(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】無菌充填ボトルのための可撓性基部
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D1/02 232
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532570
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022050750
(87)【国際公開番号】W WO2023101869
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】バット,アドバイト ラシク
(72)【発明者】
【氏名】マテリエ,マルタン
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033CA05
3E033DB03
3E033DD03
3E033EA03
3E033EA06
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
無菌充填飲料容器は、本体と、直立リング、中央部分、及び中央部分を取り囲む隔離リングを有する基部とを含むことができる。1つ以上のリブが、隔離リングから直立リングまで延びることができ、それにより、リブは、直立リングの外側に又は中央部分の内側に延びない。リブは、剛性を提供し、基部への変形を制限又は防止するために、s字形であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器であって、本体と、
基部と、を含み、前記基部は、
直立リングと、中央部分と、
前記中央部分を取り囲む隔離リングと、
前記隔離リングから前記直立リングまで延びるリブであって、各リブがs字形状を備える、リブと、を含む、飲料容器。
【請求項2】
前記リブの各々は、平坦区分を含み、
前記平坦区分の各々は、前記基部の長手方向軸に対してある角度で延びる、請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
前記中央部分が、側壁を更に備え、
前記中央部分の前記側壁は、前記基部の界面に対してある角度で傾斜している、請求項1に記載の飲料容器。
【請求項4】
前記隔離リングが、上面と、
外壁と、内壁とを備え、
前記内壁は、前記上面から、中立状態における前記隔離リングの前記外壁と同じ深さまで延びる、請求項3に記載の飲料容器。
【請求項5】
前記中央部分の前記側壁及び前記隔離リングの前記内壁は、前記基部の界面で交わる、請求項4に記載の飲料容器。
【請求項6】
前記中央部分は、
平坦部分と、頂点と、を含み、
前記頂点は、前記平坦部分から上方に延びている、請求項1に記載の飲料容器。
【請求項7】
前記中央部分は、前記基部の中立状態を過ぎて第1の距離だけ変位するように構成され、
前記リブは、前記中立状態を過ぎて第2の距離だけ変位するように構成され、前記第1の距離は、前記第2の距離よりも大きい、請求項1に記載の飲料容器。
【請求項8】
前記リブは、前記直立リングから外側に延びない、請求項1に記載の飲料容器。
【請求項9】
飲料容器用の基部であって、前記基部は、直立リングと、
前記直立リングから半径方向内向きに延びるリブであって、各リブは、第1の湾曲区分と、第2の湾曲区分と、前記第1の湾曲区分と前記第2の湾曲区分との間で前記基部の長手方向軸に対してある角度で延びる平坦区分とを備える、リブと、を含む、基部。
【請求項10】
中央部分と、
前記中央部分を取り囲み、前記中央部分と前記リブとの間に配置された隔離リングと、を更に含む、請求項9に記載の基部。
【請求項11】
前記リブは、前記中央部分まで半径方向内向きに延びない、請求項10に記載の基部。
【請求項12】
各リブは、
前記直立リングによって画定される水平面から測定される高さと、幅と、を含み、
前記高さは前記幅よりも大きい、請求項9に記載の基部。
【請求項13】
前記リブは、前記直立リングの外側に延びない、請求項9に記載の基部。
【請求項14】
前記基部が20~30個のリブを含む、請求項9に記載の基部。
【請求項15】
飲料容器用の基部であって、前記基部は、直立リングと、
可撓性中央部分と、
前記中央部分を取り囲む隔離リングと、
リブを含む剛性部分であって、前記リブは、前記直立リングと前記隔離リングとの間に延び、前記リブは、前記隔離リングによって前記可撓性中央部分から分離されている、剛性部分と、を含み、
前記可撓性中央部分は、前記基部が内向きに曲がる第1の状態において、前記基部の中立状態を過ぎて第1の距離だけ変位するように構成され、
前記剛性部分は、前記第1の状態において前記中立状態を過ぎて第2の距離だけ変位するように構成され、前記第1の距離は前記第2の距離よりも大きい、基部。
【請求項16】
前記リブがs字形である、請求項15に記載の基部。
【請求項17】
