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特表2024-541620多次元聴力図の提供方法及び装置、並びに提供方法を行うコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】多次元聴力図の提供方法及び装置、並びに提供方法を行うコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/12 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61B5/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532459
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2022095152
(87)【国際公開番号】W WO2023249186
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0075643
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322013867
【氏名又は名称】サウンド ワクチン,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クァク,サン ヨプ
(72)【発明者】
【氏名】クァク,ウン イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,ウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,デ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ソン シン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ファン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038AB07
4C038AB10
(57)【要約】
【課題】言語音の母音と楽音を認知する複合音に対する聴力までも容易に把握できる多次元聴力図の提供方法及び装置を提供する。
【解決手段】プロセッサと、プロセッサに接続されるメモリと、を備え、メモリは、N個の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力し、N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出し、算出された倍音板不安定度を前記多面体の第2面に出力し、複数の倍音板それぞれでの複数の元素周波数の聴力しきい値の平均を計算して、倍音板聴力を算出し、算出された倍音板聴力を多面体の第3面に出力する、プロセッサによって実行されるプログラム命令語を保存する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサに連結されるメモリと、を備え、
前記メモリは、
N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力し、
前記N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、
前記複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出し、
前記算出された倍音板不安定度を前記多面体の第2面に出力し、
前記複数の倍音板それぞれでの複数の元素周波数の聴力しきい値の平均を計算して、倍音板聴力を算出し、
前記算出された倍音板聴力を前記多面体の第3面に出力するように、
前記プロセッサによって実行されるプログラム命令語を保存する、ことを特徴とする多次元聴力図の提供装置。
【請求項2】
前記周波数集合は、基本周波数f0と、前記基本周波数の定数倍に該当するkf0(ここで、kは、2以上の自然数)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項3】
前記第1面は、X軸が周波数帯域(Hz)、Y軸が強度(dBHL)と定義され、
前記第2面は、前記第1面のZ軸面と定義され、横軸が、前記複数の倍音板それぞれの基本周波数、縦軸が、前記複数の倍音板それぞれの倍音板不安定度のサイズと定義され、
前記第3面は、横軸が、前記複数の倍音板それぞれの倍音板聴力(dBHL)、縦軸が、前記倍音板聴力での倍音板不安定度のサイズと定義される、ことを特徴とする請求項2に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項4】
前記倍音板不安定度のサイズは、複数の元素周波数での聴力しきい値の代表値に相応するdBzHLと定義される、ことを特徴とする請求項3に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項5】
前記プログラム命令語は、
前記第2面または前記第3面に、受動聴覚系または能動聴覚系での倍音板不安定度または慢性耳鳴り強度を表すために、一つ以上の比較指標曲線を出力する、ことを特徴とする請求項4に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項6】
