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特表2024-541457熱交換器、及び、熱交換器を少なくとも1つ備えたヒートポンプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱交換器、及び、熱交換器を少なくとも1つ備えたヒートポンプ
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/40 20060101AFI20241031BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28F1/40 L
F28D7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530413
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2022083599
(87)【国際公開番号】W WO2023099444
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021213766.0
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】カヴァディーニ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】トマイディス,ディミトリオス
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
(57)【要約】
本発明は、縦長の流路ダクト(8)を少なくとも1つ備えた熱交換器(2、4)、特にチューブ式熱交換器、管束熱交換器、フィン付きチューブ式熱交換器及びプレート形熱交換器に関する。運転中に流体が流路ダクト(8)の長手方向と一致する主流れ方向(7)に貫流される熱交換器において、少なくとも1つの流路ダクト(8)が、主流れ方向(7)に流れる流体に流路ダクト(8)の周方向の渦流を付与する内部構成要素及び/又は構造的特徴を有することを特徴とする。さらに、本発明は、このような熱交換器(2、4)を少なくとも1つ備えたヒートポンプに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長の少なくとも1つの流路ダクト(8)を備えた熱交換器(2、4)、特にチューブ式熱交換器、管束熱交換器、フィン付きチューブ式熱交換器及びプレート形熱交換器(2、4)であって、
運転中に流体が前記少なくとも1つの流路ダクト(8)の長手方向と一致する主流れ方向(7)に貫流され、
前記少なくとも1つの前記流路ダクト(8)が、前記主流れ方向(7)に流れる流体に前記少なくとも1つの流路ダクト(8)の周方向に渦流を付与する内部構成要素及び/又は構造的特徴を有する、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記少なくとも1つの流路ダクト(8)が特に円形断面のチューブ式導管として形成されており、
内部構成要素としての前記流路ダクト(8)内に場所が固定された剛性の複数の渦流付与体(9)が挿入されており、前記複数の渦流付与体(9)がそれぞれ、前記主流れ方向(7)に延在する中央部の中心軸線(10)及び前記中心軸線(10)から半径方向外側に向かって延びる複数の案内羽根(11)を有している、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱交換器(2、4)であって、
チューブ式導管として前記少なくとも1つの縦長の流路ダクト(8)が形成されていて、前記少なくとも1つの縦長の流路ダクト(8)が少なくとも部分的に、前記主流れ方向(7)において互いに平行に延在する少なくとも2つの部分ダクト(8a、8b)に分割されており、
これらの部分ダクトの間に隔壁(13)が延在しており、第1の部分ダクト(8a)の下流に、及び、第2の部分ダクト(8b)の上流に、前記主流れ方向(7)に対して横方向に延在するバッフルプレート(14)が設けられており、
前記隔壁(13)には複数の流体通流開口(15)が設けられており、前記第1の部分ダクト(8a)に導入された流体が前記複数の流体通流開口(15)を通って前記第2の部分ダクト(8b)に導かれる、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記少なくとも1つの縦長の流路ダクト(8)が少なくとも部分的に、前記主流れ方向(7)において互いに平行に延在する3つの部分ダクト(8a、b、c)に分割されており、
それらの間にそれぞれ1つ隔壁(13)が延在しており、第1の中央の部分ダクト(8a)の下流に、ならびに、第2の部分ダクト(8b)及び第3の部分ダクト(8c)のそれぞれ上流に、前記主流れ方向(7)に対して横方向に延在する1つのバッフルプレート(14)が設けられており、
前記隔壁(13)には複数の流体通流開口(15)が設けられており、前記第1の部分ダクト(8a)に導入された流体は前記複数の流体通流開口(15)を通って、渦流を受けながら前記第2の部分ダクト(8b)に、及び、前記第3の部分ダクト(8c)に導かれる、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換器(2,4)であって、
前記第1の部分ダクト(8a)が長方形又は好ましくは正方形の断面を有し、前記第2及び第3の部分ダクト(8b,c)がそれぞれ半円形の断面を有する、