各リブは、第1の湾曲区分と、第2の湾曲区分と、前記第1の湾曲区分と前記第2の湾曲区分との間で前記基部の長手方向軸に対してある角度で延びる平坦区分とを備える、請求項15に記載の基部。
【請求項18】
前記可撓性中央部分は、前記基部が外向きに曲がる第2の状態において中立状態を過ぎて第3の距離だけ変位するように構成され、
前記剛性部分は、前記第2の状態において前記中立状態を過ぎて第4の距離だけ変位するように構成され、前記第3の距離は、前記第4の距離よりも大きい、請求項15に記載の基部。
【請求項19】
前記第1の状態及び前記第2の状態は、約2psiの圧力差によって引き起こされる、請求項18に記載の基部。
【請求項20】
前記可撓性中央部分は、前記基部の直径の約60%である直径を備える、請求項15に記載の基部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、概して、ボトルの基部に関する。より具体的には、記載される実施形態は、概して、無菌ソフトドリンク飲料ボトルの基部に関する。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの実施形態では、飲料容器は、本体及び基部を含み得る。基部は、直立リングと、中央部分と、中央部分を取り囲む隔離リングと、隔離リングから直立リングまで延びるリブとを含むことができる。各リブは、s字形状を含むことができる。いくつかの実施形態では、リブの各々は、平坦区分を含むことができる。平坦区分の各々は、基部の長手方向軸に対してある角度で延びることができる。いくつかの実施形態では、中央部分は側壁を含むことができる。中央部分の側壁は、基部の界面に対してある角度で傾斜することができる。いくつかの実施形態では、隔離リングは、上面、外壁、及び内壁を含むことができる。内壁は、中立状態にある隔離リングの外壁と同じ深さまで上面から延びることができる。いくつかの実施形態では、中央部分の側壁及び隔離リングの内壁は、基部の界面で交わることができる。いくつかの実施形態では、中央部分は、平坦部分と、頂点と、を含み得る。頂点は、平坦部分から上方に延びることができる。いくつかの実施形態では、中央部分は、基部の中立状態を過ぎて第1の距離だけ変位することができる。リブは、中立状態を過ぎて第2の距離だけ変位することができ、第1の距離は第2の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、リブは、直立リングから外向きに延びない。
【0003】
いくつかの実施形態では、飲料容器用の基部は、直立リング及びリブを含むことができる。リブは、直立リングから半径方向内向きに延びることができる。各リブは、第1の湾曲区分、第2の湾曲区分、及び第1の湾曲区分と第2の湾曲区分との間で基部の長手方向軸に対してある角度で延びる平坦区分を含むことができる。いくつかの実施形態では、内側は、中央部分と、中央部分を取り囲み、中央部分とリブとの間に配置された隔離リングとを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、リブは、中央部分まで半径方向内向きに延びない。いくつかの実施形態では、各リブは、直立リングによって画定される水平面から測定される高さと、幅とを含むことができる。高さは幅よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、リブは、直立リングの外側に延びない。いくつかの実施形態では、内側は20~30個のリブを備える。
【0004】
いくつかの実施形態では、飲料容器用の基部は、直立リングと、可撓性中央部分と、中央部分を取り囲む隔離リングと、リブを有する剛性部分とを含むことができる。リブは、直立リングと隔離リングとの間に延びることができる。リブは、隔離リングによって中央部分から分離することができる。可撓性中央部分は、基部が内向きに曲がる第1の状態において、基部の中立状態を過ぎて第1の距離だけ変位することができる。剛性部分は、第1の状態において中立状態を過ぎて第2の距離だけ変位することができ、第1の距離は第2の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、リブは、s字形であり得る。いくつかの実施形態では、各リブは、第1の湾曲区分と、第2の湾曲区分と、第1の湾曲区分と第2の湾曲区分との間で基部の長手方向軸に対してある角度で延びる平坦区分とを含むことができる。いくつかの実施形態では、可撓性中央部分は、基部が外向きに曲がる第2の状態における中立状態を過ぎて第3の距離だけ変位することができる。剛性部分は、第2の状態において中立状態を過ぎて第4の距離だけ変位することができ、第3の距離は第4の距離よりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の状態及び第2の状態は、約2psiの圧力差によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、可撓性中央部分は、基部の直径の約60%である直径を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成するが、本開示の実施形態を、限定としてではなく、例として示す。本明細書と合わせて、添付の図面は、更に、本開示の原理を説明するのに役立ち、関連する分野の当業者が、本開示を構成し、使用することを可能にする。
