(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】分離器装置のロータ
(51)【国際特許分類】
B04B 5/12 20060101AFI20241031BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20241031BHJP
B01D 45/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B04B5/12
B04B11/02
B01D45/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531127
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 GB2022052956
(87)【国際公開番号】W WO2023094804
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】オニール マーク リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ストーンズ イアン ディヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベンゼバル イアン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】グレイ フレーザー
【テーマコード(参考)】
4D031
4D057
【Fターム(参考)】
4D031AC06
4D031BA06
4D031BA10
4D057AA09
4D057AA10
4D057AB00
4D057AC01
4D057AC06
4D057AD01
4D057AE18
4D057BC05
4D057BC11
(57)【要約】
本発明は、分離器装置のためのロータに関する。ロータは回転軸を有し、排出ストリームを受け入れるように動作可能な入口と、排出ストリームを分離するように動作可能な遠心分離器を画定する環状スカートとを備え、遠心分離器は、第1の方向にガス出口を有し、第2の方向に廃棄物出口を有する。環状スカートの表面は、ロータの回転軸に向かって角度が付けられており、ロータの回転時に、排出ストリーム中の非ガス状物質が、上記表面との接触によって廃棄物出口に向かって付勢されるようになっている。また、本発明は、このようなロータを含む分離器装置、排出ストリームを処理する方法、及びロータを設計する方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離器装置のためのロータであって、前記ロータは回転軸を有し、さらに、
排出ストリームを受け入れるように動作可能な入口と、
前記排出ストリームを分離するように動作可能な遠心分離器を画定する環状スカートであって、前記遠心分離器が、第1の方向にガス出口を有し、第2の方向に廃棄物出口を有する、環状スカートと、
を備え、
前記環状スカートの表面は、前記ロータの回転軸に向かって角度が付けられており、前記ロータの回転時に、前記排出ストリーム中の非ガス状物質が、前記表面との接触によって前記廃棄物出口に向かって付勢されるようになっている、ロータ。
【請求項2】
前記ガス出口は、前記環状スカート内に延びる1又は2以上の導管を備え、前記導管を画定する壁が、前記表面を提供する、及び/又は、前記環状スカートの概して半径方向内向きの壁が前記表面を提供する、及び/又は、前記環状スカートの概して半径方向外向きの壁が前記表面を提供する、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記ロータは、前記スカートによって結合されたベースプレート及び対向するルーフプレートによって画定された略円筒形のチャンバを備える、請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
前記入口は、前記ベースプレート又は前記対向ルーフプレート、好ましくは前記対向ルーフプレートの中心に位置する、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータは、前記入口から前記遠心分離器に前記排出ストリームを運ぶように作動可能な1又は2以上の半径方向に延びるベーンを備える、請求項1から4のいずれかに記載のロータ。
【請求項6】
前記回転軸に向かって角度が付けられた前記表面の少なくとも一部は、前記回転軸に対して約0.1°から約45°、好ましくは約1°から約20°、より好ましくは約5°から約15°、例えば10°の角度をなしている、請求項1から5のいずれかに記載のロータ。
【請求項7】
前記導管を画定する壁が、前記表面を提供し、前記導管は、前記ロータの回転軸に実質的に平行な壁を有する第1の部分をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のロータ。
【請求項8】
前記環状スカートは、第1の方向において前記対向ルーフプレートを越えて延びている、請求項3から7のいずれかに記載のロータ。
【請求項9】
前記ガス出口及び前記廃棄物出口は、実質的に反対方向にあり、好ましくは、前記廃棄物出口は、前記環状スカート又は前記ベースプレート内の複数のポートを含む、請求項3から8のいずれかに記載のロータ。
【請求項10】
作動時、前記ロータの構成要素は、互いに対して実質的に固定されたままである、請求項1から9のいずれかに記載のロータ。
【請求項11】
前記入口は、前記排出ストリームに水を導入するように動作可能な堰を備える、請求項1から10のいずれかに記載のロータ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のロータを備える分離器装置。
【請求項13】
前記ロータを実質的に取り囲むチャンバを画定するステータと、
前記ロータが配置され、前記ステータに対して回転するように構成されたロータシャフトと、
前記廃棄物ポートから及び/又は前記ロータと前記ステータとの間の隙間から非ガス状物質を集めるように構成されたサンプと、
前記ガス出口からガスを放出するように構成された前記チャンバ内の出口ポートと、
好ましくは、前記サンプから液体を運んで前記排出ストリームと混合させるように動作可能な液体再循環システムと、
をさらに備える、請求項12に記載の分離器装置。
【請求項14】
排出ストリームを処理する方法であって、
請求項1から11のいずれかに記載のロータ、又は請求項12又は13に記載の分離器を提供するステップと、
前記ロータを回転させるステップと、
ガス及び粒子を含む排出ストリームを、前記ロータの前記入口を通して導くステップと、
少なくとも一部の粒子が前記表面に接触し、前記廃棄物出口に向かって付勢されるように、前記遠心分離器を通して前記排出ストリームを運ぶステップと、
