(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】植物水を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20241031BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241031BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241031BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241031BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20241031BHJP
C05F 11/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23L19/00 Z
A23L33/105
A61K8/02
A61K8/19
A61K33/00
C05F11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531455
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2021060960
(87)【国際公開番号】W WO2023094859
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524197932
【氏名又は名称】シュミット,カミール
(71)【出願人】
【識別番号】524197943
【氏名又は名称】トゥーラー,ファブリス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,カミール
(72)【発明者】
【氏名】トゥーラー,ファブリス
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4C083
4C086
4H061
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LE05
4B016LG01
4B016LG05
4B016LG16
4B016LP02
4B016LP05
4B016LP08
4B016LP13
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD52
4B018MD53
4B018MD61
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF14
4C083AB051
4C083AB052
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA21
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4H061AA01
4H061CC41
4H061EE02
4H061FF02
4H061GG21
(57)【要約】
本発明は、果実及び/又は野菜及び/又は植物などの8時間未満前に収穫された草本から植物水を生成するための方法であって、-より高い又はより低いレベルの真空下にあるチャンバ内に草本を配置すること、-草本を2℃~95℃の温度に、かつ2時間~150時間の期間加熱すること、-当該草本に含有された水を回収することであって、当該植物水が、最大20mg/lの量で水中に溶解された植物起源の物質の総濃度を含有し、水が、4~7のpH、中性又はほぼ中性のRH2、及び50uS/cm未満の低い導電率を有する、回収することに存する工程を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実及び/又は野菜及び/又は植物などの8時間未満前に収穫された草本から植物水を生成するための方法であって、
-より高い又はより低いレベルの真空下にあるチャンバ内に草本を配置する工程、
-前記草本を2℃~95℃の温度に、かつ2時間~150時間の期間加熱する工程、
-前記草本に含有された前記水を回収する工程であって、前記植物水が、最大20mg/lの量で前記水中に溶解された植物起源の物質の総濃度を含有し、前記水が、4~7のpH、中性又はほぼ中性のRH2、及び50uS/cm未満の低い導電率を有する、工程、を含む、方法。
【請求項2】
