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特表2024-541594半導体デバイスおよび半導体デバイスを動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】半導体デバイスおよび半導体デバイスを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/74 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L29/74 D
H01L29/74 G
H01L29/74 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532249
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2022082918
(87)【国際公開番号】W WO2023099298
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】21212227.9
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビクストレーム,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】トラン,クアン・ティエン
(72)【発明者】
【氏名】エッケル,ハンス-ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ベムラパティ,ウママヘスワラ
【テーマコード(参考)】
5F005
【Fターム(参考)】
5F005AA01
5F005AA03
5F005AB03
5F005AE01
5F005AF01
5F005AF02
5F005CA01
5F005DA01
(57)【要約】
一実施形態によれば、半導体デバイス(100)は、第1の側面(10)、および第1の側面の反対側の第2の側面(20)を有する半導体本体(1)を備える。半導体デバイスは、第1のサイリスタ構造(I)および第2のサイリスタ構造(II)をさらに備える。第2のサイリスタ構造は、第1のサイリスタ構造のそばに横方向に配置される。第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造の各々は、第1の側面にある第1のベース領域(11a、11b)と、割り当てられた第1のベース領域に隣接する第1の側面上のゲート電極(1a、1b)とを備える。2つのサイリスタ構造の第1のベース領域は半導体本体の領域であり、同じ導電型である。サイリスタ構造のゲート電極は、個別かつ単独で電気的に接触可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-第1の側面(10)、および前記第1の側面(10)の反対側の第2の側面(20)を有する半導体本体(1)と、
-第1のサイリスタ構造(I)、および前記第1のサイリスタ構造(I)のそばの横方向にある第2のサイリスタ構造(II)と
を備える、半導体デバイス(100)であって、
-前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)の各々が、前記第1の側面(10)にある第1のベース領域(11a、11b)と、前記割り当てられた第1のベース領域(11a、11b)と隣接し、電気的に接触している前記第1の側面(10)上のゲート電極(1a、1b)とを備え、
-前記第1のベース領域(11a、11b)が同じ導電型であり、各々が前記半導体本体(1)の領域であり、
-前記ゲート電極(1a、1b)が、個別かつ単独で電気的に接触可能であり、
-前記第1のサイリスタ構造(I)内のドーピング濃度が、前記割り当てられたゲート電極(1a)を介して印加されたゲート電流によってオンにされたときに前記第1のサイリスタ構造(I)がラッチしないように調整される、
半導体デバイス(100)。
【請求項2】
-前記第1のサイリスタ構造(I)に割り当てられた前記半導体本体(10)の少なくとも1つの領域が、前記第2のサイリスタ構造(II)に割り当てられた前記半導体本体(10)の対応する領域とは異なるドーピング濃度を有する、
請求項1に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項3】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のベース領域(11a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第1のベース領域(11b)よりも高いドーピング濃度を有する、
請求項2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項4】
-前記半導体デバイス(100)が、前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)のそばに横方向に配置されたダイオード構造(III)を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項5】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の面積が、前記第2のサイリスタ構造(II)の面積よりも小さい、
先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項6】
-前記第2のサイリスタ構造(II)が、複数のサイリスタセルを有するゲート転流型サイリスタ構造である、
先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項7】
-前記第1のベース領域(11a、11b)が、前記半導体本体(1)の少なくとも1つの分離領域(14c)が前記第1のベース領域(11a、11b)とは異なる導電型であることによって互いに分離され、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のベース領域(11a)が連続して形成され、
-前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第1のベース領域(11b)が連続して形成される、
先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項8】
-前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)の各々が、前記第1の側面(10)上の第1の主電極(2a、2b)と、前記第2の側面(20)上の第2の主電極(3a、3b)と、前記割り当てられた第1の主電極(2a、2b)と隣接し電気的に接触している前記第1の側面(10)にある第1のエミッタ領域(12a、12b)と、前記割り当てられた第2の主電極(3a、3b)に隣接し電気的に接触している前記第2の側面(20)にある第2のエミッタ領域(13a、13b)と、第2のベース領域(14a、14b)とを備え、
-前記第1のエミッタ領域(12a、12b)、前記第2のエミッタ領域(13a、13b)、および前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々前記半導体本体(1)の領域であり、
-前記第1のエミッタ領域(12a、12b)および前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々第1の導電型であり、
-前記第1のベース領域(11a、11b)および前記第2のエミッタ領域(13a、13b)が、各々第2の導電型であり、
-垂直方向において、前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々前記割り当てられた第2のエミッタ領域(13a、13b)と前記割り当てられた第1のベース領域(11a、11b)との間に配置され、
-垂直方向において、前記第1のベース領域(11a、11b)が、各々前記割り当てられた第1のエミッタ領域(12a、12b)と前記割り当てられた第2のベース領域(14a、14b)との間に配置される、
先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項9】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のエミッタ領域(12a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第1のエミッタ領域(12b)よりも低いドーピング濃度を有し、かつ/または、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第2のエミッタ領域(13a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第2のエミッタ領域(13b)よりも低いドーピング濃度を有し、かつ/または、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第2のベース領域(14a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第2のベース領域(14b)よりも高いドーピング濃度を有する、
