(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】内燃エンジンのための燃料噴射を伴うエンジンブレーキ
(51)【国際特許分類】
F02D 13/04 20060101AFI20241031BHJP
F02D 41/12 20060101ALI20241031BHJP
F02D 41/30 20060101ALI20241031BHJP
F02D 23/02 20060101ALI20241031BHJP
F02D 13/06 20060101ALI20241031BHJP
F02D 17/02 20060101ALI20241031BHJP
F02D 23/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F02D13/04 A
F02D41/12
F02D41/30
F02D23/02 H
F02D13/06
F02D17/02 M
F02D23/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533058
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022080487
(87)【国際公開番号】W WO2023102346
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522175783
【氏名又は名称】カミンズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CUMMINS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドッズ、ジェイムズ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベネット、アラン ロナルド
【テーマコード(参考)】
3G092
3G301
【Fターム(参考)】
3G092AA11
3G092AA17
3G092AA18
3G092BB06
3G092CA03
3G092CB02
3G092DA01
3G092DA02
3G092DA11
3G092DB03
3G092DC08
3G092EA03
3G092FA34
3G092GB08
3G301HA11
3G301HA13
3G301KA16
3G301MA18
3G301NE11
(57)【要約】
内燃エンジンシステムは、複数の気筒を有するエンジンと、複数の気筒に燃料を提供する燃料供給システムと、複数の吸気バルブのうちのそれぞれ1つを通して複数の気筒に空気を提供する吸気システムと、複数の排気バルブのうちのそれぞれ1つを通して複数の気筒から排気ガスを解放する排気システムと、を含む。エンジンブレーキ中、ある量の燃料が、エンジンブレーキに関与する1つ以上の気筒内に、それらの圧縮行程中に噴射されて、エンジンブレーキ性能を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数の気筒を有する内燃エンジンを含む内燃エンジンシステムを動作させることであって、前記複数の気筒が、前記複数の気筒に提供される燃料の燃焼のための給気流を受容し、前記複数の気筒の少なくとも一部分が、気筒休止条件に応答して休止されるように動作可能である、動作させることと、
ブレーキ条件に応答して前記内燃エンジンにブレーキをかけることであって、前記内燃エンジンにブレーキをかけることが、前記ブレーキ条件に応答して、休止させることができるように構成された前記複数の気筒の前記一部分のうちの1つ以上の排気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整して、前記気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上内に、それらの圧縮行程中に燃料を噴射した後に圧縮解放ブレーキを提供することを含む、ブレーキをかけることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記内燃エンジンにブレーキをかけることが、前記複数の気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上の各々の前記排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングの両方を調整して、圧縮解放ブレーキを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内燃エンジンにブレーキをかけることが、前記圧縮解放ブレーキ中に、前記複数の気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上の各サイクルについて、
それらの第1の吸気バルブ及び第1の排気バルブを休止させることと、
前記圧縮行程中及び燃焼行程中に、それらの第2の吸気バルブを開放することと、
前記圧縮行程の上死点の前、及び排気行程の上死点の前に、それらの第2の排気バルブを開放することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記内燃エンジンが、排気ガス再循環(exhaust gas recirculation、EGR)システムに接続された吸気システムから前記給気流を受容する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記内燃エンジンの圧縮解放ブレーキ中に、前記EGRシステムから前記複数の気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上にEGR流を提供することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
