(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】多機能メタ表面フラット光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532185
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022077223
(87)【国際公開番号】W WO2023097130
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】フー ジュエジュン
(72)【発明者】
【氏名】グー ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファン
(72)【発明者】
【氏名】アン センソン
(72)【発明者】
【氏名】リン フン-アイ
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA50
2H249AA55
2H249AA60
2H249AA65
(57)【要約】
複数のメタ原子から形成される多機能メタ表面を含む、メタ光学システムが記載される。多機能メタ表面は、メタ表面上に入射する光の二つ以上の異なる状態に対して、二つ以上の異なる光学機能を示してもよい。光の異なる状態には、異なる偏光、異なる波長、および異なる入射角が含まれる。異なる光学機能には、距離センシング、収束、発散、イメージ形成、およびパターン化された光形成を含まれる。多機能メタ表面は、入射ビームの光の状態に応じて、入射ビームに異なる位相プロファイルを選択的に付与することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系であって、
基材と、
前記基材の第一の側面上に配置され、第一の状態の第一の入射光に深度に敏感な位相プロファイルを付与し、前記第一の状態とは異なる第二の状態の第二の入射光に、深度に敏感でない位相プロファイルを付与するように構成された、複数のメタ原子を含むメタ表面と
を備える、光学系。
【請求項2】
前記深度に敏感な位相プロファイルが、その位置が深度に従って変化する二つの焦点によって特徴付けられ、前記深度に敏感でない位相プロファイルが、立方位相プロファイルを含む、請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第一の状態が第一の偏光状態であり、前記第二の状態が第二の偏光状態である、請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記第一の状態が第一の波長状態であり、前記第二の状態が第二の波長状態である、請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記基材の前記第一の側面の反対側の前記基材の第二の側面上に配置され、前記光学系によって視認されるシーンのイメージ平面上に画像を形成するように構成された、第二のメタ表面をさらに備える、請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記イメージ平面がフラットである、請求項5に記載の光学系。
【請求項7】
前記第二のメタ表面が、前記第一の入射光および前記第二の入射光を、前記イメージ平面に向けるように構成された、請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
光学センシングシステムであって、
請求項1に記載の光学系と、
前記光学系と光学的に連通するフィルタと、
前記第一の状態で前記第一の入射光を受信し、前記第二の状態で前記第二の入射光を受信しないように、前記フィルタと光学的に連通する、第一のイメージセンサと、
前記第二の状態で前記第一の入射光を受信し、前記第一の状態で前記第一の入射光を受信しないように、前記フィルタと光学的に連通する、第二のイメージセンサと
を備える、光学センシングシステム。
【請求項9】
光学センシングシステムであって、
請求項1に記載の光学系と、
前記光学系と光学的に連通する切替可能なフィルタと、
前記光学系と光学的に連通するイメージセンサと
を備える、光学センシングシステム。
【請求項10】
前記切替可能なフィルタが、第一の構成において、第一の偏光状態の第一の光を伝達し、かつ第二の偏光状態の第二の光の伝達を抑制し、第二の構成において、前記第二の偏光状態の前記第二の光を伝達し、かつ前記第一の偏光状態の前記第一の光の伝達を抑制する、請求項9に記載の光学センシングシステム。
【請求項11】
前記切替可能なフィルタが、第一の構成において、第一の波長の第一の光を伝達し、かつ第二の波長の第二の光の伝達を抑制し、第二の構成において、前記第二の波長の前記第二の光を伝達し、前記第一の波長の前記第一の光の伝達を抑制する、請求項9に記載の光学センシングシステム。
【請求項12】
異なる偏光の光で前記光学系によって視認されるシーンを照射するように構成された発光体を備える、請求項9に記載の光学センシングシステム。
【請求項13】
異なる波長の光で前記光学系によって視認されるシーンを照射するように構成された発光体をさらに備える、請求項9に記載の光学センシングシステム。
【請求項14】
多機能光学系であって、
第一の透明基材と、
前記第一の透明基材から離間した第二の透明基材と、
前記第一の透明基材の第一の表面上に配置された第一の複数のメタ原子を含む、第一のメタ表面と、
前記第二の透明基材の第二の表面上に配置された第二の複数のメタ原子を含む、第二のメタ表面と
を備え、
前記第一のメタ表面および前記第二のメタ表面が、第一の状態の第一の入射光を、第一の倍率を有するイメージ平面に集束させるか、または第一の光学機能を実行し、および前記第一の状態とは異なる第二の状態の第二の入射光を、前記第一の倍率とは異なる第二の倍率を有する前記イメージ平面に集束させるか、または前記第一の光学機能とは異なる第二の光学機能を実行するように構成され、
前記第一の透明基材、前記第二の透明基材、および前記イメージ平面の相対位置が、前記第一の入射光を前記第一の状態に集束させ、前記第二の入射光を前記第二の状態に集束させる時に、変化しないままである、多機能光学系。
【請求項15】
前記第一のメタ表面が、前記第一の入射光を前記第一の状態で収束させ、前記第二の入射光を前記第二の状態で発散させるように構成され、前記第二のメタ表面が、前記多機能光学系が同焦点ズームレンズとして機能するように、前記第一の入射光を前記第一の状態で収束させ、前記第二の入射光を前記第二の状態で収束させるように構成された、請求項14に記載の多機能光学系。
【請求項16】
前記第一のメタ表面が、前記第一の状態の前記第一の入射光および前記第二の状態の前記第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、前記第一の状態の前記第一の入射光を伝達し、前記第二の状態の前記第二の入射光を遮断、吸収、反射、および/または偏向するように構成された、第二のゾーンとを画定する、請求項14に記載の多機能光学系。
【請求項17】
前記第一のメタ表面が、前記第一の状態の前記第一の入射光および前記第二の状態の前記第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、前記第一の状態で前記第一の入射光を伝達し、前記第二の状態で前記第二の入射光を前記第一の透明基材の臨界角よりも小さい角度で前記第一の透明基材に結合するように構成された、第二のゾーンとを画定する、請求項14に記載の多機能光学系。
【請求項18】
多機能光学系であって、
透明基材と、
前記透明基材の第一の表面上に配置された第一の複数のメタ原子を含む、第一のメタ表面と、
前記透明基材の第二の表面上、または第二の透明基材の第二の表面上に配置された第二の複数のメタ原子を含む、第二のメタ表面と
を備え、
前記第一のメタ表面および前記第二のメタ表面が、第一の状態の第一の入射光に対して第一の光学機能を実行し、前記第一の状態とは異なる第二の状態の第二の入射光に対して第二の光学機能を実行するように構成され、前記第一の光学機能が、距離センシングすること、画像を投影すること、または前記第一の入射光のパターンを投影することを含む、多機能光学系。
【請求項19】
前記第一のメタ表面が、前記第一の入射光を前記第一の状態で収束させ、前記第二の入射光を前記第二の状態で発散させるように構成され、前記第二のメタ表面が、前記多機能光学が同焦点ズームレンズとして機能するように、前記第一の入射光を前記第一の状態で収束させ、前記第二の入射光を前記第二の状態で収束させるように構成された、請求項18に記載の多機能光学系。
【請求項20】
前記第一のメタ表面が、前記第一の状態で前記第一の入射光をおよび前記第二の状態で前記第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、前記第一の状態で前記第一の入射光を伝達し、前記第二の状態で前記第二の入射光を遮断、吸収、反射、および/または偏向するように構成された、第二のゾーンとを画定する、請求項18に記載の多機能光学系。
【請求項21】
前記第一のメタ表面が、前記第一の状態で前記第一の入射光をおよび前記第二の状態で前記第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、前記第一の状態で前記第一の入射光を伝達し、前記第二の状態で前記第二の入射光を、前記第二の入射光を、前記第二の入射光を遮断、吸収、反射、および/または偏向するように構成された前記第二のメタ表面の領域に結合するように構成された、第二のゾーンとを画定する、請求項18に記載の多機能光学系。
【請求項22】
光学センシング/結像システムであって、
請求項18に記載の多機能光学系と、
前記多機能光学系と光学的に連通する切替可能なフィルタと、
前記多機能光学系と光学的に連通するイメージセンサと
を備え、
第一の構成の前記切替可能なフィルタが、第一の構成において、第一の偏光状態、第一の波長、または第一の軌道角運動量の、前記第一の入射光を伝達し、第二の構成において、第二の偏光状態、第二の波長、または第二の軌道角運動量の、前記第二の入射光を伝達する、光学センシング/結像システム。
