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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】放射線医薬的治療方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/244 20190101AFI20241031BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20241031BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20241031BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K33/244
A61P13/08
A61P35/00
A61P43/00 125
A61K51/04 100
A61K47/54
A61K47/65
A61K45/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532255
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022080572
(87)【国際公開番号】W WO2023097329
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,999
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524202270
【氏名又は名称】ポイント・バイオファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POINT BIOPHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】フレッシュナー,ニール
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】マッキャン,ジョー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076CC17
4C076CC27
4C076CC37
4C076DD60
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA12
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC711
4C086AA01
4C086HA05
4C086HA28
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC71
(57)【要約】
一態様では、177Lu-PSMA I&Tを含む治療的使用、治療の方法及びキットが、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤の投与後に前立腺がんの進行を示す対象のために提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺がんに罹患している対象を治療するための方法であって、
a)i)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の間又は後に前立腺がんの進行を示し、ii)前記1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の前に化学療法を受けたことがない対象を特定することと、
b)前記特定された対象に、4~10Gbqの線量を提供する量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を投与することであって、前記対象は、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を、4週間又はそれより長い投与間間隔で少なくとも4回投与される、投与することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤が、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、アビタテロン(abitaterone)、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シメチジン、オルテロネル、ガレテロン、セビテロネル、トピルタミド、ビカルタミド、フルアミド(fluamide)、及び/又はニルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が、アビタテロン(abitaterone)、エンザルタミド、アパルタミド、及び/又はダロルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、アビタテロン(abitaterone)、アパルタミド、及び/又はダロルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の少なくとも1ヶ月後にがんの進行を示している、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療が、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドを投与する前に対象に施される唯一の化学療法である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、タキサン化学療法を受けたことがない及び/又はタキサン化学療法が有害である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記特定された対象が、健康な対象と比較して上昇したPSMA発現を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、前記がんのPSMA発現を画像化することによって特定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記特定された対象が、疾患の1つの部位において15以上のPSMA発現標準取込値(SUV)maxを示し、及び/又は全ての測定可能な疾患部位において10より大きいSUVmaxを示す、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記特定された対象が、10より大きい少なくとも1つの陽性病変SUVmaxを示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記特定された対象が、上昇したPSAレベルを示す、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤を用いた治療の間のがんの進行の放射線学的評価に基づいて特定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、上昇したPSAレベルに基づいて特定される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤の投与が、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体を投与する前に終了される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、PSMAを発現するがんに罹患している、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、前立腺がんに罹患している、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に罹患している、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)高集積病変を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に罹患している、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体が、1つ以上の別個の化学療法剤と組み合わせて投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体が、以下の構造:
【化1】
を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象がヒトである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前立腺がんに罹患している対象を治療するための、177Lu-PSMA I&Tの使用であって、a)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤での処置の間に前立腺がんの進行を示す対象を特定することと、b)特定された対象に有効量の177Lu-PSMA I&Tを投与することと、を含む、使用。
【請求項25】
がんに罹患している対象を治療するための、177Lu-PSMA I&Tの使用であって、a)治療有効量の1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤を前記対象に投与することと、b)前記1つ以上のアンドロゲン受容(reception)阻害剤を投与した後にがんの進行を示すものとして前記対象を特定することと、その後、c)特定された対象に有効量の177Lu-PSMA I&Tを投与することと、を含む、使用。
【請求項26】
キットであって、
対象への静脈内投与に適した、4~10Gbqの線量を提供するのに十分な量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤の医薬調製物と、
アンドロゲン受容体(AR)経路阻害で以前に治療されたことがあるが、タキサン化学療法を受けたことがないか、又はタキサン化学療法が有害である、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を示す対象の治療における前記放射性リガンド剤の使用のための指示を含む添付文書と、を備える、キット。
【請求項27】
前記添付文書の前記指示が、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド療法を少なくとも4回、かつ4週間又はそれより長い投与間間隔で患者/患畜に投与するためのガイダンスを含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記添付文書が、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドの有効期間が、前記キットにおける使用のための前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドの前記医薬調製物の合成及び製剤化の終了から120時間であるという表示を更に含む、請求項26又は27に記載のキット。
【請求項29】
前記添付文書が、PSMA標的化画像化剤を使用して患者/患畜を選択するための指示を更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記添付文書が、患者/患畜が経口水分摂取量を確実に増加するようにし、膀胱放射線照射を低減するために可能な限り頻繁に排尿するように患者/患畜に助言するための指示を更に含む、請求項26~29のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤が、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である、請求項26~30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
ルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体が、有効期間内に6.8GBq+/-10%を提供するのに十分な単回投与形態で提供される、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記添付文書が、各投与の間に8週間の間隔を空けて、前記ルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体を患者/患畜に最大4回投与するための説明書を更に含む、請求項31又は32に記載のキット。
【請求項34】
前記医薬調製物が、55~75mg/mLの濃度のアスコルビン酸ナトリウム及び16~36mg/mLの濃度のゲンチジン酸ナトリウムを含み、5.0~7.0の範囲のpHを有する、請求項31~33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
前記医薬調製物が、前記医薬調製物の合成及び製剤化の終了時に、0.5~1.2GBq/mL、より好ましくは0.79~0.86GBq/mL±10%の放射能濃度(RAC)を有する、請求項31~34のいずれか一項に記載のキット。
【請求項36】
前記医薬調製物が、250μg以下の総ペプチド含有量(EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAとルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体の合計)、好ましくは180~250μgの範囲の総ペプチド含有量を有する、請求項31~35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
前記医薬調製物が、単回投薬バイアル中に提供され、前記キットが、手持ち式の注入投与のためのシリンジシールドを有する使い捨てシリンジを任意選択で更に備える、請求項26~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
前記医薬調製物が、手持ち式の注入投与のためのシリンジシールドを有する使い捨てシリンジ中に提供される、請求項26~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
前記キットが、前記医薬調製物が、その中で、パッケージ化されたキットに入れて輸送される放射線遮蔽された金属塊容器を含む、請求項26~38のいずれか一項に記載のキット。
【請求項40】
前記添付文書が、以下の基準:
a)最下点を25%超及び2ng/mL超上回るPSAの増加として定義される血清/血漿PSA進行、
b)CSPC又はCRPC状況のいずれかにおける1回のARATによる以前の治療での進行、
c)PSMA-PETスキャン(すなわち、68Ga-PSMA-11又は18F-DCFPyL)陽性、
d)去勢循環テストステロンレベル(<1.7nmol/L又は<50ng/dL)、並びに/又は
e)十分な骨髄、腎臓、及び肝臓臓器機能
のうちの1つ以上に基づいて、患者/患畜が、同意の時点で進行性mCRPCを有さなければならないことを含む、患者/患畜の適格性についての指示を更に含む、請求項26~39のいずれか一項に記載のキット。
【請求項41】
前記添付文書が、前記基準a)、b)、c)、d)、及びe)のそれぞれに基づいて、患者/患畜が同意の時点で進行性mCRPCを有さなければならないという患者/患畜適格性についての指示を含む、請求項40に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月29日に出願された米国仮出願第63/283,999号の利益を主張する。米国仮出願第63/283,999号の全内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
一態様では、177Lu-PSMA I&Tを含む治療的使用及び治療の方法が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤の投与後に前立腺がんの進行を示す対象のために提供される。
【背景技術】
【0003】
放射性医薬品は、様々な治療及び診断適応に使用されてきた。とりわけ、放射性標識分子は、様々な悪性腫瘍を治療するのに有用である。
【0004】
ある種のアンドロゲン受容体阻害剤は、前立腺がんの治療のために利用されてきた。しかしながら、これらの薬剤は、常に有効であるわけではない。例えば、Watson et al.,Nature Reviews Cancer,volume 15,pages 701-711(2015)を参照されたい。
【0005】
したがって、新しい抗がん療法を有することが望ましいであろう。アンドロゲン受容体阻害剤で効果的に治療されない腫瘍に対して利用される新しい療法を有することが特に望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、ここで、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体(177Lu-PSMA I&T)の新しい治療用途を提供する。
【0007】
特定の態様では、がんに罹患している対象を治療するための方法であって、a)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療中にがんの進行を示す対象を特定することと、b)特定された対象に、有効量のルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体を投与することと、を含む、方法が提供される。
【0008】
がんに罹患している対象を治療するための方法であって、a)治療有効量の1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤を対象に投与することと、b)1つ以上のアンドロゲン受容阻害剤を投与した後にがんの進行を示すものとして対象を特定することと、その後、c)特定された対象に有効量のルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体を患者/患畜に投与することと、を含む、方法も提供される。
【0009】
更なる態様では、前立腺がんに罹患している対象を治療するための方法であって、a)i)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の間又は後に前立腺がんの進行を示し、ii)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の前に化学療法を受けたことがない対象を特定することと、b)特定された対象に、4~10Gbqの線量を提供する量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を投与することであって、対象は、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を、4週間又はそれより長い投与間間隔で少なくとも4回投与される、投与することと、を含む、方法が提供される。好ましい態様では、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤は、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体、特に177Lu-PSMA I&Tである。