【
図1】いくつかの実施形態による基部を有する飲料容器の底部斜視図である。
【
図2】
図1の飲料容器の基部の上部内部斜視図である。
【
図4】
図3の線4-4’に沿った、
図3の基部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
添付の図面に示されるように実施形態を参照しつつ、本発明をここで詳細に記載する。「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「一例示の実施形態」、「いくつかの実施形態」などの言及は、記載される実施形態が、特定の特徴物、構造、又は特徴を含み得るが、記載される全ての実施形態が、その特定の特徴物、構造、又は特徴を必ずしも含むわけではないことを示す。同様に、他の実施形態は、更なる特徴物、構造又は特徴を含んでもよい。更に、このような句は、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、特定の特徴物、構造又は特徴が、実施形態と組み合わせて記載されるとき、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態と組み合わせてこのような特徴物、構造又は特徴を実施することは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0007】
「発明」、「本発明」、「開示」、又は「本開示」という用語は、本明細書で使用される場合、非限定的な用語であり、特定の発明の任意の単一の実施形態を指すのではなく、本出願に記載される全ての可能な実施形態を包含することを意図するものである。
【0008】
プラスチック飲料容器には、様々な飲料を充填することができる。充填プロセス中、容器は変形する可能性がある。容器は、変形を制限又は防止する構造を有することができる。例えば、プラスチック飲料容器は、多種多様な基部を有する。各基部は、密封された飲料容器の内部と外部雰囲気との間に生じ得る圧力差に耐えるように設計されている。飲料容器内で経験される圧力差は、真空(すなわち、容器の外側よりも容器内のより低い相対圧力)のような減圧、又は過圧(すなわち、容器の外側よりも容器内のより高い相対圧力)であり得、これらのいずれも容器の変形を促進し得る。場合によっては、圧力差は変化し得る。そのような変化は、充填プロセス又は容器の環境の変化の結果であり得る。例えば、容器が熱い液体で充填され、次いで密封される場合、液体のその後の冷却は、液体を熱的に収縮させ、その容積を減少させ、内部真空を作り出すことができる。これは、容器基部及び側壁を内側に引っ張り、変形を引き起こす可能性がある。圧力差及び真空の他の原因は、高さ、外部温度、及び生成物酸化の変化を含む。
【0009】
容器は、容器内の圧力差及び結果として生じる真空によって引き起こされる変形を制限又は防止するように設計することができる。いくつかの容器設計は、それらの側壁における圧力差を補償することができる。これらの容器は、より厚い側壁、液体容積の変化を補償するのに十分な量だけ内部容積を変化させるように移動する側壁の真空パネル、又は圧力差を受けたときに移動に抵抗するための側壁上の補強構造(例えば、「フープ」強度を提供するための容器の周りの円形溝)を有することができる。したがって、真空が引き起こされると、容器側壁は、その設計に応じて、変形に適応するか、変形に抵抗するか、又はその両方を行うことができる。加えて、又は代替として、容器は、制御された方法で反転する(例えば、内外に移動する)活性基部を有することができる。例えば、液体が冷えてその容積が減少すると、基部は、容器の容積を減少させるために(例えば、基部の反転可能な領域を内側に押す機械的操作によって)反転され得、それによって、液体と容器の公称(応力が加えられていない)容積との間の容積ギャップを充填する。したがって、活性基部は、他の場所での変形を制限又は防止するために真空に適応することができる。これは、側壁に補償構造を組み込む必要性を低減することによって、ボトル側壁を設計する際により多くの設計自由度をボトル設計者に与えるのに有用であり得る。
【0010】
プラスチック容器は、例えばガラス容器と比較して、軽量かつ薄型であり得る。しかし、側壁を強化することによって、又は活性基部を含むことによって圧力差を補償する容器では、依然としてかなりの量の材料が必要とされ得る。追加された材料によって、これらの容器は重くなり、製造コストが高くなる可能性がある。そのような設計はまた、複雑であり得、精密なツーリングを必要とし、容器設計の自由度を妨げる。
【0011】
