(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】アンダーフィル真空プロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20241031BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20241031BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L23/30 R
H01L21/56 R
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531649
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 IB2022058065
(87)【国際公開番号】W WO2023105307
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 豊広
(72)【発明者】
【氏名】丸島 千波
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 理沙
(72)【発明者】
【氏名】堀部 晃啓
(72)【発明者】
【氏名】久田 隆史
【テーマコード(参考)】
4M109
5F044
5F061
【Fターム(参考)】
4M109AA04
5F044LL04
5F044PP15
5F061AA01
5F061CA22
5F061CB03
5F061DA06
(57)【要約】
電子デバイスは、支持基板に結合された集積回路(IC)チップの外周の周りにアンダーフィル材料を塗布することによって形成される。ICチップと支持基板との間に存在するアンダーフィル材料にはボイドが存在する。ICチップおよび支持基板のうちの少なくとも一方を通って、ボイドと連通する開口が存在する。ボイドのサイズを第1の体積に減じるために、ICチップを通って存在する開口を通じてボイドに真空が加えられてよい。ICチップを通って存在する開口は、シーリング・プレートによって封止される。アンダーフィル材料は、第1の体積よりも小さい少なくとも第2の体積にボイドを減じるために開口の封止後に硬化させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを製造する方法であって、
支持基板に結合された集積回路(IC)チップの外周の周りにアンダーフィル材料を塗布することであって、前記ICチップと前記支持基板との間において前記アンダーフィル材料にボイドが存在し、前記ICチップおよび前記支持基板のうちの少なくとも一方を通って前記ボイドと連通する開口が存在する、前記塗布することと、
前記ボイドのサイズを第1の体積に減じるために、前記ICチップを通って存在する前記開口を通じて前記ボイドに真空を適用することと、
シーリング・プレートによって前記開口を封止することと、
前記第1の体積よりも小さい第2の体積に前記ボイドを減じるために、前記開口の封止後に前記アンダーフィル材料を硬化させることと
を含む、電子デバイスを製造する方法。
【請求項2】
前記アンダーフィル材料における前記ボイドが完全に除去されるまで前記硬化が継続する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シーリング・プレートによる前記開口の封止が、前記真空下において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記支持基板に結合された前記ICチップは、はんだ結合を用いて結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記真空は、10Pa~2000Paの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硬化は、80℃~120℃の範囲の温度において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化は、大気圧において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アンダーフィル材料の前記塗布は、室温において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アンダーフィル材料の前記塗布は、大気圧において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アンダーフィル材料は、前記ICチップおよび前記支持基板のうちの少なくとも一方を通って存在する前記開口を充填する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記支持基板は、プリント回路基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
電子デバイスを製造する方法であって、
支持基板に結合された集積回路(IC)チップの外周の周りにアンダーフィル材料を塗布することであって、前記ICチップと前記支持基板との間において前記アンダーフィル材料にボイドが存在し、前記ICチップおよび前記支持基板のうちの少なくとも一方を通って前記ボイドと連通する開口が存在する、前記塗布することと、
前記ボイドのサイズを第1の体積に減じるために、前記ICチップを通って存在する前記開口を通じて前記ボイドに真空を加えることと、
シーリング・プレートおよび少なくとも1つのはんだアクチュエータによって前記開口を封止することであって、前記少なくとも1つのはんだアクチュエータは、前記シーリング・プレートを移動させるための少なくとも1つのばねを含む、前記封止することと、
前記第1の体積よりも小さい第2の体積に前記ボイドを減じるために、前記開口の封止後に前記アンダーフィル材料を硬化させることと
を含む、電子デバイスを製造する方法。
【請求項13】
前記はんだアクチュエータのはんだが固体状態にありかつ前記シーリング・プレートが前記開口から離隔されるとき、前記ばねは圧縮されており、前記はんだが液体状態にありかつ前記シーリング・プレートが前記開口に係合させられるとき、前記ばねは弛緩させられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電気デバイスを製造するための装置であって、
はんだ結合およびアンダーフィル材料によって支持基板に係合させられた集積回路のアセンブリを収容するためのトレイ固定部であって、前記トレイ固定部は、前記アセンブリにおける少なくとも1つの真空開口を露出させるためにアパーチャを含む、前記トレイ固定部と、
前記アパーチャに挿入されるように配置されたシーリング・プレートと、
前記アセンブリにおける前記少なくとも1つの真空開口と係合するように前記シーリング・プレートを移動させるために前記トレイ固定部および前記シーリング・プレートに接続された少なくとも1つのアクチュエータと
を備える、電気デバイスを製造するための装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記トレイ固定部および前記シーリング・プレートに接続された少なくとも1つのガイド・ピンと、前記トレイ固定部における前記アパーチャを通って前記シーリング・プレートを移動させるためのばねとを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記ばねを前記少なくとも1つのガイド・ピンに接続するための、前記少なくとも1つのガイド・ピンにおけるばねリテーナと、前記ばねを前記トレイ固定部に接続するための、前記トレイ固定部におけるばねセット・バーとをさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記アクチュエータは、電気的にトリガされるサーボ・モータを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
