(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】振動マルチツール用ブレード
(51)【国際特許分類】
B26D 7/08 20060101AFI20241031BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20241031BHJP
B27B 19/02 20060101ALI20241031BHJP
B26D 1/00 20060101ALI20241031BHJP
B23D 61/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B26D7/08 A
B26D1/06 B
B27B19/02
B26D1/00
B23D61/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531231
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 GB2022053004
(87)【国際公開番号】W WO2023099873
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524195329
【氏名又は名称】マルチツール ラボ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モナハン シェーン
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027AA06
3C027AA12
(57)【要約】
振動マルチツール用のブレードが開示されている。ブレードは、取り除かれて新たな鋸歯状の刃先を出現させることが可能である複数の折り取り部分を有する。少なくとも1本のカットアウト線がブレード部の幅に沿って形成されており、鋸歯状前側縁部の後ろにおいて、各カットアウトは少なくとも1つの実質的に前向きの頂点を画定し、及び、カットアウト間にはブレード部の幅に沿って隙間が形成されており、カットアウトの前方のブレード部の前側部分は、カットアウトの後ろのブレード部の後側部分に、カットアウト間における横方向の隙間中の材料によって少なくとも取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動ツール用のブレードアセンブリであって:
振動ツールと結合されるための取付け形状を有する取り付け部と、
ブレード部であって、鋸歯状前側縁部を有する前記ブレード部と
を備えるブレードアセンブリであり、
少なくとも1本のカットアウト線が前記ブレード部の幅に沿って形成されており、前記鋸歯状前側縁部の後ろにおいて、各カットアウトは少なくとも1つの実質的に前向きの頂点を画定し、及び、前記カットアウト間には前記ブレード部の前記幅に沿って隙間が形成されており、前記カットアウトの前方の前記ブレード部の前側部分は、前記カットアウトの後ろの前記ブレード部の後側部分に、前記カットアウト間における横方向の前記隙間中の材料によって少なくとも取り付けられている、ブレードアセンブリ。
【請求項2】
前記カットアウトの1つは、前記ブレード部の側縁部において前向きの頂点に延在する、請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項3】
他の1つのカットアウトは、前記ブレード部の他の側縁部において前向きの頂点に延在する、請求項2に記載のブレードアセンブリ。
【請求項4】
前記カットアウトの少なくとも1つは実質的にV字状であり、前記V字の頂点は前方を向いている、請求項1~3のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項5】
前記カットアウトの少なくとも1つは実質的にW字状であり、2つの頂点が前方を向いていると共に、1つの頂点が後ろを向いている、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項6】
前記カットアウトは貫通して切り欠きされており、前記ブレード部は、材料を完全に貫通して切断されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項7】
前記カットアウトは部分カットアウトであり、前記ブレード部は薄肉化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項8】
前記ブレード部はカーバイド鋼製である、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項9】
前記カットアウトは傾斜している、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項10】
複数のカットアウト線が形成されており、前記線は、前記ブレード部の長さに沿って離間している、請求項1~9のいずれか一項に記載のブレードアセンブリ。
【請求項11】
