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特表2024-541495ハイブリッド推進機能を搭載したスクータータイプのサドルライド型オートバイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ハイブリッド推進機能を搭載したスクータータイプのサドルライド型オートバイ
(51)【国際特許分類】
   B62M 23/02 20100101AFI20241031BHJP
   B62M 7/12 20060101ALI20241031BHJP
   B62M 9/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B62M23/02 110
B62M7/12 ZHV
B62M9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531163
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 IB2022061395
(87)【国際公開番号】W WO2023095057
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021000029681
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521180854
【氏名又は名称】ピアッジョ アンド シー. エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera(PI), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ラファエリ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】サントゥッチ,マリオ
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのドライブホイール(2)とハイブリッド型の推進ユニット(3)とを備えるサドルライド型オートバイ(1)に関する。本発明によれば、前記推進ユニット(3)は、ドライブシャフト(4)を含む内燃エンジン(10)と、前記ドライブシャフト(4)を前記少なくとも1つのドライブホイールに機械的につなげる第1トランスミッションアセンブリ(11)と、独立して駆動することができる又は前記内燃エンジン(10)と共同して駆動することができる電気機械(20)とを備える。本発明によれば、推進ユニットは、前記電気機械(20)のロータ(21)を前記少なくとも1つのドライブホイール(2)に機械的につなげる第2トランスミッションアセンブリ(12)をさらに備える。このような第2トランスミッションアセンブリ(12)は前記第1トランスミッションアセンブリ(11)から分離されている。また、このオートバイは、前記ドライブホイール(2)を回転できるように支持するように形成されているサポートブラケット70を備える。また、前記電気機械(20)は前記サポートブラケット(70)に取り付けられている。前記電気機械(20)のロータ(21)の回転軸(102)は、前記ドライブホイール(2)の回転軸(101)と平行である。さらに、前記ロータ(21)の回転軸(102)は、前記ドライブホイール(2)の回転軸(101)に対してオフセット位置に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのドライブホイール(2)とハイブリッド型の推進ユニット(3)とを備え、
前記推進ユニット(3)は、
ドライブシャフト(4)を含む内燃エンジン(10)と、
前記ドライブシャフト(4)を前記少なくとも1つのドライブホイール(2)に機械的につなげる第1トランスミッションアセンブリ(11)と、
独立して駆動することができる又は前記内燃エンジン(10)と共同して駆動することができる電気機械(20)と、
前記電気機械(20)のロータ(21)を前記少なくとも1つのドライブホイール(2)に機械的につなげる第2トランスミッションアセンブリ(12)とを含み、
前記第2トランスミッションアセンブリ(12)は前記第1トランスミッションアセンブリ(11)から分離されており、
サポートブラケット(70)は、前記ドライブホイール(2)を回転できるように支持するように設けられ、
前記電気機械(20)は前記サポートブラケット(70)に取り付けられており、
前記電気機械(20)のロータ(21)の回転軸(102)は、前記ドライブホイール(2)の回転軸(101)と平行であり、
