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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】凹型レドームを有するレーダセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20241031BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01S7/03 246
G01S7/02 216
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531388
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022052688
(87)【国際公開番号】W WO2023121919
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/560,987
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】318009986
【氏名又は名称】マグナ エレクトロニクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】アハマドロ,マジド
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AD02
5J070AD05
5J070AF03
5J070AK31
(57)【要約】
レーダセンサ(100a)は、ハウジング(104)、カバー(105)、及び複数の送信アンテナ及び受信アンテナ(108、110)を含む。ハウジングは、処理基板を保持するキャビティを含む。カバーは、2つの別個の接続された領域(111a、111b)を有するキャビティ内への凹部(109)を有するレドームを画定する。送信アンテナ及び受信アンテナは、処理基板上で凹部に隣接し、凹部からギャップを隔てて配置される。送信アンテナは、凹部の第1の領域を通してRF信号を送信するように構成される。受信アンテナは、凹部の第2の領域を通って戻るRF信号を受信するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダセンサであって、
キャビティ内に処理基板を保持する前記キャビティを含むセンサハウジングと、
前記センサハウジングの面を形成するカバーであって、前記カバーが、前記キャビティ内への凹部を有するレドームを画定し、前記凹部が、第1の領域と、前記第1の領域から分離して前記第1の領域に接続された第2の領域とを含む、カバーと
前記処理基板の表面上の複数の送信アンテナであって、前記送信アンテナが、前記第1の領域に隣接し、前記第1の領域から第1のギャップによって分離されており、前記送信アンテナが、前記第1の領域を通じてRF信号を送信するように構成されている、送信アンテナと、
前記処理基板の前記表面上の複数の受信アンテナであって、前記受信アンテナが、前記第2の領域に隣接し、前記第2の領域から第2のギャップによって分離されており、前記受信アンテナが、前記第2の領域を通じて戻るRF信号を受信するように構成されている、アンテナと
を備えるレーダセンサ。
【請求項2】
前記第1の領域の第1の角部が、前記第2の領域の第2角部に接続され、
前記第1の領域及び前記第2の領域はそれぞれ、複数の分離した別個の縁部によって画定される、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項3】
前記複数の受信アンテナの中心が、主軸に沿って平行に整列される、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項4】
前記複数の送信アンテナの中心が、前記主軸からオフセットされ、前記主軸に対して斜めの第2の軸に沿って整列される、請求項3に記載のレーダセンサ。
【請求項5】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが、前記第2の軸に平行に配向される、請求項4に記載のレーダセンサ。
【請求項6】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが、反対方向を向くように整列される、請求項5に記載のレーダセンサ。
【請求項7】
前記受信アンテナ及び前記送信アンテナのパッチが同じ形状である、請求項6に記載のレーダセンサ。
【請求項8】
前記主軸及び前記第2の軸が、実質的に45度の角度で分離される、請求項4に記載のレーダセンサ。
【請求項9】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記主軸に対してオフセットされる、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項10】
