(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】動的海底ケーブル及び動的海底ケーブルの成形方法
(51)【国際特許分類】
H01B 11/22 20060101AFI20241031BHJP
H01B 7/14 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01B11/22
H01B7/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533233
(86)(22)【出願日】2023-03-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2023081443
(87)【国際公開番号】W WO2024001305
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】202210761675.2
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524209866
【氏名又は名称】中天科技海纜股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524209877
【氏名又は名称】南海海纜有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 俊勇
(72)【発明者】
【氏名】趙 囿林
(72)【発明者】
【氏名】景 洋
(72)【発明者】
【氏名】張 小龍
(72)【発明者】
【氏名】胡 明
(72)【発明者】
【氏名】金 星宇
(72)【発明者】
【氏名】潘 ▲パン▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 井華
(72)【発明者】
【氏名】曹 凱
(72)【発明者】
【氏名】劉 利剛
(72)【発明者】
【氏名】馮 啓韻
【テーマコード(参考)】
5G311
5G319
【Fターム(参考)】
5G311FA01
5G311FB04
5G311FC03
5G319HB01
5G319HC01
5G319HD02
(57)【要約】
本願は、動的海底ケーブル及び動的海底ケーブルの成形方法を提供する。動的海底ケーブルは、光学ユニットと複数のケーブルコアとを含み、内側シース、装甲層及び外側シースは、光学ユニット及び複数のケーブルコアを取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けられ、複数のケーブルコアが三角形の構造を構成し、隣接する2本のケーブルコアが互いに当接しており、ケーブルコアは、内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット、導体シールド層、絶縁層及び絶縁シールド層を含み、アルミニウム合金導体ユニットは、複数の導体層と、隣接する2つの導体層の間に設けられた止水接着剤とを含み、各導体層は、複数本の導体単線を含む。本願の技術的手段は、より優れた止水性能及び疲労性能を有するため、動的海底ケーブルの耐用年数を延長することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ユニット(12)と複数のケーブルコア(21)とを含み、内側シース(15)、装甲層(22)及び外側シース(20)は、前記光学ユニット(12)及び前記複数のケーブルコア(21)を取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けられ、複数の前記ケーブルコア(21)が三角形の構造を構成し、隣接する2つの前記ケーブルコア(21)が互いに当接しており、前記ケーブルコア(21)は、内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット(27)、導体シールド層(5)、絶縁層(6)及び絶縁シールド層(7)を含み、前記アルミニウム合金導体ユニット(27)は、複数の導体層(23)と、隣接する2つの前記導体層(23)の間に設けられた止水接着剤(2)とを含み、各前記導体層(23)は、複数本の導体単線(1)を含むことを特徴とする、動的海底ケーブル。
【請求項2】
前記導体単線(1)は、アルミニウム合金単線であり、前記導体単線(1)の強度は、305Mpa~330Mpaであり、前記導体単線(1)は、アニール処理が施されることを特徴とする、請求項1に記載の動的海底ケーブル。