前記ガス出口を通してガスを放出し、前記廃棄物出口を通して前記粒子の少なくとも一部を導くステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1から11のいずれかに記載のロータを設計する方法であって、少なくともいくつかの粒子を前記排出ストリームのガスから分離するために必要である、
前記表面の角度及び配置を決定するステップ、及び/又は
前記ガス出口の数を決定するステップ、及び/又は
前記廃棄物出口の数を決定するステップ、及び/又は
作動時の前記ロータの回転速度を決定するステップ、及び/又は
前記ベーンの数及び配置を決定するステップ、及び/又は
前記ガス出口のアスペクト比を決定するステップ、
含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離器装置のためのロータ、分離器装置、排出ストリームの処理方法、及び分離器装置のためのロータの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分離器装置が知られている。このような装置は、流体中に粒子を含む排出ストリームを処理するために使用される。
【0003】
従来の分離器装置は、排出ストリームの処理を提供するが、改良された分離器装置に対する継続的なニーズがある。特に、排出ストリームのガス状物質と非ガス状物質の分離効率を向上させることが望まれている。排出ストリームの非ガス状物質は粒子を含む場合があり、分離器装置によってガス状物質から分離する必要がある。粒子は、分離器装置が接続されているプロセス装置によって生成される場合がある。粒子は、例えば、シリカ及び/又は金属酸化物とすることができる。好ましくは、分離器装置は、ガス状物質を粒子から分離することができ、ガス状物質がガス出口から排出され、粒子が廃棄物出口から排出されるようになっている。ガス出口を通って分離器から排出される粒子を最小限にすることが望ましい。
【0004】
また、排出ストリームは、分離器装置によってガス状物質から分離する必要がある液体、例えば水を含む場合もある。望ましくは、液体は、粒子と混合されて廃棄物出口を通って導かれる。従来の分離器装置では、本発明者らは、多くの場合、水がガス出口を通って排出され、分離器装置の排気口を通って出ることを見出しているが、これは望ましくない。
【0005】
さらに、本発明者らは、ガス出口から排出された液体が、分離器装置のロータとステータとの間に捕捉される場合があることを見出している。これは、ロータの回転に抗力をもたらす可能性がある。追加の抗力は、ロータを動作RPMで回転させるのに必要な動力を増加させる可能性があるため、分離器装置の動作にとって有害である。
【0006】
従来の分離器装置は、一般に大型であり、大きな設置面積を有するが、これは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の分離器装置に関連するこれら及び他の問題を少なくとも部分的に解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、分離器装置のためのロータを提供する。ロータは回転軸を有する。ロータは、排出ストリームを受け入れるように動作可能な入口を備える。また、ロータは、排出ストリームを分離するように動作可能な遠心分離器を画定する環状スカートを備え、遠心分離器は、第1の方向にガス出口を有し、第2の方向に廃棄物出口を有する。環状スカートの表面は、ロータの回転軸に向かって角度が付けられており、ロータの回転時に、排出ストリーム中の非ガス状物質が、上記表面との接触によって廃棄物出口に向かって付勢されるようになっている。
【0009】
本発明によるロータを備える分離器装置の作動時、ロータはステータに対して回転するように構成することができる。ロータは、使用時、ロータシャフト上に配置することができる。ロータシャフトは、ロータに回転駆動を与えて回転させることができる。作動時、ロータは、例えば30から75ヘルツの速度で回転することができる。
【0010】
ロータの回転軸は、作動時、ロータが回転するように構成された軸とすることができる。好ましくは、回転軸に沿って見たとき、回転軸はロータの重心を通過することができる。典型的には、回転軸は、使用時、実質的に垂直方向とすることができる。好ましくは、使用時に分離器装置のロータシャフト上に取り付けられた場合、回転軸は、ロータシャフトの中心軸及び回転軸と同軸とすることができる。
【0011】
入口は、作動時に分離器装置が接続されるプロセス装置の出口に流体的に結合することができる。プロセス装置は、例えば、窒素中のシランの混合物などのプロセスストリームを処理する除害システム内のサブシステムとすることができる。典型的には、分離器装置は、例えばガス燃焼器などの、除害システムのエネルギーセクションのすぐ下流に接続することができる。排出ストリームは、プロセス装置からの排出ストリームとすることができる。
【0012】
入口は、排出ストリームを遠心分離器に運ぶように構成することができる。排出ストリームは、ガス状物質及び非ガス状物質を含むことができる。分離器装置は、排出ストリームの非ガス状物質からガス状物質を分離するように構成することができる。ガス状物質は、例えば、燃焼生成物、プロセス希釈窒素、及び潜在的な酸性ガス生成物の混合物を含むことができる。非ガス状物質は、粒子状物質を含むことができる。さらに、非ガス状物質は、水、及び/又は他の液体を含むことができる。
【0013】
好ましくは、環状スカートは、ロータの回転軸と同軸の中心軸を有することができる。環状スカートは、入口の半径方向外向きに配置することができる。本発明の目的のために、半径方向及び位置への言及は、ロータの回転軸に対して行われる。作動時、排出ストリームは、少なくとも部分的に、遠心力によって環状スカートに送ることができる。
【0014】
遠心分離器は、排出ストリームのガス状物質及び非ガス状物質の少なくとも一部を分離するように配置することができる。好ましくは、遠心分離器は、排出ストリームの非ガス状物質の少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%が、廃棄物出口を通って遠心分離器から出るのを保証するように構成することができる。
【0015】
ガス出口は、使用時に、物質を第1の方向に運ぶように構成することができ、好ましくは、第1の方向は、ロータの回転軸に略平行であるか又はロータの回転軸に向かって角度が付けられている。廃棄物出口は、使用時に、物質を第2の方向に運ぶように構成することができ、好ましくは、第2の方向は、第1の方向とは異なる。より好ましくは、第2の方向は、第1の方向と実質的に反対である。好ましい例では、ロータが分離器装置内に配置されかつ作動時に、第1の方向は概して垂直方向上向きとすること及び第2の方向は概して垂直方向下向きとすることができる。本発明の目的のために、概して垂直方向とは、垂直方向から約20°以内、好ましくは約10°以内、より好ましくは約5°以内とすることができる。有利には、このことは、廃棄物出口の動作時、密度の高い非ガス状物質が廃棄物出口に向かって付勢されるので、排出ストリームの遠心分離を重力作用によって助けることができる。密度の低いガス状物質はガス出口から流出することができる。