ことを特徴とする熱交換器(2,4)。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記第1の部分ダクト(8a)の前記バッフルプレート(14)に少なくとも1つの貫通孔(16)、又は、好ましくは少なくとも1つの貫通スリット(17)が設けられている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記複数の流体通流開口(15)が前記主流れ方向(7)おいて互いに離間して配置されており、隣接する前記複数の流体通流開口(15)間の距離が、下流に向かって次第に大きくなる、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の熱交換器(2、4)であって、
複数の流路ダクト(8)が設けられ、前記複数の流路ダクト(8)は、それぞれ直線状の主流れ方向(7)に延在し、複数の流体通流開口(22)を介して互いに接続された、複数の流路ダクト区間で形成されており、前記流路区間は前記主流れ方向(7)において互いにオーバーラップし、かつ、前記主流れ方向(7)に対して横方向において互いにオフセットして配置されており、
高温流体が通される前記複数の流路ダクト(8)のそれぞれは、好ましくはその全長にわたって、低温流体が通される隣接する流路ダクト(8)と接触している、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項9】
請求項8に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記流路ダクト区間が、特に正方形の端面を有する複数の直方体形の中空ロッド(23)によって形成されており、前記端面の自由端がそれぞれ1つの流体通流開口(22)を備えている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項10】
請求項9に記載の熱交換器(2、4)であって。
前記流体通流開口(22)がスリット形状に形成されており、前記主流れ方向(7)に延びており、そのスリット幅(b)が、前記中空ロッド(23)の端面の長さ(d)の0.1~0.3倍、特に0.25倍である、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項11】
フィン付きプレート式熱交換器の形態をとる請求項1に記載の熱交換器(2、4)であって、複数の流路ダクト(8)を有し、
前記複数の流路ダクト(8)のそれぞれが、2つの平行なプレート(25)と斜めに配置されたフィン(26)とによって区画された台形断面を有しており、前記流路ダクト(8)はそれぞれ少なくとも1つの端壁に複数の流体通流開口(15)が設けられている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項12】
請求項11に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記流体が導入される側において、前記複数の流体通流開口(15)のそれぞれが、前記流入側が開口された形状のフード(27)を備えている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の熱交換器(2、4)を少なくとも1つ備えたヒートポンプ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器に関する。この熱交換器は少なくとも1つの縦長の流路ダクトを有し、この縦長の流路ダクトを通って、運転中に流体がこの流路ダクトの長手方向と一致する主流れ方向に通される。本発明はさらに、このような熱交換器を少なくとも1つ備えたヒートポンプに関する。
【0002】
この種の熱交換器は例えばヒートポンプシステムに使用され、従来技術において様々な実施形態が知られている。この場合、様々な熱交換器の構造が使用される、例えば、チューブ式熱交換器、多管式熱交換器、フィン付きチューブ式熱交換器及びプレート式熱交換器である。これらの熱交換器の1つの欠点は、これらの熱交換器が大きな設置スペースを占有することである。また、現時点ではこれらの手段では低いCOP値(Coefficient of Performance;性能係数)からしか得られていない。COP値はヒートポンプシステムの効率を表す。これは、熱出力とそれを達成するために必要な作動エネルギーの比率を示し、この作動エネルギーは電気の形でヒートポンプシステムに供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来技術から出発して、本発明の課題は、設置スペースが比較的小さい及び/又は効率が向上した、改良された熱交換器、及び、冒頭に述べたタイプの改良されたヒートポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明は冒頭で述べたタイプの熱交換器を提供し、この熱交換器は、少なくとも1つの流路ダクトが、主流れ方向に流れる流体に流路ダクトの周方向の渦流を与える内部構成要素及び/又は構造的特徴を有することを特徴とする。研究の結果、そのような意図的に引き起こされた渦流によって生じる流体の渦巻きが、特に、液状の、沸騰しておらず、気体でない流体の状態において、熱伝達強度の改善をもたらすことが分かった。さらに、加えられた渦流によって、特に流体の沸騰状態において圧力損失を最小限に抑えることができることが見出された。従って、設置スペースが同一の場合には、流体が流路ダクトを主流れ方向にのみ流れる従来の熱交換器に比べて、本発明による熱交換器の効率を最適化することができる。あるいは、同一効率又は改善された効率の場合に、設置スペースを減らすことができる。