【請求項23】
異なる波長、異なる偏光状態、または異なる軌道角運動量の光で、多機能光学系によって視認されるシーンを照射するように構成された、発光体をさらに備える、請求項22に記載の光学センシング/結像システム。
【請求項24】
光学投影システムであって、
請求項18に記載の多機能光学系と、
前記多機能光学系と光学的に連通する切替可能なフィルタと、
前記多機能光学系と光学的に連通する発光体アレイと
を備え、
前記切替可能なフィルタが、異なる偏光状態の中から選択された偏光状態、異なる波長の中から選択された波長、または異なる軌道角運動量の中から選択された軌道角運動量の、前記第一の入射光を選択的に伝達するように構成された、光学投影システム。
【請求項25】
前記発光体アレイがマイクロディスプレイである、請求項24に記載の光学投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、合衆国法典第35編第119条(e)に基づき、「Multifunctional Metasurface Flat Optics」と題される、2021年11月29日に出願された米国仮出願第63/283,803号の利益を主張し、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(政府支援)
本発明は、国防高等研究計画局(DARPA)により付与された、グラント番号HR0011-1-72-0029号に基づく、政府支援を受けて行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
メタ光学系(meta-optics)は、より従来のレンズ、位相マスク、およびフィルタ光学システムの、代替的な光学部品およびシステムとして開発され続けている。メタ光学系は、光が通過する基材の少なくとも一つの表面上に、マイクロスケール構造のパターン化された配列を含む。構造の形状および表面上のそれらのレイアウトは、メタ光学系上に入射する光場の、所望の遠視野パターンまたは波面を提供するように設計されてもよい。メタ光学系は、光学収差を補償するように設計することができる(例えば、高解像度の、非常に広い視野イメージングを得るために)。従来の光学システムに対するメタ光学系の利点は、最高で同様の光学性能を有する複合レンズを形成するために、一つ以上のレンズ上の曲面を研削および研磨する代わりに、従来の微細加工技術を使用して、平面を有する基材上に、高品質の光学系を作製することができることにある。
【発明の概要】
【0004】
本技術は、サブ波長光学系、メタ表面、メタマテリアル、多機能フラット光学デバイス、アーキテクチャ、ならびに従来のバルク光学系と比較して、性能の向上、新規な機能、およびより大きな構造的単純性を提供するシステムを含む、光学系および光学システムに関する。こうした光学デバイスおよびシステムは、コンピューテーショナルイメージング、三次元(3D)センシング、イメージング、およびその他の用途に有用である。より一般的には、多機能メタ表面フラット光学系の用途としては、イメージング、センシング、およびマシンビジョン、画像分類、圧縮センシング、マルチスペクトルイメージング、明視野イメージング、計算、偏光測定などの光コンピューティング技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
いくつかの実施では、メタ光学系は、二つ以上の光学状態または光学機能を示してもよい。各メタ光学系の光学状態は、シーンの異なる情報を取り込み(例えば、異なるスペクトル、または偏光チャネルを使用して)、または後続のデータ融合または再構成のために異なる光学機能を実行することができる(例えば、イメージングのための一つの状態、およびエッジ検出を行うための一つの状態)。エッジ検出は、二次空間微分を実行するための、二次元ラプラス演算子位相プロファイルを使用して実行してもよい。別の実施例では、一つの光学状態は、空間情報を取り込むために使用されてもよく、一つの状態は、スペクトル/偏光情報などを取り込むために使用されてもよい。
【0006】
本発明のメタ光学系アーキテクチャは、基材と、基材の一方の側面上に位置付けられた多重化メタ表面を含んでもよい。多重化メタ表面は、光の特性(例えば、その偏光、波長、入射角など)に従って、入射光に異なる影響を与える、少なくとも二つのモードで動作するように構成される。一例として、偏光依存性多機能メタ光学系を実現するために、多重化メタ表面は、異なる偏光状態(例えば、x偏光に対する第一の光学応答、およびy偏光に対する第二の光学応答)、または異なる波長を有する光に対して、異なる光学応答を提供して、例えば、イメージングされたシーンに関する異なる情報を取得するように設計される。異なる光学応答を提供することによって、メタ光学系は、異なる機能を有する波面符号化要素として、効果的に動作することができる。偏光子、フィルタ、または照射光源を切替えて、入射光の偏光状態、波長、または入射角を変化させることで、多重化メタ光学系から所望の光学応答を選択することができる。いくつかの実施では、三つ以上の光学応答が、メタ光学系から可能である。異なる偏光状態に対する異なる光学応答に加えて、メタ光学系はまた、複数のタスクに対して多重化された機能を提供するために、入射光の他の状態(例えば、異なる波長状態、異なる入射角状態など)に対する、他の光学応答を示すように設計されてもよい。
【0007】
本技術は、基材と、基材の第一の側面上に配置されたメタ表面を備える、光学系として実施されてもよい。メタ表面は、第一の状態で、入射光に深度に敏感な位相プロファイルを付与し、第一の状態とは異なる第二の状態で、入射光に深度に敏感でない位相プロファイルを付与するように構成されてもよい。
【0008】
本技術の他の実施形態は、同焦点ズームレンズを含む。本発明の同焦点ズームレンズは、第一の透明基材と、第一の透明基材から離間した第二の透明基材と、第一の透明基材の表面上に配置された第一のメタ表面と、第二の透明基材の表面上に配置された第二のメタ表面を含んでもよい。あるいは、第一のおよび第二のメタ表面は、同一の透明基材の第一のおよび第二の表面上に配置されてもよい。両方の場合で、第一のおよび第二のメタ表面は、第一の状態の光から第一の光強度/フィールド分布を生成し、第一の状態とは異なる第二の状態の光から第一の光強度/フィールド分布とは異なる第二の光強度/フィールド分布を生成するように、構成される。例えば、第一のおよび第二のメタ表面は、異なる倍率を有する同一の焦点面に、水平および垂直に偏光された光を集束させてもよい。
【0009】
前述の概念および以下でより詳細に論じる追加的概念の全ての組合わせは(このような概念は相互に矛盾していないという前提で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図される。特に、本開示の最後に現れる、特許請求の範囲に記載する主題の全ての組合わせは、本明細書に開示する発明主題の一部であると考えられる。参照により本明細書に組込まれる、あらゆる開示においても明示的に用いられる用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を与える必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
当業者であれば、図面が主として例示的な目的で提示されていて、本明細書に記載の本発明の主題の範囲を制限することを意図していないことを理解するであろう。図面は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、いくつかの事例では、本明細書に開示される本発明の主題の種々の態様は、異なる特徴の理解を促進するために、図面中で誇張または拡大されて示される場合がある。図面では、同様の参照文字は、一般に、同様の特徴(例えば、機能的に類似したおよび/または構造的に類似した要素)を意味する。
【0011】
【
図1A-B】
図1Aは、コンピューテーショナルイメージングのための前方メタ表面、および広視野(FOV)イメージングのための後方メタ表面を組み込んだ、3Dイメージング/センシングメタ光学系アーキテクチャの斜視図を示す。
図1Bは、
図1Aの3Dイメージング/センシングメタ光学系アーキテクチャの立面図を示す。
【
図1C】
図1Cは、メタ表面に対して異なるスーパーセルを形成するように配置されたメタ原子の、5つの9×9ユニットセル配列を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明のメタ表面での使用に適した、偏光感度のある非晶質シリコン-オン-シリカのメタ原子の斜視図を示す。
【
図2B】
図2Bは、x偏光およびy偏光に対する、
図2Aのメタ原子のシミュレーションによる位相プロファイル間の差をプロットする。
【
図2C】
図2Cは、各々
図2Aと同様であるが、異なるx寸法およびy寸法を有する、偏光感度のあるメタ原子のアレイを有する、メタ表面レイアウトの一部を示す。
【
図3】
図3は、メタ表面にわたってメタ原子を選択および配列するための、修正された直接的探索プロセスのフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、メタ光学系からの深度または距離の関数として回転する焦点を生成する、深度に敏感なメタ光学系の性能をシミュレートするためのモデルを示す。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aのメタ光学系に対する、焦点の配向対深度のプロットである(挿入画像に示される位相プロファイル)。
【
図4C】
図4Cは、
図4Aのメタ光学系からの、異なる深度に位置付けられる、点光源オブジェクトの点像分布関数のシミュレーションをプロットする。
【
図5A】
図5Aは、本発明のメタ光学系を使用した、画像再構成および深度推定プロセスを示す。
【
図5B】
図5Bは、3Dオブジェクトのシミュレーション(左)、本発明のメタ光学系で取得された3Dオブジェクトの再構成画像のシミュレーション、および
図5Aのプロセス(中央)、および本発明のメタ光学系の二重螺旋点像分布関数(DH-PSF)(右)を示す。
【
