(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】フライバックコンバータのためのコントローラ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532394
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 US2022051079
(87)【国際公開番号】W WO2023101912
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ヴィダル
(72)【発明者】
【氏名】ディネシュ カタム
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB43
5H730DD02
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730FF01
5H730FG01
(57)【要約】
コンバータ制御回路は、スイッチノードに結合される端子を含む。コンバータ制御回路は、当該端子に結合されるバレー感知回路(150)を含み、スイッチノード上の発振電圧のバレーを検出する。バレー感知回路(150)は、第1の出力を有し、バレーの発生を示す第1の出力上の第1の制御信号をアサートする。論理ゲート(170)が、第2の出力を有し、第2の出力上の第2の制御信号をアサートして、スイッチングトランジスタ(M1)をオンにする。スイッチオン制御回路(165)が、第1の入力及び第2の入力を有する。第1の入力は第1の出力に結合する。第2の入力は第2の出力に結合する。スイッチオン制御回路(165)は、第1の制御信号がバレーを示す一方で、スイッチングトランジスタ(M1)がオンであることを第2の制御信号が示すことに応答して、スイッチングトランジスタ(M1)をオンにするために第3の制御信号をアサートする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータのための制御回路であって、
前記コンバータのスイッチノードに結合されるように適合されている端子と、
前記端子に結合されるバレー感知回路であって、前記バレー感知回路が、前記スイッチノード上の発振電圧におけるバレーを検出するように構成され、前記バレー感知回路が、第1の出力を有しており、前記第1の出力上で、バレーの発生を示す第1の制御信号をアサートするように構成されている、前記バレー感知回路と、
第2の出力を有する論理ゲートであって、前記スイッチノードに結合されるスイッチングトランジスタをオンにするため、前記第2の出力上で第2の制御信号をアサートするように構成されている、前記論理ゲートと、
第1の入力と第2の入力とを有するスイッチオン制御回路と、
を含み、
前記第1の入力が前記第1の出力に結合され、前記第2の入力が第2の出力に結合され、前記スイッチオン制御回路が、前記第1の制御信号がバレーの発生を示す一方で、前記第2の制御信号が、前記スイッチングトランジスタがオンされるべきであることを示すことに応答して、前記スイッチングトランジスタをオンにするように第3の制御信号をアサートするように構成されている、
制御回路。
【請求項2】
請求項1の制御回路であって、前記スイッチオン制御回路がフリップフロップを含む、制御回路。
【請求項3】
請求項2の制御回路であって、前記フリップフロップが、データ入力及びクロック入力を含み、前記データ入力が前記第2の出力に結合され、前記クロック入力が前記第1の出力に結合される、制御回路。
【請求項4】
請求項1の制御回路であって、前記バレー感知回路が、
電流源と、
前記電流源と接地との間で第1のスイッチに直列に結合される第1のコンデンサと、
前記電流源と接地との間で第2のスイッチに直列に結合される第2のコンデンサと、
第1の比較器入力と第2の比較器入力とコンパレータ出力とを有する比較器であって、前記比較器が前記第1の出力であり、前記第1の比較器入力が前記第1のコンデンサに結合されており、前記第2の比較器入力が前記第2のコンデンサに結合されており、前記コンパレータ出力が、前記第3の制御信号を提供するように構成されている、前記比較器と、
を含む、制御回路。
【請求項5】
請求項4の制御回路であって、前記スイッチオン回路が、データ入力及びクロック入力を有するフリップフロップを含み、前記データ入力が前記第2の出力に結合され、前記クロック入力が前記コンパレータ出力に結合される、制御回路。
【請求項6】
請求項5の制御回路であって、前記コンパレータ出力と前記クロック入力との間に結合されるワンショットを更に含む、制御回路。
【請求項7】