前記ロータ(21)の回転軸(102)は、前記ドライブホイール(2)の回転軸(101)に対してオフセット位置に配置されているサドルライド型オートバイ(1)。
【請求項2】
前記ロータ(21)の回転軸(102)は、前記ドライブホイール(2)の回転軸(101)に対して後方の位置に配置されている請求項1に記載のオートバイ(1)。
【請求項3】
第1平面(PR1)が前記ドライブホイール(2)の回転軸(101)を含む平面であり、第2平面(PR2)が前記電気機械(20)のロータ(21)の回転軸(102)を含む平面であり、第3平面(PRX)がフレームに対するモータ(10)の揺動の軸(X)を含む面であるとしたとき、第1平面(PR1)は、第2平面(PR2)と第3平面(PRX)との間に位置する請求項1に記載のオートバイ(1)。
【請求項4】
前記サポートブラケット(70)は、マフラー(66)を支持するように設けられた請求項1に記載のオートバイ(1)。
【請求項5】
前記第1トランスミッションアセンブリ(11)は、前記ドライブシャフト(4)をトランスミッションシャフト(6)に接続するCVT型変速機(7)を備え、
前記CVT型変速機は、ドライブシャフト(4)に接続された駆動プーリ(71)と、トランスミッションシャフト(6)に接続された従動プーリ(72)とを備え、
前記第1トランスミッションアセンブリ(11)は、前記従動プーリ(72)と前記トランスミッションシャフト(6)との間に動作可能に介在するクラッチを備える請求項1に記載のオートバイ(1)。
【請求項6】
前記第1トランスミッションアセンブリ(11)は、前記ドライブシャフト(6)を前記少なくとも1つのドライブホイール(2)に接続するギアトランスミッション(110)を備える請求項1~5のいずれか1つに記載のオートバイ(1)。
【請求項7】
前記第2トランスミッションアセンブリ(12)は、第2ギアトランスミッション(120)を備える請求項1~6のいずれか1つに記載のオートバイ(1)。
【請求項8】
前記第1トランスミッションアセンブリ(11)は、前記オートバイの長手方向平面に対して一方側に配置され、第2トランスミッションアセンブリ(12)は、前記長手方向平面に対して他方側に配置される請求項1~7のいずれか1つに記載のオートバイ(1)。
【請求項9】
前記第1トランスミッションユニット(11)は、前記ドライブシャフト(4)と前記ドライブホイール(2)との間で速度伝達比を有し、この速度伝達比は、前記電気機械(20)の前記ロータ(21)と前記ドライブホイール(2)との間の前記第2トランスミッションユニット(12)が有する速度伝達比とは異なる請求項1~8のいずれか1つに記載のオートバイ(1)。
【請求項10】
前記サポートブラケット(70)は、前記第2ギアトランスミッション(120)が収容されるシートを画定する請求項17に記載のオートバイ(1)。
【請求項11】
前記電気機械(20)は、可逆的であり、かつ、前記電気機械(20)が動作するモードにおいてバッテリ(25)に充電するように前記オートバイ(1)のバッテリ(25)に接続する請求項1~10のいずれか1つに記載のオートバイ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、製造されるサドルライド型車両の範囲に含まれる。特に、本発明は、ハイブリッド推進ユニットを備えた二輪または三輪車両、又は内燃エンジンと電気機械とを備える二輪または三輪車両に関する。前記電気機械は、好ましくは可逆的であり、ドライブホイールに利用されるトルクを増大させるために電気モータとして使用され、又は、この電気機械に接続されたバッテリパックを充電するための発電機として使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術
ここ数年にわたり、一般的な内燃エンジンに電気機械を追加した、ハイブリッド推進機を備えた二輪または三輪自動車が提案されている。このタイプの推進機の主な目的は、高効率点で内燃エンジンを利用し、減速段階とブレーキ段階で電気機械を介してエネルギーを回収することであり、場合によっては、電気機械を唯一の推進機として利用することである。ハイブリッド推進機の一般的な目的は、内燃エンジンの作動に伴う汚染物質の排出を削減することである。
【0003】
