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特表2024-541473エネルギー最適化プラント及びその稼働方法
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  • 特表-エネルギー最適化プラント及びその稼働方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エネルギー最適化プラント及びその稼働方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241031BHJP
   H02J 3/38 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/38 110
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531010
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2022025512
(87)【国際公開番号】W WO2023094021
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021000029597
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フルジュエレ,イッポリト
【テーマコード(参考)】
5G066
5L050
【Fターム(参考)】
5G066HA17
5G066HB01
5L050CC06
(57)【要約】
【解決手段】 負荷ピーク用途のための、エネルギー最適化プラントである。プラントは発電ユニットを有し、生成されたエネルギーは、暗号通貨をマイニングするための分散コンピューティングシステムに供給されるように、又は電力を配給するために送電網へと注入されるように、切り換えられる。電力制御ユニットは、インターネットなどの通信ネットワークから取得したデータに基づいて、発電ユニットによって発電された電力を、切り換える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷ピーク用途のための、エネルギー最適化プラントであって、
エネルギーを生成するための、発電ユニットと、
1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに関する情報を提供するための、通信ネットワークと、
動作するためにエネルギーを必要とする、暗号通貨をマイニングするための、少なくとも1つの分散コンピューティングシステムと、
電力を分配するための、送電網と、
前記発電ユニット及び前記分散コンピューティングシステムに動作可能に接続された、電力制御ユニットであって、前記電力制御ユニットが、前記1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに関するデータを検索するために、前記通信ネットワークにもまた機能的に接続されている、電力制御ユニットと、を備え、
前記電力制御ユニットが、前記1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに基づいて、少なくとも1つのエネルギー最適化基準に従って、前記発電ユニットによって生成された前記エネルギーを、前記送電網又は前記分散コンピューティングシステムへと切り換えるように、構成されている、エネルギー最適化プラント。
【請求項2】
前記1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータが、電気エネルギーの価格及び暗号通貨の価値に関するエネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータの関数である、請求項1に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項3】
前記発電ユニット(1)が、化石燃料及び/又はクリーン燃料及び/又はそれらの混合に基づくガスタービンである、請求項1に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項4】
前記クリーン燃料が、水素、又はエタノール、又はメタノール、又はアンモニア、又はバイオガス、又はバイオディーゼルを含み、これらが、単独化合物として使用され得る、又はその他のクリーン燃料若しくは化石燃料と混合され得る、請求項3に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項5】
前記電力制御ユニットが、前記発電ユニットによって生成された前記エネルギーを、前記送電網又は前記分散コンピューティングシステムへと切り換えるように構成された、電力切り換えデバイスを備え、
前記電力制御ユニットが、前記通信ネットワークによってエネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータを取得するように構成された、演算処理装置を備える、
請求項1に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項6】
前記演算処理装置がまた、前記発電ユニットによって生成された前記エネルギーを切り換えるために、前記電力切り換えデバイスを制御するように、前記分散コンピューティングシステム又は前記送電網にエネルギーを供給するための、前記利便性を決定するように、構成されている、請求項5に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項7】
