改善され得るが、コーティングシステムのより多くをアブレートすることにより、ガラスユニットのエネルギー保存特性及び加熱可能性能が低下することに留意されたい。
【0093】
いくつかの実施形態では、特定の奇数コーティング除去パターンと特定の偶数コーティング除去パターンとは、偏光及び/又は周波数などEM波の部分の透明度を制御しながら集束させることができるように異なる。
【0094】
所定の周波数範囲及び偏光及び入射角のRF波に関して、奇数同軸楕円ゾーン(CEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7)と偶数同軸楕円ゾーン(CEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8)とで不透明度及び透明度を交互に変化させることにより、フレネルゾーンプレートレンズから回折された入射波が所望の集束範囲において建設的に干渉する。このことは、所望の偏光に関して、奇数楕円ゾーンを入射波に関して透明にし、偶数楕円ゾーンを入射波に関して不透明にすることによって、又は偶数楕円ゾーンを入射波に関して透明にし、奇数楕円ゾーンを入射波に関して不透明にすることによって行われ得る。
【0095】
焦点における建設的干渉を得るために、不透明ゾーンの周りの奇数同軸楕円及び偶数同軸楕円からの回折寄与が、所望の焦点において互いに完全に同位相になるように、同軸楕円及びその対応する同軸楕円ゾーンの寸法及び位置が決定される。同軸楕円ゾーンの寸法及び位置は、入射波の周波数及び入射角、並びに焦点の位置の関数であることを理解されたい。また、建設的干渉は絶対位相値に依存しないことも理解されたい。したがって、同軸楕円及びその対応する同軸楕円ゾーンのすべての寸法及び位置は、任意に選択され得る基準位相に依存する。
【0096】
外部源からの到来波がガラスパネルに垂直入射するとき、n個の同軸楕円はn個の同心円となり、それに対応して、n個の同軸楕円ゾーンはn個の同心円形ゾーンとなる。したがって、本発明の第2の態様のいくつかの実施形態の計算ステップに対応して、n個の同心円の半径は次のように計算される。
上式で、αは任意の基準位相であり、λは自由空間波長である。
【0097】
いくつかの実施形態では、28GHzの垂直入射波がコーティングシステムから距離DLz=30cmに集束される場合、α=0と仮定すると、n個の同心円の半径は次のように計算される。
【0098】
【0099】
本発明によれば、コーティングシステムの熱的特性を維持したまま、すべての奇数同軸楕円ゾーンを到来波に関して透明にするために、奇数同軸楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。特定の奇数コーティング除去パターンは、奇数同軸楕円ゾーンごとに異なり得、限定するものではないが、すなわち、CEZ1のパターンは1mmx1mmの格子であり、CEZ3のパターンは0.9mmx0.9mmの格子である(どのようなパターンについても同じである)ことを理解されたい。しかし、コーティング除去のコスト及び時間を低減するために、すべての奇数同軸楕円ゾーンは同じ特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されることが好ましい。
【0100】
本発明によれば、コーティングシステムの熱的特性を維持したまま、すべての偶数同軸楕円ゾーンを到来波に関して透明にするために、偶数同軸楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。特定の偶数コーティング除去パターンは、偶数同軸楕円ゾーンごとに異なり得、限定するものではないが、すなわち、CEZ2のパターンは1mmx1mmの格子であり、CEZ4のパターンは0.9mmx0.9mmの格子である(どのようなパターンについても同じである)ことを理解されたい。しかし、コーティング除去のコスト及び時間を低減するために、すべての偶数同軸楕円ゾーンは同じ特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されることが好ましい。
【0101】
図6に示すように、奇数楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8は、コーティング除去されない。
【0102】
いくつかの他の実施形態では、図8に示すように、奇数楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7は、コーティング除去されず、偶数楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。
【0103】
図7及び図9に示すように、奇数楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7、CCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8、CCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。これらの実施形態は、奇数楕円ゾーン及び偶数楕円ゾーンがそれぞれ特定の奇数コーティング除去パターン及び偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去されることを意味する。奇数コーティング除去パターンと偶数コーティング除去パターンとは異なることを理解されたい。
