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特表2024-541581掌紋サンプルの生成方法、掌紋サンプルの生成装置、コンピュータ機器、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】掌紋サンプルの生成方法、掌紋サンプルの生成装置、コンピュータ機器、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/12 20220101AFI20241031BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241031BHJP
【FI】
G06V40/12
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531723
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2022133470
(87)【国際公開番号】W WO2023160048
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210189742.8
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517392436
【氏名又は名称】▲騰▼▲訊▼科技(深▲セン▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TENCENT TECHNOLOGY (SHENZHEN) COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】35/F,Tencent Building,Kejizhongyi Road,Midwest District of Hi-tech Park,Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518057,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】張映藝
(72)【発明者】
【氏名】趙凱
(72)【発明者】
【氏名】沈雷
(72)【発明者】
【氏名】張睿欣
(72)【発明者】
【氏名】周楚涵
(72)【発明者】
【氏名】汪韜
(72)【発明者】
【氏名】丁守鴻
【テーマコード(参考)】
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
5B043BA03
5B043FA07
5L096AA02
5L096AA06
5L096DA01
5L096FA05
5L096FA09
5L096FA60
5L096FA62
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA19
5L096GA51
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
本願は、掌紋サンプルの生成方法、装置、機器、媒体、およびプログラム製品を開示し、機械学習分野に関する。当該方法は、掌紋主線の分布法則に応じて、位置決め点データを生成すること(ステップ210)と、掌紋主線の弧度法則に応じて、調整点データを生成すること(ステップ220)と、第1のデータと、第2のデータと、調整点データとに基づき、掌紋主線を生成すること(ステップ230)と、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成すること(ステップ240)と、を含む。本願はクラウド技術、人工知能、スマート交通等の各種状況に適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ機器により実行される掌紋サンプルの生成方法であって、
掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成することと、
掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成することであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられることと、
前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成することと、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられることと、を含む
ことを特徴とする掌紋サンプルの生成方法。
【請求項2】
前記掌紋主線の分布法則に応じて位置決め点データを生成することは、
前記掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定することと、
前記第1のエリア内で前記第1の主線の位置決め点に対応する前記第1のデータを決定することと、
前記第2のエリア内で前記第2の主線の位置決め点に対応する前記第2のデータを決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項3】
前記掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定することは、
前記掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線の分布範囲を確定する掌紋生成エリアを決定することと、
前記掌紋生成エリア内で対角関係を呈する第1の頂点と第2の頂点とを決定することと、
前記第1の頂点を中心とし、第1の所定長さを半径として、前記掌紋生成エリア内で前記第1のエリアを決定することと、
前記第2の頂点を中心とし、第2の所定長さを半径として、前記掌紋生成エリア内で前記第2のエリアを決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項4】
前記第1のエリア内で前記第1の主線の位置決め点に対応する前記第1のデータを決定し、前記第2のエリア内で前記第2の主線の位置決め点に対応する前記第2のデータを決定することは、
前記第1のエリア内で、前記第1の主線の位置決め点に対応する前記第1のデータをランダム選出の方式で決定することと、
前記第2のエリア内で、前記第2の主線の位置決め点に対応する前記第2のデータをランダム選出の方式で決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項5】
前記掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成することは、
前記掌紋主線の弧度法則に応じて、前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、第3のエリアを決定することと、
前記第3のエリア内で前記調整点データを生成することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項6】
前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、第3のエリアを決定することは、
前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とを繋いで、目標線分を取得することと、
前記目標線分の線分中間点を中心として、所定の辺長の矩形エリアを前記第3のエリアとすることと、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項7】
前記掌紋サンプルにはさらに掌紋細線が含まれ、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することは、
少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を決定することと、
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記掌紋細線を生成することと、
所定の掌紋の数量範囲内で、前記掌紋主線と前記掌紋細線とを含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することであって、前記掌紋の数量範囲は掌紋主線の数量範囲および掌紋細線の数量範囲の少なくとも一方を含むことと、を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記掌紋細線を生成することは、
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を繋いで、掌紋細線を取得することを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記掌紋細線を生成することは、
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点間の弧度を制御するための掌紋細線の調整点を決定し、所定の前記掌紋細線の数量範囲内で、前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点と、前記掌紋細線の調整点とに基づき、掌紋細線を決定することを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項10】
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成した後、さらに、
少なくとも1つのサンプル画像が記憶されているサンプル画像セットを取得することと、
前記サンプル画像を背景として、前記掌紋サンプルを前記サンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得することと、
前記ターゲット画像で前記掌紋認証モデルをトレーニングすることと、を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項11】
前記サンプル画像を背景として、前記掌紋サンプルを前記サンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得することは、
目標摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動し、ターゲットサンプルを取得することと、
前記サンプル画像を背景として、前記ターゲットサンプルを前記サンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項12】
前記目標摂動区間は、掌紋主線摂動区間と掌紋細線摂動区間とを含み、
目標摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動し、ターゲットサンプルを取得することは、
前記掌紋主線摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線を摂動し、摂動主線を取得することと、
前記掌紋細線摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線を摂動し、摂動細線を取得することと、
前記摂動主線と前記摂動細線とに基づき、前記ターゲットサンプルを取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動することは、
前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線にノイズを追加することを含む
ことを特徴とする請求項11に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動することは、
前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線にノイズを追加することを含む
ことを特徴とする請求項11に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項15】
前記ターゲット画像で前記掌紋認証モデルをトレーニングすることは、
前記ターゲット画像で前記掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを取得することと、
データラベルが対応してマークされている少なくとも1つの掌紋データが記憶されている掌紋データセットを取得することと、
前記掌紋データおよび前記掌紋データに対応するデータラベルで、前記候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、掌紋認証モデルに対してトレーニングを行って得られるモデルであるターゲット掌紋認証モデルを取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項16】
前記掌紋データおよび前記掌紋データに対応するデータラベルで、前記候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、ターゲット掌紋認証モデルを取得することは、
前記掌紋データを前記候補掌紋認証モデルに入力し、前記候補掌紋認証モデルの出力データと、前記掌紋データに対応するデータラベルとに基づき、前記掌紋データに対応するロス値を決定することと、
前記ロス値で前記候補掌紋認証モデルをトレーニングすることと、
前記候補掌紋認証モデルに対するトレーニングがトレーニング目標に達したことに応じて、前記ターゲット掌紋認証モデルを取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項15に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項17】
掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成する位置決め点生成モジュールと、
掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成する調整点生成モジュールであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられる調整点生成モジュールと、
前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成する主線生成モジュールと、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するサンプル生成モジュールであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるサンプル生成モジュールと、を含む
ことを特徴とする掌紋サンプルの生成装置。
【請求項18】
プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記コマンドセットは前記プロセッサによりロードされて実行され、請求項1~16のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法を実現することを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項19】
少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記コマンドセットはプロセッサによりロードされて実行され、請求項1~16のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法を実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
コンピュータプログラムまたはコマンドを含み、前記コンピュータプログラムまたはコマンドがプロセッサにより実行されると、請求項1~16のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法を実現することを特徴とするコンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年2月28日に中国特許庁に提出された、出願番号が202210189742.8、発明の名称が「掌紋サンプルの生成方法、装置、機器、媒体、およびプログラム製品」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願の実施例は機械学習分野に関し、特に掌紋サンプルの生成方法、装置、機器、媒体、およびプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
情報技術の飛躍的な発展に伴い、掌紋認証技術は信頼性および利便性により、各種の本人認証状況において、ますます広範に用いられている。掌紋認証は、手の平における主線、紋理、皺等の特徴に基づいて身分識別を行うものであり、顔認証に比べ、非侵襲的な認証方法に属し、よりユーザに受け入れられやすい。
【0004】
関連技術において、掌紋を認証する際、通常はディープラーニングに基づく技術案が用いられる。記憶された掌紋画像における掌紋情報の固有の法則を学習し、モデルに差別化を有する潜在的特徴を学ばせ、トレーニングにより得られたモデルを用いて掌紋を分析することで、身分情報の認証プロセスを行う。
【0005】
しかしながら、上記のディープラーニングにより身分情報の認証を行う場合、ディープウェブのモデルは通常、大量の掌紋画像セット、および正確なラベル情報に依存するが、掌紋情報は高いプライバシー性およびセキュリティ性を有するため、掌紋認証分野においてモデルに学習させるための大量の公共データセットが不足しており、モデルの身分情報に対する認証効果が低くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例は、掌紋サンプルの生成方法、装置、機器、媒体、およびプログラム製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、コンピュータ機器により実行される掌紋サンプルの生成方法であって、掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成することと、掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成することであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられることと、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成することと、前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられることと、を含む掌紋サンプルの生成方法を提供する。
【0008】
