(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】バタフライバルブおよびバタフライバルブの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 1/226 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F16K1/226 C
F16K1/226 B
F16K1/226 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533116
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 SE2022051135
(87)【国際公開番号】W WO2023106987
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597011692
【氏名又は名称】アクチエボラーグ ソマス ヴェンティラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン カート オヴェ
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA02
3H052BA02
3H052BA26
3H052CA19
3H052CB20
3H052CB23
(57)【要約】
本発明は、流体媒体用の通路(4)を有するバルブハウジング(2、3)と、前記バルブハウジング(2、3)のスロット(7)内で前記通路(4)の軸に対して、半径方向に変位可能なシートリング(8)の形態のバルブシートと、ステム(6)によって開位置と閉位置との間で回転軸(23)を中心に旋回可能に配置され、前記閉位置にあるときに前記シートリング(8)に押し付けられるシール面(21)を周縁部(18)に有するスロットル(5)と、を備え、複数の真円(Dn)が前記周縁部(18)を形成し、前記周縁部(18)の最大の真円(De)は、ベース平面(P0)に平行かつ最も近い平面(Pe)に位置し、前記ベース平面(P0)は、前記回転軸(23)を含み、かつ、前記最大の真円(De)に対して中心に位置する前記スロットル(5)の中心線(22)を定義する中心点(Ce)を有し、前記平面(P0、Pe)は、前記中心線(22)に対して垂直に延び、前記周縁部(18)の最小の真円(Ds)の中心点(Cs)が、前記平面(P0、Pe)に平行な、前記中心点(Cs)を有する下側平面(Ps)に位置し、前記中心点(Cs)は、前記中心線(22)を含む対称面(PP)において、前記中心線(22)に沿って位置し、かつ、前記中心点(Cs)を有する前記中心線(22)を含む前記対称面(PP)に垂直な平面(PS)において、前記スロットル(5)の前記中心線(22)から距離(Xs)ずれて位置しており、前記シール面(21)は、湾曲した球形を有する、バタフライバルブに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体媒体用の通路(4)を有するバルブハウジング(2、3)と、
前記バルブハウジング(2、3)のスロット(7)内で前記通路(4)の軸に対して、半径方向に変位可能なシートリング(8)の形態のバルブシートと、
ステム(6)によって開位置と閉位置との間で回転軸(23)を中心に旋回可能に配置されたスロットル(5)であって、前記スロットル(5)が前記閉位置にあるときに前記シートリング(8)に押し付けられるシール面(21)を周縁部(18)に有するスロットル(5)と、を備え、
複数の真円(Dn)が前記周縁部(18)を形成し、前記周縁部(18)の最大の真円(De)は、ベース平面(P0)に平行かつ最も近い平面(Pe)に位置し、前記ベース平面(P0)は、前記回転軸(23)を含み、かつ、前記最大の真円(De)に対して中心に位置する前記スロットル(5)の中心線(22)を定義する中心点(Ce)を有し、
前記平面(P0、Pe)は、前記中心線(22)に対して垂直に延び、
前記周縁部(18)の最小の真円(Ds)の中心点(Cs)が、前記平面(P0、Pe)に平行な、前記中心点(Cs)を有する下側平面(Ps)に位置し、前記中心点(Cs)は、前記中心線(22)を含む対称面(PP)において、前記中心線(22)に沿って位置し、かつ、前記中心点(Cs)を有する前記中心線(22)を含む前記対称面(PP)に垂直な平面(PS)において、前記スロットル(5)の前記中心線(22)から距離(Xs)ずれて位置しており、