【請求項3】
各前記導体層(23)のピッチと当該導体層(23)の外径は、10D
A≦h≦16D
Aの条件を満たし、
D
Aは導体層の外径であり、hは導体層のピッチであることを特徴とする請求項1に記載の動的海底ケーブル。
【請求項4】
複数本の前記導体単線(1)が非圧縮の撚り方式で撚り合わせられて前記アルミニウム合金導体ユニット(27)となり、各前記導体層(23)には、6n本の前記導体単線(1)が含まれ、各前記導体層(23)の外径D
A=(2n+1)dであり、nは導体層の層数であり、dは導体単線の直径であることを特徴とする、請求項1に記載の動的海底ケーブル。
【請求項5】
前記ケーブルコア(21)は、前記絶縁シールド層(7)の外周に設けられた金属シールド層(9)をさらに含み、前記金属シールド層(9)は、径方向に離間して設けられた2本の銅テープ(91)と、2本の前記銅テープ(91)の間に設けられた半導電性止水テープ(92)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の動的海底ケーブル。
【請求項6】
前記動的海底ケーブルは、充填構造(13)をさらに含み、隣接する2つの前記ケーブルコア(21)の間に前記充填構造(13)が設けられ、前記充填構造(13)の一方の側には、前記ケーブルコア(21)の外壁面に適合する接触面(25)が設けられ、前記充填構造(13)の他方の側には、前記光学ユニット(12)を収容するための収容溝(26)が開設されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の動的海底ケーブル。
【請求項7】
前記ケーブルコア(21)及び前記充填構造(13)はいずれも3つであり、各前記充填構造(13)には、複数の収容溝(26)が設けられ、各前記収容溝(26)には、前記光学ユニット(12)が設けられることを特徴とする、請求項6に記載の動的海底ケーブル。
【請求項8】
前記装甲層(22)は、平鋼線を撚り合わせたものであり、前記装甲層(22)は、複数であり、隣接する2つの前記装甲層(22)の平鋼線の撚り合わせ方向は、逆であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の動的海底ケーブル。
【請求項9】
前記装甲層(22)の外周には、アスファルト又はアスファルト塗料が塗布されるか、又は、
前記装甲層(22)の外周には、PPロープ(17)が巻き付けられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の動的海底ケーブル。
【請求項10】
前記ケーブルコア(21)は、前記金属シールド層(9)の内側に位置する第1半導電性緩衝テープ(8)と、前記金属シールド層(9)の外側に位置する第2半導電性緩衝テープ(10)と、を含むことを特徴とする、請求項5に記載の動的海底ケーブル。
【請求項11】
動的海底ケーブルの成形方法であって、
内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット(27)、導体シールド層(5)、絶縁層(6)及び絶縁シールド層(7)を含むようにケーブルコア(21)を製造するステップであって、前記アルミニウム合金導体ユニット(27)は、複数の導体層(23)と、隣接する2つの前記導体層(23)の間に設けられた止水接着剤(2)とを含み、各前記導体層(23)は、複数本の導体単線(1)を含むステップと、
三角形の構造を構成するように複数の前記ケーブルコア(21)を設けるステップと、
光学ユニット(12)を製造するプロセスを行うステップと、
内側シース(15)、装甲層(22)及び外側シース(20)を、前記光学ユニット(12)及び複数の前記ケーブルコア(21)を取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けるステップと、を含むことを特徴とする、動的海底ケーブルの成形方法。
【請求項12】
ケーブルコア(21)を製造する前記ステップは、
複数本の前記導体単線(1)を非圧縮同心撚り方式で撚り合わせて複数の前記導体層(23)を形成する複数の導体層の成形ステップと、
最外層にある前記導体層(23)を押圧するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の動的海底ケーブルの成形方法。
【請求項13】
前記装甲層(22)の外周にアスファルト又はアスファルト塗料を塗布するステップをさらに含み、及び/又は、