別の一態様において、掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成する位置決め点生成モジュールと、掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成する調整点生成モジュールであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられる調整点生成モジュールと、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成する主線生成モジュールと、前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するサンプル生成モジュールであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるサンプル生成モジュールと、を含む掌紋サンプルの生成装置を提供する。
【0009】
別の一態様において、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたはコマンドセットは前記プロセッサによりロードされて実行され、上記の本願の実施例のいずれかに記載の掌紋サンプルの生成方法を実現するコンピュータ機器を提供する。
【0010】
別の一態様において、少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたはコマンドセットはプロセッサによりロードされて実行され、上記の本願の実施例のいずれかに記載の掌紋サンプルの生成方法を実現するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0011】
別の一態様において、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピュータコマンドを含むコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムを提供する。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から当該コンピュータコマンドを読み取り、プロセッサは当該コンピュータコマンドを実行することで、当該コンピュータ機器に上記の実施例のいずれかに記載の掌紋サンプルの生成方法を実行させる。
【0012】
本願の1つまたは複数の実施例の詳細は、以下の図面および説明において示される。本願の他の特徴、目的および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明において使用される図面について簡単に紹介する。以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労力を用いない前提において、これらの図面に基づいて他の図面を取得できることは明らかである。
【0014】
図1図1は、本願の1つの例示的な実施例に係る実施環境の模式図である。
図2図2は、本願の1つの例示的な実施例に係る掌紋サンプルの生成方法のフローチャートである。
図3図3は、本願の1つの例示的な実施例に係る手掌紋の模式図である。
図4図4は、本願の1つの例示的な実施例に係る足底紋の模式図である。
図5図5は、本願の1つの例示的な実施例に係る手掌紋を区画する模式図である。
図6図6は、本願の1つの例示的な実施例に係るベジェ曲線の模式図である。
図7図7は、本願の別の例示的な実施例に係る掌紋サンプルの生成方法のフローチャートである。
図8図8は、本願の1つの例示的な実施例に係る関心エリアを決定する模式図である。
図9図9は、本願の1つの例示的な実施例に係る第1のエリアおよび第2のエリアの模式図である。
図10図10は、本願の1つの例示的な実施例に係る第3のエリアの模式図である。
図11図11は、本願の1つの例示的な実施例に係る第3のエリアを決定する模式図である。
図12図12は、本願の別の例示的な実施例に係る掌紋サンプルの生成方法のフローチャートである。
図13図13は、本願の1つの例示的な実施例に係る掌紋サンプルの模式図である。
図14図14は、本願の1つの例示的な実施例に係る目標画像の模式図である。
図15図15は、本願の1つの例示的な実施例に係る掌紋認証モデルトレーニングのフローチャートである。
図16図16は、本願の1つの例示的な実施例に係る掌紋認証プロセスのフローチャートである。
図17図17は、本願の1つの例示的な実施例に係る掌紋サンプルの生成装置の構造ブロック図である。
図18図18は、本願の別の例示的な実施例に係る掌紋サンプルの生成装置の構造ブロック図である。
図19図19は、本願の1つの例示的な実施例に係るサーバの構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下に図面を組み合わせて本願の実施の形態について、さらに詳細に説明する。
【0016】
関連技術において、掌紋を認証する際、通常はディープラーニングに基づく技術案が用いられる。記憶された掌紋画像における掌紋情報の固有の法則を学習し、モデルに差別化を有する潜在的特徴を学ばせ、トレーニングにより得られたモデルを用いて掌紋を分析することで、身分情報の認証プロセスを行う。しかしながら、上記のディープラーニングにより身分情報の認証を行う場合、ディープウェブのモデルは通常、大量の掌紋画像セット、および正確なラベル情報に依存するが、掌紋情報は高いプライバシー性およびセキュリティ性を有するため、掌紋認証分野においてモデルに学習させるための大量の公共データセットが不足しており、モデルの身分情報に対する認証効果が低くなっている。
【0017】
本願の実施例において、生成された掌紋サンプル間がより強い多様性を有することで、掌紋サンプルにトレーニングされた掌紋認証モデルのロバスト性を高める掌紋サンプルの生成方法を提供する。本願のトレーニングにより得られる掌紋サンプルの生成方法は、適用時に以下の状況の少なくとも1つを含む。
【0018】
一、掌紋認証モデルのトレーニング状況において
掌紋データのプライバシー性、および掌紋データの取得方法の複雑性のため、掌紋データベースに記憶された掌紋データが少なく、掌紋データベースにおける掌紋データに基づいて掌紋認証モデルをトレーニングする場合、より良いトレーニング効果を得難い。例示的に、上記の掌紋サンプルの生成方法を採用すると、掌紋主線の分布法則に基づいて位置決め点データを生成し、掌紋主線の弧度法則に基づいて調整点データを生成し、定点データと調整点データとで複数の掌紋主線を決定することで、掌紋主線を含む複数の掌紋サンプルを取得する。これにより、掌紋サンプルにより掌紋認証モデルをトレーニングする場合、掌紋認証モデルに多様な掌紋特徴を学習させることができ、掌紋認証プロセスにおける掌紋認証モデルの正確性を高めることができる。
【0019】
二、掌紋暗号化の状況において
例示的に、手の平の掌紋を例にすると、掌紋の紋理は手の平を広げた形状の差異、撮影時の光の変化、撮影機器によるノイズ等のパラメータによって、異なる掌紋の紋理画像が得られる。異なる時刻に、同じ手の平を掌紋暗号化の計器に置いた場合、判断を誤る状況が生じる可能性がある。例示的に、上記の掌紋サンプルの生成方法を採用すると、掌紋主線の分布法則に基づいて位置決め点データを生成し、掌紋主線の弧度法則に基づいて調整点データを生成し、定点データと調整点データとで複数の掌紋主線を決定することで、掌紋主線を含む複数の掌紋サンプルを取得する。多様性を有する複数の掌紋サンプルを認証基準とすることで、より多くの状況で掌紋サンプルの表示方式を取得できる。これにより、掌紋の数量が少ないことによる認証難易度が高くなる課題を大幅に克服し、掌紋をより細かく分析するプロセスを実現できる。
【0020】
注意点として、上記の適用状況は例示的な列挙であり、本実施例に係る掌紋サンプルの生成方法は他の状況にも適用できる。本願の実施例はこれについて限定しない。
【0021】
なお、本願に係る情報(ユーザ機器情報、ユーザ個人情報等を含むが、これらに限定されない)、データ(分析用のデータ、記憶用のデータ、表示用のデータ等を含むが、これらに限定されない)、および信号は、いずれもユーザの許諾または各方面の十分な許諾を得ており、関連データの収集、使用および処理は関連国家および地域の関連法および基準を遵守する必要がある。例えば、本願における掌紋データは十分な許諾を受けている状況で取得している。
【0022】
次に、本願の実施例に係る実施環境について説明する。例示的に、図1を参照すると、当該実施環境において端末110と、サーバ120とが関与し、端末110とサーバ120とは通信ネットワーク130を介して接続される。
【0023】
いくつかの実施例において、端末110には掌紋データ取得機能を有するアプリケーションプログラムがインストールされている。いくつかの実施例において、端末110はサーバ120に掌紋データを送信するために用いられる。ここで、掌紋データは掌紋に対応する画像データを含むだけでなく、掌紋に対応する紋理データ等も含む。サーバ120は掌紋データに基づき、掌紋主線の分布法則および掌紋主線の弧度法則等のデータ情報を決定し、掌紋主線の分布法則および掌紋主線の弧度法則に基づき、掌紋認証モデル121により掌紋を認証することができ、選択的に掌紋認証後の掌紋認証結果を端末110に表示する。
【0024】
ここで、掌紋認証モデル121は、掌紋主線の分布法則に基づき、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータ、および第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータを生成し、掌紋主線の弧度法則に基づき、主線の弧度を制御する調整点データを生成し、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とし、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成し、掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングすることで得られる。上記のプロセスは、掌紋認証モデル121のトレーニングプロセスの唯一の状況の例ではない。
【0025】
なお、上記の端末は携帯電話、タブレットPC、携帯型ラップトップパソコン、インテリジェント音声インタラクション機器、インテリジェント家電、車載端末等のモバイル端末を含むが、これらに限定されず、デスクトップパソコン等として実現されてもよい。上記のサーバは独立した物理的なサーバであってよく、複数の物理的なサーバにより構成されるサーバクラスタ、または分散システムであってもよく、クラウドサービス、クラウドデータベース、クラウドコンピューティング、クラウドファンクション、クラウドストレージ、ネットワークサービス、クラウド通信、ミドルウェアサービス、ドメイン名サービス、セキュリティサービス、コンテンツ配信ネットワーク(Content Delivery Network,CDN)、およびビッグデータ、人工知能プラットフォーム等の基本的なクラウドコンピューティングサービスを提供するクラウドサーバであってもよい。
【0026】
ここで、クラウド技術(Cloud technology)とは、広域ネットワークまたはローカルエリアネットワークにおいて、ハードウェア、アプリケーションプログラム、ネットワーク等の一連のリソースを統一し、データの計算、記憶、処理および共有を実現するホスティング技術を指す。クラウド技術は、クラウドコンピューティングのビジネスモデルに基づいて適用されるネットワーク技術、情報技術、インテグレーション技術、管理プラットフォーム技術、アプリケーション技術等の総称であり、リソースプールを構成し、必要に応じて使用でき、柔軟性があり便利である。クラウドコンピューティング技術は、重要な支えとなる。例えば、動画ウェブサイト、画像系ウェブサイト、および多くのポータルサイトにおいて、テクノロジーネットワークシステムのバックグラウンドサービスは、大量の演算およびリソースの記憶が必要である。インターネット業界の高度な発展および応用に伴い、将来的に各物品に個別の識別マークが存在する可能性があり、バックグラウンドシステムに伝送されて論理処理が行われる。異なるレベルのデータは分けて処理され、各種業界データはいずれも強力なシステムの後ろ盾が必要であり、クラウドコンピューティングによってのみ実現できる。
【0027】
いくつかの実施例において、上記のサーバはブロックチェーンシステムにおける節点として実現されてもよい。
【0028】
なお、上記の実施環境は模式的な例にすぎない。本願に係る掌紋サンプルの生成方法は、具体的にコンピュータ機器に適用され、当該コンピュータ機器は端末またはサーバであってよく、当該方法は端末またはサーバ自身により単独で実行されてもよく、端末とサーバとのインタラクションにより実現されてもよい。
【0029】
本願に係る掌紋サンプルの生成方法において、掌紋主線の分布法則に基づき、第1の主線の位置決め点、および第2の主線の位置決め点を生成し、掌紋主線の弧度法則に基づき、主線の弧度を制御する調整点データを生成し、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とし、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成し、掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングする。上記の方法により、掌紋における主線の分布状況で、複数の掌紋サンプルをシミュレーションして取得する。掌紋サンプルは、データ(第1の主線の位置決め点、第2の主線の位置決め点、および調整点データ)を生成することにより決定されるため、生成された掌紋サンプルは大量であり、その数量に上限が設けられないことで、生成された掌紋サンプルがより強い多様性を有することができる。生成された掌紋サンプルに基づいて掌紋認証モデルをトレーニングする場合、掌紋認証モデルに、より多くの掌紋データセットに存在しない紋理固有の法則と情報とを掘り出させ、掌紋データセットの局限性を突破し、掌紋認証モデルのロバスト性を高めることができる。
【0030】
上記の用語の紹介および適用状況を組み合わせて、本願に係る掌紋サンプルの生成方法を説明する。当該方法をサーバに適用することを例として、図2に示すように、当該方法は以下のステップ210からステップ240を含む。
【0031】
ステップ210において、掌紋主線の分布法則に応じて、位置決め点データを生成する。
【0032】
ここで、位置決め点データには、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる。
【0033】
掌紋主線の分布法則は、掌紋における主線の分布状況を示すために用いられる。選択的に、生物自身が有する多くの手の平の掌紋を分析することにより、手の平の掌紋は主に掌紋主線と掌紋細線とを含むことがわかる。ここで、手の平の掌紋の普遍的特徴は、(1)掌紋主線の分布状況は比較的決まっており、掌紋細線の分布状況は比較的ランダムであること、および(2)掌紋主線は掌紋において通常、より長く、より太く、より深い紋理特徴を有し、掌紋細線は掌紋主線と比べ、より細く、より短く、より浅い紋理特徴を有すること、の少なくとも一方を含む。
【0034】
選択的に、掌紋が手の平の掌紋の場合、掌紋主線の分布状況は通常、対角関係を示し、すなわち手の平の掌紋主線の分布法則は対角線法則である。模式的に、左手の手の平を例にすると、掌紋主線は一般的に左上から始まり、右下で終わり、右手の手の平を例にすると、掌紋主線は一般的に右上から始まり、左下で終わる。図3に示すのは、左手の手の平の掌紋の模式図であり、手の平の中心エリア310には、主線320と細線330とが含まれ、太い線が主線320を示し、細い線が細線330を示す。すなわち、手の平の中心エリア310には3本の主線320と、13本の細線330とが含まれる。
【0035】
選択的に、掌紋が足底紋である場合、掌紋主線の分布状況は通常、多種類の「人」字型線、亀甲型線、縦線等の多種類の掌紋の形式として現れる。すなわち、足底の掌紋主線の分布法則は、数種類のよく見られる形式と照らし合わせて決定することができる。
【0036】
模式的に、足底における「人」字型線を例にすると、「人」字型線の主線が2本の場合、2本の主線は一般的に上方から始まり、交差または繋がる形式を示す。図4に示すのは、足底の模式図であり、当該足底には「人」字型線が含まれ、当該「人」字型線は2本の主線を含み、2本の主線は上方で交差し、且つ1本目の主線410は左下で終わり、2本目の主線420は右下で終わる。選択的に、「人」字型線の主線が1本である場合、当該主線は左下から始まり、右下で終わる。ここで、主線の湾曲程度は大きく、且つ主線の開始点と終了点とで、「人」字型または逆さまの「人」字型が示される。または、当該主線は上方から始まり、下方で終わる。ここで、主線の湾曲程度は大きく、且つ主線の開始点と終了点とで横向きに置かれた「人」字型等が示される。
【0037】
模式的に、足底における縦線を例にすると、縦線の主線は一般的に少なくとも1本を含み、主線は一般的に上方から始まり、下方等で終わる。なお、以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0038】
選択的に、位置決め点データは、主線の固定状況を示すために用いられ、第1のデータと、第2のデータとを含む。第1のデータと、第2のデータとに基づき、主線の開始状況と、終了状況とを決定し、主線の分布状況をほぼ決定する。模式的に、第1のデータは第1の主線の位置決め点に対応し、第2のデータは第2の主線の位置決め点に対応する。
【0039】
選択的な実施例において、掌紋主線の開始点を第1の主線の位置決め点とし、掌紋主線の終了点を第2の主線の位置決め点とする。模式的に、位置決め点データの生成は、以下の少なくとも1つの方式を含む。
【0040】
(1)ランダム生成方式
模式的に、いずれか1つの座標エリアにおいて、ランダム生成の方式で第1のデータおよび第2のデータを生成する。掌紋主線の長さ制限に基づき、当該第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを繋ぐ線分を、当該座標エリアと等比率でスケーリングすることで、第1のデータに対応する第1の主線の位置決め点、および第2のデータに対応する第2の主線の位置決め点を決定する。
【0041】
または、掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線の分布範囲を決定する。例えば、成人の手の平はほぼ16~22センチメートルであり、掌紋主線は手の平の中心エリアにほぼ分布している。成人の手の平の中心エリアはほぼ8~12センチメートルである。成人の手の平の中心エリアの大きさを例に分析する。掌紋主線の分布エリアを予め設定し、当該分布エリアの大きさは辺長が8センチメートルの正方形エリアであっても、辺長が6センチメートルの矩形エリアであっても、対角線が10センチメートルのひし形エリア等であってもよい。選択的に、予め設定された当該掌紋主線の分布エリア内に、ランダム生成の方式で第1のデータに対応する第1の主線の位置決め点、および第2のデータに対応する第2の主線の位置決め点を生成する。
【0042】
(2)分割エリア内での生成方式