前記複数の受信アンテナがそれぞれ、単一のアンテナパッチのみを含む、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項11】
第1の受信アンテナが下部パッチ縁部を含み、第2の受信アンテナが上部パッチ縁部を含み、前記下部パッチ縁部が前記上部パッチ縁部に平行である、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項12】
第1の送信アンテナが下部パッチ縁部を含み、第2の送信アンテナが上部パッチ縁部を含み、
前記下部パッチ縁部の少なくとも一部が、短軸に対して前記上部パッチ縁部の少なくとも一部の上方に配置され、前記短軸が、前記主軸に対して垂直に延びる、
請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項13】
前記複数の受信アンテナが、第1のアンテナパッチを有する第1の受信アンテナと、第2のアンテナパッチを有する第2の受信アンテナとを含み、前記レーダセンサが、第1及び第2の動作しないアンテナパッチを更に備え、前記第1及び第2の受信アンテナが、前記第1及び第2の動作しないアンテナパッチの間に配置される、請求項1に記載のレーダセンサ。
【請求項14】
前記凹部領域における前記カバーの厚さが、1.35mmであり、
前記第1のギャップ及び前記第2のギャップが、1.3mmである、
請求項1に記載のレーダセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ検出システムに関し、特に自動車用レーダセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、多くの場合、衝突回避、自動運転、クルーズコントロールなどに使用することができる検知システムを含む。レーダ感知システムは、プリント回路基板(PCB)であり得る基板の表面、例えば上面に形成された1つ又は複数の送信(Tx)アンテナ及び1つ又は複数の受信(Rx)アンテナに依存することができる。センサに関連するデジタル、アナログ、及びRF回路は、アンテナと同じ表面上及び/又は反対側の、例えば底部の表面上のPCBに取り付けられ得る。
【0003】
自動車内での使用には、レーダセンサに特有の多くの課題が伴う。車両上で利用できる空間は限られているため、コンパクトで小型のセンサの必要性が強調される。これは、車両の混雑した内部に取り付けられたインキャビンモニタリングセンサを使用する場合に特に重要であり得る。これは、Tx及びRxアンテナを含む密に詰め込まれた構成要素を有するセンサをもたらし、望ましくない干渉をもたらし、センサの性能を著しく低下させる可能性がある。従って、精度とコスト効率を維持しながら、サイズを最小限に抑えるレーダセンサが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
少なくとも1つの態様では、本技術はレーダセンサに関する。センサは、キャビティ内に処理基板を保持するキャビティを含むセンサハウジングを有する。カバーは、センサハウジングの面を形成し、カバーは、キャビティへの凹部を有するレドームを画定する。凹部は、第1の領域、及び第1の領域から分離され、第1の領域に接続された第2の領域を含む。複数の送信アンテナが処理基板の表面上にあり、送信アンテナは第1の領域に隣接し、第1の領域から第1のギャップによって分離されている。送信アンテナは、第1の領域を介してRF信号を送信するように構成される。複数の受信アンテナが処理基板の表面上にある。受信アンテナは、第2の領域に隣接し、第2の領域から第2のギャップによって分離されている。受信アンテナは、第2の領域を通って戻るRF信号を受信するように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の領域の第1の角部は、第2の領域の第2の角部に接続される。第1の領域及び第2の領域はそれぞれ、複数の分離した別個の縁部によって画定され得る。場合によっては、複数の受信アンテナの中心は、主軸に沿って平行に整列される。いくつかの実施形態では、複数の送信アンテナの中心は、主軸からオフセットされ、主軸に対して斜めの第2の軸に沿って整列される。送信アンテナ及び受信アンテナは、第2の軸に平行に配向され得る。送信アンテナ及び受信アンテナは、反対方向を向くように整列され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、受信アンテナ及び送信アンテナのパッチは同じ形状である。主軸と第二の軸とは、実質的に45度の角度で分離され得る。場合によっては、第1の領域及び第2の領域は、主軸に対してオフセットされる。いくつかの実施形態では、複数の受信アンテナはそれぞれ、単一のアンテナパッチのみを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の受信アンテナは下部パッチ縁部を含み、第2の受信アンテナは上部パッチ縁部を含み、下部パッチ縁部は上部パッチ縁部に平行である。