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特表2024-541639低摩擦性かつ柔軟性のカテーテルライナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】低摩擦性かつ柔軟性のカテーテルライナ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20241031BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61M25/00 612
A61M25/00 620
A61M25/00 622
A61M25/098
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532749
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 IB2022061728
(87)【国際公開番号】W WO2023100154
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/285,428
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524046353
【氏名又は名称】テレフレックス ライフ サイエンシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】オマリー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】カンピオン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バトラー デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】リン ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア ミヒル
(72)【発明者】
【氏名】ローズ ナサニエル リー ランディ
(72)【発明者】
【氏名】ガベイ グレッグ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB05
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB15
4C267BB16
4C267BB40
4C267BB43
4C267CC08
4C267EE01
4C267GG02
4C267GG04
4C267GG24
4C267GG34
4C267HH14
4C267HH17
(57)【要約】
カテーテルおよびポリオレフィン系またはポリエチレン系熱可塑性エラストマー材料を含む内側層と、外側層と、内側層と外側層との間に設けられた結合層とを有するカテーテルを製造する方法。結合層は、低ジュロメータポリマーである。熱可塑性エラストマー材料は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーおよび一実施形態ではポリエチレン系熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも一方を含む。結合層は、無水マレイン酸をグラフトした線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
ポリオレフィン系またはポリエチレン系熱可塑性エラストマー材料を含む内側層と、
外側層と、
前記内側層と前記外側層との間に設けられた結合層とを有し、前記結合層は、低ジュロメータポリマーからなる、カテーテル。
【請求項2】
前記内側層は、1種類以上の潤滑剤を含む、請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
前記結合層は、無水マレイン酸をグラフトした線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む、請求項1または2記載のカテーテル。
【請求項4】
前記結合層は、無水マレイン酸で改質した低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、請求項1または2記載のカテーテル。
【請求項5】
前記結合層は、無水マレイン酸で改質したエチレンビニルアセテート(EVA)を含む、請求項1または2記載のカテーテル。
【請求項6】
前記内側層と前記外側層との間に設けられた補強材をさらに有する、請求項1~5のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記補強材は、前記カテーテルの長手方向軸線回りに円周方向に巻き付けられた1本のコイルワイヤを含む、請求項6記載のカテーテル。
【請求項8】
前記補強材は、前記カテーテルの長手方向軸線回りに円周方向に巻き付けられた多数本の糸状コイルワイヤを含む、請求項6記載のカテーテル。
【請求項9】
前記補強材は、前記カテーテルの長手方向軸線回りに円周方向に織り交ぜられた編組デザインワイヤパターンである、請求項6記載のカテーテル。
【請求項10】
前記編組デザインは、前記編組デザインの長さに沿って1インチ当たりの密度またはピックス(pix)の変化を含む、請求項9記載のカテーテル。
【請求項11】
前記編組デザインは、前記編組デザインの長さに沿って一定の密度を有する、請求項9記載のカテーテル。
【請求項12】
前記編組デザインは、下1上1下1、下2上2下2、または下1上2下2のパターンを含む、請求項9記載のカテーテル。
【請求項13】
前記編組デザインは、8本、16本、または32本の個々のストランドを含む、請求項9記載のカテーテル。
【請求項14】
前記補強材は、丸形、長方形、または楕円形の幾何学的形状を含む、請求項1~13のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記補強材は、スチール、ニチノール、タングステン、非金属モノフィラメント、繊維束、アラミド(Aramid)、ポリマー、ナイロン(Nylon)、またはLCPのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~14のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記補強材は、前記内側層と前記外側層との間に設けられた円周方向補強材と、前記カテーテルの長手方向軸線に沿って延びる長手方向補強材とを含む、請求項6、8、9、14、および15のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記長手方向補強材は、スチール、ニチノール、タングステン、非金属モノフィラメント、繊維束、アラミド(Aramid)、ポリマー、ナイロン(Nylon)、またはLCPのうちの少なくとも1つを含む、請求項16記載のカテーテル。
