(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】フォールトトレラントクラスター状態を調製するための技術
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20241031BHJP
【FI】
G06N10/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533281
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 US2022051990
(87)【国際公開番号】W WO2023107475
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593152720
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【住所又は居所原語表記】2 Whitney Avenue, New Haven, CT 06510, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】プーリ,シュルティ
(72)【発明者】
【氏名】クラース,ジャハン
(57)【要約】
量子コンピューター計算、量子ネットワーキングおよび他の適用における使用のためのフォールトトレラントなクラスター状態を生成するための量子システムおよび技術が記載される。該システムおよび技術は、第1のキュービットで状態を初期化することならびに第1のキュービットのX型および/またはZ型キュービットの組上で第1のパウリ積測定を実行することにより初期リソース状態を生成することを含み、該初期リソース状態は、少なくとも3つのキュービットを含むキュービットクラスター状態を含む。次いで最終クラスター状態は、2つ以上の初期リソース状態を融合することにより生成され得、融合することは、2つ以上の初期リソース状態のキュービットの間で第2のパウリ積測定を実行することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコントローラー;および
少なくとも1つのコントローラーにXZZXクラスター状態を生成させるように構成されるコンピューター読み取り可能指示を記憶する、少なくとも1つの非一時的コンピューター読み取り可能媒体を含む、量子システムであって、該生成することが:
第1のキュービットにおいて状態を初期化すること、ここで第1のキュービットはX型およびZ型キュービットを含む;
第1のキュービットのX型および/またはZ型キュービットの組上で第1のパウリ積測定を実行することにより初期リソース状態を生成すること、ここで初期リソース状態は少なくとも3つのキュービットを含むキュービットクラスター状態を含む;ならびに
2つ以上の初期リソース状態を融合することによりXZZXクラスター状態を生成すること、ここで融合することは、2つ以上の初期リソース状態のキュービットの間で第2のパウリ積測定を実行することを含む、
を含む、量子システム。
【請求項2】
単一の光子源をさらに含み、第1のキュービットにおいて状態を初期化することが、単一の光子源を使用してフォトニックキュービットを生成することを含む、請求項1記載の量子システム。
【請求項3】
初期リソース状態を生成することが:
2つのX型キュービットおよび1つのZ型キュービットにおいて状態を初期化すること;ならびに
初期化されたキュービット上で3キュービットZ測定を実行することにより第1の3キュービットクラスター状態を生成すること
により、第1の3キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項1または2記載の量子システム。
【請求項4】
初期リソース状態を生成することが、第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することにより5キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項3記載の量子システム。
【請求項5】
第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することが:
2つのX型キュービットのそれぞれとZ型キュービットとの間で2キュービットZ測定を実行すること;および
2つのX型キュービットのそれぞれとZ型キュービットとの間で2キュービットX測定を実行すること
を含む、請求項4記載の量子システム。
【請求項6】
初期リソース状態を生成することが:
3つのZ型キュービットおよび1つのX型キュービットにおいて状態を初期化すること;ならびに
3つのZ型キュービットのそれぞれと1つのX型キュービットとの間で2キュービットZ測定を実行することにより4キュービットクラスター状態を生成すること
により4キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項1~5いずれか記載の量子システム。
【請求項7】
初期リソース状態を生成することが:
さらなるX型キュービットにおいて状態を初期化すること;および
さらなるX型キュービットと4キュービットクラスター状態の1つのX型キュービットとの間でCZゲートを実行すること
により5キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項6記載の量子システム。
【請求項8】
初期リソース状態を生成することが:
4つのX型キュービットにおいて状態を初期化すること;および
初期化された4つのX型キュービットのキュービットのペアの間で2キュービットX測定を実行することにより4キュービットクラスター状態を生成すること
により4キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項1~7いずれか記載の量子システム。
【請求項9】
4キュービットクラスター状態を生成することが、初期化された4つのX型キュービットの3つのZ測定を実行することをさらに含む、請求項8記載の量子システム。
【請求項10】
初期リソース状態を生成することが:
3つの3キュービットクラスター状態を生成すること;ならびに
3つの3キュービットクラスター状態のキュービットを融合して、2つのZ型キュービットおよび4つのX型キュービットを含む6キュービットクラスター状態を生成すること
により6キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項1~9いずれか記載の量子システム。
【請求項11】
3つの3キュービットクラスター状態を生成することが:
6つのX型キュービットおよび3つのZ型キュービットにおいて状態を初期化すること;ならびに
3つの3キュービットクラスター状態のそれぞれについて、少なくとも4つの2キュービットXおよび/またはZ測定を実行して、3つの3キュービットクラスター状態を生成すること
を含む、請求項10記載の量子システム。
【請求項12】
2つ以上の初期リソース状態を融合することが、第1の初期リソース状態の第1のキュービットと第2の初期リソース状態の第2のキュービットとの間でベル測定を実行することを含む、請求項1~11いずれか記載の量子システム。
【請求項13】
中性トラップ原子を含む複数の物理キュービット;および
複数の物理キュービットにカップリングされる1つ以上の光またはマイクロ波の供給源
をさらに含む、請求項1または3~12いずれか一項記載の量子システム。
【請求項14】
量子情報処理における使用のためにXZZXクラスター状態を生成する方法であって、生成することが:
