IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図1
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図2
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図3
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図4
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図5
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図6
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図7
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図8
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図9
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図10
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図11
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図12
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図13
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図14
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図15
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図16
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図17
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図18
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図19
  • -動力伝達装置及びその製造方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】動力伝達装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F16H19/04 Z
F16H19/04 A
F16H19/04 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532453
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2022018692
(87)【国際公開番号】W WO2023140485
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0009932
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513016493
【氏名又は名称】アイジービー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205914
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 総明
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(74)【代理人】
【識別番号】100220940
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 勇人
(72)【発明者】
【氏名】リン サン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョン ギュ
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA28
3J062AA33
3J062AB05
3J062AC01
3J062AC07
3J062BA01
3J062BA22
3J062CA16
3J062CA17
3J062CA18
3J062CA35
3J062CG83
(57)【要約】
動力伝達装置及びその製造方法が開示される。本発明の一実施形態による動力伝達装置は、動力を発生させるモータが連結されて入力軸を形成する円形ラック;円形ラックの両側に噛合し、所定のピニオン組立距離調節装置を通じて円形ラックとの組立距離が調節されるように設けられ、円形ラックから動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比に対応して減速して、該減速した動力を伝達する一対の上部ピニオン;一対の上部ピニオンにそれぞれ1つずつ対応して連結され、上部ピニオンから動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比に対応して減速して、該減速した動力を伝達する一対の下部ピニオン;及び円形ラックが固定され、一対の上部ピニオン及び一対の下部ピニオンが位置移動可能に組み立てられながら固定されるラック/ピニオン固定板;を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生させるモータが連結されて入力軸を形成する円形ラックと、
前記円形ラックの両側に噛合し、所定のピニオン組立距離調節装置を通じて前記円形ラックとの組立距離が調節されるように設けられ、前記円形ラックから動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比に対応して減速して、該減速した動力を伝達する一対の上部ピニオンと、