前記シール面(21)は、湾曲した球形を有する、
バタフライバルブ。
【請求項2】
前記周縁部(18)は、
【数6】
を定義するアルゴリズムの使用によって球状に湾曲するように形成されており、
Zn=Zs-ΔZかつZs=Z0+Zaであり、
Z0は、前記ステムのシャフトの中心(53)の中心線(23)と、前記周縁部(18)の最小直径(Ds)および最大直径(De)の間のある場所に位置する目標円(D0)の平面P0との間の距離であり、
(Za)は、前記周縁部(18)を形成する本体の幅(Za+Zb)の距離である、
請求項1に記載のバタフライバルブ。
【請求項3】
前記シール面(21)の領域における前記真円(Ds~De)はすべて一定の半径を有する、
請求項1または2に記載のバタフライバルブ。
【請求項4】
前記周縁部(18)の領域における前記真円(Ds~De)はすべて一定の半径を有する、
請求項3に記載のバタフライバルブ。
【請求項5】
前記シール面(21)を含む前記周縁部(18)の少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%は、表面粗さがRa0.05~6.3μm、好ましくは0.2~1.6μmの範囲であり、より好ましくは0.5未満である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のバタフライバルブ。
【請求項6】
前記シートリング(8)は、一定の半径を有する内側シール面(80)を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のバタフライバルブ。
【請求項7】
前記シートリング(8)は、約50ショアD~90ショアD、好ましくは60ショアD~85ショアDの範囲の硬度を有するポリマー材料で作られている、
請求項6に記載のバタフライバルブ。
【請求項8】
前記シートリング(8)が、硬質材料、好ましくは金属で作られ、約180HB~300HBまたは30~55ロックウェルC、好ましくは210~300HBまたは30~45ロックウェルCの硬度を有する、
請求項6に記載のバタフライバルブ。
【請求項9】
前記中心点(Cs)は、式
【数7】
で定義される範囲内で、前記スロットル(5)の前記中心線(22)から前記垂直面(PS)において距離(Xs)ずれて位置しており、
Cfは、0.5~50であり、
好ましくは、前記シートリング(8)は、約50ショアD~90ショアD、好ましくは、60ショアD~85ショアDの範囲の硬度を有するポリマー材料で作られ、
Cfは、0.5~1である、
請求項1~6のいずれか一項に記載のバタフライバルブ。
【請求項10】
前記シートリング(8)は、約180HB~300HBまたは30~55ロックウェルC、好ましくは210~300HBまたは30~45ロックウェルCの範囲の硬度を有する硬質材料、好ましくは金属で作られ、
Cfは1~3である、
請求項6に記載のバタフライバルブ。
【請求項11】
a)スロットル(5)のシート面(21)を含むように周縁部(18)を機械加工するための機械にスロットルの本体を取り付けるステップと、
b)前記スロットル周縁部(18)の目標円直径(D0)を定義し、周縁部(18)の予め設定された最小の真円(Ds)と予め設定された最大の円(De)との間のある場所に、好ましくは、前記スロットル周縁部(18)の中間面(Po)に隣接するように前記目標円直径(D0)の前記中間面(Po)の位置を決定するステップと、
c)ステムのシャフト孔(53)の中心線(23)を含むベース平面(P0)と前記目標円(D0)の平行な中間面(Po)との間の距離(Z0)を定義するステップと、
d)式
【数8】
を用いて距離(H0)を計算するステップと、
e)前記周縁部(18)を形成する前記本体の幅Za+Zbを決定する所定の距離(Za)を決定するステップと、
f)前記最小の真円(Ds)の開始レベル(Zs)を、Z0+Zaを用いて決定するステップと、
g)式
【数9】
を用いて開始円直径(Ds)を決定するステップと、
h)対称面(PP)に垂直な垂直面(PS)との交差に沿ったスロットル(5)の所定の中心線(22)からの前記最小の真円(Ds)の中心点(Cs)に対するオフセット(Xs)を、以下の式
【数10】
(式中、Cfは、0.5~50の範囲にあるように選択される)
