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特表2024-541589拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムおよび化学的に強化された湾曲した部分の応力を特徴付けるための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムおよび化学的に強化された湾曲した部分の応力を特徴付けるための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20241031BHJP
   G01L 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01N21/17 N
G01L1/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532203
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2022051078
(87)【国際公開番号】W WO2023097076
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,594
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ルセフ,ロスティスラフ ヴァチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェットモア,ナサニエル ディヴィッド
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA03
2G059BB10
2G059BB15
2G059EE02
2G059EE11
2G059JJ12
2G059JJ17
2G059KK04
(57)【要約】
湾曲した表面を有する化学的に強化された(CS)基板の補正されたデジタルモードスペクトルを取得するための方法および装置が開示されている。本方法は、平坦なCS基板を測定するためのシステム較正を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用してCS基板の横方向磁場(TM)モードスペクトルおよび横方向電場(TE)モードスペクトルをデジタル式にキャプチャすることを含む。本方法は、基準CS基板の基準TMモードスペクトルおよび基準TEモードスペクトルと比較した、デジタル式にキャプチャされたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルの差に基づく較正補正を確立することをさらに含む。較正補正をデジタルモードスペクトル画像に適用して、平坦なCS基板を測定するためのシステム較正を使用して処理することができる補正されたデジタルモードスペクトル画像を形成し、湾曲したCS基板の屈折率プロファイルおよび応力特性を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した表面と、隣接する表面近傍導波路とを有する化学的に強化された(CS)基板の補正されたデジタルモードスペクトルを取得する方法であって、
測定光を前記表面近傍導波路の内外にカップリングさせるためのエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して前記CS基板の横方向磁場(TM)モードスペクトルおよび横方向電場(TE)モードスペクトルをデジタル式にキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップであって、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムは、平坦なCS基板を測定するためのシステム較正を有する、ステップと、
基準CS基板の基準TMモードスペクトルおよび基準TEモードスペクトルと比較した、デジタル式にキャプチャされた前記TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルの差を表す較正補正を確立するステップと、
前記較正補正を前記デジタルモードスペクトル画像に適用して、平坦なCS基板を測定するための前記システム較正を使用して処理することができる前記補正されたデジタルモードスペクトルを形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
イオン交換(IOX)プロセスによって形成され、湾曲した表面と表面近傍屈折率領域(NSIR)とを有する化学的に強化された(CS)基板における屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定するように構成されたエバネッセントプリズムカップリングシステムであって、
第1の軸線に沿って進む集束させられた光ビームを形成する光源システムと、
前記CS基板の前記湾曲した表面と相互接続して、前記集束させられた光ビームを受光し、第2の軸線に沿って進み、前記NSIRのモードスペクトルを実現する反射された光ビームを形成するカップリングインタフェースを形成するカップリングプリズムと、
前記第2の軸線に沿って配置され、前記カップリングプリズムから順に:
i)検出器光学系;
ii)横方向磁場(TM)セクションおよび横方向電場(TE)セクションを有する偏光子;
iii)デジタル検出器
を含む検出器システムと
を含み、
前記検出器光学系は、前記カップリングインタフェースから軸線方向距離lおよび前記デジタル検出器から軸線方向距離Lの位置にあり、長さ比0.01≦l/L≦0.2を定義して、前記デジタル検出器においてモードスペクトル画像を形成する、
エバネッセントプリズムカップリングシステム。
【請求項3】
前記検出器光学系が、前記デジタル検出器において前記モードスペクトル画像を形成して最大量の画像コントラストまたは画像シャープネスを有するように調整可能な焦点を有する、請求項2記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【請求項4】
前記調整可能な焦点が、各々異なる焦点距離を有する集束レンズの個別のセットを支持する可動レンズ支持構造によって提供される、請求項3記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【請求項5】
前記カップリングプリズムが入力側および出力側を有し、前記カップリングプリズムの前記入力側および前記出力側の少なくとも1つに隣接して配置された少なくとも1つの光制限器をさらに含む、請求項2から4いずれか1項記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【請求項6】
調整可能な焦点を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲した化学的に強化された(CS)基板の屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定する方法であって、
a)基準CS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を形成する第1の焦点に調整可能な焦点を調整することにより、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムを較正して、前記基準CS基板を測定するための較正されたシステムを確立するステップと、
b)前記較正されたシステムを使用して、平坦な前記CS基板を測定するための前記較正されたシステムで前記湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトに起因して、前記調整可能な焦点を第2の焦点に調整することにより、前記湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成するステップと、
c)前記平坦なCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の対応する少なくとも1つの計算を使用して、前記湾曲したCS基板の前記インフォーカスモードスペクトル画像に基づいて、前記湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を決定するステップと、
d)前記少なくとも1つの応力関連特性の前記未加工の値を調整して、前記平坦なCS基板の前記第1の焦点から前記湾曲したCS基板の前記第2の焦点への前記調整可能な焦点の変化に基づく補正係数を前記未加工の値に乗じることによって補正値を取得するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
湾曲した表面と表面近傍導波路とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定するためのエバネッセントプリズムカップリングシステムであって、
測定光を生成する光源システムと、
カップリング面を有するカップリングプリズムであって、前記湾曲した表面とカップリング面において相互接続され、前記測定光の一部を前記表面近傍導波路のTM導波モードおよびTE導波モードにカップリングさせ、前記測定光の一部を前記TM導波モードおよびTE導波モードから出力光としてカップリングさせるための局所曲率半径Rを有するカップリングインタフェースを画定する、カップリングプリズムと、
調整可能な焦点を有し、前記出力光を受光し、TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を受光して検出するように配置されたデジタル検出器において前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成するように構成された検出器光学系を含む検出器システムであって、前記検出器光学系は、平坦なCS基板を測定するための第1の焦点を有し、前記調整可能な焦点は、前記湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能であり、前記第2の焦点は、最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかで前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成する、検出器システムと、
前記デジタル検出器に動作可能に接続され、前記湾曲したCS基板の検出されたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルを処理して、前記湾曲したCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性を、
i)前記平坦なCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の対応する少なくとも1つの計算を使用して、前記湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像に基づいて、前記湾曲したCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を決定することと、
ii)前記平坦なCS基板の前記第1の焦点から前記湾曲したCS基板の前記第2の焦点への調整可能な焦点の変化に基づく補正係数を前記未加工の値に乗じることによって、前記少なくとも1つの応力関連特性の前記未加工の値を調整して補正値を取得することと
により決定するように構成されたコントローラと
を含む、エバネッセントプリズムカップリングシステム。
【請求項8】
調整可能な焦点を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲した化学的に強化された(CS)基板の第1の応力関連特性を決定する方法であって、
a)平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を形成する第1の焦点に前記調整可能な焦点を調整することにより、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムを較正して、前記平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムを確立するステップであって、前記較正されたシステムが少なくとも前記第1の応力関連特性を含む、ステップと、
b)前記較正されたシステムを使用して、前記平坦なCS基板を測定するための前記較正されたシステムで前記湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトを測定するために、前記調整可能な焦点を第2の焦点に調整することにより、前記湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成するステップと、
c)前記焦点シフトに基づいて、前記平坦なCS基板の第1の応力関連特性計算を修正して、修正された第1の応力関連特性計算を形成するステップと、
d)前記修正された第1の応力関連特性計算を実施して、前記湾曲したCS基板の前記第1の応力関連特性の測定値を取得するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
湾曲した表面を表面近傍導波路と共に有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の第1の応力関連特性を決定するためのエバネッセントプリズムカップリングシステムであって、
測定光を生成する光源システムと、
カップリング面を有するカップリングプリズムであって、前記湾曲した表面とカップリング面において相互接続され、前記測定光の一部を前記表面近傍導波路のTM導波モードおよびTE導波モードにカップリングさせ、前記測定光の一部を前記TM導波モードおよびTE導波モードから出力光としてカップリングさせるための局所曲率半径Rを有するカップリングインタフェースを画定する、カップリングプリズムと、
調整可能な焦点を有し、前記出力光を受光し、TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を受光して検出するように配置されたデジタル検出器において前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成するように構成された検出器光学系を含む検出器システムであって、前記検出器光学系は、平坦なCS基板を測定するための第1の焦点を有し、前記調整可能な焦点は、前記湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能であり、前記第2の焦点は、最大コントラストで前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成する、検出器システムと、
前記デジタル検出器に動作可能に接続され、前記湾曲したCS基板の検出されたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルを処理して、前記湾曲したCS基板の前記第1の応力関連特性を、
i)前記平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムで前記湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトを測定するために、前記調整可能な焦点を前記第2の焦点に調整することと、
ii)前記焦点シフトに基づいて、前記平坦なCS基板の第1の応力関連特性計算を修正して、修正された第1の応力関連特性計算を形成することと、
iii)前記修正された第1の応力関連特性計算を実施して、前記湾曲したCS基板の前記第1の応力関連特性の測定値を取得することと
により決定するように構成されたコントローラと
を含む、エバネッセントプリズムカップリングシステム。
【請求項10】
湾曲した表面と、隣接する表面近傍屈折率領域とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の補正されたモードスペクトル画像を取得する方法であって、
前記表面近傍屈折率領域と動作可能に係合したエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、前記湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャするステップであって、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムは、少なくとも1つの応力関連特性を計算するための平坦なCS基板較正を有する、ステップと、
前記湾曲したCS基板と同じイオン交換(IOX)プロセスを使用して形成された基準を成す平坦なCS基板のモードスペクトル画像に対する、前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像の歪みの量を測定するステップと、
前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像の前記歪みを補正して、補正された前記モードスペクトル画像を形成するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、米国特許法第119条のもと、2021年11月29日に出願された米国仮出願第63/283,594号明細書の優先権の利益を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、部品の応力を測定することに関し、特に、化学的に強化された湾曲した部分の応力を特徴付けるためのエバネッセントプリズムカップリングシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学的に強化されたガラス部品およびガラスセラミック部品は、様々な用途、例えば、弾力性があり、飛散しにくく、傷がつきにくい、タッチ操作可能なスマートフォンおよびタブレット用の保護カバーウィンドウで重要となっている。こういったガラス部品およびガラスセラミック部品は、熱的に強化されたガラスよりも薄く軽量でありながら、イオン交換プロセスを通して達成可能な高い表面圧縮ゆえ、より強靭である。
【0004】
そのような部品の迅速な採用、継続的な改良および劇的な市場成長は、表面圧縮応力(CS)、ニー応力、層深さ(DOL)など、部品の主な応力特性を測定するための迅速な非破壊技術が利用可能になったことで後押しされた。そのような測定は、市販の高分解能のエバネッセントプリズムカップリングシステム、例えば有限会社折原製作所製およびルケオ社販売(いずれも日本のメーカー)のFSM-6000LEを使用して平坦な部分で行うことができる。応力特性である中心張力(CT)は、所与の部品の圧縮力と引張力との間の力のバランス要件を呼び出すことによって推測することができる。
【0005】
プリズムカップリングシステムは、イオン交換領域で定義された表面近傍導波路(NSWG)の横方向電場(TE)光伝搬モードおよび横方向磁場(TM)光伝搬モードのモードスペクトルをキャプチャする。応力光学係数(SOC)を使用して、TMモードスペクトルとTEモードスペクトルとの差から応力特性を抽出した。SOCが小さいため、応力誘起複屈折(TM屈折率とTE屈折率との間の差)は、極めて大きな2つの屈折率数の間の小さな差に相当する。その結果、回復された応力プロファイルの大きさおよび形状は、回復されたTEスペクトルとTMスペクトルとの小さな誤差によって強く影響を受ける。そのような誤差を最小限に抑えるには、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを高分解能でキャプチャする必要があるが、このことは、市販のエバネッセントプリズムカップリングシステムの標準的な構成では必ずしも可能ではない。このことは、特に湾曲した部分に当てはまり、このことには、測定上の特有の課題がある。
【発明の概要】
【0006】
平坦な部分の測定用に設計された既存の(従来の)エバネッセントプリズムカップリングシステムの使用では、湾曲した部分のモードスペクトル(すなわち、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトル)が適切に画像化およびキャプチャされない。湾曲した部分が従来のエバネッセントプリズムカップリングシステムのカップリングプリズムに接触している場合、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルがぼやけて歪むことがある。これにより、誘導光学モードの有効屈折率を自動的に識別することが難しくなり、部品の応力性質を特徴付けるために使用される応力計算の精度が低下してしまう。
【0007】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、先行技術と比べて改善されたシステムおよび方法をもたらす。先行技術のエバネッセントプリズムカップリングシステムは、焦点を変化させた場合でも、湾曲したCS基板の屈折率または応力関連特性を正確に測定することができない。これは、先行技術のシステムには、CS基板の湾曲した表面に起因する、キャプチャされたモードスペクトル画像の歪みを補正する方法がないためである。そのような補正を行わないと、応力関連特性の測定値は、役に立たないほど不正確になってしまう。
【0008】
態様(1)によれば、湾曲した表面と、隣接する表面近傍導波路とを有する化学的に強化された(CS)基板の補正されたデジタルモードスペクトルを取得する方法が提供される。方法は、測定光を表面近傍導波路の内外にカップリングさせるためのエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用してCS基板の横方向磁場(TM)モードスペクトルおよび横方向電場(TE)モードスペクトルをデジタル式にキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップであって、エバネッセントプリズムカップリングシステムは、平坦なCS基板を測定するためのシステム較正を有する、ステップと、基準CS基板の基準TMモードスペクトルおよび基準TEモードスペクトルと比較した、デジタル式にキャプチャされたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルの差を表す較正補正を確立するステップと、較正補正をデジタルモードスペクトル画像に適用して、平坦なCS基板を測定するためのシステム較正を使用して処理することができる補正されたデジタルモードスペクトル画像を形成するステップと、を含む。
【0009】
態様(2)によれば、システム較正を使用して補正されたデジタルモードスペクトルを処理し、a)屈折率プロファイル;およびb)測定対象の湾曲したCS基板の1つ以上の応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定するステップをさらに含む、態様(1)の方法が提供される。
【0010】
態様(3)によれば、基準CS基板が平坦である、態様(1)から態様(2)までのいずれかの方法が提供される。
【0011】
態様(4)によれば、TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルが、それぞれTMモードラインおよびTEモードラインならびにモードライン間隔を含み、基準TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルが、それぞれ基準TMモードラインおよびTEモードラインならびに基準モードライン間隔を含み、かつ較正補正を確立するステップが、デジタルモードスペクトル画像のモードライン間隔と基準CS基板の基準モードライン間隔との間の関係を確立するステップを含む、態様(1)から態様(3)までのいずれかの方法が提供される。
【0012】
態様(5)によれば、システム較正が焦点を含み、デジタルモードスペクトル画像が最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかを有するように焦点を変化させることによって、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップをさらに含む、態様(1)から態様(4)までのいずれかの方法が提供される。
【0013】
態様(6)によれば、較正補正が焦点の変化の関数である、態様(5)の方法が提供される。
【0014】