選択的に、予め設定された掌紋主線の分布エリアを例に説明する。当該掌紋主線の分布エリア内において、当該分布エリアを区画し、分割エリアを取得し、分割エリアにおいて、ランダム生成方式で第1のデータ、および第2のデータを生成する。模式的に、当該分布エリアを区画した後、2つの分割エリアが得られ、1つ目の分割エリア内に第1のデータに対応する第1の主線の位置決め点を生成し、2つ目の分割エリア内に第2のデータに対応する第2の主線の位置決め点を生成する。
【0043】
選択的に、分布エリアを区画すると複数の分割エリアが得られ、複数の分割エリアのエリアの合計は、全ての分布エリアとして実現されてもよく、一部の分布エリアとして実現されてもよい。すなわち、位置決め点データを生成する分割エリアは、全ての分布エリアを含んでもよいし、一部の分布エリア等のみ含んでもよい。
【0044】
模式的に、図5に示すように、左手の手の平を例に説明する。左手の手の平510を掌紋主線の分布エリアとし、当該分布エリアを区画して、左上エリア520、左下エリア530、右上エリア540、および右下エリア550の4つの分割エリアが得られる。通常、左手の手の平において、掌紋主線の開始点(第1の主線の位置決め点)は左上エリア520に位置し、掌紋主線の終了点(第2の主線の位置決め点)は右下エリア550に位置するため、左上エリア520を第1のデータを生成する分割エリアとし、右下エリア550を第2のデータを生成する分割エリアとする。
【0045】
以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0046】
ステップ220において、掌紋主線の弧度法則に応じて、調整点データを生成する。
【0047】
ここで、調整点データに対応する主線の調整点は、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられる。
【0048】
掌紋主線の弧度法則は、掌紋における主線の弧度状況を示すために用いられる。模式的に、掌紋主線は通常、直線の線分ではなく、一定の弧度を有する曲線である。第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを決定した後、生成された主線の調整点により、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を調整する。
【0049】
選択的な実施例において、掌紋主線の弧度法則に応じて、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との間のエリアにおいて、調整点データを決定する。
【0050】
模式的に、ベジェ曲線を用いて掌紋の幾何学的な外観をパラメータ化して説明する。選択的に、少なくとも1本のベジェ曲線を用いて手の平の掌紋主線を説明する。
【0051】
ここで、ベジェ曲線(Bezier curve)は、2次元図形アプリケーションプログラムに適用される数学的曲線である。ベジェ曲線は線分と節点とにより構成され、節点はドラッグ可能な支点であり、線分は伸縮可能な輪ゴムのようなものであり、線分の形状を制御する場合、節点により線分の弧度を制御し、対応する曲線を取得する。
【0052】
選択的に、任意の1本の掌紋主線を例に説明する。2次ベジェ曲線を用いて掌紋主線を構成する。すなわち、2次元(2D,2-Dimensional)平面において3つのデータ(パラメータポイント)を用いて1本の掌紋主線(ベジェ曲線)の決定を行う。ここで、3つのデータはそれぞれ、第1の主線の位置決め点を表す第1のデータ、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を表す第2のデータである。
【0053】
選択的に、図6は、ベジェ曲線の方法を用いて掌紋主線を決定する模式図である。横軸と縦軸とで囲まれたエリアは掌紋主線の生成エリアであり、横軸と縦軸とに表記された数字は、3つのデータの座標位置の決定を補助するために用いられる。ここで、当該模式図において3本の掌紋主線が含まれ、各掌紋主線は第1のデータ、主線の調整点、および第2のデータにより決定され、「逆三角形符号」は第1のデータに対応する第1の主線の位置決め点を示し、「星形符号」は主線の調整点を示し、「円形符号」は第2のデータに対応する第2の主線の位置決め点を示す。
【0054】
模式的に、まず第1のデータに対応する第1の主線の位置決め点、および第2のデータに対応する第2の主線の位置決め点を生成し、その後、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との間に、主線の調整点を生成する。選択的に、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との間の座標エリアの制限関係に基づき、主線の調整点を生成する。
【0055】
例えば、掌紋主線610の第1の主線の位置決め点の座標は(0.0,0.4)であり、主線の調整点の座標は(0.5,0.6)であり、第2の主線の位置決め点の座標は(0.6,1.0)である。掌紋主線620の第1の主線の位置決め点の座標は(0.0,0.0)であり、主線の調整点の座標は(0.7,0.3)であり、第2の主線の位置決め点の座標は(1.0,1.0)である。掌紋主線630の第1の主線の位置決め点の座標は(0.4,0.0)であり、主線の調整点の座標は(0.6,0.2)であり、第2の主線の位置決め点の座標は(1.0,0.3)である。
【0056】
以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0057】
ステップ230において、第1のデータと、第2のデータと、調整点データとに基づき、掌紋主線を生成する。
【0058】
ここで、掌紋主線は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、第2の主線の位置決め点を順に繋ぐ曲線である。
【0059】
模式的に、図6に示すように、掌紋主線610は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られることで、掌紋主線610が上に向かってやや大きく突出した円弧状の曲線として示される。掌紋主線620は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られることで、掌紋主線620が上に向かってやや小さく突出した円弧状の曲線として示される。掌紋主線630は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られることで、掌紋主線630が下に向かって窪んだ円弧状の曲線として示される。
【0060】
ステップ240において、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成する。
【0061】
ここで、掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、掌紋認証モデルは掌紋認証に用いられる。
【0062】
模式的に、1つの掌紋サンプルには、少なくとも1本の掌紋主線が含まれ、例えば、生物自身が有する掌紋データに基づいて観測を行うと、掌紋主線の数は一般的に2~5本である。すなわち、生物自身が有する掌紋の状況を生成基準とする場合、通常、1つの掌紋サンプルには2本の掌紋主線が含まれるか、または1つの掌紋サンプルには3本の掌紋主線が含まれるか、または1つの掌紋サンプルには4本の掌紋主線が含まれるか、または1つの掌紋サンプルには5本の掌紋主線が含まれる。
【0063】
1つの選択的な実施例において、位置決め点データおよび主線の調整点により掌紋主線を生成する上記方法に基づき、少なくとも1本の掌紋主線を取得した後、同一の掌紋主線の生成方法を用いて、複数の掌紋主線を生成する。
【0064】
選択的に、複数の掌紋主線に対応する位置決め点データは、同一であっても異なってもよい。例えば、掌紋主線1および掌紋主線2に対応する第1の主線の位置決め点はいずれも点Aであるが、掌紋主線1の第2の主線の位置決め点は点Bであり、掌紋主線2の第2の主線の位置決め点は点Cである。または、掌紋主線1および掌紋主線2に対応する第2の主線の位置決め点は点Cであるが、掌紋主線1の第1の主線の位置決め点は点Aであり、掌紋主線2の第1の主線の位置決め点は点Bである。または、掌紋主線1および掌紋主線2に対応する第1の主線の位置決め点はいずれも点Aであり、且つ第2の主線の位置決め点はいずれも点Bであるが、掌紋主線1の主線の調整点は点Cであり、掌紋主線2の主線の調整点は点D等である。模式的に、生成された複数の掌紋主線から、2~5本の掌紋主線をランダムに選出し、掌紋サンプルを取得する。
【0065】
1つの選択的な実施例において、1つの掌紋サンプルに3本の掌紋主線が含まれることを例に説明する。当該掌紋サンプルにおいて、3本の掌紋主線を含むだけでなく、掌紋細線をさらに含み、掌紋細線は掌紋主線に比べ、より短く、より浅い紋理特徴を有する。模式的に、掌紋細線の生成プロセスを説明する。
【0066】
選択的に、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を決定し、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、掌紋細線を生成する。
【0067】
ここで、掌紋細線の位置決め点は、細線の生成範囲を決定するために用いられ、模式的に、掌紋細線の分布法則に応じて、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を生成する。
【0068】
選択的に、掌紋細線の分布法則には、掌紋細線の長さ法則、太さ法則、密度法則等の多種類の分布法則が含まれる。
【0069】
模式的に、掌紋細線の長さ法則は、例えば、掌紋細線の長さが複数の掌紋主線において最短の掌紋主線より短い、または掌紋細線の長さが所定の長さ閾値(例えば、3センチメートル)より短い等、掌紋細線の長さ制限を示すために用いられる。
【0070】
模式的に、掌紋細線の太さ法則は、例えば、掌紋細線の太さが複数の掌紋主線において最も細い掌紋主線より細い、または掌紋細線の太さが所定の太さ閾値(例えば、1ミリメートル)より細い等、掌紋細線の太さ制限を示すために用いられる。
【0071】
模式的に、掌紋細線の密度法則は、例えば、掌紋生成エリア内の予め決定されたXエリア(所定エリア)内において、少なくとも3本の掌紋細線を生成することを規定する、または掌紋生成エリアを単位長さ(1センチメートル)の若干のサブエリアに区画し、各サブエリアにおいていずれも少なくも2本の掌紋細線を有するよう規定する等、少なくとも2本の掌紋細線の、掌紋生成エリア内における相互分布状況を示すために用いられる。
【0072】
なお、以上の多種類の分布法則は、例えば、長さ法則のみ用いて掌紋細線を決定する、または長さ法則、粗さ法則、および密度法則を総合的に考慮して掌紋細線を決定する等、単独で適用しても、組み合わせて適用してもよい。以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0073】
選択的に、掌紋の分布において、掌紋細線の分布は比較的分散且つランダムであり、掌紋細線の分布法則および掌紋データベースに記憶された掌紋データの掌紋の分布状況に基づき、以下の少なくとも1つの方法を用いて、掌紋生成エリアにおいて少なくとも1つの掌紋細線を生成する。
【0074】
(1)少なくとも1つの掌紋細線の位置決め点を決定した後、掌紋細線の分布法則に基づき、余りの少なくとも1つの掌紋細線の位置決め点を決定する。
【0075】
模式的に、掌紋細線の所定の長さ閾値を3センチメートルに予め決定し、掌紋細線の所定の太さ閾値を1ミリメートルに予め決定する。掌紋生成エリアにおいて、1つの掌紋細線の位置決め点をランダムに生成し、掌紋細線の所定の長さ閾値および所定の太さ閾値内で、少なくとも1つの他の掌紋細線の位置決め点を決定し、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を取得する。選択的に、少なくとも1つの他の掌紋細線の位置決め点を基準に、掌紋細線の所定の長さ閾値および所定の太さ閾値内で、その他の掌紋細線の位置決め点等をさらに決定する。
【0076】
(2)掌紋細線の分布法則に基づき、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点をランダムに決定する。
【0077】
模式的に、掌紋生成エリア内において、掌紋細線の分布法則に基づき、少なくとも2つの点を少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点としてランダムに生成し、または、掌紋生成エリアを区画した後、少なくとも2つのサブエリアを取得し、サブエリア内において掌紋細線を生成するための掌紋細線の位置決め点を決定する。
【0078】
選択的に、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を取得した後、掌紋細線を取得する方式は、以下の少なくとも1つを含む。
【0079】
1、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を繋ぎ、掌紋細線を取得する。
【0080】
模式的に、生成された少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を取得した後、任意の2つの掌紋細線の位置決め点を繋ぎ、線分形式の掌紋細線を取得する、または、任意の複数の掌紋細線の位置決め点を繋いだ後、不規則な線分形状の掌紋細線を取得する、または、細線の長さが短い条件を考慮して、任意の複数の(2つまたは複数の)掌紋細線の位置決め点を1組の細線の位置決め点セットとし、一定の長さ範囲において、掌紋細線を取得する。
【0081】
2、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点により生成された掌紋細線の調整点に応じて、少なくとも1つの掌紋サンプルを決定する。
【0082】
1つの選択的な実施例において、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、掌紋細線の調整点を決定する。
【0083】
ここで、掌紋細線の調整点は、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点間の弧度を制御するために用いられる。模式的に、掌紋細線を生成する場合、ベジェ曲線の方法を用いて掌紋細線を決定する。すなわち、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を生成した後、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点間の線分の弧度を調整する掌紋細線の調整点を決定し、掌紋細線の調整点の位置を移動させるプロセスにより、掌紋細線の調整点が異なる位置にある場合に対応する異なる掌紋細線を取得する。例えば、弧度が大きい弧線形式として表される、または湾曲幅が小さい不規則な曲線形式等として表される細線が取得される。
【0084】
1つの選択的な実施例において、予め設定された掌紋細線の数量範囲において、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点と掌紋細線の調整点とに基づき、掌紋細線を決定する。
【0085】
選択的に、生成された掌紋サンプルにおける掌紋の状況と、生物が有する掌紋の状況とを相似させるために、掌紋主線および掌紋細線の数量を予め設定する。模式的に、一定の手の平の中心エリア内の観測結果を例に説明する。生物が有する掌紋の状況において、手の平の中心エリアにおいて、掌紋主線の数は2~5本であり、掌紋細線の数は5~15本である。例えば、掌紋主線の数量範囲を2~5本に予め設定し、掌紋細線の数量範囲を5~15本に予め設定し、掌紋主線を決定する場合、掌紋主線の数を2~5本の数量範囲内に制御し、多くとも4種類の状況の掌紋主線を取得し、掌紋細線を決定する場合、掌紋細線の数を5~15本の数量範囲内に制御し、多くとも11種類の状況の掌紋細線を取得する。
【0086】
1つの選択的な実施例において、予め設定された掌紋の数量範囲内において、掌紋主線と掌紋細線とを含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成する。
【0087】
ここで、掌紋の数量範囲は、掌紋主線の数量範囲と掌紋細線の数量範囲との少なくとも一方を含む。選択的に、掌紋サンプルには一定数量の掌紋主線と掌紋細線とが含まれ、生物が有する掌紋の状況に基づいて掌紋サンプルを取得する場合、掌紋サンプルにおける掌紋主線および掌紋細線の数量と、生物が有する掌紋主線および掌紋細線の数量とは相似する。
【0088】
模式的に、一定の手の平の中心エリアにおいて、掌紋主線の数を2~5本に制御し、掌紋細線の数を5~15本に制御し、複数の掌紋サンプルを取得する。例えば、1つ目の掌紋サンプルにおける掌紋主線の数が3本、掌紋細線の数が12本であり、2つ目の掌紋サンプルにおける掌紋主線の数が5本、掌紋細線の数が10本であり、3つ目の掌紋サンプルにおける掌紋主線の数が4本、掌紋細線の数が5本等である。
【0089】
1つの選択的な実施例において、生成された掌紋サンプルには掌紋主線のみが含まれ、異なる掌紋主線が伸びる方向、および複数の掌紋主線間の分布関係により、異なる掌紋サンプルを決定する。ここで、掌紋主線が伸びる方向は、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点間の関係を示し、掌紋主線間の分布関係は、1つの掌紋サンプルに属する複数の掌紋主線間の関係(例えば、交差関係、平行関係、距離関係等)を示す。
【0090】
選択的に、掌紋の分布状況において、手の平の姿勢、撮影角度等の要素を考慮して、最終的にイメージングされた同一の手の平の異なる写真上における掌紋に、軽微な差異を生じさせる。模式的に、生成された掌紋サンプルに軽微な摂動を加え、軽微な摂動が加えられた後の掌紋サンプルを同一の身分証明に対応する掌紋データと見なす。すなわち、目標摂動区間内において掌紋サンプルに摂動を与えて得られた複数の目標サンプルを、同一の身分証明(ID,Identity Document)に対応する掌紋データと見なす。
【0091】
選択的に、軽微な摂動の摂動区間を予め決定し、摂動区間において掌紋サンプルに対して行われた摂動動作を軽微な摂動とする。ここで、掌紋サンプル摂動することは、以下の少なくとも1種類の実現方式を含む。
【0092】
(1)掌紋サンプルにおける掌紋主線を摂動する。
ここで、掌紋サンプルにおける掌紋主線は、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで形成された1本の滑らかな曲線であり、掌紋サンプルにおける掌紋主線を摂動する場合、摂動区間内において、掌紋主線における第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点のいずれか1点を摂動することを含むほか、摂動区間内において、掌紋主線における第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点のいずれか2点を摂動することを含み、摂動区間内において、掌紋主線における第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を同時に摂動すること等をさらに含む。