高温充填プロセスでは、液体が高温(例えば、華氏150~200度)で充填され、次いで室温(例えば、華氏65~75度)以下に冷却されるので、圧力差は比較的大きく(例えば、4-5psi以上)なる可能性があり、これにより、大きな真空が生じ、変形を管理し回避するために、対応する大きな補償構造を組み込む必要が生じる。したがって、より厚い側壁又は活性基部を有することは、容器内のより大きい圧力差及び結果として生じる真空を補償するために、高温充填において有利であり得る。しかし、全ての容器が高温充填プロセスで充填されるわけではない。例えば、無菌充填プロセスによって充填される容器は、容器内のより低い圧力差を経験することができ、したがって、高温充填において必要とされる堅牢な設計を必要としない場合がある。
【0012】
無菌充填プロセスとは対照的な高温充填プロセスの相対的な人気により、無菌充填プロセスは、高温充填ボトル設計を使用してきた。高温充填ボトルは、高温充填プロセスの比較的大きな圧力差に適応することができるので、それらは、無菌充填プロセスの比較的低い圧力差にも適応することができる。しかし、多くの場合、高温充填ボトルは、無菌充填プロセスに対して過剰殺菌である。高温充填用途で必要とされる堅牢な設計は、無菌充填の必要性を満たすのに必要以上である。その結果、それらはより多くの材料を使用し、無菌充填プロセスにおいて必要とされるよりも複雑である。より具体的には、プロセスが高温充填において経験される極端な温度を含むので、圧力差は、無菌充填プロセスに対してより小さくなり得る。(高温充填プロセスにおいて一般的であるような)4-5psi以上のより大きな圧力差の代わりに、無菌充填は、約2psiのより低い圧力差を引き起こし得る。無菌充填のより低い圧力差に適応し、結果として生じる真空を制限又は防止することができる、より軽い構造は、材料、重量、廃棄物、及びコストを節約するであろう。したがって、無菌充填プロセスの特性により適合された方法で変形に適応し、変形を制限することができる、無菌充填に向けられた容器が必要とされている。
【0013】
本発明の実施形態は、無菌充填において経験される圧力差に適応する構造的形状を有する基部を提供する。具体的には、実施形態は、プラスチック飲料容器が、過圧状態及び減圧状態の両方において、その外部雰囲気とのより低い圧力差(例えば、2psi以内)を受けるときの、プラスチック飲料容器の基部の変形を制御することに関する。基部は、容器が軽量で製造が簡単であり得るように、圧力差に適応するための構造的特徴を含む。
【0014】
本明細書で説明されるように、基部は、中央可撓性部分を含むことができる。基部はまた、可撓性部分を取り囲み、隔離リングによって可撓性部分から分離される、剛性部分を含むことができる。可撓性部分は、圧力差に適応するためのダイヤフラムとして機能することができ、剛性部分は、可撓性部分の外側の基部に対する変形を制御するための構造的安定性を提供することができる。
【0015】
基部は、過圧状態、減圧状態、及び中立状態の間で移動することができる。容器の形成時に基部は中立状態であってもよい。容器が温かい内容物で充填されて密封されるとき、容器は過圧を受ける可能性があり、それによって基部が(その可撓性部分で)移動して過圧状態になる可能性がある。過圧状態では、基部の可撓性部分は、中立状態から外向きに(すなわち、ボトルが直立配向にあるときに下向きに)曲がることができる。密封容器の内容物が冷えて(熱収縮により)容積が減少するにつれて、容器は減圧を経験する可能性があり、それにより、基部が中立状態の内側に(その可撓性部分で)移動して減圧状態になる可能性がある。可撓性部分は、圧力差の関数として剛性部分よりも大きな変位を受けることができる。このようにして、剛性部分は、可撓性部分に比べて剛性が高く、可撓性が低い。
【0016】
剛性部分の周りに応力を分散させることができる。剛性部分は、容器の直立リングと、直立リングと中央部分との間に延びるリブとを含むことができる。剛性部分の直立リングは、容器の表面接触部分とすることができ、これにより、容器は、使用中に表面上に直立して配置されたときに直立して安定したままであることが可能になる。剛性部分のリブは、隔離リングの外側の基部の領域における曲げを阻止するように半径方向に分散させることができる。したがって、基部上の応力をリブと直立リングとの間で分散させて、応力集中点を最小限に抑えることができる。加えて、リブは、リブのサイズ、量、及び分離とともに幾何学形状が、剛性部分の剛性を維持するように応力分散に影響を及ぼすことができるように、s字形であることができる。
【0017】
本明細書で説明されるプラスチック飲料容器のための基部は、材料、重量、廃棄物、及びコストを低減しながら、無菌充填において経験される圧力差の適応を可能にする。実施形態を図面を参照しながら以下で考察する。
【0018】