電気デバイスを製造するための装置であって、
はんだ結合およびアンダーフィル材料によって支持基板に係合させられた集積回路のアセンブリを収容するためのトレイ固定部であって、前記トレイ固定部は、前記アセンブリにおける少なくとも1つの真空開口を露出させるためにアパーチャを含む、前記トレイ固定部と、
前記アパーチャに挿入されるように配置されたシーリング・プレートと、
前記アセンブリにおける前記少なくとも1つの真空開口と係合するように前記シーリング・プレートを移動させるために前記トレイ固定部および前記シーリング・プレートに接続されたはんだアクチュエータと
を備える、電気デバイスを製造するための装置。
【請求項19】
前記はんだアクチュエータは、前記トレイ固定部および前記シーリング・プレートに接続された少なくとも1つのガイド・ピンと、前記トレイ固定部における前記アパーチャを通じて前記シーリング・プレートを移動させるためのばねとを備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記はんだアクチュエータは、前記ばねを前記少なくとも1つのガイド・ピンに接続するための、前記少なくとも1つのガイド・ピンにおけるばねリテーナと、前記ばねを前記トレイ固定部に接続するための、前記トレイ固定部におけるばねセット・バーとをさらに含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記はんだアクチュエータのはんだが固体状態にありかつ前記シーリング・プレートが前記少なくとも1つの真空開口から離されるとき、前記ばねは圧縮されており、前記はんだが液体状態にありかつ前記シーリング・プレートが前記少なくとも1つの真空開口に係合させられるとき、前記ばねは弛緩させられる、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
電気デバイスであって、
はんだ結合によって接続された集積回路チップおよび支持基板であって、前記集積回路チップおよび前記支持基板のうちの少なくとも一方を通って真空開口が存在する、前記集積回路チップおよび前記支持基板と、
前記集積回路チップと前記支持基板との間の空間を充填するアンダーフィル材料であって、前記アンダーフィル材料は、前記真空開口を充填する、前記アンダーフィル材料と
を備える、電子デバイス。
【請求項23】
前記支持基板は、プリント回路基板であり、前記はんだ結合は、少なくとも1つのはんだバンプによって提供される、請求項22に記載の電気デバイス。
【請求項24】
前記集積回路チップと前記支持基板との間にブリッジ・チップをさらに備える、請求項22に記載の電気デバイス。
【請求項25】
前記集積回路チップと前記支持基板との間の空間の全体がボイドを含まない、請求項22に記載の電気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタと電気(電子)デバイスと間のはんだ接合に関し、より具体的には、はんだ接合を形成する際に採用されるアンダーフィル・プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーフィルの使用は、チップと基板との構造的結合を可能にし、せん断応力を有効に減じ、これにより、はんだ接合における適用されたひずみを低下させる。しかしながら、アンダーフィル・プロセス中にアンダーフィルのボイドが形成される可能性がある。アンダーフィルのボイドは、信頼性の問題を引き起こす欠陥である。はんだバンプ、即ちはんだ接合のはんだボールの間のボイドの存在は、はんだポンピングを生じる可能性があり、その結果、アンダーフィルを含むデバイスにおける開路の電気的短絡を生じる可能性がある。さらに、ボイドは、クラック形成または層間剥離を生じる応力集中を生じる可能性がある。
【0003】
ボイドレス・アンダーフィリングは、デバイス製造における多くのトレンドによりさらに困難になっている。例えば、より大きなチップは、ボイド形成をより生じやすい。デバイス・フィーチャ間のより微細なピッチおよびより狭い間隙を有するデバイスも、アンダーフィル・プロセス中にボイドを含む可能性がより高い。加えて、ダイレクト・ボンデッド・ヘテロジーニアス・インテグレーション(DBHi)を含むデバイスなどの複雑なデバイスも、アンダーフィルのボイドを含む可能性が高いことが分かっている。上記のことを考慮して、ボイド形成を排除するより均一なアンダーフィル・プロセスを提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
幾つかの実施形態において、本明細書において提供される方法、装置および構造は、アンダーフィル堆積から始まりかつアンダーフィルの熱硬化に続くプロセス・フローの間に真空を適用することができるメカニズムを通じて、はんだ結合されたデバイスにおいて均一で、潜在的にボイドレスなアンダーフィル材料を提供することができる。
【0005】
1つの実施形態において、支持基板に結合された集積回路(IC)チップの外周の周りにアンダーフィル材料を塗布する(dispensing)ことを含む、電子デバイスを製造する方法が説明されている。ICチップと支持基板との間に存在するアンダーフィル材料にはボイドが存在する。ICチップおよび支持基板のうちの少なくとも一方を通って、ボイドと連通する開口が存在する。ICチップを通って存在する開口を通じてボイドに真空が適用されて、ボイドのサイズを第1の体積に減じることができる。ICチップを通って存在する開口は、シーリング・プレートによって封止される。アンダーフィル材料は、第1の体積よりも小さい少なくとも第2の体積にボイドを減じるために開口の封止後に硬化させられる。
【0006】
1つの実施形態において、硬化は、アンダーフィル材料におけるボイドが完全に除去されるまで継続される。
【0007】
別の実施形態において、電気デバイスを製造する方法は、支持基板に結合された集積回路(IC)チップの外周の周りにアンダーフィル材料を塗布することを含み、ICチップと支持基板との間でアンダーフィル材料にボイドが存在し、ICチップおよび支持基板のうちの少なくとも一方を通って、ボイドと連通する開口が存在する。方法は、さらに、ボイドのサイズを第1の体積に減じるためにICチップを通って存在する開口を通じてボイドに真空を適用することと、シーリング・プレートおよび少なくとも1つのはんだアクチュエータによって開口を封止することと、を含む。少なくとも1つのはんだアクチュエータは、シーリング・プレートを移動させるための少なくとも1つのばねを含む。幾つかの実施形態において、方法は、さらに、少なくとも第1の体積よりも小さい第2の体積にボイドを減じるために、開口の封止後にアンダーフィル材料を硬化させることを含むことができる。はんだアクチュエータは、サーボ・モータに電力を供給するための電気接続を含まず、真空チャンバにおいて使用されるときに幾つかの利点を有する。
【0008】
