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特表2024-541468腹膜透析圧力感知システム、および空気検出および限外濾過管理のための方法
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  • 特表-腹膜透析圧力感知システム、および空気検出および限外濾過管理のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】腹膜透析圧力感知システム、および空気検出および限外濾過管理のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61M1/28 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530493
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022079653
(87)【国際公開番号】W WO2023097147
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,019
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/356,332
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ファルマン, オスカル エリク フローデ スティルビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ペッテルソン, ミケル
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン, ジミー マルクス アクセル
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077CC02
4C077CC08
4C077EE03
4C077EE04
4C077HH02
4C077HH13
4C077HH17
4C077JJ08
4C077JJ13
4C077JJ18
(57)【要約】
流体送達システムは、流体ポンプと、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための圧力センサであって、圧力センサからの出力は、医用流体ポンプのポンプストローク中、医用流体が圧送されているか、空気が圧送されているかに応じて変動する、圧力センサと、圧力センサからの出力を使用して、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成された制御ユニットとを含む。一実施形態において、制御ユニットは、空気検出回路を含み、空気検出回路は、圧力センサからの出力を使用して、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用流体送達システムであって、前記医用流体送達システムは、
流体ポンプと、
前記流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための圧力センサであって、前記圧力センサからの出力は、医用流体ポンプのポンプストローク中、医用流体が圧送されているか、空気が圧送されているかに応じて変動する、圧力センサと、
制御ユニットと
を備え、
前記制御ユニットは、前記圧力センサからの前記出力を使用して、前記ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成されている、医用流体送達システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記圧力センサからの前記出力を使用して、前記ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するか、医用流体と空気との混合物が存在するかを決定するように構成されている、請求項1に記載の医用流体送達システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、空気検出回路を含み、前記空気検出回路は、前記圧力センサからの前記出力を使用して、前記ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成されている、請求項1に記載の医用流体送達システム。
【請求項4】
前記空気検出回路は、バンドパスフィルタを含み、前記バンドパスフィルタは、前記圧力センサ出力から不必要な信号をフィルタリングし、フィルタリングされた出力を形成するように構成されている、請求項3に記載の医用流体送達システム。
【請求項5】
前記空気検出回路は、比較器を含み、前記比較器は、前記フィルタリングされた出力を分析し、前記ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成されている、請求項4に記載の医用流体送達システム。
【請求項6】
前記空気検出回路は、カウンターを含み、前記ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定された場合、前記比較器から前記カウンターへの出力は、高になり、前記カウンターでのカウントが、増やされる、請求項5に記載の医用流体送達システム。
【請求項7】
前記ポンプストローク中、空気が存在すると決定された場合、前記比較器から前記カウンターへの前記出力は、低になり、前記カウンターでの前記カウントは、増やされない、請求項6に記載の医用流体送達システム。
【請求項8】
前記制御ユニットは、前記カウントを前記ストロークの既知の体積で乗算し、前記流体ポンプの複数のストロークにわたって圧送された流体の少なくとも1つの体積を決定するように構成されている、請求項6に記載の医用流体送達システム。
【請求項9】
圧送された流体の前記少なくとも1つの体積は、腹膜透析(「PD」)治療のための患者排出体積または患者充填体積のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の医用流体送達システム。
【請求項10】
圧送された流体の前記少なくとも1つの体積は、前記患者排出体積と前記患者充填体積との両方を含み、前記制御ユニットは、前記患者排出体積から前記患者充填体積を減算し、前記PD治療中に患者から除去された限外濾過の量を決定するように構成されている、請求項9に記載の医用流体送達システム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサを含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記比較器からの出力が、前記ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定されたことを示す場合、カウントを増やすように構成されている、請求項5に記載の医用流体送達システム。
【請求項12】
前記空気検出回路は、前記カウンターに対するリセット入力を含み、前記リセット入力は、腹膜透析治療のための患者排出または患者充填のうちの少なくとも1つの前に前記カウントを0にリセットするように構成されている、請求項5に記載の医用流体送達システム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記圧力センサからの前記出力を使用して前記ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む、請求項1に記載の医用流体送達システム。
【請求項14】
前記制御ユニットは、前記圧力センサからの前記出力のピークツーピーク値を分析し、前記ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成されている、請求項1に記載の医用流体送達システム。
【請求項15】
前記圧力センサからの前記出力は、生出力であり、前記ピークツーピーク値は、前記生出力からである、請求項14に記載の医用流体送達システム。
【請求項16】
前記圧力センサからの前記出力は、正弦波出力であり、前記ピークツーピーク値は、前記正弦波出力からである、請求項14に記載の医用流体送達システム。
【請求項17】
前記制御ユニットは、前記圧力センサからの前記出力のピークツーピーク値における閾値減少が検出された場合、前記ポンプストローク中、空気が存在すると決定するように構成されている、請求項14に記載の医用流体送達システム。
【請求項18】
前記制御ユニットは、前記圧力センサからの前記出力のピークツーピーク値における閾値減少が検出されない場合、前記ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定するように構成されている、請求項14に記載の医用流体送達システム。
【請求項19】
前記圧力センサからの前記出力は、患者排出または患者充填中の前記ポンプストロークの上流側部分のためである、請求項1に記載の医用流体送達システム。
【請求項20】
前記圧力センサからの前記出力は、患者排出または患者充填中の前記ポンプストロークの下流側部分のためである、請求項1に記載の医用流体送達システム。
【請求項21】
医用流体の方法であって、前記方法は、
ポンプストロークを実施する流体ポンプの上流側または下流側に位置している圧力センサの出力のピークツーピーク値間の差分を決定することと、
前記決定された差分をピークツーピーク値間の閾値差分と比較することと、
前記決定された差分が前記閾値差分より大きい場合、前記ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定することと
を含む、医用流体の方法。
【請求項22】
前記決定された差分が前記閾値差分より小さい場合、前記ポンプストローク中、空気または空気と医用流体との組合せが存在すると決定することを含む、請求項21に記載の医用流体の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張および関連出願の相互参照)
本出願は、PERITONEAL DIALYSIS PRESSURE SENSING SYSTEMS AND METHODS FOR AIR DETECTION AND ULTRAFILTRATION MANAGEMENTと題された2022年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/356,332号およびPERITONEAL DIALYSIS PRESSURE SENSING SYSTEMS AND METHODS FOR INLINE HEATER OVERHEATING PREVENTION AND LEVEL SENSINGと題された2021年11月24日に出願された米国仮特許出願第63/283,019号の優先権および利益を主張し、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれ、依拠される。
【0002】
本開示は、一般に、医用流体治療に関し、特に、透析液治療中の治療流体の加熱に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な原因により、人の腎臓系が機能しなくなることがある。腎不全は、いくつかの生理的障害を生じる。水とミネラルとのバランスをとること、または毎日の代謝負荷を排出することは、もはや可能ではない。尿素、クレアチニン、尿酸などといった代謝の有毒な最終産物が、患者の血液および組織に蓄積し得る。
【0004】