前記一対の上部ピニオンにそれぞれ1つずつ対応して連結され、前記上部ピニオンから動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比に対応して減速して、該減速した動力を伝達する一対の下部ピニオンと、
前記円形ラックが固定され、前記一対の上部ピニオン及び前記一対の下部ピニオンが位置移動可能に組み立てられながら固定されるラック/ピニオン固定板と、
を含むことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの中心を揃えながら、前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとを固定するメカロックをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記メカロックによって互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの間に結合し、前記ラック/ピニオン固定板上で前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとを移送させるピニオン移送板をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記ピニオン移送板と前記ラック/ピニオン固定板とのうち何れか1つには、互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの位置移動のためのガイドレールが形成され、他の1つには、前記ガイドレール上で移動するレールブロックが形成されることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記ガイドレールが前記ラック/ピニオン固定板に溝状に形成されており、前記レールブロックが前記ピニオン移送板に突設されることを特徴とする請求項4に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記ラック/ピニオン固定板は、その中央領域に前記円形ラックの組み立てのための円形ラック組立ホールが形成され、前記円形ラック組立ホールの両側に前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの組み立てのための一対のピニオン組立ホールが形成され、
前記ガイドレールは、前記円形ラック組立ホール及び前記ピニオン組立ホールに連通するように前記ラック/ピニオン固定板に形成されることを特徴とする請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記ピニオン組立距離調節装置が、前記ラック/ピニオン固定板上の定位置に固定された状態で前記円形ラックと前記上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記ピニオン組立距離調節装置は、
前記ラック/ピニオン固定板の一側に固定される第1固定ブロックと、
前記第1固定ブロックに一側が連結され、他側は、前記ラック/ピニオン固定板上の既定の位置に結合する原点固定ダウェルピンと、
前記第1固定ブロックと離隔し、前記ラック/ピニオン固定板の一側に固定される第2固定ブロックと、
前記上部ピニオンを前記円形ラック側に加圧する加圧ブロックと、
前記第1固定ブロックと前記第2固定ブロックとに連結され、前記加圧ブロックを移動可能に支持する支持ブロックと、
前記第2固定ブロックに連結され、端部が前記加圧ブロックに連結され、前記加圧ブロックを加圧する加圧調節ネジと、
前記支持ブロックに連結され、前記円形ラックと前記上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定するダイヤルゲージと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
前記上部ピニオンと前記下部ピニオンは、外周面の周り方向に沿って回転自在に複数本のピンが結合したピンギア式ピニオンであり、前記上部ピニオンよりも前記下部ピニオンのサイズが大きく設けられ、
前記加圧ブロックの端部には、前記上部ピニオンに設けられる複数本のピンのうち、一部を支持する複数本のピングルーブが形成されることを特徴とする請求項8に記載の動力伝達装置。
【請求項10】
前記ラック/ピニオン固定板には、前記ピニオン組立距離調節装置の原点固定ダウェルピンが結合するダウェルピン結合部が形成されることを特徴とする請求項8に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記ラック/ピニオン固定板に結合し、前記モータの軸と前記円形ラックの入力軸を同心に整列させながら、前記モータが装着される場所を形成するモータ装着板をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項12】
前記モータ装着板と前記ラック/ピニオン固定板とに連結され、前記モータ装着板と前記円形ラックの入力軸を同心に整列する同心整列ダウェルピンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項13】
原点セッティングジグを用いてピニオン組立距離調節装置を原点セッティングするピニオン組立距離調節装置原点セッティングステップと、
前記ピニオン組立距離調節装置を円形ラック、一対の上部ピニオン及び一対の下部ピニオンが位置移動可能に組み立てられるラック/ピニオン固定板に組み立てるピニオン組立距離調節装置組立ステップと、
前記ピニオン組立距離調節装置を用いて前記円形ラックと前記一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定する、円形ラック及び上部ピニオン絶対的組立距離測定ステップと、