ハイブリッド推進機を備えた二輪オートバイの一例は、同じ出願人の名前による特許EP1572486に記載され示されている。特に、EP1572486は、スクーター型車両に関する。知られているように、他の車両と比較して、スクーターは、中央領域が実質的に開いたフレームとフットボードの存在によって区別され、このことにより、総じてオートバイに乗る人が脚を閉じて平行にして胴体を真っ直ぐにした乗車姿勢を維持することができる。スクーターでは、内燃エンジンはフレームには取り付けられておらず、リアサスペンションの一部になっている。実際、内燃エンジンは、サポートアーム(スイングアーム)と一体化されており、このサポートアームは、後輪を支持し、支点を介してフレームに枢設されている。このことは、リアサスペンションにかかる荷重に応じてサポートアームがフレームに対してスイングすることを可能にする。フレームとサポートアームの間にある1つまたは複数のショックアブソーバーでリアサスペンションが完成する。
【0004】
出願人が同じであるEP1572486に記載された解決策では、CVTタイプの変速機が、内燃エンジンのシャフトと推進シャフトとの間に介在して設けられている。このCVT変速機は、内燃エンジンのシャフトにキー止めされた駆動プーリと、リアホイールに一対のギアを介して接続されたトランスミッションシャフトにキー止めされた従動プーリとを備えている。CVT変速機は、従動プーリとトランスミッションシャフトとの間に動作可能に介在するクラッチを備え、このクラッチは、従動プーリに接続される第1クラッチ要素と、トランスミッションシャフトに接続される釣鐘状の第2クラッチ要素とを備える。また、EP1572486の解決策では電気機械が設けられており、電気機械のロータは、従動プーリと第1クラッチ要素との間に介在する結合手段を介して(ベル型)エンジン要素に接続され、この接続により、これら2つの要素をトランスミッションへ選択的に接続することができる、又はトランスミッションへの電気機械の挿入を許可することができる又は許可しないことができる。
【0005】
特許US5193634は、オートバイ用の別のハイブリッド推進システムを開示しており、このシステムは部分的には上述のものと同様である。実際、クラッチを備えたCVT変速機がやはり記載されており、このクラッチは、内燃エンジンが生み出す運動をリアドライブホイールに伝達する、または伝達しない。この場合、電気モータの速度がトランスミッションシャフトの速度よりも高い場合にのみ、電気モータによって生み出されたトルクがトランスミッションシャフトに伝達されるように、電気機械の出力シャフトはトランスミッションを介してトランスミッションシャフトに接続されている。
【0006】
出願人は、上述の解決策は、動作の点では効果的ではあるものの、かなり複雑な構成を有しており、設計および製造のコストに大きな影響を与えることを発見した。例えば、EP1572486に記載された解決策の場合、電気機械は、内燃エンジンをリアホイールに接続するトランスミッションと強力に統合される。これにより、ハイブリッドシステムの組み立てのみに特化した「融通の利かない」生産ラインが実現し、単一モデルのスクーターの製造にしか使用できなくなる。したがって、既知の解決策は、生産の多用途性の点で厳しい制限があることを特徴としている。
【0007】
再びEP1572486に記載された解決策を参照すると、このハイブリッドシステムの構成は、トルクを発生する装置(内燃エンジンまたは電気機械)に関係なく、トランスミッションシャフトからドライブホイールにトルクが同じ歯車列を介して伝達されるように設けられている。特に、この歯車列は、内燃エンジンから伝達するために最適化された減速比を有し、パラレルハイブリッド動作モードにおいて、これを参照して、電気機械が適応する必要がある。これは、電気機械が常に最適な動作条件で動作するとは限らないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
本発明の主な課題は、上に示した欠点を克服、または少なくとも抑制できるサドルライド型車両を提供することである。この課題の範囲内で、本発明の第1の目的は、既知の解決策と比べて、より簡単でより汎用性の高い方法で組み立てることができるハイブリッド推進機を備えたサドルライド型車両を提供することである。
本発明の別の目的は、ドライブホイールへのトルク伝達に関して内燃エンジンおよび電気機械の動作を最適化できるハイブリッド推進サドルライド型車両を提供することである。
最後に重要なことであるが、本発明の目的は、信頼性が高く、コスト効果の高い方法で製造が容易なサドルライド型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
