(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】空気タイヤをホイールリムに組み付けるための方法
(51)【国際特許分類】
B60C 25/12 20060101AFI20241031BHJP
B60C 25/138 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60C25/12 B
B60C25/138
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531219
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 DE2022100867
(87)【国際公開番号】W WO2023093938
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130854.2
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511040469
【氏名又は名称】シェンク ロテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】パイネルト アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】オルトヴァイン マルク
(72)【発明者】
【氏名】ロガラ マルティン
(72)【発明者】
【氏名】バイルシュタイン フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ユング アレクサンダー
(57)【要約】
本発明による方法において、ハンドリングロボット(1)が、3方向に移動可能な関節式アーム(3)を備え、当該関節式節アーム(3)は、その自由端に、空気タイヤ(4)を把持して保持するためのグリッパ(2)を有する。空気タイヤ(4)は、グリッパ(2)によってその走行面で保持され、供給位置から取り出され、当該空気タイヤ(4)を潤滑油で湿潤するための選択的な湿潤ステーション(5)に移動される。湿潤された空気タイヤ(4)は、次に、ホイールリム(10)を解放可能に保持するクランプ装置(11)を有する組立ステーション(9)に移動される。組立ステーション(9)は、タイヤビード(6、7)とホイールリムフランジ(12)の間に沿って案内され得る組み付けツール(15)が装備された組立ヘッド(14)を有するハンドリング装置を備える。ここで、空気タイヤ(4)は、ハンドリングロボット(1)と組み付けヘッド(14)との協調動作によって、ホイールリム(10)上に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気タイヤ(4)を車両ホイール(16)のドロップセンターリム(10)上に組み付けるための方法であって、
前記空気タイヤ(4)は、3方向に移動可能なハンドリングロボット(1)の関節式アーム(3)上に配置されたグリッパ(2)によって提供位置でトレッド上で把持され、
前記タイヤ(4)は、クランプ装置(11)に保持されたリム(10)に接近され、当該空気タイヤ(4)を保持するグリッパ(2)の制御された動きによって、前記リム(10)に面する第1タイヤビード(6)が前記リム(10)のリムフランジ(12)上に滑らされ、
第2タイヤビード(7)が、組み付けツール(15)を有するハンドリング装置の助けを借りて取り付けられ、前記ハンドリング装置は、前記ハンドリングロボット(1)の動きの間に、前記組み付けツール(15)を前記リムフランジ(12)上の円形経路に沿って案内し、それにより、前記第2タイヤビード(7)は、前記リムフランジ(12)上に完全に滑り込まされ、前記ハンドリングロボット(1)の動きは、ハンドリング装置の動きと協調される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記空気タイヤは、前記ハンドリングロボット(1)によって、前記タイヤビード(6、7)を潤滑剤で湿潤させるための湿潤ステーション(5)に搬送され、当該湿潤ステーション(5)において前記潤滑剤の塗布装置(8)に沿うように前記タイヤビード(6,7)と共に移動される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気タイヤ(4)は、当該空気タイヤ(4)の回転軸線が前記リム(10)の回転軸線と角度をなすように前記リム(10)に対して傾斜した位置で、第1タイヤビード(6)を組み付けるように、前記ハンドリングロボット(1)によって前記リム(10)上に配置され、