【0010】
上記方法の一態様では、対象は、アビタテロン(abitaterone)、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シメチジン、オルテロネル、ガレテロン、セビテロネル、トピルタミド、ビカルタミド、フルアミド(fluamide)及び/又はニルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している。
【0011】
更なる態様では、対象は、アビタテロン(abitaterone)、エンザルタミド、アパルタミド及び/又はダロルタミドによる治療の間にがんの進行を示している。
【0012】
ある特定の態様では、対象は、任意のアンドロゲン受容体阻害剤の投与前に化学療法を受けたことがなく、アンドロゲン受容体阻害剤療法以外に、対象は、177Lu-PSMA I&Tの投与前に化学療法を受けたことがない、すなわち、対象は、対象のがんの治療のためにいかなる他の化学療法(例えば、ドセタキセルベースの化学療法又は他の放射性医薬品療法)を受けたことがない。
【0013】
対象は、種々の時間及び種々の条件下で、このような薬剤で処置されてもよい。したがって、ある特定の態様では、対象は、最長1、2、3若しくは4週間、又は最長2、3、4、5、6ヶ月若しくはそれを超えるなどのより長い期間、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療後にがんの進行が示されてもよい。
【0014】
ある特定の態様では、対象は、健康な対象と比較して高い又は上昇した前立腺特異的膜抗原(PSMA)発現について評価され、高い又は上昇した前立腺特異的膜抗原(PSMA)発現を示すと同定されてもよく、上昇したPSMA活性を有する特定された対象に、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体が投与される。
【0015】
ある特定の態様では、本方法及び使用は、PSMA発現の評価を含む、対象のがんの画像診断又はその他の評価を含む。その評価は、好適には、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤を投与する前に、及び/又はルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体(177Lu-PSMA I&T)を投与する前に行われ得る。がんの評価は、好ましくは、画像診断、例えば、SPECT若しくはPET画像診断、又は免疫組織化学/IHC若しくは蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)画像診断を含む。がん分析を容易にするために、18F若しくは68Ga剤(以下の実施例2に開示される薬剤など)、又は64Cu剤などの画像化剤(imaging agent)を対象に投与することができる。
【0016】
一態様では、対象が1)疾患の1つの部位において15以上の(SUV)max及び/又は2)全ての測定可能な疾患部位において10より大きいSUVmaxのPSMA発現標準取込値を示す場合に、対象は治療のために特定される。
【0017】
別の態様では、対象が、10より大きい少なくとも1つの陽性病変SUVmaxを示す場合に、対象は治療のために特定される。
【0018】
更なる態様では、対象が上昇した前立腺特異抗原(PSA)レベル、例えば、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL若しくは6ng/mL又はそれより高いPSAレベルを有する場合に、対象は処置のために特定される。
【0019】
ある特定の実施形態では、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤の投与は、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体を投与する前に終了される。
【0020】
ある特定の態様では、対象は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現するがんに罹患している。ある特定の態様では、対象は前立腺がんを有する。特定の態様では、対象は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に罹患している。更なる態様では、対象は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)高集積(avid)病変を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に罹患している。
【0021】
ある特定の態様では、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体(177Lu-PSMA I&T)は、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内及び/又は静脈内など、非経口的に投与される。ある特定の方法において、177Lu-PSMA I&Tは、約1GBq~約15GBq、又は約2GBq~約14GBq、又は約3若しくは4GBq~約10若しくは12GBq、又は約5若しくは6GBq~約7、8若しくは9GBqの投与量(単回投与量又は1日量)で投与される。投与当たり6.8GBq+/-10%の投与量が、様々な治療に対して特に好ましいことがあり得る。177Lu-PSMA I&Tは、1週間に複数回、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12週間又は12週間超に1回を含む様々なスケジュール下で適切に投与されてもよい。いくつかの態様において、予定された177Lu-PSMA I&T投与は、最長2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、24、26、28又は30ヶ月間継続してもよい。
【0022】
177Lu-PSMA I&Tは、ルテチウム(177Lu)とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である。本明細書における「錯体」という用語は、結合又は会合したルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA(177Lu-PSMA I&Tと表記される)と共に存在してもよい化学的及び物理的変形物(variations)を含む、177LuとリガンドEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの結合体(union)を全般的に指す。また、177Lu-PSMA I&T及び177Lu-PNT2002は、本明細書において互換的に使用され、同じ意味を有する。
【0023】
177Lu-PSMA I&Tは、化合物のテトラアザシクロテトラデカン部分のN環置換基である炭素のR及びS異性体を含む、いくつかの可能な立体異性体を有する。更なる限定なしでの、本明細書におけるEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA及び177Lu-PSMA I&Tへの言及は、これらの化合物の各々の全ての可能な立体異性体、特に上記のR及びS異性体の両方を含む。
【0024】
ある特定の態様では、177Lu-PSMA I&Tのラセミ混合物が、本発明の医薬組成物及び方法において利用される。
【0025】
他の好ましい態様では、177Lu-PSMA I&T及びEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの光学的に濃縮された混合物が、本発明の方法及び医薬組成物において使用される。
【0026】
ある特定の好ましい態様では、本発明の医薬組成物及び方法における使用のためを含む、177Lu-PSMA I&TのR異性体が提供される。そのR異性体は、以下の構造2A:によって表され得る。
【化1】
【0027】
一態様では、本発明の方法及び医薬組成物における使用のために、構造2AのR異性体が実質的に光学的に濃縮された177Lu-PSMA I&T、又は構造2AのR異性体の鏡像異性的に純粋な混合物が一般に好ましい。
【0028】
別の態様において、177Lu-PSMA I&TのS異性体が、本発明の医薬組成物及び方法において使用される。そのS異性体は、以下の構造2Bによって表され得る。
【化2】
【0029】
一態様では、本発明の方法及び医薬組成物における使用のために、構造2BのS異性体が実質的に光学的に濃縮された177Lu-PSMA I&T、又は構造2BのS異性体の鏡像異性的に純粋な混合物が一般に好ましい。
【0030】
本方法における使用のための177Lu-PSMA I&Tは、好ましくは、95、96、97、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8又は99.9パーセントを超える放射化学的純度及び/又は1つ以上の事前の不純物の実質的な非存在を含む、高い化学的又は放射化学的純度を有する。
【0031】
更なる態様において、治療キットが提供される。好ましい態様において、キットは、a)患者/患畜への静脈内投与に適し、4~10Gbqの線量を提供するのに十分な量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤の医薬調製物と、b)アンドロゲン受容体(AR)経路阻害で以前に治療されたことがあるが、その患者/患畜はタキサン化学療法を受けたことがないか、又はタキサン化学療法が有害である(すなわち、化学療法治療選択肢に適格性がないか、又は化学療法治療選択肢を嫌悪している)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を示す対象の治療における当該放射性リガンド剤の使用のための指示を含む添付文書と、を備えてもよい。
【0032】
前立腺がんを含むがんに罹患している対象(ヒトなど)を治療するためのルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤の使用であって、a)対象は、i)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療中又は治療後に前立腺がんの進行を示し、及びii)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療前に化学療法を受けたことがないと特定され、b)4~10Gbqの線量を提供する量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤が投与され、対象は、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を、4週間又はそれより長い投与間間隔で少なくとも4回投与される、使用も提供される。好ましい態様では、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤は、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である。
【0033】
本発明の他の態様は、以下に開示されている。
【0034】
定義
本明細書で使用される場合、本発明の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」、「an」、「the」という用語及び同様の用語は、本明細書に別段の定めがない限り、又は文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0035】
「及び/又は」というは、本明細書では、項目の組合せを記述する表現「及び」、及び選択肢形態で項目を記述する「又は」を表すための簡便な表記法として使用される。
【0036】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造はまた、その構造の全ての立体化学形態、すなわち、各不斉中心に対するR及びS立体配置を含むものとする。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体並びにエナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。
【0037】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の値についての許容可能な誤差の許容範囲を意味し、これは、1つには、その値がどのように測定又は決定されるかに依存する。ある特定の実施形態では、本明細書で使用される「約」は、特定の用語の最大プラス又はマイナス20%を意味することが当業者によって理解されるであろう。更なる実施形態において、本明細書で使用される「約」は、特定の用語の最大プラス又はマイナス10%を意味することが当業者によって理解されるであろう。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「光学的に濃縮された」又は「光学的過剰」という用語は、分子中の1つ以上の非ラセミ立体異性中心の存在を示し、少なくとも1つの立体異性中心の立体配置は、1つの立体異性配置(R又はS)が優位である。例えば、分子中の1つの立体異性中心、典型的には炭素原子は、(化合物の総重量に基づいて)50又は55重量%超の、(R)立体配置で空間的に配置されたその結合原子を有してもよい。あるいは、(化合物の総重量に基づいて)50重量%超が、(S)立体配置で空間的に配置されてもよい。より好ましくは、分子又はその立体異性中心は、実質的に光学的に濃縮されており、更により好ましくは、実質的に鏡像異性的に純粋である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「実質的に光学的に濃縮された」又は「実質的な光学的過剰」という用語は、立体異性体又は立体異性中心に言及する場合、少なくとも(化合物の総重量に基づいて)約60重量%、好ましくは(化合物の総重量に基づいて)約70重量%、より好ましくは(化合物の総重量に基づいて)約80重量%、更により好ましくは(化合物の総重量に基づいて)約90重量%の1つの立体異性体又は1つの立体異性中心立体配置が混合物中で優位であり、(化合物の総重量に基づいて)少なくとも約95重量%の1つの立体異性体又は1つの立体異性中心立体配置が更により好ましいことを示す。いくつかの好ましい実施形態において、化合物は、「実質的に鏡像異性的に純粋」である、すなわち、(化合物の総重量に基づいて)少なくとも約97.5重量%、より好ましくは(化合物の総重量に基づいて)約99重量%、更により好ましくは(化合物の総重量に基づいて)約99.5重量%の1つの立体異性体の立体配置が優位である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋」という用語は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)、及び質量分析(MS)などの標準的な分析方法によって決定された場合に、容易に検出可能な不純物を含まないように見えるのに十分に均質であること、又は更なる精製が、物質の物理的及び化学的特性、若しくは生物学的及び薬理学的特性、例えば酵素的及び生物学的活性を検出可能に変化させないように、十分に純粋であることを意味する。ある特定の実施形態では、「実質的に純粋」は、分子の少なくとも約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%又はそれより多くが、標準的な分析方法によって決定された場合に、ラセミ混合物又はその単一の立体異性体を含む単一の化合物である、分子の集合を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、疾患、障害若しくは状態、又は疾患、障害若しくは状態に関連する1つ以上の症状の根絶又は改善を指す。ある特定の実施形態では、この用語は、疾患、障害、又は状態を有する患者/患畜への本発明の製剤の投与から生じる、このような疾患、障害、又は状態の進行又は悪化を最小限に抑えることを指す。いくつかの実施形態では、これらの用語は、特定の疾患、障害、又は状態の症状の発症後における、本明細書で提供される製剤の投与を指す。「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、本明細書で使用される場合、対象例えば、哺乳動物における疾患、障害、又は状態の治療を包含し、(i)疾患、障害、又は状態を抑制することすなわち、その進行を部分的又は完全に停止させること;(ii)疾患、障害又は状態を緩和すること、すなわち、疾患、障害若しくは状態の症状の後退を引き起こすこと、又は、疾患、障害若しくは状態の症状を改善すること;及び(iii)疾患、障害又は状態の反転又は後退、好ましくは疾患、障害又は状態の排除又は治癒のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、哺乳動物例えば、霊長類例えば、ヒトにおける疾患、障害、又は状態の治療を包含し、上記の(i)、(ii)、及び(iii)のうちの少なくとも1つを含む。当該分野で知られているように、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与の時間、薬物相互作用及び状態の重篤度に関する調節が必要であり得、本明細書中に記載される本発明に基づいて当業者による日常的な実験で確認可能である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者/患畜」という用語は、互換的に使用される。「対象」及び「患者/患畜」という用語は、非霊長類例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、及びマウス)及び霊長類(例えば、サル、チンパンジー、及びヒト)を含む哺乳動物などの動物を指す。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】安全性解析対象集団の患者背景及びベースライン特性(n=27)。
図2】安全性解析対象集団の治療曝露(n=27)。
図3】放射線学的無増悪生存についてのカプラン・マイヤー曲線。登録の日からデータカットオフより前の最後の利用可能な画像診断(従来型)の日までの、月で表した時間として、登録した全ての参加者についてrPFS経過観察を計算した。
図4】完全寛解参加者のビネット。
図5】治療下で発現した有害事象(TEAE)、全グレードの総発生頻度。
