(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】単回使用の使い捨て時間指示デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61M5/14 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531087
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 US2022050479
(87)【国際公開番号】W WO2023096838
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マハーデーヴ、スウェター
(72)【発明者】
【氏名】オースティン、アビン
(72)【発明者】
【氏名】サジャナール、シャラヤ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066QQ79
(57)【要約】
IV使い捨て時間指示デバイスはある体積のゲルを収容したチューブ及びスロットの一方を含み、ゲルは周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている。封止材はゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている。デバイス上には1つ又は複数の時間指標が配設されており、ゲルの蒸発は活性化後の時間経過の視覚的指示を与えるように構成されている。IV使い捨て時間指示デバイスを操作する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある体積のゲルを収容したチューブであって、前記ゲルは周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、チューブと、
前記ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、
1つ又は複数の時間指標と、を備え、
前記ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を提供するように構成されている、
静脈注射(IV)使い捨て時間指示デバイス。
【請求項2】
前記封止材は、前記チューブを収容した真空封止された包材を備える、請求項1に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項3】
前記封止材は、前記チューブの開口部上に配設されている取り外し可能なカバーを備える、請求項1に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項4】
前記1つ又は複数の時間指標は、言語による記載、数字、及び記号のうちの1つを備え、各時間指標は特定の使用期間を指示する、請求項1に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項5】
IV管材と、
前記IV管材に結合されているIV構成要素と、
前記IV管材及び前記IV構成要素の一方に結合されている請求項1に記載のIV使い捨て時間指示デバイスと、
を備える、IVセット。
【請求項6】
前記IV使い捨て時間指示デバイスは、ラベル上に配設されており、前記ラベルは、前記IV管材及び前記IV構成要素の一方に結合されている、請求項5に記載のIVセット。
【請求項7】
IV構成要素に結合されるように構成されているキャップであって、
基部表面を有するキャビティと、
前記基部表面に配設されているスロットと、
前記スロット内に配設されているある体積のゲルであって、周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、ゲルと、
1つ又は複数の時間指標と、を備えるキャップと、
前記ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材をと、備え、
前記ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を提供するように構成されている、
静脈注射(IV)使い捨て時間指示デバイス。
【請求項8】
前記キャップは、前記キャップの内側表面に配設され且つ前記キャップが前記IV構成要素に結合されるときに前記IV構成要素の表面を滅菌するように構成されている消毒物質をさらに備える、請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項9】
前記キャップは、前記IV構成要素の外側のねじ山と噛み合うように構成されている内側のねじ山を備える、請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項10】
前記キャップは、
前記キャップに結合されているテザーと、
前記テザーに結合されている係合部材と、を備え、
前記係合部材は、前記IV構成要素に結合されるように構成されている、請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項11】
前記キャビティ内に嵌合するように構成されているキャップ閉鎖具であって、前記基部表面に接触し且つ前記スロット内に前記ゲルを保持するように構成されている表面を備える、キャップ閉鎖具
をさらに備える、請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項12】
前記キャップ閉鎖具は、前記スロット内の前記ゲルが見えるように構成される材料で形成されており、前記材料は、透明材料及び半透明材料の一方を備える、請求項11に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項13】
前記キャップ閉鎖具は、前記スロット内のゲルと周囲空気との間に空気通路を提供するように構成されている通気部を備える、請求項11に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項14】
前記封止材は、前記キャップ上に配設され前記通気部を覆っている取り外し可能なカバーを備える、請求項13に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項15】
前記封止材は、前記キャップを収容した真空封止された包材を備える、請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項16】
前記1つ又は複数の時間指標は、言語による記載、数字、及び記号のうちの1つを備え、各時間指標は、特定の使用期間を指示する、請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイス。
【請求項17】
IV管材と、
前記IV管材に結合されているIV構成要素と、
前記IV構成要素に結合されている請求項7に記載のIV使い捨て時間指示デバイスと、
を備える、IVセット。
【請求項18】
前記IV構成要素は、ねじ山付きニードルレス・コネクタであり、前記キャップは、ねじ山と、前記キャップの内側表面上に配設されている消毒物質と、を備え、前記キャップは、前記キャップが前記ニードルレス・コネクタ上にねじ留めされるときに前記ニードルレス・コネクタの接続表面を滅菌するように構成されている、請求項17に記載のIVセット。
【請求項19】