別の態様において、電気デバイスの形成中にアンダーフィル材料からボイドを除去するための装置が提供される。1つの実施形態において、電気デバイスを形成するための装置は、はんだ結合およびアンダーフィル材料によって支持基板に係合させられた集積回路のアセンブリを収容するためのトレイ固定部を含む。トレイ固定部は、アセンブリにおける少なくとも1つの真空開口を露出させるためのアパーチャを含む。電気デバイスを形成するための装置は、さらに、アパーチャに挿入されるように配置されたシーリング・プレートと、アセンブリにおける少なくとも1つの真空開口と係合するようにシーリング・プレートを移動させるためにトレイ固定部およびシーリング・プレートに接続された少なくとも1つのアクチュエータとを含んでよい。
【0009】
1つの実施形態において、少なくとも1つのアクチュエータは、トレイ固定部およびシーリング・プレートに接続された少なくとも1つのガイド・ピンと、トレイ固定部におけるアパーチャを通じてシーリング・プレートを移動させるためのばねを含む。少なくとも1つのアクチュエータは、さらに、ばねを少なくとも1つのガイド・ピンに接続するための、少なくとも1つのガイド・ピン上のばねリテーナと、ばねをトレイ固定部に接続するための、トレイ固定部上のばねセット・バーとを含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、アクチュエータは、アセンブリにおける真空開口と封止係合するようにシーリング・プレートを作動させるための電気信号を必要としない。幾つかの実施形態において、アクチュエータは、はんだアクチュエータであってよい。はんだアクチュエータは、はんだが固体状態にあるときにばねが圧縮され、シーリング・プレートが少なくとも1つの真空開口から離隔されるようにすることができる。はんだアクチュエータは、はんだが液体状態にあるときにばねが弛緩されるようにすることもできる。はんだが液体状態にあるとき、シーリング・プレートは、少なくとも1つの真空開口に係合させられる。
【0011】
1つの例において、電気デバイスを形成するための装置は、はんだ結合およびアンダーフィル材料によって支持基板に係合させられた集積回路のアセンブリを収容するためのトレイ固定部を含み、トレイ固定部は、アセンブリにおける少なくとも1つの真空開口を露出させるためのアパーチャを含む。装置は、また、アパーチャに挿入されるように配置されたシーリング・プレートと、アセンブリにおける少なくとも1つの真空開口と係合するようにシーリング・プレートを移動させるためにトレイ固定部およびシーリング・プレートに接続されたはんだアクチュエータとを含んでよい。
【0012】
さらに別の態様において、はんだ結合によって接続された集積回路チップおよび支持基板を含む電気デバイスが提供される。集積回路チップおよびパッケージング基板のうちの少なくとも一方を通って真空開口が存在する。幾つかの実施形態において、集積回路チップと支持基板との間の空間をアンダーフィル材料が充填しており、アンダーフィル材料は、真空開口を充填している。
【0013】
以下の詳細な説明は、例として提供されており、開示を単にそれに限定することを意図しておらず、添付の図面に関連して最も良く理解され、図面において、同じ参照番号は同じ要素および部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の1つの実施形態による、支持基板への集積回路(IC)チップのはんだ結合、およびアンダーフィル材料の堆積を示す垂直断面図であり、アンダーフィルにはボイドが存在する。
【
図2】本開示の1つの実施形態による、アンダーフィル材料をICチップの縁部からICチップの中央部分に向かって引き込むための真空チャンバにおける流れを示す垂直断面図であり、真空は、ICチップの基板におけるスリット/開口を通じてアンダーフィルにおけるボイドへ加えられることができる。
【
図3】
図2に示されたような、アンダーフィル材料を堆積させ、真空を加えた後の、支持基板に結合されたICチップの平面図である。
【
図4】構造体が真空中に存在する間に、ICの基板を通ったスリット/開口を塞ぐ垂直断面図である。
【
図5】
図4に示された構造体の真空を大気圧に調整し、アンダーフィル硬化を適用する垂直断面図である。
【
図6】スリット/開口24を塞ぎ、圧力を大気圧に調整し、かつ高温硬化を行った後の、支持基板15に結合されたICチップ5の平面図である。
【
図7】本開示の1つの実施形態による、真空チャンバにおけるトレイまたは固定部の構成要素であることができるICチップの基板におけるスリット/開口にシーリング・プレートを係合させるための装置の垂直断面図である。
【
図8】ICチップのスリット/開口に封止係合で係合させられたプレートの第1の実施形態の拡大された垂直断面図である。
【
図9】外周におけるリッジおよび中央に配置されたトレンチを含むプレートの第2の実施形態の拡大された垂直断面図であり、プレートはICチップのスリット/開口に封止係合で係合させられている。
【
図10】本開示の1つの実施形態による、クローズ位置におけるロックを備えるアクチュエータの垂直断面図である。
【
図11】本開示の1つの実施形態による、オープン位置におけるロックを備えるアクチュエータの垂直断面図である。
【
図12】本開示の1つの実施形態による、トレイ固定部に装填されたはんだバンプを使用して互いに結合されたICチップおよび支持基板のアセンブリの垂直断面図である。
【
図13】本開示の1つの実施形態による、トレイ固定部に装填されたはんだバンプを使用して互いに結合されたICチップおよび支持基板のアセンブリの垂直断面図である。
【
図14】トレイ固定部ハウジング46側壁のリテイリング・スロットに係合させられたICチップおよび支持基板のアセンブリを含む、後側ハウジングおよび前側ハウジングのアセンブリを示す垂直断面図である。
【
図15】本開示の1つの実施形態による、ばねロック・バーをトレイ固定部ハウジングの側部に接続し、アクチュエータおよびガイド・ピンを接続プレート・リンケージ26に係合させることを示す垂直断面図である。
【
図16】本開示の1つの実施形態による、ガイド・ピンを上方へ移動させるためにガイド・ピンに対する保持力を解放し、スリット/ホールと封止係合するようにプレートを引っ張るために、ロックを開放させることを示す垂直断面図である。
【
図17】本開示の1つの実施形態による、圧縮されたばねを弛緩させてプレートをスリット/開口と封止係合させるロッキング機構を提供することができるはんだピン・アセンブリを示す垂直断面図である。
【
図18】
図17に示されたはんだピン・アセンブリにおいてはんだを溶融させることを示す垂直断面図である。
【
図19】
図1~
図6に関して説明されたように、スリット/開口を封止するためのシーケンスとの適切なタイミングにおいて、
図17および
図18に示されたはんだピン設計のためのはんだを溶融させることを提供する、圧力および温度分布の1つの実施形態を示すプロットである。
【