請求項4の制御回路であって、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサの静電容量がほぼ等しい、制御回路。
【請求項8】
請求項4の制御回路であって、前記バレー感知回路がランプタイマーを含み、前記ランプタイマーが、
前記スイッチノード上の発振の始まりの検出に応答して前記第1のスイッチを閉じ、前記スイッチノード上の電圧が前記コンバータへの入力電圧を下回ることに応答して前記第1のスイッチを開き、
前記スイッチノード上の電圧が入力電圧を下回ることに応答して前記第2のスイッチを閉じる、
ように構成されている、制御回路。
【請求項9】
請求項8の制御回路であって、前記ランプタイマーがランプタイマー入力を有しており、前記ランプタイマー入力が、前記スイッチノード上の電圧が前記入力電圧を下回ることを示す信号を受信するように構成されている、制御回路。
【請求項10】
請求項1の制御回路であって、前記制御回路が、フライバックコンバータに結合されるように適合されている、制御回路。
【請求項11】
フライバックコンバータであって、
一次コイル及び二次コイルを有する変圧器と、
スイッチノードにおいて前記一次コイルに結合されるスイッチングトランジスタと、
前記スイッチノードに結合されるフィードバック入力を有する制御回路と、
を含み、
前記制御回路が、
前記スイッチノード上で発振電圧の前記スイッチノード上の電圧のバレーを検出し、
前記検出されたバレーのうちの或るバレーの発生とほぼ同時に前記スイッチングトランジスタをオンにする、
ように構成されている、
フライバックコンバータ。
【請求項12】
請求項11のフライバックコンバータであって、前記制御回路が、
前記二次コイルを介する電流がゼロアンペアに達すると前記スイッチノード上で発振電圧の前記スイッチノード上の電圧の前記バレーを検出し、各検出されたバレーに一致する電圧パルスを出力するように構成される第1の回路と、
前記スイッチングトランジスタをオンにするための制御信号を出力するように構成される第2の回路と、
前記第1の回路及び前記第2の回路に結合されるスイッチオン制御回路と、
を含み、
前記第2の回路からの前記制御信号が、前記第1の回路が電圧パルスを出力するときに前記スイッチングトランジスタがオンされるべきであることを示すことに応答して、前記スイッチオン制御回路が、前記スイッチングトランジスタをオンにするように構成されている、
フライバックコンバータ。
【請求項13】
請求項12のフライバックコンバータであって、前記スイッチオン制御回路がフリップフロップを含む、フライバックコンバータ。
【請求項14】
請求項13のフライバックコンバータであって、前記フリップフロップが、データ入力とクロック入力とを含み、前記データ入力が前記第2の回路の出力に結合され、前記クロック入力が前記第1の回路の出力に結合される、フライバックコンバータ。
【請求項15】
請求項14のフライバックコンバータであって、前記第1の回路の前記出力と前記クロック入力との間に結合されるワンショットを更に含む、フライバックコンバータ。
【請求項16】
請求項11のフライバックコンバータであって、前記制御回路が、
電流源と、
前記電流源と接地との間で第1のスイッチに直列に結合される第1のコンデンサと、
前記電流源と接地との間で第2のスイッチに直列に結合される第2のコンデンサと、
第1の比較器入力と第2の比較器入力とコンパレータ出力とを有する比較器と、
を含み、
前記第1の比較器入力が前記第1のコンデンサに結合されており、前記第2の比較器入力が前記第2のコンデンサに結合されており、前記コンパレータ出力が前記第3の制御信号を提供するように構成されている、
フライバックコンバータ。
【請求項17】
請求項16のフライバックコンバータであって、更に、
前記コンパレータ出力に結合される入力と、出力とを有するワンショットと、
前記ワンショットの前記出力に結合されるクロック入力を有するフリップフロップと、
を含む、フライバックコンバータ。
【請求項18】
請求項11のフライバックコンバータであって、前記フライバックコンバータが擬似共振フライバックコンバータである、フライバックコンバータ。
【請求項19】
変圧器とスイッチングトランジスタとを有するフライバックコンバータを制御する方法であって、
前記変圧器が、一次コイル及び二次コイルを有しており、前記スイッチングトランジスタが、スイッチノードにおいて前記一次コイルに結合され、
前記方法が、
前記スイッチングトランジスタをオフにすることと、
前記二次コイルを介する電流が約ゼロアンペアまで低下したときを検出することと、
前記スイッチノード上の発振電圧の各バレーが発生するときを判定することと、
