(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】幾何学的に制御された生体組織の熱的アブレーションのための調節可能な電極を有するバイポーラニードル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241031BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531586
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2022051226
(87)【国際公開番号】W WO2023097113
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】テラニ、ラミン
(72)【発明者】
【氏名】ベニング、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】デュバル、ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK20
4C160KK24
4C160KK36
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM32
(57)【要約】
アブレーション治療のための方法、装置、及びシステムである。構成可能なアブレーションプローブは、少なくとも2つの電極を含み、それらの電極の表面積は、使用者によって、操作可能であり、その後に固定可能である。いくつかの方法は、いずれか一方の電極により近い損傷部を優先的に作り出すためにアブレーションステップのシーケンス家庭において相対的な表面積を調節することを含む。いくつかの方法は、細長形の損傷部を生成するために、治療送達の間に電極のうちの一方の位置を調節することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有するアブレーションプローブであって、前記アブレーションプローブは、
非導電性材料の外側シースと、
非導電性材料の内側シースと、
前記内側シースと前記外側シースとの間に配置されるシャフト電極と、
前記内側シース内に配置されるニードル電極と、
前記シャフト電極に対する前記外側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第1のロックハブと、
前記内側シースに対する前記シャフト電極の相対位置を選択的にロックするように構成される第2のロックハブと、
前記ニードル電極に対する前記内側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第3のロックハブと、を備える、アブレーションプローブ。
【請求項2】
前記ニードル電極、前記内側シース、前記シャフト電極、及び前記外側シースがそれぞれが前記第1~第3のロックハブのうちのいずれにもロックされていない場合、互いに対して相対的に移動可能である、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項3】
前記ニードル電極が、組織穿刺遠位チップを含む、請求項1又は2に記載のアブレーションプローブ。
【請求項4】
使用時に、使用者が、固定された表面積を有する前記ニードル電極を同じく固定された表面積を有する前記シャフト電極に対して相対的に移動する間に前記第1のロックハブ及び前記第3のロックハブをロックすることができるように、前記第3のロックハブが前記ニードル電極の露出表面積を規定するステップを容易にするとともに前記第1のロックハブが前記シャフト電極の露出表面積を規定するステップを容易にする、請求項1~3のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項5】
請求項4に記載のアブレーションプローブと、前記ニードル電極及び前記シャフト電極のそれぞれに対する電気的接続に関して適合される信号発生器とを備える、アブレーション用のシステムであって、前記信号発生器が、前記ニードル電極と前記シャフト電極とが互いに対して相対的に移動される際に、治療電流を維持するために治療送達の間、前記ニードル電極と前記シャフト電極との間のインピーダンスを感知するように構成される、システム。
【請求項6】
前記シャフト電極又は前記ニードル電極のうちの少なくとも一方に関連付けられている、温度センサを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項7】
請求項6に記載のアブレーションプローブと、前記ニードル電極及び前記シャフト電極のそれぞれに対する電気的接続に関して適合される信号発生器とを備える、アブレーション用のシステムであって、前記信号発生器が、治療送達の間に前記ニードル電極と前記シャフト電極との間のインピーダンスを感知するように構成され、前記温度センサから温度信号を取得するように構成され、かつ、前記温度信号及びインピーダンス信号に応答して治療電圧を調節するように構成される、システム。
【請求項8】
前記信号発生器が、
治療出力の開始時に温度及びインピーダンスを感知し、
感知された温度が温度閾値に達するまで電圧を維持し又は増大させ、
感知された温度が前記温度閾値に達した際に、インピーダンス及び電圧を測定するとともに、標的電流を記憶し、
前記温度閾値に達した後、前記標的電流を維持するためにインピーダンスを監視し、
感知された温度が前記温度閾値を超えて上昇した場合には、前記標的電流を低減するように動作する
ように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記信号発生器が、いずれかのロックハブにリンクすることによって電極間の距離と電極の表面積とを感知するように構成される、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記信号発生器が、前記電極間の前記距離及び/又は前記電極の前記表面積を考慮するために、感知したインピーダンスを調節するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記信号発生器が、不可逆電気穿孔法及び熱的アブレーションのためのアブレーション信号を提供するように構成される、請求項5又は7~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記シャフト電極及び前記ニードル電極のうちの少なくとも一方の露出表面積の変化を電気的に示すための手段を更に備える、請求項1~4又は6のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項13】
前記シャフト電極と前記ニードル電極との間の距離の変化を電気的に示すための手段を更に備える、請求項1~4、6、又は12のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項14】
前記ニードル電極が、流体が注入されることを可能にするように前記ニードル電極の内部を通るルーメンを備える、請求項1~4、6、12、又は13のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項15】
前記外側シースが、流体が注入されることを可能にするように前記外側シースの内部を通るルーメンを含む、請求項1~4、6、又は12、13のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、幾何学的に制御された生体組織の熱的アブレーションのための調節可能な電極を有するバイポーラニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的刺激は、様々な形態で組織をアブレーションするために適用することができる。例えば、熱的RFアブレーション及び非熱的不可逆電気穿孔法(irreversible electroporation;IRE)を使用することができる。現在では複数の手法が利用可能ではあるものの、標的治療のための新規かつ代替的な方法が所望される。
【発明の概要】
【0003】
本発明者らは、とりわけ、解決するべき問題が、新規かつ/又は代替的なバイポーラアブレーション治療法に対する必要性であることを認識してきた。そのような方法は、アブレーションプローブ又はカテーテル上にある調節可能な電極を使用することができる。
【0004】
第1の例示的かつ非限定的な実施例は、近位端及び遠位端を有するアブレーションプローブの形態を取り、このプローブは、非導電性材料の外側シースと、非導電性材料の内側シースと、内側シースと外側シースとの間に配置されるシャフト電極と、内側シース内に配置されるニードル電極と、シャフト電極に対する外側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第1のロックハブと、内側シースに対するシャフト電極の相対位置を選択的にロックするように構成される第2のロックハブと、ニードル電極に対する内側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第3のロックハブとを備える。