を含むことを特徴とする動力伝達装置の製造方法。
【請求項14】
測定されて求められた前記円形ラックと前記一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離に基づいて、前記ラック/ピニオン固定板に前記円形ラック、前記一対の上部ピニオン及び前記一対の下部ピニオンを組み立て、固定し、残りの部品を組み立てて動力伝達装置の組み立てを完成する動力伝達装置組立完成ステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の動力伝達装置の製造方法。
【請求項15】
前記ピニオン組立距離調節装置が、前記ラック/ピニオン固定板上の定位置に固定された状態で前記円形ラックと前記上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定することを特徴とする請求項13に記載の動力伝達装置の製造方法。
【請求項16】
前記ピニオン組立距離調節装置には、前記ラック/ピニオン固定板に形成されるダウェルピン結合部に結合する少なくとも1つの原点固定ダウェルピンが設けられ、
前記ピニオン組立距離調節装置組立ステップの遂行時に、前記ピニオン組立距離調節装置の原点固定ダウェルピンが前記ラック/ピニオン固定板のダウェルピン結合部に結合した状態で進行することを特徴とする請求項15に記載の動力伝達装置の製造方法。
【請求項17】
前記動力伝達装置組立完成ステップの遂行のために、
互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの間に結合したピニオン移送板と前記ラック/ピニオン固定板とのうち何れか1つには、互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの位置移動のためのガイドレールが形成され、他の1つには、前記ガイドレール上で移動するレールブロックが形成されることを特徴とする請求項14に記載の動力伝達装置の製造方法。
【請求項18】
前記ガイドレールが前記ラック/ピニオン固定板に溝状に形成されており、前記レールブロックが前記ピニオン移送板に突設されることを特徴とする請求項17に記載の動力伝達装置の製造方法。
【請求項19】
前記ラック/ピニオン固定板は、その中央領域に前記円形ラックの組み立てのための円形ラック組立ホールが形成され、前記円形ラック組立ホールの両側に前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの組み立てのための一対のピニオン組立ホールが形成され、
前記ガイドレールは、前記円形ラック組立ホール及び前記ピニオン組立ホールに連通するように前記ラック/ピニオン固定板に形成されることを特徴とする請求項18に記載の動力伝達装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置及びその製造方法に係り、より詳細には、円形ラックと一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離に基づいて、円形ラックと一対の上部ピニオンとをラック/ピニオン固定板に位置別に組み立て、固定することで設けられる構造であって、装置の組み立て便宜性と信頼度とが高くなるということはもとより、メンテナンスの作業も、従来よりも格段に容易になる動力伝達装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動力伝達装置(power transmission apparatus)は、回転運動を直線運動に、または直線運動を回転運動に転換させながら対象体に動力を伝達する。ここで、対象体とは、半導体装備、LCD、PDP、OLEDなどの平面ディスプレイ装備などを含めた多様な産業装備に適用されるムービング(moving)手段、例えば、インデックス、台車などである。
【0003】
この際、回転運動を直線運動に、または直線運動を回転運動に転換させるための動力伝達装置は、多様な部品の組み合わせで具現可能であるために、構造も多様である。
【0004】
多様な構造の動力伝達装置のうちから、例えば、一対の上部ピニオンとそれにそれぞれ対応する一対の下部ピニオンとを連結して組み立てた後、一対の上部ピニオンの間に入力軸としての円形ラックを連結して1つのアセンブリー(assembly)形態で製作した動力伝達装置を考慮しうる。
【0005】
このような動力伝達装置は、ラック/ピニオン固定板上に円形ラック、一対の上部ピニオン、一対の下部ピニオン、そして、これらに付属する多様な部品が位置別に組み立てられるコンパクトな構造を成しうるために、半導体装備、LCD、PDP、OLEDなどの平面ディスプレイ装備などを含めた多様な産業装備で精密移動手段あるいはムービング手段として有益に適用することができると予想される。
【0006】
したがって、このような形態の動力伝達装置に関する研究が必要であると予想されるが、ラック/ピニオン固定板に円形ラックと一対の上部ピニオンとを組み立てる時は、これら間の組立距離を精密に調節して組み立てなければならないが、このような作業が実質的に容易ではない。
【0007】
もちろん、市販中であるマイクロメータなどの多様な計測器を用いて円形ラックと一対の上部ピニオンとの組立距離を測定した後、組み立て作業を進めることを考慮しても良いが、このような方式は、円形ラックと一対の上部ピニオンとの相対的組立距離のみを測定して、これに基づいて組み立て作業を進めるものであり、円形ラックと一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離は分からず、計測器が変わる度に計測器の原点セッティングを新たにしなければならない問題点が発生する恐れがある。
【0008】
