(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】原子炉電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 11/00 20060101AFI20241031BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J11/00
H02J7/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531543
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2023084624
(87)【国際公開番号】W WO2023185909
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】202210342916.X
(32)【優先日】2022-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523214188
【氏名又は名称】上▲海▼核工程研究▲設▼▲計▼院股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】リュウ チャン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ シャンフー
(72)【発明者】
【氏名】チャン メンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ニー ダン
(72)【発明者】
【氏名】チャン クン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ボー
(72)【発明者】
【氏名】カオ ケーメイ
(72)【発明者】
【氏名】マー タオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ガオフェン
(72)【発明者】
【氏名】スン ハオ
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GB05
5G015JA56
5G015KA14
5G503AA05
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
(57)【要約】
本発明に係る原子炉電源システムは、常用交流電源を含む交流電源システムと直流電源システムを備える。常用交流電源は、高電圧バス、低電圧バス、変圧装置を含み、高電圧バスには、小型原子炉モジュールにから電力が供給され、高電圧バスは変圧装置で変圧され、低電圧バスに電力を供給する。直流電源システムは、AC/DCコンバーター、直流バスとバッテリを含み、AC/DCコンバーターは、低電圧バスに接続され、低電圧バスから供給される交流電力を直流電力に変換し、直流バスを通じてバッテリを充電する。本発明は、小型原子炉の原子力エネルギーの綜合利用と合理的な電力供給を実現し、小型原子炉の応用範囲を広げ、原子力エネルギーの電力供給の信頼性を高める。先端的な小型原子炉の受動的設計を更に用い、高安全クラス電源装置を採用せず、小型原子炉の安全性と経済性をさらに高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常用交流電源を含み、前記常用交流電源が小型原子炉モジュールと接続し、外部電力網に電力を供給する交流電源システムと、
発電所通常運転時に交流電源が停止した時に、発電所の所定の負荷に継続的に電源を供給する直流電源システムと、
を備え、
前記常用交流電源は、高電圧バス、低電圧バス、変圧装置を含み、前記高電圧バスには、前記小型原子炉モジュールから電力が供給され、前記高電圧バスは前記変圧装置で変圧され、前記低電圧バスに電力を供給し、
前記直流電源システムは、AC/DCコンバーター、直流バスとバッテリを含み、前記AC/DCコンバーターは、前記低電圧バスに接続され、前記低電圧バスから供給される交流電力を直流電力に変換し、前記直流バスを通じて前記バッテリを充電する
ことを特徴とする原子炉電源システム。
【請求項2】
前記交流電源システムは予備交流電源をさらに含み、前記予備交流電源はディーゼル発電機を含み、前記ディーゼル発電機は、前記低電圧バスに接続され、前記常用交流電源が利用できないときに前記直流バスに電力を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉電源システム。
【請求項3】
前記予備交流電源はさらに補助交流電源を含み、前記補助交流電源は補助発電機により電力を生成し、前記小型原子炉モジュールのコールドスタートに電力を供給し、前記高電圧バスに電力を供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の原子炉電源システム。
