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特表2024-541541中空繊維膜蒸留モジュール及びプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】中空繊維膜蒸留モジュール及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/36 20060101AFI20241031BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20241031BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B01D61/36
B01D63/02
B01D63/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531448
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022051634
(87)【国際公開番号】W WO2023102174
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,378
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/328,501
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524197747
【氏名又は名称】ケーエムエックス テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サドル ガーエニ、セイド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウシュルト、マルティン ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】フレミング、フーベルト
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA27
4D006HA02
4D006HA18
4D006JA01B
4D006JA13C
4D006JA15A
4D006JA18A
4D006JA23A
4D006JA27A
4D006JA27C
4D006JA30A
4D006JA62A
4D006JA62C
4D006JB04
4D006KA17
4D006KE02R
4D006KE07R
4D006KE08R
4D006KE16R
4D006MA01
4D006MA22
4D006MB10
4D006MC23
4D006MC24
4D006MC29
4D006MC30
4D006PB03
4D006PC80
(57)【要約】
膜蒸留モジュールは、ハウジングにおいて中空繊維膜束を含む。複数の疎水性中空繊維膜は、各端部において、ポッティング化合物への繊維膜の化学結合によって膜ブーツにおいて固定されている。膜束は、膜ブーツに取り付けられたフランジに固定された支持ロッドによって支持されている。繊維パッキング密度は、中空繊維膜の浸透側からの蒸気の通過を最適化するように選択されている。膜束の長さにわたって延びる中央コアは、モジュールの底部に進入する給水を束トップ・キャップへ導くために働き、この束トップ・キャップにおいて給水が中空繊維膜内へ均一に分散させられる。ハウジングは、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供し、真空ポンプに接続された出口を通じてモジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空繊維膜蒸留モジュールであって、中空繊維膜束及び前記膜束を収容するためのハウジングを備え、
前記膜束は、第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を含み、前記第1の端部及び前記第2の端部は、ポッティング化合物への前記繊維膜の化学結合によって、それぞれ第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにおいて固定されており、
前記膜束は、複数の支持ロッドによって支持されており、
前記第1の膜ブーツ及び前記第2の膜ブーツのそれぞれは、前記支持ロッドのそれぞれの端部が固定された、取り付けられたフランジを有し、これにより、前記疎水性中空繊維膜が長手方向で前記第1の膜ブーツと前記第2の膜ブーツとの間に配置されるように前記第1の膜ブーツを前記第2の膜ブーツから離隔させており、
前記疎水性中空繊維膜は、前記疎水性中空繊維膜の浸透側から前記ハウジングに向かう蒸気の通過を最適化するように選択された密度でパッキングされており、
前記膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されておらず、
中央コアが、前記膜束の長さに広がっており、
前記ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、蒸気ヘッダに接続されており、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を最適化して、前記蒸気ヘッダの出口を通じた前記モジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、前記出口は真空ポンプに接続されている、中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項2】
前記ポッティング化合物は、エポキシ化合物である、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項3】
前記ポッティング化合物は、前記疎水性中空繊維膜、前記中央コア、及び前記膜ブーツに化学的に結合されている、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項4】
前記繊維パッキング密度は、60%以下である、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項5】
前記繊維パッキング密度は、30%~40%の範囲にある、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項6】
前記繊維パッキング密度は、20%~30%の範囲にある、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項7】
50~150fpsの前記ハウジング及び蒸気出口を通過する蒸気速度を操作するように構成されている、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項8】
請求項1に記載のモジュールにおける真空膜蒸留のステップを備える、溶解した固体を水から分離するためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2021年12月2日に出願された米国仮出願第63/285,378号及び2022年4月7日に出願された米国仮出願第63/328,501号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、水処理のための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、膜束及び膜ハウジングを含む真空膜蒸留モジュール、並びにモジュールを使用して水から溶解固形分を分離するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
清浄な水は、人間の消費及びその他の用途(例えば、産業)のために必要とされる。しかしながら、清浄な水の供給は、有限であり、世界のある地域では厳しく制限されている。増加しつづける人口は、飲料水の需要を生じる。不純物を含む水は、清浄な水を製造するために処理又は浄化される。例えば、飲料水を製造するために、塩が海水から除去される場合がある。
【0004】
膜蒸留プロセスが知られており、このプロセスでは、膜の選択性が、水蒸気のための同時浸透性を有する液体水の保持に基づく。膜の供給側と浸透側との間に提供される温度差は、膜を横切って部分的な水蒸気圧力差を生じ、この水蒸気圧力差は、膜の供給側の表面において生じた水蒸気を、浸透側に向かって膜壁部を通過させるように動かす。真空膜蒸留(VMD)では、真空ポンプを使用することによって、膜壁部を通過した水蒸気は、浸透側を通って凝縮器へ移動させられ、そこで凝縮させられる。
【0005】
米国特許出願公開第2020/0109070号には、円筒状のコンテナに収容された、貫通孔を有する疎水性多孔質中空繊維膜の束を含む膜蒸留のための膜モジュールが記載されている。中空繊維膜の表面は、撥水剤のコーティングを含む。処理される水は、中空繊維膜内部を通過させられ、外側から出た水蒸気は、冷却され、凝縮させられ、浸透した水として回収される。
【0006】
膜蒸留法によって高純度の水を得るために、膜を通過する生水の成分が、浸透した水の側へ漏れないことが必須である。処理される水の表面張力が有機物成分によって減じられると、膜蒸留のために使用される多孔質膜の細孔の内部の濡れ及び細孔の内部の通過を生じる可能性があり、これにより、「濡れ」として知られる現象である、膜の生水側から浸透側への漏れを生じる。濡れは、膜蒸留の機能の達成を妨げる。中空繊維膜の両端部が接着剤樹脂によってハウジングに固定されている膜モジュールの場合、膜の濡れは、接着により固定された位置と非接着的に固定された位置との間の境界の近く、及び生水の温度がより高く、生成される蒸気の量がより大きい生水入口の近くの位置において生じる傾向がある。米国特許出願公開第2022/0080358号には、濡れを生じやすい中空繊維膜の位置に付着する膜面積当たりの疎水性ポリマーの量が他の位置よりも大きいモジュールが記載されている。
【0007】
米国特許出願公開第2022/0001331号には、ハウジングに膜蒸留のための実質的に円柱状の膜カートリッジを含む膜蒸留モジュールが記載されている。カートリッジは、中空繊維疎水性多孔質膜の端部が付加樹脂によって付加されている付加部分を含む。ハウジングの支持部分は、シーリング部材によって付加部分を支持している。
【0008】
水から溶解固形物を分離するための既存のシステムは、製造、運転及び維持するために複雑且つ高価であり、これは、そのようなシステムを運転するために不経済にする可能性がある。頑丈であり、維持することが容易であり、運転における向上した効率を与える装置及びシステムを提供しながら膜を組み込んだ膜蒸留モジュールの処理量を高めるために、疎水性中空繊維膜を組み込んだ膜蒸留モジュールの構造に関する研究の継続的な必要性が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0109070号
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0080358号
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/0001331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
入念且つ広範囲の研究に従って、発明者らは、既存の膜モジュール設計が、真空膜蒸留用途に本質的に適していないことを認識するに至った。なぜならば、他のろ過プロセスとは異なり、VMDは、水が供給側から浸透側へ膜を横切るときに液体から蒸気への溶媒相の変化を伴うからである。既存の設計は、液相の水から水蒸気への移行を伴う大きな膨張を考慮することができない。平坦なシート、プレート及びフレーム、又はらせん形に巻かれるなどの、従来の膜モジュール設計は、水蒸気の増大した体積のための膜の浸透側における空間を提供することができず、その結果、モジュールが詰まり、流動が妨げられる。
【0011】
供給における水が蒸発するとき、水は、よりいっそう大きな体積を占めるように膨張する。真空下での水の膨張はさらに大きくなる。供給における水が液体から蒸気へ変化するとき、その体積は、約1000倍に増大する。この大きな膨張は、対処されなければならない。発明者らは、従来の設計が、膜からの浸透蒸気が束からハウジングを通って凝縮器へ移動するための十分な空間を提供することができず、したがって、空間が提供することができるよりも多くの浸透を繊維が発生させることにより、システムが詰まることを認識した。発明者らは、膨張した蒸気体積を提供し、蒸気がシステムを通って移動することを可能にし、膜蒸留がより高い効率及びより高い処理量で生じることを可能にするためのシステムを設計した。
【0012】
広範囲の研究及びモデリングによって、発明者らは、蒸気空間を最適化し、従来利用可能であった設計よりも実質的に高い流動を達成することができるVMDモジュール設計を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、中空繊維膜蒸留モジュール(HFDM)であって、中空繊維膜束及び膜束を収容するためのハウジングを備え、
膜束は、第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を含み、第1の端部及び前記第2の端部は、ポッティング化合物への繊維膜の化学結合によって、それぞれ第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにおいて固定されており、