前記装甲層(22)の外周にPPロープ(17)を巻き付けるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の動的海底ケーブルの成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年6月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210761675.2であり、発明の名称が「動的海底ケーブル及び動的海底ケーブルの成形方法」である特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本願は、海底ケーブルの技術分野に関し、具体的には、動的海底ケーブル及び動的海底ケーブルの成形方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、低炭素化の発展に伴い、中国の水深が50メートル以上の海域に蓄積された風力エネルギー貯蔵量が1268GWを超え、洋上風力エネルギー全体の60%以上を占めているが、これらの海域では、固定杭風車を取り付けることが困難である。経済が発達した中国沿岸部の省のクリーンエネルギーへの膨大なニーズを満たすために、浮体式風力発電は、将来の中国の風力発電開発のための最適な手段となる。国際的に海洋大国のほとんどは、大陸の斜面が深海まで急激に延びており、より良い風力資源を得るために、動的クケーブルの使用深度が1000mに達することが多く、同時に、大容量伝送のための動的海底ケーブルの単体重量及びサイズもますます大きくなる。
【0004】
現在、浮体式風力発電の発展に伴い、浮体構造物と水中機器とを接続する動的海底光電複合海底ケーブルは、大水深での止水性能及び疲労性能が低いため、動的海底ケーブルの耐用年数が短くなるという問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の主な目的は、大水深での止水性能及び疲労性能が低いため、耐用年数が短くなるという従来技術における動的海底ケーブルの問題を解決するための、動的海底ケーブル及び動的海底ケーブルの成形方法を提供することである。
【0006】
上記目的を達成するために、本願の1つの態様によれば、光学ユニットと複数のケーブルコアとを含み、内側シース、装甲層(armor layer)及び外側シースは、光学ユニット及び複数のケーブルコアを取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けられ、複数のケーブルコアが三角形の構造を構成し、隣接する2本のケーブルコアが互いに当接しており、ケーブルコアは、内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット、導体シールド層、絶縁層及び絶縁シールド層を含み、アルミニウム合金導体ユニットは、複数の導体層と、隣接する2つの導体層の間に設けられた止水接着剤とを含み、各導体層は、複数本の導体単線を含む動的海底ケーブルが提供される。
【0007】
さらに、導体単線は、アルミニウム合金単線であり、導体単線の強度は、305Mpa~330Mpaであり、導体単線は、アニール処理が施される。
【0008】
さらに、各導体層のピッチと当該導体層の外径は、10DA≦h≦16DAを満たし、DAは導体層の外径であり、hは導体層のピッチである。
【0009】
さらに、複数本の導体単線が非圧縮の撚り方式(non-compacted stranding manner)で撚り合せられてアルミニウム合金導体ユニットとなり、各導体層には、6n本の導体単線が含まれ、各導体層の外径DA=(2n+1)dであり、nは導体層の層数であり、dは導体単線の直径である。
【0010】
さらに、ケーブルコアは、絶縁シールド層の外周に設けられた金属シールド層をさらに含み、前記金属シールド層は、径方向に離間して設けられた2本の銅テープと、2本の銅テープの間に設けられた半導電性止水テープとを含む。
【0011】
さらに、動的海底ケーブルは、充填構造をさらに含み、隣接する2本のケーブルコアの間に充填構造が設けられ、充填構造の一方の側には、ケーブルコアの外壁面に適合する接触面が設けられ、充填構造の他方の側には、光学ユニットを収容するための収容溝が開設される。
【0012】
さらに、ケーブルコア及び充填構造はいずれも3つであり、各充填構造には、複数の収容溝が設けられ、各収容溝には、光学ユニットが設けられる。
【0013】
さらに、装甲層は、平鋼線を撚り合わせたものであり、装甲層は、複数であり、隣接する2つの装甲層の平鋼線の撚り合わせ方向は、逆である。