【0005】
追加的に又は代替的に、ニードル電極、内側シース、シャフト電極、及び外側シースはそれぞれ、ロックハブのうちのいずれにもロックされていない場合、互いに対して相対的に移動可能である。追加的に又は代替的に、ニードル電極は、組織穿刺遠位チップを含む。追加的に又は代替的に、使用時に、使用者が、固定された表面積を有するニードル電極を同じく固定された表面積を有するシャフト電極に対して相対的に移動する間に第1のロックハブ及び第3のロックハブをロックすることができるように、第3のロックハブがニードル電極の露出表面積を規定するステップを容易にするとともに第1のロックハブがシャフト電極の露出表面積を規定するステップを容易にすることができる。追加的に又は代替的に、このアブレーションプローブは、シャフト電極及びニードル電極のうちの少なくとも一方の露出表面積の変化を電気的に示すための手段を備え得る。追加的に又は代替的に、このアブレーションプローブは、シャフト電極とニードル電極との間の距離の変化を電気的に示すための手段を備え得る。追加的に又は代替的に、ニードル電極は、流体が注入されることを可能にするようにニードル電極の内部を通るルーメンを含む。追加的に又は代替的に、外側シースは、流体が注入されることを可能にするように外側シースの内部を通るルーメンを含む。
【0006】
追加的に又は代替的に、このアブレーションプローブは、ニードル電極及びシャフト電極のそれぞれに対する電気的接続に関して適合される信号発生器もまた備える、アブレーション用のシステム内に含めることができ、この信号発生器は、ニードル電極とシャフト電極とが互いに対して相対的に移動される際に治療電流を維持するために、治療送達の間、ニードル電極とシャフト電極との間のインピーダンスを感知するように構成される。治療電流は、定電流とすることができる。追加的に又は代替的に、このシステム又はプローブは、シャフト電極又はニードル電極のうちの少なくとも一方に関連付けられている温度センサを含み得る。追加的に又は代替的に、このアブレーションプローブは、ニードル電極及びシャフト電極のそれぞれに対する電気的接続に関して適合される信号発生器もまた備えるアブレーション用のシステム内に含めることができ、この信号発生器は、治療送達の間、ニードル電極とシャフト電極との間のインピーダンスを感知し、温度センサから温度信号を取得し、温度信号及びインピーダンス信号に応答して治療電圧を調節するように構成される。
【0007】
追加的に又は代替的に、信号発生器は、治療出力の開始時に、温度及びインピーダンスを感知し、感知された温度が温度閾値に達するまで、電圧を維持するか又は増大させ、感知された温度が温度閾値に達した際に、インピーダンス及び電圧を測定するとともに、標的電流を記憶し、温度閾値に達した後、標的電流を維持するためにインピーダンスを監視し、感知された温度が温度閾値を超えて上昇した場合には、標的電流を低減するように、動作するように構成される。
【0008】
追加的に又は代替的に、信号発生器は、いずれかのロックハブにリンクすることによって、電極間の距離と電極の表面積とを感知するように構成される。追加的に又は代替的に、信号発生器は、電極間の距離及び/又は電極の表面積を考慮するために、感知したインピーダンスを調節するように構成される。追加的に又は代替的に、信号発生器は、不可逆電気穿孔法及び熱的アブレーションのためのアブレーション信号を提供するように構成される。
【0009】
別の例示的かつ非限定的な実施例は、近位端及び遠位端を有するシャフトと、その遠位端における複数の治療送達電極とを有する、治療プローブを使用して、組織領域をアブレーションする方法の形態を取り、本方法は、シャフトの遠位端を所望の場所に配置するように、治療プローブを挿入するステップであって、シャフトの遠位端が、そのシャフトの遠位端の近位に露出部分を有するシャフト電極を含み、シャフト電極の露出部分の表面積が調節可能である、挿入するステップと、ニードル電極を、シャフトから所望の位置に前進させて、ニードル電極の一部分を調節可能に露出させるニードル電極シースを操作することにより、ニードル電極の露出部分の表面積を制御するステップと、ニードル電極の露出部分の表面積がシャフト電極の露出部分の表面積を超えている間に、第1の治療を送達することにより、シャフト電極に隣接して第1の損傷部を発生させるステップと、シャフト電極の露出部分の表面積がニードル電極の露出部分の表面積を超えている間に、第2の治療を送達することにより、ニードル電極に隣接して第2の損傷部を発生させるステップとを含む。
【0010】
追加的に又は代替的に、本方法は、第1の治療を送達するステップと第2の治療を送達するステップとの間に、ニードル電極の露出部分を操作するステップを更に含み得る。追加的に又は代替的に、本方法は、第1の治療を送達するステップと第2の治療を送達するステップとの間に、シャフト電極の露出部分を操作するステップを更に含み得る。
【0011】
追加的に又は代替的に、この治療プローブは、シャフト電極の露出部分の位置が治療プローブの遠位端に対して調節可能であるように構成されており、本方法は、第1の治療を送達するステップと第2の治療を送達するステップとの間に、シャフト電極の露出部分の位置を調節するステップを更に含む。追加的に又は代替的に、第1の治療は、熱的RFアブレーション治療の形態を取り、第2の治療は、熱的RFアブレーション治療の形態を取る。
【0012】
追加的に又は代替的に、この治療プローブは、非導電性材料の外側シースと、同じく非導電性材料のニードル電極シースと、ニードル電極シース及び外側シースの間に配置されるシャフト電極と、ニードル電極シース内に配置されるニードル電極と、シャフト電極に対する外側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第1のロックハブと、ニードル電極シースに対するシャフト電極の相対位置を選択的にロックするように構成される第2のロックハブと、ニードル電極に対するニードル電極シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第3のロックハブとを備える。
【0013】
追加的に又は代替的に、本方法は、第1の治療を送達する前に、第1のロックハブ及び第3のロックハブをロックするステップと、第1の治療を送達した後に、第1のロックハブ又は第3のロックハブのうちの少なくとも一方をロック解除して、シャフト電極又はニードル電極のうちの少なくとも一方の露出表面積を操作するステップと、シャフト電極又はニードル電極のうちの少なくとも一方の露出表面積を操作した後、第2の治療を送達する前に、第1のロックハブ又は第3のロックハブのうちの少なくとも一方を再ロックするステップとを更に含み得る。
【0014】
別の例示的で非限定的な実施例は、近位端及び遠位端を有するシャフトと、その遠位端における複数の治療送達電極とを有する、アブレーションプローブを使用して、組織領域をアブレーションする方法の形態を取り、本方法は、シャフトの遠位端を所望の場所に配置するように、アブレーションプローブを挿入するステップであって、シャフトの遠位端が、そのシャフトの遠位端の近位に露出部分を有するシャフト電極を含み、シャフト電極の露出部分の表面積が調節可能である、挿入するステップと、ニードル電極を、シャフトから所望の位置に前進させて、ニードル電極の一部分を調節可能に露出させるニードル電極シースを操作することにより、ニードル電極の露出部分の表面積を制御するステップと、シャフト電極の露出部分の表面積がニードル電極の露出部分の表面積を超えている間に、第1の治療を送達することにより、ニードル電極に隣接して第1の損傷部を発生させるステップと、第1の治療の送達中に、ニードル電極の露出表面積を維持しつつ、ニードル電極を所望の位置からシャフト内に引き込むことにより、第1の損傷部を、ニードル電極の軸線に対して長手方向に拡張するステップとを含む。
【0015】
追加的に又は代替的に、この治療プローブは、非伝導性材料の外側シースと、同じく非導電性材料のニードル電極シースと、ニードル電極シース及び外側シースの間に配置されるシャフト電極と、ニードル電極シース内に配置されるニードル電極と、シャフト電極に対する外側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第1のロックハブと、ニードル電極シースに対するシャフト電極の相対位置を選択的にロックするように構成される第2のロックハブと、ニードル電極に対するニードル電極シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第3のロックハブとを備える。