態様(7)によれば、エバネッセントプリズムカップリングシステムが、デジタル検出器と、デジタル検出器に隣接して配置され、かつ調整可能な焦点を有する検出器光学系とを含む検出器システムを含み、デジタル検出器において、最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかを有するフォーカシングされたデジタルモードスペクトル画像を形成するステップをさらに含む、態様(1)から態様(4)までのいずれかの方法が提供される。
【0015】
態様(8)によれば、調整可能な焦点が、各々異なる焦点距離を有する集束レンズの個別のセットを支持する可動レンズ支持構造によって提供される、態様(7)の方法が提供される。
【0016】
態様(9)によれば、TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルが、可変間隔Δおよび対応する有効屈折率差Δneffを有するそれぞれのTMモードラインおよびTEモードラインを含み、システム較正のためにΔ∝Δneffであり、かつ較正補正を確立するステップは、Δneff=K・Δの演算を実施するステップを含み、Kは、湾曲したCS基板の動的較正パラメータを含む、態様(1)から態様(8)までのいずれかの方法が提供される。
【0017】
態様(10)によれば、nが、エバネッセントプリズムカプラのカップリングプリズムの屈折率であり、lが、検出器光学系と、カップリングプリズムおよびCS基板のカップリングインタフェースとの間の第1の軸線方向距離であり、Lが、検出器光学系と、TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルをデジタル式にキャプチャするデジタル検出器との間の第2の軸線方向距離であり、Kが、基準CS基板のシステム較正のためのシステム較正パラメータであり、かつ動的較正パラメータKは、
【0018】
【数1】
【0019】
のように計算され、
式中、Pは、P=[KL]-1により与えられ、Qは、
【0020】
により与えられ、式中、γは、カップリングインタフェースにおける局所曲率半径Rを有する湾曲したCS基板を測定するためのシステム較正パラメータであり、αは、対応するTEモードラインおよびTMモードラインについてカップリングプリズムに入射する測定光ビームの入射角を含む、態様(9)の方法が提供される。
【0021】
態様(11)によれば、エバネッセントプリズムカップリングシステムが、軸線と、CS基板の湾曲した表面と相互接続されてカップリングインタフェースを画定するカップリングプリズムと、デジタル検出器と、軸線に沿ってプリズムとデジタル検出器との間に配置されて、検出器光学系とカップリングインタフェースとの間の第1の軸線方向距離lと、検出器光学系とデジタル検出器との間の第2の軸線方向距離Lとを画定する検出器光学系とを含み、長さ比がl/L<εであり、εは許容値であり、0.2~0.01の範囲である、態様(1)から態様(10)までのいずれかの方法が提供される。
【0022】
態様(12)によれば、イオン交換(IOX)プロセスによって形成され、湾曲した表面と表面近傍屈折率領域(NSIR)とを有する化学的に強化された(CS)基板における屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力特性のうちの少なくとも1つを決定するように構成されたエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。エバネッセントプリズムカップリングシステムは、第1の軸線に沿って進む集束させられた光ビームを形成する光源システムと、CS基板の湾曲した表面と相互接続して、集束させられた光ビームを受光し、第2の軸線に沿って進み、表面近傍導波路のモードスペクトルを実現する反射された光ビームを形成するカップリングインタフェースを形成するカップリングプリズムと、システム軸線に沿って配置され、カップリングプリズムから順に:検出器光学系;横方向磁場(TM)セクションおよび横方向電場(TE)セクションを有する偏光子;デジタル検出器を含む検出器システムと、を含み、検出器光学系は、カップリングインタフェースから軸線方向距離lおよびデジタル検出器から軸線方向距離Lの位置にあり、長さ比0.01≦l/L≦0.2を定義して、デジタル検出器においてモードスペクトル画像を形成する。
【0023】
態様(13)によれば、NSIRが表面近傍導波路領域を有する、態様(12)のエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0024】
態様(14)によれば、検出器光学系が、デジタル検出器においてモードスペクトル画像を形成して最大量の画像コントラストまたは画像シャープネスを有するように調整可能な焦点を有する、態様(12)から態様(13)までのいずれかのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0025】
態様(15)によれば、調整可能な焦点が、各々異なる焦点距離を有する集束レンズの個別のセットを支持する可動レンズ支持構造によって提供される、態様(12)から態様(14)までのいずれかのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0026】
態様(16)によれば、カップリングプリズムが入力側および出力側を有し、カップリングプリズムの入力側および出力側の少なくとも1つに隣接して配置された少なくとも1つの光制限器をさらに含む、態様(12)から態様(15)までのいずれかのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0027】
態様(17)によれば、調整可能な焦点を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲した化学的に強化された(CS)基板の屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力特性のうちの少なくとも1つを決定する方法が提供される。方法は、a)基準CS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を形成する第1の焦点に調整可能な焦点を調整することにより、システムを較正して、基準CS基板を測定するための較正されたシステムを確立するステップと、b)較正されたシステムを使用して、平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムで湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトに起因して、調整可能な焦点を第2の焦点に調整することにより、湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成するステップと、c)平坦なCS基板の少なくとも1つの応力関連特性の対応する少なくとも1つの計算を使用して、湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像に基づいて、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値(raw value)を決定するステップと、d)少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を調整して、平坦なCS基板の第1の焦点から湾曲したCS基板の第2の焦点への調整可能な焦点の変化に基づく補正係数を未加工の値に乗じることによって補正値を取得するステップと、を含む。
【0028】
態様(18)によれば、基準CS基板が平坦なCS基板を含む、態様(17)の方法が提供される。
【0029】
態様(19)によれば、第1の焦点から第2の焦点への調整可能な焦点の変化が、検出器光学系とデジタル検出器との間の軸線方向距離を変化させることを含む、態様(17)から態様(18)までのいずれかの方法が提供される。
【0030】
態様(20)によれば、検出器光学系が光パワーの量を有し、調整可能な焦点を第1の焦点から第2の焦点に変化させることが、検出器光学系の光パワーの量を変化させることを含む、態様(17)から態様(19)までのいずれかの方法が提供される。
【0031】
態様(21)によれば、検出器光学系が、表面を有する液体レンズを含み、光パワーの量を変化させることが、液体レンズの表面の曲率の量を変化させることを含む、態様(20)の方法が提供される。
【0032】
態様(22)によれば、補正係数が、
【0033】
【数2】
【0034】
のような動的補正係数Kを含み、式中、
【0035】
であり、式中、fは、システム焦点であり、
【0036】
は、平坦なCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成する光ビームの有効屈折率neffの変化に伴う光線角度βの変化であり、L=検出器光学系からデジタル検出器までの軸線方向距離であり、
【0037】
式中、nは、測定光ビームを湾曲したCS基板の内外にカップリングさせるために使用されるカップリングプリズムの屈折率であり、lは、検出器光学系とカップリングプリズムの出力面との間の軸線方向距離であり、lは、カップリングプリズムのカップリング面とCS基板の表面との間のインタフェースの出力面からの軸線方向距離である、態様(17)から態様(21)までのいずれかの方法が提供される。
【0038】
態様(23)によれば、少なくとも1つの応力関連特性が表面圧縮応力を含み、未加工の値が表面圧縮応力CS(未加工)を含み、表面圧縮応力の補正値が
【0039】
に従って与えられる、態様(22)の方法が提供される。
【0040】
態様(24)によれば、少なくとも1つの応力関連特性がニー応力CSkを含み、未加工の値が未加工のニー応力CSk(未加工)を含み、ニー応力の補正値が
【0041】
に従って与えられる、態様(22)から態様(23)までのいずれかの方法が提供される。
【0042】
態様(25)によれば、少なくとも1つの応力関連特性が層深さDOLを含み、未加工の値が未加工の層深さDOL(未加工)を含み、層深さの補正値が
【0043】
により与えられる、態様(22)から態様(24)までのいずれかの方法が提供される。
【0044】
態様(26)によれば、湾曲した表面と表面近傍導波路とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力特性のうちの少なくとも1つを決定するためのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。エバネッセントプリズムカップリングシステムは、測定光を生成する光源システムと、カップリング面を有するカップリングプリズムであって、湾曲した表面とカップリング面において相互接続され、測定光の一部を表面近傍導波路のTM導波モードおよびTE導波モードにカップリングさせ、測定光の一部をTM導波モードおよびTE導波モードから出力光としてカップリングさせるための局所曲率半径Rを有するカップリングインタフェースを画定する、カップリングプリズムと、調整可能な焦点を有し、出力光を受光し、TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を受光して検出するように配置されたデジタル検出器においてTMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成するように構成された検出器光学系を含む検出器システムであって、検出器光学系は、平坦なCS基板を測定するための第1の焦点を有し、調整可能な焦点は、湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能であり、第2の焦点は、最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかでTMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成する、検出器システムと、デジタル検出器に動作可能に接続され、湾曲したCS基板の検出されたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルを処理して、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力特性を、平坦なCS基板の少なくとも1つの応力関連特性の対応する少なくとも1つの計算を使用して、湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像に基づいて、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を決定することと、平坦なCS基板の第1の焦点から湾曲したCS基板の第2の焦点への調整可能な焦点の変化に基づく補正係数を未加工の値に乗じることによって、少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を調整して補正値を取得することと、により決定するように構成されたコントローラと、を含む。
【0045】
態様(27)によれば、検出器光学系の調整可能な焦点を、軸線方向に移動可能である検出器光学系が含む、態様(26)のエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0046】
態様(28)によれば、検出器光学系の調整可能な焦点が、検出器光学系の光パワーの量を変化させることを含む、態様(26)のエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0047】
態様(29)によれば、検出器光学系が液体レンズを含み、液体レンズは、光パワーの量を変化させるために使用される、態様(28)のエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0048】
態様(30)によれば、補正係数が、
【0049】
のような動的補正係数Kを含み、式中、
【0050】
であり、式中、fは、検出器光学系の焦点であり、
【0051】
は、平坦なCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成する出力光ビームの有効屈折率neffの変化に伴う光線角度βの変化であり、L=検出器光学系からデジタル検出器までの軸線方向距離であり、
【0052】
式中、nは、測定光ビームを湾曲したCS基板の内外にカップリングさせるために使用されるカップリングプリズムの屈折率であり、lは、検出器光学系とカップリングプリズムの出力面との間の軸線方向距離であり、lは、カップリングプリズムのカップリング面とCS基板の表面との間のインタフェースの出力面からの軸線方向距離である、態様(26)のエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0053】
態様(31)によれば、少なくとも1つの応力関連特性が表面圧縮応力を含み、未加工の値が表面圧縮応力CS(未加工)を含み、表面圧縮応力の補正値が
【0054】
により与えられる、態様(30)のエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0055】
態様(32)によれば、少なくとも1つの応力関連特性がニー応力CSkを含み、未加工の値が未加工のニー応力CSk(未加工)を含み、ニー応力の補正値が
【0056】
により与えられる、態様(30)から態様(31)までのいずれかのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0057】
態様(33)によれば、少なくとも1つの応力関連特性が層深さDOLを含み、未加工の値が未加工の層深さDOL(未加工)を含み、層深さの補正値が
【0058】
により与えられる、態様(30)から態様(32)までのいずれかのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。
【0059】
態様(34)によれば、調整可能な焦点を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲した化学的に強化された(CS)基板の第1の応力特性を決定する方法が提供される。方法は、a)平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を形成する第1の焦点に調整可能な焦点を調整することにより、システムを較正して、平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムを確立するステップであって、較正されたシステムが少なくとも第1の応力関連特性を含む、ステップと、b)較正されたシステムを使用して、平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムで湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトを測定するために、調整可能な焦点を第2の焦点に調整することにより、湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成するステップと、c)測定された焦点シフトに基づいて、平坦なCS基板の第1の応力関連特性計算を修正して、修正された第1の応力関連特性計算を形成するステップと、d)修正された第1の応力関連特性計算を実施して、湾曲したCS基板の第1の応力関連特性の測定値を取得するステップと、を含む。
【0060】
態様(35)によれば、第2の応力関連特性について、a)~d)の動作を繰り返すことをさらに含む、態様(34)の方法が提供される。
【0061】
態様(36)によれば、第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)、ニー応力CSkまたは層深さDOLのいずれかを含む、態様(34)から態様(35)までのいずれかの方法が提供される。
【0062】
態様(37)によれば、第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)を含み、修正された第1の応力関連特性計算がCS(0)=K・B表面/SOCの形態を有し、式中、B表面は、平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定された表面複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、測定された焦点シフトに基づく補正パラメータである、態様(34)の方法が提供される。
【0063】
態様(38)によれば、第1の応力関連特性が、ニー圧縮応力CSkを含み、修正された第1の応力関連特性計算がCSk=K・Bニー/SOCの形態を有し、式中、Bニーは、平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定されたニー応力複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、測定された焦点シフトに基づく補正パラメータである、態様(34)の方法が提供される。
【0064】
態様(39)によれば、湾曲した表面を表面近傍導波路と共に有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の第1の応力特性を決定するためのエバネッセントプリズムカップリングシステムが提供される。システムは、測定光を生成する光源システムと、カップリング面を有するカップリングプリズムであって、湾曲した表面とカップリング面において相互接続され、測定光の一部を表面近傍導波路のTM導波モードおよびTE導波モードにカップリングさせ、測定光の一部をTM導波モードおよびTE導波モードから出力光としてカップリングさせるための局所曲率半径Rを有するカップリングインタフェースを画定する、カップリングプリズムと、調整可能な焦点を有し、出力光を受光し、TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を受光して検出するように配置されたデジタル検出器においてTMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成するように構成された検出器光学系を含む検出器システムであって、検出器光学系は、平坦なCS基板を測定するための第1の焦点を有し、調整可能な焦点は、湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能であり、第2の焦点は、最大コントラストでTMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成する、検出器システムと、デジタル検出器に動作可能に接続され、湾曲したCS基板の検出されたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルを処理して、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力特性を、i)平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムで湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトを測定するために、調整可能な焦点を第2の焦点に調整することと、ii)測定された焦点シフトに基づいて、平坦なCS基板の第1の応力関連特性計算を修正して、修正された第1の応力関連特性計算を形成することと、iii)修正された第1の応力関連特性計算を実施して、湾曲したCS基板の第1の応力関連特性の測定値を取得することと、により決定するように構成されたコントローラと、を含む。
【0065】
態様(40)によれば、第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)、ニー応力CSkまたは層深さDOLのいずれかを含む、態様(39)のシステムが提供される。
【0066】
態様(41)によれば、第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)を含み、修正された第1の応力関連特性計算がCS(0)=K・B表面/SOCの形態を有し、式中、B表面は、平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定された表面複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、測定された焦点シフトに基づく補正パラメータである、態様(39)のシステムが提供される。
【0067】
態様(42)によれば、第1の応力関連特性が、ニー圧縮応力CSkを含み、修正された第1の応力関連特性計算がCSk=K・Bニー/SOCの形態を有し、式中、Bニーは、平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定されたニー応力複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、測定された焦点シフトに基づく補正パラメータである、態様(39)のシステムが提供される。
【0068】
態様(43)によれば、湾曲した表面と、隣接する表面近傍屈折率領域とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の補正されたモードスペクトル画像を取得する方法が提供される。方法は、表面近傍屈折率領域と動作可能に係合したエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャするステップであって、エバネッセントプリズムカップリングシステムは、少なくとも1つの応力特性を計算するための平坦なCS基板較正を有する、ステップと、湾曲したCS基板と同じイオン交換(IOX)プロセスを使用して形成された基準を成す平坦なCS基板のモードスペクトル画像に対する、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像の歪みの量を測定するステップと、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像の歪みを補正して、補正されたモードスペクトル画像を形成するステップと、を含む。
【0069】
態様(44)によれば、表面近傍屈折率領域が表面近傍導波路領域を含む、態様(43)の方法が提供される。
【0070】
態様(45)によれば、補正されたモードスペクトル画像および平坦なCS基板較正を使用して、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力特性を計算して、少なくとも1つの応力特性を計算するステップをさらに含む、態様(44)の方法が提供される。
【0071】