このような問題点は、結局、動力伝達装置という製品の量産に支障を招き、メンテナンスに大きな問題が発生するしかないという点を考慮する時、円形ラックと一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離を容易かつ効果的に測定して、装置の組み立てとメンテナンスとに容易に適用することができる新概念の動力伝達装置の必要性が際立ってくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、円形ラックと一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離に基づいて、円形ラックと一対の上部ピニオンとをラック/ピニオン固定板に位置別に組み立て、固定することで設けられる構造であって、装置の組み立て便宜性と信頼度とが高くなるということはもとより、メンテナンスの作業も、従来よりも格段に容易になる動力伝達装置及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、動力を発生させるモータ(motor)が連結されて入力軸を形成する円形ラックと、前記円形ラックの両側に噛合し、所定のピニオン組立距離調節装置を通じて前記円形ラックとの組立距離が調節されるように設けられ、前記円形ラックから動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比に対応して減速して、該減速した動力を伝達する一対の上部ピニオンと、前記一対の上部ピニオンにそれぞれ1つずつ対応して連結され、前記上部ピニオンから動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比に対応して減速して、該減速した動力を伝達する一対の下部ピニオンと、前記円形ラックが固定され、前記一対の上部ピニオン及び前記一対の下部ピニオンが位置移動可能に組み立てられながら固定されるラック/ピニオン固定板と、を含むことを特徴とする動力伝達装置が提供されうる。
【0011】
前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの中心を揃えながら、前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとを固定するメカロックをさらに含みうる。
【0012】
前記メカロックによって互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの間に結合し、前記ラック/ピニオン固定板上で前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとを移送させるピニオン移送板をさらに含みうる。
【0013】
前記ピニオン移送板と前記ラック/ピニオン固定板とのうち何れか1つには、互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの位置移動のためのガイドレールが形成され、他の1つには、前記ガイドレール上で移動するレールブロックが形成されうる。
【0014】
前記ガイドレールが前記ラック/ピニオン固定板に溝(groove)状に形成されており、前記レールブロックが前記ピニオン移送板に突設されうる。
【0015】
前記ラック/ピニオン固定板は、その中央領域に前記円形ラックの組み立てのための円形ラック組立ホールが形成され、前記円形ラック組立ホールの両側に前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの組み立てのための一対のピニオン組立ホールが形成され、前記ガイドレールは、前記円形ラック組立ホール及び前記ピニオン組立ホールに連通するように前記ラック/ピニオン固定板に形成されうる。
【0016】
前記ピニオン組立距離調節装置が、前記ラック/ピニオン固定板上の定位置に固定された状態で前記円形ラックと前記上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定することができる。
【0017】
前記ピニオン組立距離調節装置は、前記ラック/ピニオン固定板の一側に固定される第1固定ブロックと、前記第1固定ブロックに一側が連結され、他側は、前記ラック/ピニオン固定板上の既定の位置に結合する原点固定ダウェルピンと、前記第1固定ブロックと離隔し、前記ラック/ピニオン固定板の一側に固定される第2固定ブロックと、前記上部ピニオンを前記円形ラック側に加圧する加圧ブロックと、前記第1固定ブロックと前記第2固定ブロックとに連結され、前記加圧ブロックを移動可能に支持する支持ブロック;前記第2固定ブロックに連結され、端部が前記加圧ブロックに連結され、前記加圧ブロックを加圧する加圧調節ネジと、前記支持ブロックに連結されるが、前記円形ラックと前記上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定するダイヤルゲージと、を含みうる。
【0018】
前記上部ピニオンと前記下部ピニオンは、外周面の周り方向に沿って回転自在に複数本のピン(pin)が結合したピンギア式ピニオンであり、前記上部ピニオンよりも前記下部ピニオンのサイズが大きく設けられ、前記加圧ブロックの端部には、前記上部ピニオンに設けられる複数本のピンのうち、一部を支持する複数本のピングルーブが形成されうる。
【0019】
前記ラック/ピニオン固定板には、前記ピニオン組立距離調節装置の原点固定ダウェルピンが結合するダウェルピン結合部が形成されうる。
【0020】
前記ラック/ピニオン固定板に結合するが、前記モータの軸と前記円形ラックの入力軸を同心に整列させながら、前記モータが装着される場所を形成するモータ装着板をさらに含みうる。
【0021】
前記モータ装着板と前記ラック/ピニオン固定板とに連結され、前記モータ装着板と前記円形ラックの入力軸を同心に整列する同心整列ダウェルピンをさらに含みうる。
【0022】