前記リムフランジ(12)の一部が、前記第1タイヤビード(6)の開口部内に入り込み、当該タイヤビード(6)が、前記リム(10)のドロップセンター(13)の位置で前記リムフランジ(12)の当該一部の領域で静止するようになり、引き続いて、前記リム(10)に対する前記空気タイヤ(4)の傾斜を低減することによって、前記タイヤビード(6)が前記リムフランジ(12)上を滑らされる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1タイヤビード(6)は、前記組み付けツール(15)を有する前記ハンドリング装置の助けを借りて取り付けられ、
前記ハンドリング装置の動きは、前記ハンドリングロボット(1)の動きと協調され、
前記ハンドリングロボット(1)の動きの間に、前記組み付けツール(15)が前記リムフランジ(12)上の円形経路に沿って案内され、それにより、前記第1タイヤビード(6)は、前記リムフランジ(12)上に完全に滑り込まされる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記塗布装置(8)は、前記潤滑剤で湿潤され得る棒状の静止式のブラッシング装置を含んでおり、
前記ハンドリングロボット(1)は、前記空気タイヤ(4)を前記ブラッシング装置の周囲で旋回させる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記空気タイヤ(4)は、前記リム(10)に対する傾斜が減少される時、前記ハンドリングロボット(1)によって前記ドロップセンター(13)と前記タイヤビード(6、7)との間の接触点の回りに回転される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記空気タイヤ(4)は、前記ハンドリングロボット(1)または前記ハンドリング装置による組み付け中に、取り付け対象の前記タイヤビード(6、7)が楕円形状になるように、変形される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記空気タイヤ(4)を前記リム(10)上に組み付けた後、前記ハンドリングロボット(1)は、取り付け済みのホイール(16)を、当該ホイール(16)を搬送するコンベア装置にまで移送する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の方法を実施するための装置であって、
3方向に移動可能な関節式アーム(3)を有し、その自由端に空気タイヤ(4)を把持して保持するためのグリッパ(2)を有するハンドリングロボット(1)と、
ホイールリム(10)を解放可能に保持するためのクランプ装置(11)を有する組立ステーション(9)と、
を備え、
タイヤビード(6、7)とホイールリムフランジ(12)の間に沿って案内され得る組み付けツール(15)が装備された組み付けヘッド(14)を有するハンドリング装置
を更に備え、
湿潤ステーション(5)と前記組立ステーション(9)とは、前記ハンドリングロボット(1)の作業範囲内に配置されている。
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
前記ハンドリングロボット(1)の作業領域内に配置された、潤滑剤で湿潤され得る塗布装置(8)を有する湿潤ステーション(5)
を更に備え、
前記ハンドリングロボット(1)は、湿潤対象の前記空気タイヤ(4)を前記塗布装置(8)にまで案内する
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ハンドリングロボット(1)の前記グリッパ(2)は、本質的に前記ホイールリム(12)の前記ドロップセンター(13)の高さで前記第2タイヤビード(7)を押圧する少なくとも1つの押さえ装置を有する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記ハンドリング装置と前記ハンドリングロボット(1)とは、それらの動きを同期させる同期装置に結合されている
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み付け中に空気タイヤを案内するハンドリングロボットを用いた、空気タイヤをリムに組み付けるための方法に関する。また、当該方法を実施するための装置も、説明される。
【背景技術】
【0002】
車両用ホイールの工業的生産では、まず、共属するリムとタイヤとが別々に搬入され、その後、完全ホイールが完成するまで、様々な生産ステーションで次々に処理(加工)がなされる。ここで、リム及びタイヤは、種類(タイプ)に応じて、識別され、ソーピングされ、組み立てられる必要がある。組み立てられたホイールは、通常、自動的に空気圧が充填され、車に取り付けられ得るようにバランス調整される。この類のホイール生産は、高いレベルの品質管理が要求される。なぜなら、製造が不十分な車両用ホイールは、安全上のリスク、特に高速走行時の安全上のリスク、を提供してしまって、車両の運転挙動に大きな影響を及ぼし得るからである。個々の生産段階は、部分的に相互依存しているため、予備段階でのエラーは、最終ホイールにおいて要求品質公差が超えられてしまうことに帰結し得て、当該ホイールを使用不能にし得る。従って、このような生産ラインにおける各生産ステーションは、許容可能な生産公差を可能な限り守るように、設計される。