【請求項18】
前記長手方向補強材は、1本、2本、3本、4本、またはそれ以上の長手方向補強材を含む、請求項16または17記載のカテーテル。
【請求項19】
前記長手方向補強材は、前記カテーテルの中心長手方向軸線回りに対称に配置された複数本の長手方向補強材を含む、請求項16~18のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記長手方向補強材は、前記カテーテルの一方の側に偏って配置された複数本の長手方向補強材を含む、請求項16~18のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記長手方向補強材は、前記カテーテルの中心長手方向軸線回りにランダムに配置された複数本の長手方向補強材を含む、請求項16~18のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記長手方向補強材は、前記カテーテルの長さ全体に沿って延びる複数本の長手方向補強材を含む、請求項16~21のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記長手方向補強材は、前記カテーテルの部分長さに沿ってしか延びていない複数本の長手方向補強材を含む、請求項16~21のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記長手方向補強材は、各々が等しい長さの複数本の長手方向補強材を含む、請求項16~23のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記長手方向補強材は、複数本の長手方向補強材を含み、前記複数本の長手方向補強材のうちの少なくとも2本は、互いに異なる相対長さを有する、請求項16~23のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記長手方向補強材は、前記円周方向補強材と織り交ぜられている、請求項16~25のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記長手方向補強材は、前記円周方向補強材と織り交ぜられていない、請求項16~25のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記長手方向補強材は、前記円周方向補強材の上に、下に、もしくは間に、または前記内側層と前記外側層との間に配置されている、請求項16~27のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記長手方向補強材は、前記結合層内に埋め込まれている、請求項16~28のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記長手方向補強材は、前記結合層の上または下に配置されている、請求項16~28のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記長手方向補強材は、前記円周方向補強材にボンディングされ、溶接され、または違ったやり方で取り付けられている、請求項16~30のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項32】
請求項7または請求項8記載の前記コイルは、請求項13または請求項14記載の前記編組パターンの上に設けられている、請求項13または14記載のカテーテル。
【請求項33】
請求項7または請求項8記載の前記コイルは、請求項13または請求項14記載の前記編組パターンの下に設けられている、請求項13または14記載のカテーテル。
【請求項34】
前記コイルワイヤは、第1のコイル補強材および前記第1のコイル補強材の上に配置された第2のコイル補強材を含む、請求項8記載のカテーテル。
【請求項35】
前記第2のコイル補強材は、前記第1のコイル補強材を巻き付ける方向とは逆の方向に巻き付けられている、請求項34記載のカテーテル。
【請求項36】
前記編組デザインは、第1の編組補強材および前記第1の編組補強材の上に配置された第2のコイル補強材を含む、請求項9~13のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記第2の編組補強材は、前記第1の編組補強材を構成する材料とは異なる材料からなる、請求項36記載のカテーテル。
【請求項38】
前記第2の編組補強材は、前記第1の編組補強材を構成する幾何学的形状とは異なる幾何学的形状で構成される、請求項36または37記載のカテーテル。
【請求項39】
前記第2の編組補強材は、前記第1の編組補強材を構成する補強材パターンとは異なる補強材パターンからなる、請求項36~38のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項40】
前記補強材は、前記結合層内に埋め込まれている、請求項6~39のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記結合層は、前記補強材の上および下に配置されている、請求項6~39のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項42】
前記結合層は、編組補強材とコイル補強材との間に配置されている、請求項41記載のカテーテル。
【請求項43】
前記結合層は、任意の補強材層相互間に配置されている、請求項41記載のカテーテル。
【請求項44】
前記補強材は、前記カテーテルの遠位端点から一定の距離を置いたところで終端している、請求項6~43のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項45】
前記外側層は、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分のスチフネスは、前記第2の区分のスチフネスとは異なっている、請求項1~44のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項46】