出願人は、上記の課題および目的は、2つの独立した、すなわち物理的に分離されたトランスミッションアセンブリを設けることによって達成できることを発見した。一方は、内燃エンジンによって生み出された駆動トルクをリアホイールに伝達し、他方は電気機械をこのリアホイールに機械的に接続する。特に、前述の課題および目的は、少なくとも1つのドライブホイールとハイブリッド型の推進ユニットとを備えるサドルライド型オートバイによって達成される。このようなユニットは、ドライブシャフトを含む内燃エンジンと、前記ドライブシャフトを前記少なくとも1つのドライブホイールに機械的につなげる第1トランスミッションアセンブリと、前記内燃エンジンから独立して動作することができる又は前記内燃エンジンと共同して動作することができる電気機械とを備える。この推進ユニットは、前記電気機械のロータをドライブホイールに機械的につなげる第2トランスミッションアセンブリを備える。
【0010】
本発明によれば、第2トランスミッションアセンブリは第1トランスミッションアセンブリから分離されている。「分離されている」という用語は、2つのトランスミッションアセンブリが物理的に切り離されている状態、つまり、第2トランスミッションアセンブリの構成要素が第1トランスミッションアセンブリと共通ではない状態、または第1トランスミッションアセンブリの構成要素が第2トランスミッションアセンブリと共通ではない状態を示す。言い換えると、第2トランスミッションアセンブリの構成要素は、内燃エンジンによって生み出されたトルクをドライブホイールに伝達するために配置/使用されることはない。したがって、第1トランスミッションアセンブリの構成要素は、電気機械によって生み出されたトルクをそのドライブホイールに伝達するために配置/使用されることはない。
【0011】
したがって、製造の観点から、第1トランスミッションアセンブリは第1製造ラインに沿って設置/組み立てることができ、第1製造ラインは第2トランスミッションアセンブリを設置/組み立てするために使用される第2製造ラインから完全に独立している。したがって、前記第1製造ラインは、熱推進のみを備えた自動車、すなわち電気機械を備えないモデルの生産にも使用できるということになる。
【0012】
本発明によれば、オートバイは、前記ドライブホイールを回転可能に支持するサポートブラケットを備え、前記サポートブラケットは内燃エンジンと一体であり、電気機械も支持する。特に、電気機械のロータの回転軸は、ドライブホイールの回転軸と平行である。さらに、電気機械のロータの回転軸は、オートバイの側面視において、ドライブホイールの回転軸に対してオフセットした位置に配置されている。言い換えると、電気機械の回転軸は、リアドライブホイールの軸に対してオフセットされている。したがって、電気機械の回転軸は、ドライブホイールの回転軸に対して所定の距離だけ離れている。
【0013】
特に、サポートブラケットは、エンジンブロックから少なくともドライブホイールの回転軸まで長手方向に延びている。したがって、サポートブラケットは、ドライブホイールピンの支持体を形成すると同時に、電気機械の固定支持体を形成する。好ましくは、サポートブラケットは、ドライブホイールピンを回転可能に支持するためのハウジングシートを備える。
【0014】
可能な実施形態によれば、サポートブラケットは単一部品で作られていることが好ましい。その可能な一実施形態では、サポートブラケットはマフラーをさらに支持するように構成されている。
可能な実施形態によれば、ロータの回転軸は、ドライブホイールの回転軸に対して後方の位置に配置される。
【0015】
有利には、ドライブホイールの回転軸を含む第1平面、電気機械のロータの回転軸を含む第2平面、およびフレームに対してモータが揺動する軸を含む第3平面が定義される。
好ましくは、前後方向に関して、第1平面は、上で定義された第2平面と第3平面との間に位置する。特に、示された3つの平面は互いに平行である。したがって、電気機械のロータの回転軸、ドライブホイールの回転軸、およびモータがフレームに対して揺動する軸は、オートバイの長手方向に対して横方向に互いに平行な回転軸である。
【0016】
一実施形態によれば、第1トランスミッションアセンブリは、変速比が連続的に変化するオートマチック変速機(連続可変変速機(CVT)タイプのトランスミッションとして示される)を備え、CVT型変速機は前記ドライブシャフトを、ドライブホイールに機械的に接続されたトランスミッションシャフトに接続し、このCVT型変速機は、ドライブシャフトに接続された駆動プーリと、トランスミッションシャフトに接続された従動プーリとを備える。前記第1トランスミッションアセンブリは、前記従動プーリと前記トランスミッションシャフトとの間に動作可能に介在するクラッチを備える。
可能な実施形態によれば、第1トランスミッションアセンブリは、トランスミッションシャフトを前記少なくとも1つのドライブホイールに接続するギアトランスミッションを備える。
【0017】