【0003】
車両用ホイールを機械的に組み立てるための1つの方法において、リムディッシュを上向きまたは下向きとされたリムが、クランプ装置によって水平位置に保持される。空気タイヤは、リム上に角度を持って(斜めに)置かれ、リムに近づくように押し込まれ、下方タイヤビードの下部がリムのウェル内に押し込まれる一方、下方タイヤビードの上部は上方リムフランジを超えて突出した状態となる。次に、組付けツールが上方からタイヤ及びリム上に下降されて、タイヤのサイドウォールをリムのウェルの高さまで押し下げる。組付けツールをリムの回転軸の回りに回転させることによって、タイヤビードがリム上方リムフランジの上方に連続的に引っ張られる。
【0004】
US5,170,828Aは、ドロップセンターリム上に空気タイヤを組み付けるための方法を開示している。この方法によれば、空気タイヤは、クランプ装置に保持されたリム上に、コンベヤ装置によって上方から載置され、その後、リムと共に組付け充填ステーションに搬送される。そこで、タイヤは、空気入れベルによってリム上を滑らされ、当該空気入れベルの助けを借りて空気を入れられる。当該空気入れベルは、ハンドリング装置によって移動され、タイヤのビードに作用する。
【0005】
US4,621,671Aは、ドロップセンターリム上に空気タイヤを組み付けるための機械を開示している。この機械によれば、リムがコンベヤラインに沿ってパレット上を所定の距離だけ搬送されて、2つの互いに背中合わせに配置されたタイヤ組付装置まで搬送される。
【0006】
リム上に空気タイヤを組み付けるための装置は、WO99/42309A1からも公知である。当該装置は、3方向に移動可能な関節運動式アームを有するロボットを備え、当該ロボットは、移動経路に沿って移動され得る。当該移動経路は、中央装置のメモリに記憶される複数のプログラム可能な所定の(事前決定された)移動経路から選択され得る。
【0007】
DE102006057171A1は、回転駆動可能なフランジを有して複数の軸の回りに移動可能なロボットハンドと、当該ロボットハンドに取り付けられたグリッパと、を備えたハンドリングロボットを用いて、車両ホイールのリム上に空気タイヤを組み付けるための装置を開示している。当該グリッパは、ベース本体と、当該グリッパの中心軸に対して放射方向に移動可能な複数のグリッパアームと、を有する。当該複数のグリッパアームは、当該グリッパアームの放射方向の移動を同期させる同期装置に結合されている。当該同期装置は、ベース本体に回転可能に取り付けられモータによって回転駆動され得るディスクと、ジョイントによって前記ディスクと前記複数のグリッパアームとに取り付けられて前記ディスクの回転時に前記複数のグリッパアームの同期した放射方向の運動を引き起こす複数のカップリング要素と、を有する。
【0008】
DE102005030692A1は、空気タイヤをリム上に自動的に組み付けるためのハンドリングロボットを開示している。空気タイヤは、ハンドリングロボットの旋回アームまたはロボットハンドに取り付けられて当該空気タイヤを適切な態様で把持(グリップ)して保持し得るグリッパの助けを借りて、取り扱われ、組み付けられる。空気タイヤは、トレッドの領域内の外周で、グリッパによって把持される。更に、空気タイヤを把持するグリッパのフィンガまたはアームは、把持された空気タイヤがグリッパに対して(ひいてはロボットハンドに対しても)常に決められた中心位置に位置するように、互いから離間しており且つ互いに対して同期して移動される。
【0009】
DE202018106191は、複数の空間方向に移動され得る関節式アームと、その自由端に2つのグリッパアームを有するグリッパと、を含むハンドリング装置を備えた、タイヤをその外周で把持及び保持するための装置を開示している。マルチリンクグリッパアームは、1つのグリッパセグメントの移動が別のグリッパセグメントの移動につながるように、同期手段を介して互いに能動的に接触する複数のセグメントで構成されている。グリッパアームの把持運動は、タイヤの軸線を横切る平面内で行われ、複数のグリッパセグメントが、それらの接触面でタイヤの外周と接触させられ得る。これは、異なる外径を有するタイヤが、グリッパアームまたはそれらのグリッパセグメントが同期して放射方向に移動することで、更なる処理(加工)のためのタイヤの側面をブロック(遮蔽)することなく、外周で把持され得る、ということを意味する。
【0010】
WO2008/063212A2は、複数のロボットが協働して決められた作業を行うタイヤ組み付けシステムを開示している。例えば、リムロボットが、リムをソーピングステーションに移動させ、ソーピング後にリムを置く(セットする)。一方で、タイヤロボットが、タイヤに対して同じ処理を実施する。組み付けロボットが、ホイールを組み立てるために使用され、そこで、タイヤ及びリムが取り付けられる。
【0011】