膜束は、複数の支持ロッドによって支持されており、
第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツのそれぞれは、支持ロッドのそれぞれの端部が固定された、取り付けられたフランジを有し、これにより、疎水性中空繊維膜が長手方向で第1の膜ブーツと第2の膜ブーツとの間に配置されるように第1の膜ブーツを第2の膜ブーツから離隔させており、
疎水性中空繊維膜は、疎水性中空繊維膜の浸透側からハウジングに向かう蒸気の通過を最適化するように選択された密度でパッキングされており、
膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されておらず、
中央コアが、膜束の長さに広がっており、
ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、蒸気ヘッダに接続されており、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を最適化し、蒸気ヘッダの出口を通じた前記モジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、出口は真空ポンプに接続されている、中空繊維膜蒸留モジュールを提供する。
【0014】
膜束は、給水入口と濃縮物出口との間の膜の供給側において給水経路を画定するためにハウジングと協働する。水蒸気は、膜の浸透/蒸気側において蒸気ヘッダを含む蒸気ゾーンへ膜を通過し、真空下で蒸気ヘッダから引き込まれる。
【0015】
本発明のモジュールは、10~60l/m/hの流動を達成することができる。これは、4l/m/hの最大流動を有していた従来の設計と比較して、よりいっそう高い浸透流動である。
【0016】
本発明における使用に適した中空繊維膜は、強い疎水性、強い機械的特性、十分な多孔性、及び適切な細孔径を示す。中空繊維の材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PS、PP、PVDFなどの、強い疎水性及び真空下でのより高い温度に対する耐性を有する前述の特性を備えるあらゆる高分子化合物であり得る。
【0017】
中空繊維膜は、膜束の各端部において、ポッティング化合物を含む膜ブーツに固定されている。使用される繊維膜(例えば、PTFE材料)は、本来的に疎水性であり、本来的に親水基を有する通常のエポキシ材料に付着することができない。したがって、従来、疎水性圧縮性材料が、束の2つの端部での膜ブーツに繊維を一緒に保持するために使用されてきた。これらの疎水性圧縮性材料の役割は、繊維を所定の位置に保持し、モジュールの蒸気側への液体の漏れを防止するシールを提供することである。このような場合、パックされた繊維は、圧縮によって収容されている、即ち、繊維は物理的な力によって保持されている。発明者らは、ポッティング化合物に繊維を物理的に保持することが、特により低い繊維密度において、真空膜蒸留の厳しさのために十分に頑丈ではないことを発見した。液圧及び真空が膜モジュールに加えられるときの通常動作下において、疎水性圧縮性材料は、容易に移動させられる可能性があり、したがって、膜束は、完全性を失い、ずれた位置から激しい漏れを生じる可能性がある。これは、束を故障させる。物理的結合は、繊維が本来的に疎水性であるときの膜蒸留用途には適していない。しかしながら、膜繊維が化学結合によって固定されると、耐久性がある頑丈な結合が生じ、これは、ポッティング材料及び繊維の完全性を保ち、したがって、物理的結合の場合に生じていた漏れの主な原因を防止する。繊維膜の化学的結合は、真空膜蒸留への顕著な貢献を行い、以下の利益をもたらす:a)繊維とポッティング材料との間の強い完全性、b)無視できるほどしか液体漏れのない束を生じる、c)より低いパッキング密度を有する束を生じることを可能にし、ひいては最大で50l/m/h以上の、よりいっそう高い膜流動を生じることを可能にする。
【0018】
第1及び第2の膜ブーツ(本明細書においてトップ及びボトム膜ブーツと呼ばれてもよい)のそれぞれにおけるフランジに接続された支持ロッドは、膜束に構造的剛性を提供する。パッキング密度を最適化し且つモジュール・ハウジング内に蒸気空間を提供することとともに、支持ロッドを採用することは、膜束から外方への水蒸気の妨げられない退出を可能にし、膜束が多孔質又は有孔スリーブに収容される設計と比較して、高められた流動を可能にする。
【0019】
繊維膜のポッティング後に膜束の組立てを容易にするために、各束フランジは、2つの半部から組み立てられてよい。
【0020】
中空繊維膜のパッキング密度は、中空繊維膜の浸透側からモジュールのシェルに向かう蒸気の通過を最適化するように選択される。繊維密度は、束における繊維の断面積(繊維の外径(OD)に基づく)/束の総断面積×100として計算される割合として表される。繊維膜が物理的な力によって固定されていた従来の設計では、60%未満のパッキング密度を使用することは不可能であった。なぜならば、より低いパッキング密度では、繊維とポッティングとの間の結合が、使用時に完全性を維持するために十分に強くなく、液体を膜の浸透/蒸気側へ漏れさせ、束を故障させるからである。膜繊維を保持するために化学的結合力を用いることにより、より低い繊維密度を有する膜束を形成することができる。発生した蒸気がより少ない抵抗で排出されるために繊維の間に十分な蒸気空間を提供するために、束における中空繊維膜のパッキング密度は、60%未満、好ましくは50%以下、より好ましくは40%~30%の範囲、又は30%~20%の範囲である。40%~30%の範囲のパッキング密度を有する束は、従来の設計よりも10倍高い浸透流動を生じた。
【0021】
中央コアは、給水をボトム・キャップの給水入口から膜束の反対側(上側)の端部へ導くための長手方向に配置された管である。給水は、トップ・キャップに達するまで中央コアを通って上方へ流れ、トップ・キャップは、中空繊維膜を通る下方への流れにおいて水を分散させる。したがって、ボトム・キャップは、給水入口及び濃縮水出口に加え、漏れ排出出口を含んでよい。代替的に、モジュールは、給水が、底部から中空繊維膜に進入し、繊維を通って上方へ流れ、濃縮物が、中央コアを通じてモジュールの底部へ戻されるように構成されてよい。
【0022】
端部コアは、中央コアと連通しており、膜束をボトム・キャップに接続する。端部コアは、Оリングによって供給側と蒸気側との間を封止する。
【0023】
トップ・キャップ及びボトム・キャップのうちの少なくとも一方は、膜束の取外し及び交換を可能にするために容器本体から解放させられるように適合されている。好ましくは、トップ・キャップ及びボトム・キャップの両方は、膜束の取外し及び交換を可能にするためにそれらを容器本体から解放させるように適合されている。
【0024】
繊維を取り外すための能力は、モジュールに以下の利点を提供する:
・ 束交換のときに膜ハウジング、トップ・キャップ及びボトム・キャップが維持されるので、プロジェクトの全体的経済性において資金を節約する。この新たな設計において、束のみが交換される。
・ 繊維束は、疎水性膜が濡れた場合、別個の乾燥室において乾燥させられることができる。
・ 繊維束は、化学的又は機械的に損傷された場合に交換されることができる。
・ 繊維束は、より効率的な繊維技術が導入されるときに交換されることができる。
・ 繊維束は、カスタマイズされた用途構成に適合するように交換されることができる。
【0025】
膜モジュール体積:自由膜モジュール体積は、膜ハウジングの体積から、繊維の外径(OD)に基づく膜繊維の体積を含む膜束構成要素によって占められる体積を引いたものである。これは、発生した蒸気のための利用可能な空間である。この空間は、a)発生した蒸気を繊維の間でシェル/蒸気側に向かって最小限の抵抗で横断させるために繊維の間に十分な空間を生じるようにサイズ決め及び分配されており、b)自由膜モジュール体積は、蒸気コレクタ(本明細書では蒸気ヘッダとも呼ばれる)に接続されなければならず、一般に、ハウジング内に、特に、ハウジングから出るところで50~150fpsの範囲の蒸気速度を提供すべきであるが、繊維束内の蒸気速度は、確立された真空における音速未満であるべきである。与えられた用途/動作に対する浸透の最適な処理量のための蒸気空間の要求量は、異なる真空度及び温度における水1ポンド当たりの発生した蒸気の体積についての既知の値に基づいて計算される。これらを全て考慮することは、1mmの内径の中空繊維によって約30l/m/hの流動を生じる。自由膜モジュール体積が小さすぎると、フラッシュ効果が損なわれる。不完全なフラッシュの結果、能力以下の利用において膜が動作することになる。蒸気体積が大きすぎると、凝縮が容器内で生じ、フラッシュ効果も損なわれる。
【0026】
蒸気出口のサイズは、真空ポンプによる蒸気の抽出を最適化するように選択される。蒸気出口の断面積は、予想される浸透流動の範囲内の良好な蒸気速度を提供するように計算される。蒸気出口が小さすぎると、蒸気速度が高まりすぎ、これは、蒸気排出に対する抵抗となる。好ましくは、蒸気の速度は、15.24m~45.72m(50~150フィート)毎秒(fps)の範囲に収まるべきである。膜モジュールが垂直に設置される場合、モジュールの上部に蒸気出口を位置決めすることは、モジュールからの蒸気の最適な排出、ひいてはシステムを通る最適な流動のために有利である。しかしながら、システムがアウトサイドイン・モードにおいて作動させられる場合、蒸気出口は、膜束の両側に位置決めされることができる。
【0027】
モジュールは、給水がモジュールの上部から又は底部から繊維の内部空間(管腔側)に供給されることによって作動させられることができるように設計されている。従来技術の真空蒸留モジュールは、底部からのみ供給流を受け入れるように設計されている。本明細書において説明されるモジュールは、供給流を繊維内に均一に分配する上部から供給流を受け入れることができる。
【0028】
好ましくは、繊維は、コーティング材料を有さない繊維構造全体を通じて疎水性である。
【0029】
モジュール・ボトム・キャップの給水入口は、複数の中空繊維膜へ給水を供給するための膜束トップ・キャップにおいて貯水槽へ開口したアップフロー管として機能する中央コアと流体接続されている。
【0030】
代替的な動作モードにおいて、繊維束は、給水タンク内に吊るされることができ、蒸気は、アウトサイドイン動作において束の2つの端部から抽出され、これは、給水が、繊維のシェル側又は外側にあり、蒸気が、繊維の管腔側から集められることを意味する。
【0031】
さらなる態様において、本発明は、水から溶解固形分を分離するためのプロセスであって、本明細書に説明されているような中空繊維膜蒸留モジュールに生給水を通過させることと、蒸気ヘッダ出口を通じて抽出された水蒸気から精製水を回収することと、を含むプロセスを提供する。したがって、本発明のモジュール及びプロセスは、塩水脱塩に役立つ。
【0032】
モジュール及びプロセスは、給水に存在する塩の濃縮のための有用性も有する。
【0033】
本明細書に説明された例において、膜束及びモジュールは、中空繊維膜の内側から外側への給水の流れのために構成されており、中空繊維膜の外側からの蒸気の通過は、浸透側であり、インサイドアウト動作とも呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】モジュール・シェル、束トップ・キャップを備える繊維束、及び取り付けられたモジュール・キャップを示す、膜蒸留モジュールの縦断面図である。
図2】繊維束及びモジュール・シェルへのモジュール・ボトム・キャップの取付けの詳細を示す、図1の断面の底部の拡大図である。
図3】モジュール・ボトム・キャップの断面図及び斜視図である。
図4図1の繊維束の分解図である。
図5】本発明の実施の形態による膜束の側面図である。
図6】繊維束の上端部に取り付けられた束トップ・キャップの詳細を示す、図1の断面の上部の拡大図である。
図7】繊維束スペーサ・リングの断面図及び斜視図である。
図8】例示的な繊維パッキング配置を示す、図1の繊維束の平面図である。
図9】有効膜長さ「L」を示す、本発明の実施の形態による繊維束の側面図である。
図10】繊維間の空間を示す、図1のモジュールの上端部の斜視切断図である。
図11】蒸気脱出/排出領域を黒で示す、図1のモジュールの上端部の平面図である。
図12図1の膜蒸留モジュール及び取り付けられた蒸気ヘッダを示す縦断面図である。
図13】束の浸透率に対する膜束の繊維膜パッキング密度の変化の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
前述の及び関連する目的の達成のために、例示的な態様が、以下の説明及び添付の図面に関連して本明細書において説明される。これらの態様は、本明細書に開示された原理が実施されることができる様々な形式を示している。その他の利点及び新規の特徴は、図面に関連して検討されたときに以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0036】
