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特表2024-541606インビトロ生合成の反応装置及びインビトロ生合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】インビトロ生合成の反応装置及びインビトロ生合成方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20241031BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20241031BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20241031BHJP
   B01F 29/63 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/91 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/222 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 35/53 20220101ALI20241031BHJP
   B01F 101/44 20220101ALN20241031BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/00 D
C12M1/02 A
C12P21/00 A
B01F29/63
B01F35/91
B01F35/221
B01F35/222
B01F35/71
B01F35/75
B01F35/53
B01F101:44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532361
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2022135274
(87)【国際公開番号】W WO2023098697
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111448968.7
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210093573.8
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210095041.8
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210093587.X
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202220528915.X
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210239438.X
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520037016
【氏名又は名称】康碼(上海)生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】KANGMA-HEALTHCODE (SHANGHAI) BIOTECH CO., LTD
【住所又は居所原語表記】BUILDING 12, 118 FURONGHUA ROAD, PUDONG NEW AREA, SHANGHAI 201321,PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェンファン
(72)【発明者】
【氏名】ユウ, シュエ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
4B029AA11
4B029AA12
4B029AA23
4B029BB15
4B029DF01
4B029GA03
4B064AG01
4B064CC21
4B064CC24
4B064CD15
4B064DA20
4G036AA06
4G037AA01
4G037AA11
4G037CA01
4G037CA18
4G037DA30
4G037EA05
(57)【要約】
本発明は、現在のインビトロ生合成で拡大生産できないという問題を解決するために、インビトロ生合成の反応装置及びインビトロ生合成方法を提供する。インビトロ生合成の反応装置は、タンパク質合成反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うように構成された反応本体であって、合成用反応液を反応本体内に流入させる供給口と、反応後の生成物を排出する排出口とを有する開口部が設けられた反応本体と、反応本体の内部空間を不完全に仕切るように構成された仕切り部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うように構成された反応チャンバ本体であって、前記合成用反応液を前記反応チャンバ本体内に流入させる供給口と、反応後の生成物を排出する排出口とを有する開口部が設けられた反応チャンバ本体と、
前記反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切るように構成された仕切り部と、を含む、ことを特徴とするインビトロ生合成の反応装置。
【請求項2】
前記反応チャンバ本体は、缶体であり、好ましくは、横型缶体である、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記仕切り部は、少なくとも1つの仕切り部材を含み、
好ましくは、前記仕切り部材は、シート状であり、及び/又は複数の前記仕切り部材は、等間隔に分布する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記仕切り部材の長さは、曲線又は折れ線で延伸し、及び/又は前記仕切り部材の長さの両端を結ぶ線が位置する線と、該長さの延伸方向と同方向の前記反応チャンバ本体の内部空間の中心軸線との間に夾角aを有し、好ましくは、好ましくは、前記夾角aは、60°以下であり、好ましくは、45°以下であり、さらに好ましくは、20°以下である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記仕切り部材は、前記反応チャンバ本体の内壁に回転可能及び/又は回転不能に固定して設けられ、
好ましくは、シート状の仕切り部材の一方の側辺は、前記反応チャンバ本体の内壁に面し、及び/又は、シート状の仕切り部材の前記内壁から離れた他方の側辺には、凹み領域が設けられ、
さらに好ましくは、シート状の仕切り部材の一方の側辺が前記反応チャンバ本体の内壁に面する場合、前記仕切り部材のシート状表面と、対向する前記内壁との間の夾角は、90°に等しくない、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項6】
使用中に、前記反応チャンバ本体を回転させることにより前記反応を行い、
好ましくは、前記反応チャンバ本体の水平中心軸線を水平状態からずらす、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項7】
前記仕切り部材に少なくとも1つの流動孔が設けられ、及び/又は、前記仕切り部材が前記内壁に設けられる場合、前記仕切り部材と前記内壁との間に少なくとも1つの断続部があり、好ましくは、少なくとも1つの前記仕切り部材における前記流動孔が均一に分布し、及び/又は、少なくとも1つの前記仕切り部材に対応する前記断続部が等間隔に分布する、ことを特徴とする請求項3~7のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項8】
前記開口部は、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気口、及び/又は前記内部空間のガスを排出する排気口を有する換気ユニットをさらに有し、
好ましくは、前記供給口、前記排出口、前記吸気口及び前記排気口のうちの1つ又は複数は、同一の開口である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項9】
吸気ユニット及び/又は排気ユニットをさらに含み、前記吸気口は、該吸気ユニットを介して外部ガスを前記内部空間に流入させ、前記排気口は、該排気ユニットを介して前記内部空間のガスを排気ユニットから排出する、ことを特徴とする請求項8に記載の反応装置。
【請求項10】
前記吸気ユニットは、少なくとも1つの吸気ダクトを含み、前記吸気ダクトの一端は、前記吸気口に面して前記内部空間に前記外部ガスを輸送し、
或いは、前記吸気ダクトの一端は、前記吸気口から前記内部空間に入り、この場合、好ましくは、少なくとも1つの前記吸気ダクトが前記反応チャンバ本体の水平方向に沿って延伸し、さらに好ましくは、少なくとも1つの前記吸気ダクトの前記内部空間に入った部分の管壁に少なくとも1つのガス抜き孔が設けられ、好ましくは、少なくとも1つの前記ガス抜き孔が均一に分布し、及び/又は、前記内部空間に入った前記吸気ダクトの一端が密封される、ことを特徴とする請求項9に記載の反応装置。
【請求項11】
前記排気ユニットは、排気ダクトを含み、好ましくは、前記吸気ダクトの両端の間の一部は、前記排気ダクトに設けられ、前記吸気ダクトの一端は、前記排気ダクトの一端から突出して前記内部空間に入り、前記吸気ダクトの他端は、前記排気ダクトの他端から突出してガス源と連通する、ことを特徴とする請求項10に記載の反応装置。
【請求項12】
供給口に合わせて前記供給口をカバーするカバーを有するカバーアセンブリをさらに含み、
好ましくは、前記カバーアセンブリは、シールリング、カバーロック及びロックハンドルをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項13】
前記請求項11を引用する場合、前記排気ユニットは、前記カバーに設けられた排気孔をさらに含み、前記排気ダクトは、前記排気孔を介して前記内部空間と連通する、ことを特徴とする請求項12に記載の反応装置。
【請求項14】
前記反応チャンバ本体を回転させる回転部をさらに含み、
好ましくは、前記回転部は、前記反応チャンバ本体に回転可能に接続されることにより前記反応チャンバ本体を回転させ、
及び/又は、前記回転部には、回転ホイールがさらに設けられ、前記反応チャンバ本体は、前記回転ホイールに設けられ、かつ前記回転ホイールは、前記反応チャンバ本体の回転に伴って回転する、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項15】
前記回転部は、駆動ユニットを含み、前記駆動ユニットの駆動により前記反応チャンバ本体を回転させる、ことを特徴とする請求項14に記載の反応装置。
【請求項16】
所定の温度条件を保持しながら前記反応を行うように構成された温度調節装置をさらに含み、
好ましくは、前記温度調節装置は、前記反応チャンバ本体の内部に流入したガスを温度調節して前記所定の温度条件を保持するように構成される、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項17】
前記反応チャンバ本体の内壁には、少なくとも1つの第1突起が配置され、