図1に示すように、飲料容器10は、基部100と本体600を含むことができる。飲料容器10及びその構成要素は、プリフォームからブロー成形されたポリマー材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は再生PETを含む、PETと別のポリマー若しくは添加剤とのPETブレンド)から形成することができる。本体600は側壁610を含むことができる。いくつかの実施形態では、基部100は、スカート620を含み得る。基部100は、側壁610から延びることができる。基部100は、その中心を通って垂直に延びる長手方向軸102を含むことができる。長手方向軸102は、飲料容器10及び基部100の対称軸を画定し得る。いくつかの実施形態では、飲料容器10、基部100、又は飲料容器10及び基部100は、長手方向軸102を含む垂直面にわたって対称であり得る。いくつかの実施形態では、飲料容器10、基部100、又は飲料容器10及び基部100は、長手方向軸102を含む垂直面に対して対称ではない。例えば、いくつかの実施形態では、基部100は対称であってもよいが、容器10の側壁は対称でなくてもよい。基部100のスカート620は、側壁610から長手方向軸102に向かって延びることができる。
【0019】
図2及び
図3は、基部100の斜視図及び上面図をそれぞれ示す。いくつかの実施形態では、基部100は透明であってもよいが、図では説明を明確にするために透明ではない状態で示されている。基部100は、外側110と内側120とを含むことができる。基部100の外側110は、基部100の外側部分であり得る。基部100の内側120は、飲料容器10内で見たときなどに、基部100の内部とすることができる。基部100は、可撓性部分200、隔離リング400、及び剛性部分500を含むことができる。可撓性部分200は、ダイヤフラムとして機能することができ、中央部分210を含むことができる。中央部分210は、側壁212、平坦部分220、及び頂点230を含むことができる。隔離リング400は、上面402、外壁404、及び内壁406を含むことができる。剛性部分500は、直立リング510及び1つ以上のリブ520を含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、基部100は、20~30個のリブ520を含むことができる。20個を超えるリブ520を含む基部100は、それに対する圧力及び抵抗をより均一に分配するのを助けることができる。このようにして、各リブ520は、抵抗する圧力をより小さくすることができ、基部100は、全体として、基部100がより少ないリブ520を有する場合よりも均一に抵抗することができる。リブ520は、直立リング510と可撓性部分200との間に延びることができる。更に、隔離リング400は、中央部分210を取り囲むことができる。このようにして、隔離リング400は、リブ520を中央部分210から分離することができる。したがって、いくつかの実施形態では、リブ520は、リブ520が直立リング510を越えて延びないように、隔離リング400から直立リング510まで延びることができる。換言すれば、リブ520は、リブ520が中央部分210まで半径方向内向きに延びないように、直立リング510から半径方向内向きに延びることができる。したがって、リブ520は中央部分210内に延びない。いくつかの実施形態では、リブ520は、直立リング510の外側に延びない。直立リング520は連続的であってもよい。したがって、基部100を外側110から見たときのリブ520の視覚的な突出を低減又は排除することができる。例えば、リブ520は、容器10が平坦な表面上に配置されたときに見えなくてもよい(容器10の一部が透明である場合、容器10の別の部分を通して見えることを除く)。同様に、いくつかの実施形態では、スカート620(
図1)は、外側110からの基部100の視覚的な突出を最小限に抑えることができる。
【0021】
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、可撓性部分200は、界面300を含み得る。いくつかの実施形態では、中央部分210の側壁212及び隔離リング400の内壁406は、界面300で交わることができる。このようにして、界面300は、中央部分210と隔離リング400との間に配置することができる。界面300は、中央部分210を取り囲む半径方向縁部とすることができる。したがって、界面300は、中央部分210の半径方向外側であり、隔離リング400の半径方向内側であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、中央部分の側壁212、界面300、及び隔離リング400の内壁406からの移行は、滑らかであり得る。したがって、それらの表面間の移行部は、それらが半径を有するように丸みを帯びることができる。いくつかの実施形態では、基部100は、基部100内の応力集中を最小限に抑えるために、全ての表面間に滑らかな移行部を含むことができる。応力集中を最小限にすることにより、基部100をより少ない材料で形成することができ、コスト及び重量が低減される。加えて、応力集中を最小化することは、基部100への変形が制御され得る(例えば、可撓性部分に集中される)ように、応力分散を可能にし得る。本明細書で説明されるように、応力は、基部100の変形が制御され得るように、可撓性部分200と剛性部分500との間で基部100全体にわたって分散され得る。
