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特表2024-541466水痘帯状疱疹ウイルス免疫原組成物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】水痘帯状疱疹ウイルス免疫原組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/38 20060101AFI20241031BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241031BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
C12N15/38 ZNA
A61K31/7105
A61P37/04
A61P31/22
A61P43/00 121
A61K48/00
C12N15/63 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024530490
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2022050859
(87)【国際公開番号】W WO2023096963
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,047
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, ジェニファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】カーター, エリック ポール
(72)【発明者】
【氏名】メルフィ, マイケル ドナート
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、水痘帯状疱疹ウイルス免疫原の発現をコードする環状ポリリボヌクレオチドに関する組成物、医薬調製物、及び方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームを含む環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項2】
前記VZVポリペプチド免疫原が、VZV糖タンパク質又はその免疫原性断片である、請求項1に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項3】
前記VZV糖タンパク質が、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、及びgMから選択されるか、又はその免疫原性断片である、請求項2に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項4】
前記VZV糖タンパク質が、VZV gE、又はその免疫原性断片である、請求項3に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項5】
前記VZV糖タンパク質が、野生型VZV gEと比べて10個を超えないアミノ酸置換、欠失、又は挿入を含むVZV gEの突然変異バリアント、又はその免疫原性断片である、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項6】
前記VZV gEポリペプチドが、アンカードメイン(小胞体保留ドメイン)を欠くトランケート型ポリペプチドである、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項7】
前記VZV gEポリペプチドが、カルボキシ末端尾部ドメインを欠くトランケート型ポリペプチドである、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項8】
前記VZV gEポリペプチドが、VZV gEのアミノ酸1~524、1~546、1~561、1~573、又は1~623を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項9】
前記VZV gEポリペプチドが、Y569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項10】
前記VZV gEポリペプチドが、VZV gEのアミノ酸1~573及びY569A突然変異を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項11】
前記VZV gEポリペプチドが、VZV gEのアミノ酸1~623及びY569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項12】
前記VZV gEポリペプチドが、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項13】
前記VZV gEポリペプチドがシグナル配列をさらに含み、前記VZV gEポリペプチド及びシグナル配列が一緒になって、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項14】
任意選択でシグナル配列をさらに含む前記VZV gEポリペプチドが、配列番号39~47及び71~83のいずれか1つの核酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる、請求項4に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項15】
前記VZVポリペプチド免疫原が、VZV前初期タンパク質又はその免疫原性断片である、請求項1に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項16】
前記VZV前初期タンパク質が、IE63ポリペプチドである、請求項15に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項17】
前記VZV IE63ポリペプチドが、配列番号84のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項18】
任意選択でシグナル配列をさらに含む前記VZV IE63ポリペプチドが、配列番号85のいずれか1つの核酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる、請求項16に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項19】
前記VZVポリペプチド免疫原が、多量体化ドメインをコードする配列をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項20】
前記VZVポリペプチド免疫原をコードする前記オープンリーディングフレームが、第2のポリペプチドをコードする、請求項1~19のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項21】
前記VZVポリペプチド免疫原及び前記第2のポリペプチドが、ポリペプチドリンカー、2A自己切断型ペプチド、プロテアーゼ切断部位、又はプロテアーゼ切断部位とタンデムに並んだ2A自己切断型ペプチドによって分離されている、請求項20に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項22】
前記第2のポリペプチドが、ポリペプチド免疫原である、請求項20又は21に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項23】
前記第2のポリペプチドが、VZVポリペプチド免疫原である、請求項22に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項24】
前記第2のポリペプチドが、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、及びgMから選択されるVZV糖タンパク質、VZV前初期タンパク質、又はその免疫原性断片である、請求項23に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項25】
前記第2のポリペプチドが、VZV gE、又はその免疫原性断片である、請求項24に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項26】
前記第2のポリペプチドが、VZV IE63、又はその免疫原性断片である、請求項24に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項27】
前記第2のポリペプチドが、ポリペプチドアジュバントである、請求項20又は21に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項28】
自然免疫系刺激因子である非コードリボ核酸配列をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチドと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む免疫原性組成物。
【請求項30】
第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、請求項29に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
前記第2の環状ポリリボヌクレオチドが、第2のポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームを含む、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
前記第2の環状ポリリボヌクレオチドが、ポリペプチドアジュバントをコードするオープンリーディングフレームを含む、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
前記第2の環状ポリリボヌクレオチドが、自然免疫系刺激因子である非コードリボ核酸配列を含む、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
対象においてVZVに対する免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に請求項1~33のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法。
【請求項35】
対象のVZV感染症を予防する方法であって、前記対象に請求項1~33のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法。
【請求項36】
VZV感染症を有する又は有する疑いがある対象を治療する方法であって、前記対象に請求項1~33のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)は、α-ヘルペスウイルスファミリーに属するウイルスである。VZVは世界中に存在し、極めて感染性が高い。初感染で、「水疱瘡」とも称される急性水痘が引き起こされる。初期感染後、VZVは脳神経及び後根神経節に生涯にわたる潜伏感染を確立し、数年から数十年後に「帯状ヘルペス(shingles)」と称される帯状疱疹(herpes zoster:HZ)として再活性化し得る。VZVはまた、無菌性髄膜炎から脳炎に至るまでの範囲の幾つもの神経性病態も引き起こし得る。VZV感染症の他の重篤な合併症としては、帯状疱疹後神経痛、モラレー髄膜炎、帯状疱疹性脊髄炎、血小板減少症、心筋炎、関節炎、及び脳卒中につながる脳の動脈の炎症、脊髄炎、眼部疱疹、及び無疱疹性帯状疱疹が挙げられる。水痘帯状疱疹ウイルスに対して活性を示すワクチン及び治療薬が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、1つ以上のVZV免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドに関する組成物、医薬調製物、及び方法を提供する。本開示はまた、1つ以上のVZV免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドの使用方法も提供する。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、投与時に対象に免疫応答を誘導し得る。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、対象の疾患、障害、又は病態(例えば、水疱瘡又は帯状ヘルペス)の治療又は予防に使用し得る。
【0003】
第1の態様において、本開示は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームを含む環状ポリリボヌクレオチドを提供する。
【0004】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原は、VZV糖タンパク質又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV糖タンパク質は、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、及びgMから選択されるか、又はその免疫原性断片である。
【0005】
一部の実施形態において、VZV糖タンパク質は、VZV gE、又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV糖タンパク質は、野生型VZV gEと比べて10個を超えないアミノ酸置換、欠失、又は挿入を含むVZV gEの突然変異バリアント、又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、アンカードメイン(小胞体保留ドメイン)を欠くトランケート型ポリペプチドである。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、カルボキシ末端尾部ドメインを欠くトランケート型ポリペプチドである。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、VZV gEのアミノ酸1~524、1~546、1~561、1~573、又は1~623を含む。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、Y569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を含む。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、VZV gEのアミノ酸1-573及びY569A突然変異を含む。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、VZV gEのアミノ酸1~623及びY569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を含む。
【0006】
一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、VZV免疫原は、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列の少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は550アミノ酸の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列のアミノ酸の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個を超えない突然変異(例えば、点突然変異、欠失、又は挿入)を含む配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列の変異体である。
【0007】
一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドはシグナル配列をさらに含み、VZV gEポリペプチド及びシグナル配列は一緒になって、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドはシグナル配列をさらに含み、VZV gEポリペプチド及びシグナル配列は一緒になって、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、VZV免疫原は、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列の少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は550アミノ酸の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列のアミノ酸の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個を超えない突然変異(例えば、点突然変異、欠失、又は挿入)を含む配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列の変異体である。
【0008】
一部の実施形態において、任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV gEポリペプチドは、配列番号39~47及び71~83のいずれか1つの核酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。一部の実施形態において、任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV gEポリペプチドは、配列番号39~47及び71~83のいずれか1つの核酸配列によってコードされる。一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原は、VZV前初期タンパク質又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV前初期タンパク質は、IE63ポリペプチドである。一部の実施形態において、VZV IE63ポリペプチドは、配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、VZV IE63ポリペプチドは、配列番号84のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV IE63ポリペプチドは、配列番号85の核酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる。一部の実施形態において、任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV IE63ポリペプチドは、配列番号85の核酸配列によってコードされる。
【0009】
一部の実施形態において、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、配列番号39~47のいずれか1つの少なくとも300、400、500、600、700、800、900、1,000、1100、1200、1300、1400、又は1500ヌクレオチドの連続するひと続きを含む断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、配列番号39~47のいずれか1つの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の連続するひと続きを含む断片である。
【0010】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列は、少なくとも51%(例えば、少なくとも52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%)のGC含量を有する。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のGC含量は、多くても52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%又は59%、又は60%である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のGC含量は、51%~60%、52%~60%、53%~60%、54%~60%、55%~60%、52%~58%、53%~58%である。一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列は、51%~60%のGC含量を有する。
【0011】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列は、20%を超えるウリジン含量を有する。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のウリジン含量は、10%超(例えば、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%超)である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のウリジン含量は、多くても30%(例えば、多くても29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、又は20%)である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のウリジン含量は、20%~28%、21%~26%、10%~24%、15%~24%、20%~24%、21%~24%、22%~24%、23%~24%、10%~23%、15%~23%、20%~23%、21%~23%、又は22%~23%である。一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列は、20%~28%のウリジン含量を有する。
【0012】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原は、多量体化ドメインをコードする配列をさらに含む。一部の実施形態において、多量体化ドメインは、T4フォルドンドメイン、フェリチンドメイン、β-アニュラスペプチド、AaLSペプチド、又はルマジンシンターゼドメインから選択される。一部の実施形態において、多量体化ドメインは、VZVポリペプチド免疫原のN端側にある。一部の実施形態において、多量体化ドメインは、VZVポリペプチド免疫原のC端側にある。
【0013】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームは、IRESに作動可能に連結されている。
【0014】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームは、第2のポリペプチドをコードする。一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原及び第2のポリペプチドは、ポリペプチドリンカー、2A自己切断型ペプチド、プロテアーゼ切断部位、又はプロテアーゼ切断部位とタンデムに並んだ2A自己切断型ペプチドによって分離されている。一部の実施形態において、プロテアーゼ切断部位は、フューリン切断部位である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第2のIRESに作動可能に連結された第2のポリペプチドをコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含む。
【0015】
一部の実施形態において、第2のポリペプチドは、ポリペプチド免疫原である。一部の実施形態において、第2のポリペプチドは、VZVポリペプチド免疫原である。一部の実施形態において、第2のポリペプチドは、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、及びgMから選択されるVZV糖タンパク質、VZV前初期タンパク質、又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、第2のポリペプチドは、VZV gE、又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、第2のポリペプチドは、VZV IE63、又はその免疫原性断片である。
【0016】
一部の実施形態において、第2のポリペプチドは、ポリペプチドアジュバントである。一部の実施形態において、アジュバントは、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、自然免疫刺激因子、シグナル伝達分子、転写活性化因子、サイトカイン受容体、細菌成分、又は自然免疫系の成分である。
【0017】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自然免疫系刺激因子である非コードリボ核酸配列をさらに含む。一部の実施形態において、自然免疫系刺激因子は、GUリッチモチーフ、AUリッチモチーフ、dsRNAを含む構造化された領域、又はアプタマーから選択される。
【0018】
一部の実施形態において、オープンリーディングフレームはコンカテマー体のVZV免疫原をコードする。一部の実施形態において、オープンリーディングフレームは、互いに直接つながった、又はリンカーが散在する2~100個のVZV免疫原を含む。他の実施形態において免疫原は、複数のペプチドエピトープで構成されたコンカテマー体のペプチド免疫原である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2~10個のVZV免疫原をコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100個のVZV免疫原をコードする。一部の実施形態において、VZV免疫原は、ポリペプチドリンカー、2A自己切断型ペプチド、プロテアーゼ切断部位、又はプロテアーゼ切断部位とタンデムに並んだ2A自己切断型ペプチドによって分離されている。一部の実施形態において、プロテアーゼ切断部位は、フューリン切断部位である。
【0019】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される任意の環状ポリリボヌクレオチドと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む免疫原性組成物を提供する。一部の実施形態において、組成物は、第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。一部の実施形態において、第2の環状ポリリボヌクレオチドは、第2のポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームを含む。一部の実施形態において、第2の環状ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドアジュバントをコードするオープンリーディングフレームを含む。一部の実施形態において、第2の環状ポリリボヌクレオチドは、自然免疫系刺激因子である非コードリボ核酸配列を含む。
【0020】
別の態様において、本開示は、対象においてVZVに対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0021】
別の態様において、本開示は、対象のVZV感染症を予防する方法であって、対象に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0022】
別の態様において、本開示は、VZV感染症を有する又は有する疑いがある対象を治療する方法であって、対象に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0023】
一部の実施形態において、対象は、過去にVZV感染症又はVZV感染症に関連する障害との診断を受けたことがある。一部の実施形態において、VZV感染症は無症候性であるか、又はVZV感染症は潜伏性である。一部の実施形態において、対象は、帯状ヘルペスとの診断を受けたことがある。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与すると、帯状ヘルペスに関連する症状の頻度又は重症度が低下する。一部の実施形態において、対象はヒト対象である。
【0024】
一部の実施形態において、本方法は、対象にアジュバントを投与することをさらに含む。一部の実施形態において、本方法は、対象にVZVポリペプチド免疫原を投与することをさらに含む。
【0025】
定義
本開示は、特定の実施形態に関して及び特定の図を参照して説明されるが、本開示は、それらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。これ以降に記載される用語は、一般に、特に示されない限り、それらの一般的な意味で理解されるべきである。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「適応免疫応答」という用語は、体液性又は細胞性免疫応答のいずれかを意味する。本開示の目的のために、「体液性免疫応答」は、抗体分子によって媒介される免疫応答を指し、一方、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球及び/又は他の白血球によって媒介されるものである。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「アジュバント」という用語は、免疫応答を増加させる、例えば、ある免疫原に対する特異的免疫応答を増加させる組成物(例えば、化合物、ポリペプチド、核酸、又は脂質)を指す。免疫応答を増加させることには、抗体応答及び細胞性免疫応答のいずれか一方又は両方の強化又はその特異性の広域化が含まれる。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「担体」という用語は、対象、組織、又は細胞への組成物(例えば、ポリリボヌクレオチド)の輸送又は送達を容易にする化合物、組成物、試薬、又は分子を意味する。担体の非限定的な例には、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン又はグリコーゲン型物質)、ナノ粒子(例えば、環状ポリリボヌクレオチドにカプセル化又は共有結合されるナノ粒子)、リポソーム、フソソーム、生体外で分化した網状赤血球、エキソソーム、タンパク質担体(例えば、ポリリボヌクレオチドに共有結合したタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が含まれる。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「circRNA」、「環状ポリリボヌクレオチド」、「環状RNA」、及び「環状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、遊離末端(即ち、遊離3’及び/又は5’末端)を有していない構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合(例えば、共有的に閉じている)又は非共有結合を介して環状又は末端のない構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。環状ポリリボヌクレオチドは、共有結合性閉環状ポリリボヌクレオチドであり得る。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「環状化効率」という用語は、得られた環状ポリリボヌクレオチドのその非環状出発物質に対する測定値である。
【0031】
「希釈剤」という用語は、本明細書に記載の組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物)を希釈又は溶解できる不活性溶媒を含むビヒクルを意味する。希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝剤、等張剤、又はそれらの混合物であり得る。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。液体希釈剤の非限定的な例には、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、及び1,3-ブタンジオールが含まれる。固体希釈剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、又は粉砂糖が含まれる。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「疾患」、「障害」、及び「症状」という用語はそれぞれ、最適でない健康の状態、例えば、医療専門家によって通常は診断又は処置されている、又は診断又は処置されることになる状態を指す。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「エピトープ」という用語は、抗体又はT細胞受容体によって認識、標的化、又は結合される免疫原の一部又は全体を指す。エピトープは、線状エピトープ、例えば、核酸又はアミノ酸の連続的な配列であり得る。エピトープは、立体構造エピトープ、例えば、タンパク質の折り畳まれた立体構造にエピトープを形成するアミノ酸を含むエピトープであり得る。立体構造エピトープは、一次アミノ酸配列からの不連続なアミノ酸を含み得る。別の例として、立体構造エピトープには、その二次構造又は三次構造に基づいて、免疫原性配列の折り畳まれた立体構造にエピトープを形成する核酸が含まれる。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「発現配列」という用語は、産物、例えばペプチド又はポリペプチド(例えば、免疫原)をコードする核酸配列、又は調節核酸である。ペプチド又はポリペプチドをコードする例示的な発現配列は、複数の三連ヌクレオチドを含み得、そのそれぞれは、アミノ酸をコードすることができ、「コドン」と呼ばれる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、ポリペプチド又は核酸配列、例えば、ポリペプチド免疫原又はポリペプチド免疫原をコードする核酸配列に関連して用語「断片」は、ポリペプチド又は核酸の配列の丸ごと全部より短い連続した一部分を指す。ポリペプチド免疫原又はポリペプチド免疫原をコードする核酸配列の断片は、例えば、本明細書に開示される配列などの配列の丸ごと全部より少ない連続した一割合(例えば、全長の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%)を指す。本開示は全てが、本明細書に開示される全ての免疫原の断片(例えば、免疫原性断片)を企図することが理解される。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「GC含量」は、核酸配列中のグアニン(G)及びシトシン(C)の割合を指す。GC含量の計算式は、(G+C)/(A+G+C+U)×100%(RNAについて)又は(G+C)/(A+G+C+T)×100%(DNAについて)である。同様に、用語「ウリジン含量」は、核酸配列中のウリジン(U)の割合を指す。ウリジン含量の計算式は、U/(A+G+C+U)×100%である。同様に、用語「チミジン含量」は、核酸配列中のチミジン(T)の割合を指す。チミジン含量の計算式は、T/(A+G+C+T)×100%である。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「自然免疫系刺激剤」という用語は、限定はされないが、I型インターフェロン(例えば、IFNα、INFβ、及び/又はIFNγ)、炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL-1、IL-12、IL-18、TNF-α、及び/又はGM-CSF)、レチノイン酸誘導性遺伝子-I(RIG-I、別名DDX58)、メラノーマ分化関連遺伝子5(MDA5、別名IFIH1)、2’-5’オリゴアデニル酸シンターゼ1(OAS1)、OAS様タンパク質(OASL)、及び/又はプロテインキナーゼR(PKR)を含め、一部には、自然免疫に関与する1つ又は複数の遺伝子の発現を誘導することによって自然免疫応答を誘導する物質を指す。自然免疫系刺激剤は、例えば、免疫原をコードするリボヌクレオチドと組み合わせて投与したとき、又はそれと共に製剤化したとき、アジュバントとして作用し得る。自然免疫系刺激剤は、別個の(例えば、ポリリボヌクレオチド中の配列によってコードされない、又はそうした配列として組み込まれていない)分子実体、例えば、STING(例えば、caSTING)、TLR3、TLR4、TLR9、TLR7、TLR8、TLR7、RIG-I/DDX58、及びMDA-5/IFIH1又はその構成的に活性な突然変異体であってもよい。自然免疫系刺激剤は、ポリリボヌクレオチドによってコードされ得る(例えば、それから発現し得る)。ポリリボヌクレオチドには、或いは、又はさらに、自然免疫系刺激剤として作用するリボヌクレオチド配列(例えば、GUリッチモチーフ、AUリッチモチーフ、dsRNAを含む構造領域、又はアプタマー)が含まれ得る。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「不純物」という用語は、組成物、例えば、本明細書に記載の医薬組成物中に存在する望ましくない物質である。いくつかの実施形態では、不純物は、プロセス関連不純物である。いくつかの実施形態では、不純物は、最終組成物中の所望の産物以外、例えば活性薬物成分、例えば、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチド以外の産物関連物質である。本明細書で使用されるとき、「プロセス関連不純物」という用語は、本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチド以外の最終組成物、調製物、又は製品では望ましくない、組成物、調製物、又は製品の製造で使用される、存在する、又は生成される物質である。いくつかの実施形態では、プロセス関連不純物は、ポリリボヌクレオチドの合成又は環状化に使用される酵素である。本明細書で使用されるとき、「産物関連物質」という用語は、組成物、調製物、又は製品、又はそれらの任意の中間体の合成中に生成される物質又は副産物である。いくつかの実施形態では、産物関連物質はデオキシリボヌクレオチド断片である。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、デオキシリボヌクレオチドモノマーである。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、1つ又は複数の本明細書に記載のポリリボヌクレオチドの誘導体又は断片、例えば、10、9つ、8つ、7つ、6つ、5つ、又は4つのリボ核酸、モノリボ核酸、ジリボ核酸、又はトリリボ核酸の断片である。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「免疫原」という用語は、抗体又はT細胞受容体によって認識される、標的化される、又は結合される1つ又は複数のエピトープを含む任意の分子又は分子構造を指す。特に、免疫原は、対象において免疫応答を誘発する(例えば、本明細書で定義される免疫原性である)。免疫原は、対象において免疫応答を誘発することができ、免疫応答は、免疫系が免疫原に遭遇したときに誘発される一連の分子、細胞、及び生物の事象を指す。免疫応答は、体液性及び/又は細胞性免疫応答であり得る。これらには、抗体の産生とB細胞及びT細胞の増殖が含まれ得る。免疫応答が生じたかどうかを判断し、その経過を観察するために、免疫化された対象を、特定の免疫原に対する免疫反応物質の出現について監視することができる。ほとんどの免疫原に対する免疫応答は、特定の抗体及び特定のエフェクターT細胞の両方の産生を誘発する。いくつかの実施形態では、免疫原は、宿主にとって外来性である。いくつかの実施形態では、免疫原は、宿主にとって外来性ではない。免疫原は、ポリペプチド、多糖、ポリヌクレオチド、又は脂質のすべて又は一部を含み得る。免疫原はまた、ポリペプチド、多糖、ポリヌクレオチド、及び/又は脂質の混合物であり得る。例えば、免疫原は、翻訳的に改変されたポリペプチドであり得る。「ポリペプチド免疫原」は、ポリペプチドを含む免疫原を指す。ポリペプチド免疫原は、1つ又は複数の翻訳後修飾を含むこともでき、且つ/又は1つ又は複数の追加の分子と複合体を形成することができ、且つ/又は三次構造又は四次構造を選択することができ、それぞれが、ポリペプチドの免疫原性を決定することができる、又はポリペプチドの免疫原性に影響を与えることができる。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「免疫原性」という用語は、特定の免疫応答アッセイにおいて、物質に対して所定の閾値を超える応答を誘発する潜在能力を指す。アッセイは、例えば、特定の炎症マーカーの発現、抗体の産生、又は本明細書に記載の免疫原性のアッセイであり得る。いくつかの実施形態では、生物の免疫系又は特定の種類の免疫細胞が免疫原に曝露されると、免疫応答が誘発され得る。
【0041】
免疫原性応答は、全抗体アッセイ、確認試験、抗体の力価測定及びアイソタイピング、並びに中和抗体評価を使用して、対象の血漿又は血清中の抗体を評価することによって評価することができる。全抗体アッセイは、免疫原が投与された対象の血清又は血漿における免疫応答の一部として生成されたすべての抗体を測定する。抗体を検出するために最も一般的に使用される試験は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)であり、ELISAは、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEを含む目的の抗体に結合する、試験される血清中の抗体を検出する。免疫原性応答は、確認アッセイによってさらに評価することができる。全抗体評価に続いて、確認アッセイを使用して、全抗体アッセイの結果を確認することができる。競合アッセイを使用して、抗体が標的に特異的に結合していること、及びスクリーニングアッセイでの陽性所見が、試験血清又は検出試薬とアッセイ中の他の物質との非特異的相互作用の結果ではないことを確認することができる。
【0042】
免疫原性応答は、アイソタイピング及び力価測定によって評価することができる。アイソタイピングアッセイを使用して、関連する抗体アイソタイプのみを評価することができる。例えば、予想されるアイソタイプは、IgM及びIgGであり得、IgM及びIgGは、アイソタイピング及び力価測定によって特異的に検出及び定量して、存在する全抗体と比較することができる。
【0043】
免疫原性応答は、中和抗体アッセイ(nAb)によって評価することができる。中和抗体アッセイ(nAb)を使用して、免疫原に応答して産生される抗体が、免疫原を中和し、それによって免疫原が標的に影響を与えることを阻害し、異常な薬物動態挙動を引き起こすかどうかを判断することができる。多くの場合、nAbアッセイは、標的細胞を抗体とともにインキュベートする細胞ベースのアッセイである。限定されるものではないが、細胞増殖、生存率、抗体依存性細胞毒性(ADCC)、補体依存性細胞毒性(CDC)、細胞変性効果阻害(CPE)、アポトーシス、リガンド刺激細胞シグナル伝達(Ligand Stimulated Cell Signaling)、酵素活性、レポーター遺伝子アッセイ、タンパク質分泌、代謝活性、ストレス、及びミトコンドリア機能を含む様々な細胞ベースのnAbアッセイを使用することができる。検出の読み出しには、吸光度、蛍光、発光、化学発光、又はフローサイトメトリーが含まれる。リガンド結合アッセイを使用して、免疫原と抗体の結合親和性をインビトロで測定し、中和効果を評価することもできる。
【0044】
さらに、細胞性免疫応答の誘発は、対象から得られたT細胞上の細胞マーカーを使用して、対象におけるT細胞活性化を測定することによって評価することができる。血液サンプル、リンパ節生検、又は組織サンプルを対象から収集し、サンプルからのT細胞を1つ又は複数(例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上)の活性化マーカー:CD25、CD71、CD26、CD27、CD28、CD30、CD154、CD40L、CD134、CD69、CD62L、又はCD44について評価することができる。T細胞活性化は、インビボ動物モデルで同じ方法を使用して評価することもできる。このアッセイは、免疫原をインビトロでT細胞(例えば、対象、動物モデル、貯蔵所、又は商業的供給源から得たT細胞)に添加し、前述のマーカーを測定してT細胞活性化を評価することによっても行うことができる。同様のアプローチを使用して、他の免疫細胞、例えば、好酸球(マーカー:CD35、CD11b、CD66、CD69、及びCD81)、樹状細胞(マーカー:IL-8、MHCクラスII、CD40、CD80、CD83、及びCD86)、好塩基球(CD63、CD13、CD4、及びCD203c)、及び好中球(CD11b、CD35、CD66b、及びCD63)の活性化に対する効果を評価することができる。これらのマーカーは、フローサイトメトリー、免疫組織化学、in situハイブリダイゼーション、及び細胞マーカーの測定を可能にする他のアッセイを使用して評価することができる。免疫原の投与前後の結果の比較を使用して、その効果を判断することができる。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「免疫応答を誘発する」という用語は、対象による免疫応答を開始すること、増幅すること、又は維持することを指す。免疫応答の誘発は、適応免疫応答又は自然免疫応答を指し得る。免疫応答の誘発は、上記のように測定することができる。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「線状対応物」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)を有し、且つ2つの自由末端(即ち、環状ポリリボヌクレオチドの非環状型(及びその断片))を有するポリリボヌクレオチド分子(及びその断片)である。いくつかの実施形態では、線状対応物(例えば、環状化前の型)は、環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)及び同じ又は類似の核酸修飾を有し、且つ2つの自由末端(即ち、環状ポリリボヌクレオチドの非環状型(及びその断片))を有するポリリボヌクレオチド分子(及びその断片)である。いくつかの実施形態では、線状対応物は、環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)及び異なる核酸修飾を有するか、又は環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列同一性)を有するが核酸修飾を有しておらず、且つ2つの自由末端(即ち、環状ポリリボヌクレオチドの非環状型(及びその断片))を有するポリリボヌクレオチド分子(及びその断片)である。いくつかの実施形態では、線状対応物であるポリリボヌクレオチド分子の断片は、線状対応物ポリリボヌクレオチド分子よりも短い線状対応物ポリリボヌクレオチド分子の任意の部分である。いくつかの実施形態では、線状対応物は、5’キャップをさらに含む。いくつかの実施形態では、線状対応物は、ポリアデノシン尾部をさらに含む。いくつかの実施形態では、線状対応物は、3’UTRをさらに含む。いくつかの実施形態では、線状対応物は、5’UTRをさらに含む。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「線状RNA」、「線状ポリリボヌクレオチド」、及び「線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。5’末端及び3’末端の一方又は両方は、遊離末端であってもよいし、又は別の部分に結合していてもよい。線状RNAは、環状化されていない(例えば、事前に環状化されていない)RNAを含み、例えば、スプリントライゲーション、又は化学的、酵素的、リボザイム又はスプライシング触媒による環状化法による環状化のための出発物質として使用することができる。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合に対して少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを意味する。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「裸の送達」という用語は、担体の助けを借りず、細胞への送達を助ける部分への共有結合修飾も使用しない、細胞への送達のための製剤を意味する。裸の送達製剤には、トランスフェクション試薬、カチオン担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のいずれも含まれない。例えば、環状ポリリボヌクレオチドの裸の送達製剤は、共有結合修飾なしで環状ポリリボヌクレオチドを含み、担体を含まない製剤である。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「ニックRNA」、「ニック線状ポリリボヌクレオチド」、及び「ニック線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、環状RNAの切断又は分解から生じる5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「非環状RNA」という用語は、全ニックRNA及び線状RNAを意味する。
【0052】
「医薬組成物」という用語は、医薬組成物内に含まれる環状ポリリボヌクレオチドを、療法によるヒト又は動物の体の処置に使用できることを開示することも意図している。したがって、医薬組成物は、「療法に使用するための環状ポリリボヌクレオチド」と等価であることを意味する。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ又は複数の核酸サブユニット又はヌクレオチドを含む分子を意味し、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」と互換的に使用することができる。ポリヌクレオチドは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、及びウラシル(U)、又はそれらの変異体から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、ヌクレオシド及び少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸(PO)基を含み得る。ヌクレオチドは、核酸塩基、五炭糖(リボース又はデオキシリボースのいずれか)、及び1つ又は複数のリン酸基を含み得る。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。ポリリボヌクレオチド又はリボ核酸、又はRNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のリボヌクレオチドを含む高分子を指し得る。デオキシリボヌクレオチドは、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。
【0054】