及び/又は、前記仕切り部材の外面に少なくとも1つの第2突起が配置される、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項18】
前記反応チャンバ本体に合わせて前記反応本体を収容するハウジングをさらに含み、
好ましくは、前記ハウジングは、
前記ハウジングには、開閉ドアが設けられ、好ましくは、前記開閉ドアに通気孔が設けられる特徴と、
前記ハウジングの外側にディスプレイが設けられ、好ましくは、前記ディスプレイは、前記ハウジングの頂部の外面に位置する特徴と、
前記ハウジングの外側には、物品を載置する載置台が設けられ、好ましくは、前記載置台の載置面には、滑り止め模様が設けられ、さらに好ましくは、前記ハウジングの頂部の外面は、前記載置台である特徴と、
前記ハウジングには、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気通路、前記反応チャンバ本体の内部空間のガスを排出する排気通路、合成用反応液を前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させてインビトロ生合成の反応を行う供給通路、反応後の生成物を排出する排出通路のうちのいずれか1つ又は複数が設けられる特徴とのいずれか1つ又は複数の組み合わせを有する、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の反応装置を用いて、合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行う、ことを特徴とするインビトロ生合成方法。
【請求項20】
前記反応を行うための合成用反応液の体積が反応チャンバ本体の容積に占める割合は、30%以下である、ことを特徴とする請求項19に記載のインビトロ生合成方法。
【請求項21】
前記反応の過程において、外部ガスを内部空間に導入し、及び/又は前記内部空間のガスを排出する、ことを特徴とする請求項19又は20に記載のインビトロ生合成方法。
【請求項22】
前記反応の過程において、前記反応装置の反応チャンバ本体を回転させ、好ましくは、前記反応チャンバ本体の水平中心軸線を水平状態からずらし、
さらに好ましくは、回転速度は、120r/min以下である、ことを特徴とする請求項19~21のいずれか一項に記載のインビトロ生合成方法。
【請求項23】
インビトロ生合成の反応に用いられるバイオリアクターであって、
合成用反応液を収容してインビトロタンパク質合成の反応を行うように構成された反応チャンバ本体を含み、前記反応チャンバ本体には、開口部が設けられ、前記開口部は、供給口、排出口、及び換気ユニットを有し、前記供給口は、前記合成用反応液を前記反応チャンバ本体内に流入させ、前記排出口は、反応後に得られた生成物を前記反応チャンバ本体から排出し、前記換気ユニットは、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気口及び/又は前記内部空間のガスを排出する排気口を有する、ことを特徴とするバイオリアクター。
【請求項24】
前記反応チャンバ本体の内壁には、少なくとも1つの第1突起が配置される、ことを特徴とする請求項23に記載のバイオリアクター。
【請求項25】
前記供給口、前記排出口、前記吸気口及び前記排気口のうちの1つ又は複数は、同一の開口である、ことを特徴とする請求項23又は24に記載のバイオリアクター。
【請求項26】
前記反応チャンバ本体を回転させる回転部に回転可能に接続された回転装着部をさらに含み、好ましくは、前記回転装着部は、前記開口部の反対側に位置し、回転可能に接続された後、前記開口部は、斜め上向きになる、ことを特徴とする請求項25に記載のバイオリアクター。
【請求項27】
前記反応チャンバ本体は、缶体である、ことを特徴とする請求項23~25のいずれか一項に記載のバイオリアクター。
【請求項28】
請求項23~27のいずれか一項に記載のバイオリアクターの反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切るように構成される、ことを特徴とする生物反応用の仕切り部材。
【請求項29】
前記仕切り部材の長さは、曲線又は折れ線で延伸する、ことを特徴とする請求項28に記載の仕切り部材。
【請求項30】
前記仕切り部材は、シート状であり、2つの対向するシート状表面と、該2つの対向するシート状表面の両側に設けられた側辺とを有する、ことを特徴とする請求項28又は29に記載の仕切り部材。
【請求項31】
前記仕切り部材の一方の側辺には、凹み領域が設けられる、ことを特徴とする請求項30に記載の仕切り部材。
【請求項32】
前記仕切り部材には、少なくとも1つの流動孔が設けられる、ことを特徴とする請求項28~31のいずれか一項に記載の仕切り部材。
【請求項33】
前記仕切り部材の外面に少なくとも1つの第2突起が配置される、ことを特徴とする請求項28~32のいずれか一項に記載の仕切り部材。
【請求項34】
請求項23~27のいずれか一項に記載のバイオリアクターの反応チャンバ本体に合わせて前記反応チャンバ本体を収容するように構成される、ことを特徴とするハウジング。
【請求項35】
前記ハウジングは、
前記ハウジングには、開閉ドアが設けられ、好ましくは、前記開閉ドアに通気孔が設けられる特徴と、
前記ハウジングの外側にディスプレイが設けられ、好ましくは、前記ディスプレイは、前記ハウジングの頂部の外面に位置する特徴と、
前記ハウジングの外側には、物品を載置する載置台が設けられ、好ましくは、前記載置台の載置面には、滑り止め模様が設けられ、さらに好ましくは、前記ハウジングの頂部の外面は、前記載置台である特徴と、
前記ハウジングには、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気通路、前記反応チャンバ本体の内部空間のガスを排出する排気通路、合成用反応液を前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させてインビトロ生合成の反応を行う供給通路、反応後の生成物を排出する排出通路のうちのいずれか1つ又は複数が設けられる特徴とのいずれか1つ又は複数の組み合わせを有し、ことを特徴とする請求項34に記載のハウジング。
【請求項36】
バイオリアクター、及び少なくとも1つの仕切り部材を含み、少なくとも1つの前記仕切り部材は、前記バイオリアクターの反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切り、バイオリアクターと仕切り部材とは、一体に成形され、前記バイオリアクターは、請求項23~27のいずれか一項に記載のバイオリアクターであり、前記仕切り部材は、請求項28~33のいずれか一項に記載の仕切り部材である、ことを特徴とする反応装置。
【請求項37】
請求項34又は35に記載のハウジングをさらに含む、ことを特徴とする請求項36に記載の反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジーの分野に属し、具体的には、インビトロ生合成の反応装置及びインビトロ生合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なインビトロ生合成は、細胞内合成に対するものであり、例えば、インビトロ無細胞法によるタンパク質合成(インビトロタンパク質合成、インビトロ無細胞タンパク質合成)は、主に無細胞発現系に依存し、外因性ターゲットDNAをタンパク質合成テンプレートとし、人工制御によりタンパク質合成に必要な基質、及び転写、翻訳に関連するタンパク質の補助因子などの物質を添加し、即ち、反応液によりターゲットタンパク質のインビトロ合成を実現する。
【0003】
しかしながら、現在では、実験室に小型のインビトロ合成が完了しており、拡大化された生産設備を実現することができない。
【0004】
容積を大幅に拡大するとともに、反応活性を最大限に保持することができる生産拡大設備の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現在のインビトロ生合成で拡大生産できないという問題を解決するために、以下の技術的手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うように構成された反応チャンバ本体であって、合成用反応液を反応チャンバ本体内に流入させる供給口と、反応後の生成物を排出する排出口とを有する開口部が設けられた反応チャンバ本体と、反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切るように構成された仕切り部と、を含む、ことを特徴とするインビトロ生合成の反応装置を提供する。
【0007】
本発明に係る反応装置は、さらに、反応チャンバ本体が缶体であり、好ましくは、横型缶体であり、缶体が球形又は楕円球形であるという特徴を有する。
【0008】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部が少なくとも1つの仕切り部材を含み、好ましくは、仕切り部材がシート状であるという特徴を有する。
【0009】
本発明に係る反応装置は、さらに、複数の仕切り部材が等間隔に分布するという特徴を有する。
【0010】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部材の長さが曲線又は折れ線で延伸するという特徴を有する。
【0011】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部材の長さの両端を結ぶ線と、該長さの延伸方向と同方向の反応チャンバ本体の内部空間の中心軸線との間に夾角aを有し、好ましくは、夾角aは、60°以下であり、好ましくは、45°以下であり、さらに好ましくは、20°以下であるという特徴を有する。
【0012】
本発明に係る反応装置は、さらに、少なくとも1つの仕切り部材が反応チャンバ本体の内壁に回転可能及び/又は回転不能に固定して設けられるという特徴を有する。
【0013】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部が内壁に設けられる場合、シート状の仕切り部材の一方の側辺が反応チャンバ本体の内壁に面するという特徴を有する。
【0014】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部が内壁に設けられる場合、シート状の仕切り部材の一方の側辺が反応チャンバ本体の内壁に面し、仕切り部材の内壁から離れた他方の側辺には、凹み領域が設けられるという特徴を有する。
【0015】
本発明に係る反応装置は、さらに、シート状の仕切り部材の一方の側辺が反応チャンバ本体の内壁に面する場合、仕切り部材のシート状表面と、対向する内壁との間の夾角が90°に等しくないという特徴を有する。
【0016】
本発明に係る反応装置は、さらに、使用中に、反応チャンバ本体を回転させることにより反応を行い、好ましくは、反応チャンバ本体の水平中心軸線を水平状態からずらすという特徴を有する。
【0017】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部材には、少なくとも1つの流動孔が設けられるという特徴を有する。好ましくは、少なくとも1つの仕切り部材上の流動孔は、均一に分布する。