静脈注射(IV)使い捨て時間指示デバイスを操作する方法であって、
IV輸液プロセスに使用するためにIV構成要素を設置することと、
前記IV構成要素に結合されている前記IV使い捨て時間指示デバイスから封止材を取り外すことと、
前記IV使い捨て時間指示デバイス内のゲルを周囲空気に曝露することと、
前記ゲルと隣り合うように配設されている1つ又は複数の時間指標マーキングに対する前記ゲルのレベルを視覚的に確認することと、
前記確認されたゲルのレベルに最も近い時間指標マーキングに基づいて前記IV構成要素の残りの使用寿命を判定することと、を備える、方法。
【請求項20】
前記IV構成要素は、ねじ山付きニードルレス・コネクタであり、前記IV使い捨て時間指示デバイスは、前記ねじ山付きニードルレス・コネクタ上にねじ留めされるねじ山付きキャップであり、前記ねじ山付きキャップは、
基部表面を有するキャビティと、
前記基部表面に配設されているスロットと、
前記キャビティ内にあるキャップ閉鎖具であって、前記基部表面を覆う表面及び前記スロットと周囲空気との間の空気通路を提供する通気部を含む、前記キャップ閉鎖具と、を備え、
前記ゲルは、前記スロット内に配設されており、前記封止材を取り外すと所定の時間率で蒸発する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月29日に出願された「SINGLE USE DISPOSABLE TIME INDICATION DEVICES」と題する米国仮特許出願第63/283,756号の優先権の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、静脈注射(IV:intravenous)セット・デバイス、特に単回使用の使い捨て時間指示デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な輸液セット又は静脈注射(IV)セットは、複数の半透過性のポリマー製管材セグメントを、同じく多くの場合半透過性である、複数のポリマー製構成要素に接合して構築される。そしてこれらのIVセットは輸液ポンプ又は重力システムとともに使用されて、使用者、例えば患者に流体を供給する。しかしながら、IVセット及び/又は個々のIV構成要素には通常、予め定められた貯蔵期間(例えば、3~5年の保存期間)、及び予め定められた使用寿命(例えば、24時間、72時間、96時間、7日間)の両方がある。また、使い捨てのIV器具は使用に制限又は制約のある製品であり、再使用又は推奨期間を超えて使用されると、汚染物質及び疾患、又は何らかの種類の感染症を媒介する可能性がある。特に、IVセット/構成要素が一旦その包材から取り出され使用に供されれば、そのIVセット/構成要素は最長で使用期限の時間の間しか使用すべきではなく、その時間後は、IVセット/構成要素を交換すべきである。使用時間は、医療規制、IVセット/構成要素を通して輸液されている薬物、薬剤、又は物質の種類、及びIVセット/構成要素の製作に使用される材料の種類によって決定され得る。
【0004】
現在のところ、IVライン/構成要素を交換すべき又は交換する必要のある場合に、臨床医に警告を発する良い方法が存在しない。通常、IVセット/構成要素が使用に供されるとき、IVセット/構成要素の使用開始時間の記録又は書き留めは、臨床医に委ねられている。しかしながら、一部の医療現場の慌ただしい環境では、臨床医が開始時間を記録する又は書き留める時間がない可能性がある。さらに、使用中の特定のIVセット/構成要素がどの使用寿命期間を必要とするのかが、明確でない場合もある。さらに、臨床医がIVセット/構成要素の交換が必要であると判断した場合、IVセット/構成要素を交換する行為には、セット/構成要素の場所の特定、セット/構成要素によって供給される薬剤の判定、及び/又はIVラインへの手作業のラベル付けの必要があり、時間及び労力がかかる。集中治療室(ICU)においてなど、患者にいくつかのIVラインがある場合、適正なIVセット/構成要素を見つけ出して交換する作業には時間がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの理由から、臨床医がIVセット/構成要素を交換する準備をするための十分な時間を提供するために、及び、IVセット/構成要素がその最大使用寿命に達したことを臨床医に明確に指示するために、関連するIVセット/構成要素の寿命がどれくらい残っているかを視覚的に示す内蔵型タイマーを有する、IVセット/構成要素を提供し、このことにより臨床医に任意のIVセット/構成要素の残りの使用寿命を判定する能力を与えるための、デバイス及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つ又は複数の実施の形態では、IV使い捨て時間指示デバイスは、ある体積のゲルを収容したチューブであって、ゲルは周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、チューブと、ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、1つ又は複数の時間指標と、を備え、ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を提供するように構成されている。
【0007】
1つ又は複数の実施の形態では、IV使い捨て時間指示デバイスは、IV構成要素に結合されるように構成されているキャップであって、基部表面を有するキャビティと、基部表面に配設されているスロットと、スロット内に配設されているある体積のゲルであって、周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されているゲルと、1つ又は複数の時間指標と、を備えるキャップと、ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、を備え、ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を提供するように構成されている。
【0008】
1つ又は複数の実施の形態では、IV使い捨て時間指示デバイスを操作するための方法は、IV輸液プロセスに使用するためにIV構成要素を設置することと、IV構成要素に結合されているIV使い捨て時間指示デバイスから封止材を取り外すことと、IV使い捨て時間指示デバイス内のゲルを周囲空気に曝露することと、ゲルと隣り合うように配設されている1つ又は複数の時間指標マーキングに対するゲルのレベルを視覚的に確認することと、確認されたゲルのレベルに最も近い時間指標マーキングに基づいてIV構成要素の残りの使用寿命を判定することと、を備える。
【0009】
開示された実施の形態の前述した及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面からより明らかになるであろう。
【0010】
本開示のさらなる理解を提供する目的で導入された、本明細書に組み込まれその一部を構成している添付の図面は、本開示の実施の形態を図示しており、本説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】4つの流体輸液ポンプを有する例としての患者ケア・システムの斜視図であり、ポンプの各々はそれぞれの流体供給源に接続されて、流体供給源の内容物を患者にポンピングするようになっている。
【
図2A】例としてのIVセット及び拡張セットの例の上面図である。