腎機能の低下、とりわけ腎不全は、透析によって治療される。透析は、正常に機能している腎臓がそうでなければ除去するであろう老廃物、毒素および過剰な水を身体から除去する。腎機能の代替のための透析治療は、治療が命に係るものであるので、多くの人々にとってきわめて重要である。
【0005】
腎不全治療の一タイプは、血液透析(「HD」)であり、HDは一般に拡散を使用して患者の血液から老廃物を除去する。血液と、透析物または透析液と呼ばれる電解質溶液との間で半透性の透析器を横切る拡散勾配が生じ、拡散を引き起こす。
【0006】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依拠する代替的な腎代替治療である。HFは、治療中に体外回路に補充液または置換液を加えることによって達成される。補充液、および治療の合間に患者によって蓄積された流体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、中分子および大分子を除去することにおいて特に有益な対流輸送の機構を提供する。
【0007】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせた治療様式である。HDFは、標準的な血液透析と同様、透析器を流れる透析液を使用して、拡散クリアランスを提供する。さらに、補充溶液が、体外回路に直接供給され、対流クリアランスを提供する。
【0008】
ほとんどのHD治療、HF治療、およびHDF治療は、施設で行われる。在宅血液透析(「HHD」)の傾向が、一部は、HHDを毎日行うことができ、通常、週2回または週3回行われる施設内血液透析治療に優る治療上の利益を提供するので、今日、存在する。研究は、より高い頻度の治療が、より低い頻度だがおそらくはより長時間の治療を受けている患者より多くの毒素および老廃物を除去し、透析間の体液過負荷がより少ないことを示している。より高い頻度の治療を受けている患者は、治療前に2日分または3日分の毒素を蓄積している施設内の患者ほど多くのダウンサイクル(体液および毒素の変動)を経験しない。特定の地域では、最も近い透析施設が、患者の自宅から何マイルも離れている可能性があり、ドアツードアの治療時間が1日の大部分を消費することを引き起こす。患者の自宅に近い施設での治療も、患者の一日の大部分を消費し得る。HHDは、患者がリラックスしているか、仕事をしているか、またはそれ以外に生産的である夜間または日中に行われることができる。
【0009】
別のタイプの腎不全治療は、腹膜透析(「PD」)であり、PDは、カテーテルを通して透析液またはPD液とも呼ばれる透析溶液を患者の腹膜腔に注入する。PD液は、患者の腹膜腔内で腹膜と接触する。老廃物、毒素および過剰な水は、拡散および浸透により、患者の血流から腹膜の毛細血管を通ってPD液に入り、すなわち、膜を横切る浸透圧勾配が生じる。PD液中の浸透圧剤が、浸透圧勾配を提供する。使用済みPD液が、患者から排出され、患者から老廃物、毒素および過剰な水を除去する。このサイクルは、例えば複数回繰り返される。
【0010】
様々なタイプの腹膜透析治療があり、それらは、連続携行式腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、タイダル流動透析および連続流動腹膜透析(「CFPD」)を含む。CAPDは、手動の透析治療である。ここで、患者は、植え込み式カテーテルをドレインに手で接続し、使用済みPD液が患者の腹膜腔から排出されることを可能にする。次いで、患者は、患者カテーテルが新鮮なPD液のバッグと連通し、カテーテルを通して患者に新鮮なPD液を注入するように、流体連通を切り替える。患者は、カテーテルを新鮮なPD液のバッグから切断し、PD液が患者の腹膜腔内に滞留することを可能にし、老廃物、毒素および過剰な水の輸送が行われる。滞留期間の後、患者は、例えば1日4回、手動透析手順を繰り返す。手動腹膜透析は、患者のかなりの時間および労力を必要とし、大きな改善の余地を残している。
【0011】
APDは、透析治療が排出、充填および滞留のサイクルを含むという点でCAPDと類似している。しかしながら、APD装置はこれらのサイクルを、通常、患者の睡眠中に自動的に行う。APD装置は、治療サイクルを手作業で行う必要および日中に補給品を輸送する必要から患者を解放する。APD装置は、植え込み式カテーテルと、新鮮なPD液の供給源またはバッグと、流体ドレインとに流体接続する。APD装置は、透析液供給源からカテーテルを通して患者の腹膜腔内に新鮮なPD液を圧送する。APD装置は、PD液が腔内に滞留し、老廃物、毒素および過剰な水の輸送が行われることも可能にする。供給源は、いくつかの溶液バッグを含む複数リットルの透析液を含み得る。
【0012】
APD装置は、患者の腹膜腔から使用済みPD液を圧送し、カテーテルを通して排出する。手動プロセスと同様、透析中にいくつかの排出、充填および滞留のサイクルが行われる。「最後の充填」が、APD治療の終了時に行われ得る。最後の充填液は、次の治療の開始まで患者の腹膜腔内に留まり得るか、または、日中のある時点に手動で空にされ得る。
【0013】
HD、HF、HDFおよびPDの治療のための透析液は、通常、透析器(HD、HDF)、血液ライン(HF、HDF)または患者(PD)に送達される前、加熱される。透析液は、通常、透析液が患者の血液と混じり合うかまたは患者の腹膜腔に送達されるときに患者が熱ショックを経験しないように、体温または37°Cまで加熱される。透析液ヒータの一タイプは、インライン透析液ヒータであり、インライン透析液ヒータは、透析液がインラインヒータを通過するとき、透析液を加熱する。インラインヒータは、治療が行われているとき、オンラインで動作し、治療からオフラインの別個の時間を必要としないので有利である。しかしながら、オンライン加熱の1つの欠点は、インラインヒータが給電されているときに透析液が流れていない場合、インラインヒータが過熱し得ることである。
【0014】
したがって、無流量または低流量条件に起因するインラインヒータにおける過熱を防止または緩和する効果的で低コストの方法が必要とされている。、装置内のハードウェアの量を減らし、代わりに既存のハードウェアを複数の目的に使用することも望ましい。例えば、レベルセンサやポンプ作動センサなど、追加のセンサの代わりに既存のハードウェアを使用する必要が、ある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、透析装置におけるインラインヒータの使用を伴い、透析装置は、腹膜透析(「PD」)装置、血液透析(「HD」)装置、血液濾過(「HF」)装置、血液透析濾過(「HDF」)装置または持続的腎代替治療(「CRRT」)装置などの任意のタイプの透析装置であり得る。インラインヒータは、透析液が治療のためにヒータを通って患者(PD)、透析器(HD、HDF)、または血液ライン(HF、HDF、CRRT)に向かって流れるとき、透析液を加熱する。インライン加熱方法は、治療のために送達される前に透析液のバッグを加熱するためにPDと共に一般に使用されるバッチヒータとは対照的である。本開示のインラインヒータは、バッチ加熱のためのバッグの維持に関わる設置面積を必要としないので有利である。インラインヒータは、必要に応じても透析液を加熱し、治療を開始する前の加熱期間の必要を省く。本開示は、浄水ユニット、透析液調製ユニット、および血液加温器など、インライン加熱を使用し得る他のデバイスにも適用可能である。
【0016】
本開示のインラインヒータは、一観点から、透析液が流れていない間に透析液を加熱しようとした場合、インラインヒータが過熱し得るという点で不利である。ヒータに通電するための条件として流れが存在することを確実にするために、インラインヒータの前方にフロースイッチが配置され得る。しかしながら、フロースイッチは、コストを増加させ、動かなくなるか、そうでなければ適切に機能しないこともある。
【0017】
1つの主要な実施形態における本開示のインライン流体加熱システムは、透析液がインラインヒータを通って流れていることをおそらく意味する透析液ポンプの運動または作動を検出するための既に存在する圧力センサの使用を伴う。透析(または他の)装置の透析液ポンプは、圧力センサが検出する全てのストロークにわたって圧力リップルを引き起こすタイプのものである。圧力センサからの信号は、周期的であり、透析液ポンプが一定の流量で圧送するときに一定の周波数にわたって移行する上下のピークを含む。圧力波の振幅および周波数は、異なる流量に関して変動する。透析システムのコンプライアンスも、圧力波の形状に影響を及ぼす。例えば、透析液中のより多くの空気は、ピークツーピーク圧力読み取り値を低下させ得る。
【0018】
1つの実施形態における本開示のシステムは、感知された圧力振動を使用してインラインヒータを通るPD液または他の流体の流れがあると仮定し、それによってインラインヒータに給電するためのイネーブル信号を提供するように制御ユニット、例えばPD装置または他のタイプのユニットの制御ユニットを構成またはプログラムする。ヒータイネーブル信号は、圧力信号をバンドパスフィルタリングし、次いでピーク検出器およびレベル検出器を使用することによって作成され得る。ヒータに給電するためのヒータイネーブル信号は、方形波またはオン/オフタイプの信号であり得る。
【0019】
第2の主要な実施形態において、信号の組合せを使用して、(i)ポンプが実際に作動させられているかどうか、および、そうである場合、(ii)ポンプが実際に流体を移動させているかどうかを決定することが企図される。両方が該当する場合、制御ユニットは、インラインヒータが給電されることを可能にするイネーブル信号を送信する。一実施形態におけるPD装置または他のタイプのユニットの制御ユニットは、PD装置または他のタイプのユニットの構成要素を実際に制御する制御側と、構成要素が適切に動作していることを確実にする保護側とを含む。1つの実施形態において、PD液または他の流体ポンプの各回転をカウントし、ポンプが実際に回転していることを検証するために、保護側に出力するためのポンプタコメーターが提供される。制御ユニットの制御側の一部であり得る既存の圧力センサは、PD液または他の流体が実際に圧送されていることを確実にするために上述のように使用される。既存の圧力センサの出力は、PD(または他の)流体の流れが存在すること、およびポンプが空気を圧送していないことを検証するための検証信号として使用される。ポンプが流体を圧送しているとき、別個の圧力リップルが圧力センサによって感知される。空気が存在する場合、圧力リップルは感知されない。
【0020】
一実施形態における制御ユニットは、圧力信号をバンドパスフィルタリングし、信号に閾値検出器を追加して、トランジスタ-トランジスタ論理(「TTL」)レベルのパルス信号または他の適切な信号であり得るパルス信号をもたらす。制御ユニットのマイクロプロセッサは、PD液または他の流体ポンプが動いている間にパルス信号が検出されたかどうかを決定し、それは、タコメーター出力から知られる。プロセッサは、例えば、圧力センサ回路から来るパルスがあるかどうかを決定し、ヒータイネーブル信号をオンにするかまたは開始する前、パルスが指令されたポンプストローク速度に応じているかどうかを決定し得る。パルス信号が感知され、指令されたポンプストローク速度と合致する場合、制御ユニットはヒータイネーブル信号を送信する。パルス信号が検出されないか、または指令されたポンプストローク速度に応じたパルス信号が検出された、すなわちシステム内に空気が存在し得る場合、ヒータイネーブル信号は提供されない。
【0021】
代替の実施形態において、パルス信号が検出された場合、制御ユニットは、動作を行わず、制御ユニットのヒータボード上のリレーは、ヒータへの給電を可能にする状態のままである。パルス信号が検出されない場合、制御ユニットは、ヒータボード上のリレーを開き、ヒータへの給電を切断する。