【0014】
さらに、装甲層の外周には、アスファルト又はアスファルト塗料が塗布されるか、又は、装甲層の外周には、PPロープが巻き付けられる。
【0015】
さらに、ケーブルコアは、金属シールド層の内側に位置する第1半導電性緩衝テープと金属シールド層の外側に位置する第2半導電性緩衝テープとを含む。
【0016】
本願の1つの態様によれば、動的海底ケーブルの成形方法が提供される。前記動的海底ケーブルの成形方法は、内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット、導体シールド層、絶縁層及び絶縁シールド層を含むようにケーブルコアを製造するステップであって、アルミニウム合金導体ユニットは、複数の導体層と、隣接する2つの導体層の間に設けられた止水接着剤とを含み、各導体層は、複数本の導体単線を含むステップと、三角形の構造を構成するように複数のケーブルコアを設けるステップと、光学ユニットを製造するプロセスを行うステップと、内側シース、装甲層及び外側シースを、光学ユニット及び複数のケーブルコアを取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けるステップと、を含む。
【0017】
さらに、ケーブルコアを製造するステップは、複数本の導体単線を非圧縮同心撚り方式で撚り合わせて複数の導体層を形成する複数の導体層の成形ステップと、最外層にある導体層を押圧するステップとをさらに含む。
【0018】
さらに、成形方法は、装甲層の外周にアスファルト又はアスファルト塗料を塗布するステップ、又は、装甲層の外周にPPロープを巻き付けるステップをさらに含む。
【0019】
本願の技術的解決手段を適用すると、アルミニウム合金止水導体は、円形の非圧縮設計を採用しており、アルミニウム合金構造の塑性硬化の問題を緩和し、アルミニウム合金導体の疲労寿命を延長することができ、隣接する2つの導体層の間に止水接着剤を充填することにより、アルミニウム合金導体ユニットは、緊密なエンティティを形成することができ、止水接着剤は、複数の導体単線間の隙間の止水性能を向上させることができ、同時に、曲げ引張荷重を受けると、止水接着剤は、隣接する導体単線間の摩擦応力及び損傷を軽減することもでき、これにより、動的海底ケーブルが大水深に位置する場合、動的海底ケーブルの耐用年数を延長することができる。また、導体シールド層、絶縁層及び絶縁シールド層は、三層共押出構造を形成しており、導体シールド層は、アルミニウム合金導体ユニットを撚り合わせると形成される凹凸のある表面によって引き起こされる局所的な電界集中を軽減するため、アルミニウム合金導体ユニットの表面の電界分布が均一になることを確保することができ、絶縁層は、絶縁の役割を果たすことができ、絶縁シールド層は、電界を遮蔽するために使用され、つまり、絶縁シールド層を設けることにより、絶縁シールド層の外側に電力線の分布がなく、これにより、絶縁シールド層の内部と外部の間の隙間を回避することができ、動的海底ケーブルに対する絶縁強度の影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の一部を構成する明細書の図面は、本願のさらなる理解を提供するためのものであり、本願の例示的な実施例及びその説明は、本願を解釈するためのものであり、本願に対する不適切な限定を構成しない。図面は次のとおりである。
【0021】
【
図1】本願による動的海底ケーブルの実施例の構造図である。
【
図2】
図1の動的海底ケーブルのアルミニウム合金導体ユニットの構造図である。
【
図3】
図1の動的海底ケーブルの金属シールド層の側面図である。
【
図4】本願による動的海底ケーブルの成形方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
なお、本発明の実施例及び実施例における特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。以下、添付された図面を参照しながら実施例を組み合わせて本願を詳細に説明する。
【0023】
図1から