【
図2B】例としてのIVセット及び拡張セットの例の上面図である。
【
図2C】例としてのIVセット及び拡張セットの例の上面図である。
【
図3】本開示の態様による、単回使用の使い捨て時間指示デバイスの前面図である。
【
図4】本開示の態様による、単回使用の使い捨て時間指示デバイスを有するIVセットの斜視図である。
【
図5】本開示の態様による、単回使用の使い捨て時間指示デバイスの斜視図である。
【
図6】本開示の態様による、カバー封止体を有さない
図5の単回使用の使い捨て時間指示デバイスの斜視図である。
【
図7】本開示の態様による、単回使用の使い捨て時間指示デバイスを有するIVコネクタの斜視図である。
【
図8A】本開示の態様による、様々な使用時間における
図6の単回使用の使い捨て時間指示デバイスの斜視図である。
【
図8B】本開示の態様による、様々な使用時間における
図6の単回使用の使い捨て時間指示デバイスの斜視図である。
【
図8C】本開示の態様による、様々な使用時間における
図6の単回使用の使い捨て時間指示デバイスの斜視図である。
【
図9】本開示の態様による、
図6の単回使用の使い捨て時間指示デバイスの分解斜視図である。
【
図10】本開示の態様による、
図6の単回使用の使い捨て時間指示デバイスの背面斜視図である。
【
図11】本開示の態様による、単回使用の使い捨て時間指示デバイスを使用する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に記載する詳細な説明は主題の技術の様々な構成を説明するものであり、主題の技術が実施され得る唯一の構成を表現することを意図するものではない。詳細な説明は、主題の技術の完全な理解を提供する目的で、具体的な詳細を含む。したがって、寸法は特定の態様に関して非限定的な例として提供される。しかしながら、主題の技術はこれらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが、当業者には明らかであろう。いくつかの場合には、周知の構造及び構成要素が、主題の技術の概念が曖昧になるのを避けるために、ブロック図の形態で示される。
【0013】
本開示は主題の技術の例を含み、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではないことを理解されたい。ここで、具体的であるが非限定的な例に従って、主題の技術の様々な態様を開示する。本開示に記載される様々な実施の形態は、所望の用途又は実装に従い、異なる方法及び変形形態で実施され得る。
【0014】
ここで、いくつかの図にわたって同様の参照符号が同様の又は対応する要素を指す図面をより詳細に参照すると、
図1には4つの輸液ポンプ22、24、26、及び28を有する患者ケア・システム20が示されており、輸液ポンプの各々は上流の対応する流体ライン30、32、34、及び36と流体連通している。4つの輸液ポンプ22、24、26、及び28の各々はまた、下流の対応する流体ライン31、33、35、及び37とも流体連通している。流体ラインは、中を流体が流れることのできる任意のタイプの流体導管、例えばIV投薬セットであり得る。シリンジ・ポンプを含め、様々なポンプ機構の任意のものを使用できることを諒解されたい。
【0015】
流体供給源38、40、42、及び44は様々な形態を取り得るが、この場合はボトルとして示されており、逆さにしてポンプの上方に吊られている。流体供給源は袋、又はシリンジなどの他のタイプの容器の形も取り得る。患者ケア・システム20及び流体供給源38、40、42、及び44はいずれも、ローラ・スタンド、IVポール46、テーブルの上、等に取り付けられる。
【0016】
流体供給源の液体の各々を患者に輸液するために、別々の輸液ポンプ22、24、26、及び28が使用される。輸液ポンプは、対応する流体ラインに作用して流体供給源から流体ラインを通して患者48に流体を移動させる、流量制御デバイスである。個々のポンプが使用されるので、各々を、特定の医療用流体を医師によってその流体について処方された特定の速度で対応する流体供給源から患者に輸液するために必要な、ポンピング・パラメータ又は動作パラメータに合わせて、個別に設定することができる。このような医療用流体としては、薬物若しくは栄養剤、又は他の流体を挙げることができる。輸液ポンプ22、24、26、及び28はポンプ制御ユニット60によって制御される。
【0017】
流体供給源38、40、42、及び44は、対応する電子データ・タグ81、83、85、及び87に、又は電子送信機に、各々結合されている。輸液システムに関連付けられたどのデバイス又は構成要素も、電子データ・タグ、リーダ、又は送信機を備えていてよい。
【0018】
典型的な輸液セットはまた、輸液ポンプの使用を必要としない重力セットである場合もある。例えば、流体供給源38、40、42、及び44のうちの任意のものを重力IVセットを介して患者48に直接接続してもよく、この場合ポンプの助けを借りずに、流体が重力によって輸液セットを通って患者48内へと流れる。
【0019】
一般に、医療用流体投与セットは、
図2A~
図2Cに示されている部品のように、
図1に示されるよりも多くの部品を有する。輸液セットは輸液構成要素と管材の任意の組合せから形成されてもよい。一般に、輸液構成要素及び管材は使い捨て製品であり、一度使用したら廃棄される。輸液構成要素及び管材は任意の適切な材料(例えば、プラスチック、シリコーン、ゴム)から形成されてもよく、それらの多く又は全ては内部の流体の流れ又はレベルが見えるように、透光性又は半透過性を有する。
【0020】
図2Aに示すように、輸液セット120は、管材160によって1つに接続された、点滴チャンバ130、逆止弁140、流量制御器150(例えばローラ・クランプ)、及びポンプ・セグメント165を含み得る。輸液セット120はまた、ニードルレス・ポート175を有するY字形接合部を有するYサイト170、及び輸液セット120の端部にあるルアー・ロック・コネクタ180も含み得る。ルアー・ロック・コネクタ180は例えば、患者に挿入されたカテーテルへの接続のために使用され得る。輸液セット120は追加の輸液構成要素を含んでもよく、構成要素と管材160の任意の組合せで形成されてもよい。例えば、輸液セット120のポンプ・セグメント165をある長さの管材160に代えることで、輸液セット120をポンプIVセットから重力IVセットへと変更することができる。
【0021】
図2Bに示すように、IVセット、輸液ポンプ、シリンジ・ポンプなどの輸液構成要素又はデバイスの任意の2つを接続するために、IV拡張セット120aが使用され得る。IV拡張セット120aは、ルアー・ロック・コネクタ180aと流量制御器150aとを含む。同様に、
図2Cに示すように、別のIV拡張セット120bは、ルアー・ロック・コネクタ180bと流量制御器150bとを含む。
【0022】
一般に、ほとんど全ての単回使用の使い捨てIVデバイス(例えば、ニードルレス・コネクタ、カテーテル)には、望まれる使用期限がある。本開示の態様では、主題の技術は、IVセット/構成要素の一部としてのタイマー・デバイスを提供する。例えば、IVセット/構成要素には、IVセット/構成要素の残りの使用寿命を視覚的に示す内蔵型タイマー指示器が内蔵されている場合がある。これにより、IVセット/構成要素の正確な使用が可能になり、IVセット/構成要素の過度に頻繁な交換(例えば、臨床医が、IVセット/構成要素の使用寿命がいつ終わるのか分からず、IVセット/構成要素を過度に頻繁に交換し、取り替えられたIVセット/構成要素の残りの使用寿命時間を無駄にする)、並びに、IVセット/構成要素の使用寿命を超えたIVセット/構成要素の超過使用(例えば、臨床医が、IVセット/構成要素の使用寿命がいつ終わるのか分からず、IVセット/構成要素の交換頻度が低くなり過ぎ、場合によっては医療上の、管理上の、及び法的な問題を引き起こす)の、両方が排除される。