1つの実施の形態において、取外し可能な中空繊維膜束は、最適なパッキング密度及び繊維たるみを有する中空繊維膜と、繊維がポッティングされ且つ固定された、各端部に1つずつの2つの膜ブーツと、各端部に1つずつの2つの取外し可能なフランジと、膜繊維を所定の位置に保持する4つの支持ロッドと、供給流のために使用される中央コアと、膜束をボトム・キャップに接続する中央コア端部と、を含む。膜ブーツは、繊維を所定の位置に保持し、Оリングとともに、給水と浸透側との間に所要の封止を提供するポッティング材料を含む。中空繊維膜の端部が固定された、即ち埋め込まれたポッティング化合物は、異なる硬さ/剛性の少なくとも2つの層を含んでよい。
【0037】
1つの実施の形態において、中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する。
【0038】
膜束の各端部は、スペーサ・リングをさらに含んでよい。
【0039】
Оリングは、膜束の上部とトップ・キャップとの間及び膜束の下端部とボトム・キャップとの間に防水シールを提供する。
【0040】
ボトム・キャップは、1つのピースで製造される。ボトム・キャップは、膜束をボトム・キャップに接続するために端部コアを受け入れる端部コア・レシーバを含む。端部コア・レシーバには、端部コアに防水シールを提供するためにОリングが設けられている。ボトム・キャップは、給水カムロック接続、濃縮水カムロック接続、漏出カムロック接続、及びボトム・キャップをモジュール・シェルに接続するための手段をさらに含む。
【0041】
ボトム・キャップは、蒸気ゾーンへ膜を通過すべきあらゆる液体が集められ、プロセスの供給側へ戻されるようにする、漏出出口をさらに含む。
【0042】
膜束は、その端部コア及びОリングによって膜モジュールに接続されている。トップ及びボトム・キャップの封止は、キャップがアタッチメント手段(例えば、ボルト)によってシェルに固定されたときにОリングを圧縮する一方の側からの面取りを有するスペーサ・リングによっても補助される。実施の形態において、容器本体は、束トップ・キャップにおける対応するフランジへの接続のための束トップ・フランジと、ボトム・キャップにおける対応するフランジへの接続のための束ボトム・フランジと、を含む。フランジは、工業規格フランジ、例えば、8インチ、12インチ、16インチ又はその他のこのような工業規格フランジ接続と同じ寸法及びボルト穴パターンを有するように製造されてよい。それぞれのフランジの間の接続は、相互接続ボルトによって達成される。フランジの間には1つ又は多数のシールが設けられており、これにより、束トップ・フランジが束トップ・キャップと真空気密封止を提供し、蒸気チャネル、即ちシェルを蒸気コレクタに接続する、トップ・フランジとシェルとの間のギャップも提供し、束ボトム・フランジは、ボトム・キャップとの真空気密シールを提供する。トップ及びボトム・キャップは、相互接続ボルトの取外しによってモジュールから分離されてよく、点検、修理、又は交換のために繊維束の取外しを可能にする。
【0043】
モジュール・エンド・キャップは、モジュールの動作中、所要の真空を維持するように厳密に設計されている。
【0044】
好ましくは、給水入口に供給される溶解された固体を含む生給水は、約50℃~約85℃の範囲の温度であり、約5℃~約15℃の範囲の、入口から出口までの給水温度の温度降下が生じる。
【0045】
このプロセスは、好ましくは、総溶解固形物(TDS)が60,000ppmよりも高い場合、様々な塩濃度において水から溶解固形物を分離することができる。膜繊維の疎水性を妥協する可能性がある材料を除き、水に溶解させられるあらゆる可溶性物質をこのプロセスによって除去することができる。
【0046】
生給水は、25psiの最大水進入圧力(WEP)によって10psi未満の一定の水圧において中空繊維膜に供給されてよい。WEPは、使用される膜の分子カットオフに依存する。より目の詰まった膜は、より高いWEPを受け入れることができる。
【0047】
中空繊維膜の外側は、約20~200mbarの真空に曝されてよい。
【0048】
膜束の中空繊維パッキング密度は、与えられた用途のための膜繊維のそれぞれからの蒸気の最適な流れのために設計される。
【0049】
中空繊維膜の端部及び中央コアの端部は、ポッティング・ブーツに化学的に結合されている。これは、膜束の完全性を維持し、その結果、最小限の漏れを生じるか又は漏れを生じない。
【0050】
パーツ・キー
中空繊維蒸留モジュールは、
膜エレメント 2
シェル 4
モジュール・トップ・フランジ 6
モジュール・ボトム・フランジ 8
モジュール・ボトム・キャップ 24
を含む。
膜エレメントは、
膜束 20
膜トップ・キャップ 22
を含む。
膜束は、
中空繊維膜 200
トップ膜ブーツ 202
ボトム膜ブーツ 204
ポッティング材料 206
中央コア 208
中央コア端部コネクタ 210
束トップ・フランジ 212
束ボトム・フランジ 214
支持ロッド 216
スペーサ・リング 218
Оリング 220
を含む。
ボトム・キャップは、
ボトム・キャップ・フランジ 230
端部コア・レシーバ 240
給水カムロック接続 242
濃縮水カムロック接続 244
漏出カムロック接続 246
を含む。
【0051】
例1
真空膜蒸留モジュール
図1は、それぞれ上端部及び下端部にモジュール・トップ・フランジ6及びモジュール・ボトム・フランジ8を有する管状のシェル4(「容器本体」)を含むハウジングを含む中空繊維蒸留モジュール(HFDM)を示す。各フランジは、工業用プラスチックから製造されており、化学溶接、融着又は接着プロセスによって容器本体に接続されている。
【0052】
シェル4は、5℃~120℃で変化する作動温度に耐えることができる熱可塑性物質から形成された1つの円形の管である。
【0053】
モジュール・トップ・フランジ6は、蒸気コレクタ・ヘッダ(図12参照)における対応するフランジへの接続を提供する。フランジ間の接続は、相互接続ボルトによって達成される。フランジ間の1つ又は複数のシールは、真空下でシールを提供する。
【0054】
類似の形式において、モジュール・ボトム・フランジ8は、モジュール・ボトム・キャップ24への接続を提供する。ボトム・キャップは、膜束20を受け入れ、したがって、膜エレメントのボトム・キャップとして働く。
【0055】
図2及び図3を参照すると、ボトム・キャップ24は、熱可塑性樹脂の1つのピースから製造されている。一方の端部は、モジュール・ボトム・フランジ8と同じボルトパターンを有する業界標準12インチのフランジ230を組み込んでいる。反対側の端部は、給水入口242、濃縮水出口244及び漏出出口246を含むキャップへの液圧接続を組み込んでいる。給水入口242は、繊維束の中央コア208に流体接続されている。
【0056】
給水入口242は、標準2インチの雄型「カムロック」接続タイプのものである。一連のシールは、繊維束の中央コア端部210とのボトム・キャップ24の境界面箇所における液圧完全性を保証する。
【0057】
膜束から流出する液体は、ボトム・キャップ24において集められ、2インチの雄型「カムロック」接続タイプの濃縮物出口244へ送られる。一連のシールは、ボトム・キャップ24及び濃縮物出口244との繊維束の境界面箇所における液圧完全性を保証する。
【0058】
漏出出口246は、膜エレメントのボトム・キャップにある。膜を通過すべきあらゆる液体は、集められ、漏出出口246を通ってプロセスの漏出タンクへ戻される。漏出出口246は、1インチの雄型「カムロック」接続タイプのものである。
【0059】
給水、濃縮物及び漏出物のための雄型「カムロック」接続は、一般的に編み上げホース又はゴムホースによるがハード・パイプ接続であってもよい雌型「カムロック」接続に対応する。
【0060】
ボトム・キャップ24は、8インチのおおよその直径を有する繊維束のためのレシーバを含む。レシーバは、完全な真空を提供するように設計されている。レシーバは、ボトム・キャップ24の中央にある。このレシーバは、約150mmの直径の繊維束のための雌型接続箇所である。繊維束のためのレシーバの中央には、膜束の中央コア端部コネクタ210を受け入れるための端部コア・レシーバ240が設けられている。
【0061】
レシーバは、その内周にわたって2つの「O」リングシールを備える。これらのシールは、真空完全性及び液圧完全性が維持され、繊維束が確実に定着させられることを保証するように設計されている。
【0062】
ボトム・シェル・フランジにボトム・キャップを封止するためにガスケットが設けられており、これは、真空シールである。
【0063】
例2
中空繊維膜束
図4及び図5を参照すると、中空繊維膜200の束20が、トップ及びボトム膜ブーツ202、204の間に配置されている。中空繊維膜200の端部は、ポッティング化合物への化学結合によって膜ブーツ202、204に固定されている。各膜ブーツ202、204は、取り付けられた束フランジ212、214を有する。束フランジ212、214のそれぞれは、組立てを容易にするために、2つの半部を含む。支持ロッド216が、各端部においてそれぞれの束フランジに固定されており、束20に構造的支持を提供している。中央コア208は、繊維束20の中央に延びている。中央コア・コネクタ210は、ボトム・キャップ24の給水入口242から中央コア208に給水が進入するための流体接続を提供する。トップ・キャップ22は、図6に示されているようにトップ膜ブーツ202に封止して取り付けられている。中央コア208は、給水をボトム・キャップ入口242からトップ・キャップ24へ移動させ、トップ・キャップ24において、給水は、中空繊維膜200の内側(管腔)を流れて戻るために中空繊維膜へ分散させられる。図7に示されているように、トップ膜フランジ212とトップ・キャップ22との間に配置されたスペーサ・リング218は、図6に示されているように、トップ・キャップ22の係合及び封止を補助する。スペーサ・リングの内面は、Oリングに定着するように1つのエッジにおいて面取りされている。別のスペーサ・リング218は、図2及び図4に見られるように、モジュール・ボトム・キャップ24とのボトム膜ブーツ204の係合及び封止を補助する。トップ・キャップ22から半径方向に延びる突出部は、モジュール・シェル4の内周にアプローチ又は当接するように寸法決めされており、これにより、膜エレメントを適切な軸方向の向きに配置及び支持しており、膜束20を、シェル4内の横方向移動(例えば、図10及び図11)の結果として生じる故障又は損傷から保護している。
【0064】
図8は、中空繊維膜200の例示的なパッキング配置を示す繊維束20の平面図である。膜繊維の周囲の蒸気の流れは、繊維のパッキング密度によって影響される。膜束のパッキング密度は、意図した用途のための最適な性能のために設計されている。中空繊維膜200を通過する水蒸気は、束20から出て、膜束20の外周とモジュール・シェル4の内面との間の空間Sへ入ることができ、蒸気ヘッダ250を通じて真空下で抽出される。
【0065】
有効膜長さLは、トップ・ポッティング・ブーツ202とボトム・ポッティング・ブーツ204との間の繊維束の長さであり、これは、図9に示されているように蒸気発生に寄与する。合計膜束長さLは、Lと、束入口カムロックコネクタ242を含むボトム・キャップ24の長さと、2つのポッティング・ブーツ202、204の長さと、トップ・キャップ22の長さと、を含む、膜束の全長を意味する。
【0066】
構成要素及び材料科学
膜束及び、特に、膜ポッティング化合物206、膜200及び全ての濡れた構成要素は:
・ 5℃~120℃の温度
・ 1~14のpHレベル
・ 酸化剤
・ ほぼ完全な真空
に耐えることができる材料を用いて設計される。
【0067】
構成要素の説明
図11に示されているように、中空繊維膜束は、以下の主要な構成要素からなる:
1.膜束トップ・キャップ。SS316L又はその他の材料から形成されたトップ・キャップ供給分配は、関連する材料規格に従う。トップ・キャップ22は、「ポッティング・ブーツ」202上に取り付けられ、シールを形成し且つ給水を中空繊維200内へ導く/分散させるように設計されている。
2.ポッティング・ブーツ。ポッティング・ブーツ202、204は、「繊維束」の端部に取り付けられており、プラスチック、PSU(ポリスルホン)、CPVC、その他から形成されている。繊維束のトップ及びボトムに取り付けられた2つの同じポッティング・ブーツが存在する。ポッティング化合物マスチック206が、キャップ内へ注がれ、中空繊維膜を「ポッティング・ブーツ」における所定の位置にロックする。
3.PSU又はCPVC、その他から形成された中央コア。膜束における中央コア208は、供給流れチャネルとして機能する。
4.束トップ・フランジ212及び束ボトム・フランジ214は、膜束をボトム及びトップ・キャップ22、24に接続する膜束支持ロッド216を保持するためにチタン又はSS 316Lから形成された金属リングである。各フランジは、組立てを容易にするために2つの半部を備えている。
5.膜束への供給進入雄型接続。米国軍用規格によって開発及び管理される「カムロック」接続タイプの水入口コネクタは、給水進入箇所及びボトム膜モジュール・キャップにおいてこの設計で使用される。
6.Оリング220:中央コア208をボトム・キャップ24に封止するために使用される。
7.寸法。膜束は、約18.54cmの直径を有する(特定の束寸法は、最新のKMX膜シェル設計と互換性がある)。
8.中空繊維膜。「中空繊維膜」200は、PTFE、ポリスルホン又はその他の材料であってよい所有の疎水性材料から形成されている。膜中空繊維の使用は、以下の説明において詳述される。