前記比較指標曲線は、
直接交流(DC/AC)受動聴覚系または弱い交流能動聴覚系での倍音板不安定度を表すためのサイン曲線と、
強い交流(AC)能動聴覚系での倍音板不安定度を表すためのガウス曲線と、
強い交流(AC)能動聴覚系での慢性耳鳴り強度を表すためのレイリー曲線と、を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項7】
前記プログラム命令語は、
前記比較指標曲線の頂点が、第2面の縦軸に予め設定されている範囲のdBzHL区間に位置するように、前記比較指標曲線を出力し、
前記比較指標曲線の頂点が、前記第3面の横軸に予め設定されている範囲のdBHL区間に位置するように、比較指標曲線を出力する、ことを特徴とする請求項5に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項8】
前記予め設定されている範囲のdBzHL区間及び予め設定されている範囲のdBHL区間は、複数の慢性耳鳴り被検者から収集された前記聴力しきい値によって定められる、ことを特徴とする請求項7に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項9】
前記プログラム命令語は、
倍音板聴力の等しい相異なる倍音板が存在する場合、前記相異なる倍音板それぞれでの倍音板不安定度の平均を計算し、
前記計算された倍音板不安定度の平均を、前記第3面の縦軸に表示する、ことを特徴とする請求項3に記載の多次元聴力図の提供装置。
【請求項10】
プロセッサと、
前記プロセッサに連結されるメモリと、を備えるが、
前記メモリは、
N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力し、
前記N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、
前記複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差または平均を計算し、
前記計算された標準偏差または平均を、前記第1面と隣接している多面体の一つ以上の面または内部空間に出力するように、
前記プロセッサによって実行されるプログラム命令語を保存する、ことを特徴とする多次元聴力図の提供装置。
【請求項11】
プロセッサ及びメモリを備える装置で多次元聴力図を検査する方法であって、
N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力するステップと、
前記N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、前記複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出するステップと、
前記算出された倍音板不安定度を前記多面体の第2面に出力するステップと、
前記複数の倍音板それぞれでの複数の元素周波数の聴力しきい値の平均を計算して、倍音板聴力を算出するステップと、
前記算出された倍音板聴力を前記多面体の第3面に出力するステップと、を含む、ことを特徴とする多次元聴力図の提供方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法を行う、ことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されているコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次元聴力図の提供方法及び装置に係り、さらに詳細には、中枢神経系聴覚ニューロンレベルで人間の聴力を定義し、定義された聴力を3次元または多次元空間に表す方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音の伝達過程は、機械的エネルギーが電気的エネルギーに変換される過程である。
外耳道を介して入った音は、鼓膜を振動させ、蝸牛の基底膜に位置している乳母細胞のイオンチャネルを開いて、活動電位を生成する。生成された活動電位は、聴覚神経経路に沿って移動して、側頭葉聴覚皮質で聴覚情報を統合し、音を伝達する。
【0003】
側頭葉聴覚皮質の倍音板(harmonic template)は、倍音構造に選択性を有する聴覚ニューロン(Auditory Neuron:AN)組職である。倍音板は、脳で生物学的音響を抽出し、聴覚情報を統合するメカニズムで、音楽と複雑な声を分析する。
【0004】
音を感知する人間の聴覚能力、すなわち、聴力を表す代表的な方法として、ISO8253が提案する純音聴力図(pure tone audiogram)がある。
ISO8253基盤の純音聴力図は、周波数(frequency,X)軸と強度(intensity,Y)軸を基準として、人間の聴力を二次元面の上で定義して表現する。このように、二次元的に表示された純音聴力図は、ANレベルでの正確な聴力情報を提供するのに限界がある。
その一例として、側頭葉聴覚皮質の倍音板ANグループ内(間)の発火パターン不調和度(anomaly level of firing pattern)は、二次元純音聴力図に表示し難い。