請求項8に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項10】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のエミッタ領域(12a)が、前記第1のエミッタ領域(12a)とは反対の導電型であり、前記第1のベース領域(11a)を前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1の主電極(2a)と電気的に接続する1つまたは複数の短絡(19a)によって貫通される、
請求項8または9に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項11】
-前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々ドリフト領域(15a、15b)と、バッファ領域(16a、16b)とを備え、前記バッファ領域(16a、16b)が前記ドリフト領域(15a、15b)よりも高いドーピング濃度を有し、
-前記バッファ領域(16a、16b)が、前記割り当てられたドリフト領域(15a、15b)を前記割り当てられた第2のエミッタ領域(13a、13b)から分離する、
請求項8~10のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項12】
-横方向において、前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)が、交互に配置される
先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)。
【請求項13】
-前記第2のサイリスタ構造(II)の前記ゲート電極(1b)を介して電流が印加されない間に、前記第1のサイリスタ構造(I)の前記ゲート電極(1a)を介して第1のゲート電流を印加することと、
-次いで、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記ゲート電極(1b)を介して第2のゲート電流を印加することと
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の半導体デバイス(100)を動作させるための方法。
【請求項14】
-前記第2のゲート電流が、前記半導体デバイス(100)内のアノード-カソード電圧の減衰後に印加される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
-請求項1~12のいずれか1項に記載の半導体デバイス(100)と、
-前記半導体デバイス(100)の前記サイリスタ構造(I、II)の前記第1および前記第2の主電極(2a、2b、3)に電気的に接触するための2つの主電極構造、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記ゲート電極(1a)に電気的に接触するための第1の補助電極構造、ならびに
-前記第2のサイリスタ構造(II)の前記ゲート電極(1b)に電気的に接触するための第2の別個の補助電極構造
-を有する、前記半導体デバイス(100)のためのハウジングと
を備える、半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイスおよび半導体デバイスを動作させるための方法に関する。さらに、本開示は、そのような半導体デバイス用のためのハウジング、およびそのような半導体デバイスを備える半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
仏国特許出願公開第2560440号は、高電流のオン/オフ切替えのための集積構造を有する自己発火サイリスタおよびその制御回路に関する。米国特許出願公開第2013/207157号は、逆導通パワー半導体デバイスに関する。米国特許第3795846号は、それらの間のpn接合によって分離された機能領域を有する集積半導体デバイスに関する。Haschimoto Oらの「2.5KV-2000A MONOLITHIC REVERSE CONDUCTING GATE TURN-OFF THYRISTOR」、1986年1月1日(1986-01-01)、ADVANCES IN COLLOID SCIENCE、[ADVANCES IN COLLOID SCIENCE]、NEW YORK、INTERSCIENCE、US、ページ388~392、XP000014619は、2.5KV-2000Aモノリシック逆導通ゲートターンオフサイリスタに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された半導体デバイス、例えばターンオン挙動が制御された半導体デバイスが必要とされている。さらに、そのような半導体デバイスを動作させるための方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態は、改善された半導体デバイス、例えばターンオン挙動が制御された半導体デバイス、そのような半導体デバイスを動作させるための方法、そのような半導体デバイスのためのハウジング、およびそのような半導体デバイスを有する半導体モジュールに関する。
【0005】
最初に、半導体デバイスが明記される。
一実施形態によれば、半導体デバイスは、第1の側面、および第1の側面の反対側の第2の側面を有する半導体本体を備える。半導体デバイスは、第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造をさらに備える。第2のサイリスタ構造は、第1のサイリスタ構造のそばに横方向に配置される。第1および第2のサイリスタ構造の各々は、第1の側面にある第1のベース領域と、割り当てられた第1のベース領域に隣接し電気的に接触している第1の側面上のゲート電極とを備える。2つのサイリスタ構造の第1のベース領域は同じ導電型であり、各々半導体本体の領域である。サイリスタ構造のゲート電極は、個別かつ単独で電気的に接触可能である。
【0006】
自立したゲート電流に依存しないオン状態を確立するように設計されたサイリスタ型半導体デバイスは、トリガまたはラッチと呼ばれる制御できないターンオン挙動を示す。ラッチされると、アノード-カソード電圧は急速かつ回復不能に急減する。アノード電流の関連する急速な上昇は、大きい負の電流変化率の下で逆回復を実行するように強制するパワー電子回路内に接続されたダイオードにとって問題となり得る。急速な電流変化率に対して制限された能力を有するダイオードまたは任意の他の回路要素に過度のストレスを加えないために、誘導スナバが電流過渡を制限するためにしばしば使用される。ほとんどの場合、追加された回路インピーダンス(「チョーク」)は、ダイオード、抵抗器、およびコンデンサからなる電圧制限スナバ回路(「クランプ」)を必要とする、切替え中の誘導電圧を引き起こす。スナバ回路要素は、サイリスタベース回路の信頼性が高い動作に必要とされる全体的な配置の適用性を制限するおそれがある、かなりのサイズ、コスト、および複雑さを伴う。
【0007】
本開示は、とりわけ、2つのサイリスタ構造を有する完全に制御可能な半導体デバイスを提供するという考えに基づく。これにより、スナバを省略することができる。第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造には、別々にゲート電流を供給することができる。このようにして、第1のサイリスタ構造は、第2のサイリスタ構造がオンにされる前にオンにすることができる。例えば、第1のサイリスタ構造は、割り当てられたゲート電極によってオンにされたときにラッチしないように設計される。したがって、第1のサイリスタ構造のアノード電流および/または電圧過渡は、ゲート電流によって制御することができる。次いで、アノード-カソード電圧降下の出現は、その後のそれぞれのゲート電極によってオンにされ得る第2のサイリスタ構造に円滑に引き継がれる可能性がある。
【0008】
ここで、および以下では、要素または領域は、それらがそれぞれ同じサイリスタ構造または同じサイリスタセルに属する場合、別の要素または領域に「割り当てられる」。「それぞれ」という表現は同じ意味で使用される。
【0009】