【0093】
選択的に、予め設定された摂動区間は、第1の主線の位置決め点の摂動区間X、主線の調整点の摂動区間Y、および第2の主線の位置決め点の摂動区間Zを含み、摂動区間X、摂動区間Y、および摂動区間Zの所定の摂動範囲は同一であっても、異なっていてもよい。
【0094】
(2)掌紋サンプルにおける掌紋細線を摂動する。
ここで、掌紋細線は、2つの掌紋細線の位置決め点により構成された直線を含むほか、掌紋細線の位置決め点と掌紋細線の調整点とで構成された曲線も含む。掌紋細線が2つの掌紋細線の位置決め点により構成された直線である場合、掌紋サンプルにおける掌紋細線を摂動するプロセスは、摂動区間内において、掌紋細線における掌紋細線の位置決め点のいずれか1点を摂動する、または掌紋細線における掌紋細線の位置決め点を同時に摂動することによって実現される。掌紋細線が掌紋細線の位置決め点と細線の調整点とにより構成された曲線である場合、掌紋サンプルにおける掌紋細線を摂動するプロセスは、摂動区間内において、掌紋サンプルにおける掌紋細線の位置決め点のいずれか1点を摂動する、または、摂動区間内において、掌紋細線における細線の調整点を摂動する、または、摂動区間内において、掌紋細線における掌紋細線の位置決め点、および掌紋の調整点を同時に摂動すること等によって実現される。
【0095】
(3)掌紋サンプルにおける掌紋主線および細線を摂動する。
ここで、掌紋サンプルにおける掌紋主線は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで形成された1本の滑らかな曲線であり、掌紋細線は2つの掌紋細線の位置決め点により構成された直線を含むほか、掌紋細線の位置決め点と掌紋の調整点とにより構成された曲線も含む。
【0096】
掌紋のサンプルにおける掌紋主線と掌紋細線とを摂動する場合、摂動区間内において、掌紋主線における第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点のいずれか1点または複数点を摂動するとともに、掌紋細線における掌紋細線の位置決め点、および細線の調整点のいずれか1点または複数点を摂動することが実現される。
【0097】
選択的に、摂動区間範囲における、掌紋主線および掌紋細線に対する上記の摂動プロセスに基づき、複数の掌紋サンプルに対応する摂動後の掌紋サンプルを取得し、複数の摂動後の掌紋サンプルと、摂動されていない掌紋サンプルとを、同一のIDに対応する掌紋データと見なす。
【0098】
例えば、摂動区間範囲において、掌紋サンプルAに対して上記の摂動方法を用いて軽微な摂動を行い、掌紋サンプルAにおける掌紋主線を摂動した後の掌紋サンプルB、掌紋サンプルC、および掌紋サンプルAにおける掌紋主線と掌紋細線とを摂動した後の掌紋サンプルDを取得し、掌紋サンプルA、掌紋サンプルB、掌紋サンプルC、および掌紋サンプルDを同一のIDに対応する掌紋データとする。
【0099】
なお、以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0100】
上述の通り、掌紋主線の分布法則に基づき、第1の主線の位置決め点、および第2の主線の位置決め点を生成し、掌紋主線の弧度法則に基づき、主線の弧度を制御する調整点データを生成し、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とし、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成し、掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングする。上記の方法により、掌紋における主線の分布状況で、複数の掌紋サンプルをシミュレーションして取得する。掌紋サンプルは、データ(第1の主線の位置決め点、第2の主線の位置決め点、および調整点データ)を生成することにより決定されるため、生成された掌紋サンプルは大量であり、その数量に上限が設けられないことで、生成された掌紋サンプルがより強い多様性を有することができる。生成された掌紋サンプルに基づいて掌紋認証モデルをトレーニングする場合、掌紋認証モデルに、より多くの掌紋データセットに存在しない紋理固有の法則と情報とを掘り出させ、掌紋データセットの局限性を突破し、掌紋認証モデルのロバスト性を高めることができる。
【0101】
1つの選択的な実施例において、図7に示す通り、掌紋主線の分布法則および掌紋主線の弧度法則に応じて、第1の主線の位置決め点、第2の主線の位置決め点、および主線の調整点を生成するプロセスはさらに、以下のステップ710~ステップ770を実現することができる。
【0102】
ステップ710において、掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定する。
【0103】
模式的に、手の平の掌紋を例に説明する。手の平の掌紋において、掌紋主線の分布は一定の法則を有する。図3は、手の平の掌紋の分布状況の模式図を示す。ここで、掌紋主線320は概ね左上を第1の主線の位置決め点とし、右下を第2の主線の位置決め点とする表示形式で示す。または、右下を掌紋主線320の第1の主線の位置決め点と見なし、左上を掌紋主線320の第2の主線の位置決め点と見なす。選択的に、左上が第1の主線の位置決め点であり、右下が第2の主線の位置決め点である形式により、掌紋主線を分析する。
【0104】
1つの選択的な実施例において、掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋生成エリアを決定する。
【0105】
ここで、掌紋生成エリアは、掌紋主線の分布範囲を制限するために用いられる。
【0106】
模式的に、掌紋生成エリアはランダム生成方式で決定される。例えば、単位長さ(1センチメートル)が辺長である矩形エリアを生成する、または所定長さが最大対角線である不規則形状のエリア等を生成する。
【0107】
選択的に、掌紋生成エリアは手の平の掌紋の掌紋分布状況により決定されてもよい。模式的に、図8は手の平の掌紋の模式図を示す。図8に示す手の平の掌紋の掌紋分布状況を例に説明する。手の平の掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋生成エリアを決定するプロセスは、以下のプロセスを含む。
【0108】
(1)指間キーポイントの位置決め
選択的に、ターゲット検出器を用いて手の指間を検出し、人差し指810と中指820との間のキーポイントA、中指820と薬指830との間のキーポイントB、および薬指830と小指との間のキーポイントCを決定し、キーポイントA、キーポイントB、およびキーポイントCを3つの指間キーポイントとして決定し、指間キーポイントの位置決めの位置決め結果とする。模式的に、ターゲット検出器を用いて手の指間を検出する場合、2本の親指間の中間点位置を指間キーポイント位置とする。
【0109】
(2)ローカル座標系の決定
1つの選択的な実施例において、指間に応じて指間キーポイントの位置を決定した後、キーポイントに応じてローカル座標系を確立する。
【0110】
模式的に、人差し指810と中指820との間のキーポイントA、および薬指830と小指との間のキーポイントCを繋ぎ、繋いで得られた直線をローカル座標系の横軸(x軸)として決定し、中指820と薬指830との間のキーポイントBをローカル座標系の原点とし、横軸に垂直な縦軸(y軸)を決定することにより、キーポイントA、キーポイントB、およびキーポイントCにより構築されるローカル座標系を取得する。
【0111】
選択的に、ローカル座標系における縦軸のマイナス方向に沿って、掌紋生成エリアの中心点Dを決定する。ここで、掌紋生成エリアの中心点Dの位置を決定する方式は、手の平の中心の幅と長さとに応じて決定される、または、キーポイント間の距離に応じて決定されること等を含む。
【0112】
模式的に、手の平の中心の幅と長さとに応じて掌紋生成エリアの中心点Dの位置を決定する場合、手の平の中心の幅と手の平の中心の長さとを基準にして決定する。例えば、手の平の中心の幅と手の平の中心の長さとを辺長とし、矩形を構築する。矩形における対角線の交点に基づき、掌紋生成エリアの中心点Dの位置を決定する。
【0113】
模式的に、キーポイント間の距離に応じて掌紋生成エリアの中心点Dの位置を決定する場合、まずキーポイントBと掌紋生成エリアの中心点Dとの間のBD距離、およびキーポイントAとキーポイントCとの間のAC距離を決定する。その後、BD距離とAC距離との長さ関係に応じて、掌紋生成エリアの中心点Dの位置を決定する。例えば、BD距離をAC距離の1.5倍と設定することにより、AC距離および構築されたローカル座標系に応じて、掌紋生成エリアの中心点Dを決定する。
【0114】
(3)掌紋生成エリアの抽出
選択的に、掌紋生成エリアの中心点Dを決定した後、掌紋生成エリアの中心点に応じて、掌紋生成エリアを決定する。例えば、掌紋生成エリアの中心点Dを中心として、一定の辺長の矩形エリアを構築し、当該矩形エリアを掌紋生成エリアとする。または、掌紋生成エリアの中心点Dを重心として、不規則な手の平形状のエリアを構築し、当該不規則な手の平形状を掌紋生成エリア等とする。
【0115】
掌紋生成エリアの中心点Dを中心として、構築された矩形エリアを掌紋生成エリアとすることを例に説明する。キーポイント間の長さ関係に応じて、矩形エリアの辺長を決定する。
【0116】
模式的に、キーポイントAとキーポイントCとの間のAC距離を決定した後、AC距離を掌紋生成エリアの辺長とする、または、AC距離の7/6倍を掌紋生成エリアの辺長等とする。
【0117】
または、キーポイントAとキーポイントBとの間のAB距離を決定した後、AB距離の2倍を掌紋生成エリアの辺長等とする。
【0118】
選択的に、上記掌紋生成エリアは関心エリア(ROI,Region Of Interest)とも呼ばれ、すなわち、掌紋生成エリアは掌紋を生成するプロセスにおいて重点的に注目されるエリアであり、当該エリア内で掌紋生成プロセスが行われる。
【0119】
模式的に、掌紋主線が伸びる方向は一定の法則を有する。例えば、手の平の掌紋における掌紋主線が伸びる方向は左上から右下である。掌紋生成エリアの取得後、掌紋主線が伸びる方向に基づき、掌紋生成エリアにおいて対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定することで、掌紋開始位置決め点および掌紋終了位置決め点を生成する。
【0120】
1つの選択的な実施例において、掌紋生成エリアにおいて対角関係を呈する第1の頂点と第2の頂点とを決定する。
【0121】
模式的に、図9に示すように、掌紋生成エリアは1つの矩形エリアであり、当該矩形エリアにおいて対角関係を呈する頂点をそれぞれ第1の頂点と第2の頂点として決定する。ここで、対角関係を呈する頂点は、頂点910および頂点940と、頂点920および頂点930とを含む。模式的に、頂点910を第1の頂点とすると、頂点940が第2の頂点であり、頂点920を第1の頂点とすると、頂点930が第2の交点である。模式的に、左手の手の平の掌紋分布を分析すると、左手の手の平の掌紋は一般的に左上から右下に掌紋の伸びる方向が示される。すなわち、掌紋生成エリアが図9に示す矩形エリアであれば、掌紋主線の伸びる方向は頂点910(第1の頂点)から頂点940(第2の頂点)に向かう。
【0122】
1つの選択的な実施例において、第1の頂点を中心とし、第1の所定長さを半径として、掌紋生成エリアにおいて第1のエリアを決定する。
【0123】
模式的に、第1の頂点の決定後、第1の頂点に基づいて決定された第1のエリアは扇形エリアである。ここで、扇形エリアのドットは第1の頂点であり、扇形エリアの半径は第1の所定長さである。または、当該扇形エリアを円形エリアの1/4と見なす。ここで、円形エリアの中心点が第1の頂点であり、円形エリアの半径が第1の所定長さである。
【0124】
選択的に、第1の所定長さは予め設定された固定値であってもよく、掌紋生成エリアに基づいて決定された数値であってもよい。
【0125】
例えば、第1の所定長さが予め設定された固定値であり、第1の頂点に基づいて第1のエリアが決定される場合、第1の頂点を中心とし、予め設定された固定値を半径として、掌紋生成エリアにおいて第1のエリアを決定する。または、第1の所定長さが掌紋生成エリアに基づいて決定された数値(例えば、掌紋生成エリアにおける辺長を直径とする、または、掌紋生成エリアにおける辺長の半分を直径とする等)であり、第1の頂点に基づいて第1のエリアを決定する場合、第1の頂点を中心とし、掌紋生成エリアに基づいて決定された数値を半径として、掌紋生成エリアにおいて第1のエリアを決定する。
【0126】
模式的に、掌紋生成エリアが単位長さの正方形エリアである場合、図9に示すように、ドットが第3の頂点であり、第1の主線の位置決め点について、第1の主線の位置決め点の座標は以下のように定義される。
【0127】
【数1】
【0128】
ここで、xは横軸座標を示し、yは縦軸座標を示す。
【0129】
1つの選択的な実施例において、第2の頂点を中心とし、第2の所定長さを半径として、掌紋生成エリアにおいて第2のエリアを決定する。
【0130】
選択的に、第2の頂点に応じて第2のエリアを決定するプロセスと、第1の頂点に応じて第1のエリアを決定するプロセスとは類似する。模式的に、第2の所定長さと第1の所定長さとの長さ数値は同一であっても、異なっていてもよい。
【0131】
例えば、図9に示すように、掌紋生成エリアが正方形エリアであり、第2の所定長さと第1の所定長さとの長さ数値が同一である場合、第2の頂点を中心とし、第2の所定長さを半径として形成される第2のエリアと、第1の頂点を中心とし、第1の所定長さを半径として形成される第1のエリアとはいずれも扇形エリアであり、且つ第1のエリアと第2のエリアとは同一形状のエリアである。
【0132】
模式的に、掌紋生成エリアが単位長さの正方形エリアである場合、図9に示すように、ドットが第3の頂点であり、第2の主線の位置決め点について、第2の主線の位置決め点の座標は以下のように定義される。
【0133】
【数2】
【0134】
ここで、xは横軸座標を示し、yは縦軸座標を示す。
【0135】
または、第2の所定長さと第1の所定長さとの長さ数値が異なる場合、第2の頂点を中心とし、第2の所定長さを半径として形成される第2のエリアと、第1の頂点を中心とし、第1の所定長さを半径として形成される第1のエリアとのエリア形状は異なり、例えば、掌紋生成エリアが正方形エリアである場合、第2の所定長さの長さ数値が大きく、第1の所定長さの長さ数値が小さければ、第2の所定長さに対応する第2のエリアは、第1の所定長さに対応する第1のエリアより大きい。
【0136】
なお、以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0137】
ステップ720において、第1のエリア内で第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータを決定する。
【0138】
選択的に、第1のエリアの決定後、第1のエリア内で、ランダム選出の方式により第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータを決定する。
【0139】
ここで、ランダム選出は、等確率の選出方式を示す。模式的に、第1のエリア内において、等確率の方式で、ある座標点に対応する座標をランダムに第1の主線の位置決め点の座標とし、第1のデータを生成するプロセスを実現する。
【0140】
選択的に、掌紋主線の生成法則に応じて、等確率ではない選出方式で、第1のエリアにおいて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータを決定する。例えば、掌紋の分布状況を分析することにより、掌紋の掌紋主線は多くが点Mを起点としていることがわかり、第1のエリア内で第1のデータを決定する場合、点Mを第1の主線の位置決め点とする確率が大きく設定されることで、等確率ではない選出方式で第1のデータを選出するプロセスが実現される。
【0141】
ステップ730において、第2のエリア内で第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータを決定する。
【0142】
選択的に、第2のエリアの決定後、第2のエリア内で、ランダム選出の方式により第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータを決定する。
【0143】
ここで、ランダム選出は、等確率の選出方式を示す。模式的に、第2のエリア内において、等確率の方式で、ある座標点に対応する座標をランダムに第2の主線の位置決め点の座標とし、第2のデータを生成するプロセスを実現する。
【0144】
選択的に、掌紋主線の生成法則に応じて、等確率ではない選出方式で、第2のエリア内において、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータを決定する。例えば、掌紋の掌紋分布状況を分析することにより、掌紋の掌紋主線は多くが点Nを起点とし、点Lを終点としていることがわかり、第2のエリア内で第2のデータを決定する場合、点N、点Lを第2の主線の位置決め点とする確率が大きく設定されることで、等確率ではない選出方式で第2のデータを選出するプロセスが実現される。
【0145】
なお、以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0146】
ステップ740において、掌紋主線の弧度法則に応じて、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、第3のエリアを決定する。
【0147】
模式的に、掌紋主線の弧度法則は、掌紋主線の湾曲状況を示す。例えば、掌紋における掌紋主線の弧度が小さく、掌紋における掌紋主線の湾曲程度が滑らか等である。
【0148】
選択的に、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、主線の調整点を生成するための第3のエリアを決定する。
【0149】
1つの選択的な実施例において、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを繋いで、目標線分を取得する。
【0150】
模式的に、図10に示すように、掌紋生成エリア1010において、第1の主線の位置決め点1020(「逆三角形」の符号で表示)、および第2の主線の位置決め点1030(「円形」の符号で表示)を決定し、第1の主線の位置決め点1020と第2の主線の位置決め点1030とを繋いで、目標線分1040を取得する。
【0151】
選択的に、目標線分の線分中間点を中心として、所定の辺長の矩形エリアを第3のエリアとする。
【0152】