図3に示すように、本願の実施例は、動的海底ケーブルを提供する。動的海底ケーブルは、光学ユニット12と複数のケーブルコア21とを含み、内側シース15、装甲層22及び外側シース20は、光学ユニット12及び複数のケーブルコア21を取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けられ、複数のケーブルコア21が三角形の構造を構成し、隣接する2本のケーブルコア21が互いに当接しており、ケーブルコア21は、内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット27、導体シールド層5、絶縁層6及び絶縁シールド層7を含み、アルミニウム合金導体ユニット27は、複数の導体層23と、隣接する2つの導体層23の間に設けられた止水接着剤2とを含み、各導体層23は、複数本の導体単線1を含む。
【0024】
上記の技術的解決手段では、ケーブルコア21は、3本であり、隣接する2本のケーブルコア21は、三角形の構造を形成するように当接し、光学ユニット12と3本のケーブルコア21は、離間して設けられる。隣接する2つの導体層23の間に止水接着剤2が充填され、アルミニウム合金導体ユニット27は、緊密なエンティティを形成することができ、止水接着剤2は、複数の導体単線間1の隙間の止水性能を向上させることができ、同時に、曲げ引張荷重を受けると、止水接着剤2は、隣接する導体単線1間の摩擦応力及び損傷を軽減することもでき、これにより、動的海底ケーブルが大水深に位置する場合、動的海底ケーブルの耐用年数を延長することができる。また、導体シールド層5、絶縁層6及び絶縁シールド層7は、三層共押出構造を形成しており、アルミニウム合金導体ユニット27を撚り合わせると凹凸のある表面が形成され、局所的な電界集中が発生するが、導体シールド層5を設けることにより、アルミニウム合金導体ユニット27への局所的な電界集中を軽減するため、アルミニウム合金導体ユニット27の表面の電界の分布が均一になることを確保することができ、絶縁層6は、絶縁の役割を果たすことができ、絶縁シールド層7は、電界を遮蔽するために使用され、つまり、絶縁シールド層7を設けることにより、絶縁シールド層7の外側に電力線の分布がなく、これにより、絶縁シールド層7の内部と外部の間の隙間を回避することができ、動的海底ケーブルに対する絶縁強度の影響を軽減することができる。
【0025】
上記のように設けることにより、動的海底ケーブルが優れた止水性能と引張強度を有し、大水深での強度要件を満たすことができるため、動的海底ケーブルの耐用年数を延長することができ、動的海底ケーブルは、浮体式風車の大きなずれ又は台風の影響による激しい揺れに直面しても、電力及び通信の伝送を確保することができる。
【0026】
好ましくは、導体単線1は、高強度アルミニウム合金単線6201-T81であり、アルミニウム合金単線の強度は、305MPa~330MPaに達する必要があり、銅単線と比較して、アルミニウム合金単線は、水中での比強度が高く、つまり、アルミニウム合金単線を使用した動的海底ケーブルは、より小さな断面積で引張強度要件を満たすことができ、同時に、動的海底ケーブル自体の重量も軽減できるため、動的海底ケーブルが大水深での強度要件を満たすことができ、同時に、導体単線1にアニール処理を施すことにより、導体単線1の機械的応力を除去することができる。
【0027】
好ましくは、動的海底ケーブルの柔軟性と水密性の使用要件に従って、外側シース20は、低密度又は高密度のポリエチレン材料で作られる。
【0028】
本願の実施例では、アルミニウム合金導体ユニット27の外側に止水テープ3と半導電性結束テープ4を順に巻き付けることにより、アルミニウム合金導体ユニット27の止水性能をさらに向上させることができる。半導電性結束テープ4の外周には、導体シールド層5、絶縁層6及び絶縁シールド層7によって形成された三層共押出構造が設けられる。
【0029】
本願の実施例では、各導体層23のピッチと当該導体層23の外径は、10DA≦h≦16DAを満たす。ここで、DAが導体層の外径であり、hが導体層のピッチである。
【0030】
なお、「ピッチ」とは、導体単線1が撚り合せの軸方向に一回転して移動する距離(即ち、ケーブルコア21の軸方向長さ)を意味する。このように設けられたアルミニウム合金導体ユニット27は、より高い引張強度を有する。
【0031】
好ましくは、各導体層23のピッチは、当該導体層の外径の13.5倍である。
【0032】
本願の実施例では、複数本の導体単線1が非圧縮の撚り方式で撚り合わせられてアルミニウム合金導体ユニット27となり、各導体層23には、6n本の導体単線1が含まれ、各導体層23の外径DA=(2n+1)dであり、nが導体層の層数であり、dが導体単線の直径である。
【0033】