「ポリデオキシリボヌクレオチド」、「デオキシリボ核酸」、及び「DNA」は、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のデオキシリボヌクレオチドを含む高分子を意味する。ヌクレオチドは、ヌクレオシド一リン酸又はヌクレオシドポリリン酸であり得る。ヌクレオチドは、発光タグやマーカーなどの検出可能なタグ(例えば、フルオロフォア)を含む、例えば、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、ウリジン三リン酸(dUTP)、及びデオキシチミジン三リン酸(dTTP)dNTPから選択することができるデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)などのデオキシリボヌクレオシドポリリン酸を意味する。ヌクレオチドは、成長する核酸鎖に組み込むことができる任意のサブユニットを含み得る。このようなサブユニットは、A、C、G、T、又はU、或いは、1つ又は複数の相補的なA、C、G、T、若しくはUに特異的であるか、又はプリン(即ち、A又はG、又はその変異体)若しくはピリミジン(即ち、C、T、又はU、又はその変異体)に相補的な任意の他のサブユニットであり得る。いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又はそれらの誘導体若しくは変異体である。場合によっては、ポリヌクレオチドは、いくつか例を挙げると、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、プラスミドDNA(pDNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、mRNA前駆体(pre-mRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)であり、ヌクレオチド配列、及び一本鎖、二本鎖、三本鎖、らせん、ヘアピンなどのその任意の構造的実施形態の両方を包含する。場合によっては、ポリヌクレオチド分子は環状である。ポリヌクレオチドは、様々な長さを有し得る。核酸分子は、少なくとも約10塩基、20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、100塩基、200塩基、300塩基、400塩基、500塩基、1キロ塩基(kb)、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、50kb、又はそれ以上の長さを有し得る。ポリヌクレオチドは、細胞又は組織から単離することができる。本明細書で具体化されるように、ポリヌクレオチド配列は、単離及び精製されたDNA/RNA分子、合成DNA/RNA分子、及び合成DNA/RNA類似体を含み得る。
【0055】
ポリヌクレオチド、例えば、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドは、非標準ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、及び/又は修飾ヌクレオチドを含む1つ又は複数のヌクレオチド変異体を含み得る。修飾ヌクレオチドの例には、限定されるものではないが、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ウィブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び2,6-ジアミノプリンなどが含まれる。場合によっては、ヌクレオチドは、三リン酸部分への修飾を含む、それらのリン酸部分の修飾を含み得る。そのような修飾の非限定的な例としては、より長いリン酸鎖(例えば、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸部分を有するリン酸鎖)及びチオール部分の修飾(例えば、α-チオ三リン酸及びβ-チオ三リン酸)が挙げられる。核酸分子はまた、塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格で(例えば、典型的には相補的ヌクレオチドとの水素結合を形成するのに利用できる1つ又は複数の原子で、及び/又は典型的には相補的なヌクレオチドとの水素結合を形成できない1つ又は複数の原子で)修飾され得る。核酸分子はまた、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にするために、アミノアリル(amino ally 1)-dUTP(aa-dUTP)及びアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン修飾基を含み得る。本開示のオリゴヌクレオチドにおける標準的なDNA塩基対又はRNA塩基対の代替物は、高い1立方mm当たりのビット密度、より高い安全性(天然毒素の偶発的又は意図的な合成に対する耐性)、光プログラムされたポリメラーゼにおけるより容易な識別、又は下位二次構造を提供し得る。デノボ及び/又は増幅合成のための天然及び突然変異ポリメラーゼと適合するそのような代替塩基対は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Betz K,Malyshev DA,Lavergne T,Welte W,Diederichs K,Dwyer TJ,Ordoukhanian P,Romesberg FE,Marx A.Nat.Chem.Biol.2012 Jul;8(7):612-4に記載されている。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。この用語は、本明細書で使用されるとき、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、それらの断片及び他の同等物、変異体、及び類似体が含まれ得る。ポリペプチドは、単一分子であってもよいし、又は二量体、三量体、若しくは四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、単鎖、又は抗体若しくはインスリンなどの多重鎖ポリペプチドを含み得、会合又は連結され得る。最も一般的なジスルフィド結合は、多重鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用することができる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「予防する」という用語は、疾患、障害、又は症状が発生する可能性を低減すること、或いは、その後に発生する疾患又は障害の重症度又は徴候の頻度を軽減することを意味する。治療剤は、疾患又は症状の発生を予防する、又はその重症度を軽減するために、一般集団のメンバーと比較して疾患又は障害が発生するリスクが高い対象に投与することができる。治療剤は、予防として、例えば、疾患又は障害の徴候又は発現の発生の前に投与することができる。
【0058】
本明細書では同義的に使用されるとおり、用語「ポリA」及び「ポリA配列」は、アデノシン残基からなる、少なくとも5ヌクレオチド長の核酸分子の連続する非翻訳領域を指す。一部の実施形態において、ポリA配列は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、ポリA配列は、オープンリーディングフレーム(例えば、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム)の3’側に(例えば、その下流に)位置し、及びポリA配列は、終結エレメント(例えば、終止コドン)の3’側にあるため、ポリAは翻訳されない。一部の実施形態において、ポリA配列は、終結エレメント及び3’非翻訳領域の3’側に位置する。
【0059】
本明細書で使用されるとき、用語「調節エレメント」は、環状ポリリボヌクレオチド内にある発現配列の発現を修飾する核酸配列などの部分である。
【0060】
本明細書で使用されるとき、用語「複製エレメント」は、複製に有用な、又は環状ポリリボヌクレオチドの転写を惹起する配列及び/又はモチーフである。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「全身送達」又は「全身投与」という用語は、循環系(例えば、血液系又はリンパ系)への医薬組成物又は他の物質の投与経路を意味する。全身投与には、経口投与、非経口投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書で使用されるとき、「非全身送達」又は「非全身投与」という用語は、医薬組成物又は他の物質の全身送達以外の任意の他の投与経路を指すことがあり、例えば、送達される物質は、対象の体の循環系(例えば、血液系及びリンパ系)に入らない。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「配列同一性」という用語は、グローバル又はローカルアラインメントアルゴリズムを使用して2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定される。したがって、配列は、それらが(デフォルトパラメータを使用して、例えばプログラムGAP又はBESTFITによって最適に整列された場合)少なくとも特定の最小パーセンテージの配列同一性を共有する場合、「実質的に同一」又は「本質的に類似」と呼ぶことができる。GAPは、Needleman及びWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列をその全長にわたって整列させ、一致の数を最大化し、ギャップの数を最小化する。一般に、ギャップ作成ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップ拡張ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)のGAPのデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトのスコア行列は、nwsgapdna.cmpスコア行列であり、タンパク質の場合、デフォルトのスコア行列は、Blosum62である(Henikoff&Henikoff,1992,PNAS 89,915-919)。配列アラインメント及び配列同一性パーセンテージのスコアは、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package,Version 10.3又はEmbossWin version 2.10.0(プログラム「針」を使用)などのコンピュータープログラムを使用して決定することができる。別法又はこれに加えて、パーセント同一性は、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを使用してデータベースで検索することによって決定することができる。配列同一性は、配列の全長にわたる配列同一性を指す。
【0063】
「シグナル配列」は、ポリペプチド配列を分泌経路にターゲティングする新生タンパク質のポリペプチド配列のN末端に存在する例えば、10~45のアミノ酸長のポリペプチド配列を指す。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「処置する」又は「処置すること」という用語は、対象の疾患又は障害(例えば、感染症、癌、毒性、又はアレルギー反応)の治療的処置を指す。処置の効果には、疾患又は疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の徴候若しくは発現の逆転、軽減、重症度の軽減、治癒、進行の阻害、再発の可能性の低減、疾患又は障害の状態の安定化(即ち、悪化しないこと)、及び/又は治療的処置がない場合の疾患又は障害の状態及び/又は症状と比較して、疾患又は障害の蔓延の防止が含まれ得る。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「終結要素」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を終結させる核酸配列などの部分である。
【0066】
本明細書において使用される際、「総リボヌクレオチド分子」という用語は、リボヌクレオチド分子の総量によって測定される際、線状ポリリボヌクレオチド分子、環状ポリリボヌクレオチド分子、モノマーリボヌクレオチド、他のポリリボヌクレオチド分子、そのフラグメント、及びその修飾形態を含むいずれかのリボヌクレオチド分子の総量を意味する。
【0067】
本明細書において使用される際、「翻訳効率」という用語は、リボヌクレオチド転写産物からのタンパク質又はペプチド産生の速度又は量である。ある実施形態では、翻訳効率は、例えば、所与の翻訳系、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物のようなインビトロ翻訳系において、又は真核細胞若しくは原核細胞のようなインビボ翻訳系において、例えば所与の期間で、タンパク質又はペプチドをコードする所与の量の1転写産物当たりで生成されるタンパク質又はペプチドの量として表され得る。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「翻訳開始配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を開始させる核酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】各発現配列がIRESに作動可能につながった2つの発現配列を含む、且つ少なくとも一方の発現配列が、VZV免疫原であるような例示的環状RNAの概略図である。
図2】切断ドメイン(例えば、2A、フューリン部位、又はフューリン-2A)によって分離された2つの発現配列を含む、少なくとも一方の発現配列が、VZV免疫原であり、且つ全てがIRESに作動可能に連結されているような例示的環状RNAの概略図である。
図3】VZV免疫原をコードするORFと、ポリヌクレオチドアジュバント配列(例えば、自然免疫系を刺激する非コードヌクレオチド配列)とを含む環状RNAの概略図を示す。
図4】第1の環状RNAが、VZV免疫原をコードするORFを含み、及び第2の環状RNAが、第2の免疫原又はポリペプチドアジュバントのいずれかをコードするORFを含む、複数の環状RNAの概略図を示す。
図5】免疫原(例えば、VZV免疫原)と1つ以上の多量体化ドメインとをコードする例示的なポリリボヌクレオチド構築物の概略図及び例示的な対応する免疫原複合体である。
図6】VZV gEをコードする環状RNAをトランスフェクトしてから18時間後のHEK293T細胞からの分泌型gEの発現を示す。
図7】各々が異なるVZV膜貫通型gEヌクレオチド配列を有する4つの異なる環状RNAのうちの1つをトランスフェクトしたHEK293T細胞の細胞表面上に検出されるgE発現を示す。
図8】各々が異なるIRESエレメントを有するVZV膜貫通型gEをコードする異なる環状RNAをトランスフェクトしたHEK293T細胞の細胞表面上に検出されるgE発現を示す。
図9】分泌型VZV gEをコードする環状RNAの初回用量(プライミング用量)又はPBSの投与後6時間、2日、又は5日でマウスの血中に測定されるgEの濃度を示す。
図10】分泌型VZV gE、膜貫通型VZV gEをコードする環状RNAの初回用量(プライミング用量)、又はPBSの投与後14、35、及び42日でマウスから収集した血液試料中で測定される抗gE血清抗体レベルを示す。
図11】分泌型VZV gE、膜貫通型VZV gEをコードする環状RNAの初回用量(プライミング用量)、又はPBSを投与してから42日後の分泌型及び膜貫通型gEのVZV gEプールで刺激した脾細胞においてgE特異的T細胞が入手されたことを示す。
図12A】分泌型VZV gE、膜貫通型VZV gEをコードする環状RNAの初回用量(プライミング用量)、又はPBSを投与してから42日後のCD8及びIFN-γ陽性(図12A)又はCD4及びIFN-γ陽性(図12B)であった細胞の割合を示す。
図12B】分泌型VZV gE、膜貫通型VZV gEをコードする環状RNAの初回用量(プライミング用量)、又はPBSを投与してから42日後のCD8及びIFN-γ陽性(図12A)又はCD4及びIFN-γ陽性(図12B)であった細胞の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示は、1つ以上のVZV免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドに関する組成物、医薬調製物、及び方法を提供する。本開示はまた、1つ以上のVZV免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドの使用方法も提供する。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、投与時に対象において免疫応答を誘導し得る。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの組成物及び医薬調製物は、対象の疾患、障害、又は病態(例えば、水疱瘡又は帯状ヘルペス)の治療又は予防に使用し得る。
【0071】
VZV免疫原
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、VZV免疫原をコードする少なくとも1つの発現配列を含む。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは複数の発現配列を含んでもよく、ここでは少なくとも1つの発現配列がVZV免疫原をコードする。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは2つ以上の(2、3、4、5、6つ又はそれ以上の)発現配列を含んでもよく、ここでは各発現配列がVZV免疫原をコードする。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、VZV免疫原をコードする第1の発現配列と、アジュバントをコードする第2の発現配列とを含み得る。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、VZV免疫原をコードする発現配列と、自然免疫系を刺激する非コード配列とを含み得る。
【0072】
一部の実施形態において、免疫原は、VZV糖タンパク質である。例えば、VZV糖タンパク質は、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、又はgM又はその免疫原性断片若しくはエピトープであり得る。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gEポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV glポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gBポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gHポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gKポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gLポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gCポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gNポリペプチドである。一部の実施形態において、免疫原は、VZV gMポリペプチドである。
【0073】
一部の実施形態において、VZV糖タンパク質は、gEポリペプチド又は変異体gEポリペプチドである。一部の実施形態において、変異体VZV gEポリペプチドは、アンカードメイン(小胞体保留ドメイン)を欠くトランケート型ポリペプチドである。一部の実施形態において、変異体VZV gEポリペプチドは、カルボキシ末端尾部ドメインを欠くトランケート型ポリペプチドである。一部の実施形態において、変異体VZV gEポリペプチドは、小胞体保留に関連する1つ以上のモチーフに少なくとも1つの突然変異を有し、ここで1つ以上のモチーフにおけるその1つ又は複数の突然変異により、ER及び/又はゴルジにおけるVZV gEポリペプチドの保留が減少することになる。一部の実施形態において、変異体VZV gEポリペプチドは、ゴルジ又はトランスゴルジ網(TGN)へのgEのターゲティングに関連する1つ以上のモチーフに少なくとも1つの突然変異を有し、ここで1つ以上のモチーフにおけるその1つ又は複数の突然変異により、ゴルジ又はTGNへのVZV gEポリペプチドのターゲティング又は局在化が減少することになる。一部の実施形態において、変異体VZV gEポリペプチドは、VZV gEのインターナリゼーション又はgEのエンドサイトーシスに関連する1つ以上のモチーフに少なくとも1つの突然変異を有し、ここで1つ以上のモチーフにおけるその1つ又は複数の突然変異により、VZV gEポリペプチドのエンドサイトーシスが減少することになる。
【0074】
一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、1つ以上のリン酸化酸性モチーフに少なくとも1つの突然変異を有する。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドはY582G突然変異を有する。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドはY569A突然変異を有する。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドはY582G突然変異及びY569A突然変異を有する。
【0075】
一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、VZV gEのアミノ酸1~524、1~546、1~561、1~573、又は1~623を含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、アミノ酸1~524を含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、アミノ酸1~546を含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、アミノ酸1~561を含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、任意選択でY569A突然変異を有するアミノ酸1~573を含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV gEポリペプチドは、任意選択でY569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を有するアミノ酸1~623を含む免疫原性断片である。
【0076】
一部の実施形態において、VZV免疫原は、表1の配列から選択されるgEポリペプチド又はその変異体である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、表1にある配列の少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は550アミノ酸の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、表1にある配列のアミノ酸の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、表1の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態において、VZV免疫原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個を超えない突然変異(例えば、点突然変異、欠失、又は挿入)を含む表1にある配列の変異体である。
【0077】
【表1-1】
【0078】
【表1-2】
【0079】
【表1-3】
【0080】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、シグナル配列を含むVZV免疫原、例えば、表2から選択されるシグナル配列を含むVZV免疫原をコードする。一部の実施形態において、VZV免疫原は、表2にある配列の少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、又は550アミノ酸の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、表2にある配列のアミノ酸の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の連続するひと続きを含む免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原は、表2の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態において、VZV免疫原は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個を超えない突然変異(例えば、点突然変異、欠失、又は挿入)を含む表2にある配列の変異体である。
【0081】
【表2-1】
【0082】
【表2-2】
【0083】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、任意選択でシグナル配列を含む、VZV免疫原をコードする発現配列を含む。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列、及び任意選択でシグナル配列は、表3の配列である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、表3にある配列の少なくとも300、400、500、600、700、800、900、1,000、1100、1200、1300、1400、又は1500ヌクレオチドの連続するひと続きを含む断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、表3にある配列の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の連続するひと続きを含む断片である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、表3の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0084】
【表3-1】
【0085】
【表3-2】
【0086】
【表3-3】
【0087】
【表3-4】
【0088】
【表3-5】
【0089】
【表3-6】
【0090】
【表3-7】
【0091】
【表3-8】
【0092】
【表3-9】
【0093】
【表3-10】
【0094】
【表3-11】
【0095】
【表3-12】
【0096】
【表3-13】
【0097】
【表3-14】
【0098】
【表3-15】
【0099】
【表3-16】
【0100】
【表3-17】
【0101】
一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原は、分泌タンパク質である。一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原は、非構造タンパク質である。一部の実施形態において、VZVポリペプチド免疫原は、VZV前初期タンパク質又はその免疫原性断片である。一部の実施形態において、VZV前初期タンパク質は、IE63ポリペプチドである。VZV IE63ポリペプチドは、
【化1】
のアミノ酸配列を有し得る。
【0102】
一部の実施形態において、VZV IE63ポリペプチドは、配列番号84のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有し得る。VZV IE63ポリペプチドは、シグナル配列を含み得る。一部の実施形態において、VZV IE63ポリペプチドは、核酸配列:
【化2】
によってコードされてもよい。
【0103】
一部の実施形態において、VZV IE63ポリペプチドは、配列番号85のいずれか1つの核酸配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有する核酸配列によってコードされてもよい。一部の実施形態において、任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV IE63ポリペプチドは、配列番号85のいずれか1つの核酸配列によってコードされる。
【0104】
一部の実施形態において、VZV免疫原は、国際公開第2000/043527号パンフレット(全体として本明細書に援用される)に提供されるVZV免疫原から選択される。一部の実施形態において、VZV免疫原は、国際公開第2006094756号パンフレット(全体として本明細書に援用される)に提供されるVZV免疫原から選択される。一部の実施形態において、VZV免疫原は、国際公開第2017070601号パンフレット(全体として本明細書に援用される)に記載されるVZV免疫原から選択される。
【0105】
一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のGC含量は、少なくとも51%(例えば、少なくとも52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%)である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のGC含量は、多くても52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%又は59%、又は60%である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のGC含量は、51%~60%、52%~60%、53%~60%、54%~60%、55%~60%、52%~58%、53%~58%である。
【0106】
一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のウリジン含量(RNAについて)又はチミジン含量(DNAについて)は、10%超(例えば、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%超)である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のウリジン含量(RNAについて)又はチミジン含量(DNAについて)は、多くても30%(例えば、多くても29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、又は20%)である。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする核酸配列のウリジン含量(RNAについて)又はチミジン含量(DNAについて)は、20%~28%、21%~26%、10%~24%、15%~24%、20%~24%、21%~24%、22%~24%、23%~24%、10%~23%、15%~23%、20%~23%、21%~23%、又は22%~23%である。
【0107】
VZV免疫原をコードする発現配列のGC含量とは、VZV免疫原以外のペプチドをコードする他のコード領域を含まない、もっぱらVZV免疫原をコードする発現配列のGC含量を指す。同様に、VZV免疫原をコードする発現配列のウリジン含量又はチミジンとは、VZV免疫原以外のペプチドをコードする他のコード領域を含まない、もっぱらVZV免疫原をコードする発現配列のウリジン含量を指す。一部の実施形態において、VZV免疫原をコードする発現配列のGC含量又はウリジン(又はチミジン)含量の計算には、5’から3’への方向に、VZV免疫原をコードするオープンリーディングフレームの開始コドンの最初のヌクレオシドから始まり、同じオープンリーディングフレームの終止コドンの最後のヌクレオシドに至るまでの連続する核酸配列のみが考慮される。他の実施形態において、VZV免疫原をコードする発現配列のGC含量又はウリジン(又はチミジン)含量の計算には、5’から3’への方向に、VZV免疫原のN端側末端アミノ酸残基をコードするコドンの最初のヌクレオシドから始まり、VZV免疫原のC端側末端アミノ酸残基をコードするコドンの最後のヌクレオシドに至るまでの連続する核酸配列のみが考慮される。
【0108】
本開示の環状ポリリボヌクレオチドは1つ又は複数の免疫原をコードしてもよく、ここで少なくとも1つの免疫原は、VZV免疫原である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第1のVZV免疫原及び第2のVZV免疫原(例えば、各々、本明細書に記載されるVZV免疫原から選択されるVZV免疫原)をコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第1のVZV免疫原及び第2の免疫原(例えば、別のウイルスから選択される第2の免疫原)をコードする。
【0109】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1~100、1~50、1~20、1~10、1~5、2~100、2~50、2~20、2~10、2~5個の免疫原を含むか、又はそれをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の免疫原をコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2個以上の免疫原を含むか、又はそれをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、3個以上の免疫原を含むか、又はそれをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、4個以上の免疫原を含むか、又はそれをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5個以上の免疫原を含むか、又はそれをコードする。
【0110】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは2個以上のVZV免疫原をコードし、ここで各免疫原は、VZV糖タンパク質又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgl、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgB、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgB、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgB、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgH、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgH、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgH、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgK、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgK、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgK、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgL、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgL、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgL、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgC、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgC、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgC、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgN、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgN、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgN、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE及びgM、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gl及びgM、又はその断片である。一部の実施形態において、2個以上のVZV糖タンパク質は、gE、gl、及びgM、又はその断片である。
【0111】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは2個以上のVZV免疫原をコードし、ここで各VZV免疫原は、VZV gE又はその変異体若しくは断片(例えば、本明細書に開示される変異体VZV gEのいずれか又はその変異体若しくは断片)である。
【0112】
一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは複数の免疫原をコードしてもよく、ここで各免疫原は、ヘルペスウイルス(CMV、EBV、又はVZV)に由来する。ポリリボヌクレオチドは、以下のヘルペスウイルス:CMV、EBV、又はVZVの各々からの免疫原をコードし得る。ポリリボヌクレオチドは複数の免疫原をコードしてもよく、ここで各免疫原は、帯状ヘルペス(Singles)ウイルス又はウエストナイルウイルスに由来する。ポリリボヌクレオチドは、帯状ヘルペスウイルス及びウエストナイルウイルスの各々からの免疫原をコードし得る。
【0113】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは複数の免疫原をコードし、これらの複数の免疫原は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を共有する。一部の実施形態において、複数の免疫原はまた、100%未満の配列同一性を有する。これは、免疫原が互いに遺伝的浮動によって関係付けられることを指し示すものであってよく、そのため、単一の環状ポリリボヌクレオチド組成物又は免疫原性組成物が、集団において様々な突然変異状態で存在する標的に対して免疫応答を誘導可能であり得るか、又は同じ免疫原であって、遺伝的浮動によって関係付けられる免疫原を有する複数の標的に対して免疫応答を誘導し得る。例えば、免疫原は、互いに標的ウイルス(例えば、VZV)の遺伝的浮動によって関係付けられるものであり得る。
【0114】
VZV免疫原は、例えば、ウイルス表面タンパク質、ウイルス膜タンパク質、ウイルスエンベロープタンパク質、ウイルスカプシドタンパク質、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質、ウイルススパイクタンパク質、ウイルス侵入タンパク質、ウイルス膜融合タンパク質、ウイルス構造タンパク質、ウイルス非構造タンパク質、ウイルス調節タンパク質、ウイルスアクセサリータンパク質、分泌ウイルスタンパク質、ウイルスポリメラーゼタンパク質、ウイルスDNAポリメラーゼ、ウイルスRNAポリメラーゼ、ウイルスプロテアーゼ、ウイルス糖タンパク質、ウイルスフソゲン、ウイルスらせんカプシドタンパク質、ウイルス正二十面体カプシドタンパク質、ウイルスマトリックスタンパク質、ウイルスレプリカーゼ、ウイルス転写因子、又はウイルス酵素などのウイルスに由来する。
【0115】
本開示のVZV免疫原は、野生型配列を含み得る。免疫原を表す場合、「野生型」という用語は、天然であり、ゲノム(例えば、ウイルスゲノム)によってコードされる配列(例えば、核酸配列又はアミノ酸配列)を指す。ある種(例えば、微生物種)は、1つの野生型配列、又は2つ以上の野生型配列(例えば、参照微生物ゲノム中に存在する1つの標準野生型配列、及び突然変異から生じた存在するさらなる変異体野生型配列を有する)を有し得る。
【0116】
VZV免疫原を表す場合、「誘導体」、「から誘導される」、又は「バリアント」という用語は、1つ以上の核酸又はアミノ酸が野生型配列と異なる、例えば、野生型配列と比べて1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含有する配列(例えば、核酸配列又はアミノ酸配列)を指す。
【0117】
VZV免疫原誘導体配列は、野生型配列、例えば、野生型核酸、タンパク質、免疫原、又はエピトープ配列に対して、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有する配列である。
【0118】
ある実施形態では、VZV免疫原は、コードされるタンパク質の構造に影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。ある実施形態では、免疫原は、コードされるタンパク質の機能に影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。ある実施形態では、免疫原は、細胞によってコードされるタンパク質の発現又はプロセシングに影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、免疫原は、コードされた免疫原性核酸の構造に影響を与える1つ又は複数の核酸の挿入、欠失、置換、又はそれらの組み合わせを含む。
【0120】
アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を導入し得る(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、若しくは脂質化部位、又は切断のために標的化される配列を導入する)。ある実施形態では、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を除去する(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、又は脂質化部位、又は切断のために標的化される配列を除去する)。ある実施形態では、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を修飾する(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、若しくは脂質化部位、又は切断の効率又は特性を改変するように部位を修飾する)。
【0121】
アミノ酸置換は、保存的又は非保存的置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、類似の生化学的特性(例えば、電荷、サイズ、及び/又は疎水性)の別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換であり得る。非保存的アミノ酸置換は、異なる生化学的特性(例えば、電荷、サイズ、及び/又は疎水性)を有する別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換であり得る。保存的アミノ酸変化は、例えば、ポリペプチドの二次又は三次構造に対して最小の影響を与える置換であり得る。保存的アミノ酸変化は、1つの親水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。親水性アミノ酸は、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)及びArg(R)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの疎水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。疎水性アミノ酸は、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)、Leu(L)、Trp(W)、Met(M)、Ala(A)、Gly(G)、Tyr(Y)、及びPro(P)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの酸性アミノ酸から別の酸性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。酸性アミノ酸は、Glu(E)及びAsp(D)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの塩基性アミノ酸から別の塩基性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。塩基性アミノ酸は、His(H)、Arg(R)及びLys(K)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの極性アミノ酸から別の極性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。極性アミノ酸は、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)及びThr(T)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの非極性アミノ酸から別の非極性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。非極性アミノ酸は、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)及びAla(A)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの芳香族アミノ酸から別の芳香族アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。芳香族アミノ酸は、Phe(F)、Tyr(Y)及びTrp(W)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの脂肪族アミノ酸から別の脂肪族アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。脂肪族アミノ酸は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)を含み得る。ある実施形態では、保存的アミノ酸置換は、以下のグループ:グループI:ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr;グループII:cys、ser、tyr、thr;グループIII:val、ile、leu、met、ala、phe;グループIV:lys、arg、his;グループV:phe、tyr、trp、his;及びグループVI:asp、gluのうちの1つの中の、1つのアミノ酸から別のアミノ酸へのアミノ酸変化である。
【0122】
ある実施形態では、本開示の免疫原バリアントは、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、又は50以下のアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、又は20~25個のアミノ酸置換を含む。
【0123】
一部の実施形態において、本開示の免疫原変異体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて多くても1、多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9、多くても10、多くても11、多くても12、多くても13、多くても14、多くても15、多くても16、多くても17、多くても18、多くても19、多くても20、多くても25、多くても30、多くても35、多くても40、多くても45、又は多くても50個のアミノ酸欠失を含む。一部の実施形態において、本開示の免疫原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40,10~15、15~20、又は20~25個のアミノ酸欠失を含む。
【0124】
1つ以上のアミノ酸置換又は欠失は、N末端、C末端、アミノ酸配列内、又はこれらの組み合わせにあってもよい。アミノ酸欠失は、連続していても、非連続であっても、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0125】
一部の実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、本明細書に開示される免疫原を2つ以上含む融合タンパク質を含む。一部の実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、エピトープを含む。一部の実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、本明細書に開示されるエピトープを2つ以上含む融合タンパク質を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、VZV免疫原は、約40,000未満のアミノ酸長、約35,000未満のアミノ酸長、約30,000未満のアミノ酸長、約25,000未満のアミノ酸長、約20,000未満のアミノ酸長、約15,000未満のアミノ酸長、約10,000未満のアミノ酸長、約9,000未満のアミノ酸長、約8,000未満のアミノ酸長、約7,000未満のアミノ酸長、約6,000未満のアミノ酸長、約5,000未満のアミノ酸長、約4,000未満のアミノ酸長、約3,000未満のアミノ酸長、約2,500未満のアミノ酸長、約2,000未満のアミノ酸長、約1,500未満のアミノ酸長、約1,000未満のアミノ酸長、約900未満のアミノ酸長、約800未満のアミノ酸長、約700未満のアミノ酸長、約600未満のアミノ酸長、約500未満のアミノ酸長、約400未満のアミノ酸長、約300未満のアミノ酸長、約250未満のアミノ酸長、約200未満のアミノ酸長、約150未満のアミノ酸長、約140未満のアミノ酸長、約130未満のアミノ酸長、約120未満のアミノ酸長、約110未満のアミノ酸長、約100未満のアミノ酸長、約90未満のアミノ酸長、約80未満のアミノ酸長、約70未満のアミノ酸長、約60未満のアミノ酸長、約50未満のアミノ酸長、約40未満のアミノ酸長、約30未満のアミノ酸長、約25未満のアミノ酸長、約20未満のアミノ酸長、約15未満のアミノ酸長、約10未満のアミノ酸長、約5未満のアミノ酸長を有し、それらの間の任意のアミノ酸長又はそれ以下が有用であり得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数のVZV免疫原配列を含み、インビボで対象の細胞において持続的に発現するように構成されている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、後の時点における細胞内での1つ又は複数の発現配列の発現が前の時点と同等又はそれよりも高くなるように構成される。そのような実施形態では、1つ又は複数の免疫原配列の発現を、比較的安定したレベルで維持するか、又は経時的に増加させることができる。免疫原配列の発現は、長期間にわたって比較的安定させることができる。免疫原配列の発現は、一過性に、又は限られた時間だけ、例えば、多くとも1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、又は10日間、比較的安定させることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば一過性又は長期的に、対象において1つ又は複数の免疫原を発現する。特定の実施形態では、免疫原の発現は、少なくとも約1時間から約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、又はそれよりも長く、それらの間の任意の時間持続する。特定の実施形態では、免疫原の発現は、約30分以内から約7日間以内、又は約1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、19時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、60時間以内、72時間以内、4日間以内、5日間以内、6日間以内、7日間以内、8日間以内、9日間以内、10日間以内、11日間以内、12日間以内、13日間以内、14日間以内、15日間以内、16日間以内、17日間以内、18日間以内、19日間以内、20日間以内、21日間以内、22日間以内、23日間以内、24日間以内、25日間以内、26日間以内、27日間以内、28日間以内、29日間以内、30日間以内、60日間以内、又はそれらの間の任意の時間持続する。
【0129】
免疫原の発現は、少なくとも、本明細書に提供される環状ポリリボヌクレオチドの領域を翻訳することを含む。例えば、環状ポリリボヌクレオチドを、本開示の1つ又は複数の免疫原を含むポリペプチドを生成するように対象において翻訳し、それにより対象における適応免疫応答(例えば、抗体応答及び/又はT細胞応答)の産生を刺激することができる。いくつかの実施形態では、本開示の環状ポリリボヌクレオチドを、ヒト又は動物対象における1つ又は複数の免疫原を生成するように翻訳し、それによりヒト又は動物対象における適応免疫応答(例えば、抗体応答及び/又はT細胞応答)の産生を刺激する。