前記外側層は、第1の区分および第2の区分を有し、前記第1の区分のトラッカビリティは、前記第2の区分のトラッカビリティとは異なっている、請求項1~45のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項47】
前記結合層は、第1の結合層および第2の結合層を含む、請求項1~46のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項48】
前記内側層、前記結合層、または前記外側層のうちの1つ以上は、Eビームを用いて架橋されている、請求項1~47のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項49】
前記内側層は、前記カテーテルの遠位部分上に設けられていて熱可塑性エラストマーからなる第1の内側層と、前記第1の内側層の近位側で前記カテーテルの近位部分上に設けられた第2の内側層とを含み、前記第2の内側層は、PTFEからなる、請求項1~48のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項50】
前記内側層は、前記カテーテルの遠位部分上にのみ設けられている、請求項1~49のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項51】
前記内側層は、前記カテーテル上に全長にわたって配置されている、請求項1~49のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項52】
カテーテル遠位端部は、放射線不透過性先端部からなる、請求項1~51のうちいずれか一に記載のカテーテル。
【請求項53】
前記放射線不透過性先端部は、タングステン、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、またはオキシ塩化ビスマスのうちの1つ以上の添加剤を含むポリマーからなる、請求項52記載のカテーテル。
【請求項54】
前記放射線不透過性先端部は、スプリットマーカーバンドからなる、請求項53記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、低摩擦性かつ柔軟性のライナを備えたカテーテルに関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年12月2日に出願された米国特許仮出願第63/285,428号の権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
既存のPTFEカテーテルライナは、インプラントまたは器具の運搬を可能にするとともに、同軸内側カテーテルの低摩擦通過を可能にする低摩擦性を有する。それにもかかわらず、多くの既存のPTFEカテーテルライナは、幾つかの用途では剛直すぎるので、既存のPTFEライナの低摩擦性を維持しまたは改善する柔軟性のより高いカテーテルライナが要望されている。
【発明の概要】
【0004】
これら要望は、熱可塑性エラストマー材料からなる内側層と、外側層と、内側層と外側層との間に設けられた結合層とを有する開示対象のカテーテルによって大幅に満たされる。結合層は、低ジュロメータポリマーからなる。
【0005】
本発明の第1の実施形態では、カテーテルは、熱可塑性エラストマー材料からなる内側層と、外側層と、内側層と外側層との間に設けられた結合層とを有し、結合層は、低ジュロメータポリマーからなる。熱可塑性エラストマー材料は、少なくとも1種類のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマー材料は、少なくとも1種類のポリエチレン系熱可塑性エラストマーからなっていてもよい。結合層は、無水マレイン酸をグラフトした線状低密度ポリエチレンからなるのがよい。補強材が内側層と外側層との間に設けられるのがよい。補強材は、結合層内に埋め込まれるのがよい。補強材は、カテーテルの遠位端点から一定の距離を置いたところで終端するのがよい。外側層は、第1の区分および第2の区分を有するのがよく、第1の区分のスチフネスは、第2の区分のスチフネスとは異なっている。結合層は、第1の結合層および第2の結合層からなるのがよい。別の実施形態では、内側層は、カテーテルの遠位部分上に設けられた第1の内側層を含み、第1の内側層は、熱可塑性エラストマーからなり、内側層は、第1の内側層の近位側でカテーテルの近位部分上に設けられた第2の内側層をさらに含み、第2の内側層は、PTFEからなる。一実施形態では、内側層は、カテーテルの遠位部分上にのみ設けられる。もう1つの実施形態では、内側層は、カテーテル上に全長にわたって配置される。
【0006】
本発明の一実施形態では、カテーテルは、ポリオレフィン系またはポリエチレン系熱可塑性エラストマー材料を含む内側層と、外側層と、内側層と外側層との間に設けられた結合層とを有し、結合層は、低ジュロメータポリマーからなる。内側層は、1種類以上の潤滑剤を含むのがよい。結合層は、無水マレイン酸をグラフトした線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなるのがよい。結合層は、無水マレイン酸で改質した低密度ポリエチレン(LDPE)からなるのがよい。結合層は、無水マレイン酸で改質したエチレンビニルアセテート(EVA)からなるのがよい。
【0007】