【0016】
追加的に又は代替的に、本方法は、第1の治療を送達する前に、第1のロックハブ及び第3のロックハブをロックすることにより、シャフト電極及びニードル電極のそれぞれの露出表面積を固定する一方で、第2のロックハブをロック解除したままにすることにより、所望の位置からシャフト内へのニードル電極の引き込みを可能にするステップを更に含み得る。
【0017】
追加的に又は代替的に、本方法は、ニードル電極が所望の位置からシャフト内に引き込まれるにつれて、第1の治療の電力レベルを低減させるステップを更に含み得る。追加的に又は代替的に、本方法は、ニードル電極とシャフト電極との間のインピーダンスを感知するステップと、ニードル電極に隣接する位置における少なくとも1つの温度を感知するステップと、感知されたインピーダンス及び少なくとも1つの温度に応答して、ニードル電極が所望の位置からシャフト内に引き込まれるにつれて第1の治療の電力レベルを調節するステップとを更に含み得る。
【0018】
別の例示的かつ非限定的な実施例は、近位端及び遠位端を有するシャフトと、その遠位端における複数の治療送達電極とを有する、アブレーションプローブを使用して、組織領域をアブレーションする方法の形態を取り、本方法は、シャフトの遠位端を所望の場所に配置するように、アブレーションプローブを挿入するステップであって、シャフトの遠位端が、そのシャフトの遠位端の近位に露出部分を有するシャフト電極を含み、シャフト電極の露出部分の表面積が調節可能である、挿入するステップと、ニードル電極を、シャフトから所望の位置に前進させて、ニードル電極の一部分を調節可能に露出させるニードル電極シースを操作することにより、ニードル電極の露出部分の表面積を制御するステップと、シャフト電極の露出部分の表面積がニードル電極の露出部分の表面積を超えている間に、第1の治療を送達することにより、ニードル電極に隣接して第1の損傷部を発生させるステップと、第1の治療の送達中に、ニードル電極の露出表面積を維持しつつ、ニードル電極を所望の位置からシャフトの外へ前進させることにより、第1の損傷部を、ニードル電極の軸線に対して長手方向に拡張するステップとを含む。
【0019】
追加的に又は代替的に、この治療プローブは、非伝導性材料の外側シースと、同じく非導電性材料のニードル電極シースと、ニードル電極シース及び外側シースの間に配置されるシャフト電極と、ニードル電極シース内に配置されるニードル電極と、シャフト電極に対する外側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第1のロックハブと、ニードル電極シースに対するシャフト電極の相対位置を選択的にロックするように構成される第2のロックハブと、ニードル電極に対するニードル電極シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第3のロックハブとを備える。
【0020】
追加的に又は代替的に、本方法は、第1の治療を送達する前に、第1のロックハブ及び第3のロックハブをロックすることにより、シャフト電極及びニードル電極のそれぞれの露出表面積を固定する一方で、第2のロックハブをロック解除したままにすることにより、第1の治療の間のニードル電極の前進を可能にするステップを更に含み得る。
【0021】
追加的に又は代替的に、ロックハブは、ニードル電極がどの程度露出されるかを示す、可視の指標を含む組立体上に設けられており、本方法は、ニードル電極がどの程度露出されるかを決定するために、その可視の指標を使用するステップを含む。追加的に又は代替的に、ロックハブは、シャフト電極がどの程度露出されるかを示す、可視の指標を含む組立体上に設けられており、本方法は、シャフト電極がどの程度露出されるかを決定するために、その可視の指標を使用するステップを含む。追加的に又は代替的に、本方法は、ニードル電極が前進するにつれて、第1の治療の電力レベルを増大させるステップを更に含み得る。追加的に又は代替的に、第1の治療は、RFアブレーション治療である。
【0022】
追加的に又は代替的に、本方法は、ニードル電極とシャフト電極との間のインピーダンスを感知するステップと、ニードル電極に隣接する位置における少なくとも1つの温度を感知するステップと、感知されたインピーダンス及び少なくとも1つの温度に応答して、ニードル電極が前進するにつれて第1の治療の電力レベルを調節するステップとを更に含み得る。
【0023】
この概要が意図するところは、本特許出願の主題に対する導入部を提供することである。排他的又は網羅的な説明を提供することは意図されていない。「発明を実施するための形態」は、本特許出願についての更なる情報を提供するために含まれている。
【0024】
必ずしも一定の縮尺では描かれていない、これらの図面において、同様の数字は、異なる図における同様の構成要素を説明し得る。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の、異なる事例を表し得る。これらの図面は、限定としてではなく例として、本文書で論じられる様々な実施形態を全般的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】アブレーションプローブの遠位端の諸態様を示す図。
【
図3】アブレーションプローブの遠位端の諸態様を示す図。
【
図4】アブレーションプローブの遠位端の諸態様を示す図。
【
図8】アブレーションプローブの近位端上の追加的な詳細を伴う追加的なアブレーション処置ステップを示す図。
【
図9】アブレーションプローブの近位端上の追加的な詳細を伴う追加的なアブレーション処置ステップを示す図。
【
図10】例示的なアブレーション処置に関するブロック形態のプロセスフロー図。
【
図11】例示的なアブレーション処置に関するブロック形態のプロセスフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、例示的なアブレーションシステムを示す。このシステムは、例えば、臓器、病変組織、腫瘍などであり得る、標的領域112にアクセスするために、患者110の組織内に挿入するように適合される、アブレーションプローブ100を含む。遠位端(患者に挿入される端部)には、組織穿刺電極102が存在している。図示される単一の電極102の代わりに、複数の組織穿刺電極を使用することもできる。例えば、アレイの形態を取る複数の組織穿刺電極は、米国特許出願公開公報第2019/0223943号明細書、並びに/又は米国特許第5855576号明細書及び同第6638277号明細書に示されるようなデザインを使用することができ、これらの開示は、アブレーションプローブ設計を示すために、かつ、それらの使用の様々な特徴及び方法を説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。組織穿刺電極102は、アブレーションプローブ100の遠位端に対して、相対的に前進及び後退させることができる。例示的なアブレーションプローブ100の遠位部分に関する更なる詳細は、以下で説明される。
【0027】
アブレーションプローブ100は、ワイヤ106によって信号発生器108に結合される。信号発生器は、例えば、限定するものではないが、方形波、正弦波、又は任意の他の好適な出力とすることが可能な出力波形を成形/規定するための、デジタル回路及び/又はアナログ回路を含む、制御回路機構を含み得る。信号発生器は、バッテリ駆動式とすることもできるが、殆どの場合、壁コンセントに差し込むことなどによって、ライン電力を引き込むことになる。信号発生器108は、プローブ100を介して送達される信号の出力インピーダンスを測定するための回路機構を、その中に含み得る。例えば、信号を受信及び測定するためのサンプル/ホールド回路機構、測定回路機構、コンパレータ、フィルタリング回路機構、演算増幅器などと同様に、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサが設けられる。出力回路機構は、例えば、限定するものではないが、高電力出力用の出力Hブリッジを含み得、又は、必要に応じて、任意の他の好適なスイッチング回路機構若しくは共振回路機構と同様に、他のアーキテクチャを使用する。出力回路機構は、例えば、高電力システム用のIGBTトランジスタを含み得るものであり、他の電子構成部品を、速度、立ち上がり時間、電流容量、コスト、サイズなどの間での既知のトレードオフと併せて使用することもできる。信号発生器108はまた、アブレーションプローブ100内に又はアブレーションプローブ100上に位置しているサーミスタ又は他の温度感知装置などの1つ以上の温度センサに接続されるように構成することもでき、当該1つ以上の温度センサから信号を取得又は受信するとともに受信したデータを解釈して、選択された場所における温度を測定及び/又は監視することを可能にする。例えば、熱的アブレーションの場合、過度の副作用又は危険を伴わずに所望の量の細胞死を引き起こす治療出力を発生させるために、標的温度の範囲(50~100℃、55~80℃、60~70℃など)を規定することができる。標的温度は、所望の期間(必要に応じて、10~60秒、又は20~30秒など)にわたって維持することができる。IREなどの非熱的アブレーションの場合、組織温度が比較的低い範囲内(<50℃、<42℃など)に留まることを確実にするために、温度センサを使用することができる。アブレーション発生器のいくつかの例は、米国特許出願公開公報第20210228260号明細書、同第20210106374号明細書、同第20200289827号明細書、同第20200289188号明細書、及び/又は同第20200289185号明細書に見出すことができ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。信号発生器108は、他の形態を取ることもできる。