本明細書で明記される半導体デバイスは、パワー半導体デバイスであり得る。例えば、半導体デバイスは、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:gate turn-off thyristor)またはゲート転流型サイリスタ(GCT:gate-commutated thyristor)または集積ゲート転流型サイリスタ(IGCT:integrated gate-commutated thyristor)または逆導通IGCT(RC-IGCT:reverse-conducting IGCT)または非対称IGCT(AS-IGCT:asymmetric IGCT)または逆阻止IGCT(RB-IGCT:reverse blocking IGCT)である。
【0010】
半導体本体は、連続する本体、例えば、一体に形成された半導体本体であり得る。例えば、半導体本体は、第1および第2のサイリスタ構造にわたって連続して延在する。第1および第2のサイリスタ構造は、各々半導体本体の一部分を備えるか、または割り当てられる場合がある。言い換えれば、半導体デバイスは、1つの半導体本体を有する半導体チップであるか、またはそれを備える場合があり、第1および第2のサイリスタ構造は、この半導体チップに統合される場合がある。
【0011】
半導体本体の第1および第2の側面は、本質的に互いに平行に、かつ/または半導体本体の主延長面に平行に延びることができる。
【0012】
第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造は、互いのそばに横方向に配置される。ここで、および以下では、横方向は、例えば、半導体本体の第1の側面に平行、かつ/または第2の側面に平行、かつ/または主延長面に平行な方向である。例えば、第1のサイリスタ構造は半導体本体の中心に配置され、かつ/または第2のサイリスタ構造は第1のサイリスタ構造を横方向に取り囲む。
【0013】
第1のサイリスタ構造は、ゲート電極と第1のベース領域とを備える。同様に、第2のサイリスタ構造は、ゲート電極と第1のベース領域とを備える。ここで、および以下では、サイリスタ構造のような構造が電極のような要素または領域を備えるとき、これは、例えば、要素または領域がこの構造に1対1で割り当てられることを意味する。
【0014】
サイリスタ構造の第1のベース領域は同じ導電型であり、それは(p導電性またはpドープとも呼ばれる)正孔伝導であり得る。あるいは、それは、(n導電性またはnドープとも呼ばれる)電子伝導であり得る。したがって、2つのサイリスタ構造の第1のベース領域は、両方ともpドープまたはnドープのいずれかであり得る。第1のベース領域は、それぞれ、第1の側面に隣接する場合があるか、または第1の側面の一部を形成する場合がある。2つのサイリスタ構造のゲート電極は、割り当てられた第1のベース領域に隣接する、すなわち、割り当てられた第1のベース領域と直接機械的に接触する。
【0015】
ここで、および以下で定義される半導体本体の異なる領域は、各々それらの全体積にわたって均質なドーピング濃度を有する場合がある。領域は、例えば切れ目なしに連続して形成される場合がある。「均質」とは、製造公差の限度内で均質であることを意味する。
【0016】
2つのサイリスタ構造のゲート電極は、個別かつ単独で電気的に接触可能である。例えば、それらは半導体本体の逆バイアスpn接合を介してのみ電気的に接続され、したがって実質的に絶縁される。2つのゲート電極は、半導体デバイスの動作中に異なる電位に設定される場合がある。例えば、ゲート電流は、2つのサイリスタ構造の2つのゲート電極を介して単独かつ個別に印加される場合がある。
【0017】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造は、割り当てられたゲート電極を介して印加された(合理的な)ゲート電流によってオンにされたときにラッチしないように設計される。したがって、第1のサイリスタ構造を通るアノードカソード電流は、ゲート電流によって制御することができ、例えば、アノードカソード電流の振幅は、割り当てられたゲート電極を通る印加されたゲート電流の振幅によって制御することができる。例えば、第1のサイリスタ構造は、それが自立しないように、例えば、割り当てられたゲート電極を通るゲート電流がオフになると自動的にオフになるように設計される。第2のサイリスタ構造は、オンにされるとラッチするように設計される場合がある。例えば、第2のサイリスタ構造は自立している。
【0018】
第1および第2のサイリスタ構造がラッチするか否かは、例えば、サイリスタ構造内のドーピング濃度を対応的に調整することによって設定することができる。すなわち、サイリスタ構造に割り当てられた半導体本体の1つまたは複数の領域内のドーピング濃度を適切に選択することにより、サイリスタ構造がラッチするか否かを設定することができる。
【0019】
実際、非ラッチ挙動は、いくつかの方法で、例えば半導体本体内のドーピング濃度を調整することによって実現することができる。例えば、第1のサイリスタ構造の第1のベース領域および/または第2のベース領域内のドーピング濃度は、所望の非ラッチ挙動が実現されるまで増加させることができる。追加または代替として、第1のサイリスタ構造の第1および/または第2のエミッタ領域内のドーピング濃度は、所望の非ラッチ挙動が実現されるまで減少させることができる。第2のベース領域ならびに第1および第2のエミッタ領域は、以下でさらに紹介される。
【0020】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造に割り当てられた半導体本体の少なくとも1つの領域は、第2のサイリスタ構造に割り当てられた半導体本体の対応する領域とは異なるドーピング濃度を有する。第2のサイリスタ構造の対応する領域は、サイリスタ構造内で同じ機能を有する領域である。例えば、2つの対応する領域内のドーピング濃度は、少なくとも2倍または少なくとも5倍または少なくとも10倍または少なくとも100倍または少なくとも1000倍だけ互いに異なる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の第1のベース領域は、第2のサイリスタ構造の第1のベース領域よりも高いドーピング濃度を有する。このより高いドーピング濃度に起因して、電流利得を削減することができる。
【0022】
第2のサイリスタ構造は、標準的なサイリスタ構造、例えばGTOサイリスタ構造のように設計される場合がある。より高いドープの第1のベース領域では、第1のサイリスタ構造は、例えば、合理的に制御されたゲート電極によってオンにされたときにラッチしない。
【0023】
さらなる実施形態によれば、半導体デバイスは、ダイオード構造、例えば、逆並列ダイオード構造またはフリーホイールダイオード構造を備える。ダイオード構造は、例えば、半導体本体に組み込まれる。これは、ダイオード構造が、それぞれ半導体本体の一部分を含むか、または半導体本体の一部分を割り当てられることを意味する。
【0024】
ダイオード構造は、第1のサイリスタ構造と第2のサイリスタ構造との間に横方向に配置される場合がある。あるいは、ダイオード構造は、第1および第2のサイリスタ構造によって横方向に取り囲まれる場合があるか、またはダイオード構造は、第1および第2のサイリスタ構造を横方向に取り囲む場合がある。
【0025】
ダイオード構造は、例えば半導体本体の第1の側面に第1のダイオード電極を備える場合がある。例えば、第1のダイオード電極は、サイリスタ構造のゲート電極から個別かつ単独で電気的に接触可能である。その上、ダイオード構造は、半導体本体の第2の側面に第2のダイオード電極を備える場合がある。ダイオード構造はまた、第1のダイオード領域および第2のダイオード領域を備える場合があり、2つのダイオード領域は両方とも半導体本体の領域である。第1のダイオード領域および第2のダイオード領域は、異なる導電型である。例えば、第1のダイオード領域は第2の導電型であり、第2のダイオード領域は第1の導電型であり、またはその逆である。例えば、ここで、および以下では、第1の導電型は電子伝導であり、第2の導電型は正孔伝導である。
【0026】
第1のダイオード領域は第1のダイオード電極に隣接する場合があり、かつ/または第2のダイオード領域は第2のダイオード電極に隣接する場合がある。第1および第2のダイオード領域は、互いに隣接する場合がある。第1のダイオード領域と第2のダイオード領域との間にpn接合が形成される場合がある。集積ダイオード構造では、半導体デバイスは逆導通(RC:reverse conducting)半導体デバイスである。
【0027】
第1のダイオード領域は、例えば、半導体本体の逆バイアスpn接合によってサイリスタの第1のベース領域のいずれかから分離される。
【0028】
本明細書で明記される電極の各々は金属製であってもよい。その上、第1および第2のサイリスタ構造に加えて、半導体デバイスはさらなるサイリスタ構造を備える場合がある。例えば、さらなるサイリスタ構造も、それぞれ半導体本体の一部分を含むか、または半導体本体の一部分を割り当てられる場合がある。同様に、半導体デバイスは、各々が本明細書に記載されたダイオード構造のように設計され得る1つまたは複数のさらなるダイオード構造を備える場合がある。