【0022】
第3の主要な実施形態において、圧力センサの出力は、エアトラップ内にどれだけの流体が存在するかを検出するために使用される。PD装置または他のタイプのユニットは、空気が浮力によってPD液または他の流体から除去され得るように、必要に応じてPD液または他の流体のボーラスを保持し、流体の流れが比較的停滞している場所も提供する役割を果たすエアトラップを提供し得る。エアトラップは、通常、高レベルおよび低レベルのPD液または他の流体を設定し得るように出力するレベルセンサと共に動作する。エアトラップは、PD液または他の流体が上位レベルセンサに到達するまで充填し得る。エアトラップは、PD液または他の流体が下位レベルセンサに到達するまで排出し得る。
【0023】
圧力センサによって感知される圧力リップルの振幅は、エアトラップがPD液または他の流体でどの程度充填されているかに応じて変動することが分かっている。エアトラップがより充填されるほど、圧力リップルの振幅が、大きくなる。圧力信号振幅とエアトラップ流体レベルとの間の関係は、1つの実施形態において、ポリトロープ過程を経て決定され、PD装置または他のタイプのユニットの制御ユニットに記憶される。ここで、エアトラップのコンプライアンスは、式pV=Cによって表される。ここで、pは、流体送達システムの圧力センサによって測定され得るエアトラップ内のガスまたは空気の圧力である。Vは、エアトラップ内の空気またはガスの体積であり、Cは、チャンバコンプライアンスと相関する定数である。指数nは、ポリトロープ指数であり、それは、本システムでは、等エントロピーであると仮定され得、それは、PD液または他の流体自体の圧送がエアトラップ内の空気またはガスを著しく加熱しないと仮定すると良好である。等エントロピー過程の場合、n=C/Cであり、CおよびCは、それぞれ、一定圧力および一定体積での空気または他のガスの熱容量である。空気の場合、本システムに関連付けられる典型的な温度範囲に関してn=1.4である。よって、チャンバの容積は、関係V=(C/p)1/1.4を使用して所与の時間に計算され得る。ここで、Cは、チャンバコンプライアンスと関係付けられ、チャンバコンプライアンスは、流体送達システムに影響を及ぼす全体的なコンプライアンスによる補正率を介して圧力振幅(p)に影響を及ぼす。エアトラップ内の空気またはガスの体積Vは、測定される圧力振幅が変化すると、変動する。
【0024】
代替の実施形態における圧力信号振幅とエアトラップ流体レベルとの間の関係は、経験的に決定され、PD装置または他のタイプのユニットの制御ユニットに記憶される。この関係は、各PD装置または他のタイプのユニットに固有のものであり得、例えば工場で決定され得る。あるいは、複数のPD装置または他のユニットに使用される一般的な関係があり得る。PD装置または他のタイプのユニットの制御ユニットは、この関係を使用して、エアトラップ内にどれだけのPD液または他の流体が存在するかを決定する。次いで、制御ユニットは、エアトラップの周囲の弁を操作して、エアトラップ内のPD液または他の流体のレベルを所望のまたは予め設定されたレベルに達するように上昇または下降させ得る。
【0025】
本開示の第4の主要な実施形態において、流体送達システムの制御ユニットは、圧力センサ(例えば、流体ポンプと患者との間に位置する、および/または流体ポンプによって供給される圧力を検出し得る任意の他の圧力センサ)の出力を使用して、患者排出ストローク(または患者充填ストローク)中に流体ポンプ内に空気が存在するかどうかを決定する。第4の主要な実施形態において、圧力センサが流体ラインに沿った様々な場所に位置し得ること、および空気を探すときに複数の圧力センサからの出力が考慮に入れられ得ることを理解されたい。
【0026】
1つの実施形態における制御ユニットは、1つ以上の圧力センサによって出力されたピークツーピーク正弦圧力波値を分析することによって空気を検出するように構成された空気検出回路を含む。空気の存在は、感知されている流体経路におけるコンプライアンスを増加させ、よって、圧力センサからのピークツーピーク値を減衰させる。したがって、制御ユニットは、ピークツーピーク値における閾値減少を探して、空気が存在すると決定し得る。1つの実施側面では、制御ユニットが、1つ以上の圧力センサのピークツーピーク出力の分析に基づいて、流体ポンプのストロークが医用流体、例えばPD液の代わりに空気を移動させたと決定した場合、そのストロークは、例えばPD治療中の患者充填または患者排出のための流体移動決定の全体積に算入されない。逆に、制御ユニットが、1つ以上の圧力センサの出力の分析に基づいて、ポンプのストロークが医用流体、例えばPD液を実際に移動させたと決定した場合、そのストローク量は、流体移動決定の全体積に算入される。
【0027】
本明細書に記載の開示に照らして、本開示をいかなる点でも限定することなく、任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第1の側面において、流体送達システムは、流体ポンプと、流体ポンプによって圧送された流体を加熱するためのインラインヒータと、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための圧力センサと、圧力センサからの信号を使用して、インライン流体ヒータが給電されることを可能にするかどうかを決定するように構成された制御ユニットとを含む。
【0028】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第2の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの信号を使用して、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を制御するようにさらに構成される。
【0029】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第3の側面において、流体送達システムは、流体ポンプと流体連通するエアトラップと圧力センサとをさらに含み、制御ユニットは、圧力センサからの信号を使用して、エアトラップ内の流体のレベルを制御するようにさらに構成される。
【0030】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第4の側面において、制御ユニットは、制御ユニットが、インライン流体ヒータが給電されるようにすることを可能にするイネーブル信号に圧力センサからの信号をフィルタリングするように構成される。
【0031】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第5の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの信号をイネーブル信号にバンドパスフィルタリングするように構成される。
【0032】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第6の側面において、制御ユニットは、イネーブル信号が存在しない場合、インライン流体ヒータが給電されないようにするように構成される。
【0033】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第7の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの信号がインライン流体ヒータを通る不適切な流れを示す場合、リレーを開いてインライン流体ヒータへの給電を停止するヒータ保護回路を含む。
【0034】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第8の側面において、圧力センサは第1の圧力センサであり、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための第2の圧力センサを含み、制御ユニットは、第1または第2の圧力センサのうちの少なくとも1つからの信号を使用して、インライン流体ヒータが給電されることを可能にするかどうかを決定するように構成される。
【0035】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第9の側面において、流体ポンプ、インラインヒータ、圧力センサおよび制御ユニットは、腹膜透析装置、血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置、持続的腎代替治療装置、浄水ユニット、または透析液調製ユニットの一部として提供される。
【0036】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第10の側面において、流体送達システムは、流体ポンプが動いているかどうかを検出するための運動検出センサと共に動作可能な流体ポンプと、流体ポンプによって圧送された流体を加熱するためのインラインヒータと、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための圧力センサと、(i)運動検出センサからの運動信号、および(ii)圧力センサからの圧力信号を使用して、インライン流体ヒータが給電されることを可能にするかどうかを決定するように構成された制御ユニットとを含む。
【0037】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第11の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの信号を使用して、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を制御するようにさらに構成される。
【0038】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第12の側面において、流体送達システムは、流体ポンプと流体連通するエアトラップと圧力センサとをさらに含み、制御ユニットは、圧力センサからの信号を使用して、エアトラップ内の流体のレベルを制御するようにさらに構成される。
【0039】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第13の側面において、制御ユニットは、インライン流体ヒータが給電されることを可能にするために(i)流体ポンプが動いていることを示す運動信号、および(ii)流体運動を示す圧力信号を必要とするように構成される。
【0040】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第14の側面において、運動センサは、タコメーターまたはエンコーダーである。
【0041】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第15の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの信号をフィルタリングして、制御ユニットが、インライン流体ヒータが給電されるようにすることを可能にするパルス信号にするように構成される。
【0042】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第16の側面において、制御ユニットは、パルス信号が存在しない場合、インライン流体ヒータが給電されるようにしないように構成される。