【0005】
本発明の第1の実施形態によれば、少なくとも1つの流路ダクトが特に円形断面のチューブ式導管として形成されており、この場合、その流路ダクト内に内部構成要素として、場所が固定された剛性の複数の渦流付与体が挿入されており、これらの渦流付与体はそれぞれが主流れ方向に延びる中央部の1つの中心軸線と、この中心軸線から半径方向外側に向かって延びる複数の案内羽根とを有し、これらの案内羽根がそれぞれの渦流付与体に流入する流体に所望の渦流を付与する。そのような渦流付与体を有するチューブ式導管の熱伝達強度は、渦流付与体を有しない流路ダクトに対して略2倍にすることができることが分かった。
【0006】
本発明の別の一実施形態によれば、チューブ式導管として少なくとも1つの縦長の流路ダクトが形成されていて、これが少なくとも部分的に、主流れ方向において互いに平行に延在する少なくとも2つの部分ダクトに分割されており、これらの部分ダクトの間に1つの隔壁が延在しており、第1の部分ダクトの下流に、及び、第2の部分ダクトの上流に、主流れ方向に対して横方向に延在する1つのバッフルプレートが設けられており、前記隔壁には複数の流体通流開口が設けられており、第1の部分ダクトに導入された流体はこれら流体通流開口を通って第2の部分ダクトに導かれる。この流体の、主として第1の部分ダクトのバッフルプレートと複数の流体通流開口とによってもたらされる第1の部分ダクトから第2の部分ダクトへの強制的な方向転換によって、この流体に流路ダクトの周方向の渦流が的確に付与される。少なくとも1つの流路ダクトをこのように構成することにより、円形断面の単純なチューブ式導管に流体を通す従来の熱交換器に比べて、ヒートポンプシステムの熱伝達強度を最大で5倍増加させることができ、これにより設置スペースの特に大幅な低減が可能となる。
【0007】
少なくとも1つの縦長の流路ダクトが少なくとも部分的に、主流れ方向において互いに平行に延在する3つの部分ダクトに分割されており、それらの間にそれぞれ1つ隔壁が延在しており、第1の中央の部分ダクトの下流に、ならびに、第2の部分ダクト及び第3の部分ダクトのそれぞれ上流に、主流れ方向に対して横方向に延在する1つのバッフルプレートが設けられており、これらの隔壁には複数の流体通流開口が設けられており、第1の部分ダクトに導入された流体はこれらの流体通流開口を通って、渦流を受けながら第2の部分ダクトに、及び、第3の部分ダクトに導かれる。このような構造により、円形断面の単純なチューブ式導管に流体を通す従来の熱交換器と比べて、熱伝達強度の最大の増加を達成することができた。
【0008】
好ましくは、前記第1の部分ダクトが長方形の、好ましくは正方形の断面を有し、第2及び第3の部分ダクトがそれぞれ半円形の断面を有する。この構造は、特に単純で、安価で、かつ効率的であることが証明されている。
【0009】
第1の部分ダクトのバッフルプレートには、少なくとも1つの貫通孔、又は、好ましくは少なくとも1つの貫通スリットが設けられている。このような複数の貫通孔及び/又は複数の貫通スリットによって、特に摩擦損失を最小限に抑えることが可能である。
【0010】
複数の流体通流開口が主流れ方向において互いに離間して配置されていると好適であり、隣接する流体通流開口間の距離は、好ましくは、下流に向かって次第に大きくなる。これによっても、流れ損失を低減することができる。
【0011】
本発明の別の一実施形態によれば、複数の流路ダクトが設けられていて、各流路ダクトは、直線状の、主流れ方向に延在し、複数の流体通流開口を介して互いに接続された、複数の流路区間で形成されており、これらの流路区間は主流れ方向において互いにオーバーラップし、かつ、主流れ方向に対して横方向において互いにオフセットして配置されており、この場合、高温流体が通される各流路ダクトは、好適にその全長にわたって、低温流体が通される隣接する流路ダクトと接触している。複数の流体流路開口を介して互いに接続された個々の流路区間が、このように、主流れ方向において互いにオーバーラップし、かつ、主流れ方向に対して横方向において互いにオフセットして配置されることにより、この流路ダクトを通過する流体は1つの流路区間から次の流路区間に移行する際に、その流路ダクトの周方向の渦流を受けるという効果が生じる。熱伝達強度の増加に関する複数の試験において、このような構造により、流体が円形断面のチューブ式導管に通される従来の熱交換器と比較して、最大で7倍という最良の結果が得られた。
【0012】
前記流路ダクト区間は、特に正方形の端面を有する複数の直方体形の中空ロッドによって形成されており、これらの端面の自由端がそれぞれ1つの流体通流開口を備えている。このようにして、簡単なモジュール構造が達成される。これらの中空ロッドは、例えば材料結合により互いに接続することができる。しかし、これらの中空ロッドは付加製造法で一緒に製造することもでき、その場合には、個々の中空ロッドは仮想的にしか存在せず、実際には存在しない。
【0013】
これらの流体通流開口がスリット形状に形成されていると好適であり、この場合、スリット幅が中空ロッドの端面の長さの0.1~0.3倍、特に0.25倍であると有利である。このようにして、摩擦損失を最小限に抑えることができる。
【0014】