圧縮解放ブレーキ中に、前記燃料が、前記気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上の前記圧縮行程の上死点の約35度前に噴射される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
圧縮解放ブレーキ中に、前記燃料が、前記気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上の前記圧縮行程の上死点の20~50度前に噴射される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
圧縮解放ブレーキ中に、前記燃料が、前記気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上の前記圧縮行程の上死点の25~45度前に噴射される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記圧縮行程中に噴射された前記燃料が、燃焼して、圧縮解放ブレーキ中に前記気筒の前記一部分のうちの前記1つ以上の気筒内圧力を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
システムであって、
吸気システムから給気流を受容する複数の気筒と、前記複数の気筒内の燃料の燃焼によって生成された排気ガスを受容するための排気システムと、を含む内燃エンジンと、
前記複数の気筒に関連付けられた排気バルブ及び吸気バルブの開放及び閉鎖タイミングを制御するように構成されたバルブ作動機構と、
ブレーキ条件を判定するように動作可能なコントローラであって、前記ブレーキ条件状態に応答して、
前記バルブ作動機構を介して、前記複数の気筒のうちの1つ以上の排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整して、2行程圧縮解放ブレーキを生成することと、
前記内燃エンジンの複数の気筒のうちの前記1つ以上内に燃料を噴射して、それらの圧縮行程中に圧縮解放ブレーキを提供することと、を行うように構成されている、コントローラと、を備える、システム。
【請求項11】
前記コントローラが、前記ブレーキ条件に応答して、前記複数の気筒のうちの複数の気筒の前記排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び前記吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整して、圧縮解放ブレーキを提供するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記排気システムと前記吸気システムとを接続する排気ガス再循環(EGR)システムを更に備え、コントローラが、前記2行程圧縮解放ブレーキ中に、前記複数の気筒のうちの前記1つ以上にEGR流を提供するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記圧縮解放ブレーキ中のターボチャージャ入口における圧力状態に応答して、前記EGR流を提供するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記バルブ作動機構が、気筒休止条件に応答して、前記複数の気筒のうちの前記1つ以上を休止させるように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の気筒のうちの前記1つ以上の各々の前記2行程圧縮解放ブレーキの各サイクル中に、前記バルブ作動機構が、
それらの第1の吸気バルブ及び第1の排気バルブを休止させ、
前記圧縮行程中及び前記燃焼行程中に、それらの第2の吸気バルブを開放し、
前記圧縮行程の上死点の前及び前記排気行程の上死点の前に、それらの第2の排気バルブを開放する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
装置であって、
内燃エンジンの動作に関連付けられている複数のセンサから信号を受信するように構成されたコントローラであって、ブレーキ条件を判定し、前記ブレーキ条件に応答して、
前記複数の気筒のうちの1つ以上の排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整して、2行程圧縮解放ブレーキを提供し、
前記内燃エンジンの複数の気筒のうちの前記1つ以上内に燃料を噴射して、それらの圧縮行程中に圧縮解放ブレーキを提供するエンジンブレーキコマンドを提供するように構成されている、コントローラと、を備える、装置。
【請求項17】
前記コントローラが、気筒休止条件に応答して、前記複数の気筒のうちの前記1つ以上を休止させるように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の気筒のうちの前記1つ以上の各々の前記2行程圧縮解放ブレーキの各サイクル中に、前記エンジンブレーキコマンドが、
それらの第1の吸気バルブ及び第1の排気バルブを休止させ、
前記圧縮行程中及び前記燃焼行程中に、それらの第2の吸気バルブを開放し、
前記圧縮行程の上死点の前及び前記排気行程の上死点の前に、それらの第2の排気バルブを開放する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記エンジンブレーキコマンドが、前記2行程圧縮解放ブレーキ中に、前記圧縮行程の上死点の約35度前に前記燃料を噴射する、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記エンジンブレーキコマンドが、前記2行程圧縮解放ブレーキ中に、前記圧縮行程の上死点の20~50度前に燃料を噴射する、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年12月2日に出願された英国特許出願第2117400.8号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、内燃エンジンシステムの動作に関し、より具体的には、排他的ではないが、内燃エンジンのエンジンブレーキに関する。