【0130】
いくつかの実施形態では、免疫原発現のための方法は、翻訳産物の修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態では、免疫原発現のための方法は、インビボでの、例えば、細胞機構を介する、翻訳後修飾を含む。
【0131】
環状ポリリボヌクレオチド
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載されるエレメントのいずれか1つ以上と、VZV免疫原をコードする発現配列とを含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、国際公開第2019/118919号パンフレット(本明細書によって全体として参照により援用される)に開示されるとおりの任意の特徴又は特徴の任意の組み合わせを含む。
【0132】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド、又は少なくとも約20,000ヌクレオチドである。
【0133】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、500ヌクレオチド~20,000ヌクレオチド、1,000~20,000ヌクレオチド、2,000~20,000ヌクレオチド、又は5,000~20,000ヌクレオチドである。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、500ヌクレオチド~10,000ヌクレオチド、1,000~10,000ヌクレオチド、2,000~10,000ヌクレオチド、又は5,000~10,000ヌクレオチドである。
【0134】
配列内リボソーム進入部位
一部の実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントを含む。一部の実施形態において、IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結されている(例えば、各IRESが1つ以上の発現配列に作動可能に連結されており、ここでは各発現配列が、任意選択で、VZV免疫原などの免疫原をコードする)。実施形態において、IRESは、異種プロモーターとコード配列(例えば、VZV免疫原をコードするコード配列)の5’末端との間に位置する。
【0135】
ポリリボヌクレオチドに含めるのに好適なIRESエレメントとしては、真核生物リボソームとの会合能を有するRNA配列が挙げられる。一部の実施形態において、IRESエレメントは、少なくとも約5nt、少なくとも約8nt、少なくとも約9nt、少なくとも約10nt、少なくとも約15nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約250nt、少なくとも約350nt、又は少なくとも約500ntである。
【0136】
一部の実施形態において、IRESエレメントは、限定はされないが、ウイルス、哺乳類、及びショウジョウバエ属(Drosophila)を含めた生物のDNAに由来する。かかるウイルスDNAは、限定はされないが、脳心筋炎ウイルス(EMCV)cDNA及びポリオウイルスcDNAを含むピコルナウイルス(picomavirus)相補DNA(cDNA)に由来し得る。一実施形態において、IRESエレメントの由来となるショウジョウバエ属(Drosophila)DNAとしては、限定はされないが、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のアンテナペディア遺伝子が挙げられる。
【0137】
一部の実施形態において、IRES配列は、タウラ症候群ウイルス、サシガメウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルス、シミアンウイルス40、ヒアリ(Solenopsis invicta)ウイルス1、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)ウイルス、細網内皮症ウイルス、ヒト(fuman)ポリオウイルス1、チャバネアオカメムシ(Plautia stall)腸内ウイルス、カシミール蜂ウイルス、ヒトライノウイルス2(HRV-2)、ホマロディスカ・コアギュラテ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒト免疫不全ウイルス1型、ホマロディスカ・コアギュラテ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒメトビPウイルス、C型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、GB型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、ヒトエンテロウイルス71、ウマ鼻炎ウイルス、ウスジロエダシャク(Ectropis obliqua)ピコルナ様ウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ショウジョウバエCウイルス、アブラナ科植物トバモウイルス、コオロギ麻痺ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス1型、ブラッククイーンセルウイルス、アブラムシ致死性麻痺ウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス(AEV)、急性蜂麻痺ウイルス、ハイビスカス退緑斑ウイルス、ブタコレラウイルス、ヒトFGF2、ヒトSFTPA1、ヒトAML1/RUNX1、ショウジョウバエアンテナペディア、ヒトAQP4、ヒトAT1R、ヒトBAG-l、ヒトBCL2、ヒトBiP、ヒトc-IAPl、ヒトc-myc、ヒトeIF4G、マウスNDST4L、ヒトLEF1、マウスHIF1α、ヒトn.myc、マウスGtx、ヒトp27kipl、ヒトPDGF2/c-sis、ヒトp53、ヒトPim-l、マウスRbm3、ショウジョウバエreaper、イヌScamper、ショウジョウバエUbx、ヒトUNR、マウスUtrA、ヒトVEGF-A、ヒトXIAP、サリウイルス、コサウイルス、パレコウイルス、ショウジョウバエhairless、S.セレビシエ(S.cerevisiae)TFIID、S.セレビシエ(S.cerevisiae)YAP1、ヒトc-src、ヒトFGF-l、サルピコルナウイルス(picomavirus)、カブクリンクルウイルス、アイチウイルス、クロヒウイルス、エコーウイルス11、eIF4Gに対するアプタマー、コクサッキーウイルスB3(CVB3)又はコクサッキーウイルスA(CVB1/2)のIRES配列である。さらに別の実施形態において、IRESは、コクサッキーウイルスB3(CVB3)のIRES配列である。更なる実施形態において、IRESは、脳心筋炎ウイルスのIRES配列である。更なる実施形態において、IRESは、タイラー脳脊髄炎ウイルスのIRES配列である。
【0138】
IRES配列は、野生型IRES配列と比較して修飾された配列を有し得る。一部の実施形態において、野生型IRESの最後のヌクレオチドがシトシン核酸残基でないとき、野生型IRES配列のその最後のヌクレオチドは、それがシトシン残基であるように修飾されてもよい。例えば、IRES配列は、末端アデノシン残基がシトシン残基となるように修飾されているCVB3 IRES配列であってもよい。一部の実施形態において、修飾されたCVB3 IRESは、
【化3】
の核酸配列を有し得る。
【0139】
一部の実施形態において、IRES配列は、エンテロウイルス71(EV17)IRESである。一部の実施形態において、EV17 IRES配列の末端グアノシン残基は、シトシン残基となるように修飾されている。一部の実施形態において、修飾されたEV71 IRESは、
【化4】
の核酸配列を有し得る。
【0140】
一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの(例えば、2、3、4、5つ又はそれ以上の)発現配列に隣接する少なくとも1つのIRESを含む。一部の実施形態において、IRESは、少なくとも1つの(例えば、2、3、4、5つ又はそれ以上の)発現配列の両側に隣接する。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に1つ以上のIRES配列を含み、結果として得られる0001ペプチド及び/又はポリペプチドの分離につながる。例えば、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、第1の発現配列(例えば、第1のVZV免疫原など、第1の免疫原をコードする)に作動可能に連結された第1のIRESと、第2の発現配列(例えば、第2のVZV免疫原など、第2の免疫原をコードする)に作動可能に連結された第2のIRESとを含み得る。
【0141】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、IRES(例えば、コード領域に作動可能に連結されたIRES)を含む。例えば、ポリリボヌクレオチドは、Chen et al.MOL.CELL 81(20):4300-4318,2021;Jopling et al.ONCOGENE 20:2664-2670,2001;Baranick et al.PNAS 105(12):4733-4738,2008;Lang et al.MOLECULAR BIOLOGY OF THE CELL 13(5):1792-1801,2002;Dorokhov et al.PNAS 99(8):5301-5306,2002;Wang et al.NUCLEIC ACIDS RESEARCH 33(7):2248-2258,2005;及びPetz et al.NUCLEIC ACIDS RESEARCH 35(8):2473-2482,2007;及びChen et al.SCIENCE 268:415-417,1995;Fan et al.NATURE COMMUNICATION 13(1):3751-3765,2022、及び国際公開第2021/263124号パンフレット(これらの各々は、全体として本明細書によって参照により援用される)に記載されるとおりの任意のIRESを含み得る。
【0142】
シグナル配列
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される環状ポリリボヌクレオチドから発現され得る例示的な免疫原として、分泌タンパク質、例えば、天然にシグナル配列を含むタンパク質(例えば、免疫原)、又は通常はシグナル配列をコードしないが、1つを含むように修飾されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、分泌シグナルを含む。例えば、分泌シグナルは、分泌タンパク質における天然にコードされた分泌シグナルであってもよい。別の例では、分泌シグナルは、分泌タンパク質における修飾された分泌シグナルであってもよい。他の実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、分泌シグナルを含まない。
【0143】
一部の実施形態において、シグナル配列は、SecSP38(MWWRLWWLLLLLLLLWPMVWA;配列番号1);SecD4(MWWLLLLLLLLWPMVWA;配列番号2)、gLuc(MGVKVLFALICIAVAEAK;配列番号3);INHC1(MASRLTLLTLLLLLLAGDRASS;配列番号4);Epo(MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLG;配列番号5);及びIL-2(MYRMQLLSCIALSLALVTNS;配列番号6)から選択される。
【0144】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、同じ免疫原の複数のコピー(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上)をコードする。いくつかの実施形態では、免疫原の少なくとも1つのコピーは、シグナル配列を含み、免疫原の少なくとも1つのコピーは、シグナル配列を含まない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、複数の免疫原(例えば、複数の異なる免疫原又は100%未満の配列同一性を有する複数の免疫原)をコードし、ここで複数の免疫原の少なくとも1つは、シグナル配列を含み、複数の免疫原の少なくとも1つのコピーは、シグナル配列を含まない。
【0145】
いくつかの実施形態では、シグナル配列は、例えば、内因性に発現されるとき、野生型シグナル配列であり、対応する野生型免疫原のN末端上に存在するものである。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、免疫原に対して異種であり、例えば、野生型免疫原が内因性に発現されるとき、存在しない。免疫原をコードするポリリボヌクレオチド配列は、野生型シグナル配列をコードするヌクレオチド配列を除去し、且つ/又は異種シグナル配列をコードする配列を付加するように修飾されてもよい。
【0146】
環状ポリリボヌクレオチドは、各々シグナル配列を有する又は有しない1つ又は複数のアジュバントをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのアジュバント及び少なくとも1つの免疫原をコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコードされるアジュバントはシグナル配列を含み、少なくとも1つのコードされる免疫原はシグナル配列を含まない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコードされるアジュバントはシグナル配列を含み、少なくとも1つのコードされる免疫原はシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコードされるアジュバントはシグナル配列を含まず、少なくとも1つのコードされる免疫原はシグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、コードされるアジュバントも、コードされる免疫原も、シグナル配列を含まない。
【0147】
いくつかの実施形態では、シグナル配列は、例えば内因的に発現したときの対応する野生型アジュバントのN末端に存在する野生型シグナル配列である。いくつかの実施形態では、シグナル配列はアジュバントにとって異種であり、例えば、野生型アジュバントが内因的に発現したときに存在しない。アジュバントをコードするポリリボヌクレオチド配列は、野生型シグナル配列をコードするヌクレオチド配列が取り除かれ、及び/又は異種シグナル配列をコードする配列が付加されるように修飾されてもよい。
【0148】
ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(例えば免疫原、又はポリリボヌクレオチドによってコードされるアジュバント)は、免疫原又はアジュバントを分泌経路に導くシグナル配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、免疫原又はアジュバントを特定の細胞小器官(例えば、小胞体、ゴルジ装置、又はエンドソーム)に存在するように導いてもよい。いくつかの実施形態では、シグナル配列は、免疫原又はアジュバントを細胞から分泌されるように導く。分泌タンパク質の場合、シグナル配列は、分泌後に切断され、成熟タンパク質をもたらし得る。他の実施形態では、シグナル配列は、細胞又は特定の細胞小器官の膜内に包埋されるようになり、タンパク質を細胞、小胞体、又はゴルジ装置の膜に固定する膜貫通セグメントを創出し得る。特定の実施形態では、膜貫通タンパク質のシグナル配列は、ポリペプチドのN末端の短い配列である。他の実施形態では、第1の膜貫通ドメインは、タンパク質を膜に標的化する、第1のシグナル配列として作用する。
【0149】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドによってコードされるアジュバントは、分泌シグナル配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原は、分泌シグナル配列、膜貫通挿入シグナル配列を含むか、又はシグナル配列を含まない、のいずれかである。
【0150】
調節要素
環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の調節要素、例えば、環状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する1つ又は複数の配列を含む。
【0151】
調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含み得る。調節要素は、隣接する配列に動作可能に連結され得る。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。ある調節要素を用いて、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる1つ又は複数の免疫原及び/又はアジュバントの発現を増加させることができる。同様に、ある調節要素を用いて、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる1つ又は複数の免疫原及び/又はアジュバントの発現を減少させることができる。いくつかの実施形態では、ある調節要素を用いて、免疫原及び/又はアジュバントの発現を増加させることができ、また別の調節要素を用いて、同じ環状ポリリボヌクレオチドに対する別の免疫原及び/又はアジュバントの発現を減少させることができる。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物(例えば、免疫原又はアジュバント)の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列(例えば、免疫原又はアジュバント)の発現を促進することができる。複数の調節要素がまた、例えば、異なる発現配列の発現を異なって調節するのに使用され得る。
【0152】
ある実施形態では、本明細書において提供される調節要素は、選択的翻訳配列を含み得る。本明細書において使用される際、「選択的翻訳配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド、例えば、特定のリボスイッチアプタザイム中の発現配列の翻訳を選択的に開始させるか又は活性化する核酸配列を指す。調節要素は、選択的分解配列も含み得る。本明細書において使用される際、「選択的分解配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド、又は環状ポリリボヌクレオチドの発現産物の分解を開始させる核酸配列を指す。ある実施形態では、調節要素は、翻訳モジュレータである。翻訳モジュレータは、環状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレータは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。ある実施形態では、翻訳開始配列は、調節要素として機能し得る。
【0153】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、化学量論比の発現産物を産生する。ローリングサークル翻訳は、発現産物を実質的に等しい比で連続して産生する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは化学量論的な翻訳効率を呈し、従って発現産物が実質的に等しい比で産生されることになる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複数の発現産物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又はそれ以上の発現配列からの産物の化学量論的な翻訳効率を呈する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、実質的に異なる比の発現産物を産生する。例えば、複数の発現産物の翻訳効率は、1:10,000;1:7000、1:5000、1:1000、1:700、1:500、1:100、1:50、1:10、1:5、1:4、1:3又は1:2の比を呈し得る。一部の実施形態において、複数の発現産物の比は、調節エレメントを用いて修飾されてもよい。
【0154】
調節要素のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0154]~[0161]に記載されている。
【0155】
切断ドメイン
本開示の環状ポリリボヌクレオチドは、切断ドメイン(例えば、スタッガーエレメント又は切断配列)を含み得る。
【0156】
用語「スタッガーエレメント」は、翻訳中にリボソームポージングを誘導するヌクレオチド配列などの部分を指す。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、強力なαヘリックス傾向性のあるアミノ酸の非保存配列にコンセンサス配列-D(V/I)ExNPGP(式中、x=任意のアミノ酸(配列番号7))が続くものである。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、グリセロールなどの化学的部分、非核酸連結部分、化学修飾、修飾核酸、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0157】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つのスタッガーエレメントを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接するスタッガーエレメントを含む。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、各発現配列の片側又は両側に存在するため、発現産物、例えば、免疫原及び/又はアジュバントの分離につながる。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、1つ以上の発現配列の一部分である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは1つ以上の発現配列(例えば、免疫原及び/又はアジュバント)を含み、1つ以上の発現配列の各々が、続く発現配列(例えば、免疫原及び/又はアジュバントと環状ポリリボヌクレオチド上でスタッガーエレメントにより分離されている。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、(a)単一の発現配列の2ラウンドの翻訳からの、又は(b)2つ以上の発現配列の1ラウンド以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を妨げる。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、1つ以上の発現配列と別の配列である。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、1つ以上の発現配列中のある発現配列の一部分を含む。
【0158】
スタッガーエレメントの例は、国際公開第2019/118919号パンフレット(本明細書によって全体として参照により援用される)のパラグラフ[0172]~[0175]に記載されている。
【0159】
一部の実施形態において、環状リボヌクレオチドによってコードされる複数の免疫原及び/又はアジュバントは、各免疫原の間にあるIRESによって分離されていてもよい(例えば、各免疫原が別個のIRESに作動可能に連結されている)。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、第1の発現配列に作動可能に連結された第1のIRESと、第2の発現配列に作動可能に連結された第2のIRESとを含み得る。IRESは、全ての免疫原の間で同じIRESであり得る。IRESは、異なる免疫原の間で異なり得る。
【0160】
一部の実施形態において、複数の免疫原及び/又はアジュバントは、2A自己切断型ペプチドによって分離されていてもよい。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、第1の免疫原、2A、及び第2の免疫原をコードするオープンリーディングフレームに作動可能に連結されたIRESをコードし得る。
【0161】
一部の実施形態において、複数の免疫原及び/又はアジュバントは、プロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位)によって分離されていてもよい。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、第1の免疫原、プロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位)、及び第2の免疫原をコードするオープンリーディングフレームに作動可能に連結されたIRESをコードし得る。
【0162】
一部の実施形態において、複数の免疫原及び/又はアジュバントは、2A自己切断型ペプチド及びプロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位)によって分離されていてもよい。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、第1の免疫原、2A、プロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位)、及び第2の免疫原をコードするオープンリーディングフレームに作動可能に連結されたIRESをコードし得る。環状ポリリボヌクレオチドはまた、第1の免疫原、プロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位)、2A、及び第2の免疫原をコードするオープンリーディングフレームに作動可能に連結されたIRESもコードし得る。タンデムな2A及びフューリン切断部位は、フューリン-2Aと称され得る(これには、いずれの向きに並んだ、フューリン-2A又は2A-フューリンも含まれる)。
【0163】
さらには、環状リボヌクレオチドによってコードされる複数の免疫原及び/又はアジュバントは、IRES配列及び2A配列の両方によって分離されていてもよい。例えば、1つの免疫原及び/又はアジュバントと第2の免疫原及び/又はアジュバントとの間にIRESがあってよく、一方、第2の免疫原及び/又はアジュバントと第3の免疫原及び/又はアジュバントとの間に2Aペプチドがあってもよい。詳細なIRES又は2A自己切断型ペプチドの選択を用いて、IRES又は2A配列の制御下にある免疫原及び/又はアジュバントの発現レベルを制御し得る。例えば、IRES及び/又は2Aペプチドの選択に応じて、ポリペプチド上での発現は高くなり、又は低くなり得る。
【0164】
ローリングサークル翻訳を維持する一方で、連続した発現産物、例えば、免疫原及び/又はアジュバントの産生を回避するため、スタッガーエレメントを含めることにより翻訳中にリボソームポージングを誘導してもよい。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、1つ以上の発現配列の少なくとも1つの3’末端にある。スタッガーエレメントは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳中にリボソームを止めるように構成することができる。スタッガーエレメントは、限定はされないが、2A様、又はCHYSEL(配列番号8)(シス作用ヒドロラーゼエレメント)配列を含み得る。一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、XEXNPGP(式中、Xは存在しないか、又はG若しくはHであり、Xは存在しないか、又はD若しくはGであり、XはD又はV又はI又はS又はMであり、及びXは任意のアミノ酸である(配列番号9))であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする。一部の実施形態において、この配列は、強力なαヘリックス傾向性のあるアミノ酸の非保存配列にコンセンサス配列-D(V/I)ExNPGP(式中、x=任意のアミノ酸)(配列番号7)が続くものを含む。スタッガーエレメントの一部の非限定的な例としては、GDVESNPGP(配列番号10)、GDIEENPGP(配列番号11)、VEPNPGP(配列番号12)、IETNPGP(配列番号13)、GDIESNPGP(配列番号14)、GDVELNPGP(配列番号15)、GDIETNPGP(配列番号16)、GDVENPGP(配列番号17)、GDVEENPGP(配列番号18)、GDVEQNPGP(配列番号19)、IESNPGP(配列番号20)、GDIELNPGP(配列番号21)、HDIETNPGP(配列番号22)、HDVETNPGP(配列番号23)、HDVEMNPGP(配列番号24)、GDMESNPGP(配列番号25)、GDVETNPGP(配列番号26)、GDIEQNPGP(配列番号27)、及びDSEFNPGP(配列番号28)が挙げられる。
【0165】
一部の実施形態において、本明細書に記載されるスタッガーエレメントは、本明細書に記載されるコンセンサス配列のGとPとの間など、発現産物を切断する。一つの非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチドは、発現産物を切断するため少なくとも1つのスタッガーエレメントを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接するスタッガーエレメントを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の後ろにスタッガーエレメントを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に存在するスタッガーエレメントを含むため、各発現配列からの個々のペプチド及び/又はポリペプチドの翻訳につながる。
【0166】
一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、翻訳中にリボソームポージングを誘導する1つ以上の修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドとしては、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックド核酸(LNA)、並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)を挙げることができる。このような例は、分子の骨格の変化によって天然に存在するDNA又はRNAと区別される。例示的修飾には、糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合に対する(例えば、連結リン酸に対する/リン酸ジエステル結合に対する/リン酸ジエステル骨格に対する)任意の修飾、及び翻訳中にリボソームポージングを誘導することのできるこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書に提供される例示的修飾の一部は、本明細書の他の部分に記載される。
【0167】
一部の実施形態において、スタッガーエレメントは、環状ポリリボヌクレオチドに他の形態で存在する。例えば、一部の例示的環状ポリリボヌクレオチドにおいて、スタッガーエレメントは、環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列の終結エレメントと、第1の発現配列の後続の発現の第1の翻訳開始配列とその終結エレメントを分離するヌクレオチドスペーサー配列とを含む。一部の例において、第1の発現配列の第1のスタッガーエレメントは、環状ポリリボヌクレオチドにおいて第1の発現配列の後続の発現の第1の翻訳開始配列の上流にある(その5’側にある)。ある場合には、第1の発現配列及び第1の発現配列の後続の発現配列は、環状ポリリボヌクレオチドにおいて2つの別個の発現配列である。第1のスタッガーエレメントと第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及びその後続の発現配列の連続した翻訳を可能にするものであり得る。一部の実施形態において、第1のスタッガーエレメントは終結エレメントを含んで第1の発現配列の発現産物をその後続の発現配列の発現産物と分離し、それによって不連続な発現産物を作り出す。ある場合には、環状ポリリボヌクレオチドにおいて後続の配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタッガーエレメントを含む環状ポリリボヌクレオチドは連続的に翻訳される一方、第2の発現配列の後続の発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にある第2の発現配列のスタッガーエレメントを含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、連続的には翻訳されない。ある場合には、環状ポリリボヌクレオチドには1つの発現配列しかなく、第1の発現配列及びその後続の発現配列が同じ発現配列である。一部の例示的環状ポリリボヌクレオチドにおいて、スタッガーエレメントは、環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列の第1の終結エレメントと、その終結エレメントを下流翻訳開始配列と分離するヌクレオチドスペーサー配列とを含む。一部のかかる例では、第1のスタッガーエレメントは、環状ポリリボヌクレオチドにおいて第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流にある(その5’側にある)。ある場合には、第1のスタッガーエレメントと第1の翻訳開始配列との間の距離により、第1の発現配列及び任意の後続の発現配列の連続した翻訳が可能となる。一部の実施形態において、第1のスタッガーエレメントは、第1の発現配列の一つのラウンドの発現産物を第1の発現配列の次のラウンドの発現産物と分離し、それによって不連続な発現産物を作り出す。ある場合には、環状ポリリボヌクレオチドにおいて第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタッガーエレメントを含む環状ポリリボヌクレオチドは連続的に翻訳される一方、対応する環状ポリリボヌクレオチドにおいて第2の発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にスタッガーエレメントを含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、連続的には翻訳されない。ある場合には、第2のスタッガーエレメントと第2の翻訳開始配列との間の距離は、対応する環状ポリリボヌクレオチドにおいて、環状ポリリボヌクレオチドにおける第1のスタッガーエレメントと第1の翻訳開始との間の距離の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍大きい。ある場合には、第1のスタッガーエレメントと第1の翻訳開始との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上である。一部の実施形態において、第2のスタッガーエレメントと第2の翻訳開始との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75ntであるか、又は第1のスタッガーエレメントと第1の翻訳開始との間の距離よりも大きい。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含む。
【0168】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの切断配列を含む。一部の実施形態において、切断配列は、発現配列に隣接する。一部の実施形態において、切断配列は、2つの発現配列の間にある。一部の実施形態において、切断配列は、発現配列に含まれる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2~10個の切断配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2~5個の切断配列を含む。一部の実施形態において、複数の切断配列は複数の発現配列の間にあり;例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、3個の発現配列、2個の切断配列を、各発現配列の間に切断配列があるようにして含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、犠牲性circRNA又は切断可能なcircRNA又は自己切断型circRNAに見られるものなどの切断配列を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは2つ以上の切断配列を含むため、環状ポリリボヌクレオチドが複数の産物、例えば、miRNA、線状RNA、より小さい環状ポリリボヌクレオチド等へと分離されることにつながる。
【0169】
一部の実施形態において、切断配列は、リボザイムRNA配列を含む。リボザイム(リボ核酸酵素由来、別名RNA酵素又は触媒RNA)は、化学反応を触媒するRNA分子である。多くの天然のリボザイムが、それ自体のリン酸ジエステル結合のうちの1つの加水分解、又は他のRNAにおける結合の加水分解のいずれかを触媒するが、これはまた、リボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することも分かっている。触媒RNAは、インビトロ方法により「進化」させることができる。上記で考察したリボスイッチ活性と同様に、リボザイム及びその反応産物は遺伝子発現を調節することができる。一部の実施形態において、触媒RNA又はリボザイムは、バルク容積からの分子の化学的転換を目的としてリボザイムが細胞内に多コピー数で存在することになるように、より大型の非コードRNAの中に置かれてもよい。一部の実施形態において、同じ非コードRNAにアプタマー及びリボザイムが両方ともコードされてもよい。
【0170】
一部の実施形態において、切断配列は、切断可能なポリペプチドリンカーをコードする。例えば、ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の免疫原をコードし得、例えば、ここでは2つ以上の免疫原が単一のオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる。例えば、2つ以上の免疫原が単一のオープンリーディングフレームによってコードされてもよく、その発現はIRESによって制御される。一部の実施形態において、ORFはポリペプチドリンカーをさらにコードし、そのため、例えば、ORFの発現産物が、ポリペプチドリンカー(例えば、5~200、5~100、5~50、5~20、50~100、又は50~200アミノ酸のリンカー)をコードする配列によって各々分離された2つ以上の免疫原をコードすることになる。ポリペプチドリンカーは、切断部位、例えば、プロテアーゼ(例えば、対象へのポリリボヌクレオチドの投与に伴うその対象の内因性プロテアーゼ)によって認識され、切断される切断部位を含み得る。かかる実施形態では、2つ以上の免疫原のアミノ酸配列を含む単一の発現産物が発現時に切断され、そのため発現後に2つ以上の免疫原は分離されていることになる。例示的プロテアーゼ切断部位は当業者に公知であり、例えば、メタロプロテイナーゼ(例えば、MMP1~28のいずれか1つ以上など、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP))、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAM2、7~12、15、17~23、28~30及び33のうちのいずれか1つ以上など、ADAM)、セリンプロテアーゼ(例えば、フューリン)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター、マトリプターゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、又はカテプシンプロテアーゼによって認識されるプロテアーゼ切断部位として働くアミノ酸配列がある。一部の実施形態において、プロテアーゼは、MMP9又はMMP2である。一部の実施形態において、プロテアーゼは、マトリプターゼである。
【0171】
一部の実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、犠牲性環状ポリリボヌクレオチド、切断可能な環状ポリリボヌクレオチド、又は自己切断型環状ポリリボヌクレオチドである。環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、RNA、lncRNA、lincRNA、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、又はshRNAを含めた、細胞成分を送達することができる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、(i)自己切断可能なエレメント;(ii)切断動員部位;(iii)分解性リンカー;(iv)化学的リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列によって分離されたmiRNAを含む。一部の実施形態において、circRNAは、(i)自己切断可能なエレメント;(ii)切断動員部位(例えば、ADAR);(iii)分解性リンカー(例えば、グリセロール);(iv)化学的リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列によって分離されたsiRNAを含む。自己切断可能なエレメントの非限定的な例としては、ハンマーヘッド型スプライシングエレメント、ヘアピン、D型肝炎ウイルス(HDV)、Varkudサテライト(VS)、及びglmSリボザイムが挙げられる。
【0172】
翻訳開始配列
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原をコードし、翻訳開始配列、例えば、開始コドンを含む。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態では、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態では、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。翻訳開始配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0163]~[0165]に記載されている。
【0173】
環状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60又は60を超える開始コドンなどの2つ以上の開始コドンを含んでもよい。翻訳は、第1の開始コドンで開始し得るか、又は第1の開始コドンの下流で開始し得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドン、例えば、AUGでないコドンで開始し得る。環状ポリリボヌクレオチドの翻訳は、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の[0164]に記載のような代替的な翻訳開始配列で開始し得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、翻訳は、ロカグレートを伴う真核生物開始因子4A(eIF4A)の処理によって開始される(翻訳は、43Sスキャニングを遮断し、RocA-eIF4A標的配列を有する転写物からの未成熟な上流の翻訳開始及びタンパク質発現低下を引き起こすことによって抑制される、例えば、www.nature.com/articles/nature17978を参照)。
【0176】
非翻訳領域
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。
【0177】
例示的な非翻訳領域が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0197]~[201]に記載されている。
【0178】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。例示的なポリA配列が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0202]~[0205]に記載されている。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。
【0179】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、アデノシン及びウリジンの1つ又は複数のストレッチが内包されたUTRを含む。これらのAUリッチのシグネチャーは、発現産物のターンオーバー速度を増加させ得る。
【0180】
UTRのAUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性、又は免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル)を調節するのに有用であり得る。特定の環状ポリリボヌクレオチドを改変するとき、AREの1つ又は複数コピーを環状ポリリボヌクレオチドに導入してもよく、AREのコピーは、発現産物の翻訳及び/又は産生を調節し得る。同様に、AREを、同定及び除去し、又は環状ポリリボヌクレオチドに改変することで、細胞内安定性を調節し、ひいては得られるタンパク質の翻訳及び産生に作用することができる。
【0181】
任意の遺伝子からの任意のUTRが環状ポリリボヌクレオチドの各隣接領域に組み込まれてもよいことは理解されるべきである。
【0182】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR、及びIRESを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列:1つ又は複数のmiRNAをコードする配列、1つ又は複数の複製タンパク質をコードする配列、外因性遺伝子をコードする配列、治療(therapeutic)をコードする配列、調節要素(例えば、翻訳モジュレータ、例えば、翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、内因性遺伝子を標的にする1つ又は複数の調節核酸(例えば、siRNA、lncRNA、shRNA)、及び治療的mRNA又はタンパク質をコードする配列、の1つ又は複数を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いているという事実は、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されない、又はエキソヌクレアーゼの存在下で限られた範囲に限って分解され、例えば、エキソヌクレアーゼの不在下で同等又は類似的であることを意味し得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによって分解されない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝露されるとき、分解が低下している。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0184】
終結エレメント
一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの終結エレメントを含む。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結された終結エレメントを含む。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは終結エレメントを欠いている。
【0185】
一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは1つ以上の発現配列を含み、各発現配列が終結エレメントを有することも、又は有しないこともある。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは1つ以上の発現配列を含み、これらの発現配列は終結エレメントを欠いているため、ポリリボヌクレオチドは連続して翻訳されることになる。終結エレメントを除くと、ローリングサークル翻訳又は発現産物の連続した発現が起こり得る。
【0186】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは1つ以上の発現配列を含み、各発現配列が終結エレメントを有することも、又は有しないこともある。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは1つ以上の発現配列を含み、これらの発現配列は終結エレメントを欠いているため、環状ポリリボヌクレオチドは連続して翻訳されることになる。終結エレメントを除くと、ローリングサークル翻訳又は発現産物の連続した発現(例えば、ペプチド又はポリペプチド、リボソームのストール又は脱落がないことに起因する)が起こり得る。かかる実施形態において、ローリングサークル翻訳では、各発現配列を通じて連続した発現産物が発現する。一部の他の実施形態において、発現配列の終結エレメントは、スタッガーエレメントの一部であり得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の発現配列は、終結エレメントを含む。しかしながら、ローリングサークル翻訳又は環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5等の)発現配列の発現は実施される。そのような場合、リボソームが終結エレメントに遭遇すると、例えば、終止コドン、及び翻訳を終結させると、発現産物からリボソームが脱落し得る。一部の実施形態において、リボソーム、例えば、リボソームの少なくとも1つのサブユニットが環状ポリリボヌクレオチドと接触し続けている間に、翻訳が終結する。
【0187】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列の終わりに終結エレメントを含む。一部の実施形態において、1つ以上の発現配列は、2つ以上の終結エレメントを連続して含む。かかる実施形態では、翻訳が終結し、及びローリングサークル翻訳が終結する。一部の実施形態において、リボソームは環状ポリリボヌクレオチドから完全に離脱する。一部のかかる実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5等の)発現配列の産生には、翻訳の開始前にリボソームが環状ポリリボヌクレオチドと再び会合する必要があり得る。概して、終結エレメントは、翻訳の終結シグナルを送るインフレームのヌクレオチドトリプレット(例えば、UAA、UGA、UAG)を含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の終結エレメントにより、限定はされないが、オフフレーム又は-1及び+1シフトしたリーディングフレーム(例えば、隠れた終止)など、終結エレメントがフレームシフトを起こし、それによって翻訳が終結し得る。フレームシフトを起こした終結エレメントは、ヌクレオチドトリプレットTAA、TAG、及びTGAを含み、これらは発現配列の第2及び第3のリーディングフレームに現れる。フレームシフトを起こした終結エレメントは、細胞にとって有害であることが多いmRNAの誤読を防ぐ上で重要であり得る。一部の実施形態において、終結エレメントは終止コドンである。
【0188】