場合によっては、第1の送信アンテナは下部パッチ縁部を含み、第2の送信アンテナは上部パッチ縁部を含む。下部パッチ縁部の少なくとも一部は、短軸に対して上部パッチ縁部の少なくとも一部の上方に配置され、短軸は主軸に対して垂直に延びる。いくつかの実施形態では、複数の受信アンテナは、第1のアンテナパッチを有する第1の受信アンテナ、及び第2のアンテナパッチを有する第2の受信アンテナを含み、レーダセンサは、第1及び第2の動作しないアンテナパッチを更に備え、第1及び第2の受信アンテナは、第1及び第2の動作しないアンテナパッチとの間に配置される。場合によっては、凹部領域のカバーの厚さは1.35mmであり、第1のギャップ及び第2のギャップは1.3mmである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、詳細な説明で更に記載され、本開示の実装態様の非限定的な例として、記載された複数の図面に関するものが続き、図面中、同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して類似の部分を表す。
【0009】
図1】本技術によるレーダセンサの第1の実施形態の上面斜視図である。
図2a図1のレーダセンサの別の上面斜視図である。
図2b図1のレーダセンサのカバーの底部斜視図である。
図2c図1のレーダセンサのカバーの底部斜視図である。
図3a】本技術によるレーダセンサの第2の実施形態の上面斜視図である。
図3b図3aのレーダセンサのカバーの底部斜視図である。
図3c図3aのレーダセンサのカバーの底部斜視図である。
図4図1のレーダセンサの側面断面図である。
図5図1のレーダセンサ用のPCBの上面図である。
図6図3aのレーダセンサ用のPCBの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術は、車両検知システムに関連する従来技術の問題の多くを克服する。要約すると、本技術は、凹型カバー(又はレドーム)及びコンパクトなアンテナ配置を含む自動車検知システム用のレーダセンサを提供する。レーダセンサは、レーダセンサから期待される検出及び分類性能を実現するために必要な所望のRF性能及びアンテナパターンを提供するために、自動車用レーダセンサに利用される特定のレドーム及びパッケージを含む。これは、かなり混雑した車室内部内でそのようなセンサを利用する際により大きな柔軟性を提供するために非常に小さいサイズのパッケージを必要とすることが多い、インキャビンモニタリングセンサ(ICS)に関して特に興味深い。そのような小型化されたセンササイズはまた、ワイヤ、ハーネス、保管コンパートメント、及び他の潜在的な干渉源などの周囲の特徴及び材料とのセンサの望ましくないRF相互作用を低減するのに役立つ。
【0011】
本明細書に開示されるシステム及び方法の利点及び他の特徴は、本発明の代表的な実施形態を記載する図面と併せて、特定の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者により容易に明らかになるであろう。同様の参照番号は、同様の部分を示すために本明細書で使用される。更に、「上部」、「下部」、「遠位」、及び「近位」などの向きを示す語は、単に互いに対する構成要素の位置を説明するのに役立つために使用される。例えば、部品の「上部」表面は、単にその同じ部品の「下部」表面とは別個の表面を表すことを意味する。絶対的な向き(すなわち、「上部」の部分が常に高い位置にある必要がある)を説明するために、向きを示す単語は使用されない。
【0012】
自動車用レーダセンサモジュールなどのレーダセンサモジュールでは、レドームを使用してアンテナ構成要素を収容し、水分及び道路の破片などの他の物理的汚染物質などの外部要素からセンサを保護することができる。レドームはまた、アンテナの放射特性及び受信特性に影響を与える可能性がある。例えば、レドームは、センサの性能を調整及び/又は最適化するためにビームを成形する際に使用され得る。レドームカバーは、典型的には、平面パッチアンテナの上面上に所定の距離だけ配置され、所定の距離は、所望のセンサ性能に基づいて少なくとも部分的に決定される。
【0013】
アンテナ構成要素は、典型的には、プリント回路基板(PCB)又は他の基板の表面上に導電性アンテナのアレイ「パッチ」を形成することによって実装される送信(Tx)アンテナ構成要素及び受信(Rx)アンテナ構成要素の両方を含む。これらのパッチ並びに給電線、ストリップ線路、導波管及びRF遷移素子などの関連する構成要素など、例えば、導波管-マイクロストリップ線路遷移は、一般に、金属及び/又は他の導電性材料をPCBの表面上に所定の所望のパターンで堆積することによって形成される。
【0014】