8.1 動的環境における継続的動作に耐えるように設計されている。
8.2 それらがポッティング化合物マスチックを接合する箇所における破壊に耐えるように設計されている。これは、他の設計において生じることが知られている。
8.3 中空繊維膜は、0.25~0.45ミクロンの細孔径カットオフを有することができる。
【0068】
プロセスの説明
このセクションは、真空膜蒸留のためのプロセス及び用途を説明しており、その膜束は、主要な分離役割を提供し、膜シェルとともに、技術の最も重要な構成要素である。
1. 用途。このプロセスは、様々な濃度において水から溶解固形物を分離するように設計されているが、一般的に、供給TDSが60,000ppmを超える可溶性材料であるときに、より効率的である。これは、水に溶解されるあらゆる可溶性物質、好ましくは塩であり得る。
2. 膜束への生水供給。可溶性材料を含む生水は、「モジュール・ボトム・キャップ」242における接続箇所へポンピングされ、そこから、膜束の中央コア208に進入する。接続箇所は、アップフロー管(中央コア208)を備える垂直構造である。この管のネックの端部において、膜束は、「トップ・キャップ」22へ開放しており、この「トップ・キャップ」22は、給水を束内の個々の中空繊維へ分散させるように設計されている。束は、比較的一定の圧力及び一定の供給で動作しなければならない1500~5000本の繊維からなる。
3. 供給温度。給水の温度は、30℃~85℃である。
4. 圧力バランス。膜繊維内の給水圧力(一般的に<10psi)は、膜を通って水を循環させるためにのみ十分である。膜繊維の外側は、真空に曝されている。膜繊維の壁部を通る「駆動力」は、供給圧力(約10psi)と真空圧力との組合せである。これは、現在の膜の場合には最大で約24psiである。
5. 相間移動機構。個々の中空繊維の内部における液相から個々の繊維の外側における気相への移行は、膜壁部の2つの側を横切る圧力勾配によって誘発される「フラッシング」を生じ且つ発生した蒸気を膜細孔から中空繊維の外側に向かって押し出す、膜の内部膜壁部の近くにおける液体の間の境界面において行われる。膜の内壁は疎水性であるため、膜繊維を横切る液体の通過は防止され、蒸気のみが通過することができる。
6. フラッシュ蒸留を介する相間移動機構。膜繊維の外壁において誘発された真空は、高温の供給蒸気圧力が、フラッシング(沸騰)を生じさせる真空によって誘発される低圧環境よりも高いという条件を生じる。継続的なフラッシュ効果は、エネルギが蒸気へ移動させられるときに給水が繊維を通って流れながら、膜繊維に沿って温度降下を生じる。膜束のシェル側における蒸気は、モジュール・シェルから集められ、水が供給から除去される(蒸気として)ときに別個のプロセスにおいて純水に凝縮され、給水の総溶解固形物(TDS)濃度が高まる。このプロセスは、供給における溶解固形物の結晶化のポイントまで継続することができる。溶解固形物は、除去され、廃棄されるか、又は他のプロセスにおいて使用するために販売される。
【0069】
例3
浸透率へのパッキング密度の影響
流動は、単位時間当たりの膜の単位面積当たりに生成される浸透の体積であり、l/m/h、又はLMHとして表されてよい。圧力に対する流動の比は、浸透率と呼ばれる。
【0070】
パッキング密度は、繊維の断面積を束の断面積によって割ったものと定義される。異なるパッキング密度が、ベンチ・スケール真空膜蒸留システムにおいて試験された。60%のパッキング密度を有する基準束は、繊維パッキング密度を次々に30%、20%、及び15%へ減じるように修正された。図13に示されているように、lmh/kPaとして測定される膜束の浸透率の増大が、パッキング密度が60%未満に減じられたときに観察された。この実験では、最大浸透率は、20%のパッキング密度において観察された。結果は、パッキング密度が、膜蒸留のためのモジュールにおいて流動を最適化しようとするときに考慮されるべきパラメータであることを証明している。
【0071】
仮定で、パッキング密度は、蒸気が膜束から出て、ヘッダを通じて出る前にモジュール・シェルへ進行するときに、蒸気に対する抵抗を表す。
【0072】
その後の試験において、発明者らは、本発明によるモジュールによって10~15l/m/hの浸透をルーチン的に達成した。
【0073】
上記に説明されたものは、開示されたアーキテクチャの実例を含む。もちろん、構成要素及び/又は方法の全ての考えられる組合せを説明することは不可能であるが、当業者は、多くのさらなる組合せ及び変形が可能であることを認識し得る。したがって、新規のアーキテクチャは、全てのこのような変更、修正、及び変形態様を包含することが意図されている。さらに、「includes」という用語が、詳細な説明又は特許請求の範囲において使用される範囲で、このような用語は、「comprising」という用語と類似の形式で包括的であることが意図されている。なぜならば、「comprising」は、請求項における移行句として採用されたときに解釈されるからである。
【0074】
本発明の特定の実施の形態の前記説明は、例示及び説明のために提供されている。それらは、排他的であること又は本発明を開示された正確な形態に限定することは意図されておらず、明らかに、多くの修正及び変形態様が、上記の教示に照らして可能である。例示的な実施の形態は、本発明の原理及びその実用的な用途を最も良く説明し、これにより、当業者が、本発明、及び考えられる特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施の形態を最も良く利用することを可能にするために、選択及び説明されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2021年12月2日に出願された米国仮出願第63/285,378号2022年4月7日に出願された米国仮出願第63/328,501号及び2022年12月2日に出願された国際特許出願PCA/US2022/051634の優先権を主張するものである。
【0002】
開示は、水から溶解物質を分離するための膜に基づいたシステムの分野に関する。より具体的には、本開示は、真空膜蒸留モジュールでの使用のための膜束及びモジュールを使用して水から溶解固形分を分離するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
清浄な水は、人間の消費及びその他の用途(例えば、産業)のために必要とされる。しかしながら、清浄な水の供給は、有限であり、世界のある地域では厳しく制限されている。増加しつづける人口は、飲料水の需要を生じる。不純物を含む水は、清浄な水を製造するために処理又は浄化される。例えば、飲料水を製造するために、塩が海水から除去される場合がある。
【0004】
膜蒸留プロセスが知られており、このプロセスでは、膜の選択性が、水蒸気のための同時浸透性を有する液体水の保持に基づく。膜の供給側と浸透側との間に提供される温度差は、膜を横切って部分的な水蒸気圧力差を生じ、この水蒸気圧力差は、膜の供給側の表面において生じた水蒸気を、浸透側に向かって膜壁部を通過させるように動かす。真空膜蒸留(VMD)では、真空ポンプを使用することによって、膜壁部を通過した水蒸気は、浸透側を通って凝縮器へ移動させられ、そこで凝縮させられる。
【0005】
米国特許出願公開第2020/0109070号には、円筒状のコンテナに収容された、貫通孔を有する疎水性多孔質中空繊維膜の束を含む膜蒸留のための膜モジュールが記載されている。中空繊維膜の表面は、撥水剤のコーティングを含む。処理される水は、中空繊維膜内部を通過させられ、外側から出た水蒸気は、冷却され、凝縮させられ、浸透した水として回収される。
【0006】
膜蒸留法によって高純度の水を得るために、膜を通過する生水の成分が、浸透した水の側へ漏れないことが必須である。処理される水の表面張力が有機物成分によって減じられると、膜蒸留のために使用される多孔質膜の細孔の内部の濡れ及び細孔の内部の通過を生じる可能性があり、これにより、「濡れ」として知られる現象である、膜の生水側から浸透側への漏れを生じる。濡れは、膜蒸留の機能の達成を妨げる。中空繊維膜の両端部が接着剤樹脂によってハウジングに固定されている膜モジュールの場合、膜の濡れは、接着により固定された位置と非接着的に固定された位置との間の境界の近く、及び生水の温度がより高く、生成される蒸気の量がより大きい水入口の近くの位置において生じる傾向がある。米国特許出願公開第2022/0080358号には、濡れを生じやすい中空繊維膜の位置に付着する膜面積当たりの疎水性ポリマーの量が他の位置よりも大きいモジュールが記載されている。
【0007】
米国特許出願公開第2022/0001331号には、ハウジングに膜蒸留のための実質的に円柱状の膜カートリッジを含む膜蒸留モジュールが記載されている。カートリッジは、中空繊維疎水性多孔質膜の端部が付加樹脂によって付加されている付加部分を含む。ハウジングの支持部分は、シーリング部材によって付加部分を支持している。
【0008】
従来、疎水性圧縮性材料が、束の2つの端部での膜ブーツに繊維を一緒に保持するために使用されてきた。これらの疎水性圧縮性材料の役割は、繊維を所定の位置に保持し、モジュールの蒸気側への液体の漏れを防止するシールを提供することである。このような場合、パックされた繊維は、圧縮によって収容されている、即ち、繊維は物理的な力によって保持されている。発明者らは、ポッティング化合物に繊維を物理的に保持することが、特により低い繊維密度において、真空膜蒸留の厳しさのために十分に頑丈ではないことを発見した。
【0009】
液圧及び真空が膜モジュールに加えられるときの通常動作下において、疎水性圧縮性材料は、容易に移動させられる可能性があり、したがって、膜束は、完全性を失い、ずれた位置から激しい漏れを生じる可能性がある。これは、束を故障させる。物理的結合は、繊維が本来的に疎水性であるときの膜蒸留用途には適していない。
【0010】
既存の設計は、液相の水から水蒸気への移行を伴う大きな膨張を考慮することができない。供給における水が蒸発するとき、水は、よりいっそう大きな体積を占めるように膨張する。真空下での水の膨張はさらに大きくなる。供給における水が液体から蒸気へ変化するとき、その体積は、約1000倍に増大する。この大きな膨張は、対処されなければならない。発明者らは、従来の設計が、膜からの浸透蒸気が束からハウジングを通って凝縮器へ移動するための十分な空間を提供することができず、したがって、空間が提供することができるよりも多くの浸透を繊維が発生させることにより、システムが詰まることを認識した。
【0011】
平坦なシート、プレート及びフレーム、又はらせん形に巻かれるなどの、従来の膜モジュール設計は、水蒸気の増大した体積のための膜の浸透側における空間を提供することができず、その結果、モジュールが詰まり、流動が妨げられる。
【0012】
水から溶解固形物を分離するための既存のシステムは、製造、運転及び維持するために複雑且つ高価であり、これは、そのようなシステムを運転するために不経済にする可能性がある。頑丈であり、維持することが容易であり、運転における向上した効率を与える装置及びシステムを提供しながら膜を組み込んだ膜蒸留モジュールの処理量を高めるために、疎水性中空繊維膜を組み込んだ膜蒸留モジュールの構造に関する研究の継続的な必要性が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0109070号
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0080358号
【特許文献3】米国特許出願公開第2022/0001331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明者らは、膨張した蒸気体積を提供し、蒸気がシステムを通って移動することを可能にし、膜蒸留がより高い効率及びより高い処理量で生じることを可能にするためのシステムを設計した。
【0015】
膜繊維が化学結合によって固定されると、耐久性がある頑丈な結合が生じ、これは、ポッティング材料及び繊維の完全性を保ち、したがって、物理的結合の場合に生じていた漏れの主な原因を防止する。
【0016】
入念且つ広範囲の研究に従って、発明者らは、既存の膜モジュール設計が、真空膜蒸留用途に本質的に適していないことを認識するに至った。なぜならば、他のろ過プロセスとは異なり、VMDは、水が供給側から浸透側へ膜を横切るときに液体から蒸気への溶媒相の変化を伴うからである
【0017】
発明者らは、蒸気空間を最適化し、従来利用可能であった設計よりも実質的に高い流動を達成することができるVMDモジュール設計を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
開示は、中空繊維膜蒸留モジュールあって、中空繊維膜束及び膜束を収容するためのハウジングを備え、
膜束は、第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を含み、第1の端部及び前記第2の端部は、ポッティング材料への繊維膜の化学結合によって、それぞれ第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにおいて固定されており、
膜束は、複数の支持ロッドによって支持されており、