図6A】投与技術。(6A)重力法
図6B】投与技術。(6B)バイアルを用いるポンプ法。
図6C】投与技術。(6C)シリンジによるポンプ法。
【発明を実施するための形態】
【0044】
1つの好ましい態様において、本発明者らはここで、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を含む前立腺がんに罹患している患者/患畜の治療のための方法を提供する。
【0045】
より具体的には、mCRPCなどの前立腺がんを有する患者は、177Lu-PSMA I&Tによる治療のための患者/患畜を特定及び選択するために、PET又はその他の画像診断などの、前立腺特異的膜抗原(PSMA)をベースとする分析を受けてもよい。次いで、177Lu-PSMA I&Tは、アンドロゲン受容体軸標的化療法(androgen receptor-axis-targeted therapy、ARAT)後を含む、選択された患者/患畜に投与されてもよい。
【0046】
一態様では、患者/患畜における高いPSMA集積(avidity)又は発現は、以下の1)又は2)によって評価されてもよい。
1)測定可能な疾患を有する患者/患畜の場合(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)1.1基準を使用):
i)疾患の1つの部位において15以上の閾値標準取込値(SUV)max、及び
ii)全ての測定可能な疾患部位において10を超えるSUVmax。
2)測定可能な疾患を有さない患者/患畜の場合、10を超える少なくとも1つの陽性病変SUVmax。
【0047】
本明細書において言及される場合、SUV(標準取込値)は、68Ga若しくは18F化合物又は他のトレーサを投与すること、及び対象を画像診断する(例えば、PET、PET/CT)ことなどの公知の手順によって評価されてもよい。対象におけるSUV分析及び値の決定については、Dietlein et al.Mol.Imaging Biol.2015;17(4):575-584を参照されたい。本明細書で言及されるSUV及びSUVmaxの決定のために利用することができる、対象におけるSUV(SUVmaxを含む)分析及び値の決定については、Giesel et al.,J Nucl Med.2018;59(7):1076-1080も参照されたい。
【0048】
177 Lu-PSMA I&T
177Lu-PSMA I&T(以下の構造2A及び/又は2Bを含む)は、177Lu(ルテチウム-177)又は177LuClなどのそのハロゲン化物をEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA(以下の構造1A及び/又は1B)に錯化させるか、又は組み込むことによって調製することができる。
【0049】
【化3】
【0050】
構造2AのIUPAC表記は、ルテタート(5-)-177Lu,[N-[(4S)-4-(カルボキシ-KO)-4-[4,7,10-トリス[(カルボキシ-KO)メチル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカ-1-イル-KN1,KN4,KN7,KN10]-1-オキソブチル]-3-ヨード-D-チロシル-D-フェニルアラニル-N6-[8-[[(5S)-5-カルボキシ-5-[[[[(1S)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ]カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]-1,8-ジオキソオクチル]-D-リジナート(8-)]-,水素(1:5)である。
【0051】
【化4】
【0052】
化合物2BのIUPAC表記は、ルテタート(5-)-177Lu,N-[(4R)-4-(カルボキシ-KO)-4-[4,7,10-トリス[(カルボキシ-KO)メチル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカ-1-イル-KN1,KN4,KN7,KN10]-1-オキソブチル]-3-ヨード-D-チロシル-D-フェニルアラニル-N6-[8-[[(5S)-5-カルボキシ-5-[[[[(1S)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ]カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]-1,8-ジオキソオクチル]-D-リジナート(8-)]-,水素(1:5)である。
【0053】
【化5】
【0054】
構造1AのS異性体は、N-[(4S)-4-(カルボキシ-KO)-4-[4,7,10-トリス[(カルボキシ-KO)メチル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカ-1-イル-KN1,KN4,KN7,KN10]-1-オキソブチル]-3-ヨード-D-チロシル-D-フェニルアラニル-N6-[8-[[(5S)-5-カルボキシ-5-[[[[(1S)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ]カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]-1,8-ジオキソオクチル]-D-リジナート(8-)]-,水素(1:5))のIUPAC名を有する。
【0055】
【化6】
【0056】
構造1BのR異性体は、[N-[(4R)-4-(カルボキシ-KO)-4-[4,7,10-トリス[(カルボキシ-KO)メチル]-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカ-1-イル-KN1,KN4,KN7,KN10]-1-オキソブチル]-3-ヨード-D-チロシル-D-フェニルアラニル-N6-[8-[[(5S)-5-カルボキシ-5-[[[[(1S)-1,3-ジカルボキシプロピル]アミノ]カルボニル]アミノ]ペンチル]アミノ]-1,8-ジオキソオクチル]-D-リジナート(8-)]-,水素(1:5))のIUPAC名を有する。
【0057】
構造1A及び/又は1Bは、Weineisen et al.J Nucl Med2015;56:1169-1176;及びChatalic,Theranostics,6(6),849-861(2016)に記載されているように好適に形成されてもよい。177Lu-PSMA I&Tの光学的に濃縮された、又は実質的に光学的に濃縮された、又は鏡像異性的に純粋な試料を提供するために、組み込み反応において、EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの対応する光学異性体が使用されてもよい。すなわち、構造2AのS異性体錯体を与えるために、構造1Aの化合物をルテチウム-177と反応させてもよく、構造2BのR異性体錯体を与えるために、構造1Bの化合物をルテチウム-177と反応させてもよい。構造1A及び/又は1Bは、piCHEM(RaabaGrambach、オーストリア)から入手することも可能である。構造1A及び/又は1Bの光学的に濃縮された混合物は、光学的に濃縮された前駆体(試薬)の使用及び/又は光学的に活性な塩などの適切な光学的に活性な試薬による光学異性体の分離によって好適に調製されてもよい。
【0058】
本明細書で言及される177Lu-PSMA I&Tは、上記の構造2A及び/又は2B、並びにルテチウム(177Lu)及びEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの他の錯体を含むことが理解される。例えば、本明細書における177Lu-PSMA I&Tへの言及は、構造2A及び/又は2Bに一般に対応するが、177Luが、上記の構造2A及び2Bに示されるもの以外のEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA分子の他の一部又は部分(1つ以上の他の窒素など)と実質的に錯体を形成する化合物を含む。177Lu-PSMA I&Tへの言及はまた、上記の構造1A、1B、2A、及び2Bに示されるもの以外の立体異性体を含んでもよいが、構造1A、1B、2A、及び2Bに示される立体異性体、特に構造1A及び2Aが好ましい。
【0059】
177Lu-PSMA I&Tを合成するために、ルテチウム-177(177Lu)をEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAと混合することができる。177Luは、好適には担体付加されてもよく、又はより好ましくは非担体付加(no-carrier-added、n.c.a.)ルテチウム-177であってもよい。EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA化合物によるルテチウム-177の組み込み(例えば、キレート化を含む錯化)を促進するために、好ましくは、化合物の混合物は熱処理される。
【0060】
医薬組成物
177Lu-PSMA I&Tは、1)ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体、及び2)1つ以上のアスコルバート化合物などの1つ以上の安定剤化合物を含む水性組成物を対象に適切に投与される。好ましくは、組成物の放射化学的純度は、少なくとも95%、96%、97%、95%又は99%であり、組成物は、組成物の調製後、30℃以下で、3、4又は5日間又はそれより長く維持される。
【0061】
ある特定の好ましい実施形態では、医薬組成物は、放射測定検出(HPLC放射測定検出を含む)によって決定され得るように、医薬組成物の総重量に基づいて2、1.5、1.0又は0.5重量%以下の量でキレート化されていないルテチウム-177を含まず、組成物は30℃以下に維持され、そのような純度レベルは、組成物の調製後、3、4又は5日間又はそれより長く示される。
【0062】
更なる好ましい実施形態では、医薬組成物は、放射測定検出(HPLC放射測定検出を含む)によって決定され得るように、医薬組成物の総重量に基づいて5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1又は0.5重量%以下の量で放射化学的不純物を含まず、組成物は30℃以下に維持され、そのような純度レベルは、組成物の調製後、3、4又は5日間又はそれより長く示される。
【0063】
なお更なる好ましい実施形態では、医薬組成物は、HPLC又はHPLC/UV分析を含むクロマトグラフィー又はその他の方法によって決定され得るように、医薬組成物の総重量に基づいて5、4、3、2、1又は0.5重量%以下の量で化学的不純物を含まず、組成物は30℃以下に維持され、そのような純度レベルは、組成物の調製後、3、4又は5日間又はそれより長く示される。
【0064】
なお更なる好ましい実施形態では、医薬組成物は、1)(放射測定検出(HPLC放射測定検出を含む)によって決定されてもよいように)2、1.5、1.0又は0.5重量%以下の量でキレート化されていないルテチウム-177を含まない、2)(放射測定検出(HPLC放射測定検出を含む)によって決定されてもよいように)5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1又は0.5重量%以下の量で放射化学的不純物を含まない、及び3)(HPLC/UV分析によって決定されてもよいように)5、4、3、2、1又は0.5重量%以下の量で化学的不純物を含まず、全ての重量%は医薬組成物の総重量に基づき、組成物は30℃以下に維持され、そのような純度レベルは、組成物の調製後、3、4又は5日間又はそれより長く示される。
【0065】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、髄腔内又は腹腔内投与などの非経口投与用に製剤化される。例えば、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下又は皮内注射用に製剤化される。好ましい態様では、医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。典型的な実施形態において、医薬組成物は、医薬水溶液の形態で投与されてもよい。
【0066】
本薬物組成物の放射性の性質のために、患者/患畜への薬物の注射及び/又は注入は、典型的には、医療提供者の放射線への曝露又は注入施設の汚染を回避するために、ある種の更なる注意を必要とする。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、バイアル中に提供され、手持ち式の(handheld)注入投与の場合には任意選択でシリンジシールドを取り付けて、使い捨てシリンジを使用するなど、静注によって注射される。このような場合には、シリンジシールド及び使い捨て無菌針を取り付けたシリンジを使用してバイアルから所望の放射能線量を取り出し、手動で又はシリンジポンプを用いてゆっくりと静注(1~20分、より好ましくは約10分)によって医薬組成物を投与する(図6C)。投与前生理食塩水洗浄と薬物組成物の注射との間での各々の切り替えを可能にするために、任意選択で三方活栓を使用することができる。
【0067】
図6A及び図6Bは、その中に薬物組成物が提供されるバイアルから直接静脈内注射するための他の方法を例示する。例えば、図6Aに示されるように、注入中に、生理食塩水(図示されている、又は他の、医薬として許容される注射可能な緩衝液)が、短い針及びカテーテルによって、より高い位置からバイアル中に供給される重力送り技術を使用して、薬物組成物を投与することができる。生理食塩水又は他の注入液に接続された短い針がバイアル中に配置されるが、バイアル中の薬物組成物の溶液に接触することはない。薬物組成物と流体連通するように、長い針が、バイアル内に挿入され、押し込まれる。図6Bに示されるような他の実施形態では、短い針は代わりに通気針(vented needle)であり、長い針は、バイアルから注入されている患者/患畜中に薬物組成物を送り込む注入ポンプに接続されている。
【0068】
本発明のパッケージ化された医薬キットのある特定の実施形態では、上記の技術のうちの1つ以上を含む指示、すなわち、静注注射(手動又はポンプによる)、重力送り注入及び/又は注入ポンプについての指示が含まれる。
【0069】
ある特定の実施形態では、パッケージ化された医薬キットは、使い捨てシリンジを含み、より好ましくは、鉛又はタングステン製などのシリンジ放射線シールドを備えた使い捨てシリンジを含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、水溶液、分散液、又は注射用などの他の混合物であり、177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)及び好ましくは1つ以上のアスコルバート化合物を含む。更なる好ましい実施形態では、医薬組成物は、水溶液、分散液、又は注射用などの他の混合物であり、1)177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)及び好ましくは1つ以上のアスコルバート化合物及び1つ以上のゲンチザート(gentisate)化合物を含む。
【0071】
ある特定の好ましい実施形態では、1)ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体と、2)好ましくは錯体の調製後の保管中に組成物の放射線分解性の分解を阻害することができる少なくとも1つの安定剤化合物とを含む医薬水溶液、分散液又は混合物を利用してもよい。177Lu-PSMA I&Tは、好適には、調製後1、2、3、4又は5日以内に少なくとも100MBq/mL、好ましくは少なくとも250、500、750又は1000MBq/mLの体積放射能を与える濃度で存在する。ある特定の態様では、177Lu-PSMA I&Tは、調製後1、2、3、4又は5日以内に100~1000MBq/mL、好ましくは最大約250、500、750又は1000MBq/mLの体積放射能を与える濃度で存在する。
【0072】
ある特定の態様では、水性医薬製剤は、約30℃以下で少なくとも24時間、約30℃以下で少なくとも48時間、30℃以下で少なくとも72時間、又は30℃以下で24時間~120時間、30℃以下で24時間~96時間、30℃以下で24時間~84時間、30℃以下で24時間~72時間の有効期間、特に30℃以下で少なくとも72時間の有効期間を有する。更なる特定の態様では、水性医薬製剤は、約30℃以下で少なくとも96時間(又は4日)の有効期間を有するか、又は水性医薬製剤は、約30℃以下で少なくとも120時間(又は5日)の有効期間を有するか、又は水性医薬製剤は、約30℃以下で少なくとも144時間(又は6日)の有効期間を有する。
【0073】
特に好ましい態様において、177Lu-PSMA I&Tは、静脈内使用のための無菌溶液として提供される。177Lu-PSMA I&T溶液は、適切には、透明、無色からわずかに黄色であってもよい。単回投与バイアルは、適切には、例えば、製造日の1、2、3、4、5又は6日又はそれより後に較正された6.8+/-10% GBqの177Lu-PSMA I&Tを、1つ以上の放射線防護剤と共に製剤化された10~14mL中に含有し、緩衝剤を含んでもよい。溶液のpH範囲は、好ましくは5.0~7.0である。論述したように、放射線防護剤又は安定剤は、1つ以上のアスコルバート化合物であってもよく、任意選択で1つ以上のゲンチザート化合物と一緒であってもよい。177Lu-PSMA I&Tはまた、複数用量、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10又はそれより多い用量の177Lu-PSMA I&Tを含有する複数用量バイアルなどの複数用量フォーマット又はパッケージングで提供されてもよい。
【0074】
対象への投与のための好ましい177Lu-PSMA I&T組成物は、米国特許第11,129,921号及び米国特許第11,491,246号にも開示されている。
【0075】
治療方法
論述したように、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、PSMAを発現するがんを含むがんを処置するために使用される。
【0076】
論述したように、一態様では、前立腺がんに罹患している対象を治療するための方法であって、a)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の間又は後に前立腺がんの進行を示し、対象は1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の前に化学療法を受けたことがない対象を特定することと、b)特定された対象に、4~10Gbqの線量を提供する量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を投与することであって、対象は、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を、4週間又はそれより長い投与間間隔で少なくとも4回投与される、投与することと、を含む、方法が提供される。好ましい態様では、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤は、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である。