図20】ダイレクト・ボンデッド・ヘテロジーニアス・インテグレーション(DBHi)の1つの実施形態を示す垂直断面図であり、アンダーフィル材料は、完全にボイドおよび空隙が存在しないアンダーフィルを提供するように処理されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特許請求される構造および方法の詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示される実施形態は、様々な形態で具体化され得る特許請求される構造および方法の単なる例示であることを理解されたい。加えて、様々な実施形態と関連して示される各例は、例示を意図したものであり、制限的なものではない。さらに、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、幾つかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に、本開示の方法および構造を様々に使用するために当業者に教示するための代表的な原則として解釈されるべきである。以下における説明のために、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」という用語、およびそれらの派生語は、図面において向けられているときの開示の実施形態に関する。「上に配置されている」という用語は、第1の構造体などの第1の要素が、第2の構造体などの第2の要素上に存在することを意味し、界面構造体、例えば、界面層などの介在する要素が第1の要素と第2の要素との間に存在してもよい。「直接接触」という用語は、第1の構造体などの第1の要素と、第2の構造体などの第2の要素とが、2つの要素の界面においていかなる中間伝導、絶縁または半導体層も存在することなく接続されていることを意味する。
【0016】
本明細書において説明される方法および構造は、アンダーフィルのボイドの形成を最小限に抑えまたは排除しながら、はんだ接合を使用する電気接続を含む構造体にアンダーフィル材料を形成することを提供する。本明細書において説明される方法および構造は、アンダーフィル材料を塗布するための特別のツールおよび余分な領域なしにアンダーフィル・プロセスを提供することができる。幾つかの実施形態において、本開示の方法および構造は、はんだ接合が形成される基板に形成されたスリットまたはホールあるいはその両方を使用する。構造体を含むはんだ接合が2つの基板を含む幾つかの実施形態において、スリットまたはホールあるいはその両方は、上側または下側の基板、または上側および下側の基板の両方に形成されてよい。幾つかの実施形態において、アンダーフィルを形成するとき、アンダーフィルは、基板の間の間隙を充填するように塗布され、フィレットを形成する。フィレットは、大気圧において形成される。フィレットの形成は、室温または高温で行われてよく、フィレットの形成は、真空環境を必要としない。
【0017】
次のステップにおいて、アンダーフィル材料のフィレットを含む構造体は、真空チャンバにセットされる。基板に存在するスリットまたはホールあるいはその両方がアンダーフィル材料によって充填される前に、真空環境が適用される。真空が適用されると、アンダーフィルは流れ、それらの間に配置されたはんだ接合によって接続された2つの構造体の間の空間をさらに充填することができる。この段階において、アンダーフィル材料の流れは、毛管効果として特徴づけられることができる。加えて、真空が適用される段階の間に、アンダーフィル材料の流れをさらに補助するために温度を上げることができ、これは、あらゆるボイドのサイズを減じる。
【0018】
次のステップにおいて、真空の適用後、スリットまたはホールあるいはその両方が塞がれる。スリットまたはホールあるいはその両方が塞がれ、あらゆる残りのボイドが封止されると、適用された真空が解除されてよく、アセンブリの圧力は大気圧に戻ることができる。
【0019】
アンダーフィル硬化プロセスはまた大気圧または高圧環境において行われてもよい。アンダーフィル硬化プロセスの間、ボイドのサイズは、さらに減じられてよいまたは排除されてよいあるいはその両方であってよい。ボイドの発生を減じるための方法に加えて、真空の適用後にスリットまたはホールあるいはその両方を封止するためのプレートの適用を含む、上記で説明されたプロセス・シーケンスを提供することができる装置も提供される。
【0020】
ここで
図1~
図20を参照して本開示の方法および構造をより詳細に説明する。
【0021】
図1は、プリント回路基板(PCB)などの、支持基板15(支持キャリアとも呼ばれる)にはんだ接合された集積回路(IC)チップ5の1つの実施形態を示す。集積回路またはモノリシック集積回路(IC、チップ、またはマイクロチップとも呼ばれる)は、半導体材料の1つの小さな平坦な部品(または「チップ」)上の電子回路のセットである。半導体材料は、シリコン(Si)などのIV族半導体、またはガリウムヒ素(GaAs)などのIII-V族半導体材料であってよい。多数の電界効果トランジスタ(FET)、例えば、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)をチップに組み込むことができる。半導体デバイスのタイプ、例えば、FETは、水平向きデバイス、垂直向きデバイス、フィンタイプ電界効果トランジスタ、ナノワイヤ、またはナノシート・チャネル・タイプ・デバイスあるいはその組合せを含むことができる。あらゆる電界効果トランジスタ(FET)、例えば、ソースおよびドレイン領域を分離させるチャネルを含むゲート構造が、チップに組み込まれてよい。FETタイプの上記の例は、例示のためにのみ提供されており、限定することは意図されていない。
【0022】
プリント回路基板(PCB)15は、電気接点パッドと、電気接点パッドに結合されたICチップ5に電気信号を伝達するための経路とを含む。プリント回路基板(PCB)15は、金属コア・プリント回路基板(MCPB)であってよい。幾つかの実施形態において、FR4などのその他の材料を採用することもできる。支持基板15は、半導体ウェハ、例えば、別のシリコン基板であってもよいことに留意されたい。
【0023】
集積回路(IC)チップ5と支持基板15との間の電気接続は、はんだバンプ10、はんだボールなどの、はんだタイプの結合であってよい。従来、C4(コントロールド・コラプス・チップ・コネクション)バンプなどの、はんだバンプ10(「はんだボール」とも呼ばれる)が、チップをチップ・キャリアに結合するために使用されてきた。本明細書において使用される「はんだ」という用語は、2つ以上の金属面を接合するために溶融され、次いで冷却されるあらゆる金属または金属化合物または合金を指す。複数のはんだバンプ10は、はんだ付けに適した金属から成ってよい。例えば、幾つかの実施形態において、はんだバンパ10は、スズと鉛の共晶合金または無鉛はんだ組成物から成ってよい。幾つかの実施形態において、はんだ接合部は、0.5mm~3mmの範囲の高さを有する。他の例において、はんだバンプ10は、1mmよりも大きい高さを有する。幾つかの実施形態において、はんだバンプ10の配列は、30mm×200mmよりも大きい総面積を有してよい。
【0024】
一般的に、はんだは、150℃~250℃の範囲の溶融温度を有する。はんだバンプは、半導体デバイスの接点領域、相互接続線またはパッドに結合されるはんだの小さな球体(はんだボール)であってよい。幾つかの実施形態において、はんだバンプは、無鉛はんだ混合物またはスズ鉛はんだから形成することができる。
【0025】