一部の実施形態において、発現配列は、ポリA配列を(例えば、発現配列の3’末端、例えば終結エレメントの3’側に)含む。一部の実施形態において、ポリA配列の長さは10ヌクレオチド長より長い。一実施形態において、ポリA配列は15ヌクレオチド長より長い(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチド以上)。一部の実施形態において、ポリA配列は、国際公開第2019/118919A1号パンフレット(これは全体として参照により本明細書に援用される)の[0202]~[0204]にあるポリA配列の説明に従い設計される。一部の実施形態において、発現配列は、(例えば、発現配列の3’末端に)ポリA配列を欠いている。
【0189】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリAを含むか、ポリAを欠いているか、又は環状ポリリボヌクレオチドの1つ若しくは複数の特性を調節するための修飾ポリAを有する。いくつかの実施形態では、ポリAを欠いているか又は修飾ポリAを有している環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の機能特性、例えば、免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル、半減期、及び/又は発現効率)を改善する。
【0190】
終結エレメントの更なる例は、国際公開第2019/118919号パンフレット(本明細書によって全体として参照により援用される)のパラグラフ[0169]~[0170]に記載されている。
【0191】
スペーサー配列
一部の実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、スペーサー配列を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、1つ以上のスペーサー配列を含む。スペーサーとは、2つの隣接するポリヌクレオチド領域の間に距離又は可動性を付与する(例えば、1ヌクレオチド以上の)任意の連続したヌクレオチド配列を指す。スペーサーは、本明細書に記載される核酸エレメントのいずれの間にも存在し得る。スペーサーはまた、本明細書に記載される核酸エレメントの内部にも存在し得る。
【0192】
スペーサーは、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態において、各スペーサー領域は、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチド長である。各スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチド長であり得る。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA配列を含み得る。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-C配列を含み得る。一部の実施形態において、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-G配列を含む。一部の実施形態において、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-T配列を含む。一部の実施形態において、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ランダム配列を含む。
【0193】
一部の実施形態において、スペーサー配列は、例えば、少なくとも10ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド長、又は少なくとも30ヌクレオチド長であってもよい。一部の実施形態において、スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチド長以下である。一部の実施形態においてスペーサー配列は、20~50ヌクレオチド長である。特定の実施形態において、スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチド長である。
【0194】
スペーサー配列は、ポリA配列、ポリA-C配列、ポリC配列、又はポリU配列であってもよい。
【0195】
一部の実施形態において、スペーサー配列は、ポリA-T、ポリA-C、ポリA-G、又はランダム配列であってもよい。
【0196】
例示的スペーサー配列については、国際公開第2019/118919号パンフレットのパラグラフ[0293]~[0302]に記載されており、本明細書によって全体として参照により援用される。
【0197】
修飾
環状ポリリボヌクレオチドは、参照配列、特に、親ポリリボヌクレオチドに対する、1つ又は複数の置換、挿入及び/又は付加、欠失、及び共有結合修飾を含んでもよいことは、本開示の範囲内に含まれる。
【0198】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の転写後修飾(例えば、キャッピング、切断、ポリアデニル化、スプライシング、ポリA配列、メチル化、アシル化、リン酸化、リジン及びアルギニン残基のメチル化、アセチル化、並びにチオール基及びチロシン残基のニトロシル化など)を含む。1つ又は複数の転写後修飾は、RNAにおいて同定されている100を超える異なるヌクレオシド修飾のいずれかなどの任意の転写後修飾であり得る(Rozenski,J,Crain,P,and McCloskey,J.(1999).The RNA Modification Database:1999 update.Nucl Acids Res 27:196-197)。いくつかの実施形態では、第1の単離核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、国際特許公開の国際公開第2019/118919A1号パンフレット(その全体が参照により本明細書中に援用される)の[0311]中に記載されるような群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む。
【0199】
環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合(例えば、連結リン酸塩/リン酸ジエステル結合/リン酸ジエステル骨格)に対する任意の有用な修飾を含んでもよい。ピリミジン核酸塩基の1つ又は複数の原子は、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたチオール、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、メチル又はエチル)、又はハロ(例えば、クロロ又はフルオロ)で置換(replaced)又は置換(substituted)されてもよい。特定の実施形態では、修飾(例えば、1つ又は複数の修飾)は、糖及びヌクレオシド間結合のそれぞれにおいて存在する。修飾は、リボ核酸(RNA)の、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)又はそれらのハイブリッド)への修飾であってもよい。さらなる修飾は、本明細書中に記載されている。
【0200】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳効率を増加させるための少なくとも1つのN(6)メチルアデノシン(m6A)修飾を含む。いくつかの実施形態では、m6A修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの免疫原性を低下(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベルを低下)させ得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、修飾は、化学又は細胞誘導修飾を含んでもよい。例えば、細胞内RNA修飾のいくつかの非限定例が、Nat Reviews Mol Cell Biol,2017,18:202-210からのLewis and Pan、“RNA modifications and structures cooperate to guide RNA-protein interactions”によって記載されている。
【0202】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのリボヌクレオチドに対する化学修飾は、免疫逃避を増強し得る。環状ポリリボヌクレオチドは、当該技術分野で十分に確立された方法、例えば、“Current protocols in nucleic acid chemistry”,Beaucage,S.L.et al.(Eds.),John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,USA(ここで参照により本明細書中に援用される)に記載されたものによって合成及び/又は修飾されてもよい。修飾は、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化(モノ-、ジ-及びトリ-)、コンジュゲーション、逆結合など)、3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆結合など)、塩基修飾(例えば、安定化塩基、不安定化塩基、又はパートナーの拡大されたレパートリーと塩基対を形成する塩基との置換)、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)、又はコンジュゲート塩基を含む。修飾リボヌクレオチド塩基はまた、5-メチルシチジン及びプソイドウリジンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、塩基修飾は、いくつかの機能的効果を挙げると、環状ポリリボヌクレオチドの、発現、免疫応答、安定性、細胞内局在化を調節し得る。いくつかの実施形態では、修飾は、双直交性のヌクレオチド、例えば、非天然塩基を含む。例えば、Kimoto et al,Chem Commun(Camb),2017,53:12309,DOI:10.1039/c7cc06661a(ここで参照により援用される)を参照されたい。
【0203】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの1つ又は複数のリボヌクレオチドの糖修飾(例えば、2’位又は4’位)又は糖の置換、並びに骨格修飾は、リン酸ジエステル結合の修飾又は置換を含み得る。環状ポリリボヌクレオチドの具体例として、限定はされないが、リン酸ジエステル結合の修飾又は置換を含む、修飾骨格又は非天然ヌクレオシド間結合、例えば、ヌクレオシド間修飾を含む、環状ポリリボヌクレオチドが挙げられる。修飾骨格を有する環状ポリリボヌクレオチドは、特に、骨格内にリン原子を有しないものを含む。本願を意図して、また時として当該技術分野で参照される通り、ヌクレオシド間骨格内にリン原子を有しない修飾RNAはまた、オリゴヌクレオシドと考えることができる。特定の実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ヌクレオシド間骨格内にリン原子を有するリボヌクレオチドを含むことになる。
【0204】
修飾された環状ポリリボヌクレオチド骨格は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ジチオリン酸、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば、3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホロアミデート、例えば、3’-アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び正常な3’-5’結合を有するボラノリン酸、これらの2’-5’結合類似体、及びヌクレオシド単位の隣接ペアが、3’-5’と5’-3’又は2’-5’と5’-2’で結合される、反転極性を有するものを含んでもよい。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、負又は正に荷電され得る。
【0205】
環状ポリリボヌクレオチドに組み込まれ得る修飾ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合(例えば、リン酸塩骨格)に対して修飾され得る。本明細書では、ポリヌクレオチド骨格との関連で、「リン酸塩」及び「リン酸ジエステル」という語句は、互換可能に用いられる。骨格リン酸基は、酸素原子の1つ又は複数を異なる置換基で置換することによって修飾され得る。さらに、修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドは、非修飾リン酸部分の、本明細書に記載のような別のヌクレオシド間結合による大規模な置換を含み得る。修飾リン酸基の例として、限定はされないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、アルキル又はアリールホスホネート、及びホスホトリエステルが挙げられる。ジチオリン酸は、硫黄によって置換された両方の非結合酸素を有する。また、リン酸リンカーは、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素(架橋メチレンホスホネート)による結合酸素の置換によって修飾され得る。
【0206】
a-チオ置換リン酸部分は、RNA及びDNAポリマーに非天然ホスホロチオエート骨格結合を介して安定性を与えるように提供される。ホスホロチオエートDNA及びRNAは、細胞環境下で、増強されたヌクレアーゼ抵抗性と、それに続く延長された半減期を有する。環状ポリリボヌクレオチドに連結されたホスホロチオエートは、細胞の自然免疫分子のより弱い結合/活性化を介して自然免疫応答を低減することが予想される。
【0207】
具体的な実施形態では、修飾ヌクレオシドは、α-チオヌクレオシド(例えば、5’-O-(l-チオリン酸)-アデノシン、5’-O-(l-チオリン酸)-シチジン(a-チオ-シチジン)、5’-O-(l-チオリン酸)-グアノシン、5’-O-(l-チオリン酸)-ウリジン、又は5’-O-(1-チオリン酸)-プソイドウリジン)を含む。
【0208】
亜リン酸原子を含まないヌクレオシド間結合を含む、本開示に従って用いられてもよい他のヌクレオシド間結合が、本明細書に記載される。
【0209】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ又は複数の細胞傷害性ヌクレオシドを含んでもよい。例えば、細胞傷害性ヌクレオシドは、二機能性修飾などの環状ポリリボヌクレオチドに組み込まれてもよい。細胞傷害性ヌクレオシドは、限定はされないが、アデノシンアラビノシド、5-アザシチジン、4’-チオ-アラシチジン、シクロペンテニルシトシン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、シトシンアラビノシド、l-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)-シトシン、デシタビン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、ゲムシタビン、テガフール及びウラシルの組み合わせ、テガフール((RS)-5-フルオロ-l-(テトラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(lH,3H)-ジオン)、トロキサシタビン、テザシタビン、2’-デオキシ-2’-メチリデンシチジン(DMDC)、及び6-メルカプトプリンを含んでもよい。さらなる例として、リン酸フルダラビン、N4-ベヘノイル-l-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-オクタデシル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-パルミトイル-l-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)シトシン、及びP-4055(シタラビン5’-エライジン酸エステル)が挙げられる。
【0210】
環状ポリリボヌクレオチドは、分子の全長に沿って均一に修飾されてもされなくてもよい。例えば、ヌクレオチドの1つ又は複数又は全てのタイプ(例えば、天然に存在するヌクレオチド、プリン若しくはピリミジン、又はA、G、U、C、I、pUの任意の1つ若しくは複数若しくは全て)は、環状ポリリボヌクレオチド、又はその所与の所定の配列領域において均一に修飾されてもされなくてもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、プソイドウリジンを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、イノシンを含み、それは環状ポリリボヌクレオチドを内因性RNAとウイルス性のRNAとして特徴づける免疫系に寄与し得る。イノシンの組み込みはまた、RNA安定性の改善/分解の減少を媒介し得る。例えば、Yu,Z.et al.(2015)RNA editing by ADAR1 marks dsRNA as“self”.Cell Res.25,1283-1284(その全体が参照により援用される)を参照されたい。
【0211】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド(又はその所与の配列領域)における全てのヌクレオチドが、修飾される。いくつかの実施形態では、修飾は、発現を増強し得るm6A;免疫応答を減弱し得るイノシン;RNA安定性、又は翻訳リードスルー(スタガー要素)を増強し得るプソイドウリジン、安定性を増強し得るm5C;及び細胞内転位(例えば、核局在化)を補助する2,2,7-トリメチルグアノシンを含んでもよい。
【0212】
異なる糖修飾、ヌクレオチド修飾、及び/又はヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)は、環状ポリリボヌクレオチド中の様々な位置に存在してもよい。当業者は、ヌクレオチド類似体又は他の修飾が環状ポリリボヌクレオチドの任意の位置に位置し得ることで、環状ポリリボヌクレオチドの機能が実質的に低下しないことを理解するであろう。修飾はまた、非コード領域修飾であってもよい。環状ポリリボヌクレオチドは、(全ヌクレオチド含量、又はヌクレオチドの1つ若しくは複数のタイプ、即ち、A、G、U若しくはCの任意の1つ若しくは複数のいずれかに対して)約1%~約100%、又は任意の間の百分率(例えば、1%~20%>、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、及び95%~100%)の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0213】
多量体化
特定の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、多量体化ドメインをコードし得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原(例えば、VZV免疫原)である第1のポリペプチドと、多量体化ドメインである第2のポリペプチドとをコードし得る。例えば、多量体化ドメインは、免疫原(例えば、VZV免疫原)と同じオープンリーディングフレームにコードされ、免疫原との融合タンパク質として発現してもよい。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは2つ以上の免疫原をコードしてもよく、任意選択で、各免疫原が多量体化ドメインに融合していてもよい。多量体化ドメインは、免疫原複合体(例えば、複数の免疫原を含む複合体)の形成を促進し得る。
【0214】
コードされる免疫原の多量体化は、免疫応答の誘導に有益であり得る。免疫原が1つ以上の多量体化エレメント(例えば、二量体化エレメント、三量体化エレメント、四量体化エレメント、及びオリゴマー化エレメント)に融合すると、多量体免疫原複合体の形成(例えば、免疫された対象における発現後の多量体免疫原複合体の形成)につながり得る。一部の実施形態において、多量体免疫原複合体が形成されると、免疫原の免疫原性が増加する。例えば、多量体免疫原複合体が形成されると、複数の潜在的な免疫原が病原体のエンベロープに位置することがよく見られる(例えば、インフルエンザウイルスの赤血球凝集素(HA)免疫原)外因性病原体(例えば、ウイルス)の感染が模倣されることにより、免疫原の免疫原性が増加し得る。一部の実施形態において、多量体化複合体は、少なくとも2、3、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、又は100個の免疫原を含む。一部の実施形態において、免疫原複合体は、2~10、2~50、2~100、5~10、5~15、5~20、5~50、5~100、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~100、20~50又は20~100個の免疫原を含む。一部の実施形態において、免疫原複合体は、免疫原を6コピー含む(例えば、この環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原-フォルドン-免疫原融合タンパク質をコードする)。一部の実施形態において、免疫原複合体は、免疫原を24コピー含む(例えば、この環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原-フェリチン融合タンパク質をコードする)。一部の実施形態において、免疫原複合体は、免疫原を60コピー含む(例えば、この環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原-AaLS融合タンパク質をコードするか、又は免疫原-β-アニュラスペプチドをコードする)。
【0215】
本開示の文脈で目的のポリペプチド免疫原と組み合わせて使用されるとき、かかる多量体化エレメントは、目的のポリペプチドのN端側又はC端側に置かれ得る。核酸レベルでは、かかる多量体化エレメントのコード配列は、典型的には同じリーディングフレームにおいて、目的のポリペプチド又はタンパク質のコード配列の5’側又は3’側に置かれる。
【0216】
多量体化ドメインは、10~500アミノ酸残基(例えば、10~450、10~400、10~350、10~300、10~250、10~200、10~150、10~100、10~50、50~500、100~500、150~500、200~500、250~500、300~500、350~500、400~500、~450~500残基)を有し得る。一部の実施形態において、多量体化ドメインは、20~2500アミノ酸残基(例えば、20~250、20~225、20~200、20~175、20~150、20~150、20~125、20~100、20~75、20~50、50~250、75~250、100~250、125~250、150~250、175~250、200~250、~225~250残基)を含み得る。
【0217】
一部の実施形態において、多量体化ドメインに融合した免疫原は、その免疫原と比べて免疫原性が(例えば、ヒト対象において)少なくとも2倍、5倍、又は10倍高い。一部の実施形態において、多量体化ドメインに融合した免疫原は、多量体化ドメインに融合していない免疫原と比べて免疫原性が(例えば、ヒト対象において)少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、又は500%高い。
【0218】
詳細な多量体化エレメントは、オリゴマー化エレメント、四量体化エレメント、三量体化エレメント又は二量体化エレメントである。二量体化エレメントは、例えば、熱ショックタンパク質、免疫グロブリンFcドメイン及びロイシンジッパー(塩基性領域ロイシンジッパー転写因子クラスの二量体化ドメイン)の二量体化エレメント/ドメインから選択され得る。三量体化及び四量体化エレメントは、例えば、エンジニアリングされたロイシンジッパー(平行三量体状態をとるエンジニアリングされたαヘリックスコイルドコイルペプチド)、腸内細菌ファージT4からのフィブリチンフォルドンドメイン、GCN4pll、CCN4-pLI、及びp53から選択され得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、T4フォルドンドメインを含む。詳細な実施形態において、T4フォルドンドメインは、GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号48)と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、T4フォルドンは、配列番号48のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、多量体化ドメインは、β-アニュラスペプチドである(Matsuura et al.(2010),Angew.Chem.Int.Ed.,49:9662-9665を参照のこと)。一部の実施形態において、β-アニュラスペプチドは、C末端セリン残基が任意選択で存在する又は存在しないINHVGGTGGAIMAPVAVTRQLVGS(配列番号49)のアミノ酸配列を有するか、又は配列番号49と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、AaLSペプチドを含む。詳細な実施形態において、AaLSペプチドは、TDILGKYVINYLNKLKKKEDIFKEFLKW(配列番号50)と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、AaLSペプチドは、配列番号50のアミノ酸配列を有する。
【0219】
オリゴマー化エレメントは、例えば、フェリチン、サーファクタントD、パラミクソウイルスのリンタンパク質のオリゴマー化ドメイン、補体阻害薬C4結合タンパク質(C4bp)オリゴマー化ドメイン、ウイルス感染因子(Vif)オリゴマー化ドメイン、ステライルαモチーフ(SAM)ドメイン、及びフォン・ヴィレブランド因子タイプDドメインから選択されてもよい。
【0220】
フェリチンはオリゴマーを形成し、あらゆる動物、細菌、及び植物に見られる高度に保存されているタンパク質である。フェリチンは、24個の同一のサブユニットで自然発生的にナノ粒子を形成するタンパク質である。フェリチン-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成する可能性がある。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、フェリチンドメインを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、
【化5】
のアミノ酸配列を有するフェリチンドメインを含む。
【0221】
サーファクタントDタンパク質(SPD)は、自然発生的に自己集合してオリゴマーを形成する親水性糖タンパク質である。SPD-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成し得る。
【0222】
パラミクソウイルス(マイナス鎖RNAウイルス)のリンタンパク質は、ウイルスポリメラーゼの転写トランス活性化因子として機能する。リンタンパク質のオリゴマー化は、ウイルスゲノム複製にとって決定的に重要である。リンタンパク質-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成し得る。
【0223】
補体阻害薬C4結合タンパク質(C4bp)もまた、オリゴマー免疫原凝集体を生じさせる融合パートナーとして使用し得る。C4bpのC末端ドメイン(ヒトでは57アミノ酸残基及びマウスでは54アミノ酸残基)は、それに融合したC4bp又は他のポリペプチドのオリゴマー化に必要且つ十分である。C4bp-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成し得る。ウイルス感染因子(Vif)多量体化ドメインは、インビトロ及びインビボの両方でオリゴマーを形成することが示されている。Vifのオリゴマー化には、C末端ドメインの残基1 51~1 64、1 61 PPLP1 64モチーフ(ヒトHIV-1では:TPKKIKPPLP(配列番号52))の間の配列マッピングが関わる。Vif-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成し得る。
【0224】
ステライルαモチーフ(SAM)ドメインは、多くの生物学的過程に関わる多種多様なタンパク質に存在するタンパク質相互作用モジュールである。およそ70残基にわたって広がるSAMドメインは、多様な真核生物に見られる。SAMドメインは、ホモ及びヘテロオリゴマー化して、複数の自己会合オリゴマー構造体を形成することが示されている。SAM-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成し得る。フォン・ヴィレブランド因子(vWF)は、幾つかのタイプDドメインを含む:D1及びD2はN末端プロペプチド内に存在する一方、残りのDドメインはオリゴマー化に必要である。このドメインは、様々な血漿タンパク質:補体因子B、C2、C3及びCR4;インテグリン(l-ドメイン);VI、VII、XII及びXIV型コラーゲン;及び他の細胞外タンパク質に見られる。vWF-免疫原融合構築物は、免疫応答の亢進をもたらし得る免疫原のオリゴマー凝集体又は「クラスター」を形成し得る。
【0225】
一部の実施形態において、多量体化ドメインは、ルマジンシンターゼドメインである。ルマジンシンターゼは、60コピーのルマジンシンターゼドメインを含む複合体となるように集合することができ、ここでは各ルマジンシンターゼドメインが1つ以上の免疫原に融合し得る。一部の実施形態において、ルマジンシンターゼドメインは、配列番号53~63及び142のいずれかのアミノ酸配列又は配列番号53~63及び142のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
配列番号53
【化6】
配列番号54
【化7】
配列番号55
【化8】
配列番号56
【化9】
配列番号142
【化10】
【0226】
ルマジンシンターゼドメインに1つ以上のシステイン置換を提供して1つ又は複数の非天然ジスルフィド結合を導入すると、自己集合したサブユニットで形成されるルマジンシンターゼ複合体が安定化する。一部の実施形態において、1つ又は複数の非天然ジスルフィド結合は、L121C-K131C、L121CG-K131C、L121GC-K131C、K7C-R40C、I3C-L50C、I82C-K131CG、E5C-R52C、又はE95C-A101C置換、又はこれらの組み合わせ(I3C-L50C及びI82C-K131CG;E5C-R52C及びI82C-K131CG;又はE95C-A101C及びI82C-K131CGなど)によって導入される。残基の番号付けは、配列番号53として示されるルマジンシンターゼサブユニットを基準としている。非限定的な例としては、以下が挙げられる。
配列番号57(L121C-K131C)
【化11】
配列番号58(L121CG-K131C)
【化12】
配列番号59(L121GC-K131C)
【化13】
配列番号60(K7C-R40C)
【化14】
配列番号61(I3C-L50C、I82C-K131CG)
【化15】
配列番号62(E5C-R52C、I82C-K131CG)
【化16】
配列番号63(E95C-A101C、I82C-K131CG)
【化17】
【0227】
ポリペプチドの様々な多量体化方法については、国際公開第2020/061564号パンフレットの25頁1行目~26頁20行目(これは本明細書において参照により援用される)に記載されている。
【0228】
一部の実施形態において、多量体化ドメインは、リボフラビンシンターゼドメインである。例えば、リボフラビンシンターゼドメインは、TDILGKYVINYLNKLKKKEDIFKEFLKW(配列番号143)と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得る。一部の実施形態において、リボフラビンシンターゼドメインは、配列番号143のアミノ酸配列を有し得る。
【0229】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の多量体化ドメインを含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の多量体化ドメインを含み得る。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2個の多量体化ドメインを含む。2個以上の多量体化ドメインは、互いに隣接していてもよい。或いは、2個以上の多量体化ドメインは、1つ以上の他のエレメントによって分離されていてもよい。例えば、2個の多量体化ドメインは、免疫原によって分離されていてもよい。詳細な実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、フェリチンドメインとT4フォルドンドメインとを含み得る。このフェリチン及びT4フォルドンドメインは、例えば、Gly-Serリンカーによって連結されていてもよい。一部の実施形態において、T4フォルドンドメインに連結されたフェリチンドメインは、以下のアミノ酸配列を有する:
【化18】
【0230】
好適な多量体化ドメインは、例えば、国際公開第2017/081082号パンフレットの配列番号1116~1167に係るアミノ酸配列、又はこれらの配列の断片若しくは変異体のリストから選択されてもよい。
【0231】
作製方法
本開示は、例えば、組換え技術又は化学合成を含めた、環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法を提供する。例えば、RNA環の作製に使用されるDNA分子としては、天然に存在する核酸配列のDNA配列、その修飾されたバージョン、又は通常は天然には見られない合成ポリペプチド(例えば、キメラ分子又は融合タンパク質)をコードするDNA配列を挙げることができる。DNA及びRNA分子は、限定はされないが、古典的な突然変異誘発技法及び組換え技術、例えば、部位特異的突然変異誘発、突然変異を誘発するような核酸分子の化学的処理、核酸断片の制限酵素切断、核酸断片のライゲーション、核酸配列の選択された領域のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅又は突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び混合物群のライゲーションによる核酸分子の混合物の「構築」並びにこれらの組み合わせなどを含め、種々の技法を用いて修飾することができる。
【0232】
環状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが化学合成及び酵素合成を含めた、任意の利用可能な技法により調製し得る。一部の実施形態において、線状の一次構築物又は線状のRNAを環化又はコンカテマー化することにより、本明細書に記載されるcircRNAを作り出してもよい。環化又はコンカテマー化機構は、例えば、化学的、酵素的、スプリントライゲーション、又はリボザイム触媒方法などの方法を通じて起こり得る。新規に形成された5’-3’連結は、分子内連結又は分子間連結であり得る。例えば、スプリントライゲーションには、SplintR(登録商標)リガーゼなどのスプリントリガーゼを使用することができる。この方法によれば、一本鎖DNA又はRNAなどの一本鎖ポリヌクレオチド(スプリント)が線状ポリリボヌクレオチドの両方の末端とハイブリダイズするように設計することができ、そのため一本鎖スプリントとのハイブリダイゼーションに伴いこれらの2つの末端が並んで置かれることになり得る。スプリントリガーゼは、このように線状ポリリボヌクレオチドの並んで置かれた2つの末端のライゲーションを触媒することができ、circRNAが生じ得る。一部の実施形態において、環状ポリヌクレオチドの合成では、DNA又はRNAリガーゼが使用されてもよい。非限定的な例として、このリガーゼは、circリガーゼ又は環状リガーゼであり得る。
【0233】
別の例では、線状ポリリボヌクレオチドの5’末端又は3’末端のいずれかが、リガーゼリボザイム配列をコードすることができ、そのためインビトロ転写時、得られる線状circRNAには、線状ポリリボヌクレオチドの5’末端を線状ポリリボヌクレオチドの3’末端にライゲートする能力を有する活性リボザイム配列が含まれることになる。このリガーゼリボザイムは、グループIイントロン、D型肝炎ウイルス、ヘアピンリボザイムに由来してもよく、又はSELEX(試験管内進化法)により選択されてもよい。
【0234】
別の例において、線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの非核酸部分を使用することによって環化又はコンカテマー化されてもよい。例えば、少なくとも1つの非核酸部分は、線状ポリリボヌクレオチドを環化又はコンカテマー化するため、線状ポリリボヌクレオチドの5’末端近傍又は3’末端近傍の領域又は特徴と反応し得る。別の例において、少なくとも1つの非核酸部分は線状ポリリボヌクレオチドの5’末端又は3’末端に、又はその近傍に位置するか、又はそれに連結されていてもよい。非核酸部分は、同種であっても、又は異種であってもよい。非限定的な例として、非核酸部分は、疎水性連結鎖、イオン性連結鎖、生分解性連結鎖、又は切断可能な連結鎖などの連結鎖であり得る。別の非限定的な例として、非核酸部分は、ライゲーション部分である。さらに別の非限定的な例として、非核酸部分は、本明細書に記載されるとおりのアプタマー又は非核酸リンカーなど、オリゴヌクレオチド又はペプチド部分であってもよい。
【0235】
別の例において、線状ポリリボヌクレオチドは、自己スプライシングによって環化又はコンカテマー化されてもよい。一部の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドはループE配列を含んで自己ライゲートする。別の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、自己環化性イントロン、例えば、5’及び3’スライスジャンクション(slice junction)、又はグループI、グループII、若しくはグループIIIイントロンなど、自己環化性触媒イントロンを含み得る。グループIイントロン自己スプライシング配列の非限定的な例としては、T4バクテリオファージ遺伝子tdに由来する自己スプライシング並べ替えイントロン-エクソン配列、及びテトラヒメナ属(Tetrahymena)の介在配列(IVS)rRNA、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、又はテトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNAを挙げることができる。
【0236】
一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、グループI触媒イントロンの3’側半分断片及びグループI触媒イントロンの5’側半分断片など、触媒イントロン断片を含み得る。触媒イントロン断片内には、第1及び第2のアニーリング領域が位置し得る。グループI触媒イントロンは、2金属イオンホスホリル転移機構によってmRNA、tRNA、及びrRNA前駆体からのその自己切断を触媒する自己スプライシングリボザイムである。重要なことに、RNAそれ自体が、リガーゼなどの外因性酵素を必要とすることなくイントロン除去を自己触媒する。
【0237】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片及びグループI触媒イントロンの5’側半分断片は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、又はテトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNAからのものである。
【0238】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片及びグループI触媒イントロンの5’側半分断片はシアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子からのものであり、3’エクソン断片は第1のアニーリング領域を含み、5’エクソン断片は第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、5~50、例えば、10~15(例えば、10、11、12、13、14、又は15)リボヌクレオチドを含んでもよい。
【0239】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片及びグループI触媒イントロンの5’側半分断片はテトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNAからのものであり、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は第1のアニーリング領域を含み、5’エクソン断片は第2のアニーリング領域を含む。一部の実施形態において、3’エクソンは第1のアニーリング領域を含み、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は第2のアニーリング領域を含む。第1のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、6~50、例えば、10~16(例えば、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよい。
【0240】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片及びグループI触媒イントロンの5’側半分断片は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、又はT4ファージtd遺伝子からのものである。
【0241】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片及びグループI触媒イントロン断片5’側は、T4ファージtd遺伝子からのものである。3’エクソン断片は第1のアニーリング領域を含んでもよく、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は第2のアニーリング領域を含んでもよい。第1のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよく、第2のアニーリング領域は、例えば、2~16、例えば、10~16(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16)リボヌクレオチドを含んでもよい。
【0242】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、線状ポリヌクレオチドの5’末端である。
【0243】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、線状ポリリボヌクレオチドの3’末端である。
【0244】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化19】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0245】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化20】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0246】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号124の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号125の配列を有する。
【0247】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化21】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0248】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化22】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0249】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号126の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号127の配列を有する。
【0250】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化23】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0251】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化24】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0252】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号128の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号129の配列を有する。
【0253】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化25】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0254】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化26】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0255】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号130の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号131の配列を有する。
【0256】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化27】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0257】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化28】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0258】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号132の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号133の配列を有する。
【0259】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化29】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0260】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化30】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0261】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号134の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号135の配列を有する。
【0262】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化31】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0263】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化32】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0264】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号136の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号137の配列を有する。
【0265】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化33】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0266】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化34】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0267】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号138の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号139の配列を有する。
【0268】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は、
【化35】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0269】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は、
【化36】
の配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の配列同一性を有する。
【0270】
一部の実施形態において、グループI触媒イントロンの3’側半分断片は配列番号140の配列を有し、グループI触媒イントロンの5’側半分断片は配列番号141の配列を有する。
【0271】
別の例において、線状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドの5’末端及び3’末端にあるか、その近傍にあるか、又はそれに連結した原子間、分子表面間の引力を生じさせる非核酸部分によって環化又はコンカテマー化されてもよい。1つ以上の線状ポリリボヌクレオチドは、分子間力又は分子内力によって環化又はコンカテマー化されてもよい。分子間力の非限定的な例としては、双極子間力、双極子-誘起双極子力、誘起双極子-誘起双極子力、ファンデルワールス力、及びロンドン分散力が挙げられる。分子内力の非限定的な例としては、共有結合、金属結合、イオン結合、共鳴結合、アグノスティック結合(agnostic bond)、双極子結合、共役、超共役及び反結合が挙げられる。
【0272】
別の例において、線状ポリリボヌクレオチドは、5’末端近傍及び3’末端近傍にリボザイムRNA配列を含み得る。リボザイムRNA配列は、配列がリボザイムの残りの部分に露出しているとき、ペプチドに共有結合的に連結し得る。5’末端及び3’末端近傍でリボザイムRNA配列に共有結合的に連結したペプチドが互いに会合し、それによって線状ポリリボヌクレオチドの環化又はコンカテマー化が起こり得る。別の例において、5’末端及び3’末端近傍でリボザイムRNAに共有結合的に連結したペプチドは、限定はされないがタンパク質ライゲーションなど、当該技術分野において公知の様々な方法を用いてライゲーションに供された後、線状一次構築物又は線状mRNAの環化又はコンカテマー化を引き起こし得る。本発明の線状一次構築物若しくは線状ポリリボヌクレオチドにおける使用のためのリボザイムの非限定的な例又はペプチドを取り込む若しくは共有結合的に連結する方法の網羅的でない一覧については、米国特許出願公開第20030082768号明細書(この内容は、本明細書において全体として参照により援用される)に記載されている。
【0273】
さらに別の例において、化学的環化方法を用いて環状ポリリボヌクレオチドを作成してもよい。かかる方法としては、限定はされないが、クリック化学(例えば、アルキン及びアジドベースの方法、又はクリック反応性塩基)、オレフィンメタセシス、ホスホルアミデートライゲーション、ヘミアミナール-イミン架橋、塩基修飾、及びこれらの任意の組み合わせが挙げることができる。