第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツのそれぞれは、支持ロッドのそれぞれの端部が固定された、取り付けられたフランジを有し疎水性中空繊維膜が長手方向で第1の膜ブーツと第2の膜ブーツとの間に配置されるように第1の膜ブーツを第2の膜ブーツから離隔させており、
疎水性中空繊維膜は、疎水性中空繊維膜の浸透側からハウジングに向かう蒸気の通過を最適化するように選択された密度でパッキングされており、
膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されておらず、
中央コアが、膜束の長さに広がっており、
ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、蒸気ヘッダに接続されており、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を許容または最適化し、蒸気ヘッダ導管を通じた前記モジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、蒸気ヘッダ導管は真空ポンプに接続されている、中空繊維膜蒸留モジュールを提供する。
【0019】
膜束は、給水入口と濃縮物導管との間の膜の供給側において給水経路を画定するためにハウジングと協働する。水蒸気は、膜の浸透/蒸気側において蒸気ヘッダを含む蒸気ゾーンへ膜を通過し、真空下で蒸気ヘッダから引き込まれる。
【0020】
開示のモジュールは、10~60l/m/hの流動を達成することができる。これは、4l/m/hの最大流動を有していた従来の設計と比較して、よりいっそう高い浸透流動である。
【0021】
開示における使用に適した中空繊維膜は、強い疎水性、強い機械的特性、十分な多孔性、及び適切な細孔径を示す。中空繊維の材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PS、PP、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの、強い疎水性及び真空下でのより高い温度に対する耐性を有する前述の特性を備えるあらゆる高分子化合物であり得る。
【0022】
中空繊維膜は、膜束の各端部において、ポッティング材料を含む膜ブーツに固定されている。使用される繊維膜(例えば、PTFE材料)は、本来的に疎水性であり、本来的に親水基を有する通常のエポキシ材料に付着することができない
【0023】
繊維膜の化学的結合は、真空膜蒸留への顕著な貢献を行い、以下の利益をもたらす:a)繊維とポッティング材料との間の強い完全性、b)無視できるほどしか液体漏れのない束を生じる、c)より低いパッキング密度を有する束を生じることを可能にし、ひいては最大で50l/m/h以上の、よりいっそう高い膜流動を生じることを可能にする。
【0024】
第1及び第2の膜ブーツ(本明細書においてトップ及びボトム膜ブーツと呼ばれてもよい)のそれぞれにおけるフランジに接続された支持ロッドは、膜束に構造的剛性を提供する。パッキング密度を最適化し且つモジュール・ハウジング内に蒸気空間を提供することとともに、支持ロッドを採用することは、膜束から外方への水蒸気の妨げられない退出を可能にし、膜束が多孔質又は有孔スリーブに収容される設計と比較して、高められた流動を可能にする。
【0025】
繊維膜のポッティング後に膜束の組立てを容易にするために、各束フランジは、2つの半部から組み立てられてよい。
【0026】
中空繊維膜のパッキング密度は、中空繊維膜の浸透側からモジュールのシェルに向かう蒸気の通過を最適化するように選択される。繊維密度は、束における繊維の断面積(繊維の外径(OD)に基づく)/束の総断面積×100として計算される割合として表される。繊維膜が物理的な力によって固定されていた従来の設計では、60%未満のパッキング密度を使用することは不可能であった。なぜならば、より低いパッキング密度では、繊維とポッティングとの間の結合が、使用時に完全性を維持するために十分に強くなく、液体を膜の浸透/蒸気側へ漏れさせ、束を故障させるからである。膜繊維を保持するために化学的結合力を用いることにより、より低い繊維密度を有する膜束を形成することができる。発生した蒸気がより少ない抵抗で排出されるために繊維の間に十分な蒸気空間を提供するために、束における中空繊維膜のパッキング密度は、60%未満、好ましくは50%以下、より好ましくは40%~30%の範囲、又は30%~20%の範囲である。40%~30%の範囲のパッキング密度を有する束は、従来の設計よりも10倍高い浸透流動を生じた。
【0027】
中央コアは、給水をボトム・キャップの給水入口から膜束の反対側(上側)の端部へ導くための長手方向に配置された管である。給水は、トップ・キャップに達するまで中央コアを通って上方へ流れ、トップ・キャップは、中空繊維膜を通る下方への流れにおいて水を分散させる。したがって、ボトム・キャップは、給水入口及び濃縮水導管に加え、漏れ排出導管を含んでよい。代替的に、モジュールは、給水が、底部から中空繊維膜に進入し、繊維を通って上方へ流れ、濃縮物が、中央コアを通じてモジュールの底部へ戻されるように構成されてよい。
【0028】
端部コアは、中央コアと連通しており、膜束をボトム・キャップに接続する。端部コアは、Оリングによって供給側と蒸気側との間を封止する。
【0029】
トップ・キャップ及びボトム・キャップのうちの少なくとも一方は、膜束の取外し及び交換を可能にするために管状のシェルから解放させられるように適合されている。好ましくは、トップ・キャップ及びボトム・キャップの両方は、膜束の取外し及び交換を可能にするためにそれらを容器本体から解放させるように適合されている。
【0030】
繊維を取り外すための能力は、モジュールに以下の利点を提供する:
・ 束交換のときに膜ハウジング、トップ・キャップ及びボトム・キャップが維持されるので、プロジェクトの全体的経済性において資金を節約する。この新たな設計において、束のみが交換される。
・ 繊維束は、疎水性膜が濡れた場合、別個の乾燥室において乾燥させられることができる。
・ 繊維束は、化学的又は機械的に損傷された場合に交換されることができる。
・ 繊維束は、より効率的な繊維技術が導入されるときに交換されることができる。
・ 繊維束は、カスタマイズされた用途構成に適合するように交換されることができる。
【0031】
膜モジュール体積:自由膜モジュール体積は、膜ハウジングの体積から、繊維の外径(OD)に基づく膜繊維の体積を含む膜束構成要素によって占められる体積を引いたものである。これは、発生した蒸気のための利用可能な空間である。この空間は、a)発生した蒸気を繊維の間でシェル/蒸気側に向かって最小限の抵抗で横断させるために繊維の間に十分な空間を生じるようにサイズ決め及び分配されており、b)自由膜モジュール体積は、蒸気コレクタ(本明細書では蒸気ヘッダとも呼ばれる)に接続されなければならず、一般に、ハウジング内に、特に、ハウジングから出るところで50~150fpsの範囲の蒸気速度を提供すべきであるが、繊維束内の蒸気速度は、確立された真空における音速未満であるべきである。与えられた用途/動作に対する浸透の最適な処理量のための蒸気空間の要求量は、異なる真空度及び温度における水1ポンド当たりの発生した蒸気の体積についての既知の値に基づいて計算される。これらを全て考慮することは、1mmの内径の中空繊維によって約30l/m/hの流動を生じる。自由膜モジュール体積が小さすぎると、フラッシュ効果が損なわれる。不完全なフラッシュの結果、能力以下の利用において膜が動作することになる。蒸気体積が大きすぎると、凝縮が容器内で生じ、フラッシュ効果も損なわれる。
【0032】
蒸気ヘッダ導管のサイズは、真空ポンプによる蒸気の抽出を最適化するように選択される。蒸気ヘッダ導管の断面積は、予想される浸透流動の範囲内の良好な蒸気速度を提供するように計算される。蒸気ヘッダ導管が小さすぎると、蒸気速度が高まりすぎ、これは、蒸気排出に対する抵抗となる。好ましくは、蒸気の速度は、15.24m~45.72m(50~150フィート)毎秒(fps)の範囲に収まるべきである。膜モジュールが垂直に設置される場合、モジュールの上部に蒸気ヘッダ導管を位置決めすることは、モジュールからの蒸気の最適な排出、ひいてはシステムを通る最適な流動のために有利である。しかしながら、システムがアウトサイドイン・モードにおいて作動させられる場合、蒸気ヘッダ導管は、膜束の両側に位置決めされることができる。
【0033】
モジュールは、給水がモジュールの上部から又は底部から繊維の内部空間(管腔側)に供給されることによって作動させられることができるように設計されている。従来技術の真空蒸留モジュールは、底部からのみ供給流を受け入れるように設計されている。本明細書において説明されるモジュールは、供給流を繊維内に均一に分配する上部から供給流を受け入れることができる。
【0034】
好ましくは、繊維は、コーティング材料を有さない繊維構造全体を通じて疎水性である。モジュール・ボトム・キャップの給水入口は、複数の中空繊維膜へ給水を供給するための膜束トップ・キャップにおいて貯水槽へ開口したアップフロー管として機能する中央コアと流体接続されている。
【0035】
代替的な動作モードにおいて、繊維束は、給水タンク内に吊るされることができ、蒸気は、アウトサイドイン動作において束の2つの端部から抽出され、これは、給水が、繊維のシェル側又は外側にあり、蒸気が、繊維の管腔側から集められることを意味する。
【0036】
さらなる態様において、本開示は、水から溶解固形分を分離するためのプロセスであって、本明細書に説明されているような中空繊維膜蒸留モジュールに生給水を通過させることと、蒸気ヘッダ導管を通じて抽出された水蒸気から精製水を回収することと、を含むプロセスを提供する。したがって、本開示のモジュール及びプロセスは、塩水脱塩に役立つ。
【0037】
モジュール及びプロセスは、給水に存在する塩濃縮するための有用性も有する。
【0038】
一態様において、本開示は、中空繊維膜蒸留モジュールであって、第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を含む伸長した中空繊維膜束と、複数の支持ロッドと、少なくとも2つの膜ブーツと、中央コアと、ハウジングと、蒸気ヘッダと、を備え、ハウジングは、膜束を収容し、複数の疎水性中空繊維膜の第1の端部は、少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツにおいて固定されており、複数の疎水性中空繊維膜の第2の端部は、少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツにおいて固定されており、伸長した膜束は、複数の支持ロッドによって支持されており、これにより、少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツを少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツから離れさせ、疎水性中空繊維膜が長手方向で第1の膜ブーツと第2の膜ブーツとの間に配置され、中央コアが、伸長した膜束の長さに広がっており、疎水性中空繊維膜は、疎水性中空繊維膜の浸透側からハウジングに向かう蒸気の通過を許容するように選択された密度でパッキングされており、ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、ハウジングは、蒸気ヘッダに接続されている、中空繊維膜蒸留モジュールを提供する。
【0039】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、伸長した中空繊維膜束は、給水入口と濃縮物導管との間の膜の供給側において給水経路を画定するためにハウジングと動作接続にある。
【0040】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、疎水性中空繊維膜は、水蒸気が疎水性中空繊維膜の浸透/蒸気側において蒸気ヘッダを含む蒸気ゾーンへ疎水性中空繊維膜を通過し、真空下で蒸気ヘッダから引き込まれることを許容することを可能にする。
【0041】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、疎水性中空繊維膜のポッティング材料への化学結合によって、疎水性中空繊維膜の第1の端部及び第2の端部は、第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにおいてそれぞれ固定されている。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、ポッティング材料は、疎水性中空繊維膜、中央コア、及び少なくとも2つの膜ブーツに化学的に結合されている。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、ポッティング材料は、エポキシ化合物である。
【0042】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、ポッティング材料は、疎水性中空繊維膜、中央コア、及び少なくとも2つの膜ブーツに化学的に結合されている。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されていない。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、伸長した中空繊維膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されていない。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を許容または最適化し、蒸気ヘッダ導管を通じたモジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、前記蒸気ヘッダ導管は真空ポンプに接続されている。