DE102011002180B3は、空気タイヤをウェルベースリム上に組み付けるための方法を開示している。ここで、空気タイヤは、ハンドリング装置上に配置されたグリッパによって、トレッド上で把持され、グリッパの制御された動きによって、第1タイヤビードがリム上でスライドされる。その後、グリッパは、空気タイヤから解放され、空気タイヤは、アクチュエータによって、第2タイヤビードを組み付けるための初期位置に移動される。リムの軸線の回りにグリッパを回転させることによって、グリッパ上に配置された組み付けツールがリムに沿って案内され、第2タイヤビードがリム上をスライドされる。
【発明の概要】
【0012】
公知の装置の問題点は、複数のハンドリング装置を備えた複数の組立ステーションが必要とされていることである。これは、特に、コストがかかり、システムのメンテナンスが複雑である。
【0013】
本発明の課題(目的)は、自動化に悪い影響を及ぼすこと無しで、ハンドリング装置の数を減らすことができる、空気タイヤの自動組み付けのための方法を提供することである。
【0014】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。好ましい実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0015】
本発明によれば、当該課題は、以下の方法を提供することによって解決される。当該方法は、空気タイヤを車両ホイールのドロップセンターリム上に組み付けるための方法であって、前記空気タイヤは、3方向に移動可能なハンドリングロボットの関節式アーム上に配置されたグリッパによって提供位置でトレッド上で把持され、前記タイヤは、クランプ装置に保持されたリムに接近され、当該空気タイヤを保持するグリッパの制御された動きによって、前記リムに面する第1タイヤビードが前記リムのリムフランジ上に滑らされ、第2タイヤビードが、組み付けツールを有するハンドリング装置の助けを借りて取り付けられ、前記ハンドリング装置は、前記ハンドリングロボットの動き(特には円形経路に沿った動き)の間に、前記組み付けツールを前記リムフランジ上の円形経路に沿って案内し、それにより、前記第2タイヤビードは、前記リムフランジ上に完全に滑り込まされ、前記ハンドリングロボットの動きは、ハンドリング装置の動きと協調される、ことを特徴とする方法である。
【0016】
ハンドリングロボットは、所定の、あるいは、自由にプログラム可能な、タイヤの位置決め及び移動を実施し得る。当該位置決め及び移動は、特に第2タイヤビードを組み付ける時、組み付けツールを有するハンドリング装置の動きと協調される、すなわち、両者の動きが協調される。例えば、ハンドリングロボットによって保持されるタイヤは、ハンドリング装置の組み付けツールによって行われる作業または活動がより単純またはより容易となって、より迅速、より安全且つより効率的に実施され得るように、傾斜され得る。
【0017】
本発明による方法は、ハンドリングロボットとハンドリング装置との協調動作のために、多数のツールをもはや必要とせず、組み付け作業、すなわち、タイヤのハンドリングが、基本的に、単一のハンドリングロボットによって実施され得る、という利点を有する。これは、当該(単一の)ハンドリングロボットが、古典的な組み付け機械から全てのタイヤ組み付けツールの役割を引き継ぐことを意味し、そのため、前後タイヤリフター、タイヤプッシャー、押さえ装置、等のツールはもはや必要とされず、単純な組み付けシステムが提供される。有利なことに、当該ハンドリングロボットは、組み付けヘッドに配置されていない全てのタイヤ操作ツールの機能を引き継ぐ。とりわけ、タイヤは、組み付け工程全体に亘って、ハンドリングロボットによってトレッド上で保持される。これは、コンベアの高速化とそれに伴うサイクルタイムの短縮化を可能にし、1つのコンベアから次のコンベアへタイヤを移送する時のタイヤの不正確な位置決めを回避する。このような組み付けシステムは、また、付加的なステーションが追加され得るため、容易に拡張され得る。
【0018】
あるタイプのタイヤでは、組み付けを簡単化するために、組付けの前に空気タイヤを潤滑剤で湿潤させておくことが有利である。この点で、既に(予め)潤滑剤で湿潤された空気タイヤが(特には提供位置に)提供され、ハンドリングロボットの関節式アーム上に配置されたグリッパによってトレッドにおいて把持され、クランプ装置に保持されたリムまで運ばれ、空気タイヤを保持するグリッパの制御された動きによって、リムに面する第1タイヤビードがリムのリムフランジ上に滑らされる、ことが有利であり得て、第2タイヤビードが、組み付けツールを有するハンドリング装置の助けを借りて取り付けられ、当該ハンドリング装置は、ハンドリングロボットの動き(特には円形経路に沿った動き)の間に、組み付けツールをリムフランジ上の円形経路に沿って案内し、それにより、第2タイヤビードはリムフランジ上に完全に配置されハンドリングロボットの動きはハンドリング装置の動きと協調される、ことが有利であり得る。