を使用して決定するステップと、
i)機械加工を開始し、以下の式
【数11】
(式中、Zn=Zs-ΔZ)
を用い、小さなステップ幅(ΔZ)を用いて、滑らかに湾曲した球形の周縁部(18)を提供するステップと、を含む、
バタフライバルブを製造する方法。
【請求項12】
前記機械の送り量の距離/revが、前記小さなステップ幅(ΔZ)を計算するために使用される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記送り量は、0.02mm/rev~0.6mm/rev、好ましくは0.06mm/rev~0.4mm/rev、最も好ましくは0.3mm/rev未満の範囲である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シートリング(8)は、約50ショアD~90ショアD、好ましくは60ショアD~85ショアDの範囲の硬度を有するポリマー材料で作られ、
Cfは0.5~1である、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記シートリング(8)は、約180HB~300HBまたは30~55ロックウェルC、好ましくは210~300HBまたは30~45ロックウェルCの範囲の硬度を有する硬質材料、好ましくは金属で作られ、
Cfは1~3である、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体媒体のための軸方向通路を有するバルブハウジングと、バルブハウジングのスロット内で半径方向に変位可能な、金属または同等の剛性を有する他の材料のシートリングの形態のバルブシートと、ステムによって開位置と閉位置との間で回転軸を中心に旋回するように配置されたスロットルと、前記閉位置において前記シートリングに押し付けられるスロットルの周縁部のシール面と、を備えるバタフライバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプのスロットルは、例えば、米国特許第4,284,264号に記載されている。このスロットルは、様々な設計を有しうるシートリングと協働することができる。一例として、シートリングは、上記の米国特許明細書に示されている設計、または例えばSE-B-445 382、US3,963,213、もしくはGB2199641に開示されている設計を有しうる。バルブを組み立てるときにスロットルを開位置から閉位置に回転する際(すなわち、いわゆる「初回閉動作(virgin shut-off movement)」の際)にシートリングがとった位置にシートリングを保持する手段が設けられている場合、他の設計が考えられる。
【0003】
これらのシートリングは、流体通路に向かって湾曲したシール面を有することが、これらのシートリングの共通の特徴である。したがって、シール位置における2つのシール面の間の密封接触が、幅狭の領域に沿って、実際には線的な接触で生じる。スロットルとシートとの間の円周回りの同時締め付けを得るために、既知のスロットルは、スロットルの側面と平行な平面(以下、「ゼロ平面」ともいう)が楕円形であり、長軸がスロットルの回転軸に垂直であり、これにより、スロットルが閉動作の初期段階でシートに接触すること、および表面間の実質的な摺動を回避している。同じ目的で、スロットルの周縁部には複雑な二重曲面形状が与えられ、スロットル周縁部と、スロットルを通り、回転軸と一致し、スロットルを通る対称面に垂直な第1の交差平面との交差線が、回転軸上に実質的に中心を有する円の円弧からなる一方、スロットル周縁部と、スロットルを通る前記対称面によって定義され、回転軸に垂直な第2の交差平面との交差線が、直線からなり、この直線の延長は交わり、スロットルのシール面の湾曲は前記第1の交差平面における第1の円から連続的に変化して無限に大きい円、すなわち、前記対称面内の直線になる。この公知のバタフライバルブは、従来の設計と比較して、大きな技術的成果をもたらしており、今日では少なくとも製紙およびパルプ産業において、スカンジナビアにおける主要なバタフライバルブである。
【0004】