本発明の他の側面によれば、原点セッティングジグを用いてピニオン組立距離調節装置を原点セッティングするピニオン組立距離調節装置原点セッティングステップと、前記ピニオン組立距離調節装置を円形ラック、一対の上部ピニオン及び一対の下部ピニオンが位置移動可能に組み立てられるラック/ピニオン固定板に組み立てるピニオン組立距離調節装置組立ステップと、前記ピニオン組立距離調節装置を用いて前記円形ラックと前記一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定する円形ラックと上部ピニオン絶対的組立距離測定ステップと、を含むことを特徴とする動力伝達装置の製造方法が提供されうる。
【0023】
測定されて求められた前記円形ラックと前記一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離に基づいて、前記ラック/ピニオン固定板に前記円形ラック、前記一対の上部ピニオン及び前記一対の下部ピニオンを組み立て、固定し、残りの部品を組み立てて動力伝達装置の組み立てを完成する動力伝達装置組立完成ステップをさらに含みうる。
【0024】
前記ピニオン組立距離調節装置が、前記ラック/ピニオン固定板上の定位置に固定された状態で前記円形ラックと前記上部ピニオンとの絶対的組立距離を測定することができる。
【0025】
前記ピニオン組立距離調節装置には、前記ラック/ピニオン固定板に形成されるダウェルピン結合部に結合する少なくとも1つの原点固定ダウェルピンが設けられ、前記ピニオン組立距離調節装置組立ステップの遂行時に、前記ピニオン組立距離調節装置の原点固定ダウェルピンが前記ラック/ピニオン固定板のダウェルピン結合部に結合した状態で進行しうる。
【0026】
前記動力伝達装置組立完成ステップの遂行のために、互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの間に結合したピニオン移送板と前記ラック/ピニオン固定板とのうち何れか1つには、互いに連結されて一体型を成す前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの位置移動のためのガイドレールが形成され、他の1つには、前記ガイドレール上で移動するレールブロックが形成されうる。
【0027】
前記ガイドレールが前記ラック/ピニオン固定板に溝状に形成されており、前記レールブロックが前記ピニオン移送板に突設されうる。
【0028】
前記ラック/ピニオン固定板は、その中央領域に前記円形ラックの組み立てのための円形ラック組立ホールが形成され、前記円形ラック組立ホールの両側に前記上部ピニオンと前記下部ピニオンとの組み立てのための一対のピニオン組立ホールが形成され、前記ガイドレールは、前記円形ラック組立ホール及び前記ピニオン組立ホールに連通するように前記ラック/ピニオン固定板に形成されうる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、円形ラックと一対の上部ピニオンとの絶対的組立距離に基づいて、円形ラックと一対の上部ピニオンとをラック/ピニオン固定板に位置別に組み立て、固定することで設けられる構造であり、装置の組み立て便宜性と信頼度とが高くなるということはもとより、メンテナンスの作業も、従来よりも格段に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態による動力伝達装置の斜視図である。
図2図1の動力伝達装置の一側にピニオン組立距離調節装置が組み立てられた状態の図面である。
図3図1の動力伝達装置が直線ラックと連結されて使われる使用状態図である。
図4】ピニオン組立距離調節装置の斜視図である。
図5図4を他の角度で図示した図面である。
図6図4を他の角度で図示した図面である。
図7図4を他の角度で図示した図面である。
図8】本発明の一実施形態による動力伝達装置の一部を切開した図面であって、両側にピニオン組立距離調節装置が組み立てられた図面である。
図9図8の部分断面構造図である。
図10図9に組立距離などの位置を表記した図面である。
図11図9の部分平面構造図である。
図12図11の凹部平断面構造図である。
図13図12の凹部拡大図である。
図14図2の背面斜視図である。
図15図14のE領域の拡大図である。
図16】ラック/ピニオン固定板の背面斜視図である。
図17】上部ピニオンと下部ピニオンとの組立図である。
図18】上部ピニオンと下部ピニオンとの拡大図である。
図19】ピニオン組立距離調節装置に対する原点セッティング過程を示す図面である。
図20】本発明の一実施形態による動力伝達装置の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の望ましい実施形態を例示する添付図面及び添付図面に記載の内容を参照しなければならない。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を説明することにより、本発明を詳しく説明する。各図面に付された同じ参照符号は、同じ部材を示す。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による動力伝達装置の斜視図であり、図2は、図1の動力伝達装置の一側にピニオン組立距離調節装置が組み立てられた状態の図面であり、図3は、図1の動力伝達装置が直線ラックと連結されて使われる使用状態図であり、図4は、ピニオン組立距離調節装置の斜視図であり、図5ないし図7は、図4を他の角度で図示した図面であり、図8は、本発明の一実施形態による動力伝達装置の一部を切開した図面であって、両側にピニオン組立距離調節装置が組み立てられた図面であり、図9は、図8の部分断面構造図であり、図10は、図9に組立距離などの位置を表記した図面であり、図11は、図9の部分平面構造図であり、図12は、図11の凹部平断面構造図であり、図13は、図12の凹部拡大図であり、図14は、図2の背面斜視図であり、図15は、図14のE領域の拡大図であり、図16は、ラック/ピニオン固定板の背面斜視図であり、図17は、上部ピニオンと下部ピニオンとの組立図であり、図18は、上部ピニオンと下部ピニオンとの拡大図であり、図19は、ピニオン組立距離調節装置に対する原点セッティング過程を示す図面であり、図20は、本発明の一実施形態による動力伝達装置の製造方法のフローチャートである。