【0029】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の面積は、第2のサイリスタ構造の面積よりも小さい。例えば、第1のサイリスタ構造の面積は、第2のサイリスタ構造の面積の最大50%または最大30%または最大20%または最大10%である。これは、半導体デバイスの熱管理の観点から有利であり得る。
【0030】
本明細書では、構造の面積は、例えば、半導体本体の主延長面上に、または第1の側面上に、または第2の側面上に投影されたときの構造の特定の領域の面積として定義される。例えば、サイリスタ構造の面積は、投影された割り当てられた第1のベース領域、または投影されたゲート電極、または投影された活性領域の面積として定義される。同様に、ダイオード構造の面積は、投影された割り当てられた第1のダイオード領域、または投影された第1のダイオード電極、または投影された活性領域の面積として定義される場合がある。
【0031】
さらなる実施形態によれば、第2のサイリスタ構造の面積は、半導体デバイスの総面積の少なくとも60%、または少なくとも80%、または少なくとも90%である。半導体デバイスの総面積は、第1の側面および/または第2の側面の総面積であり得る。
【0032】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の第1のベース領域内のドーピング濃度は、第2のサイリスタ構造の第1のベース領域のドーピング濃度の少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも100倍、または少なくとも1000倍である。
【0033】
さらなる実施形態によれば、第2のサイリスタ構造は、複数のサイリスタセルを有するゲート転流型サイリスタ構造である。例えば、異なるサイリスタセルは、並列に接続されるか、または接続可能である。各サイリスタセルは、第2のサイリスタ構造の第1のベース領域の一部分と、第2のサイリスタ構造のゲート電極の一部分とを含む場合がある。
【0034】
さらなる実施形態によれば、第1および第2のサイリスタ構造の第1のベース領域は、第1のベース領域とは異なる、すなわち反対の導電型である半導体本体の少なくとも1つの分離領域によって互いに分離される。例えば、2つのサイリスタ構造の第1のベース領域は、2つの第1のベース領域の間に直接接触が存在しないように、少なくとも1つの分離領域によって互いにどこでも分離される。例えば、第1のベース領域はp導電性であり、その間の少なくとも1つの分離領域はn導電性である。
【0035】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の第1のベース領域は、例えば切れ目なしに連続して形成される。
【0036】
さらなる実施形態によれば、第2のサイリスタ構造の第1のベース領域は、連続して、すなわち切れ目なしに形成される。
【0037】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造は、第1の側面上の第1の主電極と、第2の側面上の第2の主電極と、第1のサイリスタ構造の第1の主電極に隣接し、電気的に接触している第1の側面の第1のエミッタ領域と、第1のサイリスタ構造の第2の主電極に隣接し、電気的に接触している第2の側面の第2のエミッタ領域と、第2のベース領域とを備える。第1の主電極はカソードであり得、第2の主電極はアノードであり得、またはその逆である。
【0038】
さらなる実施形態によれば、第2のサイリスタ構造は、第1の側面上の第1の主電極と、第2の側面上の第2の主電極と、第2のサイリスタ構造の第1の主電極に隣接し、電気的に接触している第1の側面の第1のエミッタ領域と、第2のサイリスタ構造の第2の主電極に隣接し、電気的に接触している第2の側面の第2のエミッタ領域と、第2のベース領域とを備える。ここでも、第1の主電極はカソードであり得、第2の主電極はアノードであり得、またはその逆である。
【0039】
いくつかのサイリスタセルの場合、各サイリスタセルは、第1の側面にそれ自体の第1の主電極を備え、かつ/または割り当てられた第1の主電極に隣接する第1の側面にそれ自体の第1のエミッタ領域を備える場合がある。
【0040】
さらなる実施形態によれば、サイリスタ構造の第1のエミッタ領域、サイリスタ構造の第2のエミッタ領域、およびサイリスタ構造の第2のベース領域は、各々半導体本体の領域である。
【0041】
さらなる実施形態によれば、サイリスタ構造の第1のエミッタ領域および第2のベース領域は、各々第1の導電型、例えばn導電性である。
【0042】
さらなる実施形態によれば、サイリスタ構造の第1のベース領域および第2のエミッタ領域は、各々第2の導電型、例えばp導電性である。
【0043】
さらなる実施形態によれば、垂直方向において、サイリスタ構造の第2のベース領域は、各々割り当てられた第2のエミッタ領域と割り当てられた第1のベース領域との間に配置される。垂直方向は、横方向に垂直な方向、すなわち、半導体本体の第1および/もしくは第2の側面ならびに/または主延長面に垂直な方向である。したがって、「垂直」という表現は、必ずしも重力方向に平行な方向を特徴付けるとは限らない。むしろ、それは、横方向に垂直に延びる方向を指定するために使用される。
【0044】
さらなる実施形態によれば、垂直方向において、サイリスタ構造の第1のベース領域は、各々割り当てられた第1のエミッタ領域と割り当てられた第2のベース領域との間に配置される。
【0045】
言い換えれば、第1の側面から第2の側面への方向に見たときに、各サイリスタ構造は、第1のエミッタ領域と、第1のベース領域と、第2のベース領域と、第2のエミッタ領域とをこの順序で備える。
【0046】
pn接合は、第1のエミッタ領域と第1のベース領域との間、および/または第1のベース領域と第2のベース領域との間、および/または第2のベース領域と第2のエミッタ領域との間に形成される場合がある。隣接領域は互いに隣接することができる。
【0047】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の第1のエミッタ領域は、第2のサイリスタ構造の第1のエミッタ領域よりも低いドーピング濃度を有する。例えば、第2のサイリスタ構造の第1のエミッタ領域内のドーピング濃度は、第1のサイリスタ構造の第1のエミッタ領域内のドーピング濃度の少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも100倍、または少なくとも1000倍である。
【0048】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の第2のエミッタ領域は、第2のサイリスタ構造の第2のエミッタ領域よりも低いドーピング濃度を有する。例えば、第2のサイリスタ構造の第2のエミッタ領域内のドーピング濃度は、第1のサイリスタ構造の第2のエミッタ領域内のドーピング濃度の少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも100倍、または少なくとも1000倍である。
【0049】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造の第2のベース領域は、第2のサイリスタ構造の第2のベース領域よりも高いドーピング濃度を有する。例えば、第1のサイリスタ構造の第2のベース領域内のドーピング濃度は、第2のサイリスタ構造の第2のベース領域のドーピング濃度の少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも100倍、または少なくとも1000倍である。
【0050】
また、最後の段落で明記されているように、第1のエミッタ領域および/または第2のエミッタ領域および/または第2のベース領域内のドーピング濃度が異なると、第1のサイリスタ構造は、それが合理的に制御されたゲート電極によってオンにされたときにラッチしないので、アノード-カソード電圧降下は第2のサイリスタ構造に円滑に引き継がれる可能性がある。
【0051】
さらなる実施形態によれば、第1および/または第2のサイリスタ構造の第1および/または第2のエミッタ領域は、1つまたは複数の短絡によって貫通される。短絡は、エミッタ領域を貫通し、それが貫通するエミッタ領域とは反対の導電型である半導体本体の領域である。短絡は、それぞれ、第1または第2の主電極に隣接する場合があり、第1または第2の主電極と電気的に接触する場合がある。第1のエミッタ領域を通る短絡は、割り当てられた第1のベース領域に電気的に接続される場合があり、かつ/または割り当てられた第1のベース領域と同じドーピング濃度を有する場合がある。第2のエミッタ領域を通る短絡は、割り当てられた第2のベース領域に接続される場合があり、かつ/または割り当てられた第2のベース領域と同じドーピング濃度を有する場合がある。言い換えれば、第1のエミッタ領域を通る短絡は、割り当てられた第1の主電極を割り当てられた第1のベース領域と電気的に接続することができる。第2のエミッタ領域を通る短絡は、割り当てられた第2の主電極を割り当てられた第2のベース領域と電気的に接続することができる。