【0018】
本発明に係る反応装置は、さらに、仕切り部材が内壁に設けられる場合、仕切り部材と内壁との間に少なくとも1つの断続部があるという特徴を有する。好ましくは、少なくとも1つの仕切り部材に対応する断続部が等間隔に分布する。
【0019】
本発明に係る反応装置は、さらに、開口部が外部ガスを反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気口及び/又は内部空間のガスを排出する排気口を有する換気ユニットをさらに有し、好ましくは、供給口、排出口、吸気口及び排気口のうちの1つ又は複数が同一の開口であるという特徴を有する。
【0020】
本発明に係る反応装置は、さらに、吸気ユニット及び/又は排気ユニットをさらに含み、吸気口が該吸気ユニットを介して外部ガスを内部空間に流入させ、排気口は、該排気ユニットを介して内部空間のガスを排気ユニットから排出するという特徴を有する。
【0021】
本発明に係る反応装置は、さらに、吸気ユニットが少なくとも1つの吸気ダクトを含み、吸気ダクトの一端が吸気口に面して内部空間に外部ガスを輸送し、或いは、吸気ダクトの一端が吸気口から内部空間に入り、この場合、好ましくは、少なくとも1つの吸気ダクトが反応チャンバ本体の水平方向に沿って延伸し、さらに好ましくは、少なくとも1つの吸気ダクトの内部空間に入った部分の管壁に少なくとも1つのガス抜き孔が設けられ、好ましくは、少なくとも1つのガス抜き孔が均一に分布し、及び/又は内部空間に入った吸気ダクトの一端が密封されるという特徴を有する。
【0022】
本発明に係る反応装置は、さらに、排気ユニットが排気ダクトを含み、好ましくは、吸気ダクトの両端の間の一部が排気ダクトに設けられ、吸気ダクトの一端が排気ダクトの一端から突出して内部空間に入り、吸気ダクトの他端が排気ダクトの他端から突出してガス源と連通するという特徴を有する。
【0023】
本発明に係る反応装置は、さらに、供給口に合わせて供給口をカバーするカバーを有するカバーアセンブリをさらに含むという特徴を有する。好ましくは、カバーアセンブリは、
シールリング、カバーロック及びロックハンドルをさらに含む。
【0024】
本発明に係る反応装置は、さらに、カバーアセンブリを含む場合、排気ユニットがカバーに設けられた排気孔をさらに含み、排気ダクトが排気孔を介して内部空間と連通するという特徴を有する。
【0025】
本発明に係る反応装置は、さらに、反応チャンバ本体を回転させる回転部をさらに含み、好ましくは、回転部が反応チャンバ本体に回転可能に接続されることにより反応チャンバ本体を回転させ、及び/又は、回転部には、回転ホイールがさらに設けられ、反応チャンバ本体が回転ホイールに設けられ、かつ回転ホイールが反応チャンバ本体の回転に伴って回転するという特徴を有する。
【0026】
本発明に係る反応装置は、さらに、回転部が駆動ユニットを含み、駆動ユニットの駆動により反応チャンバ本体を回転させるという特徴を有する。
【0027】
本発明に係る反応装置は、さらに、所定の温度条件を保持しながら反応を行うように構成された温度調節装置を含み、好ましくは、温度調節装置は、反応チャンバ本体の内部に流入したガスを温度調節して所定の温度条件を保持するように構成されるという特徴を有する。
【0028】
本発明に係る反応装置は、さらに、反応チャンバ本体に合わせて反応チャンバ本体を収容するハウジングをさらに含むという特徴を有する。
【0029】
好ましくは、ハウジングは、以下のいずれか1つ又は複数の特徴の組み合わせを有する。(1)ハウジングには、開閉ドアが設けられ、好ましくは、開閉ドアに通気孔が設けられる。
(2)ハウジングの外側にディスプレイが設けられ、好ましくは、ディスプレイは、ハウジングの頂部の外面に位置する。
(3)ハウジングの外側には、物品を載置する載置台が設けられ、好ましくは、載置台の載置面には、滑り止め模様が設けられ、さらに好ましくは、ハウジングの頂部の外面は、載置台である。
(4)ハウジングには、外部ガスを反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気通路、反応チャンバ本体の内部空間のガスを排出する排気通路、合成用反応液を反応チャンバ本体の内部空間に流入させてインビトロ生合成の反応を行う供給通路、反応後の生成物を排出する排出通路のうちのいずれか1つ又は複数が設けられる。
【0030】
本発明に係るインビトロ生合成方法は、前述した反応装置を用いて、合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うことを特徴とする。
【0031】
本発明に係るインビトロ生合成方法は、さらに、反応を行うための合成用反応液の体積が反応チャンバ本体の容積に占める割合が30%以下であるという特徴を有する。
【0032】
本発明に係るインビトロ生合成方法は、さらに、反応の過程において、外部ガスを内部空間に導入し、及び/又は内部空間のガスを排出するという特徴を有する。
【0033】
本発明に係るインビトロ生合成方法は、さらに、反応の過程において、反応装置の反応チャンバ本体を回転させ、好ましくは、回転速度が120r/min以下であるという特徴を有する。
【0034】
本発明は、インビトロ生合成の反応に用いられるバイオリアクターであって、合成用反応
液を収容してインビトロ生合成の反応を行うように構成された反応チャンバ本体を含み、反応チャンバ本体には、開口部が設けられ、開口部は、供給口、排出口、及び換気ユニットを有し、供給口は、合成用反応液を反応チャンバ本体内に流入させ、排出口は、反応後に得られた生成物を反応チャンバ本体から排出し、換気ユニットは、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気口及び/又は前記内部空間のガスを排出する排気口を有し、好ましくは、反応チャンバ本体は、缶体である、ことを特徴とするバイオリアクターを提供する。
【0035】
本発明に係るバイオリアクターは、反応チャンバ本体の内壁に少なくとも1つの第1突起が配置されるという特徴をさらに有する。
【0036】
本発明に係るバイオリアクターは、さらに、供給口、排出口、吸気口及び排気口のうちの1つ又は複数が同一の開口であるという特徴を有する。
【0037】
本発明に係るバイオリアクターは、さらに、反応チャンバ本体を回転させる回転部に回転可能に接続される回転装着部をさらに含み、好ましくは、回転装着部は、開口部の反対側に位置し、回転可能に接続された後、開口部は、斜め上向きになるという特徴をさらに有する。
【0038】
本発明は、前述したバイオリアクターの反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切るように構成されることを特徴とする生物反応用の仕切り部材をさらに提供する。
【0039】
本発明に係る仕切り部材は、さらに、仕切り部材の長さが曲線又は折れ線で延伸するという特徴を有する。
【0040】
本発明に係る仕切り部材は、さらに、仕切り部材がシート状であり、2つの対向するシート状表面と、該2つの対向するシート状表面の両側に設けられた側辺とを有するという特徴を有する。
【0041】
本発明に係る仕切り部材は、さらに、仕切り部材の一方の側辺には、凹み領域が設けられるという特徴をさらに有する。
【0042】
本発明に係る仕切り部材は、さらに、仕切り部材には、少なくとも1つの流動孔が設けられるという特徴を有する。
【0043】
本発明に係る仕切り部材は、さらに、仕切り部材の外面に少なくとも1つの第2突起が配置されるという特徴を有する。
【0044】
本発明に係る仕切り部材は、さらに、仕切り部材とバイオリアクターとは、一体に成形されるという特徴を有する。
【0045】
本発明は、反応チャンバ本体に合わせて反応チャンバ本体を収容するハウジングをさらに提供する。
【0046】
本発明に係るハウジングは、以下のいずれか1つ又は複数の特徴の組み合わせを有する。(1)ハウジングには、開閉ドアが設けられ、好ましくは、開閉ドアに通気孔が設けられる。
(2)ハウジングの外側にディスプレイが設けられ、好ましくは、ディスプレイは、ハウジングの頂部の外面に位置する。
(3)ハウジングの外側には、物品を載置する載置台が設けられ、好ましくは、載置台の
載置面には、滑り止め模様が設けられ、さらに好ましくは、ハウジングの頂部の外面は、載置台である。
(4)ハウジングには、外部ガスを反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気通路、反応チャンバ本体の内部空間のガスを排出する排気通路、合成用反応液を反応チャンバ本体の内部空間に流入させてインビトロ生合成の反応を行う供給通路、反応後の生成物を排出する排出通路のうちのいずれか1つ又は複数が設けられる。
【0047】
本発明は、バイオリアクター、及び少なくとも1つの仕切り部材を含み、少なくとも1つの前記仕切り部材は、バイオリアクターの反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切り、バイオリアクターと仕切り部材とは、一体に成形され、前記バイオリアクターは、前述したバイオリアクターであり、前記仕切り部材は、前述した仕切り部材である、ことを特徴とする反応装置をさらに提供する。
【0048】
本発明に係る反応装置は、さらに、前述したハウジングをさらに含むという特徴を有する。
【0049】
また、本発明のインビトロ生合成とは、主に、例えば、インビトロタンパク質合成反応、mRNAインビトロ合成反応などのインビトロ生合成をいう。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係るインビトロ生合成の反応装置及びインビトロ生合成方法は、少なくとも以下の作用と効果を有する。
(1)仕切り部によって反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切ることにより、反応チャンバ本体には、インビトロ生合成反応に用いられる反応液が収容される場合、「流動状態」にある反応液は、一方の空間領域から他方の空間領域へ流動することができるが、仕切り部を流れる反応液が仕切り部に遮られて、インビトロ生合成反応中の反応液の混合強度を増加させ、反応効率を向上させるとともに、全体として構造が簡単であり、ステンレス鋼で製造することができ、拡大化製造及び生産がより容易になる。
(2)反応過程において、反応チャンバ本体を回転させることにより、反応液を内壁に効果的に薄く広げて、インビトロ生合成の効率を向上させる。
(3)反応チャンバ本体が缶体である場合、例えば、直方体などの他の形状と比較して、内壁が丸みを持ち、かつ死角がないため、反応中に泡が発生しにくく、合成品質を保証し、また、他の形状と比較して、同じ容積で、より大きい内壁表面積を有し、反応液をより薄く広げて、より合成に有利である。
(4)仕切り部がシート状であるため、反応液の接触面積を増加させ、反応液が薄く広げられる程度を高める。
(5)仕切り部は、曲線又は折れ線で延伸するため、同じ内部空間において、直線よりも同様に反応液接触面積を増加させ、反応液が薄く広げられるのに有利である。
(6)吸気口は、外部ガスを反応チャンバ本体の内部空間に流入させるためのものであり、このように、酸素含有ガス、例えば、空気を導入することができ、インビトロ生合成反応に有利である。