前記スイッチングトランジスタをオンにするための信号の受信に応答して、後続のバレーの発生時に前記スイッチングトランジスタをオンにすることと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって、前記スイッチノード上の前記発振電圧の各バレーが発生するときを判定することが、
前記発振電圧の約4分の1について、第1のコンデンサを電流源で充電することと、
第2のコンデンサを前記電流源で充電することと、
前記第2のコンデンサ上の電圧が前記第1のコンデンサ上の電圧にほぼ等しいときを判定することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
直流(DC)-DC又は交流(AC)-DCフライバックコンバータは、入力電圧を出力電圧に変換し、これら2つの電圧間にガルバニック絶縁を提供する。フライバックコンバータのカテゴリの一つは、可変周波数がバレースイッチング(valley switching)をいつオンにするかを判定するために用いられる、擬似共振フライバックコンバータである。擬似共振フライバックコンバータの場合、スイッチによるターンオン損失は、バレースイッチングモードで動作することによってなくすか又は低減することができる。
【発明の概要】
【0002】
一例において、コンバータのための制御回路が、コンバータのスイッチノードに結合されるように適合された端子を含む。制御回路はバレー(valley)感知回路を含み、バレー感知回路は、当該端子に結合され、スイッチノード上の発振電圧のバレーを検出するように構成される。バレー感知回路は、第1の出力を有し、バレーの発生を示す第1の出力上の第1の制御信号をアサートするように構成される。論理ゲートが第2の出力を有する。論理ゲートは、スイッチノードに結合されるスイッチングトランジスタをオンにするために、第2の出力上の第2の制御信号をアサートするように構成される。スイッチオン制御回路が、第1の入力と第2の入力とを有する。第1の入力は第1の出力に結合される。第2の入力は第2の出力に結合される。スイッチオン制御回路は、第1の制御信号がバレーの発生を示す一方で、第2の制御信号が、スイッチングトランジスタがオンにされることを示すことに応答して、スイッチングトランジスタをオンにするため第3の制御信号をアサートするように構成される。
【0003】
別の例において、フライバックコンバータを制御する方法が、スイッチノードにおいて変圧器の一次コイルに結合されるスイッチングトランジスタをオフにすることを含み、この方法は、変圧器の二次コイルを介する電流が約ゼロアンペアまで低下したときを検出することを含む。この方法は更に、スイッチノード上の発振電圧の各バレーが発生するときを判定することを含む。スイッチングトランジスタをオンにするための信号の受信に応答して、この方法は、後続のバレーの発生時にスイッチングトランジスタをオンにすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【0005】
【
図1】一例におけるフライバックコンバータのための制御回路の概略図を図示する。
【0006】
【
図2】一例における一次側調整フライバックコンバータの動作のタイミング図を図示する。
【0007】
【
図3】一例においてスイッチバレーを検出するためのタイミング図を図示する。
【0008】
図面において、(機能及び/又は構造のいずれかが)同じ又は同様の特徴に対して、同じ参照番号が用いられている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
フライバック電圧コンバータは、それぞれ、入力と出力との間に接続される一次コイル及び二次コイルを有する変圧器を用いて、入力電圧(又は電流)を所望の出力電圧(又は電流)に変換する。変圧器は、入力と出力との間にガルバニック絶縁を提供する。コンバータは、一次コイルへの電流をオン/オフするために一次コイルに接続されるスイッチング素子(例えば、トランジスタ)を含む。フライバックコンバータの1つのタイプは、擬似共振フライバックコンバータである。擬似共振フライバックコンバータは、連続導通モード(CCM)、不連続導通モード(DCM)、又は電流臨界モード(BCM)で動作することができる。CCMの間、電流は、変圧器の一次コイルに連続的に流れる。DCMの間、電流は、各スイッチングサイクルの一部の間、変圧器への流れを止める。BCMは、一次巻線の電流がゼロアンペアまで低下するとすぐにスイッチがオンになる状態を指す。
【0010】