【0023】
図3に示すような本開示の態様では、単回使用の使い捨て時間指示デバイス200が提供される。時間指示デバイス200はゲル220を収容したチューブ210を含むことができ、ゲル200は、空気、例えば、二酸化炭素、酸素、又は時間指示デバイス200の使用場所の周囲空気中の気体の任意の組合せに曝露されると、時間とともに蒸発する。時間指示デバイス200はまた、チューブ210内のゲル220を封止するための封止材230も含み得る。例えば、封止材230はIVセット/構成要素の包材であってもよい。この場合、時間指示デバイス200は、時間指示デバイス200が関連付けられているIVセット/構成要素がその封止材230(例えば、真空封止された包材)から取り外され、その結果時間指示デバイス200が空気に曝露されたときに、計時を開始し得る。別の例として、封止材230は、チューブ210の開口部を覆う剥離式カバーであってもよい。この場合、時間指示デバイス200は、封止材(例えば剥離式カバー)が取り外され、同時間指示デバイス200が再び空気に曝露されたときに、計時を開始してもよい。
【0024】
本開示の態様では、時間指示デバイス200は、その作動(例えば、封止材230の取り外し)後に経過した時間の指示を提供する。この場合、チューブ210内のゲル220の蒸発速度は時間の関数である。また、チューブ210内のゲル220の体積は時間の関数である。
【0025】
本開示の態様では、
図3に示すように、時間指示デバイス200は時間指標240も含み得る。例えば、時間指標240は、チューブ210上に配設されたマーク及び/又はテキスト(例えば、数字、単語、記号)であってもよい。このことにより、関連付けられた期間を、例えば言語による期間の記載(例えば、1日、2日、3日、4日)又は単なる数字のみ(例えば、1、3、5)である、時間指標240によって指示することができる。例えば、ゲル220が空気への曝露により活性化されると、ゲル220はチューブ210を通して、1番目の時間指標240(例えば、満杯、0日)によってマークされたレベル250まで見えるようになり得る。ゲル220がある期間(例えば、24時間、1日)にわたって蒸発するにつれて、チューブ210を通して見えるゲル・レベル250は、2番目の時間指標240まで後退する。時間指示デバイス200は、関連付けられたIVセット/構成要素の望まれる使用寿命期間(例えば、24時間、72時間、96時間、7日間)を指示するために、任意の数の時間指標240を含み得る。
【0026】
こうして、ゲル220が蒸発し続けるにつれて、ゲル・レベル250は、残りの時間指標240を通過してチューブ210に沿って後退し続け、最終的には、ゲル220が十分に蒸発(例えば、完全に蒸発)して、ゲル・レベル250が最後の時間指標240と一致することになる。例えば、
図3に示すように、時間指示デバイス200は5つの時間指標240を有する7日のデバイスであってもよく、その場合、1番目の時間指標240は、IVセット/構成要素の使用寿命の全体が残っている(例えば、作動させた及び/又は使用を開始したばかりである)ことを指示し、一方、2番目から5番目の時間指標240は、時間指示デバイス200が作動してから経過した日数(例えば、1日、3日、5日、7日)を各々指示する。この場合、最終期間(例えば7日)が経過したとき、ゲル220は完全に蒸発しその結果もはや見えなくなり得るか、又は、チューブ210内に最終の時間指標240と等しいか若しくはそれよりも低いゲル・レベル250で、若干の残留したゲル220がまだ存在し得る。
【0027】
したがって、使用中の関連付けられたIVセット/構成要素用の時間指示デバイス200のゲル・レベル250を一目見るだけで、臨床医は、そのIVセット/構成要素の使用寿命がどれくらい残っているかを容易且つ迅速に判断することができる。例えば、
図3に示すゲル・レベル250が4番目の時間指標240と5番目の時間指標240との間の中間にある場合、臨床医はIVセット/構成要素がその使用寿命の最終日内にあると迅速に判断でき、残り1日の期間内にIVセット/構成要素を取り替えるための準備を行うことができる。この場合、臨床医は、取り替え用IVセット/構成要素の注文を出すこと、部屋若しくは地域の在庫をチェックして取り替え用IVセット/構成要素が手元にあるかを確かめること、IVセット/構成要素をすぐに取り替える必要があるとの指示を出しシフトを変更すること、及び/又は何らかの他の必要となり得る準備をすることができる。
【0028】
本開示の態様では、ゲル・レベル250を時間指標240と組み合わせることにより、臨床医は、IVセット/構成要素の寿命を超えると考えられる輸液療法の開始前に、IVセット/構成要素に十分な使用時間が残っているかどうかを知ることが可能になる。この場合、臨床医はIV治療を開始する前にIVセット/構成要素を交換でき、このことにより、IVセット/構成要素を取り替えるために治療を中断する必要がなくなる。
【0029】
本開示の態様では、IVセットのタイマー・デバイスは、任意の適切な形状又は形式を有し得る。例えば、時間指示デバイス200に示されている矩形の形態の代わりに、時間指示デバイスは、ゲル・レベルが時間とともに目に見えて後退する円形パッチ、正方形パッチ、又は任意の他の幾何形状のパッチであってもよい。
【0030】
本開示の態様では、時間指示デバイス200の任意の適切な部分上に、凡例及び/又は説明を配設してもよい。例えば、凡例及び/又は説明を、ゲル・レベル250の後退が凡例/説明の下及び/又は周囲に存在する場所にチューブ210上にプリントしてもよく、チューブ210の下方に形成された時間指示デバイス200の(例えば、チューブ210の上ではない)外側部分にプリントして、ゲル220がチューブ210のその部分を越えて後退したときに凡例/説明が見えるようにしてもよく、又は任意の他の適切な形態であってもよい。
【0031】
図4は、ニードレス・コネクタ190と、流量制御器150と、ルアー・ロック・コネクタ180と、IV管材160と、を有する、例示のIV拡張セット290を示す。IV拡張セット290はまた、ラベルとしてIV管材160に固着された時間指示デバイス200も含み、時間指示デバイス200は、作動後に時間とともに後退するゲル・レベル250を有する。このとき、時間指示デバイス200は、IV拡張セット290内に時間指示デバイス200を含むのに適した(例えば、十分に大きく、部分的に見えにくくなることを許容される)輸液構成要素がない場合に、IV管材160にラベルとして固着されてもよい。
【0032】
本開示の態様によれば、封止材230は、真空封止された又は気密の包材であってもよく、IV拡張セット290が包材から取り出されると(例えば、封止材230から取り出されると)、時間指示デバイス200は、周囲空気に曝露されて自動的に作動し、その計時機能を開始することができる。本開示の態様によれば、封止材230は剥離式のラベル又は被覆材であってもよく、IV拡張セット290が使用されるとき、封止材230が時間指示デバイス200から剥離され(例えば取り外され)、その後時間指示デバイス200は周囲空気に曝露されて作動し、その計時機能を開始することができる。