(7)排気口は、内部空間のガスを排出するためのものであり、このように、合成効率と品質に影響を与えないために、反応過程において生成したエタノールなどの反応に不利なガスを適時に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明に係る第1反応装置の全体構成を示す概略図である。
図2図1の別の視点からの概略図である。
図3】本発明に係る反応チャンバ本体の構造概略図である。
図4】本発明に係る第1構成の反応装置の仕切り部のみを示す構造概略図である。
図5】本発明に係る反応チャンバの内部空間が仕切られる説明図である。
図6】本発明に係る第1構成の反応装置の内部空間が仕切り部で不完全に仕切られた反応チャンバ本体の構造概略図である。
図7】本発明に係る仕切り部材の構造概略図である。
図8】本発明に係る第2構成の反応装置の全体構成を示す概略図である。
図9図8の別の視点からの概略図である。
図10】本発明に係る吸気ユニット、排気ユニット及びカバーアセンブリの組立概略図である。
図11】本発明に係る第3構成の反応装置の全体構成を示す概略図である。
図12図11の一側面図である。
図13】本発明に係る実験例1の実験結果を示す図である。
図14】本発明に係る実験例2の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明する。実施例に用いられる具体的な方法又は材料について、当業者は、本発明の技術的思想に基づいて、既存の技術により通常の置換や選択を行うことができ、本発明の実施例の具体的な記載に限定されない。
【0053】
本明細書において、反応チャンバ本体の軸線の長さが長い方向を反応チャンバ本体の「長さ方向」と称し、逆に、「幅方向」と称し、例えば、楕円球体には、長軸が水平状態にある場合、この水平方向は、長さ方向である。
【0054】
ここでいう「長さ方向」とは、絶対に一致する方向ではなく、概ね相当する方向であり、同様に、「幅方向」とは、概ね相当する方向を意味する。
【実施例
【0055】
実施例1
図1は、本発明に係る第1反応装置の全体構成を示す概略図である。
【0056】
図2は、図1の別の視点からの概略図である。
【0057】
図3は、本発明に係る反応チャンバ本体の構造概略図である。
【0058】
図4は、本発明に係る第1構成の反応装置の仕切り部のみを示す構造概略図である。
【0059】
図1図4に示すように、本実施例に係るインビトロ生合成の反応装置100は、反応チャンバ本体10と、仕切り部20とを含む。
【0060】
反応チャンバ本体10は、合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うためのものであり、反応チャンバ本体10には、合成用反応液を反応チャンバ本体の内部空間11に流入させて反応させる供給口と、反応後の生成物を排出する排出口とを有する開口部10aが設けられる。直接に供給口に反応液を供給したり、排出口から反応生成物を排出したりしてもよいし、他の方式で供給したり排出したりしてもよく、例えば、供給通路を介して、供給口から内部空間11に合成用反応液を輸送し、また例えば、排出通路を介して反応後の生成物を内部空間11から排出する。
【0061】
一例において、開口部10aは、換気ユニットをさらに有し、換気ユニットは、吸気口及び/又は排気口を有する。吸気口は、外部ガスを反応チャンバ本体の内部空間に流入させるためのものであり、このように、酸素含有ガス、例えば、空気を導入することができ、インビトロ生合成反応に有利であり、排気口は、内部空間のガスを排出するためのもので
あり、このように、合成効率及び品質に影響を与えないために、反応過程において発生した反応に不利なガス、例えば、エタノールなどを適時に排出することができる。
【0062】
一例において、供給口、排出口、吸気口及び排気口のうちの1つ又は複数は、同一の開口であり、図1に示すように、供給口、排出口、吸気口及び排気口は、いずれも同一の開口であり、即ち、開口部10aであり、他の例において、この4つの開口は、それぞれ異なる開口であってもよく、又はそれらのいくつかは、同一の開口であってもよい。
【0063】
図5は、本発明に係る反応チャンバの内部空間が仕切られた説明図である。
【0064】
図5において、斜線で覆った部分が仕切り部を示す。
【0065】
仕切り部20は、反応チャンバ本体10の内部空間を不完全に仕切るためのものである。
【0066】
図5に示すように、図中の円は、反応チャンバ本体の1つの断面円の内部を表し、内部空間を表し、円の中間の円弧は、仕切り部を表す。「不完全に仕切る」とは、「完全に仕切る」に対することであり、「完全に仕切る」とは、内部空間全体を、連通しない異なる空間に仕切ることであり、即ち、仕切られて形成された空間の間が完全に仕切られることを指し、例えば、1枚の板で内部空間全体のある断面に沿って完全に仕切って2つの空間を形成する場合、例えば、図5の左図において、仕切り部全体の断面が内部空間の1つの断面を完全に覆う。「不完全に仕切る」とは、内部空間を完全に仕切っているわけではなく、図5の右図に示すように、仕切り部の左右と下縁がそれぞれ内側壁に接触するが、上縁が内側壁に接触せず、このように不完全に仕切られて互いに連通する空間領域を形成し、具体的には、図5の右図に示すように、断面において、仕切り部によって覆われた部分が空間領域であり、上方の空白の部分により、空間領域が互いに連通する。
【0067】
このように、不完全に仕切るため、前述した反応液が収容される場合、「流動状態」にある反応液が一方の空間領域から他方の空間領域へ流動することができるが、仕切り部20を流れる反応液が仕切り部20に遮られて、インビトロ合成反応中の反応液の混合強度を増加させ、反応効率を向上させる。
【0068】
ここでの「流動状態」とは、反応液が静止せず、少なくとも一部が内壁に対して移動することを意味し、このような状態を引き起こす原因は、以下に示すことを含むが、これらに限定されない。
【0069】
第1は、反応チャンバ本体10の運動、例えば、反応チャンバ本体の振動や回転のみに起因する。
第2は、他の外力のみを受けて流れることであり、
(a)例えば、外力によって撹拌され、例えば、仕切り部20が回転して反応液を撹拌して反応液が流動状態となり、
(b)また、例えば、高圧気流の導入又は超音波振動による反応液の波打ちにより、反応液が流動状態となる。
第3は、第1と第2の両方がいずれも作用し、例えば、反応チャンバ本体10が回転すると同時に、仕切り部20も回転する。
【0070】
また、反応液が流動状態にある場合、仕切り部20による遮断によって、反応液が反応チャンバ本体10の内壁に接触する機会を増加させ、内壁に接触した反応液は、一定の条件下で、例えば、重力や回転などによって、内壁に薄く広げられる機会があり、薄く広げられた反応液は、より大きな表面積を有し、より十分に空気と接触することができ、インビトロ合成の効率を向上させる。
【0071】
一例において、反応チャンバ本体10は、図に示すような缶体であり、缶体が球形又は楕円球形であるため、他の形状に比べて、内壁の表面積がより大きく、反応液が内壁に薄く広げられる機会がより多く、死角がないため、反応中に泡が発生しにくい。好ましくは、横型缶体であり、即ち、缶体が楕円球形である場合、長軸が水平方向にあり、長軸が垂直方向にあることに比べて、反応液が底部に堆積することを回避し、薄く広げられることに有利である。
【0072】
一例において、使用中に、反応チャンバ本体10を回転させて反応を完了させ、このように、反応液を内壁に効果的に薄く広げ、インビトロ合成の効率を向上させることができ、反応液が薄く広げられる程度は、添加された反応液の体積を制御することにより調整することができる。好ましくは、反応チャンバ本体10の水平中心軸線を一定の角度だけ水平状態からずらし、即ち、反応チャンバ本体10を傾斜して配置することにより、反応チャンバ本体10が回転する場合、反応液をより容易に多くの内壁に薄く広げることができる。
【0073】
図6は、本発明に係る第1構成の反応装置の内部空間が仕切り部で不完全に仕切られた反応チャンバ本体の構造概略図である。
【0074】
一例において、反応チャンバ本体10の内壁に少なくとも1つの第1突起10b(図6参照)が設けられ、第1突起10bにより、内壁の表面積を増加させることができ、反応液との接触面積を増加させ、反応液が薄く広げられる程度を増加させる。
【0075】
一例において、図4に示すように、仕切り部20は、内部空間11を不完全に仕切って複数の空間領域を形成するように、少なくとも1つの仕切り部材21を含み、複数の仕切り部材21は、反応液の混合機会及び内壁に薄く広げられる機会を増加させることができる。
【0076】
図7は、本発明に係る仕切り部材の構造概略図である。
【0077】
図7に示すように、一例において、仕切り部材21は、シート状であり、このように、反応液が仕切り部材21のシート状表面22に接触する際に、シート状表面22に薄く広げられてもよく、このように、同じ体積の反応液が薄く広げられる面積を増加させ、相対的に、薄く広げられやすく、空気との接触面積も大きくなり、反応効率を向上させる。図7に示すように、ここでのシート状表面22は、側辺23に対するものである。この場合、仕切り部材21の数が多いほど、反応液と接触可能な面積も多くなり、反応液の薄く広げられた面積を増加させることができ、反応液全体と空気との接触面積を増加させることができる。当然のことながら、仕切り部材21の数が多すぎると、毎回薄く広げられた反応液が空気に接触する時間が短すぎるため、より長い反応時間を必要とし、仕切り部材21が多すぎると、全体の重量が大きすぎるため、使用に不利であり、全体として薄く広げられる程度が大きく改善することはなく、コストが無駄になる。
【0078】
一例において、複数の仕切り部材21が等間隔に分布し、このように、内部空間11を不完全に同じ空間領域に仕切ることができ、各空間領域内の反応液が薄く広げられる程度が同等であり、即ち、反応液の接触面積が同等であり、反応効率が均一であり、全体的な反応効果がより高くなる。
【0079】
一例において、仕切り部材21の長さが曲線又は折れ線で延伸するため、同じ内部空間内において、反応液が仕切り部材21に接触する機会を増加させることができ、特に、仕切り部材がシート状である場合、接触面積をさらに増加させ、それにより、合成効率を向上
させることができる。
【0080】
一例において、図6に示すように、仕切り部材21の長さの両端を結ぶ線が位置する線21Aと、該長さの延伸方向と同方向の反応チャンバ本体10の内部空間11の中心軸線11Aとの間に夾角aを有する。
【0081】
ここでの「該長さの延伸方向と同方向…の中心軸線」とは、具体的に説明すると、仕切り部材21の長さがほぼ反応チャンバ本体10の長さ方向に沿って延伸する場合、この中心軸線11Aがこの反応チャンバ本体10の長さ方向の中心軸線であり、仕切り部材21の長さがほぼ反応チャンバ本体の幅方向に沿って延伸する場合、この中心軸線11Aがこの反応チャンバ本体10の幅方向の中心軸線であり、ここでの同方向とは、ほぼ同じであり、絶対に同じではない。
【0082】