【0023】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、可撓性部分200は、頂点230を有する中央部分210を含むことができる。いくつかの実施形態では、頂点230は、含まれない。いくつかの実施形態では、中央部分210の頂点230は、中央部分210の平坦部分220から上方に延びることができる。頂点230は、平坦部分220から上方に傾斜した側壁232を有することができる。頂点230は、長手方向軸102と位置合わせされ得る。頂点230は、基部100が水平表面5上に配置されたときに中央部分210の最も高い点であり得る。飲料容器10(
図1)が過圧及び減圧を受けると、頂点230は、可撓性部分200の一部として移動することができる。いくつかの実施形態では、平坦部分220から頂点230への移行は滑らかである。
【0024】
図3に示すように、基部100は、全体直径570を有することができる。可撓性部分200は、直径570に比例する直径270を有することができる。いくつかの実施形態では、直径270は、直径570の60%であり得る。いくつかの実施形態では、直径270は、直径570の50%~70%であり得る。いくつかの実施形態では、直径270は、10ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、直径270は、6mm~12mmであり得る。中央部分210によって境界付けられた可撓性部分200は、高温充填基部の中央部分と比較して小さくすることができる。実際、いくつかの高温充填基部では、中央部分は基部直径の80~90%である。高温充填基部は、より大きな圧力変化に適応するためにより大きな中央部分を必要とする。いくつかの高温充填基部は、活性であり、より大きな圧力変化によって引き起こされる真空に適応するように反転する。無菌充填は、より低い圧力変化を経験するので、基部100の可撓性部分200は、高温充填基部の中心領域と比較してより小さく、基部100の直径570に対してより小さくなり得る。
【0025】
図4は、
図3に示される線4 -4’で取られた基部100の断面を示す。
図4の断面は、左側のリブ520を通り、右側のリブ520の間に延びる。
図4に示すように、リブ520はs字形であってもよい。リブ520は、第1の湾曲区分522、第1の変曲点524、第2の変曲点528、及び第2の湾曲区分530を含むことができる。第1の変曲点524は、第1の湾曲区分522の終点を画定することができる。第2の変曲点528は、第2の湾曲区分530の終点を画定することができる。第1の変曲点524及び第2の変曲点528は、平坦区分526によって接続することができる。したがって、平坦区分526は、リブ520がs字形であるように、各リブ520の湾曲部分、すなわち第1の湾曲区分522及び第2の湾曲区分530を分離することができる。いくつかの実施形態では、第1の変曲点524及び第2の変曲点528は、同じ点にあり、平坦区分は存在しない。
【0026】
リブ520は、直立リング510から上方に延びることができる。このようにして、各リブ520は高さ532を有することができる。高さ532は、直立リング510によって画定される水平面Pから第2の湾曲区分530まで測定することができる。いくつかの実施形態では、水平面P及び水平表面5は同一平面上にある。いくつかの実施形態では、高さ532は、基部100の他の寸法(例えば、直径270、直径570、ならびに以下に説明される中央部分210及びその構成要素の高さ)と比較して、比較的小さくあり得る。例えば、高さ532は7mm未満であり得る。いくつかの実施形態では、高さ532は、3.5mmであり得る。いくつかの実施形態では、高さ532は、基部100の最大直径570の15%未満、例えば8%~12%、例えば10%であり得る。各リブ520はまた、幅534(
図3)を含むことができる。高さ532は、幅534より大きくてもよい。したがって、幅534はまた、基部100の他の寸法(例えば、直径270、直径570、ならびに中央部分210及びその構成要素の高さ)と比較して、比較的小さくあり得る。高さ532及び幅534(
図3)を最小限に抑えることにより、リブ520の突出を低減することができ、その結果、基部100が必要とする材料を少なくすることができる。したがって、基部100をより軽量かつ安価にすることができる。
【0027】
リブ520は、リブ520が長手方向軸102に垂直である水平軸4に対してある角度で延びるように、直立リング510から隔離リング400まで上方に延びることができる。各リブ520の平坦区分526は、第1の湾曲区分522と第2の湾曲区分530との間で水平軸4に対して角度536で上向きに延びることができる。リブ520は、ブロー成形を容易にするために、このようにある角度で延びることができる。中央部分210の側壁212は、界面300に対して角度214で頂点230に向かって延びることができる。頂点230の側壁232は、平坦部分220に対して角度234で中央部分210の平坦部分220から上方に延びることができる。いくつかの実施形態において、リブ520の角度536は、中央部分210の角度214よりも浅くてもよいし、大きくてもよい。いくつかの実施形態では、角度536は45°であり得る。いくつかの実施形態では、角度536は、30°~60°であり得る。