【0003】
エンジンブレーキは、可変ジオメトリ(variable geometry、VG)タービン入口を用いて、及び/又は燃焼行程中の排気バルブ開放タイミングを制御することによって達成することができる。エンジンの気筒のうちの1つ以上を利用する圧縮解放ブレーキも使用することができ、それにより、エンジンは、1つ以上の気筒のピストンの燃焼行程中に排気バルブを開放することを介して、減速される。しかしながら、現在の圧縮解放ブレーキ戦略は、所望の量のブレーキエネルギーを提供しない場合がある。したがって、この技術分野に更に貢献するための継続的な要求が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本出願の特定の実施形態は、エンジンブレーキ条件に応答して、1つ以上の気筒の圧縮解放ブレーキ中に燃料噴射を使用して内燃エンジンの動作を調節するための独自のシステム、方法、及び装置を含む。他の実施形態は、1つ以上の気筒を使用して、4行程及び/又は2行程圧縮解放ブレーキのためにバルブトレインを制御しながら、1つ以上の気筒の圧縮行程中に燃料噴射を使用する内燃エンジンシステムのエンジンブレーキ制御を伴う、独自の装置、デバイス、システム、及び方法を含む。内燃エンジンはまた、圧縮解放ブレーキ中に排気ガス再循環を提供して、エンジンブレーキ出力を更に増強するように構成することができる。
【0005】
本概要は、例解的な実施形態において下で更に説明される一連の概念を導入するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要な又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。更なる実施形態、形態、目的、特徴、利点、態様、及び利益は、以下の説明及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】圧縮解放ブレーキ中に燃料噴射を提供するように動作可能な内燃エンジンシステムの一実施形態の概略図である。
【
図2】
図1の内燃エンジンシステムの気筒、並びに圧縮解放ブレーキ及び気筒休止のためのバルブ作動機構の概略の一実施形態の線図及び概略図である。
【
図3】燃料噴射を伴う圧縮解放ブレーキを提供するための、
図1の内燃エンジンシステムの動作の手順の一実施形態の流れ図である。
【
図4】
図1の内燃エンジンシステムの気筒のうちの1つ以上の吸気バルブ及び排気バルブを動作させるための例示的な公称カムローブプロファイルのグラフィック表示である。
【
図5】
図1の内燃エンジンシステムの気筒のうちの1つ以上の吸気バルブ及び排気バルブを動作させるための例示的な4行程圧縮解放カムローブプロファイルのグラフィック表示である。
【
図6】
図1の内燃エンジンシステムの気筒のうちの1つ以上の吸気バルブのうちの一方及び排気バルブのうちの一方を動作させながら、吸気バルブのうちの他方及び排気バルブのうちの他方を休止させるための例示的な2行程圧縮解放カムローブプロファイルのグラフィック表示である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、本発明の原理に関する理解を促進するために多くの異なる形態をとり得るが、以下、図面に例解される実施形態を参照し、実施形態を説明するために特定の文言が使用される。それでもなお、それによって本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されるであろう。説明される実施形態のいかなる変更及び更なる修正、並びに本明細書に説明される本発明の原理のいかなる更なる応用も、本発明が関連する当業者に通常着想されることが企図される。
【0008】
図1を参照すると、内燃エンジンシステム10は、ピストンを収容する燃焼チャンバを形成する複数の気筒14を有する4行程内燃エンジン12を含む。特定のブレーキ条件に応答して圧縮解放ブレーキが使用される限り、圧縮点火、火花点火、及びそれらの組み合わせを含む任意のエンジンタイプが企図される。システム10は、圧縮解放ブレーキに関与する1つ以上の気筒14の圧縮行程中の燃料の噴射を使用しながら、気筒14のうちの1つ以上を介して圧縮解放ブレーキを提供するように構成され、動作可能である。噴射された燃料は、圧縮行程中に燃焼されて、負のトルクの増加を生じさせる一方、ピストンの上死点の直後に排気バルブが開放されて、膨張行程中に正のトルクが生じることを回避する。
【0009】
図1は、例解のみを目的として、直列配置の6つの気筒14を含む構成の複数の気筒14を例解する。内燃エンジンでの使用に好適な、単一の気筒バンク又は複数の気筒バンク内で任意の数の気筒及び任意の配置の気筒を利用することができる。エンジン12に含むことができる気筒14の数は、例えば、2気筒~18気筒以上の範囲であり得る。更に、以下の説明は、気筒14のうちの1つを参照することがある。
図2及び本明細書の他の場所における気筒14に関する対応する特徴は、別途明記しない限り、エンジン12の他の気筒14の全て又はサブセットに存在し得ることを認識されたい。
【0010】
図2に示されるように、気筒14は、気筒14の燃焼チャンバ28内でのピストン16の往復運動によって回転されるクランクシャフト18に動作可能に取り付けられたピストン16を収容する。気筒14の気筒頭部20内には、少なくとも1つの吸気バルブ22と、少なくとも1つの排気バルブ24と、気筒14によってピストン16と気筒頭部20との間に形成された燃焼チャンバ28に燃料を提供する燃料噴射器26と、が存在する。更に、以下の考察では、各気筒14はまた、2つの吸気バルブ22及び2つの排気バルブ24を含むことができる。