前記電力制御ユニットが、前記演算処理装置によって取得された前記エネルギーデータ及び前記暗号通貨マイニングデータを記憶するための、前記演算処理装置に接続された記憶手段を備える、請求項1に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項8】
前記分散コンピューティングシステムが、ビットコインなどの、1つ又はいくつかの暗号通貨をマイニングするように構成された複数のコンピュータを収容する設備である、請求項1に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項9】
前記通信ネットワークが、インターネットなどの、通信及びデータへのアクセスを容易にする接続されたネットワークシステムである、請求項1に記載のエネルギー最適化プラント。
【請求項10】
発電ユニットによって生成される前記エネルギーを切り換えるための方法であって、
電力制御ユニットを介して、通信ネットワークによって、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータを、取得する工程と、
工程において取得された前記エネルギーデータ及び前記暗号通貨マイニングデータに基づいて、発電ユニットによって生成された前記エネルギーの使用を、評価する工程と、
少なくとも1つのエネルギー最適化基準に従って、前記1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに基づいて、前記分散コンピューティングシステムにエネルギーを供給するか、又は前記発電ユニットによって生成された前記電力を前記送電網へと注入する、前記利便性を、決定する工程と、
電力切り換えデバイスによって、前記発電ユニットによって生成された前記エネルギーを、前記分散コンピューティングシステム又は前記送電網へと切り換える工程と、を含む、方法。
【請求項11】
発電ユニットによって生成された前記エネルギーの前記使用を評価する前記工程が、前記エネルギーデータと前記暗号通貨マイニングデータとの間の比較を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータが、前記電気エネルギーの価格及びビットコイン又はその他の代替コインなどの前記暗号通貨の価値に関する、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータの関数である、請求項10に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギー最適化プラントに関し、特に、負荷ピーク用途において、すなわち、電力に対する高い需要がある場合にのみ電力が生成され販売される用途において、エネルギーを生産するために使用されることが意図された、ガスタービンを備える、プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー生産の分野において、ガスタービンプラントは、通常、負荷ピーク用途を補償するためにエネルギーを供給するように、設置されている。具体的には、ガスタービンが接続されている送電網が、エネルギーのピークを負担する必要がある場合、例えば、夏の間、家庭用冷却器及び工業用冷却器が、一日の特定の瞬間に全て切り換えオンにされる場合、又はその他の状況では、プラントのガスタービンは、過剰な電力需要に対して供給補充するために、稼働を開始するか、あるいは生成される電力を増加させる。
【0003】
ピーク負荷用途で典型的に用いられるガスタービンは、燃料の燃焼に基づくシステムである。エネルギー遷移は、H及び/又はCHOH、NH3、バイオディーゼル及びバイオメタンなどのクリーン燃料をもたらす。このような燃料は、独立型燃料として使用され得るか、又はその他の化石燃料若しくはクリーン燃料と、混合され得る。
【0004】
送電網へとエネルギーを注入するガスタービンを稼働させるプラントのオペレータには、国際エネルギー市場へと取引されるエネルギーの現在価値に従って、支払いがなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、オペレータは、生成されたエネルギーのより良好な使用が利用可能であるかどうかを知ることに関しては、選択肢を持たない。これらの理由からも、ガスタービンプラントは、送電網のみに直接接続されている。
【0006】
どちらの供給源がより有益であるかを決定することが可能なシステムと共に、エネルギーの代替的な使用可能性が、本分野において歓迎されるであろう。
【0007】
一般に、暗号通貨マイニングシステムは、高電力コンピュータを使用して暗号方程式を解くことによって、暗号通貨を獲得するプロセスを、指す。本プロセスは、データブロックを検証し、トランザクションレコードを、ブロックチェーンとして周知のパブリックレコードに追加することを、含む。ビットコイン(Bitcoins)、イーサリアム(Ethereum)、及び/又はその他の暗号通貨などの暗号通貨をマイニングするために必要な、全ての機器を備えた、施設がある。
【0008】
暗号通貨のマイニングは、高いエネルギー消費である。例えば、ビットコインのネットワークは、年間ほぼ80テラワット時間を消費していると、推定されている。
【0009】