本明細書に記載する実施例は、DCMで動作することが可能な擬似共振フライバックコンバータのための制御回路を対象とする。しかしながら、記載される手法はBCM動作にも適用される。本明細書に記載の制御回路は、一次側調整フライバックコンバータに特に有用であり、一次側調整フライバックコンバータにおいて、制御回路は、変圧器の一次コイルを介する電流を調整し、それによって変圧器の二次側の出力電圧を調整する。制御回路は、フライバックコンバータのスイッチノード(SW)に結合されるように適合されているフィードバック(FB)ノードを含む。一実施例において、制御回路は集積回路(IC)として製造され、FBノードはICのピンである。制御回路は、(1)ゼロ交差電流感知、(2)出力電圧(VOUT)サンプリング、及び(3)SWノードバレー感知、の3つの理由でFBノードを監視する回路要素を含む。BCM及びDCM動作の間、主スイッチング素子(例えば、トランジスタ)がオフになった後、変圧器の二次コイル電流は、上昇し、その後二次電流がゼロ電流に達する(交差する)まで、ほぼ線形に減衰し始め、ゼロ電流に達した時点で、SWノード電圧は正弦波状にリンギングし始める。
【0011】
リンギングSWノード電圧は、一連の減衰ピーク及びバレーを有する。SWノード電圧は、スイッチング素子の両端に結合される。制御回路がスイッチング素子をオンにすると判定すると、制御回路内のバレー感知回路が、次のSWノード電圧バレーが生じるまで、スイッチング素子がオンになることを防止する。SWノード電圧のバレーにおいてスイッチング素子をオンにすることによって、スイッチング素子におけるスイッチング損失は、リンギング電圧波形中のバレー地点よりもSWノード電圧が大きいときにスイッチング素子がターンされた場合と比較して、低減される。
【0012】
図1は、例示の実施例におけるDC-DCフライバックコンバータ100の概略図である。この例において、フライバックコンバータ100は、入力電圧(VIN)を受け取るように適合された入力108と、出力電圧VOUTを提供する出力109とを含む。コンバータ100はまた、変圧器TR1と、ダイオードD1と、トランジスタM1(上述したスイッチング素子)とを含む。変圧器TR1は、一次コイルL1と二次コイルL2とを含む。ダイオードD1は、二次コイルL2に結合され、二次コイルからの電圧を整流するように機能する。電流Ipriは一次コイルL1を介する電流であり、電流Isecは二次コイルL2を介する電流である。コンバータはまた、出力コンデンサCOUTを含み得る。コンデンサCOUTの両端の電圧はVOUTである。M1がオンであるとき、電流はVINから、一次コイルL1を介し、M1を介して、接地に流れる。M1がオフであるとき、一次コイル電流はゼロアンペアである。
【0013】
コンバータは制御回路120を有し、制御回路120は、特に、いつM1をオフにするかを判定し、それによって、VOUTを調整するために変圧器の一次側を介する電流を調整するように機能する。そのため、
図1におけるフライバックコンバータ100は、一次側レギュレーション(PSR)を用いる。制御回路120は、SWノード電圧の発振位相のバレーにおいてM1がオンにされることを確実にするバレー感知回路150を含む。
【0014】
制御回路120は、VOUTの大きさを判定することと、VOUTを目標レベルに維持するようにM1のデューティサイクルを調整することとによって、VOUTを調整する。しかし、VOUTは変圧器TR1の二次側に設けられているが、制御回路は変圧器の一次側に接続されている。そのため、制御回路120は、VOUTへのガルバニック接続を有さない。代わりに、制御回路は、SWノード上の電圧の大きさを監視することによって、VOUTの大きさを推定する。
【0015】
図2は、スイッチングサイクルの間のフライバックコンバータ100の波形を図示する。波形には、VIN、SWノード電圧、及び電流Ipri及びIsecが含まれている。M1がオンであるとき、Ipriは、201で示されるようにほぼ線形的に上昇する。M1がオンである時間期間は、
図2ではTonとして識別される。制御回路120がM1をオフにすると、Ipriはゼロアンペアに降下し、Isecは202に示すように上昇する。次いで、Isecは203に示されるようにほぼ線形的に減少する。最終的にIsecは0に達する(地点204)。次のスイッチングサイクルは210で開始する。地点202と地点210との間では、M1はオフである。この時間期間は、
図2ではToffとして識別される。地点204と地点210との間は、Ipriがゼロアンペアに等しいだけでなく、Isecもゼロアンペアに等しい。
【0016】