【0011】
本明細書における「4行程」という用語は、ピストン16がエンジンのクランクシャフト18の2つの別個の回転中に完了する、燃焼サイクルである、以下の4つの行程-吸気、圧縮、燃焼、及び排気-を意味する。行程は、ピストン16が気筒14の気筒頭部20の頂部にあるときの上死点(top dead center、TDC)、又はピストン16が気筒14のその最下点に到達したときの下死点(bottom dead center、BDC)から始まる。
【0012】
更に
図4を参照すると、2つ吸気バルブ(intake valve、IV1並びにIV2)及び2つの排気バルブ(exhaust valve、EV1並びにEV2)の燃焼サイクル中の公称吸気バルブ及び排気バルブ開放及び閉鎖プロファイルの例が、示されている。IV1及びIV2の吸気行程中に、ピストン16は、気筒14の気筒頭部20から離れて気筒14の底部(図示せず)まで下降し、それにより、気筒14の燃焼チャンバ28内の圧力を低減させる。吸気バルブ22が開放されるときに、吸気バルブ22を通して空気を吸気することによって、燃焼チャージが燃焼チャンバ28内で生じる。
【0013】
燃料噴射器26からの燃料は、例えば、燃料タンク32に接続された高圧コモンレールシステム30(
図1)によって供給される。燃料タンク32からの燃料は、燃料ポンプ(図示せず)によって吸引されて、コモンレール燃料システム30に送給される。燃料ポンプから送給された燃料は、コモンレール燃料システム30内に蓄積され、蓄積された燃料は、燃料ライン34を通して各気筒14の燃料噴射器26に供給される。コモンレールシステム内に蓄積された燃料は、各気筒14の燃焼チャンバ28に送達される燃料の燃料圧力を上昇させて制御するように加圧することができる。しかしながら、圧縮解放ブレーキ中に1つ以上の気筒14内に燃料を噴射することができる限り、任意のタイプの燃料送達システムが企図される。
【0014】
図4のIV1、IV2、及びEV1、EV2によって示されるように、非エンジンブレーキモードの動作における圧縮行程中、吸気バルブ22及び排気バルブ24は、一般的に閉鎖される。ピストン16がTDCに向かって戻り、TDC付近での主噴射事象において燃料が圧縮空気中に噴射され、短い遅延の後に、圧縮された燃料空気混合物が燃焼チャンバ28内で点火する。エンジン12がディーゼルエンジンである場合、これは、燃焼チャージの点火をもたらす。空気及び燃料の点火は、燃焼チャンバ28内の圧力の急激な増加を引き起こし、この圧力が、BDCに向かう燃焼行程中にピストン16に印加される。燃焼チャンバ28内の燃焼位相は、燃焼チャンバ28内の圧力の上昇がピストン16を押して、ピストン16が正味の正の力/作業/動力を提供するように較正される。
【0015】
図4のEV1及びEV2によって示されるように、排気行程中、ピストン16は、TDCに向かって戻される一方、排気バルブ24は、開放する。この動作により、燃焼チャンバ28内での燃料の燃焼による燃焼生成物を排出して、使用済みの燃料空気混合物(排気ガス)を、排気バルブ24を通して外へ吐出する。次の燃焼サイクルは、以下で更に考察されるように、エンジンブレーキ条件が判定されない限り、これらの同じ吸気バルブ及び排気バルブ開放閉鎖プロファイルを使用して行われる。
【0016】
図1を再度参照すると、吸気は、吸気通路36及び吸気マニホールド38を通って流れた後に、吸気バルブ22に到達する。吸気通路36は、ターボチャージャ40の圧縮機40a及び吸気スロットル42に接続され得る。吸気は、エアクリーナ(図示せず)によって浄化し、圧縮機40aによって圧縮し、次いで、吸気スロットル42を通して燃焼チャンバ28内へ吸引することができる。吸気スロットル42は、気筒内への空気流に影響を与えるように、及び以下で更に考察されるように、圧縮解放ブレーキ動作中に提供されるエンジンブレーキを変化させるように制御することができる。
【0017】
吸気通路36には、例えば、圧縮機40aの下流に位置する、クーラ44を提供することができる。一例では、クーラ44は、チャージエアクーラ(charge air cooler、CAC)とすることができる。この例では、圧縮機40aは、吸気の温度及び圧力を上昇させることができる一方、クーラ44は、給気密度を増加させて、より多くの空気を気筒に提供する。別の例では、クーラ44は、低温アフタークーラ(low temperature aftercooler、LTA)とすることができる。CACとして構成されたクーラ44は、冷却媒体として空気を使用することができる一方、LTAとして構成されたクーラ44は、冷却媒体として冷却剤を使用することができる。
【0018】
排気ガスは、燃焼チャンバ28から、気筒14を排気通路46に接続する排気マニホールド48からの排気通路46内へ流出する。排気通路46は、ターボチャージャ40のタービン40bに、次いで、後処理システム52に接続される。燃焼チャンバ28から排出された排気ガスは、タービン40bを駆動して回転させる。タービン40bは、内部を通る排気流を制御するために、可変ジオメトリの又は他のサイズ調整可能な入口を含むことができる。一実施形態では、排気ガスの一部が、通路54を通ってタービン40bをバイパスすることを可能にするデバイスであるウェイストゲート50を提供することができる。ウェイストゲート50は、開放/閉鎖(二位置)型バルブ、又はバイパス流量の制御を可能にするフルオーソリティバルブ、又はそれらの間の任意のものであり得る制御バルブ56を含むことができる。排気通路46は、更に又は代替的に、排気通路46を通る排気ガスの流量を調節するための排気スロットル58を含むことができる。次いで、排気ガスは、後処理システム52に入る。