【0019】
空気タイヤ(特にはそのリムビード)のソーピングもまた、ハンドリングロボットによって実施されることが好ましい。すなわち、ハンドリングロボットが空気タイヤを提供位置から取り外した後であって、潤滑剤で湿潤された空気タイヤがクランプ装置に運ばれる前に、ソーピングがハンドリングロボットによって実施されることが好ましい。従って、車両ホイールのドロップセンターリム上に空気タイヤを組み付けるための方法が好ましい。当該方法では、
空気タイヤは、3方向に移動可能なハンドリングロボットの関節式アーム上に配置されたグリッパによって、提供位置において、トレッドで把持され、
ハンドリングロボットによって、タイヤビードを潤滑剤で湿潤させるための湿潤ステーションに運ばれ、当該湿潤ステーション内の潤滑剤用の塗布装置に沿ってタイヤビードと共に移動され、
次いで、潤滑剤で湿潤されたタイヤは、ハンドリングロボットによって、クランプ装置に保持されたリムにまで移動され、空気タイヤを保持するグリッパの制御された動きによって、リムに面する第1タイヤビードがリムのリムフランジ上に滑らされ、
第2タイヤビードが、組み付けツールを有するハンドリング装置の助けを借りて取り付けられ、当該ハンドリング装置は、ハンドリングロボットの動き(特には円形経路に沿った動き)の間に、組み付けツールをリムフランジ上の円形経路に沿って案内し、それにより、第2タイヤビードはリムフランジ上に完全に滑り込まされ、ハンドリングロボットの動きはハンドリング装置の動きと協調される。
【0020】
本発明による方法は、以前は別個の複数のハンドリング装置によってまたは手作業によって実施されていた更なる処理ステップを、ハンドリングロボットで実施すること、及び、それらを処理に一体化すること、を可能にする。従って、タイヤ組み付けシステムは、より単純化され得て、コスト及びメンテナンス労力は低減され得て、サイクルタイムは短縮化され得る。
【0021】
一実施形態では、前記空気タイヤは、当該空気タイヤの回転軸線が前記リムの回転軸線と角度をなすように前記リムに対して傾斜した位置で、第1タイヤビードを組み付けるように、前記ハンドリングロボットによって前記リム上に配置され、前記リムフランジの一部が、前記第1タイヤビードの開口部内に入り込み、当該タイヤビードが、前記リムのドロップセンターの位置で前記リムフランジの当該一部の領域で静止するようになり、その後、前記リムに対する前記空気タイヤの傾斜を低減することによって、前記タイヤビードが前記リムフランジ上を滑らされる。これは、ハンドリングロボットのみを使用して第1ビードを装着することを容易にする。このことは、より低いコスト及びより短いサイクルタイムに関連けられる。
【0022】
好ましくは、前記第1タイヤビードは、前記組み付けツールを有する前記ハンドリング装置の助けを借りて取り付けられ、前記ハンドリング装置の動きは、前記ハンドリングロボットの動きと協調され、前記ハンドリングロボットの動きの間に、前記組み付けツールが前記リムフランジ上の円形経路に沿って案内され、それにより、前記第1タイヤビードは、前記リムフランジ上に完全に装着される。あるタイプのタイヤでは、第1ビードを組み付けるために組み付けツールを使用することが有利である。但し、このステップは、ハンドリングロボットと組み付けヘッドとの協調動作によっても実施され得る。ここで、ハンドリングロボットによる空気タイヤの傾斜付けも、円形経路に沿って行われること、そして、当該円形経路が組み付けヘッドまたは組み付けツールの半径よりも大きい半径を有すること、が有利であることが示されている。結果として、組み付けツールと空気タイヤの傾斜部(特には空気タイヤの最下点)とは、それらの円形経路上を同期して移動し、リムの長手方向軸に対する半径方向で、一方が他方の後方に位置する。従って、組み付けツールと空気タイヤの傾斜部(特に空気タイヤの最下点)とは、有利なことに、それらの円周経路上で、半径方向に一方が他方の後方に位置する。
【0023】
前記塗布装置が前記潤滑剤で湿潤され得る棒状の静止式のブラッシング装置を含んでおり、前記ハンドリングロボットが前記空気タイヤを前記ブラッシング装置の周囲で旋回させる場合に、有利であり得る。空気タイヤがその周囲で旋回されるブラシを使って潤滑剤を塗布することは、効率的で費用対効果の高い湿潤方法であることが証明されている。
【0024】
本発明の更なる提案によれば、前記空気タイヤは、前記ハンドリングロボットまたは前記ハンドリング装置による組み付け中に、取り付け対象の前記タイヤビードが楕円形状になるように、変形される。これを可能にするために、空気タイヤを保持するグリッパは、当該グリッパが定義された(予め決められた)非同期のクランプ動作を実施するように、制御され得る。代替的に、空気タイヤの楕円形は、組み付けヘッド(特にはそのツール)の半径方向の動きによって達成され得る。
【0025】