上記の技術的解決手段では、nが自然数であり、アルミニウム合金導体ユニット27の撚り合わせには、ナノ金型を金型として使用する必要があり、金型の内径サイズは、各導体層23の外径DAよりも0.3mm~0.5mm小さい。これにより、アルミニウム合金構造体の塑性硬化を緩和し、アルミニウム合金導体ユニット27の疲労寿命を延長することができる。
【0034】
本願の実施例では、止水接着剤2は、充填前にペースト状になる必要があり、硬化タイプが熱硬化性であり、硬化後にエラストマーとなり、これにより、曲げ引張荷重による導体単線1間の摩擦応力及び損傷を軽減することができる。
【0035】
好ましくは、止水接着剤2は、高温耐性があり、130℃で滴下せず、体積抵抗率が1×105Ω・cm以下である半導電性止水接着剤である。
【0036】
図1及び
図3に示すように、本願の実施例では、ケーブルコア21は、絶縁シールド層7の外周に設けられた金属シールド層9をさらに含み、金属シールド層9は、径方向に離間して設けられた2本の銅テープ91と、2本の銅テープ91の間に設けられた半導電性止水テープ92とを含む。
【0037】
上記の技術的解決手段では、金属シールド層9は、2本の銅テープ91を含み、2本の銅テープ91は、短絡電流を増大させることができ、同時に、線路の充電電流及び循環電流を流すこともできる。金属シールド層9の内側及び外側には、それぞれ第1半導電性緩衝テープ8と第2半導電性緩衝テープ10が設けられ、銅テープの巻き付けプロセスにおいて、銅テープ91が隣接する緩衝テープを押圧するが、半導電性止水テープ92を設けることにより、銅テープ91が巻き付けられると半導電性止水テープ92を押圧するため、半導電性止水テープ92は、アルミニウム合金導体ユニット27の軸方向に止水役割を果たすことができ、同時に、半導電性止水テープ92は、三層共押出構造への金属シールド層9の圧力を緩和し、電気的動作の安全性を確保することもできる。一方で、海底ケーブルの伸張と曲げを繰り返すプロセスにおいて、半導電性止水テープ92は、2本の銅テープ91間の相互摩擦を低減し、ケーブルコア21の動的疲労性能を高め、2本の銅テープ91間の相互摩擦による銅テープ91の破損さらには故障の問題を回避することもでき、銅テープ91の疲労寿命を向上させることができる。
【0038】
図1に示すように、本願の実施例では、動的海底ケーブルは、充填構造13をさらに含み、隣接する2本のケーブルコア21の間に充填構造13が設けられ、充填構造13の一方の側には、ケーブルコア21の外壁面に適合する接触面25が設けられ、充填構造13の他方の側には、光学ユニット12を収容するための収容溝26が開設される。
【0039】
上記のように設けることにより、充填構造13は、隣接する2本のケーブルコア21の間の隙間を充填することができ、これにより、動的海底ケーブルが大きくずれたり、激しく揺れたりする場合、複数のケーブルコア21の相対移動を回避することができ、動的海底ケーブルの使用の安定性が確保され、同時に、充填構造13を設けることにより、動的海底ケーブルの真円度を向上させ、ケーブルコア21の耐側圧性を高めることができ、また、充填構造13の外側に光学ユニットを配置することにより、光信号伝送及びオンラインモニタリングなどの機能を実現することができる。
【0040】
図1に示すように、本願の実施例では、ケーブルコア21及び充填構造13はいずれも3つであり、各充填構造13には、複数の収容溝26が設けられ、各収容溝26には、光学ユニット12が設けられる。
【0041】
上記の技術的解決手段では、各充填構造13に2つの収容溝26(
図1に示されず)が設けられるため、各充填構造13には、2つの光学ユニット12が配置可能である。
【0042】
上記のように設けることにより、縦型ケーブル成形機器の改造により、2本の光学ユニット12を同時に配線してケーブルに形成することができ、これにより、実際の使用ニーズに応じて、作業者は、配置される光学ユニット12の数を選択することができる。
【0043】
本願の1つの実施例では、充填構造13は、PPプラスチック又はPEプラスチック、又はPPプラスチックとPEプラスチックの両方で作られる。これにより、ケーブルコア21の耐側圧性を高めることができ、同時に、光学ユニット12が曲がらないように保護される。
【0044】
好ましくは、異なる適用シナリオに応じて、材料成形プロセスに炭酸カルシウム、二酸化ケイ素などの材料を充填構造13に添加することができ、充填構造13の強度が向上する。
【0045】
図1に示すように、本願の実施例では、装甲層22は、平鋼線を撚り合わせたものであり、装甲層22は、複数であり、隣接する2つの装甲層22の平鋼線の撚り合わせ方向は、逆である。