【0104】
本発明によれば、コーティング除去パターンは、相互接続された格子、平行な垂直又は水平又は斜めの線、十字、ハッシュタグのようなもの、又は周波数選択性表面を形成するため、且つ透明性が両方の偏光に対して要求されるか、特定の単一の偏光に対して要求されるかに応じてコーティングシステムの反射率を低減するのに適した任意の他の設計とすることができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、特定の奇数コーティング除去パターンが1次元周期構造の配列を含み、好ましくは、特定の奇数コーティング除去パターンが平行な線を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、特定の奇数コーティング除去パターンは、2次元周期構造の配列を含み、好ましくは、特定の奇数コーティング除去パターンは、開放若しくは閉鎖されたスロットの格子若しくは配列、又はコーティングシステムの反射率を低減するのに適した任意の他の設計を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、特定の偶数コーティング除去パターンが1次元周期構造の配列を含み、好ましくは、特定の偶数コーティング除去パターンが平行な線を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、特定の偶数コーティング除去パターンは、2次元周期構造の配列を含み、好ましくは、特定の偶数コーティング除去パターンは、開放若しくは閉鎖されたスロットの格子若しくは配列、又はコーティングシステムの反射率を低減するのに適した任意の他の設計を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、特定の奇数コーティング除去パターンと特定の偶数コーティング除去パターンとは接続され、つまり隣接する2つの偶数同軸楕円及び奇数同軸楕円のパターンが交差して、コーティング除去ステップを容易にしながら魅力的な美観を与えることを意味する。
【0110】
いくつかの実施形態では、特定の奇数コーティング除去と特定の偶数コーティング除去とは切り離され、つまり隣接する2つの偶数同軸楕円及び奇数同軸楕円のパターンが交差せずに、奇数ゾーンと偶数ゾーンとの間の相互作用を回避しながらコーティング除去プロセスを容易にすることを意味する。
【0111】
図6は、フレネルゾーンプレートレンズが、約120度のθ(+Zと、原点から基地局を結ぶ線とのなす角)(θ=120度)及び約135度のφ(+Xから誘電体基板平面(XY平面)の表面上の原点から基地局を結ぶ線の直交投影まで測定した符号付き角度)(φ=135度)から28GHzで入射する斜めの入射EM波を、到来波の反対側で実質的に40cmに等しい距離DLz(DLz=40cm)に集束させることを可能にする一実施形態を示している。
【0112】
奇数同軸楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数同軸楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8は、コーティング除去されず、つまり、コーティングシステムは、これらの偶数同軸楕円ゾーンにおいて手付かずのままにされる。
【0113】
本実施形態では、特定の奇数パターンは、焦点において両方の偏光を集束させることができる格子である。
【0114】
図7は、フレネルゾーンプレートレンズが、約135度のθ及び約90度のφから28GHzで入射する斜めの波を、到来波の反対側で約100cmの距離DLz(DLz=100cm)に集束させることを可能にする一実施形態を示している。奇数同軸楕円ゾーンCEZ1、CEZ3、CEZ5、CEZ7は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数同軸楕円ゾーンCEZ2、CEZ4、CEZ6、CEZ8は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。
【0115】
本実施形態では、特定の奇数パターンは、垂直の平行線であり、特定の偶数パターンは格子である。したがって、水平偏光入射波は、集束されることなく、奇数楕円ゾーン及び偶数楕円ゾーンを通過し得るが、垂直偏光入射波は、偶数楕円ゾーンのみを通過することができ、焦点で集束される。
【0116】
到来波が誘電体に垂直入射するいくつかの実施形態では、同軸楕円ゾーンは、同心円形ゾーンCCZn(CCZ1、CCZ2、CCZ3、CCZ4、CCZ5、CCZ6、CCZ7、CCZ8)である。
【0117】
図8は、8つの同心円形ゾーンから構成されるフレネルゾーンプレートレンズの一実施形態を示している。奇数同心円形ゾーンCCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7は、コーティング除去されず、偶数同心円形ゾーンCCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、つまり、奇数同心円形ゾーンは手付かずのままにされる。
【0118】
本実施形態では、特定の偶数パターンは、焦点において両方の偏光を集束させることができる格子である。
【0119】