【請求項4】
前記直流電源システムは予備直流電源をさらに含み、前記予備直流電源は、ディーゼル発電機が利用できないときに、前記バッテリを充電する
ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉電源システム。
【請求項5】
前記バッテリは高信頼性バッテリを含み、前記高信頼性バッテリは、発電所の通常運転時と交流電源が停止した時に、発電所の共通負荷、前記小型原子炉モジュールの各モジュール保護システムとその関連負荷に電力を供給する
ことを特徴とする請求項4に記載の原子炉電源システム。
【請求項6】
前記バッテリは常用バッテリを含み、前記常用バッテリは小型原子炉モジュールの安全性に関わらない負荷に電力を供給し、前記電力は複数のモジュールに共有される
ことを特徴とする請求項4に記載の原子炉電源システム。
【請求項7】
前記予備直流電源は、燃料電池又はモバイル電源を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の原子炉電源システム。
【請求項8】
前記高電圧バスは、外部電力網、マイクロ電力網または専用負荷に接続され、電力を供給する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の原子炉電源システム。
【請求項9】
前記マイクロ電力網は、風力と太陽光のハイブリッド発電、海水淡水化、電気分解による水素製造又はエネルギー貯蔵負荷を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の原子炉電源システム。
【請求項10】
前記電気分解による水素製造は、燃料電池に水素を供給する
ことを特徴とする請求項9に記載の原子炉電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年04月02日に出願された、発明の名称が「原子炉電源システム」である、中国特許出願202210342916.X、の優先権を主張し、当該出願の全ての内容が引用によって本願に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、原子炉電力供給技術分野に関わり、特に原子炉の電源システムに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、クリーンで低炭素化は世界のエネルギー産業発展の主流となっており、中国はエネルギー構造の転換を積極的に推進し、特に、原子力エネルギーは、クリーンエネルギーの中に重要な役割を果たし、また、他のクリーンエネルギーと協同に成長する局面は急速に形成されている。風力発電や太陽光発電のようなクリーンエネルギーの急速な発展に伴い、安定的でベースとなるエネルギー源は風力・太陽光発電と互いに補って発展することが必要とされ、原子力はその出力の安定性から風力発電や太陽光発電との補い合いに適している。
【0004】
小型原子炉は、そのモジュール性や様々な場面に応用できるなどの特徴から、その研究開発は国内外で注目されている。国際原子力機関の定義によれば、小型原子炉とは、一般的に、出力300MWe未満の原子炉を指し、一般的にモジュール化設計を採用し、比較的に柔軟な配置ができ、建設費用が比較的に低い。先端的な小型原子炉は、通常、受動的設計を採用し、また、小型原子炉の事故軽減や事故後の保護システムに関わる設備に対する電力供給も非常に重要であり、事故後に高信頼性の電力供給は事故の影響を効果的に軽減することができる。
【0005】
従来の原子炉電力供給システムは、応用場面が少なく、高安全クラス給電電源が採用され、発電所の建設と運転の経済性が悪く、原子炉の安全性と原子力エネルギーの応用範囲が影響される。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、高安全クラス交流電源、直流電源に依存せず、信頼性の高い小型原子炉電力供給システムの設計を実現でき、安全性と経済性を高め、小型原子炉による原子力エネルギーの綜合利用を実現できる原子炉電源システムを提供する。
【0007】
本発明の原子炉電源システムは、常用交流電源を含み、常用交流電源が小型原子炉モジュールと接続し、外部電力網に電力を供給する交流電源システムと、発電所通常運転時に交流電源が停止した時に、発電所の所定の負荷に継続的に電源を供給する直流電源システムと、を備える。そして、常用交流電源は、高電圧バス、低電圧バス、変圧装置を含み、高電圧バスには、小型原子炉モジュールから電力が供給され、高電圧バスは変圧装置で変圧され、低電圧バスに電力を供給する。直流電源システムは、AC/DCコンバーター、直流バスとバッテリを含み、AC/DCコンバーターは、低電圧バスに接続され、低電圧バスから供給される交流電力を直流電力に変換し、直流バスを通じしてバッテリを充電する。