M1がオンであるとき、SWノード電圧は0Vである。制御回路120がM1をオフにするとすぐに、SWノード電圧は、220において識別されるようにVinよりも大きい値まで上昇する。SWノード電圧の大きさは、変圧器の巻数比、VOUT、ダイオードD1の順方向電圧降下(Vf)、及び、IsecとResrの積の関数である。Resrは、ダイオードD1とコンデンサCoutの寄生抵抗の合計である。FBノード(Vfb)の電圧は、SWノードの電圧に正比例し、そのため、式(1)は、Vfbに関して上記の関係を提供する。
Vfb=VSW-VIN=Nfs×(VOUT+Vf+(Isec×Resr) (1)
ここで、Nfsは、二次コイルL2の巻き数に対する一次コイルL1の巻き数の比である。Isecが地点204でゼロアンペアに達すると、項Isec×Resrは0に等しく、そのため、Vfbは、VoutにダイオードD1の順方向電圧降下(変圧器TR1の巻数比を乗じたもの)を加えたものの関数である。制御回路120は、Isecが0と交差する瞬間にVfbをサンプリングすることによって、この事実を利用する。その瞬間、Vfbは、ちょうどVoutの関数である。サンプリングの瞬間(sampling instant)は、221で識別される。
【0017】
制御回路120は、二次コイルL2への直接的な電気的アクセスを有さないので、制御回路120は、SWノード電圧の発振位相の始まりを検出することによってIsecが0を交差するときを推定する。以下に記載される実施例において、制御回路は、Isecが0を交差するときに発生するSWノード電圧の「屈曲点(knee)」225を検出する回路を含む。屈曲点は、SWノード電圧の勾配の劇的な変化によって特徴付けられる。
【0018】
図1を再度参照すると、屈曲点225は、電流ミラー115、抵抗Rset、ローパスフィルタ125、及びコンパレータCOMP1を用いて検出される。オフ時間(M1 off)の間、スイッチノード電圧はVIN+VOUTの関数である。電流ミラーは、トランジスタM2及びM3を含み、この例では5:1の電流ミラー比を採用する(M3を介する電流は、M2を介する電流の5倍である)。VINはM2のソースに結合される。同じVIN電圧はまた、M2及びM3によって実施される電流ミラーリング機能に起因して、M3のソース上に制御される。例えば、M3のソース(VFB)がVINより大きい場合、M3は、抵抗器RFBを介してより多くの電流をシンクし、VFBは減少する。VFBがVINより小さい場合、M3は、より少ない電流をシンクし、VFBは増加する。SWノード電圧がVIN+VOUTにほぼ等しく、M3のソース電圧がVINに等しい場合、抵抗器Rfbの両端の電圧差はほぼVOUTである。そのため、抵抗器Rfbを介する電流はVout/Rfbにほぼ等しい。M3を介する電流Ifbは抵抗器Rsetまで下だり、それによって、ほぼVOUT×Rset/Rfbに等しいRSETノード上の電圧を生成する。言い換えれば、RSETノード上の電圧はVOUTに比例する。
【0019】
上述のように、Isecが0を交差する瞬間のSWノード電圧をサンプリングすることは、VOUTの満足な近似を提供する。RSETノード電圧は、ローパスフィルタ125(これは、この例では抵抗器Rlp及びClpを含む)によってローパスフィルタされ、スイッチS3及びコンデンサChによってサンプリングされる。
【0020】
電流ミラー115、抵抗器Rset、ローパスフィルタ125、及びコンパレータCOMP1は、SWノード電圧における屈曲点225を検出するためにも用いられる。上述のように、抵抗器Rsetの両端の電圧は、SWノード電圧の関数であり、そのため、同じ又は同様の波形形状(屈曲点225及び後続のリンギングを含む)を有する。RSET電圧は、コンパレータCOMP1の反転入力に結合される。RSETのローパスフィルタされたバージョンは、コンパレータCOMP1の非反転入力に結合される。そのため、COMP1は、SWノード電圧の一層ゆっくりと変化するバージョンを、フィルタリングされていない一層速く変化する実際のSWノード電圧と比較する。屈曲点225が発生すると、SWノード電圧は、ローパスフィルタ125の出力の応答よりも急激に低下し、そのため、COMP1(ZX)の出力は論理高になる。そのため、ZXについての論理高は、Isetがゼロアンペアを交差したことを示す。
【0021】
バレー感知回路150は、OP1、トランジスタM4、電流源Isrc1及びIscr2、ランプタイマー154、スイッチSWA及びSWB、コンデンサCA及びCB、コンパレータCOMP2を含む。