【0043】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を許容し、蒸気ヘッダ導管を通じたモジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、前記蒸気ヘッダ導管は真空ポンプに接続されている。
【0044】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、繊維パッキング密度は、60%以下である。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、繊維パッキング密度は、30%~40%の範囲にある。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、繊維パッキング密度は、20%~30%の範囲にある。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜は、毎秒約50~約150フィート(fps)のハウジング及び蒸気ヘッダ導管を通過する蒸気速度で動作するように構成されている。
【0045】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、給水側と浸透側との間にシーリングを提供するように、Oリングをさらに備える。
【0046】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、蒸気ゾーンへと膜を通過する液体がモジュールの供給側へと集められて戻されることを可能にする漏出導管をさらに備える。
【0047】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する膜、または約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径を有する。
【0048】
他の実施の形態において、本開示は、溶解した固体を水から分離するための方法であって、(a)中空繊維膜束と膜束を含むためのハウジングとを備える中空繊維膜蒸留モジュールを提供するステップであって、(i)膜束は、第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を備え、第1の端部及び第2の端部は、第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにそれぞれ固定されており、(ii)膜束は、複数の支持ロッドによって支持されており、(iii)第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツのそれぞれは、支持ロッドの各端部に固定された取付けフランジを有し、それによって、第1の膜ブーツを第2の膜ブーツから離れさせ、疎水性中空繊維膜が長手方向で第1の膜ブーツと第2の膜ブーツとの間に配置され、(iv)疎水性中空繊維膜は、疎水性中空繊維膜の浸透側からハウジングに向かう蒸気の通過を最適化するように選択された密度でパッキングされており、(v)中央コアが、膜束の長さに広がっており、(vi)ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、蒸気ヘッダに接続されている、ステップと、(b)給水入口と濃縮物導管との間の膜の供給側において給水経路を画定するために膜束とハウジングとの間の動作接続を提供するステップと、(c)溶解された固体を含む生給水を供給するステップと、(d)中空繊維膜蒸留モジュールに生給水を通過させるステップと、(e)蒸気ヘッダ導管を通じて抽出された水蒸気から精製水を回収するステップと、を含む、方法を提供する。
【0049】
他の実施の形態において、本開示は、溶解した固体を水から分離するための方法であって、(a)第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を備える伸長した中空繊維膜束と、複数の支持ロッドと、少なくとも2つの膜ブーツと、中央コアと、ハウジングと、蒸気ヘッダと、を備える中空繊維膜蒸留モジュールを提供するステップであって、ハウジングは、膜束を収容し、複数の疎水性中空繊維膜の第1の端部は、少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツにおいて固定されており、複数の疎水性中空繊維膜の第2の端部は、少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツにおいて固定されており、伸長した膜束は、複数の支持ロッドによって支持されており、これにより、少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツを少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツから離れさせ、疎水性中空繊維膜が長手方向で第1の膜ブーツと第2の膜ブーツとの間に配置され、中央コアが、伸長した膜束の長さに広がっており、疎水性中空繊維膜は、疎水性中空繊維膜の浸透側からハウジングに向かう蒸気の通過を許容するように選択された密度でパッキングされており、ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、ハウジングは、蒸気ヘッダに接続されている、ステップと、(b)給水入口と濃縮物導管との間の膜の供給側において給水経路を画定するために膜束とハウジングとの間の動作接続を提供するステップと、(c)溶解された固体を含む生給水を供給するステップと、(d)中空繊維膜蒸留モジュールに生給水を通過させるステップと、(e)蒸気ヘッダ導管を通じて抽出された水蒸気から精製水を回収するステップと、を含む、方法を提供する。
【0050】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、給水入口の温度は、約50℃~約85℃である。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、給水入口の圧力は、約10psiから約25psiである。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、方法は、中空繊維膜の外側に、約20~約200の真空を適用するステップをさらに含む。
【0051】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、疎水性中空繊維膜のポッティング材料への化学結合によって、中空繊維膜の第1の端部及び第2の端部は、第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにそれぞれ固定されている。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、ポッティング材料は、エポキシ化合物である。
【0052】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、ポッティング材料は、疎水性中空繊維膜、中央コア、及び少なくとも2つの膜ブーツに化学的に結合されている。
【0053】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されていない。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を最適化し、蒸気ヘッダ導管を通じたモジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、前記導管は真空ポンプに接続されている。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、繊維パッキング密度は、60%以下である。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、繊維パッキング密度は、30%~40%の範囲にある。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、繊維パッキング密度は、20%~30%の範囲にある。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、約50~約150fpsのハウジング及び蒸気ヘッダ導管を通過する蒸気速度で動作するように構成されている。
【0054】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、給水側と浸透側との間にシーリングを提供するように、Oリングをさらに備える。例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜蒸留モジュールは、蒸気ゾーンへと膜を通過する液体がモジュールの供給側へと集められて戻されることを可能にする漏出導管をさらに備える。
【0055】
例示的な本実施の形態または例示的な他の実施の形態において、中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する。
【0056】
本明細書に説明された例において、膜束及びモジュールは、中空繊維膜の内側から外側への給水の流れのために構成されており、中空繊維膜の外側からの蒸気の通過は、浸透側であり、インサイドアウト動作とも呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】モジュール・シェル、モジュール・トップ・キャップを備える繊維束、及びボトム・モジュール・キャップを示す、膜蒸留モジュールの縦断面図である。
図1Aモジュール・トップ及び糸を示す図1の詳細図である。
図1Bモジュール・ボトム及び糸を示す図1の詳細図である。
図2本開示のボトム・キャップの斜視図である。
図3図1の繊維束の分解図である。
図4】本開示の実施の形態による膜束の側断面図である。
図5本発明の実施の形態の束トップ・キャップ、膜束及びトップ・フランジの斜視断面図である。
図6本開示の中空繊維蒸留モジュールの上面図である。
図7本開示の蒸気ヘッダと一緒の本開示の中空繊維蒸留モジュールの前平面図である。
図8】束の浸透率に対する膜束の繊維膜パッキング密度の変化の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
前述の及び関連する目的の達成のために、例示的な態様が、以下の説明及び図面に関連して本明細書において説明される。これらの態様は、本明細書に開示された原理が実施されることができる様々な形式を示している。その他の利点及び新規の特徴は、図面に関連して検討されたときに以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0059】
図1図1A及び図1Bを参照すると、1つの実施の形態において、取外し可能な中空繊維膜束22は、最適なパッキング密度及び繊維たるみを有する中空繊維膜42と、繊維がポッティングされ且つ固定された、各端部に1つずつの2つの膜ブーツ(トップ及びボトム)44,46と、2つの取外し可能なフランジ(トップ及びボトム)14,16と、膜ブーツ44,46から離されることによって膜繊維を所定の位置に保持する4つの支持ロッド52(図3と、供給流のために使用される中央コア32と、膜束22膜束ボトム・キャップ20に接続する中央コア端部コネクタ34と、を含む。膜ブーツ44,46は、中空繊維膜42を所定の位置に保持し、Оリング40a~40dとともに、給水と浸透側との間に所要の封止を提供するポッティング材料23を含む。中空繊維膜の端部が固定された、即ち埋め込まれたポッティング材料23は、異なる硬さ/剛性の少なくとも2つの層を含んでよい(図示せず)
【0060】
1つの実施の形態において、中空繊維膜42は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する。中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径を有する細孔を画定するように構成されている。
【0061】
膜束22の各端部は、スペーサ・リング54a,54bをさらに含んでよい。
【0062】
Оリング40a~40dは、膜束22の上部とトップ・キャップ18との間及び膜束22の下端部と膜束ボトム・キャップ20との間に防水シールを提供する。
【0063】
膜束ボトム・キャップ20は、8インチのおおよその直径を有する繊維束のためのレシーバ36を含む。レシーバ36は、完全な真空を提供するように設計されている。レシーバ36は、膜束ボトム・キャップ20の中央にある。このレシーバ36は、約150mmの直径の繊維束のための雌型接続箇所である。繊維束のためのレシーバ36の中央には、膜束22の中央コア端部コネクタ34を受け入れるための端部コア・レシーバ38が設けられている。
【0064】
レシーバ36は、その内周にわたって2つの「O」リングシールを備える。これらのシールは、真空完全性及び液圧完全性が維持され、繊維束が確実に定着させられることを保証するように設計されている。