【0008】
好ましくは、交流電源システムは予備交流電源をさらに含み、予備交流電源はディーゼル発電機を含み、ディーゼル発電機は、低電圧バスに接続され、常用交流電源が利用できないときに直流バスに電力を供給する。
【0009】
好ましくは、予備交流電源はさらに補助交流電源を含み、補助交流電源は補助発電機により電力を生成し、小型原子炉モジュールのコールドスタートに電力を供給し、高電圧バスに電力を供給することもできる。
【0010】
好ましくは、直流電源システムは予備直流電源をさらに含み、予備直流電源はディーゼル発電機が利用できないときに、バッテリを充電する。
【0011】
好ましくは、バッテリは高信頼性バッテリを含み、高信頼性バッテリは、発電所の通常運転時と交流電源が停止した時に、発電所の共通負荷、小型原子炉モジュールの各モジュール保護システムとその関連負荷に電力を供給する。
【0012】
好ましくは、バッテリは常用バッテリを含み、常用バッテリは小型原子炉モジュールの安全性に関わらない負荷に電力を供給し、電力は複数のモジュールに共有される。
【0013】
好ましくは、予備直流電源は燃料電池又はモバイル電源を含む。
【0014】
好ましくは、高電圧バスは、外部電力網、マイクロ電力網または専用負荷に接続され、電力を供給する。
【0015】
好ましくは、マイクロ電力網は、風力と太陽光のハイブリッド発電、海水淡水化、電気分解による水素製造、エネルギー貯蔵負荷を含む。
【0016】
好ましくは、電気分解による水素製造は燃料電池に水素を供給する。
【0017】
本発明に係る原子炉電源システムは、小型原子炉の原子力エネルギーの綜合利用と合理的な電力供給を実現し、小型原子炉の応用範囲を広げ、原子力エネルギーの電力供給の信頼性を高める。先端的な小型原子炉の受動的設計をさらに用い、高安全クラス電源装置を採用せず、小型原子炉の安全性と経済性をさらに高める。また、小型原子炉の受動的設計は、高安全クラス交流/直流電源システムに依存せず、発電所外の海水淡水化や、電気分解による水素生成などの負荷への電力供給、あるいは風力・太陽光ハイブリッド発電を互いに補うベース・エネルギー源とし、また、専用負荷への電力供給、例えば、アイランド電力供給に用いられ、原子力エネルギーの総合利用を実現し、小型原子炉の原子力発電のコストを効果的に削減し、経済性を高めることができる。
【0018】
なお、上記記載と下記の詳細的な説明は、例示的なものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願発明をより明確に説明するため、以下、本願の実施形態で用いられる図面を簡単に説明する。以下に説明する図面は本願の一の実施形態に過ぎず、当業者は、以下の図面に基づき、創造的な労働を経ずに他の実施例を得ることができる。
【0020】
【
図1】
図1は本発明の具体的な実施例の原子炉電源システムの概略図である。
【符号の説明】
【0021】
100 交流電源システム
105 予備交流電源
110 常用交流電源
115 ディーゼル発電機
120 補助交流電源
125 補助発電機
130 高電圧バス
140 低電圧バス
200 直流電源システム
205 予備バッテリ
210 AC/DCコンバーター
220 直流バス
225 常用バッテリ
230 高信頼性バッテリ
235 発電所共通負荷
240 モジュール保護システム
300 外部電力網
310 マイクロ電力網
320 専用負荷
400 小型原子炉モジュール
【0022】
添付の図面は、明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本願の実施例を示し、明細書と共に本願発明を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下実施例の詳細な記載と図面は、本発明を例示するものであり、本発明は以下の実施例に限られるものではない。なお、説明の便宜上、図面に本発明に関連する構造の一部のみ示されている。
【0024】
図1は本発明の具体的な実施例の原子炉電源システムの概略図である。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る原子炉電源システムは、交流電源システム100と直流電源システム200とを備える。交流電源システム100と直流電源システム200は、いずれも高安全クラス電源システムではない。交流電源システム100は常用交流電源110を含み、常用交流電源110は小型原子炉モジュール400に接続され、外部電力網300に電力を供給する。直流電源システム200は、発電所通常運転時に交流電源が停止した時に、所定の発電所負荷に継続的に電源を供給する。
【0026】
発電所の小型原子炉モジュール400は、モジュール1、モジュール2、……モジュールXなど、複数のモジュールを含み、発電所のニーズに応じてモジュールの数Xを設定し、これらのモジュールが連動して発電し、交流電源システム100を介して外部電力網300に電力を供給することができる。