【0077】
特定の態様では、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、前立腺がん、例えば、ホルモン感受性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)及び薬剤抵抗性前立腺がん、特に抗アンドロゲン薬(例えば、アビタテロン(abitaterone)、エンザルタミド、アパルタミド及び/又はダロルタミド)抵抗性前立腺がんを含む、非転移性前立腺がん及び転移性前立腺がんを処置するために使用される。
【0078】
種々の方法において、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、がんを処置するのに有効(例えば、腫瘍サイズの減少)な量で、例えば、約0.1GBq~約30GBqの線量で、ヒトなどの対象に投与することができ、バイアル若しくはシリンジ中の単位用量から、又は現地若しくは中央の放射性医薬品を取り扱う薬局において若しくはcGMP中央製造(central manufacturing)を通じて、ルテチウム(lutuetium)-177を用いて調製されたコールドキットから調製されたバイアル若しくはシリンジ中のバルク溶液として適切に投与される。
【0079】
ある特定の実施形態では、対象は、去勢感受性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、転移性去勢抵抗性前立腺がん、進行期前立腺がん、抗アンドロゲン抵抗性前立腺がん(例えば、エンザルタミド抵抗性前立腺がん、アビラテロン抵抗性前立腺がん、ビカルタミド抵抗性前立腺がん)などの薬剤抵抗性前立腺がん、ドセタキセル抵抗性前立腺がん、PARP抵抗性前立腺がん、塩化ラジウム抵抗性前立腺がん、AR-V7誘導性エンザルタミド抵抗性前立腺がんなどのAR-V7誘導性薬物耐性前立腺がん、AKR1C3誘導性エンザルタミド抵抗性前立腺がんなどのAKR1C3誘導性薬剤抵抗性前立腺がん、及びそれらの組合せのうちの1つ以上などの前立腺がんに罹患している。
【0080】
特定の実施形態では、対象は、転移性去勢抵抗性前立腺がんに罹患しているヒトであり、有効量の177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)が、前立腺がんを治療するために対象に投与される。
【0081】
更なる特定の実施形態では、対象は、少数転移性ホルモン感受性前立腺がんに罹患しているヒトであり、有効量の177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)が、前立腺がんを治療するために対象に投与される。
【0082】
更なる特定の実施形態では、対象は、転移性去勢抵抗性前立腺がんに罹患しているヒトであり、有効量の177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)が、前立腺がんを治療するために対象に投与される。
【0083】
患者/患畜に投与される177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2A)を有する177Lu-PSMA I&Tを含む)放射性医薬品の有効量は、一般に、患者/患畜の記録を考慮することによって決定される。しかしながら、有効量は、好適には、1用量当たり約0.1GBq~30GBqの範囲内であってもよい。より詳細には、用量は、用量対象当たり約1GBq~約20GBq又は約30GBqの範囲、例えば、177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)の用量当たり約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、6.8、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5若しくは30GBq又は上記値の2つの間の任意の範囲であってもよい。この用量は、バイアル若しくはシリンジ中の単位用量から、又は現地若しくは中央の放射性医薬品を取り扱う薬局において若しくはcGMP中央製造を通じて、ルテチウム-177を用いて調製されたコールドキットから調製されたバイアル若しくはシリンジ中のバルク溶液として適切に投与することができる。
【0084】
必要であるか又は所望であれば、治療は、有効量の177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)の2回以上の投与を含んでもよい。一般に、7~56日後に、例えば4~8週間の間隔で、対象への177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)の投与を反復することが有益である。
【0085】
特に好ましいプロトコルでは、177Lu-PSMA I&T(光学的過剰の構造2Aを有する177Lu-PSMA I&Tを含む)剤形は、静脈内注射によって投与される無菌水溶液である。投薬レジメンは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間隔で投与される、各々6.8GBq+/-10%などの有効投薬量での1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10回の注入などの複数回注入を含んでもよい。
【0086】
併用療法
177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、好適には、1つ以上の他の治療剤、特に1つ以上の他の化学療法剤と併せて又は組み合わせて対象に投与されてもよい。
【0087】
一態様では、対象は、特に去勢抵抗性前立腺がんに罹患している対象に対する、ドセタキセル及び/又はプレドニゾンのレジメンと組み合わせた177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)による治療を受けてもよい。
【0088】
別の態様では、対象は、特に転移性去勢抵抗性前立腺がんを含む前立腺がんに罹患している対象に対する、ドセタキセル、シスプラチン、ゲムシタビン、シスプラチン/ゲムシタビン、カバジタキセル、1つ以上の抗アンドロゲン剤、例えば、1つ以上のLHRHアゴニスト、例えば、ロイプロリド及びゴセレリン、又はアンタゴニスト(例えば、ファーマゴン及びレルゴリクス)、1つ以上の抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、シプロテロン、アビラテロン、エンザルタミド、ダロルタミド及びアパルタミド、1つ以上のPARP阻害剤、例えば、オラパリブ、ルカパリブ又はニラパリブなどの化学療法を含むことができるレジーム(regime)と組み合わせた177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)による治療を受けてもよい。
【0089】
更なる態様では、対象は、養子細胞療法又は養子免疫療法を含んでもよい免疫療法レジームと組み合わせた177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)による治療を受けてもよい。
【0090】
例えば、がんに罹患している患者/患畜を治療するために、がん又は腫瘍抗原の発現に関連する疾患を治療するためを含め、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、キメラ抗原受容体を発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)と組み合わせて(例えば、CAR T細胞療法)投与されてもよい。
【0091】
前立腺がんを含むがんに罹患している患者/患畜については、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)はまた、シプロイセル-T(Provenge)などの他の免疫ベースの療法又は抗体治療を含む他の免疫ブーストアプローチと組み合わせて投与されてもよい。例えば、1つのプロトコルにおいて、がん、特に前立腺がんに罹患している患者/患畜を治療するために、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、ペンブロリズマブ(キイトルーダ)、イピリムマブ(ヤーボイ)及び/又はニボルマブ(オプジーボ)などの1つ以上のモノクローナル抗体と組み合わせて投与されてもよい。
【0092】
本明細書で使用される場合、対象への療法の投与の文脈における「組み合わせて」という用語は、治療的利益のために2つ以上の療法を使用することを指す。投与の文脈における「組み合わせて」という用語は、少なくとも1つの追加の療法と共に使用される場合、対象への療法の予防的使用も指すことができる。「組み合わせて」という用語の使用は、療法(例えば、第1及び第2の療法)が対象に投与される順序を制限しない。療法は、本明細書に開示される治療を必要とする対象への第2の療法の投与の前(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、第2の療法の投与と同時、又は第2の療法の投与の後(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。療法は、療法が一緒に作用することができるような順序及び時間間隔内で対象に投与される。特定の実施形態では、療法は、他の順序及び時間間隔内で投与された場合よりも増加した利益を提供するような順序及び時間間隔内で対象に投与される。いずれの追加療法も、他の追加療法と共に任意の順序で投与することができる。
【0093】
パッケージ化された 177 Lu-PSMA I&T及びキット
医療施設、例えば、病院検査室又は放射性医薬品を取り扱う薬局などにおいて、投与の直前に、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)を調製することができるコールドキットを含む、177Lu-PSMA I&Tを含有する治療キットが使用されてもよい。このようなキットにおいて、EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAは、凍結乾燥された又はルテチウム-177から分離されたその他の形態でバイアル又はその他の容器に入れて提供されてもよい。医療施設において、本明細書に開示されているように、EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA及びルテチウム-177を反応させると、次いで、患者/患畜に迅速に投与することができる177Lu-PSMA I&T(上記の2A及び/又は2Bを含む)が得られる。
【0094】
更なる態様では、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)のパッケージ化された調製物又は製品も利用されてもよい。パッケージ化された調製物は、1)177Lu-PSMA I&T、及び任意選択で2)前立腺がんなどのがんを治療するために177Lu-PSMA I&Tを使用するための説明書を備えてもよい。好ましくは、パッケージ化された調製物は、治療有効量の177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)を備える。
【0095】
ある特定の例示的なパッケージ化された調製物又は製品において、177Lu-PSMA I&T(上記の構造2A及び/又は2Bを含む)は、例えば、前立腺がんに罹患している対象を治療するための療法として使用するためのラベルが貼られた適切な容器に適切に梱包することができる。容器は、177Lu-PSMA I&T並びに好適には本明細書に開示されるような1つ以上のアスコルバート化合物及び1つ以上のゲンチザート化合物を含むことができる。製品は、177Lu-PSMA I&Tを含有する容器(例えば、バイアルなど)を含むことができる。加えて、製造品又はキットは、例えば、前立腺がん又は他のがんなどの標的とされる状態を治療するために、包装材料、使用説明書、シリンジ、送達デバイスを更に含んでもよい。
【0096】
パッケージ化されたシステム又は製品はまた、説明文(例えば、製品の使用について説明する印刷されたラベル若しくは添付文書又は他の媒体(例えば、音声又は動画ファイル))を含んでもよい。説明文は、容器と結び付ける(例えば、容器に貼付する)ことができ、その中の組成物が投与されるべき様式(例えば、投与の頻度及び経路)、そのための指示、及びその他の使用を記載することができる。組成物は、直ちに投与することが可能であり得(例えば、用量が適切な単位で存在する)、1つ以上の追加の医薬として許容される補助剤、担体又は他の希釈剤を含んでもよい。
【0097】
上で論述したように、好ましいキットは、好適には、a)患者/患畜への静脈内投与に適し、4~10Gbqの線量を提供するのに十分な量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤の医薬調製物と、b)アンドロゲン受容体(AR)経路阻害で以前に治療されたことがあるが、その患者/患畜はタキサン化学療法を受けたことがないか、又はタキサン化学療法が有害である(すなわち、化学療法治療選択肢に適格性がないか、又は化学療法治療選択肢を嫌悪している)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を示す対象の治療における当該放射性リガンド剤の使用のための指示を含む添付文書と、を備えてもよい。
【0098】
ある特定の態様では、好適には、添付文書の指示は、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド療法を少なくとも4回、かつ4週間又はそれより長い投与間間隔で患者/患畜に投与するためのガイダンスを含む。
【0099】
ある特定の態様では、添付文書は、好適には、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドの有効期間が、キットにおける使用のためのルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドの医薬調製物の合成及び製剤化の終了から120時間であるという表示を更に含んでもよい。
【0100】
ある特定の態様では、添付文書は、好適には、PSMA標的化画像化剤を使用して患者/患畜を選択するための指示を更に含む。
【0101】
ある特定の態様では、添付文書は、好適には、患者/患畜が経口水分摂取量を確実に増加するようにし、膀胱放射線照射を低減するために可能な限り頻繁に排尿するように患者/患畜に助言するための指示を更に含む。
【0102】
ある特定の態様では、キットにおいて、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤は、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である。
【0103】
ある特定の態様では、キットにおいて、ルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体は、有効期間内に6.8GBq+/-10%を提供するのに十分な単回投与形態で提供される。
【0104】
ある特定の態様では、添付文書は、各投与の間に8週間の間隔を空けて、ルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体を患者/患畜に最大4回投与するための指示を更に含む。
【0105】
ある特定の態様では、医薬調製物は、55~75mg/mLの濃度のアスコルビン酸ナトリウム及び16~36mg/mLの濃度のゲンチジン酸ナトリウムを含み、5.0~7.0の範囲のpHを有する。
【0106】
ある特定の態様では、医薬調製物は、医薬調製物の合成及び製剤化の終了時に、0.5~1.2GBq/mL、より好ましくは0.79~0.86GBq/mL±10%の放射能濃度(RAC)を有する。
【0107】
ある特定の態様では、医薬調製物は、250μg以下(EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAとルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体の合計)の総ペプチド含有量、好ましくは180~250μgの範囲の総ペプチド含有量を有する。
【0108】
ある特定の態様では、医薬調製物は、単回投薬バイアル中に提供され、キットは、例えば、手持ち式の注入投与を容易にするために、シリンジシールドを有する使い捨てシリンジを任意選択で更に備える。
【0109】
ある特定の態様では、医薬調製物は、例えば、手持ち式の注入投与を容易にするために、シリンジシールドを有する使い捨てシリンジ中に提供される。
【0110】
ある特定の態様では、キットは、医薬調製物が、その中で、パッケージ化されたキットに入れて輸送される放射線遮蔽された金属塊容器(pig)(鉛又はタングステン塊容器など)を含んでもよい。
【0111】
ある特定の態様では、添付文書は、以下の基準:
a)最下点を25%超及び2ng/mL超上回るPSAの増加として定義される血清/血漿PSA進行、
b)CSPC又はCRPC状況のいずれかにおける1回のARATによる以前の治療での進行、
c)PSMA-PETスキャン(すなわち、68Ga-PSMA-11又は18F-DCFPyL)陽性、
d)去勢循環テストステロンレベル(<1.7nmol/L又は<50ng/dL)、かつ
e)十分な骨髄、腎臓及び肝臓臓器機能
のうちの1つ以上又は全てに基づいて、患者/患畜が、同意の時点で進行性mCRPCを有さなければならないことを含む、患者/患畜の適格性についての指示を更に含んでもよい。
【0112】
以下の非限定的な実施例は例示である。
【0113】
実施例1
米国特許第11,129,912号の実施例1に記載されているように、177Lu-PSMA-I&Tの水性組成物を調製する。
【0114】
実施例2:臨床使用
主要有効性目的は、アビラテロン又はエンザルタミドと比較して177Lu-PSMA I&Tの有効性を決定し、アンドロゲン受容体軸標的療法(ARAT)で進行したがんの進行を有するmCRPC患者/患畜において放射線学的進行の遅延について評価することである。
【0115】