模式的に、所定の辺長は予め設定された固定値であってもよく、掌紋生成エリアに基づいて決定された数値であってもよい。
【0153】
例えば、所定の辺長が予め設定された固定値であり、線分中間点に基づいて第3のエリアを決定する場合、線分中間点を中心とし、予め設定された固定値を辺長として、掌紋生成エリア内で決定された矩形エリアを第3のエリアとする。例えば、予め設定された固定値は、矩形の長さaおよび矩形の幅bを含み、線分中間点を中心とし、矩形の長さaを第3のエリアの長さとし、矩形の幅bを第3のエリアの幅とすることで、第3のエリアを取得する。
【0154】
または、所定の辺長は掌紋生成エリアに基づいて決定された数値(例えば、掌紋生成エリアにおける辺長の半分を辺長とする、または掌紋生成エリアにおける目標線分の半分を辺長とする等)であり、線分中間点に基づいて第1のエリアを決定する場合、線分中間点を中心とし、掌紋生成エリアに基づいて決定された数値を辺長として、掌紋生成エリア内で第3のエリアを確定する。
【0155】
例えば、図10に示すように、目標線分1040を取得後、目標線分1040の線分中間点を中心とし、予め設定された固定値を辺長として、第3のエリア1050を取得する。
【0156】
1つの選択的な実施例において、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点を繋ぐ目標線分の中間点座標を(x,y)と仮定し、中間点座標(x,y)を中心とし、目標線分を判断基準として、第3のエリアを決定するプロセスは以下の通りである。
【0157】
模式的に、掌紋生成エリアの長さが単位長さ1であり、取得しようとする第3のエリアが1つの正方形エリアであり、当該正方形エリアの辺長が予め2/3に設定されると、第3のエリアは中間点座標(x,y)を中心とし、目標線分に平行で、且つ辺長が2/3の正方形エリアである。
【0158】
選択的に、一次方程式の方法により第3のエリアを決定する。一次方程式は主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とにより一義的に決定される。模式的に、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを繋ぐ目標線分が存在する直線を直線Aと定義し、直線Aはy=kx+bである。同様に、中間点座標(x,y)を通り、且つ直線Aに垂直な直線Bをy=kx+bと定義する。
【0159】
ここで、kは直線Aに対応する傾きを示し、bは直線Aに対応する切片を示し、kは直線Bに対応する傾きを示し、bは直線Bに対応する切片を示す。ここでk、b、k、およびbの関係は、以下の通りである。
【0160】
【数3】
【0161】
すなわち、直線Aと中間点座標(x,y)とに応じて、直線Bを一義的に決定することができる。
【0162】
選択的に、図11に示すように、中間点座標1110(x,y)、および第3のエリアの所定延長が2/3であることに基づき、直線Aと平行で、且つ直線Aからの垂直距離が1/3である2本の直線A1120および直線A1130をそれぞれ決定し、直線Bと平行で、且つ直線Bからの垂直距離が1/3である2本の直線B1140および直線B1150をそれぞれ決定する。
【0163】
直線A1120の方程式はy=kx+bであり、直線A1130の方程式はy=kx+bであり、直線B1140の方程式はy=kx+bであり、直線B1150の方程式はy=kx+bである。
【0164】
以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0165】
模式的に、図11に示すように、上記の4本の直線である直線A1120、直線A1130、直線B1140、および直線B1150に応じて、4本の直線の値を一義的に決定でき、4本の直線により囲まれた正方形エリアを決定し、当該正方形エリアを第3のエリアとする。
【0166】
ステップ750において、第3のエリア内で調整点データを生成する。
【0167】
選択的に、第3のエリアを確定後、第3のエリア内で主線弧度を調整するための調整点データを生成する。模式的に、調整点データの座標の値の範囲は、以下のように定義される。
【0168】
【数4】
【0169】
ここで、kは直線A1120および直線A1130に対応する傾きを示し、bは直線A1120に対応する切片を示し、bは直線A1130に対応する切片を示し、kは直線B1140および直線B1150に対応する傾きを示し、bは直線B1140に対応する切片を示し、bは直線B1150に対応する切片を示す。
【0170】
ステップ760において、第1のデータと、第2のデータと、調整点データとに基づき、掌紋主線を生成する。
【0171】
ここで、掌紋主線は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、第2の主線の位置決め点を順に繋ぐ曲線である。
【0172】
模式的に、掌紋主線は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線である。ここで、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との座標位置が決定されており、主線の調整点は第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とに囲まれた線分の弧度を調整できることで、異なる掌紋主線を所得できる。すなわち、主線の調整点の位置と掌紋主線の形成とは密接な関係がある。
【0173】
ステップ770において、掌紋主線と掌紋細線とを含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成する。
【0174】
掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、掌紋認証モデルは掌紋認証に用いられる。
【0175】
模式的に、掌紋サンプルには掌紋主線、掌紋細線が含まれる。掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを取得した後、少なくとも1つの掌紋サンプルに基づき、掌紋認証モデルをトレーニングし、掌紋モデルに異なる掌紋サンプル間の関係および差異を学習させることで、掌紋認証モデルが掌紋認証を行うプロセスにおける認証効率を高めることができる。
【0176】
選択的に、生成された掌紋サンプルを取得した後、予め決定された摂動エリア内で、掌紋サンプルに軽微な摂動を加え、軽微な摂動が加えられた掌紋サンプルを同一のIDに対応する掌紋データと見なす。模式的に、予め決定された摂動エリア内で、1つの掌紋サンプルに対して、多種類の異なる摂動操作を行い、当該掌紋サンプルに対応する複数の掌紋データを取得する。例えば、予め決定された摂動エリア内で、1つの掌紋サンプルについて、当該掌紋サンプルにおける掌紋主線を摂動し、1つの掌紋データを取得し、当該掌紋サンプルにおける掌紋細線を摂動し、別の掌紋データを取得する。当該掌紋サンプル、および当該掌紋サンプルに基づいて得られた掌紋データを同一のIDに対応する掌紋データと見なす。一定の摂動エリア内で、掌紋サンプルに軽微な摂動を加えるプロセスにより、より多様な掌紋サンプルを形成することができる。選択的に、摂動エリア内で掌紋サンプルを摂動するプロセスにおいて、掌紋サンプルに対して1回摂動した後、掌紋サンプルと同一のIDに属する掌紋データを取得してもよく、掌紋サンプルに対して複数回摂動した後、掌紋サンプルと同一のIDに属する掌紋データを取得してもよい。ここで、掌紋サンプルに対して複数回摂動する場合、複数回摂動する摂動の合計値は摂動区間内に位置する。以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0177】
上述の通り、生成した第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とし、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを取得し、掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングする。上記の方法により、掌紋における主線の分布状況により、大量の掌紋サンプルをシミュレーションして取得することで、生成された掌紋サンプル間がより強い多様性を有する。掌紋サンプルに基づき、掌紋認証モデルをトレーニングし、掌紋データセットの局限性を突破し、掌紋認証モデルのロバスト性を高めることができる。
【0178】
本願の実施例に係る方法において、区画に応じて掌紋サンプルを取得するプロセスについて説明する。掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定し、第1のエリア内で第1のデータを決定し、第2のエリア内で第2のデータを決定し、さらに掌紋主線の弧度法則に応じて、第3のエリアを決定し、第3のエリア内で調整点データを生成し、第1のデータに対応する第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2のデータに対応する第2の主線の位置決め点を順に繋いで、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成する。上記の方法により、掌紋主線の分布法則と掌紋主線の弧度法則を区画方式で表示することで、掌紋主線における第1の主線の位置決め点および第2の主線の位置決め点の位置情報をより現実的に決定することにより、主線の調整点を決定できる。第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とすることで、掌紋主線を含む掌紋サンプルを取得し、予め決定された摂動区間内で、生成された掌紋サンプルに対して軽微な摂動を行う(例えば、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点におけるいずれか1点またはいずれか数点を摂動する)ことにより、同一の身分証明に属し、且つ多様性がより強い複数の掌紋データを取得し、掌紋サンプルの多様性をさらに高める。
【0179】
1つの選択的な実施例において、少なくとも1つの掌紋サンプルを取得した後、少なくとも1つの掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングする。模式的に、図12に示すように、上記の図2で示されたステップ240の後に、以下のステップ1210~ステップ1230を含む。
【0180】
ステップ1210において、サンプル画像セットを取得する。
【0181】
ここで、サンプル画像セットには少なくとも1つのサンプル画像が記憶されている。
【0182】
模式的に、サンプル画像セットにおけるサンプル画像は、例えば風景系画像、建築系画像、動物系画像、植物系画像等、多種類のタイプを含む。選択的に、サンプル画像セットは、例えばイメージネット(ImageNet)データセット等、大規模分類の画像データセットである。
【0183】
ステップ1220において、サンプル画像を背景にして、掌紋サンプルをサンプル画像に組み込み、ターゲット画像を取得する。
【0184】
模式的に、サンプル画像セットから複数のサンプル画像を選出し、選択されたサンプル画像を背景にして、生成された掌紋サンプルを選択されたサンプル画像上に組み込み、掌紋サンプルとサンプル画像とを含むターゲットサンプルを取得する。
【0185】
選択的に、選択されたサンプル画像を背景とすることは、選択されたサンプル画像を下方に置くことを示し、生成された掌紋サンプルをサンプル画像上に組み込むことは、掌紋サンプルを上方に置くことを示す。例えば、レイヤ形式でサンプル画像と掌紋サンプルとの組み込み関係を表示し、レイヤ1がレイヤ2の下にあり、すなわちサンプル画像がレイヤ1であり、ターゲットサンプルがレイヤ2である。
【0186】
1つの選択的な実施例において、掌紋サンプルにおける掌紋主線、掌紋細線等の紋理の色をc、幅をwと設定し、掌紋サンプルを上層に置き、サンプル画像セットにおいて選ばれたサンプル画像Iを下層に置き、すなわち、掌紋サンプルをサンプル画像I上に組み込み、ターゲット画像を取得する。模式的に、ターゲット画像を組み込んで得るプロセスは、以下の通りである。
【0187】
【数5】
【0188】
ここで、Sは掌紋サンプル(掌紋主線と掌紋細線とを含む)をサンプル画像I上に組み込んで得られたターゲット画像を示し、synthesizeは掌紋サンプルをサンプル画像I上に組み込んでターゲット画像を生成するプロセスを示し、Pは掌紋サンプルに対応する掌紋主線を示し、Qは掌紋サンプルに対応する掌紋細線を示す。
【0189】
模式的に、掌紋サンプルの生成後、当該掌紋サンプルに対応する掌紋主線および掌紋細線の色、長さ、幅等の紋理特徴情報が決定される。また、掌紋主線および掌紋細線の紋理位置情報も相対的に決定される。上記の紋理情報に基づき、掌紋サンプルをサンプル画像に組み込んで得られたターゲット画像において、組み込まれた掌紋サンプルと組み込まれていない掌紋サンプルは同一であり、すなわち、組み込まれた掌紋サンプルと組み込まれていない掌紋サンプルとに対応する紋理特徴情報、紋理位置情報は同一である。
【0190】
模式的に、掌紋サンプルをサンプル画像に組み込むプロセスにおいて、サンプル画像のサイズと掌紋サンプル生成エリアのサイズとが異なる場合、組み込みプロセスは異なってもよい。例えば、サンプル画像のサイズが掌紋サンプル生成エリアのサイズより大きい場合、掌紋サンプルをサンプル画像上に直接組み込み、またはサンプル画像を一定のサイズ(例えば、掌紋サンプル生成エリアのサイズ)まで縮小した後、掌紋サンプルをサンプル画像上に組み込む。サンプル画像のサイズが掌紋サンプル生成エリアのサイズより小さい場合、掌紋サンプルをサンプル画像上に直接組み込み、またはサンプル画像を一定のサイズ(例えば、掌紋サンプル生成エリアのサイズ)まで拡大した後、掌紋サンプルをサンプル画像上に組み込む。
【0191】
なお、以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0192】
1つの選択的な実施例において、目標摂動区間内で、少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動し、ターゲットサンプルを取得する。
【0193】
模式的に、目標摂動区間は、掌紋主線摂動区間と掌紋細線摂動区間とを含む。
【0194】
ここで、掌紋主線摂動区間は、掌紋主線を摂動する区間範囲を示し、掌紋細線摂動区間は、掌紋細線を摂動する区間範囲を示す。
【0195】
選択的に、目標摂動区間内で、掌紋サンプルを摂動した後、複数のターゲットサンプルを取得する。例えば、掌紋主線摂動区間内で、掌紋サンプルにおける掌紋主線を摂動し、複数の掌紋主線に僅かな変化が生じたターゲットサンプルを取得する。または、掌紋細線摂動区間内で、掌紋サンプルにおける掌紋細線を摂動し、複数の掌紋サンプルに僅かな変化が生じたターゲットサンプルを取得する。または、目標摂動区間内で、掌紋サンプルにおける掌紋主線および掌紋細線を摂動し、複数の掌紋主線および掌紋細線に僅かな変化が生じたターゲットサンプルを取得する。
【0196】
選択的に、掌紋の掌紋分布状況において、手の平の姿勢、撮影角度、撮影位置等の要素はいずれも、最終的にイメージングされた同一の手の平の異なる写真上における掌紋に、軽微な差異を生じさせる。模式的に、モデルのロバスト性を高めるという考慮に基づき、生成された掌紋サンプルに軽微な摂動を加え、軽微な摂動が加えられた後の掌紋サンプルを同一の身分証明に対応する掌紋データと見なす。
【0197】
1つの選択的な実施例において、少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動することは、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線にノイズを追加すること、または少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線にノイズを追加することにより実現される。
【0198】
模式的に、生成された掌紋サンプルに摂動ノイズを追加するプロセスは、以下の通りである。
【0199】
【数6】
【0200】
ここで、Pはi番目の掌紋サンプルにおける掌紋主線を示し、P は掌紋主線を基に摂動ノイズが加えられたj番目の掌紋サンプルを示し、Nは掌紋主線に加えられた摂動ノイズを示し、Qはi番目の掌紋サンプルにおける掌紋細線を示し、Q は掌紋主線を基に摂動ノイズが加えられたj番目の掌紋サンプルを示し、Nは掌紋細線に加えられた摂動ノイズを示す。選択的に、摂動ノイズN~N(μ,0.04)、摂動ノイズN~N(μ,0.01)は、いずれも非常に小さいガウスノイズである。
【0201】
1つの選択的な実施例において、掌紋主線摂動区間内で、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線を摂動し、摂動主線を取得し、掌紋細線摂動区間内で、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線を摂動し、摂動細線を取得し、摂動主線と摂動細線とに基づき、ターゲットサンプルを取得する。
【0202】
模式的に、上記の摂動ノイズNは、掌紋主線に対応する掌紋主線摂動区間であり、上記の摂動ノイズNは、掌紋細線に対応する掌紋細線摂動区間であり、摂動ノイズNと摂動ノイズNとを目標摂動区間と総称する。
【0203】
図13は、掌紋サンプルに摂動ノイズを加えた後に得られた複数組の掌紋サンプルの模式図である。選択的に、掌紋サンプル1310、掌紋サンプル1320、掌紋サンプル1330および掌紋サンプル1340は、上記の掌紋サンプルの生成方法に基づき生成された掌紋サンプルである。
【0204】
模式的に、掌紋サンプル1310を摂動することを例に説明する。目標摂動区間内で、掌紋サンプル1310の掌紋主線、掌紋細線に僅かなガウスノイズを加えて、ターゲットサンプル1311、ターゲットサンプル1312、およびターゲットサンプル1313を取得し、ターゲットサンプル1311、ターゲットサンプル1312、およびターゲットサンプル1313を同一の身分証明に対応する掌紋データとする。
【0205】
または、掌紋サンプル1320を摂動することを例に説明する。目標摂動区間内で、掌紋サンプル1320の掌紋主線、掌紋細線に僅かなガウスノイズを加えて、ターゲットサンプル1321、ターゲットサンプル1322、およびターゲットサンプル1323を取得し、ターゲットサンプル1321、ターゲットサンプル1322、およびターゲットサンプル1323を同一の身分証明に対応する掌紋データとする。
【0206】
上記と同様の方法に基づき、掌紋サンプル1330に対応するターゲットサンプル1331、ターゲットサンプル1332、およびターゲットサンプル1333を取得し、ターゲットサンプル1331、ターゲットサンプル1332、およびターゲットサンプル1333を同一の身分証明に対応する掌紋データとする。さらに、掌紋サンプル1340に対応するターゲットサンプル1341、ターゲットサンプル1342、およびターゲットサンプル1343を取得し、ターゲットサンプル1341、ターゲットサンプル1342、およびターゲットサンプル1343を同一の身分証明に対応する掌紋データとする。