【0043】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第17の側面において、流体ポンプ、インラインヒータ、圧力センサおよび制御ユニットは、腹膜透析装置、血液透析装置、血液濾過装置、血液透析濾過装置、持続的腎代替治療装置、浄水ユニット、または透析液調製ユニットの一部として提供される。
【0044】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第18の側面において、流体送達システムは、流体ポンプと、流体ポンプによって圧送された流体を保持するように構成されたエアトラップと、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための圧力センサと、圧力センサからの圧力信号を使用して、エアトラップ内の流体レベルを決定するように構成された制御ユニットとを含む。
【0045】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第19の側面において、制御ユニットは、決定された流体レベルを使用して、エアトラップに流体を充填することまたはエアトラップから流体を排出することのうちの少なくとも1つを行うべきかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0046】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第20の側面において、制御ユニットは、圧力信号の振幅を使用してエアトラップ内の流体レベルを決定する。
【0047】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第21の側面において、流体送達システムは、流体ポンプの下流側の流体弁と、エアトラップと流体連通する空気弁とを含み、制御ユニットは、圧力信号の振幅が、エアトラップが充填されるべきであることを示す場合、流体弁を閉じ、空気弁を開くように構成される。
【0048】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第22の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの圧力信号およびポリトロープ過程に基づく関係を使用して、エアトラップ内の流体レベルを決定するように構成される。
【0049】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第23の側面において、制御ユニットは、決定された流体レベルを使用して、エアトラップ内に適切な量の消毒液が存在するかどうかを決定するようにさらに構成される。
【0050】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第24の側面において、流体ポンプは、本質的に正確なピストンポンプまたは流量計と共に動作可能なギヤポンプである。
【0051】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第25の側面において、医用流体送達システムは、流体ポンプと、流体ポンプによって圧送された流体の圧力を感知するための圧力センサであって、圧力センサからの出力は、医用流体ポンプのポンプストローク中、医用流体が圧送されているか、空気が圧送されているかに応じて変動する、圧力センサと、圧力センサからの出力を使用して、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成された制御ユニットとを含む。
【0052】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第26の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの出力を使用して、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するか、医用流体と空気の混合物が存在するかを決定するように構成される。
【0053】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第27の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの出力を使用して、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成された空気検出回路を含む。
【0054】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第28の側面において、空気検出回路は、圧力センサ出力から不必要な信号をフィルタリングし、フィルタリングされた出力を形成するように構成されたバンドパスフィルタを含む。
【0055】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第29の側面において、空気検出回路は、フィルタリングされた出力を分析して、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成された比較器を含む。
【0056】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第30の側面において、空気検出回路はカウンターを含み、ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定された場合、比較器からカウンターへの出力は高になり、カウンターでのカウントは増やされる。
【0057】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第31の側面において、ポンプストローク中、空気が存在すると決定された場合、比較器からカウンターへの出力は低になり、カウンターのカウントは増やされない。
【0058】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第32の側面において、制御ユニットは、カウントをストロークの既知の体積で乗算し、流体ポンプの複数のストロークにわたって圧送された流体の少なくとも1つの体積を決定するように構成される。
【0059】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第33の側面において、圧送された流体の少なくとも1つの体積は、腹膜透析(「PD」)治療のための患者排出体積または患者充填体積のうちの少なくとも1つである。
【0060】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第34の側面において、圧送された流体の少なくとも1つの体積は、患者排出体積と患者充填体積との両方を含み、制御ユニットは、患者排出体積から患者充填体積を減算し、PD治療中に患者から除去された限外濾過の量を決定するように構成される。
【0061】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第35の側面において、制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサを含み、少なくとも1つのプロセッサは、比較器からの出力が、ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定されたことを示す場合、カウントを増やすように構成される。
【0062】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第36の側面において、空気検出回路は、カウンターに対するリセット入力を含み、リセット入力は、腹膜透析治療のための患者排出または患者充填のうちの少なくとも1つの前にカウントを0にリセットするように構成される。
【0063】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第37の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの出力を使用してポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成された少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを含む。
【0064】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第38の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの出力のピークツーピーク値を分析し、ポンプストローク中、医用流体が存在するか、空気が存在するかを決定するように構成される。
【0065】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第39の側面において、圧力センサからの出力は、生出力であり、ピークツーピーク値は、生出力からのものである。
【0066】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第40の側面において、圧力センサからの出力は、正弦波出力であり、ピークツーピーク値は、正弦波出力からのものである。
【0067】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第41の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの出力のピークツーピーク値における閾値減少が検出された場合、ポンプストローク中、空気が存在すると決定するように構成される。
【0068】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第42の側面において、制御ユニットは、圧力センサからの出力のピークツーピーク値における閾値減少が検出されない場合、ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定するように構成される。
【0069】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第43の側面において、圧力センサからの出力は、患者排出または患者充填中のポンプストロークの上流側部分のためである。
【0070】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第44の側面において、圧力センサからの出力は、患者排出または患者充填中のポンプストロークの下流側部分のためである。
【0071】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第45の側面において、医用流体の方法は、ポンプストロークを実施する流体ポンプの上流側または下流側に位置している圧力センサの出力のピークツーピーク値間の差分を決定することと、決定された差分をピークツーピーク値間の閾値差分と比較することと、決定された差分が閾値差分より大きい場合、ポンプストローク中、医用流体が存在すると決定することとを含む。
【0072】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第46の側面において、医用流体の方法は、決定された差分が閾値差分より小さい場合、ポンプストローク中、空気または空気と医用流体との組合せが存在すると決定することを含む。
【0073】
任意の他の側面またはその部分と組み合わされ得る本開示の第47の側面において、図1から図8のいずれか1つ以上に関連して説明される特徴、機能、および代替例のいずれかは、図1から図8の任意の他に関連して説明される特徴、機能、および代替例のいずれかと組み合わされ得る。