態様(46)によれば、少なくとも1つの応力特性が、表面圧縮応力、ニー応力または層深さの少なくとも1つを含む、態様(44)の方法が提供される。
【0072】
態様(47)によれば、エバネッセントプリズムカップリングシステムが、調整可能な焦点と、基準を成す平坦なCS基板の第1の焦点とを有し、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャする動作が、湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能な焦点を調整するステップをさらに含む、態様(43)から態様(46)までのいずれかの方法が提供される。
【0073】
態様(48)によれば、調整可能な焦点を調整するステップが、検出器光学系とデジタル検出器との間の軸線方向距離を変化させるステップを含む、態様(43)から態様(46)までのいずれかの方法が提供される。
【0074】
態様(49)によれば、調整可能な焦点を調整するステップが、検出器光学系の光パワーの量を調整するステップを含む、態様(43)から態様(46)までのいずれかの方法が提供される。
【0075】
態様(50)によれば、光パワーの量を調整するステップが、液体レンズの表面曲率の量を調整するステップを含む、態様(49)の方法が提供される。
【0076】
態様(51)によれば、湾曲した表面と、隣接する表面近傍導波路とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の少なくとも1つの応力特性を測定する方法が提供される。方法は、表面近傍導波路と動作可能に係合したエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャするステップであって、エバネッセントプリズムカップリングシステムは、少なくとも1つの応力特性を計算するための平坦なCS基板較正を有する、ステップと、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像を使用して、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力特性を計算し、少なくとも1つの応力特性の未加工の値を得るステップと、湾曲したCS基板と同じイオン交換(IOX)プロセスを使用して形成された基準を成す平坦なCS基板のモードスペクトル画像に対する、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像の歪みの量を測定するステップと、歪みの量に基づいて補正係数を決定するステップと、少なくとも1つの応力特性の未加工の値に補正係数を適用して、湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力特性の補正値を得るステップと、を含む。
【0077】
態様(52)によれば、少なくとも1つの応力特性が、表面圧縮応力、ニー応力または層深さの少なくとも1つを含む、態様(51)の方法が提供される。
【0078】
態様(53)によれば、エバネッセントプリズムカップリングシステムが、調整可能な焦点と、平坦なCS基板較正の第1の焦点とを有し、湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャする動作が、湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能な焦点を調整するステップをさらに含む、態様(51)から態様(52)までのいずれかの方法が提供される。
【0079】
態様(54)によれば、補正係数を決定するステップが、第1の焦点と第2の焦点との間の差に部分的に基づく、態様(51)から態様(53)までのいずれかの方法が提供される。
【0080】
態様(55)によれば、調整可能な焦点を調整するステップが、エバネッセントプリズムカップリングシステム内の光学系およびデジタル検出器のうちの少なくとも1つを軸線方向に移動させるステップを含む、態様(51)から態様(54)までのいずれかの方法が提供される。
【0081】
態様(56)によれば、調整可能な焦点を調整するステップが、エバネッセントプリズムカップリングシステム内の液体レンズ要素の光パワーの量を調整するステップを含む、態様(51)から態様(54)までのいずれかの方法が提供される。
【0082】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載してあり、部分的にその説明から当業者に容易に明らかであるか、または以下に記載した明細書および特許請求の範囲ならびに添付の図面に記載した実施形態を実施することによって認識されるはずである。当然ながら、前述の概説および以下の詳細な説明は単なる例にすぎず、特許請求の範囲の本質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図している。
【0083】
添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、詳細な説明と共に、様々な実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。したがって、本開示は、添付の図と併せて、以下の共明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1A】例示的なCS基板の立面図であり、CS基板は平坦であり、図1BのCS基板とは、その他の点では同じ一般構造を有する。
図1B】例示的なCS基板の立面図であり、CS基板は湾曲しており、図1AのCS基板とは、その他の点では同じ一般構造を有する。
図2A】異なるIOXプロセスに基づく例示的なCS基板の屈折率プロファイルn(z)対z(CS基板への深さ)のプロットを示す図である。
図2B】異なるIOXプロセスに基づく例示的なCS基板の屈折率プロファイルn(z)対z(CS基板への深さ)のプロットを示す図である。
図2C】異なるIOXプロセスに基づく例示的なCS基板の屈折率プロファイルn(z)対z(CS基板への深さ)のプロットを示す図である。
図2D】異なるIOXプロセスに基づく例示的なCS基板の屈折率プロファイルn(z)対z(CS基板への深さ)のプロットを示す図である。
図2E】異なるIOXプロセスに基づく例示的なCS基板の屈折率プロファイルn(z)対z(CS基板への深さ)のプロットを示す図である。
図3A】CS基板の少なくとも1つの応力関連性質を特徴付けるために、本明細書に開示される測定方法を実施するために使用される例示的な拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムの概略図である。
図3B】例示的なレンズ支持構造の正面図であり、例示的なホイール構成を示す図である。
図3C】例示的なレンズ支持構造の正面図であり、線形構成を示す図である。
図4A図3Aに類似しており、システムの光源側および/または検出器側に1つまたは2つのビーム制限部材のいずれかを採用する拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムの構成例を示す図である。
図4B】カップリングプリズムに入射する光および/またはカップリングプリズムから出射する光の一部を遮断することにより、図4Aの拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムにおいて使用することができる例示的な光制限器の正面図である。
図4C】カップリングプリズムに入射する光および/またはカップリングプリズムから出射する光の一部を遮断することにより、図4Aの拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムにおいて使用することができる例示的な光制限器の正面図である。
図4D】カップリングプリズムに入射する光および/またはカップリングプリズムから出射する光の一部を遮断することにより、図4Aの拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムにおいて使用することができる例示的な光制限器の正面図である。
図5A図2Aおよび図2Bの例示的な屈折率プロファイルn(z)に対応する例示的な理想化されたモードスペクトル画像の概略図である。
図5B図3Aのエバネッセントプリズムカップリングシステムによって得られた、図2Cの例示的な屈折率プロファイルn(z)に対応する例示的な理想化されたモードスペクトル(またはモードスペクトル画像)の概略図であり、ローカルx-y座標系のx方向に離間したモードライン(フリンジ)を示している。
図5C図3Aのエバネッセントプリズムカップリングシステムによって得られた、図2Dの例示的な屈折率プロファイルn(z)に対応する例示的な理想化されたモードスペクトル(またはモードスペクトル画像)の概略図であり、ローカルx-y座標系のx方向に離間したモードライン(フリンジ)を示している。
図5D図3Aのエバネッセントプリズムカップリングシステムによって得られた、図2Eの例示的な屈折率プロファイルn(z)に対応する例示的な理想化されたモードスペクトル(またはモードスペクトル画像)の概略図であり、ローカルx-y座標系のx方向に離間したモードライン(フリンジ)を示している。
図6A図3Aのエバネッセントプリズムカップリングシステムの検出器システム側のクローズアップ図であり、平坦なCS基板の検出システム構成を示している。
図6B図3Aのエバネッセントプリズムカップリングシステムの検出器システム側のクローズアップ図であり、湾曲したCS基板の検出システム構成を示している。
図7A】表面圧縮応力CS、ニー圧縮応力CSkおよび層深さDOLを決定する例示的な方法のフロー図である。
図7B】表面圧縮応力CS、ニー圧縮応力CSkおよび層深さDOLを決定する例示的な方法のフロー図である。
図8A】較正補正なしの場合の例示的なCS基板のメガパスカル(MPa)単位の圧縮応力CSの測定値対検出器光学系のミリメートル(mm)単位の焦点距離fのプロットを示す図であり、データを通じてベストフィットのラインを示している。
図8B】同じく較正補正なしで、図8Aで使用したのと同じスペクトルを使用して得られたマイクロメートル(μm)単位の層深さ(DOL)対検出器光学系の焦点距離f(mm)のプロットを示す図である。
図9A図8Aおよび図8Bと同じであるが、較正補正が適用された場合のものであり、圧縮応力CSおよび層深さDOLの測定値が著しくより一貫していることを示している。
図9B図8Aおよび図8Bと同じであるが、較正補正が適用された場合のものであり、圧縮応力CSおよび層深さDOLの測定値が著しくより一貫していることを示している。
図10A】圧縮応力CS(MPa)対曲率k=1/R(m-1)のプロットを示す図であり、ここで、Rは、測定位置における湾曲した基板の局所曲率半径であり、測定された試験片の3つのグループ(グループA,B,C)を示しており、未加工のCS測定値は白抜きの記号で、補正された測定値は塗りつぶされた記号で示されている。
図10B図10Aと同様であり、未加工の測定値および補正された測定値について、グループA,B,Cの層深さDOL(マイクロメートル、μm)対k=1/R(m-1)をプロットした図である。
図11】平坦なCS基板の実際のモードスペクトル画像を示す図であり、画像は焦点が合っており、したがって、エバネッセントプリズムカップリングシステムの第1の焦点に関連する最大コントラストを有する。
図12A】R=10mの湾曲したCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示す図であり、画像は、Rの減少、すなわち曲率量の増加に伴うコントラストの低下を示しており、平坦なCS基板については図11の第1の焦点で撮影された画像である。
図12B】R=6mの湾曲したCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示す図であり、画像は、Rの減少、すなわち曲率量の増加に伴うコントラストの低下を示しており、平坦なCS基板については図11の第1の焦点で撮影された画像である。
図12C】R=4.3mの湾曲したCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示す図であり、画像は、Rの減少、すなわち曲率量の増加に伴うコントラストの低下を示しており、平坦なCS基板については図11の第1の焦点で撮影された画像である。
図13A】R=10mのCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示した図であるが、レンズとカメラセンサとの間の距離を+3.5mm増加させることによって焦点を調整したものであり、これにより、R=10mのモードスペクトル画像が、平坦なCS基板について図11の第1の焦点で撮影された画像と比較して最良の焦点となる。
図13B】R=6mのCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示した図であるが、レンズとカメラセンサとの間の距離を+3.5mm増加させることによって焦点を調整したものであり、これにより、R=6mの画像のコントラストが、平坦なCS基板について図11の第1の焦点で撮影された画像と比較して向上する。
図14A】R=6mのCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示した図であるが、レンズをカメラセンサから+5.8mm遠くに動かすことによって焦点を調整したものであり、これにより、R=6mのモードスペクトル画像が、第1の焦点条件と比較して最良の焦点となる。
図14B】R=4.3mのCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示した図であるが、レンズをカメラセンサから+5.8mm遠くに動かすことによって焦点を調整したものであり、これにより、R=4.3mの画像のコントラストが、第1の焦点条件と比較して向上する。
図15】R=4.3mのCS基板についての実際のモードスペクトル画像を示す図であるが、画像が最良の焦点になるように、画像形成レンズを第1の焦点レンズ位置に対してカメラから+8.1mm離して焦点を調整したものである。
図16】焦点の変化Δf(mm)対曲率1/R(m-1)のプロットを示す図であり、シャープな(最大コントラストの)モードスペクトル画像を取得するための焦点の変化と、測定対象であるCS基板の局所曲率との間の線形関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0085】
次に、本開示の様々な実施形態を詳細に参照し、それらの例を添付図面に示す。可能な限り、同一または類似の参照番号および記号は、同一または類似の部分を参照するために図面全体を通して使用される。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、当業者であれば、本開示の重要な態様を説明するために図面が簡略化されている箇所を認識するであろう。
【0086】
一部の図では参照のために直交座標が示されているものの、方向または向きを限定することを意図するものではない。
【0087】
2019年12月3日に発行され、Corning, Inc.社に一般に帰属する「Prism-coupling systems and methods for characterizing curved parts」と題する米国特許第10,495,530号明細書を、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【0088】
「基板」という用語は、本明細書では、基板の1つ以上の応力関連特性を取得するために、本明細書で開示される拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステムおよび方法を使用した測定の対象となる、本明細書で使用される部品、サンプル、試験片、コンポーネント、要素、部材などの用語としても参照される。基板には、エバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、表面近傍光導波路によって定義される導波モードスペクトル(または有効屈折率の角度スペクトル)を取得し処理することを可能にする表面近傍導波路があることが想定される。
【0089】
「CS基板」という用語は、イオン交換(IOX)プロセスなどの化学強化プロセスを使用して形成された基板の一例として、「化学的に強化された基板」を略したものである。本明細書の考察の他の部分では、頭字語CSは「圧縮応力」を表し、頭字語CSが「化学的に強化された」および「圧縮応力」のいずれかを表すために使用することは、考察の文脈から当業者には明らかであろう。
【0090】
測定対象である所与の部品または基板の表面に関連する「湾曲した」または「曲率」という用語は、その表面が平らなもの、すなわち平面から逸脱していることを意味する。曲率は単一の次元に制限されるものではなく、異なる次元の表面曲率が同じである必要はない。所与の次元における曲率量は、対応する曲率半径によって定義され得る。本明細書で考慮される曲率量は、同じ部品または基板の完全に平坦なバージョンと比較して、少なくとも1つのタイプの応力測定に悪影響を及ぼすものであるが、それでもなおカップリングプリズムと湾曲した表面との間にプリズムカップリングを確立することを可能にする。一態様では、これには、設計上、測定位置では名目上は平坦であるが、例えば、測定位置から離れた場所に名目上は平坦でない領域の存在を含む、試験片の全体的な形状の複雑さに関連するイオン交換誘起の反りの結果として、完全な平坦性から僅かに逸脱している基板の場合も含まれる。
【0091】
部品または基板の湾曲は、反りに起因し得る。本開示の態様は、以下に説明するように、光源からセンサまでの主光路を含む平面内に曲率がある場合に正確な測定を取得するという未解決の問題に特に対処している。特に断らない限り、所与の曲率半径Rまたは曲率量(1/R)は、測定が行われる測定インタフェースまたはカップリングインタフェースに対して局所的である。
【0092】
IOXという用語は、イオン交換またはイオン交換型を略したものである。
【0093】
2つの異なる部品、基板などが同一のまたは同じIOXプロセスによって形成されるという言及は、2つの異なる部品が同じバッチの一部として同時に形成されることを必ずしも意味するものではない。例えば、湾曲したCS基板および基準CS基板(平坦な基板であり得る)は、同じIOXプロセスを使用して異なる時間に別々のバッチで形成することができ、それでもなお同じ屈折率プロファイルまたはほぼ同一の屈折率プロファイルを有する。また、「同じ」という用語は、IOXプロセスに関連する通常の実験的な制限およびばらつきの範囲内にあると捉えられる。
【0094】
湾曲したCS基板のモードスペクトル画像に関して使用される「歪んだ」および「歪み」という用語は、モードスペクトルのモードラインが、理想的な間隔またはCS基板が平坦である場合に得られるであろう基準間隔と比較して、異なる間隔を有することを意味する。歪みは、線形または非線形の場合がある。
【0095】
「モードスペクトル」および「モードスペクトル画像」などの用語は、角度反射スペクトルの画像を指し、導波モードおよびモードラインが存在しない場合も含むことができる。
【0096】
「コントラスト」という用語は、(Imax-Imin)/(Imax+Imin)の比として理解することができ、ImaxおよびIminは、それぞれ最大強度値および最小強度値である。「シャープネス」という用語は、好ましいフリンジのセットの平均半値全幅(FWHM)の逆数として理解することができる。これら2つのパラメータは強く相関しており、いずれか一方を使用して、本明細書に開示されるシステムおよび方法において、フォーカシングの自動制御を行うことができる。
【0097】
上部、下部、前面、背面、側面などの用語は、論述を容易にするために使用される相対的な用語であり、向きおよび方向について限定することを意図するものではない。
【0098】
化学的に強化された(CS)基板
図1Aおよび図1Bは、例示的な化学的に強化された(CS)基板10の立面図であり、図1AのCS基板は平坦であり、図1BのCS基板は、図1AのCS基板と同じであるが、図示のローカル座標系においてx方向に湾曲している。図1BのCS基板10は、y方向にも曲率を有することができ、図示を容易にするために一方向に湾曲して示されている。CS基板10は、論述を容易にするために上面および下面と呼ばれる第1の対向面12および第2の対向面14を画定する本体11を有する。CS基板10はまた、対向する縁部16と、上面12と下面14との間の中間に位置し、例えば図1Aの平坦なCS基板における平面である中間面MSとを有する。「上」面12は、測定対象である表面として例示的に示されており、そのため測定表面とも呼ぶことができる。
【0099】
CS基板10の例示的なタイプは、ガラスベースであり、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、GPSデバイスなどのモバイルデバイスのディスプレイおよび/またはハウジングの保護カバーとして使用される。そのようなCS基板10は、図1Aに示すように薄くて平面である傾向があるが、誘起された応力に起因して、または基板が選択された曲率を有するように形成されているため、図1Bに示すような曲率(または2方向に湾曲)を有することができる。
【0100】
場合によっては、厚さTHは、0.050mm≦TH≦2mmの範囲、例えば0.20mm≦TH≦2mm、0.25mm≦TH≦2mm、0.3mm≦TH≦2mm、または0.3mm≦TH≦1mm、およびこれらの端点の間に形成されるあらゆる全てのサブ範囲にあり得る。
【0101】
一例では、CS基板10はガラス製であり、イオン交換(IOX)プロセスを経ており、それによって、少なくとも1種類のイオンが、上面12および下面14の一方または両方を介して本体11に交換されている。IOXプロセスは、その入射面と平行に偏光するp偏光(横方向磁場、TM)光に対してよりもs偏光(横方向電場、TE)光に対して異なり得る屈折率プロファイルn(z)を有する表面近傍導波路(NSWG)18(上面12で示される)を定義することができる。
【0102】
NaNOなどのNa系塩のみ、またはほぼ排他的にNa系塩のみを含む浴を使用したLi系ガラスおよびガラスセラミックの化学強化の一部の例のように、イオン交換によりNSWG18が生じない場合、本明細書で開示される方法は、最大コントラストの目標とされた条件が、NSWG18がない場合には利用できない導波光学モードに対応するスペクトルにおけるフリンジのシャープネスではなく、臨界角における強度遷移のシャープネスに関連付けられるべきであるという若干の修正を加えた上で、それでもなお適用可能である。この場合、IOXプロセスは、図1Aおよび図1Bにおいて18’として示される表面近傍屈折率領域(NSIR)を形成する。NSWG18は、導波モードをサポートするNSIR18’の例示的なタイプとして考えることができることに留意されたい。
【0103】
屈折率プロファイルの例
図2A図2Eは、異なるIOXプロセスに基づく例示的なCS基板の例示的な屈折率プロファイルn(z)対z(CS基板への深さ)のプロットである。TMプロファイルn(z)TMとTEプロファイルn(z)TEとの両方が示されている。屈折率プロファイルn(z)は、2つの(IOX)領域、すなわち第1の表面近傍領域R1と第2の深部領域R2とを有し得る。また、第2の深部領域よりも深い第3の領域R3が存在する場合があり、本明細書では、それを本体11のバルク屈折率nを有する「バルク」領域と呼ぶ。
【0104】
図2Aは、屈折率プロファイルn(z)が、深部領域R2と比較して屈折率が低下した表面近傍領域R1を有する例を示している。この例では、NSWG18が形成されておらず、そのため、図5Aに関連して後述するように、対応するモードスペクトルに導波モードおよびモードラインは存在しない。図2Aの屈折率プロファイルn(z)は、Na+--Li+IOXプロセスを使用して、幾つかのリチウム含有ガラスで形成することができる。図2Bも同様であるが、TMプロファイルはほぼ平坦である。図2Bの屈折率プロファイルn(z)は、Na+--Li+IOXプロセスを使用して、様々なリチウム含有ガラスに形成することができる。図2BのTMおよびTE屈折率プロファイルは、図5Aに概略的に示されるものと定性的に極めて類似したプリズムカップリング反射スペクトル画像をもたらす。図5Aの概略的なスペクトル画像は、図2Aの屈折率プロファイルと図2Bの屈折率プロファイルとの両方に適用可能である。
【0105】