【0207】
すなわち、上記プロセスにおいて、同一の身分証明に対応するターゲットサンプルにおける掌紋主線および掌紋細線の数が決定され、ターゲット摂動範囲内で摂動ノイズが加えられることで生じる軽微な変化が許容される。すなわち、ターゲット摂動範囲内で摂動ノイズが加えられた後に得られた掌紋データは、依然として同一の身分証明の掌紋データと見なされる。
【0208】
なお、以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0209】
1つの選択的な実施例において、サンプル画像を背景にして、ターゲットサンプルをサンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得する。
【0210】
選択的に、サンプル画像を背景とすることは、サンプル画像を下方に置くことを示し、ターゲットサンプルをサンプル画像上に組み込むことは、ターゲットサンプルを上方に置くことを示す。例えば、レイヤで画像間の組み込み関係を表示し、レイヤ1がレイヤ2の下にあれば、サンプル画像がレイヤ1であり、ターゲットサンプルがレイヤ2である。
【0211】
模式的に、図14は、ターゲットサンプルをサンプル画像上に組み込んで得られたターゲット画像の模式図である。例えば、ターゲット画像1410はターゲットサンプル1400を風景画像1411上に組み込んで得られた画像であり、風景画像1411はサンプル画像である。または、ターゲット画像1420はターゲットサンプル1400を動物画像1421上に組み込んで得られた画像であり、動物画像1421はサンプル画像である。
【0212】
選択的に、多種類の画像サイズ、画像品質等のパラメータが異なる画像を、上記のサンプル画像としてもよい。例えば、サンプル画像は明瞭度が高い画像であっても、明瞭度が低い画像であってもよい。
【0213】
ステップ1230において、ターゲット画像で掌紋認証モデルをトレーニングする。
【0214】
1つの選択的な実施例において、ターゲット画像で掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを取得する。
【0215】
模式的に、複数の身分証明それぞれに対応する少なくとも1つのターゲット画像を取得した後、ターゲット画像を掌紋認証モデルへの入力とし、掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行う。
【0216】
例えば、上記の掌紋生成方法により1つの掌紋サンプルを取得した後、掌紋サンプルにおける掌紋主線および掌紋細線を摂動し、複数のターゲットサンプルを取得し、複数のターゲットサンプルは身分証明Aに対応し、各ターゲットサンプルを異なるタイプのサンプル画像上に置き、複数のターゲット画像を取得する。複数のターゲット画像も身分証明Aに対応し、身分証明Aに対応する複数のターゲット画像を掌紋認証モデルに入力した後、掌紋認証モデルに複数のターゲット画像を学習させることで、掌紋認証モデルの掌紋サンプルにおける掌紋主線、掌紋細線等の紋理の色、紋理の幅、背景内容に対する過学習(Overtraining)問題の発生を防止する。
【0217】
選択的に、掌紋サンプルにおける掌紋主線、掌紋細線等の紋理の色をc、幅をwと設定し、サンプル画像セットにおいてサンプル画像Iをターゲット画像の背景としてランダムに選択する。模式的に、生成された掌紋の紋理の概要は以下の通りである。
【0218】
【数7】
【0219】
ここで、synthesizeはターゲット画像を生成するプロセスを示し、S は生成された掌紋サンプル(掌紋主線および掌紋細線を含む)をサンプル画像I上に組み込んで得られたターゲット画像を示し、P は掌紋主線を基に摂動ノイズが加えられたj番目の掌紋サンプルを示し、Q は掌紋主線を基に摂動ノイズが加えられたj番目の掌紋サンプルを示す。
【0220】
1つの選択的な実施例において、掌紋データセットを取得する。
【0221】
ここで、掌紋データセットには少なくとも1つの掌紋データが記憶され、少なくとも1つの掌紋データはデータラベルが対応してマークされている。
【0222】
模式的に、掌紋データセットに記憶されている掌紋データは、合法的な許諾を経て得られた掌紋データである。選択的に、掌紋データに対応してマークされるデータラベルは、異なる掌紋データを区別するために用いられる。例えば、掌紋データ1はユーザ1に対応する掌紋であり、ユーザ1を掌紋データ1のデータラベルとする、または掌紋データ2はファミリー掌紋データベース2から取得された掌紋であり、ファミリー掌紋データベース2を掌紋データ1のデータラベルとする。
【0223】
以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0224】
1つの選択的な実施例において、掌紋データおよび掌紋データに対応するデータラベルで、候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、ターゲット掌紋認証モデルを取得する。
【0225】
ここで、ターゲット掌紋認証モデルは、掌紋認証モデルをトレーニングして得られたモデルである。
【0226】
模式的に、生成された掌紋サンプルを掌紋認証モデルのトレーニング段階でモデル性能を向上させるために用い、すなわち、掌紋サンプルまたは掌紋サンプルに対応するターゲット画像で掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを取得し、この時の候補掌紋モデルは、生成された掌紋サンプルの紋理情報をよりよく学習できる。
【0227】
1つの選択的な実施例において、候補掌紋モデルを現実の状況に適用する場合を考慮して、掌紋データおよび掌紋データに対応するデータラベルを用いて、候補掌紋モデルに対して第2のトレーニングを行う。ここで、第2のトレーニングは、生物が有する掌紋データで、候補掌紋モデルの、実際の掌紋に対する認証モデルを向上させるために用いられる。
【0228】
模式的に、図15に示すように、掌紋モデルに対して第1のトレーニングおよび第2のトレーニングを行うトレーニングプロセスは以下の通りである。
【0229】
ステップ1510において、掌紋サンプルを生成する。
【0230】
選択的に、上記の掌紋サンプルの生成方法を用いて、掌紋主線と掌紋細線とを含む掌紋サンプルを取得する。生成された掌紋サンプルは、掌紋認証モデルが掌紋主線、掌紋細線等の紋理間の微細な変化に注目することをサポートし、掌紋認証モデルに識別力をさらに有する特徴を学習させることを促すことができる。
【0231】
ステップ1520において、ターゲット画像を大量に合成する。
【0232】
模式的に、掌紋サンプルを取得後、掌紋サンプルを摂動してターゲットサンプルを取得し、サンプル画像セットから任意に取得したサンプル画像を背景として、ターゲットサンプルをサンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得する。
【0233】
ステップ1530において、第1のトレーニングを行う。
【0234】
選択的に、大量に合成されたターゲット画像を掌紋認証モデルに入力した後、ターゲット画像に基づき、掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行う。
【0235】
模式的に、大量に合成されたターゲット画像には、身分証明Aのa個のターゲット画像、および身分証明Bのb個のターゲット画像が含まれ、a個のターゲット画像およびb個のターゲット画像を掌紋認証モデルに入力することで、掌紋認証モデルに異なるターゲット画像における異なる身分証明に対応する掌紋サンプルの掌紋紋理情報(掌紋主線情報、掌紋細線情報)等を学習させる。例えば、掌紋認証モデルは身分証明Aのa個のターゲット画像間の相似性、および身分証明Bのb個のターゲット画像間の相似性を学習する。また、掌紋認証モデルはさらに身分証明Aのa個のターゲット画像と身分証明Bのb個のターゲット画像間の差異性を学習し、異なるターゲット画像における同一の身分証明に対応する掌紋サンプルの掌紋紋理情報の相似性、および異なるターゲット画像における異なる身分証明に対応する掌紋サンプルの掌紋紋理情報の差異性等を決定する。選択的に、上記の第1のトレーニングに基づき、候補掌紋認証モデルを取得する。
【0236】
ステップ1540において、公開された掌紋データセットを取得する。
【0237】
模式的に、合法的な方法に基づき、公開された、複数の掌紋データを記憶している掌紋データセットを取得し、掌紋データセットにはデータラベルがマークされている複数の掌紋データが記憶されている。
【0238】
ステップ1550において、第2のトレーニングを行う。
【0239】
選択的に、掌紋サンプルと生物に対応する掌紋データとには一定の差異が存在する可能性を考慮して、掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行った後、生物に対応する掌紋データを用いて、候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行う。
【0240】
1つの選択的な実施例において、掌紋データを候補掌紋認証モデルに入力し、候補掌紋認証モデルの出力データと、掌紋データに対応するデータラベルとに基づき、掌紋データに対応するロス値を決定し、ロス値で候補掌紋認証モデルをトレーニングし、候補掌紋認証モデルのトレーニングがトレーニング目標に達したことに応じて、ターゲット掌紋認証モデルを取得する。
【0241】
模式的に、掌紋データセットにおける複数の掌紋データ、および複数の掌紋データに対応するデータラベルに基づき、候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行う。例えば、候補掌紋認証モデルの掌紋データに対する出力と、掌紋データに対応するデータラベルとでロス値演算し、ロス値演算結果に基づき、ロス値を減少させることをトレーニング目標として、候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを微調整するプロセスを実現する。
【0242】
例えば、掌紋データを候補掌紋認証モデルに入力し、候補掌紋認証モデルが掌紋データに対応する予測ラベルを出力し、掌紋データに対応する予測ラベルと、データラベルとの差異に基づき、掌紋データに対応するロス値を決定する。データラベルはトレーニングラベルであり、掌紋データに対応する正確なラベルであり、予測ラベルはモデルが入力データに対してデータ処理を行った後、予測して得られたラベルであることが理解できる。モデルをトレーニングすることは、異なる掌紋データにおける同一のデータラベルに対応する掌紋データ間の相似性、および異なる掌紋データにおける異なるデータラベルに対応する掌紋データ間の差異性をモデルに学習させ、これによりモデルが最終的に正確なラベルまたは正確なラベルに非常に近いラベルを出力し、掌紋認証能力を有する。
【0243】
選択的に、ロス値で候補掌紋認証モデルをトレーニングするプロセスにおいて、候補掌紋認証モデルのトレーニングがトレーニング目標に達してターゲット掌紋認証モデルを取得する。模式的に、トレーニング目標は少なくとも以下の1つの状況を含む。
【0244】
1、ロス値が収束状態に達したことに応じて、最も近い1回の反復トレーニングにより得られた候補掌紋認証モデルを、ターゲット掌紋認証モデルとする。
【0245】
模式的に、ロス値が収束状態に達したことは、損失関数により得られたロス値の数値がさらに変化しない、または変化幅が所定の閾値より小さいことを示す。例えば、n番目の掌紋データに対応するロス値が0.1であり、n+1番目の掌紋データに対応するロス値も0.1であれば、当該ロス値が収束状態に達したと見なし、n番目の掌紋データまたはn+1番目の掌紋データに対応するロス値が調整された候補掌紋認証モデルをターゲット掌紋認証モデルとすることにより、候補掌紋認証モデルに対するトレーニングプロセスを実現する。
【0246】
2、ロス値の取得回数が回数閾値に達したことに応じて、最も近い1回の反復トレーニングにより得られた候補掌紋認証モデルを、ターゲット掌紋認証モデルとする。
【0247】
模式的に、1回の取得で1回のロス値が得られ、候補掌紋認証モデルをトレーニングするためのロス値の取得回数を予め設定し、1つの掌紋データに1つのロス値が対応する場合、ロス値の取得回数は掌紋データの個数であり、または、1つの掌紋データが複数のロス値に対応する場合、ロス値の取得回数はロス値の個数である。例えば、1回の取得で1つのロス値が得られ、ロス値の取得回数の閾値を10回と予め設定すると、取得回数の閾値に達した場合、最も近い1回のロス値を調整した候補掌紋認証モデルをターゲット掌紋認証モデルとし、または、ロス値の10回の調整プロセスにおける最小のロス値に調整された候補掌紋認証モデルをターゲット掌紋認証モデルとすることにより、候補掌紋認証モデルに対するトレーニングプロセスを実現する。
【0248】
1つの選択的な実施例において、ターゲット掌紋認証モデルを取得した後、掌紋を認証する。模式的に、図16は、掌紋を印象するフロー図である。
【0249】
まず、掌紋認証写真1610および掌紋登録写真1620を撮影し、掌紋認証写真1610および掌紋登録写真1620に基づき、掌紋に対応する手の平を検出し、掌紋関心エリア1630を抽出する。その後、掌紋関心エリア1630をバックグラウンド1640(例えば、サーバ)に伝送し、バックグラウンド1640が掌紋認証写真1610、掌紋登録写真1620、および掌紋関心エリア1630を掌紋レジストリに追加する。最後に、バックグラウンド1640が自身側のターゲット掌紋認証モデルに基づき、掌紋を認証する。選択的に、掌紋を認証した後、掌紋認証の結果をフロントエンド(例えば、端末)に表示する。
【0250】
模式的に、掌紋認証結果は、「はい」または「いいえ」の形式で表示されることを含むだけでなく、確率等の数値の表示方式で表示されることも含む。以上は模式的な例にすぎず、本願の実施例はこれに対して限定しない。
【0251】
以下の表に示すように、ターゲット掌紋認証モデルの認証データ、および他の掌紋認証技術により得られた認証データを含む。
【0252】
【表1】
【0253】
表1は、ターゲット認証モデルおよび掌紋認証領域内の他の方法の、5つの公開データセットにおける認証効果を示す。5つの公開データセットはそれぞれ、中国科学院自動化研究所漢語情感語彙データベース(CASIA,Institute of Automation, Chinese Academy of Sciences)、インド工科大学デリー校データセット(IITD,Indian Institute of Technology Delhi)、香港理工大学データセット(PolyU,Polytechnic University)、ダブリン大学トリニティ・カレッジ(TCD,Trinity College Dublin)、およびメンテナンス技術データ(MPD,Maintenance Planning Document)である。評価指標はそれぞれ、第1正解率(Top-1)、および等価エラー率(EER,Equal Error Rate)である。通信プロトコル(PalmNet)は、掌紋分野において最先端の方法であり、ここでは比較対象とする。
【0254】
ここで、Top-1指標が高いほど、認証効果が良いことを表し、EER指標が小さいほど、認証効果が良いことを表す。模式的に、ベースライン法を用いたアークフェイス認証技術(ArcFace)を採用し、そのバックボーンネットワークは携帯電話ネットワーク(MobileFaceNet)である。上記の表から、ターゲット掌紋認証モデルの掌紋認証に対する効果は、他の方法より優れていることがわかる。
【0255】
上述の通り、生成した第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とし、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを取得し、掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングする。上記の方法により、掌紋における主線の分布状況により、大量の掌紋サンプルをシミュレーションして取得することで、生成された掌紋サンプル間がより強い多様性を有する。掌紋サンプルに基づき、掌紋認証モデルをトレーニングし、掌紋データセットの局限性を突破し、掌紋認証モデルのロバスト性を高めることができる。
【0256】
本願の実施例に係る方法において、少なくとも1つの掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングするプロセスを説明する。まず、サンプル画像セットを取得し、その後、サンプル画像セットにおけるサンプル画像を背景として、掌紋サンプルをサンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得し、ターゲット画像で掌紋認証モデルをトレーニングして、ターゲット掌紋認証モデルを取得する。上記の方法により、ターゲット掌紋認証モデルの、現実の状況における掌紋認証性能を向上させることができ、且つターゲット掌紋認証モデルを用いることは、余分な演算量やトレーニング負担を増やすことはなく、シンプルで且つ効果的なトレーニング最適化案である。
【0257】
図17は、本願の1つの例示的な実施例に係る掌紋サンプルの生成装置の構造ブロック図である。図17に示すように、当該装置は、掌紋主線の分布法則に応じて位置決め点データを生成する位置決め点生成モジュール1710であって、位置決め点データには、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点生成モジュール1710と、掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成する調整点生成モジュール1720であって、調整点データに対応する主線の調整点は、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられる調整点生成モジュール1720と、第1のデータと、第2のデータと、調整点データとに基づいて掌紋主線を生成する主線生成モジュール1730であって、掌紋主線は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である主線生成モジュール1730と、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するサンプル生成モジュール1740であって、掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるサンプル生成モジュール1740と、を含む。
【0258】