【0074】
したがって、本明細書における上記側面および開示に照らして、本開示の一利点は、無流量または低流量条件のときに給電を停止させられるインラインヒータを有するPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0075】
本開示の別の利点は、費用効果の高いインラインヒータ無流量または低流量保護を有するPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0076】
本開示のさらなる利点は、大幅な追加のハードウェアを必要としないインラインヒータ無流量または低流量保護を有するPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0077】
本開示のさらに別の利点は、エアトラップを含み、レベルセンサを使用せずにエアトラップ内の透析液のレベルを決定し得るPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0078】
本開示のさらに別の利点は、1つ以上の圧力センサを複数の目的のために使用するPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0079】
さらに、本開示の一利点は、圧送されている空気の存在を効率的に検出するPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0080】
本開示のさらに別の利点は、圧送される流体体積および限外濾過精度を改善するPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0081】
本開示のさらに別の利点は、流体ポンプが指令されたときに実際に作動させられることを確実にするために使用される別個のセンサを省くことを可能にするPD装置または他のタイプの装置などの流体送達装置を提供することである。
【0082】
さらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明および図面に記載されており、これらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、全てを含むものではなく、特に、図面および説明を考慮すれば、当業者には多くのさらなる特徴および利点が明らかになるであろう。また、どんな特定の実施形態も、本明細書に記載される全ての利点を有する必要はなく、個々の有利な実施形態を別々に特許請求することが明確に企図されている。さらに、本明細書で使用される表現は、主に読みやすさおよび教育を目的として選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1は、腹膜透析(「PD」)、血液透析(「HD」)装置、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、持続的腎代替治療(「CRRT」)、血液加温、浄水および透析液調製などの多くの異なるタイプの透析様式および用途で使用され得る流体ポンプ、圧力センサ、温度センサ、およびエアトラップと組み合わせたインラインヒータを図示する概略フロー図である。
【0084】
図2図2は、流体ポンプ、例えば透析液ポンプによる典型的な圧力リップル原因を図示するグラフである。
【0085】
図3図3は、本開示の第1の主要な実施形態に関して、インラインヒータ電源入力イネーブル信号をフィルタリングされた圧力リップル信号と関係づけるグラフを集めたものである。
【0086】
図4図4は、本開示のシステムと共に使用可能なヒータ保護回路の1つの実施形態の概略図である。
【0087】
図5図5は、本開示の第2の主要な実施形態に関して、制御ユニットへの信号およびフィルタリングされた圧力リップル信号を含むグラフを集めたものである。
【0088】
図6図6は、本開示のシステムおよび関連付けられる方法で使用するために適した医用流体、例えばPD液のポンプの1つの実施形態の部分切断立面図である。
【0089】
図7図7は、本開示のシステムと共に使用可能なヒータ保護回路の1つの実施形態の概略図である。
【0090】
図8図8は、空気が圧送されるポンプ体積に対する流体が圧送されるポンプストロークに関連付けられた圧送圧力を示す経時的な様々なプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0091】
(システム概要)
ここで図面、特に図1を参照すると、インライン加熱を有する腹膜透析(「PD」)などの流体送達システム10が図示されている。流体送達システム10は、PD、血液透析(「HD」)装置、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)、および持続的腎代替治療(「CRRT」)を含むがこれらに限定されない多くの医用流体用途で使用され得る。透析は、流体送達システム10に関する主眼であるが、システムの多くの側面も、透析に限定されない。何故なら、本開示の複数の圧力センサ使用は、透析液の作成のために精製水を調製する浄水ユニットにおいて使用され得るからであり、浄水ユニットは、その水を下流側での使用または消毒のために加熱する。本開示の複数の圧力センサ使用は、代替的に、透析液をオンラインで調製する透析液調製ユニットにおいて使用され得、透析液調製ユニットは、その透析液を下流側での使用または消毒のために加熱する。
【0092】
図1の流体送達システム10は流体供給源12を含み、流体供給源12は、例えば、PD液供給源、HD液供給源、置換液供給源(HF、HDF、CRRT)、または水源であり得る。流体送達システム10は流体送達先14を含み、流体送達先14は、患者の腹膜腔(PD)、透析器(HD、HDF)、血液ライン(HF、HDF、CRRT)、流体送達システム10が浄水ユニットにおいて使用されるかまたは浄水ユニットによって提供される場合の透析液調製ユニット、または流体送達システム10が透析液調製ユニットにおいて使用されるかまたは透析液調製ユニットによって提供される場合の透析装置(例えば、PDサイクラー)であり得る。あるいは、流体供給源12と流体送達先14との両方は、流体送達システム10が血液加温器の一部として提供されるとき、患者であり得る。
【0093】
供給源12からの流体(流体は、上述のように透析液に限定されないが、以下透析液と呼ばれ得る)は、流体ポンプ18を介して流体ライン16fに沿って圧送される。流体ポンプ18は、任意のタイプの流体ポンプ、例えば、本質的に正確なピストンや流量計と共に動作可能なギヤポンプなど、透析液と直接接触する耐久性のある(再使用可能な)ポンプであり得る。流体ポンプ18は、代替的に、使い捨てカセットと共に動作する空気圧ポンプ、使い捨てカセットと共に動作する電気機械式ポンプ、または蠕動チューブセグメントと共に動作する蠕動ポンプなどの使い捨て構成要素を有し得る。
【0094】
流体供給源12と流体送達先14との間の流体ライン16fに沿って、1つ以上の弁20a、20b、エアトラップ22、および様々なセンサなど、多くの異なる構成要素が位置することが企図されている。図示を容易にするために、流体送達システム10は、上流側および下流側の圧力センサ24a、24bと、温度センサ26を有して示されている。圧力センサ24a、24bの一方または両方の出力は、流体ポンプ18を正圧限界または負圧限界を超えないように制御するためのフィードバックとして使用され得る。温度センサ26の出力は、インラインヒータ30への入力電力を制御するためのフィードバックとして使用され得る。温度センサ26は、ヒータから出る透析液の温度を感知するように、インラインヒータ30の下流側に位置する。必要に応じて、インラインヒータに入る透析液の温度に関するフィードフォワード情報を提供するために、インラインヒータ30の上流側に追加の温度センサ(図示せず)が位置し得る。
【0095】
PD治療用途における患者の排出を目的として、図1のシステム10は、流体ライン16fのドレインライン部分に沿って位置するドレイン弁20eを含む。上述したように、PDのための流体送達先14は、患者の腹膜腔であり得、それは、患者充填の場合に該当する。患者充填中、ドレイン弁20eは閉じられる。しかしながら、患者排出中、流体送達先14は、患者の腹膜腔からの流出物が排出させるために流体ポンプ18によって除去されるとき、流体供給源になり、その間、ドレイン弁20eは、制御ユニット50の制御下で開いている。
【0096】
図1は、本開示の流体送達システム10が、透析装置(例えば、PDサイクラー)、浄水ユニットまたは透析液調製ユニットの制御ユニットであり得る制御ユニット50を含むことをさらに図示している。図示の実施形態における制御ユニット50は、1つ以上のプロセッサ52と、1つ以上のメモリ54と、ビデオコントローラー56とを含む。制御ユニット50は、圧力センサ24a、24b、温度センサ26、および装置またはユニットによって提供される他のセンサ(導電率センサ(図示せず)など)からの信号または出力を受信し、記憶し、処理する。制御ユニット50は、圧力センサ24bからの圧力フィードバックを使用して、所望の圧力で、または安全圧力限界内(例えば、患者の腹膜腔への正圧の0.21バール(3psig)以内)で透析液を圧送するように流体ポンプ18を制御する。制御ユニット50は、温度センサ26からの温度フィードバックを使用して、透析液を所望の温度、例えば体温または37°Cまで加熱するように、インラインヒータ30を制御する。制御ユニットは、1つ以上のプログラムされた順序に従って弁(提供されている場合)20a~20dおよび20vが開閉することも行わせる。
【0097】
制御ユニット50のビデオコントローラー56は、装置またはユニットのユーザインターフェース60とインターフェースし、ユーザインターフェース60は、タッチスクリーンおよび/または膜スイッチなどの1つ以上の電気機械式ボタンと共に動作する表示画面を含み得る。ユーザインターフェース60は、警報、警告、および/または音声ガイダンスコマンドを出力するための1つ以上のスピーカーも含み得る。ユーザインターフェース60は、図1に図示されるように装置またはユニットと共に提供され得、および/または、ユーザインターフェース60は、制御ユニット50と共に動作するリモートユーザインターフェースであり得る。制御ユニット50はまた、医師または臨床医のコンピュータとインターフェースする医師または臨床医のサーバに治療データを送信し、医師または臨床医のサーバから処方指示を受信するために、トランシーバ(図示せず)およびネットワーク、例えばインターネットへの有線または無線接続も含み得る。
【0098】
制御ユニット50は、インラインヒータ30の加熱要素、例えば2つの加熱要素に供給される電力を制御する。制御ユニット50は、加熱要素への電圧または電流のいずれかを制御することによって電力を制御し得る。供給される電圧または電流が多いほど、より多くの電力がインラインヒータ30に供給され、よって、インラインヒータ30を流れる透析液のより多くの加熱が行われ、その結果、より高い透析液の温度が得られる。1つの実施形態において、制御ユニット50は、電圧源(図示せず)から各加熱要素への電圧を制御する。電圧源は、110~130VAC、220~240VACの電圧源、または加熱要素に直流電圧を供給する電圧源であり得る。
【0099】
流体送達システム10のインラインヒータ30は、一観点から、透析液が流れていない間に透析液を加熱しようとした場合、インラインヒータ30が過熱し得るという点で不利である。フロースイッチが、制御ユニット50がヒータに通電するための条件として流れが存在することを確実にするために、インラインヒータ30の前方に配置され得る。しかしながら、フロースイッチは、コストを増加させ、動かなくなるか、そうでなければ適切に機能しなくなり得る。