【0033】
図5~
図10に示すような本開示の態様では、単回使用の使い捨て時間指示デバイス300が提供される。時間指示デバイス300は、
図7に示すように、ポート195を有するニードルレス・コネクタ190などのIVセット構成要素とともに使用される消毒キャップとして構成されている、キャップ310を含み得る。例えば、キャップ310は70%IPA滅菌溶液でニードルレス・ポート195を消毒することができ、適用後1分以内に細菌の4-log(99.99%)超の除去率を実現する。この場合、キャップ310はニードルレス・ポート195を保護するために使用することができ、汚染に対する物理的バリアを最大7日間維持する。
【0034】
本開示の態様では、キャップ310は、
図5及び
図6に示すような、完全に分離可能な構成要素であってもよい。ただし、着脱可能な滅菌キャップは通常、患者ケア・エリア内ですぐに利用できるようにしなければならない。したがって、臨床医が使用後にコネクタにキャップし直すのを忘れると、コネクタにキャップがないままとなり、腔内汚染のリスクが高まる可能性がある。したがって、
図7に示すような本開示の態様では、キャップ310は、IV構成要素(例えばニードルレス・コネクタ190)と結合するように構成されている取り付け部材315と、キャップ310を取り付け部材315に結合するテザー319と、を含み得る。したがって、キャップ310がニードレス・コネクタ190と噛み合っていないとき、取り付け部材315及びテザー319はキャップ310をニードレス・コネクタ190に取り付けられたままにするが、このことにより、使用中にキャップ310を紛失するリスクを排除又は最小化することができる。
【0035】
例えば、ポート195内に薬剤を注入できるように、7日の使用寿命期間にわたって1日に複数回キャップ310をねじ外しする必要があり、その後、ポート195を保護及び/又は消毒するために、その都度キャップ310をニードルレス・コネクタ190上にねじ留めし直す必要がある。したがって、キャップ310が取り付け部材315及びテザー319によってニードルレス・コネクタ190に常時接続されている場合、取り付けられたキャップ310は薬剤注入が完了したときに、臨床医に目に見えるリマインダを提供する。さらに、取り付けられたキャップ310を下に置いて忘れる可能性がなくなり、取り付けられたキャップ310を滅菌されていない表面上に落とす又は紛失する可能性もなくなる。
【0036】
キャップ310は、キャビティ316の基部表面314に配設されたスロット312を含むことができ、スロット312は、空気、例えば、二酸化炭素、酸素、又は時間指示デバイス300の使用場所の周囲空気中の気体の任意の組合せに曝露されると時間とともに蒸発する、ある体積のゲル320を保持するように構成されている。時間指示デバイス300はまた、キャビティ316内に嵌合するように及びスロット312内にゲル320を保持するように構成されている、キャップ閉鎖具325も含み得る。キャップ閉鎖具325は、キャビティ316の壁317の大部分と密着嵌合及び/又は封止嵌合するように構成され得る。キャップ閉鎖具325はまた壁317に接触しない通気部327を有してもよく、このことにより、スロット312内のゲル320と周囲空気との間に空気通路329が提供される。キャップ閉鎖具325は、ゲル320及びスロット312がキャップ閉鎖具325を通して見えるように、透光性を有するか又は透明色であってもよい。
【0037】
時間指示デバイス300はまた、キャップ閉鎖具325の空気通路329を封止しこのことによりスロット312からのゲル320の蒸発を防止するための、封止材330(例えば剥離式密閉封止材)も含み得る。例えば、封止材330は、キャップ310の上面318の上に配設されキャップ閉鎖具325及び空気通路329を完全に覆う、剥離式カバーであってもよい。この場合、時間指示デバイス300は、封止材330(例えば剥離式カバー)が取り外され、その結果時間指示デバイス300のスロット312内のゲル320が空気通路329を介して周囲空気に曝露されたとき、計時を開始(例えば作動)することができる。本開示の態様では、キャップ310をその包材から取り出したときに、キャップ310から封止材330を取り外してもよい。本開示の態様では、封止材330は、キャップがポート195を覆うようにニードルレス・コネクタ190上にねじ留め又はねじ接合された後で、キャップ310から取り外されてもよい。
【0038】
本開示の態様では、
図6に示すように、時間指示デバイス300は時間指標340も含み得る。例えば、時間指標340は、スロット312に沿った特定の箇所でキャビティ316の基部表面314上に配設された、マーク及び/又はテキスト(例えば、数字、単語、記号)であってもよい。このことにより、関連付けられた期間を、例えば言語による期間の記載(例えば、1日、2日、3日、4日)又は単なる数字のみ(例えば、3、5、7)である、時間指標340によって指示することができる。
【0039】
例えば、
図8Aに示すように、ゲル320が空気通路329を介した空気への曝露により活性化されると、ゲル320がキャップ閉鎖具325を通して見えるようになって、スロット312がゲル320で満杯であることをゲル・レベル350が指示しているのを示すことができる。その後、スロット312内のゲル320の体積の減少によって、キャップ310の作動からの経過時間が指示される。
図8Bに示すように、ゲル320が1番目の期間(例えば3日)にわたって蒸発すると、キャップ閉鎖具325を通して見えるゲル・レベル350は、スロット312内で1番目の時間指標340(例えば3)まで後退する。
図8Cに示すように、ゲル320が2番目の期間(例えばさらに2日、合計5日)にわたって蒸発すると、キャップ閉鎖具325を通して見えるゲル・レベル350は、スロット312内で2番目の時間指標340(例えば5)まで後退する。
【0040】
時間指示デバイス300は、キャップ310自体の又は関連付けられたIVセット/構成要素(例えば、IV拡張セット290、ニードルレス・コネクタ190)の望まれる使用寿命期間(例えば、24時間、72時間、96時間、7日)を指示するために、任意の数の時間指標340を含み得る。
図8A~
図8Cに示す例では、キャップ310の使用寿命は7日であってもよく、7日が経過したとき、7としてマークされている時間指標340の右側にゲル320がまだ残っていてもよい。本開示の態様では、最大使用寿命を指示する最後の時間指標340はスロット312の端部に位置する場合があり、この場合最大使用寿命期間が経過すると、ゲル320はほとんど又は全く見えなくなる。
【0041】
図9は時間指示デバイス300の分解図を示す。キャップ310、キャップ閉鎖具325、及び封止材330を含む時間指示デバイス300の構成要素の各々は、成形又は製造の容易な構成要素であり得る。同様に、キャップ310、取り付け部材315、及びテザー319を、単一の一体構成要素として成形してもよい。
【0042】
図10はキャップ310の下側を示す。例えば、ねじ山311は、任意のねじ山付きコネクタと、例えば
図7に示すニードルレス・コネクタ190のねじ山192と噛み合うように構成され得る。キャビティ316の基部314の内側表面313は、キャップ310がニードルレス・コネクタ190と完全に噛み合うとポート195に接触してこれを消毒及び/又は滅菌する消毒剤を含み得る。