【0005】
特定の倍音板内(間)の発火パターン不調和度は、感覚神経性耳鳴り(sensorineural tinnitus)の音量、母音(vowel)と楽音(musicaltone)の音高強度(pitch strength)などを定める重要な要素である。既にX軸とY軸をそれぞれ周波数と強度指標と画一化したISO8253基盤の純音聴力図には、発火パターン不調和度などの新たな聴力指標をさらに表示し難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の問題点を解決するために、本発明は、純音に対する聴力だけではなく、言語音の母音と楽音を認知する複合音に対する聴力までも容易に把握することができる、多次元聴力図の提供方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、プロセッサと、前記プロセッサに接続されるメモリと、を備え、前記メモリは、N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力し、前記N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、前記複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出し、前記算出された倍音板不安定度を前記多面体の第2面に出力し、前記複数の倍音板それぞれでの複数の元素周波数の聴力しきい値の平均を計算して、倍音板聴力を算出し、前記算出された倍音板聴力を前記多面体の第3面に出力するように、前記プロセッサによって実行されるプログラム命令語を保存する多次元聴力図の提供装置が提供される。
【0008】
前記周波数集合は、基本周波数f0と、前記基本周波数の定数倍に該当するkf0(ここで、kは、2以上の自然数)を含む。
【0009】
前記第1面は、X軸が周波数帯域(Hz)、Y軸が強度(dBHL)と定義され、前記第2面は、前記第1面のZ軸面と定義され、横軸が、前記複数の倍音板それぞれの基本周波数、縦軸が、前記複数の倍音板それぞれの倍音板不安定度のサイズと定義され、前記第3面は、横軸が前記複数の倍音板それぞれの倍音板聴力(dBHL)、縦軸が、前記倍音板聴力での倍音板不安定度のサイズと定義される。
【0010】
前記倍音板不安定度のサイズは、複数の元素周波数での聴力しきい値の代表値に相応するdBzHLと定義される。
【0011】
前記プログラム命令語は、前記第2面または前記第3面に、受動聴覚系または能動聴覚系での倍音板不安定度または慢性耳鳴り強度を表すために、一つ以上の比較指標曲線を出力することができる。
【0012】
前記比較指標曲線は、直接交流(DC/AC)受動聴覚系または弱い交流能動聴覚系での倍音板不安定度を表すためのサイン曲線と、強い交流(AC)能動聴覚系での倍音板不安定度を表すためのガウス曲線と、強い交流(AC)能動聴覚系での慢性耳鳴り強度を表すためのレイリー曲線と、を含むことができる。
【0013】
前記プログラム命令語は、前記比較指標曲線の頂点が、第2面の縦軸に予め設定されている範囲のdBzHL区間に位置するように、前記比較指標曲線を出力し、前記比較指標曲線の頂点が、前記第3面の横軸に予め設定されている範囲のdBHL区間に位置するように、較指標曲線を出力することができる。
【0014】
前記予め設定されている範囲のdBzHL区間及び予め設定されている範囲のdBHL区間は、複数の慢性耳鳴り被検者から収集された前記聴力しきい値によって定められる。
【0015】
前記プログラム命令語は、倍音板聴力の等しい相異なる倍音板が存在する場合、前記相異なる倍音板それぞれでの倍音板不安定度の平均を計算し、前記計算された倍音板不安定度の平均を、前記第3面の縦軸に表示することができる。
【0016】
本発明の他の側面によれば、プロセッサと、前記プロセッサに接続されるメモリと、を備えるが、前記メモリは、N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力し、前記N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、前記複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差または平均を計算し、前記計算された標準偏差または平均を、前記第1面と隣接している多面体の一つ以上の面または内部空間に出力するように、前記プロセッサによって実行されるプログラム命令語を保存する多次元聴力図の提供装置が提供される。
【0017】
本発明のさらに他の側面によれば、プロセッサ及びメモリを備える装置で多次元聴力図を検査する方法であって、N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力するステップと、前記N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、前記複数の倍音板それぞれでの、複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出するステップと、前記算出された倍音板不安定度を前記多面体の第2面に出力するステップと、前記複数の倍音板それぞれでの複数の元素周波数の聴力しきい値の平均を計算して、倍音板聴力を算出するステップと、前記算出された倍音板聴力を前記多面体の第3面に出力するステップと、を含む多次元聴力図の提供方法が提供される。