ここでは、夾角aを有するという意味は、結び線が位置する線21Aは、中心軸線11Aとの間は平行ではなく、夾角を有し、即ち、中心軸線11Aに対して傾斜して設けられることである。好ましくは、前記夾角aが60°以下であり、好ましくは、45°以下であり、さらに好ましくは、20°以下である。このように、仕切られて形成された各空間領域内の反応液は、反応チャンバ本体10の一端から他端まで流れやすく、このように、仕切り部材21の端部と、隣接する空間領域との間が連通している場合、この端部から、隣接する空間領域まで流れやすく、混合効率を向上させる。夾角aが大きすぎないことが好ましく、即ち、結び線21aが軸線から離れすぎないことが好ましく、そうでなければ、反応液が反応チャンバ本体10の一端に堆積し、薄く広げられることに不利である。
【0083】
一例において、仕切り部20は、反応チャンバ本体10の内壁に設けられ、実施中に、内壁に回転可能に固定されてもよく、内壁に回転不能に固定されてもよく、複数の仕切り部材21がある場合、全てが内壁に回転可能に設けられてもよく、一部が内壁に回転可能に設けられてもよい。好ましくは、仕切り部材21がシート状である場合、シート状の仕切り部材21の一方の側辺23は、反応チャンバ本体10の内壁に面し、即ち、該仕切り部材21は、該側辺23を介して内壁に回転可能又は回転不能に設けられる。
【0084】
一例において、シート状の仕切り部材21の一方の側辺23が反応チャンバ本体10の内壁に面する場合、シート状の仕切り部材のシート状表面と、対向する内壁(側辺23が位置する内壁を指す)との間の夾角は、90°に等しくなく、即ち、シート状表面は、内壁に完全に垂直ではなく、垂直面から一定の角度bだけずれており、このように、相対的に垂直である場合に比べて、反応中に発生した泡を減少させ、反応効果を向上させることができ、反応液をよりよく薄く広げることもできる。
【0085】
一例において、仕切り部材21の長さは、反応チャンバ本体10の長さ方向に沿って延伸し、かつ該反応チャンバ本体の長さ方向の一端から他端まで延伸し、即ち、仕切り部材の長さは、反応チャンバ本体の長さとほぼ同等であり、このように、より大きい接触面積を保証することができ、合成効率を向上させる。
【0086】
一例において、仕切り部材21には、少なくとも1つの流動孔(図示せず)が設けられ、このように、反応液が1つの空間領域から他の空間領域へ流れやすくなる。好ましくは、複数の流動孔がある場合、少なくとも1つの仕切り部材21における流動孔は、仕切り部材21に均一に配置され、例えば、3つの仕切り部材21を有し、各仕切り部材21に複数の流動孔が設けられる場合、3つの仕切り部材のうちのいずれか1つ又は複数における流動孔が均一に配置されてもよい。
【0087】
一例において、仕切り部材21が内壁に設けられる場合、仕切り部材と内壁との間に少な
くとも1つの断続部があり、即ち、仕切り部材21と内壁との間に少なくとも1つの隙間が存在し、このように、反応液が1つの空間領域から他の空間領域へ流れやすくなる。好ましくは、少なくとも1つの仕切り部材21と内壁との間の断続部が等間隔に配置され、例えば、3つの仕切り部材21が内壁に設けられ、各仕切り部材21と内壁との間に少なくとも1つの断続部があり、3つの仕切り部材21のうちの少なくとも1つと内壁との間の断続部が等間隔に配置される。
【0088】
一例において、図6及び図7に示すように、仕切り部材21の外面に少なくとも1つの第2突起21bが配置され、同様に、第2突起21bにより、仕切り部材21の表面積を増加させることができ、反応液との接触面積を増加させ、反応液が薄く広げられる程度を増加させる。
【0089】
一例において、反応装置100は、吸気ユニットをさらに含む。前述した吸気口は、該吸気ユニットを介して外部ガスを内部空間11に流入させる。
【0090】
一例において、吸気ユニット30は、少なくとも1つの吸気ダクトを含み、図1に示すように、図1には、1つの吸気ダクト30aが示され、吸気ダクトの一端は、吸気口に面して内部空間へ外部ガスを輸送し、即ち、吸気ダクトと内部空間11との間に一定の距離がある。
【0091】
一例において、反応装置100は、排気ユニットをさらに含み、前述した排気口は、該排気ユニットを介して内部空間11のガスを排出する。
【0092】
一例において、排気ユニットは、少なくとも1つの排気ダクトを含み、排気ダクトは、前述した排気口と連通するか又は内部空間11に入むことにより、内部空間11のガスを排出することができる。
【0093】
一例において、反応装置100は、反応チャンバ本体10を回転させる回転部をさらに含み、好ましくは、回転部は、反応チャンバ本体に回転可能に接続されることにより反応チャンバ本体10を回転させ、好ましくは、反応チャンバ本体10における開口部の反対側に位置する回転装着部に回転可能に接続され、回転可能に接続された後、開口部の開口位置が斜め上向きになる(図1に示すとおりである)。このように、回転中に反応液を反応チャンバ本体10の内壁及び仕切り部20によりよく接触させて薄く広げることができ、開口が大きくても反応液が溢れることがなく、このように、開口を供給口又は排出口とする場合、供給又は排出がより容易になり、開口を吸気口又は排気口とする場合、より大きな換気量を保証することができる。
【0094】
一例において、図1に示すように、回転部には、回転ホイール62がさらに設けられ、反応チャンバ本体10は、回転ホイール62に設けられ、回転ホイール62は、反応チャンバ本体10の回転に伴って回転し、このように、反応チャンバ本体10の自重が非常に大きくても、よく支持されて回転することができ、大規模なインビトロ生物反応生産をより容易に実現することができる。図1に示すように、図中の回転ホイール62は、フレーム62aに設けられ、反応チャンバ本体10は、回転ホイール62に設けられる。
【0095】
一例において、回転部は、駆動ユニット63を含み、駆動ユニット63の駆動により反応チャンバ本体を回転させ、図2に示すように、駆動ユニット63は、回転軸により反応チャンバ本体10を回転させる。
【0096】
一例において、反応装置100は、所定の温度条件を保持しながらインビトロ生合成の反応を行う温度調節装置(図示せず)をさらに含み、例えば、反応チャンバ本体10に対し
て保温対策、加熱又は降温などを行うことにより実現し、好ましくは、温度調節装置は、反応チャンバ本体の内部に流入したガスを温度調節して所定の温度条件を保持し、例えば、内部空間に流入したガスを加熱する。
【0097】
本実施例において、インビトロ生合成方法をさらに提供し、該インビトロ生合成方法は、前述した反応装置100を用いて合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行い、具体的には、前述した反応装置100を参照して説明する。
【0098】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応を行う合成用反応液の体積が反応チャンバ本体の容積に占める割合は、30%以下であり、このように、反応液が十分に薄く広げられることを保証し、反応効率を保証することができる。
【0099】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応過程において、外部ガスを内部空間に導入し、例えば、空気を流入させることで、反応に必要な酸素の導入に有利である。
【0100】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応過程において、反応により発生した排ガスが合成に影響を与えないように、内部空間のガスを排出する。
【0101】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応過程において、反応装置の反応チャンバ本体10を回転させることにより、反応液を内壁と仕切り部材に薄く広げて、混合することができる。また、回転速度が120r/min以下であるため、泡が発生しにくく、合成品質が保証される。
実施例2
【0102】
本実施例において、実施例1と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0103】
図8は、本発明に係る第2構成の反応装置の全体構成を示す概略図である。
【0104】
図9は、図8の別の視点からの概略図である。
【0105】
図8及び図9に示すように、図において、6つの仕切り部材21が等間隔に分布し、隣接する2つの仕切り部材21の間に1つの同じ空間領域21aが形成される。
【0106】
一例において、図9に示すように、シート状の仕切り部材21の内壁から離れた他方の側辺24に凹み領域24aが設けられ、このように、仕切り部材21が内壁に設けられる場合、反応液が各空間領域の間を流れやすくなり、全体の混合効率を向上させることができる。
【0107】
一例において、図8に示すように、吸気ユニットの吸気ダクト30aの一端は、吸気口から内部空間11に入る。この場合、好ましくは、少なくとも1つの吸気ダクトは反応チャンバ本体の水平方向Xに沿って延伸し、このように、流入したガスをできるだけ反応チャンバ本体10の酸素ガスが不足しやすい他端に流入させることができる。
【0108】
より好ましくは、図8に示すように、少なくとも1つの吸気ダクト30aの内部空間11に入る部分の管壁には、少なくとも1つのガス抜き孔31が設けられ、即ち、複数の吸気ダクト30aがある場合、各吸気ダクトは、いずれも部分的に内部空間に入り、これらの吸気ダクト30aのうちの少なくとも1つの吸気ダクト30aの入った部分の管壁には、
少なくとも1つのガス抜き孔31が設けられ、好ましくは、これらのガス抜き孔31は、均一に分布する。
【0109】
一例において、ガス抜き孔が設けられる場合、内部空間に入る吸気ダクト30aの一端を密封することができる。
【0110】
一例において、排気ユニットは、排気ダクト41を含み、吸気ダクト30aの両端の間の一部が排気ダクトに設けられ、即ち、吸気ダクト30aの一端が排気ダクト41の一端から突出して内部空間に入り、吸気ダクト30aの他端が排気ダクト41の他端から突出してガス源と連通し、即ち、吸気ダクト30aの一部が排気ダクト41に設けられる。このように、吸気と排気との間を隔離することにより、吸気ダクトと排気ダクトとが反応チャンバ本体の同じ部位に設けられ、図8に示すように、吸気と排気とがいずれも左端に設けられる。
【0111】
一例において、反応装置100は、供給口に合わせて供給口をカバーするカバーを有するカバーアセンブリをさらに含む。
【0112】
好ましくは、カバーアセンブリは、シールリング、カバーロック及びロックハンドルをさらに含む。
【0113】
一例において、排気ユニットは、カバー51に設けられた排気孔42をさらに含み、排気ダクト41は、排気孔42を介して内部空間と連通する。
【0114】
図10は、本発明に係る吸気ユニット、排気ユニット及びカバーアセンブリの組立概略図である。
【0115】
一例において、図10に示すように、カバーアセンブリ1、吸気ユニット30及び排気ユニット40は、一体構造であり、このように、使用中に、吸気ダクト31の一端を反応チャンバ本体10に入らせ、吸気ダクト31の他端を排気ダクト41から延出させてガス源に接続し、排気孔42が設けられたカバー51を供給口に合わせて取り付けることにより、全体の配置が完成し、構造が精巧であり、取り付けやすい。
実施例3
【0116】
図11は、本発明に係る第3構成の反応装置の全体構成を示す概略図である。
【0117】
図12は、図11の一側面図である。
【0118】