【0027】
常用交流電源110は、高電圧バス130、低電圧バス140、および変圧装置150を含み、高電圧バス130は小型原子炉モジュール400から電力が供給され、高電圧バス130は変圧装置150により変圧され、低電圧バス140に電力を供給する。発電所のニーズに応じて、中電圧バス(図示せず)を設けてもよく、高電圧バス130は変圧装置150により変圧され、中電圧バスに電力を供給し、中電圧バスは変圧装置150により変圧され、低電圧バス140に電力を供給する。
【0028】
直流電源システム200は、AC/DCコンバーター210、直流バス220、およびバッテリ250を含み、AC/DCコンバーター210は、低電圧バス140に接続され、低電圧バス140から供給される交流電力を直流電力に変換し、直流バス220を通じてバッテリ250を充電する。
【0029】
本発明に係る原子炉電源システムは、小型原子炉モジュール400が発電し、生成された電力を、常用交流電源110の高電圧バス130を経由し外部電力網300に送電し、外部電力網300に電力を供給する。小型原子炉モジュール400の複数のモジュールが連動し、互いに予備となり、電源の信頼性と安全性が効果的に実現される。また、小型原子炉モジュール400が発電し生成された電力は、高電圧バス130を経て変圧装置150に変圧された後、低電圧バス140に送電される。低電圧バス140が送電している電力は交流電力であるため、低電圧バス140は直流電源システム200のAC/DCコンバーター210に接続され、AC/DCコンバーター210で交流電力が直流電力に変換された後、直流バス220を介してバッテリ250を充電する。バッテリ250は発電所の通常運転時と交流電源が停止した時に、発電所の所定の負荷に継続的に電源を供給し、小型原子炉モジュール400の安全性と関わらない負荷、例えば「投資保護」や発電機能をサポートする負荷に電力を供給することができる。発電所は突然停電した場合、一部の設備が停止してしまう。発電所の出資者の利益を保護するために、一定のバッテリ容量を非常用電源として設置する。このバッテリ容量は出資者の利益を保護するのみに用いられ、発電所の安全性に影響せず、予定外の停電の回数と時間を減らし、「投資保護」となる。
【0030】
本発明に係る原子炉電源システムは、小型原子炉モジュール400が発電し、外部電力網300に電力を供給すると共に、自身が生成した電力をバッテリ250に蓄積し、発電所の所定の負荷に継続的に電源を供給し、また、小型原子炉モジュール400の安全性に関わらない負荷に電力を提供し、これにより、原子炉電源システムは外部電力網300に依存せず、発電所の外で送電網を利用できない場所、または発電所の外で送電網の信頼性が低い場所に原子炉を設置することができる。
【0031】
一実施例として、常用交流電源110の高電圧バス130は、外部電力網300、マイクロ電力網310または専用負荷320に接続され、電力を供給する。
【0032】
マイクロ電力網310は、風力・太陽光ハイブリッド発電、海水淡水化、電気分解による水素製造又はエネルギー貯蔵負荷を含む。風力発電や太陽光発電のようなクリーンエネルギーが急速に発展し、安定でベースとなるエネルギー源がそれらと補い合うことが必要となる。本発明に係る原子炉電源システムは、その出力の安定性から、ベースとなるエネルギー源として風力太陽光発電との補い合いに適しており、また、例えばアイランド給電等の専用負荷320への電源供給にも用いられ、原子力エネルギーの総合利用を実現し、小型原子炉の原子力発電のコストを削減することができる。
【0033】
小型原子炉モジュール400の各モジュールが発電し、自身の運転用の電力以外に、ほかの電力は、外部電力網300、マイクロ電力網310及び専用負荷320に供給する。発電所が正常に稼働している場合、発電所内の交流電源システム100は、小型原子炉モジュール400で高電圧バス130を介して電力を提供する。発電所の原子炉が停止している間に、外部電力網300、マイクロ電力網310は、高電圧バス130を介して発電所内の交流電源システム100に電力を供給することができる。発電所内の電力負荷は、必要電圧の相違に応じて、高電圧バス130に接続された変圧装置150で電力が供給される。
【0034】
図1に示すように、一実施例として、交流電源システム100は予備交流電源105をさらに含み、予備交流電源105はディーゼル発電機115を含み、ディーゼル発電機115は低電圧バス140に接続され、常用交流電源110が利用できない時に、AC/DCコンバーター210を介して交流電力を直流電力に変換した後、直流バス220に電力を供給する。
【0035】