本試験の主要評価項目は、固形腫瘍の応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors、RECIST)を使用して盲検独立中央判定(Blinded Independent Central Review、BICR)によって評価される放射線学的無増悪生存期間(radiological progression-free survival、rPFS)を含んでもよい。
【0116】
更なる評価項目は、RECIST 1.1基準(軟部組織)及びPCWG3基準(骨)に基づくBICRによる部分寛解又は完全寛解(それぞれ、PR又はCR)を有する患者の割合を含んでもよい。
【0117】
ヒト患者の2つの処置群(A群及びB群)を選択する。B群の治療は、エンザルタミド(160mg経口1日1回)又は酢酸アビラテロン(アビラテロン)(1000mg経口1日1回と5mg 1日2回プレドニゾン又は0.5mg 1日1回デキサメタゾン)を含む。B群に無作為に割り振られた患者は、mCRPCに対する標準的な臨床ケアのあらゆる恩恵を受ける。対照群治療での進行後に、患者を評価し、適格であれば、177Lu-PSMA I&T治療にクロスオーバーする。
【0118】
試験デザイン
本試験は、ARAT治療で進行したmCRPCを有する患者における177Lu-PSMA I&Tの有効性及び安全性を評価する。
【0119】
本試験は、3つの段階:線量測定、無作為化処置、及び長期経過観察を含んでもよい。
【0120】
本試験は、25人の患者の安全性及び線量測定導入期から開始し、事前に指定された安全基準が満たされれば、同じ用量及びレジメンで、約390人の患者での無作為化段階に進んでもよい。全ての患者は、最初の治療投与から少なくとも5年間、死亡、又は経過観察の不能まで、長期経過観察において追跡される。患者群の大きさは、変化してもよい。
【0121】
1つの好ましいプロトコルにおいて、適格性を評価するために、全ての患者は、登録又は無作為化の前6週間以内などにスクリーニングを受け、CRPCに対して化学療法を受けたことがなく、化学療法を受けることに不適合であり、又は化学療法を受けることを望まず、ARAT療法(例えば、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド)において進行が文書で記録されており、第2選択ARAT療法による治療を受けることを望んでいなければならない。全てのスクリーニング評価が実施されたら、患者は、PSMA発現適格性を確認するために、18FDCFPyL又は68Ga-PSMA-11 PET/CTによるPSMA画像診断を受ける。
【0122】
線量測定段階での適格性を満たす患者に、例えば6.8GBq(±10%)の線量で8週間ごとに4サイクル、177Lu-PSMA I&Tを投与する。各患者の最初の治療サイクルと同時に、5つの画像診断時間:5~2時間(排尿前)、24時間(±4時間)、48時間(±4時間)、72時間(±4時間)及び140~196時間に、全身平面取得を収集する。24時間又は48時間の時点で、SPECTも推奨されるが、必須ではない。
【0123】
線量測定及び安全性データが生成されて、選択された線量が予め指定された基準を満たすことが確認され、DSMBが進行の承認を与えたら、無作為化治療段階が開始する。無作為化治療段階は、線量測定段階における全ての患者が治療経過観察期間(すなわち、最終投与の8週間後)を完了した後に、米国の治験施設に開放される。全ての適格性を満たす患者は、2:1の比率で、以下のいずれかを受けるように無作為化される。
・A群(n=260):177Lu-PSMA I&T 8週間ごとに4サイクルの6.8GBq(±10%)、又は
・B群(n=130):エンザルタミド(160mg経口1日1回)若しくはアビラテロン(1000mg経口1日1回と、5mg1日2回プレドニゾン又は0.5mg1日1回デキサメタゾン)。
【0124】
本試験の主要目的は、放射線学的進行を遅延させる上での、アビラテロン又はエンザルタミドと比較した177Lu-PSMA I&Tの有効性を決定することである。副次的目的には、対照群と比較した177Lu-PSMA I&Tの奏効率、全生存、PSA動態に対する影響並びに安全性及び忍容性が含まれる。探索的目的は、がん関連疼痛に対する効果、HRQoLに対する影響、及び177Lu-PSMA I&T療法による患者選択に対するPSMA-PETの有効性を評価することである。
【0125】
線量測定段階及びA群の患者は、2週間ごとに評価され、B群の患者は、治療段階の完了(EOT;32週)まで4週間ごとに評価される。線量測定及び無作為化治療段階のいずれにおいても、患者は、試験32週目(EOT訪問)に治療段階を完了すれば、試験を完了したと見なされる。患者がEOTまで進んでいない場合、CT/MRI及び全身骨スキャンに基づく疾患評価は、BICRによる放射線学的進行まで8週間ごとに継続する。
【0126】
BICRによる放射線学的進行を経験しており、介入処置を開始しておらず、制御されていないAEを有さない、B群に無作為化された患者は、4サイクルにわたって、8週間ごとに6.8GBq(±10%)の177Lu-PSMA I&Tを受けるためにクロスオーバーするのに適格である。入れ替わった患者は、ECG、相関採血(corrlelative blood draws)及びBICRによって評価される画像診断解釈を除いて、SOAに基づいて安全性及び有効性について追跡される。
【0127】
選択された施設からの最大20名のA群の患者の一部は、血液及び尿サンプルを用いたPK評価を有する。
【0128】
有効性は、胸部、腹部、及び骨盤のCT/MRIスキャン、全身骨スキャン、PSA測定、米国東海岸臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group、ECOG)、健康関連QoL(HRQoL)質問票、疼痛質問票、及び骨事象判定(skeletal events review)によって評価される。
【0129】
安全性は、体重の測定、身体検査、バイタルサイン、ECG、血液化学及び血液学的パラメータ、AE/重篤なAE(SAE)の判定、併用薬の判定によって評価される。
【0130】
対照群(B群)の患者は、ベースライン後に実施されたECG及びA群においてのみ採取されたPKサンプル及びB群に対して各訪問時に確認された治療コンプライアンスを除いて、調査群(A群)と同じ手順に基づいて評価される。
【0131】
独立データ安全性モニタリング委員会(independent Data Safety Monitoring Committee、iDSMB)が、進行中の安全データ(AE及び臨床検査結果)を監視する。
【0132】
長期経過観察段階は、最初の治療投与から少なくとも5年間、死亡、又は経過観察の不能まで、生存状態、遅発性放射線関連毒性、及び新たな抗がん療法を評価するために、計画された来院又は通話を3ヶ月ごとに行うことからなる。
【0133】
試験集団
25人の患者が、試験の線量測定段階に登録される。治療段階では、合計390人の患者を2:1の比で無作為化する:260人の患者が177Lu-PSMA I&Tを受け、130人の患者がアビラテロン又はエンザルタミドを受ける。
【0134】
プロトコル放棄又は免除としても知られる、採用及び登録基準に対するプロトコル逸脱の予測的承認は、許可されない。
【0135】
包含基準
以下の基準の全てが当てはまる場合にのみ、患者は、研究への組み入れに適格である。
1.18歳以上の男性。
2.前立腺の腺がんの組織学的、病理学的及び/又は細胞学的確認。
3.化学療法治療の選択肢に不適格であるか又は拒絶する。
4.患者は、以下の基準の少なくとも1つに基づいて、同意の時点で進行性mCRPCを有していなければならない。
a.少なくとも3週間離れた2つの時点での進行によって確認される、最下点を25%超及び2ng/mL超上回るPSAの増加として定義される血清/血漿PSA進行。
b.治療が開始して以来最小のSODに基づく全ての標的病変の直径の合計(sum of the diameter、SOD)(結節性病変については短軸及び非結節性病変については長軸)の20%以上の増加、又は1つ若しくは新たな病変の出現として定義される軟部組織進行。
c.骨疾患の進行:骨スキャンによる評価可能な疾患又は1つの新しい骨病変
5.CSPC又はCRPC状況のいずれかにおける、1つのARAT(アビラテロン又はエンザルタミド又はダロルタミド又はアパルタミド)による以前の治療における進行。
6.治験実施責任者(sponsor)の中央読影者(central reader)によって決定されたPSMA-PETスキャン(すなわち、68Ga-PSMA-11又は18F-DCFPyL)陽性。
7.去勢循環テストステロンレベル(<1.7nmol/L又は<50ng/dL)。
8.十分な臓器機能、輸血に依存しない:
a.骨髄予備能:
i.白血球(WBC)数≧2.5×109/L又は好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L。
ii.血小板≧100×109/L。
iii.ヘモグロビン≧8g/dL。
b.肝機能:
i.総ビリルビン≦1.5×施設の正常上限(ULN)。既知のジルベール症候群を有する患者については、≦3×ULNが許容される。
ii.ALT及びAST≦3.0×ULN。
c.腎機能:
i.血清/血漿クレアチニン≦1.5×ULN又はコッククロフト・ゴールト式に基づいてクレアチニンクリアランス≧50mL/分。
d.アルブミン≧30g/L。
9.健康であり、後天性免疫不全症候群関連結果のリスクが低いヒト免疫不全ウイルスに感染した患者は、この試験に組み入れられる。
10.出産の可能性のあるパートナーを有する患者の場合、パートナー及び/又は患者は、試験中及び最後の治験薬投与後6ヶ月間、首席治験責任医師によって許容されると考えられる適切なバリア式避妊具を用いた避妊法を使用しなければならない。
11.治療群Bに無作為化された場合、治験責任医師によって予め指定されたARAT療法(エンザルタミド又はアビラテロンのいずれか)を開始する意思がある。
12.ECOGパフォーマンスステータスが0~1。
13.全ての試験要件及び治療(177Lu-PSMA I&Tを含む)並びに必要とされる評価のタイミング及び性質に従う意思があり、従うことができる。
14.インフォームドコンセントに署名済み。
【0136】
除外基準
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、患者は、研究から除外される。
1.病理報告に記されている場合、既知の有意な(細胞に10%超存在する)肉腫様若しくは紡錘細胞又は神経内分泌成分を有する前立腺がん。がん中のあらゆる小細胞成分は、除外をもたらすべきである。
2.第1選択の局所外部ビーム、ARAT、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト若しくはアンタゴニスト療法、又は非放射性骨標的化剤を除く、無作為化の前28日以内の前立腺がんに対する何らかの従前の治療。
3.CRPCに対する何らかの従前の細胞毒性化学療法(例えば、カバジタキセル又はドセタキセル)、最終投与が同意の1年より前に投与された場合には、ホルモン感受性前立腺がん(HSPC)に対する化学療法は許容される。
4.全身放射性核種(例えば、ラジウム-223、レニウム-186、ストロンチウム-89)による従前の治療。
5.シプロイセル-Tを除く、従前の免疫療法。
6.従前のPSMA標的化放射性リガンド療法。
7.前立腺がんに対する従前のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤。
8.ARATの2以上のラインで進行した患者。
9.骨標的化療法(例えば、デノスマブ、ゾレドロン酸)を受けている患者は、無作為化の前に少なくとも4週間継続して服用していなければならない。
10.無作為化の前に、60日又は5半減期(いずれか短い方)以下の治験薬の投与。
11.無作為化の前30日以内に大きな手術。
12.首席治験責任医師によって評価された推定寿命が6ヶ月未満。
13.腹部画像診断で1cmより大きい肝転移の存在。
14.泌尿生殖路活性の非存在又は弱い泌尿生殖路活性を伴った、軟部組織と比較して顕著に増加した骨格の放射性同位体取り込みを示す骨スキャンとして定義される、骨スキャン上のスーパースキャン(superscan)。
15.同意の前30日以内にがん関連疼痛に対するオピオイドの使用。
16.中枢神経系転移の既知の存在。
17.計画されるARAT治療の使用に対する禁忌。
18.低悪性度非筋肉浸潤性膀胱がん及び非黒色腫皮膚がん以外の活動性悪性腫瘍。
19.患者が研究手順を受ける能力を脅かし得る併発疾患。
20.試験プロトコル及び経過観察スケジュールのコンプライアンスを妨げる可能性がある重大な心理的、家族的、社会学的又は地理的状態。旅行する患者は、たとえ対照群に属する場合であっても、繰り返し来院することが可能である必要がある。
21.症候性の脊髄圧迫、又は切迫した脊髄圧迫を示す臨床的若しくは放射線学的所見。
22.ニューヨーク心臓協会クラスIII又はIVうっ血性心不全、不安定虚血、制御されない症候性不整脈、先天性QT延長症候群の病歴、制御されない感染、既知の活性B型若しくはC型肝炎、又は治験責任医師の意見において試験参加若しくは協力を損なう他の重大な並存症状態を含むが、これらに限定されない、併発する重篤な(治験責任医師によって決定される)医学的状態。
【0137】
スクリーニング
患者は、無作為化の前6週間以内にスクリーニングされる。
【0138】
試験介入
線量測定段階の目的は、腎臓、唾液腺、及び涙腺を含む全ての標準臓器における線量測定を評価することである。個々の線量測定推定値及び要約統計量は、中央の線量測定コア検査室によって生成される。
【0139】
線量測定段階に入る前に、患者はICFに署名し、PSMA-PETスキャンを含むスクリーニング手順を受ける。全ての適格性要件を満たす合計25人の患者に、6.8GBq(±10%)の177Lu-PSMA I&Tを8週間ごとに4サイクル投与する。
【0140】
線量測定分析プロセスにおける患者ごとの補正のために腎臓体積を決定する目的で、ベースラインCTスキャンが収集される。
【0141】
各患者の最初の治療サイクルと同時に、中エネルギーのコリメータを備えた全身スキャン可能なデュアルヘッドガンマカメラ上で、以下に列挙される時間に、5つの全身コンジュゲートビュー平面画像が収集される。画像は、頭頂から足までの全身を含むべきであり、腕を含む身体の全ての部分が視野内に完全に含まれるべきである。収集された各画像には、既知の放射能の量を有する画像診断標準が存在する必要がある。各画像収集のデータ及び時間、並びに各画像の走査速度を記録する。必要ではないが、施設はまた、補足的な線量測定分析のために、以下の24時間又は48時間のいずれかの時点で定量的又は半定量的SPECT画像を収集するように奨励される。単一の任意選択のSPECT画像のみが収集される場合、48時間が好ましい収集時間であり、24時間がそれに続く。全身平面取得(whole body planar acquisitions)及びSPECT取得の更なる詳細は、画像診断マニュアルに含まれる。
【0142】
全身画像取得時間:
・0.5~2時間(排尿前)
・24時間(±4時間)
・48時間(±4時間)
・72時間(±4時間)
・140~196時間
【0143】
中央線量測定コア検査室は、標準的なMIRD/RADAR方法論を利用して、全ての標準的な臓器にわたって、画像定量化、動態モデル化、及び線量測定分析を行う。
【0144】
取り込みを示す全ての臓器/組織に対して、画像上に関心領域(ROI)を構築し、ROIにおける放射能を各時点で定量化する。骨髄ROI又は血液ベースの方法論を使用して、赤色骨髄の放射能を推定する。正規化された崩壊数を得るために動態のモデル化を行い、OLINDA/EXM v2ソフトウェアを利用して、全ての臓器/組織に対して、生成された放射能-時間曲線及び導出された滞留時間に基づいて線量測定推定値を生成する。CTから導出された臓器質量は、腎臓吸収線量をより正確に推定するために使用される。
【0145】
4つの治療サイクルの各々の後に、32週目(最後のサイクルの8週間後)まで2週間ごとに患者を評価して、忍容性及び安全性(すなわち、重症度、AE/SAEの頻度及び持続期間、バイタルサイン、ECG、血液学及び化学)をモニタリングする。口腔乾燥症、ドライアイ、及び腎機能、並びに検査異常を含む全てのAEの安全性評価は、重症度の悪化又は回復に関して、及び後続のサイクルに対する線量変更が是認され得るかどうかを評価するために、綿密に追跡される。
【0146】
最初の5人の患者が治療を完了した後に、又はメディカルモニターによって要求された場合にはより早く、安全性結果を評価するためにiDSMBが招集される。iDSMBは、25人の患者全員が登録され、治療を完了するまで安全性を評価する。
【0147】
放射線学的腫瘍評価、PSA血液試料、ECOG及びQoLに基づいて、有効性も評価される。放射線学的応答を収集し、線量測定段階を通してBICRによって評価される。
【0148】
無作為化段階における線量選択のための予め指定された基準
無作為化治療段階の間、線量が同じに保たれることを確認するために、以下の基準を使用する。
・線量測定及び安全性導入期から得られた線量測定データは、20グレイ(Gy)以下の平均吸収腎線量を示した。
・進行中のデータ判定及び中止規則に基づいて、独立データ安全性モニタリング委員会(independent Data Safety Monitoring Board、iDSMB)、メディカルモニター、治験実施責任者又はFDAによって、線量測定及び安全性導入期における臨床毒性の懸念は特定されなかった。
・治験実施責任者は、PSA応答に基づいて観察された予備的有効性を原因として、線量を増加させること、又は投与間の間隔を短縮することを望まない。
【0149】
無作為化治療における線量変更を決定するために、以下の基準を使用する。
・線量測定及び安全性導入期から得られた平均吸収腎線量が20Gyを超える場合、無作為化治療段階における各患者の治療レジメンに対する第4の線量は、平均吸収腎線量が確実に20Gy以下になるようにするために、線形線量測定データ曲線から計算されたレベルに低減される。
・以下に記載される線量変更基準に基づいて、線量測定及び安全性導入期における患者の45%超が、彼らの最初の治療線量後に5GBqへの線量低減を経験する場合、5GBqの低減された線量が、無作為化治療段階における全てのサイクルに対して実施される。
・PSA低減の記述的判定に基づいて予備的有効性が観察されない場合、治験実施責任者は試験を停止し、線量漸増パラダイムを実施する前にFDAと面会する。
【0150】
無作為化治療段階
線量測定及び安全性データが生成されて、選択された線量が予め指定された基準を満たすことが確認され、DSMBが進行の承認を与えたら、無作為化治療段階が開始する。無作為化治療段階は、線量測定段階における全ての患者が経過観察期間全体(すなわち、最後の用量(doe)の8週間後)を完了した後に、又はFDAの同意が得られればそれより先に、治験施設に開放される。患者はICFに署名し、PSMA-PETスキャンを含むスクリーニング手順を受ける。適格性の決定に続いて、患者は、2:1で以下の群に無作為に割り振られる。