図3は、バレー感知回路150の動作を図示する付加的な波形を提供する。SWノード電圧におけるリンギングは、ほぼ減衰正弦波形である。したがって、ピークとVswがVinを交差する地点との間の時間は、VswがVinを交差する地点と後続のバレーとの間の時間と同じである。時間地点301は、ピークが生じた時間である。地点302はゼロ交差地点である。地点303は後続のバレーを識別する。地点301と地点302との間の時間差は、地点302と地点303との間の時間差と同じである。バレー感知回路150は、地点301と302との間の時間を測定し保存するためにアナログタイマを実装し、次いで、測定され保存された時間を用いて、後続のバレーが生じているときを推定する。
【0022】
図1を再度参照すると、上述のように、ZXは、SWノード電圧のリンギング位相のピークと概して一致する屈曲点が生じるとき、論理高になる。ランプタイマー154は、スイッチSWAを閉じることによって、ZXが高であることに応答する。そのため、電流Isrc2は、コンデンサCAに流れ、コンデンサCAを充電する。コンデンサCA上の電圧は、スイッチSWAが閉じている間ほぼ線形的に増加する。オフ位相(M1 off)の間、一次コイルL1又は抵抗器Rfbを介して電流は流れない。そのため、FBノードの電圧は、SWノードの電圧である。OP1の反転入力及び非反転入力上の電圧は、ほぼ等しい。スイッチノード電圧であるOP1の非反転入力上の電圧は、反転入力電圧も強制的にスイッチノード電圧にする。スイッチノード電圧がVinよりも高い場合、トランジスタM4を介して電流は流れず、そのため、ランプタイマーへの入力156は論理低である。
【0023】
VswがVinを下回ると、電流がトランジスタM4を介して流れ、ランプタイマー154の入力156が強制的に高になる。そのため、その論理高は、スイッチ(又はFB)ノードがVINを下回るときに発生する。ランプタイマー154は、スイッチSWAを開くことによって、その入力156上の論理高アサートに応答する。結果として生じる、コンデンサCA上の電圧は、SWノード電圧のピークとVIN交差地点との間の時間の関数である。その電圧(CA電圧)は、COMP2の反転入力に提供される。
【0024】
CBの静電容量は、CAの静電容量にほぼ等しく、スイッチSWBが閉じているとき同じ電流源Isrc2がコンデンサC2を充電するために用いられる。スイッチSWAを開くと、ランプタイマーはまた、スイッチSWBを閉じ、それによって、コンデンサCBのための充電サイクルを開始する。次いで、コンデンサCBの電圧は、コンデンサCAの場合と同じ比率で線形に増加し始める。比較器COMP2の出力157は、コンデンサCB上の電圧がコンデンサCAの電圧に達する瞬間に論理高になり、これは、SWノード電圧のバレーが生じたことを示す。
図3は、VA(コンデンサCA上の電圧)とVB(コンデンサCB上の電圧)の波形を図示する。図示されるように、VAは、リンギングするSWノード電圧リンギングの第1の期間の間に判定され、VBとの比較のためにリンギング発振を確実にするために固定されたままである。コンデンサCBは、各バレーの発生を判定するためにVAと比較されるために、各発振の間に充電及び放電される。
【0025】
比較器COMP2の出力157は、ワンショット162に提供される。一例において、ワンショットは、その入力で論理高を検出すると、20nsの出力パルスを生成する。
図3は、ワンショット162がSWノード電圧の各バレーに一致する出力パルス310を生成することを図示する。ワンショット162の出力は、この実施例においてDフリップフロップ(DFF)167を含むスイッチオン制御回路165の入力に結合される。ワンショット162の出力は、DFF167のクロック入力に結合される。DFF167のD入力は、ANDゲート170から制御信号を受信する。ANDゲート170への入力は、ZX信号(上述)及びTFMAX信号である。ZX信号は、Isecがゼロアンペアを交差するときを示す。BCMの間、制御回路120は、ZXが論理高になると、M1をオンにする。DCMの間、制御回路120は、TFMAXが論理高になると、M1をオンにする。TFMAXは、タイマー171によって生成される。したがって、ANDゲートからの出力信号172は、制御回路120の一部がM1をオンにすると判定したときを示す。スイッチオン制御回路165は、(1)ANDゲート出力信号172が論理高であり、(2)比較器COMP2からの出力信号157も論理高である、という2つの条件が同時に真であるときに、M1をオンにするように機能する。言い換えれば、スイッチオン制御回路165は、信号172が高であるときであり、但し、SWノード電圧の次のバレーが発生していることを比較器COMP2が示すときにのみ、M1をオンにする。
【0026】