図2C図2Eの屈折率プロファイルn(z)の場合、表面近傍領域R1は、より深い領域に対して実質的に屈折率が増加した領域である。図2Cおよび図2Eの場合、それは「スパイク」領域であり、すなわち、それは、上面12の表面屈折率n=n(0)から始まり、深さ(z)と共に急速に減少し、第1の「スパイク」深さD1と呼ぶことができる比較的浅い深さz=D1で値nに至る屈折率分布を有する。この結果、NSWG18が形成される。2Dの場合、前述の領域R1は浅いスパイクである必要はなく、比較的深く延びていてもよい。深部領域R2は、図2Eのプロファイルの場合、nから深さD2まで屈折率の減少がより緩やかであるか、またはガラス中へのカリウムイオン交換によって生成されたスパイク領域R1と、LiとのNaイオン交換によって生成された次の領域R2とを有するLi系ガラスにおいてこのプロファイルが取得された場合、図2Aまたは図2Bの領域R1に類似していてもよい。
【0106】
プリズムカップリング測定における結合光学モードのモードカウントを使用することによって従来測定された層深さDOLは、図2Cおよび図2EではD1として、図2DではDOLとして示されている。圧縮深さDOCは、図2Cにおいて、第1の領域R1および第2の領域R2の範囲の和D1+D2として示されている。図2Cおよび図2Eの屈折率および応力プロファイルの第1の領域R1および第2の領域R2は、深さz=zにおいてニーKNで交わり(したがって、ニーKNを定義し)、ここで、(上述のように)屈折率n=nは、「ニー屈折率」と呼ばれ、ニー(圧縮)応力CSに関連付けられている。
【0107】
2つの異なる屈折率領域R1およびR2があるため、これらの領域によって形成されるNSWG18(図1A、1B参照)は、最上部のスパイク領域R1のみを実質的に伝播する導波モードをサポートする一方で、少数の導波モードは領域R1とR2との両方を伝搬すると言えるが、図2Eのプロファイルの場合、さらに他の導波モードは深部領域R2のみを実質的に伝播する。他の屈折率プロファイルn(z)は、図2Dに示すような屈折率プロファイルn(z)のより均一な変化を含む。図2Eに概略的に示した例では、深部導波モードの一部は、バルク領域R3に僅かに延びることができる。図2Dおよび図2Eでは、これら2つの各例においてTEプロファイルの形状はTMプロファイルの形状と質的に同じであるため、n(z)TMおよびn(z)TEプロファイルの両方の形状を表すものとして、1つの屈折率プロファイルn(z)のみが示されていることに留意されたい。全ての場合において、TM屈折率プロファイルとTE屈折率プロファイルとは、ゼロ複屈折点で交差し、これは、応力が圧縮応力から引張応力に符号を変える圧縮深さ(DOC)で発生する。
【0108】
図2Eの屈折率プロファイルn(z)は、Liを含まないNa含有ガラスCS基板10で実施されるDIOXプロセスを表すものであり、ここで、イオン交換の第1のステップにおいて、カリウムイオンが、限られた濃度であるが大きな深さでNaイオンと交換され、次いで、第2のイオン交換ステップにおいて、再びカリウムイオンが、はるかに高い濃度であるがはるかに小さな深さでNaイオンと交換され、前述のより高いカリウム濃度が表面スパイク領域R1の原因となる。
【0109】
CS基板10にイオン交換領域を形成するイオン交換プロセスは、通常、ある量の複屈折Bを生じさせる。この複屈折Bは、既知の技術を使用して、上面12(およびその近傍)における応力(例えば、圧縮応力CS)、および/または圧縮応力プロファイルS(z)を計算するために使用することができる。応力プロファイルS(z)は、S(z)=B(z)/SOCを介して複屈折Bに関連し、ここで、SOCは応力光学係数であり、B(z)=[nTM(z)-nTE(z)]である。複屈折Bは、例えば表面複屈折B表面、ニー複屈折Bニーなどを示すために異なる添え字を有し得る。
【0110】
エバネッセントプリズムカップリングシステム
図3Aは、例示的な拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステム(「システム」)100の概略図であり、図4Aは、CS基板におけるシステム100の中央部分のクローズアップ図である。拡張型のエバネッセントプリズムカップリングシステム100は、本明細書に開示される拡張型の測定方法を実施するために使用することができる。システム100は、湾曲したCS基板10を正確に測定して、湾曲したCS基板10の表面圧縮応力S(0)、層深さDOL、層スパイク深さDOLsp、ニー応力CSおよび複屈折Bなどの1つ以上の応力特性を取得することを可能にする拡張型または修正型の構成を有する。
【0111】
図3Aおよび図4Aを参照すると、システム100は、光源システム110が沿って延在する第1のシステム軸線(「第1の軸線」)A1を含み、検出器システム140が沿って延在する第2のシステム軸線(「第2の軸線」)A2も含む。第1の軸線A1および第2の軸線A2は、実質的に共通の平面(例えば、図示のようにx-z平面)内に延在する。
【0112】
光源システム110は、測定波長λで光ビーム116を生成する光源112を含み、前述の光ビームは第1の軸線A1に沿って進む。システム100は、屈折率nを有するカップリングプリズム42と、入力面43と、出力面45と、CS基板10の上面12と相互接続されてカップリングインタフェースINTを形成するカップリング面44とを含む。一例では、以下に説明するように、CS基板の上面12とカップリング面44との間に屈折率整合流体50を使用して、CS基板および/またはNSWG18の内外への測定光の光学的なカップリングを容易にすることができる。
【0113】
システム100は、以下に説明するように、測定されたカップリングスペクトルおよび/またはモードスペクトルパラメータに基づいてCS基板の屈折率プロファイル関連特性および/または応力関連特性を計算することを含む、非一時的(non-transitory)コンピュータ可読媒体に組み入れられた命令を実施するように構成されたコンピュータなどのシステムコントローラ(「コントローラ」)130を含む。一例では、コントローラ130は、プロセッサユニット(「プロセッサ」)402およびメモリユニット(「メモリ」)404を含む。コントローラは、コンピュータを含むことができ、コンピュータ内またはコンピュータと共に使用される既知の読み取りデバイスのうちの任意の1つ、例えば、フロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、光磁気ディスク(MOD)デバイス(図示せず)、ソリッドステートドライブ、またはフロッピーディスク、CD-ROM、DVD、MOD、フラッシュドライブもしくはネットワークもしくはインタネットなどの別のデジタルソースなどのコンピュータ可読媒体から命令および/またはデータを読み取るための、イーサネットデバイス(図示せず)などのネットワーク接続デバイスを含む任意の他のデジタルデバイスを含むことができる。コントローラ130は、本明細書に開示される応力関連測定方法を実施するための信号処理命令を含む、ファームウェアおよび/またはソフトウェア(図示せず)に格納された命令を実施するように構成されている。例では、「コントローラ」、「コンピュータ」、および「プロセッサ」という用語は交換可能である。
【0114】
コントローラ130は、システム100の動作、ならびに表面応力、応力プロファイル、圧縮応力、層深さ、屈折率プロファイル、および複屈折などの測定された湾曲した部分の少なくとも1つの特性の測定に到達するための画像信号の前述の信号処理を含む、本明細書で説明される機能を実施するようにプログラム可能である。
【0115】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ」という用語は、当該技術分野においてコンピュータと呼ばれる集積回路だけに限定されるものではなく、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ、特定用途向け集積回路、およびその他のプログラマブル回路を広く指し、これらの用語は本明細書において互換的に使用される。
【0116】
ソフトウェアは、本明細書に開示される方法を実施する際の前述の信号処理を含む、本明細書に開示されるシステム100の動作の実施を実装または支援することができる。ソフトウェアは、コントローラ130、特にプロセッサ402およびメモリ404に動作可能にインストールされ得る。ソフトウェア機能には、実施可能コードを含むプログラミングが含まれる場合があり、そのような機能は、本明細書に開示される方法を実施するために使用され得る。そのようなソフトウェアコードは、汎用コンピュータ、例えばプロセッサ402によって実施可能である。
【0117】
動作中、コードおよび場合によっては関連するデータレコードは、汎用コンピュータプラットフォーム内、プロセッサ402内および/またはメモリ404内に格納される。しかしながら、他のときには、ソフトウェアは、他の場所に格納され、かつ/または適切な汎用コンピュータシステムにロードするために伝送され得る。本明細書で考察される実施形態は、少なくとも1つの機械可読媒体によって保持されるコードの1つ以上のモジュールの形態で1つ以上のソフトウェア製品を含む。コントローラ130のプロセッサ402によるそのようなコードの実施は、本質的に、本明細書で考察および図示される実施形態で実施される方法で、プラットフォームがカタログおよび/またはソフトウェアダウンロード機能を実装することを可能にする。
【0118】
コントローラ130および/またはプロセッサ402は、各々、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体(例えば、メモリ404)を採用することができ、これは、例えば、湾曲したCS基板10の表面複屈折/応力の量または応力プロファイルS(x)を決定することを含む、プロセッサに実施のための命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。メモリ404は、コンピュータ可読媒体を構成する。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体には、例えば、上述したサーバプラットフォームの1つとして動作する任意のコンピュータにおけるストレージデバイスなどの光ディスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体には、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが含まれる。物理伝送媒体には、同軸ケーブル、銅線および光ファイバが含まれ、コンピュータシステム内のバスを含むワイヤも含まれる。
【0119】
したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュドライブおよびその他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVDおよびその他の任意の光学媒体;パンチカード、紙テープおよび穴のパターンを有するその他の任意の物理媒体など、あまり一般的に使用されていない媒体;RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROMおよびその他の任意のメモリチップまたはカートリッジ;データもしくは命令を伝送する搬送波、そのような搬送波を伝送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードもしくはデータを読み取ることができるその他の任意媒体が含まれる。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ402に搬送して実施することに関与し得る。
【0120】
システム100は、市販のプリズムカップリング機器、例えば、有限会社折原製作所(日本、東京)によって製造および販売されており、ここで説明するように修正したFSM-6000LEプリズムカップリング機器のバージョンであってもよい。
【0121】
光源システム110はまた、第1の光軸線A1に沿って、オプションの偏光子118と、光源112の下流にあるオプションの光拡散器122と、光拡散器の下流にあるオプションの照明システム集束レンズ120とを含む。一例では、光源112は、発光ダイオード(LED)またはレーザーダイオードを含む。
【0122】
検出器システム140は、第2のシステム軸線A2に沿って順に、検出器光学系142と、波長λを中心とするバンドパスフィルタ144と、減衰器146と、TM-TE偏光子148(これは、TMセクションおよびTEセクションを並んで有する、図示せず)と、TM-TE偏光子148によって定義されるTMセクションおよびTEセクション(図示せず)を有するデジタル検出器(例えば、デジタルカメラ、画像センサ、CCDアレイなど)150とを含む。デジタル検出器150は、一例では検出器光学系142の画像平面IPにある検出器表面152を有する。一例では、検出器光学系142は光パワーの量を有し、光パワーの量は、当該技術分野で公知の光パワーを調整する手段の1つを使用して調整可能であり、その例は後述する。
【0123】
システム100は、図示のような厳密な構成を有する必要はなく、例えば、バンドパスフィルタ144をソース側に配置してもよく、スプリットTM-TE偏光子148を使用する場合には、オプションの偏光子118を省略してもよい。またはオプションの偏光子118を回転偏光子とし、スプリットTM-TE偏光子148を省略し、デジタル検出器の全く同じ領域でTM状態およびTE状態の検出を順次行うこともできる。バンドパスフィルタ144、減衰器146および検出器光学系142の順序は変更可能であり、示された順序は一例であることにも留意されたい。当業者であれば、実際に使用可能なシステム100の様々な構成およびコンポーネント配置オプションを理解するであろう。
【0124】
光源112からの光ビーム116は、光拡散器122によって拡散され、光源システム集束レンズ120によって集束させられて、集束させられた光ビーム116Fを形成する。「集束」という用語は、レンズを使用してビームを集束し、プリズム-試験片のインタフェース上の目標測定領域の照明効率を高めることができることを意味する広い意味で使用される。集束させられた光ビーム116Fは、入射面43でカップリングプリズム42に入射し、カップリングインタフェースINTまで進み、そこで集束させられた光ビームの一部が基板および/またはNSWG18に光学的にカップリングされ、基板および/またはNSWG内を進む一方、集束させられた光ビームの一部がカップリングインタフェースから反射され、反射された光ビーム116Rを形成する。反射された光ビームはカップリングプリズム42の出力面45から出て、第2のシステム軸線A2に沿って検出器システム140まで進む。反射された光ビーム116Rは、NSWG18の導波モードの角度反射スペクトルおよび/またはモードスペクトルに関する情報を含む(すなわち、組み入れる)。反射された光ビーム116Rは、検出器光学系142によって集束させられ、デジタル検出器150においてガイドされた光の角度反射スペクトルおよびモードスペクトルの画像を形成する。検出器光学系142は、コントローラ130に動作可能に接続され、移動矢印ARによって示されるように、集束レンズを軸線方向に並進(移動)させるように構成された並進デバイス156によって動作可能に支持される。並進デバイス156は、検出器光学系142の軸線方向位置を表すものであるデバイス信号SDをコントローラ130に送ることができ、コントローラは、以下でさらに詳細に論じるように、検出器システム集束レンズの軸線方向移動を制御するために、制御信号SBを並進デバイスに送ることができる。
【0125】
一例では、検出器光学系142の位置は固定され、その焦点距離は調整可能である。一例では、焦点距離が変更可能な液体レンズなどのアダプティブレンズを使用することにより、調整可能な焦点が提供される。別の例では、検出器光学系142はズーム機能を有するように構成することができる。
【0126】
バンドパスフィルタ144は、導波光学モードのカップリング共振に対応するスペクトルにおけるフリンジの分散誘起ブロードニングの大幅な抑制だけでなく臨界角付近の反射率-強度遷移の分散誘起ブロードニング(平滑化)も可能にする。さらに、バンドパスフィルタ144が第2の軸線A2に沿ってデジタル検出器150の近くに置かれる場合、反射された光ビーム116Rの一部ではない広帯域の外部光がデジタル検出器150に到達するのを実質的に遮断することを保証することによって、測定の利便性を提供することができる。
【0127】
図4Aに示す例では、システム100は、第1の軸線A1および第2の軸線A2に沿って、カップリングプリズムの入力面43および出力面45に隣接して配置された第1または第1および第2の光制限器200をそれぞれ含むことができる。図4Bは、隣接する遮光部材210を含む光制限器200の第1の例の正面図であり、隣接する遮光部材210は、遮光部材210が「迷」光、特に焦点面として集束しないであろう光を遮断しながら、集束させられた光ビーム116Fまたは反射された光ビーム116Rが通過することができる狭い隙間(スロット)212を画定するように離間している。図4Cは、図4Bと同様であり、隙間(スロット)212がその中に形成された単一の遮光部材を含む例示的な光制限器200を示している。例では、隙間(スロット)212は、第1の軸線A1および第2の軸線A2によって画定される測定平面(すなわち、「縦方向」)に配向することができるか、または図4Dの例示的な光制限器に示されるように、横方向もしくは水平方向、すなわち測定平面に垂直であってもよい。水平方向の遮光部材210が使用される場合、それは、図4Dに例示的に示される一対の遮光部材210の上部要素などの単一の要素のみを有することができる。水平方向の遮光部材210は複数の目的を有することができる。ビームを制限して、測定試験片の小さな目標部分と相互作用した測定光のみをデジタル検出器150に提供する以外に、最も高いコントラストを担うビームの部分を選択することによって、フリンジコントラストの向上を図ることもできる。
【0128】
オプションの減衰器146は、検出された反射された光ビーム116Rが、効率的なデジタル検出のために適切な強度分布を有することを保証するのに役立ち、検出器ピクセル(図示せず)の飽和が測定精度に有害であると考えられる場合には、そのような飽和を実質的に回避する。TM-TE偏光子148は、デジタル検出器の隣接するTMセクションおよびTEセクションを画定し、そうしてTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルをデジタル検出器150の隣接するセクションで同時にキャプチャできるようにする。TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルは、処理のためにコントローラ130に送られる第1の検出器信号SAに組み入れられる。
【0129】
システム100は、周知の(基準)較正CS基板10の測定に基づいて較正され、これは、平坦な基板、またはシステムの特定の構成を必要とする既知の曲率を有する基板であってもよい。このプロセスは、システム較正と呼ばれ、それは、コントローラ130およびその中でサポートされる命令(ソフトウェア)が、プリズムカップリング面44と較正CS基板の上面12との間の較正基板(例えば平坦な基板)インタフェースINTによって生成されるモードスペクトル画像の空間特性に基づいて、1つ以上の応力関連特性を決定するための計算を実施することを意味する。
【0130】
システム較正は、とりわけ、光学モードの有効屈折率の間隔と、デジタル検出器150によってキャプチャされ、後述するようにコントローラ130によって処理されるモードスペクトル画像のモードラインの対応する位置の間隔との間の関係を確立する。一実施形態では、有効屈折率の間隔とモードラインの間隔との間の関係は、較正パラメータ(または較正定数)Kによって特徴付けられる線形関係として十分に近似され、測定単位は、RIU/mmなどの単位長さ当たりの屈折率単位(RIU)、または単にmm-1に等しく、なぜなら屈折率は無次元であり、そのためRIUは単に無次元数の単位を表すからである。既知の応力の平坦な較正基準サンプルを使用して、平坦な部分の測定のために較正が実施される場合、較正パラメータKは、「平坦なサンプル測定用の較正パラメータ」を意味するKとラベル付けすることができる。
【0131】
上述のように、システム100に追加の構成および修正を加えることができ、その幾つかについては、本明細書に開示される拡張型測定方法の実施に関連して、以下でさらに詳細に説明される。
【0132】
モードスペクトルの例
図5A図5Dは、異なるIOXプロセスを使用して形成され、デジタル検出器150によってキャプチャされたCS基板の理想化されたモードスペクトル160の概略図である。図5Aのモードスペクトルは、図2Aおよび図2Bの例示的な屈折率プロファイルn(z)に対応する。図5B図5Dのモードスペクトルは、それぞれ図2C図2Eの例示的な屈折率プロファイルn(z)に対応する。ローカル(x,y)直交座標が参考のために示されている。各モードスペクトル160には、それぞれTMおよびTE導波モードに関連付けられたTM全内部反射(TIR)セクション161TMおよびTE全内部反射(TIR)セクション161TEと、それぞれTMおよびTE放射モードおよびリーキーモードに関連付けられた非TIRセクション162TMおよび162TEとを含む。
【0133】
図5Aにはモードラインがなく(NSWG18は導波モードをサポートしていないことを意味する)、TIRセクション161TM,161TEと、非TIRセクション162TM,162TEとの間の遷移領域(「遷移」)166TM,166TEが示されているだけである。
【0134】
図5B図5Dは、TIRセクション161TMが1つ以上のTMモードラインまたはTM「フリンジ」163TMを含み、TIRセクション161TEが1つ以上のTEモードラインまたはTE「フリンジ」163TEを含む例を示す。TMモードライン163TMとTEモードライン163TEとは、一般にy方向に整列し、x方向にΔxで示される異なる量だけ離間している。モードスペクトル160は、本明細書では、デジタル検出器150によってキャプチャされ、次いで処理されたモードスペクトルについて考察する場合、「モードスペクトル画像」とも呼ばれる。別の実施形態では、TIRセクションの少なくとも1つはモードラインを含まず、システムは、例えば、明るいTIRセクションと暗い非TIRセクションとの間の反射率-強度遷移の位置およびシャープネスに依存することによって、モードラインに依存せずに動作させることができる。
【0135】
臨界角遷移166TMおよび166TEは、TM偏光およびTE偏光に対するCS基板10への光学的なカップリングの臨界角を定義し、臨界角遷移と呼ばれる。臨界角遷移166TMおよび166TEの開始位置の差は、ニー(圧縮)応力CSに比例し、この比例関係は「~CS」で示される。図5Aの場合、プロファイルには「ニー」がなく、臨界角遷移166TMおよび166TEの位置の差は、表面(圧縮)応力CSに比例する。代替的に、「ニー」のない状況は、ニー応力CSが表面で発生し、したがって表面応力CSに等しい状況とみなすことができる。図5Dでは、ニー応力位置~CSは、スパースモードラインとデンスモードラインとの間の遷移に関連付けられていることに留意されたい。
【0136】
TMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEは、システム100の構成に応じて、明るいラインまたは暗いラインのいずれかになり得る。図5B図5Dでは、TMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEは、図示を容易にするために暗いラインとして示されている。図5Bおよび図5Cのモードスペクトル160は、単一のIOXプロセスの例を表し、図5Bに関連するNSWG18は、図5Cのものよりも大幅に浅くなっている。図5Bのモードスペクトル160は、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンを含む溶融塩混合物中でのLi含有ガラスのイオン交換の例を表し、ここで、モードライン163TMおよび163TEは、カリウムイオンによって生成されたNSWGによるものである。図5Bのモードスペクトル160は、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンを含む異なる塩浴中でLi含有ガラスに対して実施された1段階および2段階のIOXプロセスの両方から生じる可能性がある。図5Dは、Na系ガラスにおける二重IOX(DIOX)プロセスの例を示しており、2つの遷移を示しており、1つ(スペクトルのスパースフリンジ部分からスペクトルのデンスフリンジ部分への遷移)は、屈折率プロファイルおよび応力プロファイルのニーポイントに対応している。第2の遷移は、スペクトルのデンスフリンジ部分とスペクトルの連続的な低反射率部分162TM/162TEとの間の遷移で、臨界角に対応し、臨界角遷移166TMおよび166TEと呼ばれることがある。