・A群、およそ260人の患者が177Lu-PSMA I&T(6.8GBq(±10%)を8週間ごとに4サイクル)を受ける。
・B群、およそ130人の患者がエンザルタミド(160mg経口1日1回)又はアビラテロン(1000mg経口1日1回と、5mg1日2回プレドニゾン又は0.5mg1日1回デキサメタゾン)を受ける。
【0151】
無作為化は、去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対する従前のタキサン治療(あり又はなし)、ビスホスホナートの従前の使用(あり又はなし)、従前のARATでの転移状態(M0又はM1)、及び試験開始時の測定可能な疾患(あり又はなし)によって層別化される。
【0152】
両治療群の患者は、BICRによって評価される客観的な放射線学的疾患進行まで、彼らの無作為化治療を続けることが強く奨励される。全ての患者は、全身骨スキャン並びに胸部、腹部、及び骨盤のCT/MRI画像診断による疾患評価を受ける。患者は、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group、ECOG)の変化、中央検査室によるPSA測定値、HRQoL質問票、疼痛質問票、及び骨事象判定についても評価される。安全性は、体重の測定、身体検査、バイタルサイン、心電図(ECG)、血液化学及び血液学的パラメータ、AE/SAEの判定、及び併用薬の判定よって評価される。
【0153】
対照群におけるARAT投与は、承認された製品表示に従って修正される。177Lu-PSMA I&Tの用量は、以下に記載されるガイドラインに従って修正することができる。
【0154】
患者は、治療段階の完了(EOT;最終投与の8週間後)まで、A群では2週間(±2日)ごとに、B群では4週間(±2日)ごとに診療所で適切に評価される。EOTまでにBICRによって評価された放射線学的進行が存在しない場合、患者は、BICRによる放射線学的進行まで8週間ごとに経過観察を受け続け、これらの来院のためにSOA内で示された全ての手順に従う。BICRによって評価された放射線学的進行まで、患者が割り当てられた治療を受け続けるように、あらゆる努力がなされるべきである。治験責任医師が、BICRによって評価された放射線学的進行の前に代替の抗がん療法を開始することを選択した場合。試験介入の中止、その後の抗がん療法の開始にかかわらず、BICRによって評価された放射線学的進行まで、患者は、8週間ごとに経過観察を受け続ける。患者がBICRによって評価された放射線学的進行を示したら、彼らは進行訪問(Progression Visit)を完了し、
・EOT/安全性経過観察が既に行われている(かつ、B群に無作為に割り振られた場合に、患者がクロスオーバーしていない)場合、彼らは、最初の治療投与から少なくとも5年間、死亡、又は経過観察の不能まで、長期経過観察(Long-Term Follow-up、LTFU)段階に入る。
・EOT/安全性経過観察が行われなかった(かつ、B群に無作為に割り振られた場合に、患者がクロスオーバーしていない)場合、彼らは、最終投与後8週間まで彼らの試験スケジュールに留まり、EOT/安全性経過観察訪問を完了し、次いでLTFUに入る。
・クロスオーバーするB群患者は、サイクル1、0週目に進み、A群のSOA(ECG及び相関サンプル(correlative samples)を除く)に従う。
【0155】
患者がBICRによって進行する前に一次rPFS分析が行われる場合、患者は、治験責任医師が評価した放射線学的進行、死亡又は経過観察の不能まで、元の試験スケジュールを継続する。
【0156】
iDSMBは、治療段階を通して、3ヶ月ごとに、進行中の安全性データ(AE/SAE、ECG、臨床検査結果)を監視する。最大20名のA群の患者の一部は、PKについても評価される。
【0157】
BICRによる放射線学的進行を経験しており、介入処置を開始しておらず、制御されていないAEを有さないB群の患者は、4サイクルにわたって、8週間ごとに6.8GBq(±10%)の177Lu-PSMA I&Tを受けるためのクロスオーバーへの同意に適格である。第2の進行の放射線学的評価は、治験責任医師によって行われ、患者は、以下に示されるスケジュールに基づいて安全性について監視される。
【0158】
長期経過観察段階
線量測定及び無作為化治療段階に対する長期経過観察段階は、少なくとも5年間、死亡、又は経過観察の不能まで、生存状態、遅発性放射線関連毒性、第2の進行、及び新たな抗がん療法を評価するために、計画された来院又は通話を3ヶ月ごとに行うことからなる。最後の対象が最後の試験関連通話又は訪問を完了したとき、試験を中止したとき、又は経過観察不能となったときに、試験全体が終了する。
【0159】
68 Ga-PSMA-11及び 18 F-DCFPyL
68Ga-PSMA-11放射性医薬品は、5mCi+/-10%の線量で静脈内投与される。18F-DCFPyL放射性医薬品は、9mCi+/-10%の線量で静脈内投与される。
【0160】
177 Lu-PSMA I&Tの保存及び取り扱い
曝露を制限するために、177Lu-PSMA I&Tは、鉛遮蔽容器内に保存される。177Lu-PSMA I&Tは、国際航空運送協会(International Air Transportation Association、IATA)が承認した梱包容器に入れて輸送され、適切な放射性ラベルでマークされる。受領したら、注射のために必要とされるまで、177Lu-PSMA I&Tは、輸送容器内に入れたままにすることができる。積荷書類は、ARTを含むべきである。
【0161】
薬物は、臨床現場で鉛ポット中に室温(15~30℃)で保存される。その元の梱包内で保存された場合、有効期間は、放射能基準時間後2日であり、その後には、薬物製品は適切に廃棄されるべきである。
【0162】
177 Lu-PSMA I&Tの調製及び投与
177Lu-PSMA I&Tの投与は、表示された使用期限までに行われなければならない。全ての測定の時間は、単一の時計を基準として文書に記録されるべきである。可能であれば、線量キャリブレータの時計は、この基準時計に同期されるべきである。バイアル中の放射能の量は、各投与の前及び後に測定されるべきである。線量測定値及び時間がeCRFに入力されると、壊変補正した投与された線量がeCRFにおいて計算される。
【0163】
177Lu-PSMA I&T投与の前に、留置IVカテーテルを肘前静脈(好ましくは)中に挿入すべきである。開存性を確認するために、10mL以上の生理食塩水でIVラインを洗い流すべきである。用量が血管外遊出しないようにするために、用量は、注意深く観察しながら、1~10分間にわたって、ゆっくりと押すことによって、又は自動ポンプを用いて投与されるべきである。投与が完了したら、10mL以上の生理食塩水でラインを洗い流すべきである。
【0164】
必要であれば、注入は、患者に合わせて中断されてもよい(例えば、患者は、トイレを使用する必要があり、吐き気又は嘔吐、不安を経験する)。治験責任医師が、投与が許容できないリスク、過度の安全上の危険を呈すると決定しなければ、又は患者の医学的状態が急速に悪化し、注入が継続できないか、又は医療若しくは外科的ケアを妨げれば、注入は継続されるべきである。予定された日に注入を完了することが可能であれば、たとえ中断を伴っても、注入を進めるべきである。
【0165】
対照群
B群に無作為に割り振られた患者は、以下に定義されるようなアビラテロン又はエンザルタミドを与えられる。
・エンザルタミド、ダロルタミド又はアパルタミドのいずれかで進行している患者は、承認された製品表示に従って1000mg1日1回のアビラテロンに加えて、5mg1日2回の用量のプレドニゾンを与えられる。
・アビラテロンで進行している患者は、1)承認された製品ラベルに従って処方された160mg1日1回のエンザルタミド、又は2)承認された製品表示に従って処方された1000mg1日1回のアビラテロンに加えて、0.5mg1日1回の用量のデキサメタゾンのいずれかを与えられる。
【0166】
製品表示に従った用量変更を除いて、患者の治療は、無作為化治療段階全体を通じて不変でなければならない。
【0167】
治療コンプライアンス
177Lu-PSMA I&T、18F-DCFPyL、及び68Ga-PSMA-11は、治験責任医師又は資格のある被指名人の監督下で投与される。治験薬注射の詳細は、各患者のeCRFに記録される。
【0168】
アビラテロン又はエンザルタミド治療レジメンは、標準的な臨床投薬に従って自己投与される。患者は、標準治療及び適切な所轄官庁が承認した薬物表示に従って治療を受けるように指示される。処方された投薬スケジュールの遵守は、各来院時に評価され、情報はeCRFに入力される。
【0169】
無作為化、層別化、及び盲検化
無作為化は、患者の適格性を確認した後、試験治療を開始する前に、IVRS/IWRSを用いて2:1の比で行われる。登録プロセスでは、以下の段階を踏む。
・治験責任医師は、いずれかの研究固有の手順が実施される前に、患者から書面によるインフォームドコンセントを得る。治験に同意した患者のスクリーニング記録は、治験責任医師によって当該施設において保管されるべきである。
・同意に署名した全ての患者は、音声/ウェブ自動応答システム(Interactive Voice/Web Response System、IVRS/IWRS)を使用して固有の連続登録番号を割り当てられる。この登録番号は、試験文書及びeCRF上の患者を識別するために使用される。
・BICRによるPSMA集積確認を含む患者の適格性の決定時に、IVRS/IWRSを使用して無作為化を実施する。患者は、無作為化後できるだけ早く試験治療(177Lu-PSMA I&T又は対照群)を開始すべきである。無作為化と対照群に対する治療の最初の用量との間の最大期間は3週間である。患者への177Lu-PSMA I&Tのタイミングは、薬物の輸送及び安定性に関するタイムラインによって決定される。
【0170】
患者の層別化
無作為化は、去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対する従前のタキサン治療(あり又はなし)、ビスホスホナートの従前の使用(あり又はなし)、従前のARATでの転移状態(M0又はM1)、及び試験開始時の測定可能な疾患(あり又はなし)によって層別化される。
【0171】
従前及び同時の治療
患者が無作為化の前30日以内に完了した全ての治療(市販薬又は処方薬、ビタミン、及び/又はハーブ系サプリメント、又は医療処置を含む薬物治療)は、使用理由、開始日及び終了日を含む投与日、並びに用量及び頻度を含む投薬情報を含めてeCRFに記録されなければならない。
【0172】
許可された/禁止された薬剤
許可された薬剤
以下の薬剤は、いずれの群に対しても許可される。
・以前に外科的去勢を受けていない患者は、試験全体を通じて、LHRH類似体治療を受けていなければならず、受け続ける意思がなければならない。
・続発性ミネラルコルチコイド過剰症候群を予防するためのグルココルチコイドの事前に指定された継続使用は許可されるが、B群に対するARATレジメンの一部として処方される場合を除き、無作為化後に追加されるべきではない。
・事前に指定されたビスホスホナート又はデノスマブは、用量が安定であり、試験治療の少なくとも4週間前に開始されるが、無作為化後に開始されるべきではないという条件で許可される。
・対症療法的外照射。
・骨関連事象を治療するための対症療法的外科的処置。
・がん関連疼痛のためのオピオイドは、同意の前30日以内に許可されないが、無作為化後には開始されてもよい。
【0173】
治験責任医師の裁量は、患者の安全を確保するための上記ガイドラインからのあらゆる逸脱のために使用されるべきである。逸脱は、eCRFに記録され、継続する適格性の評価のために治験実施責任者に伝えられるべきである。
【0174】
禁止された薬剤
ある特定の態様では、試験に参加している間、以下の薬剤は禁止される。
・他の治験薬。
・他の全身放射性同位体。
・ポリADPリボースポリメラーゼ阻害剤。
・細胞毒性化学療法。
・半身放射線療法。
【0175】
線量変更
対照群
対照群におけるアンドロゲン受容体阻害剤(ARAT)投与は、承認された製品表示に従って変更される。
【0176】
177 Lu-PSMA I&T線量低減
患者が以下の毒性のいずれかを経験する場合、6.8GBqでの更なる投薬は中止されるべきであり、対象が治療を再開するための基準を満たしたら、その後の線量は5GBqに低減されるべきである。
・ANC<1.0×109/Lとして定義される重度の好中球減少症グレード2以上の出血を伴う50.0×109/L~25.0×109/L未満の血小板数として定義される血小板減少症又は出血を伴って若しくは伴わずに1週間持続するか、若しくは任意の時点で10,000/μL未満の血小板数のグレード4血小板減少症(血小板数<25×109/L)を含む、グレード3以上の血液毒性。
・1)3.0×ULNを超えるクレアチニン上昇又は2)CrCl<15mL/分/1.73m2として定義される腎疾患として定義されるグレード3以上の治療関連腎毒性。
・次の処置サイクルまでに、CTCAE v5.0グレード1、又はベースライン値まで低下しなかったグレード3以上の口内乾燥、唾液腺炎、又はドライアイ。
・治験責任医師によって用量制限的であると見なされた他の有意な処置関連毒性。
【0177】
投薬が中断されたら、投薬が5GBqで再開され得るより前に、用量制限毒性がCTCAE v5.0グレード1以下又はベースライン値に回復するまで、対象は、CBC及び/又はクレアチニンを含む血液生化学検査並びにAEモニタリングを隔週で評価されるべきである。前回の投与から16週間後までに、値が回復しなかった場合、更なる投薬からの恒久的な中止が行われるべきであり、対象は、疾患の進行、安全性及び生存を追跡するために本試験に留まるように求められる。
【0178】
177 Lu-PSMA I&T投与遅延
上で特定された基準に加えて、177Lu-PSMA I&T投与はまた、治験責任医師の裁量及びメディカルモニターとの協議での任意の他の理由のために遅延されてもよい。
【0179】
投与が16週間を超えて遅延される場合、恒久的な中止が行われるべきである。
【0180】
試験介入の中断
患者は、以下の理由で、試験治療を中断してもよい。
・患者の自由な判断。
・AE/SAE。
・治験責任医師及び/又は治験実施責任者によって決定された、試験プロトコル手順及び評価の著しい不遵守。
・RECIST 1.1及びPCWG3によって定義される、BICRによる客観的な放射線学的進行。
・明確な臨床的進行:1)疾患進行によるものと疑われる前立腺がん疼痛の新たな発症に対する慢性オピオイド使用の開始。慢性使用は、14日の期間内に連続して7日を超えるか、若しくは10日を超える毎日の使用、又は2)細胞毒性を有する化学療法を開始する差し迫った必要性、又は3)(疾患進行を示す場合を除く、ベースラインで存在する骨転移の部位での疼痛の治療における)対症療法的放射線療法を除く、前立腺がん進行の合併症に対する放射線療法若しくは外科的療法、又は4)前立腺がんによるECOGパフォーマンスステータスの3以上への悪化として定義される。
・投与が16週間を超えて遅延される場合、恒久的な中止が行われるべきである。試験治療を中止した理由は、全ての関連する詳細(中止日、関連症状、及び適用可能な治療)と共にeCRFに記録されなければならない。試験治療のあらゆる中断は、施設の治験責任医師が事象に気づいてから48時間以内に治験実施責任者に連絡されなければならない。
【0181】
患者が、BICRによって評価された放射線学的進行が宣言されるより前に試験治療を中断する場合、彼らは、評価のスケジュールに従って、BICR及びOSによる放射線学的進行について追跡されるべきである。
【0182】
後期放射線毒性(例えば、続発性悪性腫瘍及び腎毒性)は、LTFUを通じて収集される。
【0183】
試験からの患者の離脱
試験治療及びプロトコルで義務付けられた評価を中止した場合、患者は、試験から離脱したと見なされる。患者は、以下の理由により、試験から除外される場合がある。
・不正確な登録(すなわち、適格性基準を満たしていないにもかかわらず登録)。
・患者の自由な判断(すなわち、自発的な離脱)。
・経過観察不能。
・死亡。
【0184】
同意を撤回する全ての患者について、eCRFに理由を記録すべきである。患者が将来の情報の開示に対する同意を撤回した場合、治験実施責任者は、そのような同意の撤回の前に収集されたあらゆるデータを保持し、使用を継続してもよい。
【0185】
患者が試験から離脱する場合、患者は、採取されて試験されなかったあらゆるサンプルの破壊を要求してもよく、治験責任医師は、これを施設の研究記録に文書として記録しなければならない。
【0186】
早期の試験終了
停止規則は、線量測定段階及び無作為化治療段階の両方に適用される。試験は、以下の理由のいずれかによって中断され、場合によっては停止される。
・死因が予想外であり、少なくとも177Lu-PSMA I&Tに関連する可能性があると評価され、治験実施責任者の判断において治験患者の更なる投薬に禁忌であると見なされたあらゆる患者における死亡。
・メディカルモニターの判断において、iDSMBによる即座の判定を必要とするほど重大であると見なされた任意の治療関連事象。これには、任意の治療関連症候性及び/又は不可逆的治療関連グレード4血液毒性、腎毒性、涙腺毒性(例えば、ドライアイ)、又は唾液腺毒性(例えば、口内乾燥症)が含まれてもよい。
・DSMB及び治験実施責任者の意見において、治験患者の更なる投薬に対して禁忌となる177Lu-PSMA I&Tに関連して評価された任意の他の安全性所見。
【0187】
スクリーニング手順
以下の手順及び評価は、患者が書面によるインフォームドコンセントを提供した後、試験への無作為化の前に行われる。患者の日常的な臨床管理(例えば、血球数)の一部として行われ、ICFの署名の前に取得された手順は、当該手順がプロトコルで指定された基準を満たし、SOAにおいて定められた時間枠内で実行された場合には、スクリーニング又はベースライン目的のために利用されてもよい。
【0188】
試験への適格性を確認するために必要とされる全てのスクリーニング手順は、登録又は無作為化の前6週間以内に完了しなければならない。全てのデータは、eCRFに記録される。
【0189】
調査のタイミング
臨床評価病歴、完全な身体検査、形態計測測定(身長、体重)、バイタルサイン、ECG、ECOG、SAEの記録、以前の投薬の記録、登録/無作為化の前6週間以内の併用薬の記録(全ての対象)。
【0190】
治療歴病理学及び/又は組織学腫瘍マーカーPSA血液学WBC数、白血球三峰性粒度分布(3-part differential)、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均血球体積、血小板計数血液化学電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、炭酸水素塩、リン酸塩、マグネシウム)、総タンパク質、血清クレアチニン、アルブミン、グルコース(非絶食時)、ALP、LDH、CK、総ビリルビン、AST、ALTを含む、前立腺がんに対する過去の治療。