カテーテルは、内側層と外側層との間に設けられた補強材をさらに有するのがよい。補強材は、カテーテルの長手方向軸線回りに円周方向に巻き付けられた1本のコイルワイヤを含むのがよい。補強材は、カテーテルの長手方向軸線回りに円周方向に巻き付けられた多数本の糸状コイルワイヤを含むのがよい。補強材は、カテーテルの長手方向軸線回りに円周方向に織り交ぜられた編組デザインワイヤパターンであるのがよい。編組デザインは、編組デザインの長さに沿って1インチ当たりの密度またはピックス/ピクセル(pix)の変化を含むのがよい。編組デザインは、編組デザインの長さに沿って一定の密度を有するのがよい。編組デザインは、下1上1下1、下2上2下2、または下1上2下2のパターンを含むのがよい。編組デザインは、8本、16本、もしくは32本の個々のストランド、または任意本数の個々のストランドを含むことができる。補強材は、丸形、長方形、または楕円形の幾何学的形状を含むのがよい。補強材は、スチール、ニチノール、タングステン、非金属モノフィラメント、繊維束、アラミド(Aramid)、ポリマー、ナイロン(Nylon)、またはLCPのうちの少なくとも1つを含むのがよい。補強材は、内側層と外側層との間に設けられた円周方向補強材と、カテーテルの長手方向軸線に沿って延びる長手方向補強材とを含むのがよい。長手方向補強材は、スチール、ニチノール、タングステン、非金属モノフィラメント、繊維束、アラミド(Aramid)、ポリマー、ナイロン(Nylon)、またはLCPのうちの少なくとも1つを含むのがよい。長手方向補強材は、1本、2本、3本、4本、またはそれ以上の長手方向補強材を含むことができる。長手方向補強材は、カテーテルの中心長手方向軸線回りに対称に配置された複数本の長手方向補強材を含むのがよい。長手方向補強材は、カテーテルの一方の側に偏って配置された複数本の長手方向補強材を含むのがよい。長手方向補強材は、カテーテルの中心長手方向軸線回りにランダムに配置された複数本の長手方向補強材を含むのがよい。長手方向補強材は、カテーテルの長さ全体に沿って延びる複数本の長手方向補強材を含むのがよい。長手方向補強材は、カテーテルの部分長さに沿ってしか延びていない複数本の長手方向補強材を含むのがよい。長手方向補強材は、各々が等しい長さの複数本の長手方向補強材を含むのがよい。長手方向補強材は、複数本の長手方向補強材を含み、複数本の長手方向補強材のうちの少なくとも2本は、互いに異なる相対長さを有するのがよい。長手方向補強材は、円周方向補強材と織り交ぜられているのがよい。長手方向補強材は、円周方向補強材と織り交ぜられていなくてもよい。長手方向補強材は、円周方向補強材の上に、下に、もしくは間に、または内側層と外側層との間に配置されるのがよい。長手方向補強材は、結合層内に埋め込まれるのがよい。長手方向補強材は、結合層の上または下に配置されるのがよい。長手方向補強材は、円周方向補強材にボンディングされ、溶接され、または違ったやり方で取り付けられるのがよい。コイルは、編組パターンの上に設けられるのがよい。コイルは、編組パターンの下に設けられてもよい。コイルワイヤは、第1のコイル補強材および第1のコイル補強材の上に配置された第2のコイル補強材を含むのがよい。第2のコイル補強材は、第1のコイル補強材を巻き付ける方向とは逆の方向に巻き付けられるのがよい。編組デザインは、第1の編組補強材および第1の編組補強材の上に配置された第2のコイル補強材を含むのがよい。第2の編組補強材は、第1の編組補強材を構成する材料とは異なる材料からなるのがよい。第2の編組補強材は、第1の編組補強材を構成する幾何学的形状とは異なる幾何学的形状で構成されるのがよい。第2の編組補強材は、第1の編組補強材を構成する補強材パターンとは異なる補強材パターンからなるのがよい。
【0008】
補強材は、結合層内に埋め込まれるのがよい。結合層は、補強材の上および下に配置されるのがよい。結合層は、編組補強材とコイル補強材との間に配置されるのがよい。結合層は、任意の補強材層相互間に配置されるのがよい。
【0009】
補強材は、カテーテルの遠位端点から一定の距離を置いたところで終端するのがよい。外側層は、第1の区分および第2の区分を有するのがよく、第1の区分のスチフネスは、第2の区分のスチフネスとは異なるのがよい。第1の区分のトラッカビリティは、第2の区分のトラッカビリティよりも良好であるのがよい。結合層は、第1の結合層および第2の結合層を含むのがよい。内側層、結合層、または外側層のうちの1つ以上は、Eビームを用いて架橋されるのがよい。内側層は、カテーテルの遠位部分上に設けられていて熱可塑性エラストマーからなる第1の内側層と、第1の内側層の近位側でカテーテルの近位部分上に設けられた第2の内側層とを含むのがよく、第2の内側層は、PTFEからなるのがよい。内側層は、カテーテルの遠位部分上にのみ設けられるのがよい。内側層は、カテーテル上に全長にわたって配置されるのがよい。
【0010】
カテーテルは、カテーテル遠位端部を有するのがよく、カテーテル遠位端部は、放射線不透過性先端部からなるのがよい。放射線不透過性先端部は、タングステン、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、またはオキシ塩化ビスマスのうちの1つ以上の添加剤を含むポリマーからなるのがよい。放射線不透過性先端部は、スプリットマーカーバンドからなる。
【0011】
本発明の種々の追加の特徴および追加の利点は、添付の図面と関連して行われる例示の実施形態についての以下の詳細な説明を検討すると、当業者には明らかになろう。
【0012】
以下の詳細な説明は、添付の図面と関連して読まれると良好に理解されよう。例示の目的で、図面には実施例が示されているが、本発明の内容は、開示した特定の要素および手段には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の諸観点によるカテーテルを示す図である。
図1B図1AのカテーテルのA‐A線矢視断面図である。
図1C図1Aのカテーテルのルアーハブを示す図である。
図2図1Aのカテーテルの囲み部分Bの拡大断面図である。
図3図1A図2に示すカテーテルを組み立てるプロセスを示す図である。
図4A】本発明の諸観点によるもう1つのカテーテルの図である。
図4B図4AのカテーテルのC‐C線矢視断面図である。
図5図4Aおよび図4Bに示すカテーテルを組み立てるプロセスを示す図である。
図6A】本発明の諸観点によるもう1つのカテーテルの図である。
図6B図6AのカテーテルのD‐D線矢視断面図である。
図6C図6Bの囲み部分DBの拡大図である。
図7図6A図6Cに示すカテーテルを組み立てるプロセスを示す図である。
図8】本発明の諸観点によるカテーテルを組み立てるプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
多くの既存のカテーテルは、PTFEカテーテルライナを利用している。PTFEをカテーテルライナとして使用する1つの理由は、インプラントまたは器具の運搬を可能にするとともに、同軸内側カテーテルの低摩擦通過を可能にする低摩擦性を提供することにある。PTFEをカテーテルライナとして使用するもう1つの理由は、PTFE表面がエッチングまたは他の手段によって活性化されたときにPTFEが外側の材料の熱的積層に十分に役立つ耐熱性に優れた材料だからである。しかしながら、PTFEは、ショアD硬さが40~60の比較的剛直な材料であり、このことは、カテーテルの柔軟性がPTFEのスチフネスによって制限されることを意味する。したがって、例えば神経血管用途では、凝血塊の除去を可能にするとともに、カテーテル内における同軸前進を容易にするために柔軟性遠位端部と内面上の低摩擦力の両方を有するPTFEカテーテルライナの変形例または補完例が要望されている。