【0137】
測定の応力特性は、モードスペクトル160におけるTMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEのx位置の差に基づいて計算される。深さの関数としての複屈折Bは、深さの関数としてのTM屈折率分布とTE屈折率分布との差である。また、TMモードおよびTEモードの有効屈折率の複屈折を定義することもでき、ここで、有効屈折率は、センサ上でキャプチャされたスペクトルにおけるモードラインのx位置によって表される。表面圧縮応力S(0)=CS(0)=CSは、モードライン(有効屈折率)間のx距離(Δx)の外挿から求められる外挿表面TM屈折率およびTE屈折率によって取得される表面複屈折B(0)によって計算され、比B(0)/SOCを形成し、ここで、SOCは応力光学係数である。
【0138】
【数3】
【0139】
通常、表面圧縮応力S(0)を正確に計算するには、少なくとも2つのTMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEが必要である。通常、詳細な圧縮応力プロファイルS(z)を計算するには、追加のモードラインが必要である。層深さDOLは、CS基板10の本体11への応力浸透またはイオン浸透長のおおよその尺度であり、IOXプロセスの場合、モードライン163TMおよび163TEのx位置および数によっても計算することができる。したがって、x軸線に沿ったTMモードラインおよびTEモードラインの位置は、CS基板10の応力関連特性を推測するための最も基本的なパラメータであり、CS基板の応力関連性質の最良の(最も正確な)測定値を求めるために、可能な限り最高の精度で決定されなければならない。多くの場合、特に図5Aおよび図5Bに例示されるLiガラスモードスペクトルでは、臨界角の位置に対応する遷移の正確な測定も同様に重要であり、これらはCS(またはプロファイルにニーがなくフリンジがない場合はCS(0))を求めるために不可欠である。CS基板10の応力関連特性を決定するための計算は、コントローラ130で実施される。
【0140】
当該技術分野では、Na系ガラスにおける単一のIOXの場合、DOLは、通常、フリンジの数とイオン交換に起因する表面屈折率の増加とから推定される想定線形屈折率プロファイルの深さによって近似されることが知られている。また、圧縮応力プロファイルS(z)、表面の圧縮応力CS(CS(0)またはS(0)とも表記)、層深さDOLの測定値は、モードラインのx位置に対応するモードの有効屈折率の正確な計算に依存する。したがって、x位置を正確に測定し、x位置から有効屈折率を正確に計算する必要がある。
【0141】
較正補正を使用した拡張型の測定方法
湾曲した上面12を有するCS基板10に対してシステム100を用いて測定を行う場合、最もシャープな(すなわち、最も狭い特徴幅、ここで、特徴はモードスペクトルラインまたは遷移である)または最もコントラストの高いモードスペクトル160は、平坦なCS基板を測定する場合と同じ検出器光学系142の画像平面IPでは発生しない。また、CS基板10が湾曲していたり反っていたりする場合に、平坦なCS基板10を測定するための標準的な平坦サンプル較正を使用すると、モードスペクトル160を最良の焦点に合わせた場合であっても、誤差が生じ得ることが本発明者らによって観察されている。
【0142】
システム100において測定対象のCS基板10の湾曲した上面12は、反射された光ビーム116Rにおける反射された光線の角度(したがって方向)を変化させる湾曲したミラーのように作用する。角度/方向の変化は、光線が上面12に入射する場所に依存し、測定平面(例えば、図6Bの図面の平面)および反射された光線の位置におけるCS基板の曲率半径Rにも依存する。これにより、モードスペクトルが最大のシャープネスまたはコントラストを有するように再フォーカシングされた場合でも、平坦な表面の対応するモードスペクトル画像と比較して、歪んだモードスペクトル画像が生じる。歪んだモードスペクトル画像は、測定対象の湾曲したCS基板の応力関連特性の歪んだまたは不正確な測定結果をもたらす。
【0143】
本明細書に開示される方法の一態様は、最大コントラストのモードスペクトル160を取得するために再フォーカシングを実施することと、再較正プロセスを実施することとを含む。再較正プロセスは、CS基板10が曲率を有する場合であっても、CS基板が平坦であるかのように反射された光ビーム116Rにおける反射された光線の画像平面IPへの適切なマッピングを維持するために、湾曲したCS基板についてキャプチャされたモードスペクトル画像を修正することを含み得る。後述するように、再較正(または較正補正)は、上述のようにモードラインが角度スペクトルの表現であるため、反射された光ビーム116Rにおける光線の角度経路、またはTMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEの空間位置のいずれかの観点から説明することができる。
【0144】
再較正プロセスにより、システム100は、平坦なCS基板10と湾曲したCS基板10との両方の応力関連特性を正確に測定することができ、ここで、平坦な基板の測定には、平坦な部分に対する元のシステム較正(例えば、K)を使用するだけである。これにより、CS基板の曲率が異なっている場合でも、同じIOX条件を使用して形成されたCS基板10の応力関連特性の実質的に同じ測定値を求めることができる。
【0145】
一実施形態では、再較正プロセスは、コントローラ130が、キャプチャされ修正されたモードスペクトル画像データを、平坦なCS基板のモードスペクトル画像データと同じ方法で処理することができるように、湾曲したCS基板10のモードスペクトル画像データを修正することによって作用する。
【0146】
別の実施形態では、再較正プロセスは、仮想画像を再計算するためにマッピングを明示的に変化させることなく、シャープ-フォーカス未修正モードスペクトル画像上の(位置もしくは距離の、または圧縮応力および層深さなどの計算された応力プロファイルパラメータの直接の)測定結果を修正することによって作用する。数学的には、これら2つの手順は同じ結果をもたらす。
【0147】
再較正プロセスは、システム100のフォーカシングに関するリアルタイム情報を使用してリアルタイムで正しい較正を計算することによって、異なる曲率を有するCS基板10に使用することができるため、動的較正とも呼ぶことができる。一実施形態では、動的較正パラメータKは、測定システムの瞬間焦点屈折力または焦点距離を考慮した信号を考慮に入れた後に計算される。以下により詳細に考察するように、較正パラメータは、平坦較正パラメータK、瞬間焦点屈折力または焦点距離、レンズとカメラセンサとの間の距離、プリズムとレンズとの間の距離、および本明細書においてγとラベル付けされるシステム固有のシステム較正定数を含む較正関係から取得することができる。
【0148】
一例では、システム較正は、マッピング式を使用した実際の位置と有効屈折率との間のマッピングを含み、再較正は、正確な応力関連測定値を求めるためにマッピング式を調整することを含む。再較正は、再較正式によって、歪んだ最もシャープな画像から取得された仮想画像におけるライン位置の計算を表すことができるというのと同じである。次いで、仮想画像のライン位置を使用して、元の較正を使用することにより有効屈折率とその間隔とを計算する。また、元の較正は、平坦な部分に対して実施される必要はなく、十分に理解されている基準曲率(これは実際には曲率ゼロ(平坦な部分)であってもよい)を有する任意の部品が、基準部品(または基準基板)として機能することができる。
【0149】
図6Aおよび図6Bは、システム100の検出器システム部分のクローズアップ概略図であり、以下に説明するように、多数の重要な光学パラメータが識別されている。図6Aは、平坦なCS基板10の場合を示しており、図6Bは、湾曲したCS基板10の場合を示している。
【0150】
本明細書で開示される拡張型の測定システムおよび方法は、平坦な表面を有するCS基板の測定と比較して、湾曲した上面12の測定に起因する較正誤差を低減する(最小化することを含む)ことを含む。図6Bを参照すると、これは、比l/L(「長さ比」)を許容値ε未満となるように低減(または最小化)することを含み得、ここで、lは、カップリングインタフェースINTと検出器光学系142(図4A参照)との間の有効軸線方向距離であり、Lは、検出器光学系142から検出器表面152までの軸線方向距離である。軸線方向距離lは、プリズム出射面と検出器光学系142の第1のレンズ要素との間の、プリズム外部への光線伝播の成分lと、カップリングインタフェースINTとプリズム出射面との間の、プリズム内部への光線伝播の別の成分lとを含む。成分lの有効距離lへの寄与はl/nにより与えられ、出口プリズム表面でのプリズム-空気屈折により係数1/nで減少する。一例では、Lは、検出器光学系142の第1のレンズ要素から検出器表面152までの距離であり、「第1の」とは、レンズ要素が光路上のカップリングプリズム42に最も近いことを示す。幾つかの実施形態では、成分lの寄与はlに比べて小さいとみなすことができ、無視することができるため、距離lは有効距離lとして機能することができ、この場合、結果として生じる小さな系統誤差がシステム固有の較正パラメータγによって吸収される。長さ比l/Lおよびその許容値εについては、以下でさらに詳細に説明する。幾つかの実施形態では、距離lは、比l/Lに関係なく、従来技術で知られているものと比較して最小化または低減される。他の実施形態では、比l/Rは、十分な測定精度を確保するために好ましい閾値未満に低減され、ここで、Rは、測定対象のCS基板の測定位置における曲率半径である。
【0151】
図6Bは、距離l、比l/R、または比l/Lを最小化することによって較正誤差を制限する提案された方法を示している。CS基板10内の光学モードの有効屈折率とセンサ面上の対応する位置xとの間のマッピングは、プリズムカップリングを介して光学モードにカップリングされる照明光線の入射角によって媒介される。距離Δxだけ離れた2つの異なる位置(例えば、xおよびx)が、それらの関連する角度αおよびαと共に見られる。
【0152】
主光線は検出器光学系142の中心を通過し、そのため入射角αの光線がCS基板10の上面12の局所的に傾斜した部分によって反射され、局所的に傾斜した部分は、表面の曲率によるものである。これにより、カップリングプリズム42内部の伝播角度は、接触上面12の垂直法線に対して、例えば(α-θ)と僅かに異なるようになる。この差は、センサ面上の対応するモードライン位置の僅かに異なる間隔に変換される。
【0153】
図6Bから分かるように、CS基板10のカップリング上面12の曲率誘起局所傾斜は、検出器光学系142(レンズ)の中心からカップリング位置(図面上の点Aは、目標カップリング位置を表すものとして捉えることができる)までの光線に沿った距離に比例して増加する。これは、角度θが距離ABに比例し、αとαとの間の角度分離により、レンズとプリズムとの間の距離が増加すると距離ABが増加するからである。
【0154】
較正誤差の低減は、検出器光学系142とカップリング位置(インタフェースINT)との間の距離を最小化することによって達成することができる。一例では、検出器光学系142とプリズム出力面45との間の距離lは、20mm未満、好ましくは15mm未満、10mm未満、さらには6mm未満であり、プリズムの長さは12mm以下である。別の例では、プリズム長さは、8mm未満または7mm未満である。別の実施形態では、プリズム長さは制限されないが、目標位置(点A)とプリズムの端部角部(検出器光学系142に最も近い)との間の距離は、6mm未満、好ましくは5mm未満、4mm未満、または3.5mm未満に制限される。
【0155】
また、図6Bの図面から、点Bにおける局所傾斜θは、CS基板10の曲率半径Rに反比例することが観察され得る。したがって、較正誤差はRに比例して低減され、そのため比l/Rを低減または最小化することは、較正誤差を低減または最小化することになる。曲率半径Rと、最もシャープな画像が取得される距離との間の関連性により、比l/Lまたはl/fを減少させることによって較正誤差も同等に低減される。
【0156】
本明細書で説明されるアダプティブフォーカシングを使用する実施例では、アダプティブフォーカシングが検出器光学系142の焦点距離を変化させることに基づく場合、好ましい目標よりも比l/Lを低減または最小化することが、好ましいアプローチとみなすことができる。代替的に、比l/fを好ましい目標値未満に低減することは、システムが固定焦点距離を有する検出器光学系142を使用し、検出器光学系142、その中のコンポーネント(レンズ)を移動させることによって、または距離Lを変化させるために光軸線に沿ってデジタル検出器150を移動させることによって、アダプティブフォーカシングが可能になる場合に好ましいアプローチとみなすことができる。
【0157】
図6Bはまた、曲率半径Rを有するものとしてCS基板の湾曲した上面12を示しており、集束させられた光ビーム116Fからの光線がインタフェースINTを介してCS基板10の上面12に入射させられ、反射された光ビーム116Rを形成する位置に関連する2つの平面AおよびBも示している。平面(位置)AおよびBは、図6Aにも示されている。図6Bにおいて、位置Bは、プリズムカップリング面44とCS基板10の上面12との間に、より多くの空間を有することに留意されたい。平坦なCS基板10の場合、平面AおよびBは平行であることに留意されたい。
【0158】
また、本明細書で開示される較正補正は、CS基板10の上面12が凹面である場合にも適用可能であることに留意されたい。図6Bは、較正の問題を説明するためにのみ使用されおり、本発明の方法およびシステムの範囲を、測定位置において凸面曲率を有する表面の測定のみに制限することを意図するものではない。凸面を測定する場合、検出器光学系142の位置をl=0よりもカップリングプリズム42の近くに移動させることはできないので、第2の軸線A2に沿ってレンズを適応的に移動させることを含む実施形態の幾つかは、凸面を測定する場合に適用範囲が限定される可能性がある。とはいえ、そのような場合には、検出器光学系142を移動させる代わりに、検出器表面152を第2の軸線A2に沿って移動させることができ、焦点距離の動的調整も(例えば、液体レンズを採用することによって)使用することができる。したがって、本明細書に開示される本発明の方法およびシステムは、測定位置における部品(CS基板10)の凸面曲率と凹面曲率との両方に一般に適用可能である。
【0159】
較正プロセスは、湾曲したCS基板10に対して最も高いコントラストモードスペクトル160画像を取得するために焦点を変化させるときに、モードスペクトル画像の検出されたフリンジ間隔Δxと、フリンジまたはセンサ上の位置に対応する有効屈折率の間隔との間の関係の変化を無視することに起因する、湾曲したCS基板10の1つ以上の応力関連特性の計算における誤差を低減または除去するために実施される。
【0160】
測定プロセスの例
再較正を伴う測定プロセスの一般化された例は、以下の主なステップを含む:
1)検出器光学系の焦点を(基準焦点、例えば平坦なCS基板にとって最適な焦点に対して)調整して、デジタル検出器150によって検出されたモードスペクトル画像のコントラストまたはシャープネスを最大化するステップ;
2)最大コントラストまたは最大シャープネスのモードスペクトル画像のデジタル画像をキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップ;
3)補正関係または補正係数Qをデジタルモードスペクトル画像に適用して、平坦なCS基板の測定に基づいて初期システム較正を使用して処理することができる修正または補正されたデジタルモードスペクトル画像を形成するステップ;
4)平坦なCS基板のモードスペクトル画像と同じプロセスを使用して修正または補正されたデジタルモードスペクトルを処理し、測定対象の湾曲したCS基板の1つ以上の応力関連特性を決定するステップ。
【0161】
再較正を伴う測定プロセスの代替的な一般化された手順は、以下の主なステップを含む:
1)検出器光学系の焦点を(基準焦点、例えば平坦なCS基板にとって最適な焦点に対して)調整して、デジタル検出器150によって検出されたモードスペクトル画像のコントラストまたはシャープネスを最大化するステップ;
2)最大コントラストまたは最大シャープネスのモードスペクトル画像のデジタル画像をキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップ;
3)平坦なCS基板のモードスペクトル画像と同じプロセスを使用してデジタルモードスペクトルを処理し、測定対象の湾曲したCS基板の1つ以上の屈折率または応力関連特性を決定するステップ;および
5)計算された屈折率関連特性または応力関連特性に補正係数Qを適用して、補正された較正と一致する正しい値を求めるステップ。
【0162】
動的再較正(または動的較正)を伴う測定プロセスのさらに別の代替的な一般化された手順は、以下の主なステップを含む:
1)検出器光学系の焦点を(基準焦点、例えば平坦なCS基板にとって最適な焦点に対して)調整して、デジタル検出器150によって検出されたモードスペクトル画像のコントラストまたはシャープネスを最大化するステップ;
2)モードスペクトル画像のデジタル画像をキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップ;
3)補正係数Qを適用して、動的較正関係または動的較正パラメータKを計算するステップ;および
4)動的較正関係または動的較正パラメータKを使用してデジタルモードスペクトルを処理し、測定対象の湾曲したCS基板の1つ以上の屈折率または応力関連特性を決定するステップ。
【0163】
再較正プロセスを採用するシステム100において湾曲したCS基板10を測定するための例示的な方法は、以下を含み得る:
1)焦点fを第1の焦点位置fから第2の位置fまでΔf量だけ調整して(Δf=f-fとなるように)、画像平面IPおよび検出器表面152における最大(最高)コントラストモードスペクトル画像を取得するステップ;
2)デジタル検出器150で最大コントラストモードスペクトル画像をキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップ;
3)TMモードスペクトルTIRセクション161TMおよびTEモードスペクトルTIRセクション161TEの歪みの量D(x)を、キャプチャされたモードスペクトル画像におけるTMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEの間隔Δxと基準モードスペクトルの間隔(例えば、基準モードライン間隔)との比として決定するステップ(歪みD(x)は、典型的には一定(すなわち、単純な拡大)ではない場合があり、モードスペクトル座標xによって変化する場合があることに留意されたい);
4)デジタルモードスペクトル画像に補正係数F(x)=1/D(x)を適用して、測定対象のCS基板の応力関連特性を決定するために使用される計算のモード間隔の較正を維持するための修正または補正されたデジタルモードスペクトル画像を定義するステップ;および
5)平坦なCS基板に使用されるのと同じプロセスを使用して、修正または補正されたデジタルモードスペクトル画像を処理し、測定対象のCS基板の1つ以上の応力関連特性を決定するステップ。歪みD(x)は、数学的な関数として決定することができ、または測定された各モードライン間隔Δxに対する一連の離散因子とすることもできる。
【0164】
本方法の例は、当該技術分野で知られている多数の異なる方法のいずれか1つで検出器光学系142の焦点を調整することを利用する。一例では、焦点は、並進デバイス156を使用して検出器光学系142を軸線方向に移動させることによって調整することができる。別の例では、検出器光学系142は、当該技術分野で知られているように、調整可能な焦点を有するように構成されている。例えば、検出器光学系142は、ズームレンズまたは液体レンズとして構成することができる。後述する別の例では、最もシャープなモードスペクトル160画像を取得するために、異なる焦点距離を有し、検出器システム140に挿入可能および取り外し可能なレンズのアレイまたはコレクション(セット)を採用することができる。
【0165】
使用される特定のタイプの焦点調整にかかわらず、焦点は、関心のある1つ以上の応力関連特性の最も正確な測定値を求めるべく、モードスペクトル160画像がデジタル検出器150において最大のコントラストを有するように調整することができる。調整可能なフォーカシングと、画像パラメータ(例えば、例として上記で使用したような{拡大M}補正係数F)を使用した較正補正の適用とを組み合わせることにより、湾曲したCS基板10の応力関連特性の正確な測定が可能になる。
【0166】
例えば、歪みD(x)が撮像パラメータとして選択される場合、焦点fの変化は、焦点変化に伴う歪みDの変化率ΔD/Δfを定義するために、画像平面IPにおける歪みの変化に結び付けることができる。この量は、一連の焦点位置におけるフリンジ(モードライン)間隔Δxを測定することにより、システム100を使用して経験的に測定することができる。測定データへのベストフィットは、ΔD/Δfを微分形式dD/dfで表すのに適したルックアップテーブルまたは数学的な関係を提供することができる。また、測定システム100の幾何学的な配置は、後述するように、dD/dfの数式を提供することができる。
【0167】
図4B図4Dに関連して上述した本開示の別の態様では、モードスペクトル160画像のコントラストを高めるために、1つ以上の光制限器200を採用することができる。光制限器200は、例えば、CS基板の曲率が実質的に楕円形、円筒形または円錐形であり、再較正補償された曲率が主光路に沿った横断面にある場合、特にCS基板の曲面が鞍型である場合に使用することができる。
【0168】
システム幾何学的な配置に基づく較正補正
CS基板曲率の存在下でシャープなモードスペクトル160画像を取得するための撮像条件は、図6Bに最もよく分かるように、システム100の幾何学的な配置から決定することができる。2つの角度αおよびαが、集束および反射された光ビーム116Fおよび116Rにおける2つの例示的な光線の光線角度αとして図6Aおよび図6Bに示されていることに留意されたい。図4Aの角度αは、中心(軸上)の光線に対するものである。CS基板10が湾曲している場合、スクリーン上の特定の位置xに対応する照明(または「集束させられた」)ビーム116Fには、単一の角度だけでなく複数の角度αが存在する。このことは、特に、屈折率整合流体50が使用される場合に特に当てはまる。なぜなら、屈折率整合流体50がプリズムの屈折率に近い高い屈折率を有する場合、プリズムカップリング面44とCS基板の湾曲した上面12との間の光学的な接触面積が大きくなるからである。各入力角度α(α,α,…)に対して、対応する出射角度β=(β,β,…)が存在する。ここで、(基板の曲率に起因する)モードスペクトル画像の1つの位置に対応する照明側の入力角度αの範囲と、2つの異なる例示的なモード屈折率に対応するモードスペクトル画像内の2つの異なる位置に関連する異なる角度β(またはβ)とを混同してはならない。
【0169】
撮像条件は、測定位置(インタフェースINT)におけるCS基板10の上面12の局所曲率R、およびビーム面、すなわち、集束および反射された光ビーム116Fおよび116Rを含む平面(例えば、図4Aのローカル座標系におけるx-z平面)を考慮に入れ、また検出器光学系142の焦点距離fだけでなく検出器光学系から検出器表面152までの距離Lにも基づいている。
【0170】
湾曲したCS基板10の好ましい撮像条件は、図6Bの幾何学的な配置から決定することができ、数学的に次のように表すことができる:
【0171】
【数4】
【0172】
式中、nは、プリズムの屈折率であり、αは、有効屈折率neffの試験片光学モードにカップリングされたプリズム-試験片インタフェースINT上の光線の入射角(ここで
【0173】
)(図4A参照)であり、R、は測定x-z平面の測定位置における試験片の局所曲率半径であり、fは、検出器光学系142の焦点距離であり、Δf=L-fは、曲率が存在する場合のシャープなスペクトルの光学系-検出器間距離と、平坦なCS基板のシャープなスペクトルの同じレンズ-検出器間距離との差であり、この場合、(L=f)であり、Δf=0となる。パラメータγは、測定システムの較正パラメータである。較正パラメータγは、湾曲したまたは反りのある表面の半径と、測定入射角におけるその光パワーと間の関係を部分的に考慮する。