【0034】
これらの図面を参照すれば、本実施形態による動力伝達装置100は、円形ラック110と一対の上部ピニオン120との絶対的組立距離(D、図10参照)に基づいて、円形ラック110と一対の上部ピニオン120とをラック/ピニオン固定板150に位置別に組み立て、固定することで設けられる構造であり、装置の組み立て便宜性と信頼度とが高くなるということはもとより、メンテナンスの作業も、従来よりも格段に容易になるようにする。
【0035】
言い換えれば、本実施形態による動力伝達装置100は、図20のような方法で図1の形態のように製造(製作)可能である。詳細に後述するが、本実施形態による動力伝達装置100は、ラック/ピニオン固定板150上に円形ラック110、一対の上部ピニオン120、一対の下部ピニオン130、そして、これらに付属する多様な部品が位置別に組み立てられるコンパクトな構造を成しうるために、半導体装備、LCD、PDP、OLEDなどの平面ディスプレイ装備などを含めた多様な産業装備で精密移動手段あるいはムービング手段として有益に適用することができると予想される。
【0036】
一方、本実施形態の動力伝達装置100は、例えば、図3のように、直線ラック300と連結されて1つの設備として適用可能である。この場合、本実施形態による動力伝達装置100が直線ラック300の長手方向に移動しても、あるいは直線ラック300が線形運動しても良い。
【0037】
もちろん、図面とは異なって、直線ラック300の代わりに、曲線ラック(図示せず)、例えば、アーク型あるいは円形の曲線ラック(内接、外接いずれも可能)を適用することもできるが、このような事項いずれもが、本発明の権利範囲に属するものと言わなければならない。
【0038】
このような効果を提供することができる本実施形態による動力伝達装置100は、前述したように、ラック/ピニオン固定板150上に円形ラック110、一対の上部ピニオン120、一対の下部ピニオン130、そして、これらに付属する多様な部品が位置別に組み立てられるコンパクトな構造を成す。
【0039】
動力伝達装置100を成す詳細構成、構造を説明する。円形ラック110について先に説明すれば、円形ラック110は、本実施形態で動力を発生させるモータ(図示せず)が連結されることにより、入力軸を形成する。
【0040】
敷衍すれば、円形ラック110のセンター領域にモータ軸結合部111が連結される。これにより、モータ装着板162に装着されたモータ(図示せず)のモータ軸が円形ラック110に連結されたモータ軸結合部111(図8参照)に連結されることにより、円形ラック110が入力軸を成しうる。すなわち、図示していないモータが動作すれば、モータの作用で一番先に円形ラック110が回転し、引き続き、上部ピニオン120と下部ピニオン130とに順に伝達される。
【0041】
円形ラック110の周辺、すなわち、ラック/ピニオン固定板150には、前述したように、モータを支持する構造物であるモータ装着板162が組み立てられる。
【0042】
モータ装着板162は、ラック/ピニオン固定板150に結合するが、モータの軸と円形ラック110の入力軸を同心に整列させながらモータが装着される場所を形成する。
【0043】
モータ装着板162とラック/ピニオン固定板150には、モータ装着板162と円形ラック110の入力軸を同心に整列する同心整列ダウェルピン164(図8参照)が結合する。同心整列ダウェルピン164は、複数本が適用可能である。
【0044】
円形ラック110には、ボール軸受166(図9参照)が結合する。ボール軸受166は、入力軸を成す円形ラック110の回転を円滑にする一方、微細な震えを防止する。このようなボール軸受166に予圧をかけるために、予圧板167(図9参照)がボール軸受166に連結される。
【0045】
上部ピニオン120は、円形ラック110の両側に噛合するように一対からなり、所定のピニオン組立距離調節装置200を通じて円形ラック110との組立距離(D)が調節されるように設けられる。
【0046】
このような上部ピニオン120は、入力軸を成す円形ラック110から動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比だけ減速して、該減速した動力を下部ピニオン130に伝達する。
【0047】
下部ピニオン130は、一対の上部ピニオン120にそれぞれ1つずつ対応して連結される。したがって、下部ピニオン130も、一対からなる。
【0048】
このような下部ピニオン130は、上部ピニオン120から動力を伝達されて内蔵された減速構造の減速比だけ減速して、該減速した動力を伝達する。例えば、図3の場合、直線ラック300に動力を伝達する。したがって、本実施形態による動力伝達装置100が図3の直線ラック300の長手方向に移動する。
【0049】
参考までに、本実施形態に適用される上部ピニオン120と下部ピニオン130は、外周面の周り方向に沿って回転自在に複数本のピン122、132が結合したピンギア式ピニオン120、130であり、上部ピニオン120よりも下部ピニオン130のサイズが大きく設けられる。もちろん、このようなサイズの差は、いくらでも変更されるので、図面の形状に本発明の権利範囲が制限されるものではない。
【0050】
すなわち、本実施形態に設けられる上部ピニオン120と下部ピニオン130いずれもが、図18に示されたように、複数本のピン122、132が適用されるいわゆるピンギア(ピン歯車)として適用可能である。
【0051】
このような上部ピニオン120と下部ピニオン130いずれもが、複数本のピン122、132と、ピン122、132を回転自在に支持するハウジング121、131と、を含みうる。
【0052】
ハウジング121、131の構造について詳細に図示していないが、ハウジング121、131内には、上部ピニオン120と下部ピニオン130とに入力される入力速度を減速するための減速装置(図示せず)が搭載される。このような減速構造は、本出願人によって既に出願されて登録された文献を参照し、ここでは省略する。