【0043】
本開示の態様では、IVセットの製造及び包装中に、時間指示デバイス200、300をIVセットの構成要素に追加することができる。本開示の態様では、時間指示デバイス200、300は、ロール、シート上に、個別のパッケージ又は他の任意の適切な保管デバイス内に、別途用意されてもよく、臨床医又は使用者はIVセットが使用されるときに、その時間指示デバイス200、300を、IVセットの何らかの部分に適用する。
【0044】
例えば、封止材230を有する時間指示デバイス200のロール若しくはシート、又は、封止材330を有する時間指示デバイス300の箱若しくは袋が、医療処置エリア内に備え付けられていてもよい。この場合、新しいIVセット又はIVセット構成要素が使用されるとき、臨床医は、ロール又はシートから時間指示デバイス200を取り外し、このことにより裏側粘着面を露出させ、この粘着面をIVセット構成要素に付着させ、その後封止材230を剥離して、時間指示デバイス200を作動させることができる。同様に、臨床医は、容器又は袋から時間指示デバイス300を取り出し、キャップ310をIVセット・コネクタ上にねじ留めし、その後封止材330を剥離して、時間指示デバイス300を作動させることができる。
【0045】
別の例として、時間指示デバイス200は、気密の又は真空封止された個別パッケージ内に封入されてもよい。この場合、新しいIVセット又は新しい単一のIVセット構成要素が使用されるとき、臨床医は封止された個別パッケージから時間指示デバイス200を取り出し、チューブ210内のゲル220を空気に曝露して時間指示デバイス200を作動させ、裏面カバーを剥離して裏側粘着面を露出させ、その粘着面をIVセット構成要素に付着させることができる。
【0046】
本開示の態様では、時間指示デバイス200は、アプリケータ・デバイス(例えばアプリケータ・ガン)によって適用されてもよい。例えば、手持ち式のアプリケータ・デバイス(例えば、テープ・ガン又はラベル・アプリケータのようなもの)を臨床医が使用して、必要に応じて時間指示デバイス200をIVセット構成要素に適用してもよい。この場合、アプリケータ・デバイスは、時間指示デバイス200をバッキング・ロールから持ち上げて時間指示デバイス200の粘着面を露出させ、アプリケータ・デバイスからIVセット構成要素への適用時に封止材230を剥離して、時間指示デバイス200を作動させることができる。別の例として、アプリケータ・デバイスは製造システム又は組立システムのロボット部分又は機械部分であってもよく、この場合、時間指示デバイス200、300は、IVセットの製造、組立、又は包装中に、IVセット構成要素に自動的に適用又は結合される。
【0047】
本開示の態様では、試料蒸発計算が行われる。例えば、蒸発した液体の量はgh=ΘA(xs-x)で表すことができ、上式で、gh=1時間あたりの蒸発した水の量(kg/h)、Θ=(25+19v)=蒸発係数(kg/m2h)、v=水面上の空気の速度(m/s)、A=水面面積(m2)、xs=水面と同じ温度の飽和空気の最大湿度比(kg/kg)(kg Dry Air中のkg H2O)、これは比面積で一定、x=空気湿度比(kg/kg)(kg Dry Air中のkg H2O)である。したがって、蒸発したゲルの体積に基づいて、作動以降に経過した時間を判断することができる。
【0048】
本開示の態様では、ゲル220、320は任意の適切な原料から形成され得る。例えば、薬用成分としては62%エチル・アルコールを挙げることができ、非薬用成分としては、アミノメチル・プロパノール、水、カルボマー、安息香酸デナトニウム、グリセリン、ポリソルベート20、及び酢酸トコフェロールを挙げることができる。別の例として、100%の水溶性、良好な凝集及び結合特性、高い希釈率、並びに低い粘度を有する、蒸発の遅い親水性グリコール・エーテルを、ゲル220、320ベースのタイマーとして使用することができる。
【0049】
本開示のいくつかの態様によれば、単回使用の使い捨て時間指示デバイスを使用する方法400が
図11に示されている。ステップ410において、単回使用の使い捨て時間指示デバイス(例えば単回使用の使い捨て時間指示デバイス200、300)が、IVセット構成要素(例えばニードルレス・コネクタ190)上に配設されるか、又はIVセット構成要素に取り付けられる。本開示の態様では、単回使用の使い捨て時間指示デバイスは、IVセット構成要素(例えばIV管材160)に取り付けられる(例えば貼り付けられる)、粘着ラベル又はタグであってもよい。本開示の態様では、単回使用の使い捨て時間指示デバイスは、コネクタ(例えばニードルレス・コネクタ190)上にねじ接合されるキャップであってもよい。
【0050】
被覆封止材(例えば封止材230、330)が取り外されると、ステップ420において単回使用の使い捨て時間指示デバイスが作動する。例えば、ゲル(例えばゲル220)を収容したチューブ(例えばチューブ210)から封止材(例えば封止材230)を剥離するか又は取り外すことができ、その結果ゲルが空気に曝露される。別の例として、ある体積のゲル(例えばゲル320)を収容したキャップ(例えばキャップ310)から封止材(例えば封止材330)を剥離するか又は取り外すことができ、その結果ゲルが再び空気に曝露される。
【0051】
ステップ430において、単回使用の使い捨て時間指示デバイスからのゲル蒸発の程度を見ることができる。例えば、ゲル(例えば、ゲル220、320)の体積は、単回使用の使い捨て時間指示デバイス(例えば、単回使用の使い捨て時間指示デバイス200、300)のチューブ又はスロット(例えば、チューブ210、スロット312)内で時間とともに減少又は後退する。時間指標(例えば時間指標240、340)は、作動後の任意の所与の時間において残っているゲルのレベル(例えばゲル・レベル250、350)と関連付けられる、経過時間の視覚的基準を提供する。
【0052】
本開示によるいくつかの実施の形態では、IV使い捨て時間指示デバイスは、ある体積のゲルを収容したチューブであって、ゲルは周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、チューブと、ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、1つ又は複数の時間指標と、を備え、ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を与えるように構成されている。
【0053】
本開示の態様では、封止材は、チューブを収容した真空封止された包材を含む。本開示の態様では、封止材は、チューブの開口部上に配設されている取り外し可能なカバーを含む。本開示の態様では、1つ又は複数の時間指標は、言語による記載、数字、及び記号のうちの1つを含み、各時間指標は特定の使用期間を指示する。本開示の態様では、IVセットは、IV管材と、IV管材に結合されたIV構成要素と、IV管材及びIV構成要素の一方に結合されたIV使い捨て時間指示デバイスと、を備え、IV使い捨て時間指示デバイスは、ある体積のゲルを収容したチューブであって、ゲルは周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、チューブと、ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、1つ又は複数の時間指標と、を備え、ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を与えるように構成されている。本開示の態様では、IV使い捨て時間指示デバイスは、ラベル上に配設されており、ラベルは、IV管材及びIV構成要素の一方に結合されている。