【0015】
本発明は、柔軟性でありかつ低摩擦性の遠位端部を備えたカテーテルライナを提供することによってPTFEカテーテルライナの変形例または補完例の要望に取り組んでいる。カテーテルは、熱可塑性エラストマー材料、例えばポリエチレン系熱可塑性エラストマー材料(例えば、Topas )からなる遠位ライナを有するのがよい。ポリエチレン系熱可塑性エラストマー材料からなるライナを備えたカテーテルは、主としてPTFEライナを用いるカテーテルと比較して、摩擦が低く、かつ柔軟性が高い。本発明の諸観点はまた、ポリエチレン系熱可塑性エラストマーライナに低ジュロメータポリマー(例えば、Orevac)を利用したカテーテルに関する。低ジュロメータポリマーは、ポリエチレン系熱可塑性エラストマーライナと外側の材料(例えば、PEBA)の接着および/またはボンディング具合を向上させることができる。低ジュロメータポリマーと組み合わされたポリエチレン系熱可塑性エラストマーライナは、PTFEカテーテルライナと比較して、摩擦が低く、しかも柔軟性が向上した十分に積層されたカテーテル複合体を達成することができる。かかるライナは、例えば、虚血性発作に起因する閉塞を治療してこれを除去するためのMCA・M1およびM2動脈への接近を可能にして手術成功率を向上させることができる。本発明のこれらの観点および他の観点を図を参照して以下のように説明するが、図中の同一の参照符号は、同一の構造を指す場合がある。
【0016】
図1A図1Cは、本発明の諸観点に従ってカテーテル100を示している。カテーテルは、遠位区分102、近位区分104、およびルアーハブ106を有するのがよい。図2は、カテーテル100のカテーテル遠位区分102の領域Bの拡大図である。遠位区分102は、内側層108、結合層110、遠位外側層112、近位外側層114、および補強材116を含むのがよく、補強材116は、諸実施形態では、ワイヤ、ブレード(braid )、および/またはコイルを含むことができる。内側層108は、例えば低ジュロメータのポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはポリエチレン系熱可塑性エラストマーのような材料からなるのがよい。諸実施形態では、内側層108は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー中に潤滑剤(例えば、フォスター・コーポレーション(Foster Corporation)から入手できるPropel(商標)またはコンパウンディング・ソリューションズ(Compounding Solutions)から入手できるMobilize)を含むのがよい。潤滑剤は、定着されるのがよく、すなわち、潤滑剤は、脱落することはない。諸実施形態では、内側層108は、カテーテル10の全長にわたって延びるのがよい。変形例として、内側層108は、カテーテル100の部分長さにわたって延びるのがよく、例えば遠位区分102にのみ延びて近位区分104には延びないのがよい。内側層108は、結合層110によって包囲されるのがよく、結合層110は、2つの典型的には不相溶性の材料相互間の接着を促進することができる。結合層110は、低ジュロメータ(例えば、56、30またはそれ以下を含む60以下のショアD硬さ)のポリマーからなるのがよい。諸実施形態では、結合層110は、無水マレイン酸をグラフトした線状低密度ポリエチレン(LLDPE)例えば、Orevac(登録商標)および/またはReZilok Rxを含むのがよい。諸実施形態では、結合層110は、無水マレイン酸で改質した低密度ポリエチレン(LDPE)を含むのがよい。諸実施形態では、結合層110は、無水マレイン酸で改質したエチレンビニルアセテート(EVA)を含むのがよい。諸実施形態では、結合層110は、例えば欧州特許出願公開第0873759(A2)号明細書、米国特許出願公開第6165166(A)号明細書、米国特許第6464683(B1)号明細書に記載されている他の材料を含むのがよく、これら特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。内側層108は、波状に起伏した内面プロフィールを有するのがよい。波状起伏内面プロフィールは、低点および高点を有することができる。波状起伏内面プロフィールは、内側層108と例えばインプラントまたは凝血塊との間の接触/摩擦を減少させることができる。諸実施形態では、内側層108、結合層110、遠位外側層112、または近位外側層114のうちの1つ以上は、Eビームを用いて架橋されるのがよく、Eビームは、これら層相互間の接着性を向上させることができる。
【0017】
諸実施形態では、遠位外側層112および/または近位外側層114は、極性物質であるのがよく、すなわち、他の極性表面、例えばポリアミド、PEBA(ポリエーテルブロックアミド)、ポリウレタンエラストマーの様々な系統群、および/またはポリエーテル系エラストマー(Hytrel(登録商標))に熱的にボンディング可能であるのがよい。
【0018】
諸実施形態では、補強材116は、カテーテル100の壁(例えば、結合層110)内に封入されているのがよい。補強材116は、補強用フレームワークからなるのがよく、この補強用フレームワークは、ワイヤ、ブレード、および/またはコイルであるのがよい。補強材116は、長手方向支持要素および/または他の補強用コンポーネントを含むのがよい。諸実施形態では、補強材116は、結合層110上に配置されるのがよい。諸実施形態では、補強材116は、結合層110内に埋め込まれるのがよい。諸実施形態では、結合層110は、補強材116の上にかつ/あるいは下に配置されるのがよい。諸実施形態では、結合層110は、補強材116の上にかつ/あるいは下に配置されるのがよく、しかも、本明細書において説明する任意の補強材層相互間に配置されるのがよい。諸実施形態では、結合層110は、補強材116の上にかつ/あるいは下に配置されるのがよく、しかも本明細書において説明する任意のブレードおよび/またはコイル補強材相互間に配置されるのがよい。
【0019】