しかしながら、上述のバルブには、いくつかの欠点がある。したがって、スロットル面の幾何学的形状は、コンピュータを用いた製造のためにプログラムを組むことが困難であるため、数学的に正しい形状で製造することが困難である。いくつかの近似は、コンピュータプログラムにおいて行われなければならず、これは、数学的に正確な形状が実現されないことを意味する。実際には、スロットル周縁部のシール面が、シートとスロットルとの間の全周縁部の同時の密封接触を妨げるこぶを有することを意味する。
【0005】
したがって、スロットルの周縁部のシール面は、或るシール位置における接触領域の幅よりも広い幅を有していなければならず、その結果、或るシール位置における接触線または接触領域と一致する平面は、ゼロ平面との角度を形成することが許容されうる。最初は、この角度は負の角度であり、これは、スロットルが初めて閉鎖されたときにゼロ平面の少し前に閉位置を達成することを意味する。また、この位置では、スロットルのステムに高いトルクをかけることなく、絶対密閉が達成されなければならない。これらの位置において良好なシール結果が実現され得るのは次の場合である。すなわち、スロットルとシートとの間の表面圧力と、スロットルとステムに加えられるトルクとの間の比が高く、同時にスロットルが、各シール位置における接触線または接触領域と一致する平面において、完全またはほぼ数学的に完全な楕円形状を有する場合である。
【0006】
これらの理想的な条件は、対称面とスロットルの周縁部との間の交線が直線によって定義される上述の既知のバルブタイプには存在しない。上記部分の直線により、表面圧力/トルク比は所望の比より低くなり、ゼロ平面との角度を形成する前記平面内の接触線または接触領域の形状は、多かれ少なかれ歪み、卵を通る長手方向の断面形状に類似する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載のバタフライバルブによって達成される、上述の既知のタイプのバタフライバルブをさらに改良することであり、シール面は、湾曲した球形を有する。
【0008】
したがって、本発明の目的は、比較的低いトルクで高いシール圧力が得られると同時に、周縁部の周りで同時に密封接触が達成されるバルブを提供すること、ならびに、接触線または接触領域におけるシートとスロットルとの間のシール性が良好な接触が達成されるバルブを提供することである。後者の目的は、スロットルの周縁部の幾何学的形状が、コンピュータを用いた製造のために容易にプログラムされることができるようなものであること、すなわち、製造中にこぶまたは所望の幾何学的形状からの他のズレを引き起こし得るような近似をコンピュータプログラムに導入する必要がないことを意味する。より具体的には、後者の目的は、スロットルのシール面の領域内の任意の考えられる接触線または接触領域と一致する平面におけるスロットルのシール面が、ほぼ完全な所望の円形形状を有することを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
シール面の複数のレベルの円の直径をこれらの円の変位に関して計算するアルゴリズムを使用する本発明のおかげで、いわゆる湾曲した球形が実現され、それによって、結果としてスロットルとシートとの間の高い密閉度での非常に良好な適用の可能性が実現される。
【0010】
したがって、本発明によって、スロットルとシートとの間の適切な配置を達成するために一方向に変位される正確に真円で各レベルが構成される形状を容易に生成するために使用され得るアルゴリズムが提供される。上述のスロットルの円形度では、対応する真円の/円形のシートの使用が可能であり、このシートは、剛性構造である材料で形成されうるが、依然として、シートがスロットルの周縁部に配置されるレベルにかかわらず、所与のトルクで非常に良好な密閉度を達成する材料で形成してよい。
【0011】
したがって、上記アルゴリズムは、湾曲した球形を有するスロットルのシール面の全てのレベルで真円を提供してよい。これにより、スロットルをシートに向かって回転させる際の「摩擦」が免除され、一方、湾曲した球形によって比較的低いトルクで非常に良好に適用される。
【0012】
アルゴリズムは、好ましくは、CAM作製のためのCADおよび/または機械加工のためのCNCプログラムによって3Dの幾何学的形状を生成するために使用される。
【0013】