【0274】
別の例において、環状ポリリボヌクレオチドは、無細胞システムで(例えば、インビトロ転写により)転写されるデオキシリボヌクレオチド鋳型を使用して線状RNAを作製することにより作製し得る。この線状ポリリボヌクレオチドがスプライシング適合性ポリリボヌクレオチドを産生し、これが自己スプライシングすることにより環状ポリリボヌクレオチドが作製され得る。
【0275】
一部の実施形態において、本開示は、線状ポリリボヌクレオチドを提供すること;及び線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに好適な条件下で線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングすることであって;それによって環状ポリリボヌクレオチドを作製することにより環状ポリリボヌクレオチドを(例えば、無細胞システムにおいて)作製する方法を提供する。
【0276】
一部の実施形態において、本開示は、線状ポリリボヌクレオチドをコードするデオキシリボヌクレオチドを提供すること;無細胞システムにおいてデオキシリボヌクレオチドを転写して線状ポリリボヌクレオチドを作製すること;任意選択でスプライシング適合性の線状ポリリボヌクレオチドを精製すること;及び線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに好適な条件下で線状ポリリボヌクレオチドを自己スプライシングすることであって、それによって環状ポリリボヌクレオチドを作製することにより環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法を提供する。
【0277】
一部の実施形態において、本開示は、線状ポリリボヌクレオチドをコードするデオキシリボヌクレオチドを提供すること;無細胞システムにおいてデオキシリボヌクレオチドを転写して線状ポリリボヌクレオチドを作製することにおいて、転写が、線状ポリリボヌクレオチドの3’及び5’スプライス部位のスプライシングに好適な条件下で溶液中で行われることであって、それによって環状ポリリボヌクレオチドを作製することにより環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法を提供する。一部の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、5’スプリット-イントロン及び3’スプリット-イントロン(例えば、環状ポリリボヌクレオチドの作製用の自己スプライシング構築物)を含む。一部の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、5’アニーリング領域と3’アニーリング領域とを含む。
【0278】
インビトロ転写及び/又は自己スプライシングに好適な条件は、1つ以上の点で生理的条件を模倣する任意の条件(例えば、水性緩衝液又は溶液など、溶液又は緩衝液)を含み得る。一部の実施形態において、好適な条件としては、0.1~100mM Mg2+イオン又はその塩(例えば、1~100mM、1~50mM、1~20mM、5~50mM、5~20mM、又は5~15mM)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、1~1000mM K+イオン又はKClなど、その塩(例えば、1~1000mM、1~500mM、1~200mM、50~500mM、100~500mM、又は100~300mM)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、1~1000mM Cl-イオン又はKClなど、その塩(例えば、1~1000mM、1~500mM、1~200mM、50~500mM、100~500mM、又は100~300mM)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、0.1~100mM Mn2+イオン又はMnCl2など、その塩(例えば、0.1~100mM、0.1~50mM、0.1~20mM、0.1~10mM、0.1~5mM、0.1~2mM、0.5~50mM、0.5~20mM、0.5~15mM、0.5~5mM、0.5~2mM、又は0.1~10mM)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、ジチオスレイトール(DTT)(例えば、1~1000μM、1~500μM、1~200μM、50~500μM、100~500μM、100~300μM、0.1~100mM、0.1~50mM、0.1~20mM、0.1~10mM、0.1~5mM、0.1~2mM、0.5~50mM、0.5~20mM、0.5~15mM、0.5~5mM、0.5~2mM、又は0.1~10mM)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、0.1mM~100mMリボヌクレオシド三リン酸(NTP)(例えば、0.1~100mM、0.1~50mM、0.1~10mM、1~100mM、1~50mM、又は1~10mM)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、4~10のpH(例えば、5~9のpH、6~9のpH、又は6.5~8.5のpH)が挙げられる。一部の実施形態において、好適な条件としては、4℃~50℃の温度(例えば、10℃~40℃、15℃~40℃、20℃~40℃、又は30℃~40℃)が挙げられる、
【0279】
一部の実施形態において線状ポリリボヌクレオチドは、デオキシリボ核酸、例えば、本明細書に記載されるデオキシリボ核酸、例えば、DNAベクター、線状化DNAベクター、又はcDNAなどから作製される。一部の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、デオキシリボ核酸から無細胞システムにおける転写(例えば、インビトロ転写)によって転写される。
【0280】
別の例において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞、例えば、原核細胞又は真核細胞で作製されてもよい。一部の実施形態において、細胞に、外因性ポリリボヌクレオチド(例えば、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド又は本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの転写をコードするDNA分子)が提供される。線状ポリリボヌクレオチドは、細胞において、細胞に提供された外因性DNA分子から転写されてもよい。線状ポリリボヌクレオチドは、細胞において、細胞に一過性に提供された外因性組換えDNA分子から転写されてもよい。一部の実施形態において、外因性DNA分子は、細胞のゲノムに組み込まれない。一部の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、細胞において、細胞のゲノムに組み込まれた組換えDNA分子から転写される。
【0281】
一部の実施形態において、細胞は原核細胞である。一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドを含む原核細胞は、細菌細胞又は古細菌細胞であってもよい。例えば、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドを含む原核細胞は、大腸菌(E coli)、好塩性古細菌(例えば、ハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcaniii))、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、シアノバクテリア類(例えば、シネココッカス・エロンガツス(Synechococcus elongatus)、スピルリナ属種(Spirulina spp.)(アルスロスピラ属種(Arthrospira spp.)、及びシネコシスティス属種(Synechocystis spp.))、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、放線菌類(例えば、ノノムラエア属(Nonomuraea)、キタサトスポラ属(Kitasatospora)、又はサーモビフィダ属(Thermobifida))、バチルス属種(Bacillus spp.)(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus))、ベータプロテオバクテリア(例えば、バークホルデリア属(Burkholderia))、アルファプロテオバクテリア(例えば、アグロバクテリウム属(Agrobacterium))、シュードモナス属(Pseudomonas)(例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida))、及び腸内細菌であってもよい。原核細胞は培養培地で成長させてもよい。原核細胞は、バイオリアクターに入れてもよい。
【0282】
細胞は真核細胞であってもよい。一部の実施形態において、真核細胞は、単細胞真核細胞である。一部の実施形態において、単細胞真核生物は、酵母細胞(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及び他のサッカロマイセス属種(Saccharomyces spp.)、ブレタノマイセス属種(Brettanomyces spp.)、シゾサッカロマイセス属種(Schizosaccharomyces spp.)、トルラスポラ属種(Torulaspora spp)、及びピキア属種(Pichia spp.))などの単細胞真菌細胞である。一部の実施形態において、単細胞真核細胞は、単細胞動物細胞である。単細胞動物細胞は、多細胞動物から単離して培養下で成長させた細胞であってもよい。一部の実施形態において、単細胞動物細胞は、脱分化型であってもよい。一部の実施形態において、単細胞真核細胞は、単細胞植物細胞である。単細胞植物細胞は、多細胞植物から単離して培養下で成長させた細胞、又はその娘細胞であってもよい。一部の実施形態において、単細胞植物細胞は、脱分化型であってもよい。一部の実施形態において、単細胞植物細胞は、植物カルスからのものである。実施形態において、単細胞の細胞は、植物細胞プロトプラストである。一部の実施形態において、単細胞真核細胞は、単細胞緑藻、珪藻、ユーグレナ藻、又は渦鞭毛藻など、単細胞真核藻類細胞である。目的の単細胞真核藻類の非限定的な例としては、ドゥナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ・ゾフィンギエンシス(Chlorella zofingiensis)、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ネオクロリス・オレオアバンダンス(Neochloris oleoabundans)及び他のネオクロリス属種(Neochloris spp.)、プロトシフォン・ボトリオイデス(Protosiphon botryoides)、ボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)、クリプトコッカス属種(Cryptococcus spp.)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)及び他のコナミドリムシ属種(Chlamydomonas spp.)が挙げられる。一部の実施形態において、単細胞真核細胞は、原生生物細胞である。一部の実施形態において、単細胞真核細胞は、原虫細胞である。
【0283】
一部の実施形態において、真核細胞は、多細胞真核生物の細胞である。例えば、多細胞真核生物は、脊椎動物、無脊椎動物、多細胞真菌、多細胞藻類、及び多細胞植物からなる群から選択されてもよい。一部の実施形態において、真核生物は、ヒトである。一部の実施形態において、真核生物は、非ヒト脊椎動物である。一部の実施形態において、真核生物は、無脊椎動物である。一部の実施形態において、真核生物は、多細胞真菌である。一部の実施形態において、真核生物は、多細胞植物である。実施形態において、真核細胞は、ヒトの細胞又は非ヒト哺乳類、例えば、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄類(例えば、ウシ、スイギュウ、バイソン、ヒツジ、ヤギ、及びジャコウウシを含めたウシ科動物;ブタ;ラクダ、ラマ、及びアルパカを含めたラクダ科動物;シカ、アンテロープ;並びにウマ及びロバを含めたウマ科動物)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、リス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ、ノウサギ)の細胞である。実施形態において、真核細胞は、トリ、例えば鳥類の分類群であるキジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎下綱(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeon)、ハト(dove))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)のメンバーの細胞である。実施形態において、真核細胞は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体動物の細胞である。実施形態において、真核細胞は、多細胞植物、例えば、被子植物(これは双子葉類又は単子葉類であってもよい)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ、イチョウ)、シダ類、トクサ類、ヒカゲノカズラ類、又はコケ類などの細胞である。実施形態において、真核細胞は、真核多細胞藻類の細胞である。
【0284】
真核細胞は培養培地で成長させてもよい。真核細胞はバイオリアクターに入れてもよい。
【0285】
バイオリアクターの例としては、限定なしに、撹拌槽型(例えば、十分に混合される)バイオリアクター及び管型(例えば、栓流)バイオリアクター、エアリフト型バイオリアクター、膜撹拌槽、スピンフィルタ撹拌槽、振動ミキサー、流動床反応器、及び膜型バイオリアクターが挙げられる。バイオリアクターの運転モードは、バッチプロセス又は連続プロセスであり得る。試薬及び生成物の流れが連続的に供給され、システムから抜き取られるとき、バイオリアクターは連続である。バッチバイオリアクターは、連続した再循環流を有するが、試薬の供給又は産物回収は連続でないものであり得る。本開示の一部の方法は、環状ポリリボヌクレオチドの大規模生産に関する。大規模生産方法には、本方法が1リットル(L)~50L、又はそれ以上の(例えば、5L、10L、15L、20L、25L、30L、35L、40L、45L、50L、又はそれ以上の)容積で実施されてもよい。一部の実施形態において、本方法は、5L~10L、5L~15L、5L~20L、5L~25L、5L~30L、5L~35L、5L~40L、5L~45L、10L~15L、10L~20L、10L~25L、20L~30L、10L~35L、10L~40L、10L~45L、10L~50L、15L~20L、15L~25L、15L~30L、15L~35L、15L~40L、15L~45L、又は15~50Lの容積で実施されてもよい。一部の実施形態において、バイオリアクターは少なくとも1gの環状RNAを生産し得る。一部の実施形態において、バイオリアクターは1~200gの環状RNA(例えば、1~10g、1~20g、1~50g、10~50g、10~100g、50~100g、50~200gの環状RNA)を生産し得る。一部の実施形態において、生産量は、1リットル当たり(例えば、1リットル当たり1~200g)、1回のバッチ又は反応当たり(例えば、1回のバッチ又は反応当たり1~200g)、又は単位時間当たり(例えば、1時間当たり又は1日当たり1~200g)で測定される。一部の実施形態において、生産能力を増加させるため、2つ以上のバイオリアクターを直列に接続して利用し得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9機のバイオリアクターを直列に接続して使用し得る)。
【0286】
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの作成方法については、例えば、Khudyakov & Fields,Artificial DNA:Methods and Applications,CRC Press(2002);in Zhao,SYNTHETIC BIOLOGY:TOOLS AND APPLICATIONS,(First Edition),Academic Press(2013);及びEgli & Herdewijn,CHEMISTRY AND BIOLOGY OF ARTIFICIAL NUCLEIC ACIDS,(First Edition),Wiley-VCH(2012)に記載されている。
【0287】
環状ポリリボヌクレオチドを合成する様々な方法はまた、他にも記載されている(例えば、米国特許第6210931号明細書、米国特許第5773244号明細書、米国特許第5766903号明細書、米国特許第5712128号明細書、米国特許第5426180号明細書、米国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開第1992001813号パンフレット、国際公開第2010084371号パンフレット、及びPetkovic et al.,Nucleic Acids Res.43:2454-65(2015)を参照のこと;これらの各々の内容は、本明細書において全体として参照により援用される)。
【0288】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、精製され、例えば、遊離リボ核酸、線状又はニックRNA、DNA、タンパク質などは、除去される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、当該技術分野で一般に用いられる任意の公知の方法によって精製されてもよい。非限定的な精製方法の例として、カラムクロマトグラフィー、ゲル切除、サイズ排除などが挙げられる。
【0289】
免疫化
一部の実施形態において、本開示の方法は、本明細書に開示されるとおりの環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で対象を免疫化することを含む。一部の実施形態において、免疫原は環状ポリリボヌクレオチドから発現する。一部の実施形態において、免疫化により、環状ポリリボヌクレオチドから発現する免疫原に対する免疫応答が対象に誘導される。一部の実施形態において、免疫化により、対象に免疫応答が誘導される(例えば、環状ポリリボヌクレオチドから発現する免疫原に結合する抗体の産生が誘導される)。一部の実施形態において、免疫化は、対象(例えば、ヒト対象)の疾患、障害、又は病態を治療又は予防することを目的とする。一部の実施形態において、免疫化は、対象において抗体を産生させること(例えば、非ヒト哺乳類の場合にあるような、精製するための抗体を産生させること)を目的とする。一部の実施形態において、免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチドと、希釈剤、担体、第1のアジュバント又はこれらの組み合わせとを単一の組成物中に含む。一部の実施形態において、対象は、第2のアジュバントでさらに免疫化される。一部の実施形態において、対象は、第2の免疫原性組成物でさらに免疫化される。
【0290】
対象は、任意の数の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。対象は、例えば、少なくとも1個の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。対象は、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20個の異なる環状ポリリボヌクレオチド、又はそれ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。一部の実施形態において、対象は、多くても1個の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。一部の実施形態において、対象は、約1個の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。一部の実施形態において、対象は、約1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~20、2~15、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~20、3~15、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~20、4~15、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、4~4、4~3、5~20、5~15、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、5~10、10~15、又は15~20個の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。異なる環状ポリリボヌクレオチドは、互いに異なる配列を有する。例えば、それらは、異なる免疫原、重複する免疫原、類似した免疫原、又は同じ免疫原(例えば、同じ又は異なる調節エレメント、開始配列、プロモーター、終結エレメント、又は本開示の他のエレメントを有する)を含むか、又はそれをコードすることができる。2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で対象が免疫化される場合には、それらの2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドは、同じ又は異なる免疫原性組成物中にあり、同じ時点又は異なる時点で免疫化することができる。2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与することができる。
【0291】
一部の実施形態において、免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチドと、希釈剤、担体、第1のアジュバント、又はこれらの組み合わせとを含む。詳細な実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドと、担体又はいかなる担体も含有しない希釈剤とを含む。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドをいかなる担体も含有しない希釈剤と共に含む免疫原性組成物は、対象への環状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。別の詳細な実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドと第1のアジュバントとを含む。
【0292】
特定の実施形態において、対象にはさらに第2のアジュバントが投与される。アジュバントは自然免疫応答を亢進させ、ひいては、対象の適応免疫応答を亢進させる。アジュバントは、以下で考察するとおりの任意のアジュバントであってよい。特定の実施形態において、アジュバントは、免疫原性組成物の一部として環状ポリリボヌクレオチドと共に製剤化される。特定の実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の一部ではない。特定の実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と別個に投与される。この態様において、アジュバントは、対象に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)、又は異なる時点で投与される。例えば、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1分後、5分後、10分後、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、18時間後、20時間後、22時間後、又は24時間後、又はこれらの間のいずれかの分数後若しくは時間数後に投与される。一部の実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1分前、5分前、10分前、15分前、30分前、45分前、60分前、90分前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、12時間前、14時間前、16時間前、18時間前、20時間前、22時間前、又は24時間前、又はこれらの間のいずれかの分数前若しくは時間数前に投与される。例えば、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、又は84日後、又はこれらの間のいずれかの日数後に投与される。一部の実施形態において、アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、又は84日前、又はこれらの間のいずれかの日数前に投与される。アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与される。
【0293】
一部の実施形態において、対象は、第2の薬剤、例えば、環状ポリリボヌクレオチドでないワクチン(以下に記載するとおり)でさらに免疫化される。このワクチンは、対象に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)、又は異なる時点で投与される。例えば、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1分後、5分後、10分後、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、18時間後、20時間後、22時間後、又は24時間後、又はこれらの間のいずれかの分数後若しくは時間数後に投与される。一部の実施形態において、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1分前、5分前、10分前、15分前、30分前、45分前、60分前、90分前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、12時間前、14時間前、16時間前、18時間前、20時間前、22時間前、又は24時間前、又はこれらの間のいずれかの分数前若しくは時間数前に投与される。例えば、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、又は84日後、又はこれらの間のいずれかの日数後に投与される。一部の実施形態において、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、又は84日前、又はこれらの間のいずれかの日数前に投与される。
【0294】
対象は、免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで、所望の応答を実現するのに好適な任意の回数免疫化されてもよい。例えば、プライム-ブースト免疫化戦略を利用して、全身免疫及び/又は粘膜免疫を引き出すことができる。対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで、例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、又は少なくとも15回、又はそれより多く免疫化されてもよい。
【0295】
一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで多くても2回、多くても3回、多くても4回、多くても5回、多くても6回、多くても7回、多くても8回、多くても9回、多くても10回、多くても15回、又は多くても20回、又はそれより少なく免疫化されてもよい。
【0296】
一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで約1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、又は20回免疫化されてもよい。
【0297】
一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで1回免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで2回免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで3回免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで4回免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで5回免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで7回免疫化されてもよい。
【0298】
2回以上の免疫化の間を空けるのに好適な時間間隔を選択することができる。時間間隔は、同じ免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせによる複数回の免疫化に適用することができ、例えば、同じ免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせを同じ量で、又は異なる量で、同じ免疫化経路によるか、又は異なる免疫化経路によって投与することができる。時間間隔は、異なる免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせによる複数回の免疫化に適用することができ、例えば、異なる免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせを同じ量で、又は異なる量で、同じ免疫化経路によるか、又は異なる免疫化経路によって投与することができる。時間間隔は、異なる薬剤、例えば、第1の環状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及び第2の環状ポリリボヌクレオチドを含む第2の免疫原性組成物による免疫化に適用することができる。時間間隔は、異なる薬剤、例えば、第1の環状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及びタンパク質免疫原(例えば、タンパク質サブユニット)を含む第2の免疫原性組成物による免疫化に適用することができる。一部の例において、2回の免疫化の間には、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36時間、40時間、48時間、又は72時間が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、21日、24日、28日、又は30日が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、約1、2、3、4、5週間、6週間、7週間、又は8週間が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、約1、2、3、4、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、又は8ヵ月が経過する。
【0299】
一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも24、少なくとも36、又は少なくとも72時間、又はそれ以上が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、多くても1、多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9、多くても10、多くても15、多くても20、多くても24、多くても36、又は多くても72時間、又はそれ未満が経過する。
【0300】
一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26 少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、又は少なくとも30日、又はそれ以上が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9、多くても10、多くても15、多くても20、多くても21、多くても22、多くても23、多くても24、多くても25、多くても26、多くても27、多くても28、多くても29、多くても30、多くても32、多くても34、又は多くても36日、又はそれ未満が経過する。
【0301】
一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8週間、又はそれ以上が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8週間、又はそれ未満が経過する。
【0302】
一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、又は少なくとも8ヵ月、又はそれ以上が経過する。一部の実施形態において、2回の免疫化の間には、多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8ヵ月、多くても9ヵ月、多くても10ヵ月、多くても11ヵ月、又は多くても12ヵ月又はそれ未満が経過する。
【0303】
一部の実施形態において、本方法は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫原性応答を改善するため、対象に薬剤を前投与することを含む。一部の実施形態において、この薬剤は、本明細書に開示されるとおりの免疫原(例えば、タンパク質免疫原)である。例えば、本方法は、タンパク質免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを投与する1~7日前にタンパク質免疫原を投与することを含む。一部の実施形態において、タンパク質免疫原は、タンパク質免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを投与する1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。タンパク質免疫原は、タンパク質調製物として投与される、プラスミド(pDNA)にコードされる、ウイルス様粒子(VLP)の体裁にされる、脂質ナノ粒子に製剤化されるなどであってもよい。
【0304】
一部の実施形態において、本方法は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドが対象に投与された後の免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫原性応答を改善するため、対象に薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、この薬剤は、本明細書に開示されるとおりの免疫原(例えば、タンパク質免疫原)である。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質免疫原をコードする配列を含む。例えば、本方法は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを対象に投与してから1年以内に(例えば、11ヵ月、10ヵ月、9ヵ月、8ヵ月、7ヵ月、6ヵ月、5ヵ月、4ヵ月、3ヵ月、2ヵ月、及び1ヵ月以内に)タンパク質免疫原を投与することを含む。一部の実施形態において、本方法は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドのいずれか1つ又は本明細書に記載される免疫原性組成物のいずれか1つ及びタンパク質サブユニットを対象に投与することを含む。
【0305】
一部の実施形態において、タンパク質免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原と同じアミノ酸配列を有する。例えば、ポリペプチド免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドの配列によってコードされるポリペプチド免疫原とのアミノ酸配列同一性に対応し得る(例えば、90%、95%、96%、97%、98%、又は100%共有し得る)。一部の実施形態において、タンパク質免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる免疫原のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。例えば、ポリペプチド免疫原は、環状ポリリボヌクレオチドの配列によってコードされるポリペプチド免疫原と90%未満の(例えば、80%、70%、30%、20%、又は10%の)アミノ酸配列同一性を共有し得る。
【0306】
対象は、免疫原性組成物、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせで、任意の好適な数の解剖学的部位に免疫化されてもよい。複数の解剖学的部位に同じ免疫原性組成物、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせを投与することができ、異なる解剖学的部位に同じ又は異なる環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はこれらの組み合わせを含む異なる免疫原性組成物を投与することができ、同じ解剖学的部位に同じ又は異なる環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はこれらの組み合わせを含む異なる免疫原性組成物を投与することができ、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を2つの異なる解剖学的部位に投与することができ、及び/又は環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を1つの解剖学的部位に投与することができ、及びアジュバントを異なる解剖学的部位に投与することができる。
【0307】
任意の2つ以上の解剖学的経路における免疫化は、同じ免疫化経路(例えば、筋肉内)を経てもよく、又は2つ以上の免疫化経路によってもよい。一部の実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせを含む免疫原性組成物は、対象の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、又は少なくとも6箇所の解剖学的部位に免疫される。一部の実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、アジュバント、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はこれらの組み合わせを含む免疫原性組成物は、対象の多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9、又は多くても10箇所の解剖学的部位に、又はそれより少ない箇所に免疫される。一部の実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、又はアジュバントは、対象の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10箇所の解剖学的部位に免疫される。
【0308】
免疫化は、任意の好適な経路によることができる。免疫化経路の非限定的な例としては、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜上、胸骨内、脳内、眼内、病巣内、脳室内、大槽内、又は実質内への、例えば、注射及び注入が挙げられる。ある場合には、免疫化は、吸入によることができる。2回以上の免疫化は、同じ経路によるか、又は異なる経路によって行うことができる。
【0309】
本開示の対象には、任意の好適な量の環状ポリリボヌクレオチドを投与することができる。例えば、対象は、少なくとも約1ng、少なくとも約10ng、少なくとも約100ng、少なくとも約1μg、少なくとも約10μg、少なくとも約、少なくとも約100μg、少なくとも約1mg、少なくとも約10mg、少なくとも約100mg、又は少なくとも約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、多くても約1ng、多くても約10ng、多くても約100ng、多くても約1μg、多くても約10μg、多くても約、多くても約100μg、多くても約1mg、多くても約10mg、多くても約100mg、又は多くても約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化されてもよい。一部の実施形態において、対象は、約1ng、約10ng、約100ng、約1μg、約10μg、約、約100μg、約1mg、約10mg、約100mg、又は約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化されてもよい。
【0310】
一部の実施形態において、本方法は、対象を免疫原に対する抗体応答に関して評価することをさらに含む。一部の実施形態において、評価は、免疫原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与前及び/又は投与後である。
【0311】
抗体の産生及び精製
本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、VZV免疫原をコードするポリリボヌクレオチド)で対象を免疫化すると、対象において、環状ポリリボヌクレオチドから発現する免疫原に結合する抗体の産生が誘導される(例えば、抗VZV抗体が作製される)ことになり得る。一部の実施形態において、免疫化は、対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)における抗体の産生を目的とし、この抗体は対象から(例えば、診断又は治療使用のため)定量化又は精製される。このように、本発明の環状ポリリボヌクレオチドは、ポリクローナル又はモノクローナル抗体(例えば、ポリクローナル又はモノクローナル抗VZV抗体)の産生方法において使用し得る。
【0312】
例えば、本開示は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド(例えば、VZV免疫原をコードする)を非ヒト動物(例えば、ヤギ、ブタ、ウサギ、ラット、マウス、ラマ、ラクダ、ウマ、ロバ、又はウシ(乳牛)などの非ヒト哺乳類)に投与することを提供する。環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載される任意の組成物、製剤、経路又は投与、量、又は用量投与レジメンに従い(例えば、任意選択で、同じ組成物で又は用量投与レジメンの一環として投与されるアジュバントと共に)投与されてもよい。一部の実施形態において、非ヒト動物は、ヒト化された免疫系を有する(例えば、ヒト化された免疫系を有するウシ)。
【0313】
環状ポリリボヌクレオチドで免疫化された対象から、本明細書に開示されるとおりの環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物から産生されるポリクローナル抗体を含む血漿を収集することができる。こうしたポリクローナル抗体は、定量化(例えば、ヒト対象における診断目的で)又は精製(例えば、治療方法における使用のため又はモノクローナル抗体の開発のため)することができる。血漿は、当業者に公知の方法により、例えば、プラスマフェレーシスで収集することができる。血漿は、同じ対象から1回又は複数回、例えば、各々免疫化から所与の期間後に複数回、免疫化後複数回、免疫化の間に複数回、又はこれらの任意の組み合わせで収集することができる。
【0314】
本明細書に記載される方法によれば、VZV免疫原(例えば、本明細書に記載されるVZV免疫原)に特異的に結合する抗体、又はその断片(例えば、ヒト又はヒト化ポリクローナル抗体など、ポリクローナル抗体)が産生され得る。抗体、又はその断片は、血液から(例えば、血漿又は血清から)当業者に公知の方法により精製されてもよい。
【0315】
ポリクローナル抗体は、血漿から当業者に周知の技法を用いて精製し得る。例えば、血漿のpHを4.8に調整し(例えば、20%酢酸を滴下して加えることによる)、カプリル酸により1.0のカプリル酸/全タンパク質比で分画し、次に遠心(例えば、室温にて10,000gで20分間)により清澄化する。ポリクローナル抗体(例えば、IgGポリクローナル抗体)を含有する上清を1MトリスでpH7.5に中和し、0.22μMフィルタでろ過し、抗ヒト免疫グロブリン特異的カラム(例えば、抗ヒトIgG軽鎖特異的カラム)でアフィニティー精製する。ポリクローナル抗体は、不純物、例えば、非ヒト動物からの非ヒト抗体に特異的に結合するアフィニティーカラムに通すことによりさらに精製する。このポリクローナル抗体を好適な緩衝液、例えば、10mMグルタミン酸モノナトリウム塩、262mM D-ソルビトール、及びTween(登録商標)(0.05mg/ml)からなる滅菌ろ過した緩衝液(pH5.5)に保存する。精製したポリクローナル抗体の分量及び濃度を決定する。HPLCサイズ排除クロマトグラフィーを行うことにより、凝集体又は多量体が存在するかどうかを決定する。一部の実施形態において、ヒトポリクローナル抗体は、Beigel,JH et al.(LANCET INFECT.DIS.,18:410-418(2018),including Supplementary appendix(これは全体として参照により本明細書に援用される)に係るヒト化免疫系を有する非ヒト動物から精製される。
【0316】
本開示はまた、例えば、治療的処置及び/又は診断のため、ヒト対象において抗体を産生する方法も提供する。例えば、本開示は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物の投与後に対象の抗VZV抗体レベルを定量化する方法を提供する。定量体化は、当該技術分野において公知の方法により(例えば、抗体力価を実施する)、例えば、対象から血液試料を入手し、及び抗VZV抗体レベルを酵素結合免疫測定法(ELISA)などの標準的な技法を用いて定量化することにより実施し得る。抗体はまた、当業者に公知の方法により精製されてもよい。
【0317】
アジュバント
アジュバントは、アジュバント及び/又はアジュバントを含む免疫原性組成物の投与を受けた対象に引き出される免疫応答(体液性及び/又は細胞性)を亢進させる。一部の実施形態において、アジュバントは、本明細書に開示されるとおり対象に投与される。一部の実施形態において、アジュバントは、本明細書に記載される方法において、本明細書に記載されるとおり免疫応答を生じさせるために使用される。詳細な実施形態において、アジュバントを使用して、環状ポリリボヌクレオチドから発現する免疫原に対する対象の免疫応答が促進される。一部の実施形態において、アジュバント及びポリリボヌクレオチドは別個の組成物で共投与される。一部の実施形態において、アジュバントはポリリボヌクレオチドと共に単一の組成物に混合又は製剤化され、対象に投与される。一部の実施形態において、アジュバント及び環状ポリリボヌクレオチドは別個の組成物で共投与される。一部の実施形態において、アジュバントを環状ポリリボヌクレオチドと共に単一の組成物に混合又は製剤化することにより、対象に投与される免疫原性組成物が入手される。
【0318】
アジュバントは、環状ポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチド配列)の一成分であってもよく、ポリリボヌクレオチドの発現配列によってコードされるポリペプチドアジュバントであってもよく、ポリリボヌクレオチドによってコードされない分子(例えば、小分子、ポリペプチド、又は核酸分子)であってもよい。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドと共に同じ医薬組成物に製剤化されてもよい。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドと組み合わせて別個に(例えば、別個の医薬組成物として)投与されてもよい。
【0319】
一部の実施形態において、アジュバントは環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2個以上のアジュバントをコードする。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、2~100個のアジュバントをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2~10個のアジュバントをコードする。一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2個のアジュバントをコードする。環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるアジュバントの1つ以上はN末端シグナル配列を含んでもよく、例えば、発現したポリペプチドアジュバントが分泌経路に導かれる。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、3個のアジュバントをコードする。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、4個のアジュバントをコードする。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、5個のアジュバントをコードする。一部の実施形態において、アジュバントは、1つ以上の免疫原をコードするのと同じポリリボヌクレオチドによってコードされる。アジュバント及び免疫原は、同じポリリボヌクレオチド上で共送達されてもよい。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドによってコードされるアジュバントは、自然免疫系刺激因子である配列(例えば、ポリリボヌクレオチド配列)である。自然免疫系刺激因子配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、又は少なくとも500個のリボヌクレオチドを含み得る。自然免疫系刺激因子配列は、5~1000、10~500、20~500、10~100、20~100、20~50、100~500、500~1000、又は10~1000個のリボヌクレオチドを含み得る。例えば、自然免疫系刺激因子である配列は、GUリッチモチーフ、AUリッチモチーフ、dsRNAを含む構造化された領域、又はアプタマーから選択され得る。
【0320】
アジュバントは、TH1アジュバント及び/又はTH2アジュバントであり得る。本開示によって企図される更なるアジュバントとしては、限定はされないが、以下のうちの1つ以上が挙げられる:
【0321】
ミネラル含有組成物。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適なミネラル含有組成物としては、アルミニウム塩、及びカルシウム塩など、ミネラル塩が挙げられる。本開示には、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、水酸化リン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩等などのミネラル塩、又は異なるミネラル化合物であって、任意の好適な形態(例えば、ゲル、結晶、アモルファス等)をとる化合物の混合物が含まれる。カルシウム塩としては、リン酸カルシウム(例えば、「CAP」)が挙げられる。アルミニウム塩としては、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられる。
【0322】