【0191】
追加の血液検査
テストステロン
放射線学PSMA-PET
任意選択の18F-FDG PET
他の全ての適格性要件が完了した後、無作為化の前30日以内。
PCWG3推奨に概説されるように、RECIST v1.1基準を使用して、画像診断CT/MRI胸部、腹部、骨盤;
全身骨スキャン、登録/無作為化の前6週間まで。
【0192】
調査のタイミング
177Lu-PSMA I&T投与前の臨床評価
限定的な身体検査、体重測定、ECOG
177Lu-PSMA I&T注入の前及び治療期間中の各サイクルの最後の訪問(4、8、12、16、20、24及び28週目)、並びにEOT
177Lu-PSMA I&T投与前及び後の臨床評価。
ECG 177Lu-PSMA I&Tによる全ての治療の注入前及び注入後(投与後4時間以内)並びにEOT
腫瘍マーカーPSA最初の177Lu-PSMA I&T治療の週、注入前、及び治療期間中4週間ごと、進行訪問時、EOT時、及びEOTまでに進行が起こらなかった場合、進行まで8週間ごと
血液学WBC数、WBC粒度分布(三峰性)、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均血球体積、血小板数
177Lu-PSMA I&T注入の前、及び注入の間は2週間ごと、進行訪問時、及びEOT時
血液化学電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、炭酸水素塩、リン酸塩、マグネシウム)、総タンパク質、血清クレアチニン、アルブミン、グルコース(非絶食時)、ALP、LDH、CK、総ビリルビン、AST、ALT
バイタルサイン血圧、心拍数、体温、呼吸数
線量測定ベースライン(0.5~2時間[排尿前]、24時間[±4時間]、48時間[±4時間]、72時間[±4時間]、及び140~196時間)での全身平面画像。
画像診断CT/MRI胸部、腹部、骨盤、全身骨スキャン
8週目、16週目、24週目、EOT、及び進行まで8週間ごと
臨床試験用医薬品(すなわち、PSMA画像化剤)の最初の投与からEOTまで訪問ごと
SAEスクリーニングからEOTまで訪問ごと
後期放射線毒性EOTまでに進行が起こらなかった場合、LTFUまで8週間ごと
【0193】
併用薬
併用薬の判定 EOTまで訪問ごと
進行がEOTまでに起こらなかった場合、抗がん療法の使用(禁止されているが)は、進行まで8週間ごとに収集される
オピオイドの使用 オピオイド薬剤の判定 オピオイド使用の開始まで訪問ごと
生活の質FACT-Pベースライン並びに8週目、16週目、24週目、及びEOT
疼痛評価BPI-SF、AQA、骨事象の判定1日目及び治療期間中の各サイクル(4、8、12、16、20、24及び28週目)の最後の訪問及びEOT時
進行がEOTまでに起こらなかった場合、進行まで8週間ごとにAQAを完了する
画像診断PSMA PET進行の時点
【0194】
177 Lu-PSMA I&T無作為化治療期間
A群に無作為に割り振られた患者は、177Lu-PSMA I&T治療のサイクル中に以下の調査を受ける。
【0195】
調査のタイミング
177Lu-PSMA I&T投与前の臨床評価
限定的な身体検査、体重測定、ECOG各177Lu-PSMA I&T注入の前及び治療期間中の各サイクルの最後の訪問(4、8、12、16、20、24及び28週目)、並びにEOT
177LuPNT2002投与前及び後の臨床評価
ECG 177Lu-PSMA I&Tでの全ての治療の注入前及び注入後(投与後4時間以内)並びに及びEOT時腫瘍マーカーPSA最初の177Lu-PSMA I&T治療の週、注入前、及び治療期間中4週間ごと、進行訪問時、EOT時、及びEOTまでに進行が生じなかった場合には進行まで8週間ごと血液学WBC数、WBC粒度分布(三峰性)、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均血球体積、血小板数177Lu-PSMA I&T注入前及び注入の間は2週間ごと、進行訪問時及びEOT時
血液化学電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、炭酸水素塩、リン酸塩、マグネシウム)、総タンパク質、血清クレアチニン、アルブミン、グルコース(非絶食時)、ALP、LDH、CK、総ビリルビン、AST、ALT
バイタルサイン血圧、心拍数、体温、呼吸数
【0196】
相関サンプル(任意選択)
応答を予測するための循環因子ベースライン及び8、16、24週目、並びにEOT PK血液及び尿サンプル(選択された施設から最大20人の患者)
ベースライン画像診断CT/MRI胸部、腹部、骨盤、全身骨スキャン8、16、24週目、EOT、及び進行まで8週間ごと
毒性AE177Lu-PSMA I&Tの最初の投与からEOTまでの全ての訪問
SAEスクリーニングからEOTまでの全ての訪問
後期放射線毒性EOTまでに進行が起こらなかった場合、LTFUの完了まで8週間ごと
【0197】
併用薬
併用薬の判定:EOTまで訪問ごと。進行がEOTまでに起こらなかった場合、抗がん療法の使用(禁止されているが)は、進行まで8週間ごとに収集される。
【0198】
調査のタイミング
オピオイドの使用 オピオイド薬剤の判定 オピオイド使用の開始まで訪問ごと
生活の質FACT-Pベースライン並びに8週目、16週目、24週目、及びEOT
疼痛評価BPI-SF、AQA、骨事象の判定1日目及び治療期間中の4、8、12、16、20、24及び28週目並びにEOT時
進行がEOTまでに起こらなかった場合、進行まで8週間ごとにAQAを完了する。
177Lu-PSMA I&T注入は、各サイクルの初日に行われ、第4のサイクル(サイクルの最大数)で終了する。第1のサイクルは最初の訪問(0週目)に始まり、その後8週間ごとに行われる。
【0199】
対照群治療
B群に無作為に割り振られた患者は、アビラテロン又はエンザルタミドで治療され、以下の調査を受ける。B群の進行する患者を評価し、適格であれば、177Lu-PSMA I&Tを与えるためにクロスオーバーする。
【0200】
対照群治療
調査のタイミング
臨床評価限定的な身体検査、体重測定、バイタルサイン、ECOG状態
最初の対照群治療の前、及びその後EOTまで4週間ごと。
腫瘍マーカーPSAベースライン(第1の対照群治療を受ける前)及び治療期間中4週間ごと、進行訪問時、EOT時、及びEOTまでに進行が起こらなかった場合、進行まで8週間ごと
血液学WBC数、白血球三峰性粒度分布、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均血球体積、血小板数ベースライン(第1の対照群治療を受ける前)、4週間ごと、進行訪問時及びEOT時
血液化学電解質、血清クレアチニン、グルコース(非絶食時)、カルシウム、リン酸塩、マグネシウム、アルブミン、総タンパク質、ALP、LDH、CK、ビリルビン、ALT、AST
バイタル血圧、心拍数、体温、呼吸数
画像診断CT/MRI胸部、腹部、骨盤、全身骨スキャン
8週目、16週目、24週目、EOT、及び進行まで8週間ごと
毒性AE臨床試験用医薬品(すなわち、PSMA画像化剤)の最初の投与からEOTまでの全ての訪問(AE評価は、2週間ごとであるべきであり、他の手順が必要とされなければ、通話を介して行うことができる。
SAEスクリーニングからEOTまでの全ての訪問(SAE評価は、2週間ごとであるべきであり、他の手順が必要とされなければ、通話を介して行うことができる)
併用薬併用薬の判定EOTに至るまでの全ての訪問進行がEOTまでに起こらなかった場合、抗がん療法の使用(禁止されているが)は、進行まで8週間ごとに収集される。
オピオイドの使用オピオイド薬剤の判定オピオイド使用の開始まで訪問ごと
生活の質FACT-P治療期間中の1日目及び8、16、24週目並びにEOT
疼痛評価BPI-SF、AQA、骨事象の判定1日目及び治療期間中の4、8、12、16、20、24及び28週目並びにEOT時
進行がEOTまでに起こらなかった場合、進行まで8週間ごとにAQAを収集する
治療コンプライアンスベースラインからEOTまでの治療コンプライアンスの判定
【0201】
進行訪問及びクロスオーバー
(上記のような)進行を示した全ての患者は、以下の手順を受け、全てのデータはeCRFに記録される。
・バイタルサインの評価及び記録。
・PSA測定。
・AE/SAEの評価及び記録。
・オピオイドの使用を含む併用薬の評価及び記録。
・対照群治療(B群)のコンプライアンスの最終評価及び記録。
・血液学。
・血液化学。
・治験責任医師の評価による第2の進行までの時間。
【0202】
A群の患者については、個々の進行についての基準(放射線学的、生化学的、又は臨床的)を満たした患者についてのその後の177Lu-PSMA I&T注入の継続投与は、治験責任医師と治験実施責任者の間での議論において決定される。
【0203】
以下に定義されているようにクロスオーバーに適格であるB群の患者については、SOAにおいてサイクル1、0週目に177Lu-PSMA I&Tの服用を開始する。しかしながら、これらの患者については、ECG及び相関サンプルは必要とされず、画像診断は現地で検討される。患者がクロスオーバーを選択せず、EOT訪問を完了していない場合、患者は、最終投与後8週間まで彼らの試験スケジュールに留まり、EOT/安全性経過観察訪問を完了し、次いでLTFUに入るべきである。
【0204】
クロスオーバーの適格性を決定するために、B群の患者は、以下の評価を受けなければならない。これらは、彼らの進行訪問の一環として行うことができる。彼らの進行訪問から30日を超えていた場合、これらを繰り返すべきである。
・対照群治療(B群)のコンプライアンスの最終評価及び記録。
・バイタルサイン。
・血液学、血液化学、及びPSA。
・AE/SAE、オピオイド使用を含む併用薬、及び骨事象判定。
・FACT-P及びBPI-SF質問票。
・AQA。
・腫瘍評価(CT/MRI及び全身骨スキャン)。
【0205】
このクロスオーバーに適格であるためには、B群の患者は以下の基準を満たさなければならない。
・プロトコルのRECIST 1.1及びPCWG3によって定義されるように、BICRによる対照群治療での放射線学的進行を経験した。
・代替の抗がん療法を開始していない。
・進行中の制御されていない毒性がない。
・輸血に依存しない適切な臓器機能:
【0206】
骨髄予備能:
WBC数≧2.5×109/L又はANC≧1.5×109/L。
血小板≧100×109/L。
ヘモグロビン≧5.6g/dL。
【0207】
肝機能:
総ビリルビン≦1.5×施設のULN。既知のジルベール症候群を有する患者については、≦3×ULNが許容される。
ALT又はAST≦3.0×ULN。
【0208】
腎機能:
血清/血漿クレアチニン≦1.5×ULN又はクレアチニンクリアランス≧50mL/分。
アルブミン≧30g/L。
【0209】
患者がクロスオーバーに適格でない場合、彼らは代わりに試験終了訪問を完了し、長期経過観察に入るべきである。
【0210】
18 F-FDG PET(任意選択)
18F-FDG PET CT/MRI画像診断は、検出された病変の代謝活動を評価するために、施設の標準手順に従ってスクリーニング時に実施される。この検査は任意選択であり、この追加検査に同意した患者についてのみスクリーニング時に実施される。
【0211】
PSMA-PET
PSMA-PET画像診断は、無作為化の30日以内に、但し、全ての他の適格性評価が行われた後に行われる。
【0212】
PSMA画像診断は、治験実施責任者による調整のとおりに、68Ga-PSMA又は18F-DCFPyLを使用して実施される。PSMA集積部位を特定し、トレーサ取り込みを定量化して適格性並びに治療応答及び/又は進行との相関を決定するために、PET画像は、中央で検討される。
【0213】
中央判定によって決定される高いPSMA集積は、以下のように定義される。
・測定可能な疾患(RECIST 1.1基準による)を有する患者については、
・疾患の1つの部位において15以上の閾値標準取込値(SUV)max、及び/又は
・全ての測定可能な疾患部位において10を超えるSUVmax。
・測定可能な疾患を有さない患者については、10を超える少なくとも1つの陽性病変SUVmaxが明らかでなければならない。
【0214】
進行
放射線学的進行は、BICRによってのみ確認されるべきである。生化学的又は臨床的進行の徴候を示す患者については、CT/MRI及び全身骨スキャンを用いてこの進行を確認するためにあらゆる努力がなされるべきである。治験責任医師と中央読影者との間に不一致が存在する場合、その問題は、解決のためにメディカルモニターに提供されるべきである。
【0215】
進行のために中止するいずれの群の患者も、進行訪問に参加する。患者が、確認された、BICRによって評価された放射線学的進行が宣言されるより前に試験治療を中断する場合、彼らは、SOAに従って、BICR及びOSによる放射線学的進行について追跡されるべきである。
【0216】
BICRにより放射線学的に進行したB群の患者を評価し、適格であれば、SOAのサイクル1において177Lu-PSMA I&Tを与えられるようにクロスオーバーする。
【0217】
放射線学的進行
放射線学的進行の決定は、従来の画像診断に基づいてBICRによって行われる。
【0218】
CT及びMRI腫瘍評価
胸部、腹部、及び骨盤のCT又はMRI画像を使用して、PCWG3修正RECIST 1.1基準に従って進行について評価し、疾患の他の領域は、個々の患者の徴候及び症状に基づいて調査する。治療(177Lu-PSMA I&T又は対照群)の開始後に行われる全ての画像診断は、新たな疾患の任意の疑わしい部位を含むはずである。結節性及び内臓疾患の進行は、試験で観察された最小の合計と比較して、標的病変SODの20%以上の増加というPCWG3修正RECIST 1.1基準に従って決定される。標的病変SODは、少なくとも5mm増加しなければならない。
【0219】
骨スキャン
骨病変における放射線学的進行は、施設の標準技術に従って実施される骨シンチグラフィーによって評価される。骨スキャンで陽性として観察された部位は有意であると考えられるべきであり、悪性疾患の明確な部位は転移性骨病変として記録される。
【0220】
骨疾患の進行は、オントリートメントスキャンで2つ以上の新しい骨病変の出現、次の連続スキャン(確認スキャン)で少なくとも2つの追加の新しい病変が見られるというPCWG3基準に従って決定される。
【0221】
生化学的進行
生化学的進行は、PCWG3基準に従って、1週間の間隔を空けて取られた、ベースラインを上回るPSAの2つの連続的な増加測定として決定される。PSAレベルは2.0ng/mL以上でなければならない。患者は、生化学的進行のために治療を中止されるべきではない。治療段階からの早期離脱を防止するために、PSA結果は、中間分析又は最終分析より前に施設に送り返されない。
【0222】
明確な臨床的進行
臨床的進行は、177Lu-PSMA I&T治療又は対照群治療単独からの患者への更なる利益の欠如及び以下のうちの1つ以上:
・14日の期間内に連続して7日を超えるか、若しくは10日を超える毎日の使用として定義される、疾患進行に起因すると疑われる前立腺がん疼痛の新たな発症に対する慢性オピオイド使用の開始、又は
・前立腺がんに対する細胞毒性化学療法を開始する差し迫った必要性、又は
・前立腺がんに起因する3以上へのECOGパフォーマンスステータスの悪化、又は
・(疾患進行を示す場合を除く、ベースラインで存在する骨転移の部位での疼痛の治療における)対症療法的放射線療法を除く、前立腺がん腫瘍進行の合併症に対する放射線療法又は外科的療法、
として定義される。
【0223】
BICRによる放射線学的進行が宣言されるまで、患者に試験治療を続けるためのあらゆる試みがなされるべきである。
【0224】
症候性骨関連事象
以下のうちの1つ以上の発生は、症候性骨関連事象(symptomatic skeletal related event、SSRE)と考えられるべきである。
・骨症状を予防又は軽減するための放射線療法の使用。
・新たな症候性病的骨折(脊椎又は非脊椎)の発生。放射線学的証拠文書が必要である。
・脊髄圧迫症の発生。放射線学的証拠文書が必要である。骨転移に対する整形外科的介入。
【0225】
PSA測定及び応答
PSA評価のための血液サンプルの収集は、治療期間中に行われる。
【0226】
血液PSAレベルの定量化は、中央検査室によって実施され、結果は施設に対して盲検化される。
【0227】
いずれかの投与後訪問時のPSAレベルがベースラインと比較して50%以上低下している場合、患者は、単一のPSA訪問応答(PSA visit response)を有すると見なされる。
【0228】
患者が、少なくとも3週間後の次の評価で確認されるベースラインと比較した50%以上のPSAレベルの低下(すなわち、少なくとも3週間の間隔を置いた2つの連続した機会で文書に記録された、少なくとも50%の、ベースラインに対する減少)を有する場合、患者は確認されたPSA応答を有すると見なされる。
【0229】
ECOG評価
治験責任医師又はその代理人は、パフォーマンスステータスのECOGスケールを使用して患者のパフォーマンスステータスを評価する。ECOGスケールは、セルフケア、日常活動、及び身体活動の能力に関して患者の機能を評価する。
【0230】
ECOGパフォーマンスステータスの等級付け
0 完全に活動でき、制限なく全ての疾患前の動作を維持することができる
1 身体的に激しい活動が制限されているが、歩行が可能であり、軽い作業又は座って行う作業、例えば、軽い家事、事務作業を行うことができる
2 歩行可能であり、全てのセルフケアが可能であるが、いかなる作業活動も行うことができない、歩行している時間のうち約50%を超えて元気に動ける
3 限られたセルフケアのみが可能、起きている時間のうち50%を超えてベッド又は椅子の上で過ごす
4 完全に身体障害状態、一切のセルフケアを行うことができない、常にベッド又は椅子の上で過ごす
5 死亡
【0231】
PSA応答
PSA応答は、少なくとも3週間後の第2の連続的PSA評価によって確認される、ベースラインから最も低いベースライン後PSA結果まで、PSAの50%以上の減少を達成する患者の割合として定義される。
・いずれかの投与後訪問時のPSAレベルがベースラインと比較して50%以上低下している場合、患者は、単一のPSA訪問応答(PSA visit response)を有すると見なされる。
・患者が、少なくとも3週間後の次の評価で確認されるベースラインと比較した50%以上のPSAレベルの低下(すなわち、少なくとも3週間の間隔を置いた2つの連続した機会で文書に記録された、少なくとも50%の、ベースラインに対する減少)を有する場合、患者は確認されたPSA応答を有すると見なされる。