図5C】
図5Cは、DH-PSFに基づいて、メタ光学系からイメージングされた3Dオブジェクトの推定深度を、メタ光学系からの3Dオブジェクトの実際の深度に対してプロットする。
【
図6】
図6は、異なる特性(例えば、異なる偏光状態)を有する光を示す、実線および破線を有する、二つの多重化メタ表面(MS-1、およびMS-2)を有する同焦点ズームレンズの概略図である。
【
図7A】
図7Aは、ほぼ回折限界の結像性能を有する第一の状態(例えば、偏光1)で、40度のFOVで動作する、二つの多重化メタ表面を組み込む、10Xの同焦点ズームレンズの設計および光学シミュレーション結果を示す。
【
図7B】
図7Bは、ほぼ回折限界の結像性能を有する第二の状態(例えば、偏光2)で、4度のFOVで動作する、
図7Aの10Xの同焦点ズームレンズを示す。
【
図8】
図8は、多機能メタ光学系を含む、光学システムの図および実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.3Dイメージングのためのコンピューテーショナルメタ光学系(Computational Meta-Optics)
コンピューテーショナルメタ表面フラット光学系(computational metasurface flat optics)に基づく3Dイメージング/センシングアーキテクチャは、劇的に強化された性能、および超小型のフラットなフォームファクタを提供する。このアプローチは、超広視野(FOV)およびコンピューテーショナルイメージング能力を、わずか単一部品の光学系で兼ね備えているが、いくつかの事例では、二つ以上の光学系を使用することができる。小型で多機能なメタ光学系デバイスには、以下の特徴が含まれる:(1)多機能多重化フラット光学系設計、(2)高解像度イメージングを備えた超広視野(例えば、100°~ほぼ180°)、(3)拡張被写界深度(EDOF)、および(4)一体型で、超小型で、軽量の光学アーキテクチャ。多重化メタ光学系および広視野特徴は、いくつかの実装のために分離されて、異なるFOV、例えば、1°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°、または1°~180°の任意の部分範囲を、提供することができる。有利なことに、一つ以上のメタ表面を有するメタ光学系は、使用時にメタ光学系にいかなる変更も行わずに、広視野および多重化光学機能の両方を同時に実現することができる。
【0013】
こうした多機能メタ光学系の光学構造およびメタ表面設計は、ファウンドリ製造と互換性があり、したがって、超小型センサモジュール内で、市販のイメージセンサおよび発光体との、低コストの製造および統合を可能にする。例えば、メタ光学系センサモジュールは、いくつかの事例では、0.1立方センチメートル(cc)~10cc、またはいくつかの事例では、0.1cc~1ccのフォームファクタを有してもよい。
【0014】
既存の3Dセンサは、典型的には、例えば、構造化光(SL)、飛行時間(TOF)、および能動/受動の立体視イメージングアプローチにおいて行われ得る、深度を認識するために、能動的照射および/または三角測量技術に依存する。あるいは、深度情報は、結像システムを集束解除するときに生じる、軸方向依存性の画像収差を分析する、DFD(depth from defocus)法を使用して抽出されてもよい。光学システム構成を簡略化する一方で、こうしたDFDアプローチは、従来のレンズの深度分解能が、オブジェクトの深度と共にゆっくりと変化する、それらの点像分布関数(PSF)によって基本的に制限されるため、深度精度の劣化を被るか、または動的な画像取得を必要とする。「深度」という用語は、典型的には、結像レンズまたは結像システムからのオブジェクトの距離を指すために、当分野で使用される。
【0015】
深度を決定する代替的なアプローチは、PSFを空間的に操作して、その深度識別能力を強化することによって、開発されてきた。異なる方法の中で、二重螺旋PSF(DH-PSF)アプローチは、結像レンズまたは結像システムからのオブジェクトの深度が変化するにつれて連続的に回転する、二つのローブを生成する、3D PSFを生成することによって、深度を区別するのに効果的であることが、首尾よく示されている。DH-PSF機能は、その位相プロファイルを、DH-PSFと深度に敏感でない位相との間で切替える空間光変調器(SLM)を組み込むこと、またはイメージセンサによって取り込むための隣り合わせの画像を生成する、一対の横方向に隣接した位相マスクを有する二重開口メタ表面構成を使用すること、のいずれかによって実現されている。両方のアプローチは、深度精度および被写界深度の観点から性能の向上を示すが、前者は、かなり複雑な光学設定(SLM、4f相関器、および結像レンズを含む)となり、後者は、最終的に効率およびカメラ小型化を犠牲にし、他の光学機能を組み込むことが困難である、共有の開口部に依存する。
【0016】
図1Aおよび
図1Bは、光学性能が著しく向上し、潜在的に非常に小さな光学系寸法を有する、メタ光学系100とも呼ばれる、多機能の多重化メタ表面フラット光学系を示す。メタ光学系は、前面(第一の表面)上に位置付けられた第一の多重化メタ表面110(コンピューテーショナルイメージング用)と、裏面(第二の表面)上に位置付けられた第二のメタ表面120(広視野イメージング用)を有する、単一のフラットな透明基材105を含む。前方多重化メタ表面は、入射光の特性(例えば、その偏光、波長、入射角など)に応じて異なる、入射ビームの位相面をエンコードする、少なくとも二つのモード(例えば、少なくとも二つの光学機能を提供する)で動作するように構成される。入射角に関して、異なる入射角値(例えば、二つの異なる仰角)および/または異なる入射角方向(例えば、二つの異なる方位角で同一の仰角)に対して、異なる光学機能を引き出すことができる。さらに、異なる軌道角運動量に対して、異なる光学機能を引き出すことができる。符号化は、イメージの後処理を支援するため、および/または異なる光学機能を実現するために光を異なるように調節するために、使用されてもよい。
【0017】
いくつかの事例では、異なる入射角(AOI)を有する光線160は、第一のメタ表面110によって生成され、その後、後方側の第二のメタ表面120に伝達され、イメージセンサが位置する平面(すなわち、フラットな)イメージ平面140上に集束されてもよいが、一部の実装では、イメージ平面は、一次元(円筒状、放物線状など)、または二次元(球状、放物線状など)で湾曲されてもよい。焦点は、いくつかの事例では、イメージ平面140上で空間的に分離されてもよく、その結果、それらの対応する電子画像(例えば、CCDカメラまたはCMOS撮像アレイによって取り込まれてもよい)は、互いに独立して動作されてもよい。光線の分離は、第一のメタ表面110上に入射する光の、偏光、波長、または入射角に依存してもよい。
【0018】
いくつかの例示的な多機能メタ光学系が、ここで検討される。第一の例は、入射光の偏光状態または軌道角運動量(OAM)状態に基づいて、少なくとも二つの光学機能の間を切替えることができる、多機能メタ光学系である。偏光状態は、垂直および水平(または、矢状方向および接線方向)、右および左の円偏光、ならびに異なる楕円偏光状態などの、従来の直交状態を含んでもよい。偏光多重化メタ表面については、偏光状態間の切替は、メタ表面が設計された特定の機能(例えば、収束レンズまたは発散レンズ)を、効果的に選択することができる。偏光の切替えは、偏光されていない光源の入射光ビーム経路内で偏光子を回転させることによって、偏光された光源のビーム経路内で半波長板を回転させることによって、偏光光源を回転させることなどによって、行うことができる。いくつかの事例では、制御可能な液晶デバイスを使用して、入射光の偏光状態を変更してもよく、または液晶デバイスをフィルタとして機能してもよい。こうした実装では、偏光状態を変更することは、メタ表面によって提示される位相プロファイルを効果的に変更する。他の事例では、異なるフィルタリング特性を有する、フィルタまたは画素化されたフィルタアレイは、イメージセンサまたはセンサ画素アレイに統合されてもよく、その結果、異なる光特性(例えば、偏光状態、または波長)に対応して生成された画像は、異なるセンサまたはセンサ画素によって取り込まれてもよい。OAM選択的なメタ表面は、異なるOAMモードで、画像を取り込むように構築されてもよい。こうしたメタ表面はさらに一緒に重ね合わされて、多重化OAMメタ表面を形成して、複数のOAMモードの画像を取り込むようにしてもよい。
【0019】
偏光の切替え(およびメタ光学位相プロファイルの効率的な切替)により、前面メタ表面がシーンの異なる情報を取り込むことが可能になり、後処理を介した高品質の3Dシーン再構成または情報抽出が可能になる。3Dセンシングまたは受動測距については、例えば、前方多重化メタ表面は、異なる偏光を有する光の下で少なくとも二つの異なる位相プロファイル、(1)オブジェクトが深度においてシフトするにつれて回転する二つの焦点を生成する、深度に敏感な位相プロファイル、および(2)以下でさらに説明するように、深度に敏感でない応答を生成する深度に敏感でない位相プロファイルを有するように設計されてもよい。8つの位相レベルが二つπの位相範囲をカバーするために使用されると仮定すると、前方多重化メタ表面は、合計82=64個の異なるタイプのメタ原子を含んでもよく、各メタ原子は、異なる偏光下で二つの位相値の別個の組合わせを提供する。より多くの位相プロファイル(すなわち、光学機能)、および/または位相レベルが含まれる場合、m個の個別位相レベルを有する、n個の任意の位相プロファイルを実現するために、合計mn個のメタ原子設計が使用されてもよい。
【0020】
後方メタ表面は、偏光感度がない(例えば、異なる偏光に対する対称メタ原子形状)ように設計されて、全ての状況下で広い光収集角度を維持するか、または計算プロセスをさらに多重化するために偏光感度が高い。偏光に加えて、メタ表面はまた、入射光の他の特性(例えば、波長、入射角など)に基づいて、異なる位相プロファイルを付与するように設計することができる。これらの位相プロファイルは、各メタ表面に割り当てられた他の光学処理/計算タスクを含む、複数のタスクを達成するための、追加の多重化機能を提供することができる。