【0046】
上記の技術的解決手段では、装甲層22は、2つであり、2つの装甲層22の平鋼線の撚り合わせ方向が逆であり、これにより、トルクバランス設計を満たすことができ、伸張プロセスにおいて、2つの装甲層22の平鋼線が均一な力を受けることができるため、動的海底ケーブルの強度を向上させ、同時に、動的海底ケーブルの曲げ剛性も向上させることができ、平鋼線は、2つの装甲層22を撚り合わせた後、装甲層22が緻密になるように面取りされる必要がある。
【0047】
上記のように設けることにより、装甲層22が平鋼線で作られ、平鋼線同士が主に面接触であるため、このように設けられた装甲層22の耐摩耗性が向上するとともに、平鋼線の外径が小さくなり、これにより、動的海底ケーブル全体の外径を小さくすることができ、輸送及び施工が容易になる。
【0048】
好ましくは、各装甲層22のピッチは、当該装甲層22の外径の14~15倍である。
【0049】
好ましくは、装甲層22は4つであってもよい。
【0050】
図1に示すように、本願の実施例では、装甲層22の外周には、アスファルト又はアスファルト塗料が塗布される。
【0051】
上記のように設けることにより、動的な環境負荷の下では、アスファルト又はアスファルト塗料は、装甲層22の摩耗を防止及び低減することができ、これにより、大水深、大重量及び厳しい環境負荷の下での動的海底ケーブルの耐用年数をさらに延長することができる。
【0052】
図1に示すように、本願の実施例では、装甲層22の外周には、PPロープ17が巻き付けられる。
【0053】
上記のように設けることにより、PPロープは、装甲層22の平鋼線を緊密に結束することができ、これにより、動的海底ケーブルの耐疲労性をさらに高めることができる。
【0054】
本願の実施例では、第2半導電性緩衝テープ10の外周に防食層11も設けられ、防食層11は、径方向の止水性能を有するため、動的海底ケーブルの内部腐食を防止し、動的海底ケーブルの耐用年数をさらに延長することができる。
【0055】
図4に示すように、本願の実施例は、動的海底ケーブルの成形方法を提供する。前記成形方法は、
【0056】
内側から外側に向かって順に設けられたアルミニウム合金導体ユニット27、導体シールド層5、絶縁層6及び絶縁シールド層7を含むようにケーブルコア21を製造するステップであって、アルミニウム合金導体ユニット27は、複数の導体層23と、隣接する2つの導体層23の間に設けられた止水接着剤2とを含み、各導体層23は、複数本の導体単線1を含むステップと、
【0057】
三角形の構造を構成するように複数のケーブルコア21を設けるステップと、
【0058】
光学ユニット12を製造するプロセスを行うステップと、
【0059】
内側シース15、装甲層22及び外側シース20を、光学ユニット12及び複数のケーブルコア21を取り囲んで、内側から外側に向かって順に設けるステップと、を含む。
【0060】
上記の技術的解決手段では、専用の接着剤塗布機器を使用し、各導体層23の外周に止水接着剤2を塗布し、3本のケーブルコア21が三角形の構造を形成し、光学ユニット12がケーブルコア21の外側の間隙に位置し、ケーブルコア21及び光学ユニット12の外周に内側シース15、装甲層22及び外側シース20を巻き付けて動的海底ケーブルを形成する。
【0061】
本願の実施例では、ケーブルコア21を製造するステップは、
【0062】
複数本の導体単線1を非圧縮同心撚り方式で撚り合わせて複数の導体層23に形成するステップと、
【0063】
最外層にある導体層23を押圧するステップとをさらに含む。
【0064】
上記の技術的解決手段では、複数本の導体単線1を非圧縮規則同心撚り方式で撚り合わせて複数の導体層23を形成し、各導体層23の外周に1本の輪ゴムを加えて止水接着剤2を均一に塗布し、最外層にある導体層23を押圧することでアルミニウム合金導体ユニット27の最外層をより丸くして次の三層押出工程の要件を満たすことができ、このステップでは、アルミニウム合金導体ユニット27の外径は、3%を超えて減少されてはならない。
【0065】
本願の実施例では、アルミニウム合金導体ユニット27を撚り合わせるステップでは、単位長さ当たりのアルミニウム合金導体ユニット27の質量又は抵抗の増分kは、撚り合わせ係数mの関数であり、質量又は抵抗の増分関数は、k=100(m-1)である。
【0066】
上記の技術解決手段では、mが撚り合わせ係数であり、導体単線1の撚り軸方向に一回転した後の展開長さがLであり、撚り係数がm=L/hである。