一実施形態によれば、第2トランスミッションアセンブリは第2ギアトランスミッションを備える。
好ましい実施形態によれば、第1トランスミッションアセンブリは、ドライブホイールの回転軸に直交するオートバイの長手方向平面に対して一方側に配置され、第2トランスミッションアセンブリは、前記長手方向平面に対して他方側に配置される。
好ましい実施形態によれば、第1トランスミッションアセンブリは、ドライブシャフトとドライブホイールとの間で速度伝達比を有し、この速度伝達比は、電気機械のロータとドライブホイールとの間のトランスミッションアセンブリが有する速度伝達比とは異なる。
好ましくは、前記サポートブラケットは、第2トランスミッションアセンブリが収容されるシートを画定する。
【0018】
可能な実施形態によれば、電気機械は、可逆的であり、かつ、電気機械が動作する少なくとも1つのモードにおいてバッテリに充電するようにオートバイのバッテリに接続する。特に、例えば、オートバイが純粋な電気モードで都市交通制限区域などで道路を横切らないといけない場合でバッテリを十分に充電する必要がある場合、電気機械は、車両の慣性を利用して減速またはブレーキ段階又は加速段階において、電流を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面のリスト
本発明のさらなる特徴および利点は、以下のいくつかの好ましく限定的ではないサドルライド型車両の実施形態の詳細な説明を検討することによりより明らかになるであろう。これらの実施形態は、以下の添付の図面を参照しながら非限定的な例として説明されている。
【0020】
図1】本発明に係るサドルライド型車両のブロック図である。
図2】本発明に係るサドルライド型車両に関する概略図である。
図3】本発明に係るサドルライド型車両の一部の側面図である。
図4図3のサドルライド型車両の背面図および平面図である。
図5図3のサドルライド型車両の背面図および平面図である。
図6図3のサドルライド型車両の構成部品群に関する分解図である。
図7図3のサドルライド型車両の構成部品群に関する分解図である。
【0021】
図面中の同じ参照番号および文字は、同じ要素または構成要素を識別する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
したがって、前述の図面を参照すると、本発明はサドルライド型車両に関する。この表現により、サドルライド型車両は、任意の二輪バイクまたは少なくとも2つの車輪を有するオートバイを意味し、すなわち、このオートバイは少なくとも1つの前輪と少なくとも1つの後輪を有する。したがって、2つのフロントステアリングホイールと1つのリアドライブホイールを備えた三輪オートバイ、あるいは1つのフロントステアリングホイールと1対のリアドライブホイールを備えた三輪オートバイもこの定義に含まれる。サドルライド型車両の定義には四輪車も含まれる、この4輪車は例えば2つのフロントステアリングホイールと2つのリアドライブホイールを有する。以下、サドルライド型車両1をオートバイ1とも表記する。
以下、特に二輪オートバイについて説明するが、以下の検討は、1つのリアドライブホイールと、2つの傾斜可能なフロントステアリングホイールとを有する三輪オートバイにも当てはまる。
【0023】
図1および図2は、本発明によるオートバイ1の可能な実施形態に関する概略図である。これは、内燃エンジン10と、オートバイ1のバッテリ25に接続された電気機械20とを含むハイブリッド型推進ユニット3を備える。好ましくは、電気機械20は、モータとして動作し、バッテリ25を充電するための発電機としても動作するような可逆タイプである。
【0024】
内燃エンジン1は、第1トランスミッションアセンブリ11を介してドライブホイール2に接続されたドライブシャフト4を備える(図2を参照)。電気機械20は、ステータ21およびロータ22を備え、ロータ22は、第2トランスミッションアセンブリ12を介してドライブホイール2に接続される。本発明の目的において、「トランスミッションアセンブリ」という表現は、2つの推進装置のうちの1つ(内燃エンジン10または電気機械20)によって生成されたトルクをドライブホイール2に伝達することを可能にする複数の構成要素のセットを総称的に示す。
【0025】