アンダー・ボール金属(UBM)は、はんだボールと、はんだボールが電気通信するように配置される構成要素との間のはんだ付けされた接続のサイズおよび領域を規定するはんだ濡れ端子金属である。UBMは、はんだボールの流れを所望の領域に制限する。幾つかの実施形態において、UBMは、チップ配線への接着および接点を提供する。幾つかの例において、UBMは、はんだバンプを使用して、デバイスのバック・エンド・オブ・ライン構造と、デバイス・バック・エンド・オブ・ライン構造に接続される電気構造との間の相互接続のための経路を提供する、接着剤層、バリア層、および導電層を含んでよい。接着剤層、バリア層、および導電層は、デバイスとチップとの間の相互接続のための経路を提供する。接着剤層は、チタン(Ti)のような金属またはチタン(Ti)およびタングステン(W)の合金であることができる。バリア層は、ニッケル(Ni)から成ることができる。主導電層は、典型的には、銅(Cu)である。典型的なめっきされたBLM層は、スパッタリングされたTiおよびW合金層、スパッタリングされたCu層、めっきされたNi層およびめっきされたCu層を含む金属スタックから成ってよい。このプロセスは、銅シード層のサブトラクティブ・エッチングを含む。このプロセスにおいて、銅の上部層の一部が、ウェット・エッチ・プロセスによってエッチングされる。エレクトロマイグレーションの改善が必要とされる場合、電流分配を改善しかつピーク電流密度を減じるために、2ミクロンのニッケルの下にCu層が導入される。次いで、Cu層がまず10ミクロンの厚さにめっきされ、続いて、2ミクロンのNi層、そして上部Cu層がめっきされる。
【0026】
はんだバンパ10について説明した上記の金属は、例示のみを目的として提供されたものであり、本開示をそれのみに限定することを意図したものではないことに留意されたい。
【0027】
さらに
図1を参照すると、プリント回路基板であってよい支持基板10(チップ・キャリアとも呼ばれる)にICチップ5が結合される領域の外周にアンダーフィル材料20が塗布されたものとして、アンダーフィル材料20が示されている。「アンダーフィル」は、有意な量のフィラーを含むエポキシポリマーから構成された複合材料である。アンダーフィル20の処方に加えられる追加的な構成要素は、フロー剤、接着促進剤、および染料である。
【0028】
幾つかの実施形態において、アンダーフィル20は、エポキシベース樹脂であることができる。幾つかの例において、アンダーフィル20は、フィラーを含むエポキシ樹脂、フィラーを含むエポキシアクリル、または適切なフィラーを含むポリマーであることができる。アンダーフィル20は非導電性である。幾つかの例において、アンダーフィル20に適しているエポキシ樹脂処方は、例えば、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテルまたはパラアミノフェノールのトリエポキシドなどの高性能または多機能樹脂と共に、高純度のビスフェノールFのジグリシジルエーテル、またはビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含み得る。これは、本開示のアンダーフィル20として使用され得るエポキシ組成の一例に過ぎないことに留意されたい。その他の組成、およびその他のエポキシベース樹脂が、同様にアンダーフィル20に適している。
【0029】
アンダーフィル20は、支持基板15へのICチップ5の取り付けを強化するための組成を有する。アンダーフィル20の組成は、誘電特性を有し、さらに、はんだバンプ10を互いに電気的に分離させる。
【0030】
図1に示されているように、アンダーフィル20は、集積回路チップ5の外周の周りに塗布される。アンダーフィル20は、射出プロセス、例えば、インクジェットタイプ印刷技術を用いて塗布されてよい。アンダーフィル20は、大気圧において塗布されてよい。
【0031】
アンダーフィル20は、室温において塗布されることができる。
【0032】
図1に示された例において、アンダーフィル20は、チップの外周の周りに存在するが、認識できるボイドが、ICチップ5と支持基板15との間に中央に位置している。
図1に示された例において、ボイドは、ICチップ5の第1の側における第1のはんだバンプ10からICチップ5の第2の側における第2のはんだバンプ10まで延びている。
【0033】
以下でさらに詳細に説明するように、ボイドを除去するために、アンダーフィル材料20をICチップ5の縁部からICチップの中央部分に向かって引き込むために真空が適用されるプロセス・フローが提供される。真空を適用するために、ICチップ5の基板を通ってスリット/開口6が存在する。示されているように、スリット/開口6は、ICチップ5の上面から延びており、ICチップ5の全体を貫通している。この例において、スリット/開口6は、ICチップの幅に関して中央に配置されており、したがって、アンダーフィル20におけるボイド7と連通するように配置されている。
【0034】
幾つかの実施形態において、スリット/開口6は、キャビティ構造と組み合わせることができる。例えば、開口/スリット6は、成形されたパッケージまたはファンアウト・ウェハ・レベル・パッケージに形成されることができる。「ファンアウト」パッケージングとは、チップ表面のファンアウトされた接続を備えるあらゆるパッケージとして定義することができ、より多くの外部I/Oを可能にする。ファンアウト・パッケージは、ダイを基板またはインターポーザ上に配置するのではなく、ダイを完全に埋め込むためにエポキシ成形材料を使用することができる。ファンアウト・パッケージングは、シリコン・ウェハ上のチップをダイシングし、次いで、チップを薄い「再構築された」またはキャリア・ウェハ/パネル上に配置され、次いで、これが成形された後、成形された領域(チップおよびファンアウト領域)の上に再配線層(RDL)を形成し、次いで、上部にはんだボールを形成することを含むことができる。
【0035】
Siチップは、時には、ラミネートに取り付けられる前に、モールド・パッケージまたはファンアウト・ウェハ・レベル・パッケージのように既に組み込まれている。このような場合、スリット/開口6は、シリコンチップ(ICチップ5)またはラミネート(例えば、支持基板5)の代わりに、成形されたパッケージまたはファンアウト・ウェハ・レベル・パッケージに形成されることができる。
【0036】
ボイド7は、空隙である。スリット/開口を通じて真空を適用することによって、空隙は排気され、これは、アンダーフィル材料20をICチップの縁部からICチップ5の中央部分に向かって引き込む。
【0037】
図2は、アンダーフィル材料20をICチップ5の縁部からICチップ5の中央部分に向かって引き込んでいる真空チャンバにおける流れを示す。示されているように、ICチップ5の外周におけるアンダーフィル材料20の実質的に円形の断面形状は、真空の引き込みによって変化させられている。
図1における真空の適用前のボイド7と、
図2における真空の適用中のボイド7’との比較によって示されているように、アンダーフィル材料20をICチップ5の中央部分に向かって引き込むことによって、空隙は排気され、ボイドのサイズが減じられる。真空チャンバは、剛性のエンクロージャであり、そこから空気およびその他のガスが真空ポンプによって除去される。その結果、一般的に真空と呼ばれる、チャンバ内の低圧環境が生じる。比較のために、大気圧は、約760Torrである。幾つかの実施形態において、真空の適用は、760Torr~25Torrの範囲の低真空を生じる。幾つかの実施形態において、真空の適用は、25~1×10
-3Torrの範囲の中間真空を生じ、この中間真空は、アンダーフィル材料20をICチップ5の縁部からICチップ5の中央部分に向かって引き込むことができる。幾つかの実施形態において、真空の適用は、1×10
-3Torr~1×10
-9Torrの範囲の高真空(ハード)を生じ、この高真空は、アンダーフィル材料20をICチップ5の縁部からICチップ5の中央部分に向かって引き込むことができる。幾つかの実施形態において、真空の適用は、超高真空1×10
-9~1×10
-12Torrを生じ、この超高真空は、アンダーフィル材料20をICチップ5の縁部からICチップ5の中央部分に向かって引き込むことができる。1つの例において、中間真空が好ましい。
【0038】