【0028】
図4に示すように、基部100は、中立状態140と、過圧状態130と、減圧状態150との間で移動することができる。飲料容器10の形成時に、基部100は中立状態140であり得る。飲料容器10が温かい内容物(例えば、飲料液体)で充填され、(例えば、ボトルキャップの適用によって)密封されると、基部100は、過圧状態130になるように過圧を受ける可能性がある。過圧状態130では、基部100は中立状態140の外側に曲がることができる。飲料容器10の内容物が冷えて容積が減少するにつれて、基部100は、減圧を経験する可能性があり、中立状態140の内側に曲がって減圧状態150になる可能性がある。減圧状態150は、飲料容器10の内容物が冷えて容積が減少するにつれてボトル内に真空が生じることと同時に起こり得る。したがって、基部100は、圧力差に適応し、基部100に対する変形を制限又は防止するように可撓性であり得る。いくつかの実施形態では、過圧状態130及び減圧状態150は、約2psiの圧力差によって引き起こされ得る。
【0029】
基部100の可撓性部分200は、過圧状態130にある基部100の中立状態140を過ぎて垂直方向の第1の距離280だけ変位することができる。したがって、可撓性部分200の中央部分210は、過圧状態130にある基部100の中立状態140を過ぎて第1の距離280を変位させることができる。基部100の剛性部分500は、過圧状態130にある基部100の中立状態140を過ぎて垂直方向の第2の距離580だけ変位することができる。したがって、剛性部分500のリブ520は、過圧状態130にある基部100の中立状態140を過ぎて第2の距離580を変位させることができる。第1の距離280は、第2の距離580よりも大きくてもよい。
【0030】
同様に、基部100の可撓性部分200は、減圧状態150にある基部100の中立状態140を過ぎて垂直方向の第3の距離290だけ変位することができる。したがって、可撓性部分200の中央部分210は、減圧状態150にある基部100の中立状態140を過ぎて第3の距離290を変位させることができる。基部100の剛性部分500は、減圧状態150にある基部100の中立状態140を過ぎて垂直方向の第4の距離590だけ変位することができる。したがって、剛性部分500のリブ520は、減圧状態150にある基部100の中立状態140を過ぎて第4の距離590だけ変位することができる。第3の距離290は、第4の距離590よりも大きくてもよい。
【0031】
したがって、可撓性部分200は、圧力差の関数として剛性部分500よりも大きな変位を受けることができる。このようにして、剛性部分500は、可撓性部分200に対してより剛性であり、より可撓性でない。換言すれば、リブ520は中央部分210に対して剛性が高く可撓性が低いので、中央部分210はリブ520よりも大きな変位を受ける可能性がある。変位距離は、飲料容器10の容積に比例する。より大きな飲料容器10は、より大きな変位距離を支持することができる。同様に、より小さい飲料容器10は、より小さい変位距離を支持することができる。飲料容器10の重量も変位距離に影響を及ぼす可能性がある。例えば、より軽い飲料容器10は、より重い同じ容積の飲料容器10と比較して、より大きな変位距離を支持することができる。同様に、より重い飲料容器10は、より軽い同じ容積の飲料容器10と比較して、より小さい変位距離を支持することができる。
【0032】
リブ520は、剛性部分500の剛性を提供することができる。上述したように、リブ520は、直立リング510から可撓性部分200まで上向きに角度を付けることができる。
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、直立リング510は、基部100の周りで連続的であり得る。このようにして、直立リング510は中間ギャップを有さず、リブ520は基部100の周りに半径方向に分散される。
図4を参照すると、直立リング510は、飲料容器10(
図1)の表面接触部分であり得るので、直立リング510は、基部100の長手方向軸102に対する基部100の最下点であり得る。更に、中央部分210は、長手方向軸に対して基部100の最高点であり得る。いくつかの実施形態では、中央部分210の頂点230は、長手方向軸に対して基部100の最高点であり得る。中央部分210に最高点を有し、直立リング510に最低点を有する基部100のプロファイルは、ブロー成形を容易にすることができる。対照的に、角度の付いたリブの代わりに、直立リングと中央部分との間に1つ以上の中間壁を有する基部は、直立リングへのプラスチックの外向きの流れを妨げる可能性があり、その結果、ブロー成形の成功が妨げられるか、又はより困難になる。本明細書で説明される基部100は、リブ520によって提供される剛性のために、剛性のための中間壁を必要としない。リブ520はまた、剛性部分500とともに曲がることができ、過圧状態130及び減圧状態150において変位することができる。リブ520のS字形状は、リブ520の剛性及び制御された最小限の曲げに寄与することができる。しかしながら、リブ520は、飲料容器10内の圧力変化に適応するために座屈したり、その基本形状を変化させたりしない。