【0028】
本明細書で使用される場合、モノポーラ治療とは、アブレーションプローブ100上の電極又はアブレーションプローブ100から延出している電極とリターン電極120との間に発生する電界によって決定される電流が当該電極の間の組織を流れるように、パッチ電極120などのリターン電極を患者の皮膚上などの患者110上に配置する治療のことをいう。バイポーラ治療とは、双方とも互いに比較的近接して挿入される2つの電極が、それらの電極間、例えば電極102とアブレーションプローブ100上の電極(
図2~
図4を参照)との間などに、電流を流す治療である。パッチ電極120を、依然として不関電極又は接地電極として適用することもできるが、バイポーラ治療における殆ど全ての電流は、それら挿入される電極間を流れる。
【0029】
図2~
図4は、アブレーションプローブの遠位端の諸態様を示す。特定のプローブ遠位端構造が、200で示される。外側シース210が、内側シース214に被さって存在するシャフト電極212に被さって設けられている。ニードル電極216が、内側シース内に位置している。外側シース210及び内側シース214は、任意の好適な医療用絶縁材料で作製することができる。例としては、限定するものではないが、ポリイミド、ポリエーテルブロックアミド、及び他の絶縁性ポリマーを挙げることができる。シャフト電極212及びニードル電極216は、任意の好適な材料で作製することができる。該好適な材料は、例えば、限定するものではないが、必要に応じて、任意選択的に導電性ポリマーと同様に、ステンレス鋼、金、チタン、及び他の導電性金属を含む。
【0030】
外側シース210は、その中に1つ以上のルーメンを有する中空管の形態を取ることができる。外側シース210は、必要に応じて、一体に取り付けられている複数の長手方向区分を有し得る。シャフト電極212は、外側シース210に対して相対的に移動可能であり、内側シース214に対しても同様である。シャフト電極212自体もまた、その内部を通るルーメンを有する、円筒形電極又はハイポチューブなどの管状要素とすることができる。いくつかの実施例では、シャフト電極212は第1の区画を含む。該第1の区画は管状の遠位部分によって示されるその部分を含む。これとともにシャフト電極212は、第2の、より近位の部分を含む。該部分は、シャフト電極212の移動に関連付けられる摩擦を低減することが可能な細長形の導電性プッシュ/プルワイヤの形態を取る。
【0031】
内側シースもまた、中空の管状要素とすることができ、その全長にわたって管として延び得る。すなわち、内側シースは、シャフト電極212とともに、細長形の(かつ、必要に応じて絶縁される)ワイヤなどのプッシュ/プル部材に結合される管状の絶縁性遠位部分からなり得る。ニードル電極216は、
図2に示されるように、鋭利な、又は尖った遠位チップを有し得る。あるいはニードル電極216は、例えば血管などの体管腔内又は胆管系内で使用される場合には、必要に応じて鈍状にすることもできる。ニードル電極216は、端部チップを有する先端キャップを備えた単一のハイポチューブの形態を取ることができ、あるいは、圧着されるか又は他の方式で圧潰されたハイポチューブとすることもできる。いくつかの実施例では、単一の細長形ハイポチューブが、ニードル電極に関して使用される。他の実施例では、ニードル電極は、遠位チップ部分に結合されるプッシュワイヤを含む、組立体とすることができる。
【0032】
図示されてはいないが、外側シース210はまた、シース210の遠位端から外への、又は内側シース214を通じた、又は1つ以上の側面開口部(図示せず)を通じた流体注入のための、ルーメンも含み得る。流体は、例えば、治療送達の間のイオン流を支援するために、局所インピーダンスを低減するために、又は、染料、薬剤、若しくは生物学的物質を標的領域内に注入するために、水分含有量が比較的不足している組織(前立腺など)内に注入することができる。外側シース210及び/又は内側シース214は、必要に応じて、処置の前、処置中、又は処置の後に流体を吸引するための、1つ以上の流体通過ルーメンを含み得る。ニードル電極216もまた、流体が注入されることを可能にするための、その内部を通るルーメンを含み得る。
【0033】
様々な実施例では、図示の部品(外側シース210、シャフト電極212、内側シース214、及びニードル電極216)は、互いに対して相対的に前進及び後退させることができる。それゆえ、例えば、限定するものではないが、使用時には、シャフト電極212、内側シース214、及びニードル電極216のそれぞれは、外側シース210内に後退している間に、標的領域に前進させて、次いで、そこから個別に、又は一斉に(又は、段階的に)前進させることができる。そのように配置された時点で、ニードル電極216、内側シース214、及びシャフト電極212のうちのいずれかを、必要に応じて、かつ他の部品を移動させることを必要とせずに、外側シース210に対して前進又は後退させることができる。更には、外側シース210を、必要に応じて他の要素の上で前進させることもできる。その結果として、シャフト電極212の露出表面積は、外側シース210をシャフト電極212との関連で前進若しくは後退させることによって制御若しくは操作することができ、及び/又は、外側シースに対してシャフト電極を前進若しくは後退させることによって制御若しくは操作することができる。同様に、ニードル電極216の露出表面積は、内側シース214をニードル電極216との関連で前進若しくは後退させることによって制御若しくは操作することができ、及び/又は、内側シース214に対してニードル電極を前進若しくは後退させることによって制御若しくは操作することができる。最終的に、ニードル電極216の露出領域とシャフト電極212との間の距離もまた、シャフト電極212に対してニードル電極216を前進若しくは後退させることによって操作することができ、及び/又は、ニードル電極216に対してシャフト電極212を前進若しくは後退させることによって操作することができる。
【0034】
加えて、いくつかの実施例では、上述した移動について、諸要素を選択的に一体にロックすることができる。一実施例では、外側シース210は、近位ロック装置(以下の
図8、
図9)を使用することによりシャフト電極212に対して相対的な所定の位置にロックされ、かつ/又は、内側シース214は、近位ロック装置(以下の
図8、
図9)を使用することによりニードル電極に対して相対的な所定の位置にロックされ、それにより、各電極の露出領域を固定しつつも、それらの電極間の相対移動を依然として可能にする。
【0035】
電極のサイズ及び間隔の操作は、
図2~
図4を参照して説明される。
図2では、第1の相対的な位置決め及び間隔が示される。
図3は、ニードル電極216の表面積のより多くを露出させてニードル電極216を組織内に前進させた、内側シース214に対して相対的なニードル電極216の前進を示している。外側シース210及びシャフト電極212に対しても同様である。
図4では、
図2と比較して、ニードル電極216、内側シース214、及びシャフト電極212のそれぞれが、外側シース210に対して前進している。
図4を
図3と比較すると、ニードル電極と外側シースとは、2つの図において同様に並置させることができるが、内側シース214及びシャフト電極212は、ニードル電極216及び外側シース210に対して、双方とも前進していることが分かる。
【0036】