本発明のさらに他の側面によれば、前記方法を行う、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されているコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、多次元聴力図の提供により、ISO8253が提供する「純音に対する聴力(hearing against pure tone)」だけではなく、言語音の母音と楽音を認知する「複合音に対する聴力(hearing against complex tone)」までも容易に把握することができ、感覚神経性耳鳴りの深化度(severity level)を迅速かつ正確に推正することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の望ましい一実施形態による多次元聴力図の提供装置の構成を示す図面である。
図2】N個の周波数帯域を例示的に示す図面である。
図3】本実施形態による多次元聴力図を提供するための多面体を例示的に示す図面である。
図4】本実施形態による多次元聴力図を提供するための多面体を例示的に示す図面である。
図5】本実施形態によるN個の周波数帯域を、定数比関係を有する周波数集合に再配列した結果を示す図面である。
図6】本実施形態による多面体の第2面を詳細に示す図面である。
図7】本実施形態による多面体の第3面を詳細に示す図面である。
図8】本実施形態による比較指標曲線を投射した例を示す図面である。
図9】比較指標曲線の頂点が、第2面の縦軸15ないし25dBzHLの区間に位置している状態を示す図面である。
図10】比較指標曲線の頂点が、第3面の横軸40ないし90dBHLの区間に位置している状態を示す図面である。
図11】本実施形態による倍音板聴力及び倍音板不安定度を表示する過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、多様な変更を加えることができ、かつ様々な実施形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態によって限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。
本明細書で使う用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われるものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに表さない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定するためのものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。
【0021】
また、各図面を参照して説明する実施形態の構成要素が、該実施形態のみに制限的に適用されるものではなく、本発明の技術的思想が維持される範囲内で他の実施形態に含まれるように具現され、また別途の説明が省略されるとしても、複数の実施形態が統合された一つの実施形態に再び具現されることもあるということは言うまでもない。
【0022】
また、添付図面を参照して説明するに際して、図面符号にかかわらず同一の構成要素には同一のまたは関連する参照符号を与え、これについての重なる説明は省略する。本発明を説明するに際して、係る公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不要に不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による多次元聴力図の提供装置の構成を示す図面である。
図1に示されたように、本実施形態による装置は、プロセッサ100及びメモリ102を備える。
【0024】
プロセッサ100は、コンピュータプログラムを実行するCPU(central processing unit)や、その他に仮想マシンなどを含む。
【0025】
メモリ102は、固定式ハードドライブや着脱自在の保存装置などの不揮発性保存装置を含む。着脱自在の保存装置は、コンパクトフラッシュ(登録商標)ユニット、USBメモリスティックなどを含む。メモリ102は、各種ランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを含んでもよい。
メモリ102には、グラフ基盤イメージ分割及び準指導学習に基づいて病理イメージを分類するためのプログラム命令語が保存される。
【0026】
本実施形態によるプログラム命令語は、N個(ここで、Nは、15以上の自然数)の周波数帯域で測定された、被検者に対する聴力しきい値に関する純音聴力図を、多面体の第1面に出力する。
【0027】
本実施形態によれば、主な可聴周波数である250Hzから12,000Hzまでの1/3オクターブ以上の高解像度で、複数の周波数帯域に対する聴力しきい値を測定する。
【0028】
望ましくは、N個の周波数帯域は、62個であり、図2は、N個の周波数帯域を例示的に示す図面である。