図11及び図12に示すように、本実施例において、実施例1と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施例に係る反応装置300は、反応チャンバ本体10に合わせて反応チャンバ本体10を収容するハウジング70をさらに含む。
【0119】
好ましくは、ハウジング70は、以下のいずれか1つ又は複数の特徴の組み合わせを有する。
(1)ハウジング70には、開閉ドア71が設けられ、好ましくは、開閉ドア71に通気孔71aが設けられ、このように、反応チャンバ本体10の内部空間11のガスの排出又は外部ガスの内部空間11への流入を実現することができる。
(2)ハウジング70の外側には、ディスプレイ72が設けられ、即ち、ハウジング70の内部ではなく、外側、例えば、外面に設けられ、好ましくは、ディスプレイ72は、ハウジング70の頂部73の外面に位置し、さらに例えば、外面に嵌め込まれる。該ディスプレイ72により、例えば、反応過程、状態及び条件などの表示を実現でき、タッチ操作
により反応及び反応生成物の排出なども実現できる。
(3)ハウジング70の外側には、物品を載置する載置台が設けられ、好ましくは、載置台の載置面には、滑り止め模様74が設けられ、さらに好ましくは、ハウジングの頂部の外面は、載置台である。
(4)ハウジングには、吸気通路、排気通路、供給通路、排出通路のうちのいずれか1種又は複数種が設けられる。具体的には、吸気通路(図示せず)を設けて外部ガスを反応チャンバ本体10の内部空間11に流入させ、例えば、前述した吸気ダクトを介して吸気通路と吸気口とを連通することによりガスを流入させる。排気通路を設けて反応チャンバ本体10の内部空間のガスを排出し、例えば、前述した排気ダクトを介して排気口と排気通路とを連通することによりガスを排出する。供給通路11aを設けて合成用反応液を反応チャンバ本体10の内部空間11に流入させてインビトロ生合成の反応を行う(図12に示すとおりである)。排出通路11bを設けて反応後の生成物を排出する(図12に示すとおりである)。
実施例4
【0120】
図3は、本発明に係る反応チャンバ本体の構造概略図である。
【0121】
図3に示すように、本実施例に係るバイオリアクターは、反応チャンバ本体10を含む。
【0122】
反応チャンバ本体10は、合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うためのものであり、反応チャンバ本体10には、合成用反応液を反応チャンバ本体の内部空間11に流入させて反応させる供給口と、反応後の生成物を排出する排出口とを有する開口部10aが設けられる。直接に供給口に反応液を供給したり、排出口から反応生成物を排出したりしてもよいし、他の方式で供給したり排出したりしてもよく、例えば、供給通路を介して供給口から内部空間11に合成用反応液を輸送し、また例えば、排出通路を介して反応後の生成物を内部空間11から排出する。
【0123】
一例において、開口部10aは、換気ユニットをさらに有し、換気ユニットは、吸気口及び/又は排気口を有する。吸気口は、外部ガスを反応チャンバ本体の内部空間に流入させるためのものであり、このように、酸素含有ガス、例えば、空気を導入することができ、生合成反応に有利である。排気口は、内部空間のガスを排出するためのものであり、このように、合成効率及び品質に影響を与えないために、反応過程において発生した反応に不利なガス、例えば、エタノールなどを適時に排出することができる。
【0124】
一例において、供給口、排出口、吸気口及び排気口のうちの1つ又は複数は、同一の開口であり、図1に示すように、供給口、排出口、吸気口及び排気口は、いずれも同一の開口であり、即ち、開口部10aであり、他の例において、この4つの開口は、それぞれ異なる開口であってもよく、又はそれらのいくつかは、同一の開口であってもよい。
【0125】
一例において、反応チャンバ本体10は、図1に示すような缶体であり、缶体が球形又は楕円球形であるため、他の形状に比べて、内壁の表面積がより大きく、反応液が内壁に薄く広げられる機会がより多く、死角がないため、反応中に泡が発生しにくい。好ましくは、横型缶体であり、即ち、缶体が楕円球形である場合、長軸が水平方向にあり、長軸が垂直方向にあることに比べて、反応液が底部に堆積することを回避し、薄く広げられることに有利である。
【0126】
缶体は、ステンレス鋼で製造することができる。
【0127】
一例において、使用中に、反応チャンバ本体10を回転させて反応を完了させ、このように、反応液を内壁に効果的に薄く広げ、生合成の効率を向上させることができ、反応液が
薄く広げられる程度は、添加された反応液の体積を制御することにより調整することができる。好ましくは、反応チャンバ本体10の水平中心軸線を一定の角度だけ水平状態からずらし、即ち、反応チャンバ本体10を傾斜して配置することにより、反応チャンバ本体10が回転する場合、反応液をより容易に多くの内壁に薄く広げることができる。
【0128】
一例において、反応チャンバ本体10の内壁に少なくとも1つの第1突起が設けられ、第1突起により、内壁の表面積を増加させることができ、反応液との接触面積を増加させ、反応液が薄く広げられる程度を増加させる。
【0129】
一例において、バイオリアクターは、反応チャンバ本体を回転させる回転部に回転可能に接続される回転装着部をさらに含み、好ましくは、回転装着部は、開口部の反対側に位置し、回転可能に接続された後、開口部は、斜め上向きになる。このように、回転中に反応液を反応チャンバ本体10の内壁及び仕切り部20によりよく接触させて薄く広げることができ、開口が大きくても反応液が溢れることがなく、このように、開口を供給口又は排出口とする場合、供給又は排出がより容易になり、開口を吸気口又は排気口とする場合、より大きな換気量を保証することができる。
【0130】
本実施例に係るバイオリアクターは、構造が簡単で、製造しやすく、反応チャンバ本体の容積については、10L以上の容積を実現し、ひいては数万リットルに達し、拡大化しやすく、回転することにより、インビトロ生合成反応を完成することができ、普及と応用に有利である。
実施例5
【0131】
図5は、本発明に係る反応チャンバの内部空間が仕切られる説明図である。
【0132】
図6は、本発明に係る第1構成の反応装置の内部空間が仕切り部で不完全に仕切られた反応チャンバ本体の構造概略図である。
【0133】
図5において、斜線で覆った部分が仕切り部を示す。
【0134】
仕切り部材21は、実施例4に係る反応チャンバ本体10の内部空間を不完全に仕切るためのものである(図6に示すとおりである)。(図6における10bは、実施例1に係る第1突起である。)
【0135】
図5に示すように、図中の円は、反応チャンバ本体の1つの断面円の内部を表し、内部空間を表し、円の中間の円弧は、仕切り部を表す。「不完全に仕切る」とは、「完全に仕切る」に対することであり、「完全に仕切る」とは、内部空間全体を、連通しない異なる空間に仕切ることであり、即ち、仕切られて形成された空間の間が完全に仕切られることを指し、例えば、1枚の板で内部空間全体のある断面に沿って完全に仕切って2つの空間を形成し、この場合、例えば、図5の左図において、仕切り部全体の断面が内部空間の1つの断面を完全に覆う。「不完全に仕切る」とは、内部空間を完全に仕切っているわけではなく、図5の右図に示すように、仕切り部材の左右と下縁がそれぞれ内側壁に接触するが、上縁が内側壁に接触せず、このように不完全に仕切られて互いに連通する空間領域を形成し、具体的には、図5の右図に示すように、断面において、仕切り部材によって覆われる部分が空間領域であり、上方の空白の部分により、空間領域が互いに連通する。
【0136】
このように、不完全に仕切るため、前述した反応液が収容される場合、「流動状態」にある反応液が一方の空間領域から他方の空間領域へ流動することができるが、仕切り部材21を流れる反応液が仕切り部材21に遮られて、生合成反応中の反応液の混合強度を増加させ、反応効率を向上させる。
【0137】
ここでの「流動状態」とは、反応液が静止せず、少なくとも一部が内壁に対して移動することを意味し、このような状態を引き起こす原因は、以下に示すことを含むが、これらに限定されない。
【0138】
第1は、反応チャンバ本体10の運動、例えば、反応チャンバ本体の振動や回転のみに起因する。
第2は、他の外力のみを受けて流れることであり、
(a)例えば、外力によって撹拌され、例えば、仕切り部材21が回転して反応液を撹拌して反応液が流動状態となり、
(b)また、例えば、高圧気流の導入又は超音波振動による反応液の波打ちにより、反応液が流動状態となる。
第3は、第1と第2の両方がいずれも作用し、例えば、反応チャンバ本体10が回転すると同時に、仕切り部材21も回転する。
【0139】
また、反応液が流動状態にある場合、仕切り部材21による遮断によって、反応液が反応チャンバ本体10の内壁に接触する機会を増加させ、内壁に接触した反応液は、一定の条件下で、例えば、重力や回転などによって、内壁に薄く広げられる機会があり、薄く広げられた反応液は、より大きな表面積を有し、より十分に空気と接触することができ、生合成の効率を向上させる。
【0140】
一例において、図6に示すように、仕切り部20は、内部空間11を不完全に仕切って複数の空間領域を形成するように、少なくとも1つの仕切り部材21を含み、複数の仕切り部材21は、反応液の混合機会及び内壁に薄く広げられる機会を増加させることができる。
【0141】
図7は、本発明に係る仕切り部材の構造概略図である。
【0142】
図7に示すように、一例において、仕切り部材21は、シート状であり、2つの対向するシート状表面22と、該2つの対向するシート状表面の両側に設けられた側辺23とを有する。反応液が仕切り部材21のシート状表面22に接触する際に、シート状表面22に薄く広げられてもよく、このように、同じ体積の反応液が薄く広げられる面積を増加させ、相対的に、薄く広げられやすく、空気との接触面積も大きくなり、反応効率を向上させる。図7に示すように、ここでのシート状表面22は、側辺23に対するものである。この場合、仕切り部材21の数が多いほど、反応液と接触可能な面積も多くなり、反応液の薄く広げられた面積を増加させることができ、反応液全体と空気との接触面積を増加させることができる。当然のことながら、仕切り部材21の数が多すぎると、毎回薄く広げられた反応液が空気に接触する時間が短すぎるため、より長い反応時間を必要とし、仕切り部材21が多すぎると、全体の重量が大きすぎるため、使用に不利であり、全体として薄く広げられる程度が大きく改善することはなく、コストが無駄になる。
【0143】
一例において、複数の仕切り部材21が等間隔に分布し、このように、内部空間11を不完全に同じ空間領域に仕切ることができ、各空間領域内の反応液が薄く広げられる程度が同等であり、即ち、反応液の接触面積が同等であり、反応効率が均一であり、全体的な反応効果がより高くなる。
【0144】
一例において、仕切り部材21の長さが曲線又は折れ線で延伸するため、同じ内部空間内において、反応液と仕切り部材21との接触機会を増加させることができ、特に、仕切り部材がシート状である場合、接触面積をさらに増加させ、それにより、インビトロ生物反応の効率を向上させ、例えば、インビトロタンパク質合成反応の効率を向上させる。
【0145】
一例において、図6に示すように、仕切り部材21の長さの両端を結ぶ線分が位置する線21Aと、該長さの延伸方向と同方向の反応チャンバ本体10の内部空間11の中心軸線11Aとの間に夾角aを有する。