1つの選択的な実施例において、位置決め点生成モジュール1710はさらに、掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと、第2のエリアとを決定し、第1のエリア内で第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータを決定し、第2のエリア内で第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータを決定する。
【0259】
1つの選択的な実施例において、位置決め点生成モジュール1710はさらに、掌紋主線の分布法則に応じて、掌紋主線の分布範囲を決定する掌紋生成エリアを決定し、掌紋生成エリア内で対角関係を呈する第1の頂点と第2の頂点とを決定し、第1の頂点を中心とし、第1の所定長さを半径として、掌紋生成エリア内で第1のエリアを決定し、第2の頂点を中心とし、第2の所定長さを半径として、掌紋生成エリア内で第2のエリアを決定する。
【0260】
1つの選択的な実施例において、位置決め点生成モジュール1710はさらに、第1のエリア内で第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータをランダム選出の方式で決定し、第2のエリア内で第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータをランダム選出の方式で決定する。
【0261】
1つの選択的な実施例において、調整点生成モジュール1720はさらに、掌紋主線の弧度法則に応じて、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、第3のエリアを決定し、第3のエリア内で調整点データを生成する。
【0262】
1つの選択的な実施例において、調整点生成モジュール1720はさらに、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを繋いで、目標線分を取得し、目標線分の線分中間点を中心として、所定の辺長の矩形エリアを第3のエリアとする。
【0263】
1つの選択的な実施例において、掌紋サンプルにはさらに掌紋細線が含まれる。
【0264】
サンプル生成モジュール1740はさらに、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を決定し、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、掌紋細線を生成し、掌紋主線と掌紋細線とを含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成する。
【0265】
1つの選択的な実施例において、サンプル生成モジュール1740はさらに、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を繋いで、掌紋細線を取得する。
【0266】
1つの選択的な実施例において、サンプル生成モジュール1740はさらに、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点間の弧度を制御するための掌紋細線の調整点を決定し、所定の掌紋細線の数量範囲内で、少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点と、掌紋細線の調整点とに基づき、掌紋細線を決定する。
【0267】
1つの選択的な実施例において、図18に示すように、当該装置はさらに、少なくとも1つのサンプル画像が記憶されているサンプル画像セットを取得するための取得モジュール1750と、サンプル画像を背景にして、掌紋サンプルをサンプル画像に組み込み、ターゲット画像を取得するための組み込みモジュール1760と、ターゲット画像で掌紋認証モデルをトレーニングするためのトレーニングモジュール1770と、を含む。
【0268】
1つの選択的な実施例において、組み込みモジュール1760はさらに、目標摂動区間内で、少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動し、ターゲットサンプルを取得し、サンプル画像を背景として、ターゲットサンプルをサンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得する。
【0269】
1つの選択的な実施例において、目標摂動区間は、掌紋主線摂動区間と掌紋細線摂動区間とを含む。
【0270】
組み込みモジュール1760はさらに、掌紋主線摂動区間内で、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線を摂動し、摂動主線を取得し、掌紋細線摂動区間内で、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線を摂動し、摂動細線を取得し、摂動主線と摂動細線とに基づき、ターゲットサンプルを取得する。
【0271】
1つの選択的な実施例において、組み込みモジュール1760はさらに、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線にノイズを追加する。
【0272】
1つの選択的な実施例において、組み込みモジュール1760はさらに、少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線にノイズを追加する。
【0273】
1つの選択的な実施例において、トレーニングモジュール1770はさらに、ターゲット画像で掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを取得し、データラベルが対応してマークされている少なくとも1つの掌紋データが記憶されている掌紋データセットを取得し、掌紋データおよび掌紋データに対応するデータラベルで、候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、掌紋認証モデルに対してトレーニングして得られたモデルであるターゲット掌紋認証モデルを取得する。
【0274】
1つの選択的な実施例において、トレーニングモジュール1770はさらに、掌紋データを候補掌紋認証モデルに入力し、候補掌紋認証モデルの出力データと、掌紋データに対応するデータラベルとに基づき、掌紋データに対応するロス値を決定し、ロス値で候補掌紋認証モデルをトレーニングし、候補掌紋認証モデルに対するトレーニングがトレーニング目標に達したことに応じて、ターゲット掌紋認証モデルを取得する。
【0275】
上述の通り、掌紋主線の分布法則に基づき、第1の主線の位置決め点、および第2の主線の位置決め点を生成し、掌紋主線の弧度法則に基づき、主線の弧度を制御する調整点データを生成し、第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線を掌紋主線とし、掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成し、掌紋サンプルで掌紋認証モデルをトレーニングする。上記の装置により、掌紋における主線の分布状況で、複数の掌紋サンプルをシミュレーションして取得する。掌紋サンプルは、データ(第1の主線の位置決め点、第2の主線の位置決め点、および調整点データ)を生成することにより決定されるため、生成された掌紋サンプルは大量であり、その数量に上限が設けられないことで、生成された掌紋サンプルがより強い多様性を有することができる。生成された掌紋サンプルに基づいて掌紋認証モデルをトレーニングする場合、掌紋認証モデルに、より多くの掌紋データセットに存在しない紋理固有の法則と情報とを掘り出させ、掌紋データセットの局限性を突破し、掌紋認証モデルのロバスト性を高めることができる。
【0276】
なお、上記実施例に係る掌紋サンプルの生成装置は、上記の各機能モジュールの区分によってのみ例示的に説明したが、実際の使用において、必要に応じて上記の機能を異なる機能モジュールに分配して完成させてもよい。すなわち、機器の内部構造を異なる機能モジュールに分けて、上述の全て、または一部の機能を完成してもよい。なお、上記の実施例に係る掌紋サンプルの生成装置は、掌紋サンプルの生成方法の実施例と同一の概念に属し、その具体的な実現プロセスについては方法の実施例を参照し、ここでは説明を省略する。
【0277】
図19は、本願の1つの例示的な実施例に係るサーバの構造模式図を示す。当該サーバ1900は、中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)1901と、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory,RAM)1902および読み取り専用メモリ(Read Only Memory,ROM)1903を含むシステムメモリ1904と、システムメモリ1904と中央処理装置1901とを接続するシステムバス1905と、を含む。サーバ1900はさらに、操作システム1913と、アプリケーションプログラム1914と、他のプログラムモジュール1915とを記憶するための大容量ストレージ1906を含む。
【0278】
大容量ストレージ1906は、システムバス1905の大容量メモリコントローラ(図示せず)に接続されることにより、中央処理装置1901に接続される。大容量ストレージ1906およびその関連するコンピュータ可読媒体は、サーバ1900に不揮発性記憶装置を提供する。すなわち、大容量ストレージ1906は、ハードディスク、またはCD読み取り専用メモリ(Compact Disc Read Only Memory,CD-ROM)ドライバのようなコンピュータ可読媒体(図示せず)を含むことができる。
【0279】
一般性を喪失せず、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読コマンド、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報を記憶するためのいかなる方法または技術で実現される揮発性および不揮発性、リムーバルおよび非リムーバブルメディアを含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、イレーサブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(Erasable Programmable Read Only Memory,EPROM)、エレクトリカリー・イレーサブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory,EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のソリッドステートドライブ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(Digital Versatile Disc,DVD)または他の光ストレージ、カセット、磁気テープ、ディスクストレージまたは他の磁気記憶装置を含む。当然のことながら、当業者はコンピュータ記憶媒体が上記の数種類に限らないことを理解する。上記のシステムメモリ1904および大容量ストレージ1906をメモリと総称してもよい。
【0280】
本願の各実施例に応じて、サーバ1900はさらにインターネット等のネットワークを介して、ネットワーク上のリモートコンピュータに接続して稼働できる。すなわち、サーバ1900は、システムバス1905上のネットワークインタフェースユニット1911に接続することによりネットワーク1912に接続することができ、または、ネットワークインタフェースユニット1911を用いて、他のタイプのネットワークまたはリモートコンピュータシステム(図示せず)に接続することもできる。
【0281】
上記のメモリはさらに、1つまたは1つ以上のプログラムを含み、1つまたは1つ以上のプログラムはメモリに記憶され、CPUに実行されるように構成される。
【0282】
本願の実施例はさらにコンピュータ機器を提供し、当該コンピュータ機器はプロセッサとメモリとを含み、当該メモリには少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットはプロセッサによりロードされて実行され、上記の各方法の実施例に係る掌紋サンプルの生成方法を実現する。
【0283】
本願の実施例はさらにコンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該コンピュータ可読記憶媒体には少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットはプロセッサによりロードされて実行され、上記の各方法の実施例に係る掌紋サンプルの生成方法を実現する。
【0284】
本願の実施例はさらに、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピュータコマンドを含むコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムを提供する。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から当該コンピュータコマンドを読み取り、プロセッサは当該コンピュータコマンドを実行することで、当該コンピュータ機器に上記の実施例のいずれかに記載の掌紋サンプルの生成方法を実行させる。
【0285】
選択的に、当該コンピュータ可読記憶媒体は、読み取り専用メモリ(ROM,Read Only Memory)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM,Random Access Memory)、ソリッドステートドライブ(SSD,Solid State Drives)または光ディスク等を含んでもよい。ここで、ランダム・アクセス・メモリは、抵抗変化型メモリ(ReRAM,Resistance Random Access Memory)およびダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM,Dynamic Random Access Memory)を含んでもよい。上記の本願の実施例の番号は説明用にすぎず、実施例の優劣を表すものではない。
【0286】
当業者は、上記の実施例を実現する全てまたは一部のステップがハードウェアによってなされてもよく、プログラムによって関連のハードウェアに指示することでなされてもよいことを理解できる。上記のプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、上述の記憶媒体は読み取り専用メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク等であってもよい。
【0287】
以上は本願の選択的な実施例にすぎず、本願を制限するものではない。本願の精神および原則内において行われるいかなる修正、等価交換、改良等は、いずれも本願の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ機器により実行される掌紋サンプルの生成方法であって、
掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成することと、
掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成することであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられることと、
前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成することと、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられることと、を含む
ことを特徴とする掌紋サンプルの生成方法。
【請求項2】
前記掌紋主線の分布法則に応じて位置決め点データを生成することは、
前記掌紋主線の分布法則に応じて、前記掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定することと、
前記第1のエリア内で前記第1の主線の位置決め点に対応する前記第1のデータを決定することと、
前記第2のエリア内で前記第2の主線の位置決め点に対応する前記第2のデータを決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項3】
前記掌紋主線の分布法則に応じて、前記掌紋主線が伸びる方向に対応する第1のエリアと第2のエリアとを決定することは、
前記掌紋主線の分布法則に応じて、前記掌紋主線の分布範囲を確定する掌紋生成エリアを決定することと、
前記掌紋生成エリア内で対角関係を呈する第1の頂点と第2の頂点とを決定することと、
前記第1の頂点を中心とし、第1の所定長さを半径として、前記掌紋生成エリア内で前記第1のエリアを決定することと、
前記第2の頂点を中心とし、第2の所定長さを半径として、前記掌紋生成エリア内で前記第2のエリアを決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項4】
前記第1のエリア内で前記第1の主線の位置決め点に対応する前記第1のデータを決定し、前記第2のエリア内で前記第2の主線の位置決め点に対応する前記第2のデータを決定することは、
前記第1のエリア内で、前記第1の主線の位置決め点に対応する前記第1のデータをランダム選出の方式で決定することと、
前記第2のエリア内で、前記第2の主線の位置決め点に対応する前記第2のデータをランダム選出の方式で決定することと、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項5】
前記掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成することは、
前記掌紋主線の弧度法則に応じて、前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、第3のエリアを決定することと、
前記第3のエリア内で前記調整点データを生成することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項6】
前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点との位置関係に基づき、第3のエリアを決定することは、
前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とを繋いで、目標線分を取得することと、
前記目標線分の線分中間点を中心として、所定の辺長の矩形エリアを前記第3のエリアとすることと、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項7】
前記掌紋サンプルにはさらに掌紋細線が含まれ、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することは、
少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を決定することと、