本発明によれば、第2トランスミッションアセンブリ12は、第1トランスミッションアセンブリ11から分離されている。この「分離されている」という用語は、第2トランスミッションアセンブリ12が物理的に第1トランスミッションアセンブリ11から切り離されている状態、すなわち外部にあり、第1トランスミッションアセンブリ11と一体化されていない状態を示すことを意図している。従って、第1トランスミッションアセンブリ11の構成要素は、第2トランスミッションアセンブリ12とは共通していない、逆もまた同様である。第1トランスミッションアセンブリ11の組立て/取り付けのために設けられた第1生産ラインは、第2トランスミッションアセンブリ12の組立て/取り付けのために設けられた第2生産ラインから完全に独立するように設計できるため、この解決策は生産の点で特に有利であることがわかる。したがって、同じ範囲のオートバイ(例えばスクーター)内で、第1生産ラインは、熱推進装置のみを備えた、すなわち電気機械を備えないオートバイの生産にも使用することができる。
【0026】
図2に概略的に示される本発明の好ましい実施形態によれば、第1トランスミッションアセンブリ11は、無段変速機7(またはCVT型変速機)を備え、無段変速機7はドライブシャフト4をトランスミッションシャフト6に接続し、トランスミッションシャフト6はドライブホイール2にその回転について機械的に接続されている。CVT式変速機は、公知の構成を採用することができる。例えば、図2に概略的に示したような場合では、変速機7は、ドライブシャフト4に同軸に接続された第1プーリ71(または駆動プーリ71)を備え、トランスミッションシャフト6に同軸に接続された第2プーリ72(または従動プーリ72)を備える。これらのプーリ71、72は、フレキシブルトランスミッション要素73(例えば、Vベルト)に接続されている。また、第1トランスミッションアセンブリ11は、第2プーリ72とトランスミッションシャフト6との間に動作可能に介在する遠心クラッチ78を備え、このことは当業者に知られている原理であるため、この理由により以下では説明しない。
【0027】
一実施形態(図示せず)では、オートバイ1は、電気機械20とドライブホイール2の回転軸との間に配置されたさらなるクラッチを備えるように設けられる。このさらなるクラッチは、遠心クラッチまたはフロントクラッチのタイプにすることができ、このことにより、オートバイ1が所定の速度を超えると電気機械20が切断され、純粋な熱モードで動作する場合の推進ユニット3の効率が向上する。
【0028】
第1トランスミッションアセンブリ11のトランスミッションシャフト6は、減速時の第1速度伝達比を有する第1ギアトランスミッション110を介してドライブホイール2に接続されている。
一実施形態によれば、第2トランスミッションアセンブリ12は、電気機械20のロータをドライブホイール2に接続する第2ギアトランスミッション120を備える。この第2ギアトランスミッション120もまた減速時の第2速度伝達比を有するように構成される。好ましくは、第2速度伝達比は、第1トランスミッションアセンブリ11の第1ギアトランスミッション110が有する第1速度伝達比とは異なる。
有利には、2つのトランスミッションアセンブリ11、12を物理的に分離することにより、上述の2つのギアトランスミッション110、120を、内燃エンジン10および電気機械20の動作を最適化するように設計することが可能になる。
【0029】
図3図5は、本発明に係るスクーター型のオートバイ1に関する図である。なお、本発明の目的において、「長手方向」又は「前後方向」という表現は、オートバイ1の進行方向に平行で、ドライブホイール2の回転軸Mに直交する方向を意味するものとし、「横方向」又は「左右」方向という表現は、長手方向に実質的に直交し、ドライブホイール2の回転軸Mに平行な方向を示すことを意味する。最後に、「垂直方向」又は「上下方向」という表現は、長手方向および横方向と直交する方向を指す。これらの図には、上で定義した前後方向F-B、上下方向U-D、および左右方向R-Lを示すデカルト基準軸が含まれている。
【0030】
「長手方向に又は長手方向」という用語は長手方向つまり前後F-B方向を指し、「横方向に又は横方向」という用語は横方向つまり右左R-L方向を指し、「垂直方向に又は垂直方向」という用語は垂直方向つまり上下U-D方向を指す。「前方」、「左」および「上方」という用語は、図に示される矢線F、LおよびUによって示される線を指す。また、「後方」、「右」、「後方」という用語は、これらの反対の線を示し、矢線B、R、Dで示される。
【0031】