【0052】
例えば、第1のサイリスタ構造の第1および/または第2のエミッタ領域内の短絡では、第1のサイリスタ構造は、それが合理的に制御されたゲート電極によってオンにされたときにラッチしないので、アノード-カソード電圧降下は第2のサイリスタ構造に円滑に引き継がれる可能性がある。
【0053】
さらなる実施形態によれば、サイリスタ構造の第2のベース領域は、第1および第2のサイリスタ構造にわたって延在する連続した第2のベース層によって形成される。例えば、第2のベース層は第1の導電型で連続している。言い換えれば、第2のベース領域は互いに接続されている。例えば、第2のベース領域は、製造公差の限度内で同じドーピング濃度を有する。この場合、第2のベース層は均質にドープされる場合がある。
【0054】
さらなる実施形態によれば、サイリスタ構造の第2のエミッタ領域は、第1および第2のサイリスタ構造にわたって延在する連続した第2のエミッタ層によって形成される。例えば、第2のエミッタ層は第2の導電型で連続している。言い換えれば、第2のエミッタ領域は互いに接続されている。例えば、第2のエミッタ領域は、製造公差の限度内で同じドーピング濃度を有する。この場合、第2のエミッタ層は均質にドープされる場合がある。
【0055】
さらなる実施形態によれば、第1および第2のサイリスタ構造の第2の主電極は、第1および第2のサイリスタ構造にわたって延在する連続した第2の主電極によって形成される。
【0056】
さらなる実施形態によれば、サイリスタ構造の第1のエミッタ領域は、製造公差の限度内で同じドーピング濃度を有する。
【0057】
さらなる実施形態によれば、第2のベース領域は、各々低ドープドリフト領域および高ドープバッファ領域を含む。これは、バッファ領域が、各第2のベース領域内のドリフト領域よりも高いドーピング濃度を有することを意味する。したがって、第2のベース層は、低ドープドリフト層および高ドープバッファ層を含む場合がある。例えば、バッファ領域またはバッファ層のドーピング濃度は、ドリフト領域またはドリフト層のドーピング濃度の少なくとも10倍、または少なくとも100倍、または少なくとも1000倍、または少なくとも10000倍である。バッファ領域/層は、ドリフト領域/層と第2のエミッタ領域/層との間に垂直に配置される場合がある。
【0058】
第1および第2のサイリスタ構造の第2のベース領域が異なるドーピング濃度を有する場合、2つのサイリスタ構造のバッファ領域は異なるドーピング濃度を有する場合があり、一方ドリフト領域は製造公差の限度内で同じドーピング濃度を有する場合がある。
【0059】
さらなる実施形態によれば、第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造は、横方向に交互に配置される。したがって、半導体本体の第1の側面および/または第2の側面および/または主延長面に平行な線は、第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造のセクションを交互に横切る。例えば、第1のサイリスタ構造は、櫛状に第2のサイリスタ構造と係合する。そのような配置は、熱管理の観点から有利であり得る。
【0060】
例えば、第1および第2のサイリスタ構造は、両方とも回転軸に対して回転対称性を有する。回転軸は垂直方向と平行に延びる場合がある。回転軸の周りの円線は、第1のサイリスタ構造および第2のサイリスタ構造のセクションを交互に横切る場合がある。
【0061】
次に、半導体デバイスのためのハウジングが明記される。ハウジングは、例えば、本明細書に記載された任意の実施形態による半導体デバイス向けに構成される。
【0062】
ハウジングの一実施形態によれば、ハウジングは、サイリスタ構造および/またはダイオード構造の第1および第2の主電極に電気的に接触するための少なくとも2つの主電極構造を備える。その上、ハウジングは、第1のサイリスタ構造のゲート電極に電気的に接触するための第1の補助電極構造、および第2のサイリスタ構造のゲート電極に電気的に接触するための別個の第2の補助電極構造の2つ以上の補助電極構造を備える。電極構造はハウジングの基体に組み込まれる場合がある。例えば、基体は、プラスチックまたはセラミックであるか、またはそれらを含む。
【0063】
次に、半導体モジュールが明記される。半導体モジュールは、本明細書に開示されたハウジング内に配置された本明細書に開示された半導体デバイスを備える場合がある。次いで、ハウジングの電極構造は、例えば、半導体デバイスの適切な電極に電気的に接続される。半導体モジュールは、例えばパワー半導体モジュールである。
【0064】
次に、半導体デバイスを動作させるための方法が明記される。方法は、例えば、本明細書に記載された任意の実施形態による半導体デバイスを動作させることに適している。その結果、半導体デバイスに関連して開示されたすべての特徴が、方法についても開示され、逆もまた同様である。
【0065】
方法の一実施形態によれば、方法は、第1のサイリスタ構造のゲート電極を介して第1のゲート電流が印加されるが、第2のサイリスタ構造のゲート電極を介して電流が印加されない第1の工程を含む。次いで、第2の工程において、第2のサイリスタ構造のゲート電極を介して第2のゲート電流が印加される。第2の工程を実行すると、第1のゲート電流は、第1のサイリスタ構造のゲート電極を介してさらに印加される場合がある。
【0066】
第1のゲート電流は、第1のサイリスタ構造のゲート電極と第1の主電極との間に印加される場合がある。第2のゲート電流は、第2のサイリスタ構造のゲート電極と第1の主電極との間に印加される場合がある。これらの工程の間、サイリスタ構造の第1の主電極と第2の主電極との間にアノード-カソード電圧が印加される場合がある。第1のゲート電流を印加することにより、第1のサイリスタ構造がオン状態に切り替わる。第2のゲート電流を印加することにより、第2のサイリスタ構造がオン状態に切り替わる。
【0067】
第1のサイリスタ構造のゲート電極を介して第1のゲート電流を最初に印加することにより、アノード電圧に対する制御は、順方向導通状態のダイオード、例えば、ターンオン事象に続いて逆回復を実行するようにパワー電子回路によって強制されるフリーホイールダイオードからの電流転流の速度を緩和するゲート電流の振幅を制御することによって保持される。したがって、この例におけるダイオードは、その電流減衰率の緩和のおかげで、安全でない逆回復状態からの保護を享受する。
【0068】
さらなる実施形態によれば、第2のゲート電流は、半導体デバイス内のアノード-カソード電圧の急減または減衰または降下の後に印加される。第1のサイリスタ構造に起因して、アノード-カソード電圧の急減または減衰または降下がそれぞれ制御される。第2の工程は、アノード-カソード電圧が例えば安全な値まで減衰した時点にのみ実行される。アノード-カソード電圧は、DCリンク電圧のおおよそ10%であり得る。
【0069】
第1および第2のサイリスタ構造のオン状態では、第1および/または第2のゲート電流をオフにすることができる。アノードとカソードとの間の電流が保持電流を上回る限り、少なくとも第2のサイリスタ構造は、最終的に第1のサイリスタ構造もオン状態のままである。
【0070】
第2のゲート電流をゼロに低減することは可能であるが、実際には行われないことが多い。比較的小さいDC「バックポーチ」電流は、通常、導通期間全体を通して保持される。この実践は、あらゆる状況下で第2のサイリスタをラッチし続けることに関係する様々な誘因を有する。
【0071】
第1のゲート電流をゼロに低減することは、通常動作において第1のサイリスタ構造をオフにする場合がある。通常動作は、第2のサイリスタ構造がオンであることを想定している。考えられるように、第1のサイリスタ構造は、ハードターンオフのための重要な能力を保持せず、そうすることを試みるとほとんど失敗する。
【0072】
さらなる実施形態によれば、方法は、第2のサイリスタ構造のゲート電極を介して、かつ/または第1のサイリスタ構造のゲート電極を介してターンオフゲート電流が印加されない第3の工程を含む。ターンオフゲート電流は、第1および第2のサイリスタ構造を介して同時に印加される場合がある。この工程では、サイリスタ構造がそれぞれのオフ状態に切り替えられる。
【0073】
以下、半導体デバイスおよび半導体デバイスを動作させるための方法が、例示的な実施形態に基づく図面を参照してより詳細に説明される。添付の図は、さらなる理解を提供するために含まれる。図では、同じ構造および/または機能の要素は、同じ参照符号によって参照される場合がある。図に示された実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。要素または構成要素が異なる図におけるそれらの機能に関して互いに対応する限り、以下の図の各々についてその説明は繰り返されない。明確にするために、要素は、すべての図において対応する参照シンボルとともに現れないかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】半導体デバイスの異なる例示的な実施形態を示す断面図である。