本方法を実行するための装置は、3方向に移動可能な関節式アームを有し、その自由端に空気タイヤを把持して保持するためのグリッパを有するハンドリングロボットと、リムを解放可能に保持するためのクランプ装置を有する組立ステーションと、タイヤビードとリムフランジの間に沿って案内され得る組み付けツールが装備された組み付けヘッドを有するハンドリング装置と、を備え、前記組立ステーションは、前記ハンドリングロボットの作業範囲内に配置されている。
【0026】
ハンドリングロボットは、既に(予め)潤滑剤で湿潤された空気タイヤを受容し得る。代替的に、ハンドリングロボットは、空気タイヤを古典的な湿潤ステーションに運ぶことができ、そこで空気タイヤは例えば手作業によって潤滑剤で湿潤される。好ましい一実施形態では、特にハンドリングロボットの作業領域内に、潤滑剤で湿潤され得る塗布装置を有する湿潤ステーションが設けられ、それによってハンドリングロボットは、湿潤対象の空気タイヤを当該塗布装置に案内する。ここで、ハンドリングロボットは、ローディングステーションから空気タイヤをピックアップし、湿潤ステーションで協調的なソーピング動作を実施し、その後、湿潤された空気タイヤを組立ステーションに保持されたリムに導くことによって、空気タイヤのソーピングをも引き継ぐ。
【0027】
本発明の範囲内で組み付けロボットとも称され得るハンドリングロボットというのは、3方向に移動可能な関節式アームを備え、その自由端において空気タイヤを把持して保持するためのグリッパ(好ましくは関節式アームに対して移動可能)を担持している。グリッパは、タイヤをその外周で把持し得て、半径方向のクランピングによって強制ロック(フォースロック)式に保持し得るように、設計される。好ましくは、タイヤは、円周上に分布され、タイヤトレッド上に位置する、3またはそれ以上の点で保持される。本発明による装置は、タイヤ組み付け時にリムを保持するためのクランプ装置を備えた組立ステーションを備える。更に、一実施形態では、タイヤのビードを潤滑剤で湿潤させるための塗布装置(特にはブラシ)を備えた湿潤ステーションが、ハンドリングロボットの作業領域内に配置され得る。好ましくは、当該湿潤ステーションは、装着対象のタイヤを供給するためのコンベヤ装置の端部に直接的に配置される。また、湿潤ステーションを前記コンベヤ装置のコンベヤ部の端部に一体化することも可能であり得る。
【0028】
ハンドリングロボットは、有利には、通常のタイヤ組み付けツールの作業を引き継ぐ。ハンドリングロボットのグリッパが、本質的にリムのドロップセンターの高さで第2タイヤビードを押圧する少なくとも1つの押さえ装置を有する場合に、有利であり得る。
【0029】
ハンドリングロボット及びハンドリング装置(特には組み付けヘッド)の制御を調整または同期させるために、同期装置が設けられ得る。当該同期装置は、例えば、プログラム制御されるハンドリングロボット及びハンドリング装置の1つのコンポーネント(構成要素)であり得て、それらとデータ交換可能な態様で接続された制御ユニットによって制御され得る。タイヤのタイプなどの関連データが、当該制御ユニットを介して入力され得て、本発明による装置は制御され得る。この目的のために、制御ユニットは、タッチスクリーン等の入力手段を有し得る。
【0030】
以下、図面に示される本発明の実施形態を参照して、本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、湿潤ステーションにおける空気タイヤ及びハンドリングロボットを示す。
【
図2】
図2は、組立ステーションにおける湿潤された空気タイヤ及びハンドリングロボットを示す。
【
図4】
図4は、組み付けヘッドを使用した第1ビードの組み付けを示す。
【
図5】
図5は、組み付けヘッドを使用した第1ビードの組み付けを示す。
【
図6】
図6は、組み付けヘッドを使用した第1ビードの組み付けを示す。
【
図7】
図7は、組み付けヘッドを使用した第2ビードの組み付けを示す。
【
図8】
図8は、組み付けヘッドを使用した第2ビードの組み付けを示す。
【
図9】
図9は、取り付けられたホイールの更なる搬送を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、湿潤ステーションにおける空気タイヤ及びハンドリングロボットを示している。ハンドリングロボット1は、産業用ロボットのフリーアームに取り付けられるようなグリッパ2と、複数の移動軸線を有する関節式アーム3と、を備えている。関節式アーム3によって、グリッパ2は、3つの空間方向に移動され得る。このようなグリッパ2は、例えば、DE202018106191U1から公知であり、当該文献の内容は本明細書に明示的に含まれる。もっとも、本発明による方法は、グリッパ2の特定の実施形態に限定されない。単に、従来技術で知られていて空気タイヤをそのトレッド上で保持し得るグリッパが、本発明による方法に適しているというだけである。複数のグリッパ要素の同期した動きを許容するグリッパが、好ましい。複数のグリッパ要素の同期した動きの代わりに、例えば、グリッパによってタイヤが楕円形に押圧される場合には、非同期の動きも提供され得る。後者の場合、複数のグリッパ要素の動きは、タイヤの楕円形の中心がグリッパの中心となるように、中心合わせされるべきである。