図9は、8つの同心円から構成されるフレネルゾーンプレートレンズの一実施形態を示している。奇数同心円形ゾーンCCZ1、CCZ3、CCZ5、CCZ7は、特定の奇数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去され、偶数同心円形ゾーンCCZ2、CCZ4、CCZ6、CCZ8は、特定の偶数コーティング除去パターンで部分的にコーティング除去される。
【0120】
本実施形態では、特定の奇数パターンは、垂直の平行線であり、特定の偶数パターンは格子である。したがって、水平偏光入射波は、集束されることなく、奇数楕円ゾーン及び偶数楕円ゾーンを通過し得るが、垂直偏光入射波は、偶数楕円ゾーンのみを通過することができ、焦点で集束される。
【0121】
いくつかの実施形態では、各偶数同軸楕円ゾーン上の偶数コーティング除去パターンが、偶数コーティング領域Eac及び偶数コーティング除去領域Eadを画定し、偶数コーティング除去領域と、偶数楕円ゾーン、すなわち偶数コーティング領域及び偶数コーティング除去領域の和との間の比率が、多くとも0.25且つ少なくとも0.001であり(0.001≦Ead/(Eac+Ead)≦0.25)、好ましくは、多くとも0.15である。
【0122】
いくつかの実施形態では、各奇数同軸楕円ゾーン上の奇数コーティング除去パターンが、奇数コーティング領域Oac及び奇数コーティング除去領域Oadを画定し、奇数コーティング除去領域と、奇数楕円ゾーン、すなわち奇数コーティング領域及び奇数コーティング除去領域の和との間の比率が、多くとも0.25且つ少なくとも0.001であり(0.001≦Oad/(Oac+Oad)≦0.25)、好ましくは、多くとも0.15である。
【0123】
一実施形態が、本発明の第1の態様によるシステム1における、誘電体基板2上に配置されたコーティングシステム3上に含まれるフレネルゾーンプレートレンズ10をコーティング除去する方法を提供する。よって、本実施形態は、誘電体基板2上に配置されたコーティングシステム3上に含まれるフレネルゾーンプレートレンズ10をコーティング除去する方法を提供する。
【0124】
本方法は、特定の奇数コーティング除去パターンで奇数同軸楕円ゾーンを部分的にコーティング除去する奇数コーティング除去ステップ、及び/又は特定の偶数コーティング除去パターンで偶数楕円ゾーンを部分的にコーティング除去する偶数コーティング除去ステップを含む。
【0125】
本方法は、好ましくは現場で実現される、つまり、システム1が静止物体又は移動体に取り付けられているときに実現される。
【0126】
いくつかの実施形態では、ガラスはコーティングされない。温熱快適性を増すために、コーティングされたフィルムがガラスに適用され得る。そして、このコーティングされたフィルム上に、奇数コーティング除去ステップ及び/又は偶数コーティング除去ステップによって、フレネルゾーンプレートレンズが実現される。
【0127】
コーティング除去ステップは、レーザが特定のパターンを特にコーティング除去することによってなされ得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、コーティング除去ステップは、ゾーンの一部をマスキングし、すべてのゾーンをコーティング除去した後、マスクを取り除くことによってなされ得る。これらの実施形態では、特定のパターンを作成するためにマスクが適用されたコーティングシステムが保たれる。
【0129】
本方法は、EM波を最適化し、静止物体又は移動体内の定められた場所に集束させることを可能にする。
【0130】
好ましくは、本方法は、奇数コーティング除去ステップ及び/又は偶数コーティング除去ステップの前に、屋外基地局又は屋外中継器100からの到来無線信号101の入射角を現場で測定する第1のステップに続いて、コーティングシステムと屋内設備200のアンテナとの間の距離を計算して、焦点を定義するステップを含む。この距離は、x軸、y軸、及びz軸の成分、それぞれDLx、DLy、及びDLzと、コーティング除去する各ゾーンのコーティングシステム3上の寸法及び位置を計算するステップとによって3次元的に計算される。
【0131】
好ましくは、コーティング除去ステップは、レーザを備えるロボットによって実行される。このようなロボットは、現場でコーティング除去することを可能にする。
【0132】
図10は、レーザビーム301を備えるロボット300によって実行されるコーティング除去ステップを示している。レーザビームは、コーティングシステム3のうちの一部302を除去して、フレネルゾーンプレートレンズ10を作成する。
【0133】
ロボットは、少なくとも1つのコーティングシステムの少なくとも1つのフレネルゾーンプレートレンズを除去するための移動可能な装置であり、つまり、装置は、ある場所から別の場所に変位させることができる。装置は、特定の方向を有するレーザビームを発生させるレーザ光源を備えるコーティング除去デバイスを備える。
【0134】