油性エマルション組成物。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適な油性エマルション組成物としては、スクアレン-水エマルション、例えば、MF59(5%スクアレン、0.5%Tween(登録商標) 80及び0.5%Span(登録商標)、マイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子となるように製剤化される)、AS03(水中油型エマルション中のα-トコフェロール、スクアレン及びポリソルベート80)、Montanide製剤(例えば、Montanide ISA 51、Montanide ISA 720)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、完全フロイントアジュバント(CFA)、及び不完全フロイントアジュバント(IFA)が挙げられる。
【0323】
小分子。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適な小分子としては、イミキモド又は847、レシキモド又はR848、及びガーディキモドが挙げられる。
【0324】
ポリマーナノ粒子。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適なポリマーナノ粒子としては、ポリ(a-ヒドロキシ酸)類、ポリヒドロキシ酪酸類、ポリラクトン類(ポリカプロラクトン類を含む)、ポリジオキサノン類、ポリバレロラクトン、ポリオルトエステル類、ポリ無水物類、ポリシアノアクリレート類、チロシン誘導体ポリカーボネート類、ポリビニル-ピロリジノン類又はポリエステル-アミド類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0325】
サポニン(即ち、グリコシド、1つ以上の糖側鎖に結び付いている多環式アグリコン)。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適なサポニン製剤としては、QS21などの精製製剤、並びにISCOM及びISCOMマトリックスなどの脂質製剤が挙げられる。QS21は、STIMULON(商標)という商品名で販売されている。サポニン製剤はまた、コレステロールなど、ステロールも含み得る。サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用すると、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれるユニークな粒子を形成することができる。ISCOMはまた、典型的には、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。任意の公知のサポニンをISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA及びQHCの1つ以上を含む。任意選択で、ISCOMは、追加的なデタージェントを欠いていてもよい。
【0326】
リポ多糖類。本開示における使用に好適なアジュバントとしては、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性の誘導体が挙げられる。かかる誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPLA)、グルコピラノシルリピドA(GLA)及び3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4、5又は6本のアシル化鎖を伴う3つの脱O-アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。他の非毒性LPS誘導体としては、アミノアルキルグルコサミニドリン酸塩誘導体(例えば、RC-529)など、モノホスホリルリピドA模倣体が挙げられる。
【0327】
リポソーム。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適なリポソームとしては、ビロソーム及びCAF01が挙げられる。
【0328】
脂質ナノ粒子。本開示における使用に好適なアジュバントとしては、脂質ナノ粒子(LNP)及びその成分が挙げられる。
【0329】
リポペプチド(即ち、1つ以上の脂肪酸残基及び2つ以上のアミノ酸残基を含む化合物)。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適なリポペプチドとしては、Pam2(Pam2CSK4)及びPam3(Pam3CSK4)が挙げられる。
【0330】
糖脂質。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適な糖脂質としては、コードファクター(トレハロースジミコレート)が挙げられる。
【0331】
MDP(N-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン)など、グラム陰性菌又はグラム陽性菌に由来する(合成の又は精製された)ペプチド及びペプチドグリカンは、本開示におけるアジュバントとしての使用に好適である。
【0332】
アジュバントとしての使用に好適な炭水化物(炭水化物含有)又は多糖類としては、デキストラン(例えば、分岐微生物多糖)、デキストラン硫酸塩、レンチナン、ザイモサン、βグルカン、デルチン(deltin)、マンナン、及びキチンが挙げられる。
【0333】
RNAベースのアジュバント。本開示における使用に好適なRNAベースのアジュバントは、ポリIC、ポリIC:LC、5’三リン酸を含む又は含まないヘアピンRNA、ウイルス配列、ポリU含有配列、dsRNA 天然又は合成RNA配列(例えば、ポリI:C)、及び核酸類似体(例えば、サイクリックGMP-AMP又は他の環状ジヌクレオチド、例えば、サイクリックジ-GMP、免疫刺激性塩基類似体、例えば、C8置換及びN7,C8二置換グアニンリボヌクレオチド)である。一部の実施形態において、アジュバントは、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの線状ポリリボヌクレオチド対応物である。
【0334】
DNAベースのアジュバント。本開示における使用に好適なDNAベースのアジュバントとしては、CpG類(例えば、CpG1018)、dsDNA、及び天然又は合成免疫刺激性DNA配列が挙げられる。
【0335】
タンパク質又はペプチド。本開示におけるアジュバントとしての使用に好適なタンパク質及びペプチドとしては、フラジェリン融合タンパク質、MBL(マンノース結合レクチン)、サイトカイン、及びケモカインが挙げられる。
【0336】
ウイルス粒子。アジュバントとしての使用に好適なウイルス粒子としては、ビロソーム(リン脂質細胞膜二重層)が挙げられる。
【0337】
本開示における使用のためのアジュバントは、フラジェリン、LPS、又は細菌毒素(例えば、エンテロトキシン(タンパク質)、例えば、易熱性毒素又はコレラ毒素)など、細菌由来であってもよい。本開示における使用のためのアジュバントは、イミキモドにコンジュゲートしたCpGなど、ハイブリッド分子であってもよい。本開示における使用のためのアジュバントは、キチン又はβグルカンなど、真菌又は卵菌微生物関連分子パターン(MAMP)であってもよい。一部の実施形態において、アジュバントは、金ナノロッド又はシリカベースのナノ粒子(例えば、メソ多孔質シリカナノ粒子(MSN))など、無機ナノ粒子である。一部の実施形態において、アジュバントは、多成分アジュバント又はアジュバントシステム、例えば、AS01(AS01B)、AS03、AS04(MLP5+ミョウバン)、ミョウバン(水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとの混合物)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、CFA(完全フロイントアジュバント:IFA+ペプチグリカン(peptiglycan)+トレハロースジミコレート)、CAF01(2成分系のカチオン性リポソーム媒体(ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA))を糖脂質免疫調節薬(トレハロース6,6-ジベヘン酸(TDB)、これはマイコバクテリア細胞壁に位置するコードファクターの合成変異体であり得る)で安定化させたものなどである。
【0338】
サイトカイン。アジュバントは、炎症誘発性サイトカイン(例えば、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、TGF-β、TNF-α、TNF-β)、Th-1誘導サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18)、又はTh-2誘導サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13)など、サイトカインをコードする部分的又は完全長DNAであってもよい。
【0339】
ケモカイン。アジュバントは、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、ランテス、又はTCA-3など、ケモカインをコードする部分的又は完全長DNA又はRNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又はmRNA)であってもよい。
【0340】
アジュバントは、CD80、CD86、CD40-L、CD70、又はCD27など、共刺激分子をコードする部分的又は完全長DNAであってもよい。
【0341】
アジュバントは、TLR4、TLR3、TLR3、TLR9、TLR7、TLR8、TLR7、RIG-I/DDX58、又はMDA-5/IFIH1など、自然免疫系刺激因子(部分的、完全長、又は突然変異型);又はcaTLR4、caTLR3、caTLR3、caTLR9、caTLR7、caTLR8、caTLR7、caRIG-I/DDX58、又はcaMDA-5/IFIH1など、構成的に活性な(ca)自然免疫刺激因子をコードする部分的又は完全長DNA又はRNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又はmRNA)であってもよい。
【0342】
アジュバントは、アダプター又はシグナル伝達分子、例えば、STING(例えば、caSTING)、TRIF、TRAM、MyD88、IPS1、ASC、MAVS、MAPKs、IKK-α、IKK複合体、TBK1、β-カテニン、及びカスパーゼ1をコードする部分的又は完全長DNA又はRNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又はmRNA)であってもよい。
【0343】
アジュバントは、免疫応答を上方制御することのできる転写活性化因子(例えば、AP1、NF-κB、IRF3、IRF7、IRF1、又はIRF5)など、転写活性化因子をコードする部分的又は完全長DNA又はRNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又はmRNA)であってもよい。アジュバントは、IL-2β、IFN-γ、又はIL-6など、サイトカイン受容体をコードする部分的又は完全長DNAであってもよい。
【0344】
アジュバントは、フラジェリン又はMBLなど、細菌成分をコードする部分的又は完全長DNA又はRNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又はmRNA)であってもよい。
【0345】
アジュバントは、自然免疫系の任意の成分をコードする部分的又は完全長DNA又はRNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又はmRNA)であってもよい。
【0346】
一部の実施形態において、対象には、1つ以上の免疫原をコードする環状ポリリボヌクレオチドがアジュバント(例えば、環状ポリリボヌクレオチドと別個の分子実体であるアジュバント又は別個のポリリボヌクレオチドにコードされるアジュバント)と組み合わせて投与される。本明細書の説明全体を通じて使用されるとおりの用語「~と組み合わせて」には、治療レジメンの一環として投与される任意の2つの組成物が含まれる。これには、例えば、単一の医薬組成物として製剤化されたポリリボヌクレオチド及びアジュバントが含まれてもよい。これにはまた、例えば、決められた治療レジメン又は用量投与レジメンに従い別個の組成物として対象に投与されるポリリボヌクレオチド及びアジュバントが含まれてもよい。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドの投与前に、実質的に同じ時点で、又はその後に対象に投与されてもよい。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドの投与前又は投与後1日、2日、5日、10日、20日、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、又は6ヵ月以内に投与されてもよい。アジュバントは、ポリリボヌクレオチドと同じ投与経路(例えば、皮内に、筋肉内に、皮下に、静脈内に、腹腔内に、局所的に、又は経口的に)又は異なる経路により投与されてもよい。
【0347】
送達
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドは、担体を有する医薬組成物又は担体を有しない医薬組成物に含まれてもよい。
【0348】
本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、薬学的担体及び/又は高分子担体、例えば、リポソームなどの担体を含むように製剤化され、それを必要とする対象(例えば、ヒト又は非ヒトの農業用又は家畜用動物、例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、家禽)に公知の方法によって送達されてもよい。そのような方法として、限定はされないが、トランスフェクション(例えば、脂質媒介性、カチオン性ポリマー、リン酸カルシウム、デンドリマー);エレクトロポレーション又は膜破壊の他の方法(例えば、ヌクレオフェクション)、ウイルス送達(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV)、マイクロインジェクション、微粒子銃(「遺伝子銃」)、fugene、直接音波負荷、細胞圧迫、光学トランスフェクション、プロトプラスト融合、インパレフェクション、マグネトフェクション、エキソソーム媒介移行、脂質ナノ粒子媒介移行、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。送達の方法はまた、例えば、Gori et al.,Delivery and Specificity of CRISPR/Cas9 Genome Editing Technologies for Human Gene Therapy.Human Gene Therapy.July 2015,26(7):443-451.doi:10.1089/hum.2015.074;及びZuris et al.Cationic lipid-mediated delivery of proteins enables efficient protein-based genome editing in vitro and in vivo.Nat Biotechnol.2014 Oct 30;33(1):73-80に記載されている。
【0349】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、「ネイキッド」送達製剤で送達されてもよい。ネイキッド送達製剤は、担体の補助なしに、また環状ポリリボヌクレオチドの共有結合修飾又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全なカプセル封入を伴わずに、環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0350】
ネイキッド送達製剤は、担体から遊離された製剤であり、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わず、環状ポリリボヌクレオチドは、部分的でなく、又は完全にカプセル封入される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を補助するタンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又は生体高分子などの部分に共有結合的に結合されない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、プロタミン又はプロタミン塩(例えば、プロタミン硫酸塩)を有する送達製剤で送達されてもよい。
【0351】
細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わないポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まなくてもよい。例えば、細胞への送達を補助する部分に結合する共有結合修飾を伴わないポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、ホスホロジアミデート、アルキル若しくはアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まなくてもよい。
【0352】
いくつかの実施形態では、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体を含まなくてもよい。例えば、ネイキッド送達製剤は、コハク酸フィトグリコーゲンオクテニル、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まなくてもよい。
【0353】
ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤(non-carrier excipient)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非担体賦形剤は、活性細胞の透過効果を示さない不活性成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非担体賦形剤は、緩衝剤、例えば、PBSを含んでもよい。いくつかの実施形態では、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、平滑剤、又は油であってもよい。
【0354】
いくつかの実施形態では、ネイキッド送達製剤は、非経口的に許容できる希釈剤などの希釈剤を含んでもよい。希釈剤(例えば、非経口的に許容できる希釈剤)は、液体希釈剤又は固体希釈剤であってもよい。いくつかの実施形態では、希釈剤(例えば、非経口的に許容できる希釈剤)は、RNA可溶化剤、緩衝剤、又は等張剤であってもよい。RNA可溶化剤の例として、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝剤の例として、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビストリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(ヘペス)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はリン酸が挙げられる。等張剤の例として、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0355】
一部の実施形態において、製剤は細胞透過剤を含む。一部の実施形態において、製剤は局所製剤であり、細胞透過剤を含む。細胞透過剤としては、1つ以上のヒドロキシル官能基を有するアルコール類など、有機化合物を挙げることができる。ある場合には、細胞透過剤としては、限定はされないが、一価アルコール類、多価アルコール類、不飽和脂肪族アルコール類、及び脂環式アルコール類など、アルコールが挙げられる。細胞透過剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、トリエタノールアミン、フェネチルアルコール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール、特殊変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸、又はヒドロキシエチルセルロースのうちの1つ以上を挙げることができる。特定の実施形態において、細胞透過剤としては、エタノールが挙げられる。細胞透過剤としては、国際公開第2020/180751号パンフレット又は国際公開第2020/180752号パンフレット(これらは、本明細書によって全体として参照により援用される)に記載されるとおりの、任意の量の、又は任意の製剤中にある任意の細胞透過剤を挙げることができる。
【0356】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるような医薬調製物、本明細書で開示されるような医薬組成物、開示のような医薬品原体、又は本明細書で開示されるような医薬品製剤は、非経口的な核酸送達系に含まれる。親核酸送達系は、本明細書で開示されるような医薬調製物、本明細書で開示されるような医薬組成物、開示のような医薬品原体、又は本明細書で開示されるような医薬品製剤、及び非経口的に許容できる希釈剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、非経口的な核酸送達系における本明細書で開示されるような医薬調製物、本明細書で開示されるような医薬組成物、開示のような医薬品原体、又は本明細書で開示されるような医薬品製剤は、担体を全く含まない。
【0357】
本開示は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを含む宿主又は宿主細胞をさらに対象とする。いくつかの実施形態では、宿主又は宿主細胞は、脊椎動物、哺乳動物(例えば、ヒト)、又は他の生物若しくは細胞である。
【0358】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば、記載された環状ポリリボヌクレオチドに対応する線状ポリヌクレオチドによって誘起される応答と比較して、低下した宿主の免疫系による望ましくない応答を有するか、又はそれを生成できない。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主において非免疫原性である。いくつかの免疫応答として、限定はされないが、体液性免疫応答(例えば、免疫原に特異的な抗体の産生)及び細胞媒介免疫応答(例えば、リンパ球増殖)が挙げられる。
【0359】
いくつかの実施形態では、宿主又は宿主細胞は、環状ポリリボヌクレオチドと接触される(例えば、それに送達又は投与される)。いくつかの実施形態では、宿主は、ヒトなどの哺乳動物である。宿主における環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチド、発現産物、又は双方の量は、投与後の任意の時点で測定され得る。特定の実施形態では、培養下の宿主成長の時間経過が測定される。成長が環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドの存在下で増強又は低減される場合、環状ポリリボヌクレオチド又は発現産物又は双方は、宿主の成長を増強又は低減するのに有効なものとして同定される。
【0360】
本明細書に記載のような環状ポリリボヌクレオチド分子を細胞、組織、又は対象に送達する方法は、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤を細胞、組織、又は対象に投与することを含む。
【0361】
いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、有蹄動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態では、組織は、結合組織、筋肉組織、神経組織、又は上皮組織である。いくつかの実施形態では、組織は、臓器(例えば、肝臓、肺、脾臓、腎臓など)である。
【0362】
いくつかの実施形態では、送達する方法は、インビボ方法である。例えば、本明細書に記載のような環状ポリリボヌクレオチドの送達方法は、非経口的にそれを必要とする対象に、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む。別の例として、環状ポリリボヌクレオチドを対象の細胞又は組織に送達する方法は、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤を細胞又は組織に非経口的に投与することを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、対象における生物学的応答を誘発するのに有効な量である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、対象における細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、担体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、希釈剤を含み、担体を全く含まない。
【0363】
いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体、又は医薬品製剤は、非経口的に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体、又は医薬品製剤は、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、皮内に、頭蓋内に、くも膜下腔内に、リンパ内に、皮下に、又は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、非経口投与は、静脈内、筋肉内、眼科的、皮下、皮内又は局所による。
【0364】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、皮下に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、局所的に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体、又は医薬品製剤は、気管内に投与される。
【0365】
いくつかの実施形態では、医薬組成物、医薬品原体又は医薬品製剤は、注射によって投与される。投与は、全身投与又は局所投与であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような送達方法のいずれかは、担体を用いて実施される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のようないずれかの送達方法は、担体又は細胞透過剤の補助なしに実施される。
【0366】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された産物は、投与するステップから少なくとも1日後、少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、又は少なくとも5日後、細胞、組織、又は対象において検出される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された産物の存在は、投与するステップ前、細胞、組織、又は対象において評価される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された産物の存在は、投与するステップ後、細胞、組織、又は対象において評価される。
【0367】
製剤
本開示の一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)又は本明細書に記載される方法によって調製されたその調製物は、組成物、例えば、細胞、植物、無脊椎動物、非ヒト脊椎動物、又はヒト対象への送達用の組成物、例えば、農業用組成物、動物用組成物、又は医薬組成物に製剤化されてもよい。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、医薬組成物に製剤化される。一部の実施形態において、組成物は、ポリリボヌクレオチドと、希釈剤、担体、アジュバント、又はこれらの組み合わせとを含む。詳細な実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドと、担体又はいかなる担体も含まない希釈剤とを含む。一部の実施形態において、ポリリボヌクレオチドをいかなる担体も含まない希釈剤と共に含む組成物は、対象へのポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)のネイキッド送達に使用される。
【0368】
医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の追加の活性物質、例えば、治療的及び/又は予防的に活性な物質を含み得る。医薬組成物は、任意選択で、本明細書に記載される組成物の賦形剤又は媒体として働く不活性物質(例えば、環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)により承認された、不活性成分データベースに収載されている不活性成分のいずれか1つなど)を含み得る。本発明の医薬組成物は、無菌及び/又はパイロジェンフリーであり得る。製剤及び/又は医薬品の製造における一般的な考慮点については、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(参照により本明細書に援用される)を参照し得る。不活性物質の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散液、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、潤滑剤、油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0369】
本明細書に提供される医薬組成物の説明は、主としてヒトへの投与に好適な医薬組成物に関するが、当業者によれば、かかる組成物が概して任意の他の動物、例えば、非ヒト動物、例えば、非ヒト哺乳類への投与に好適であることは理解されるであろう。ヒトへの投与に好適な医薬組成物を修飾して、その組成物を様々な動物への投与に好適なものにすることは良く理解されており、獣医薬理学の当業者であれば、例えあったとしても常法に過ぎない実験法でかかる修飾を設計し及び/又は実施することができる。本医薬組成物の投与が企図される対象としては、限定はされないが、ヒト及び/又は他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/又はラットなど、商業的に価値のある哺乳類を含めた、哺乳類;及び/又は家禽、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/又はシチメンチョウなど、商業的に価値のある鳥類を含めた、鳥類が挙げられる。
【0370】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の技術分野で公知の又は今後開発される任意の方法により調製されてもよい。一般に、かかる調製方法には、活性成分を賦形剤及び/又は1つ以上の他の補助的原料と会合した状態に至らせる工程、及び次に、必要及び/又は所望に応じて、生産物を分割し、成型し、及び/又は包装する工程が含まれる。
【0371】
一部の実施形態において、調製物中に存在する線状ポリリボヌクレオチド分子の量の参照基準は、線状ポリリボヌクレオチド分子が1ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、15ng/ml、20ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、35ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、200ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/ml、600ng/ml、1μg/ml、10μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、200g/ml、300μg/ml、400μg/ml、500μg/ml、600μg/ml、700μg/ml、800μg/ml、900μg/ml、1mg/ml、1.5mg/ml、又は2mg/mlを超えて存在しないというものである。
【0372】
一部の実施形態において、調製物中に存在する環状ポリリボヌクレオチド分子の量の参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の少なくとも30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)、60%(w/w)、70%(w/w)、80%(w/w)、85%(w/w)、90%(w/w)、91%(w/w)、92%(w/w)、93%(w/w)、94%(w/w)、95%(w/w)、96%(w/w)、97%(w/w)、98%(w/w)、99%(w/w)、99.1%(w/w)、99.2%(w/w)、99.3%(w/w)、99.4%(w/w)、99.5%(w/w)、99.6%(w/w)、99.7%(w/w)、99.8%(w/w)、99.9%(w/w)、又は100%(w/w)の分子である。
【0373】
一部の実施形態において、調製物中に存在する線状ポリリボヌクレオチド分子の量の参照基準は、線状ポリリボヌクレオチド分子が医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)以下である。
【0374】
一部の実施形態において、調製物中に存在するニック入りのポリリボヌクレオチド分子の量の参照基準は、ニック入りのポリリボヌクレオチド分子が医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、又は15%(w/w)以下である。
【0375】
一部の実施形態において、調製物中に存在するニック入り及び線状を合わせたポリリボヌクレオチド分子の量の参照基準は、ニック入り及び線状を合わせたポリリボヌクレオチド分子が医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)以下である。一部の実施形態において、医薬調製物は、最終的な環状ポリリボヌクレオチド薬物製品の中間体医薬調製物である。一部の実施形態において、医薬調製物は、原薬又は医薬品有効成分(API)である。一部の実施形態において、医薬調製物は、対象への投与用の薬物製品である。
【0376】
一部の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの調製物は(線状RNAの低減前、低減中又は低減後に)さらに処理され、DNA、タンパク質夾雑物(例えば、宿主細胞タンパク質などの細胞性タンパク質又はタンパク質処理不純物)、エンドトキシン、モノヌクレオチド分子、及び/又は処理関連の不純物が実質的に除去される。
【0377】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、(i)本明細書で開示される化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド);(ii)緩衝剤;(iii)非イオン界面活性剤;(iv)等張化剤;及び/又は(v)安定剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、安定な液体医薬製剤である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬製剤は、プロタミン又はプロタミン塩(例えば、プロタミン硫酸塩)を含む。
【0378】
本開示は、本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。本開示の免疫原性組成物は、希釈剤若しくは担体、アジュバント、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。本開示の免疫原性組成物はまた、1つ又は複数の免疫調節剤、例えば、1つ又は複数のアジュバントを含んでもよい。アジュバントは、以下にさらに考察される、TH1アジュバント及び/又はTH2アジュバントを含んでもよい。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、担体を全く含まない希釈剤を含み、環状ポリリボヌクレオチドの対象へのネイキッド送達に使用される。
【0379】
本開示の免疫原性組成物を用いて、対象における免疫応答を産生させる。免疫応答は、好ましくは、保護的であり、好ましくは、抗体応答(通常はIgGを含む)及び/又は細胞媒介免疫応答を含む。例えば、対象は、免疫応答を誘導するため、本開示の環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫される。別の例では、対象は、免疫原に結合する抗体の産生を刺激するため、免疫原を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫される。これらの使用及び方法によって、対象における免疫応答を産生させることにより、対象は、様々な疾患及び/又は感染に対して、例えば、上で考察のような細菌性及び/又はウイルス性疾患に対して保護され得る。特定の実施形態では、免疫原性組成物は、ワクチン組成物である。本開示に従うワクチンは、予防的(即ち、感染を予防するため)又は治療的(即ち、感染を治療するため)のいずれであってもよいが、典型的には予防的となる。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、動物、好ましくは、哺乳動物、例えば、ヒトである。一実施形態では、対象は、ヒトである。他の実施形態では、対象は、例えば、雌ウシ(例えば、乳牛及び肉牛)、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、イヌ、又はネコから選択される、非ヒト哺乳動物である。他の実施形態では、対象は、鳥類、例えば、雌鳥又は雄鶏、シチメンチョウ、オウムである。いくつかの実施形態では、動物は、マウス又はウサギ又は雌ウシでない。特定の実施形態では、免疫原性組成物が予防用途である場合、ヒトは、小児(例えば、幼児又は乳児)又はティーンエイジャーである。別の実施形態では、免疫原性組成物が治療用途である場合、ヒトは、ティーンエイジャー又は成人である。また、小児用が意図される免疫原性組成物は、例えば、安全性、用量、免疫原性などを評価するため、成人に投与されてもよい。
【0380】
本開示に従って調製された免疫原性組成物を用いて、小児及び成人の双方を治療してもよい。ヒト対象は、1歳未満、5歳未満、1~5歳、5~15歳、15~55歳、又は少なくとも55歳であってもよい。特定の実施形態では、免疫原性組成物を投与するヒト対象は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、及び≧65歳)、若年者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍職員(armed service and military personnel)、妊婦、慢性疾患、又は免疫不全患者である。免疫原性組成物は、これらの群に対して単独で適さないが、集団内でより一般的に使用されてもよい。
【0381】
いくつかの実施形態では、対象は、アジュバントでさらに免疫される。いくつかの実施形態では、対象は、ワクチンでさらに免疫される。
【0382】
保存剤
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、単回投与のための材料を含み得る、又は複数回投与のための材料(例えば、「多回投与」キット)を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。組成物又は医薬組成物は、チオメルサール又は2-フェノキシエタノールなどの1つ又は複数の保存剤を含み得る。保存剤を使用し、使用中の微生物汚染を阻止することができる。好適な保存剤は、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、Onamer M、又は当業者に公知の他の薬剤を含む。眼科製品では、例えば、そのような保存剤は、0.004%~0.02%のレベルで使用することができる。本明細書に記載の組成物において、保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウムは、0.001%~0.01%未満、例えば、0.001%~0.008%、好ましくは、約0.005重量%のレベルで使用することができる。
【0383】
ポリリボヌクレオチドは、周囲環境下で大量に存在し得るリボヌクレアーゼ(RNase)に感受性を示し得る。本明細書に提供される組成物は、リボヌクレアーゼ活性を阻害し、それによりポリリボヌクレオチドを分解から防ぐ試薬を含み得る。いくつかの場合、組成物又は医薬組成物は、当業者に公知の任意のリボヌクレアーゼ阻害剤を含む。代替的に又は追加的に、本明細書に提供される組成物中のポリリボヌクレオチド、並びに細胞透過剤及び/又は薬学的に許容できる希釈剤若しくは担体、媒体、賦形剤、若しくは他の試薬は、リボヌクレアーゼを含まない環境下で調製され得る。組成物は、リボヌクレアーゼを含まない環境下で製剤化され得る。
【0384】
いくつかの場合、本明細書に提供される組成物は、無菌であり得る。組成物は、当該技術分野で公知の、好適な媒体中の無菌溶液又は懸濁液として製剤化され得る。組成物は、従来の公知の滅菌技術によって滅菌可能であり、例えば、組成物は、滅菌ろ過され得る。
【0385】

いくつかの場合、本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、1つ又は複数の塩を含む。浸透圧を制御するため、ナトリウム塩などの生理学的塩が、本明細書に提供される組成物に含まれ得る。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含み得る。いくつかの場合、組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容できる塩と共に製剤化される。1つ又は複数の薬学的に許容できる塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの無機イオンのものを含み得る。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸などの無機酸又は有機酸の塩を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0386】
緩衝剤/pH
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、トリス緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(例えば、水酸化アルミニウムアジュバントを有する);又はクエン酸緩衝剤などの1つ又は複数の緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、いくつかの場合、5~20mMの範囲内に含まれる。
【0387】
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、約5.0~約8.5の間、約6.0~約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間のpHを有し得る。組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0388】
洗浄剤/界面活性剤
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、意図される投与経路に応じて、1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般に「Tween(登録商標)」と呼ばれる)、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80;DOWFAX(商標)という商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、線状EO/POブロックコポリマー;エトキシ(オキシ-l,2-エタンジイル)基の繰り返し数が異なり得るオクトキシノール、例えば、オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100、又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン);ノニルフェノールエトキシレート、例えば、Tergitol(商標)NPシリーズ;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪族エーテル(Brij(登録商標)界面活性剤として知られる)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij(登録商標) 30);並びにソルビタンエステル(一般に、「SPAN(登録商標)」として知られる)、例えば、ソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)及びソルビタンモノラウレート、オクトキシノール(オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100)又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(「CTAB」)、又はデオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤は、微量でのみ含まれ得る。いくつかの例では、組成物は、オクトキシノール-10及びポリソルベート80のそれぞれを1mg/ml未満含むことができる。本明細書では、非イオン性界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類することができる。いくつかの例では、界面活性剤は、少なくとも10、少なくとも15、及び/又は少なくとも16のHLBを有する。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状の形態で含まれ得る。
【0389】
希釈剤
いくつかの実施形態では、本開示の免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。
【0390】
希釈剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、及びそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれかであり得る。非担体賦形剤は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物への投与に好適な任意の不活性成分であり得る。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。
【0391】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0392】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ここで、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。ある実施形態では、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0393】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のうちのいずれか又は全てを含まない。ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-β-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHCl)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まない。
【0394】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、細胞透過効果を示さない不活性成分を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、緩衝液、例えばPBSを含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、又は油である。
【0395】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、希釈剤を含む。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。ある実施形態では、希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、又は等張剤である。RNA可溶化剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝液の例としては、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はホスフェートが挙げられる。等張剤の例としては、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0396】
担体
ある実施形態では、本開示の免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。
【0397】
特定の実施形態において、免疫原性組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0398】
他の実施形態において、免疫原性組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して環状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、免疫原性組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に環状ポリリボヌクレオチドを含む。リポソームは、内部の水性区画を取り囲む単層又は多重膜脂質二重層及び比較的不透過性の外側の親油性リン脂質二重層から構成される球形の小胞構造である。リポソームは、アニオン性、中性又はカチオン性であり得る。リポソームは、生体適合性であり、非毒性であり、親水性及び親油性の両方の薬物分子を送達することができ、そのカーゴを血漿酵素による分解から保護し、生体膜及び血液脳関門(BBB)を越えてそのロードを輸送する(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。
【0399】
小胞は、いくつかの異なるタイプの脂質から作製され得るが;リン脂質が、薬物担体としてリポソームを生成するために、最も一般的に使用される。多重膜小胞脂質の調製のための方法が、当該技術分野において公知である(例えば、多重膜小胞脂質調製に関連するその教示内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,693,086号明細書を参照されたい)。脂質膜が水溶液と混合されるとき、小胞形成が自然に起こり得るが、それはまた、ホモジナイザー、ソニケーター、又は押し出し装置を用いることによって、振とうの形態の力を加えることによって促進され得る(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。押し出された脂質は、押し出された脂質の調製に関するその教示内容が参照により本明細書に援用される、Templeton et al.,Nature Biotech,15:647-652,1997に記載されるように、減少したサイズのフィルタに通して押し出すことによって調製され得る。
【0400】