【0019】
任意選択的に、排気ガスの一部は、EGR通路62を含むEGRシステム60を介して、吸気システム内へ再循環され得る。EGR通路62は、タービン40bの上流の排気通路46を、吸気スロットル42の下流の吸気通路36に接続されることができる。代替的又は追加的に、低圧EGRシステム(図示せず)を、タービン40bの下流に及び圧縮機40aの上流に提供することができる。EGRバルブ64は、EGR通路62を通るEGR流を調節するために提供され得る。EGR通路62には、EGRクーラ及びEGRクーラの周りのバイパス(図示せず)を更に提供することができる。
【0020】
後処理システム52は、排気ガス中の一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、炭化水素、及び/又は煤煙を含む有害成分であり得る、排気ガスからの材料を取り扱う及び/又は除去するのに有用な1つ以上のデバイスを含み得る。いくつかの例では、後処理システム52は、触媒デバイス及び粒子状物質フィルタのうちの少なくとも1つを含むことができる。触媒デバイスは、ディーゼル用酸化触媒(diesel oxidation catalyst、DOC)デバイス、アンモニア酸化(ammonia oxidation、AMOX)触媒デバイス、選択触媒還元(selective catalytic reduction、SCR)デバイス、三元触媒(three-way catalyst、TWC)、リーンNOXトラップ(lean NOX trap、LNT)などとすることができる。還元触媒としては、任意の好適な還元触媒、例えば、尿素選択還元触媒を挙げることができる。粒子状物質フィルタは、ディーゼル微粒子フィルタ(diesel particulate filter、DPF)、部分流粒子フィルタ(partial flow particulate filter、PFF)などとすることができる。PFFは、流れの一部分中の粒子状物質を捕捉するように機能し、対照的に、排気ガスの全量は、粒子フィルタを通過する。
【0021】
コントローラ80は、各種センサから入力としてデータを受信し、各種アクチュエータへ出力としてコマンド信号を送信するために提供される。採用され得る様々なセンサ及びアクチュエータのいくつかを、以下で詳細に説明する。コントローラ80は、例えば、プロセッサ、メモリ、クロック、及び入力/出力(input/output、I/O)インターフェースを含むことができる。
【0022】
システム10は、吸気マニホールド圧力/温度センサ70、排気マニホールド圧力/温度センサ72、1つ以上の後処理センサ74(差圧センサ、温度センサ、圧力センサ、成分センサなど)、エンジンセンサ76(燃焼チャンバに供給される空気/燃料混合物の空気/燃料比、クランク角、クランクシャフトの回転速度などを検出することができる)、並びに燃料、コモンレール38、及び/又は燃料噴射器26の燃料圧力及び/又は他の特性を検出するための燃料センサ78などの様々なセンサを含む。エンジンシステム用の当技術分野で既知の任意の他のセンサも、企図される。
【0023】
システム10はまた、吸気バルブ22を開放及び閉鎖するための、排気バルブ24を開放及び閉鎖するための、燃料噴射器26からの燃料を噴射するための、タービン40bへの入口又はウェイストゲートバルブ56を開放及び閉鎖するための、吸気スロットル42のための、EGRバルブ64、及び/又は排気スロットル58のための様々なアクチュエータを含むことができる。
図1にはアクチュエータが例解されていないが、当業者は、構成要素の各々が意図した機能を実行するために必要な機構をどのように実装するのかを知っているであろう。更に、一実施形態では、吸気バルブ22及び排気バルブ24を開放及び閉鎖するためのアクチュエータは、
図2に概略的に示されるようなバルブ作動(valve actuation、VA)システム90である。
【0024】
VAシステム90は、気筒休止条件に応答して、及びエンジンブレーキ条件に応答して、気筒14のうちの1つ以上の気筒休止を提供するように構成された、及び/若しくは動作可能な任意のシステム又は構成要素を含むことができる。同じアーキテクチャを気筒休止及びエンジンブレーキのために使用することができるが、別個のアーキテクチャを排除するものではない。例えば、VAシステム90は、気筒14の全て又はサブセットについて、吸気バルブ及び排気バルブに関連付けられたカムローブ又は他のバルブリフト構造と係合して、
図4に示されるような公称リフトプロファイルを生成するように構成することができ、1つ以上の圧縮解放ブレーキプロファイルを生成するように切り替える、若しくは構成することができる。例えば、カムローブ及びバルブリフト構造は、
図5に示されるような4行程圧縮解放ブレーキプロファイルを生成することができる。別の例では、カムローブ及びバルブリフト構造は、気筒休止(cylinder deactivation、CDA)ハードウェアを利用して、2行程圧縮解放ブレーキのために、
図6に示されるように、吸気バルブ及び排気バルブ24のうちの一方に対してゼロリフトプロファイルを生成し、吸気バルブ及び排気バルブのうちの他方に対して交番リフトプロファイル(alternate lift profile)を生成することができる。
【0025】
4行程圧縮解放ブレーキ下では、IV1、IV2、及びEV1は、それらの公称開放及び閉鎖プロファイルに従って動作し続けることができる。しかしながら、
図5に示されるように、EV2は、
図4に、及び
図5の破線によって示されるような、排気行程中のその公称リフトプロファイルと比較して、より小さいリフト及びより短い持続時間で、圧縮行程の終了時及び燃焼行程中に開放される。
【0026】