図2】半導体デバイスの異なる例示的な実施形態を示す断面図である。
図3図1または図2の例示的な実施形態を示す上面図である。
図4】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す断面図である。
図5】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す上面図である。
図6】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す断面図である。
図7】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す上面図である。
図8】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す異なる図である。
図9】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す異なる図である。
図10】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す異なる図である。
図11】半導体デバイスのさらなる例示的な実施形態を示す異なる図である。
図12】半導体デバイスを動作させるための方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、半導体デバイス100の第1の例示的な実施形態を断面図で示す。半導体デバイス100は、シリコンをベースとする場合がある半導体本体1を備える。半導体本体1は、第1の側面10と、第1の側面10の反対側の第2の側面20とを備える。さらに、半導体デバイス100は、互いのそばに横方向に配置されているが、横方向に互いに分離されている第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIを備える。
【0076】
第1のサイリスタ構造Iは、両方とも第1の側面10にあるゲート電極1aおよび第1の主電極2aを備える。その上、第1のサイリスタ構造Iは、第2の側面20に第2の主電極3aを備える。第1の側面10から第2の側面20への方向において、第1のサイリスタ構造Iに割り当てられた、または第1のサイリスタ構造Iに属する半導体本体1の部分は、第1のエミッタ領域12a、第1のベース領域11a、第2のベース領域14a、および第2のエミッタ領域13aを含む。第1のエミッタ領域12aおよび第2のベース領域14aは、同じ第1の導電型、例えばn導電性である。第1のベース領域11aおよび第2のエミッタ領域13aは、同じ第2の導電型、例えばp導電性である。第1のエミッタ領域12aは、第2のベース領域14aよりも高いドーピング濃度を有する場合がある。
【0077】
ゲート電極1aは、第1のエミッタ領域12aのそばの横方向の面積において、第1のベース領域11aに隣接する。第1の主電極2aは、第1のエミッタ領域12aに隣接する。第2の主電極3aは、第2のエミッタ領域13aに隣接する。第1の主電極2aはカソードであり得、第2の主電極3aはアノードであり得る。
【0078】
第2のサイリスタ構造IIは、第1のサイリスタ構造Iと同じ要素、すなわちゲート電極1b、第1の主電極2b、第2の主電極3b、第1のエミッタ領域12b、第1のベース領域11b、第2のベース領域14b、および第2のエミッタ領域13bを備える。異なる領域の順序は、第1のサイリスタ構造Iと同じである。第2のサイリスタ構造IIにおいても、ゲート電極1bは、第1のエミッタ領域12bのそばの横方向の面積において、第1のベース領域11bに隣接する。第1の主電極2bは、第1のエミッタ領域12bに隣接する。第2の主電極3bは、第2のエミッタ領域13bに隣接する。その上、第2のサイリスタ構造IIにおいても、第1のエミッタ領域12bおよび第2のベース領域14bは同じ導電型、例えばn導電性であり、一方第1のベース領域11bおよび第2のエミッタ領域13bは第2の導電型、例えばp導電性である。
【0079】
第1のサイリスタ構造Iと第2のサイリスタ構造IIとの間の違いは、それぞれの第1のベース領域11a、11b内のドーピング濃度である。両方の第1のベース領域11a、11bは同じ導電型、例えばp導電性であるが、第1のサイリスタ構造Iの第1のベース領域11a内のドーピング濃度は、第2のサイリスタ構造IIの第1のベース領域11bのドーピング濃度よりも高い。例えば、第1のサイリスタ構造Iの第1のベース領域11a内のドーピング濃度は、第2のサイリスタ構造IIの第1のベース領域11b内のドーピング濃度よりも少なくとも10倍、または少なくとも100倍高い。
【0080】
2つのサイリスタ構造I、IIの第1のベース領域11a、11bは、第2のベース領域14a、14bと同じドーピング濃度を有するnドープ分離領域14cによって横方向に互いに分離される。
【0081】
図1にさらに見られるように、2つのサイリスタ構造I、IIの第2のベース領域14a、14bは、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIにわたって連続して延在する第2のベース層14によって実現される。同様に、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIの第2のエミッタ領域13a、13bは、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIにわたって連続して延在する第2のエミッタ層13によって実現される。また、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIの第2の主電極3a、3bは、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIにわたって連続して延在する共通の第2の電極層3によって実現される。
【0082】
2つのサイリスタ構造I、IIのゲート電極1a、1bは、個別かつ単独で電気的に接触可能である。したがって、第1のサイリスタ構造Iをオンにするために、第1のサイリスタ構造Iのゲート電極1aを介して第1のゲート電流を最初に印加することができる。第1のベース層11a内のより高いドーピング濃度に起因して、このターンオンは、それぞれ、アノード電流の制御された増加またはアノード-カソード電圧の制御された減衰により、制御された方法で起こる。その後、第2のサイリスタ構造IIをオンにするために、第2のサイリスタ構造IIのゲート電極1bを介して第2のゲート電流を印加することができる。第1のサイリスタ構造Iの制御されたターンオンに起因して、スナバを使用することなく、半導体デバイス100に直列に接続されたダイオードを保護することができる。
【0083】
図2は、半導体デバイス100の第2の例示的な実施形態を断面図で示す。図1の第1の例示的な実施形態とは対照的に、第2のベース層14はここでドリフト層15およびバッファ層16を備え、バッファ層16は第2のエミッタ層13とドリフト層15との間に配置される。バッファ層16は、例えば、ドリフト層15よりも高いドーピング濃度を有する。ドリフト層15およびバッファ層16は、さらに同じ導電型、例えばn導電性である。
【0084】
バッファ層16およびドリフト層15を備える第2のベース層14では、サイリスタ構造I、IIの各々は、ドリフト領域15a、15bおよびバッファ領域16a、16bを含む。
【0085】
図2にさらに見られるように、第1のサイリスタ構造Iは、第1のベース領域11aと第2のベース領域14aとの間に第3のベース領域17aを備える。第3のベース領域17aは、第1のベース領域11aと同じ導電型であるが、より低いドーピング濃度を有する。例えば、第3のベース領域17a内のドーピング濃度は、第2のサイリスタ構造IIの第1のベース領域11b内のドーピング濃度と同じである。
【0086】
図3は、図1および図2の例示的な実施形態を半導体本体1の第1の側面10上の上面図で示す。図3の破線は、それぞれ、図1または図2の図の断面平面を示す。
【0087】
図3に見られるように、第2のサイリスタ構造IIは、第1のサイリスタ構造Iを横方向に取り囲む。第1のサイリスタ構造Iは、半導体デバイス100の中央に配置される。サイリスタ構造I、IIのゲート電極1a、1bは、各々複数の切れ目またはホールとともに連続して形成される。切れ目またはホールの内部に、第1の主電極2a、2bが位置する。
【0088】