また、アルゴリズムでは、回転毎の各計算におけるレベル(Zn1)のステップ幅および程度を変更可能にしてもよく、これにより、機械加工中の切削速度を高めることができる。切削工具の加工機械の加工および移動速度により、例えば、発生する「ファセット形成」が多すぎないように、回転毎の各計算におけるステップ幅(Zn1)および程度のレベルが決まる。しかしながら、細かい挿入前の粗い機械加工では、ある程度のファセット形成を許容することができ、これにより、切削速度を高めることができ、機械加工時間の低減、ひいてはコストの低減の結果につながる。
【0014】
これらおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲および多数の好ましい実施形態の以下の説明に記載される本発明の規定によって達成することができる。
【0015】
本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】閉位置にある本発明によるバタフライバルブを有するバルブハウジングの断面図である。
【
図3】本発明によるスロットルの底面の平面図である。
【
図6】本発明によるスロットルのシール面の幾何学的形状の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに
図1および
図2を参照すると、本体部2およびカバーリング3を含むバルブハウジング2、3の断面図が示されている。バルブを通る通路は、4で示されている。スロットル5は、
図1に示すようなシール位置から開位置へ、およびその逆に回転することができる。これは、ステム6によって達成される。スロットル5は、ステム6に(好ましくは取外し可能に)固定して取り付けるための孔を有する取付部50含む。ステム6は、バルブハウジング2、3の本体部2に軸支されている。ステム6をその中心軸23を中心に回転させるために、図示されていない作動手段(それ自体は公知の手段)が設けられている。
【0018】
バルブハウジング1の本体部2とカバーリング3との間の環状スロット7には、シートリング8が設けられている。シートリング8は、通常、ステンレスの耐酸性鋼板からなるが、他の金属/材料、例えば、剛性の複合材料またはプラスチック材料で作られてもよい。スロットル5に向けられたシートリング8の内側端部には、スロットル5が当接するバルブシートのシール面を構成する丸みを帯びた面80が配置されている。一対の環状部材が、半径方向に対称的に外側に延在してよく、好ましくは、ばね作用によって、スロット7の壁に対して軸方向に弾性的に押圧されて、半径方向の剛性、軸方向の可撓性、および封止能力の所望の組み合わせを確保してよい。
【0019】
スロット7は、リング8が半径方向に変位され得るように非常に深く、すなわち、スロット7の直径は、シートリング8の最大外径よりも基本的には大きい。したがって、シートリング8の位置は、バルブのスロットル5が回転されたときにスロットル5に適合していてよい。同時に、フランジが、好ましくは、非常に高硬度または剛性であり、言い換えれば、フランジのばね作用が非常に大きいため、シートリング8の軸方向位置が確実に保持される。
【0020】
スロットル5の周縁部は18で示される。周縁部18上の周方向中間線は19で示されている。この中間線19と一致する平面は、20で示されるゼロ平面を定義する。理想的な場合には、中間線19は、密封接触したスロットル5とシートリング8との間の接触線である。しかしながら、スロットルとシートリングとの間の接触は、数学的な意味での線に沿ってではなく、幅狭の領域に沿って生じることを理解されたい。また、接触線または接触領域が、製造公差、摩耗、温度変化、およびこのような変化によって引き起こされる変形などの影響のために、正確な中間線19およびゼロ平面20に沿って生じることはまれであることを理解されたい。これらの理由から、スロットル5のシール面21と呼ばれるスロットルの周縁部18のより大きな面積を利用してもよい。このシール面21の幅は、場合に応じて異なっていてもよい。多くの用途において、シール面21の幅の実用的なルールは、スロットル5の周縁部18の幅の1/3~2/3でありうる。スロットルの周縁部18がシール面21よりも幾分広い理由は、シール面21の両側の周縁部の外面が、スロットルの「超回転」(super rotation)、すなわち、バルブを閉じるときのシートを越えるスロットルの回転(発生した場合、バルブが動作不能になりうる)に対するセーフティー領域を構成することである。
【0021】
次に、
図3~
図6を参照して、本発明によるスロットル5の周縁部18の形状をより詳細に説明する。
【0022】