アンダーフィル材料20の流れは、さらに、毛管作用によって促進され得る。加えて、真空チャンバ内の温度が上昇させられてもよい。例えば、室温が20℃~25℃の範囲である場合、真空環境においてアンダーフィル材料の流れを増大させるための上昇した温度は、70℃~130℃の範囲であってよい。温度上昇を提供するために、炉要素が真空チャンバに存在してよい。
【0039】
図3は、アンダーフィル材料20を堆積させ、真空を加えた後の、支持基板15に結合されたICチップ5の平面図である。アンダーフィル材料は、参照番号21によって識別された外周と、参照番号22によって示された内周とを有する。ボイドは、参照番号23によって示された、内周の中に示された領域に存在する。スリット/開口は、参照番号24によって示されている。スリット/開口24は、楕円形で示されているが、スリット/開口24は、円形であってもよい。1つのスリット/開口24のみが示されているが、本願はこの例のみに限定されないことに留意されたい。真空を適用するために多数の開口が存在してもよい。
【0040】
図4は、真空の存在においてホール/スリットを封止するプレート25によって塞がれかつ閉鎖される少なくとも1つのホールまたはスリット24を示す。プレート25は、PTFE、接着剤、ゴム、硬質向き材料およびその組合せの1つからなるプラグまたは封止要素を含んでよい。プレート25は、真空チャンバ内でトレイまたは固定アセンブリに埋め込まれることができる。スリット/開口24を塞いだ後、環境は、真空から大気圧へ変化させられる。大気圧は、約760Torrである。
【0041】
図5は、硬化後の構造の一実施形態を示す。アンダーフィル硬化プロセスは、大気圧または高圧環境において行われる。幾つかの実施形態において、硬化は、典型的には130℃~160℃の温度において行われるが、「スナップ・キュア」は、数秒で硬化させ得る。大気圧は、約760Torrである。幾つかの実施形態において、高圧硬化は、1520~7600Torrの範囲の圧力を含む。硬化時間は、数分未満、幾つかの例では数秒である場合がある。
【0042】
スリット/開口24を塞ぎ、圧力を大気圧に調整し、アンダーフィル30の高温硬化を行うステップにより、アンダーフィルが、ICチップ5と支持基板10との間に存在するボイドをさらに充填する。
図6は、スリット/開口24を塞ぎ、圧力を大気圧に調整し、かつ高温硬化を行った後の、支持基板15に結合されたICチップ5の平面図である。
図5および
図6を参照すると、アンダーフィル材料は、
図3における参照番号23によって示された内縁の内側に示された領域に存在していたボイドを完全に充填している。
【0043】
図7は、ICチップ5の基板におけるスリット/開口24にシーリング・プレート25を係合させるための装置の垂直断面図であり、それは
図2を参照して説明したように、真空を適用し、次いで、
図4を参照して説明したように、スリット/開口24を塞ぐステップのための、真空チャンバにおけるトレイまたは固定部の構成要素である。
【0044】
プレート25は、Z軸に沿って上方または下方へ移動させることができる。プレート25は、金属ベース材料から成るプレート・アセンブリ35の一構成要素であってよい。プレート・アセンブリ35は、複数のプレート25を含んでよく、各プレートは、トレイ固定部40に収容されているICチップに対応する。プレート25は、接続プレート・リンケージ26によって接続されてよく、各プレート25は、プレート25を接続プレート・リンケージ26に接続する支柱27上に存在してよい。
【0045】
図8および
図9は、ICチップ5のスリット/開口24に封止係合するように係合させられたプレート25の拡大図を示す。各プレート25は、金属で構成されるベース28を含むことができる。
図8に示された実施形態において、プレート25のシーリング部材は、シリコン接着剤層29およびポリテトラフルオロエチレン・シート30を含むことができる。
図9に示された実施形態において、ベース28は、外周部のリッジと、中央に配置されたトレンチとを含み得る。スリット/開口24を封止するためのシーリング部材は、ベース28のトレンチ内に存在する多孔質シリコンゴム構造32と、シリコンゴム構造32上に存在する多孔質PTFEシート31とを含み得る。多孔質PTFEシート31および多孔質シリコンゴム構造32のアセンブリは、ICチップのスリット/開口24に係合し、これを封止することができる。シリコン接着剤Оリング33が、ベース28のリッジ上に存在してもよい。シリコン接着性Оリング33は、スリット/開口が多孔質PTFEシート31および多孔質シリコンゴム構造32のアセンブリによって封止されたときにスリット/開口24を取り囲むICチップの基板の部分に接触することができる。
図8および
図9を参照して説明されたプレート25の封止構造は本開示の幾つかの実施形態を例示していることに留意されたい。本開示がこれらの例のみに限定されることは意図されていない。プレート構造は、ガスを逃がすための十分な空間などを含むことができる。
【0046】
トレイ固定部40は、はんだバンプ10と共に存在するアンダーフィル材料20からボイドを除去するためのプロセス・シーケンスの間に支持基板15に結合されたICチップ5のアセンブリを収容することができる。幾つかの実施形態において、ICチップ5は、参照番号43によって示された後側ハウジングと、参照番号42によって示された前側ハウジングとの間に存在し得る。前側ハウジング42は、前側ハウジング42を貫通して存在する開口を有し、この開口を通って、プレート25が、アンダーフィル20からボイドを除去するためのプロセス・シーケンスの間にスリット/開口24に係合するように移動することができる。前側ハウジング42および後側ハウジング43のアセンブリは、ばねセット・バー54(
図7には示されていない)およびばねロック・バー41を含む作動構造に係合させられてよい。ばねセット・バー54とばねロック・バー41との相互作用が、
図10および
図11を参照してさらに詳細に説明される。
【0047】
サンプル、即ちICチップ5は、トレイ固定部40内に収容される。プレート25は、トレイ固定部26内の固定位置、例えば、前側ハウジング42と後側ハウジング43との間の固定位置にあるサンプルと係合するように、Z軸に沿ってガイド・ピン34によってガイドされる。トレイ固定部26は、真空チャンバ内に取り付けられている。ガイド・ピン34の端部は、アクチュエータ50を含む。アクチュエータ50は、電気的なまたは温度トリガされるアクチュエータ50とすることができる。
図10および
図11に示されているように、アクチュエータ50は、ばねピン設計を採用することができ、この場合、ロック53は、スリット/開口24を封止する際にプレート25を作動させるためにクローズからオープン位置へ切り替えられる。ロック53をクローズ位置からオープン位置へ切り替えるために、電気信号または温度信号が使用される。
図10は、ロック53がクローズ位置にあるアクチュエータ50を示す。この位置において、プレート25は、ホール/開口24を封止していない。
図11は、ロックがオープン位置にあるアクチュエータ50を示す。この位置において、プレート25は、ホール/開口24を封止している。
【0048】
図10は、ばねセット・バー54と、ガイド・ピン34上のばねリテーナ52との間に配置されたばね51を含むばねピン・アクチュエータ50の1つの実施形態を示す。ばね51は、バイメタル・スプリングであってよい。ガイド・ピン34は、ばねセット・バー54におけるホールを通過しており、ばねセット・バー54と摺動関係にある。ばねリテーナ52は、ガイド・ピン34上の固定位置にある。ガイド・ピン34の端部は、ばねロック・バー41における開口を通って延びている。