【0067】
もちろん、撚り合わせ係数mは、単位長さ当たりのアルミニウム合金導体ユニット27の質量(又は抵抗)と同じ断面積の中実導体の質量(又は抵抗)との比率であってもよい。
【0068】
上記のように設けることにより、異なる断面積のアルミニウム合金導体ユニット27を設計する場合、異なる導体層23の層数に基づいて撚り合わせ係数を調整し、増分を変更することができ、それによってアルミニウム合金導体ユニット27は、導体の直流抵抗の要件を満たすことができる。
【0069】
本願の実施例では、ケーブルコア21を製造する場合、異なる層数のアルミニウム合金導体ユニット27の定格損失係数は、次のとおりである。
【0070】
アルミニウム合金導体ユニットの定格損失係数
【表1】
【0071】
上記の技術的解決手段では、単線数とは、アルミニウム合金導体ユニット27における導体単線1の総数を意味し、定格損失係数は、製造及び設計プロセスにおけるアルミニウム合金導体ユニット27の最小損失係数、即ちアルミニウム合金導体ユニットの実際に測定された破断強度と理論的に計算された破断強度との比率である。
【0072】
本願の実施例では、成形方法は、装甲層22の磨耗を防止及び軽減するために、装甲層22の外周にアスファルト又はアスファルト塗料を塗布するステップをさらに含む。
【0073】
本願の実施例では、成形方法は、装甲層22の外周にPPロープを巻き付けて装甲層22の平鋼線を緊密に結束するステップをさらに含み、これにより、動的海底ケーブルの耐疲労性がさらに向上する。
【0074】
上記の説明から分かるように、本願の上記実施例は、次のような技術的効果を達成する。即ち、アルミニウム合金止水導体は、円形の非圧縮設計を採用しており、アルミニウム合金構造の塑性硬化の問題を緩和し、アルミニウム合金導体の疲労寿命を延長することができ、隣接する2つの導体層の間に止水接着剤が充填され、アルミニウム合金導体ユニットは、緊密なエンティティを形成することができ、止水接着剤は、複数の導体単線間の隙間の止水性能を向上させることができ、同時に、曲げ引張荷重を受けると、止水接着剤は、隣接する導体単線間の摩擦応力及び損傷を軽減することもでき、これにより、動的海底ケーブルが大水深に位置する場合、動的海底ケーブルの耐用年数を延長することができる。また、導体シールド層、絶縁層及び絶縁シールド層は、三層共押出構造を形成しており、導体シールド層は、アルミニウム合金導体ユニットを撚り合わせると形成される凹凸のある表面によって引き起こされる局所的な電界集中を軽減し、それによってアルミニウム合金導体ユニット表面の電界分布が均一になることを確保することができ、絶縁層は、絶縁の役割を果たすことができ、絶縁シールド層は、電界を遮蔽するために使用され、つまり、絶縁シールド層を設けることにより、絶縁シールド層の外側に電力線の分布がなく、これにより、絶縁シールドの内部と外部の間の隙間を回避することができ、それによって動的海底ケーブルに対する絶縁強度の影響を軽減することができる。半導電性止水テープは、2本の銅テープ間の相互摩擦を低減し、ケーブルコアの動的疲労性能を高めることができ、充填構造は、動的海底ケーブルの真円度を向上させ、ケーブルコアの耐側圧性を高めることができ、2つの装甲層の平鋼線が均一な力を受けることができるため、動的海底ケーブルの強度を向上させることができ、アスファルト又はアスファルト塗料は、装甲層の摩耗を防止及び低減することができる。
【0075】
上記は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではなく、当業者にとって、本願に対して様々な変更及び変形を行うことができる。本願の精神及び原則の範囲内で行われるいかなる変更、同等の置き換え、改良等も本願の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0076】
ここで、上記の図面には、以下の図面記号が含まれる。
【0077】
1、導体単線、2、止水接着剤、3、止水テープ、4、半導電性結束テープ、5、導体シールド層、6、絶縁層、7、絶縁シールド層、8、第1半導電性緩衝テープ、9、金属シールド層、91、銅テープ、92、半導電性止水テープ、10、第2半導電性緩衝テープ、11、防食層、12、光学ユニット、13、充填構造、15、内側シース、17、PPロープ、20、外側シース、21、ケーブルコア、22、装甲層、23、導体層、25、接触面、26、収容溝、27、アルミニウム合金導体ユニット。
【国際調査報告】