特定の実施形態において、本開示の免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子を含む。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。ナノ構造脂質担体(NLC)は、SLNの特性を保持し、薬物安定性及び負荷容量を改善し、薬物漏出を防止する、修飾された固体脂質ナノ粒子(SLN)である。ポリマーナノ粒子(PNP)は、薬物送達の重要な構成要素である。これらのナノ粒子は、薬物送達を、特定の標的に有効に指向し、薬物安定性及び制御薬物放出を改善し得る。リポソーム及びポリマーを組み合わせる新しいタイプの担体である脂質-ポリマーナノ粒子(PLN)も、用いられ得る。これらのナノ粒子は、PNP及びリポソームの補完的な利点を有する。PLNは、コア-シェル構造から構成され;ポリマーコアは、安定した構造を提供し、リン脂質シェルは、良好な生体適合性を提供する。したがって、2つの構成要素が、薬物封入効率を増加させ、表面修飾を促進し、水溶性薬物の漏出を防止する。概説については、例えば、Li et al.2017,Nanomaterials 7,122;doi:10.3390/nano7060122を参照されたい。
【0401】
担体のさらなる非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン若しくはグリコーゲン型材料)、タンパク質担体(例えば、環状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が挙げられる。炭水化物担体の非限定的な例としては、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、及び無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリンが挙げられる。カチオン性担体の非限定的な例としては、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及びN,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)が挙げられる。タンパク質担体の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンが挙げられる。
【0402】
エキソソームはまた、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。レビューのためには、Ha et al.July 2016.Acta Pharmaceutica Sinica B.Volume 6,Issue 4,Pages 287-296;https://doi.org/10.1016/j.apsb.2016.02.001を参照されたい。
【0403】
エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物の担体として使用され得る。例えば、国際公開第2015/073587号パンフレット;国際公開第2017/123646号パンフレット;国際公開第2017/123644号パンフレット;国際公開第2018/102740号パンフレット;国際公開第2016/183482号パンフレット;国際公開第2015/153102号パンフレット;国際公開第2018/151829号パンフレット;国際公開第2018/009838号パンフレット;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136;米国特許第9,644,180号明細書;Huang et al.2017.Nature Communications 8:423;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136を参照されたい。
【0404】
例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。
【0405】
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。
【0406】
例えば、国際特許公開番号国際公開第2011/097480号パンフレット、国際公開第2013/070324号パンフレット、国際公開第2017/004526号パンフレット、又は国際公開第2020041784号パンフレットに記載されるような植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される環状RNA組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。
【0407】
マイクロバブルも、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、米国特許第7115583号明細書;Beeri,R.et al.,Circulation.2002 Oct 1;106(14):1756-1759;Bez,M.et al.,Nat Protoc.2019 Apr;14(4):1015-1026;Hernot,S.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2008 Jun 30;60(10):1153-1166;Rychak,J.J.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2014 Jun;72:82-93を参照されたい。ある実施形態では、マイクロバブルは、アルブミン被覆されたペルフルオロカーボンマイクロバブルである。
【0408】
本明細書に記載の環状ポリリボヌクレオチドを含む担体は、複数の粒子を含み得る。粒子は、30~700ナノメートル(例えば、30~50、50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、100~500、50~500、又は200~700ナノメートル)の物品サイズ中央値を有し得る。粒子の大きさは、細胞への環状ポリリボヌクレオチドを含むペイロードの沈着に有利に働くように最適化することができる。特定の細胞型への環状ポリリボヌクレオチドの沈着は、異なる粒径に有利であり得る。例えば、粒径は、抗原提示細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。粒径は、樹状細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。さらに、粒径は、流入領域リンパ節細胞への環状ポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。
【0409】
脂質ナノ粒子
本開示によって提供される組成物、方法、及び送達システムは、特定の実施形態において、本明細書に記載の脂質ナノ粒子(LNP)を含む任意の好適な担体又は送達モダリティを用い得る。脂質ナノ粒子は、ある実施形態では、1つ以上のイオン性脂質、例えば、非カチオン性脂質(例えば、中性又はアニオン性、又は両性脂質);1つ以上のコンジュゲート脂質(PEGコンジュゲート脂質又は全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーにコンジュゲートされた脂質など);1つ以上のステロール(例えば、コレステロール)を含む。
【0410】
ナノ粒子形成において使用され得る脂質(例えば、脂質ナノ粒子)は、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表4に記載されるものを含み-例えば、脂質含有ナノ粒子は、国際公開第2019217941号パンフレットの表4中の脂質の1つ以上を含み得る。脂質ナノ粒子は、さらなる要素、例えば、ポリマー、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーを含み得る。
【0411】
ある実施形態では、コンジュゲート脂質は、存在する場合、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、及び国際公開第2019051289号パンフレット(参照により援用される)の表2に記載されるもの、並びに上記のものの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0412】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子に組み込まれ得るステロールとしては、参照により援用される国際公開第2009/127060号パンフレット又は米国特許出願公開第2010/0130588号明細書に記載されるものなどの、コレステロール又はコレステロール誘導体の1つ以上が挙げられる。さらなる例示的なステロールとしては、参照により本明細書に援用される、Eygeris et al.(2020)、dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものを含む植物ステロールが挙げられる。
【0413】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質、及びステロールを含む。これらの構成要素の量は、独立して、所望の特性を達成するために変化され得る。例えば、ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、総脂質の約20mol%~約90mol%の量のイオン化可能な脂質(他の実施形態において、それは、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の20~70%(mol)、30~60%(mol)又は40~50%(mol);約50mol%~約90mol%であり得る)、総脂質の約5mol%~約30mol%の量の非カチオン性脂質、総脂質の約0.5mol%~約20mol%の量のコンジュゲート脂質、及び総脂質の約20mol%~約50mol%の量のステロールを含む。総脂質対核酸の比率は、必要に応じて変化され得る。例えば、総脂質対核酸(質量又は重量)比は、約10:1~約30:1であり得る。
【0414】
ある実施形態では、脂質対核酸比(質量/質量比;w/w比)は、約1:1~約25:1、約10:1~約14:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、又は約6:1~約9:1の範囲であり得る。脂質及び核酸の量は、所望のN/P比、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のN/P比を得るために調整され得る。一般に、脂質ナノ粒子製剤の全脂質含量は、約5mg/ml~約30mg/mLの範囲であり得る。
【0415】
本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するために(例えば、他の脂質成分と組み合わせて)使用され得る脂質化合物のいくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【化37】
ある実施形態では、式(i)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0416】
【化38】
ある実施形態では、式(ii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0417】
【化39】
ある実施形態では、式(iii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0418】
【化40】
ある実施形態では、式(v)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0419】
【化41】
ある実施形態では、式(vi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0420】
【化42】
ある実施形態では、式(viii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0421】
【化43】
ある実施形態では、式(ix)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0422】
【化44】
式中、
が、O、NR、又は直接結合であり、Xが、C2~5アルキレンであり、Xが、C(=O)又は直接結合であり、Rが、H又はMeであり、Rが、C1~3アルキルであり、Rが、C1~3アルキルであり、又はRが、それが結合される窒素原子及びXの1~3個の炭素原子と一緒になって、4員、5員、若しくは6員環を形成し、又はXが、NRであり、R及びRが、それらが結合される窒素原子と一緒になって、5員若しくは6員環を形成し、又はRが、R及びそれらが結合される窒素原子と一緒になって、5員、6員、若しくは7員環を形成し、Yが、C2~12アルキレンであり、Yが、
【化45】
(いずれかの配向で)(いずれかの配向で)(いずれかの配向で)
から選択され、
nが、0~3であり、Rが、C1~15アルキルであり、Zが、C1~6アルキレン又は直接結合であり、

【化46】
(いずれかの配向で)であるか又は非存在であり、ただし、Zが直接結合であり、Zが非存在である場合;
が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Rが、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Wが、メチレン又は直接結合であり、Rが、H又はMe、又はその塩であり、ただし、R及びRが、C2アルキルであり、Xが、Oであり、Xが、直鎖状C3アルキレンであり、Xが、C(=0)であり、Yが、直鎖状Ceアルキレンであり、(Y)n-Rが、
【化47】
であり、Rが、直鎖状C5アルキルであり、Zが、C2アルキレンであり、Zが、非存在であり、Wが、メチレンであり、Rが、Hである場合、R及びRが、Cxアルコキシでない。
【0423】
ある実施形態では、式(xii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0424】
【化48】
ある実施形態では、式(xi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0425】
【化49】
ある実施形態では、LNPは、式(xiii)の化合物及び式(xiv)の化合物を含む。
【0426】
【化50】
ある実施形態では、式(xv)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0427】
【化51】
ある実施形態では、式(xvi)の製剤を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0428】
【化52】
【0429】
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するのに使用される脂質化合物は、以下の反応のうちの1つによって作製される:
【化53】
【0430】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxi)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxi)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表1の脂質など、式(1)の脂質)である。
【化54】
式中、
各nは、独立に、2~15の整数であり;L及びLは、各々独立に、-OC(O)-又は-C(O)O-であり、式中、「」は、R又はRとの結合点を指し;
及びRは、各々独立に、オキソ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルデヒド、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、(ヘテロシクリル)(アルキル)アミノアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、アルキニル、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニルアルキルアミノ、(アミノカルボニルアルキル)(アルキル)アミノ、アルケニルカルボニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、(アルキルアミノアルキル)(アルキル)アミノカルボニル、アルキルアミノアルキルカルボニル、ジアルキルアミノアルキルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホキシドアルキル、アルキルスルホニル、及びアルキルスルホンアルキルからなる群から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている、線状又は分枝状C~C20アルキル又はC~C20アルケニルであり;及び
は、
【化55】
からなる群から選択される。
【0431】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxii)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxii)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表2の脂質など、式(2)の脂質)である。
【化56】
式中、
各nは、独立に、1~15の整数であり;
及びRは、各々独立に、
【化57】
からなる群から選択され
は、
【化58】
からなる群から選択される。
【0432】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxiii)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxiii)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表3の脂質など、式(3)の脂質)である。
【化59】
式中、
Xは、-O-、-S-、又は-OC(O)-から選択され、式中、は、Rとの結合点を指し;
は、
【化60】
からなる群から選択され、
及びRは、
【化61】
からなる群から選択される。
【0433】
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば核酸(例えば環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)又はタンパク質)は、イオン化可能な脂質を含むLNP中で提供される。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許第9,867,888号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例1に記載されるようなヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(SM-102)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2015/095340号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例13において合成されるような9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(LP01)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許出願公開第2012/0027803号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)実施例7、8、又は9において合成されるようなジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2010/053572号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例14及び16において合成されるような1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、イミダゾールコレステロールエステル(ICE)脂質(3S、10R、13R、17R)-10、13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2、3、14、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17-テトラデカヒドロ-lH-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート、例えば、国際公開第2020/106946号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)からの構造(I)である。
【0434】
ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、カチオン性脂質、イオン化可能なカチオン性脂質、例えば、pHに応じて正荷電若しくは中性形態で存在し得るカチオン性脂質、又は容易にプロトン化され得るアミン含有脂質であり得る。ある実施形態では、カチオン性脂質は、例えば、生理的条件下で、正に荷電することが可能である脂質である。例示的なカチオン性脂質としては、正電荷を有する1つ以上のアミン基を含む。ある実施形態では、脂質粒子は、中性脂質、イオン化可能なアミン含有脂質、生分解性アルキン脂質、ステロイド、多価不飽和脂質を含むリン脂質、構造脂質(例えば、ステロール)、PEG、コレステロール及びポリマーコンジュゲート脂質のうちの1つ以上との配合物中のカチオン性脂質を含む。ある実施形態では、カチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり得る。本明細書に開示される例示的なカチオン性脂質は、6.0を超える有効pKaを有し得る。実施形態において、脂質ナノ粒子は、第1のカチオン性脂質と異なる有効pKa(例えば、第1の有効pKaより高い)を有する第2のカチオン性脂質を含み得る。脂質ナノ粒子は、40~60molパーセントのカチオン性脂質、中性脂質、ステロイド、ポリマーコンジュゲート脂質、及び治療剤、例えば、脂質ナノ粒子内に封入されるか又はそれと結合された本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))を含み得る。ある実施形態では、核酸は、カチオン性脂質と同時に配合される。核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNPの表面に吸着され得る。ある実施形態では、核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNP内に封入され得る。ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、例えば、標的化剤で被覆された標的部分を含み得る。実施形態において、LNP製剤は、生分解性である。ある実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の脂質、例えば、式(i)、(ii)、(ii)、(vii)及び/又は(ix)を含む脂質ナノ粒子は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は100%のRNA分子を封入する。
【0435】
脂質ナノ粒子製剤に使用され得る例示的なイオン化可能な脂質としては、限定はされないが、参照により本明細書に援用される国際公開第2019051289号パンフレットの表1に列挙されるものが挙げられる。さらなる例示的な脂質としては、限定はされないが、以下の式の1つ以上:米国特許出願公開第2016/0311759号明細書のX;米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書のI;米国特許出願公開第20160151284号明細書のI、II又はIII;米国特許出願公開第20170210967号明細書のI、IA、II、又はIIA;米国特許出願公開第20150140070号明細書のI-c;米国特許出願公開第2013/0178541号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0303587号明細書又は米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0141678号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0239926号明細書のII、III、IV、又はV;米国特許出願公開第2017/0119904号明細書のI;国際公開第2017/117528号パンフレットのI又はII;米国特許出願公開第2012/0149894号明細書のA;米国特許出願公開第2015/0057373号明細書のA;国際公開第2013/116126号パンフレットのA;米国特許出願公開第2013/0090372号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274523号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274504号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0053572号明細書のA;国際公開第2013/016058号パンフレットのA;国際公開第2012/162210号パンフレットのA;米国特許出願公開第2008/042973号明細書のI;米国特許出願公開第2012/01287670号明細書のI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2014/0200257号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2015/0203446号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2015/0005363号明細書のI又はIII;米国特許出願公開第2014/0308304号明細書のI、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、IIC、IID、又はIII~XXIV;米国特許出願公開第2013/0338210号明細書の;国際公開第2009/132131号パンフレットのI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2012/01011478号明細書のA;米国特許出願公開第2012/0027796号明細書のI又はXXXV;米国特許出願公開第2012/0058144号明細書のXIV又はXVII;米国特許出願公開第2013/0323269号明細書の;米国特許出願公開第2011/0117125号明細書のI;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2012/0202871号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII;米国特許出願公開第2011/0076335号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、X、XII、XIII、XIV、XV、又はXVI;米国特許出願公開第2006/008378号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0064242号明細書のI又はX-A-Y-Z;米国特許出願公開第2013/0022649号明細書のXVI、XVII、又はXVIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2010/0062967号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0189351号明細書のI~X;米国特許出願公開第2014/0039032号明細書のI;米国特許出願公開第2018/0028664号明細書のV;米国特許出願公開第2016/0317458号明細書のI;米国特許出願公開第2013/0195920号明細書のI;米国特許出願公開第10,221,127号明細書の5、6、又は10;国際公開第2018/081480号パンフレットのIII-3;国際公開第2020/081938号パンフレットのI-5又はI-8;米国特許出願公開第9,867,888号明細書の18又は25;米国特許出願公開第2019/0136231号明細書のA;国際公開第2020/219876号パンフレットのII;米国特許出願公開第2012/0027803号明細書の1;米国特許出願公開第2019/0240349号明細書のOF-02;米国特許出願公開第10,086,013号明細書の23;Miao et al(2020)のcKK-E12/A6;国際公開第2010/053572号パンフレットのC12-200;Dahlman et al(2017)の7C1;Whitehead et alの304-O13又は503-O13;米国特許第9,708,628号明細書のTS-P4C2;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;及び国際公開第2021/113777号パンフレットの(1)、(2)、(3)又は(4)が挙げられる。例示的脂質としては、国際公開第2021/113777号パンフレットの表1~表16のいずれか1つの脂質がさらに挙げられる。
【0436】
ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例9に記載されるようなMC3(6Z,9Z,28Z,3lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例10に記載されるような脂質ATX-002である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例11に記載されるような(l3Z,l6Z)-A,A-ジメチル-3-ノニルドコサ-l3、l6-ジエン-l-アミン(化合物32)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例12に記載されるような化合物6又は化合物22である。
【0437】
例示的な非カチオン性脂質としては、限定はされないが、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-ジメチルPEなど)、l8-l-trans PE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用され得ることが理解される。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はオレオイルである。さらなる例示的な脂質としては、特定の実施形態において、限定はされないが、参照により本明細書に援用される、Kim et al.(2020)dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものが挙げられる。このような脂質としては、ある実施形態では、mRNA(例えば、DGTS)との肝臓トランスフェクションを改善することが分かっている植物脂質が挙げられる。
【0438】
脂質ナノ粒子に使用するのに好適な非カチオン性脂質の他の例としては、限定はされないが、非リン脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリールサルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。他の非カチオン性脂質が、国際公開第2017/099823号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0439】
ある実施形態では、非カチオン性脂質は、オレイン酸又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の式I、II、若しくはIVの化合物である。非カチオン性脂質は、例えば、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~30%(mol)を占め得る。ある実施形態では、非カチオン性脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の5~20%(mol)又は10~15%(mol)である。実施形態において、イオン化可能な脂質対中性脂質のモル比は、約2:1~約8:1の範囲(例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1)である。
【0440】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、いずれのリン脂質も含まない。
【0441】
ある態様において、脂質ナノ粒子は、膜完全性を提供するために、ステロールなどの成分をさらに含み得る。脂質ナノ粒子に使用され得る1つの例示的なステロールは、コレステロール及びその誘導体である。コレステロール誘導体の非限定的な例としては、極性類似体、例えば、5a-コレスタノール、53-コプロスタノール、コレステリル-(2-ヒドロキシ)-エチルエーテル、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテル、及び6-ケトコレスタノール;非極性類似体、例えば、5a-コレスタン、コレステノン、5a-コレスタノン、5p-コレスタノン、及びデカン酸コレステリル;及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、コレステロール誘導体は、極性類似体、例えば、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテルである。例示的なコレステロール誘導体が、PCT公開国際公開第2009/127060号パンフレット及び米国特許出願公開第2010/0130588号明細書(これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0442】
ある実施形態では、ステロールなどの、膜完全性を提供する成分は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0-50%(mol)(例えば、0~10%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%)を占め得る。ある実施形態では、このような成分は、脂質ナノ粒子の総脂質含量の20~50%(mol)30~40%(mol)である。
【0443】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)又はコンジュゲート脂質分子を含み得る。一般に、これらは、脂質ナノ粒子の凝集を阻害し、及び/又は立体安定化を提供するのに使用される。例示的なコンジュゲート脂質としては、限定はされないが、PEG-脂質コンジュゲート、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、カチオン性ポリマー脂質(CPL)コンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、コンジュゲート脂質分子は、PEG-脂質コンジュゲート、例えば、(メトキシポリエチレングリコール)コンジュゲート脂質である。
【0444】
例示的なPEG-脂質コンジュゲートとしては、限定はされないが、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-l,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、又はそれらの混合物が挙げられる。さらなる例示的なPEG-脂質コンジュゲートが、例えば、米国特許第5,885,6l3号明細書、米国特許第6,287,59l号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2005/0175682、米国特許出願公開第2008/0020058号明細書、米国特許出願公開第2011/0117125号明細書、米国特許出願公開第2010/0130588号明細書、米国特許出願公開第2016/0376224号明細書、米国特許出願公開第2017/0119904号明細書、米国特許出願公開第2018/0028664号明細書、及び国際公開第2017/099823号明細書(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。ある実施形態では、PEG-脂質は、米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)の式III、III-a-I、III-a-2、III-b-1、III-b-2、又はVの化合物である。ある実施形態では、PEG-脂質は、米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書(これらは両方とも、全内容が参照により本明細書に援用される)の式IIのものである。ある実施形態では、PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル、PEG-ジミリスチルオキシプロピル、PEG-ジパルミチルオキシプロピル、又はPEG-ジステアリルオキシプロピルであり得る。PEG-脂質は、PEG-DMG、PEG-ジラウリルグリセロール、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステリルグリセロール、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、PEG-ジステリルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスタ-5-エン-3[β]-オキシ)カルボキサミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、及び1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]のうちの1つ以上であり得る。ある実施形態では、PEG-脂質は、PEG-DMG、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]を含む。ある実施形態では、PEG-脂質は、
【化62】
から選択される構造を含む。
【0445】
ある実施形態では、PEG以外の分子とコンジュゲートされた脂質も、PEG-脂質の代わりに使用され得る。例えば、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、及びカチオン性ポリマー脂質(GPL)コンジュゲートが、PEG-脂質の代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0446】
例示的なコンジュゲート脂質、すなわち、PEG-脂質、(POZ)-脂質コンジュゲート、ATTA-脂質コンジュゲート及びカチオン性ポリマー-脂質が、国際公開第2019051289A9号パンフレット(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)の表2に列挙されるPCT及びLIS特許出願に記載される。
【0447】
ある実施形態では、PEG又はコンジュゲート脂質は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~20%(mol)を占め得る。ある実施形態では、PEG又はコンジュゲート脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0.5~10%又は2~5%(mol)である。イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びPEG/コンジュゲート脂質のモル比は、必要に応じて変化され得る。例えば、脂質粒子は、組成物のモル又は総重量当たり30~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり0~60%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり0~30%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質を含み得る。好ましくは、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり30~40%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり40~50%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり10~20%の非カチオン性脂質を含む。ある他の実施形態において、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり50~75%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり20~40%のコレステロール、及び、組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質である。組成物は、組成物のモル又は総重量当たり60~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり25~35%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質を含有し得る。組成物はまた、組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~15%の非カチオン性脂質を含有し得る。製剤はまた、例えば、組成物のモル又は総重量当たり8~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり5~30%の非カチオン性脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり0~20%のコレステロール;組成物のモル又は総重量当たり4~25%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり4~25%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~25%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり10~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり5%のコレステロール;又は組成物のモル又は総重量当たり2~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~30%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり1~15%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり2~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり1~20%のコレステロール;或いは組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~10%の非カチオン性脂質、或いは組成物のモル又は総重量当たり100%のカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子製剤であり得る。ある実施形態では、脂質粒子製剤は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、リン脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。ある他の実施形態において、脂質粒子製剤は、60:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。
【0448】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質(例えばリン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)及びPEG化脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能な脂質では20~70モルパーセントの範囲であり、目標は40~60であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30の範囲であり、目標は0~15であり、ステロールのモルパーセントは、20~70の範囲であり、目標は30~50であり、PEG化脂質のモルパーセントは、1~6の範囲であり、目標は2~5である。
【0449】
ある実施形態では、脂質粒子は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質/非カチオン性脂質/ステロール/コンジュゲート脂質を含む。
【0450】
一態様において、本開示は、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含む脂質ナノ粒子製剤を提供する。
【0451】
ある実施形態では、1つ以上のさらなる化合物も含まれ得る。それらの化合物は、別々に投与され得、又はさらなる化合物は、本発明の脂質ナノ粒子に含まれ得る。言い換えると、脂質ナノ粒子は、核酸又は第1の核酸と異なる少なくとも第2の核酸に加えて、他の化合物を含有し得る。限定はされないが、他のさらなる化合物は、小型若しくは大型有機又は無機分子、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体及びその誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、核酸類似体及び誘導体、生体材料から作製された抽出物、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。
【0452】
ある実施形態では、LNPは、生分解性、イオン化可能な脂質を含む。ある実施形態では、LNPは、(9Z,l2Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,l2-ジエノエート(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,l2Z)-オクタデカ-9,l2-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号パンフレット、国際公開第/2017/173054号パンフレット、国際公開第2015/095340号パンフレット、及び国際公開第2014/136086号パンフレット、並びにその中に提供される参考文献の脂質を参照されたい。ある実施形態では、LNP脂質に関するカチオン性及びイオン化可能という用語は、同義的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0453】
ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、例えば、動的光散乱(DLS)によって測定される、数10nm~数100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約40nm~約150nm、例えば、約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、又は150nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、又は約90nm~約100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約80nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約lmm~約500mm、約5mm~約200mm、約10mm~約100mm、約20mm~約80mm、約25mm~約60mm、約30mm~約55mm、約35mm~約50mm、又は約38mm~約42mmの範囲である。
【0454】
LNPは、ある場合には、比較的均質であり得る。多分散指数は、LNPの均質性、例えば、脂質ナノ粒子の粒度分布を示すのに使用され得る。小さい(例えば、0.3未満の)多分散指数は、一般に、狭い粒度分布を示す。LNPは、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、又は0.25の多分散指数を有し得る。ある実施形態では、LNPの多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
【0455】
LNPのゼータ電位は、組成物の界面動電位を示すのに使用され得る。ある実施形態では、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を表し得る。より高度に荷電された種は、身体内の細胞、組織、及び他の要素と不必要に相互作用し得るため、正又は負の比較的低い電荷を有する脂質ナノ粒子が一般に望ましい。ある実施形態では、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、又は約+5mV~約+10mVであり得る。
【0456】
タンパク質及び/又は核酸の封入の効率は、提供される初期量と比べた、調製後にLNPで封入されるか又は他の形でLNPと結合されるタンパク質及び/又は核酸の量を表す。封入効率は、高い(例えば、ほぼ100%)のが望ましい。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒又は洗浄剤で脂質ナノ粒子を分解する前及び後で脂質ナノ粒子を含有する溶液中のタンパク質又は核酸の量を比較することによって、測定され得る。アニオン交換樹脂が、溶液中の遊離タンパク質又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。蛍光が、溶液中の遊離タンパク質及び/又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。本明細書に記載される脂質ナノ粒子の場合、タンパク質及び/又は核酸の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも90%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも95%であり得る。
【0457】
LNPは、任意に、1つ以上のコーティングを含み得る。ある実施形態では、LNPは、コーティングを有するカプセル、フィルム、又は錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載される組成物を含むカプセル、フィルム、又は錠剤は、任意の有用なサイズ、引張り強さ、硬度又は密度を有し得る。
【0458】
LNPの追加的な例示的脂質、製剤、方法、及び特徴付けについては、国際公開第2020/061457号パンフレット、国際公開第2021/113777号パンフレット、及び国際公開第2021226597号パンフレット(これらの各々は、本明細書において全体として参照により援用される)により教示されている。LNPのさらなる例示的脂質、製剤、方法、及び特徴付けについては、Hou et al.Lipid nanoparticles for mRNA delivery.Nat Rev Mater(2021).doi.org/10.1038/s41578-021-00358-0(全体として参照により本明細書に援用される)により教示されている(例えば、Hou et al.の図2の例示的脂質及び脂質誘導体を参照のこと)。
【0459】
ある実施形態では、インビトロ又はエクスビボ細胞リポフェクションが、Lipofectamine MessengerMax(Thermo Fisher)又はTransIT-mRNA Transfection Reagent(Mirus Bio)を用いて行われる。特定の実施形態において、LNPは、GenVoy_ILMイオン化可能な脂質混合物(Precision NanoSystems)を用いて製剤化される。特定の実施形態において、LNPは、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)又はジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA又はMC3)を用いて製剤化され、その製剤及びインビボでの使用が、Jayaraman et al.Angew Chem Int Ed Engl 51(34):8529-8533(2012)(全体が参照により本明細書に援用される)に教示される。