【0016】
典型的には、使用時、ガス出口は概して垂直方向に整列することができる。好ましくは、使用時、廃棄物出口は概して垂直方向に整列することができる。
【0017】
表面は、ロータの回転軸に向かって角度が付けられている。使用時にロータが回転すると、遠心力は非ガス物質に付与され、非ガス物質を第2の方向に付勢することができる。回転時に粒子にかかる遠心力の計算式は、
であり、m=粒子の質量(kg)、v=接線速度(ms-1)、r=回転半径(m)である。従って、求心力(centripetal force)は半径と反比例の関係を有するので、表面と接触する非ガス物質は、より大きな半径を有する表面の部分、すなわち第2の方向に付勢される。
【0018】
好ましくは、表面は、ロータの回転軸に向かって角度を付けることができるので、表面の第1の部分は、表面の第2の部分よりも、ロータの回転軸からの小さな半径方向距離を有することができる。従って、表面と接触している非ガス状物質に付勢のための遠心力を付与して、非ガス状物質をロータの回転軸からの大きな半径方向距離を有する表面部分に向かって運ぶことができる。
【0019】
有利には、本発明によるロータは、非ガス状物質が角度付きの表面によって廃棄物出口に向かって付勢されるので、排出ストリームの分離を改善することができる。これにより、清浄、乾性ガス(すなわち、非ガス状物質を実質的に含まない)をガス出口から流すことができる。さらに、ガス出口を通ってロータから流出する非ガス状物質の事例(instance)を低減することができる。
【0020】
典型的には、ガス出口は、環状スカート内に延びる1又は2以上の導管を備えることができる。導管は、概して第1の方向に延びることができる。導管を画定する壁は、表面を提供することができる。好ましくは、少なくとも1つの導管を画定する壁の少なくとも一部は、ロータの回転軸に向かって角度を付けることができる。好ましくは、各導管を画定する壁は、表面を提供することができる。
【0021】
約1から約300の導管、例えば120の導管が存在することができる。導管の数は、対象とする装置の具体的な排出ストリームの処理要件に応じて選択することができる。導管は、環状スカートの周りにほぼ均等に間隔を置いて配置することができる。好ましくは、導管は、環状スカートの周りに均等に間隔を置いて配置することができる。
【0022】
ロータの回転時、表面を提供する導管の壁は、排出ストリームがそこを通って運ばれる際に、非ガス状物質を取り込み、それをガス状物質から分離するように構成することができる。非ガス状物質は、表面に衝突し、廃棄物出口に向かって遠心力を受けることになる。各導管は、排出ストリームを受け入れるための導管入口と、ガス出口とすることができる導管出口とを含むことができる。導管入口は、廃棄物出口に流体連通することができる。
【0023】
有利には、表面を提供する導管を画定する壁(複数可)は、排出ストリームの非ガス状物質とガス状物質の分離を改善することができる。
【0024】
追加的に又は代替的に、環状スカートの概して半径方向内向きの壁は、表面を提供することができる。有利には、使用時、ロータの回転は、前記表面に接触する非ガス状物質に遠心付勢力をもたらすことができる。これは、非ガス状物質を付勢して廃棄物出口に向かって排出されるようにすることができる。
【0025】
追加的に又は代替的に、環状スカートの概して半径方向外向きの壁は、表面を提供することができる。使用時、概して半径方向外向きの壁は、分離器装置のステータに隣接することができ、その間に隙間がある。
【0026】
従来の分離器装置では、ロータの概して半径方向外向きの壁とステータの概して半径方向内向きの壁は平行である。ロータ及びステータは、通常、非ガス状物質が隙間を通過してサンプに向かって流れることができるように配置されることになる。しかしながら、ロータ及びステータの両方に接触してこの隙間を通過する非ガス状物質は、ロータの回転に対して不要な抵抗を与える可能性がある。特に、ロータとステータとの間の液体は、摩擦を増大させ、ロータの回転に対して抵抗となる可能性がある。
【0027】
本発明の実施形態では、環状スカートの概して半径方向外向きの壁は、表面を提供し、ロータの回転軸に向かって角度を付けることができる。これは、非ガス状物質を、回転軸からのより大きな半径方向距離を有する表面部分に向かって、従って分離器装置のサンプに向かって送り込むための付勢力を提供することができる。
【0028】
有利には、そのような実施形態は、廃棄物出口を出て、環状スカートの概して半径方向外向きの壁と接触するように移動した非ガス状物質を、回転軸からのより大きな半径方向距離を有する表面の部分に向かって、及びそこから分離器装置のサンプに向かって付勢することができる。これにより、上記非ガス状物質が表面に残る及び/又は分離器装置のサンプから離れる可能性を低減することができる。
【0029】
誤解を避けるために、好ましい実施形態では、少なくとも1つの導管を画定する壁(複数可)の少なくとも一部、及び環状スカートの概して半径方向内側に面する壁、及び環状スカートの概して半径方向外側に面する壁の各々は、表面(複数可)を提供することができる。このような実施形態は、本明細書で上述した利点の全てを提供することができる。
【0030】
好ましくは、環状スカートの概して半径方向外向きの壁とステータの概して半径方向内向きの壁とは平行でない場合がある。代わりに、それぞれの表面の間は鋭角とすることができる。これにより、非ガス状物質がロータとステータの両方に同時に接触する可能性を低減することができる。有利には、これにより、使用時のロータとステータとの間の摩擦が低減され、本発明によるロータを備える分離器装置を運転するのに必要な動力を低減することができる。
【0031】
好ましくは、導管(複数可)を画定する壁(複数可)、環状スカートの概して半径方向内向きの壁、及び環状スカートの概して半径方向外向きの壁は、ロータの回転軸に向かって角度を付けることができる。
【0032】
典型的には、回転軸に向かって角度が付けられた表面の少なくとも一部は、回転軸に対して約0.1°から約45°、好ましくは約1°から約20°、より好ましくは約5°から約15°、例えば10°の角度をなす。
【0033】
典型的には、ロータは、環状スカートによって結合されたベースプレートと対向ルーフプレートとによって画定された略円筒形のチャンバを備えることができる。好ましくは、環状スカートは、ベースプレート及び対向ルーフプレートを、それぞれの半径方向最外点の周りで結合することができる。
【0034】