いくつかの実施形態では、上記コーティング除去デバイスは、上記レーザビームの方向を制御するように構成された方向付け手段を備えることができ、好ましくは、方向付け手段は、少なくとも回転可能なミラー又はガルバノメータベースのモータを使用したミラーを備える。このようにして、フレネルゾーンプレートレンズをコーティング除去することは、コーティング除去デバイスを変位させるためのモータを使用する必要がなくなり、レーザビームは、この方向付け手段のおかげで、コーティング除去されるフレネルゾーンプレートレンズをスキャンする。一部をコーティング除去するために、コーティング除去デバイスをxy平面に沿って変位させる必要はない。コーティング除去デバイスを装置に締結することができるため、コーティング除去デバイスをxy平面に沿って変位させるためのモータは必要ない。このことは装置の重量の削減につながる。更に、レーザビームだけが方向付けされるため、レーザビームのフレネルゾーンプレートレンズに対するスキャンは、モータを使用してコーティング除去デバイスを同じ部分に対して変位させるよりも速い。このように、方向付け手段は、コーティングシステムの限られたコーティング部分を迅速にコーティング除去することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、コーティング除去デバイスは、xy平面に沿って移動して、レーザビームの位置を制御し得る。
【0136】
ロボットは、例えば真空パッドや吸引カップなどの吸引手段でシステムに取り外し可能に取り付けされ得る。ロボットはまた、壁の上など、システムの少なくとも1つの境界に取り外し可能に取り付けられてもよいし、システムの後ろに立てることもできる。
【0137】
いくつかの実施形態では、装置は、上記コーティングシステムがどの境界上に局在しているかを検出するように、また上記コーティング除去デバイスと検出された境界との間の距離を推定するように構成された光学システムを備え得る。装置は、xy平面に垂直な方向における上記コーティング除去デバイスの位置を制御するように構成された変位手段を更に備えることができる。変位デバイスは、xy平面に垂直な方向に上記コーティング除去デバイスを制御して変位させるように構成されたモータ及び変位制御ユニットを備えることができる。変位デバイスは、少なくとも1つのコーティングシステムの上記検出された境界に上記コーティング除去デバイスを集束させるために、推定距離と集束距離との間の差分に等しい変位距離だけコーティング除去デバイスを変位させるように構成される。特にコーティング除去デバイス周辺において、装置の総重量を削減するために、上記変位デバイスは、モータの代わりに機械的変位デバイスを備え得る。このような機械的変位デバイスは、ねじ、好ましくは高精度レベルのねじと、変位制御ユニットとを備え得る。上記変位制御ユニットは、正確な変位を示すスクリーン、及び/又は目盛要素、及び/又はレーザを備え得る。
【0138】
よって、本発明の第2の態様による方法は、コーティング除去ステップの前に、装置をシステムに取り外し可能に取り付ける取り外し可能取付ステップ、又はロボットをシステムの後ろに立てる提示ステップを含む。
【0139】
ロボットは、コーティングシステムのフレネルゾーンプレートレンズを非常に迅速に除去することを可能にする。
【0140】
一実施形態では、装置及び/又はコーティング除去デバイスは、誘電体基板2の構造が未知であっても、レーザビームの焦点をコーティング除去されるコーティングシステムに合わせるための集束手段を備え得る。
【0141】
実際、正しく動作させるために、コーティング除去システム3のレーザ光源は、コーティング除去デバイスの移動中の劣化を避けるために、誘電体基板2からZ軸方向に十分な距離を置いて配置される。典型的には、レーザは誘電体パネルから約160mm又は250mmの作動距離に配置される。
【0142】
コーティングシステムを正確にコーティング除去するためには、レーザ光源をターゲットのコーティングシステムに正確に集束させなければならない。したがって、コーティングシステムの位置は、コーティング除去デバイスの被写界深度の少なくとも3倍小さい精度で把握されなければならない。被写界深度は、レーザビームの直径を一定とみなし、集束させたレーザビームの焦点の周りの距離に対応する。この距離は、レーザビームの特性及び上記レーザビームの集束に使用される光学系によって大きく変わる。典型的には、被写界深度は約0.5mmであり、つまり、コーティング除去デバイスの集束位置の精度は約0.1~0.2mmとなるはずである。
【0143】
コーティング除去デバイスによっては、アブレートされた経路の幅は、約20~25μm、約40~50μm、又は約100μmであり得る。
【0144】
支持構造体と誘電体基板との間の可変距離及び要求される精度を考慮して、本発明は、レーザビームをコーティングシステムに集束させるコーティング除去プロセスの前に、コーティング除去デバイスと窓との間の距離を自動モードで又は精密な手動機械デバイスで適合させることを提案する。
【0145】
或いは、コーティング除去の質を高め、レーザビームの正確な集束を確保するために、装置は、上記コーティングシステムがどの境界に局在しているかを検出し、コーティング除去デバイスと検出された境界との間の距離を推定するように構成された光学システムと、xy平面に垂直な方向における上記コーティング除去デバイスの位置を制御するように構成された変位手段とを備え得る。
【0146】
一実施形態が、コーティング除去する方法と、システムを通して、0.3GHz~110GHzの周波数を有する入射EM波101を、所望の場所DLにある屋内設備200に集束させる、本発明の第1の態様によるシステムの使用法を提供する。
【0147】
屋内設備とフレネルゾーンプレートレンズとの間に配置された少なくとも誘電体パネル及び/若しくはメタサーフェスを追加することによって、並びに/又は基地局とフレネルゾーンプレートレンズとの間に配置された誘電体パネル及び/又はメタサーフェスを追加することによって、透過性能が更に改善され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】