第1のサイリスタ構造Iの面積は第2のサイリスタ構造IIの面積よりも小さいことが、図3から明らかである。例えば、第2のサイリスタ構造の面積は、半導体デバイス100の総面積の少なくとも60%である。
【0089】
図4は、半導体デバイス100のさらなる例示的な実施形態を断面図で示す。ここで、逆並列ダイオード構造IIIは、第1のサイリスタ構造Iと第2のサイリスタ構造IIとの間に横方向に配置される。逆並列ダイオード構造IIIは、第1の側面10上の第1の主電極1cと、第2の側面20上の第2の主電極3cとを備える。その上、逆並列ダイオード構造IIIは、第1のダイオード領域18cおよび第2のダイオード領域13c、15c、16cを備える。第1のダイオード領域18cは、第1のベース領域11a、11bと同じ導電型であり得る。例えば、第1のダイオード領域18cは、第2のサイリスタ構造IIの第1のベース領域11bと同じドーピング濃度を有する。第2のダイオード領域13c、15c、16cは、第1のダイオード領域18cと反対の導電型である。例えば、第2のダイオード領域13c、15c、16cは、ドリフト領域15cと、バッファ領域16cと、コンタクト領域13cとを含む。コンタクト領域13cは、最も高いドーピング濃度を含む場合がある。ドリフト領域15cのドーピング濃度は、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIのドリフト領域15a、15bのドーピング濃度と同じであり得、バッファ領域16cのドーピング濃度は、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIのバッファ領域16a、16bのドーピング濃度と同じであり得る。
【0090】
第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIと同じ半導体本体1で形成された逆並列ダイオード構造IIIでは、図4の半導体デバイス100は、逆導通(RC:reverse conducting)半導体デバイス100を構成する。
【0091】
図5は、図4の半導体デバイスを半導体本体1の第1の側面10上への上面図で示す。
図6は、半導体デバイス100のさらなる例示的な実施形態を断面図で示す。図4および図5の例示的な実施形態との違いは、第2のサイリスタ構造IIがここでは複数のサイリスタセルを有する転流型ゲートトランジスタ構造として実現されることである。各サイリスタセルには、それ自体の第1のエミッタ領域12bおよびそれ自体の第1の主電極2bが割り当てられる。図の半導体デバイス100は、例えば、RC-IGCTである。
【0092】
図7は、図6の半導体デバイス100を半導体本体1の第1の側面10上への上面図で示す。
【0093】
図8は、半導体デバイス100のさらなる例示的な実施形態を第1の側面10上への上面図で示す。前の例示的な実施形態とは対照的に、逆並列ダイオード構造IIIは、ここでは半導体デバイス100の中心に配置され、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIによって横方向に取り囲まれる。2つのサイリスタ構造I、IIまたはそれらの第1のベース領域11a、11bは、それぞれ、分離領域14cによって互いに分離される。
【0094】
図9は、半導体デバイス100のさらなる例示的な実施形態を断面図で示す。ここで、第1のベース領域11a、11bは、同じドーピング濃度を有する場合がある。第2のサイリスタ構造IIの第1のエミッタ領域12bは、第1のサイリスタ構造Iの第1のエミッタ領域12aよりも高いドーピング濃度を有する。第2のサイリスタ構造IIの第2のエミッタ領域13bは、第1のサイリスタ構造Iの第2のエミッタ領域13aよりも高いドーピング濃度を有する。第1のサイリスタ構造Iのバッファ領域16aは、第2のサイリスタ構造IIのバッファ領域16bよりも高いドーピング濃度を有する。ドーピング濃度のこれらの違いの各々により、図1に関して記載されたのと同様の効果、すなわち、第1のサイリスタ構造Iを制御された方法でオンにすることができ、次いで、アノード-カソード電圧の関連する制御された減衰が第2のサイリスタ構造IIに円滑に引き継がれる可能性があるという効果を実現することができる。
【0095】
特に、上述された効果を実現するためには、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIの1つの領域、例えば第1のベース領域11a、11bのみ、または第2のベース領域14a、14bのみ、または第1のエミッタ領域12a、12のみ、または第2のエミッタ領域13a、13bのみにおいて、ドーピング濃度の違いを有することで十分である。しかしながら、3つの領域(第2のベース領域、第1のエミッタ領域、および第2のエミッタ領域)が異なるようにドープされた図9の例示的な実施形態のような、異なるようにドープされた領域の任意の組合せが可能であり、例えば、4つの領域すべてが異なるようにドープされることが可能である。
【0096】
図10は、半導体デバイス100のさらなる例示的な実施形態を第1の側面10上への上面図で示す。第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIは、横方向に沿って交互に配置される。第1のサイリスタ構造Iは、半導体デバイス100の中心の周りの円線が第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIの断面を交互に横切るように、櫛状に第2のサイリスタ構造IIと係合する。図10の配置は、熱管理の観点から有益である。
【0097】
図11は、半導体デバイス100のさらなる例示的な実施形態を断面図で示す。前の例示的な実施形態との違いは、第1のサイリスタ構造Iの第1のエミッタ領域12aを通る、エミッタ短絡とも呼ばれる短絡19aである。短絡19aは、第1の主電極2aを第1のベース領域11aと電気的に接続する。短絡19aは、半導体本体1の領域であり、例えば、第1のベース領域11aと同じドーピング濃度および同じ導電型を有するので、第1のエミッタ領域12aとは反対の導電型である。この短絡19aでは、第1のサイリスタ構造Iはオンにされてもラッチしない。
【0098】
図11では、第1のサイリスタ構造Iおよび第2のサイリスタ構造IIのすべての対応する領域のドーピング濃度は同じである。これは一例にすぎず、代わりに、例えば図1および/または図9のように、ドーピング濃度は異なって選択される場合がある。
【0099】
図12は、前の図のいずれかの半導体デバイスを動作させるための方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。工程S1において、第1のサイリスタ構造Iのゲート電極1aを介して第1のゲート電流が印加され、第2のサイリスタ構造IIのゲート電極1bを介してゲート電流が印加されない。
【0100】
次いで、工程S2において、第2のサイリスタ構造IIのゲート電極1bを介して第2のゲート電流が印加される。この第2の工程S2は、アノードとカソードとの間の電圧減衰が現れた後にのみ実行される場合がある。ここで、半導体デバイス100がオンにされる。
【0101】
次いで、その後、工程S3において、第2のサイリスタ構造IIのゲート電極1bを介してターンオフゲート電流が印加される。ここで、半導体デバイス100がオフにされる。
【0102】
上述された図1図12に示された実施形態は、半導体デバイスおよび半導体デバイスを動作させるための方法の例示的な実施形態を表す。したがって、それらは、半導体デバイスおよび半導体デバイスを動作させるための方法によるすべての実施形態の完全なリストを構成するものではない。実際の半導体デバイスおよび方法は、例えば、配置、デバイス、および要素に関して示された実施形態とは異なる場合がある。
【符号の説明】
【0103】
参照符号
1 半導体本体
1a,1b ゲート電極
1c 第1の主電極
2a,2b 第1の主電極
3a,3b,3c 第2の主電極
10 第1の側面
11a,11b 第1のベース領域
12a,12b 第1のエミッタ領域
13a,13b 第2のエミッタ領域
14a,14b 第2のベース領域
14c 分離領域
14 第2のベース層
15a,15b,15c ドリフト領域
15 ドリフト層
16a,16b,16c バッファ領域
16 バッファ層
17a 第3のベース領域
18c 第1のダイオード領域
19a 短絡
20 第2の側面
100 半導体デバイス
I 第1のサイリスタ構造
II 第2のサイリスタ構造
III ダイオード構造
S1,S2,S3 方法工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-第1の側面(10)、および前記第1の側面(10)の反対側の第2の側面(20)を有する半導体本体(1)と、
-第1のサイリスタ構造(I)、および前記第1のサイリスタ構造(I)のそばの横方向にある第2のサイリスタ構造(II)と
を備える、半導体デバイス(100)であって、