【0100】
(ヒータ制御のための圧力感知)
流体送達システム10は、既に存在する圧力センサ24a、24bの出力を使用して、透析液ポンプ18の運動または作動(それは、透析液がインラインヒータ30を通って流れていることをおそらく意味する)を検出するように制御ユニット50を構成することによって、1つの主要な実施形態における過熱の問題を解決する。本明細書に列挙された可能な透析液ポンプ18の各々は、各ストロークにわたって圧力リップルを引き起こし、1つ以上の圧力センサ24a、24bは、圧力リップルを検出する。透析液ポンプ18が患者充填(PD治療を想定)のために図1に図示される位置にある場合、圧力センサ24aからの信号リップルは、負の圧力リップルであり、圧力センサ24bからの信号リップルは、正の圧力リップルである。透析液ポンプ18が排出(PD治療を想定)のために図1に図示される位置にある場合、圧力センサ24aからの信号リップルは、正の圧力リップルであり、圧力センサ24bからの信号リップルは、負の圧力リップルである。
【0101】
図2は、正または負の圧力リップルシナリオのいずれかにおいて、圧力センサ24a、24bからの信号が周期的であり、上下のピークを含むことを図示しており、上下のピークは、透析液ポンプ18が一定の流量で圧送するとき、一定の周波数で推移する。圧力波の振幅および周波数は、異なる流量に関して変動する。流体送達システム10のコンプライアンスも(例えば、構成要素の数、流体ライン16fなどのラインの長さおよび構成に起因して)、圧力波の形状に影響を及ぼす。例えば、透析液中のより多くの空気は、ピークツーピーク圧力読み取り値を低下させ得る。
【0102】
図3をさらに参照すると、1つの主要な実施形態における本開示の流体送達システム10は、圧力センサ24aおよび/または24bからの感知された圧力振動62を使用して、インラインヒータ30を通る流体の流れ、例えば透析液の流れがあると仮定し、それによってインラインヒータに給電するためのイネーブル信号64を提供するように、装置またはユニットの制御ユニット50を構成またはプログラムする。ヒータイネーブル信号64は、圧力信号62をバンドパスフィルタリングし、次いでピーク検出器およびレベル検出器を使用することによって作成され得る。図3において、圧力信号62は、まだバンドパスフィルタリングされていない。図示の実施形態におけるインラインヒータ30に給電するためのヒータイネーブル信号64は、方形波またはオン/オフタイプの信号である。
【0103】
ここで図4を参照すると、バンドパスフィルタ72およびピーク検出器74を含む過熱ヒータ保護回路70の一部分が図示されている。本明細書で説明する制御ユニット50が、ヒータ保護回路70、および使用され得る任意の他のヒータ保護回路も含むことを理解されたい。制御ユニット50は、全ての監視制御側および保護側のハードウェアおよびソフトウェア、および全ての下位レベルのハードウェア(ヒータ保護回路70を含む)およびソフトウェアを含む。
【0104】
ヒータ保護回路70のピーク検出器74によるピーク検出の前にバンドパスフィルタ72においてバンドパスフィルタリングを行うことが重要である。図4の図示の実施形態において、バンドパスフィルタ72は、ハイパスフィルタとローパスフィルタとの組合せを含む。コンデンサC1および抵抗器R13は、ハイパスフィルタを形成する。コンデンサC5および抵抗器R7は、ローパスフィルタを形成する。これらのフィルタは、バンドパスフィルタを一緒に形成する。R6およびR14もバンドパスフィルタの一部であり、増幅器ICiBの利得を設定する。コンデンサC4および抵抗器R9は、主に、ノイズフィルタとして動作する。ピーク検出前のバンドパスフィルタリングの1つの理由は、直流(「DC」)信号、例えば、ポンプ18が動いて、高圧を作り出し、無流体の流れがないかまたは低いことに起因する異常な圧力信号を生じさせている間の閉じた弁または他の流れの閉塞からの高圧DC信号が、バンドパスフィルタ72のハイパスフィルタ部分によって取り除かれることである。オフセット作業点(異なる圧力高さ)を緩和するために、かつ実際に流体を移動させることなくポンプ18を動かす可能性を考慮に入れるために、ヒータ保護回路70は、流体が流れているかどうかを決定するために所望の(フィルタリングされた)範囲(例えば、0.5~12Hz)のピークツーピーク差のみが分析されるように、DC信号を除去する。そうでなければ、ピーク検出器74は、高圧DC信号も流れと見なすであろう。図4のピーク検出器部分74は、V1、C2、R12を含む。バンドパスフィルタ72によって取り除かれた高圧DC信号では、ピーク検出器74は、ポンプ18によって出力される周波数範囲、例えば約0.5~12Hzの圧力スパイクのみを見る。図4に図示するヒータ保護回路70は、レベル検出器76も含み、レベル検出器76は、回路70においてピーク検出器74の後に提供された比較器であり得る。レベル検出器76を取り囲む抵抗器は、接地に対する基準レベルを提供する。レベルは、信号が設定された基準レベルより大きいか小さいかに応じて1または0を出力するために、回路の残りの部分からの入力信号と比較される。
【0105】
ヒータイネーブル信号64は、1つの実施形態において、制御ユニット50がインラインヒータ30に給電するために必要とされる。ヒータイネーブル信号64が提供または検出されない場合、制御ユニット50は、インラインヒータ30に給電することを妨げられる。ヒータイネーブル信号64が提供または検出された場合、制御ユニット50はインラインヒータ30に給電することを可能にされる。インラインヒータ30への給電は、制御ユニット50によって実行されるヒータ制御アルゴリズムを介して行われ、ヒータ制御アルゴリズムは、温度センサ26およびおそらくは追加の上流側温度センサ(図示せず)からのフィードバックを使用する比例積分微分(「PID」)アルゴリズムであり得る。
【0106】
(ヒータ制御のための圧力およびタコメーター感知)
ここで図5を参照すると、第2の主要な実施形態において、制御ユニット50は、信号の組合せを使用して、(i)流体ポンプ18、例えば透析液ポンプが実際に作動させられているかどうか、および作動させられている場合、(ii)ポンプが実際に流体を移動させているかどうかを決定する。ポンプ作動と流体移動の両方が該当する場合、制御ユニット50は、第1の主要な実施形態に関して上述したように、インラインヒータ30が給電されることを可能にするイネーブル信号64を送信する。一実施形態における流体送達システム10のPD装置またはユニットのタイプの制御ユニット50は、装置またはユニットの構成要素を実際に制御する制御側と、構成要素が適切に動作していることを確実にする保護側とを含む。
【0107】
ポンプタコメーター18tが、1つの実施形態において、制御ユニット50の保護側のために、流体ポンプ18の各回転をカウントし、流体ポンプ18が実際に回転していることまたは別の方法で作動していることを検証するために、提供される。制御ユニット50の制御側の一部であり得る既存の圧力センサ24a、24bが、PD液または他の流体が実際に圧送されていることを確実にするために上述のように使用される。制御ユニット50は、1つ以上の圧力センサ24aおよび/または24bの出力を検証信号として使用して、PD液または他の流体の流れが存在すること、および流体ポンプ18が空気を圧送していないことを検証する。流体ポンプ18が流体、例えばPD液または他の流体を圧送しているとき、別個の圧力リップル62が、圧力センサ24a、24bによって再び感知される。代わりに、空気が存在する場合、圧力リップルは、感知されない。
【0108】
第2の主要な実施形態における制御ユニット50は、第1の主要な実施形態と同様に圧力信号をバンドパスフィルタリングし、信号に対する閾値検出器を追加し、制御ユニット50のマイクロプロセッサ52に送信されるパルス信号(トランジスタ-トランジスタ論理(「TTL」)レベルの信号であり得る)をもたらし得る。プロセッサ52は、PD液または他の流体ポンプが動いている間にパルス信号が検出されたかどうかを決定し、それは、タコメーター18tの出力から制御ユニット50に把握される。制御ユニット50がパルス信号を感知した場合、制御ユニットは、第1の主要な実施形態に関連して説明したように、ヒータイネーブル信号を送信する。制御ユニット50がパルス信号を検出しない場合、すなわち、流体送達システム10の流体構成要素、例えば、流体ライン16f、流体ポンプ18などに空気が存在する場合、制御ユニットはヒータイネーブル信号を提供しない。
【0109】
(レベル感知のための圧力感知)
本開示の第3の主要な実施形態において、流体送達システム10の制御ユニット50は、圧力センサ24a(および/またはエアトラップ22内の圧力を検出し得る任意の他の圧力センサ)の出力を使用して、エアトラップ22内にどれだけの流体が存在するかを検出する。第3の主要な実施形態のために、圧力センサ24aが、流体ポンプ18の上流側、例えば図示のようにインラインヒータ30の上流側の流体ライン16fの任意の部分に沿って、温度センサ26の両側、弁20a、20bの両側、またはエアトラップ22の両側に位置し得ることを理解されたい。PD装置または他のタイプのユニット(例えば、水浄水ユニット、透析液調製ユニット)は、空気が浮力によってエアトラップ22内の流体から除去され得るように、必要に応じて流体、例えばPD液のボーラスを保持し、流体の流れが比較的停滞している場所も提供するためのエアトラップ22を提供し得る。
【0110】
空気ライン16aは、エアトラップ22から空気弁20cまで、および空気弁20cから接合部28を介して流体ライン16fまで延びている。図示の実施形態において、通気ライン16vが、エアトラップ22の頂部から通気弁20vまで必要に応じて延び、通気弁20vは、通気弁20vを介して空気ライン16aに入る空気をフィルタリングする疎水性膜またはフィルタ32を介して周囲空気と連通する。通気弁は、代替的に、通気弁20vと空気弁20cとの間の空気ライン16aに沿って位置することもできるが、通気弁20vをエアトラップ22の頂部から離して配置することは、それが疎水性膜またはフィルタ32がPD液または他の流体と接触することに対する最大限の保護を提供するという観点から有利であり、疎水性膜またはフィルタ32がPD液または他の流体と接触することは、膜またはフィルタを汚染するか、またはその完全性に影響を及ぼし、膜またはフィルタが空気の出入りを可能にすることを遮る可能性もある、。
【0111】
エアトラップは、通常、高レベルおよび低レベルのPD液または他の流体が設定され得るように出力するレベルセンサと共に動作する。エアトラップ22は、例えば、通気弁20vが、空気を大気に押し出すために開いている状態、または、流体ライン16fを介してドレインなどの流体送達先14まで空気を押すために、空気弁20cが開き、通気弁20vが閉じている(または提供されない)状態で、PD液または他の流体が上位レベルセンサに到達するまで充填され得る。エアトラップ22は、PD液または他の流体が下位レベルセンサに到達するまで、例えば、疎水性膜またはフィルタ32を通して周囲空気を引き込むために通気弁20vが開いた状態で、空にされ得る。
【0112】