【0033】
更に、グリッパ2は、関節式アーム3に接続されており、2つの軸線の回りに回転可能である。本発明の範囲内で組み付けロボットとも称され得るハンドリングロボット1は、複数の独立した駆動部を有しており、それらは、プログラム可能な制御装置によって制御され得て、グリッパ2が正確な位置に移動されることを可能にし得る。グリッパ2は、例えば
図1には不図示のコンベヤ装置からの取り付け対象の空気タイヤ4をその外周で把持する。これにより、空気タイヤ4は、半径方向に張力を与えられ、強制ロック式に保持される。取り付け対象の空気タイヤ4を供給するコンベア装置は、好ましくは、ハンドリングロボット1の作業領域内に配置される。
【0034】
一実施形態では、ハンドリングロボット1の作業領域内に、湿潤ステーション5が配置され得る。湿潤ステーション5は、組み付け工程を容易化するために、組み付け前に、タイヤビード(すなわち下方ビード6及び上方ビード7)を潤滑剤で湿潤するように機能する。これは、空気タイヤ4をソーピングする工程が本発明による処理に容易に含まれ得ることを意味する。ここでも、空気タイヤ4は、ハンドリングロボット1によって保持または移動される。このため、空気タイヤ4は、組み付け処理の全体に亘って、更に付加的にソーピング工程中においても、ハンドリングロボット1によってその走行面で保持される。代替的に、ハンドリングロボット1は、ソーピングされた空気タイヤ4、すなわち潤滑剤で湿潤された空気タイヤ4、を提供位置から取り出し得て、更なる組み付け処理にそれを給送し得る。この場合には、空気タイヤ4のソーピングは、手動によるまたは別個の装置を用いるなどの従来の手段によって、実施される。
【0035】
湿潤ステーション5は、潤滑剤を塗布するための塗布装置8を備え、これは例えばブラシとして設計され得る。湿潤ステーション5は、平坦なトレイを有するテーブルを含み得て、その中央に円筒形の固定ブラシが配置され得る。あるいは、スプレーノズルが塗布装置8として設けられ得る。以下では、塗布装置8としてブラシを用いる潤滑剤の塗布が説明される。液体潤滑剤、例えば石鹸液が、液槽(タブ)の下方に配置されたポンプによって、液槽からブラシの中央の供給ラインを通ってブラシの頂部にまで運ばれ、それによってブラシは潤滑剤で含浸される。グリッパ2によってトレッドで保持された空気タイヤ4は、ハンドリングロボット1の助けによって、湿潤ステーション5の塗布装置8(特にはブラシ)の上方に移動され、ブラシが2つのタイヤビード6、7の開口部内に入り込むまで下降される。この工程の間、タイヤ4はブラシと本質的に中心合わせされる。図示の例におけるブラシの直径は、ビード6、7の内径より小さい。その後、空気タイヤ4は、ビーズ6、7がブラシに一点で接触するまで移動される。そして、空気タイヤ4及びグリッパ2は、ブラシの軸線の回りに円形経路上を1回または数回移動される。これにより、ブラシはタイヤビード6、7に沿って滑り、潤滑剤でそれらを完全に湿潤する(濡らす)。湿潤後、空気タイヤ4は、ブラシに対して再度中心合わせ(センタリング)され、湿潤ステーション5から上方に取り出される。
【0036】
図2は、組立ステーションにおけるハンドリングロボット1及び湿潤された空気タイヤ4を示し、
図3は、第1ビード6の組み付けを示している。組立ステーション(組み付けステーション)9が、ハンドリングロボット1の作業領域内に配置されている。組立ステーション9では、潤滑剤で湿潤された空気タイヤ4が、ハンドリングロボット1の助けを借りて、クランプされたリム10に取り付けられる。タイヤ4に適合したリム10が、適切なクランプ装置11によって水平位置に固定されている。
【0037】
ハンドリングロボット1は、空気タイヤ4を、その元の水平位置から当該水平位置に対する傾斜位置へと移動させる。次に、空気タイヤ4は、リム10上に下降され、下方ビード6が最下点を先にして上方リムフランジ12上を本質的に半径方向にスライドされ(滑らされ)、これによってリムフランジ12がタイヤビード6の開口部に部分的に入り込み(滑り込み)、タイヤビード6はその最下点をリム10のドロップセンター13に当てて静止する。この状態に到達すると、すなわち、空気タイヤ4がリム10に対する傾斜を減らすと、リム10に対するタイヤ4の半径方向の移動は終了し、タイヤ4は、当該タイヤ4がほぼ水平位置に戻るように、タイヤビード6とドロップセンター13との間の接触点の回りに回転される。これにより、タイヤビード6は、リムフランジ12上に完全に滑り込まされる。
【0038】
図4乃至