【0033】
隔離リング400は、可撓性部分200の中央部分210を取り囲み、リブ520を中央部分210から分離することによって、可撓性部分200に可撓性を含むことができる。可撓性部分200に可撓性を含む隔離リング400は、可撓性部分200が上方及び下方に曲がることを可能にするが、外向きの曲げを阻止する。隔離リング400による可撓性部分200の分離はまた、剛性部分500が、可撓性部分200に対してより剛性であり、より可撓性でないままであることを助けることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、隔離リング400の内壁406は、上面402から隔離リング400の外壁404よりも深い深さまで延びることができる。換言すれば、外壁404は高さ408を有することができ、内壁406は高さ410を有することができる。いくつかの実施形態では、高さ410は高さ408よりも大きくてもよく、高さ408及び高さ410は水平表面5から測定される。いくつかの実施形態では、高さ410は、高さ408と同じであり得る。したがって、隔離リング400の内壁406は、上面402から隔離リング400の外壁404と同じ深さまで延びることができる。いくつかの実施形態では、高さ408及び高さ410は、リブ520の延長部の角度536に依存し得る。例えば、より大きな角度536は、より大きな高さ408及び高さ410をもたらすことができる。同様に、より小さい角度536は、より小さい高さ408及び高さ410をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、高さ408及び高さ410は、2ミリメートルなど、1ミリメートル~4ミリメートルの範囲で異なることができる。いくつかの実施形態では、リブ520の高さ408及び高さ532は同等であり得る。いくつかの実施形態では、高さ408及び高さ532は、2ミリメートルなど、1ミリメートル~4ミリメートルの範囲で異なることができる。
【0035】
更に、中央部分210の平坦部分220は、高さ222を有することができる。いくつかの実施形態では、頂点230は、高さ222より大きい高さ238を有することができ、高さ222及び高さ238は、水平表面5から測定される。高さ222及び高さ238は、高温充填基部の中央部分の高さと比較して小さくすることができる。高温充填基部は、より大きな圧力変化に適応するためにより大きな中央部分を必要とする。いくつかの高温充填基部は、活性であり、より大きな圧力変化によって引き起こされる真空に適応するために反転し、したがって、より高い中央部分を必要とする。無菌充填はより低い圧力変化を受けるので、高さ222及び高さ238はより小さくすることができる。高さ222及び高さ238を最小化することはまた、基部100がより少ない材料を必要とし得るように、中央部分210の突出を低減させることができる。したがって、基部100をより軽量かつ安価にすることができる。いくつかの実施形態では、高さ238は、基部100の直径570のある割合であり得る。いくつかの実施形態では、高さ238は、直径570の5%~25%、例えば10%~20%、例えば15%とすることができる。
【0036】
「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。発明の概要及び要約のセクションは、本開示の1つ以上であるが全てではない例示的な実施形態を示し得るが、本開示及び特許請求の範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。
【0037】
特定の実施形態の前述の説明は、当業者が知識を適用することにより、他の人もかかる特定の実施形態を種々の用途に容易に変更及び/又は適合させることができ、過度の実験をすることなく、本開示の一般的な概念から逸脱することなく、本開示の一般的な性質を完全に明らかにするであろう。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書で提示した教示及び指導に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書の表現法又は用語法は、説明を目的とするものであって、限定するものではないことを理解されたく、その結果、本明細書の用語法又は表現法は、教示及び指導の観点から当業者によって解釈されるべきである。
【0038】
本開示の幅広さ及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲、及びそれらの等価物に従ってのみ定義されるべきである。
【国際調査報告】