本発明の別の一実施形態によれば、この熱交換器はフィン付きプレート式熱交換器の形態であり、これは複数の流路ダクトを有し、その各流路ダクトは2つの平行なプレート及び斜めに配置された複数のフィンによって区画されており、台形断面を有しており、この場合、各流路ダクトの少なくとも1つの端部壁には複数の流体通流開口が設けられており、1つの流路ダクト内に導入された流体は、これらの流体通流開口を通ってその流路ダクトの周方向の渦流を受けながら、隣接する流路ダクト内に導かれる。
【0015】
前記複数の流体通流開口(15)の、流体が流路ダクト(8)に導入される側にそれぞれ、流入側に開口された形状のフード(27)を備えていると好適である。これらのフードは、例えば、フィンを形成するシートのスリット加工及び変形によって製造することができ、それによって、非常に単純な構造が達成される。
【0016】
本発明は、さらに、本発明による熱交換器を少なくとも1つ備えたヒートポンプを提供する。
【0017】
本発明のさらなる利点及び特徴は、添付の図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ヒートポンプの模式図。
図2】本発明による第1のアプローチに従って形成された流路ダクトの斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図3図2に模式的にのみ示された渦流付与体の拡大側面図。
図4図2に示された流路ダクトの変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図5】これらの変形例の、基準流路ダクトに対する流れ摩擦損失の増加をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図6】レイノルズ数が10,000の場合の、これらの変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善を示すグラフ。
図7】本発明による第2のアプローチに従って形成された流路ダクトの第1の変形例の斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図8】本発明による第2のアプローチに従って形成された流路ダクトの第2の変形例の斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図9】本発明による第2のアプローチに従って形成された流路ダクトの第3の変形例の斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図10図7に示された第1の変形例の斜視図を示し、この変形例は、一例として、その流路ダクトを通って導かれた流体の方向転換を示す。
図11図7~9に例示された変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図12図7~9に示した変形例の、基準流路ダクトに対する流れ摩擦損失の増加をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図13】レイノルズ数が10,000の場合の、図7~9に示した変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善を示すグラフ。
図14図1に示されたヒートポンプの熱交換器とすることができる熱交換器の斜視図を示す。これらの流路ダクトは本発明による第3のアプローチに従って形成されている。
図15図14のラインXVに沿った断面図。
図16図14に示す熱交換器の、部分的に透視的に示された斜視図。
図17図14に示された熱交換器の2つの流路ダクトの模式図。
図18図17に示された流路ダクトの3つの変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図19図17に示された流路ダクトの3つの変形例の、基準流路ダクトに対する流れ摩擦損失の増加をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図20】レイノルズ数が10,000の場合の、図17に示された流路ダクトの3つの変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善を示すグラフ。
図21】本発明による第4のアプローチの第1の変形例に従って形成された流路ダクトの第1の変形例の斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図22図21に示す流路ダクトの正面図であり、この流路ダクトを通って導かれる流体の方向転換を示す。
図23】本発明による第4のアプローチに従って形成された流路ダクトの第2の変形例の斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図24図23に示す流路ダクトの正面図であり、この流路ダクトを通って導かれる流体の方向転換を示す。
図25】本発明による第4のアプローチに従って形成された流路ダクトの第3の変形例の斜視図を示す。この流路ダクトは、図1に示すヒートポンプの熱交換器の流路ダクトとすることができる。
図26図25に示す流路ダクトの正面図であり、この流路ダクトを通って導かれる流体の方向転換を示す。