【0021】
入射光の特性に応じて、メタ原子はまた、個々のメタ原子またはメタ原子の群(すなわち、スーパーセル)として使用された時に、異なる機能/応答を提供するように構成されてもよい。
図1Cは、各々がメタ原子の81個のユニットセル175から構成される、5個の異なるスーパーセル170-1、170-2、…170-5の例を示す。各ユニットセル175は、多くのメタ原子を含んでもよい。スーパーセル170を構成する、任意の数のユニットセル175が存在してもよい。メタ原子のこのようなスーパーセルは、面内(例えば、基材にわたって同一の表面上に位置付けられたメタ原子)、面外(例えば、基材上の互いに異なる表面または層上に位置付けられたメタ原子)、または両方の組合わせであってもよい。メタ原子の複数の層を積み重ねて、異なる光学機能または応答を提供してもよい。
【0022】
メタ表面は、アレイ状に配置された複数のスーパーセル170を含んでもよい。スーパーセル170は、入射光の特性に応じて、異なる集合的光学応答を提供するように構成されてもよい。例えば、メタ表面は、少なくとも二つのピッチによって特徴付けられてもよく、少なくとも二つの波長で動作してもよい。例えば、ユニットセル175内の個々のメタ原子、および/またはそれらの間隔もしくはピッチは、第一の波長(例えば、より小さな波長)の光を変調するように構成され、複数のメタ原子(例えば、ユニットセル175、またはスーパーセル170)の群、および/またはそれらの間隔もしくはピッチは、第二の波長(例えば、より大きな波長)の光を変調するように構成される。
【0023】
異なるスーパーセル170は、異なる光学機能を提供してもよい。例えば、スーパーセル170-2のユニットセル175は、
図1Cに示されるように、異なる光学機能を提供するために、異なるスーパーセル170-3、170-4、170-5を形成するように、再配置されてもよい。ユニットセル175、およびスーパーセル170は、各々、第一のおよび第二の波長で動作するように設計されてもよい。
図1Cに示す四つのスーパーセル170-2、170-3、170-4、170-5について、ユニットセル175は、スーパーセル170上に入射する第一の波長の光ビームに、異なる位相プロファイル(スーパーセルにわたって変動)を提供してもよいが、第二の波長の光ビームは、均一な位相プロファイル(スーパーセルにわたって位相の変動なし)を視認することができる。ユニットセルの異なる配置では、メタ表面を形成して、二つ以上の波長で多重化された機能を提供することができる。例えば、スーパーセル上に入射する第一の波長の第一の光ビームは、第一の光学変換(例えば、第一の波長の平行ビームを、スーパーセルによって発散させることができる)を起こし、一方、同一のスーパーセル上に入射する第二の波長の第二の光ビームは、第一の光学変換とは異なる第二の光学変換を起こすことができる(例えば、第二の波長での平行ビームを、スーパーセルによって収束させることができる)。
【0024】
図2A、
図2B、および
図2Cは、670nmの波長での、例示的なメタ原子設計およびその性能を示す。
図2Aは、低屈折率基材205(例えば、融合シリカ)上に、高屈折率材料(例えば、非晶質シリコン)の長方形ブロック210を含む、例示的なメタ原子200を示す。ブロック210の幾何学的形状をメタ原子200の配列で変化させることは、
図2Bにプロットされるように、x-およびy-偏光の下で、様々な偏光依存性位相応答を提供する。
図2Bの各データポイントは、同一のメタ原子200の配列における単一のメタ原子設計のためのものであり、各メタ原子200は、プロット上の軸によって示される、長さyおよび幅xを有する。配列上に入射するx偏光とy偏光との間のメタ原子200によって与えられる位相の差は、グレーシェーディングによって示される、相対位相値として、ラジアンで、プロットされる。プロット全体は、異なる横方向寸法(長さyおよび幅x)を有する、メタ原子を含む。メタ原子は、450nmの固定高さ、および300nmの固定ピッチを有する。この実施例では、メタ原子200は、長方形ブロック210の中心を通って垂直に延在する光軸の周囲で非対称であり、これにより、メタ原子に、異なる偏光に対して異なる応答を与える。対称メタ原子(例えば、円筒)については、異なる波長を使用して、メタ原子から異なる光学応答を引き出すことができる。
【0025】
図2Cは、メタ原子ライブラリ内のメタ原子200から構築された、偏光感度のあるメタ表面250の一部分を示す。メタ原子200のブロック210は、メタ表面250にわたって形状が変化してもよい。メタ原子の配列は、メタ光学系の偏光感度のあるメタ表面全体を構成するユニットセル(例えば、スーパーセル)、またはビルディングブロックを形成するように、配置されてもよい。偏光感度のあるメタ表面は、逆設計方法を使用して作成されて、メタ光学系で、イメージングまたはその他の方法でセンシングされるシーンについての情報を抽出することができる。
【0026】
一つの実装によれば、偏光感度のあるメタ表面全体は、単一の点光源から(一つの偏光に対して)二つの焦点を生成できる深度に敏感な位相プロファイルを付与するように設計され、二つの焦点は、メタ表面からの点光源の深度/距離の関数として回転する。点光源とメタ表面との間の距離が変更されると、二つの焦点は、オブジェクトの深度に従って、メタ表面の光軸を中心としてイメージ平面内で回転する。メタ表面は、ラゲール・ガウスモードの位相のみの重ね合わせに基づいて、二重螺旋PSF(DH-PSF)のような光学変換(一つの偏光に対して)を提供するように設計されてもよいが、メタ表面の性能は、通常、バックグラウンドノイズによって制限され、メタ表面と点光源との間の限定された距離の範囲にわたって機能し、限定された深度精度を提供する。これらの制限を克服するために、本発明者らは、勾配ベースの数値最適化方法を利用して、オブジェクトとメタ表面との間の距離の変化に応答して、改善されたDH-PSF強度分布を提供することができる、メタ表面を強化および正確に設計する。勾配ベースの数値最適化方法では、本発明者らは、逆設計標的をカスタマイズして、製造公差へのコンプライアンスだけでなく、改善された深度検出精度、および/または改善された範囲のメタ表面対オブジェクト距離、高解像度イメージング、改善された光学効率、および増加した信号対雑音比(SNR)を実現することができる。
【0027】
光学性能を改善し、既存のアプローチと比較して設計の複雑さを増大させるために、エンドツーエンドの設計フレームワークを使用して、単一の光学系で複数の光学機能を提供することができる、メタ光学システムを効率的に開発する。光学機能の一つは、例えば、DH-PSFであってもよい。
図3は、メタ光学系の少なくとも一つのメタ表面を形成するために、メタ原子を選択および配列するための、修正された直接的二分探索(DBS)プロセス300(摂動ベースの反復方法)を示す。このプロセスでは、メタ原子は、少なくとも一つの多重化多機能メタ表面を構築して、メタ光学系によってイメージングされるか、またはそうでなければセンシングされるシーンの、様々な情報を抽出するための構成要素として使用される。DBSプロセス300は、特定の光学機能に対する、初期メタ表面設計(初期位相プロファイル310を入射ビームに付与するため)から始まる。次いで、プロセス300は、異なるメタ原子設計のライブラリからの代替設計で、メタ表面にわたる各メタ原子を順次置換し、最高の性能をもたらすものを採用する。一般的に、メタ原子の寸法、幾何学的形状、対称性、ピッチ、およびメタ原子間の距離(すなわち、メタ原子ピッチ)は、所望の性能を生成するように変化させることができる。いくつかの事例では、用途固有の重み付けされた性能指数(FOM)は、性能評価(例えば、PSF強度分布、波面収差関数、光強度分布、効率、状態間コントラストなど)のために最初に定義される。一つ以上のメタ光学パラメータ(例えば、メタ原子設計、メタ原子間隔、メタ原子寸法、メタ原子材料、光学応答、メタ光学寸法、メタ光学形状、メタ光学形状など)。
【0028】
メタ表面の最適化は、選択された入力光条件(例えば、偏光、波長、帯域幅、OAM、および/または入射角)に対して、メタ表面によって入射ビームに付与される、初期位相プロファイル310および/または振幅分布で始まる。各反復において、設計パラメータは、無作為または特定の順序で摂動される(動作320)。FOMは、光回折積分モデル(または他の光学シミュレーションまたは分析モデル)(動作330)を使用して連続的に評価され、メタ表面からの出力光学場をシミュレートする。出力光学場は、ユニットセル上の摂動が出力光学場を改善し、メタ光学系の光学性能を改善したかどうかを判定(動作335)するために、評価されてもよい。交換が光学性能を改善しなかった場合、交換は廃棄され(動作350)、メタ原子のライブラリをチェックして、ライブラリからの全てのメタ原子設計が試行されたかどうかを決定する(動作345)。置換が性能を改善した場合、新しいメタ原子が保持され(動作340)、メタ原子のライブラリをチェックして、ライブラリからの全てのメタ原子設計が試行されたかどうかを決定する(動作345)。ライブラリ内のメタ原子設計は、異なる形状、サイズ、間隔、および/または材料のメタ原子を含んでもよい。ライブラリからの全ての設計が第iのメタ原子に対して試行された場合、プロセス300は、配列内の次の(i+1)番目のメタ原子に移動し、メタ原子の逐次的置換(動作320)から始まるステップを繰り返すことができる。プロセス300は、プロセス300に従って、メタ表面の全てのメタ原子が少なくとも一回摂動するまで継続する。
【0029】
いくつかの事例では、プロセス300は、メタ表面の各メタ原子に対して、メタ原子毎に実行することができる(すなわち、一度に一つずつメタ表面の各メタ原子を通って移動する)。他の事例では、プロセス300は、ユニットセル内の各メタ原子に対して、メタ原子毎に実行することができ、ユニットセルは、各ユニットセルについてプロセス300を再実行することによって、ステップスルーすることができる。メタ表面にわたって分布する同一のユニットセルが存在する、いくつかの事例では、各同一のユニットセルにおいて同一であり、かつ同一の位置にある、第iのメタ原子は全て、プロセス300でメタ原子を置換するのと同一の工程(動作320)で、置換することができる。いくつかの実装によれば、メタ表面内の同一のメタ原子(同一の形状、およびサイズを有する)は全て、メタ光学系がユニットセルを含むかどうかに関わらず、プロセス300を繰り返してメタ光学系の光学性能を改善するのと同一の工程(動作320)で、置換することができる。