いくつかの実施例では、アブレーション発生器は、インピーダンス及び温度を考慮するために、治療を制御するように構成することができる。例えばマイクロコントローラを使用して、一対の治療発生電極間の電圧と、それらの電極間を流れる電流とを監視することにより、組織のインピーダンスを測定することができる。上述のように、温度センサを使用して、温度を把握ことができる。したがって、使用中、アブレーション発生器は、治療送達の間におけるニードル電極とシャフト電極との間のインピーダンスを感知するように構成することができ、温度センサから温度信号を取得するように構成することができ、さらに、それら温度信号及びインピーダンス信号に応答して治療電圧を調節するように構成することができる。使用実施例では、治療出力の開始時に、信号発生器は、温度及びインピーダンスを感知して、感知された温度が温度閾値に達するまで、電圧を維持又は増大させる。代替的に、感知された温度が温度閾値に達するまで、パルス幅若しくはパルス繰り返し率、又はデューティサイクルを、別個に、若しくは電圧とともに増大させることもできる。信号発生器は、インピーダンス及び電圧を測定し続けるように構成することができ、感知された温度が温度閾値に達すると、標的電流を記憶する。次いで、信号発生器は、温度閾値に到達した後、その標的電流を維持するためにインピーダンスを監視することができる。感知された温度が温度閾値を超えて上昇した場合には、信号発生器は、標的電流を低減することができる。信号発生器によるそのような動作は、電極の表面積及び/又は位置を操作している間、選択されたアブレーション条件を維持するために実行することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、電極の表面積及び/又は位置決めの再構成若しくは操作は、治療計画の一部として実行することができる。熱的アブレーション治療を含むバイポーラ治療の送達の間において、熱的アブレーションの部位は、治療出力電極の極のうちより小さい表面積を有するいずれかの極に最も近くなる傾向がある。これは、より小さい電極付近の電流密度が、より高くなり、より高い電流密度が、より高い温度を生じさせるためである。その結果として、熱的アブレーションのステップ間で電極の露出表面積を操作することは、アブレーション治療を特定の場所に集中させるために使用することができる。
図5~
図7は、この能力を強調する、例示的なアブレーションステップを示す。
【0038】
図5~
図7は、アブレーション処置のステップを示すとともに、結果として生じる損傷部を示す。これらの図面では、組織サンプル300、330、350は、アブレーションプローブを使用するアブレーション治療の送達の後に切開されて示される。図面は、肝臓組織を使用して実行された試験に基づく。アブレーションプローブは、
図2~
図4に示されたものと同様であり、外側シース310、シャフト電極312、内側シース314、及びニードル電極316を有し、それぞれが、上述のように互いに対して相対的に移動可能である。
図5では、アブレーション出力を送達する前に、シャフト電極312の露出表面積がニードル電極316の露出表面積よりも小さくなるように、アブレーションプローブの諸部分が操作される。RFアブレーション治療が有効化されると、結果として生じる損傷部302は、シャフト電極312の近傍及びシャフト電極312に隣接して生じることになるが、これは、組織のこの体積内の電流密度が、最も大きいためである。より高い電流密度は、より大きい局所加熱をもたらす。
図6では、アブレーション出力を送達する前に、シャフト電極312の露出表面積がニードル電極316の露出表面積とほぼ同じになるように、アブレーションプローブの諸部分が操作される。結果として生じる損傷部332は、電極間の体積内で、電流密度がより一貫したものとなるため、より細長形である。
図7では、アブレーション出力を送達する前に、シャフト電極312の露出表面積がニードル電極316の露出表面積よりも大きくなるように、アブレーションプローブの諸部分が操作される。結果として生じる損傷部352は、ニードル電極316に隣接している。この場合もまた、損傷部352の場所は、この場合はニードル電極316である、より小さい表面積の電極付近での、電流密度の増大の結果である。
【0039】
図6を説明するために使用される「ほぼ同じ」という語句は、いくつかの例実施では、+/-10%、又は+/-5%、又は+/-2%、又は+/-1%の範囲内を意味し得る。このことは、
図5及び
図7の実施例で使用されるような、10%よりも大きい、又は20%よりも大きい、又は33%よりも大きい、又は50%よりも大きい差を意味する、「~よりも小さい」又は「~よりも大きい」と対比され得る。
図6の損傷部を達成するためには、
図5及び
図7の損傷部とは対照的に、より大きい体積の組織を、必要とされる温度(50~100℃、55~80℃、60~70℃など)まで上昇させるために、出力の振幅若しくはパルス幅を、より高くすることができ、又は、より長い期間にわたって、治療を出力することができる点に留意されたい。
【0040】
いくつかの実施例は、
図6によって示されるようなアブレーションステップを実行することと、次いで、ニードル電極316とシャフト電極312との相対的な表面積を調節するために、外側シース310、シャフト電極312、内側シース314、及び/又はニードル電極316のうちの1つ以上を移動させることによって、アブレーションプローブ310を操作することとを含み得る。例えば、
図6の細長形の損傷部を形成した後に、引き続き、
図5の構成と、次いで
図7の構成とを使用して、各電極312、316に隣接する、より局所的な損傷部を作製することができる。別の実施例では、
図5及び
図7の局所的な損傷部が最初に作製された後に、引き続き
図6の細長形の損傷部が作製される。更に他の実施例では、
図6に示される損傷部を最初に形成して、次いで、
図7の損傷部を形成することができ、又は、
図7の損傷部を最初に形成した後に、引き続き
図6の損傷部を形成することもできる。任意のそのような順序付け又は順序変更を、必要に応じて実行することができる。
【0041】
更に他の実施例では、形成される異なる損傷部は、異なるモダリティを使用して形成することができる。例えば、最初に、より短いパルス幅及びより高い振幅のIRE型波形を使用して、
図6に示されるような損傷部を形成した後に、引き続き、より長いパルス幅及びより小さい振幅のRFアブレーション波形を使用して、
図5及び/又は
図7の損傷部を形成することができる。IREとRFとの違いは、軽微なものではなく、IREは、RFのパルス幅よりも1~3桁小さいパルス幅を使用することができ、IREに関する振幅は、例えば、RFの振幅の2~4倍とすることができる。
【0042】
一実施例として、肝臓組織の生体内電気穿孔法を考察すると、米国特許第8,048,067号明細書で説明されるように、可逆電気穿孔法の閾値電界強度は、約360V/cmとすることができ、不可逆電気穿孔法の閾値電界強度は、約680V/cmとすることができる。電気穿孔法に関する電界は、典型的には、数十~数百マイクロ秒の範囲の持続時間をそれぞれが有する、一連の個別パルスを送達することによって適用されてきた。例えば、米国特許第8,048,067号明細書は、1秒間隔で送達される、一連の8つの100マイクロ秒のパルスを説明している。この‘067号特許は、
図1の線20と線30との間の領域が実際に存在することと、非熱的IRE法が達成可能であることとを示すために実行された、分析及び実験を説明している。
【0043】
組織膜は、穿孔された状態から、瞬時には回復しない。その結果として、例えば、米国特許第8,926,606号明細書で説明されるように、時間的に互いに近接するパルスの適用は、累積的効果を有し得る。更には、米国特許出願公開公報第2007/0025919号明細書で説明されるように、一連のパルスを使用して、最初に細胞膜を穿孔し、次いで、生成された可逆的細孔を通して大分子を移動させることができる。
【0044】
米国特許第8,048,067号明細書は、熱的効果を伴わないIREを実行することを論じており、米国特許第8,926,606号明細書は、間隔が接近したパルスの累積的効果を使用してIREを達成することを論じているが、本発明は、いくつかの実施例では、併用治療を対象としている。例えば、プログラム可能若しくは再構成可能な特徴を有するいずれか1つの出力回路を使用する、単一の装置、又は(電圧、パルス幅、若しくは他のパラメータに関して)異なる領域に調整される複数の出力回路を有する、単一の装置を使用して、熱的アブレーション治療及び非熱的アブレーション治療の双方を、目的に合わせて送達することができる。
【0045】
一実施例では、IRE電界が、一連のパルス(例えば、約1Hzで送達される、1センチメートル当たり800ボルトの、100マイクロ秒の持続時間の8つのパルスなど)において、熱的アブレーション出力(例えば、約10Hzで送達される、1センチメートル当たり300ボルトの、10ミリ秒の持続時間の8つのパルス)に先行するか又は後に続く1つの治療として発生する。他の組み合わせ及びシーケンスを使用することもできる。
【0046】