図27図21、23及び25に示された変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図28図21、23及び25に示された変形例の、基準流路ダクトに対する流れ摩擦損失の増加をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図29】レイノルズ数が10,000の場合の、図21、23及び25に示された変形例の、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善を示すグラフ。
図30】本発明による4つのアプローチに従って構成された流路ダクトの、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図31】本発明による4つのアプローチに従って構成された流路ダクトの、基準流路ダクトに対する流れ摩擦損失の増加をレイノルズ数の関数として示すグラフ。
図32】レイノルズ数が10,000の場合の、本発明による4つのアプローチに従って構成された流路ダクトの、基準流路ダクトに対する熱伝達強度の改善を示すグラフ。
図33】従来の熱交換器、及び、本発明に従って変形された熱交換器を例示する斜視図。 以下の本文において、同一参照番号は同一の、又は、同一タイプの構成要素ないし構成要素領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1はヒートポンプ1を模式的に示しており、このヒートポンプは、第1の熱交換器2と、圧縮機3と、第2の熱交換器4と、絞り弁5とを有しており、これらは流体循環回路6に直列に組み込まれ、この回路に冷媒の形態の流体が通されている。第1の熱交換器2では、自然によって供給される熱源(例えば、空気、水または土)からエネルギーが取り出され、このエネルギーが流体冷媒に送られ、この流体冷媒を蒸発させる。次にこの冷媒は蒸気状態で圧縮機3に送られ、次いでこの圧縮機は圧縮された冷媒を第2の熱交換器4に送る。第2の熱交換器4において冷媒が凝縮され、この場合、冷媒から取り出されたエネルギーが、加熱される流体、例えば暖房用の水に伝達され、これに応じてこの暖房用の水が加熱される。最後に、冷媒は絞り弁5に供給されて膨張され、その後、第1の熱交換器2に戻される。
【0020】
従来の熱交換器2、4では、これらがチューブ式熱交換器、多管式熱交換器、フィン付きチューブ式熱交換器またはプレート式熱交換器として作られているかどうかとは無関係に、流体はそれぞれ少なくとも1つの縦長の流路ダクト8を通って主流れ方向7に直線状に導かれ、この場合、主流れ方向7は流路ダクト8の長手方向と一致している。本発明は、少なくとも1つの流路ダクト8に、主流れ方向7に流れる流体に流路ダクト8の周方向の渦流を与える内部構成要素及び/又は構造的特徴を設ける、という基本的な概念に基づく。その目的は、このようにして、熱伝達の強度を増大させること、及び/又は、熱交換器2、4の所要の設置スペースを減少させることである。
【0021】
図2及び3は本発明による第1のアプローチを示しており、ここでは、内部構成要素として2つの渦流付与体9が流路ダクト8内に挿入されている。この流路ダクト8は、内面が滑らかで、直径Dの円形断面を有するチューブ式の導管である。これらの渦流付与体9は、流路ダクト8内に、固定された位置で剛性的に挿入されており、それぞれが、主流れ方向7の中央部に延在する1つの中心軸線10と、この中心軸線10から半径方向外側に向かって延びる複数の案内羽根11とを備え、これらの案内羽根が、渦流付与体9を通って主流れ方向7に流れる流体に周方向の渦流を与える。この目的のために、本事例における案内羽根11は弧状に形成されており、主流れ方向7と案内羽根12の下流縁における接線12との間の角度αは、好ましくは60°である。この角度αは、本例では8つである案内羽根11の数と同様に、原則的に変更することができる。
【0022】
第1の試験によれば、次の条件下で、全流体質量流量m図2に示される流路ダクト8を通して流された。
流体:空気(理想気体)
入口圧力p in=1atm
入口温度T in=303.15K
外部温度Th=373.15K
外部熱伝達率HTCh
レイノルズ数Re=可変
水力直径と摩擦係数fに基づくヌセルト数Nu
【0023】
第1の測定シリーズでは、渦流付与体9を間隔L=6Dで配置した。
【0024】
第2の測定シリーズでは、渦流付与体9を間隔L=40Dで配置した。
【0025】
同様の条件下で、同じ流路ダクト8を用いて、その中に渦流付与体9を配置せずに、基準測定を行った。このレファレンス測定値はインデックス0によって示されている。
【0026】
図4~6は、これらの実験において得られた結果を示す。
【0027】
図4及び6に示されるように、流路ダクト8内に渦流付与体9を設置することにより、レイノルズ数に応じて、レファレンス測定値に対して流路ダクト8内の熱伝達強度の1.5~4倍の増加が可能となり、この場合、同時に水力損失の上昇は2~8倍である(図5を参照のこと)。2つの渦流付与体9の間の間隔Lの減少は、熱伝達強度の上昇と水力損失の上昇をもたらす。
【0028】
図7~9は、本発明による第2のアプローチに従って形成された流路ダクト8の変形例を示し、この流路ダクトは、少なくとも部分的に、主流れ方向7に互いに平行に延在する複数の、本例では3つの、部分ダクト8a、8b及び8cに分割されており、これらの部分ダクトの間にはそれぞれ隔壁13がある。図示された流路ダクト8の第1の、中央の部分ダクト8aは正方形の断面を有する。中央の部分ダクト8aに隣接する他の2つの部分ダクト8b及び8cは、それぞれ半円形の断面を有する。
【0029】
図7~9に示されている流路ダクト8の変形例の幾何学的形状は基本的に同一である。
【0030】