【0054】
本開示によるいくつかの実施の形態において、IV使い捨て時間指示デバイスは、IV構成要素に結合されるように構成されているキャップであって、基部表面を有するキャビティと、基部表面に配設されているスロットと、スロット内に配設されているある体積のゲルであって、周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、ゲルと、1つ又は複数の時間指標と、を備えるキャップと、ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、を備え、ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を与えるように構成されている。
【0055】
本開示の態様では、キャップは、キャップの内側表面に配設され且つキャップがIV構成要素に結合されるときにIV構成要素の表面を滅菌するように構成されている消毒物質をさらに備える。本開示の態様では、キャップは、IV構成要素の外側のねじ山と噛み合うように構成されている内側のねじ山を備える。本開示の態様では、キャップは、キャップに結合されているテザーと、テザーに結合されている係合部材と、を備え、係合部材は、IV構成要素に結合されるように構成されている。
【0056】
本開示の態様では、キャップ閉鎖具はキャビティ内に嵌合するように構成されており、キャップ閉鎖具は、基部表面に接触し且つスロット内にゲルを保持するように構成されている表面を備える。本開示の態様では、キャップ閉鎖具は、スロット内のゲルが見えるように構成される材料で形成されており、材料は、透明材料及び半透明材料の一方を含む。本開示の態様では、キャップ閉鎖具は、スロット内のゲルと周囲空気との間に空気通路を提供するように構成されている通気部を備える。本開示の態様では、封止材は、キャップ上に配設され通気部を覆っている取り外し可能なカバーを含む。本開示の態様では、封止材は、キャップを収容した真空封止された包材を含む。本開示の態様では、1つ又は複数の時間指標は、言語による記載、数字、及び記号のうちの1つを含み、各時間指標は、特定の使用期間を指示する。
【0057】
本開示の態様では、IVセットは、IV管材と、IV管材に結合されたIV構成要素と、IV構成要素に結合されたIV使い捨て時間指示デバイスと、を備え、IV使い捨て時間指示デバイスは、IV構成要素に結合されるように構成されているキャップであって、基部表面を有するキャビティと、基部表面に配設されているスロットと、スロット内に配設されているある体積のゲルであって、周囲空気への曝露により活性化されると所定の時間率で蒸発するように構成されている、ゲルと、1つ又は複数の時間指標と、を備えるキャップと、ゲルと周囲空気の接触を防止するように構成されている封止材と、を備え、ゲルの蒸発は、活性化後の時間経過の視覚的指示を与えるように構成されている。本開示の態様では、IV構成要素は、ねじ山付きニードルレス・コネクタであり、キャップはねじ山とキャップの内側表面上に配設されている消毒物質とを備え、キャップは、キャップがニードルレス・コネクタ上にねじ留めされるときにニードルレス・コネクタの接続表面を滅菌するように構成されている。
【0058】
本開示によるいくつかの実施の形態では、IV使い捨て時間指示デバイスを操作する方法は、IV輸液プロセスに使用するためにIV構成要素を設置することと、IV構成要素に結合されているIV使い捨て時間指示デバイスから封止材を取り外すことと、IV使い捨て時間指示デバイス内のゲルを周囲空気に曝露することと、ゲルと隣り合うように配設されている1つ又は複数の時間指標マーキングに対するゲルのレベルを視覚的に確認することと、確認されたゲルのレベルに最も近い時間指標マーキングに基づいてIV構成要素の残りの使用寿命を判定することと、を含む。
【0059】
本開示の態様では、IV構成要素はねじ山付きニードルレス・コネクタであり、IV使い捨て時間指示デバイスはねじ山付きニードルレス・コネクタ上にねじ留めされるねじ山付きキャップであり、ねじ山付きキャップは、基部表面を有するキャビティと、基部表面に配設されているスロットと、キャビティ内にあるキャップ閉鎖具であって、基部表面を覆う表面及びスロットと周囲空気との間の空気通路を提供する通気部を含む、キャップ閉鎖具と、を備え、ゲルは、スロット内に配設されており、シールを取り外すと所定の時間率で蒸発する。
【0060】
開示されるプロセスの方法におけるブロックのどの特定の順序又は階層性も、例示の手法を説明するものであることが理解される。設計又は実装の選好に基づいて、プロセスにおけるブロックの特定の順序若しくは階層性を構成し直してもよいこと、又は説明される全てのブロックを実行してもよいことが理解される。いくつかの実装形態では、ブロックのうちの任意のものを同時に実行してもよい。
【0061】
本開示は、どのような当業者でも本明細書に記載する様々な態様を実施できるように提供される。本開示は主題の技術の様々な例を提供し、主題の技術はこれらの例に限定されない。これらの態様の様々な修正が当業者には容易に明らかになり、本明細書で規定される一般的原理は他の態様に適用され得る。
【0062】
単数形の要素への言及は、明示的にそうであると述べられていない限りは「ただ1つ(one and only one)」を意味するようには意図されておらず、むしろ「1つ又は複数(one or more)」を意味するように意図されている。特に断りのない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1つ又は複数を指す。男性の代名詞(例えば、彼の(his))には、女性及び中性の代名詞(例えば、彼女の(her)及びその(its))が含まれ、その逆も成り立つ。見出し及び副見出しが存在する場合、それらは便利のためだけに使用されており、本発明を限定しない。
【0063】
「例示的な」という単語は本明細書では、「例又は例示として機能する」という意味で使用される。本明細書で「例示的」であるとして記載されるいかなる態様又は設計も、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましいか又は有利であると解釈されるべきではない。一態様では、本明細書に記載されている様々な代替の構成及び動作は少なくとも同等であると見なされ得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「又は」によって各々が分けられる一連のアイテムの前に付く、「~のうちの少なくとも1つ」という句は、リストの各アイテムではなく、そのリスト全体を修飾する。「~のうちの少なくとも1つ」という句は少なくとも1つのアイテムを選択することを要求しない。むしろこの句では、アイテムのうちの任意の1つのうちの少なくとも1つ、及び/又はアイテムの任意の組合せのうちの少なくとも1つ、及び/又はアイテムの各々の少なくとも1つを含む意味が可能になる。例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、又はA、B、及びCの任意の組合せを指し得る。
【0065】