【0174】
さらに、較正パラメータγは、レンズ系の様々なコンポーネントの焦点距離の想定値の精度の限界、またはプリズム位置もしくはセンサ位置に対するそれらの位置の測定精度の限界を考慮することができる。CS基板10の上面12が平坦でない場合、Lまたはfを調整するだけでシャープなモードスペクトル画像を取得することは、一般に、モードスペクトルにおける有効屈折率間隔の正確な測定ひいては応力関連性質の正確な測定値を求めるのに十分ではない。
【0175】
これは主に、CS基板10の曲率が(シャープなスペクトルを得るために必要な)焦点の変化と相まって、検出器表面152におけるTMモードライン163TMおよびTEモードライン163TEの位置と、NSWG18の対応する光学モードの有効屈折率との間のマッピングを変化させるためである。上述のように、このマッピングの変化は、歪みを伴う可能性のあるモードスペクトル画像の拡大変化として上述で特徴付けられた。また、マッピングの変化は較正の変化としても特徴付けられた。
【0176】
以下の式は、キャプチャされたモードスペクトル画像のモード間隔Δxと、システム100の幾何学的な特徴を使用してキャプチャされたモードスペクトル160の有効屈折率neffとを結び付ける:
【0177】
【数5】
【0178】
式中、Kは、平坦な部分を測定するための較正パラメータであり、Kは、湾曲した部分を測定するための動的(または補正された)較正パラメータである。
【0179】
モードライン間隔Δxは、次のように表すことができる:
【0180】
式中、Fは、次のように定義される補正係数である:
【0181】
【数6】
【0182】
式中、パラメータPおよびQは、次のように表すことができる:
【0183】
【数7】
【0184】
【数8】
【0185】
パラメータPは、有効屈折率neffによる光線角度βの変化を考慮し、パラメータQは、試験片における関心のある光学モードにカップリングさせる光子(光)の特定の入射角αに対するシステムの撮像性質に対する推定サンプル曲率の影響を表す。
【0186】
上述のように、パラメータΔxは検出器表面152上の間隔であり、所与の有効屈折率neffを有するモードラインと隣接するモードラインとに関連するモードライン間隔を表すことができる。パラメータQは長さ比l/Lを含み、l=l+l/nであることに留意されたい。パラメータRは、測定位置における測定された部品の推定曲率半径であり、γは、湾曲したまたは反りのある部品を測定するためのシステム固有の較正パラメータである。また、パラメータQは、異なる式で比l/Rに比例することが分かっていることにも留意されたい。
【0187】
本明細書で開示される実施形態の幾つかは、l/Rおよび/またはl/Lをできるだけ小さくするように、システム設計において最大限に比l/Lを低減するか、またはlを低減するようにシステムを設計することによって測定誤差を低減しようとするものである。
【0188】
センサ上の特徴の間隔と、それに対応する有効屈折率の差とに関連する詳細な式は、次のとおりである:
【0189】
【数9】
【0190】
この場合の較正補正係数Fは、入力角度αの関数として変化する出射角度βの修正とほぼ考えることができ、したがって、上記の式で示されるように、エバネッセントプリズムカップリングシステムパラメータだけでなくCS基板の曲率Rにも基づいている。
【0191】
このバージョンの較正係数Fは、湾曲したCS基板10のモード間隔Δxの歪みを測定することに関連する上述の較正補正係数F=1/D(x)に類似している。各タイプの較正補正係数は、その設計に従って適切に適用されると、対応する平坦なCS基板に対するシステム較正を使用して処理することができる補正または再較正されたモードスペクトル画像を形成するという同じ結果を提供する。
【0192】
較正補正係数Fは、(調整可能な)検出器光学系142からの読み出し(デバイス)信号SDがコントローラ130に供給されるときに適用される。読み出し信号SDは、軸線方向に移動可能な検出器光学系142の位置L、可変f、固定レンズシステムの光パワー1/fもしくは焦点距離f、またはいずれかのタイプのシステムの差Δf=L-fの好ましい組み合わせを提供することができる。
【0193】
上述のように、パラメータΔxは、デジタル検出器150によってキャプチャされたモードスペクトル画像における2つの関心のある特徴(例えば、モードライン、または強度遷移、またはそれらの組み合わせ)の間隔であり、Δneffは、スペクトル画像における2つの特徴(例えば、モードライン)に対応する2つの光学モードの有効屈折率間隔である;lは、光線経路に沿った画像形成レンズとプリズム出射面との間の距離であり、lは、プリズム-試験片インタフェースにおける光線の反射点と、光学センサに面するプリズム出射面における光線の屈折点との間のプリズムにおける距離である。上記で紹介した軸線方向距離lは、
【0194】
と表すことができ、lおよびl図4Aに示されていることに留意されたい。
【0195】
パラメータ
【0196】
は、プリズムの出射端面における光線の出射(出口)角の、その光線にカップリングされた試験片における対応する光学モードの有効屈折率に対する感度である。この感度を表す1つの式は、次のとおりである:
【0197】
【数10】
【0198】
式中、αは、プリズムカップリング面とカメラセンサに面するプリズム出射面との間の角度である(図6B参照)。
【0199】
上記の較正式は、集束させられた光ビーム116Fの入射角αが90°にあまり近くない場合には極めて正確である。例えば、最も一般的に使用されている応力測定器FSM-6000では、プリズム底角は60°、プリズム指数nは約1.72であり、CS基板10のバルク屈折率nが約1.51である場合、角度αは約61.4°であり、90°よりも大幅に小さい。
【0200】
多くの実用的な関心事では、距離
【0201】
は、それほど正確に決定する必要はない。一例では、表面圧縮応力CSおよび層深さDOLなどの応力パラメータの測定で適切な精度を達成するには、約10%以内、さらには20%以内の推定値で十分であり得る。
【0202】
システム幾何学的な配置較正を使用する方法の例
上述したように、典型的なエバネッセントプリズムカップリングシステムは、平坦な(湾曲していない)サンプルの測定を実施するように設計されている。平坦なサンプルの場合、測定対象のサンプルにおけるNSWG18の境界モードに対応するモードスペクトル160画像は、通常の検出器光学系の焦点距離fでシャープである。
【0203】
サンプルが湾曲している場合、モードスペクトル画像はもはやシャープではない。そこで、ここに開示される方法の一態様には、シャープなモードスペクトル画像を取得することが含まれる。これは、検出器光学系142の焦点位置(焦点距離)fを変化させることによって行われる。これは、検出器光学系142またはデジタル検出器150の検出器表面152を軸線方向に移動させる(すなわち、Lを変化させる)ことによって、または検出器光学系の焦点距離fを(例えば、可変焦点距離を有する液体レンズを使用することにより)変化させることによって、またはLとfとの両方を変化させることによって達成することができる。
【0204】
湾曲したサンプルを測定する場合、シャープなモードスペクトル160の画像を取得するために焦点fを調整した後、デジタル検出器150におけるフリンジ間隔Δxは、同じモードスペクトルで平坦なサンプルを測定する場合と同じにならないことがある。これが問題なのは、サンプルの応力関連特性の正確な測定値が、フリンジ間隔Δxの変化を考慮することによってのみ求めることができるからである。言い換えれば、検出器光学系の焦点fを変化させて(すなわち、検出器光学系を再フォーカスして)シャープなモードスペクトル画像を取得し、次いで、このシャープな画像を、通常の方法、すなわち平坦なサンプルに対する通常の式を使用して処理することはできない。これにより、湾曲したサンプルの応力の特性が不正確になる。さらに、フリンジ間隔の変化Δxは、平坦な基板と湾曲した基板との最もシャープなイメージングの焦点距離の比、またはLの変化の比だけでは適切に説明することができない。
【0205】
その結果、平坦なサンプルのみを測定するという前提で実施された初期システム較正は、湾曲したサンプルを測定するときに補正される必要がある。
【0206】
部品の曲率が事前に正確に分かっていない場合、較正補正は動的に行うことができ、例えば、距離Lまたは焦点距離fを考慮した信号を測定し、較正の補正に使用することができる。較正が補正されると、平坦なサンプルに使用されるのと同じ式を使用して、CSおよびDOL(および該当する場合はCS)を計算することができる。
【0207】
間接的な方法および直接的な方法
図7Aおよび図7Bは、湾曲したCS基板10の応力ベースの特性を決定するための2つの主な例示的な方法をそれぞれ規定するフロー図FD1およびFD2を描写している。例として、これらの方法を使用して決定される応力ベースの特性は、(表面)圧縮応力CS、ニー応力CSkおよび層深さDOLである。
【0208】
フロー図FD1およびFD2は、どの情報が「画像」ボックスを介してモードスペクトル画像から得られるかを示している。また、この図は、どの情報が「ユーザ入力」、測定対象のサンプルの「ガラスパラメータ」および使用対象のシステム100の「システムパラメータ」から得られるかを示している。各プロセスの結果は、「データファイル」に出力したり、「オンスクリーン情報」として表示したりすることもできる。図7Aの「標準計算」は、平坦なサンプルに使用される基本的な計算である。
【0209】
図7Aに概説されている「間接的」方法は、まず、これらの応力ベースの特性の未加工の値CS(未加工)、CS (未加工)およびDOL(未加工)を測定または計算し、次いで、測定または計算が行われた後に、動的較正係数K/Kを使用してこれらの値を補正することを含む。
【0210】
図7Bに概説されている「直接的」方法は、未加工の値CS(未加工)、CSk(未加工)、およびDOL(未加工)の測定または計算を省略し、動的較正パラメータKを使用して、最終値CS、CS、DOLの計算に直接進む。
【0211】
各方法で使用される関連パラメータは、便宜上以下にまとめられているが、パラメータは上記でも定義および説明されており、対応する様々な図に示されていることに留意されたい。
【0212】
1)検出器光学系(レンズ)の焦点距離
【0213】
式中、Lは、レンズ-検出器間距離であり、nは、カップリングプリズム屈折率であり、Rは、測定位置におけるCS基板10の上面12の局所曲率半径であり、αは、プリズム-サンプルインタフェースINTにおける光線の入射角である(図6B参照)。
【0214】
2)
【0215】
3)γは、システム構成に依存する無次元パラメータであり、一例では、1.5~2.5の範囲とすることができ、例示的な値は、本発明者らによって使用される例示的なシステム100では、1.6および2である。γの値は、本明細書で説明される方法を使用して既知のもの(参照サンプル)を測定し、参照サンプルの既知の応力パラメータと計算が一致する値を差し引くことによって求めることができる。
【0216】
4)較正定数
【0217】
サンプルが真に平坦である場合、L≡fがフリンジシャープネス(コントラスト)を最大にする条件となる。
【0218】
5)
【0219】
は、[RIU/mm]の単位で動的較正係数であり、湾曲したサンプルの最大フリンジ(モードライン)シャープネス(コントラスト)条件で、有効屈折率neffを検出器表面IPでの間隔Δxと関連付ける。
【0220】
間接的な方法
例示的な間接的な方法は、以下のステップを有する:
1)KおよびLを求めるために、平坦なサンプルを使用してシステムを較正するステップ。
【0221】
2)システムが固定Lを使用し、レンズの焦点のみを変化させる場合、次のとおりである:
【0222】
【数11】
【0223】
湾曲した部分を測定する場合は、検出器光学系142の焦点距離fを変化させることに関連するパラメータを使用してKを計算する。一例では、これは電気的に制御された液体レンズからの信号を使用して行うことができる。
【0224】
4)CS、DOL(および該当する場合はCS)の湾曲した部分の測定結果については、Kを使用してセンサ上の距離(mm)を屈折率の差に変換する。
【0225】
上記のステップの結果は以下のとおりである:
CSおよびCSの場合、値は、補正なしで元の較正Kを使用した場合と比較すると、係数
【0226】
だけ変化する。この係数は動的較正係数と呼ばれ、Kのみは動的較正パラメータと呼ばれる。
【0227】
DOLは、係数
【0228】
だけ変化する。
【0229】
補正の結果CSが増加すると、DOLは減少し、逆もまた然りである。
【0230】
未加工の値CS(未加工)、CS (未加工)およびDOL(未加工)が平坦較正Kで計算された場合、補正式は、次のとおりである:
【0231】
【数12】
【0232】
【数13】
【0233】
【数14】
【0234】
CS、CS、DOLの補正された値を求めるには、未加工の値CS(未加工)、CS (未加工)およびDOL(未加工)と、動的較正パラメータKとを求める必要がある。これは、以下の方法ステップを使用して達成することができる:
fを調整して、参照(既知の)平坦な部分のシャープなスペクトルを取得するステップ。Lとf平坦とを記録するステップ。
【0235】
関係式
【0236】
を使用して、Kの平坦な部分の較正定数Kを求め、記録するステップ。代替的に、信頼できる較正平坦試験片の圧縮応力を測定し、信頼できる平坦試験片の平坦モードスペクトルから計算される圧縮応力が、前述の試験片の圧縮応力の既知の較正値と一致するように値Kを設定することによって、Kを求めるステップ。
【0237】
検出器光学系の焦点fを変化させることによって、湾曲した部分のシャープなスペクトルを取得するステップ。得られたfおよびLを記録する(一方または両方を変化させてもよい)。
【0238】
標準FSMソフトウェアに従って、湾曲した部分のシャープなスペクトルの未加工の値CS(未加工)、CS (未加工)、DOL(未加工)を記録するステップ:
【0239】
【数15】
【0240】
【数16】
【0241】
【数17】
【0242】
式中、nは、(ガラス)サンプルのバルク屈折率であり、
【0243】
【数18】
【0244】
であり、
Y=x-PP×(x-x)であり、
式中、PPは、測定された表面に最も近い測定された試験片の屈折率プロファイルの形状を考慮した「プロファイルパラメータ」である(図7B参照)。例えば、表面から数波長にわたって、深さと共に屈折率が直線的に減少する場合のPPの適切な値は、PP=1.317である。一般的に使用されるPPの値は0.9であり、表面に最も近い屈折率の分布がより丸みを帯びた分布を有する様々なプロファイルに適した妥協値である。プロファイルパラメータは、静的または動的を問わず、再較正中に変化しない。
【0245】
湾曲したサンプルの測定の動的較正Kを計算するステップ:
【0246】
【数19】
【0247】
上記で規定されるCS、CSおよびDOLの補正式で上記のKを使用するステップ。
【0248】
直接的な方法
図7Bを参照すると、例示的な直接的な方法は上記の方法と類似しているが、未加工の値CS(未加工)、CS (未加工)およびDOL(未加工)の測定または計算を回避し、代わりに動的較正パラメータKを使用してCS、CSおよびDOLを直接計算する。
【0249】
例示的な直接的な方法は、以下のとおり実施することができる:
fを調整し、Lおよびf平坦を記録することによって、平坦な(基準)部分のシャープモードスペクトル画像を取得するステップ。
【0250】
圧縮応力が既知の信頼できる較正試験片を使用するか、または関係式:
【0251】
【数20】
【0252】
を使用することによって、較正定数Kを求め、記録するステップ:
検出器光学系の焦点を変化させることによって、湾曲した部分においてシャープなスペクトルを取得し、得られる焦点距離fを記録するステップ。
【0253】
関係式
【0254】
【数21】
【0255】
を使用して、湾曲したサンプルの測定の動的較正Kを計算するステップ:
以下の関係式を使用して、CS、CS、およびDOLを直接計算するステップ:
【0256】
【数22】
【0257】
【数23】
【0258】
式中、
【0259】
であり、Y=x-PP×(x-x)であり、プロファイルパラメータPPは、事前に選択され、例として、表面近傍の線形屈折率分布の場合はPP=1.317であり、化学的な強化の結果として一般的に発生する様々な分布に対して一般的に使用される妥協値であるPP=0.9である(図7B参照)。
【0260】
拡張型のシステムおよび方法を使用した測定例
例示的な測定は、異なる曲率を有し、KNO浴を採用する一般的なIOXプロセスを使用して同時に形成されたCS基板10のセットで行われ、そのためCS基板は、同じまたは実質的に同じ量の圧縮応力CSおよび同じまたは実質的に同じ層深さDOLを有することになった。CS基板10は、異なる曲率を有していた。システム100は、デジタル検出器150の検出器表面152から距離L=167.2mmに置かれた可変焦点検出器光学系142を有していた。可変焦点検出器光学系の光パワー1/fは、各CS基板10のシャープなモードスペクトル画像を生成するように調整された。システム100は、図4Aの例示的なシステム100に示されるような光制限器200を備えていた。
【0261】
測定光ビーム116の波長λは790nmであった。この比較的長い波長は、モードスペクトル画像のシャープネスの光学収差に対する感度を低減するために使用された。測定波長におけるプリズム屈折率n=1.71、CS基板のバルク屈折率nは測定波長において約1.51であった。検出器光学系142は、プリズム出力面45からビーム経路に沿って軸線方向距離l=140mmの位置にあり、光線は測定位置と出力面との間のカップリングプリズム42内を距離l≒5mm進んだ。出射角感度は、
【0262】
であった。
【0263】
図8Aは、報告された表面圧縮応力CSの測定値(メガパスカル(MPa)単位)対、例示的なCS基板についての検出器光学系142の焦点距離f(ミリメートル(mm)単位)のプロットであり、データを通じてベストフィットのラインと共に示されている。焦点距離fは、最も高いコントラストのモードスペクトル画像を提供する焦点距離であった。
【0264】
図8Aの測定結果は、較正補正を採用していなかった。図8Aのプロットは、表面圧縮応力CSの測定された未加工の値が、サンプルの曲率に無視できる程度の依存性を有すると予想される表面圧縮応力の実際の値とは異なり、検出器光学系142の焦点距離fに強い依存性を有することを示している。
【0265】
図8Bは、図8Aと同じ例示的なCS基板について、マイクロメートル(μm)単位の層深さ(DOL)対検出器システムの集束レンズの最良コントラスト焦点距離f(mm)のプロットであり、データを通じてベストフィットのラインと共に示されている。全ての試験片が実質的に同じDOLを有するはずであるが、未加工の層深さDOLは、最もシャープなモードスペクトル画像に対応する焦点距離に強く依存する。
【0266】
図9Aおよび図9Bは、図8Aおよび図8Bの結果と同じプリズムカップリングスペクトルから得られた表面CSおよびDOLのプロットであるが、上記の湾曲したCS基板10の上面12の動的較正補正方法を測定に適用した後のものである。図9Aおよび図9Bのプロットは、全ての測定におけるCS値およびDOL値が、最もシャープなスペクトルの焦点距離fに実質的に依存しなくなったことを示しており、これは、同一の化学強化を受けた、厚さが同じで曲率が異なる基板の実際の表面応力およびDOLについて予想されるとおりである。システムの較正パラメータγは1.17に設定した。
【0267】
入射角αが90°に極めて近い、例えば80°≦α≦90°である場合、十分な精度のために、より複雑な較正方法が必要となる場合がある。一方、一実施形態では、プリズムと画像形成レンズとの間の距離を減少させることで、上記の簡略化された較正補正を使用した場合、さらには較正補正を省略した場合であっても、系統誤差を許容可能なレベルまで低減することができる。特に、次のように距離lおよびlを大幅に減少させることにより、誤差を低減できることが判明した。
【0268】
【数24】
【0269】
式中、パラメータεは、CSもしくはDOL、または別の応力パラメータの測定精度の要求に応じて選択される。圧縮応力CSの仕様の幅に応じて、例えば、εは、0.2~0.01の値(すなわち、0.01≦l/L≦0.2)、例えば、以下の値のいずれか1つに設定することができる:0.2、0.15、0.12、0.10、0.08、0.06、0.05、0.04、0.03、0.01、場合によってはさらに小さい値に設定することができる。比較のために、図8A図8B図9Aおよび図9Bのプロットに関連する測定値は、l/L≒0.86であった。l/Lを0.86から0.086に減少させると、未較正のCS結果の傾きが約10分の1に減少し、これは、例えばCS仕様範囲が100MPaよりも広い場合に十分である。この比は、検出器光学系(レンズ)142とデジタル検出器150とをカップリングプリズム42に近づけて、L=167mm、l≒5mm、およびl=11.5mmとすることで達成できる。
【0270】
別の実施形態では、系統誤差を最小化するために、好ましい縮小比l/L≦εが上記のように選択され、動的較正補正の適用と組み合わされる。この実施形態では、角度αが80°を超える場合でも誤差を極めて小さくすることができる。較正補正が適用される場合、例えば0.25または0.30などのより高い値のεであっても、極めて良好な結果を得ることができる。
【0271】
システム較正パラメータγはシステム固有のものであり、試験片の曲率の変化に対して測定システムがどのように応答するかを特徴付ける。以下は、レンズとセンサ面との間の距離Lを変化させることにより、固定された焦点屈折力のレンズを使用して異なる曲率の試験片を測定する実施形態の例である。f=100mmのベストフォームレンズをカメラのCCDセンサから100mmの距離に位置決めし、KNO主体の浴中でイオン交換されたナトリウム-アルミノケイ酸塩ガラスの平坦な試験片に対してシャープなスペクトルを示した。レンズとプリズムとの間の距離lは、平坦な試験片を測定したときにシャープなスペクトルが得られるようにシステムを設定したとき、140~170mmであった。これらの測定で使用された光波長は約590nmで、プリズムおよびインタフェースオイルの屈折率は測定波長で1.72であり、cos(α)は約0.49であった。結合された光学モードが閉じ込められたイオン交換領域では、試験片の屈折率は約1.50であった。
【0272】
ガラスの片面を異なる量でエッチングすることにより、意図的に曲率を設けた試験片を調製した。曲率測定により、3つの湾曲した試験片の曲率半径は、それぞれ約10m、6m、4.3mと決定された。レンズとセンサとの間の距離Lは、各ケースにおいて最もシャープと思われるスペクトルを得るために、それぞれΔf=3.5mm、5.8mm、および8.1mmだけ増加させる必要があった。スペクトルのシャープネスはオペレータが目視で判断した。Δfの値の不確実性は約0.5mm以下と推定されるが、これは主に、各湾曲した試験片のレンズ位置の小さな範囲でスペクトルがシャープに見えるという事実によるものであり、前述の範囲は幅約1mmである。測定されたΔfと測定された部分の曲率半径との関係に基づいて、その光学系では、湾曲した試験片によってカバーされる曲率範囲0.1~0.23逆メートルに対して、較正係数γは約0.94±0.03であると決定された。
【0273】
別の実施形態では、最小誤差の達成に役立てるために、距離lが最小化される。この実施形態は、最大限の測定精度のために動的再較正と共に使用することができる。場合によっては、lを最小化した実施形態は、動的再較正なしでも使用することができる。lを最小化したシステムを使用するケースとして考えられるのは、応力プロファイル制御パラメータ(例えばCSおよびDOL)の仕様が比較的広いケース、または試験片の曲率が小さいケース、例えば、実質的に平坦なまたは反りの量が少ない名目上平坦な試験片を測定する場合などであり、この場合、フォーカシングを動的に変化させることにより、測定された特徴のシャープネスが向上し、ひいては特徴を検出する能力またはセンサ面上の特徴位置の検出精度が向上する。一態様では、lを減少させることは、外部距離lを減少させることを含む。この距離は、応力測定用の市販のプリズムカップリングシステムでは、典型的には、50mmよりも大幅に大きい。
【0274】