2行程圧縮解放ブレーキ下では、IV1及びEV1は、圧縮解放ブレーキを提供する気筒の各サイクル中にゼロリフトが生成されるように、休止される。
図6に示されるように、IV2及びEV2の開放及び閉鎖プロファイルは、圧縮解放ブレーキを生成するように修正される。IV2は、吸気行程中に開放し、燃焼行程中にも開放する。開放時間は、吸気行程の間、及び圧縮行程の開始まで、すなわち吸気行程の下死点後まで、IV2が開放されたままであるようにすることができる。第2の開放事象に関して、IV2はまた、燃焼行程の間、及び排気行程の開始まで、すなわち、燃焼行程の下死点後まで、開放されたままであることができる。EV2は、圧縮行程中に開放し、次いで、排気行程中にも開放する。開放時間は、EV2が、圧縮行程の上死点付近、及び圧縮解放燃料噴射事象の前に開放し、圧縮行程の残りの間及び圧縮行程の開始の間、すなわち圧縮行程の上死点後に開放されたままであるようにすることができる。排気行程中のEV2の第2の開放事象に関して、EV2は、吸気行程の開始まで、すなわち、排気行程の上死点後まで開放されたままである。気筒14のうちの1つ以上に対して2行程圧縮ブレーキを提供することによって、同じ数の気筒14に対する4行程圧縮ブレーキによって生成されるブレーキ力の約2倍のブレーキ量を提供することができる。
【0027】
図3を参照すると、圧縮解放エンジンブレーキの手順200の一実施形態の流れ図が示されている。手順200は、吸気通路36から給気流を受容する複数の気筒14を有する内燃エンジン12などの内燃エンジンシステム10を動作させるための動作202を含む。更に、複数の気筒14のうちの少なくとも一部分は、車両又はエンジン速度要求に応答して、燃料システム30から燃料を受容する。
【0028】
手順200は、動作204に続き、内燃エンジンの動作条件を決定する。動作条件は、エンジンブレーキ条件を示す任意の1つ以上のパラメータを含むことができる。手順200は、条件文206に続き、エンジンブレーキ条件又は要求が不存在であるか、又は存在するかを判定する。エンジンブレーキ要求が存在するとの判定は、例えば、ブレーキペダル位置、アクセルペダル位置、又はエンジンブレーキ要求入力スイッチなどの車両運転者からの入力から生じることができる。条件文206が否定である場合、手順200は、動作208に続き、
図4に示されるように、吸気バルブ22及び排気バルブ24について、それらの公称開放及び閉鎖プロファイル、又は他の選択可能な開放及び閉鎖プロファイルを使用することなどによって、気筒214を動作させる。手順200は、動作208から再開することができ、及び/又はエンジンブレーキ条件を示す動作条件を監視し続けることができる。
【0029】
条件文206が肯定である場合、手順200は、動作210に続き、吸気及び/又は排気バルブタイミングを調整して、気筒14のうちの1つ以上で圧縮解放(compression release、CR)ブレーキを提供する。圧縮解放ブレーキは、
図5に示されるように、排気バルブ24での4行程圧縮解放ブレーキを使用して、又は
図6に示されるように、吸気バルブ22及び排気バルブ24での2行程圧縮解放ブレーキを使用して、1つ以上の気筒14に適用することができる。2行程圧縮ブレーキの場合、ブレーキに関与する気筒14は、気筒の各サイクル中に吸気バルブIV1のうちの一方及び排気バルブEV1のうちの一方を休止させて、圧縮解放ブレーキを提供することができる。他方の吸気バルブIV2は、燃焼行程中及び吸気行程中に開放され、他方の排気バルブEV2は、圧縮行程の上死点の前に開放され、燃焼行程の一部分の間、開放されたままである。排気バルブEV2はまた、上死点排気行程の前に開放、吸気行程の一部分の間、開放したままにすることもできる。休止された吸気バルブIV1及び排気バルブEV1のゼロリフトは、例えば、ゼロリフトプロファイルを提供する気筒休止ハードウェアによって提供され得る。圧縮解放ブレーキに関与しない残りの気筒14は、もしあれば、それらの公称開放及び閉鎖プロファイルに従って動作することができる。
【0030】
手順200は、条件文212に続き、EGR条件が存在するか否かを判定する。例えば、EGR条件は、圧縮解放ブレーキのために吸気圧力をブーストする特定の動作条件に応答して、EGR流が望ましいことを示すことができる。一実施形態では、EGR条件は、ターボチャージャ40aの入口における圧力状態に応答して、判定される。タービン入口圧力状態が圧力限界に近づいているか、又は圧力限界を超えている場合、動作214においてEGRバルブ64を開放して、EGR流を提供し、吸気マニホールド圧力をブーストしながらタービン入口における圧力を低減させることができる。別のEGR条件は、排気マニホールド圧力、エンジン速度、又はより多くの吸気流を生成し、気筒圧力を増加させるために、エンジンブレーキ中にEGR流が望ましい他の状態に応答して、決定することができる。条件文212においてEGR条件が満たされる場合、手順200は、動作214に続き、エンジンブレーキ中にEGR流を提供する。圧縮解放ブレーキ中にEGR流が提供されない、及び/又はEGR条件が判定されない、本開示の実施形態も企図される。
【0031】
動作214から、又は否定の場合には条件文212から、手順200は、動作216に続く。動作216は、圧縮解放ブレーキを生成することに関与する気筒のうちの1つ以上に燃料を噴射することを含む。燃料は、圧縮解放ブレーキに使用される気筒14のピストンの圧縮行程中に噴射される。燃料は、ピストンが、気筒14の圧縮行程の下死点と上死点との間に位置するときはいつでも、噴射することができる。一実施形態では、燃料は、圧縮行程の上死点の20~50度前に噴射される。別の実施形態では、燃料は、圧縮行程の上死点の25~45度前に噴射される。一実施形態では、燃料は、圧縮行程の上死点の35度又は約35度前に噴射される。噴射される燃料量は、例えば、5mg~60mgの燃料の範囲の任意の好適な燃料量とすることができる。