常用交流電源110が利用できない場合に、予備交流電源105を発電所内の電力供給に用いてもよい。例えば、小型原子炉モジュール400のすべてのモジュールが運転停止し、外部電力網300又はマイクロ電力網310が接続されていない(または利用できない)場合、予備交流電源105のディーゼル発電機115を、発電所内の電力供給に用いてもよい。ディーゼル発電機115は低電圧バス140に接続され、所定の負荷の予備電源となる。
【0036】
一実施例として、予備交流電源105は補助交流電源120をさらに含み、補助交流電源120は補助発電機125を介して電力を生成し、小型原子炉モジュール400のコールドスタートに電力を供給してもよく、また、高電圧バス130に電力を供給してもよい。
【0037】
補助交流電源120の補助発電機125は、ガスタービンであってもよく、高電圧バス130に接続され、発電所外の電源が使用できない場合に小型原子炉モジュール400の各モジュールのコールドスタートに電力を供給することができ、また、発電所の運転中に、小型原子炉モジュール400のすべての主発電機と発電所外の電源が同時に停止したという可能性の極めて低い場合に、小型原子炉モジュール400の正常な停止と冷却のために電力を供給することができる。補助交流電源120の種類と設計は、発電所の立地特性に応じて選択してもよく、また、補助交流電源120は、ディーゼル発電機115から物理的に分離され、電源同士に対する潜在的な故障(例えば燃料火災)の悪影響を最小限に抑える。
【0038】
一実施例として、直流電源システム200は予備直流電源205をさらに含み、予備直流電源205は、ディーゼル発電機115が利用できないときに、バッテリ250を充電する。
【0039】
バッテリ250は高信頼性バッテリ230を含み、高信頼性バッテリ230は、発電所通常運転時と交流電源が停止した時に、発電所の共通負荷235、小型原子炉モジュール400の各モジュール保護システム240とその関連負荷に電力を供給する。
【0040】
高信頼性バッテリ230は、発電所通常運転時と交流電源が停止した時に、発電所の共通負荷235(例えば、コントロールルーム)に電力を供給し、また各モジュール保護システム240の関連負荷に電力を供給する。高信頼性バッテリ230は冗長設計であり、接続された負荷の必要な機能に応じて、24時間または72時間の動作サイクルとし、事故後に発電所の安定で制御可能な状態を保証する。
【0041】
一実施例として、バッテリ250は常用バッテリ225を含み、常用バッテリ225は投資保護や発電機能のサポートに関連する負荷に電力を供給し、その電力は小型原子炉モジュール400の各モジュールに共有される。
【0042】
常用バッテリ225は、小型原子炉モジュール400のすべてのモジュールの安全性に関わらない負荷、例えば投資保護や、発電機能をサポートする負荷に電力を供給することができる。常用バッテリ225も直流バス220を介して充電される。
【0043】
一実施例として、ディーゼル発電機115は、バッテリ250の通常の充電電源が利用できない場合に、低電圧バス140に電力を供給し、バッテリ電力を維持する。ディーゼル発電機115の負荷は、主に高信頼性バッテリ230と常用バッテリ225であり、ディーゼル発電機115は、低電圧バス140、直流バス220を通じて高信頼性バッテリ230と常用バッテリ225を充電する。
【0044】
ディーゼル発電機115が使用できない場合、予備直流電源205を起動してもよく、高信頼性バッテリ230と常用バッテリ225に電力を供給する。予備直流電源205は燃料電池又はモバイル電源を含む。
【0045】
一実施例として、電気分解による水素製造は、予備直流電源205の燃料電池に水素を供給する。発電所がマイクロ電力網310の電気分解による水素製造に電力を供給するとき、水素酸素燃料電池を用いて直流バス220に電力を供給してもよい。
【0046】
本発明に係る原子炉電源システムは、小型原子炉モジュール400の複数のモジュールが連動し、外部電力網300、ディーゼル発電機115、補助発電機125(ガスタービン)及び予備直流電源205(燃料電池又はモバイル電源)と接続し、電源の信頼性と安全性を効果的に実現でき、また、小型原子炉の受動的設計を併用し、高安全クラス交流/直流電源システムに依存せず、発電所外での海水淡水化、電気分解による水素製造などの負荷へ電源供給、あるいは風力・太陽光ハイブリッド発電のベース・エネルギー源、または、アイランド給電等の専用負荷320への電源供給に用いられ、原子力エネルギーの総合利用を実現し、小型原子炉の原子力発電のコストを効果的に削減し、経済性を高めることができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の技術的思想に属する様々な実施形態は本発明の保護範囲に属する。当業者は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、以上の実施例に対して行った変更または修正は、本発明の保護範囲に属する。
【国際調査報告】