N個の周波数帯域に対する聴力しきい値は、純音聴力図であって、本実施形態による多面体の第1面に出力される。
【0029】
図3及び図4は、本実施形態による多次元聴力図を提供するための多面体を例示的に示す図面である。
図3及び図4を参照すれば、第1面は、X軸が周波数帯域(Hz)、Y軸が強度(dBHL)と定義される。
【0030】
第1面は、X軸が周波数、Y軸が強度と定義される純音聴力図を表示し、図4は、第1面に、基本周波数(fundamental frequency)が1,000Hzである純音(pure tone)に対する聴力しきい値を表示したものである。
【0031】
本実施形態では、多面体を提供して、いろいろな周波数での純音に対する聴力だけではなく、各周波数帯域での複合音(complex tone)に対する聴力を表示する。
【0032】
倍音板ANグループ内(間)の発話パターン不調和度(倍音板不安定度)のような情報を多角的に提供するために、本実施形態による装置は、N個の周波数帯域を、定数比関係を有する複数の元素周波数を含む周波数集合に再配列して、複数の倍音板を定義し、前記複数の倍音板それぞれでの複数の元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出し、算出された倍音板不安定度を第2面に出力する。
【0033】
図5は、本実施形態によるN個の周波数帯域を、定数比関係を有する周波数集合に再配列した結果を示す図面である。
図5では、N個の周波数を、1:2:3:4の定数比関係の周波数集合{f0,2f0,3f0,4f0}に再配列し、基本周波数が1,000Hz以上である倍音板は、01(Fz)ないし19(Fz)インデックスを与え、1,000Hz以下である倍音板は、-01(Fz)ないし-19(Fz)インデックスを与える。
【0034】
本実施形態によれば、各倍音板で、1:2:3:4の定数比関係の周波数集合{f0,2f0,3f0,4f0}で、4個の元素周波数f0、2f0、3f0、4f0それぞれの聴力しきい値をt1、t2、t3、t4という時、t1、t2、t3、t4の標準偏差を、「倍音板不安定度」または「発話パターン不調和度」と定義する。
【0035】
本実施形態による倍音板不安定度は、σ(fn)と表示する(σ=シグマ)。
本実施形態による装置は、各倍音板毎に元素周波数の聴力しきい値の標準偏差を計算して、倍音板不安定度を算出し、各倍音板の倍音板不安定度を第2面に出力する。
図3及び図4に示されたように、多面体の第2面は、第1面のZ軸面と定義される。
【0036】
図6は、本実施形態による多面体の第2面を詳細に示す図面である。
図6を参照すれば、第2面の横軸が、複数の倍音板それぞれの基本周波数(倍音板インデックス)、縦軸が、複数の倍音板それぞれの倍音板不安定度のサイズと定義される。
【0037】
62個の周波数帯域が存在する場合、横軸は、38個の各倍音板基本周波数が表示され、縦軸は、各倍音板での元素周波数の聴力しきい値の標準偏差と定義される倍音板不安定度のサイズが表示される。
【0038】
また、本実施形態によれば、各倍音板で、1:2:3:4定数比関係の周波数集合{f0,2f0,3f0,4f0}で、4個元素周波数f0、2f0、3f0、4f0それぞれの聴力しきい値をt1、t2、t3、t4という時、(t1+t2+t3+t4)を4で割った値、すなわち、聴力しきい値の平均を、「倍音板聴力」または「倍音板聴覚容量」と定義する。
【0039】
本実施形態による装置は、各倍音識毎に元素周波数の聴力しきい値の平均を計算して、倍音板聴力を算出し、各倍音板の倍音板聴力を第3面に出力する。
【0040】
図7は、本実施形態による多面体の第3面を詳細に示す図面である。
図7に示されたように、多面体の第3面は、横軸が、前記複数の倍音板それぞれの倍音板聴力(dBHL)、縦軸が、前記倍音板聴力の標準偏差サイズと定義される。
第3面で、縦軸は、位相空間としての倍音板ANグループ内(間)の発話時間距離として定義される。
【0041】
本実施形態によれば、倍音板聴力を「μ(fz)」と定義し(μ=ミュー)、最小-10dBHLから最大120dBHLのμ(fz)値を、多面体表面の横軸座標に表示することができる。
ここで、倍音板不安定度のサイズ及び前記倍音板聴力のサイズは、複数の元素周波数での聴力しきい値の代表値(標準偏差)に相応するdBzHLと定義される。
【0042】
本実施形態によれば、既存の聴力しきい値のサイズを示すdBHLと区別され、いろいろな周波数帯域での聴力しきい値の標準偏差のような代表値のサイズを、dBzHLと定義して、純音だけではなく、複合音に対する聴力図を表す。
【0043】
本実施形態によれば、多面体の第2面及び第3面は、最外郭面だけではなく、内部空間の所定深さの面まで含むものと定義する。
【0044】
本実施形態によれば、倍音板聴力の等しい相異なる倍音板が存在する場合、相異なる倍音板それぞれでの倍音板不安定度の平均を計算し、計算された倍音板不安定度の平均を、前記第3面の縦軸に表示する。
本実施形態による第3面の横軸は、倍音板インデックスではない倍音板聴力と定義されるため、複数の倍音板のうち、倍音板聴力の等しい倍音板が存在する。
【0045】
このような場合、倍音板聴力の等しい倍音板の倍音板不安定度の平均を計算して、第3面の縦軸に表示することで、複合音に対する聴力図を多角的に表示することができる。