第1のキュービットにおいて状態を初期化すること、ここで第1のキュービットはX型およびZ型キュービットを含む;
第1のキュービットのXおよび/またはZキュービットの組上で第1のパウリ積測定を実行することにより初期リソース状態を生成すること、ここで初期リソース状態は少なくとも3つのキュービットを含むキュービットクラスター状態を含む;ならびに
2つ以上の初期リソース状態を融合することによりXZZXクラスター状態を生成すること、ここで融合することは、2つ以上の初期リソース状態のキュービットの間で第2のパウリ積測定を実行することを含む、
を含む、方法。
【請求項15】
第1のキュービットにおいて状態を初期化することが、単一の光子源を使用してフォトニックキュービットを生成することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
初期リソース状態を生成することが:
2つのX型キュービットおよび1つのZ型キュービットにおいて状態を初期化すること;ならびに
初期化されたキュービット上で3キュービットZ測定を実行することにより第1の3キュービットクラスター状態を生成すること
により第1の3キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
初期リソース状態を生成することが、第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することにより5キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項14~16いずれか記載の方法。
【請求項18】
第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することが:
2つのX型キュービットのそれぞれとZ型キュービットとの間で2キュービットZ測定を実行すること;および
2つのX型キュービットのそれぞれとZ型キュービットとの間で2キュービットX測定を実行すること
を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
初期リソース状態を生成することが:
3つのZ型キュービットおよび1つのX型キュービットにおいて状態を初期化すること;ならびに
3つのZ型キュービットのそれぞれと1つのX型キュービットとの間で2キュービットZ測定を実行することにより4キュービットクラスター状態を生成すること
により4キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項14~18いずれか記載の方法。
【請求項20】
初期リソース状態を生成することが:
さらなるX型キュービットにおいて状態を初期化すること;および
さらなるX型キュービットと4キュービットクラスター状態の1つのX型キュービットとの間でCZゲートを実行すること
により5キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
初期リソース状態を生成することが:
4つのX型キュービットにおいて状態を初期化すること;および
初期化された4つのX型キュービットのキュービットのペアの間で2キュービットX測定を実行することにより4キュービットクラスター状態を生成すること
により4キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項14~20いずれか記載の方法。
【請求項22】
4キュービットクラスター状態を生成することが、初期化された4つのX型キュービットの3つのZ測定を実行することをさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
初期リソース状態を生成することが:
3つの3キュービットクラスター状態を生成すること;ならびに
3つの3キュービットクラスター状態のキュービットを融合して、2つのZ型キュービットおよび4つのX型キュービットを含む6キュービットクラスター状態を生成すること
により6キュービットクラスター状態を生成することを含む、請求項14~22いずれか記載の方法。
【請求項24】
3つの3キュービットクラスター状態を生成することが:
6つのX型キュービットおよび3つのZ型キュービットにおいて状態を初期化すること;ならびに
3つの3キュービットクラスター状態のそれぞれについて、少なくとも4つの2キュービットXおよび/またはZ測定を実行して、3つの3キュービットクラスター状態を生成すること
を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
2つ以上の初期リソース状態を融合することが、第1の初期リソース状態の第1のキュービットと第2の初期リソース状態の第2のキュービットとの間でベル測定を実行することを含む、請求項14~24いずれか記載の方法。
【請求項26】
第1のキュービットが複数の中性トラップ原子キュービットを含み、第1のキュービットにおいて状態を初期化することが:
1つ以上の光またはマイクロ波の供給源を使用して1つ以上の光またはマイクロ波のシグナルを生成すること;および
生成された1つ以上の光またはマイクロ波のシグナルを第1のキュービットに伝達して、状態を初期化すること
を含む、請求項14または16~25いずれか一項記載の方法。
【請求項27】
複数の物理キュービットを含む量子システムを使用してフォールトトレラントクラスター状態を構築する方法であって、
複数の物理キュービットの物理キュービットにおいてX開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを初期化する工程;
複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットをX型キュービットであるように初期化する工程;ならびに
X基準において複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットを測定して、対応するクラスター状態のXZZXスタビライザを測定する工程
を含む、方法。
【請求項28】
X開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを初期化する工程が、1つ以上のCXおよび/またはCZゲートを複数の物理キュービットの1つ以上に適用することを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
X基準でX型物理キュービットを測定すること;および
Z基準でZ型物理キュービットを測定すること
により、論理情報を、複数の物理キュービットの他の物理キュービットにテレポートする工程をさらに含む、請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
X型物理キュービット上のZ誤りまたはZ型物理キュービット上のX誤りの1つを測定することにより複数の物理キュービットの1つにおいて誤りを検出する工程をさらに含む、請求項27~29いずれか記載の方法。
【請求項31】
誤りを検出する工程が:
少なくとも1つのX型キュービットを測定することによりはじかれたスタビライザを検出することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
複数の物理キュービット;
複数の駆動波形を記憶する少なくとも1つのコンピューター読み取り可能媒体;および
複数の物理キュービットの物理キュービットにおいてX開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを初期化し;
複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットをX型キュービットであるように初期化し;