図7に示された流路ダクト8の第1の変形例、これらは図11~13において数字「1」によって表されている、では、第1の中央部分ダクト8aの下流に、及び、第2の部分ダクト8b及び第3の部分ダクト8cのそれぞれ上流に、主流れ方向7に対して横方向に延びる完全に閉鎖されたバッフルプレート14が設けられている。さらに、隔壁13には複数の流体通流開口15が設けられており、第1の部分ダクト8aに導入された流体がこれらの開口を通って渦流を受けながら、第2の部分ダクト8b内に、及び、第3の部分ダクト8c内に導かれる。図示の実施形態では、主流れ方向7における個々の流体通流開口15の間隔は下流に向けて増加する。この幾何学的形状は、以下ではインデックス1によって示される。
【0031】
図8に示される流路ダクト8の第2の変形例、これは図11~13では数字「2」で表されている、の幾何学的形状は図7に示される流路ダクト8の部分と実質的には同じである。しかし、第1の中央の部分ダクト8aを閉鎖しているバッフルプレート14には、ここでは、1つの中央の円形の貫通孔16が設けられている。
【0032】
図9に示される流路ダクト8の第3の変形例、これは図11~13では数字「3」で表されている、の幾何学的形状は図8に示される流路ダクト8の幾何学的形状とは、第1の中央の部分ダクト8aを閉鎖しているバッフルプレート14に中央の貫通孔16が設けられておらず、ここでは、バッフルプレート14の上部及び下部領域に位置する2つの水平方向の貫通スリット17が設けられている点で、異なる。
【0033】
第2の試験では、第1の試験と同じ条件下で、全流体質量流量が図7~9に示される流路ダクト8を通して流された。
【0034】
図10は、矢印で示すように、流体通流開口15を通過する流体がどのようにして流路ダクト8の周方向の渦流を受けるかを示す。流体の速度は、第2及び第3の部分ダクト8b及び8cの弧状の外側領域において最大である。
【0035】
図11~13はこれらの測定シリーズにおいて得られた結果の抜粋を示し、ここでも、レファレンスとして単純なチューブ式導管を採用し、インデックス0を付した。
【0036】
図11及び13に示されるように、変形例1~3の幾何学的形状により、レファレンス幾何学形状0に対して、流路ダクト8における熱伝達強度をレイノルズ数に応じて4~10倍増加させることができ、この場合、同時に水力損失は40~100倍増加した(図12参照)。第1の部分ダクト8aを閉鎖するバッフルプレート14に1つの貫通孔16または複数の貫通スリット17を設けることは、水力損失を大幅に減少させ、同時に熱伝達をわずかに低下させる(図11及び12参照)。
【0037】
図14~17は、熱伝達強度を増加させるための本発明による第3のアプローチを示す。図示された熱交換器2、4は、第1の流体用の流体入口18及び流体出口19と、第2の流体用の流体入口20及び流体出口21とを有し、ここで、これらの流体は、本事例では、熱交換器2、4を通って向流状態で導かれる。この目的のために、断面で見てマトリクス状に配置された多数の流路ダクト8が設けられており(図15参照)、この場合、図17に模式的に示すように、各流路ダクト8は、直線状の、主流れ方向に延び、複数の流体通流開口22を介して互いに連結された複数の流路ダクト区間によって形成されており、これらの流路ダクト区間は主流れ方向7において互いにオーバーラップし、主流れ方向7に対して横方向において互いにオフセットして配置されている。本事例では、1つの流路ダクト8の個々の流路ダクト区間は、その流路ダクト8がその長手方向において全体として螺旋形状を有するように配置されている。この場合、図17の左側に示されるように、高温流体が流れる各流路ダクト8は好適にその全長にわたって、低温流体が流れる隣接する流路ダクト8と接触している。すなわち、2つの流路ダクト8はそれぞれ螺旋状に「捻じられて」いる。これらの流路ダクト区間は、それぞれ、本ケースでは正方形の端面を有する立方形の中空ロッド23によって形成され、これらの端面はそれぞれの自由端に1つの流体通流開口15を備えている。本事例では、これらの流体通流開口15はそれぞれスリット状に形成されており、主流れ方向7に延びている。ここで、スリット幅bは、中空ロッド23の端面の長さdの0.1~0.3倍、特に0.25倍であることが好ましい。個々の流路ダクト区間を、主流れ方向7において互いにオーバーラップし、かつ、主流れ方向7に対して横方向において互いにオフセットして配置することにより、図17の破線24によって示されるように、流路ダクト8を通って流れる流体は流路ダクト8の周方向の渦流を受ける。図示されたこれらの流路ダクト8は、互いに接続された、例えば、互いに溶接された、またはろう付けされた個々の中空ロッドから構成することができる。しかしながら、その代わりに、このマトリクス状の構成は付加製造法で作ることもでき、その場合には、これらの中空ロッドは単に仮想的な中空ロッドである。
【0038】
第3の試験では、第1の試験と同じ条件下で、全流体質量流量を図14~17に示される流路ダクトを通して流した。ここでも、レファレンスとして単純なチューブ式導管を採用し、インデックス0を付した。
【0039】
第1の変形例、これは図18~20において数「1」で表されている、では、中空ロッドの流体通路開口のスリット幅bは、中空ロッドの端面の長さdの0.25倍であり、第2の変形例(数「2」)では0.5倍であり、第3の変形例(数「3」)では1倍であった。
【0040】
図18~20はこれらの研究において得られた結果の抜粋を示す。
【0041】