ベースプレートと対向ルーフプレートとの間の距離は、これらのプレートの直径よりも小さくすること、好ましくはこれらのプレートの直径よりもかなり小さくすることができる。これは、特にコンパクトな配置を有利に提供することができる。例えば、プレートの直径とプレート間の距離の比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは少なくとも10:1とすることができる。好ましくは、ベースプレート及び対向ルーフプレートは、実質的に平行とすることができる。
【0035】
導管(複数可)は、略円筒形のチャンバに流体連通することができる。導管は、ガス出口を提供することができる。使用時、排出ストリームは、略円筒形のチャンバを通って環状スカートまで運ぶことができる。環状スカートは、略円筒形のチャンバの半径方向最外壁を画定することができる。
【0036】
入口は、ベースプレート又は対向ルーフプレートの中心に、好ましくは対向ルーフプレートの中心に位置することができる。中央に位置するとは、入口がロータの回転軸と整列することを意味する場合がある。入口をベースプレート又は対向ルーフプレート内の中心に設けることは、排出ストリームが入口とガス流出口及び廃棄物流出口との間で半径方向外向きに運ばれるので、排出ストリームの遠心分離を最大限にするのを助ける。さらに、この配置は、分離器装置への複雑な供給の必要性を回避することができる。入口は、処理装置の出口に接続することができ、そこから排出ストリームが流れることができる。
【0037】
廃棄物出口は、ベースプレート又は対向プレートに、好ましくはベースプレートに配置することができる。廃棄物出口は、ロータから遠心分離器のサンプに非ガス状物質を排出するように動作可能とすることができる。典型的には、廃棄物出口は、ベースプレート及び/又は環状リムに設けられた1又は2以上の穴を備えることができる。好ましくは、廃棄物出口は、ベースプレート及び/又は環状リムに少なくとも2、4、6、8、又は10以上の穴を備えることができる。
【0038】
典型的には、ロータは、入口から遠心分離器まで排出ストリームを運ぶように動作可能な1又は2以上の半径方向に延びるベーンを備えることができる。好ましくは、ベーンは入口から環状スカートに向かって延びることができる。好ましくは、約2から約12のベーン、例えば6のベーンがある。ベーン(複数可)の高さ及び/又は幅は、環状スカートに向かってテーパー付けすることができる。有利には、環状スカートに向かうベーンのこのようなテーパー付けは、使用時に、環状スカートの近傍における排出ストリームの乱流を低減することができ、これは、ガス状物質と非ガス状物質との分離を助けることができる。
【0039】
ベーン(複数可)は、ベースプレート及び/又は対向プレートに、好ましくはベースプレートに直接結合することができる。より好ましくは、ベーン(複数可)は、単一の一体構成要素としてベースプレート及び/又は対向プレートと一体的に形成することができる。
【0040】
ベーン(複数可)は、ベーンによって加速された排出ストリームが分離前に受け入れられる容積を規定するために、環状スカートの前で終端することができる。従って、排出ストリームは、ベーンの端部及び環状スカートによって画定される容積内に受け入れることができる。非ガス状物質をベーンの表面上に保持し、そこから廃棄物出口に向かわせることができるので、ベーン(複数可)は、排出ストリームのガス状物質と非ガス状物質の分離をさらに助けることができる。
【0041】
廃棄物出口を画定する1又は2以上の穴は、環状スカート及び/又はベーンの端部の少なくとも1つに近接して配置することができる。有利には、これにより、ロータからの非ガス状物質の排出を助けることができる。
【0042】
典型的には、導管を画定する壁は、表面を提供することができ、導管は、ロータの回転軸に実質的に平行な壁を有する第1の部分をさらに備える。好ましくは、導管を画定する壁のうち表面を提供する部分は、ガス出口にあるか又はそれに隣接している。
【0043】
典型的には、環状スカートは、第1の方向において対向ルーフプレートを越えて延びることができる。環状スカートの概して半径方向内向きの表面は、第1の方向において対向ルーフプレートを越えて延びることができる。有利には、対向ルーフプレート及び環状スカートは、リップを提供することができ、これによりガス出口を通ってロータから出た非ガス状物質を集めることができる。典型的には、対向ルーフプレートは、1又は2以上の穴を備えることができ、それによって、当該非ガス状物質は、対向ルーフプレートを通過して略円筒形のチャンバ内に入り、その後、廃棄物出口から出ることができる。好ましくは、穴の数及び/又は位置は、廃棄物穴のものと合致することができる。好ましくは、環状スカートは、少なくともベースプレートと対向ルーフプレートとの間の距離だけ第1の方向において対向ルーフプレートを越えて延びることができる。
【0044】
典型的には、ガス出口及び廃棄物出口は、使用時、物質を実質的に反対方向に運ぶように構成されている。
【0045】
典型的には、使用時、廃棄物出口は、ロータが分離器装置内に配置される場合、概して垂直方向に整列するように、及び/又はガス出口の下方に位置するように配置することができる。有利には、これにより、排出ストリームからのガス状物質及び非ガス状物質の分離を改善することができる。このような構成では、重力が、排出ストリームからのガス状物質及び非ガス状物質の分離を助けることができる。
【0046】
好ましくは、廃棄物出口は、環状スカート又はベースプレート内の複数のポートを含む。廃棄物出口は、環状スカート又はベースプレート内の約1から約50のポート、好ましくは約2から20のポート、より好ましくは約2から約10のポートを含むことができる。ポートは、環状スカート又はベースプレートの周りにほぼ均等に間隔を置いて配置することができる。好ましくは、複数のポートは、環状スカート又はベースプレートの周りに円形配置で間隔を置いて配置することができる。
【0047】
作動時、ロータの構成要素は、互いに対して実質的に固定されたままとすることができる。ロータは、単一の単体構造の構成要素を備えることができる。あるいは、ロータは、2以上の部品で構成することができ、各部品は結合され、使用時、ロータの構成要素は、互いに対して実質的に固定されたままとなるようになっている。有利には、作動時、ロータ全体は、単一構成要素として回転することができる。これは、分離器装置の全体的な設計を単純化することができ、相対運動する構成要素が少なくなる。加えて、これは、ロータの公差累積を低減することができる、構成要素の間の狭い隙間を可能にすることができる。
【0048】
典型的には、入口は、液体、例えば水を上記排出ストリームに導入するように動作可能な堰を備えることができる。堰は、ロータへの入口に隣接することができ、ロータに流入する排出ストリームを取り囲んで液体と混合させることができる。有利には、排出ストリーム内に水が存在することで、排出ストリームのガス状物質と非ガス状物質の分離を促進することができる。水は、遠心分離器による分離のために粒子を捕捉することができる。好ましくは、本明細書で定義される非ガス状物質は、水と粒子の混合物を含むことができる。