ここで図1図6を参照すると、本技術に従って構成された例示的なレーダセンサ100a、100b(概して100)が示されている。2つの異なるレーダセンサの実施形態が本明細書に示されている。レーダセンサ100a及びその構成要素の第1の実施形態が図1、2a、2b、2c、4、及び5に示されている。レーダセンサ100b及びその構成要素の第2の実施形態が図3a、3b、3c、及び6に示されている。一般に、これらのレーダセンサ100a、100bは、図示のように、全体的な機械的構造及びサイズにいくらかの違いがあるが、他の点では機能的に類似している。従って、レーダセンサ100が本明細書で説明される場合、異なる実施形態(例えば、レーダセンサ100a、100b)は、本明細書で特に示され説明されない限り同じであると仮定することができる。
【0015】
いくつかの実装態様では、レーダセンサ100は、自動車レーダセンサモジュールであり、従って、自動車又は車両に取り付け可能で動作可能である。特に、レーダセンサ100は小型でコンパクトであり、ICSとして車内に取り付けるのに適している。レーダセンサ100は、ハウジング104の内側キャビティ103内にレーダセンサ100の構成要素を囲む構造ハウジング104を含む。プリント回路基板(PCB)200a、200b(一般に200)又は他の処理基板が、ハウジング104内に収容されている。PCB200は、デジタル、アナログ、及び/又はRF電子部品など、レーダセンサ100の機能を実行するために必要な全ての処理構成要素を含むことができる。PCB200は、導電性ビアによって相互接続された構成要素を備えた複数の層を含むことができる。カバー105は、ハウジング104の上部構造面を提供し、PCB200の位置合わせ穴208を貫通する位置合わせポスト/ステークス106を介してハウジング104の側面107a~107d(概して107)に取り外し可能に取り付けることができる。これにより、PCB200が密閉されたハウジング104内に固定され、カバー105がレーダセンサ100のレドームとして機能するように位置決めされる。ハウジング104のカバー105は、以下でより詳細に説明するように、受信アンテナ108及び送信アンテナ110にそれぞれ対応する2つの別個の凹部領域111a、111b(一般に111)を有する凹部109を含むことができる。アンテナ108、110は、PCB200に電気的に接続され、PCB200によって制御され得る。コネクタ112は、コネクタピンを含むことができ、ハウジング104の側面107cから延在し、レーダセンサ100を車両に電気的に接続するために使用され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、PCB200の上面に形成されたアンテナ構成要素は、アンテナパッチによって画定された受信(Rx)アンテナ108のアレイ及び送信(Tx)アンテナ110のアレイを含むことができる。アンテナは、所望のアンテナパッチのための所望の形状、サイズ及びパターンでの導電性材料、例えば金属の堆積などの既知の手段によって形成され得る。一般に、受信アンテナ108はともに配置され、送信アンテナ110はともに配置され、受信アンテナ108から分離される。図示の例では、アンテナアレイは、PCB200上に配置された3つの送信アンテナパッチ210a~210c(概して210)からなる送信アレイ110と、PCB200上に配置された6つのアンテナパッチ212a~212f(概して212)からなる受信アレイ108とを含む。
【0017】
図示の実装態様では、アンテナパッチアレイは、PCB200の主軸214(「x」軸と呼ばれる)及び短軸216(「y」軸と呼ばれる)に対して配置されて示されている。短軸216は、主軸214に対して垂直である。一例では、主軸214はセンサ100の方位角視野を表すことができ、短軸216は仰角視野を表す。各パッチ210、212は、形状及びサイズに関して類似していてもよいが、パッチ210、212は、本明細書に記載されるように異なって配向されてもよい。アンテナパッチ210、212は、一般に、互いに非常に近接して配置される。受信アンテナパッチ212は、均一なアンテナアレイ構成のために、主軸214(すなわち、方位角軸)に沿って動作波長の半分、例えば2.3mmだけ分離され得る。他の動作波長及び分離距離も使用することができる。放射性能を最適化するために、アンテナパッチ210、212は、短軸216に対して斜めに配置され、互いに近接している。これにより、隣接して配置されたパッチ間の望ましくない結合を低減しながら、他のパッチの非常に近くにRF性能に必要なより大きなアンテナパッチを配置することが可能になる。また、電磁波がレドーム(カバー105)表面と相互作用するときに、斜め偏波を利用するのに役立つ。この向きはまた、結果として生じるアンテナの近接性に起因するアンテナ間の望ましくないRF結合を低減し、放射縁部を互いに更に離して配置する。本明細書に示す例では、受信アンテナパッチ212の中心は、主軸214に沿って平行に整列し、パッチは、(以下でより詳細に説明するように)主軸214に対して斜めに配向されている。
【0018】