図18及び20に示すように、変形例1~3の幾何学的形状は、レファレンス形状0に対して、レイノルズ数に応じて、流路ダクト8における熱伝達強度を4~7倍増加させることができ、この場合、同時に水力損失が20~45倍増加する(図19を参照されたい)。この場合、最小のスリット幅bを有する幾何学的形状は、強度と摩擦の両方を最も大きく増加させる。特に、増加した摩擦は、流路ダクト8の幾何学的形状を最適化することによって、さらに著しく最適化できると考えられる。
【0042】
図21~26は、フィン付きプレート式熱交換器において熱伝達強度を増大させるための本発明による第3のアプローチを示す。図21、23及び25は、大部分が同一の幾何学形状を有する流路ダクトの3つの変形例を示し、これらは、2つの平行プレート25及び斜めに配置されたフィン26によって区画されており、それぞれ台形の断面を有する。図21に示される第1の変形例では、1つの流路ダクト8の1つのフィン26は各々複数の流体通流開口15を備えており、これらの開口を通って流路ダクト8に導入された流体は、渦流しながら隣接する流路ダクト8に流入される(図22を参照のこと)。これらの流体通流開口15には、そこから流体が流路ダクト8に導入される側に、それぞれ流入側に開放して形成されたフード27が設けられており、これは本例では、フィン26を形成するシートのスリット加工と変形によって製造されている。図23に示す第2の変形例では、1つの流路ダクト8の両方のフィン27に同様の複数の流体通流開口15が設けられており、この場合、これらのフード27は、1つの流路ダクト8から隣接する流路ダクト8に導入された流体が再びその次の流路ダクト8に導かれるように選択される(図24を参照のこと)。図25に示す第3の変形例では、1つの流路ダクト8の両方のフィン26に複数の流体通流開口が設けられており、この場合、これらのフード27は、流体が2つの流路ダクト8からそれらの間に配置された第3の流路ダクト8に導入されるように選択される(図26を参照のこと)。
【0043】
第4の試験では、第1の試験と同じ条件下で、全流体質量流量を図21、23及び25に示す流路ダクトを通して流した。ここでも、レファレンスとして単純なチューブ式導管を採用し、インデックス0を付した。
【0044】
図27~29はこの研究において得られた結果の抜粋を示し、ここでも、数字「1」、「2」及び「3」は異なる変形例を表す。
【0045】
変形例1~3の幾何学的形状により、流路ダクト8における熱伝達強度を、レイノルズ数に応じて、図27及び29のように、幾何学的形状0(レファレンス)に対して2.5~7倍増加させることができ、この場合、同時に水力損失は1.8~2.5倍増加する(図28参照)。この場合、最良の結果は第2の変形例の幾何学的形状によって得られた。
【0046】
図30~32は、数字「1」~「4」によって表されるアプローチ1~4を相対比較したものである。要約すると、第2のアプローチが非常に有望であることが分かった。というのは、このアプローチの場合、熱伝達強度の最大の上昇が観察されるからである。この第2のアプローチの大きな利点は、第1及び第4のアプローチと同様に、既存の熱交換器構造において比較的問題なく実施することができ、必要に応じて後付け設置できることにある。一例として、図33は、左側に従来の熱交換器2、4を示し、その流路ダクト8は円形断面の単純な平滑なチューブ式導管によって形成されており、右側に第2のアプローチに従って修正された熱交換器2、4を示し、この場合には、同等の熱伝達強度において、その構造体積が大幅に低減されている。
【0047】
図32は、レイノルズ数が10,000の場合の3つのアプローチの熱伝達強度を対比したものである。第3のアプローチの場合、熱伝達強度の増加は第2のアプローチの場合よりも小さいが、第3のアプローチでは最適化ポテンシャルは最大である。しかし、第3のアプローチは既存の熱交換器では実施できない。第3のアプローチを技術的に実施するには、新規な熱交換器2、4の構成が必要となる。
【0048】
本発明を図面に示された複数の実施例によって詳細に図解し説明したが、本発明は開示された実施例によって制限されるものではなく、本発明の添付の特許請求の範囲によって定義された保護範囲から逸脱することなく、当業者によって他の変形をそこから導出することができる。特に、本発明による熱交換器は、ヒートポンプのみならず他の技術分野においても有利に使用できることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長の少なくとも1つの流路ダクト(8)を備えた熱交換器(2、4)、特にチューブ式熱交換器、管束熱交換器、フィン付きチューブ式熱交換器及びプレート形熱交換機(2、4)あって、
運転中に流体が前記少なくとも1つの流路ダクト(8)の長手方向と一致する主流れ方向(7)に貫流され、
前記少なくとも1つの前記流路ダクト(8)が、前記主流れ方向(7)に流れる流体に前記少なくとも1つの流路ダクト(8)の周方向に渦流を付与する内部構成要素及び/又は構造的特徴を有し、
チューブ式導管として前記少なくとも1つの縦長の流路ダクト(8)が形成されていて、前記少なくとも1つの縦長の流路ダクト(8)が少なくとも部分的に、前記主流れ方向(7)において互いに平行に延在する少なくとも2つの部分ダクト(8a、8b)に分割されており、
これらの部分ダクトの間に隔壁(13)が延在しており、第1の部分ダクト(8a)の下流に、及び、第2の部分ダクト(8b)の上流に、前記主流れ方向(7)に対して横方向に延在するバッフルプレート(14)が設けられており、