【0232】
PSA応答者の数及びパーセンテージを治療群ごとに提示する。2つの治療群間の応答者の割合の差についての95%信頼区間が表示される。
【0233】
生化学的無増悪生存期間
無作為化の日から、PCWG3による3週間以降の進行又は進行の非存在下での任意の原因による死亡を定義する第2のPSA測定によって確認されたベースラインから25%以上の及び最下点を2ng/mL以上上回る最初のPSA増加の日までの時間として定義される。
【0234】
試験から離脱した患者又は経過観察が不能となった患者を含む進行又は死亡しない患者は、予定された訪問又は予定されていない訪問からの最後の有効なPSA測定の日に打ち切られる。
【0235】
bPFSは、95%CIと共にカプラン・マイヤー推定値を使用して記述される。概要は、危険がある数、事象を有する患者の数、及び打ち切られた患者の数も含む。
【0236】
実施例3:予備臨床データ
SPLASH(NCT04647526)は、アンドロゲン受容体経路阻害剤(ARPI)療法後の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、上記の実施例1に記載されているプロトコルに従って、177Lu-PSMA I&T(177Lu-PNT2002)の有効性及び安全性を評価するための多国間第III相非盲検無作為化試験である。SPLASHは、前立腺がんにおける放射性リガンド治療のために現在承認されている適応症と比較して、治療経路においてより早期に、より少ない用量及びより低い用量を使用して放射性リガンド療法を評価するように設計されている。
(i)SPLASH線量測定結果:赤色骨髄への平均線量は0.034Gy/GBqであり、これは臨界閾値を十分に下回り、併用療法の潜在的な機会を可能にした。最大吸収線量を受ける臓器は、1.2Gy/GBqの涙腺であり、続いて0.73Gy/GBqの腎臓であった。
(ii)SPLASHの線量測定導入期サブスタディからの予備的な安全性及び有効性の結果:SPLASH研究は、無作為化を拡大する前に、27人の参加者の線量測定及び安全性導入期段階から始まった。図1を参照されたい。盲検独立中央判定によるPET/CTで高いPSMA取り込みを示す腫瘍を有し、CRPCに対して化学療法を受けたことがなく、ARPIで進行しており、並びに十分な骨髄及び終末器官予備能(end organ reserve)を有する参加者が登録された。全ての参加者は、8週間ごとに、1サイクル当たり6.8GBqで、最大4サイクルの177Lu-PNT2002を受けた。図2を参照されたい。177Lu-PSMA-I&Tを用いた以前の試験において有効であることが見出された線量を提供しながら、長期リスクを最小限にするために、この線量が選択された。
【0237】
SPLASH導入期コホートにおいて、rPFS期間の中央値は、同様の治療を受けている進行性mCRPC ARPI後不成功の個体についての3.5~4.2ヶ月の対照群ベンチマークと比較すると、11.5ヶ月であった。図3を参照されたい。ベースラインで評価可能な疾患を有する10人の参加者のうちの60%において、放射線学的客観的奏効(CR、PR)が達成された。図4は、完全寛解参加者のビネットを示す。後腹膜リンパ節標的病変(白い矢印によって示される)は、ベースラインで2.1cmの短軸測定値を有し、病変の完全寛解は11ヶ月目に画像で示された。
【0238】
177Lu-PSMA I&T(177Lu-PNT2002)は、良好な忍容性を示し、治療関連死はなく、グレード3以上の治療関連AEはほとんどなかった。図5を参照されたい。
【0239】
実施例で使用される略語及び用語の一覧表
177Luルテチウム-177
ADTアンドロゲン除去療法
AE有害事象
AESI特に興味深い有害事象
ALPアルカリホスファターゼ
ALTアラニンアミノトランスフェラーゼ
ANC好中球絶対数
AQA鎮痛剤定量化アルゴリズム
ARATアンドロゲン受容体軸標的化
ART放射能基準時間
ASTアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
BICR盲検独立中央判定
bPFS生化学的無増悪生存期間
BPI-SF簡易疼痛質問票-短縮版
CI信頼区間
CMHコクラン・マンテル・ヘンツェル
CR完全寛解
CRPC去勢抵抗性前立腺がん
CTコンピュータ断層撮影
CTCAE有害事象に関する共通用語基準
DCO中断
DOR応答の持続時間
DMCデータ監視委員会
DSMCデータ安全性監視委員会
ECG心電図検査
ECOG米国東海岸がん臨床試験グループ
eCRF電子症例報告フォーム
EQ-5D-5L EuroQol 5次元5レベル健康状態効用指数
EOT治療の終了
FACT-Pがん治療の機能評価-前立腺がん
FDA食品医薬品局
FDG-PETフルオロデオキシグルコース-ポジトロン放出断層撮影
GBqギガベクレル
GCP優良臨床試験基準
GCP IIグルタミン酸カルボキシペプチダーゼII
Gyグレー
HDL高密度リポタンパク質
HRハザード比
HRQoL健康に関連する生活の質
HSPCホルモン感受性前立腺がん
ICH医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議
IRB治験審査委員会
ITT治療の意図
IV静脈内注入
IVRS音声自動応答システム
IWRSウェブ自動応答システム
LDL低密度リポタンパク質
LHRH黄体形成ホルモン放出ホルモン
MBqメガベクレル
MGyメガグレイ
mCRPC転移性去勢抵抗性前立腺がん
MRI磁気共鳴映像法
NAALADase I N-アセチル-L-アスパルチル-L-グルタミン酸ペプチダーゼI
OAE他の有害事象
ORR客観的奏効率
OS全生存期間
PARPポリADPリボースポリメラーゼ
PCA前立腺がん
PCWG3前立腺がんワーキンググループ3
PD進行性疾患
PETポジトロン放出断層撮影
PFS無増悪生存期間
PK薬物動態
PPパープロトコル
PR部分奏効
PSA前立腺特異抗原
PSMA前立腺特異的膜抗原
rPFS放射線無増悪生存期間
QoL生活の質
REB研究倫理委員会
RECIST固形腫瘍効果判定基準
SAE重大な有害事象
SAP統計解析計画
SD安定状態
SOA活動のスケジュール
SOC標準治療
SOD直径の合計
SSRE症候性骨関連事象
SOP標準業務手順
SPECT単一光子放射型コンピュータ断層撮影法
SUV標準取込値
TOC較正の時間
ULN正常上限
USPI米国の添付文書
WBC白血球数
【0240】
実施例の参照文献
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【0241】
参照による組み込み
本明細書で引用された全ての特許、公開された特許出願、ウェブサイト、及び他の開示の全内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺がんに罹患している対象の治療に使用するための、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を含む治療剤であって、
前記対象が、i)1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の間又は後に前立腺がんの進行を示し、ii)前記1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の前に化学療法を受けたことがなく、
前記治療剤が、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤が4~10Gbqの線量を提供する量で前記対象に投与されるように用いられることを特徴とし、前記対象が、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤を、4週間又はそれより長い投与間間隔で少なくとも4回投与される、治療剤。
【請求項2】
前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤が、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である、請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
前記対象が、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シメチジン、オルテロネル、ガレテロン、セビテロネル、トピルタミド、ビカルタミド、フルタミド、及び/又はニルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項4】
前記対象が、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、及び/又はダロルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項5】
前記対象が、アビラテロン、アパルタミド、及び/又はダロルタミドのうちの1つ以上による治療の間にがんの進行を示している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項6】
前記対象が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療の少なくとも1ヶ月後にがんの進行を示している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項7】
1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤による治療が、ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドを投与する前に対象に施される唯一の化学療法である、請求項1に記載の治療剤。
【請求項8】
前記対象が、タキサン化学療法を受けたことがない及び/又はタキサン化学療法が有害である、請求項1に記載の治療剤。
【請求項9】
前記対象が、健康な対象と比較して上昇したPSMA発現を示す、請求項1に記載の治療剤。
【請求項10】
前記対象が、前記がんのPSMA発現を画像化することによって特定される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項11】
前記対象が、疾患の1つの部位において15以上のPSMA発現標準取込値(SUV)maxを示し、及び/又は全ての測定可能な疾患部位において10より大きいSUVmaxを示す、請求項1に記載の治療剤。
【請求項12】
前記対象が、10より大きい少なくとも1つの陽性病変SUVmaxを示す、請求項1に記載の治療剤。
【請求項13】
前記対象が、上昇したPSAレベルを示す、請求項1に記載の治療剤。
【請求項14】
前記対象が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤を用いた治療の間のがんの進行の放射線学的評価に基づいて特定される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項15】
前記対象が、上昇したPSAレベルに基づいて特定される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項16】
1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤の投与が、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体を投与する前に終了される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項17】
前記対象が、PSMAを発現するがんに罹患している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項18】
前記対象が、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に罹患している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項19】
前記対象が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)高集積病変を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に罹患している、請求項1に記載の治療剤。
【請求項20】
ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体が、1つ以上の別個の化学療法剤と組み合わせて投与される、請求項1に記載の治療剤。
【請求項21】
ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体が、以下の構造:
【化1】
を含む、請求項1に記載の治療剤。
【請求項22】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の治療剤。
【請求項23】
前立腺がんに罹患している対象を治療するための薬剤の製造における、177Lu-PSMA I&Tの使用であって、前記対象が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤での処置の間に前立腺がんの進行を示す、使用。
【請求項24】
がんに罹患している対象を治療するための薬剤の製造における、177Lu-PSMA I&Tの使用であって、前記対象が、1つ以上のアンドロゲン受容体阻害剤を投与した後にがんの進行を示す、使用。
【請求項25】
キットであって、
対象への静脈内投与に適した、4~10Gbqの線量を提供するのに十分な量のルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤の医薬調製物と、
アンドロゲン受容体(AR)経路阻害で以前に治療されたことがあるが、タキサン化学療法を受けたことがないか、又はタキサン化学療法が有害である、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)を示す対象の治療における前記放射性リガンド剤の使用のための指示を含む添付文書と、を備える、キット。
【請求項26】
前記添付文書の前記指示が、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド療法を少なくとも4回、かつ4週間又はそれより長い投与間間隔で患者/患畜に投与するためのガイダンスを含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記添付文書が、前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドの有効期間が、前記キットにおける使用のための前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンドの前記医薬調製物の合成及び製剤化の終了から120時間であるという表示を更に含む、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記添付文書が、PSMA標的化画像化剤を使用して患者/患畜を選択するための指示を更に含む、請求項25に記載のキット。
【請求項29】
前記添付文書が、患者/患畜が経口水分摂取量を確実に増加するようにし、膀胱放射線照射を低減するために可能な限り頻繁に排尿するように患者/患畜に助言するための指示を更に含む、請求項25に記載のキット。
【請求項30】
前記ルテチウム-177標識PSMA標的化放射性リガンド剤が、ルテチウム-177とEuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAの錯体である、請求項25に記載のキット。
【請求項31】
ルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体が、有効期間内に6.8GBq+/-10%を提供するのに十分な単回投与形態で提供される、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記添付文書が、各投与の間に8週間の間隔を空けて、前記ルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体を患者/患畜に最大4回投与するための説明書を更に含む、請求項30に記載のキット。
【請求項33】
前記医薬調製物が、55~75mg/mLの濃度のアスコルビン酸ナトリウム及び16~36mg/mLの濃度のゲンチジン酸ナトリウムを含み、5.0~7.0の範囲のpHを有する、請求項30に記載のキット。
【請求項34】
前記医薬調製物が、前記医薬調製物の合成及び製剤化の終了時に、0.5~1.2GBq/mL、より好ましくは0.79~0.86GBq/mL±10%の放射能濃度(RAC)を有する、請求項30に記載のキット。
【請求項35】
前記医薬調製物が、250μg以下の総ペプチド含有量(EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGAとルテチウム-177 EuK-Sub-kf-ヨード-y-DOTAGA錯体の合計)、好ましくは180~250μgの範囲の総ペプチド含有量を有する、請求項30に記載のキット。
【請求項36】
前記医薬調製物が、単回投薬バイアル中に提供され、前記キットが、手持ち式の注入投与のためのシリンジシールドを有する使い捨てシリンジを任意選択で更に備える、請求項25に記載のキット。
【請求項37】
前記医薬調製物が、手持ち式の注入投与のためのシリンジシールドを有する使い捨てシリンジ中に提供される、請求項25に記載のキット。
【請求項38】
前記キットが、前記医薬調製物が、その中で、パッケージ化されたキットに入れて輸送される放射線遮蔽された金属塊容器を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項39】
前記添付文書が、以下の基準:
a)最下点を25%超及び2ng/mL超上回るPSAの増加として定義される血清/血漿PSA進行、
b)CSPC又はCRPC状況のいずれかにおける1回のARATによる以前の治療での進行、
c)PSMA-PETスキャン(すなわち、68Ga-PSMA-11又は18F-DCFPyL)陽性、
d)去勢循環テストステロンレベル(<1.7nmol/L又は<50ng/dL)、並びに/又は
e)十分な骨髄、腎臓、及び肝臓臓器機能
のうちの1つ以上に基づいて、患者/患畜が、同意の時点で進行性mCRPCを有さなければならないことを含む、患者/患畜の適格性についての指示を更に含む、請求項25に記載のキット。
【請求項40】
前記添付文書が、前記基準a)、b)、c)、d)、及びe)のそれぞれに基づいて、患者/患畜が同意の時点で進行性mCRPCを有さなければならないという患者/患畜適格性についての指示を含む、請求項39に記載のキット。
【国際調査報告】