一態様では、本明細書に開示された主題は、負荷ピーク用途のためのエネルギー最適化プラントに関する。プラントは、発電ユニットと、技術的最適化パラメータ及び/又は経済的最適化パラメータに関する情報を検索し得る、インターネットなどの通信ネットワークと、を備える。プラントはまた、稼働するためにエネルギーを必要とする、暗号通貨をマイニングするための分散コンピューティングシステムと、電力を分配するための送電網と、を備える。プラントは、発電ユニット及び分散コンピューティングシステムに接続された、電力制御ユニットもまた、備える。電力制御ユニットはまた、データを検索するために、通信ネットワークに接続されている。電力制御ユニットを通して、1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに基づいて、少なくとも1つのエネルギー最適化基準に従って、発電ユニットによって生成されたエネルギーを、送電網又は分散コンピューティングシステムへと切り換えることが、可能である。
【0010】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータが、電気エネルギーの価格及びビットコインなどの暗号通貨の価値などに関する、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータの関数である、という事実に、関する。
【0011】
本発明の更なる態様は、発電ユニットが、化石燃料及び/又はクリーン燃料及び/又はそれらの混合に基づくガスタービンである、という事実に、向けられる。具体的には、クリーン燃料は、水素、又はエタノール、又はメタノール、又はアンモニア、又はバイオガス、又はバイオディーゼルを、含む。これらは、単独の化合物として使用され得る、又はその他のクリーン燃料若しくは化石燃料と、混合され得る。
【0012】
別の態様において、本明細書に開示されるのは、発電ユニットによって生成されたエネルギーを、送電網又は分散コンピューティングシステムへと切り換えるための、電力切り換えデバイスである。これに関連して、電力制御ユニットは、通信ネットワークによってエネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータを取得するように構成された、演算処理装置を備える。
【0013】
本開示の更なる態様は、発電ユニットによって生成されたエネルギーを切り換えるための方法に関する。本方法は、電力制御ユニットを介して、通信ネットワークによってエネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータを取得する工程と、工程において取得されたエネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータに基づいて、発電ユニットによって生成されたエネルギーの使用を評価する工程と、エネルギー最適化基準に従って、1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに基づいて、分散コンピューティングシステムにエネルギーを供給するか、又は発電ユニットによって生成された電力を送電網へと注入する利便性を決定する工程と、電力切り換えデバイスによって、発電ユニットにより生成されたエネルギーを、分散コンピューティングシステム又は送電網へと切り換える工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについて、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによってそれらがより良好に理解されるため、完全な理解が容易に得られるであろう。
図1図1は、ある実施形態による、エネルギー最適化プラントの、概略図を示す。
図2図2は、図1のエネルギー最適化プラントに含まれる電力制御ユニットの、概略図を示す。
図3図3は、図1のエネルギー最適化プラントによる、稼働方法の、ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発電ユニットの分野において、ガスタービンは、送電網のピークエネルギー需要の場合にエネルギーを供給するために、多くの場合使用される。このような状況では、ガスタービンによって生産されるエネルギーは、通常、取引されるエネルギーの現在価格に基づいて、支払われる。本開示は、取引されるエネルギーの現在価格と1つ以上の暗号通貨の価値とを、リアルタイムで比較して、生成されたエネルギーをより有益に使用することができ、場合によっては、生産されたエネルギーを、動作させるためにかなりの量のエネルギーを必要とする暗号通貨マイニングシステムへと切り換えることができる、エネルギー最適化プラント及びその稼働方法に関する。
【0016】
以下では、プラントが可能な代替エネルギー使用オプションにどのように切り替わるかを示すために、エネルギー最適化プラントの切り換え動作が、開示される。
【0017】
ここで図面を参照すると、図1は、参照文字Pで全体的に示されるエネルギー最適化プラントの、ある実施形態を示す。以後、単に参照を容易にするために、エネルギー最適化プラントPは、プラントPとも称される場合がある。
【0018】
プラントPは、一般に、発電ユニット1と、発電ユニット1に接続された電力制御ユニット2と、分散コンピューティングシステム3と、送電網4と、を備える。分散コンピューティングシステム3及び送電網4の両方は、それぞれ、電力制御ユニット2に接続されている。
【0019】
図1に示すように、ガスタービンなどの発電ユニット1は、発電を行うように構成されている。特に、本実施形態では、発電ユニット1はガスタービンであり、化石燃料及び/又はクリーン燃料及び/又はそれらの混合に基づいてもよく、それによって、燃料を機械エネルギーに変換して電気エネルギーを生成することが、可能である。本開示によれば、クリーン燃料は、水素、又はエタノール、又はメタノール、又はアンモニア、又はバイオガス、又はバイオディーゼルを含むが、これらは、単独化合物として使用され得る、又はその他のクリーン燃料若しくは化石燃料と、混合されてもよい。その他の実施形態では、その他のガス又は燃料が、使用されてもよい。