【0053】
上部ピニオン120と下部ピニオン130は、互いに連結されて一体型を成す。このために、上部ピニオン120と下部ピニオン130との中心を揃えながら、上部ピニオン120と下部ピニオン130とを固定するメカロック161(図9参照)が適用される。
【0054】
そして、メカロック161によって互いに連結されて一体型を成す上部ピニオン120と下部ピニオン130との間には、ラック/ピニオン固定板150上で上部ピニオン120と下部ピニオン130とを移送させるピニオン移送板140が設けられる。
【0055】
結局、図17のように、上部ピニオン120と下部ピニオン130は、メカロック161で連結されるが、その間にピニオン移送板140が設けられた一体型の一体型を成し、ラック/ピニオン固定板150のピニオン組立ホール155の領域に組み立てられる。
【0056】
ラック/ピニオン固定板150は、円形ラック110が固定される一方、一対の上部ピニオン120及び一対の下部ピニオン130が位置移動可能に組み立てられながら固定される場所となる。
【0057】
このようなラック/ピニオン固定板150は、一定の厚さの板状構造物からなるが、その中央領域には、円形ラック110の組み立てのための円形ラック組立ホール154が形成され、円形ラック組立ホール154の両側に上部ピニオン120と下部ピニオン130との組み立てのための一対のピニオン組立ホール155が形成される。
【0058】
前述したように、一対のピニオン組立ホール155に図17のようにアセンブリー形態の一体型からなる上部ピニオン120と下部ピニオン130とが組み立てられる。すなわち、図17のように、アセンブリー形態の一体型からなる上部ピニオン120と下部ピニオン130とをアセンブリーのままのピニオン組立ホール155に組み立てることができる。
【0059】
一方、前述したように、本実施形態による動力伝達装置100は、精密製品であって、ラック/ピニオン固定板150に円形ラック110と図17のようにアセンブリー形態の一体型からなる上部ピニオン120と下部ピニオン130とを組み立てる時、言い換えれば、円形ラック110と上部ピニオン120とを組み立てる時、その組立距離(D)が精密にセッティングされる必要があり、それによってはじめて所望の性能を提供することができる。
【0060】
そのため、市販中であるマイクロメータ(図示せず)などの多様な計測器を用いて円形ラック110と一対の上部ピニオン120との組立距離(D、図10参照)を測定した後、組み立て作業を進めることも考えられる。しかし、このような方式は、円形ラック110と一対の上部ピニオン120との相対的組立距離(D)のみを測定して、これに基づいて組み立て作業を進めるものであり、円形ラック110と一対の上部ピニオン120との絶対的組立距離(D)は分からない。したがって、計測器が変わる度に計測器の原点セッティングを新たにしなければならない問題点が発生する恐れがある。
【0061】
このような問題点は、結局、動力伝達装置100という製品の量産に支障をきたし、メンテナンスに大きな問題が発生する可能性があるために、本実施形態の場合、下記の構造、方法を提案している。
【0062】
本実施形態の場合、従来とは異なって、ピニオン組立距離調節装置200を通じて円形ラック110と一対の上部ピニオン120との組立距離(D、図10参照)を測定した後、これらの部品をラック/ピニオン固定板150に固定させることにより、装置の組み立て便宜性と信頼度とが高くなるということはもとより、メンテナンスの作業も、従来よりも格段に容易になるようにする。
【0063】
ピニオン組立距離調節装置200は、図2のように、一側に組み立てて使用した後、他側に組み立てて使用し、除去することもでき、あるいは両側いずれに組み立てて使用しても良い。如何なる場合であるとしても、ピニオン組立距離調節装置200は、図20の方法を通じて図1のような動力伝達装置100を組み立てるために使われる器具であり、組み立てが完了すれば除去される。
【0064】
このようなピニオン組立距離調節装置200の適用のために、本実施形態による動力伝達装置100には、ピニオン移送板140が追加され、ラック/ピニオン固定板150の構造が変更される。すなわち、本実施形態でピニオン移送板140とラック/ピニオン固定板150とのうち何れか1つには、図17のように、互いに連結されて一体型を成す上部ピニオン120と下部ピニオン130との位置移動のためのガイドレール151が形成され、他の1つには、ガイドレール151上で移動するレールブロック141が形成される。
【0065】
本実施形態において、ガイドレール151は、ラック/ピニオン固定板150に溝状に形成されており、レールブロック141がピニオン移送板140に突設される。このとき、ガイドレール151は、円形ラック組立ホール154及びピニオン組立ホール155に連通するようにラック/ピニオン固定板150に形成される。
【0066】
しかし、反対の場合も可能である。すなわち、ガイドレール151がピニオン移送板140に、そして、レールブロック141がラック/ピニオン固定板150に設けられることもできるが、このような事項いずれもが、本発明の権利範囲に属するものと言わなければならない。
【0067】
一方、本実施形態において、ピニオン組立距離調節装置200は、図2図8ないし図14に示されたように、ラック/ピニオン固定板150上の定位置に固定された状態で円形ラック110と上部ピニオン120との絶対的組立距離(D)を測定する。
【0068】