【0030】
単一のメタ原子が異なる状態(例えば、異なる入力光特性下)で異なる応答を示してもよい、多重化多機能メタ表面については、複数の目的がFOMに含まれ、DBSプロセス300を使用して、同時に改善されてもよいか、または順次改善されてもよい。プロセス300は、メタ光学系によって提供される光学機能の少なくとも一つに対して所定の(例えば、ユーザ指定の)FOM改善閾値が達成された(判定337)時に、または最大反復回数に達した時に、またはメタ原子のライブラリがメタ表面の各メタ原子に対して枯渇した時に、終了してもよい。FOMは、点像分布関数の一つ以上の特性(例えば、強度分布、ストレール比、FWHMなど)、および/または変調伝達関数の一つ以上の特性(例えば、特定の空間周波数、もしくは空間周波数のセットにおけるコントラスト)であってもよい。いくつかの事例では、一つ以上の他の指標を、追加的に、または代替的に、FOM(例えば、バックグラウンドノイズ、位相誤差など)に使用することができる。好ましくは、所定のFOM改善は、全てのメタ原子について、最大反復回数に到達する前、またはライブラリが使い尽くされる前に達成される。この逆最適化法を使用して、高性能位相プロファイルは、シーンの異なる情報(深度に敏感な、拡張焦点深度の、大きな視野の、または広帯域メタ表面の位相プロファイルなど)を抽出するために、設計および調整することができ、これは、各々、従来の分析、またはブルートフォース生成ソリューションよりも、著しく多用途または計算効率的である。
【0031】
図4A、
図4B、および
図4Cは、1mmのレンズ直径、および5cm~25cmの標的距離センシング範囲を有する、例示的な単一層、深度に敏感なメタ光学系(広角FOVメタ表面なし)の性能を示す。メタ光学系は、メタ光学系のメタ表面からイメージングされるオブジェクトの距離に応じて、画像を配向(回転)する。この例では、イメージングされるオブジェクトは、点光源であり、オブジェクトとメタ表面との間の距離に応じて回転する、二つの分離された点光源としてイメージングされる。単一のメタ光学系を有する単一の点光源の二つの分離された画像を形成する一つの方法は、メタ光学系上に二つのメタ原子パターンを重ね合わせることであり、各パターンは、他のメタ原子パターンおよび対応するレンズとは異なる位置に焦点を合わせるレンズに対応する。
図4Aのメタ光学系に対して、二つのイメージングされた点光源の回転は、20cmの距離の変化に対して約80度である。メタ光学系は、
図4Cの一連の画像に見られるように、DH-PSF光学機能を提供する。
【0032】
図4Bでは、実線は、上述のDBSプロセス300を使用してメタ光学系が設計された、標的応答を表す。プロットされた点は、光学回折積分に基づく光学分析を使用した、シミュレーション結果を表す。メタ光学系は、第一の偏光状態(例えば、水平偏光)の光に、DH-PSFを生成する位相プロファイルを付与する。シミュレーション結果は、二つの焦点の回転角度と深度との間の相関が標的性能と正確に合致し、各々、約80°および20cmの、角度範囲および深度範囲をカバーすることを示す。これらの結果は、記録された画像のDH-PSF回転角度に基づいて、メタ光学系を用いて、オブジェクト深度を大きな深度範囲にわたってセンシングすることができることを示す。
【0033】
図4Aの光学系は、第二の偏光状態(例えば、垂直偏光)の光に対するほぼ不変のオブジェクトメタ表面間の距離応答を示す、立方位相プロファイルをさらに付与することができる。結果として、レンズは、偏光多重化深度に敏感な、および深度に敏感でない位相プロファイルを提供する。さらに、他の光コンピューティング機能もまた、追加のデータ抽出のための多機能メタ表面設計の複数の状態に含めることができ、例えば、メタ表面は、エッジ検出および画像区別のための、二次空間微分を実施するための、2Dラプラス演算子として動作する位相プロファイルをエンコードしてもよい。
【0034】
図5Aは、適切に設計された多機能メタ光学系によって、焦点面撮像アレイまたは他の検出器アレイ上に集束された光からの、画像再構成および深度推定のためのプロセス500を示す。異なる偏光下の二つの未加工のサブ画像510-1、510-2が、(例えば、
図4A~
図4Cに上述されるように)、光学系の深度に敏感な、および深度に敏感でない光学機能によりまず取り込まれる。距離に敏感でない機能は、第一の偏光のための拡張被写界深度(EDOF)レンズとして動作する。距離に敏感な機能は、DH-PSFレンズとして動作する。初期横断画像520は、その設計された被写界深度の範囲内でEDOFレンズに対して生成された、ランダムに選択された点像分布関数(PSF)515を使用した、未加工の深度に敏感でないサブ画像510-1のデコンボリューションによって生成される。さらに、メタ光学系のDH-PSF機能によって取り込まれたサブ画像510-2は、選択されたDH-PSFを使用してデコンボリューションされ、画像内の少なくとも一つのオブジェクトまでの距離を推定する。選択されたDH-PSFは、推定距離を決定し、最も鋭利な特徴(例えば、最も曖昧ではないエッジ)を有するオブジェクトは、推定距離に位置する。画像内の全てのオブジェクト(または関心対象オブジェクト)が同一の距離にある場合、DH-PSFを選択し、距離センシングサブ画像510-2をデコンボリューションするいくつかの反復を実施して、オブジェクトまでの推定距離を取得することができる。推定距離が得られると、距離に敏感でないサブ画像510-1をデコンボリューションするために、EDOFPSFを改訂して、横断画像520を改善することができる。DH-PSFを選択し、EDOFPSFを改訂する反復サイクルは、横断画像520内の一つ以上のオブジェクトへの推定距離を改善し、横断画像520の品質を改善するために実行されてもよい。
【0035】
一例として、シーンI
Sの画像再構成は、ティホノフの正規化された最小二乗問題を解決することによって実施されてもよい。
【数1】
式中、
は、未知の変数であり、yは、追加されたノイズを有するセンサ画素上に統合された形成された画像(I、回折積分モデルを使用して取得された)であり、Sは、ピクセル積分およびサンプリング演算子であり、pは、特定の情報チャネル(例えば、深度、視野角、波長、偏光など)のPSFであり、
は、シーン画像の推定値であり、γは、正規化パラメータである。この問題は、円形境界条件を想定して、ウィナーフィルタリングを用いて閉じた形態で解決することができる。
【数2】
式中、
は、pの光学的伝達関数である。
【0036】
再構成プロセスが両側からの変数を使用して多機能メタ光学系との共最適化に関与する場合、異なる損失関数L(例えば、グラウンドトゥルース画像に対する平均二乗誤差)を、再構成された画像上に定義することができる。
【数3】
再構成はPSFによってパラメータ化されるため、多重化メタ光学システム最適化および後処理段階は、エンドツーエンドで直接接続され、計算画像再構成のためのジョイント最適化プロセスを可能にする。機械学習に基づくアプローチなど、他のデコンボリューション/再構成方法も利用されてもよい。
【0037】
図5Bおよび
図5Cは、
図5Aのプロセスで使用される、大きな深度範囲にわたって得られる、高精度な深度推定および高品質な画像再構成を示す、一次結果を示す。波面符号化のない従来のレンズと比較して、多重PSF(例えば、EDOF PSF、およびDH-PSF)を有する多機能メタ光学系は、距離センシング、拡張被写界深度、およびブロードバンド動作の改善を提供することができる。多機能メタ表面(コンピューテーショナルフラット光学系層)は、広角FOVメタレンズの表面または開口部上に容易に製造されて、広角で高解像度の拡張被写界深度3Dイメージングを実現することができる。
【0038】
光学センシング/結像システムは、多機能メタ光学系、切替可能なフィルタ(例えば、切替可能な、偏光または波長フィルタ)、およびメタ光学系のイメージ平面に位置する少なくとも一つのイメージセンサ(例えば、CMOS、またはCCD撮像アレイ)を含んでもよい。システム上の入射光の特性に応じて、メタ光学系は、入射光上で動作して、イメージセンサ上の異なる光強度/フィールド分布を実現するために、異なる光学機能を提供することができる。切替可能なフィルタは、異なる特性(例えば、偏光状態、または波長)の光をイメージセンサ上に選択的に伝送するように、切替えることができる。液晶デバイスは、システムにもしくはイメージセンサに伝達される光の偏光状態を選択するために、または波長フィルタとして機能するために使用されてもよい、切替可能なフィルタの一例である。切替可能なフィルタを使用して、光特性の選択性をさらに改善し、異なる特性の光間の光学システムにおけるクロストークを低減することができる。いくつかの事例では、切替可能なフィルタは、二つの位置で光出力をさらに生成することができる。例えば、第一の特性の光は、フィルタによって伝達されて、第一の位置で第一の画像を形成し、第二の特性の光は、反射されて、第二の位置で第二の画像を形成する。切替可能なフィルタは、外部制御下で物理的に再構成(例えば、第一の配向から第二の配向に回転)されて、二つの異なる光学機能を実行することができる、能動フィルタの例である。センシング/結像システムは、システムによってイメージングされるシーンの能動的照射のための、発光体をさらに含んでもよい。例えば、イメージセンサは、異なる発光体を切替えること、または異なる偏光状態間で偏光フィルタを切替えることによって、異なる偏光の光でシーンを照射する、発光体を含んでもよい。別の実施例では、センシングシステムは、異なる発光体を切替えること、または共通の発光体から異なる放射波長を通過するスペクトルフィルタ間で切替えることによって、異なる波長の光でシーンを照射する、発光体を含んでもよい。発光体はまた、構造化された光パターンを放射してシーンを照射するように構成されてもよい。