水が抽出された前記草本が、それらの構造骨格の全て又は一部を保持している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水が、20mg/l未満の量で前記水中に溶解された植物起源の物質の総濃度を含有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水が、スパイス、特にウコンの形態で構成された草本の存在によって自然に着色される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記草本が、果実から抽出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記草本が、野菜から抽出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記草本が、植物から抽出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記草本が、スパイスから抽出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記草本が、エーデルワイス及び好ましくは少なくとも1つの他のタイプの草本から抽出される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水の前記導電率が、50uS/cm未満、典型的には10uS/cm未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記草本が、その水が抽出されると、食品、堆肥、又は肥料として役立つように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学溶媒を用いずに、植物材料から植物水、特に乾燥によって抽出された水を生成するための方法、並びに特に食品組成物、飲料、及びヘルスケアにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下のインターネットリンクに記載されているように、植物水の回収及び再生を用いない草本(vegetation)の脱水は、多くの文明が長年使用してきた方法である://www.deshydrateur.biz、及びhttp://www.ronalpenford.com/pouvez-vous-deshydrater-les-aliments-utilisation-du-soleil/。実際、これは、食品保存の最も古い方法の1つである。
【0003】
今日の消費者は、ますます健康志向であり、彼らが食べる食品の起源及び性質に敏感である。
【0004】
水は、生命にとって不可欠である。水は、身体に活力を与えるだけでなく、日常の機能を果たすことができるように身体に水分も与える。
【0005】
現在まで、地方自治体及び食品会社によって販売されている水は、陸水であるが、本発明で使用される植物水は、植物界に由来する。
【0006】
現在まで、植物界由来の水は、陸水が添加される植物濃縮物の形態でジュースを生成する機械的圧力によって、又は蒸留若しくは他の方法によってのいずれかで得られてきた。
【0007】
身体の健康のためには、ヒトの生理機能と調和している純粋な生きている水を飲むことが理想的である。水道水及びペットボトル水の両方が、薬物及び農業用殺虫剤の多数の残留物を含有しており、これらの点で欠陥があるため、これは、今日ではそれほど簡単ではない。
【0008】
水は、我々の体内で輸送機能を果たし、供給機能は果たさない。水の役割はむしろ、栄養素を細胞に輸送し、尿酸などの有毒な代謝廃棄物を身体から取り除くことによって、代謝を補助することである。
【0009】
本出願人名義のCH715829は、塩並びに有機及び無機物質が少なく、理想的には代謝機能を支持する、石灰を含まない植物ベースの水を開示している。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、改善された栄養価、改善された嗜好性、及び改善された視覚的アピールを有する水を提供し、誰でも、特に子供たちがそのような水を摂取することを容易にすることである。
【0011】
本発明に従って、果実及び/又は野菜及び/又は植物などの8時間未満前に収穫された草本から植物水を生成するための方法であって、
-より高い又はより低いレベルの真空下にあるチャンバ内に草本を配置する工程、
-草本を2℃~95℃の温度に、かつ2時間~150時間の期間加熱する工程、
-当該草本に含有された水を回収する工程であって、当該植物水が、最大20mg/lの量で水中に溶解された植物起源の物質の総濃度を含有し、水が、4~7のpH、中性又はほぼ中性のRH2、及び50uS/cm未満の低い導電率を有する、工程、を含む、方法。
【0012】
好ましくは、本発明の方法により、水が抽出された草本は、それらの構造骨格の全て又は一部を保持している。
【0013】
一実施形態では、方法は、20mg/l未満の量で水中に溶解された植物起源の物質の総濃度を含有する水を得ることを可能にする。
【0014】
完全に自然な方法で飲料の着色だけでなく、味にも影響を与えるために、本発明の方法は、スパイス、特にターメリック又はバニラの形態で構成された草本の存在によって、自然に着色された水を得ることを可能にする。
【0015】
方法は、果実、野菜、植物、及び/又はスパイスから植物水を得ることを可能にする。
【0016】
本発明の方法は、草本がその水を排出したとき、食品、堆肥、又は肥料として使用するために当該草本を保存することを可能にする。
【0017】
本発明の植物水は、飲料、医薬食品、栄養補助食品、又は化粧品として消費され得る。したがって、本発明の植物水は、消費者に栄養を与え、水分を与えるために使用され得る。
【0018】
本方法を用いて、草本からのH2O分子のみが回収される一方で、有機物は、酵素、ビタミン、及び無機塩と一緒に草本中に残る。