【0032】
手順200は、条件文218に続き、ブレーキ条件が完了したか、又は満足されたかを決定する。条件文218が否定である場合、手順200は、動作210に戻り、エンジンブレーキ動作を継続することができる。条件文218が肯定である場合、手順200は、動作208に続くことができる。
【0033】
内燃エンジンシステム10の動作中に、コントローラ80は、I/Oインターフェースを通して、上で列記した様々なセンサから情報を受信し、受信した情報をコントローラ80のメモリに記憶されたアルゴリズムに基づいてプロセッサを使用して処理し、次いで、I/Oインターフェースを通して様々なアクチュエータにコマンド信号を送信することができる。例えば、コントローラ80は、エンジンブレーキ要求、車両若しくはエンジン速度要求、及び/又はエンジン負荷状態に関する情報を受信することができる。コントローラ80は、要求及び/又は入力を処理し、次いで、上で考察される手順200などの制御戦略に基づいて、1つ以上のコマンド信号を1つ以上のアクチュエータに送信して、圧縮解放ブレーキを提供するように構成される。コントローラ80はまた、上で考察されるように、圧縮解放ブレーキをブーストするために、燃料噴射タイミング及び量を制御する。コントローラ80はまた、特定の動作条件に応答して、圧縮解放ブレーキ中に気筒内圧力を増加させるようにEGR流を制御することができる。
【0034】
コントローラ80は、VAシステム90、燃料供給システム30、及びEGRシステム60を使用して、開示された圧縮解放ブレーキ戦略を実施するように構成することができる。一実施形態では、開示される方法及び/又はコントローラ構成は、内燃エンジンシステム10の上で説明される複数のセンサのうちの1つ又は2つ以上からの1つ又は2つ以上の信号に基づくエンジンブレーキ要求に応答して、エンジンブレーキコマンド及び燃料噴射コマンドを提供するコントローラ80を含む。エンジンブレーキコマンドは、VA機構90を制御して、所望の吸気バルブ及び排気バルブの閉鎖又は開放及び閉鎖タイミングを提供し、燃料供給コマンドは、圧縮解放ブレーキに関与する気筒内に、その圧縮行程中に噴射器26を介して噴射される燃料量を提供する。
【0035】
コントローラ80によって実施される制御手順は、コントローラ80のプロセッサがコントローラ80のメモリに記憶されたプログラム命令(アルゴリズム)を実行することによって実行することができる。本明細書の説明は、内燃エンジンシステム10によって実施することができる。特定の実施形態では、内燃エンジンシステム10は、1つ以上の目標状態を達成する際に内燃エンジンシステム10を制御するために特定の動作を実行するように構造化又は構成されたコントローラ80を更に含む。特定の実施形態では、コントローラは、メモリ、処理、及び通信ハードウェアを有する1つ以上のコンピューティングデバイスを含むプロセスサブシステムの一部分を形成する。コントローラは、単一のデバイス又は分散したデバイスであり得、コントローラ80の機能は、ハードウェアによって及び/又はコンピュータ可読媒体上に符号化された命令によって実行することができる。
【0036】
特定の実施形態では、コントローラ80は、コントローラの動作を機能的に実行するように構造化された1つ以上のモジュールを含む。モジュールを含む本明細書の説明は、コントローラの態様からの構造的な独立性を強調し、コントローラの動作及び役割の1つの群を例解する。同様の全体的な動作を実行する他の群が、本出願の範囲内で理解される。モジュールは、ハードウェア及び/又は非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上のソフトウェアで実施され得、モジュールは、様々なハードウェア又は他のコンピュータ構成要素にわたって分散され得る。
【0037】
本明細書で説明される特定の動作は、1つ以上のパラメータを解釈又は決定するための動作を含む。本明細書で利用するとき、解釈又は決定することは、少なくとも、データリンク又はネットワーク通信から値を受信すること、値を示す電子信号(例えば、電圧、周波数、電流、又はPWM信号)を受信すること、値を示すソフトウェアパラメータを受信すること、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上のメモリロケーションから値を読み出すこと、当技術分野で既知の手段によって実行時パラメータとして値を受信することを含む、当技術分野で既知の任意の方法によって、並びに/又は解釈若しくは決定されたパラメータを計算することができる値を受信することによって、並びに/又はパラメータ値であると解釈若しくは決定されたデフォルト値を参照することによって、値を受信することを含む。
【0038】
様々な本開示の態様は、特許請求の範囲に記載されるように企図される。一態様によれば、方法は、複数の気筒に供給された燃料の燃焼のための給気流を受容する複数の気筒を有する内燃エンジンを含む内燃エンジンシステムを動作させることを含む。複数の気筒のうちの少なくとも一部分は、気筒休止条件に応答して、休止されるように動作可能である。ブレーキ条件に応答して、内燃エンジンにブレーキがかけられる。内燃エンジンにブレーキをかけることは、ブレーキ条件に応答して、休止させることができるように構成された複数の気筒の一部分のうちの1つ以上の排気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整して、圧縮行程中に複数の気筒の一部分のうちの1つ又は2つ以上に燃料を噴射した後に、圧縮解放ブレーキを提供することを含む。
【0039】
一実施形態では、内燃エンジンにブレーキをかけることは、複数の気筒の一部分のうちの1つ以上の各々の排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングの両方を調整して、圧縮解放ブレーキを提供することを含む。