IREは、1~100Hzの(又は、それよりも高いか若しくは低い)周波数で、0.1~100マイクロ秒の範囲の(又は、それよりも長い)持続時間を有する、一連の1~1000個のパルスとして送達することができ、例えば、10Hzで5マイクロ秒の持続時間の、8~10個のパルスを送達することができる。IREに関して選択される電圧は、IRE閾値を上回る場合もあるが(上述のように、肝臓組織の場合、IRE閾値は、680V/cmの範囲とすることができる)、間隔が接近したパルスの場合、累積的効果を得ることができると想定すると、使用される電圧は、必要に応じて、より低いものとすることができる。その一方で、熱的アブレーションは、比較的長いパルス幅(100マイクロ秒以上、典型的には1ミリ秒以上)と、特定の用途に対して好適な任意の電圧とを使用することができる。熱的アブレーションは、例えば、IREよりも比較的低い電圧ではあるが、より長いパルス幅及び/又はより高いデューティサイクルを使用することができる。電圧は、例えば、限定するものではないが、100~500V/cmの範囲、又は、必要に応じて、それよりも低いか若しくは高いものとすることができる。本明細書で使用される場合、デューティサイクルとは、所与の治療に関する、その治療が進行している間の、オフ時間(ゼロの出力)に対する「オン時間」(アクティブな出力)の比率を指す。デューティサイクルは、例えば、治療出力のバーストと、それらバースト間の休止時間とを包含して、プログラムされた治療出力の最初のパルスからプログラムされた治療出力の最後のパルスまでを参照することができる。
【0047】
この説明の目的上、「IRE」治療ステップは、熱的効果も同様に有し得るが、主にIREを使用して細胞死を引き起こすものであり、同様に、「熱的」治療ステップに関する細胞死の主な方式は、熱的なものとなるが、一部の細胞においては、IREが同様に生じ得る。熱的治療をIRE治療と区別し得る因子としては、デューティサイクル、及び電界強度若しくは振幅を挙げることができる。熱的治療又はIRE治療のいずれが有効であったかの決定は、免疫組織化学アッセイを使用する染色を通じて決定することができ、これは、異なるタイプの細胞死を受けた組織領域間の区別を説明するものである。例えば、IREによって引き起こされた細胞死に対する免疫反応は、熱的に破壊された細胞に関する免疫反応と区別可能であり、生き残っている細胞及び/又は可逆電気穿孔法のみを受けている細胞は、更に区別がつくことになる。
【0048】
いくつかの実施例では、モノポーラ治療モードが、より低い電圧勾配を使用する熱的アブレーションに関して使用され、バイポーラ治療モードが、より高い電圧勾配を使用するIREに関して使用される。IRE治療は、比較的低いデューティサイクル(例えば、1~100Hzの繰り返し率、またそれゆえ0.1%未満のデューティサイクルなど)の、比較的高い振幅(例えば、600V/cmを超える電界を生じさせるもの)及び短いパルス幅(例えば、0.1~100マイクロ秒の範囲)で生成される、単相又は二相(又は、三相若しくは他の多相)の電気出力を使用することができ、このことにより、熱的加熱を回避して、主にIRE治療を生じさせることができる。この治療は、適用される電気治療の有効性又は空間的効果を増強若しくは修正するための、流体の注入を含む場合があり、あるいは、その代わりに、制限された苛性効果又は冷却若しくは加熱効果を有する流体などの、アブレーション流体の注入の場合もある。
【0049】
熱的アブレーションは、比較的高いデューティサイクルの(いくつかの実施例では、0.1%を超えるデューティサイクルを生じさせるために、10Hz~100kHzの周波数でパルスを印加することなどによるもの)、より長いパルス幅(例えば、10マイクロ秒~100ミリ秒)の、幾分低いパルス振幅(例えば、600V/cm未満の電界)を組み込むことができる。例えば、電気出力及び流体の双方が送達されるように、生理食塩水を注入して、局所組織インピーダンスを低減することにより、所与の出力電圧に対して電流を増大させることができる。ここでは様々な数値例が与えられているが、本発明は、IRE又は熱的アブレーションに関して開示される範囲のみならず、対応する請求項に別段に明記されていない限り、他の範囲を使用して実装することもできる。
【0050】
図8、
図9は、アブレーションプローブの近位端上の追加的な詳細を伴う、追加的なアブレーション処置ステップを示す。
図8を参照すると、プローブ、すなわち、少なくともニードル電極416が、段階的に引き込まれる処置が示される。ここでは、アブレーションプローブは、外側シース410、シャフト電極412、内側シース414、及びニードル電極416を有して示される。アブレーションプローブの近位端は、手動による作動のために利用可能な、いくつかの機械的止め具を有して示される。第1の止め具420を使用して、外側シース410とシャフト電極との相対位置を固定することができ、第2の止め具422を使用して、シャフト電極と内側シース414との相対位置を固定することができ、第3の止め具を使用して、ニードル416に対する内側シース414の相対位置を固定することができる。そのような固定は、ここで開示される処置のうちのいずれかにおいて使用することができる。
【0051】
1つの特定の固定の使用が、
図8に示される。ここでは、矢印430によって示されるように、アブレーションプローブの一部分が、段階的に引き込まれることになる。第1の損傷部406が、第1のアブレーションステップにおいて形成される。第1のアブレーションステップの前に、アブレーションプローブは、シャフト電極412の表面積がニードル電極416の表面積よりも大きくなるように操作される。結果として生じる損傷部406は、ニードル電極416に位置する。止め具420及び止め具424が、それぞれ、シャフト電極412の露出表面積及びニードル電極416の露出表面積を固定するために、医師によって作動される。ここでは、止め具422を作動させる必要はない。第1の損傷部406が形成された後、ニードル電極416と内側シース414との組み合わせが所望の距離で引き込まれるが、その一方で、外側シース410及びシャフト電極412は所定の位置に留まる。第2のアブレーション出力が生成され、第2の損傷部404を生じさせる。このプロセスが繰り返されて、第3の損傷部が402に形成される。必要に応じて、より多くの損傷部を形成することもできる。
【0052】
信号発生器440は、連続する各損傷部が形成される際に、パルス幅、パルス繰り返し率、振幅、又は治療持続時間を低減することなどによって、出力エネルギーの1つ以上のパラメータを調節するように構成することができる。そのような調節は、連続する各治療に関する、ニードル電極416とシャフト電極412との間の距離の減少を考慮するために、任意選択的に含めることができる。このプロセスは、必要に応じて、逆の順序で実行することもできる。別個の損傷部を伴う段階的プロセスではなく、使用者は、その代わりに、ニードル電極及び内側シースを連続的に引き込むことにより、1つの細長形の損傷部を生じさせることができる。この図に示されるように、信号発生器440は、電極412、416に電気的に結合することができる。また、この図では、電極412と電極416との間に位置決めされる温度センサも、418で示される。他の実施例では、温度センサ418は、アブレーションプローブの内部に存在する場合もあり、かつ/又は、電極412、416のいずれか一方に結合される場合もあり、必要に応じて、2つ以上の温度センサが設けられる場合もある。
【0053】
上述のように、信号発生器440は、(バイポーラモードでは)2つの治療発生電極の間に配置される温度センサを使用することによって、又は(モノポーラモードに関しては、不関電極ではなく)活性電極の近傍に配置される温度センサを使用することなどによって、選択された温度を治療領域内で維持するように構成することができる。次いで、信号発生器は、標的電流レベルで定電流を維持するように、治療出力を調節する一方で、温度センサ出力を使用して、標的温度を保持するように、その標的電流レベルを上下に修正することができる。
【0054】
信号発生器440はまたアブレーションプローブからデータを取得するように構成することもできる。該データは、各電極がどの程度離れているか、ということと同様に、各電極の表面積がどの程度露出されるかを示す。その際、信号発生器は、そのインピーダンスデータの解釈を調節することができる。例えば、電極表面積のより多くが露出される場合、電極と組織との界面がより大きくなるため、インピーダンスは低下することが予想され、その逆も同様である。更には、電極がより遠く離れている場合、インピーダンスは増大することが予想される。したがって、例えば、信号発生器が、電圧が一定に保たれている間に発生される電流の変化を観察した場合には、信号発生器は、組織がアブレーションされることによる組織インピーダンスの変化と、電極位置の操作によるインピーダンスの変化とを区別することができる。電極のサイズ又は位置の変化を伴わずに組織インピーダンスが(降下することなどによって)変化する場合、信号発生器は、このことを、治療の進行を示すものとして扱うことができる。その一方で、組織インピーダンスが電極のサイズ又は位置の変化に伴って変化する場合、信号発生器は、そのインピーダンスの変化が電極のサイズ又は位置の変化と一致していると想定して、このことを治療の進行を示さないものとして扱うことができる。