少なくとも1つの圧力センサ24aによって感知される圧力リップルの振幅が、エアトラップ22がPD液または他の流体でどの程度充填されているかに応じて変動することが知られている。エアトラップ22がより充填されるほど、制御ユニット50によって感知される圧力リップルの振幅は大きくなる。圧力信号振幅とエアトラップ22の流体レベルとの間の関係は、1つの実施形態において、ポリトロープ過程を経て決定され、PD装置または他のタイプのユニットの制御ユニット50に記憶される。エアトラップ22のコンプライアンスは、式pV=Cによって表され得る。ここで、pは、流体送達システム10の圧力センサ24aによって測定され得るエアトラップ22内のガスまたは空気の圧力である。Vは、エアトラップ22内の空気またはガスの体積であり、Cは、チャンバコンプライアンスと関係づけられる定数である。指数nは、ポリトロープ指数であり、それは、本システムでは等エントロピーであると仮定され得、それは、PD液または他の流体自体の圧送がエアトラップ内の空気またはガスを著しく加熱しないと仮定すると良好である。等エントロピー過程に関して、n=C/Cであり、CおよびCは、それぞれ、一定圧力および一定体積での空気または他のガスの熱容量である。空気に関して、本システムに関連付けられる典型的な温度範囲に関してn=1.4である。よって、チャンバの容積は、関係V=(C/p)1/1.4を使用して所与の時間において計算され得る。ここで、Cは、チャンバコンプライアンスと関係付けられ、チャンバコンプライアンスは、流体送達システムに影響を及ぼす全体的なコンプライアンスによる補正率を介して圧力振幅(p)に影響を及ぼす。エアトラップ内の空気またはガスの体積Vは、測定される圧力振幅が変化すると、変動する。
【0113】
圧力信号振幅とエアトラップ22内の流体レベルとの間の関係は、代替的に、経験的に決定され、PD装置または他のタイプのユニットの制御ユニット50に記憶され得る。この関係は、各PD装置または他のタイプのユニットに固有のものであり得、例えば工場で決定され得る。または、複数のPD装置または他のユニットに使用される一般的な関係が、あり得る。上記例のいずれにおいても、エアトラップ22内の空気のコンプライアンスも、圧力スパイクの振幅に影響を及ぼす。制御ユニット50は、ルックアップテーブル、または検出された振幅とエアトラップ22内の流体、例えばPD液のレベルとの間の数学的関係を記憶し得る。
【0114】
上述した任意の圧力振幅対エアトラップ流体レベルの関係の実施形態において、流体送達システム10の制御ユニット50は、その関係を使用して、少なくとも1つの圧力センサ24aの出力に基づいて、エアトラップ22内にどれだけのPD液または他の流体が存在するかを決定する。次いで、制御ユニット50は、流体送達システム10の弁を操作して、エアトラップ22内のPD液または他の流体のレベルを所望のまたは予め設定された流体レベルに達するように上昇または下降させ得る。制御ユニット50は、流体レベルを複数の異なる方法で上昇させ得る。第1の方法では、通気ライン16v、通気弁20vおよび疎水性膜またはフィルタ32は使用されず、提供される必要はない。ここでは、流体弁20bは閉じられるが、流体弁20a、20dおよび空気弁20cが開かれることによって、流体ポンプ18がエアトラップ22の頂部から空気を引き込むことを可能にし、PD液などの流体が流体供給源12からエアトラップ22内に引き込まれ、エアトラップ22内の流体レベルを上昇させる。空気は、対応して、空気ライン16aから、接合部28において流体ライン16fに押し込まれ、次いで、所望の流体送達先14、例えば、ハウスドレインやドレイン容器に圧送され得る。ここでは、エアトラップ22の充填が閉じたシステム(大気への接続なし)で行われるので、制御ユニット50は、圧力センサ24aからの出力圧力リップルの振幅を監視し、エアトラップ22内の対応する流体レベルが所望の流体レベルであるまで振幅が上昇するまで振幅における増加を感知し得る。次いで、制御ユニット50は、流体弁20bに開かせ、空気弁20cに閉じさせ、それによって、エアトラップ22内のレベルが所望のレベルで一定のままである一方で、流体ポンプ18は、治療または他の動作を継続するために流体を圧送する。
【0115】
エアトラップ22内の流体レベルを上昇させるための第2の方法では、通気ライン16v、通気弁20vおよび疎水性膜またはフィルタ32が、提供され、使用される。ここでは、弁20a、20cが閉じられ、流体弁20b、20dおよび通気弁20vが開かれることによって、流体ポンプ18が逆方向に動き、下流側の流体、例えばPD液または他の流体を送達先14からエアトラップ22内に引き込むことを可能にし、エアトラップ22内の流体レベルを上昇させる。空気は、対応して、通気ライン16v、通気弁20vおよび疎水性膜またはフィルタ32を介して大気に押し出される。ここでは、エアトラップ22の充填が開いたシステム(大気への接続を有する)で行われるので、制御ユニット50は、圧力センサ24aからの出力圧力リップルの振幅を監視することができない。代わりに、制御ユニット50は、(i)本明細書に記載の圧力センサ検出方法を使用して通気弁20vを開く前に決定されたエアトラップ22内の流体レベル、および(ii)本質的に正確なポンプ18、例えば、ピストンポンプ、または流量計からの統合出力の精度に依拠して、どれだけの流体、例えばPD液がエアトラップ22に押し込まれたかを知る。正確なポンプストローク量から累積された流体の量、または統合された流量計出力がエアトラップ22内の流体レベルを所望のレベルまで上昇させるために必要とされる量に等しいと、制御ユニット50は、弁20aに開かせ、通気弁20vに閉じさせ、それによって、エアトラップ22内のレベルが所望のレベルで一定のままである一方で、流体ポンプ18は、ここで、治療または他の動作を継続するために、通常に、前方に流体を圧送する。
【0116】
また、制御ユニット50は、エアトラップ22内のPD液または他の流体のレベルを所望のまたは予め設定された流体レベルに達するように下降させために、流体送達システム10の弁も操作し得る。エアトラップ22内の流体レベルを下降させるために、通気弁20vおよび疎水性膜またはフィルタ32が再び提供され、使用される。ここでは、上流側の流体弁20aおよび空気弁20cが閉じられ、流体弁20b、20dおよび通気弁20vが開かれることによって、流体ポンプ18が流体、例えばPD液または他の流体をエアトラップ22から引き込むことを可能にし、エアトラップ22内の流体レベルを下降させる。空気は、対応して、通気ライン16v、通気弁20vおよび疎水性膜またはフィルタ32を介して大気から引き込まれて、エアトラップ22から除去された流体に代わって再充填する。エアトラップ22の排出が開いたシステム(大気への接続を有する)で行われるので、制御ユニット50は、圧力センサ24aからの出力圧力リップルの振幅を監視することができない。代わりに、制御ユニット50は、この場合、再び、(i)本明細書に記載の圧力センサ検出方法を使用して空気弁20cおよび通気弁20vを開く前に決定されたエアトラップ22内の流体レベル、および(ii)本質的に正確なポンプ18、例えば、ピストンポンプ、または流量計からの統合出力の精度に依拠して、どれだけの流体、例えばPD液がエアトラップ22から引き出されたかを知る。正確なポンプストローク量から累積された流体の量、または統合された流量計出力がエアトラップ22内の流体レベルを所望のレベルまで下降させるために必要とされる量に等しいと、制御ユニット50は、上流側の流体弁20aに開かせ、通気弁20vに閉じさせ、それによって、エアトラップ22内のレベルが所望のレベルで一定のままである一方で、流体ポンプ18は、治療または他の動作を継続するために流体を圧送する。
【0117】
本明細書で説明するように、圧力センサ24aからの出力圧力リップルの振幅を監視することによってエアトラップ22内の流体レベルを決定することは、流体レベルを調整することに加えて、多くの理由で有用である。一例では、システム10が大気に対して閉じた状態で、制御ユニット50は、適切な消毒が保証され得るように、エアトラップ22内の消毒液の体積を検証するために、本明細書で説明するように圧力センサ24aからの出力圧力リップルの振幅を監視する。
【0118】
(空気検出および限外濾過管理のための圧力感知)
ここで図6図8を参照すると、本開示の第4の第3の主要な実施形態において、流体送達システム10の制御ユニット50は、圧力センサ24b(および/またはポンプ18によって供給される圧力を検出し得る任意の他の圧力センサ)の出力を使用して、患者排出ストローク(または患者充填ストローク)中にポンプ18内に空気が存在するかどうかを決定する。第4の主要な実施形態において、圧力センサ24bは、ポンプ18と弁20dとの間の流体ライン16fの任意の部分に沿って位置し得ることを理解されたい。本明細書で説明する空気検出は、患者充填および患者排出の一方または両方のために行われ得る。
【0119】
本明細書で議論されるように、ポンプ18は、1つの実施形態ではピストンポンプである。図6は、ピストンポンプ18の一例を図示している。図示の実施形態におけるピストンポンプ18は、シリンダー18cを保持するハウジング18hを含み、シリンダー18c内で、ピストン18pが、制御ユニット50の制御下で、モーター(図示せず)によって作動させられ、ピストン18pに結合された運動結合器18dを駆動し、運動結合器18dは、モーターの回転運動をピストン18pの回転および並進運動に変換する。ハウジング18hは、流体入口/出口ポート18e、18f(双方向)およびフラッシュ流ポート18a、18b(双方向または停滞)を含む。
【0120】
運動結合器18dは、ピストン18pをシリンダー18cに対して出し入れし、それぞれ、正および負の圧送圧力を発生させる。運動結合器18dは、シリンダー18c内でピストン18pを回転させ、PD液または他の流体の入口ポートとして機能するポート18eおよび18fの一方から、PD液または他の流体の出口ポートとして機能するポート18eおよび18fの他方に流体を移動させる。ピストン18pの遠位端は、平坦部を形成する切り欠きまたは溝18gを含む。溝18gによって形成された開いた領域は、(ピストン18pがシリンダー18c内で引き込まれるときの負圧下で)入口ポート18eまたは18fにおいてPD液または他の流体を受け入れ、次いで回転されて(ピストン18pがシリンダー18c内で延長されるときの正圧下で)出口ポート18eまたは18fにおいてPD液または他の流体を送達する。溝18gは、透析液ポンプ18が異なる流れ方向を有し得るように、弁機能を提供する。
【0121】
シリンダー18c内のピストン18pの並進および回転運動は、熱および摩擦を発生させる。したがって、シリンダー18c内のピストン18pの並進および回転運動を滑らかにするために、流体のフラッシュ流が提供される。流体、例えば逆浸透、蒸留水または脱イオン水のフラッシュ流は、ピストン18pがシリンダー18c内で並進および回転移動させられるときにピストン18pに接触するようにフラッシュ流ポート18a、18bにおいて供給される。流体のフラッシュ流は、循環させられることも、停滞していることもある。
【0122】
ここで図7を参照すると、ポンプ18によって圧送されている空気を検出するための空気検出回路80の少なくとも一部分が図示されており、それは、制御ユニット50の一部として提供されている。図6に関連して図示したピストンポンプ18では、空気検出回路80は、溝18gと、ピストン18pの端部と、シリンダー18cの内壁との間に画定されたピストンポンプに入る空気対医用流体を検出する。ここでは、システム10の制御ユニット50は、単に、ポンプ18がポンプストロークを実施するという事実に単に依拠しない。システム10の制御ユニット50は、ポンプストロークが流体を実際に移動させたことを確認するために圧力センサ24bの出力も見る。制御ユニット50が、圧力センサ24bの出力に基づいて、ポンプ18のストロークが医用流体、例えばPD液の代わりに空気を移動させたと決定した場合、そのストロークは、例えばPD治療中の患者充填または排出のための流体移動決定の全体積に算入されない。逆に、制御ユニット50が、圧力センサ24bの出力に基づいて、ポンプ18のストロークが医用流体、例えばPD液を実際に移動させたと決定した場合、そのストローク量は、例えばPD治療中の患者充填または排出のための流体移動決定の全体積に算入される。