【0040】
一実施形態では、圧縮解放ブレーキ中に複数の気筒の一部分のうちの1つ以上の各サイクルについて内燃エンジンにブレーキをかけることは、それらの第1の吸気バルブ及び第1の排気バルブを休止させることと、圧縮行程中及び燃焼行程中に、それらの第2の吸気バルブを開放することと、圧縮行程の上死点の前及び排気行程の上死点の前に、それらの第2の排気バルブを開放することと、を含む。
【0041】
一実施形態では、内燃エンジンは、EGRシステムに接続された吸気システムから給気流を受容する。方法は、内燃エンジンの圧縮解放ブレーキ中に、EGRシステムから複数の気筒の一部分のうちの1つ以上にEGR流を供給することを含む。
【0042】
一実施形態では、圧縮解放ブレーキ中、燃料は、気筒の一部分のうちの1つ以上の圧縮行程の上死点の約35度前に噴射される。実施形態では、燃料は、圧縮行程の上死点の20~50度前に噴射される。一実施形態では、燃料は、圧縮行程の上死点の25~45度前に噴射される。一実施形態では、圧縮行程中に噴射された燃料が燃焼して、圧縮解放ブレーキ中に気筒の一部分のうちの1つ以上の気筒内圧力を増加させる。
【0043】
別の態様によれば、システムは、吸気システムから給気流を受容する複数の気筒と、複数の気筒内での燃料の燃焼によって生成された排気ガスを受容するための排気システムと、を含む、内燃エンジンを含む。バルブ作動機構は、複数の気筒に関連付けられた排気バルブ及び吸気バルブの開放及び閉鎖タイミングを制御するように構成される。コントローラは、ブレーキ条件を判定するように動作可能である。ブレーキ条件に応答して、コントローラは、2行程圧縮解放ブレーキを生成するために、バルブ作動機構を介して、複数の気筒のうちの1つ以上の排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整し、内燃エンジンの複数の気筒のうちの1つ以上内に燃料を噴射して、それらの圧縮行程中に圧縮解放ブレーキを提供するように構成される。
【0044】
一実施形態では、コントローラは、複数の気筒のうちの複数の気筒の排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整して、ブレーキ条件に応答して圧縮解放ブレーキを提供するように構成される。
【0045】
一実施形態では、EGRシステムは、排気システムと吸気システムとを接続し、コントローラは、2行程圧縮解放ブレーキ中に複数の気筒のうちの1つ以上にEGR流を提供するように構成される。コントローラは、圧縮解放ブレーキ中のターボチャージャ入口における圧力状態に応答して、EGR流を提供するように構成される。
【0046】
一実施形態では、バルブ作動機構は、気筒休止条件に応答して、複数の気筒のうちの1つ以上を休止させるように構成される。
【0047】
一実施形態では、複数の気筒のうちの1つ以上の各々の2行程圧縮解放ブレーキの各サイクル中に、バルブ作動機構は、それらの第1の吸気バルブ及び第1の排気バルブを休止させ、圧縮行程中及び燃焼行程中に、それらの第2の吸気バルブを開放し、圧縮行程の上死点の前及び排気行程の上死点の前に、それらの第2の排気バルブを開放する。
【0048】
別の態様によれば、装置は、内燃エンジンの動作に関連付けられている複数のセンサから信号を受信するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、ブレーキ条件を判定し、ブレーキ条件に応答して、2行程圧縮解放ブレーキを生成するために、複数の気筒のうちの1つ以上の排気バルブ開放及び閉鎖タイミング及び吸気バルブ開放及び閉鎖タイミングを調整し、内燃エンジンの複数の気筒のうちの1つ以上内に燃料を噴射して、それらの圧縮行程中に圧縮解放ブレーキを提供するエンジンブレーキコマンドを提供するように構成される。
【0049】
一実施形態では、コントローラは、気筒休止条件に応答して、複数の気筒のうちの1つ以上を休止させるように構成される。
【0050】
一実施形態では、複数の気筒のうちの1つ以上の各々の2行程圧縮解放ブレーキの各サイクル中に、エンジンブレーキコマンドは、それらの第1の吸気バルブ及び第1の排気バルブを休止させ、圧縮行程中及び燃焼行程中に、それらの第2の吸気バルブを開放し、圧縮行程の上死点の前及び排気行程の上死点の前に、それらの第2の排気バルブを開放する。
【0051】
一実施形態では、エンジンブレーキコマンドは、2行程圧縮解放ブレーキ中に、圧縮行程の上死点の約35度前に燃料を噴射する。一実施形態では、エンジンブレーキコマンドは、2行程圧縮解放ブレーキ中に、圧縮行程の上死点の20~50度前に燃料を噴射する。
【0052】
本発明は、図面及び上述の説明において詳細に例解及び説明してきたが、そのような例解及び説明は、例解的なものであり、特徴を限定するものではないとみなすべきであり、特定の例示的な実施形態だけが図示及び説明されていると理解するべきである。当業者は、本発明から物質的に逸脱することなく、多くの修正が例示的な実施形態に可能であることを理解するであろう。したがって、全てのそのような修正は、以下の請求項で定義されるような本開示の範囲内に含まれることを目的としている。
【0053】
特許請求の範囲を読む際に、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、又は「少なくとも1つの部分(at least one portion)」などの語が使用される場合、特許請求の範囲において具体的に反対の記載がない限り、特許請求の範囲を1つの項目のみに限定する意図はないことが意図される。「少なくとも一部分」/又は「一部分」という言葉が使用される場合、その項目は、具体的に反対の記載がない限り、その項目の一部分及び/又は全体を含むことができる。
【国際調査報告】