図10において、ガイド・ピン34の端部がばねロック・バー41内に格納され、クローズ位置にあるばねロック53によって押さえつけられているため、ばね51は圧縮させられている。ガイド・ピン34の反対側は、接続プレート・リンケージ26に接続されている。
図10に示された位置において、ばね51は圧縮させられており、接続プレート・リンケージ26は最大限に延長させられており、スリット/開口24から離れるようにプレート25が置かれている。これは、ボイド7が存在するアンダーフィル20を含む構造に真空が適用されている間の、
図2におけるプレートの配置と一貫している。真空を適用することにより、
図1と比較して、
図2に示されたボイドのサイズは減少する。
【0049】
図11において、アクチュエータ50のロック53は、開放位置へ移動させられている。この位置において、ガイド・ピン34の端部は、ばねロック・バー41によって押さえつけられていない。この状況下で、ばね51を弛緩位置に保持していた力が解放される。ばね51は、圧縮状態から弛緩する。ばね51の弛緩は、ガイド・ピン34のばねリテーナ52に上向きの力を加え、ガイド・ピン34をZ軸に沿って上方へ移動させる。接続プレート・リンケージ26に取り付けられたガイド・ピン34は、スリット/開口24と封止係合するようにプレート25を引っ張る。これは、
図4および
図5におけるプレートの配置と一貫しており、その間、スリット/ホール24が封止されながら真空が依然として構造体に適用され、硬化温度が適用される。硬化は、
図2と比較したとき、
図5に示されているようにボイドのサイズを減じる。
【0050】
図12~
図18は、
図1~
図6を参照して説明された方法により例示的なトレイ固定部40を使用する1つの実施形態を示す。まず
図12を参照すると、はんだバンプ10を使用して互いに結合されたICチップ5および支持基板15のアセンブリが、まずトレイ固定部40に装填される。プロセス・フローのこの段階において、アンダーフィル20はICチップ5の外周の周りに配置されているが、実質的なボイド7は、はんだバンパ10と、ICチップ5と、支持基板との間の空間に存在し得る。スリット/開口34は、ICチップ5の基板を通って存在してよく、ボイド7の空隙と連通していてよい。後側ハウジング43は支持基板15と接触してよいのに対し、前側ハウジング42は、ICチップ5および支持基板15のアセンブリのICチップ側と接触している。前側ハウジング42は、前側ハウジング42を貫通して存在する開口を含んでよく、この開口を通って、プレート25が、アンダーフィル20からボイドを除去するためのプロセス・シーケンスの間にスリット/開口24に係合するように移動することができる。後で配置されるガイド・ピン34、およびアクチュエータ50のための開口も存在する。
【0051】
図13は、真空チャンバ内に配置されるトレイ固定部ハウジング46を示す。トレイ固定部ハウジング46の基部において、プレート25および接続プレート・リンケージ26のアセンブリが配置されており、トレイ固定部ハウジング45の反対側の面において、ばねセット・バー54が配置されている。
【0052】
図14は、トレイ固定部ハウジング46側壁のリテイリング・スロットに係合させられたICチップ5および支持基板15のアセンブリを含む、後側ハウジング43および前側ハウジング42のアセンブリを示す。ICチップ5および支持基板のアセンブリを含む後側ハウジング43および前側ハウジング42のアセンブリは、ばねセット・バー54と、プレート25および接続プレート・リンケージ26のアセンブリとの間に配置されている。
【0053】
図15は、プレート25および接続プレート・リンケージ26のアセンブリの位置とは反対側にあるトレイ固定部ハウジング46の側にばねロック・バー41を接続することを示す。この時点では、ばね51は、弛緩状態にあってよい。ばね51を圧縮させるために、接続プレート・リンケージ26に係合させられた側とは反対側のガイド・ピン34の端部に力が加えられてよい。ばね51を圧縮させ、ロック53を係合させることは、示されているように、プレート25がスリット/開口24から離隔されることを提供する。スリット/開口24に対するプレート25の配置は、
図2を参照して説明された真空の適用と一貫している。上記で
図2を参照して説明されているように、真空の適用は、
図1に示されているように、真空の適用前のボイドのサイズと比較して、アンダーフィル20におけるボイド7’のサイズを減じる。
【0054】
図16は、ロック53を開放させる1つの実施形態を示す。ロック53を開放させると、ガイド・ピン34における保持力が解放される。ガイド・ピン34の保持力を解放することにより、ばねが弛緩(圧縮解除)され、これにより、ガイド・ピン34が
図16におけるZ方向に沿って上方へ移動する。保持ロック53が係合してよい端部とは反対側のガイド・ピン34の端部は、接続プレート・リンケージ26に接続されている。接続プレート・リンケージ26は、プレート25に接続されている。ロック53を開放することにより、ばねが弛緩し、接続プレート・リンケージ26をZ方向に沿って上方へ引っ張るための力を提供し、この力は、プレート25をスリット/ホール24と封止係合するように引っ張る。これは、
図4および
図5におけるプレートの配置と一貫しており、その間、スリット/ホール24が封止されながら真空が依然として構造体に適用され、硬化温度が適用される。
【0055】
ロック53のためのアクチュエータは、電気的または温度トリガ式であってよい。幾つかのシナリオにおいて、真空チャンバは、チャンバの内部において電気配線を有さない場合がある。この例では、ロック53を使用するために電気信号およびサーボポータに依存しないアクチュエータが提供され得る。
【0056】
図17および
図18を参照すると、幾つかの実施形態において、はんだピン・アセンブリ60は、圧縮されたばね51を弛緩させ、プレート25をスリット/開口24と封止係合させるロッキング機構を提供することができる。はんだピン・アセンブリ60は、はんだ保持ハウジング61およびはんだボール62を含むことができる。はんだピン・アセンブリ60は、
図10および
図11、ならびに
図15および
図16に示されたロック53の代わりに使用されてよい。はんだ保持ハウジング61は、ばねロック・バー41上に存在し、ばね51を圧縮するために保持されるガイド・ピン34の端部上に被さって存在する。はんだ62は、ガイド・ピン34の端部の上に存在し、はんだ保持ハウジング61内に包囲されている。はんだピンの例において、はんだピン60は、電気信号の代わりに温度トリガ(はんだ62の溶融温度よりも高い)を使用することによってばねロックを開放させるために使用される。はんだ62は、はんだバンプ10を提供するために上記で説明された種類のはんだのいずれかの組成を有してよい。
【0057】
はんだ62の溶融温度よりも低いとき、はんだは固形物状態にあり、これは、はんだ保持ハウジング61の後壁とガイド・ピン34の上面との間で押し付けられたとき、ばね51を圧縮状態に維持する。ばね51を圧縮することにより、
図17に示されているように、プレート25がスリット/開口24から離隔される。スリット/開口24に対するプレート25の配置は、
図2を参照して説明された真空の適用と一貫している。上記で
図2を参照して説明されているように、真空の適用は、
図1に示されているように、真空の適用前のボイドのサイズと比較して、アンダーフィル20におけるボイド7’のサイズを減じる。