諸実施形態では、補強材116は、カテーテル100の長手方向軸線に対して円周方向に巻き付けられた単一コイルワイヤであるのがよい。諸実施形態では、補強材116は、カテーテル100の長手方向軸線に対して円周方向に巻き付けられた多数の糸状コイルワイヤを含むのがよい。諸実施形態では、補強材116は、カテーテル100の長手方向軸線に対して円周方向のワイヤパターンの編組デザインを含むのがよい。編組デザインは、その長さ全体にわたって1インチ当たりのその密度またはピックス(pix)の変化を含むのがよい。編組デザインは、その長さに沿って一定の密度を有するのがよい。編組デザインは、下1上1下1(1アンダー1オーバー1)、下2上2下2(2アンダー2オーバー2)もしくは1上2下2(1アンダー2オーバー2)または他の種々の織り交ぜストランドパターンであるのがよい。編組デザインパターンは、8本、16本、32本または任意本数の個々のストランドで形成されるのがよい。諸実施形態では、補強材116は、丸形、長方形、または楕円形の幾何学的形状を有するのがよい。諸実施形態では、補強材116は、スチール、ニチノール、タングステン、非金属モノフィラメント、またはアラミドのようなもしくは例えばナイロンまたはLCPのようなポリマーから作られた繊維束からなるのがよい。
【0020】
諸実施形態では、補強材116は、カテーテル100の層相互間で円周方向であるのがよく、しかも長手方向補強材で増強されるのがよい。長手方向補強材料は、スチール、ニチノール、タングテン、非金属モノフィラメント、またはアラミドのようなもしくは例えばナイロンまたはLCPのようなポリマーから作られた繊維束で作られるのがよい。1つ、2つ、3つ、4つまたは任意の数の長手方向補強材を設けることができる。長手方向補強材は、カテーテル100の断面回りに対称に配置されるのがよく、一方の側に偏って配置されてもよく、あるいはカテーテル100の長さ全体に沿ってまたは一定長さにわたってランダムに配置されてもよく、あるいは、個々の長手方向補強材は、互いに異なる個々の長さを有してもよい。長手方向補強材は、円周方向補強材と織り交ぜられるのがよい。変形例として、長手方向補強材は、円周方向補強材と織り交ぜられなくてもよい。長手方向補強材は、円周方向補強材の上、下、もしくはこれら相互間に、または内側層112と外側層114との間に配置されるのがよい。長手方向補強材は、結合層110内に埋め込まれるのがよい。長手方向補強材は、結合層110の上に配置されてもよく、その下に配置されてもよい。長手方向補強材は、円周方向補強材にボンディングされ、溶接され、あるいは違ったやり方で取り付けられるのがよい。
【0021】
諸実施形態では、補強材116は、上述したコイル補強材のうちの任意のものおよび上述した編組パターンのうちの任意のものを含むことができ、コイル補強材は、編組パターンの上に設けられてもよく、あるいはその逆の関係になっていてもよい。
【0022】
諸実施形態では、補強材116は、第1のコイル補強材および第2のコイル補強材を含むのがよく、第2のコイル補強材は、第1のコイル補強材の上に配置されるのがよい。第2のコイル補強材は、第1のコイル補強材が巻き付けられた方向とは逆の方向に巻き付けられるのがよい。
【0023】
諸実施形態では、補強材116は、第1のブレード補強材および第2のブレード補強材、例えば先に説明した編組デザインのうちの任意のものを含むことができる。第2のブレード補強材は、第1のブレード補強材の上に配置されるのがよい。第2のブレード補強材は、第1のブレード補強材とは異なる補強材料および/または補強幾何学的形状、および/または補強パターンを有することができる。
【0024】
諸実施形態では、カテーテル100は、放射線不透過性先端部を含むのがよいカテーテル遠位端部を有するのがよい。放射性不透過性先端部は、ポリマーを含むのがよく、このポリマーは、タングステン、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、またはオキシ塩化ビスマスのうちの1つ以上の添加剤を含むのがよい。放射線不透過性先端部は、スプリットマーカーバンドを有するのがよい。スプリットマーカーバンドにより、遠位端部は、カテーテル100が血栓除去/吸引カテーテルとして用いられる場合、円周方向に拡張することができる。
【0025】
図3は、カテーテル、例えばカテーテル100を製造するプロセス300を示している。プロセス300において、ステップ301では、内側ライナをマンドレルに被着させるのがよい。諸実施形態では、内側ライナは、内側層108および結合層110からなるのがよく、結合層110は、内側層108と同時押し出し成形されるのがよい。諸実施形態では、内側層108は、B層または上側層としての結合層110とAB層状化同時押し出し物として同時押し出し成形されるのがよい。諸実施形態では、内側層108と結合層110は、別々の層として手作業で組み立てられ、そして次の融合ステップで接合されるのがよい。このやり方により、カテーテルシャフトのスチフネスを特定のカテーテルユーザ要望と一致してその長さに沿って自由に設定することができる。
【0026】
プロセス300において、ステップ302では、補強材、例えば補強材116を内側層108の遠位端部から一定距離戻ったところで内側ライナ上に配置するのがよい。
【0027】
プロセス300において、ステップ303では、外側ジャケット(例えば、遠位外側層112)を遠位区分上に配置するのがよい。外側ジャケットは、遠位区分を被覆するのがよく、したがって、補強材がカテーテル100の遠位端部を貫通して突き出ることはない。諸実施形態では、カテーテル100は、補強要素に先立って異なるジュロメータを持つ材料への材料移行部を有するのがよい。
【0028】
プロセス300において、ステップ304では、第2の外側ジャケット(例えば、近位外側層114)をカテーテル100の近位区分104上に配置するのがよい。
【0029】
プロセス300において、ステップ305では、組立体を互いにボンディングするとともに/あるいは融合させるのがよい。融合ステップでは、組立体全体を熱収縮チューブ内に納めるのがよい。次に、熱収縮チューブを制御された速度で加熱チャンバに通すのがよい。このプロセスにより、諸コンポーネントは、これら層を互いに融合状態でボンディングして最終の複合カテーテル組立体を形成するのに十分な温度を達する(熱収縮により加えられる圧縮力により)ことができる。プロセス300では、最終的に、マンドレルおよび/または熱収縮物を最終のカテーテル組立体から取り外すのがよい。
【0030】