【0065】
膜束ボトム・キャップ20は、蒸気ゾーン複数の中空繊維膜42のうち少なくとも1つを通過すべきあらゆる液体が集められ、プロセスの供給側へ戻されるようにする、漏出導管30をさらに含む。
【0066】
膜束は、その中央コア端部コネクタ34及びОリング40a~40dによって膜モジュールに接続されている。膜束トップ・キャップ18及び膜束ボトム・キャップ20の封止は、キャップがボルト等の固定手段58によって管状のシェルに固定されたときにОリング40a~40dを圧縮する一方の側からの面取り39を有するスペーサ・リング54a,54bによっても補助される。実施の形態において、管状のシェル12は、束トップ・キャップ18における対応する(トップ)フランジ56への接続のための束トップ・フランジ48(48a,48b)と、膜束ボトム・キャップ20における対応する(ボトム)フランジ16への接続のための束ボトム・フランジ50と、を含む。フランジ16,48,50,56は、工業規格フランジ、例えば、8インチ、12インチ、16インチ又はその他のこのような工業規格フランジ接続と同じ寸法及びボルト穴パターンを有するように製造されてよい。それぞれのフランジの間の接続は、相互接続ボルト58によって達成される。フランジの間には1つ又は多数のシールが設けられており束トップ・フランジ48束トップ・キャップ18と真空気密封止を提供し、蒸気チャネル、即ち管状のシェル12を蒸気コレクタ(図示せず)に接続する、トップ・フランジ48管状のシェル12との間のギャップも提供し、束ボトム・フランジ16は、膜束ボトム・キャップ20との真空気密シールを提供する。膜束トップ・キャップ18又は膜束ボトム・キャップ20は、相互接続ボルト58の取外しによってシェル12から分離されてよく、点検、修理、又は交換のために膜繊維束22の取外しを可能にする。
【0067】
膜束トップ・及びボトム・キャップ18,22は、モジュールの動作中、所要の真空を維持するように厳密に設計されている。
【0068】
好ましくは、給水入口に供給される溶解された固体を含む生給水は、約50℃~約85℃の範囲の温度であり、約5℃~約15℃の範囲の、給水入口から導管までの給水温度の温度降下が生じる。
【0069】
このプロセスは、好ましくは、総溶解固形物(TDS)が60,000ppmよりも高い場合、様々な塩濃度において水から溶解固形物を分離することができる。膜繊維の疎水性を妥協する可能性がある材料を除き、水に溶解させられるあらゆる可溶性物質をこのプロセスによって除去することができる。
【0070】
生給水は、25psiの最大水進入圧力(WEP)によって10psi未満の一定の水圧において中空繊維膜に供給されてよい。WEPは、使用される膜の分子カットオフに依存する。より目の詰まった膜は、より高いWEPを受け入れることができる。
【0071】
中空繊維膜の外側は、約20~200mbarの真空に曝されてよい。膜束の中空繊維パッキング密度は、与えられた用途のための膜繊維のそれぞれからの蒸気の最適な流れのために設計される。中空繊維膜の端部中央コア32中央コア・トップ端部32a及び(トップ膜ブーツ44又はボトム膜ブーツ46内の)中央コア端部コネクタ34は、ブーツ44,46に化学的に結合されている。これは、膜束の完全性を維持し、その結果、最小限の漏れを生じるか又は漏れを生じない。
【0072】
パーツ・キー
中空繊維蒸留モジュールは、
膜エレメント 10
管状のシェル 12
モジュール・トップ・フランジ 14
モジュール・ボトム・フランジ 16
含む。
膜エレメントは、
膜束 22
膜束トップ・キャップ 18
膜束ボトム・キャップ 20
を含む。
膜束は、
中空繊維膜 42
トップ膜ブーツ 44
ボトム膜ブーツ 46
ポッティング材料 23
中央コア 32
中央コア・トップ端部 32a
中央コア・ボトム・端部 32b
中央コア端部コネクタ 34
束トップ・フランジ 48
束ボトム・フランジ 50
支持ロッド 52
スペーサ・リング 54a,54b
Оリング/シール 40a~40d
を含む。
ボトム・キャップは、
ボトム・キャップ・フランジ 24
端部コア・レシーバ 36
給水入口 26
濃縮水導管 28
漏出導管 30
漏出カムロック接続 30a
を含む。
【0073】
例1
真空膜蒸留モジュール
図1は、それぞれ上端部及び下端部にモジュール・トップ・フランジ56及びモジュール・ボトム・フランジ16を有する管状のシェル12を含むハウジングを含む中空繊維蒸留モジュール示す。各フランジは、工業用プラスチックから製造されており、化学溶接、融着又は接着プロセスによって管状のシェルに接続されている。
【0074】
管状のシェル12は、5℃~120℃で変化する作動温度に耐えることができる熱可塑性物質から形成された1つの円形の管である。
【0075】
モジュール・トップ・フランジ56は、蒸気ヘッダ250(図参照)における対応するフランジへの接続を提供する。蒸気ヘッダ導管260は、蒸気ヘッダ250と動作可能な接続にあり、膜束22を通過した後、蒸気が精製の次の段階に進むことを許容する。フランジ間の接続は、相互接続ボルト58によって達成される。フランジ間の1つ又は複数のシールは、真空下でシールを提供する。
【0076】
類似の形式において、モジュール・ボトム・フランジ16は、モジュール・ボトム・キャップ20への接続を提供する。ボトム・キャップは、膜束22を受け入れ、したがって、膜エレメントのボトム・キャップとして働く。
【0077】
1B及び図を参照すると、膜束ボトム・キャップ20は、熱可塑性樹脂の1つのピースから製造されていてもよいボトム・キャップ20のフランジ24は、モジュール・ボトム・フランジ16と同じボルトパターンを有する業界標準12インチのフランジであってもよい。反対側の端部は、給水入口26、濃縮水導管28及び漏出導管30を含むキャップへの液圧接続を組み込んでいる。給水入口26は、繊維束の中央コア32に流体接続されている。
【0078】
給水入口26は、標準2インチの雄型「カムロック」接続タイプのものである。一連のシールは、繊維束の中央コア端部コネクタ34との膜束ボトム・キャップ20の境界面箇所における液圧完全性を保証する。
【0079】
膜束から流出する液体は、膜束ボトム・キャップ20において集められ、2インチの雄型「カムロック」接続タイプの濃縮物導管28へ送られる。一連のシールは、膜束ボトム・キャップ20及び濃縮物導管28との繊維束の境界面箇所における液圧完全性を保証する。
【0080】
漏出導管30は、膜エレメントのボトム・キャップ20にある。膜を通過すべきあらゆる液体は、集められ、漏出導管30を通ってプロセスの漏出タンクへ戻される。漏出導管30は、1インチの雄型「カムロック」接続タイプのものである。
【0081】
給水、濃縮物及び漏出物のための雄型「カムロック」接続は、一般的に編み上げホース又はゴムホースによるがハード・パイプ接続であってもよい雌型「カムロック」接続に対応する。
【0082】
例2
中空繊維膜束
を参照すると、中空繊維膜42の束22が、トップ及びボトム膜ブーツ44,46の間に配置されている。中空繊維膜42の端部は、ポッティング材料23への化学結合によって膜ブーツ44,46に固定されている。トップ膜ブーツ44は、関連付けられたトップ束フランジ48を有し、ボトム膜ブーツ46は、関連付けられたボトム束フランジ50を有する。束フランジ48,50のそれぞれは、組立てを容易にするために、2つの半部を含む。支持ロッド52が、各端部においてそれぞれの束フランジに固定されており、膜束22に構造的支持を提供している。中央コア32は、膜束22の中央に延びている。中央コア端部コネクタ34は、膜束ボトム・キャップ20の給水入口26から中央コア32に給水が進入するための流体接続を提供する。膜束トップ・キャップ18は、図1Aに示されているようにトップ膜ブーツ44に封止して取り付けられている。中央コア32は、給水を給水入口26から膜束トップ・キャップ18へ移動させ、膜束トップ・キャップ18において、給水は、中空繊維膜42の内側(管腔)を流れて戻るために中空繊維膜へ分散させられる。図1A及び図3に示されているように、トップフランジ48膜束トップ・キャップ18との間に配置されたスペーサ・リング54a,54bは、図1Aに示されているように、膜束トップ・キャップ18の係合及び封止を補助する。スペーサ・リング54a,54bの内面それぞれは、Oリングに定着するように1つのエッジにおいて面取り39を有する。別のスペーサ・リング54a,54bは、図1B及び図に見られるように、膜束ボトム・キャップ20とのボトム膜ブーツ46の係合及び封止を補助する。膜束トップ・キャップ18から半径方向に延びるフランジ56は、モジュール・シェル12の内周にアプローチ又は当接するように寸法決めされており、これにより、膜エレメントを適切な軸方向の向きに配置及び支持しており、膜束22を、管状のシェル12内の横方向移動(例えば、図及び図)の結果として生じる故障又は損傷から保護している。
【0083】
は、中空繊維膜42の例示的なパッキング配置を示す繊維束22の平面図である。中空繊維膜42の周囲の蒸気の流れは、中空繊維膜42のパッキング密度によって影響される。膜束のパッキング密度は、意図した用途のための最適な性能のために設計されている。中空繊維膜42を通過する水蒸気は、束22から出て、膜束22の外周と管状のシェル12の内面との間の空間Sへ入ることができ、蒸気ヘッダ250を通じて真空下で抽出される。
【0084】
は、有効膜長さL トップブーツ44とボトムブーツ46との間の繊維束の長さであることを描写し、これは蒸気発生に寄与する。合計膜束長さLは、Lと、給水入口26を含む膜束ボトム・キャップ20の長さと、2つのブーツ44,46,46の長さと、膜束トップ・キャップ18の長さと、を含む、膜束の全長を意味する。
【0085】
構成要素及び材料科学
膜束及び、特に、ポッティング材料23、膜42及び全ての濡れた構成要素は:
・ 5℃~120℃の温度
・ 1~14のpHレベル
・ 酸化剤
・ ほぼ完全な真空
に耐えることができる材料を用いて設計される。
【0086】
構成要素の説明
に示されているように、中空繊維膜束は、以下の主要な構成要素を含む
1.膜束トップ・キャップ。SS316L又はその他の材料から形成されたトップ・キャップ供給分配は、関連する材料規格に従う。膜束トップ・キャップ18は、「ブーツ」44上に取り付けられ、シールを形成し且つ給水を中空繊維膜42内へ導く/分散させるように設計されている。
2.膜ブーツブーツ44,46は、「繊維束」の端部に取り付けられており、プラスチック、PSU(ポリスルホン)、CPVC、またはその他から形成されている。繊維束のトップ及びボトムに取り付けられた2つの同じブーツが存在する。ポッティング材料23が、キャップ内へ注がれ、中空繊維膜を膜ブーツにおける所定の位置にロックする。変形形態において、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上等の異なる数の膜ブーツが含まれ得ることが認識されるであろう。
3.PSU又はCPVC、その他のプラスチックから形成された中央コア。膜束における中央コア32は、供給流れチャネルとして機能する。
4.束トップ・フランジ48及び束ボトム・フランジ50は、膜束を膜束トップ・キャップ18及び膜束ボトムキャップ20に接続する膜束支持ロッド52を保持するためにチタン又はSS 316Lから形成された金属リングであってもよい。各フランジは、組立てを容易にするために2つの半部を備えている。変形形態において、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上等の異なる数の支持ロッドが含まれ得ることが認識されるであろう。
5.膜束への供給進入雄型接続。米国軍用規格によって開発及び管理される「カムロック」接続タイプの水入口コネクタは、給水進入箇所及びボトム膜モジュール・キャップにおいてこの設計で使用される。
6.Оリング40a~40d:中央コア32をボトム・キャップ24に封止するために使用される。変形形態において、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上等の異なる数のOリング又は他のガスケットが含まれ得ることが認識されるであろう。
7.寸法一実施の形態において、膜束は、約18.54cmの直径を有する。変形形態において、膜束が5,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,30,35,40またはそれ以上または言及されたものの間の値等の異なる直径を有していてもよいことが認識されるであろう。
8.中空繊維膜中空繊維膜42は、PTFE、ポリスルホン又はその他の材料であってよい所有の疎水性材料から形成されている。膜中空繊維の使用は、以下の説明において詳述される。
8.1 動的環境における継続的動作に耐えるように設計されている。
8.2 それらがポッティング材料23を接合する箇所における破壊に耐えるように設計されている。これは、他の設計において生じることが知られている。
8.3 中空繊維膜は、0.25~0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する膜を有する
【0087】
プロセスの説明
このセクションは、真空膜蒸留のためのプロセス及び用途を説明しており、その膜束は、主要な分離役割を提供し、膜シェルとともに、技術の最も重要な構成要素である。