本発明者らは、lを50mm未満、特に40mm未満、30mm未満、20mm未満、10mm未満、または5mm未満に減少させることが、システムがシャープなスペクトルを得るために動的再フォーカシングを利用する場合に、測定された部分の曲率の存在によって誘起される応力プロファイルパラメータの測定誤差を漸次減少させるように作用するはずであると判断した。したがって、本発明の具体的な実施形態は、プリズム出射面と、それに最も近い画像形成レンズまたはレンズシステムの光学面との間の距離lが、50mm未満、40mm未満、30mm未満、20mm未満、10mm未満、または5mm未満の間隔を有する測定システムを含む。一実施形態では、画像形成レンズは、固定焦点屈折力のレンズと可変焦点屈折力のレンズとを含む複合レンズである。前述の実施形態の一例では、固定焦点屈折力のレンズはプリズムの出射面とすることができ、プリズムの出射面は平坦ではなく湾曲しており、測定された試験片の特定の曲率範囲に対してシステムをバイアスし、ひいては可変焦点屈折力を有するレンズ(例えば液体レンズ)から利用可能な焦点屈折力の範囲を最も効果的に使用するようにシステムを最適化する。意図的に小さな距離lを含むこれらの実施形態は全て、最高の測定精度が求められる場合には動的較正補正と組み合わせて使用することができ、限られた測定精度で十分な場合には動的較正補正なしで使用することができる。
【0275】
一例では、モードスペクトルの画像を形成するための検出器光学系142用の液体レンズを含む実施形態が、3セットの化学的に強化された部品のCSおよびDOLの正確な測定を取得するために、動的フォーカシングと動的再較正とを組み合わせて使用される。各セット内の部品は、同時にイオン交換された後、曲率量は異なるが、CSおよびDOLは同じレベルである。例示的な測定システムでは、液体レンズは、正の焦点屈折力と負の焦点屈折力との両方を含むかなりの範囲で焦点距離屈折力を変化させることができた。液体レンズは、カメラセンサからの距離L=166.7mmに位置決めされた。液体レンズの焦点屈折力が1/Lに等しいとき、真に平坦なサンプルがモードスペクトルの最もシャープな画像を生成していた。
【0276】
システムは790nmで動作するように構成されており、プリズムの横断面は正三角形で出射角は60°であり、790nmでの屈折率は1.71であった。パラメータcos(α)は0.465の値を有し、ガラス試験片の屈折率は測定波長でn=1.514程度であった。有効屈折率Pに対する出射角感度は2.133であった。プリズムの出射面と液体レンズとの間の距離lは約55mmであり、合計距離l=l+l/nは約58mmであった。3つの試験片グループの各々について、平坦またはほぼ平坦な試験片が幾つか存在し、測定位置で1m-1を超える大きな曲率を有する試験片が1つあった。各グループにおいて最も湾曲した試験片については、プリズムと液体レンズとの間に焦点距離200mmの補助レンズを挿入し、液体レンズから13mmの距離に配置した。
【0277】
図10Aおよび図10Bは、それぞれCS(MPa)およびDOL(μm)の測定値を基板曲率1/R(m-1)の関数としてプロットしたものであり、ここで、Rは、測定対象のサンプルの局所曲率半径である。検出器光学系142として液体レンズを使用し、その焦点距離をモードスペクトルの最もシャープな画像を生成するように調整した。
【0278】
図10AのCSの未加工値は、3つのグループのサンプルを使用し、較正の動的補正を行わずに、各モードスペクトルの最もシャープな画像を直接処理して求められた。3つのグループの未加工データを、破線でつないだ白抜きの記号で示す(グループAは円、グループBは三角、グループCは四角)。明らかに、CSおよびDOLの未加工値は試験片曲率1/Rに強く依存している。システム較正パラメータγ=1.66の値で動的補正を適用すると、各グループ内の全ての試験片で実質的に同じCSが生じた。最終的なCS値は、グループA,B,Cそれぞれについて、塗りつぶされた円、三角、および四角で示され、実線で結ばれている。
【0279】
図10Bは、図10Aと同じサンプルグループについて、動的較正補正を適用する前の未加工のDOLを白抜きの記号で、動的較正補正を適用した後の補正後のDOLを黒塗りの記号で、グループA,BおよびCのそれぞれについて示している。上述したパラメータQ、および推定曲率半径Rの計算において、検出器光学系142の複合レンズは、補助薄型レンズと液体レンズとの焦点屈折力の和に等しい焦点屈折力を有する単純な単一要素薄型レンズとして扱われ、2つのレンズ間の距離は無視された。この仮定の誤差は較正係数γによって吸収される。
【0280】
最終的なDOL値は、グループA,BおよびCのそれぞれについて、黒塗りの円、三角、および四角で示され、実線で結ばれている。システム較正パラメータγを適切な値に設定して動的較正ルーチンを構成した場合、曲率の全範囲にわたってCSとDOLとの両方の正確な値を生成するのに、本発明の方法が効果的であることは明らかである。
【0281】
複合レンズの考慮
本明細書で述べたように、検出器光学系142は、複数のレンズ要素を有する複合レンズを含むことができる。一例では、要素のうちの1つは、調整可能な焦点距離を有する液体レンズなどの可変レンズであり、他の要素は、球面薄型レンズ要素などの通常のレンズである。
【0282】
場合によっては、測定されたCS基板10は設計上大きな曲率を有することがあり、成形プロセスのばらつきおよびIOXプロセスのばらつきにより曲率に幾つかの不確実性が生じる可能性がある。幾つかのそのような場合、検出器光学系142は、少なくとも1つの固定レンズ要素がサンプルの目標曲率を実質的に補償するために使用され、少なくとも1つの可変焦点レンズ要素がシャープなモードスペクトル画像を取得するために全体的な光パワーを動的に調整するために使用される複合レンズを含むことが好ましい場合がある。
【0283】
別の実施形態では、検出器光学系142は、2つ以上の個別レンズを有する複合レンズを含み、少なくとも1つの個別レンズは、デジタル検出器150に向かって、またはデジタル検出器150から離れるように軸線方向に移動可能である。可動レンズの軸線方向位置は、測定される個々のCS基板ごとに最適なフォーカシングが取得されるように調整される。個々のレンズの軸線方向シフトは、システムの有効焦点距離fを変化させ、また、可動レンズがプリズム出力面45に最も近い位置にあるか、検出器表面152に最も近い位置にあるかによって、有効距離Lおよびlを変化させることができる。較正補正の適用に必要な信号SDは、可動レンズの軸線方向位置またはその変化を含む。前の実施形態と同様に、そのような軸線方向に移動可能な個々のレンズを軸線方向に移動可能なデジタル検出器150と組み合わせて、測定されるCS基板の曲率のより大きな範囲をカバーするシステム能力を高めることができ、この場合、信号SDは、可動レンズとデジタル検出器150または検出器表面152との両方の軸線方向位置に関連する信号を含むことができる。
【0284】
図10Aおよび図10Bの同じ一連の測定は、複合レンズ構成が検出器光学系142において使用される方法の別の実施形態を試験するために使用された。この場合、複合レンズの光学パワーは、複合レンズの有効焦点距離に関する既知の式を使用することによって、補助レンズと可変f液体レンズとの間の距離について補正することができる:
【0285】
【数25】
【0286】
式中、BFLは、「後方焦点距離」、例えば、一続きのレンズの2番目のレンズから測定されたレンズの焦点距離を示し、dは、2つのレンズ間の距離であり、fおよびfは、それらの個々の焦点距離である。類似しているが僅かに異なる実施形態では、後方焦点距離の代わりに、複合レンズの逆焦点屈折力を使用することができ、逆焦点屈折力は、次のように定義される:
【0287】
【数26】
【0288】
この実施形態では、BFLをQの式におけるfの動的値として使用したが、これは上述のように、次のように表すことができる:
【0289】
【数27】
【0290】
さらに、補助レンズの挿入をおおよそ考慮し、距離lを縮めた。距離lは、プリズム-複合レンズ間の距離の減少をおおよそ補正するために、2つのレンズ間の距離d=13mmの半分だけ減少させた。
【0291】
複合レンズの焦点屈折力のより正確な推定値とプリズム-レンズ間距離の補正とを使用することで、例えば曲率が1.1m-1より僅かに低い代わりに1.2m-1より僅かに高い場合など、最も湾曲した試験片の曲率をより正確に推定することができる。実験的な測定およびデータ処理において、このアプローチは、図10Aおよび図10Bに示すように、CSおよびDOLの実質的に同じ補正値を再現するために、システム較正係数γの値を1.52と低くする結果となった。
【0292】
複合レンズの作用をより正確に表現することによる精度向上の可能性は、図10Aおよび図10Bのデータを取得するために使用した試験片よりも高精度の評価ができるように特別に設計された試験片セットを使用した、より広範な研究の後に実現することができる。
【0293】
屈折率整合流体の考慮
これまでに提供した実施例では、測定インタフェースINTにおいて測定された試験片とプリズムとの間に介在する屈折率オイル(流体)は、測定波長におけるカップリングプリズムの屈折率nと実質的に同じ屈折率を有するように選択された。別の例では、プリズムの屈折率nよりも実質的に低い屈折率を有し、測定試験片よりも実質的に高い屈折率を有するインタフェースオイルを使用した場合、動的較正補正を利用する開示された方法がうまく適用された。
【0294】
特に、測定波長約790nmにおいて、プリズムの屈折率nは約1.71であり、オイルの屈折率は約1.63であり、ガラス試験片の屈折率nは約1.514であった。プリズムと実質的に同じ屈折率を有するインタフェースオイルを用いて、動的較正を使用して、先の実施形態で説明したシステムで湾曲した試験片のセットをまず測定した。試験片のCSおよびDOLの値は様々であった。次いで、同様のシステムで試験片を測定したが、中間屈折率約1.63のインタフェースオイルを用いた。システム較正パラメータγの値を多少変えても、CSおよびDOLの正しい値が試験片の全てのセットで得られた。
【0295】
本発明の方法では、各システム100を較正するためにパラメータγを使用するので、中間屈折率を有するオイルをシステムの性質として扱い、その影響をシステム固有の較正パラメータγの値に組み込むことができることは明らかである。
【0296】
別の実施形態では、CS基板10を置くためにサンプルホルダが設計されており、そうしてカップリングプリズム42上の好ましい測定位置がCS基板の上面(測定面)12の好ましい測定位置と接触し、システム100の動的フォーカシング機能の助けを借りて、より迅速かつ容易にシャープなモードスペクトル画像を達成できるようになる。
【0297】
レンズアレイの実施形態
別の実施形態では、検出器光学系142は、反射された光ビーム116Rの光路に挿入可能な異なる焦点距離を有する多数の個別のレンズを含むことができる。図3Bは、移動可能で、各々異なる焦点距離を有する集束レンズ172のアレイまたは個別のセットを支持するレンズ支持構造170を含む検出器光学系142の例示的な構成を示している。一例では、レンズ支持構造170は、中心ホイール軸線AWを有するホイールの形態であり、この軸線AWを中心にホイールは回転することができ(そして、例えば並進デバイス156に代わる駆動モータによって作動させることができ)、シャープなモードスペクトル160画像を形成する集束レンズ172の選択された1つを反射された光ビーム116Rに配置する。次いで、採用された集束レンズ172の光学パワー(1/f)が、上記で規定された較正に従って適切な較正を計算するために使用される。この場合、必要な焦点距離(または光パワー)を提供する信号SDは、どの集束レンズ172またはどのホイール位置が最もシャープなモードスペクトル160画像をもたらしたかについての情報を含む。
【0298】
図3Cに示す別の類似の実施形態では、レンズ支持構造170は移動可能であり、ホイールの代わりに線形またはp×qアレイで集束レンズ172のセットを支持することができる。図3Cは、例として1×5のレンズアレイを示している。一例では、集束レンズ172のセットは、測定中の能動集束レンズのセットが、第1の可変焦点実施形態について上述したように、好ましい比l/L≦ε(または好ましい比l/R)を満たすように、カップリングプリズム42に十分に近接して配置されるように使用される。上記で規定される較正補正方法は、複合能動レンズがサンプルの近くに配置されているか否かにかかわらず、応力測定結果の精度を向上させるために適用することができる。
【0299】
別の実施形態では、検出器光学系142は、図3Bおよび図3Cのアレイなどの1つ以上の個別のレンズアレイを含み、アレイ内の各レンズは固定焦点距離を有する。この実施形態では、連続的に可変の焦点距離fを有するレンズは必要とされない。また、集束要素とデジタル検出器150の検出器表面152との間の距離Lを変化させる能力も必要とされない。個別のレンズセットは、CS試験片が関心のある測定位置で有する曲率の範囲に対応するのに十分な正味焦点屈折力の範囲をカバーする。
【0300】
各試験片について、利用可能なレンズのうちの1つ、または利用可能なレンズの組み合わせのうちの1つ(2つ以上のアレイが光軸線に沿って連続して使用される場合)を使用することによってセンサによりキャプチャされ得るスペクトルの全ての可能な画像の中から、カップリングスペクトルの最もシャープな画像、または適切なシャープネスを有する前述のカップリングスペクトルの画像のいずれかが選択される。レンズの構成(例えば、焦点距離、またはレンズ識別番号、または構成識別番号)は、較正補正を生じさせるために使用されるフィードバック信号SDに含まれる。
【0301】
一例では、上記の他の実施形態の説明に開示されているように、較正誤差を適切に低減するためにプリズムに十分に近い位置に能動レンズを位置決めすることによって、フィードバック信号が省略される。別の例では、フィードバック信号および較正補正の使用の有無にかかわらず、個別のレンズのアレイは、本開示の他の実施形態を考慮することによって推察できるように、準連続的に移動可能なレンズ、準連続的に焦点距離を調整可能なレンズ(例えば液体レンズ)、または光軸線に沿って準連続的に移動可能な検出器表面152と組み合わせて、画像のシャープネスを洗練させることができる。画像のシャープネスを最大化することは、最も正確な較正補正のための信号SDを提供することに役立つだけでなく、関心のあるスペクトル特徴の位置の測定の精度を最大化することにも役立ち、ひいてはCSサンプルの屈折率または応力プロファイルの特性の測定の精度を最大化することにも役立つ。
【0302】
別の実施形態では、検出器光学系142は固定焦点距離を有し、プリズム出力面45とデジタル検出器150との間で軸線方向に移動させられ、測定位置におけるCS基板の曲率に適応して、シャープなモードスペクトル画像を形成する。この場合、検出器光学系142を軸線方向に移動させてもf自体は変化しないが、較正補正式におけるLとlとの両方が変化するため、並進デバイス156からのフィードバック信号SDが、較正を計算するためのLとlとの両方の正しい値を生成するために使用される。
【0303】
別の実施形態では、検出器光学系142は固定焦点距離を有し、検出器光学系142とデジタル検出器150との両方が軸線方向に(好ましくは反対方向に)移動させられ、測定位置におけるCS基板の曲率に適応して、シャープなモードスペクトル画像を形成する。この場合、並進デバイス156からのフィードバック信号SDは、両方の正しい値を生成するためと、較正を計算するためとに使用される。
【0304】
測定されたモードスペクトル
図11は、平坦な部分のモードスペクトル160画像の写真である。TMモードライン163TMとTEモードライン163TEとは極めてシャープであり、焦点が合った画像であることを示している。
【0305】
図12A図12Cは、それぞれ曲率半径Rが10m、6mおよび4.3mの湾曲したCS基板10のモードスペクトル160画像の写真であり、検出器光学系142の焦点調整は行っていない。曲率半径が小さいほど(ひいては曲率1/Rが大きいほど)、フリンジコントラストの低下が大きくなることが分かる。
【0306】
図13Aおよび図13Bは、R=10mおよびR=6mのCS基板10のモードスペクトル160画像の写真であるが、検出器光学系142の位置が+3.5mm、すなわちデジタル検出器150から3.5mmシフトしている。図13Aのモードスペクトル160の画像は、そのとき焦点が合っており、極めてシャープで、図12Aの元の焦点の対応画像よりもはるかにシャープである。図13BのR=6mのスペクトルは、焦点が合っていないが、図12Bの元の焦点の対応画像と比較して、シャープネスおよびコントラストが向上している。
【0307】
図14Aおよび図14Bは、R=6mおよびR=4.3mのCS基板10のモードスペクトル160画像の写真であるが、検出器光学系142の位置が+5.8mmシフトしている(例えば、検出器光学系142とデジタル検出器のセンサ面との間の距離Lが5.8mmだけ増加している)。図14Aのモードスペクトル160画像は、そのとき焦点が合っており、極めてシャープであり、図12Bの元の焦点の対応画像よりもはるかにシャープである。図14Bのモードスペクトル画像は、図13Bの元の焦点の対応画像と比較して、シャープネスおよびコントラストが向上している。
【0308】
図15は、R=4.3mの基板10のモードスペクトル160画像の写真であるが、距離Lが元の値よりも8.1mm大きくなるように、検出器光学系142の位置が+8.1mmシフトしている。図15のモードスペクトル160の画像は、図14Bに示されたものよりもはるかにシャープであり、R=4.3mのCS基板10に対する検出器光学系の最良の焦点位置を示しているように見える。
【0309】
図16は、Rが10m、6mおよび4.3mである図11図15の3つのCS基板の焦点シフトΔf(mm)対曲率1/R(m-1)のプロットである。このプロットは、所与のRの範囲において、焦点シフトΔf(mm)と曲率との間に線形関係があることを示している。
【0310】
本明細書に記載された本開示の好ましい実施形態に対する様々な変更が、添付の特許請求の範囲に定義された本開示の精神または範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、それらが添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入ることを条件として、修正および変形を網羅する。
【0311】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0312】
実施形態1
湾曲した表面と、隣接する表面近傍導波路とを有する化学的に強化された(CS)基板の補正されたデジタルモードスペクトルを取得する方法であって、
測定光を前記表面近傍導波路の内外にカップリングさせるためのエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して前記CS基板の横方向磁場(TM)モードスペクトルおよび横方向電場(TE)モードスペクトルをデジタル式にキャプチャして、デジタルモードスペクトル画像を形成するステップであって、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムは、平坦なCS基板を測定するためのシステム較正を有する、ステップと、
基準CS基板の基準TMモードスペクトルおよび基準TEモードスペクトルと比較した、デジタル式にキャプチャされた前記TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルの差を表す較正補正を確立するステップと、
前記較正補正を前記デジタルモードスペクトル画像に適用して、平坦なCS基板を測定するための前記システム較正を使用して処理することができる前記補正されたデジタルモードスペクトルを形成するステップと
を含む、方法。
【0313】
実施形態2
前記システム較正を使用して前記補正されたデジタルモードスペクトルを処理し、
a)屈折率プロファイル;または
b)測定対象の湾曲した前記CS基板の1つ以上の応力関連特性
のうちの少なくとも1つを決定するステップ
をさらに含む、実施形態1記載の方法。
【0314】
実施形態3
前記TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルが、それぞれTMモードラインおよびTEモードラインならびにモードライン間隔を含み、前記基準TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルが、それぞれ前記基準TMモードラインおよびTEモードラインならびに基準モードライン間隔を含み、かつ前記較正補正を確立するステップが、前記デジタルモードスペクトル画像の前記モードライン間隔と前記基準CS基板の前記基準モードライン間隔との間の関係を確立するステップを含む、実施形態1または2記載の方法。
【0315】
実施形態4
前記システム較正が焦点を含み、前記デジタルモードスペクトル画像が最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかを有するように前記焦点を変化させることによって、前記デジタルモードスペクトル画像を形成するステップをさらに含む、実施形態1または2記載の方法。
【0316】
実施形態5
前記エバネッセントプリズムカップリングシステムが、デジタル検出器と、該デジタル検出器に隣接して配置され、かつ調整可能な焦点を有する検出器光学系とを含む検出器システムを含み、前記デジタル検出器において、最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかを有するフォーカシングされたデジタルモードスペクトル画像を形成するステップをさらに含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法。
【0317】
実施形態6
前記TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルが、可変間隔Δおよび対応する有効屈折率差Δneffを有するそれぞれのTMモードラインおよびTEモードラインを含み、前記システム較正のためにΔ∝Δneffであり、かつ前記較正補正を確立するステップは、Δneff=K・Δを計算するステップを含み、Kは、湾曲した前記CS基板の動的較正パラメータを含む、実施形態5記載の方法。
【0318】
実施形態7
が、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムのカップリングプリズムの屈折率であり、lが、前記検出器光学系と、前記カップリングプリズムおよび前記CS基板のカップリングインタフェースとの間の第1の軸線方向距離であり、Lが、前記検出器光学系と、前記TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルをデジタル式にキャプチャする前記デジタル検出器との間の第2の軸線方向距離であり、Kが、前記基準CS基板の前記システム較正のためのシステム較正パラメータであり、かつ前記動的較正パラメータKは、
【0319】
【数1】
【0320】
のように計算され、
式中、Pは、P=[KL]-1により与えられ、
Qは、
【0321】
により与えられ、式中、γは、前記カップリングインタフェースにおける局所曲率半径Rを有する湾曲したCS基板を測定するためのシステム較正パラメータであり、αは、対応する前記TEモードラインおよびTMモードラインについて前記カップリングプリズムに入射する測定光ビームの入射角を含む、実施形態6記載の方法。
【0322】
実施形態8
前記エバネッセントプリズムカップリングシステムが、軸線と、前記CS基板の前記湾曲した表面と相互接続されてカップリングインタフェースを画定するカップリングプリズムと、前記デジタル検出器と、前記軸線に沿って前記カップリングプリズムと前記デジタル検出器との間に配置されて、前記検出器光学系と前記カップリングインタフェースとの間の第1の軸線方向距離lと、前記検出器光学系と前記デジタル検出器との間の第2の軸線方向距離Lとを画定する前記検出器光学系とを含み、長さ比がl/L<εであり、εは許容値であり、0.2~0.01の範囲である、実施形態5または6記載の方法。
【0323】
実施形態9
イオン交換(IOX)プロセスによって形成され、湾曲した表面と表面近傍屈折率領域(NSIR)とを有する化学的に強化された(CS)基板における屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定するように構成されたエバネッセントプリズムカップリングシステムであって、
第1の軸線に沿って進む集束させられた光ビームを形成する光源システムと、
前記CS基板の前記湾曲した表面と相互接続して、前記集束させられた光ビームを受光し、第2の軸線に沿って進み、前記NSIRのモードスペクトルを実現する反射された光ビームを形成するカップリングインタフェースを形成するカップリングプリズムと、