図4Aおよび図4Bは、内側層と支持要素組立体上に融合された多数の外側層区分を備えたカテーテル400を示している。カテーテル400は、カテーテル100を参照して上述した特徴の各々を有するのがよいが、外側層構成が改造されている。例えば、カテーテル400は、第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側層424、第4の外側層426、およびルアーハブ406を有するのがよい。第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側層424、および第4の外側層426のうちの1つ以上は、第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側層424、および第4の外側層426のうちの他のものの1つ以上を構成する材料のスチフネスとは異なるスチフネスを有する材料からなるのがよい。諸実施形態では、第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側424、および第4の外側層426を構成する材料のスチフネスは、遠位端部から近位端部まで増大するのがよく、その結果、最も外側端部は、最も可撓性の高い材料からなっている。第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側層424、および第4の外側層426のうちの1つ以上は、第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側層424、および第4の外側426のうちの他のものの1つ以上のトラッカビリティとは異なるトラッカビリティを有するのがよい。例えば、外側層は、第1の区分および第2の区分を有し、第1の区分のトラッカビリティは、第2の区分のトラッカビリティよりも良好であるのがよい。
【0031】
図5は、カテーテル、例えばカテーテル400を製造するプロセス500を示している。プロセス500では、ステップ501において、内側ライナをマンドレルに被着させるのがよい。諸実施形態では、内側ライナは、内側層108および結合層110からなるのがよく、結合層110は、内側層108と同時押し出し成形されるのがよい。諸実施形態では、内側層108は、B層または上側層としての結合層110とAB層状化同時押し出し物として同時押し出し成形されるのがよい。諸実施形態では、内側層108と結合層110は、別々の層として手作業で組み立てられ、そして次の融合ステップで接合されるのがよい。このやり方により、カテーテルシャフトのスチフネスを特定のカテーテルユーザ要望と一致してその長さに沿って自由に設定することができる。
【0032】
プロセス500において、ステップ502では、補強材、例えば補強材116を内側層108の遠位端部から一定距離戻ったところで内側ライナ上に配置するのがよい。
【0033】
プロセス500において、ステップ503では、外側ジャケットセグメント(例えば、第1の外側層420、第2の外側層422、第3の外側層424、第4の外側層426)を遠位区分から始めて組立体上に配置するのがよい。
【0034】
プロセス500において、ステップ504では、引き続き外側セグメントを組立体上に配置し、ついにはカテーテル設計要件と一致した区分の数とジュロメータが満たされるようにする。
【0035】
プロセス500において、ステップ505では、外側ジャケットを内側ライナにボンディングするとともに/あるいは融合させるのがよい。融合ステップでは、組立体全体を熱収縮チューブ内に納めるのがよい。次に、熱収縮チューブを制御された速度で加熱チャンバに通すのがよい。このプロセスにより、諸コンポーネントは、これら層を互いに融合状態でボンディングして最終の複合カテーテル組立体を形成するのに十分な温度を達する(熱収縮により加えられる圧縮力により)ことができる。プロセス500では、最終的に、マンドレルおよび/または熱収縮物を最終のカテーテル組立体から取り外すのがよい。
【0036】
図6A図6Cは、カテーテル600用のライナ構成例を示している。カテーテル600は、カテーテル100を参照して上述した特徴とほぼ同じ特徴を有するのがよい。例えば、カテーテル600は、第1の内側層608を有するのがよく、第1の内側層608は、カテーテルの長さとほぼ同じ長さであってもよくあるいはこれよりも短くてもよい。第1の内側層608は、例えば、低ジュロメータのポリオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはポリエチレン系熱可塑性エラストマーのような材料からなるのがよい。カテーテル600は、第2の内側層628を有するのがよい。第2の内側層628は、例えば、フルオロポリマーライナ、例えばPTFEであるのがよい。第2の内側層628は、エッチング済みPTFEライナであるのがよく、エッチング済みPTFEライナは、溶液塗布製造プロセスにより製造されるのがよい。諸実施形態では、第2の内側層628は、ラムまたはペースト押し出し成形エッチング済みPTFEライナであるのがよく、カテーテル600は、以下において説明するプロセス800に従って組み立てられるのがよい。このやり方により、カテーテルの内周部中へのフラッシュまたは血液漏れの発生を回避することができる。第2の内側層628は、カテーテルの長さよりも短いのがよい。第1の内側層608および第2の内側層628を有するカテーテル600では、カテーテル600の遠位端部は、近位端部の特性とは異なる特性を示すことができる。この結果、より可撓性でありまたは追跡可能な先端遠位区分を得ることができる一方で、カテーテル600の近位端部は、プッシャビリティが得られるよう最適化できる。第1の内側層608と第2の内側層628との間の移行は、障害がなくスムーズと言える。
【0037】
カテーテル600は、第3の内側層630を有するのがよい。カテーテル600は、遠位外側層612を有するのがよい。遠位外側層612は、単一の層であってもよく、あるいは多数の層であってもよい。第3の内側層630と遠位外側層612は、同種の材料からなるのがよい。カテーテル600は、近位外側層614を有するのがよい。近位外側層614は、単一の層であってもよく、あるいは多数の層であってもよい。カテーテル600は、上述したように補強材層616を有するのがよい。カテーテル600は、第1の内側層608のための第1の結合層610を有するのがよい。カテーテル600は、第2の外側層612のための第2の結合層またはエッチング部632を有するのがよい。第1および第2の結合層610,32は、上述したように低ジュロメータポリマーからなるのがよい。