【0460】
CRISPR-Casシステム、例えば、Cas9-gRNA RNP、gRNA、Cas9 mRNAの送達のために最適化されたLNP製剤が、国際公開第2019067992号パンフレット及び国際公開第2019067910号パンフレット(両方とも参照により援用される)に記載され、環状ポリリボヌクレオチド及び本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの送達のために有用である。
【0461】
核酸(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)の送達に有用なさらなる特定のLNP製剤が、米国特許第8158601号明細書及び米国特許第8168775号明細書(両方とも参照により援用される)に記載され、これは、ONPATTROの名称で販売されているパチシラン中で使用される製剤を含む。
【0462】
実施形態において、本明細書に記載される免疫原又はポリペプチドの少なくとも一部分(例えば、抗原性部分)をコードするポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)はLNPに製剤化され、ここで、(a)LNPはカチオン性脂質、中性脂質、コレステロール、及びPEG脂質を含み、(b)LNPは80nm~160nmの平均粒径を有し、及び(c)ポリリボヌクレオチドは、(i)5’-キャップ構造;(ii)5’-UTR;(iii)N1-メチル-プソイドウリジン、シトシン、アデニン、及びグアニン;(iv)3’-UTR;及び(v)ポリA領域を含む。実施形態において、LNPに製剤化されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)は、ワクチンである。
【0463】
ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)LNPの例示的投与用量は、約0.1、0.25、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、又は100mg/kg(RNA)を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)免疫原性組成物の用量は、30~200mcg、例えば、30mcg、50mcg、75mcg、100mcg、150mcg、又は200mcgである。ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)を含むAAVの例示的投与用量は、約1011、1012、1013、及び1014vg/kgのMOIを含み得る。
【0464】
キット
一部の態様において、本開示はキットを提供する。一部の実施形態において、キットは、(a)本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド、免疫原性組成物、又は医薬組成物と、任意選択で(b)情報資料とを含む。一部の実施形態において、キットは本明細書に記載されるアジュバントをさらに含み、これは、決められた用量投与レジメンの一環として環状ポリリボヌクレオチド、免疫原性組成物、又は医薬組成物と組み合わせて投与されることになる別個の組成物として提供されてもよい。情報資料は、本明細書に記載される方法及び/又は本明細書に記載される方法のための医薬組成物又は環状ポリリボヌクレオチドの使用に関する説明的な、指導的な、販売促進となる又はその他の資料であり得る。医薬組成物又は環状ポリリボヌクレオチドは、単回投与用の材料を含んでもよく(例えば、単回投薬形態)、又は複数回投与用の材料を含んでもよい(例えば、「マルチ用量」キット)。
【0465】
キットの情報資料は、その形態の点で限定されない。一実施形態において、情報資料は、医薬組成物、医薬原薬、又は医薬薬物製品の生産、医薬組成物、医薬原薬、又は医薬薬物製品の分子量、濃度、有効期限、バッチ又は生産施設情報などに関する情報を含み得る。一実施形態において、情報資料は、ある投薬形態の医薬組成物の投与方法に関する。一実施形態において、情報資料は、ある投薬形態の環状ポリリボヌクレオチドの投与方法に関する。
【0466】
ある投薬形態にある本明細書に記載される医薬組成物及び環状ポリリボヌクレオチドに加えて、キットは、溶媒又は緩衝液、安定剤、保存剤、香味剤(例えば、苦味遮断剤又は甘味料)、芳香剤、色素又は着色剤、例えば、キット中にある1つ以上の成分に色合いを付ける又はそれを着色するためのもの、又は他の美容成分、及び/又は本明細書に記載される病態又は障害の治療用の第2の薬剤など、他の原料を含み得る。或いは、こうした他の原料はキットに含まれてもよいが、本明細書に記載される医薬組成物又は環状ポリリボヌクレオチドと異なる組成物又は容器に含まれる。かかる実施形態において、キットは、本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)及び他の原料を混合するように指示する、又は本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)を他の原料と一緒に使用するように指示する説明書を含み得る。
【0467】
一部の実施形態において、キットの成分は、不活性条件下に(例えば、窒素下又はアルゴンなどの別の不活性ガス下に)保存される。一部の実施形態において、キットの成分は、無水条件下に(例えば、乾燥剤と共に)保存される。一部の実施形態において、成分は、琥珀色のバイアルなど、遮光性容器に保存される。
【0468】
ある投薬形態にある本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、任意の形態、例えば、液体、乾燥又は凍結乾燥形態で提供されてもよい。本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は実質的に純粋である及び/又は無菌であることが好ましい。本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)が液体溶液で提供されるとき、液体溶液は好ましくは水溶液であり、滅菌水溶液が好ましい。本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)が乾燥した形態で提供されるとき、再構成は、概して好適な溶媒を加えることによる。キットには、溶媒、例えば、滅菌水又は緩衝液が任意選択で提供されてもよい。
【0469】
キットは、本明細書に記載される投薬形態を入れる組成物用の1つ以上の容器を含み得る。一部の実施形態において、キットには、組成物及び情報資料用の別個の容器、仕切り又は区画が含まれる。例えば、医薬組成物又は環状ポリリボヌクレオチドがボトル、バイアル、又はシリンジに収容されてもよく、情報資料がプラスチック製のクリアファイル又は小袋に収容されてもよい。他の実施形態では、キットの別個の要素が、単一の仕切りのない容器に収容される。例えば、本明細書に記載される医薬組成物又は核酸分子(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の投薬形態は、それに表示の形態の情報資料が貼り付けられたボトル、バイアル又はシリンジに収容される。一部の実施形態において、キットは、本明細書に記載される医薬組成物又は環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の単位投薬形態を各々が収容する複数の(例えば、一包みの)個別の容器を含む。例えば、キットは、本明細書に記載される投薬形態の単一の単位用量を各々が収容する複数のシリンジ、アンプル、フォイル小袋、又はブリスターパックを含む。
【0470】
キットの容器は、気密、防水性(例えば、水分量又は蒸発量の変化に対して不透過性)、及び/又は遮光性であってもよい。
【0471】
キットは、任意選択で、投薬形態の使用に好適な装置、例えば、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーン、綿棒(例えば、綿棒又は木製スワブ)、又は任意のかかる装置を含む。
【0472】
本発明のキットは、本明細書に記載される初期相レジメン、誘導相レジメン、又は維持相レジメンのうちの1つ以上に好適な用量を対象に提供するため様々な強度の投薬形態を含み得る。或いは、キットは、必要に応じて使用者が分割した用量を投与することができるように、割線入りの錠剤を含み得る。
【実施例
【0473】
以下の例は、本開示を限定するのでなく、むしろ例示することが意図されるものであり、本明細書に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作成され、及び評価され得るかについての説明を当業者に提供するために提示される。これらの例は、単に本開示の例示であることが意図され、本発明者らがその発明であると見なすものの範囲を限定することは意図されない。
【0474】
実施例1:分泌型VZV免疫原のインビトロ発現
本例では、哺乳類細胞における環状RNAからの分泌型VZV免疫原の発現を実証する。
【0475】
配列内リボソーム進入部位(IRES)と、分泌型VZV免疫原をコードするヌクレオチド配列とを含むように環状RNAを設計した。本例では、DNA構築物は、IRESと、ポリヌクレオチドカーゴと、スペーサーエレメントとを含むように設計した。構築物は、ポリA50をスペーサーエレメントとして含み、修飾されたCVB3 IRES(配列番号113)とORFとの組み合わせをポリヌクレオチドカーゴとして含むように設計した。ORFは、ガウシアルシフェラーゼ(Gluc)分泌シグナル配列と、VZV gEヌクレオチド配列と、VSGWRLFKKISの配列(配列番号123)をGGGGSペプチドリンカー(配列番号112)と共に有するHiBiTペプチドタグをコードするヌクレオチド配列とを含んだ。
【0476】
本例では、環状RNAは、本明細書に記載される方法を用いて自己スプライシングにより生成した。7.5mMのNTPの存在下に、上記に挙げたモチーフを含むDNA鋳型からT7 RNAポリメラーゼを使用したインビトロ転写により非修飾線状RNAを合成した。DNアーゼで処理することにより鋳型DNAを除去した。合成した線状RNAをRNAクリーンアップキット(New England Biolabs、T2050)で精製した。転写時に自己スプライシングが起こった;追加の反応は不要であった。尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動(尿素-PAGE)によるか、又は逆相カラムクロマトグラフィーにより、VZV gEをコードする環状RNAを精製した。
【0477】
Lipofectamine MessengerMax(Invitrogen、LMRNA015)を製造者の指示に従い使用して、環状RNA(2ピコモル)をHEK293T細胞にトランスフェクトした(無血清培地が入った96ウェルプレートの各ウェルにつき200,000細胞)。MessengerMax単独を対照として使用した(ブランク)。分泌型VZV gEヌクレオチド配列を挿入したプラスミドもまた対照として使用した(Sec gEプラスミド)。18時間で上清を収集し、gE特異的ELISAを用いて発現を測定した。ELISAプレートを100uLコーティング緩衝液中の5μg/mL抗gE抗体でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。トランスフェクトした細胞上清をプレートにロードし、室温で1時間インキュベートした後、続いてTBS-Tで3回洗浄した。ビオチン化抗gEモノクローナル抗体(9C8)を1:1000希釈でプレートに加え、室温で1時間インキュベートした後、続いてTBS-Tで3回洗浄した。HRPコンジュゲートストレプトアビジンを1:10,000希釈でプレートに加え、室温で30分間インキュベートした後、続いてTBS-Tで4回洗浄した。
【0478】
図6は、分泌型gEをコードする環状RNA(Sec gE)がインビトロで翻訳に成功したことを示している。
【0479】
実施例2:非分泌型VZV免疫原のインビトロ発現
本例では、哺乳類細胞における環状RNAからの非分泌型VZV免疫原の発現を実証する。
【0480】
IRESと、膜貫通型VZV免疫原をコードするヌクレオチド配列とを含むように環状RNAを設計した。本例では、DNA構築物は、IRESと、ポリヌクレオチドカーゴと、スペーサーエレメントとを含むように設計した。構築物#1、#2、及び#3は、ポリA50をスペーサーエレメントとして含み、修飾されたCVB3配列内リボソーム進入部位(IRES)(配列番号113)とORFとの組み合わせをポリヌクレオチドカーゴとして含むように設計した。構築物#4は、ポリA50をスペーサーエレメントとして含み、EV71 IRES(配列番号115)とORFとの組み合わせをポリヌクレオチドカーゴとして含むように設計した。ORFは、VZV膜貫通型gEヌクレオチド配列と、G4Sペプチドリンカーを有するHiBiTペプチドタグをコードするヌクレオチド配列とを含むように設計した。本例では、各々が表4に記載されるとおりの異なるVZV膜貫通型gEヌクレオチド配列(配列番号124~128)を有する4つの異なる構築物を作製した。環状RNAは、実施例1に記載されるとおり作製した。
【0481】
Lipofectamine MessengerMax(Invitrogen、LMRNA015)を製造者の指示に従い使用して、環状RNA(2ピコモル)をHEK293T細胞にトランスフェクトした(無血清培地が入った96ウェルプレートの各ウェルにつき20,000細胞)。MessengerMax単独を対照として使用した。トランスフェクション後24時間で細胞を回収し、生死判別染色し、抗gE抗体(9C8)でプローブした後、続いてPE-抗マウス抗体でプローブした。24時間の時点でgE発現をフローサイトメトリーにより測定した。
【0482】
図7は、膜貫通型gEをコードする環状RNAのいずれからも、HEK293T細胞の細胞表面上に中程度から高度なレベルのgE発現が検出されたことを示している。
【0483】
【表4-1】
【0484】
【表4-2】
【0485】
【表4-3】
【0486】
実施例3:異なるIRESエレメントがあるときの非分泌型VZV免疫原のインビトロ発現
本例では、哺乳類細胞における異なるIRESエレメントを含む環状RNAからの膜貫通型VZV gE免疫原の発現を実証する。
【0487】
本例では、各々が異なるIRESを含む、膜貫通型VZV gEをコードする一組の環状RNAを作成した。DNA構築物は、IRESと、ポリヌクレオチドカーゴと、スペーサーエレメントとを含むように設計した。ポリヌクレオチドペイロードは、表5に提供されるとおりのIRESとVZV膜貫通型gEヌクレオチド配列との組み合わせ、及びG4Sペプチドリンカーを有するHiBiTペプチドタグをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0488】
【表5-1】
【0489】
【表5-2】
【0490】
【表5-3】
【0491】
【表5-4】
【0492】
環状RNAは、実施例1に記載されるとおり作製した。
【0493】
Lipofectamine MessengerMax(Invitrogen、LMRNA015)を製造者の指示に従い使用して、環状RNA(1.0ピコモル)をHEK293T細胞にトランスフェクトした(無血清培地が入った96ウェルプレートの各ウェルにつき100,000細胞)。MessengerMax単独を対照として使用した。トランスフェクション後24時間で細胞を回収し、gE発現を上記に記載したとおり測定した。
【0494】
図8は、AEV IRESを含有した環状RNAを除いては、膜貫通型gEをコードする環状RNAの各々からHEK293T細胞の細胞表面にVZV gE免疫原が検出されたことを示している。
【0495】
実施例4:マウスモデルにおける環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現
本例では、マウスモデルにおける環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現を実証する。
【0496】
環状RNAは、IRESと、分泌型VZV免疫原又は非分泌型VZV免疫原(例えば、膜貫通型VZV免疫原)をコードするヌクレオチド配列とを含むように設計した。
【0497】
本例では、DNA構築物は、IRESと、ポリヌクレオチドカーゴと、スペーサーエレメントとを含むように設計した。構築物は、ポリA50をスペーサーエレメントとして含み、修飾されたCVB3配列内リボソーム進入部位(IRES)(配列番号48)とORFとの組み合わせをポリヌクレオチドカーゴとして含むように設計した。分泌型VZV免疫原をコードするDNA構築物について、ORFは、分泌シグナル配列と、VZV gEヌクレオチド配列と、G4Sペプチドリンカーを有するHiBiTペプチドタグをコードするヌクレオチド配列(配列番号113)とを含むように設計した。非分泌型VZV免疫原をコードするDNA構築物について、ORFは、VZV膜貫通型gEヌクレオチド配列と、G4Sペプチドリンカー(配列番号112)を含むHiBiTペプチドタグをコードするヌクレオチド配列とを含むように設計した。
【0498】
7.5mMのNTPの存在下に、DNA鋳型からT7 RNAポリメラーゼを使用したインビトロ転写により非修飾線状RNAを合成した。DNアーゼで20分間処理することにより鋳型DNAを除去した。合成した線状RNAをRNAクリーンアップキット(New England Biolabs、T2050)で精製した。転写時に自己スプライシングが起こった;追加の反応は不要であった。尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動(尿素-PAGE)によるか、又は逆相カラムクロマトグラフィーにより、VZV gEをコードする環状RNAを精製した。
【0499】
精製した環状RNAを脂質ナノ粒子で製剤化して、環状RNA調製物を入手した。簡潔に言えば、環状RNAを25mM酢酸塩緩衝液pH=4(0.2umフィルタでろ過した)に0.2μg/μLの濃度となるように希釈した。脂質ナノ粒子(LNP)は、初めにイオン性脂質(例えば、ALC0315)、コレステロール、DSPC、及びDMG-PEG2000をエタノール(0.2um滅菌フィルタでろ過した)に50/38.5/10/1.5mol%のモル比で溶解させることにより製剤化した。最終的なイオン性脂質/RNA重量比は6/1w/wであった。脂質及びRNA溶液をマイクロフルイディクスシステムを使用して3/1の緩衝液/エタノールの流量比及び1ml/分の総流量でマイクロミキサーチップにて混合した。次にLNPをPBS pH=7.4で3時間透析してエタノールを除去した。必要に応じて、Amicon遠心フィルタ、100kDaカットオフを使用してLNPを所望のRNA濃度に濃縮した。
【0500】
各群3匹のBalb/Cマウス(n=3)が10μg用量又は50μg用量のいずれかの環状RNA調製物の投与を0日目(プライミング)及び28日目(ブースト)に筋肉内注射によって受けた。0日目及び28日目に環状RNAでなく、PBSを筋肉内注射したマウス(n=3)を対照として使用した。0日目及び28日目に5μgのSHINGRIXワクチンを筋肉内注射したマウス(n=3)もまた対照として使用した。
【0501】
プライミングから6時間後、2日後、及び5日後に、分泌型VZV gEをコードする環状RNAの50μg用量の調製物又はPBSを注射した各マウスから血清試料を収集した。HiBiTタグ;生物発光タンパク質検出アッセイを製造者の指示に従い使用して(Nano-Glo(登録商標)HiBiT細胞外検出システム、Promegaカタログ番号N420)、VZV gEレベルを測定した。データを各群3匹の動物の平均値として図9に示す。gE濃度(ng/mL)はHiBiT標準から内挿した。分泌型gEをコードする環状RNAによる筋肉内免疫から6時間後、分泌型gEが血清中に約200ng/mLの濃度で検出される。
【0502】
実施例5:マウスモデルにおける環状RNAからのVZV免疫原の免疫原性
本例では、VZV免疫原をコードする環状RNAがマウスにおいて免疫原特異的応答を誘導することを実証する。
【0503】
実施例4に記載されるとおり環状RNAを設計し、作製し、及びLNPに製剤化した。
【0504】
各群3匹のBalb/Cマウス(n=3)が10μg用量又は50μg用量のいずれかの環状RNA調製物の投与を0日目(プライミング)及び28日目(ブースト)に筋肉内注射によって受けた。環状RNAでなく、PBSを筋肉内注射したマウス(n=3)を対照として使用した。5μgのSHINGRIXワクチンを筋肉内注射したマウス(n=3)もまた対照として使用した。
【0505】
14、35、及び42日目、環状RNA調製物を投与したマウスから、実施例4に記載されるとおり血清試料を単離した。VZV特異的IgGの存在に関して血清試料をアッセイした。ELISAプレートを100μLの1×コーティング緩衝液(Biolegend、421701)中のgEタンパク質(Genscript特注タンパク質;各ウェル100ng)により4℃で一晩コーティングした。次にプレートをブロッキング緩衝液(2%BSA及び0.05%Tween(登録商標)20含有TBS)で1時間ブロックした。血清を8回段階希釈し(500から8192000までの4倍希釈)、次に100μLブロッキング緩衝液が入った各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)界面活性剤含有1×トリス緩衝生理食塩水(TBS-T)で3回洗浄した後、プレートを抗マウスIgG HRP検出抗体(Abcam、ab97023)と共に1時間インキュベートし、続いてTBS-Tで3回洗浄し、次にテトラメチルベンゼン(TMB)ELISA基質(ThermoFisher、34022)を加えた。プレートを20分間、次に0.2N硫酸を使用してクエンチした。光学濃度(O.D.)値を450nmで決定した。エンドポイント力価は、吸光度値がバックグラウンドの4倍になった最終的な希釈度として定義した。
【0506】
これらの結果は、注射後14日目までに分泌型及び膜貫通型gEに対して抗gE抗体が引き出され、ブースト後もこの力価が増加し続けたことを示している(図10)。
【0507】
プライミング後42日目にマウスを犠牲にし、脾臓を回収し、VZV-gE T細胞応答に関してELISpotアッセイにより製造者のプロトコル(Mabtech、3321-4HPT-10)に従い試験した。簡潔に言えば、脾臓を回収し、単一細胞懸濁液となるように処理した。脾細胞をIFN-γ ELISpotプレートに各ウェル0.5M細胞で播いた。脾細胞は、刺激していないか、又は1μg/mLのgEペプチドプール(JPT、PM-VZV-gE)で刺激したかのいずれかであった。細胞を一晩培養し、翌日、製造者のプロトコルに従いプレートを発色させた。図11は、分泌型gEをコードする環状RNA(Sec gE)及び膜貫通型gEをコードする環状RNA(Tm gE)が、10μg用量で免疫化後にT細胞応答をプライミングしたことを示している。
【0508】
プライミング後42日目にマウスを犠牲にし、脾臓を上記に記載したとおり単一細胞懸濁液となるように処理した。脾細胞をU字型96ウェルプレートに0.5/ウェルで播いた。脾細胞は、刺激していないか、又は1μg/mLのgEペプチドプール(JPT、PM-VZV-gE)で刺激したかのいずれかであった。脾細胞を1時間培養した後、続いて細胞内タンパク質阻害薬(GolgipPlug(商標)及びGolgiStop(商標)タンパク質輸送阻害剤(BD、555028))を加え、次にさらに5時間培養した。次に製造者のプロトコル(BD、555028)に従い脾細胞を固定し、透過処理し、及び染色した。
【0509】
図12Aは、分泌型gEをコードする環状RNA(Sec gE)及び膜貫通型gEをコードする環状RNA(Tm gE)が10μg用量で免疫化後にCD8 T細胞をプライミングしたことを示している。図12Bは、分泌型gEをコードする環状RNA(Sec gE)及び膜貫通型gEをコードする環状RNA(Tm gE)が10μg用量で免疫化後にCD4 T細胞をプライミングしたことを示している。これらの環状RNAは、SHINGRIXワクチンと比べて有意に多量のCD4 T細胞をプライミングした。
【0510】
これらの結果は、分泌型gE又は膜貫通型gEをコードする環状RNAがマウスにおいてgE特異的体液性及び細胞性免疫応答を誘導したことを実証している。
【0511】
実施例11:VZV免疫原をコードする環状RNAの設計、生成、及び精製
本例は、VZV免疫原(例えば、gE VZV免疫原)をコードする環状RNAの設計及びインビトロ生成及び精製について記載する。環状RNAは、IRESと、VZV免疫原をコードする核酸配列と、少なくとも1つのスペーサーエレメントとを含むように設計する。VZV免疫原をコードする環状RNAの一部は、天然リーダー配列又は分泌シグナルもまたコードする。
【0512】
本例では、環状RNAは、2つの例示的方法の一方により生成し、RNA精製システムで再び精製する。
【0513】
例示的方法1:DNA-スプリントライゲーション
この方法では、環状RNAはスプリントライゲーションにより作製される。RppH処理した線状RNAをスプリントDNAを使用して環化する。非修飾線状RNAをインビトロ転写によりDNAセグメントからT7 RNAポリメラーゼを使用して合成する。転写されたRNAをRNA精製システム(New England Biolabs)で精製し、RNA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356)で製造者の指示に従い処理する。それに代えて、又は加えて、GTPに対してGMP過剰でRNAを転写する。
【0514】
スプリントライゲーションは、以下のとおり実施する:転写された線状RNA及び10~40ヌクレオチド長のDNAスプリントをRNAリガーゼを使用して処理することにより、環状RNAを生成する。この環状RNAを精製するため、ライゲーション混合物を4%変性PAGEで分離し、各環状RNAに対応するRNAバンドを切り出す。切り出したRNAゲル断片を潰し、RNAをゲル溶出緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)により37℃で1時間溶出する。それに代えて、又は加えて、環状RNAはカラムクロマトグラフィーにより精製する。上清を回収し、潰したゲルにゲル溶出緩衝液を加えることにより再びRNAを溶出し、1時間インキュベートする。遠心フィルタによりゲルの残屑を除去し、エタノールで沈殿させる。アガロースゲル電気泳動を純度及び環化を検証するための品質管理尺度として用いる。
【0515】
例示的方法2:イントロンの自己スプライシングによる環化
この方法では、環状RNAは自己スプライシングにより作製される。環状RNAをインビトロで生成する。上記に挙げた全てのモチーフを含むDNA鋳型から、非修飾の線状RNAをインビトロ転写する。インビトロ転写反応には、1μgの鋳型DNA T7 RNAポリメラーゼプロモーター、10×のT7反応緩衝液、7.5mM ATP、7.5mM CTP、7.5mM GTP、7.5mM UTP、10mM DTT、40U RNアーゼ阻害薬、及びT7酵素が含まれた。転写を37℃で4時間実行する。転写されたRNAは、1UのDNアーゼIによって37℃で15分間処理したDNアーゼである。自己スプライシングによる環化に有利に働くように、2mMの最終濃度となるように追加のGTPを加え、55℃で15分間インキュベートする。次にRNAをカラム精製し、尿素-PAGEによって可視化する。
【0516】
実施例12:VZV免疫原のインビトロ発現
本例は、哺乳類細胞における環状RNAからのVZV免疫原の発現について記載する。RNA構築物からのVZV免疫原の発現を測定するため、本明細書に記載される方法のとおりにVZV免疫原をコードする環状RNAを作製し、精製する。MessengerMax(Invitrogen、LMRNA)を使用して、環状RNA(0.1ピコモル)をHEK293にトランスフェクトする(無血清培地が入った96ウェルプレートの各ウェルにつき10,000細胞)。24時間後に細胞上清を回収する。ELISAを以下のとおり実施する:ELISAプレート(MaxiSorp 442404、96ウェル)に捕捉抗体を100μL PBS中4℃で一晩コーティングする。TBS-Tで3回洗浄した後、プレートをブロッキング緩衝液(2%FBS及び0.05%Tween(登録商標)20含有TBS)で1時間ブロックする。次に100μLブロッキング緩衝液が入った各ウェルに上清希釈液を加え、室温で1時間インキュベートする。TBS-Tで3回洗浄した後、プレートをHRP検出抗体と共に室温で1時間インキュベートする。各ウェルにテトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を加えて5~15分間反応させておき、次に2N硫酸でクエンチする。光学濃度(OD)値を450nmで決定する。
【0517】
実施例13:マウスモデルにおける環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現
本例では、環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現を実証する。環状RNAを実施例11に記載されるとおり設計し、作製する。精製後、環状RNAを以下のとおり製剤化する:
A.環状RNAをPBSに希釈して環状RNA調製物を入手する(ネイキッド)。
B.環状RNAを脂質ナノ粒子で製剤化して環状RNA調製物を入手する(LNP製剤化)。簡潔に言えば、環状RNAを25mM酢酸塩緩衝液pH=4に希釈する。脂質ナノ粒子(LNP)は、初めにイオン性脂質(例えば、ALC0315)、コレステロール、DSPC、及びDMG-PEG2000をエタノールに50/38.5/10/1.5mol%のモル比で溶解させることにより製剤化する。最終的なイオン性脂質/RNA重量比は、8/1w/wである。脂質及びRNA溶液をマイクロフルイディクスシステムを使用してマイクロミキサーチップにて混合する。次にLNPをPBS pH=7.4で透析してエタノールを除去する。環状RNA濃度をPBSで調整する。
C.環状RNAをAddavax(商標)アジュバント(Invivogen)、MF59(登録商標)アジュバント、AS01/AS01B、AS03、ミョウバン、CpG1018、又はポリI:Cなどのアジュバントで製剤化して環状RNA調製物を入手する(アジュバント製剤化)。簡潔に言えば、環状RNAをアジュバントと混合する。
【0518】
一つの手法では、環状RNA調製物(ネイキッド、LNP製剤化、アジュバント製剤化)を0日目にマウスに皮内又は筋肉内投与し、4週間後に2回目の皮内又は筋肉内投与を行う。第2の手法では、環状RNAをPBSに希釈することによって入手した環状RNA調製物(ネイキッド)又は環状RNAをLNPに製剤化することによって入手した環状RNA調製物(LNP製剤化)を0日目にマウスに皮内又は筋肉内投与し、4週間後に2回目の皮内又は筋肉内注射を行う。この第2の手法について、マウスにアジュバント(Addavax(商標)アジュバント(Invivogen)、MF59(登録商標)アジュバント、AS01/AS01B、AS03、ミョウバン、CpG1018、又はポリI:Cなど)が0日目に(環状RNA調製物との同時送達)又は24時間時点で投与される。両方の手法とも、対照群のマウスは環状RNAではなく、媒体で処理する。環状RNAを含有するがアジュバントは含有しない追加の対照群を含めてもよい。
【0519】
全時間経過にわたって血液試料を採取して、血清中のgE特異的抗体価をELISAによりモニタする。血液(35μl)は、投与後1日、2日、3日、及び7日、次に9週間にわたって毎週、各マウスの尾静脈から乾燥したチューブに収集する。血清は4℃にて1,300gで25分間遠心することにより収集し、VZV免疫原レベルはELISAにより製造者の指示に従い測定する。
【0520】
最後の時点後にマウスを犠牲にする。脾臓及びリンパ節を回収し、gE免疫原特異性に関してフローサイトメトリー及びELISpotにより試験する。収集した血清を感染阻害アッセイで試験して、血清抗体の中和能を決定する。
【0521】
実施例14:マウスモデルにおけるアジュバントと共に送達した環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現
本例では、AddaSO3(商標)アジュバント(Invivogen)など、アジュバントと一緒に送達することによる免疫亢進と併せた、環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現を実証する。環状RNAを実施例11に記載されるとおり設計し、作製する。等容積のAddaSO3(商標)アジュバント溶液と混合することにより、環状RNAを製剤化する。この環状RNA/アジュバント調製物を0日目にマウスに筋肉内投与し、2回目の投与を4週間後に行う。対照群のマウスは溶媒により環状RNAなしで治療する。環状RNAを含有するがアジュバントのない追加の対照群を含めてもよい。全時間経過にわたって血液試料を採取して、血清中のgE特異的抗体価をELISAによりモニタする。血液(35μl)は、投与後1日、2日、3日、及び7日、次に9週間にわたって毎週、各マウスの尾静脈から乾燥したチューブに収集する。血清は4℃にて1,300gで25分間遠心することにより収集し、VZV免疫原レベルはELISAにより製造者の指示に従い測定する。
【0522】
最後の時点後にマウスを犠牲にする。脾臓及びリンパ節を回収し、gE免疫原特異的T細胞に関してフローサイトメトリー及びELISpotにより試験する。収集した血清を感染阻害アッセイで試験して、血清抗体の中和能を決定する。
【0523】
実施例15:マウスモデルにおけるアジュバントと共に送達した環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現
本例では、AddaSO3(商標)アジュバント(Invivogen)など、アジュバントと一緒に送達することによる免疫亢進と併せた、環状RNAからのVZV免疫原のインビボ発現を実証する。環状RNAを実施例11に記載されるとおり設計し、作製する。等容積のAddaSO3(商標)アジュバント溶液と混合することにより、環状RNAを製剤化する。この環状RNA/アジュバント調製物を0日目にマウスに皮内投与し、2回目の投与を4週間後に行う。対照群のマウスは溶媒により環状RNAなしで治療する。環状RNAを含有するがアジュバントのない追加の対照群を含めてもよい。全時間経過にわたって血液試料を採取して、血清中のgE特異的抗体価をELISAによりモニタする。血液(35μl)は、投与後1日、2日、3日、及び7日、次に9週間にわたって毎週、各マウスの尾静脈から乾燥したチューブに収集する。血清は4℃にて1,300gで25分間遠心することにより収集し、VZV免疫原レベルはELISAにより製造者の指示に従い測定する。
【0524】
最後の時点後にマウスを犠牲にする。脾臓及びリンパ節を回収し、gE免疫原特異的T細胞に関してフローサイトメトリー及びELISpotにより試験する。収集した血清を感染阻害アッセイで試験して、血清抗体の中和能を決定する。
【0525】
他の実施形態
記載された本発明の組成物、方法及び使用の様々な変更及び変形は、当業者であれば、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、特許請求される本発明がそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことを理解されたい。実際、当業者に明らかな、本発明を実施するための記載されたモードの様々な変更は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0526】
全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、又は特許出願がその全体を参照することにより本明細書に組み込まれることが具体的且つ個々に示されたのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0527】
番号付けされた実施形態
[1]水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)ポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームを含む環状ポリリボヌクレオチド。
【0528】
[2]VZVポリペプチド免疫原が、VZV糖タンパク質又はその免疫原性断片である、実施形態[1]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0529】
[3]VZV糖タンパク質が、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、及びgMから選択されるか、又はその免疫原性断片である、実施形態[2]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0530】
[4]VZV糖タンパク質が、VZV gE、又はその免疫原性断片である、実施形態[3]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0531】
[5]VZV糖タンパク質が、野生型VZV gEと比べて10個を超えないアミノ酸置換、欠失、又は挿入を含むVZV gEの突然変異バリアント、又はその免疫原性断片である、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0532】
[6]VZV gEポリペプチドが、アンカードメイン(小胞体保留ドメイン)を欠くトランケート型ポリペプチドである、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0533】
[7]VZV gEポリペプチドが、カルボキシ末端尾部ドメインを欠くトランケート型ポリペプチドである、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0534】
[8]VZV gEポリペプチドが、VZV gEのアミノ酸1~524、1~546、1~561、1~573、又は1~623を含む、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0535】
[9]VZV gEポリペプチドが、Y569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を含む、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0536】
[10]VZV gEポリペプチドが、VZV gEのアミノ酸1~573及びY569A突然変異を含む、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0537】
[11]VZV gEポリペプチドが、VZV gEのアミノ酸1~623及びY569A突然変異、Y582G突然変異、又はY569A/Y582G二重突然変異を含む、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0538】
[12]VZV gEポリペプチドが、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0539】
[13]VZV gEポリペプチドが、配列番号29~33及び65~68のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態[12]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0540】
[14]VZV gEポリペプチドがシグナル配列をさらに含み、VZV gEポリペプチド及びシグナル配列が一緒になって、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0541】
[15]VZV gEポリペプチドがシグナル配列をさらに含み、VZV gEポリペプチド及びシグナル配列が一緒になって、配列番号34~38及び69~70のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態[14]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0542】
[16]任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV gEポリペプチドが、配列番号39~47及び71~83のいずれか1つの核酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる、実施形態[4]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0543】
[17]任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV gEポリペプチドが、配列番号39~47及び71~83のいずれか1つの核酸配列によってコードされる、実施形態[16]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0544】
[18]VZVポリペプチド免疫原が、VZV前初期タンパク質又はその免疫原性断片である、実施形態[1]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0545】
[19]VZV前初期タンパク質が、IE63ポリペプチドである、実施形態[18]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0546】
[20]VZV IE63ポリペプチドが、配列番号84のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態[19]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0547】
[21]VZV IE63ポリペプチドが、配列番号84のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態[20]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0548】
[22]任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV IE63ポリペプチドが、配列番号85のいずれか1つの核酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされる、実施形態[18]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0549】
[23]任意選択でシグナル配列をさらに含むVZV IE63ポリペプチドが、配列番号85のいずれか1つの核酸配列によってコードされる、実施形態[22]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0550】
[24]VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列が、少なくとも51%のGC含量を有する、実施形態[1]~[23]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0551】
[25]VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列が、51%~60%のGC含量を有する、実施形態[24]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0552】
[26]VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列が、20%を超えるウリジン含量を有する、実施形態[1]~[25]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0553】
[27]VZVポリペプチド免疫原をコードする核酸配列が、20%~28%のウリジン含量を有する、実施形態[26]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0554】
[28]VZVポリペプチド免疫原が、多量体化ドメインをコードする配列をさらに含む、実施形態[1]~[27]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0555】
[29]多量体化ドメインが、T4フォルドンドメイン、フェリチンドメイン、β-アニュラスペプチド、AaLSペプチド、又はルマジンシンターゼドメインから選択される、実施形態[28]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0556】
[30]多量体化ドメインが、VZVポリペプチド免疫原のN端側にある、実施形態[28]又は[29]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0557】
[31]多量体化ドメインが、VZVポリペプチド免疫原のC端側にある、実施形態[28]又は[29]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0558】
[32]VZVポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームが、IRESに作動可能に連結されている、実施形態[1]~[31]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0559】
[33]VZVポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームが、第2のポリペプチドをコードする、実施形態[1]~[32]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0560】
[34]VZVポリペプチド免疫原及び第2のポリペプチドが、ポリペプチドリンカー、2A自己切断型ペプチド、プロテアーゼ切断部位、又はプロテアーゼ切断部位とタンデムに並んだ2A自己切断型ペプチドによって分離されている、実施形態[33]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0561】
[35]プロテアーゼ切断部位が、フューリン切断部位である、実施形態[34]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0562】
[36]環状ポリリボヌクレオチドが、第2のIRESに作動可能に連結された第2のポリペプチドをコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含む、実施形態[1]~[32]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0563】
[37]第2のポリペプチドが、ポリペプチド免疫原である、実施形態[33]~[36]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0564】
[38]第2のポリペプチドが、VZVポリペプチド免疫原である、実施形態[37]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0565】
[39]第2のポリペプチドが、VZV gE、gl、gB、gH、gK、gL、gC、gN、及びgMから選択されるVZV糖タンパク質、VZV前初期タンパク質、又はその免疫原性断片である、実施形態[38]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0566】
[40]第2のポリペプチドが、VZV gE、又はその免疫原性断片である、実施形態[39]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0567】
[41]第2のポリペプチドが、VZV IE63、又はその免疫原性断片である、実施形態[33]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0568】
[42]第2のポリペプチドが、ポリペプチドアジュバントである、実施形態[33]~[36]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0569】
[43]アジュバントが、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子、自然免疫賦活剤、シグナル伝達分子、転写活性化因子、サイトカイン受容体、細菌成分、又は自然免疫系の成分である、実施形態[42]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0570】
[44]環状ポリリボヌクレオチドが、自然免疫系刺激因子である非コードリボ核酸配列をさらに含む、実施形態[1]~[43]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0571】
[45]自然免疫系刺激因子が、GUリッチモチーフ、AUリッチモチーフ、dsRNAを含む構造化された領域、又はアプタマーから選択される、実施形態[44]に記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0572】
[46]実施形態[1]~[45]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチドと、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む免疫原性組成物。
【0573】
[47]第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、実施形態[46]に記載の免疫原性組成物。
【0574】
[48]第2の環状ポリリボヌクレオチドが、第2のポリペプチド免疫原をコードするオープンリーディングフレームを含む、実施形態[47]に記載の免疫原性組成物。
【0575】
[49]第2の環状ポリリボヌクレオチドが、ポリペプチドアジュバントをコードするオープンリーディングフレームを含む、実施形態[47]に記載の免疫原性組成物。
【0576】
[50]第2の環状ポリリボヌクレオチドが、自然免疫系刺激因子である非コードリボ核酸配列を含む、実施形態[47]に記載の免疫原性組成物。
【0577】
[51]対象においてVZVに対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に実施形態[1]~[50]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法。
【0578】
[52]対象のVZV感染症を予防する方法であって、対象に実施形態[1]~[50]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法。
【0579】
[53]VZV感染症を有する又は有する疑いがある対象を治療する方法であって、対象に実施形態[1]~[50]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与することを含む方法。
【0580】
[54]対象が過去にVZV感染症又はVZV感染症に関連する障害との診断を受けたことがある、実施形態[53]に記載の方法。
【0581】
[55]VZV感染症が無症候性であるか、又はVZV感染症が潜伏性である、実施形態[53]又は[54]に記載の方法。
【0582】
[56]対象が、帯状ヘルペスとの診断を受けたことがある、実施形態[53]~[55]のいずれか1つに記載の方法。
【0583】
[57]環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を投与すると、帯状ヘルペスに関連する症状の頻度又は重症度が低下する、実施形態[56]に記載の方法。
【0584】
[58]対象がヒト対象である、実施形態[51]~[57]のいずれか1つに記載の方法。
【0585】
[59]対象にアジュバントを投与することをさらに含む、実施形態[51]~[58]のいずれか1つに記載の方法。
【0586】
[60]対象にVZVポリペプチド免疫原を投与することをさらに含む、実施形態[51]~[59]のいずれか1つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
【国際調査報告】