前記ブレード部の前側部分を折り取るためのツールと組み合わされた請求項1~10のいずれか一項に記載のブレードアセンブリであって、前記ツールは、前記ブレード部の前記前側部分を収容するスリットを有する本体を備える、ブレードアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動切断ツール用のブレードに関し、特に、複数の刃先を有し、摩耗されて鈍くなった刃先を折り取って新たな刃先を出現させることが可能であるブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
振動カッター又はマルチツールは、特に、例えば巾木又はアーキトレーブに合うように詳細な形状に合わせるために切断が必要である例えば木材、ビニルタイル及び他の建築資材の微細な切断といった多様な用途において非常に有用である。
【0003】
これらのツールには多様に異なるブレード形状が利用可能である。ブレードは、典型的には単一のレバーによる「クイックリリース」機構を利用してツールから取り外し可能である。ブレードは、摩耗した場合に、又は、異なる形状のブレードが必要とされる場合に取り外されて、交換可能である。
【0004】
ブレードは、使用に伴って不可避的に摩耗して鈍くなる。摩耗したブレードは廃棄され、リサイクルされる場合もあるが、多くの材料及び費用が無駄となってしまう。典型的には、ブレードアセンブリは、振動ツールと結合するための取付け形状を有する取り付け部と、切り刃を備えるブレード部との2つの部品から構成されている。これらの2つの部品は溶接されており、ブレード部が摩耗した場合、アセンブリ全体が廃棄される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、廃棄物を削減するためにより長期間使用可能である振動ツール用のブレードアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、振動ツール用のブレードアセンブリが提供されており、このブレードアセンブリは:
振動ツールと結合されるための取付け形状を有する取り付け部と、
ブレード部であって、鋸歯状前側縁部を有するブレード部とを備え、ここで、少なくとも1本のカットアウト線がブレード部の幅に沿って形成されており、鋸歯状前側縁部の後ろにおいて、各カットアウトは少なくとも1つの実質的に前向きの頂点を画定し、及び、前記カットアウト間にはブレード部の幅に沿って隙間が形成されており、カットアウトの前方のブレード部の前側部分は、カットアウトの後ろのブレード部の後側部分に、カットアウト間における横方向の隙間中の材料によって少なくとも取り付けられている。
【0007】
本発明のブレードアセンブリは、切断に使用される鋸歯状前側縁部を有する。一定期間使用した後、鋸歯状前側縁部は摩耗して鈍くなる。この時点で、ブレード部の前側部分を折り取ることが可能である。そして、わずかに短いブレード部の前側の部分に、新たな鋸歯状縁部が出現する。カットアウト線に沿った前向きの頂点が新たな鋸歯状縁部を形成する。
【0008】
カットアウトの一方はブレード部の側縁部まで延在することが好ましく、カットアウトの他方はブレード部の他の側縁部まで延在していることが好ましい。換言すると、ブレード部の末端の側縁部の各々においてはカットアウトが存在しており、前側部分と後側部分とが取り付けられている隙間は存在していない。これにより、前側部分が折り取られた時に出現する新たな鋸歯状縁部は確実にその縁部まで切断が可能であり、微細な切断作業での使用が可能となる。ブレード部の末端の側縁部の各々に頂点が存在していることが好ましい。
【0009】
各カットアウトは実質的にV字状であり得、V字の頂点は前方を向いている。V字状カットアウトは線に添って相互に隣接して設けられており、ブレード部の前側部分と後側部分とはカットアウトの間(すなわち、頂部の後ろ向きの「鈍い」V字の端部間の線)で取り付けられている。
【0010】
いくつかの実施形態において、カットアウト、又は、いくつかのカットアウトは、2つの前向きの頂点の間の後方を向く頂点を画定し得る。換言すると、カットアウトは実質的にW字状であり得、W字の底にある2つの頂点が前方を向いている。これにより、一部の材料及び用途について切断性能が向上し得る。
【0011】
異なる設計の鋸歯が、異なる材料、すなわち金属、乾燥木材、生木材、プラスチック等の効果的に切断に有用である。
【0012】
カットアウトは貫通して切り欠きされていてもよく、すなわち、ブレード部が材料を完全に貫通して切り欠きされていてもよい。或いは、カットアウトは部分的に切り欠きされていてもよく、すなわち、ブレード部は、折られた時にカットアウトに沿って破断するよう薄肉化されていてもよい。カットアウト間の隙間は連続する切れていない材料であり得、又は、いくつかの実施形態においては、カットアウト間の隙間が薄肉化されているが繋がっている材料であり得る。
【0013】