【0038】
図7は、カテーテル、例えばカテーテル600を製造するプロセス700を示している。プロセス700では、ステップ701において、近位ライナ(例えば、第2の内側層628)および遠位ライナ(例えば、第1の内側層608)をマンドレルに被着させるのがよい。諸実施形態では、内側ライナは、内側層108および結合層110からなるのがよく、結合層110は、内側層108と同時押し出し成形されるのがよい。諸実施形態では、内側層は、結合層(第1の結合層610および第2の結合層632)と同時押し出し成形されるのがよい。遠位ライナは、正方形に切断されて近位ライナの端に突き合わされるのがよい。
【0039】
プロセス700では、ステップ702において、支持要素(例えば、補強材616)を遠位ライナ端部から一定の距離戻ったところで近位ライナおよび遠位ライナに被着させるのがよい。諸実施形態では、プロセス700では、カテーテルが無外傷性であるようにするためにまさに遠位側に位置するカテーテル先端部から戻ったところで支持要素の端部を終端させてこれら端部をカテーテル内に納めるのがよい。
【0040】
プロセス700では、ステップ703において、外側ジャケットセグメント(例えば、遠位外側層612および/または近位外側層614)を遠位区分で始まる近位ライナ・遠位ライナ・支持要素組立体上に配置するのがよい。
【0041】
プロセス700では、ステップ704において、引き続き外側ジャケットセグメントを近位ライナ・遠位ライナ・支持要素組立体上に配置し、ついには、十分な数の区分およびジュロメータが形成されるようにするのがよい。
【0042】
プロセス700では、ステップ705において、外側ジャケットを近位および遠位内側ライナにボンディングするとともに/あるいは融合させるのがよい。融合プロセスでは、融合ステップでは、組立体全体を熱収縮チューブ内に納めるのがよい。次に、熱収縮チューブを制御された速度で加熱チャンバに通すのがよい。このプロセスにより、諸コンポーネントは、これら層を互いに融合状態でボンディングして最終の複合カテーテル組立体を形成するのに十分な温度を達する(熱収縮により加えられる圧縮力により)ことができる。プロセス700では、最終的に、マンドレルおよび/または熱収縮物を最終のカテーテル組立体から取り外すのがよい。
【0043】
図8は、カテーテルを製造するプロセス800を示している。プロセス800において、ステップ801では、マンドレルをペーストまたはラム押し出し成形PTFEエッチング済み内側ライナ中に挿入するのがよい。諸実施形態では、PTFEエッチング済み内側ライナは、マンドレルの外径よりも小さい内径を有するのがよい。例えば、PTFEエッチング済み内側ライナは、マンドレルの外径よりも2~8%小さい内径を有するのがよい。諸実施形態では、マンドレルは、10~20mmであるのがよく、しかもPTFEエッチング済み内側ライナ中へのマンドレルの挿入を助けることができる円錐形端部を有するのがよい。
【0044】
プロセス800において、ステップ802では、PTFEエッチング済み内側ライナをマンドレルに垂直に切断するのがよい。PTFEエッチング済み内側ライナは、特定の長さに合わせて切断されるのがよい。諸実施形態では、PTFEエッチング済み内側ライナは、マンドレルの外径よりも小さい内径を有するのがよいので、PTFEエッチング済み内側ライナは、切断されながらマンドレル上にぴったりと当たったままであるのがよく、それにより、ライナは、従来のライナ装填プロセスで起こっていた切断後のスプリングバックを生じることがなくなる。
【0045】
プロセス800において、ステップ803では、ポリオレフィン系エラストマーを結合層とともにマンドレルに嵌着させるのがよい。ポリオレフィン系エラストマーは、結合層とともに、嵌着されるのがよく、この場合、PTFEエッチング済み内側ライナは、ステップ802において除去してある。ポリオレフィン系エラストマーは、結合層とともに、マンドレル上の残りのPTFEエッチング済み内側ライナに衝合するのがよく、それにより、2種類の材料相互間の結合を最適化することができる。
【0046】
プロセス800において、ステップ804では、ポリオレフィン系エラストマーを結合層と積層するのがよい。ポリオレフィン系エラストマーを結合層と積層することにより、マンドレルおよび/またはPTFEエッチング済み内側ライナの終縁への緊密な嵌まり合いを達成することができ、それにより、完成状態のカテーテルの内周部中への他の物質の侵入を制限するとともに/あるいは阻止することができる内部シールを作ることができる。
【0047】
プロセス800において、ステップ805では、任意の支持要素をハイブリッドライナ組立体上に配置するのがよい。諸実施形態では、ステップ805は、上述のステップ802の諸観点のうちの任意のものを含むことができる。
【0048】
プロセス800において、ステップ806では、外側層セグメントをハイブリッドライナ組立体上に配置するのがよい。諸実施形態では、ステップ806は、上述のステップ703および/またはステップ704の諸観点のうちの任意のものを含むことができる。
【0049】
プロセス800において、ステップ807では、外側ジャケットをハイブリッドライナ組立体にボンディングするとともに/あるいは融合させるのがよい。諸実施形態では、ステップ807は、上述のステップ705の諸観点のうちの任意のものを含むことができる。
【0050】
上述の説明は、開示した装置の諸実施例を提供していることが理解される。しかしながら、本発明の他の具体化例が上述の実施例とは細部において異なってもよいことが想定される。本発明または本発明の諸実施例に対するあらゆる参照は、この時点において説明されている特定の実施例を参照するようになっており、本発明の範囲全体に関する何らかの限定を示唆するようにはなっていない。ある幾つかの特徴に関する区別および軽視についての全ての用語は、かかる特徴についての好みがないということを指示するようになっているが、別段の指定がなければ、かかる特徴を本発明の範囲から完全に排除するようにはなっていない。本明細書において説明した全ての方法は、別段の明示の指定がなければ、あるいは文脈上に明らかな矛盾がない限り、任意適当な順序で実施できる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【国際調査報告】