【0049】
さらなる態様において、本発明は、上記態様の何らかの実施形態によるロータを備える分離器装置を提供する。
【0050】
典型的には、分離器装置は、ロータを実質的に取り囲むチャンバを画定するステータをさらに備えることができる。好ましくは、ステータは、ロータを実質的に取り囲む略円筒形のチャンバを画定することができる。
【0051】
典型的には、分離器装置は、ロータが配置され、ステータに対して回転するように構成されたロータシャフトをさらに備えることができる。分離器装置は、ロータシャフトに結合され、作動時にロータシャフト及びロータを回転させるように構成された、駆動機構をさらに備えることができる。駆動機構は、モータを備えることができる。
【0052】
典型的には、分離器装置は、廃棄物ポートから及び/又はロータとステータとの間の隙間から非ガス状物質を集めるように構成されたサンプをさらに備えることができる。好ましくは、サンプは、分離器装置の作動時、廃棄物出口の下方に配置することができる。好ましくは、ロータとステータとの間の半径方向隙間は、非ガス状物質の通過を許容するが、サンプからロータの上方の領域への非ガス状物質の逆流を実質的に防止するほど小さい。
【0053】
典型的には、分離器装置は、ガス出口からガスを放出するように構成されたチャンバ内の出口ポートをさらに備えることができる。好ましくは、出口ポートは、分離器装置の作動時、ロータの上側に配置することができる。有利には、このような配置は、出口ポートを通って出る非ガス状物質の事例を低減することができる。
【0054】
好ましくは、分離器装置は、サンプから液体を運んで排出ストリームと混合させるように動作可能な液体再循環システムを備えることができる。液体再循環システム装置は、液体を堰に供給するように構成することができる。好ましくは、サンプ内の液体(例えば水)は、液体再循環システムによって堰に再循環させることができる。有利には、これによりシステムによる廃液を低減することができる。
【0055】
好ましくは、駆動機構は、液体再循環システムの駆動を行うこともできる。有利には、これにより、ロータの回転と水の循環を、単一の駆動機構、例えば単一のモータで駆動することができる。これにより、分離器装置の複雑さ及び電力要件を低減することができる。
【0056】
さらなる態様において、本発明は、排出ストリームを処理する方法を提供する。この方法は、以下のステップ、すなわち、
a)上記態様又は実施形態のいずれかによるロータ、又は上記態様又は実施形態のいずれかによる分離器装置を提供するステップと、
b)ロータを回転させるステップと、
c)ガス及び粒子を含む排出ストリームをロータの入口を通して導くステップと、
d)少なくとも一部の粒子が表面に接触し、廃棄物出口に向かって付勢されるように、遠心分離器を通して排出ストリームを運ぶステップと、
e)ガス出口を通してガスを排出し、廃棄物出口を通して粒子の少なくとも一部を導くステップと、
を含む。
【0057】
有利には、本発明による方法は、非ガス状物質(すなわち粒子)を廃棄物出口に向かって付勢することができので、排出ストリームの分離を改善することができる。さらに、ロータの回転は、排出ストリームの何らかのポンピングをもたらすことができる。これは、ポンピング装置及び/又は除害装置の圧力と大気圧との間の移行を容易にすることができる。
【0058】
本方法は、遠心分離器を通して運ぶ前に、排出ストリームと水を混合するステップをさらに含むことができる。このような混合は、本明細書で上述したように、堰によって排出ストリームに水を導入することによって生じる場合がある。有利には、排出ストリーム内に水が存在することにより、遠心分離器による水の中の粒子の分離及び捕捉を促進することができる。
【0059】
本方法は、廃棄物出口を通ってロータから出た水を再循環させるステップをさらに含むことができる。有利には、これによって装置による水の使用を低減することができる。本発明の目的上、水は何らかの水性流体を含むが、水が好ましく、特に水道水が好ましい。
【0060】
さらなる態様において、本発明は、何らかの上記態様又は実施形態によるロータを設計する方法を提供する。本方法は、排出ストリームのガスから少なくともいくつかの粒子を分離するために必要である、
表面の角度及び配置を決定するステップ、及び/又は
ガス出口の数を決定するステップ、及び/又は
廃棄物出口の数を決定するステップ、及び/又は
作動時のロータの回転速度を決定するステップ、及び/又は
ベーンの数及び配置を決定するステップ、及び/又は
ガス出口のアスペクト比を決定するステップ、
を含む。
【0061】
排出ストリームのガス状物質と非ガス状物質の分離の要件は、排出ストリームの組成に依存する場合がある。ロータを設計するためのこの多因子アプローチにより、ロータは、改善された排出ストリームからガス状物質と非ガス状物質の分離をもたらすことができる。
【0062】
好ましい実施形態において、表面の角度は約0.1°から約20°、例えば10°とすることができる。
【0063】
好ましい実施形態において、ガス出口の数は、約80から約150、例えば120とすることができる。
【0064】
好ましい実施形態では、廃棄物出口の数は、約3から約12、例えば6とすることができる。
【0065】
好ましい実施形態では、作動時のロータの回転速度は、約30Hzから約75Hz、例えば50Hzとすることができる。
【0066】
好ましい実施形態では、ベーンは約1から約10、例えば6とすることができる。
【0067】
好ましい実施形態では、ガス出口のアスペクト比は、約5:1から約15:1、例えば10:1とすることができる。
【0068】
誤解を避けるために、本明細書に記載された全ての態様及び実施形態は、相互に組み合わせることができる。
【0069】
以下、本発明の好ましい特徴は、例示的に添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の一実施形態によるロータの断面図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるロータによる排出ストリームの遠心分離の概略図である。
【
図3B】本発明の一実施形態によるロータの一部の断面図を示す。
【
図3C】本発明の一実施形態によるロータの一部の断面図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態によるロータのベースプレートの一実施形態を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による分離器装置の一実施形態を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による排出ストリームを処理する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、本発明の一実施形態によるロータ(1)の断面図である。ロータ(1)は、回転軸(A)を有する。使用時、回転軸(A)は、通常、概して垂直方向に整列している。