【0020】
ガスタービンは、送電網4によってエネルギーが必要とされる場合はいつでも、起動され得る。
【0021】
上述したように、発電ユニット1は、電力制御ユニット2に動作可能に接続されており、電力制御ユニット2は、図2でも参照して見ることができるように、その上にバス203を有する回路基板と、バス203に連結されたプログラム可能プロセッサ又は演算処理装置200と、バス203に連結された、データを記憶するためのコンピュータ可読メモリ又は記憶手段201と、人間のオペレータがプラントPの稼働を制御又は追跡し得る、一般的なラップトップ又はコンピュータなどの、ヒューマン・インターフェース204と、を備える。電力制御ユニット2はまた、発電ユニット1によって生成されたエネルギーを、送電網4又は分散コンピューティングシステム3へと切り換えるように構成された、電力切り換えデバイス202を備え、また、バス203に接続され、ヒューマン・マシン・インターフェース204に接続するように構成された、入力ポート/出力ポートを有する。
【0022】
更に、本開示によれば、電力制御ユニット2はまた、通信ネットワークN、すなわち、インターネットなどの通信及びデータへのアクセスを容易にする、接続されたネットワークシステムにも接続されており、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータ並びに1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに関する情報に関するデータを、通信ネットワークNから取得する。その他の実施形態では、電力制御ユニット2は、通信ネットワークNに接続された1つのコンピュータ又は複数のコンピュータに、接続されてもよい。
【0023】
演算処理装置200は、本開示によるプラントPの電力制御ユニット2の、機能部である。特に、演算処理装置200は、発電ユニット1によって生成されたエネルギーの有益な使用を行うためのコンピュータプログラムを実行するように構成された、計算及び演算処理手段を備え、同様に、電力制御ユニット2のその他の要素とのインターフェースを、実行する。
【0024】
本開示によれば、演算処理装置200は、マイクロコントローラである。しかしながら、その他の実施形態では、演算処理装置200は、例えば、ネットワーク内で互いに接続された又はクラウド接続された、1つのコンピュータ又は複数のコンピュータを含み得る。
【0025】
更に、演算処理装置200はまた、それが接続され通信している電力制御ユニット2の要素の動作を制御し、調整するように、構成されている。
【0026】
特に、演算処理装置200は、通信ネットワークNによって、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータを取得するように、構成されている。更に、演算処理装置200は、電力切り換えデバイス202を制御し、したがって、1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに基づいて、エネルギー最適化基準に従って、発電ユニット1によって生成されたエネルギーの送電網4又は分散コンピューティングシステム3への切り換えを、制御するようにも構成されている。
【0027】
1つ以上の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータは、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータの関数である。より具体的には、本実施形態によれば、このような最適化パラメータは、電気エネルギーの現在の(一般に、リアルタイムの)価格、及び通信ネットワークNによって演算処理装置200にリアルタイムで提供される、ビットコイン又はその他の代替コインなどの、暗号通貨の、現在の(一般に、リアルタイムの)価値に、関連する。その他の実施形態では、このような最適化パラメータは、履歴データ、技術的解析、並びに電気エネルギー及び暗号通貨に関する傾向に、関連し得る。
【0028】
具体的には、演算処理装置200によって実行されるプログラムは、現在のエネルギー価格及び暗号通貨価値だけでなく、予測ベースのアルゴリズムにもまた、基づき得る。
【0029】
したがって、演算処理装置200は、少なくとも1つの最適化パラメータに基づくエネルギー最適化基準に従って、分散コンピューティングシステム3にエネルギーを供給する、又は発電ユニット1によって生成された電力を送電網4へと注入する利便性を、決定するように、構成されている。
【0030】
上述したように、電力制御ユニット2は、記憶手段201もまた備える。例えば、データベースなどの記憶手段201は、例えば、時間に沿って演算処理装置200によって取得された履歴エネルギーデータ及び履歴暗号通貨マイニングデータを記憶することを、可能にする。
【0031】
記憶手段201は、電源制御ユニット2に含まれる。しかしながら、その他の実施形態では、記憶手段201は、電力制御ユニット2の外部にあってもよく、電力制御ユニット2に動作可能に接続されてもよい。
【0032】
上述したように、電力制御ユニット2は、演算処理装置200に動作可能に接続された、電力切り換えデバイス202もまた備える。特に、電力切り換えデバイス202は、演算処理装置200からのコマンドに応じて、発電ユニット1によって生成されたエネルギーを、送電網4又は分散コンピューティングシステム3へと切り換えるように、構成されている。