【0055】
更なる説明として、アブレーションプローブは、物理的操作の下で(抵抗性)インピーダンスが変化する、1つ以上のポテンショメータ又は他の構造体を、その中に含み得る。別の実施例では、誘電体によって隔てられている平行プレートを、アブレーションプローブ内に設けることができ、電極のサイズ又は距離の操作によってそれらのプレートが移動するにつれて、それらの平行プレートの静電容量が変化することにより、信号発生器は、変化している電極構成を検出することが可能となる。それゆえ、例えば、そのような使用のために、内側若しくは外側シース及び/又はニードルの、近位端の近傍に、プレートを配置することができる。
【0056】
別の実施例では、ロック機構の全てを有効にすることができ、アブレーションプローブ全体を、連続するアブレーション治療出力間で移動させることができる。更に別の実施例では、経路播種を防止するために、抜去中にアブレーションする方法として、ロック機構の全てを有効にして、アブレーションプローブ全体を連続方式で抜去することができる。経路播種は、悪性ではあるが依然として生存している細胞が、アブレーションプローブに付着して、次いで、アブレーションプローブが抜去される際に、経路内でアブレーションプローブから脱落することにより、事実上、その治療装置を腫瘍拡散器と化す場合に生じ得る。既存のプローブによる経路播種率の研究では、1%以上の症例において発生すると推定されており、そのため、経路播種を防止することが可能なステップ及び装置が、関心の対象である。
【0057】
ロック機構420、422、424は、例えば、一体に固定されることになる要素を締め付けるか、又は、固定されることになる要素の近位端/近位端付近の留め具を締め付ける、ねじ山付きねじを含み得る。必要に応じて、アブレーションプローブの遠位端における相対的間隔を、使用者/外科医が決定することを可能にするために、視覚的インジケータを設けることができる。例えば、所与の位置において露出される表面積を示すために、番号付きの指標を設けることができる。
【0058】
図9は、別の実施例を示す。ここでは、アブレーションプローブは、この場合もまた、外側シース410、シャフト電極412、内側シース414、及びニードル電極416を有する。近位マニホールド450が、この実施例には含まれており、例えば、遠位端におけるカテーテルの種々の部品の相対位置を制御するための、スライダ452を含み得る。視覚的な目盛454をマニホールド450上に設けることができる。この目盛は、実際の位置を示す場合もあれば、又は、(少なくとも電極412、416に関する)相対的な表面積の露出を示す場合もある。他の実施例では、自動制御又はロボット制御が、マニホールド450において存在し得る。いくつかの実施例では、マニホールド450は、電極の相対位置と、それらの対応の表面積とを計算するための、センサを含み得るものであり、そのようなデータを、関連する信号発生器に通信する。次いで、信号発生器は、利用可能な表面積及びインピーダンスを考慮するために、出力電力を較正することができる。例えば、信号発生器は、露出表面積及びインピーダンス、及び/又は電極間の距離に関するデータを有しており、無制御の拡散やアーク放電などを制限するために、電流の流れが規定の上限を超えることを防止することができる。
【0059】
使用時には、図示のように、ニードル電極416が、矢印432によって示されるようにアブレーションプローブから前進する際に、複数の損傷部を形成することができる。ニードル電極416は、必要に応じて単独で、又は、内側シース414、シャフト電極412、及び/若しくは外側シース410のうちの1つ以上と組み合わせて、前進させることができる。いくつかの実施例では、ニードル電極416と内側シース414とは、露出されるニードル電極416の面積を固定するか又は一定に保持するために、前進している間、一体にロックされる。いくつかの実施例では、電極412、416の露出面積が固定されたままとなり、2つの電極間の間隔も固定されたままとなるように、装置全体を一体となって前進させることができる。他の実施例では、各電極の表面積は、固定したまま保つことができるが、それらの電極間の間隔を変化させることができ、信号発生器は、間隔が増大するにつれて、電力、振幅(電圧又は電流)、パルス幅、又はパルス繰り返し率のうちの1つ以上を増大させることによって、あるいは、間隔が減少するにつれて、電力(電圧又は電流)、振幅、パルス幅、又はパルス繰り返し率のうちの1つ以上を減少させることなどによって、その出力を調節することができる。そのような増大/減少は、電極間の距離に対して線形の場合もあれば、又は、距離の二乗で増大するなどの、より複雑なパターンに従う場合もある。例えば、距離が増大する際に定電流を維持するためには、電圧は、距離に正比例して増大又は減少することになるが、その一方で、定電力を維持するためには、電圧は、距離の二乗に比例して増大又は減少することになる。
【0060】
図10、
図11は、例示的なアブレーション処置についてのブロック形態のプロセスフロー図である。
図10は、1つの例示的な方法を示す。ここでは、プローブは、ステップ500において所望の位置に配置される。ステップ500は、アブレーションプローブをガイドワイヤに被せ、すなわちガイドワイヤの助けを借りて、切開部を通して標的組織に向けて前進させることを含み得る。前進は、いくつかの実施例では、体管腔(血管、乳管又は他の管、胆管系の一区分、消化管の一部分、食道又は気管、腎管、尿道、又は他の通路内など)を通って進行することができるが、他の実施例では、プローブは、いずれのそのような体管腔又は解剖学的通路を使用することなく、組織を通って前進する。アブレーションプローブが位置決めされた状態で、ステップ502において、1つ以上の電極を、標的組織に前進させることができる。504において示されるように、1つ以上の電極表面の表面積が操作され、ブロック504は、ステップ502の後に示されるが、必要に応じて、これら2つを入れ替えることもできる。次いで、506において示されるように、治療が出力される。この処置は、示されるように、必要に応じて、1つ以上の電極の移動を伴うステップ502、及び/又は、1つ以上の電極の表面積の操作を伴うステップ504に、ループして戻ることができる。例えば、
図5におけるような損傷部を最初に形成することができ、次いで、
図6又は
図7におけるような損傷部を実行することができ、あるいは、任意の他の好適な順序で実行することもできる。
【0061】
図11は、別の実施例を示す。ここでは、アブレーションプローブは、この場合もまた、550において、体管腔又は解剖学的通路の使用の有無に関わりなく配置される。552において示されるように、電極を前進させる。554において、所望の相対的な表面積の露出を達成するように、電極の1つ以上の表面積が操作される。次いで、556において示されるように、治療が送達される。
図11の実施例では、治療が発生している間、治療を出力するために使用される電極のうちの1つ以上が、同様に移動される。このことは、ニードル電極、シャフト電極、又は双方を、必要に応じて、前進又は後退させることを含み得る。この場合もまた、この処置は、更なるアブレーションステップのために、ブロック552及び/又はブロック554にループして戻ることができる。
【0062】
これらの非限定的な実施例のそれぞれは、単独で存在することができ、又は、他の実施例のうちの1つ以上との様々な順列若しくは組み合わせで、組み合わせることもできる。
上記の「発明を実施するための形態」は、「発明を実施するための形態」の一部を形成する添付図面への参照を含む。それらの図面は、例示として、特定の実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書では「実施例」とも称される。そのような実施例は、図示されるもの以外の要素も含み得る。本発明者らはまた、図示又は説明されるそれらの要素のみが提供される実施例も想到している。更には、本発明者らはまた、特定の実施例(又は、その1つ以上の態様)に関して、又は、本明細書で図示若しくは説明される他の実施例(又は、それらの1つ以上の態様)に関して、図示若しくは説明されるそれらの要素(又は、それらの1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を使用する、実施例も想到している。
【0063】
本文書と、参照によりそのように組み込まれている任意の文書との間で、使用法が一致しない場合、本文書における使用法が優先される。本文書において、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」のあらゆる他の事例又は使用法とは無関係に、1つ、又は2つ以上を含むように使用される。更には、特許請求の範囲においては、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は、単に標識として使用されるに過ぎず、それらの対象に数値的要件を課すことを意図するものではない。