【0072】
ロータ(1)は、排出ストリームを受け入れるように動作可能な入口(2)を備える。ロータ(1)はさらに、ベースプレート(3)、対向するルーフプレート(4)、及び環状スカート(5)によって画定される略円筒形のチャンバを備える。環状スカート(5)は、ベースプレート(3)及び対向ルーフプレート(4)のそれぞれの半径方向最外部を接続する。ベースプレート(3)及び対向ルーフプレート(4)は略平行である。
【0073】
環状スカート(5)は、第1の方向(D1)にガス出口(7)を有し、第2の方向(D2)に廃棄物出口(8)を有する遠心分離器(6)を画定する。ガス出口(7)は、環状スカート(5)内に延びる複数の導管(9)によって画定される。破線は、それぞれ、遠心分離器(6)と導管(9)及び廃棄物出口(8)との間の交差点を示す。
【0074】
環状スカート(5)は、概して半径方向内向きの表面(10)と、概して半径方向外向きの表面(11)とを有する。
【0075】
導管(9)を画定する表面(12)は、ロータ(1)の回転軸(A)に対して角度が付けられており、ロータ(1)の回転時に、排出ストリーム中の非ガス状物質が、表面(12)との接触によって、廃棄物出口(8)に向かう第2の方向(D
2)に付勢されるようになっている。作動時にロータ(1)が回転すると、非ガス状物質に作用する遠心力は、回転軸(A)から最も遠い表面の領域、すなわち回転軸からの半径方向距離がより大きい領域に向かって非ガス状物質を付勢する。
図1に示すように、導管(9)を画定する表面(12)は、ロータ(1)の回転軸(A)に向かって角度が付けられており、第2の領域の回転軸(A)からの半径方向距離(R
2)よりも小さい回転軸(A)からの半径方向距離(R
1)を有する領域が存在するようになっている。
【0076】
使用時、非ガス状物質は、回転軸(A)からの大きな半径方向距離(R2)を有する領域に向かって付勢される。この領域は、廃棄物出口(8)の近位にあり、ガス出口(7)から遠位にある。従って、非ガス状物質は、廃棄物出口(7)に向かって付勢され、ガス出口(7)から離れる。ガス状物質は、ガス出口(7)を通って第1の方向(D1)に出ることができる。
【0077】
典型的には、使用時、第1の方向(D1)は、概して垂直方向に整列している。好ましくは、第1の方向(D1)は概して上向きである。典型的には、使用時、第2の方向(D2)は概して垂直方向に整列している。好ましくは、第2の方向(D2)は概して下向きである。
【0078】
概して半径方向内向きの面(10)は、ロータ(1)の回転軸(A)に向かって角度が付けられている。ローター(1)の回転時、排出ストリーム中の非ガス状物質は、対向ルーフプレート(4)のポート(図示せず)に向かって付勢される。ポートは、概して半径方向内向きの表面(10)と対向ルーフプレート(4)との間の交差点に配置されている。ポートは、概して半径方向内向きの面(10)及び/又は対向ルーフプレート(4)と接触している非ガス状物質が、対向ルーフプレート(4)を通過できるように構成されており、それにより、非ガス状物質は、廃棄物出口(8)を通ってロータ(1)から出ることができる。有利には、これにより、非意図的にガス出口(7)を通って逃げた非ガス状物質を除去することができる。
【0079】
ロータ(1)の回転時、概して半径方向内向きの表面(10)と接触している非ガス状物質(例えば水及び粒子)は、遠心力によって回転軸(A)から最も遠い表面の領域に向かって付勢される。従って、非ガス状物質は、対向ルーフプレート(4)のポートに向かって付勢され、それによって廃棄物出口(8)に向かって送られる。
【0080】
環状スカート(5)の概して半径方向外向きの面(11)は、ロータ(1)の回転軸(A)に向かって角度が付けられている。ロータ(1)の回転時、排出ストリーム中の非ガス状物質は、サンプ(図示せず)に向かって第2の方向(D2)に付勢される。概して半径方向外向きの表面(11)に接触する非ガス状物質、例えば水及び/又は粒子は、回転軸(A)から最も遠い表面(11)の領域に向かって付勢される。従って、非ガス状物質はサンプに向かって付勢される。
【0081】
導管(9)を画定する表面(12)、概して半径方向内向きの表面(12)、及び概して半径方向外向きの表面(11)は、約1°から約20°、好ましくは約10°の角度で回転軸(A)に向かって角度が付けられている。
【0082】
ロータ(1)は、半径方向に延びる複数のベーン(13)を備える。ベーン(13)は、入口(2)から遠心分離器(6)へ排出ストリームを運ぶように作動可能である。ベーン(13)はベースプレート(3)に直接結合されている。ベーン(13)は、
図4から分かるように、半径方向外向きに延びること、又は螺旋パターンを規定するように湾曲することができる。
【0083】
ロータ(1)は、取り付け部(15)をさらに備え、それにより、ロータ(1)は、使用時、分離器装置のロータシャフト(図示せず)に固定される。
【0084】
図2は、本発明の一実施形態による、ロータ(1)による排出ストリームの遠心分離の概略を示す。ロータ(1)は、
図1に示すものと同じであり、従って、同じ参照数字が使用され、特徴は再度説明されないものとする。
【0085】
作動時、ロータ(1)は回転軸(A)の周りで連続的に回転する。ガス、粒子、好ましくは液体(例えば水)を含む排出ストリームは、ロータ(1)の入口(2)を通して送られる。これは、矢印(EF1)で示されている。
【0086】
次に、排出ストリームは、ベーン(13)によってローター(1)の略円筒形のチャンバを通して運ばれる。これは、矢印(EF2)で示されている。
【0087】
次に、排出ストリームは分離され、矢印(G)で示すように、ガス状物質がガス出口(7)を通して放出されるようになっている。非ガス状物質(すなわち、水及び粒子)は、矢印(W)で示すように、廃棄物出口(8)を通して排出される。
【0088】
図3Aは、本発明の範囲に含まれないローター(16)の一部の断面図を示す。ロータ(16)はステータ(17)に隣接して配置されている。ステータ(17)の表面は、ロータ(16)の回転軸(B)と平行である。ロータ(16)は環状のスカート(18)を備える。破線は、入口(19)、略円筒形のチャンバ(20)、ガス出口(21)、廃棄物出口(22)を示す。
【0089】
環状スカート(18)及びガス出口(21)を画定する表面(23a、23b、23c、23d)は、それぞれ回転軸(B)及びステータ(17)の表面に平行であることが分かる。ロータ(16)が回転軸(B)の周りで回転している場合、表面(23a、23b、23c、23d)は、接触する非ガス状物質に対して遠心付勢力を全く又はほぼ与えない。従って、非ガス状物質は、廃棄物出口(22)を通って出る場合、又は不所望にガス出口(21)を通って出る可能性がある。