1. 用途。このプロセスは、様々な濃度において水から溶解固形物を分離するように設計されているが、一般的に、供給TDSが60,000ppmを超える可溶性材料であるときに、より効率的である。これは、水に溶解されるあらゆる可溶性物質、好ましくは塩であり得る。
2. 膜束への生水供給。可溶性材料を含む生水は、給水入口26における接続箇所へポンピングされ、そこから、膜束の中央コア32に進入する。接続箇所は、アップフロー管(中央コア32)を備える垂直構造である。この管のネックの端部において、膜束は、「トップ・キャップ」22へ開放しており、この「トップ・キャップ」22は、給水を束内の個々の中空繊維へ分散させるように設計されている。一実施の形態において、束は、比較的一定の圧力及び一定の供給で動作する約1500~5000本の繊維を含み得る
3. 供給温度。給水の温度は、30℃~85℃である。
4. 圧力バランス。膜繊維内の給水圧力(一般的に<10psi)は、膜を通って水を循環させるためにのみ十分である。膜繊維の外側は、真空に曝されている。膜繊維の壁部を通る「駆動力」は、供給圧力(約10psi)と真空圧力との組合せである。これは、現在の膜の場合には最大で約25psiである。
5. 相間移動機構。個々の中空繊維の内部における液相から個々の繊維の外側における気相への移行は、膜壁部の2つの側を横切る圧力勾配によって誘発される「フラッシング」を生じ且つ発生した蒸気を膜細孔から中空繊維の外側に向かって押し出す、膜の内部膜壁部の近くにおける液体の間の境界面において行われる。膜の内壁は疎水性であるため、膜繊維を横切る液体の通過は防止され、蒸気のみが通過することができる。
6. フラッシュ蒸留を介する相間移動機構。膜繊維の外壁において誘発された真空は、高温の供給蒸気圧力が、フラッシング(沸騰)を生じさせる真空によって誘発される低圧環境よりも高いという条件を生じる。継続的なフラッシュ効果は、エネルギが蒸気へ移動させられるときに給水が繊維を通って流れながら、膜繊維に沿って温度降下を生じる。膜束のシェル側における蒸気は、管状のシェル12から集められ、水が供給から除去される(蒸気として)ときに別個のプロセスにおいて純水に凝縮され、給水の総溶解固形物(TDS)濃度が高まる。このプロセスは、供給における溶解固形物の結晶化のポイントまで継続することができる。溶解固形物は、除去され、廃棄されるか、又は他のプロセスにおいて使用するために販売される。
【0088】
例3
浸透率へのパッキング密度の影響
流動は、単位時間当たりの膜の単位面積当たりに生成される浸透の体積であり、l/m/h、又はLMH(リットル毎平方メートル毎時)として表されてよい。圧力に対する流動の比は、浸透率と呼ばれる。
【0089】
パッキング密度は、繊維の断面積を束の断面積によって割ったものと定義される。異なるパッキング密度が、ベンチ・スケール真空膜蒸留システムにおいて試験された。60%のパッキング密度を有する基準束は、繊維パッキング密度を次々に30%、20%、及び15%へ減じるように修正された。図に示されているように、lmh/kPaとして測定される膜束の浸透率の増大が、パッキング密度が60%未満に減じられたときに観察された。この実験では、最大浸透率は、20%のパッキング密度において観察された。結果は、パッキング密度が、膜蒸留のためのモジュールにおいて流動を最適化しようとするときに考慮されるべきパラメータであることを証明している。
【0090】
仮定で、パッキング密度は、蒸気が膜束から出て、蒸気ヘッダ250を通じて出る前に管状のシェル12へ進行するときに、蒸気に対する抵抗を表す。
【0091】
その後の試験において、発明者らは、本開示によるモジュールによって10~15l/m/hの浸透をルーチン的に達成した。
【0092】
上記に説明されたものは、開示されたアーキテクチャの実例を含む。もちろん、構成要素及び/又は方法の全ての考えられる組合せを説明することは不可能であるが、当業者は、多くのさらなる組合せ及び変形が可能であることを認識し得る。したがって、新規のアーキテクチャは、全てのこのような変更、修正、及び変形態様を包含することが意図されている。さらに、「includes」という用語が、詳細な説明又は特許請求の範囲において使用される範囲で、このような用語は、「comprising」という用語と類似の形式で包括的であることが意図されている。なぜならば、「comprising」は、請求項における移行句として採用されたときに解釈されるからである。
【0093】
開示の特定の実施の形態の前記説明は、例示及び説明のために提供されている。それらは、排他的であること又は本開示を開示された正確な形態に限定することは意図されておらず、明らかに、多くの修正及び変形態様が、上記の教示に照らして可能である。例示的な実施の形態は、本開示の原理及びその実用的な用途を最も良く説明し、これにより、当業者が、本開示、及び考えられる特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施の形態を最も良く利用することを可能にするために、選択及び説明されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空繊維膜蒸留モジュールであって
第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を含む伸長した中空繊維膜束と、
複数の支持ロッドと、
少なくとも2つの膜ブーツと、
中央コアと、
ハウジングと、
蒸気ヘッダと、を備え、
前記ハウジングは、前記膜束を収容し、
前記複数の疎水性中空繊維膜の前記第1の端部は、前記少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツにおいて固定されており、前記複数の疎水性中空繊維膜の前記第2の端部は、前記少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツにおいて固定されており、
前記伸長した膜束は、前記複数の支持ロッドによって支持されており、これにより、前記少なくとも2つの膜ブーツの前記第1の膜ブーツを前記少なくとも2つの膜ブーツの前記第2の膜ブーツから離れさせ、前記疎水性中空繊維膜が長手方向で前記第1の膜ブーツと前記第2の膜ブーツとの間に配置され
前記中央コアが、前記伸長した膜束の長さに広がっており、
前記疎水性中空繊維膜は、前記疎水性中空繊維膜の浸透側から前記ハウジングに向かう蒸気の通過を許容するように選択された密度でパッキングされており
前記ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、
前記ハウジングは、蒸気ヘッダに接続されている、中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項2】
前記伸長した中空繊維膜束は、給水入口と濃縮水導管との間の前記膜の供給側において給水経路を画定するために前記ハウジングと動作接続にある、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項3】
前記疎水性中空繊維膜は、水蒸気が前記疎水性中空繊維膜の前記浸透側において前記蒸気ヘッダを含む蒸気ゾーンへ前記疎水性中空繊維膜を通過し、真空下で前記蒸気ヘッダから引き込まれることを許容することを可能にする、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項4】
前記疎水性中空繊維膜のポッティング材料への化学結合によって、前記複数の疎水性中空繊維膜の前記第1の端部は、前記少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツにおいて固定されており、前記複数の疎水性中空繊維膜の前記第2の端部は、前記少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツにおいて固定されている、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項5】
前記ポッティング材料は、前記疎水性中空繊維膜、前記中央コア、及び前記少なくとも2つの膜ブーツに化学的に結合されている、請求項に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項6】
前記伸長した中空繊維膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されていない、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項7】
前記繊維パッキング密度は、30%~40%の範囲にある、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項8】
前記繊維パッキング密度は、20%~30%の範囲にある、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項9】
前記中空繊維膜蒸留モジュールは、約50~150fpsの前記ハウジング及び蒸気ヘッダ導管を通過する蒸気速度で動作するように構成されている、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項10】
蒸気ゾーンへと前記膜を通過する液体が前記モジュールの供給側へと集められて戻されることを可能にする漏出導管をさらに備える、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項11】
前記中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する、請求項1に記載の中空繊維膜蒸留モジュール。
【請求項12】
溶解した固体を水から分離するための方法であって、
a. 第1の端部及び第2の端部を有する複数の疎水性中空繊維膜を備える伸長した中空繊維膜束と、
複数の支持ロッドと、
少なくとも2つの膜ブーツと、
中央コアと、
ハウジングと、
蒸気ヘッダと、を備える中空繊維膜蒸留モジュールを提供するステップであって、
前記ハウジングは、前記膜束を収容し、
前記複数の疎水性中空繊維膜の前記第1の端部は、前記少なくとも2つの膜ブーツの第1の膜ブーツにおいて固定されており、前記複数の疎水性中空繊維膜の前記第2の端部は、前記少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツにおいて固定されており、
前記伸長した膜束は、前記複数の支持ロッドによって支持されており、これにより、前記少なくとも2つの膜ブーツの前記第1の膜ブーツを前記少なくとも2つの膜ブーツの第2の膜ブーツから離れさせ、前記疎水性中空繊維膜が長手方向で前記第1の膜ブーツと前記第2の膜ブーツとの間に配置され、
前記中央コアが、前記伸長した膜束の長さに広がっており、
前記疎水性中空繊維膜は、前記疎水性中空繊維膜の浸透側から前記ハウジングに向かう蒸気の通過を許容するように選択された密度でパッキングされており、
前記ハウジングは、管状ボディ及びボトム・キャップを含み、
前記ハウジングは、蒸気ヘッダに接続されている、ステップと、
b. 給水入口と濃縮物導管との間の前記膜の供給側において給水経路を画定するために前記膜束と前記ハウジングとの間の動作接続を提供するステップと、
c. 溶解された固体を含む生給水を供給するステップと、
d. 前記中空繊維膜蒸留モジュールに前記生給水を通過させるステップと、
e. 前記蒸気ヘッダを通じて抽出された水蒸気から精製水を回収するステップと、を含む、方法。
【請求項13】
給水入口の温度は、約50℃~約85℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
給水入口の圧力は、約10psiから約25psiである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記中空繊維膜の外側に、約20~約200の真空を適用するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記疎水性中空繊維膜のポッティング材料への化学結合によって、前記中空繊維膜の第1の端部及び第2の端部は、第1の膜ブーツ及び第2の膜ブーツにそれぞれ固定されている、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ポッティング材料は、前記疎水性中空繊維膜、前記中央コア、及び前記少なくとも2つの膜ブーツに化学的に結合されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記膜束は、多孔質又は有孔スリーブにおいて包囲されていない、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記中空繊維膜蒸留モジュールは、真空膜蒸留中に気相への液体水の膨張を提供することにより浸透の処理量を許容し、蒸気ヘッダ導管を通じた前記モジュールからの水蒸気の流出を促進するように構成されており、前記蒸気ヘッダ導管は真空ポンプに接続されている、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記中空繊維膜は、約0.25ミクロン~約0.45ミクロンの細孔径に対応する分子カットオフを有する、請求項12に記載の方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】