-前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)の各々が、前記第1の側面(10)にある第1のベース領域(11a、11b)と、前記割り当てられた第1のベース領域(11a、11b)と隣接し、電気的に接触している前記第1の側面(10)上のゲート電極(1a、1b)とを備え、
-前記第1のベース領域(11a、11b)が同じ導電型であり、各々が前記半導体本体(1)の領域であり、
-前記ゲート電極(1a、1b)が、個別かつ単独で電気的に接触可能であり、
-前記第1のサイリスタ構造(I)内のドーピング濃度が、前記割り当てられたゲート電極(1a)を介して印加されたゲート電流によってオンにされたときに前記第1のサイリスタ構造(I)がラッチしないように調整され
-前記第1のサイリスタ構造(I)に割り当てられた前記半導体本体(10)の少なくとも1つの領域が、前記第2のサイリスタ構造(II)に割り当てられた前記半導体本体(10)の対応する領域とは異なるドーピング濃度を有する、
半導体デバイス(100)。
【請求項2】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のベース領域(11a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第1のベース領域(11b)よりも高いドーピング濃度を有する、
請求項に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項3】
-前記半導体デバイス(100)が、前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)のそばに横方向に配置されたダイオード構造(III)を備える、
請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項4】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の面積が、前記第2のサイリスタ構造(II)の面積よりも小さい、
請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項5】
-前記第2のサイリスタ構造(II)が、複数のサイリスタセルを有するゲート転流型サイリスタ構造である、
請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項6】
-前記第1のベース領域(11a、11b)が、前記半導体本体(1)の少なくとも1つの分離領域(14c)が前記第1のベース領域(11a、11b)とは異なる導電型であることによって互いに分離され、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のベース領域(11a)が連続して形成され、
-前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第1のベース領域(11b)が連続して形成される、
請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項7】
-前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)の各々が、前記第1の側面(10)上の第1の主電極(2a、2b)と、前記第2の側面(20)上の第2の主電極(3a、3b)と、前記割り当てられた第1の主電極(2a、2b)と隣接し電気的に接触している前記第1の側面(10)にある第1のエミッタ領域(12a、12b)と、前記割り当てられた第2の主電極(3a、3b)に隣接し電気的に接触している前記第2の側面(20)にある第2のエミッタ領域(13a、13b)と、第2のベース領域(14a、14b)とを備え、
-前記第1のエミッタ領域(12a、12b)、前記第2のエミッタ領域(13a、13b)、および前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々前記半導体本体(1)の領域であり、
-前記第1のエミッタ領域(12a、12b)および前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々第1の導電型であり、
-前記第1のベース領域(11a、11b)および前記第2のエミッタ領域(13a、13b)が、各々第2の導電型であり、
-垂直方向において、前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々前記割り当てられた第2のエミッタ領域(13a、13b)と前記割り当てられた第1のベース領域(11a、11b)との間に配置され、
-垂直方向において、前記第1のベース領域(11a、11b)が、各々前記割り当てられた第1のエミッタ領域(12a、12b)と前記割り当てられた第2のベース領域(14a、14b)との間に配置される、
請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項8】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のエミッタ領域(12a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第1のエミッタ領域(12b)よりも低いドーピング濃度を有し、かつ/または、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第2のエミッタ領域(13a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第2のエミッタ領域(13b)よりも低いドーピング濃度を有し、かつ/または、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第2のベース領域(14a)が、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記第2のベース領域(14b)よりも高いドーピング濃度を有する、
請求項に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項9】
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1のエミッタ領域(12a)が、前記第1のエミッタ領域(12a)とは反対の導電型であり、前記第1のベース領域(11a)を前記第1のサイリスタ構造(I)の前記第1の主電極(2a)と電気的に接続する1つまたは複数の短絡(19a)によって貫通される、
請求項に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項10】
-前記第2のベース領域(14a、14b)が、各々ドリフト領域(15a、15b)と、バッファ領域(16a、16b)とを備え、前記バッファ領域(16a、16b)が前記ドリフト領域(15a、15b)よりも高いドーピング濃度を有し、
-前記バッファ領域(16a、16b)が、前記割り当てられたドリフト領域(15a、15b)を前記割り当てられた第2のエミッタ領域(13a、13b)から分離する、
請求項に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項11】
-横方向において、前記第1のサイリスタ構造(I)および前記第2のサイリスタ構造(II)が、交互に配置される
請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)。
【請求項12】
-前記第2のサイリスタ構造(II)の前記ゲート電極(1b)を介して電流が印加されない間に、前記第1のサイリスタ構造(I)の前記ゲート電極(1a)を介して第1のゲート電流を印加することと、
-次いで、前記第2のサイリスタ構造(II)の前記ゲート電極(1b)を介して第2のゲート電流を印加することと
を含む、請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)を動作させるための方法。
【請求項13】
-前記第2のゲート電流が、前記半導体デバイス(100)内のアノード-カソード電圧の減衰後に印加される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
-請求項1または2に記載の半導体デバイス(100)と、
-前記半導体デバイス(100)の前記サイリスタ構造(I、II)の前記第1および前記第2の主電極(2a、2b、3)に電気的に接触するための2つの主電極構造、
-前記第1のサイリスタ構造(I)の前記ゲート電極(1a)に電気的に接触するための第1の補助電極構造、ならびに
-前記第2のサイリスタ構造(II)の前記ゲート電極(1b)に電気的に接触するための第2の別個の補助電極構造
-を有する、前記半導体デバイス(100)のためのハウジングと
を備える、半導体モジュール。
【国際調査報告】