【0090】
さらに、半径方向外向きの表面(23a)は、ステータ(17)の表面と平行である。従って、表面(23a)の全長に沿って、表面とステータ(17)との間の隙間は同じである。これにより、粒子及び/又は水がその間に詰まり、ロータ(16)の回転に対する摩擦が増大する可能性が高くなる。
【0091】
図3Bは、本発明の一実施形態によるロータ(24)の一部の断面図である。この実施形態では、ロータ(24)の環状スカート(25)は、ロータ(24)の回転軸(C)に向かって角度が付けられている。さらに、ロータ(24)の環状スカート(25)は、ステータの表面から離れるように角度が付けられている。
【0092】
環状スカート(25)を画定する表面(26a、26b、26c、26d)の各々は、ロータ(24)の回転軸(C)に向かって角度が付けられている。従って、使用時、ロータ(24)が回転軸(C)の周りで回転している場合、表面(26a、26b、26c、26d)のいずれかと接触している非ガス状物質は遠心力を受け、この遠心力は、この物質を廃棄物出口(27)に向かって、ガス出口から離れるように付勢する。有利には、これにより、非ガス状物質がガス出口(28)を通ってロータ(24)から出る可能性を低減することができる。
【0093】
軸方向の長さの大部分に沿って、半径方向外向きの表面(26a)は、ステータの表面と平行ではない。これにより、粒子及び/又は水がその間に詰まり、ロータ(24)の回転に対する摩擦が増大する可能性を低減することができる。
【0094】
図3Cは、本発明の代替実施形態によるロータ(24)の一部の断面図である。特徴の多くは
図3Bで説明したものと同じであるため、同じ参照符号を使用する。
【0095】
ロータ(24)の環状スカート(25)は、表面(29a、29b、29c、29d)がロータ(24)の回転軸(C)に平行である第1の部分を備える。加えて、環状スカート(25)は、表面(30a、30b、30c、30d)がロータ(24)の回転軸(C)に向かって角度が付けられている第2の部分を備える。従って、使用時、ロータ(24)が回転軸(C)の周りで回転している場合、表面(30a、30b、30c、30d)と接触している非ガス状物質は、この物質を廃棄物出口(27)に向かって付勢し、ガス出口(28)から離れるようにする遠心力を受ける。これは、
図3Bの構成と同じ利点を提供することができる。
【0096】
図4は、本発明によるロータの一部を形成するベースプレート(31)の一実施形態を示す。
【0097】
ベースプレート(31)は中央ハブ(32)を備える。ベースプレート(31)、従ってロータは、中央ハブ(32)を介して分離器装置のロータシャフトに結合されている。
【0098】
ベースプレート(31)は、それに結合された複数の半径方向に延びるベーン(33)をさらに備える。当業者であれば、ベーンは、追加的に又は代替的に、ロータの対向ルーフプレート(図示せず)に結合することができることを理解するであろう。この実施形態では、ベーン(33)は、単一の一体部品としてベースプレート(31)に直接結合されている。ベーン(33)は、ベースプレート(31)から概して軸方向に延びる。ベーン(33)は半径方向外向きに湾曲している。ベーン(33)は、使用時に、ロータの入口から遠心分離器に排出ストリームを運ぶ及び/又はこれを加速するように構成されている。この作用は、追加的に、排出ストリームのある程度の分離をもたらすことができる。
【0099】
ベースプレート(31)は、ベースプレート(31)内の複数の穴の形態の廃棄物出口(34)をさらに備える。廃棄物出口(34)は、ベーン(33)の半径方向最外端に近接して配置されている。これにより、ベーン(33)によって運ばれた非ガス状物質は、廃棄物出口(34)を通ってロータから出ることができる。
【0100】
図5は、本発明の一実施形態による分離器装置(35)の断面図を示す。
【0101】
分離器装置(35)は、
図1に記載された実施形態によるロータ(1)を備える。分離器装置(35)は、ロータ(1)を実質的に取り囲む略円筒形のチャンバを画定するステータ(36)をさらに備える。ステータ(36)には入口(37)が設けられており、使用時、排出ストリームは、この入口を通って分離器装置(35)に入る。入口(37)の壁は、堰を画定するか又は堰に結合され、それによって液体(例えば水)は、流入する排出ストリームと混合される。入口(37)は、ロータ(1)の入口(2)に流体連通している。
【0102】
ステータ(36)はさらにガス出口(38)を備え、排出ストリームから分離されたガス状物質は、このガス出口(38)を通って大気に放出することができる。典型的には、ガス出口(38)は、分離器装置の作動時にロータ(1)の上方に配置される。
【0103】
ロータ(1)は、ロータシャフト(39)に結合され、ステータ(36)に対してロータシャフト(39)と共に回転するように構成されている。ロータシャフト(39)は、ステータ(36)によって画定されたチャンバ内の中心に配置されている。分離器装置(35)は、ロータシャフト(39)に結合され、作動時にロータシャフト(39)及びロータ(1)を回転させるように構成された駆動機構(40)をさらに備える。好ましくは、分離器装置(35)の作動時、ロータシャフト(39)は、概して垂直方向に整列する。駆動機構(40)は、モータを備える。駆動機構(40)は、ステータ(36)によって画定されたチャンバの外部に配置されている。
【0104】
ステータ(36)はサンプ(41)を備える。ロータ(1)は、ステータ(36)によって画定されたチャンバ内に配置されており、サンプ(41)は、ガス出口(38)に対してロータ(1)の反対側にある。分離器装置の作動時、サンプ(41)はロータ(1)の下方に配置され、廃棄物出口(8)を通って流出する物質は、サンプ(41)に排出され得るようになっている。
【0105】
好ましくは、ロータシャフト(39)及び/又はステータ(36)は、1又は2以上の流路(42)を備える。流路(42)は、サンプ(41)の底部に向かって配置されている。流路(42)は、液体再循環システム(図示せず)及び堰に流体連通している。流路(42)により、作動時に水をサンプ(41)から堰に再循環させることができ、分離器装置(35)の作動に必要な水の量が低減する。好ましくは、液体再循環システムは駆動機構(40)によって駆動され、装置が単純化される。
【0106】
図6は、本発明の一実施形態による排出ストリームを処理する方法のフロー図を示す。
【0107】
本方法は、
a)上記の態様又は実施形態のいずれかによるロータ、又は上記の態様又は実施形態のいずれかによる分離器装置を提供するステップ(43)と、
b)ロータを連続的に回転させるステップ(44)と、
c)ロータの入口を通して、ガス及び粒子を含む排出ストリームを導くステップ(45)と、