【0039】
同焦点ズームレンズ
図6は、多重化メタ表面アーキテクチャを有する同焦点ズームレンズ600を示す(同焦点ズームレンズは、その倍率/焦点距離が変更された時に焦点が合ったままである、ズームレンズである)。同焦点ズームレンズ600は、
図6に示すように、第一の基材610の第一の表面上に形成されたメタ原子200を有する、第一の(進入)メタ表面MS-1と、同一の基材の第二の表面上に形成されたまたは第二の基材620上に形成されたメタ原子200を有する、第二の(退出)メタ表面MS-2を含んでもよい。メタ表面が別個の基材上にある場合、基材は、空隙630または別の基材によって分離されてもよい。あるいは、メタ表面は、基材の外表面および/または内表面(対向表面)上にあってもよい。
【0040】
同焦点ズームレンズのメタ表面の少なくとも一つの中のメタ原子200は、入射光の特性(例えば、偏光、波長、入射角など)に従って、入射光に異なる影響を与える、少なくとも二つのモードで動作する。入射光の偏光、波長、入射角、または他の特性を切替える、ステッピングする、またはスイーピングすることによって、第一のおよび第二のメタ表面の光学機能は、独立してアクセスすることができる。例えば、第一のメタ表面MS-1は、垂直偏光のための収束レンズとして、および水平偏光のための発散レンズとして動作してもよく、一方で、第二のメタ表面MS-2は、水平偏光および垂直偏光の両方のための収束レンズとして動作してもよい。二つのメタ表面の集束特性の、独立して制御可能な変化は、光学トレインの固定トラック長を有する、光学ズームを提供してもよい。(一方または両方のメタ表面は、入射光の偏光または波長の変化に敏感であってもよい。)このように、光学倍率の変動は、一方の基材610を他方の基材620に対して、または一方のメタ表面MS-1を他方のメタ表面MS-2に対して、移動させることなく達成することができる。次いで、同焦点ズームレンズを、非常にコンパクトなパッケージ(例えば、10立方センチメートル未満、または1立方センチメートル未満を占める形状因子を有する)に実装することができる。
【0041】
能動ビームスプリッターもしくは受動ビームスプリッター、またはフィルタは、多機能メタ表面と併せて使用することができる。一実施形態では、ビームスプリッター(例えば、偏ビームスプリッター、またはダイクロイックミラー)は、異なる特性(例えば、異なる偏光状態、または波長)を有する光を、異なる検出器アレイに分割および向けるために追加されてもよい。結果として、多機能メタ表面によって生成される異なる画像は、光の特性に従って、異なる検出器アレイによって、同時にまたは連続的に取り込まれてもよい。同時画像取り込みは、45度、楕円形、または円形の偏光を有する光を使用することによって取得することができ、ビームスプリッターまたはフィルタは、水平および垂直の偏光成分を、二つの異なる光路に分割する。いくつかの事例では、メタ表面または多機能メタ表面は、水平偏光構成要素および垂直偏光構成要素を、二つの異なる光路に分割することができる。いくつかの実施形態では、異なるフィルタリング特性を有する画素化されたフィルタアレイを、イメージセンサ画素アレイに統合することができる。結果として、多機能レンズによって生成される異なる画像は、光の異なる特性(例えば、偏光状態、波長など)に従って、異なる検出器画素によって取り込まれてもよい。
【0042】
同焦点ズームレンズ600は、ズームレンズ600のイメージ平面に位置する光学デバイス660を含む光学システムに含まれてもよい。光学デバイスは、ズームレンズ600がシーンをイメージングするために使用される時に、イメージセンサ(例えば、CMOS、またはCCD撮像アレイ)であってもよい。以下でさらに説明される他の実装では、光学デバイス660は、ズームレンズ600を使用して画像を投影する時に、エミッタ配列またはマイクロディスプレイであってもよい。
【0043】
受動イメージング/センシングに加えて、本発明の同焦点ズームレンズ600は、発光体650を含むことによって、能動照射モードでさらに動作してもよい。例えば、同焦点ズームレンズ600は、異なる発光体または偏光フィルタを切替えることによって、異なる偏光の光でシーンを照射する、発光体650と併せて使用されてもよい。液晶デバイスはまた、光の偏光状態を調整するために、または波長フィルタとして機能するために使用されてもよい。別の実施例では、同焦点ズームレンズ600は、異なる発光体またはスペクトルフィルタを切替えることによって、異なる波長の光でシーンを照射する発光体650と併せて使用されてもよい。構造化された光パターンも、シーンを照射するために利用されてもよい。
【0044】
いくつかの実装では、同焦点ズームレンズまたは他のレンズのメタ表面MS-1は、メタ表面のゾーン(例えば、
図6のメタ表面MS-1のゾーン1)が入射光を特定の状態(例えば、偏光状態、波長、AOI、入射位置など)で伝達することを、選択的に許容または防止することによって、可変開口を実現するように構成されてもよい。例えば、メタ表面の一つ以上の選択されたゾーン(例えば、
図6のMS-1の外側ゾーン2)に入る水平偏光(
図6の実線によって示される)は、例示するように、全内部反射を介して第一の基材内部に偏向および取り込まれてもよく、一方で、垂直偏光(破線によって示される)は、同一のゾーンを通して伝達され、再成形される。メタ表面MS-1または任意のメタ表面の一部のゾーンはまた、入射光を吸収、反射、またはその他の方法で遮断もしくは減衰するように、設計されてもよい。いくつかの事例では、メタ光学系の第一のメタ表面上のゾーン(例えば、メタ表面MS-1上のゾーン2)は、第一の波長、偏光、または入射角の光を、後続の表面上の領域に偏向することができ、偏向された光は、反射、遮断、または他の方法で、イメージ形成、パターン形成、またはメタ光学系もしくは光学システムによる光学センシングへの関与が妨げられ、一方で、第二の波長、偏光、または入射角の光は、第一のゾーンによって偏光されなくてもよく、イメージ形成、パターン形成、または光学センシングに関与してもよい。
【0045】
図7Aおよび
図7Bは、少なくとも10Xの光学ズームを提供することができ、
図6に示すような構造で実装される、同焦点ズームレンズ600の例示的な構成を示す。一部の事例では、5X~50X光学ズームは、記載の実装に従って、二つのメタ表面上のメタ原子を利用する、同焦点ズームレンズを用いて達成されてもよい。670nm波長で動作する図示の実施例については、偏光多重化メタ表面MS-1、MS-2を使用してもよく、メタ原子は、非晶質シリコンから形成され、基材は、シリカから形成される。異なる材料を選択すること、ならびに/またはメタ原子のサイズおよび間隔をスケーリングすることによって、他の波長でのイメージングが可能である。光学システム内の複数の表面(光学部品表面、窓表面、およびイメージセンサ表面などを含む)間の空間は、空気または別の媒体(例えば、エポキシ、ガラス/ポリマースペーサなど)で充填されてもよい。
【0046】
図7Aおよび
図7Bの同焦点ズームレンズ600は、0.8mm~1.6mmに制御可能に調整された入射瞳直径を有するが、他の値も可能である。第一のメタ表面からイメージ平面への固定トラック長さは、約4.82mmである。後方焦点距離は、約2.46mmである。視野は、二つの偏光状態の間で、40°~4°に変化してもよく、一方で、ほぼ回折限界のイメージング性能を達成する。水平偏光状態と垂直偏光状態との間での切替えは、同焦点ズームレンズ600の有効焦点距離を約10X倍変化させる。同焦点ズームレンズの有効な開口は、異なる特性(例えば、偏光、波長、入射角特性)の入射光に対して異なる応答を有するように、メタ表面(例えば、MS-1)の二つ以上のゾーンを構成することによって、二つ以上のサイズ間で変化させることができる。例えば、メタ原子アレイの一部分またはゾーン(例えば、
図6のゾーン2)は、第一の偏光の光を内部的に反射し、第二の偏光の光を伝達し、それによって、ゾーンの透過率および同焦点ズームレンズの有効開口サイズを変化させるように構成されてもよい。
図6の図示の例では、第一の偏光の光は、第一の基材の臨界角よりも小さい角度で、第一の基材610内に結合される。別の実施例では、第一の偏光または波長に対して、メタ原子アレイの一部分によって付与される位相は、光学系の有効な開口サイズを二つの値間で変化させることができるように、第二の偏光または波長に対して付与される位相と比較して、入射ビームの一部分を一方向に選択的に方向付けることができる。より一般的には、メタ原子アレイの一部分のスペクトル、角度、および/または空間応答は、各々、入射ビームの波長、AOI、入射位置に従って、メタ原子アレイ上に入射する光線の一部分を、選択的に変調、伝達、または遮断して、上述の同焦点ズームレンズなどのメタ光学系に対する、複数の光学機能を実現するように設計されてもよい。選択的な変調(例えば、ビームステアリング)、伝達、または遮断は、二つ以上の状態の間で切替えてもよい。
【0047】
ズーム光学センシング/結像システムは、
図6および
図7Aのもののようなズームメタ光学系、切替可能なフィルタ、およびイメージセンサを含んでもよい。光の特性に応じて、メタ光学系は、入射光で動作するための異なる光学機能を提供して、光学システムの画像面に位置するイメージセンサ上の、可変倍率または光強度/フィールド分布を実現することができる。切替可能なフィルタは、異なる特性(例えば、異なる偏光状態の中から選択された偏光状態、または異なる波長の中から選択された波長)の中から、選択された特性の光をイメージセンサ上に選択的に伝送するように、切替えることができる。液晶変調器はまた、光の偏光状態を調整するために、または波長フィルタとして機能するために使用されてもよい。光学センシング/結像システムは、能動的照射用の発光体をさらに含んでもよい。例えば、センシング/結像システムは、異なる発光体または偏光フィルタ(例えば、調整可能な液晶波長板またはフィルタ)を切替えることによって、異なる偏光の光でシーンを照射する、発光体を含んでもよい。別の実施例では、センシング/結像システムは、異なる発光体またはスペクトルフィルタを切替えることによって、異なる波長の光でシーンを照射する、発光体を含んでもよい。構造化された光パターンも、利用され得る。