【0033】
電力切り換えデバイス202は、エネルギー源と関連する負荷との間で大量の電力を扱うように設計された、金属酸化膜シリコントランジスタ(metal-oxide-silicon transistor、MOSFET)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated-Gate Bipolar Transistor、IGBT)、又はバイポーラ接合トランジスタ(Bipolar Junction Transistors、BJT)などの、電力半導体スイッチであってもよい。その他の実施形態では、電力切り換えデバイス202のタイプは、異なっていてもよい。
【0034】
分散コンピューティングシステム3は、暗号通貨のマイニングのために構成されており、動作するためにエネルギーを必要とする。特に、本開示によれば、分散コンピューティングシステム3は、暗号通貨マイニングファーム、すなわち、暗号通貨をマイニングするために必要な全ての機器を備えた施設である。
【0035】
しかしながら、その他の実施形態では、分散コンピューティングシステム3のタイプ及び数は、異なっていてもよい。例えば、分散コンピューティングシステム3は、1つ又はいくつかの暗号通貨をマイニングするように構成された複数のコンピュータを収容する、部屋又は倉庫などの、1つ以上の構造を備えてもよい。
【0036】
本開示による、発電ユニット1によって生成されるエネルギーを切り換えるための方法Mのブロック図が、図3に示されている。
【0037】
まず、電力制御ユニット2の演算処理装置200は、通信ネットワークNによって、エネルギーデータ及び暗号通貨マイニングデータを取得する(工程M1)。
【0038】
次に、演算処理装置200は、工程M1で取得したエネルギーデータと暗号通貨マイニングデータとを、比較する(工程M2)。換言すれば、演算処理装置200は、電気の価格が暗号通貨の価値を上回るか否かを、チェックする。その他の実施形態では、演算処理装置200は、より利便的なエネルギー使用を評価するための、より洗練されたアルゴリズムを実行し得るが、これはおそらく、上述したように、パラメータの履歴データ、又はその他の追加の技術的最適化パラメータ又は経済的最適化パラメータに基づく。
【0039】
次に、少なくとも1つの最適化パラメータに基づくエネルギー最適化基準に従って、演算処理装置200は、分散コンピューティングシステム3にエネルギーを供給するか、又は発電ユニット1によって生成された電力を送電網4へと注入する利便性を、決定する(工程M3)。
【0040】
特に、暗号通貨のマイニングが利便的である場合、電力制御ユニット2は、電力切り換えデバイス202によって、発電ユニット1によって生成されたエネルギーを分散コンピューティングシステム3へと切り換えて(工程M4)、比例する量の暗号通貨を得る。
【0041】
代わりに、発電ユニット1によって生成された電力を送電網4へと注入することに利便性がある場合、電力制御ユニット2は、電力切り換えデバイス202によって、発電ユニット1によって生成されたエネルギーを送電網4へと切り換える(工程M4)。
【0042】
更に、電力制御ユニット2は、電気エネルギー生成へと切り換えるために、分散コンピューティングシステム3で現在実行されている暗号マイニングを、停止してもよい。
【0043】
本開示の利点は、取引されているエネルギーの現在価格と1つ以上の暗号通貨の価値とをリアルタイムで比較して、生成されたエネルギーのより有益な使用を行うことができるシステムを、提供することである。
【0044】
本開示の別の利点は、暗号マイニングを通じて、ガスタービンサービス率が低いピーク負荷用途の利益を、最大化することである。
【0045】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく、多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。なお、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法工程の順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0046】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例解されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」又は「いくつかの実施形態(some embodiments)」への言及は、ある実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを、意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所に「一実施形態では(in one embodiment)」又は「ある実施形態では(in an embodiment)」又は「いくつかの実施形態では(in some embodiments)」という句が現れても、それは、必ずしも同一の実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0047】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを、意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを、意味するものである。

図1
図2
図3
【国際調査報告】