カットアウトは、例えばレーザ切断又はスタンピングによって形成し得る。ブレード部は、例えばカーバイド鋼製であり得る。カットアウトは傾斜して鋭利な鋸歯状縁部が形成されていることが可能である。
【0014】
好ましくは、ブレード部の長さに沿って間隔をあけて複数のカットアウト線が形成されている。例えば、10本のカットアウト線が、ブレード部の長さに沿って各々が間隔をあけて並んでいることが可能である。これにより11個の鋸歯状縁部(折り取りされる前に前側にある鋸歯状縁部を含む)が提供され、従って、最低限の余剰材料のみしか使わずに、同一の特徴を有する標準的なブレードよりも11倍長持ちするブレード(ブレード部は、すべてのカットアウト線のための隙間のために標準的なブレードよりもわずかに長い場合があるが、それにもかかわらず、使用される材料の総量は、11倍長く長持ちするブレードに対して例えば2倍未満の材料である可能性が高い)が提供される。
【0015】
次のカットアウトに沿って摩耗した縁部を折り取るためのツールが提供され得る。このツールは、ブレードアセンブリのブレード部の前側縁部を中に収容するスリットを有する本体を備え得る。スリットの深さは、ブレードの長さに沿ったカットアウト線間の隙間よりもわずかに浅いことが好ましい。ツールは、次のカットアウト線に添ってのみブレードが確実に折られることで、2つを同時に折り取ることで鋸歯状縁部が無駄にならないようにするために役立つ。
【0016】
本発明をよりよく理解するために、また、その実施をより明確に示すために、ここで、添付の図面を単なる一例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係るブレードの側面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るブレードの代替的実施形態の詳細図である。
【
図5】
図5は、ブレード部の前側部分がブレード部の後側部分から取り外された時の
図1のブレードの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず
図1を参照すると、振動ツール用のブレードが全体として10で示されている。ブレード10は、多くの既知のマルチツールブレードと同様に、取り付け部12及びブレード部14を有する。取り付け部12はスポット溶接16によりブレード部14に固定的に結合されているが、これらの部分を結合するための他の方法も可能であり、いくつかの実施形態においては、取り付け部12及びブレード部は、単一の連続する材料片から形成されていてもよい。
【0019】
図2において、前向きの鋸歯状縁部18が示されている。ブレードの長さは、前側縁部18から後方の取り付け部12に至るまでの長さであるとみなされる。ブレードの幅は、直交方向、すなわち、ブレードの前側縁部18に沿っている。従って、鋸歯状前側縁部18は、ブレードの一方の側面から他方の側面まで延在している。
【0020】
図2は、8本のカットアウト線20を示す。線20は概略的に示されており、カットアウトの配置及び各線に沿った隙間に関しては他の図面を参照すべきである。しかしながら、
図2から明らかであるとおり、鋸歯状前側縁部18が鈍くなったり摩耗したりすると、ブレード部の「A」と記された部分を、前側縁部18の後ろ側の次の線20に沿って折り取ることが可能である。これにより新たな鋸歯状縁部が現われ、これを用いて切断を継続することが可能となる。
【0021】
線20間の長さAよりわずかに短いスリットを有するツールを提供することにより、段階的に、ブレード部の前側部分を次の後ろの線に沿って確実に折り取ることが可能である。この例においては、ブレード10が最終的に完全に摩耗して廃棄が必要となる前に、これを8回繰り返して新しい鋭利な鋸歯状縁部を出現させることが可能である。
【0022】
図3は、カットアウト線20をより詳細に示す。
図2に示されている8本の線20は各々、
図3に示されている詳細により、同等であり得ることが理解されるであろう。ブレード10の線の前側の部分は「前側部分」24と称され、線20の後ろの部分は「後側部分」26と称される。1つの部分が折り取られると、新たな前側縁部が現われ、従って、新たに前側部分及び後側部分が指定される。
【0023】
この実施形態においては、9つのV字状カットアウト22が、V字の頂点がそれぞれ前方を向いて一列に並んで示されている。V字状カットアウト22は離間しており、前側部分24は、V字状カットアウト22間の隙間28における材料によって後側部分26に取り付けられている。この実施形態において、カットアウトは貫通して切り欠きされている。換言すると、材料が完全に除去されることで、前側部分24と後側部分26との間において、カットアウトに小さな間隙が形成される。前側部分24と後側部分26とは、カットアウト間の隙間28における材料によってのみ接続されている。
【0024】
末端の側縁部の各々において、カットアウト30は側縁部に至るまで延びて各側縁部において頂点32を形成していることに留意されたい。これは、前側部分が除去されて新たな鋸歯状縁部が出現すると、新たな鋸歯状縁部はその全幅にわたって切断可能となることを意味している。これは、振動ツールが多く使用される微細な切断作業には重要である可能性がある。