【0064】
本明細書で説明される方法の実施例は、少なくとも部分的に、機械又はコンピュータで実装することができる。いくつかの実施例は、上記の実施例で説明されるような方法を実行するべく電子装置を構成するように動作可能な命令で符号化される、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含み得る。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高水準の言語コードなどの、コードを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の諸部分を形成し得る。更には、一実施例では、コードは、実行中又は他の時点などにおいて、1つ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体上に、有形に記憶することができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例としては、限定するものではないが、ハードディスク、取り外し可能磁気ディスク又は光ディスク、磁気カセット、メモリカード又はメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを挙げることができる。
【0065】
上記の説明は、例示的であることが意図されており、制限的なものではない。例えば、上述の実施例(又は、それらの1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。上記の説明を当業者が検討することなどによって、他の実施形態を使用することもできる。要約書は、技術的開示の性質を読者が迅速に確認することを可能にするために、米国特許規則第37巻、セクション1.72(b)に準拠して提供される。要約書は、請求項の範囲又は意味を解釈若しくは限定するために使用されるものではないという理解の下で提出される。
【0066】
また、上記の「発明を実施するための形態」では、本開示を効率化するために、様々な特徴が一体にグループ化される場合がある。このことは、特許請求されていない開示される特徴が、いずれかの請求項に必須であることを意図しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、革新的な主題は、開示される特定の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴において存在し得る。それゆえ、以下の請求項は、本明細書によって、実施例又は実施形態として「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として単独で存在しており、そのような実施形態は、様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせることができる点が想到される。保護範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに参照して、決定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有するアブレーションプローブであって、前記アブレーションプローブは、
非導電性材料の外側シースと、
非導電性材料の内側シースと、
前記内側シースと前記外側シースとの間に配置されるシャフト電極と、
前記内側シース内に配置されるニードル電極と、
前記シャフト電極に対する前記外側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第1のロックハブと、
前記内側シースに対する前記シャフト電極の相対位置を選択的にロックするように構成される第2のロックハブと、
前記ニードル電極に対する前記内側シースの相対位置を選択的にロックするように構成される第3のロックハブと、を備える、アブレーションプローブ。
【請求項2】
前記ニードル電極、前記内側シース、前記シャフト電極、及び前記外側シースがそれぞれ、前記前記第1~第3のロックハブのうちのいずれにもロックされていない場合、互いに対して相対的に移動可能である、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項3】
前記ニードル電極が、組織穿刺遠位チップを含む、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項4】
使用時に、使用者が、固定された表面積を有する前記ニードル電極を同じく固定された表面積を有する前記シャフト電極に対して相対的に移動する間に前記第1のロックハブ及び前記第3のロックハブをロックすることができるように、前記第3のロックハブが前記ニードル電極の露出表面積を規定するステップを容易にするとともに前記第1のロックハブが前記シャフト電極の露出表面積を規定するステップを容易にする、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項5】
前記シャフト電極又は前記ニードル電極のうちの少なくとも一方に関連付けられている、温度センサを更に備える、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項6】
前記シャフト電極及び前記ニードル電極のうちの少なくとも一方の露出表面積の変化を電気的に示すための手段を更に備える、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項7】
前記シャフト電極と前記ニードル電極との間の距離の変化を電気的に示すための手段を更に備える、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項8】
前記ニードル電極が、流体が注入されることを可能にするように前記ニードル電極の内部を通るルーメンを備える、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項9】
前記外側シースが、流体が注入されることを可能にするように前記外側シースの内部を通るルーメンを含む、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項10】
請求項4に記載のアブレーションプローブと、前記ニードル電極及び前記シャフト電極のそれぞれに対する電気的接続に関して適合される信号発生器とを備える、アブレーション用のシステムであって、前記信号発生器が、前記ニードル電極と前記シャフト電極とが互いに対して相対的に移動される際に、治療電流を維持するために治療送達の間、前記ニードル電極と前記シャフト電極との間のインピーダンスを感知するように構成される、システム。
【請求項11】
請求項
5に記載のアブレーションプローブと、前記ニードル電極及び前記シャフト電極のそれぞれに対する電気的接続に関して適合される信号発生器とを備える、アブレーション用のシステムであって、前記信号発生器が、治療送達の間に前記ニードル電極と前記シャフト電極との間のインピーダンスを感知するように構成され、前記温度センサから温度信号を取得するように構成され、かつ、前記温度信号及びインピーダンス信号に応答して治療電圧を調節するように構成される、システム。
【請求項12】
前記信号発生器が、
治療出力の開始時に温度及びインピーダンスを感知し、
感知された温度が温度閾値に達するまで電圧を維持し又は増大させ、
感知された温度が前記温度閾値に達した際に、インピーダンス及び電圧を測定するとともに、標的電流を記憶し、
前記温度閾値に達した後、前記標的電流を維持するためにインピーダンスを監視し、
感知された温度が前記温度閾値を超えて上昇した場合には、前記標的電流を低減するように動作する
ように構成される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号発生器が、いずれかのロックハブにリンクすることによって電極間の距離と電極の表面積とを感知するように構成される、請求項
11に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号発生器が、前記電極間の前記距離及び/又は前記電極の前記表面積を考慮するために、感知したインピーダンスを調節するように構成される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記信号発生器が、不可逆電気穿孔法及び熱的アブレーションのためのアブレーション信号を提供するように構成される、請求項
10~
14のいずれか一項に記載のシステム。
【国際調査報告】