本記載において、「結合する」という用語は、本記載と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行うためにデバイスBを制御する信号を生成する場合、(A)第1の例において、デバイスAは直接接続によってデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更しない場合に、デバイスBがデバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAが介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【0027】
或るタスク又は機能を実施するように「構成される」デバイスは、その機能を実施するように製造時に製造者によって構成され(例えば、プログラミング及び/又はハードワイヤードされ)得、及び/又は、その機能及び/又はその他の付加的な又は代替の機能を実施するように、製造後にユーザによって構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介するもの、ハードウェア構成要素の構築及び/又はレイアウト及びデバイスの相互接続を介するもの、又はそれらの組み合わせを介してもよい。
【0028】
本明細書で用いる場合、「端子」、「ノード」、「相互接続」、「ピン」、及び「リード」という用語は交換可能に用いられる。特に断りのない限り、これらの用語は概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又は他の電子機器もしくは半導体構成要素の間の相互接続、又はそれらの終端を意味するために用いられる。
【0029】
特定の構成要素を含むものとして本明細書に記載される回路又はデバイスが、代わりに、記載される回路要素又はデバイスを形成するためにそれらの構成要素に結合されるように適合されてもよい。例えば、1つ又は複数の半導体素子(トランジスタなど)、1つ又は複数の受動素子(抵抗器、コンデンサ、及び/又はインダクタなど)、及び/又は、1つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流源など)を含むものとして説明される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内の半導体素子のみを含んでもよく、製造時又は製造の後に、例えばエンドユーザー及び/又は第三者によって、説明される構造を形成するために、受動素子及び/又は供給源の少なくともいくつかに結合されるように適合されてもよい。
【0030】
本明細書では特定のトランジスタの使用について説明するが、他のトランジスタ(又は同等のデバイス)を代わりに用いてもよい。例えば、p型金属酸化物シリコン電界効果トランジスタ(「MOSFET」)が、回路にほとんど又は全く変化がないn型MOS FETの代わりに用いられ得る。また、他のタイプのトランジスタ(バイポーラ接合トランジスタ(BJT)など)が用いられてもよい。
【0031】
本明細書に記載する回路は、構成要素置換前に利用可能な機能と少なくとも部分的に同様の機能を提供するように、付加的な又は異なる構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として示される構成要素は、別途記載がない限り、概して、示される抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するために、直列及び/又は並列に結合される任意の1つ又は複数の要素を表す。例えば、単一の構成要素として本明細書に示され記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、それぞれ、同じノード間で並列に結合される複数の抵抗器又はコンデンサであり得る。例えば、単一の構成要素として本明細書に示され、記載される抵抗器又はコンデンサが、代わりに、単一の抵抗器又はコンデンサと同じ2つのノード間に直列に結合される、それぞれ複数の抵抗器又はコンデンサであってもよい。
【0032】
前述の記載における「接地」という語句の使用は、シャーシ接地、アース接地、浮動接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は、本記載の教示に適用可能であるか、又は本記載の教示に適した、任意の他の形態の接地接続を含む。別途記載のない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10%を意味する。本発明の特許請求の範囲内で、記載した例に改変が成され得、他の実施例も可能である。
【0033】
本発明の特許請求の範囲内で、記載した例に改変が成され得、他の例も可能である。
【国際調査報告】