図6は、組み付けヘッドを用いた第1ビードの組み付けを示す。あるタイプの空気タイヤ4では、組み付けツールを用いた組み付けが有利であり、より容易であり得る。このようなタイヤ組み付けの場合、一実施形態によれば、組み付けヘッド14を用いて第1ビード6が取り付けられ得る。組み付けヘッド14は、リム10の上方に、特にはリム10の軸線と同軸に、配置されて、不図示のハンドリング装置によって様々な方向に移動され得る。ハンドリング装置は、線形(リニア)駆動部と回転駆動部とを備えた単純な組み付けステーションとして設計され得る。もっとも、ハンドリング装置は、その自由端に組み付けヘッド及び組み付けツールが配置された産業用ロボットとしても設計され得る。
【0039】
組み付けツール15が、組み付けヘッド14上に移動可能に配置され、特にはビードディフレクタと組み付けローラとを含む。組み付けツール15の位置は、異なるリム径やタイヤ径に適応するように、半径方向に調整され得る。追加要素、例えばトラッキングローラ、の配置も提供され得る。また、第1セットの組み付けツールに対して直径方向の反対側に第2セットの組み付けツールを配置することも有利であり得る。
【0040】
第1ビード6の組み付けを開始するために、ツール15が上方ビード7の開口部を通ってリム10の縁の作業位置に移動される。ツール15が
図4に示される位置に到達するとすぐに、組み付けヘッド14がリム10の軸線の回りに時計回りに回転される。ツール15は、リム10の縁に沿って移動し、そのビードディフレクタが下方ビード6をリム10の縁の上方に連続的に押し出し、ビードディフレクタに続く加圧ローラがビード6をリム10の中心に向かって押し下げる。同時に、ハンドリングロボット1は、組み付けヘッド14の回転に同期して、保持されている空気タイヤ4を傾ける。組み付けツール15の円形経路の半径は、空気タイヤ4の傾斜が辿る円形経路の半径よりも小さいので、傾斜された空気タイヤ4、特には当該空気タイヤ4の最下点は、組み付けツール15の近くに位置し、すなわち、組み付けツール15と、ハンドリングロボット1によって実施される空気タイヤ4の傾斜(特には空気タイヤ4の最下点の傾斜)とは、本質的に、リム10の長手方向の軸線に対する半径方向(周方向)に、それぞれの円形経路に沿って同期して、移動する。これは、空気タイヤ4の組み付けを大幅に簡素化する。組み付けヘッド14の動きとハンドリングロボット1の動きとは、協調され、両者は共に円形経路に沿って同期した動きを実施する。これにより、ハンドリングロボット1は、空気タイヤ4の準移動傾斜を通して、組み付けヘッド14またはそのツール15の動作を支援する。これに対応してプログラム可能な制御装置が、組み付けヘッド14またはその同期装置の制御部と、ハンドリングロボット1またはその同期装置の制御部と、にデータ交換可能な態様で接続され得る。ハンドリングロボット1の制御ユニットは、当該制御ユニットを介して入力されるリム10または空気タイヤ4のサイズ及び位置についてのデータを使用して、空気タイヤ4を把持するグリッパ2の動きを正確に制御し得て、それを組み付けヘッド14の動きと協調させ得る。組み付けヘッド14が円形経路上の事前に定義された地点に到達するか、対応するセンサが第1ビード6の組み付け完了を検知するか、あるいは、空気タイヤ4が再び水平位置(姿勢)になった時、第1タイヤビード6の組み付けは本質的に完了する。
【0041】
第2ビード(上方タイヤビード)7を取り付けるために、組み付けツール15は、第1タイヤビード6を組み付けた後、初期位置に移動され得る。当該位置では、組み付けツール15は、リム10の縁の近くに位置決めされる。組み付けツール15を更に下降させることにより、第2ビード7は、一点で上方リムフランジ12の上方に押し付けられ、リム10のドロップセンター13に接触する。組み付けツール15の当該下降は、ハンドリングロボット1のグリッパ2による空気タイヤ4の傾斜を伴う。この傾斜は、下方ビード6がタイヤ4の反対側でリム10のドロップセンター13から滑り落ちるのを防止する程度でのみ、実施される。この時、タイヤ4の傾斜は、円形経路に沿って行われ、組み付けヘッド14または組み付けツール15の移動も、円形経路に沿って行われる。ここでも、空気タイヤ4の動き(すなわちその準移動傾斜)と、組み付けヘッド14または組み付けツール15の動きとは、同期される。円形経路の半径が異なるという事実は、空気タイヤ4の最下点と組み付けツール15とが互いに近づくように案内され得ることを意味し、両者がリムの長手方向軸線に対して半径方向に互いに前後になることを意味する。
【0042】
第2タイヤビード7の組み付けは、ツール15がその開始位置に再び到達する時にのみ、特にはほぼ完全なまたは完全な円運動の後にのみ、完了する。その後、クランプ装置11がリム10を解放し、ハンドリングロボット1がリム10及びタイヤ4からなる取り付け済ホイール16を後続の処理ステーション、例えばタイヤ膨張ステーション、に搬送し得る。
【0043】
本発明による方法または装置の利点は、ハンドリングロボット1が組み付け処理全体に亘ってタイヤ4を保持し、それによって、タイヤ搬送中のエラー発生を排除(低減)する、という事実を含む。組み付けが簡素化され、サイクルタイムも短縮化される。
【国際調査報告】