図3から図5のオートバイ1では、フレーム50が示されており、フレーム50には、内燃エンジン10が横方向の揺動軸Xで示されている支軸を介して揺動するように取り付けられており、つまり、揺動軸はドライブホイール2の回転軸101に平行である(図5参照)。前部では、フレーム50は、ステアリング軸111を特定するステアリングコラム51を備える(図3を参照)。長手方向平面PLという用語は、ドライブホイール2の軸に直交し、前記ステアリング軸111を含む基準平面を示すことを意図している。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、第1トランスミッションアセンブリ11は前記長手方向平面PLに対して一方側に配置され、第2トランスミッションアセンブリ12は、前記長手方向平面PLに対して他方側に配置される。図4のオートバイ1の後方観察面を参照すると、第1トランスミッションアセンブリ11は、横方向左側、すなわち左半面SSに配置されており、この半面は長手方向平面PLによって特定される。図示の実施形態では、電気機械20および第2トランスミッションアセンブリ12は、代わりに右側に横方向に、すなわち、左半面SSの反対側の右半面SDに配置されている。
【0033】
図に示される可能な実施形態によれば、電気機械20のロータ21の回転軸102(図5に示す)は、オフセット位置、特にドライブホイール2の回転軸101に対して後ろ側(すなわち後方)に配置される。これに関連して、図3の側面図において、符号PR1はドライブホイール2の回転軸101を含む第1平面を示し、符号PR2は電気機械20のロータの回転軸102を含む第2平面を示す。したがって、前後方向FBに関して、第1平面PR1は、平面PR2と、フレーム50に対してモータ10が揺動する軸Xを含む第3平面PRXとの間に含まれたままである。特に、平面PR1、PR2、PRXは互いに平行である。この配置により、例えば、オートバイ1のマフラー66を、図3の側面において、上で定義した平面PR2とPRXとの間に実質的に含まれる位置に取り付けることができる。
【0034】
可能な実施形態によれば(特に図6および図7に示される)、第2トランスミッションアセンブリ12は、上ですでに示した目的に従って、全体として減速ユニットとなる複数の歯車12A、12B、12Cを備える。少なくとも1つの第1歯車12Aは電気機械20のロータRと一体化されており、少なくとも1つの他の歯車12Cはドライブホイール2の回転軸101と同軸である。図に示したケースでは、伝達歯車12Bが設けられており、伝達歯車12Bは伝達歯車12'とピニオン12''とを同軸かつ一体に備えている。 伝達歯車12'は第1歯車12Aと係合し、一方、ピニオン12''はドライブホイール2の回転軸101と同軸の歯車12Cと係合する。数およびサイズの両方において第2トランスミッションアセンブリ12に代替の歯車を設けることも可能である。
【0035】
図に見られる好ましい実施形態によれば、オートバイ1は、サポートブラケット70を備え、サポートブラケット70は、フレーム50に対して内燃エンジンと共に揺動するように内燃エンジンブロック10に接続している。「ブロック」という用語は、内燃エンジン10及び/又は第1トランスミッションアセンブリ11を含む構造を総称的に示すことを意図している。図に示すように、サポートブラケット70は電気機械20および第2トランスミッションアセンブリ12を支持することが好ましい。言い換えると、サポートブラケット70は電気機械20を構成する構成要素(ステータ21-ロータ22)を支持し、同時に、第2トランスミッションアセンブリ12の構成要素の支持体を画定する。
【0036】
特に、サポートブラケット70は、エンジンブロックから始まって、少なくともドライブホイール2の回転軸101まで、特にそれを越えて長手方向に延びる。従って、サポートブラケット70は、ドライブホイールのピン200のための支持体を形成し、同時に電気機械20のための支持体も形成する。好ましくは、サポートブラケット70は、回転可能にドライブホイールピン200を支持するようにドライブホイールピン200のためのハウジングシート12dを備える。好ましくは、サポートブラケット70は1つのピースとして作られている。
【0037】
有利には、電気機械20の回転軸102は、ドライブホイール2の回転軸101に対して所定の距離d(図2)だけオフセットされているので、サポートブラケット70の形状を変えることによって、電気機械20は、ドライブホイール2の回転軸101の周りの360°の任意の角度位置をとることができる。図3では、電気機械20の可能な代替位置が破線で示されている。
【0038】
したがって、設計の観点から、電気機械20をより有利な角度位置に配置することができる。例えば、オートバイの寸法に応じてあるいはオートバイの重量配分や他の関連する技術的側面で最適化するために、ホイール軸101に対してより高くまたはより低く電気機械20を配置することができる。電気機械20の角度位置の修正は、サポートブラケット70のみの修正を意味し、トランスミッションシステム12の修正は意味しない。