【0048】
図6または
図7Aの同焦点ズームレンズは、発光体アレイ(例えば、VCSEL、マイクロLEDなど)またはマイクロディスプレイによって置き換えられた、イメージセンサと逆向きに使用される場合、様々なパターン化された光強度/フィールド分布の可変倍率または投影で、高品質の画像/パターン投影を容易に可能にしてもよい。再構成可能な光学投影機システムは、上述のように、少なくとも一つのズームメタ光学系レンズ、発光体アレイまたはマイクロディスプレイ、および任意の切替可能なフィルタを含んでもよい。光の特性に応じて、メタ光学系は、光を変調して、再構成可能な光学投影機システムによる、放射光の可変倍率または光強度/フィールド分布を実現する、異なる光学機能を提供する。必要に応じて、切替可能なフィルタは、発光体アレイによって放射される異なる特性(例えば、偏光状態または波長)の光を選択的に伝送するように、切替えることができる。例えば、光学投影機システムは、異なる発光体または偏光フィルタを切替えることによって、異なる偏光の光で画像を投影する、発光体アレイまたはマイクロディスプレイを含んでもよい。液晶デバイスはまた、光の偏光状態を調整もしくは選択するために、または波長フィルタとして機能するために使用されてもよい。別の実施例では、光学投影機システムは、異なる発光体またはスペクトルフィルタを切替えることによって、異なる波長の光で画像を投影する、発光体アレイまたはマイクロディスプレイを含んでもよい。構造化された光パターンも、投影され得る。
【0049】
追加の光学機能は、上記の光学デバイスについて記載したものに加えて、一つ、二つ、またはそれ以上のメタ表面を使用して達成することができる。例えば、ビームステアリングなしの場合よりも大きな視野を、スイーピングおよびイメージングできるように、距離センシングメタ光学系または同焦点ズームレンズ上の、ビームステアリングのために、追加されたメタ表面を使用してもよい。いくつかの実装では、異なる光学機能を、一つのメタ表面で組合わせてもよい。例えば、表面上のメタ原子の半分は、第一の光学機能を提供するように設計されてもよく、表面上のメタ原子の半分は、第二の光学機能を提供するように設計されてもよい。メタ原子の二つの半分は、メタ表面にわたって互いに重ね合わせ、分散させるか、または異なる空間領域もしくはユニットセルに分離することができる。一実施例によれば、イメージング機能のためのメタ原子(例えば、距離センシング、または同焦点ズームレンズ)は、ビームステアリングのためのメタ原子と組合わせることができ、その各々は、入射光の異なる特性に基づいて、二つ以上の状態を選択可能なベースを有してもよい。ズーム、ビームステアリング、またはコンピューテーショナルイメージング機能(距離センシング、またはパターン生成など)に加えて、他の光学機能も実現されてもよい。一般に、入射光の特性に応じて、メタ光学系(一つ、二つ、またはそれ以上のメタ表面を含む)は、異なる光学機能を提供して、可変光強度/電界分布を生成するように構成されてもよい。したがって、偏光、OAM、波長、およびAOIなどの光特性に基づく、再構成可能な光学センシング、イメージング、および/または画像投影が実現されてもよい。
【0050】
図8は、多機能メタ光学系100および切替可能なフィルタ810を含む、光学システム800の例を示す。メタ光学系100は、シーンまたはオブジェクト802を視認するように配置されてもよい。光学システム800は、平坦(図示するように)または湾曲してもよい、イメージ平面820上に、画像を形成するように構成されてもよい。少なくとも一つの光学デバイス660は、画像(例えば、イメージセンサ)を記録するために、または画像(例えば、イメージ投影機)を投影するために、イメージ平面に位置してもよい。いくつかのシステムは、二つ以上光学特性(例えば、異なる偏光状態、異なる波長、異なるOAM)を有する光を発生させるための、光源805(エミッタ配列など)を含んでもよい。記載されるシステムは、少なくとも一つのイメージセンサおよび/または投影機をさらに含んでもよい。一般に、本明細書に記載される、再構成可能な多機能光学センシング、イメージング、および/または投影システムは、少なくとも一つのメタ光学系および切替可能なフィルタ(任意選択的に、光学照射または投影)を含んでもよい。光の特性に応じて、メタ光学系(一つ、二つ、またはそれ以上のメタ表面を含み得る)は、例えば、メタ光学系上に入射する光に動作し、イメージセンサ上の可変光強度/フィールド分布を実現するか、または光源もしくはマイクロディスプレイによって放射される、異なる光学機能を提供してもよい。
【0051】
多機能メタ光学系は、様々な構成で、光学システム内に実装および/または含まれてもよい。例示的構成を以下に列挙する。メタ光学系を使用し、光学システムを動作させる対応する方法も、実装することができる。
【0052】
(1)光学系であって、基材と、基材の第一の側面上に配置され、第一の状態の第一の入射光に、深度に敏感な位相プロファイルを付与し、第一の状態とは異なる第二の状態の第二の入射光に深度に敏感でない位相プロファイルを付与するように構成された、複数のメタ原子を含むメタ表面とを備える、光学系。
【0053】
(2)深度に敏感な位相プロファイルが、その位置が深度に従って変化する二つの焦点によって特徴付けられ、深度に敏感でない位相プロファイルが、立方位相プロファイルを含む、構成1に記載の光学系。
【0054】
(3)第一の状態が第一の偏光状態であり、第二の状態が第二の偏光状態である、構成1または2に記載の光学系。
【0055】
(4)第一の状態が第一の波長状態であり、第二の状態が第二の波長状態である、構成1または2の光学系。
【0056】
(5)基材の第一の側の反対側の基材の第二の側面上に配置され、光学系によって視認されるシーンのイメージ平面上に画像を形成するように構成された、第二のメタ表面をさらに備える、構成1~4のいずれか一項に記載の光学系。
【0057】
(6)イメージ平面がフラットである、構成5に記載の光学系。
【0058】
(7)第二のメタ表面が、第一の入射光および第二の入射光を、イメージ平面に向けるように構成された、構成6に記載の光学系。
【0059】
(8)光学センシングシステムであって、
構成1~7のいずれか一項に記載の光学系と、
光学系と光学的に連通するフィルタと、
第一の状態で第一の入射光を受信し、第二の状態で第二の入射光を受信しないように、フィルタと光学的に連通する、第一のイメージセンサと、
第二の状態で第一の入射光を受信し、第一の状態で第一の入射光を受信しないように、フィルタと光学的に連通する、第二のイメージセンサとを備える、光学センシングシステム。
【0060】
(9)光学センシングシステムであって、
構成1~7のいずれか一項に記載の光学系と、
光学系と光学的に連通する切替可能なフィルタと、
光学系と光学的に連通するイメージセンサとを備える、光学センシングシステム。
【0061】
(10)切替可能なフィルタが、第一の構成において、第一の偏光状態の第一の光を伝達し、かつ第二の偏光状態の第二の光の伝達を抑制し、第二の構成において、第二の偏光状態の第二の光を伝達し、かつ第一の偏光状態の第一の光の伝達を抑制する、構成9に記載の光学センシングシステム。
【0062】
(11)切替可能なフィルタが、第一の構成において、第一の波長の第一の光を伝達し、かつ第二の波長の第二の光の伝達を抑制し、第二の構成において、第二の波長の第二の光を伝達し、第一の波長の第一の光の伝達を抑制する、構成9に記載の光学センシングシステム。
【0063】
(12)構成1~11のいずれか一項に記載の光学センシングシステムであって、
異なる偏光の光で光学系によって視認されるシーンを照射するように構成された発光体を備える、光学センシングシステム。
【0064】
(13)構成1~11のいずれか一項に記載の光学センシングシステムであって、
異なる波長の光で光学系によって視認されるシーンを照射するように構成された発光体と、をさらに備える、光システム。
【0065】
(14)多機能光学系であって、第一の透明基材と、第一の透明基材から離間した第二の透明基材と、第一の透明基材の第一の表面上に配置された第一の複数のメタ原子を含む、第一のメタ表面と、第二の透明基材の第二の表面上に配置された第二の複数のメタ原子を含む、第二のメタ表面とを備え、第一のメタ表面および第二のメタ表面が、第一の状態の第一の入射光を、第一の倍率を有するイメージ平面に集束させるか、または第一の光学機能を実行し、および第一の状態とは異なる第二の状態の第二の入射光を、第一の倍率とは異なる第二の倍率を有するイメージ平面に集束させるか、または第一の光学機能とは異なる第二の光学機能を実行するように構成され、第一の透明基材、第二の透明基材、およびイメージ平面の相対位置が、第一の入射光を第一の状態に集束させ、第二の入射光を第二の状態に集束させる時に、変化しないままである、多機能光学系。
【0066】
(15)第一のメタ表面が、第一の入射光を第一の状態で収束させ、第二の入射光を第二の状態で発散させるように構成され、第二のメタ表面が、多機能光学系が同焦点ズームレンズとして機能するように、第一の入射光を第一の状態で収束させ、第二の入射光を第二の状態で収束させるように構成された、構成14に記載の多機能光学系。
【0067】
(16)第一のメタ表面が、第一の状態で第一の入射光および第二の状態で第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、第一の状態で第一の入射光を伝達し、第二の状態で第二の入射光を遮断、吸収、反射、および/または偏向するように構成された、第二のゾーンとを画定する、構成14に記載の多機能光学系。
【0068】
(17)第一のメタ表面が、第一の状態で第一の入射光および第二の状態で第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、第一の状態で第一の入射光を透過し、第二の状態で第二の入射光を第一の透明基材の臨界角よりも小さい角度で第一の透明基材に結合するように構成された、第二のゾーンとを画定する、構成14に記載の多機能光学系。
【0069】