前記隔壁(13)には複数の流体通流開口(15)が設けられており、前記第1の部分ダクト(8a)に導入された流体が前記複数の流体通流開口(15)を通って前記第2の部分ダクト(8b)に導かれる、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記少なくとも1つの流路ダクト(8)が特に円形断面のチューブ式導管として形成されており、
内部構成要素としての前記流路ダクト(8)内に場所が固定された剛性の複数の渦流付与体(9)が挿入されており、前記複数の渦流付与体(9)がそれぞれ、前記主流れ方向(7)に延在する中央部の中心軸線(10)及び前記中心軸線(10)から半径方向外側に向かって延びる複数の案内羽根(11)を有している、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項3】
請求項に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記少なくとも1つの縦長の流路ダクト(8)が少なくとも部分的に、前記主流れ方向(7)において互いに平行に延在する3つの部分ダクト(8a、b、c)に分割されており、
それらの間にそれぞれ1つ隔壁(13)が延在しており、第1の中央の部分ダクト(8a)の下流に、ならびに、第2の部分ダクト(8b)及び第3の部分ダクト(8c)のそれぞれ上流に、前記主流れ方向(7)に対して横方向に延在する1つのバッフルプレート(14)が設けられており、
前記隔壁(13)には複数の流体通流開口(15)が設けられており、前記第1の部分ダクト(8a)に導入された流体は前記複数の流体通流開口(15)を通って、渦流を受けながら前記第2の部分ダクト(8b)に、及び、前記第3の部分ダクト(8c)に導かれる、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項4】
請求項に記載の熱交換器(2,4)であって、
前記第1の部分ダクト(8a)が長方形又は正方形の断面を有し、前記第2及び第3の部分ダクト(8b,c)がそれぞれ半円形の断面を有する、
ことを特徴とする熱交換器(2,4)。
【請求項5】
請求項に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記第1の部分ダクト(8a)の前記バッフルプレート(14)に少なくとも1つの貫通孔(16)、又は少なくとも1つの貫通スリット(17)が設けられている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項6】
請求項に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記複数の流体通流開口(15)が前記主流れ方向(7)おいて互いに離間して配置されており、隣接する前記複数の流体通流開口(15)間の距離が、下流に向かって次第に大きくなる、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項7】
請求項に記載の熱交換器(2、4)であって、
複数の流路ダクト(8)が設けられ、前記複数の流路ダクト(8)は、それぞれ直線状の主流れ方向(7)に延在し、複数の流体通流開口(22)を介して互いに接続された、複数の流路ダクト区間で形成されており、前記流路区間は前記主流れ方向(7)において互いにオーバーラップし、かつ、前記主流れ方向(7)に対して横方向において互いにオフセットして配置されており、
高温流体が通される前記複数の流路ダクト(8)のそれぞれは低温流体が通される隣接する流路ダクト(8)と接触している、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項8】
請求項に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記流路ダクト区間が、正方形の端面を有する複数の直方体形の中空ロッド(23)によって形成されており、前記端面の自由端がそれぞれ1つの流体通流開口(22)を備えている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項9】
請求項に記載の熱交換器(2、4)であって。
前記流体通流開口(22)がスリット形状に形成されており、前記主流れ方向(7)に延びており、そのスリット幅(b)が、前記中空ロッド(23)の端面の長さ(d)の0.1~0.3倍である、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項10】
フィン付きプレート式熱交換器の形態をとる請求項1に記載の熱交換器(2、4)であって、複数の流路ダクト(8)を有し、
前記複数の流路ダクト(8)のそれぞれが、2つの平行なプレート(25)と斜めに配置されたフィン(26)とによって区画された台形断面を有しており、前記流路ダクト(8)はそれぞれ少なくとも1つの端壁に複数の流体通流開口(15)が設けられている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項11】
請求項10に記載の熱交換器(2、4)であって、
前記流体が前記流路ダクト(8)に導入される側において、前記複数の流体通流開口(15)のそれぞれが、流入側が開口された形状のフード(27)を備えている、
ことを特徴とする熱交換器(2、4)。
【請求項12】
請求項に記載の熱交換器(2、4)を少なくとも1つ備えたヒートポンプ(1)。
【国際調査報告】