【0039】
好ましい実施形態によれば、サポートブラケット70は、オートバイ1のマフラー66も支持するように構成される。このことに関して、電気機械20は、マフラー66と同じ半面内に配置されることが好ましい。言い換えると、マフラー66、第2トランスミッションアセンブリ12および電気機械20は、内燃エンジン10をドライブホイール2に接続するために配置される第1トランスミッションアセンブリ11が配置される半面(図のSS)とは異なる半面(図のSD)に配置される(図4および5を参照)。本発明の目的上、半面SSおよびSDは、いずれの場合も、上で定義した長手方向平面PLによって特定される。
【0040】
図3および図4を参照すると、マフラー66および電気機械20は、マフラー66の排気口が電気機械20の高さよりも高い高さに配置されるようにサポートブラケット70によって支持される。ここで、この高さは、オートバイ1の支持面POに関して評価される。
【0041】
図5および図6は、上述の目的に従って電気機械20および/またはマフラー66を支持するために使用できるサポートブラケット70の可能な実施形態(つまり非排他的な実施形態)を示す。サポートブラケット70は、軸Xを中心とするエンジンの揺動に追従するようにエンジンブロックに(例えば接続ネジを介して)しっかりと接続されている。これに関して、図6および図7において、参照符号X2およびX3はエンジンブロックとの接続軸(接続ネジの軸)を示し、参照符号X1、X1'はマフラー66との接続軸を示す。
【0042】
図6および図7に見られる可能な実施形態によれば、サポートブラケット70は、第2トランスミッションアセンブリ12を構成する第2ギアトランスミッション120が配置されるシート710を画定する。第2ギアトランスミッション120を構成する歯車12A、12B、12Cを示すために、図6および図7は、電気機械20が配置される第1の側でシート710を閉じるケーシングを示していない。代わりに、図6および図7は、一方の側で第1トランスミッションアセンブリ11に接続され他方の側で第2トランスミッションアセンブリ12に接続されるピン200を示す。また、ピン200は溝付き輪郭201でドライブホイール2を受け入れるような形状である。
【0043】
再び図6および図7を参照すると、サポートブラケット70は、ドライブホイール2のブレーキキャリパー68又は構成要素のセットを支持するように構成されることが好ましい。これらの構成要素は、広く知られている原則により全体としてドライブホイール2にブレーキをかけることに関与する。
【0044】
別の態様によれば、オートバイ1は、推進ユニット3を制御するように構成された制御ユニット40を備える。より正確には、制御ユニット40は、電気機械20と、推進ユニット3の動作状態を示す入力信号に応えて内燃エンジン10のスロットルバルブの位置を調整する役割を担うアクチュエータとを制御するように構成されている。好ましくは、制御ユニット40は、第1信号S1、第2信号S2及び第3信号に基づいて推進ユニット3に命令する。第1信号はアクセルグリップ42の位置に関し、第2信号はブレーキレバー43の位置を示し、第3信号は推進ユニットが動作することについての動作モードを選択するためにオートバイ1のパネルに配置された選択装置44から得られる。
これに関して、推進ユニット3は以下に従って動作することができる。
-第1の「熱」モードでは、推進は内燃エンジンのみを介して行われる。
-第2の「電気」モードでは、電気モータとして動作する電気機械20のみによって推進力が提供される。
-第3の「パラレルハイブリッド」モードでは、内燃エンジン10と電気機械20の両方がドライブホイール2に駆動トルクを供給する。
【0045】
電気モードで動作するときに、推進ユニットは、オートバイ1の後退ギア機能を実行するために、ドライブホイール2に逆回転方向にトルクを供給することも可能である。したがって、選択装置44は、少なくとも3つのユーザ選択可能なキー(ボタン)を備え、それぞれのキーで対応する動作モードを選択する。
本発明によるオートバイにより、意図された任務および目的が完全に達成されることが可能になる。特に、2つのトランスミッションアセンブリ11、12は、有利には、異なる製造ライン上で組み立て/設置することができ、又は、いずれの場合も互いに独立して組み立て/設置することができ、製造の点で明らかな利点がある。さらに、2つのアセンブリを物理的に分離することで、内燃エンジンと電気機械の動作を最適化するために最適な伝達比を確立できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】