【0046】
本実施形態によれば、図6ないし図7に示されたように、多面体の第2面及び第3面に、最小1つ以上そして3つ以上の比較指標曲線を提示することで、被検者聴力図に対する解釈力及び理解度を高めることができる。
【0047】
図8は、本実施形態による比較指標曲線を投射した例を示す図面である。
図8(a)は、第2面に出力されるガウス曲線、図8(b)は、第3面に出力されるサイン曲線、ガウス曲線及びレイリー曲線を示す図面である。
【0048】
本実施形態によれば、比較指標曲線の第1類型として、サイン曲線またはアーチ曲線が使われる。
これは、直接交流受動聴覚系ないし弱い交流能動聴覚系での、倍音板ANグループ内(間)の発話パターン不調和度の推計学的軌跡を表す。
【0049】
サイン曲線またはアーチ曲線の受動軌跡 は、以下の数式1または2で定義され、該曲線は、多次元聴力図を提供するための多面体の表面または多面体の内部空間に投射される。
【0050】
【数1】
ここで、Aは振幅、
は位相であり、yは聴力しきい値である。
【0051】
【数2】
【0052】
本実施形態によれば、比較指標曲線の第2類型として、ガウス曲線が使われる。
これは、強い交流能動聴覚系での、倍音板ANグループ内(間)の発話パターン不調和度の推計学的軌跡を示す。
【0053】
直接交流受動聴覚系とは、霊長類を含む脊椎動物(人間を除く)の聴覚神経系の電気生理的特性及び構造を意味し、弱い交流能動聴覚系とは、可聴周波数帯域内の一部または広範囲な周波数領域で、多様な不可逆的な(irreversible)聴力損失が既に進行している、人間聴覚神経系の電気生理的特性及び構造を意味する。強い交流能動聴覚計とは、正常の聴力を有する人間または可聴周波数帯域内の一部または広範囲な周波数領域で、多様な可逆的な(reversible)聴力損失が進行している、人間聴覚神経系の電気生理的特性及び構造を意味する。
【0054】
ガウス曲線の能動軌跡
は、以下の数式3で定義され、該曲線は、多面体の表面または多面体の内部空間に投射される。
【0055】
【数3】
ここで、kは、ガウス曲線の頂点または安定器を定める係数であり、σは、特定聴覚ユニットで、聴力しきい値の標準偏差である。
【0056】
比較指標曲線の第3類型であるレイリー曲線は、強い交流能動聴覚系での慢性耳鳴り(chronic tinnitus)強度の推計学的軌跡を表す。
レイリー曲線の能動軌跡
は、以下の数式4ないし5で定義され、該曲線は、多面体の表面または多面体の内部空間に投射される。
【0057】
【数4】
【数5】
【0058】
本実施形態によれば、比較指標曲線(サイン曲線、ガウス曲線、レイリー曲線など)の頂点を、第2面または第3面に予め設定されている区間内に出力する。
【0059】
図9は、比較指標曲線の頂点が、第2面の縦軸15ないし25dBzHLの区間に位置している状態を示す図面であり、図10は、比較指標曲線の頂点が、第3面の横軸40ないし90dBHLの区間に位置している状態を示す図面である。
【0060】
図9ないし図10で、比較指標曲線の頂点が位置する区間は、慢性耳鳴りを評価するための指標であって、複数の慢性耳鳴り患者に対する平均値を鑑みて定められる。すなわち、特定被検者の比較指標曲線が前記区間内に位置する場合、慢性耳鳴り状態であると診断することができる。
【0061】
図11は、本実施形態による倍音板聴力及び倍音板不安定度を表示する過程を示すフローチャートである。
図11を参照すれば、本実施形態による装置は、N個の周波数帯域及びこれらの聴力しきい値を入力され(1100ステップ)、N個の周波数帯域を定数倍関係に再配列して、倍音板(Fz)を定義する(1102ステップ)。
次いで、各倍音識毎にσ(fn)及びμ(fz)を算出する(1104ステップ)。
本実施形態による装置は、各倍音板のσ(fn)を多面体の第2面の縦軸に、μ(fz)を多面体の第3面の横軸に出力する。
【0062】
また、第3面の縦軸に各μ(fz)でのσ(fn)サイズを示すに際して、複数の倍音板のうち、μ(fz)の等しい倍音板が存在するかどうかを判断し(1106ステップ)、μ(fz)の等しい相異なる倍音板でのσ(fn)平均を算出し(1108ステップ)、算出された平均を、第3面の縦軸に出力する。
【0063】
前記本発明の実施形態は、例示の目的のために開示されたものであり、当業者ならば、本発明の思想及び範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、これらの修正、変更及び付加は、下記の特許請求の範囲に属すると見なせねばならない。
【符号の説明】
【0064】
100 プロセッサ
102 メモリ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
メモリ102は、固定式ハードドライブや着脱自在の保存装置などの不揮発性保存装置を含む。着脱自在の保存装置は、コンパクトフラッシュ(登録商標)ユニット、USBメモリスティックなどを含む。メモリ102は、各種ランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを含んでもよい。
メモリ102には、多次元聴力図を提供するためのプログラム命令語が保存される。
【国際調査報告】