【0025】
図4は、前側部分24aが後方部分26aから折り取られた時に代替的な鋸歯状縁部を形成する、カットアウト線20aの代替的なパターンを示す。
図4において、5つのW字状カットアウト22aが示されており、W字状カットアウトの各々の2つの頂点は前方を向いていると共に、W字状カットアウトの中央の頂点は後方を向いている。この例において、後方の頂点は、隣接するW字状カットアウトを側部の後端で繋ぐ線20aよりも後方に延在している。
【0026】
当然ながら、W字状カットアウト22aの各々は、相互に合体した2つのV字状カットアウトとみなすことが可能である。
【0027】
W字状カットアウト22aは、ブレードの幅に沿って互いに離間している。カットアウト22a間の隙間28aにおいて、前側部分24aが連続材料によって後側部分26aに接続されている(すなわち、カットアウトがなく、部分が接続されている)。これらの部分28aが、前側部分24aが後側部分26aから折り取られる時に線20aに沿って破断することとなる。
【0028】
図3の実施形態と同じように、末端の側縁部の各々において、カットアウト30aは側縁部に至るまで延びて各側縁部において頂点32aを形成している。これは、前側部分が除去されて新たな鋸歯状縁部が出現すると、新たな鋸歯状縁部はその全幅にわたって切断可能となることを意味している。
【0029】
図5は
図3と同じ部分であるが、前側部分24が後側部分26から取り外されて新たな鋸歯状の刃先が出現している場合を示す。カットアウト間の隙間28、すなわち、
図3においては一緒に接続されていた部分であって、実際に前側部分24と後側部分26とを接続する連続材料が存在している部分が、折られて前側部分24が後側部分26から取り外されていることに留意されたい。
【0030】
上記の実施形態は一例として提供されているにすぎず、当業者であれば、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動ツール用のブレードアセンブリであって:
振動ツールと結合されるための取付け形状を有する取り付け部と、
ブレード部であって、鋸歯状前側縁部を有する前記ブレード部と
を備えるブレードアセンブリであり、
少なくとも1本のカットアウト線が前記ブレード部の幅に沿って形成されており、前記鋸歯状前側縁部の後ろにおいて、各カットアウトは少なくとも1つの実質的に前向きの頂点を画定し、及び、前記カットアウト間には前記ブレード部の前記幅に沿って隙間が形成されており、前記カットアウトの前方の前記ブレード部の前側部分は、前記カットアウトの後ろの前記ブレード部の後側部分に、前記カットアウト間における横方向の前記隙間中の材料によって少なくとも取り付けられている、ブレードアセンブリ。
【請求項2】
前記カットアウトの1つは、前記ブレード部の側縁部において前向きの頂点に延在する、請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項3】
他の1つのカットアウトは、前記ブレード部の他の側縁部において前向きの頂点に延在する、請求項2に記載のブレードアセンブリ。
【請求項4】
前記カットアウトの少なくとも1つは実質的にV字状であり、前記V字の頂点は前方を向いている、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項5】
前記カットアウトの少なくとも1つは実質的にW字状であり、2つの頂点が前方を向いていると共に、1つの頂点が後ろを向いている、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項6】
前記カットアウトは貫通して切り欠きされており、前記ブレード部は、材料を完全に貫通して切断されている、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項7】
前記カットアウトは部分カットアウトであり、前記ブレード部は薄肉化されている、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項8】
前記ブレード部はカーバイド鋼製である、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項9】
前記カットアウトは傾斜している、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項10】
複数のカットアウト線が形成されており、前記線は、前記ブレード部の長さに沿って離間している、
請求項1に記載のブレードアセンブリ。
【請求項11】
前記ブレード部の前側部分を折り取るためのツールと組み合わされた
請求項1に記載のブレードアセンブリであって、前記ツールは、前記ブレード部の前記前側部分を収容するスリットを有する本体を備える、ブレードアセンブリ。
【国際調査報告】