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記掌紋細線を生成することと、
所定の掌紋の数量範囲内で、前記掌紋主線と前記掌紋細線とを含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成することであって、前記掌紋の数量範囲は掌紋主線の数量範囲および掌紋細線の数量範囲の少なくとも一方を含むことと、を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記掌紋細線を生成することは、
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点を繋いで、掌紋細線を取得することを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記掌紋細線を生成することは、
前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点に基づき、前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点間の弧度を制御するための掌紋細線の調整点を決定し、所定の前記掌紋細線の数量範囲内で、前記少なくとも2つの掌紋細線の位置決め点と、前記掌紋細線の調整点とに基づき、掌紋細線を決定することを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項10】
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成した後、さらに、
少なくとも1つのサンプル画像が記憶されているサンプル画像セットを取得することと、
前記サンプル画像を背景として、前記掌紋サンプルを前記サンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得することと、
前記ターゲット画像で前記掌紋認証モデルをトレーニングすることと、を含む
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項11】
前記サンプル画像を背景として、前記掌紋サンプルを前記サンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得することは、
目標摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動し、ターゲットサンプルを取得することと、
前記サンプル画像を背景として、前記ターゲットサンプルを前記サンプル画像上に組み込み、ターゲット画像を取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項12】
前記目標摂動区間は、掌紋主線摂動区間と掌紋細線摂動区間とを含み、
前記目標摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動し、ターゲットサンプルを取得することは、
前記掌紋主線摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線を摂動し、摂動主線を取得することと、
前記掌紋細線摂動区間内で、前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線を摂動し、摂動細線を取得することと、
前記摂動主線と前記摂動細線とに基づき、前記ターゲットサンプルを取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動することは、
前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋主線にノイズを追加することを含む
ことを特徴とする請求項11に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの掌紋サンプルを摂動することは、
前記少なくとも1つの掌紋サンプルに対応する掌紋細線にノイズを追加することを含む
ことを特徴とする請求項11に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項15】
前記ターゲット画像で前記掌紋認証モデルをトレーニングすることは、
前記ターゲット画像で前記掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを取得することと、
データラベルが対応してマークされている少なくとも1つの掌紋データが記憶されている掌紋データセットを取得することと、
前記掌紋データおよび前記掌紋データに対応するデータラベルで、前記候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、掌紋認証モデルに対してトレーニングを行って得られるモデルであるターゲット掌紋認証モデルを取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項16】
前記掌紋データおよび前記掌紋データに対応するデータラベルで、前記候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行い、ターゲット掌紋認証モデルを取得することは、
前記掌紋データを前記候補掌紋認証モデルに入力し、前記候補掌紋認証モデルの出力データと、前記掌紋データに対応するデータラベルとに基づき、前記掌紋データに対応するロス値を決定することと、
前記ロス値で前記候補掌紋認証モデルをトレーニングすることと、
前記候補掌紋認証モデルに対するトレーニングがトレーニング目標に達したことに応じて、前記ターゲット掌紋認証モデルを取得することと、を含む
ことを特徴とする請求項15に記載の掌紋サンプルの生成方法。
【請求項17】
掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成する位置決め点生成モジュールと、
掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成する調整点生成モジュールであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられる調整点生成モジュールと、
前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成する主線生成モジュールと、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するサンプル生成モジュールであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるサンプル生成モジュールと、を含む
ことを特徴とする掌紋サンプルの生成装置。
【請求項18】
プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたは前記コマンドセットは前記プロセッサによりロードされて実行されることにより、
掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成するステップと、
掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成するステップであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられるステップと、
前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成するステップと、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するステップであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるステップと、を実現するための
請求項1~のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法を実現することを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項19】
コンピュータプログラムまたはコマンドを含み、前記コンピュータプログラムまたはコマンドがプロセッサにより実行されることにより、
掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成するステップと、
掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成するステップであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられるステップと、
前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成するステップと、
前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するステップであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるステップと、を実現するための
請求項1~のいずれか1項に記載の掌紋サンプルの生成方法を実現することを特徴とするコンピュータプログラ
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
本願の実施例は機械学習分野に関し、特に掌紋サンプルの生成方法、掌紋サンプルの生成装置、コンピュータ機器およびコンピュータプログラに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本願の実施例は、掌紋サンプルの生成方法、掌紋サンプルの生成装置、コンピュータ機器およびコンピュータプログラを提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
別の一態様において、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリには少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたはコマンドセットは前記プロセッサによりロードされて実行されることにより、掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成するステップと、掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成するステップであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられるステップと、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成するステップと、前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するステップであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるステップと、を実現するためのコンピュータ機器を提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
別の一態様において、少なくとも1つのコマンド、少なくとも1つのプログラム、コードセットまたはコマンドセットが記憶され、前記少なくとも1つのコマンド、前記少なくとも1つのプログラム、前記コードセットまたはコマンドセットはプロセッサによりロードされて実行されることにより、掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成するステップと、掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成するステップであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられるステップと、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成するステップと、前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するステップであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるステップと、を実現するためのコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
別の一態様において、コンピュータプログラムまたはコマンドを含み、前記コンピュータプログラムまたはコマンドがプロセッサにより実行されることにより、掌紋主線の分布法則に応じて、第1の主線の位置決め点に対応する第1のデータと、第2の主線の位置決め点に対応する第2のデータとが含まれる位置決め点データを生成するステップと、掌紋主線の弧度法則に応じて調整点データを生成するステップであって、前記調整点データに対応する主線の調整点が前記第1の主線の位置決め点と前記第2の主線の位置決め点とにより構成される主線の弧度を制御するために用いられるステップと、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記調整点データとに基づいて、前記第1の主線の位置決め点、前記主線の調整点、および前記第2の主線の位置決め点を順に繋いだ曲線である掌紋主線を生成するステップと、前記掌紋主線を含む少なくとも1つの掌紋サンプルを生成するステップであって、前記掌紋サンプルは掌紋認証モデルをトレーニングするために用いられ、前記掌紋認証モデルは掌紋認証を行うために用いられるステップと、を実現するためのコンピュータプログラムを提供する。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から当該コンピュータコマンドを読み取り、プロセッサは当該コンピュータコマンドを実行することで、当該コンピュータ機器に上記の実施例のいずれかに記載の掌紋サンプルの生成方法を実行させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
選択的に、掌紋が手の平の掌紋の場合、掌紋主線の分布状況は通常、対角関係を示し、すなわち手の平の掌紋主線の分布法則は対角線法則である。模式的に、左手の手の平を例にすると、掌紋主線は一般的に左上から始まり、右下で終わり、右手の手の平を例にすると、掌紋主線は一般的に右上から始まり、左下で終わる。図3に示すのは、左手の手の平の掌紋の模式図であり、手の平の中心エリア310には、掌紋主線320と掌紋細線330とが含まれ、太い線が掌紋主線320を示し、細い線が掌紋細線330を示す。すなわち、手の平の中心エリア310には3本の掌紋主線320と、13本の掌紋細線330とが含まれる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
(1)指間キーポイントの位置決め
選択的に、ターゲット検出器を用いて手の指間を検出し、人差し指810と中指820との間のキーポイントA、中指820と薬指830との間のキーポイントB、および薬指830と小指との間のキーポイントCを決定し、キーポイントA、キーポイントB、およびキーポイントCを3つの指間キーポイントとして決定し、指間キーポイントの位置決めの位置決め結果とする。模式的に、ターゲット検出器を用いて手の指間を検出する場合、2本の間の中間点位置を指間キーポイント位置とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0158】
選択的に、一次方程式の方法により第3のエリアを決定する。一次方程式は第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とにより一義的に決定される。模式的に、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを繋ぐ目標線分が存在する直線を直線Aと定義し、直線Aはy=kx+bである。同様に、中間点座標(x,y)を通り、且つ直線Aに垂直な直線Bをy=kx+bと定義する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0172
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0172】
模式的に、掌紋主線は第1の主線の位置決め点、主線の調整点、および第2の主線の位置決め点を順に繋いで得られた曲線である。ここで、第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点との座標位置が決定されており、主線の調整点は第1の主線の位置決め点と第2の主線の位置決め点とを繋いだ線分の弧度を調整できることで、異なる掌紋主線を所得できる。すなわち、主線の調整点の位置と掌紋主線の形成とは密接な関係がある。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0200
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0200】
ここで、Pはi番目の掌紋サンプルにおける掌紋主線を示し、P は掌紋主線を基に摂動ノイズが加えられたj番目の掌紋サンプルを示し、Nは掌紋主線に加えられた摂動ノイズを示し、Qはi番目の掌紋サンプルにおける掌紋細線を示し、Q は掌紋細線を基に摂動ノイズが加えられたj番目の掌紋サンプルを示し、Nは掌紋細線に加えられた摂動ノイズを示す。選択的に、摂動ノイズN~N(μ,0.04)、摂動ノイズN~N(μ,0.01)は、いずれも非常に小さいガウスノイズである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0226
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0226】
模式的に、生成された掌紋サンプルを掌紋認証モデルのトレーニング段階でモデル性能を向上させるために用い、すなわち、掌紋サンプルまたは掌紋サンプルに対応するターゲット画像で掌紋認証モデルに対して第1のトレーニングを行い、候補掌紋認証モデルを取得し、この時の候補掌紋認証モデルは、生成された掌紋サンプルの紋理情報をよりよく学習できる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0227
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0227】
1つの選択的な実施例において、候補掌紋認証モデルを現実の状況に適用する場合を考慮して、掌紋データおよび掌紋データに対応するデータラベルを用いて、候補掌紋認証モデルに対して第2のトレーニングを行う。ここで、第2のトレーニングは、生物が有する掌紋データで、候補掌紋認証モデルの、実際の掌紋に対する認証モデルを向上させるために用いられる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【国際調査報告】