前記第2の軸線に沿って配置され、前記カップリングプリズムから順に:
i)検出器光学系;
ii)横方向磁場(TM)セクションおよび横方向電場(TE)セクションを有する偏光子;
iii)デジタル検出器
を含む検出器システムと
を含み、
前記検出器光学系は、前記カップリングインタフェースから軸線方向距離lおよび前記デジタル検出器から軸線方向距離Lの位置にあり、長さ比0.01≦l/L≦0.2を定義して、前記デジタル検出器においてモードスペクトル画像を形成する、
エバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0324】
実施形態10
前記検出器光学系が、前記デジタル検出器において前記モードスペクトル画像を形成して最大量の画像コントラストまたは画像シャープネスを有するように調整可能な焦点を有する、実施形態9記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0325】
実施形態11
前記調整可能な焦点が、各々異なる焦点距離を有する集束レンズの個別のセットを支持する可動レンズ支持構造によって提供される、実施形態10記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0326】
実施形態12
前記カップリングプリズムが入力側および出力側を有し、前記カップリングプリズムの前記入力側および前記出力側の少なくとも1つに隣接して配置された少なくとも1つの光制限器をさらに含む、実施形態9から11までのいずれか1つ記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0327】
実施形態13
調整可能な焦点を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲した化学的に強化された(CS)基板の屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定する方法であって、
a)基準CS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を形成する第1の焦点に調整可能な焦点を調整することにより、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムを較正して、前記基準CS基板を測定するための較正されたシステムを確立するステップと、
b)前記較正されたシステムを使用して、平坦な前記CS基板を測定するための前記較正されたシステムで前記湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトに起因して、前記調整可能な焦点を第2の焦点に調整することにより、前記湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成するステップと、
c)前記平坦なCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の対応する少なくとも1つの計算を使用して、前記湾曲したCS基板の前記インフォーカスモードスペクトル画像に基づいて、前記湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を決定するステップと、
d)前記少なくとも1つの応力関連特性の前記未加工の値を調整して、前記平坦なCS基板の前記第1の焦点から前記湾曲したCS基板の前記第2の焦点への前記調整可能な焦点の変化に基づく補正係数を前記未加工の値に乗じることによって補正値を取得するステップと
を含む、方法。
【0328】
実施形態14
前記第1の焦点から前記第2の焦点への前記調整可能な焦点の変化が、検出器光学系とデジタル検出器との間の軸線方向距離を変化させることを含む、実施形態13記載の方法。
【0329】
実施形態15
検出器光学系が光パワーの量を有し、前記調整可能な焦点を前記第1の焦点から前記第2の焦点に変化させることが、前記検出器光学系の前記光パワーの量を変化させることを含む、実施形態13または14記載の方法。
【0330】
実施形態16
前記検出器光学系が、表面を有する液体レンズを含み、前記光パワーの量を変化させることが、前記液体レンズの前記表面の曲率の量を変化させることを含む、実施形態15記載の方法。
【0331】
実施形態17
前記補正係数が、
【0332】
【数2】
【0333】
のような動的補正係数Kを含み、
式中、
【0334】
であり、式中、fは、システム焦点であり、
【0335】
は、前記平坦なCS基板の前記インフォーカスモードスペクトル画像を形成する光ビームの有効屈折率neffの変化に伴う光線角度βの変化であり、
=検出器光学系からデジタル検出器までの軸線方向距離であり、
【0336】
式中、nは、測定光ビームを前記湾曲したCS基板の内外にカップリングさせるために使用されるカップリングプリズムの屈折率であり、
は、前記検出器光学系と前記カップリングプリズムの出力面との間の軸線方向距離であり、
は、前記カップリングプリズムのカップリング面と前記CS基板の表面との間のインタフェースの前記出力面からの軸線方向距離である、
実施形態15または16記載の方法。
【0337】
実施形態18
前記少なくとも1つの応力関連特性が表面圧縮応力を含み、前記未加工の値が表面圧縮応力CS(未加工)を含み、前記表面圧縮応力の前記補正値が
【0338】
に従って与えられる、実施形態17記載の方法。
【0339】
実施形態19
前記少なくとも1つの応力関連特性がニー応力CSkを含み、前記未加工の値が未加工のニー応力CSk(未加工)を含み、前記ニー応力の前記補正値が
【0340】
に従って与えられる、実施形態17または18記載の方法。
【0341】
実施形態20
前記少なくとも1つの応力関連特性が層深さDOLを含み、前記未加工の値が未加工の層深さDOL(未加工)を含み、前記層深さの前記補正値が
【0342】
により与えられる、実施形態17から19までのいずれか1つ記載の方法。
【0343】
実施形態21
湾曲した表面と表面近傍導波路とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の屈折率プロファイルおよび少なくとも1つの応力関連特性のうちの少なくとも1つを決定するためのエバネッセントプリズムカップリングシステムであって、
測定光を生成する光源システムと、
カップリング面を有するカップリングプリズムであって、前記湾曲した表面とカップリング面において相互接続され、前記測定光の一部を前記表面近傍導波路のTM導波モードおよびTE導波モードにカップリングさせ、前記測定光の一部を前記TM導波モードおよびTE導波モードから出力光としてカップリングさせるための局所曲率半径Rを有するカップリングインタフェースを画定する、カップリングプリズムと、
調整可能な焦点を有し、前記出力光を受光し、TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を受光して検出するように配置されたデジタル検出器において前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成するように構成された検出器光学系を含む検出器システムであって、前記検出器光学系は、平坦なCS基板を測定するための第1の焦点を有し、前記調整可能な焦点は、前記湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能であり、前記第2の焦点は、最大コントラストまたは最大シャープネスのいずれかで前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成する、検出器システムと、
前記デジタル検出器に動作可能に接続され、前記湾曲したCS基板の検出されたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルを処理して、前記湾曲したCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性を、
i)前記平坦なCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の対応する少なくとも1つの計算を使用して、前記湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像に基づいて、前記湾曲したCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を決定することと、
ii)前記平坦なCS基板の前記第1の焦点から前記湾曲したCS基板の前記第2の焦点への調整可能な焦点の変化に基づく補正係数を前記未加工の値に乗じることによって、前記少なくとも1つの応力関連特性の前記未加工の値を調整して補正値を取得することと
により決定するように構成されたコントローラと
を含む、エバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0344】
実施形態22
前記検出器光学系の前記調整可能な焦点を、軸線方向に移動可能である前記検出器光学系が含む、実施形態21記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0345】
実施形態23
前記検出器光学系の前記調整可能な焦点が、前記検出器光学系の光パワーの量を変化させることを含む、実施形態21記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0346】
実施形態24
前記検出器光学系が液体レンズを含み、前記液体レンズは、前記光パワーの量を変化させるために使用される、実施形態23記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0347】
実施形態25
前記補正係数が、
【0348】
【数3】
【0349】
のような動的補正係数Kを含み、
式中、
【0350】
であり、式中、fは、検出器光学系の焦点であり、
【0351】
は、前記平坦なCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成する前記出力光の有効屈折率neffの変化に伴う光線角度βの変化であり、
=前記検出器光学系から前記デジタル検出器までの軸線方向距離であり、
【0352】
式中、nは、測定光ビームを前記湾曲したCS基板の内外にカップリングさせるために使用される前記カップリングプリズムの屈折率であり、
は、前記検出器光学系と前記カップリングプリズムの出力面との間の軸線方向距離であり、
は、前記カップリングプリズムのカップリング面と前記CS基板の表面との間のインタフェースの前記出力面からの軸線方向距離である、
実施形態21記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0353】
実施形態26
前記少なくとも1つの応力関連特性が表面圧縮応力を含み、前記未加工の値が表面圧縮応力CS(未加工)を含み、前記表面圧縮応力の前記補正値が
【0354】
により与えられる、実施形態25記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0355】
実施形態27
前記少なくとも1つの応力関連特性がニー応力CSkを含み、前記未加工の値が未加工のニー応力CSk(未加工)を含み、前記ニー応力の前記補正値が
【0356】
により与えられる、実施形態25または26記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0357】
実施形態28
前記少なくとも1つの応力関連特性が層深さDOLを含み、前記未加工の値が未加工の層深さDOL(未加工)を含み、前記層深さの前記補正値が
【0358】
により与えられる、実施形態25から27までのいずれか1つ記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0359】
実施形態29
調整可能な焦点を有するエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、湾曲した化学的に強化された(CS)基板の第1の応力関連特性を決定する方法であって、
a)平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を形成する第1の焦点に前記調整可能な焦点を調整することにより、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムを較正して、前記平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムを確立するステップであって、前記較正されたシステムが少なくとも前記第1の応力関連特性を含む、ステップと、
b)前記較正されたシステムを使用して、前記平坦なCS基板を測定するための前記較正されたシステムで前記湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトを測定するために、前記調整可能な焦点を第2の焦点に調整することにより、前記湾曲したCS基板のインフォーカスモードスペクトル画像を形成するステップと、
c)前記焦点シフトに基づいて、前記平坦なCS基板の第1の応力関連特性計算を修正して、修正された第1の応力関連特性計算を形成するステップと、
d)前記修正された第1の応力関連特性計算を実施して、前記湾曲したCS基板の前記第1の応力関連特性の測定値を取得するステップと
を含む、方法。
【0360】
実施形態30
前記第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)、ニー応力CSkまたは層深さDOLのいずれかを含む、実施形態29記載の方法。
【0361】
実施形態31
前記第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)を含み、前記修正された第1の応力関連特性計算が
【0362】
【数4】
【0363】
の形態を有し、
式中、B表面は、前記平坦なCS基板の前記インフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定された表面複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、前記焦点シフトに基づく補正パラメータである、実施形態29記載の方法。
【0364】
実施形態32
前記第1の応力関連特性が、ニー圧縮応力CSkを含み、前記修正された第1の応力関連特性計算が
【0365】
【数5】
【0366】
の形態を有し、
式中、Bニーは、前記平坦なCS基板の前記インフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定されたニー応力複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、前記焦点シフトに基づく補正パラメータである、実施形態29記載の方法。
【0367】
実施形態33
湾曲した表面を表面近傍導波路と共に有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の第1の応力関連特性を決定するためのエバネッセントプリズムカップリングシステムであって、
測定光を生成する光源システムと、
カップリング面を有するカップリングプリズムであって、前記湾曲した表面とカップリング面において相互接続され、前記測定光の一部を前記表面近傍導波路のTM導波モードおよびTE導波モードにカップリングさせ、前記測定光の一部を前記TM導波モードおよびTE導波モードから出力光としてカップリングさせるための局所曲率半径Rを有するカップリングインタフェースを画定する、カップリングプリズムと、
調整可能な焦点を有し、前記出力光を受光し、TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を受光して検出するように配置されたデジタル検出器において前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成するように構成された検出器光学系を含む検出器システムであって、前記検出器光学系は、平坦なCS基板を測定するための第1の焦点を有し、前記調整可能な焦点は、前記湾曲したCS基板の第2の焦点に調整可能であり、前記第2の焦点は、最大コントラストで前記TMモードスペクトル画像およびTEモードスペクトル画像を形成する、検出器システムと、
前記デジタル検出器に動作可能に接続され、前記湾曲したCS基板の検出されたTMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルを処理して、前記湾曲したCS基板の前記第1の応力関連特性を、
i)前記平坦なCS基板を測定するための較正されたシステムで前記湾曲したCS基板を使用することによって生じる焦点シフトを測定するために、前記調整可能な焦点を前記第2の焦点に調整することと、
ii)前記焦点シフトに基づいて、前記平坦なCS基板の第1の応力関連特性計算を修正して、修正された第1の応力関連特性計算を形成することと、
iii)前記修正された第1の応力関連特性計算を実施して、前記湾曲したCS基板の前記第1の応力関連特性の測定値を取得することと
により決定するように構成されたコントローラと
を含む、エバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0368】
実施形態34
前記第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)、ニー応力CSkまたは層深さDOLのいずれかを含む、実施形態33記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0369】
実施形態35
前記第1の応力関連特性が、表面圧縮応力CS(0)を含み、前記修正された第1の応力関連特性計算が
【0370】
【数6】
【0371】
の形態を有し、
式中、B表面は、前記平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定された表面複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、前記焦点シフトに基づく補正パラメータである、実施形態33記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0372】
実施形態36
前記第1の応力関連特性が、ニー圧縮応力CSkを含み、前記修正された第1の応力関連特性計算が
【0373】
【数7】
【0374】
の形態を有し、
式中、Bニーは、前記平坦なCS基板のインフォーカス較正モードスペクトル画像を使用して測定されたニー応力複屈折であり、SOCは、応力光学係数であり、Kは、測定された前記焦点シフトに基づく補正パラメータである、実施形態33記載のエバネッセントプリズムカップリングシステム。
【0375】
実施形態37
湾曲した表面と、隣接する表面近傍屈折率領域とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の補正されたモードスペクトル画像を取得する方法であって、
前記表面近傍屈折率領域と動作可能に係合したエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、前記湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャするステップであって、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムは、少なくとも1つの応力関連特性を計算するための平坦なCS基板較正を有する、ステップと、
前記湾曲したCS基板と同じイオン交換(IOX)プロセスを使用して形成された基準を成す平坦なCS基板のモードスペクトル画像に対する、前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像の歪みの量を測定するステップと、
前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像の前記歪みを補正して、補正された前記モードスペクトル画像を形成するステップと
を含む、方法。
【0376】
実施形態38
前記補正されたモードスペクトル画像および前記平坦なCS基板較正を使用して、前記湾曲したCS基板の少なくとも1つの応力関連特性を計算して、前記少なくとも1つの応力関連特性を計算するステップ
をさらに含む、実施形態37記載の方法。
【0377】
実施形態39
前記少なくとも1つの応力関連特性が、表面圧縮応力、ニー応力または層深さの少なくとも1つを含む、実施形態37記載の方法。
【0378】
実施形態40
前記エバネッセントプリズムカップリングシステムが、調整可能な焦点と、前記基準を成す平坦なCS基板の第1の焦点とを有し、前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャする動作が、前記湾曲したCS基板の第2の焦点に前記調整可能な焦点を調整するステップをさらに含む、実施形態37から39までのいずれか1つ記載の方法。
【0379】
実施形態41
前記調整可能な焦点を調整するステップが、検出器光学系とデジタル検出器との間の軸線方向距離を変化させるステップを含む、実施形態40記載の方法。
【0380】
実施形態42
前記調整可能な焦点を調整するステップが、前記検出器光学系の光パワーの量を調整するステップを含む、実施形態40記載の方法。
【0381】
実施形態43
前記光パワーの量を調整するステップが、液体レンズの表面曲率の量を調整するステップを含む、実施形態42記載の方法。
【0382】
実施形態44
湾曲した表面と、隣接する表面近傍導波路とを有する湾曲した化学的に強化された(CS)基板の少なくとも1つの応力関連特性を測定する方法であって、
前記表面近傍導波路と動作可能に係合したエバネッセントプリズムカップリングシステムを使用して、前記湾曲したCS基板のモードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャするステップであって、前記エバネッセントプリズムカップリングシステムは、少なくとも1つの応力関連特性を計算するための平坦なCS基板較正を有する、ステップと、
前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像を使用して、前記湾曲したCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性を計算し、前記少なくとも1つの応力関連特性の未加工の値を得るステップと、
前記湾曲したCS基板と同じイオン交換(IOX)プロセスを使用して形成された基準を成す平坦なCS基板のモードスペクトル画像に対する、前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像の歪みの量を測定するステップと、
前記歪みの量に基づいて補正係数を決定するステップと、
前記少なくとも1つの応力関連特性の前記未加工の値に前記補正係数を適用して、前記湾曲したCS基板の前記少なくとも1つの応力関連特性の補正値を得るステップと
を含む、方法。
【0383】
実施形態45
前記少なくとも1つの応力関連特性が、表面圧縮応力、ニー応力または層深さの少なくとも1つを含む、実施形態44記載の方法。
【0384】
実施形態46
前記エバネッセントプリズムカップリングシステムが、調整可能な焦点と、前記平坦なCS基板較正の第1の焦点とを有し、前記湾曲したCS基板の前記モードスペクトル画像をデジタル式にキャプチャする動作が、前記湾曲したCS基板の第2の焦点に前記調整可能な焦点を調整するステップをさらに含む、実施形態44または45記載の方法。
【0385】
実施形態47
前記補正係数を決定するステップが、前記第1の焦点と前記第2の焦点との間の差に部分的に基づく、実施形態46記載の方法。
【0386】
実施形態48
前記調整可能な焦点を調整するステップが、前記エバネッセントプリズムカップリングシステム内の光学系およびデジタル検出器のうちの少なくとも1つを軸線方向に移動させるステップを含む、実施形態46記載の方法。
【0387】
実施形態49
前記調整可能な焦点を調整するステップが、前記エバネッセントプリズムカップリングシステム内の液体レンズ要素の光パワーの量を調整するステップを含む、実施形態46記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
【国際調査報告】