(18)多機能光学系であって、透明基材と、透明基材の第一の表面上に配置された第一の複数のメタ原子を含む、第一のメタ表面と、透明基材の第二の表面上または第二の透明基材の第二の表面上に配置された第二の複数のメタ原子を含む、第二のメタ表面とを備え、第一のメタ表面および第二のメタ表面が、第一の状態の第一の入射光に対して第一の光学機能を実行し、第一の状態とは異なる第二の状態の第二の入射光に対して第二の光学機能を実行するように構成され、第一の光学機能が、距離センシングすること、画像を投影することと、または第一の入射光のパターンを投射することを含む、多機能光学系。
【0070】
(19)第一のメタ表面が、第一の入射光を第一の状態で収束させ、第二の入射光を第二の状態で発散させるように構成され、第二のメタ表面が、多機能光学系が同焦点ズームレンズとして機能するように、第一の入射光を第一の状態で収束させ、第二の入射光を第二の状態で収束させるように構成された、構成18に記載の多機能光学系。
【0071】
(20)第一のメタ表面が、第一の状態で第一の入射光および第二の状態で第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、第一の状態で第一の入射光を伝達し、第二の状態で第二の入射光を遮断、吸収、反射、および/または偏向するように構成された、第二のゾーンとを画定する、構成18に記載の多機能光学系。
【0072】
(21)第一のメタ表面が、第一の状態で第一の入射光および第二の状態で第二の入射光を伝達するように構成された、第一のゾーンと、第一の状態で第一の入射光を伝達し、第二の状態で第二の入射光を、第二の入射光を遮断、吸収、反射、および/または偏向するように構成された第二のメタ表面の領域に結合するように構成された、第二のゾーンとを画定する、構成18の多機能光学系。
【0073】
(22)光学センシング/結像システムであって、構成18~21のいずれか一項に記載の多機能光学系と、多機能光学系と光学的に連通する切替可能なフィルタと 多機能光学系と光学的に連通するイメージセンサと、を備え、切替可能なフィルタが、第一の構成において、第一の偏光状態、第一の波長、または第一の軌道角運動量の、第一の入射光を伝達し、第二の構成において、第二の偏光状態、第二の波長、または第二の軌道角運動量の、第二の入射光を伝達する、光学センシング/結像システム。
【0074】
(23)異なる波長、異なる偏光状態、または異なる軌道角運動量の光で、多機能光学系によって視認されるシーンを照射するように構成された、発光体をさらに備える、構成18~22のいずれか一項に記載の光学センシング/結像システム。
【0075】
(24)光学投影システムであって、構成18~21のいずれか一項に記載の多機能光学系と、多機能光学系と光学的に連通する切替可能なフィルタと 多機能光学系と光学的に連通する発光体アレイと、を備え、切替可能なフィルタが、異なる偏光状態の中から選択された偏光状態の第一の入射光、異なる波長の中から選択された波長、または異なる軌道角運動量の中から選択された軌道角運動量の、第一の入射光を選択的に伝達するように構成された、光学投影システム。
【0076】
(25)発光体アレイがマイクロディスプレイである、構成24に記載の光学投影システム。
【0077】
結び
本発明の種々の実施形態が、本明細書に記載および図示されたが、当業者は、本明細書に記載される機能を行い、および/または結果および/または利点の一つ以上を得てもよいための、種々の他の手段および/または構造を容易に想起し、そのような変形例および/または修正は各々、本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。さらに通常、本明細書に記載される、全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される、特定の適用に依存するであろうことを、当業者は容易に理解するだろう。当業者は、通常の実験法を使用するのみで、本明細書に記載される特定の発明の実施形態の多くの同等物を認識し、または解明できるだろう。従って、前述の実施形態は、一例として提示されるにすぎず、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に記載および請求されるものと別様に、実践されてもよいことを理解されたい。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載する、個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合わせは、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0078】
また、種々の本発明の概念が、一つ以上の方法として具現化され得、その実施例が提供されている。方法の一部として行われる行為は、任意の好適な方法で順序付けられてもよい。従って、実施形態は、例示と異なる順序で行為が実施されるように構築されてもよく、これには、例示の実施形態で連続した行為として示しているにもかかわらず、いくつかの行為を同時に実施することが含まれてもよい。
【0079】
本明細書で定義および使用される全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0080】
明細書および請求項において、本明細書で使用される「a」および「an」という不定冠詞は、これと異なることが明確に示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0081】
明細書および請求項において、本明細書で使用される「および/または」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、ある場合には接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同一のように、すなわち、そのように結合された要素の「一つ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、他の要素が任意選択的に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」の参照は、「含む」などのオープンエンドの言語と組合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択的に、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的に、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択的に、他の要素を含む)、指すことができる。
【0082】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的である、すなわち、いくつかのまたは列挙された要素、および任意選択的に、別の列挙されていない項目の、少なくとも一つを含むが、それらの二つ以上も含むと解釈されるものとする。それとは反対であると明確に指示される用語、例えば「の一つのみ」もしくは「の厳密に一つ」、または特許請求の範囲において使用する時の「から成る」などの用語のみが、いくつかのまたは列挙された要素のまさに一つの要素を包含することを指す。一般に、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、「いずれか」、「の一つ」、「の一つのみ」、または「の厳密に一つ」など、排他的な用語が先行する時には、排他的な選択肢(すなわち、「両方ではなく、一方または他方」)を示すとのみ解釈されるものとする。「~から本質的に成る」は、請求項で使用される時、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0083】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1以上の要素のリストに関連する「少なくとも一つ」という語句は、要素のリストの中の要素の一つ以上から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストのいかなる要素の組合せも除外するものではないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、「少なくとも一つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される要素以外に、要素が任意選択的に存在してもよいことを許容する。従って、非限定的な実施例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも一つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意選択的にB以外の要素を含む)ことを指し、別の実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のBを含み、Aが存在しない(および任意選択的にA以外の要素を含む)ことを指し、さらに別の実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のAを含み、ならびに少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のBを含む(および必要に応じて他の要素を含む)こと等を指すことができる。
【0084】
特許請求の範囲および上記の明細書において、全ての移行句、例えば、「備える」、「含む」、「保有する」、「有する」、「包含する」、「関与する」、「保持する」、「構成される」等は、オープンエンドであること、すなわち、含むがこれに限定されないことを意味すると理解されるべきである。「から成る」および「から本質的に成る)」という移行句のみが、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03に規定の通り、各々閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるものとする。
【国際調査報告】