【0019】
本発明に従って、果実及び/又は野菜及び/又は植物などの8時間未満前に収穫された草本から植物水を生成するための方法は、
-より高い又はより低いレベルの真空下にあるチャンバ内に草本を配置する工程、
-草本を2℃~85℃の温度に、かつ2時間~150時間の期間加熱する工程、
-当該草本に含有された水を回収する工程であって、当該植物水が、最大20mg/lの量で水中に溶解された植物起源の物質の総濃度を含有し、水が、4~7のpH、中性又はほぼ中性のRH2、及び50uS/cm未満の低い導電率を有する、工程、を含む。
【0020】
草本の全ての効力を保持する製品を生成するために、方法は、収穫の8時間又は更には2時間以内に水を抽出するように、作物に可能な限り近接して実施されなければならない。
【0021】
好ましくは、方法によって得られた植物水は、果実、野菜、又は植物を乾燥させることによって抽出される。
【0022】
好ましくは、方法によって得られた植物水は、20mg/l又は更には10mg/l未満の少量で水中に溶解された乾燥物質を含有する。
【0023】
別の実施形態では、方法によって得られた植物水組成物は、追加の添加剤を更に含む。
【0024】
一実施形態では、方法によって得られた植物水は、化粧品分野において、例えばメイクアップリムーバローションとして使用される。
【0025】
別の実施形態では、方法によって得られた植物水は、医療分野において、特にがん、リウマチ、痛風、慢性感染症、及びセルライトを治療するために使用される。
【0026】
別の実施形態では、方法によって得られた植物水は、飲料又は栄養補助食品として、ボトル又はブリックなどのパッケージングに入れられる。
【0027】
別の実施形態では、方法によって得られた植物水を、果実及び/又は野菜及び/又は植物の取り合わせで構成し、専用の機械において同時に又は同時ではなく乾燥させ得る。
【0028】
この植物水を得るために、方法は、この草本の細胞の各々に含有される全ての栄養素を別に取っておくことを可能にする。
【0029】
本方法に従って、低温乾燥は、草本に含有される水のほぼ完全な抽出を可能にする。実際、軽い脱水は、草本に含有される水を蒸発させる熱風の気体供給を可能にするために、低温及び低圧で草本を低温乾燥させることによって行われるべきである。抽出された植物水は、草本の中心から直接取り出され、純粋である。これは、カロリーを含有しないが、微量の有機物質(脂質、炭水化物、及びタンパク質)を含有し得る。
【0030】
本発明の別の利点は、一方では、方法が、実質的にH2O分子のみを含有する純粋な植物水を回収し、他方では、乾燥植物材料が、消費、又は様々な調製物における使用の準備ができていることである。
【0031】
一実施形態では、方法によって得られた植物水は、食品として、又はアルコール飲料若しくは非アルコール飲料として使用される。
【0032】
この実施形態に従って、方法によって得られた植物水は、例えば、ビールの調製で使用される。
【0033】
更にこの実施形態に従って、方法によって得られた植物水は、例えばシャーベット又はアイスクリームの調製で使用される。
【0034】
植物水を作製するために溶媒は使用されない。更に、生態学的アプローチの一部として、水を抽出するために非常に少ないエネルギーを使用することに加えて、有機果実及び野菜などの余分の又は損傷した草本が、それらから水を抽出するために使用され得る。
【0035】
本発明の特徴は、決して限定的ではない、ほんの一例として与えられる本実施形態を読むことでより明確になるであろう。
【0036】
この例では、実験室分析は、方法を介して得られた有機リンゴ及びエーデルワイスの水が、5.1のpH、4の導電率、2.56PPMの植物ベースの水中に溶解された物質の総濃度、及び0.10mg/l未満の乾燥物質濃度を有することを示した。この例では、RH2は、28である。
【0037】
感覚刺激の観点から、方法によって得られ、表で特徴付けられた植物水は、透明であり、非常に軽い香り、及び心地良く、まろやかで、かすかな味を有する。注意深い選択を通して、この植物水は、ウラン、ヒ素、重金属、及び殺虫剤代謝産物を含まない。
【0038】
本方法によって得られた植物水は、この例において5.1のpHを有する。pHレベルは、水の酸性度を反映する。pH(水素電位)は、水中の水素の量を指す。塩基性すぎる飲料水は、高度に酸性の環境で起こる胃の消化能力を最終的に損なう。結果として、更なる消化は、困難である。したがって、試料中の水のようなかなり酸性の水を飲むことが望ましい。
【0039】
一例では、方法を介して得られた植物水は、リンゴとエーデルワイスとの混合物から得られ得る。この水は、化粧用クリームの基剤として使用され得る。
【0040】
別の詳細ではない例において、方法を介して得られた植物水は、ワインを補完する植物水を生成するために、収穫後のブドウから得られる。ワインを作製するために使用されたブドウ中のH2O分子の残りは、ワイン作製プロセスを「補完する」植物水を得るために、乾燥させることによって抽出される。
【0041】
草本の全ての効力を維持するために、移動式植物水生成ユニットは、可能な限り草本に接近する。
【国際調査報告】