受信アンテナパッチ212と同様に、送信アンテナパッチ210は、主軸214に沿って動作波長の半分の間隔で配置され得る。更に、特定の配置位置は、所望の双方向送受信チャネル実装を実現し、チャネル数を増加させ、レーダセンサ100の開口の形状及び位置と協働して角度性能を改善するように構成され得る。送信アンテナパッチ210の中心は、主軸214に対して斜めに角度付けられた(すなわち、主軸214に平行ではない)別個の軸218に沿って延びる。場合によっては、軸218と主軸214との間の角度は、45度、又は実質的に45度(すなわち、+/-10%)であり得る。角度は、アンテナパッチのサイズ及び特性、それらの間の間隔、並びに偏波要件によって定義される。送信アンテナパッチ210及び受信アンテナパッチ212は両方とも、軸218に対して平行に、且つ短軸216(及び主軸214)に対して斜めに配向され、両方の角度付けられた偏波を維持するために反対方向を向くことができる。この向きはまた、RF基板(例えば、PCB200)の潜在的な不均一効果を低減し、送受信チャネルのRF性能を更に向上させることができる。
【0019】
アンテナ108、110の例示的な設計を更に明確にするために、各パッチ210、212は、上部パッチ縁部220及び平行な下部パッチ縁部222を有するものとして説明され得る。「上部」及び「下部」という用語は、この文脈では、アンテナパッチがそれぞれの給電線から離れて延在する方向に関してのみ使用され、絶対的な向きと見なされるべきではないことに留意されたい。受信アンテナパッチ210及び送信アンテナパッチ212は、互いに反対側を向くように構成されているため、受信アンテナパッチ212の上部縁部220は、送信アンテナパッチ210の上部縁部220とは反対側を向くように配向されている。例えば、受信アンテナパッチ212は、示される例示的な配置においてPCB200の左上角部に面していると説明することができ、送信アンテナパッチ210は右下角部に面している。送信アンテナパッチ210は、パッチ210が軸218に沿って延在するときに、下部パッチ縁部222が隣接するアンテナパッチ210の上部パッチ縁部220と重なり合うことができるように配置され得る。例えば、アンテナパッチ210bの下部パッチ縁部222は、主軸214に沿ってアンテナパッチ210aの上部パッチ縁部220と重なる。一方、各受信アンテナパッチ212の上部パッチ縁部220及び下部パッチ縁部222は、主軸214に沿って隣接する受信アンテナパッチ212と整列される。アンテナ108、110の向き、従ってそれらの偏波は、凹型カバー105と相互作用しながらセンサ100の視野を最大化するように設計される。
【0020】
場合によっては、動作可能なアンテナパッチ間に1つ又は複数の動作しないアンテナパッチを含むことも有利であることが分かっている。例えば、場合によっては、受信アンテナパッチ212b、212cは動作可能なアンテナパッチであってもよく、アンテナパッチ212a、212dは動作しないアンテナパッチであってもよい。従って、動作可能なアンテナパッチ212b、212cは、動作しないアンテナパッチ212a、212dの間に位置するように配置される。これは、縁部のパッチで見られる隣接するジオメトリが中央のジオメトリと異なるため、RF性能の類似性を最大限に実現するために行われ、そのようなことが、RF結合、従って全体的な性能における差異を引き起こす。)。本明細書に示されるアンテナパッチ210、212の構成は、有利であるが、例示にすぎず、他の実装態様では他のアンテナパッチ配置も使用され得ることを理解されたい。
【0021】
レーダセンサ100のカバー105は、レドームとして機能するようにアンテナ108、110の上に配置され、アンテナ110、108を保護し、RF信号が通過することを可能にする。カバー105は、レドームの厚さに比例する低損失及び誘電率値などのRF特性によって特徴付けられる材料から作製され得る。レドーム材料はまた、機械的に剛性であり、溶接性及び成形性などの製造特性を有する。1つの例示的な材料は、熱可塑性エンジニアリングポリマであるポリブチレンテレフタレート(PBT)である。材料は、その構造的完全性を更に高めるためにガラス繊維によって強化され得る。
【0022】
カバー105は、PCB200とほぼ平行に、アンテナ108、110の視野内に配置されるが、2つの凹部領域111a、111bも含む。第1の凹部領域111aは、受信アンテナ108の真正面(すなわち、視野内)に配置され、第2の凹部領域111bは、送信アンテナ110の真正面に配置される。各凹部領域111a、111bは、(図4に最もよく示されるように)所望の幅のギャップ224を維持するように設計された距離だけカバー105内に凹んでいる。ギャップ224の好ましいサイズは、所望のアンテナ特性に基づいており、変更することができる。一実装態様では、60GHz~64GHzであるICS用途のための所望の周波数帯域で選択される材料を用いて最適な放射性能を提供するために、レドーム又はカバー105が、1.3mmのギャップ224サイズを有する凹部領域111において1.35mmの厚さを有することが有利であることが分かっている。一般に、カバー105がレドームとして機能する各凹部領域111a、111bにおけるカバー105の厚さは、所望のレーダ特性に従って設計される。凹まされる必要がある全体領域は、必要とされるRF考慮事項の全てを考慮するように設計され、従って、レドームパラメータに関して柔軟性があり、背の高い構成要素、並びに全ての非凹部領域に必要とされる剛性、形状、及び厚さなどの機械的要件に対応するように選択され得る。