d)少なくともいくつかの粒子が表面に接触し、廃棄物出口に向かって付勢されるように、遠心分離器を通して排出ストリームを運ぶステップ(46)と、
e)ガス出口からガスを放出し、粒子の少なくとも一部を廃棄物出口に導くステップ(47)と、
を含む。
【0108】
本方法は、廃棄物出口を通ってロータから出た水を再循環させるステップ(48)をさらに含むことができる。有利には、これによって装置による水の使用を低減することができる。
【0109】
本方法は、遠心分離器を通して排出ストリームを運ぶステップ(46)の前に、水を排出ストリームと混合するステップ(49)をさらに含むことができる。混合ステップ(49)は、本明細書で上記したように、堰によって排出ストリームに水を導入することによって行われる。
【0110】
誤解を避けるために、本明細書に記載された何らかの態様又は実施形態の特徴は、相互に組み合わせることができる。特許法に基づいて解釈される添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、示された実施形態に様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0111】
1 ロータ
2 入口
3 ベースプレート
4 対向ルーフプレート
5 環状スカート
6 遠心分離器
7 ガス出口
8 廃棄物出口
9 導管
10 概して半径方向内向きの表面
11 概して半径方向外向きの表面
12 表面
13 ベーン
14 ベーン
15 取り付け部
16 ロータ
17 ステータ
18 環状スカート
19 入口
20 略円筒形のチャンバ
21 ガス出口
22 廃棄物出口
23(a-d) 表面
24 ロータ
25 環状スカート
26(a-d) 表面
27 廃棄物出口
28 ガス出口
29(a-d) 表面
30(a-d) 表面
31 ベースプレート
32 ハブ
33 ベーン
34 廃棄物出口
35 分離器装置
36 ステータ
37 入口
38 出口
39 ロータシャフト
40 駆動機構
41 サンプ
42 流路
43 方法ステップ
44 方法ステップ
45 方法ステップ
46 方法ステップ
47 方法ステップ
48 方法ステップ
49 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離器装置のためのロータであって、前記ロータは回転軸を有し、さらに、
排出ストリームを受け入れるように動作可能な入口と、
前記排出ストリームを分離するように動作可能な遠心分離器を画定する環状スカートであって、前記遠心分離器が、第1の方向にガス出口を有し、第2の方向に廃棄物出口を有する、環状スカートと、
を備え、
前記環状スカートの表面は、前記ロータの回転軸に向かって角度が付けられており、前記ロータの回転時に、前記排出ストリーム中の非ガス状物質が、前記表面との接触によって前記廃棄物出口に向かって付勢されるようになっている、ロータ。
【請求項2】
前記ガス出口は、前記環状スカート内に延びる1又は2以上の導管を備え、前記導管を画定する壁が、前記表面を提供する、及び/又は、前記環状スカートの概して半径方向内向きの壁が前記表面を提供する、及び/又は、前記環状スカートの概して半径方向外向きの壁が前記表面を提供する、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記ロータは、前記スカートによって結合されたベースプレート及び対向するルーフプレートによって画定された略円筒形のチャンバを備える、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記入口は、前記ベースプレート又は前記対向ルーフプレート、好ましくは前記対向ルーフプレートの中心に位置する、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータは、前記入口から前記遠心分離器に前記排出ストリームを運ぶように作動可能な1又は2以上の半径方向に延びるベーンを備える、請求項1に記載のロータ。
【請求項6】
前記回転軸に向かって角度が付けられた前記表面の少なくとも一部は、前記回転軸に対して約0.1°から約45°、好ましくは約1°から約20°、より好ましくは約5°から約15°、例えば10°の角度をなしている、請求項1に記載のロータ。
【請求項7】
前記導管を画定する壁が、前記表面を提供し、前記導管は、前記ロータの回転軸に実質的に平行な壁を有する第1の部分をさらに備える、請求項1に記載のロータ。
【請求項8】
前記環状スカートは、第1の方向において前記対向ルーフプレートを越えて延びている、請求項3に記載のロータ。
【請求項9】
前記ガス出口及び前記廃棄物出口は、実質的に反対方向にあり、好ましくは、前記廃棄物出口は、前記環状スカート又は前記ベースプレート内の複数のポートを含む、請求項3に記載のロータ。
【請求項10】
作動時、前記ロータの構成要素は、互いに対して実質的に固定されたままである、請求項1に記載のロータ。
【請求項11】
前記入口は、前記排出ストリームに水を導入するように動作可能な堰を備える、請求項1に記載のロータ。
【請求項12】
請求項1に記載のロータを備える分離器装置。
【請求項13】
前記ロータを実質的に取り囲むチャンバを画定するステータと、
前記ロータが配置され、前記ステータに対して回転するように構成されたロータシャフトと、
前記廃棄物ポートから及び/又は前記ロータと前記ステータとの間の隙間から非ガス状物質を集めるように構成されたサンプと、
前記ガス出口からガスを放出するように構成された前記チャンバ内の出口ポートと、
好ましくは、前記サンプから液体を運んで前記排出ストリームと混合させるように動作可能な液体再循環システムと、
をさらに備える、請求項12に記載の分離器装置。
【請求項14】
排出ストリームを処理する方法であって、
請求項1に記載のロータを提供するステップと、
前記ロータを回転させるステップと、
ガス及び粒子を含む排出ストリームを、前記ロータの前記入口を通して導くステップと、
少なくとも一部の粒子が前記表面に接触し、前記廃棄物出口に向かって付勢されるように、前記遠心分離器を通して前記排出ストリームを運ぶステップと、
前記ガス出口を通してガスを放出し、前記廃棄物出口を通して前記粒子の少なくとも一部を導くステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1から11のいずれかに記載のロータを設計する方法であって、少なくともいくつかの粒子を前記排出ストリームのガスから分離するために必要である、
前記表面の角度及び配置を決定するステップ、及び/又は
前記ガス出口の数を決定するステップ、及び/又は
前記廃棄物出口の数を決定するステップ、及び/又は
作動時の前記ロータの回転速度を決定するステップ、及び/又は
前記ベーンの数及び配置を決定するステップ、及び/又は
前記ガス出口のアスペクト比を決定するステップ、
含む方法。
【国際調査報告】