【0123】
空気検出回路80は、バンドパスフィルタ82を含む。コンデンサC1および抵抗器R1は、ハイパスフィルタ82hを形成する。コンデンサC2および抵抗器R15は、ローパスフィルタ82lを形成する。これらのフィルタは、バンドパスフィルタ82を一緒に形成する。抵抗器R3およびR4も、バンドパスフィルタ82の一部であり、増幅器82aの利得を設定する。コンデンサC4および抵抗器R5は、主にノイズフィルタとして動作する。出力82oにおいてバンドパスフィルタ82を介して取り除かれた高圧DC信号に関して、下流側比較器84は、ポンプ18によって出力される周波数範囲、例えば約0.5~12Hzの圧力スパイクのみを見る。下流側比較器84は、フィルタリングされた圧力信号を分析して、ポンプ18による完了したばかりのストロークが、流体、例えばPD液を圧送したか、空気を圧送したかを決定する。1つの実施形態において、バンドパスフィルタリングされた信号の比較器84による分析が、ポンプ18による完了したばかりのストロークが流体を圧送したことを示す場合、比較器84の出力84oは、高、例えば1に設定される。バンドパスフィルタリングされた信号の比較器84による分析が、ポンプ18による完了したばかりのストロークが空気を圧送したことを示す場合、比較器84の出力84oは、低、例えば0に設定される。
【0124】
図示の実施形態における空気検出回路80は、比較器84から出力された高または低、例えば1または0が送信されるカウンター86を含む。カウンター86は、リセットカウンター入力86iを介して0にリセット可能である。PD治療に関して、カウンター86は、患者充填の開始直前および患者排出の開始直前に0にリセットされ得る。カウンター86は、患者排出および患者充填の各々にわたってカウントを累積する。カウントは、ストロークがPD液を実際に圧送したと比較器84が決定したときにのみ増やされる。比較器84が、代わりに、ストロークがPD空気を実際に圧送したと決定した場合、低または0出力は、カウントを増やさない。このようにして、患者排出および患者充填体積がより正確に累積される。制御ユニット50の空気検出回路80のカウンター86が図示のようにハードウェアで実装され得ることを理解されたい。代替の実施形態において、カウンター(またはPD液ストロークをカウントする機能)は、代わりに、制御ユニット50の監視プロセッサ52によって行われ得る。
【0125】
制御ユニット50、例えば制御ユニットの監視プロセッサ52は、患者排出および患者充填の各々のための累積カウントを記憶する。制御ユニット50は、カウントされたストロークごとに、すなわち、PD液を実際に圧送したストロークごとに圧送された体積も知っている。ゆえに、監視プロセッサ52は、患者排出の総体積(ポンプストローク量×実際のPD液移動排出ストロークの回数)、患者充填の総体積(ポンプストローク量×実際のPD液移動充填ストロークの回数)、および体積の差(総排出体積-総充填体積)を正確に決定することができ、体積の差は、限外濾過(「UF」)として知られ、PD治療の間にどれだけの累積された流体が患者から除去されたかを知るための重要なPDパラメータである。
【0126】
一実施形態において、制御ユニット50は、患者排出および患者充填の各々のカウントも監視する。ここでは、制御ユニット50が比較器84からの複数の連続した低または0出力を見た場合、制御ユニットは、持続的な漏れがあると決定し、治療に停止させ、治療が休止されたことを患者に知らせる音声、視覚または視聴覚警報を提供すること、漏れの原因、例えば誤って接続された医用流体、例えばPD液の供給容器または供給源12を探すことをユーザインターフェース60に行わせる。
【0127】
上記に示したように、空気検出回路80は、ポンプ18のストロークが医用流体、例えばPD液を実際に移動させたか否かを監視する。そうすることにおいて、空気検出回路80は、タコメーター18tから得られる情報を効果的に提供する。本明細書で説明するように、タコメーター18tからの出力は、モーター18がそうするよう指令されたとき、ポンプ18のモーター軸が実際に回転したことを確認するために使用される。そうするよう指令されたとき、モーター18の軸が回転していない場合、圧力センサ24bからの予期されるまたは特徴的な出力が空気検出回路80によって検出されず、「流れなし」または「モーター障害」信号が、制御ユニット50に送信される。空気検出回路80は、タコメーター18tのジョブを適宜に行い、それは、コストの目的のために省かれ得る。タコメーター18tは、代替的に、空気検出回路80に加えて、追加の安全チェックとして使用され得る。
【0128】
図8は、空気がポンプ18から出力される圧力にどのように影響を及ぼすかを示すプロットである。P2filtは、空気検出回路80のローパスフィルタ82lの出力である。Pは、図1の圧力センサ24bからの生出力である。P2maxおよびP2minは、Pに関して、それぞれ、上ピークおよび下ピークのピークツーピークからのプロットであり、それらは、圧力センサ24bからの生出力である。制御ユニット50は、P2maxとP2minとの間のピークツーピーク差を分析して、充填流体ストークスが発生しているかどうかを決定する。図8では、制御ユニット50(例えば、1つ以上のプロセッサ52および1つ以上のメモリ54)は、空気(または空気とPD液との混合物)が約t175から約t178まで存在すると決定するために使用され得る。t175の前のピークP2maxとピークP2minとの圧力差は、約40kPa~約55kPa(5.8psig~8psig)の範囲である。t175からt178までの間、ピークツーピーク圧力差は、約8kPa~約20kPa(1.2psig~2.9psig)の範囲まで低下する。ここでは、制御ユニット50は、例えば少なくとも50パーセントのピークP2maxとピークP2minとの圧力差の変化(低下)を探すようにプログラムされ得る。例えば、50パーセント減少の閾値が満たされたとき、それが満たされている限り、制御ユニット50は、体積を累積するために関連付けられたストロークをカウントしない(警報または警告を提供させ得る)。一実施形態において、部分的な空気および部分的なPD液を含むストロークは、カウントされない。しかしながら、経時的に、データが蓄積され、関連付けられたソフトウェアが最適化されるにつれて、正確な部分的なストローク量が確かめられ、体積を累積するために、例えば、ストローク量で乗算された1ストロークのパーセンテージとして、カウントに含まれ得ることが考えられる。
【0129】
しかしながら、空気(または空気とPD液との混合物)が存在すると決定するために制御ユニット50の1つ以上のプロセッサ52および1つ以上のメモリ54が使用されることが必須ではないことを理解されたい。代わりに、空気(または空気とPD液との混合物)が存在すると決定し、PD液体積ストロークを適宜にカウントするために図7の制御ユニット50の空気検出回路80が使用され得る。ここでは、決定は、純粋にハードウェアによって行われる。一実施形態において、バンドパスフィルタ82は、そのオフセットなしでピークツーピーク信号(図8)を抽出する。ピーク検出は、ハイハンドローピーク値間の差に依存する。次いで、カウンター86は、ピーク値間の十分に大きいまたは閾値差分を有するストロークのみをカウントし、従って、ハードウェアにおいて空気検出および正確なPD液体積圧送決定を実施する。
【0130】
図1の圧力センサ24bを見て、その出力が患者14を排出するポンプ18を評価するために使用されると仮定すると、図8に示すように負圧および正圧ではなく、負圧のみが読み取られるかのように見え得る。しかしながら、流体ポンプ18、例えば透析液ポンプのストローク量が患者14につながる患者ライン内の流体の質量に対して小さい(例えば、0.5ml)一組の状況では、ポンプストロークの負圧部分中、流体が引っ張られている間、圧力は、負と読み取れる。ポンプストロークの負圧部分の終了時、引っ張られた流体の流れが停止させられ、流体が流体ポンプ18のピストン18pに対して逆流すると、正の圧力スパイクが発生することを引き起こす。したがって、図8に見られる正圧は、再び、患者排出に関している。正の圧力スパイクの特性は、患者14につながるチューブのコンプライアンスと、流体ポンプ18の速度とに依存する。空気の存在は、チューブ内のコンプライアンスを著しく増加させ、従って、図8に図示するようにピークツーピーク値を減衰させる。
【0131】
正圧が患者排出中に検出される別の組の状況は、患者がPD装置より上に位置決めされている場合、発生する。そのような患者の位置決めは、ヘッド高さが正であることを引き起こす。図1を見ると、流体送達先14に存在する患者が流体ポンプ18の上方に位置する場合、圧力センサ24bは、ピストン18pが引き込まれている図6と同様のピストンポンプなど、流体ポンプが負圧を発生していても、正圧を見得る。
【0132】
図6図8の実施形態におけるシステム10の空気決定は、(i)患者排出中の(流体ポンプ18の)上流側圧力を見ることだけに限定されず、(ii)(ポンプ18からドレイン34に向かって流出物を圧送する)患者排出中の(流体ポンプ18の)下流側圧力、(iii)(ポンプ18から患者14に向かって新鮮な加熱されたPD液を圧送する)患者充填中の下流側圧力、および/または(iv)(流体供給源12からポンプ18内に新鮮な加熱されたPD液を圧送する)患者充填中の上流側圧力のうちの任意の1つ以上を見ている間にも使用され得る。患者排出または充填のいずれかについての実施形態において、ポンプストロークの上流側圧力部分中に検出される空気は、ポンプストロークの下流側圧力部分中に制御ユニット50によって確認され得る。ここでは、流体ポンプ18の上流側および下流側の両方に位置するセンサからのピークツーピーク生出力が、分析される。
【0133】
本明細書に記載の現在好ましい実施形態に対する様々な変形および修正が当業者には明らかであることを理解されたい。ゆえに、そのような変更および修正のいずれかまたは全てが添付の特許請求の範囲によって網羅され得ることが意図されている。例えば、透析液ポンプ18は、インラインヒータ30の下流側にある(患者充填の場合)ものとして図示されており、流体送達システム10の原理は、透析液ポンプ18がインラインヒータ30の上流側に位置する場合(患者排出の場合)、等しく適用される。流体送達システム10の制御ユニット50が、圧力センサ24aおよび/または24bの流体圧送圧力目的に加え、さらに複数の目的のためにそれらを使用して、第1および第3の主要な実施形態(インライン加熱およびエアトラップ)、または第2および第3の主要な実施形態(インライン加熱およびエアトラップ)を一緒にかつ同時に動作させ得ることも理解されたい。タコメーター18tが第2の主要な実施形態に関連して図示および説明されているが、流体ポンプが作動させられていることを確認するために、代わりに、エンコーダー、例えばインクリメンタルエンコーダーまたはアブソリュートエンコーダーなどの別のタイプの運動センサも、使用され得る。さらに代替的に、空気検出回路80によって提供される機能は、代わりに、制御ユニット50の1つ以上のプロセッサ52および1つ以上のメモリ54にプログラムされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】