【0146】
ここでの「該長さの延伸方向と同方向…の中心軸線」とは、具体的に説明すると、仕切り部材21の長さがほぼ反応チャンバ本体10の長さ方向に沿って延伸する場合、この中心軸線11Aがこの反応チャンバ本体10の長さ方向の中心軸線であり、仕切り部材21の長さがほぼ反応チャンバ本体の幅方向に沿って延伸する場合、この中心軸線11Aがこの反応チャンバ本体10の幅方向の中心軸線であり、ここでの同方向とは、ほぼ同じであり、絶対に同じではない。
【0147】
ここでは、夾角aを有するという意味は、結び線が位置する線21Aは、中心軸線11Aとの間は平行ではなく、夾角を有し、即ち、中心軸線11Aに対して傾斜して設けられることである。好ましくは、前記夾角aが60°以下であり、好ましくは、45°以下であり、さらに好ましくは、20°以下である。このように、仕切られて形成された各空間領域内の反応液は、反応チャンバ本体10の一端から他端まで流れやすく、このように、仕切り部材21の端部と、隣接する空間領域との間が連通している場合、この端部から、隣接する空間領域まで流れやすく、混合効率を向上させる。夾角aが大きすぎないことが好ましく、即ち、結び線21aが軸線から離れすぎないことが好ましく、そうでなければ、反応液が反応チャンバ本体10の一端に堆積し、薄く広げられることに不利である。
【0148】
一例において、仕切り部20は、反応チャンバ本体10の内壁に設けられ、実施中に、内壁に回転可能に固定されてもよく、内壁に回転不能に固定されてもよく、複数の仕切り部材21がある場合、全てが内壁に回転可能に設けられてもよく、一部が内壁に回転可能に設けられてもよい。好ましくは、仕切り部材21がシート状である場合、シート状の仕切り部材21の一方の側辺23は、反応チャンバ本体10の内壁に面し、即ち、該仕切り部材21は、該側辺23を介して内壁に回転可能又は回転不能に設けられる。
【0149】
一例において、シート状の仕切り部材21の一方の側辺23が反応チャンバ本体10の内壁に面する場合、シート状の仕切り部材のシート状表面と、対向する内壁(側辺23が位置する内壁を指す)との間の夾角は、90°に等しくなく、即ち、シート状表面は、内壁に完全に垂直ではなく、垂直面から一定の角度bだけずれており、このように、相対的に垂直である場合に比べて、反応中に発生した泡を減少させ、反応効果を向上させることができ、反応液をよりよく薄く広げることもできる。
【0150】
一例において、仕切り部材21の長さは、反応チャンバ本体10の長さ方向に沿って延伸し、かつ該反応チャンバ本体の長さ方向の一端から他端まで延伸し、即ち、仕切り部材の長さは、反応チャンバ本体の長さとほぼ同等であり、このように、より大きい接触面積を保証することができ、合成効率を向上させる。
【0151】
図9に、反応チャンバ本体が仕切り部材によって不完全に仕切られた構造の側面断面図を示す。
【0152】
一例において、図9に示すように、シート状の仕切り部材21の一方の側辺24に凹み領域24aが設けられ、このように、仕切り部材21が内壁に設けられる場合、図9に示すように、凹み領域24aを内壁から離れて設けることにより、反応液が各空間領域の間を流れやすくなり、全体の混合効率を向上させることができる。
【0153】
一例において、仕切り部材21には、少なくとも1つの流動孔(図示せず)が設けられ、
このように、反応液が1つの空間領域から他の空間領域へ流れやすくなる。好ましくは、複数の流動孔がある場合、少なくとも1つの仕切り部材21における流動孔は、仕切り部材21に均一に配置され、例えば、3つの仕切り部材21を有し、各仕切り部材21に複数の流動孔が設けられる場合、3つの仕切り部材のうちのいずれか1つ又は複数における流動孔が均一に配置されてもよい。
【0154】
一例において、図2及び図4に示すように、仕切り部材21の外面に少なくとも1つの第2突起21bが配置され、同様に、第2突起21bにより、仕切り部材21の表面積を増加させることができ、反応液との接触面積を増加させ、反応液が薄く広げられる程度を増加させる。
実施例6
【0155】
本実施例において、前述した実施例と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0156】
図11は、本発明に係る第3構成の反応装置の全体構成を示す概略図である。
【0157】
図12は、図11の一側面図である。
【0158】
図における反応装置300に示すように、本実施例に係るハウジング70は、反応チャンバ本体10に合わせて反応チャンバ本体10を収容する。
【0159】
好ましくは、ハウジング70は、以下のいずれか1つ又は複数の特徴の組み合わせを有する。
(1)ハウジング70には、開閉ドア71が設けられ、好ましくは、開閉ドア71に通気孔71aが設けられ、このように、反応チャンバ本体10の内部空間11のガスの排出又は外部ガスの内部空間11への流入を実現することができる。
(2)ハウジング70の外側には、ディスプレイ72が設けられ、即ち、ハウジング70の内部ではなく、外側、例えば、外面に設けられ、好ましくは、ディスプレイ72は、ハウジング70の頂部73の外面に位置し、さらに例えば、外面に嵌め込まれる。該ディスプレイ72により、例えば、反応過程、状態及び条件などの表示を実現でき、タッチ操作により反応及び反応生成物の排出なども実現できる。
(3)ハウジング70の外側には、物品を載置する載置台が設けられ、好ましくは、載置台の載置面には、滑り止め模様74が設けられ、さらに好ましくは、ハウジングの頂部の外面は、載置台である。
(4)ハウジングには、吸気通路、排気通路、供給通路、排出通路のうちのいずれか1種又は複数種が設けられる。具体的には、吸気通路(図示せず)を設けて外部ガスを反応チャンバ本体10の内部空間11に流入させ、例えば、前述した吸気ダクトを介して吸気通路と吸気口とを連通することによりガスを流入させる。排気通路を設けて反応チャンバ本体10の内部空間のガスを排出し、例えば、前述した排気ダクトを介して排気口と排気通路とを連通することによりガスを排出する。供給通路11aを設けて合成用反応液を反応チャンバ本体10の内部空間11に流入させてインビトロ生合成の反応を行う(図12に示すとおりである)。排出通路11bを設けて反応後の生成物を排出する(図12に示すとおりである)。
実施例7
【0160】
図1は、本発明に係る第1構成の反応装置の全体構成を示す概略図である。
【0161】
図2は、図1の別の視点からの概略図である。
【0162】
図1及び図2に示すように、本実施例に係るインビトロ生合成の反応装置100は、バイオリアクターと、仕切り部20とを含み、バイオリアクターは、実施例4に係るバイオリアクターであり、仕切り部20は、少なくとも1つの実施例5に係る仕切り部材21を有し、少なくとも1つの仕切り部材21は、バイオリアクターの反応チャンバ本体10の内部空間に対して前述した不完全な仕切りを行う。
【0163】
一例において、仕切り部材21が内壁に設けられる場合、仕切り部材と内壁との間に少なくとも1つの断続部があり、即ち、仕切り部材21と内壁との間に少なくとも1つの隙間が存在し、このように、反応液が1つの空間領域から他の空間領域へ流れやすくなる。好ましくは、少なくとも1つの仕切り部材21と内壁との間の断続部が等間隔に配置され、例えば、3つの仕切り部材21が内壁に設けられ、各仕切り部材21と内壁との間に少なくとも1つの断続部があり、3つの仕切り部材21のうちの少なくとも1つと内壁との間の断続部が等間隔に配置される。
【0164】
一例において、反応装置100は、吸気ユニットをさらに含む。前述した吸気口は、該吸気ユニットを介して外部ガスを内部空間11に流入させる。
【0165】
一例において、吸気ユニット30は、少なくとも1つの吸気ダクトを含み、図1に示すように、図1には、1つの吸気ダクト30aが示され、吸気ダクトの一端は、吸気口に面して内部空間に外部ガスを輸送し、即ち、吸気ダクトと内部空間11との間に一定の距離がある。
【0166】
一例において、反応装置100は、排気ユニットをさらに含み、前述した排気口は、該排気ユニットを介して内部空間11のガスを排出する。
【0167】
一例において、排気ユニットは、少なくとも1つの排気ダクトを含み、排気ダクトは、前述した排気口と連通するか又は内部空間11に入ることにより、内部空間11のガスを排出することができる。
【0168】
一例において、反応装置100は、反応チャンバ本体10を回転させる回転部をさらに含み、好ましくは、回転部は、反応チャンバ本体に回転可能に接続されることにより反応チャンバ本体10を回転させ、好ましくは、反応チャンバ本体10における開口部の反対側に位置する回転装着部に回転可能に接続され、回転可能に接続された後、開口部の開口位置が斜め上向きになる(図1に示すとおりである)。このように、回転中に反応液を反応チャンバ本体10の内壁及び仕切り部20によりよく接触させて薄く広げることができ、開口が大きくても反応液が溢れることがなく、このように、開口を供給口又は排出口とする場合、供給又は排出がより容易になり、開口を吸気口又は排気口とする場合、より大きな換気量を保証することができる。
【0169】
一例において、図1に示すように、回転部には、回転ホイール62がさらに設けられ、反応チャンバ本体10は、回転ホイール62に設けられ、回転ホイール62は、反応チャンバ本体10の回転に伴って回転し、このように、反応チャンバ本体10の自重が非常に大きくても、よく支持されて回転することができ、大規模なインビトロ生物反応生産をより容易に実現することができる。図1に示すように、図中の回転ホイール62は、フレーム62aに設けられ、反応チャンバ本体10は、回転ホイール62に設けられる。
【0170】
一例において、回転部は、駆動ユニット63を含み、駆動ユニット63の駆動により反応チャンバ本体を回転させ、図2に示すように、駆動ユニット63は、回転軸により反応チャンバ本体10を回転させる。
【0171】
一例において、反応装置100は、所定の温度条件を保持しながらインビトロ生合成の反応を行う温度調節装置(図示せず)をさらに含み、例えば、反応チャンバ本体10に対して保温対策、加熱又は降温などを行うことにより実現し、好ましくは、温度調節装置は、反応チャンバ本体の内部に流入したガスを温度調節して所定の温度条件を保持し、例えば、内部空間に流入したガスを加熱する。
【0172】
一例において、本実施例の反応装置は、反応チャンバ本体10に合わせて前記反応チャンバ本体を収容するハウジングをさらに含み、ハウジングは、実施例6におけるハウジングである。
【0173】
本実施例において、インビトロ生合成方法をさらに提供し、該インビトロ生合成方法は、前述した反応装置100を用いて合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行い、具体的には、前述した反応装置100を参照して説明する。
【0174】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応を行う合成用反応液の体積が反応チャンバ本体の容積に占める割合は、30%以下であり、このように、反応液が十分に薄く広げられることを保証し、反応効率を保証することができる。
【0175】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応過程において、外部ガスを内部空間に導入し、例えば、空気を流入させることで、反応に必要な酸素の導入に有利である。