このような役割を担うピニオン組立距離調節装置200は、図4ないし図7に詳細に示されたように、ラック/ピニオン固定板150の一側に固定される第1固定ブロック210と、第1固定ブロック210に一側が連結され、他側は、ラック/ピニオン固定板150上の既定の位置に結合する原点固定ダウェルピン220と、第1固定ブロック210と離隔し、ラック/ピニオン固定板150の一側に固定される第2固定ブロック230と、上部ピニオン120を円形ラック110側に加圧する加圧ブロック240と、第1固定ブロック210と第2固定ブロック230とに連結され、加圧ブロック240を移動可能に支持する支持ブロック250と、第2固定ブロック230に連結されるが、端部が加圧ブロック240に連結され、加圧ブロック240を加圧する加圧調節ネジ260と、支持ブロック250に連結されるが、円形ラック110と上部ピニオン120との絶対的組立距離(D)を測定するダイヤルゲージ270と、を含みうる。ピニオン組立距離調節装置200が前記のような構造を成すために、ラック/ピニオン固定板150に容易に着脱可能である。したがって、作業性が非常に良い。
【0069】
加圧ブロック240の端部には、上部ピニオン120に設けられる複数本のピン122のうち、一部を支持する複数本のピングルーブ241が形成されている。本実施形態の場合、加圧ブロック240の端部に3本のピングルーブ241が形成されている。しかし、これは、いくらでも変更されうる。言い換えれば、このような数値に本発明の権利範囲が制限されるものではない。
【0070】
これにより、原点固定ダウェルピン220がラック/ピニオン固定板150に形成されているダウェルピン結合部152(図9参照)に結合しながらラック/ピニオン固定板150上に第1及び第2固定ブロック210、230を固定した後、加圧ブロック240の端部に形成されているピングルーブ241を上部ピニオン120に設けられる複数本のピン122に接触させた状態で加圧調節ネジ260を締めれば、加圧ブロック240が前進するにつれて、円形ラック110と一対の上部ピニオン120との組立距離(D)、特に、絶対的組立距離(D)が測定される。特に、このような測定値は、ピニオン組立距離調節装置200をラック/ピニオン固定板150の一側に固定した状態で進行するために、原点セッティングを毎回新たにしなければならない不便さを無くすことができる。
【0071】
図10に表記したように、円形ラック110とピニオン組立距離調節装置200との組立距離(A)、上部ピニオン120の半径(B)、ピニオン組立距離調節装置200と上部ピニオン120との接触距離(C)は測定することができるために、これらの値を演算して円形ラック110と一対の上部ピニオン120との組立距離(D)、特に、絶対的組立距離(D)を測定することができる。したがって、これに基づいて、ラック/ピニオン固定板150の正確な位置に円形ラック110と一対の上部ピニオン120とを組み立てることができる。前述したように、上部ピニオン120は、図17のように、下部ピニオン130と一体型を成すために、円形ラック110と一対の上部ピニオン120とを定位置に組み立てれば、下部ピニオン130の組み立ても精密にセッティングすることができる。
【0072】
前述したような構造の動力伝達装置100を製造、すなわち、製作(組み立て)する方法を調べる。
【0073】
まず、図19のように、定盤291上で原点セッティングジグ292を用いてピニオン組立距離調節装置200を原点セッティングする(ステップS110)。
【0074】
次に、原点セッティングが完了したピニオン組立距離調節装置200を円形ラック110、一対の上部ピニオン120及び一対の下部ピニオン130が位置移動可能に組み立てられるラック/ピニオン固定板150に組み立てる(ステップS120)。
【0075】
ピニオン組立距離調節装置200は、図2のように、一側に組み立てて使用した後、他側に組み立てて使用し、除去することもでき、あるいは両側いずれに組み立てて使用しても良い。如何なる場合であるとしても、ピニオン組立距離調節装置200は、図20の方法を通じて図1のような動力伝達装置100を組み立てるために使われる器具であり、組み立てが完了すれば除去される。
【0076】
次に、ピニオン組立距離(D)調節装置200を用いて円形ラック110と一対の上部ピニオン120との絶対的組立距離(D)を測定する(ステップS130)。これは、図10に表記したように、所定の値である円形ラック110とピニオン組立距離調節装置200との組立距離(A)、上部ピニオン120の半径(B)、ピニオン組立距離調節装置200と上部ピニオン120との接触距離(C)の演算を通じて求めうる。
【0077】
その後、測定されて求められた円形ラック110と一対の上部ピニオン120との絶対的組立距離(D)に基づいて、ラック/ピニオン固定板150に円形ラック110、一対の上部ピニオン120及び一対の下部ピニオン130を組み立て、固定する一方、残りの部品を組み立てて図1のような形態の動力伝達装置100の組み立てを完成すれば良い(ステップS140)。
【0078】
前述したような構造で作用を行う本実施形態による動力伝達装置100は、円形ラック110と一対の上部ピニオン120との絶対的組立距離(D、図10参照)に基づいて、円形ラック110と一対の上部ピニオン120とをラック/ピニオン固定板150に位置別に組み立て、固定することで設けられる構造であり、装置の組み立て便宜性と信頼度とが高くなるということはもとより、メンテナンスの作業も、従来よりも格段に容易になるようになる。
【0079】
このように、本発明は、記載の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を外れずに多様に修正及び変形できるということは、当業者に自明である。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するものと言わなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、回転運動または直線運動を要する各種工作機械を含めて産業用機械装置、半導体あるいは平面ディスプレイ製造設備、そして、各種物流移送設備などに用いられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】