【0058】
温度がはんだ61の溶融温度に上昇するにつれて、はんだ61は溶融させられ、ばね51によってプレート25が基板5における真空ホール、例えば、スリット/開口24を封止するように、トレイを解放する。
【0059】
図19は、
図1~
図6を参照して説明されているようにスリット/開口を封止するためのシーケンスとの適切なタイミングにおいてはんだ61を溶融させるための圧力および温度プロファイルを示す。プロット線71は、圧力プロファイルである。プロット線72は、温度プロファイルである。例えば、参照番号74によって示された、ボイドが閉鎖されるときの線と、参照番号75における、はんだ61が溶融するときの線との交差は、はんだ61を溶融させるための温度および圧力を示す。
図19に示された温度および圧力は、
図1~
図6を参照して説明された方法シーケンスのための
図4に示されたようなスリット/開口24を封止するためにプレート25をトリガする少なくとも1つの実施形態に適している。
【0060】
本明細書において説明された方法および装置は、アンダーフィル材料を含むあらゆる電気デバイス、例えば、はんだ結合が誘電性アンダーフィルによって絶縁および機械的に強化されている、2つの構造の間に電気通信を提供するためにはんだ結合を使用するデバイスに適用可能であることに留意されたい。
【0061】
図20は、完全にボイドおよび空隙のないアンダーフィルを提供するために、アンダーフィル材料20が
図1~
図19を参照して説明されてように処理された、ダイレクト・ボンデッド・ヘテロジーニアス・インテグレーション(DBHi)構造の1つの実施形態を示す。第1の集積回路(IC)チップ5は、IV族半導体、例えばシリコン、またはIII-V族半導体GaAsなどの、半導体基板から成ってよい。第1の集積回路(IC)チップ5は、あらゆる数の電界効果トランジスタを提供するために複数のドープされた領域およびゲート構造を含んでよい。第1の集積回路(IC)チップ5は、コンデンサおよび抵抗器などの受動電気デバイスも含んでよい。支持基板15は、プリント回路基板(PCB)であってよい。支持基板15は、積層構造、例えば、ポリマーであってよく、その存在する複数の電気経路を有してよい。他の例において、支持基板15は、ガラスから成ってよい。さらに別の例では、支持基板は、IV族半導体、例えばシリコン、またはIII-V族半導体GaAsなどの別の半導体材料であってよい。支持基板15と第1の集積回路(IC)チップ5との間に電気通信を提供するために、これらの間にはんだバンプ10が存在し、第1のICチップ5の電気経路および支持基板15と直接電気接触していてよい。はんだバンプ10は、第1のICチップ5と支持基板15とを互いに結合する、すなわち溶融金属接続である。
【0062】
図20に示された実施形態において、第2の集積回路チップ(ICチップ)80が、第1のICチップと支持基板との間に存在する。第2の集積回路チップ80は、ブリッジ・チップであってよい。ブリッジ・チップは、IV族半導体、例えばシリコン、またはIII-V族半導体GaAsなどの半導体基板から成ってよい。ブリッジ・チップは、あらゆる数の電界効果トランジスタを提供するために複数のドープされた領域およびゲート構造を含んでよい。ブリッジ・チップは、コンデンサおよび抵抗器などの受動電気デバイスも含んでよい。
【0063】
ブリッジ・チップ(第2の集積回路(IC)チップ80)と第1の集積回路(IC)チップ5との間に電気通信を提供するために、はんだバンプ81がそれらの間に存在し、第1のICチップ5およびブリッジ・チップ(第2の集積回路(IC)チップ80)の電気経路と直接電気接触していてよい。はんだバンプ10は、電気通信するように第1のICチップ5と、ブリッジ・チップ(第2の集積回路(IC)チップ80)とを互いに結合する、即ち溶融金属接続する。
【0064】
アンダーフィル材料20が存在し、アンダーフィル材料20は、はんだバンプ10を互いに分離させ、
図20に示された多数のチップおよび基板の結合された接続に構造的剛性を提供する。アンダーフィル材料20が存在し、アンダーフィル材料20は、隣接して存在するはんだ結合10の間のスペーサを完全に充填し、かつ支持基板15と第1の集積回路(IC)チップ5との間の空間を完全に充填している。示されているように、アンダーフィル材料20は、支持基板15と、第2の集積回路(IC)チップ80、例えば、ブリッジ・チップとの間の空間を完全に充填している。アンダーフィル材料20は、完全に空隙、例えばボイドを含まない。
【0065】
アンダーフィル材料20が完全にボイドを含まないことを提供するために、真空および硬化方法は、
図1~
図19を参照して説明された方法を使用して構造に適用される。真空を適用するために、第1のICチップ5および支持基板15のうちの少なくとも一方を通ってスリット/開口24が存在する。1つのホール24のみが示されているが、本開示は、この例のみに限定されず、それらの数および形状が真空の適用およびプレート構造25を使用する封止(
図1~
図19を参照して説明されている)を可能にし、
図20に示されているように、アンダーフィル材料によって永久に封止されることを可能にする限り、あらゆる数のホールまたはスリットあるいはその両方が存在してよいことに留意されたい。
【0066】
図20が開口/スリット24を封止するプレート25を示していることに留意されたい。これは説明のためのものである。最終的なデバイス構造において、プレート25は存在しない。幾つかの例において、ボール・グリッド・アレイ(BGA)またはその他の表面実装構造が、
図20におけるプレート25の位置に存在してよい。
【0067】
スリット/開口24が、支持基板15のはば全体にわたって存在するものとして
図20に示されているが、本開示の方法および構造はこの例のみに限定されないことに留意されたい。例えば、
図1~
図6は、スリット/開口がICチップ15を通って形成されていることを示す。スリット/開口24は、エッチング・プロセスを用いて形成することができる。
【0068】
本開示の方法および構造は、スリット/開口24もアンダーフィル材料20によって充填されることを提供する。アンダーフィル材料20は、アンダーフィル材料を使用する従来のデバイスに対する、本明細書に開示された構造の1つの区別できるフィーチャであるスリット/開口24の全体を充填してよい。幾つかの実施形態において、アンダーフィル材料20によって完全に充填されることにより、最終的なデバイス構造において、スリット/開口24は、ボイドまたは空隙あるいはその両方を完全に含まない。
【0069】
図20に示されているアンダーフィル材料20の組成は、
図1~
図19を参照して上記で説明されている。したがって、
図1~
図19を参照して説明されたアンダーフィル材料20の説明は、
図20に示されかつ同じ参照番号、即ち「20」によって識別されたアンダーフィル材料のアンダーフィル組成に等しく適用可能である。
【0070】
アンダーフィル真空プロセスのための本開示の方法および構造が特にその好ましい実施形態に関して示されかつ説明されているが、本開示の思想および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における前記およびその他の変更がなされてもよいことが当業者によって理解されるであろう。したがって、本開示は、説明および例示された形態および詳細それ自体に限定されるのではなく、添付の請求項の範囲に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】