【0176】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応過程において、反応により発生した排ガスが合成に影響を与えないように、内部空間のガスを排出する。
【0177】
一例において、本実施例のインビトロ生合成方法では、インビトロ生合成の反応過程において、反応装置の反応チャンバ本体10を回転させることにより、反応液を内壁と仕切り部材に薄く広げて、混合することができる。また、回転速度が120r/min以下であるため、泡が発生しにくく、インビトロ生合成の品質が保証される。
実験例1
【0178】
本実施例において、それぞれ以下の装置を用い、インビトロ転写翻訳系を用いてターゲットタンパク質EGFPの発現テストを行った。
【0179】
(1)第1実験装置は、第1構造の反応装置を用い、反応チャンバ本体の内壁には、第1突起が均一に配置され、仕切り部材の外面には、第2突起が均一に配置される。
(2)第2実験装置は、反応チャンバ本体の内壁及び仕切り部材の外面がいずれも滑らかである点で第1実験装置と異なる。
(3)第3実験装置は、24ウェルプレートである。
【0180】
第1実験装置と第2実験装置のそれぞれの反応チャンバ本体の内部空間にそれぞれ1Lの同様のIVTT反応液(インビトロ転写翻訳系、インビトロ転写翻訳カップリング系)を入れて、同様の回転数と温度条件でインビトロタンパク質合成の生合成反応を行った。
【0181】
24ウェルプレートに300uLの同様のIVTT反応液を添加して同様の温度で同様の生物反応を対照として行った。
【0182】
それぞれ1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間反応した後のサンプルを取って、EGFPの蛍光値を測定した。結果を図13に示す。図に示すように、本発明に係る
反応装置において、24ウェルプレートに比べてターゲットタンパク質発現活性が維持され、かつ突起を有する反応装置において、IVTT生成物の蛍光値がより高く、即ち、IVTT活性がより優れる。
実験例2
【0183】
図14は、第2構造の反応装置を用い、本発明のインビトロ生合成方法により、それぞれ1時間、3時間及び6時間反応させて調製したターゲットタンパク質EGFPの活性測定結果である。反応チャンバ本体の容積は、50Lであり、添加したIVTT反応液の体積は、10Lであり、対照群は、実験室で24ウェルプレートを使用して調製したターゲットタンパク質であり、24ウェルプレートに同様のIVTT反応液を300uL添加し、同様の回転速度及び温度条件でインビトロタンパク質合成を行った両者の生物反応を比較した。
【0184】
図14から分かるように、本発明のインビトロ生合成の反応装置を用いる場合、3つの反応時間で、得られたターゲットタンパク質EGFPの活性は、いずれも対照群と同等であり、活性がよく維持され、本発明のインビトロ生合成の反応装置は、インビトロ生合成の拡大生産を行うことができることが実証された。
【0185】
なお、上記実施例において、吸気及び供給は、いずれもポンピングによって完成してもよく、排気及び排出は、いずれも吸引によって完成してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行うように構成された反応チャンバ本体であって、前記合成用反応液を前記反応チャンバ本体内に流入させる供給口と、反応後の生成物を排出する排出口とを有する開口部が設けられた反応チャンバ本体と、
前記反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切るように構成された仕切り部と、を含む、ことを特徴とするインビトロ生合成の反応装置。
【請求項2】
前記反応チャンバ本体は、缶体であり、好ましくは、横型缶体である、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記仕切り部は、少なくとも1つの仕切り部材を含み、
好ましくは、前記仕切り部材は、シート状であり、及び/又は複数の前記仕切り部材は、等間隔に分布する、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項4】
前記仕切り部材の長さは、曲線又は折れ線で延伸る、ことを特徴とする請求項に記載の反応装置。
【請求項5】
前記仕切り部材の長さの両端を結ぶ線が位置する線と、該長さの延伸方向と同方向の前記反応チャンバ本体の内部空間の中心軸線との間に夾角aを有し、好ましくは、前記夾角aは、60°以下であり、好ましくは、45°以下であり、さらに好ましくは、20°以下である、ことを特徴とする請求項3に記載の反応装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記仕切り部材は、前記反応チャンバ本体の内壁に回転可能及び/又は回転不能に固定して設けられ、ことを特徴とする請求項に記載の反応装置。
【請求項7】
シート状の仕切り部材の一方の側辺は、前記反応チャンバ本体の内壁に面し、及び/又は、シート状の仕切り部材の前記内壁から離れた他方の側辺には、凹み領域が設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の反応装置。
【請求項8】
シート状の仕切り部材の一方の側辺が前記反応チャンバ本体の内壁に面する場合、前記仕切り部材のシート状表面と、対向する前記内壁との間の夾角は、90°に等しくない、ことを特徴とする請求項3に記載の反応装置。
【請求項9】
前記仕切り部材に少なくとも1つの流動孔が設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の反応装置。
【請求項10】
前記仕切り部材が前記内壁に設けられる場合、前記仕切り部材と前記内壁との間に少なくとも1つの断続部がある、ことを特徴とする請求項3に記載の反応装置。
【請求項11】
前記開口部は、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気口、及び/又は前記内部空間のガスを排出する排気口を有する換気ユニットをさらに有し、
好ましくは、前記供給口、前記排出口、前記吸気口及び前記排気口のうちの1つ又は複数は、同一の開口である、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項12】
吸気ユニット及び/又は排気ユニットをさらに含み、前記吸気口は、該吸気ユニットを介して外部ガスを前記内部空間に流入させ、前記排気口は、該排気ユニットを介して前記内部空間のガスを排気ユニットから排出する、ことを特徴とする請求項11に記載の反応装置。
【請求項13】
前記吸気ユニットは、少なくとも1つの吸気ダクトを含み、前記吸気ダクトの一端は、前記吸気口に面して前記内部空間に前記外部ガスを輸送し、
或いは、前記吸気ダクトの一端は、前記吸気口から前記内部空間に入り、この場合、好ましくは、少なくとも1つの前記吸気ダクトが前記反応チャンバ本体の水平方向に沿って延伸し、さらに好ましくは、少なくとも1つの前記吸気ダクトの前記内部空間に入った部分の管壁に少なくとも1つのガス抜き孔が設けられ、好ましくは、少なくとも1つの前記ガス抜き孔が均一に分布し、及び/又は、前記内部空間に入った前記吸気ダクトの一端が密封される、ことを特徴とする請求項12に記載の反応装置。
【請求項14】
前記反応チャンバ本体を回転させる回転部をさらに含み、
好ましくは、前記回転部は、前記反応チャンバ本体に回転可能に接続されることにより前記反応チャンバ本体を回転させる、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項15】
所定の温度条件を保持しながら前記反応を行うように構成された温度調節装置をさらに含み、
好ましくは、前記温度調節装置は、前記反応チャンバ本体の内部に流入したガスを温度調節して前記所定の温度条件を保持するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項16】
前記反応チャンバ本体の内壁には、少なくとも1つの第1突起が配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項17】
前記仕切り部材の外面に少なくとも1つの第2突起が配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の反応装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の反応装置を用いて、合成用反応液を収容してインビトロ生合成の反応を行う、ことを特徴とするインビトロ生合成方法。
【請求項19】
前記反応を行うための合成用反応液の体積が反応チャンバ本体の容積に占める割合は、3
0%以下である、ことを特徴とする請求項18に記載のインビトロ生合成方法。
【請求項20】
前記反応の過程において、外部ガスを内部空間に導入し、及び/又は前記内部空間のガスを排出する、ことを特徴とする請求項18に記載のインビトロ生合成方法。
【請求項21】
前記反応の過程において、前記反応装置の反応チャンバ本体を回転させ、好ましくは、前記反応チャンバ本体の水平中心軸線を水平状態からずらし、
さらに好ましくは、回転速度は、120r/min以下である、ことを特徴とする請求項18に記載のインビトロ生合成方法。
【請求項22】
インビトロ生合成の反応に用いられるバイオリアクターであって、
合成用反応液を収容してインビトロタンパク質合成の反応を行うように構成された反応チャンバ本体を含み、前記反応チャンバ本体には、開口部が設けられ、前記開口部は、供給口、排出口、及び換気ユニットを有し、前記供給口は、前記合成用反応液を前記反応チャンバ本体内に流入させ、前記排出口は、反応後に得られた生成物を前記反応チャンバ本体から排出し、前記換気ユニットは、外部ガスを前記反応チャンバ本体の内部空間に流入させる吸気口及び/又は前記内部空間のガスを排出する排気口を有する、ことを特徴とするバイオリアクター。
【請求項23】
前記反応チャンバ本体の内壁には、少なくとも1つの第1突起が配置され
及び/又は、前記供給口、前記排出口、前記吸気口及び前記排気口のうちの1つ又は複数は、同一の開口であり、
及び/又は、前記バイオリアクターは、前記反応チャンバ本体を回転させる回転部に回転可能に接続された回転装着部をさらに含み、前記回転装着部は、前記開口部の反対側に位置し、回転可能に接続された後、前記開口部は、斜め上向きになり、
及び/又は、前記反応チャンバ本体は、缶体である、ことを特徴とする請求項22に記載のバイオリアクター。
【請求項24】
請求項22または23に記載のバイオリアクターの反応チャンバ本体の内部空間を不完全に仕切るように構成される、ことを特徴とする生物反応用の仕切り部材。
【請求項25】
前記仕切り部材の長さは、曲線又は折れ線で延伸し、
及び/又は、前記仕切り部材は、シート状であり、2つの対向するシート状表面と、該2つの対向するシート状表面の両側に設けられた側辺とを有し、
及び/又は、前記仕切り部材の一方の側辺には、凹み領域が設けられ、
及び/又は、前記仕切り部材には、少なくとも1つの流動孔が設けられ、
及び/又は、前記仕切り部材の外面に少なくとも1つの第2突起が配置される、ことを特徴とする請求項24に記載の仕切り部材。
【国際調査報告】