「態様(aspect)」のような句は、かかる態様が主題の技術にとって不可欠であること、又は、かかる態様が主題の技術の全ての構成に当てはまることを示唆するものではない。ある態様に関連する開示は、全ての構成に当てはまり得るか、又は1つ若しくは複数の構成に当てはまり得る。1つの態様は1つ又は複数の例を提供し得る。1つの態様のような句は1つ又は複数の態様を指す場合があり、その逆も成り立つ。「実施の形態(embodiment)」のような句は、かかる実施の形態が主題の技術にとって不可欠であること、又は、かかる実施の形態が主題の技術の全ての構成に当てはまることを示唆するものではない。ある実施の形態に関連する開示は、全ての実施の形態に当てはまり得るか、又は1つ若しくは複数の実施の形態に当てはまり得る。1つの実施の形態は1つ又は複数の例を提供し得る。1つの実施の形態のような句は1つ又は複数の実施の形態を指す場合があり、その逆も成り立つ。「構成(configuration)」のような句は、かかる構成が主題の技術にとって不可欠であること、又は、かかる構成が主題の技術の全ての構成に当てはまることを示唆するものではない。ある構成に関連する開示は、全ての構成に当てはまり得るか、又は1つ若しくは複数の構成に当てはまり得る。1つの構成は1つ又は複数の例を提供し得る。1つの構成のような句は1つ又は複数の構成を指す場合があり、その逆も成り立つ。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「determine(決定する、判定する)」又は「determining(決定する、判定する)」は、多種多様な行為を包含する。例えば、「決定する」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、計算すること、演算すること、処理すること、導出すること、生成すること、取得すること、調べること(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造を調べること)、確認すること、などを含み得る。また「決定する」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)、などを含み得る。「決定する」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、解決すること、選択すること(selecting)、選ぶこと(choosing)、確立すること、などを含み得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「provide(提供する)」又は「providing(提供する)」は、多種多様な行為を包含する。例えば、「提供する」は、後から検索できるようにストレージ・デバイスの場所に値を記憶すること、少なくとも1つの有線又は無線通信媒体を介して受信者に値を直接送信すること、値への参照を送信又は記憶すること、などを含み得る。「提供する」は、ハードウェア要素を介した、符号化、復号化(decoding)、暗号化、復号化(decrypting)、認証、検証、挿入、なども含み得る。
【0068】
一態様では、別途記載のない限り、本明細書に明記されている全ての測定値、値、定格、位置、大きさ、サイズ、及び他の諸元は、続く特許請求の範囲の中のものを含め近似的なものであり、厳密なものではない。一態様では、それらは、それらが関連している機能と、及びそれらが関係している技術において通例であるものと整合する、妥当な範囲を有することが意図されている。
【0069】
開示されるステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層性は、例示的な手法を説明するものであることが理解される。設計の選好に基づいて、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層性を構成し直してもよいことが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつかを同時に行ってもよい。ステップ、動作、又はプロセスの一部又は全部が、使用者の介入なしに自動的に実行されてもよい。存在している場合、添付の方法の請求項は、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を例としての順序で提示しており、この提示される特定の順序又は階層性に限定されることは意図されていない。
【0070】
当業者に知られているか又は将来知られることになる、本開示の全体にわたって記載されている様々な態様の要素のあらゆる構造的及び機能的等価物が、本明細書に参照によって明示的に組み込まれており、それらは特許請求の範囲に包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されている内容は、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、決して公衆への開放を意図するものではない。どの請求項の要素も、その要素が「~のための手段(means for)」という句を使用して明示的に記述されていない、又は方法の請求項の場合にはその要素が「~のためのステップ(step for)」という句を使用して記述されていない限りは、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。またさらに、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が使用される範囲において、そのような用語は、「備える(comprise)」という用語を請求項で移行句として用いるときに解釈される場合の「備える」と同様、包括的であることが意図されている。
【0071】
本開示の「発明の名称」、「背景技術」、「発明の概要」、「図面の簡単な説明」、及び「要約書」は本明細書において本開示に組み込まれているが、それらは制限的な記載としてではなく、本開示の例示的な例として提供されている。本明細書は、それらが特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するように使用されるものではないとの理解のもとで提示される。さらに、「発明を実施するための形態」において、その説明が例示的な例を提供し、本開示を合理化する目的で様々な特徴が様々な実施の形態において1つにまとめられていることが理解できる。この開示方法は、特許請求される主題が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、続く特許請求の範囲に反映されているように、発明の主題は、開示される単一の構成又は動作の、全ては満たさない特徴で成り立つ。以下の特許請求の範囲は本明細書において「発明を実施するための形態」に組み込まれており、各請求項は個別に特許請求される主題としてそれ自体で成立している。
【0072】
特許請求の範囲は本明細書に記載する態様に限定されることは意図されておらず、言語による請求項と矛盾しない全範囲を認められるものであり、全ての法的な等価物を包含するものである。それでもなお、どの請求項も米国特許法第101条、102条、又は103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、またどの請求項もそのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】