図3および
図4に示されるように、スロットル5の中心線22が存在し、この中心線は、周縁面18の上側の真円を含む上側平面Pe(上面51と一致してもよい)(それぞれ
図4および
図5のDeおよびDnを参照)に対して中心に配置される。当該平面51に対して垂直に、
図3に示される断面B-Bを含み、したがって中心線22も含む平面PSが存在する。したがって、この平面PSでは、スロットル5の周面18の直径D0、DS等は、中心線22に対して同軸に配置され(
図4を参照)、すなわち、この平面PSに沿って、すべての円が、中心線に沿って配置された中心Cs、Cn、Ce有する。したがって、中心軸23と中心線22との交点CPからの半径H0は、平面PSの両側で同じである。しかしながら、中心線22を含む垂直面PPでは、
図5および6を参照すると、周面18の真円D0、DS等は、中心線22に対して同軸に位置せず、中心Cs、Cn、Ceが、或るレベルZn、Zsにおいて中心線22から或る距離Xn、Xs変位している。この垂直面PPは、鏡面対称面を呈する。
【0023】
本明細書の導入部で言及したように、本発明は、スロットル5のシール面21上の各接触位置における接触線または接触領域の、ベース平面P0と平行な円の各平面における半径が一定の円形Ds~Deによる、スロットル5によってシート8に加えられる圧力とステム6に加えられるトルクとの比が大きいバルブと、周縁部の周りの同時密封接触と、スロットルの周縁部のコンピュータを用いた製造のためにコンピュータプログラムに幾何学的形状を転送できる可能性とを提供することを意図しており、この目的は、スロットルの幾何学的形状の新しい設計によって達成することができる。
【0024】
図4、
図5、および
図6を参照すると、D0は、バルブの閉位置におけるスロットル5のシートとの当接のためのレベルZ0におけるシール面21の理論的に意図された目標直径であり、ここでZ0は、D0円の平面と平行な、ステム6の軸23を含むベース平面P0から測定される。D0は、真の意味で、寸法を制限しないが、好ましくは、50mmから3000mmまでの直径の範囲に制限され得る。
【0025】
計算手順の簡単な説明
・まず、スロットル周縁部18の目標円直径D0が定義され、この目標円直径D0は、周縁部18の最小直径Dsと最大直径Deとの間のある場所に、好ましくはスロットル周縁部18の中間面P0に隣接して位置付けられる(
図4参照)。
【0026】
・次いで、ステム6/シャフト孔53の中心線23と目標円D0の平面P0との間に距離Z0が定義される。
【0027】
・次いで、Z0およびD0と、以下の式とを用いてH0を算出する。
【数1】
【0028】
・次いで、Z0およびZaならびに以下の式を使用することによって最小直径Dsに対して開始レベルZs(
図4参照)が決定される。ここで、Zaは、周縁部18を形成する本体の幅Za+Zbがどれくらい大きいかに依存して選択される所定の距離であるものとする。
【数2】
【0029】
・次いで、開始直径Dsは、H0およびZsならびに以下の式を使用することによって決定される。
【数3】
【0030】
・次いで、最小円Dsに対する平面PPに沿った中心線22からのオフセットXsが、以下の式を使用することによって、H0、Zs、D0、および定数Cfによって決定される。ここで、Cfは、通常、1~2であるが、これより小さくても大きくてもよい。
【数4】
【0031】
ここで、開始円Dsが決定され、例えば、ミリング、旋削、鍛造などによって製造されうる。
【0032】
周縁部18の次の表面の形状は、好ましくは、小さなステップ幅ΔZの形であってもよく、または以下の式を使用することによって連続的に適合された形状によるものであってもよい。
【数5】
ここで、Zn=Zs-ΔZである。
【0033】
したがって、寸法Dn、位置Znは、次の真円のオフセットXnによって決定され得、小さなステップ幅ΔZの使用により、滑らかに湾曲した周縁部18が提供される。
【0034】
機械加工によって周縁部18を形成する際は、送り量(例えば距離/rev)によりΔZ(例えばmm/回転)を計算し、次いで少なくともシール面21に沿って比較的低い送り量の距離/revを使用することが有利でありうる。
【0035】
上記の実施形態は、本発明の基本原理を具体化する一例を説明するに過ぎない。本発明の基本原理を利用する変形例が考えられることが理解される。
【国際調査報告】