【0023】
図1に最もよく示されるように、各凹部領域111a、111bは、対応するアンテナアレイ108、110の上に位置する(すなわち、覆う)ような形状である。受信アンテナ108は軸214に沿って平行に配置されているので、第1の凹部111aは実質的に長方形の形状であり得る。第1の凹部領域111aは、第1の凹部領域111aの下部角部が第2の凹部領域111bの上部角部と重なり、第1の凹部領域111aが完全な長方形にならないため、「実質的に長方形」と呼ばれる。しかしながら、第1の凹部領域111aは、主軸214に平行に延びる上部縁部120及び下部縁部122、及び短軸216に平行に延びる側面縁部124、126とによって画定され得る。下部縁部122及び右側縁部126は、第2の凹部領域111bと交差する第1の凹部領域111aの角部で切り取られている。
【0024】
第2の凹部領域は、5つの側面128、130、132、134、136によって画定されて実質的に多角形形状を形成し、左上角部に最も近い側面128、136は、その角部が第1の凹部領域111aと交差するときに切り取られる。側面128及び134は主軸214に平行に延び、側面130、136は短軸216に平行に延びる。側面132は、送信アンテナ110の軸218に平行に延びる(図5図6参照)。カバー105の凹型の性質は、レーダセンサ100のハウジング全体が、受信チャネル及び送信チャネルにおける特に最適なRF放射特性のために容易にサイズ決め及び成形されることを可能にする。更に、この構成は、センサ100の簡略化された製造及び設置プロセスを可能にする。
【0025】
本明細書に開示されるレーダセンサ100は、車両内のICS(インキャビンセンシング)センサとして使用するのに特に適している。そのような用途では、内部空間のより多くをカバーするには、広い視野を持つアンテナ、つまり全方向パターン(低利得)のアンテナを有することが望ましい。特定のレドームの厚さ及びPCB200上のアンテナパッチ210、212からのその距離を含む、本明細書で開示されるカバー105及びアンテナ108、110の配置は、良好なRF性能を実現するように設計される。そのようなかなり敏感な設計値からの逸脱は、アンテナパターンに悪影響を及ぼし、カバレッジ(視野)を低減させ、その結果、ターゲットの検出及び分類に関する問題を引き起こす。また、PCBは、標準コネクタ、より背の高いコンデンサ、インダクタ、及び集積回路などの多数の他の構成要素の配置を必要とする。そのようなセンサを効果的に取り付けるためのシナリオは、(例えば、OEMによる使用のために)標準化されたブラケット寸法が維持されることを必要とし、これは、RF設計に関して最も最適化されていないことが多い特定の寸法及びクリアランスを規定する。本明細書に開示される設計における凹型レドームの使用は、最適なレドームパラメータ(レドームとアンテナとの間の厚さ及び距離)を実現して、所望のRF性能及びアンテナパターンを提供する一方で、パッケージングの残りの部分が、コネクタ、機械的パッケージングサイズ、及び他の要件を含む全ての他の構成要素を収容することを可能にするのに役立つ。
【0026】
特に、レドーム凹部は、異なるパッケージジオメトリに適合するように容易に再形成することができ、所望のレーダ特性を実現するために深さ(すなわちアンテナまでの距離)に関してサイズ変更することができる。レドーム凹部に対する調整は、所定のハウジングの残りの部分及びその寸法に影響を与えることなく実行することができ、これにより、ハウジング104のキャビティ103内のPCB200の他の構成要素のための十分な空間が可能になる。これはまた、レーダセンサ100が様々な実装シナリオ内で取り付けられることを可能にする。更に、従来の製造技術が、カバー105自体のために、並びにカバー105をハウジング104に取り付けるために(例えば、それらを一緒に熱接着することによって)使用され得る。
【0027】
本開示の多くの変更及び修正が、前述の説明を読んだ後に当業者に明らかになるであろう一方で、図解によって示され及び記載される特定の実装態様が、制限すると考えられることを決して意図するものではないことを理解されたい。更に、本主題は、特定の実装態様に関して記載されたものであるが、本開示の趣旨及び範囲内の変動は当業者に起こるものとする。前述の例が、説明の目的のためにのみ提供されたものであって、本開示を制限するものとして決して解釈されないことに留意されたい。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
【国際調査報告】