X基準で複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットを測定して対応するクラスター状態のXZZXスタビライザを測定する
ように構成される少なくとも1つのコントローラー
を含む、量子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2021年12月6日に出願され、発明の名称「Technique for preparing a fault-tolerant cluster state」である米国仮特許出願第63/286,362号および2021年12月22日に出願され、発明の名称「TECHNIQUE FOR PREPARING A FAULT-TOLERANT CLUSTER STATE」である米国仮特許出願第63/292868号の35 U.S.C. §119(e)下の利益を主張し、それらのそれぞれは、その全体において参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府により支援される研究に関する陳述
本発明は、米国科学財団により授与されたOMA-2137740の下、政府支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
量子情報処理技術は、1つ以上の量子対象を操作することによりコンピューター計算(computation)を行う。これらの技術は時々、「量子コンピューター計算」と称される。コンピューター計算を行うために、量子情報プロセッサは、情報を信頼性高く記憶しかつ引き出す(retrieve)ための量子対象を利用する。いくつかの量子情報処理アプローチによって、量子ビットまたは「キュービット」と称される、古典的コンピューター計算「ビット」(1または0に等しい)に対する量子アナログが開発された。キュービットは、(1状態および0状態と考えられ得る)2つの異なる状態を有する任意の量子システムで構成され得るが、該システムが量子重ね合わせに配置され得、それにより一度にこれらの状態の両方に存在し得るという特別な性質も有する。
【発明の概要】
【0004】
簡単な概要
いくつかの態様は量子システムに関する。量子システムは、少なくとも1つのコントローラー、および少なくとも1つのコントローラーがXZZXクラスター状態を作成するように構成されるコンピューター読み取り可能指示を記憶する少なくとも1つの非一時的コンピューター読み取り可能媒体を含む。XZZXクラスター状態を生成することは:第1のキュービットで状態を初期化すること、ここで第1のキュービットはX型およびZ型キュービットを含む;第1のキュービットのX型および/またはZ型キュービットの組で第1のパウリ積測定を実行することにより初期リソース状態(initial resource state)を生成すること、ここで初期リソース状態は、少なくとも3つのキュービットを含むキュービットクラスター状態を含む;ならびに2つ以上の初期リソース状態を融合することによりXZZXクラスター状態を生成すること、ここで該融合することは、2つ以上の初期リソース状態のキュービットの間で第2のパウリ積測定を実行することを含む、を含む。
【0005】
いくつかの態様は、XZZXクラスター状態を生成する方法に関する。XZZXクラスター状態を生成することは:第1のキュービットで状態を初期化すること、ここで第1のキュービットは、X型およびZ型キュービットを含む;第1のキュービットのXおよび/またはZキュービットの組で第1のパウリ積測定を実行することにより初期リソース状態を生成すること、ここで初期リソース状態は、少なくとも3つのキュービットを含むキュービットクラスター状態を含む;ならびに2つ以上の初期リソース状態を融合することによりXZZXクラスター状態を生成すること、ここで該融合することは、2つ以上の初期リソース状態のキュービットの間で第2のパウリ積測定を実行することを含む、を含む。
【0006】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、2つのX型キュービットおよび1つのZ型キュービットの状態を初期化すること;ならびに初期化されたキュービット上で3キュービットZ測定を実行することにより第1の3キュービットクラスター状態を生成することにより、第1の3キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0007】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと、第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することにより5キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0008】
いくつかの態様において、第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと、第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することは:2つのX型キュービットのそれぞれとZ型キュービットの間で2キュービットZ測定を実行すること;および2つのX型キュービットのそれぞれとZ型キュービットの間で2キュービットX測定を実行することを含む。
【0009】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは:3つのZ型キュービットおよび1つのX型キュービットで状態を初期化すること;ならびに3つのZ型キュービットのそれぞれと1つのX型キュービットの間で2キュービットZ測定を実行することにより4キュービットクラスター状態を生成することにより、4キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0010】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは:さらなるX型キュービットで状態を初期化すること;およびさらなるX型キュービットと4キュービットクラスター状態の1つのX型キュービットの間でCZゲートを実行することにより、5キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0011】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは:4つのX型キュービットで状態を初期化すること;および初期化された4つのX型キュービットのキュービットのペアの間で2キュービットX測定を実行することにより4キュービットクラスター状態を生成することにより、4キュービットクラスター状態を生成することを含む。いくつかの態様において、4キュービットクラスター状態を生成することは、初期化された4つのX型キュービットの3つのZ測定を実行することをさらに含む。
【0012】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは:3つの3キュービットクラスター状態を生成すること;ならびに3つの3キュービットクラスター状態のキュービットを融合して、2つのZ型キュービットおよび4つのX型キュービットを含む6キュービットクラスター状態を生成することにより、6キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0013】
いくつかの態様において、3つの3キュービットクラスター状態を生成することは:6つのX型キュービットおよび3つのZ型キュービットで状態を初期化すること;ならびに3つの3キュービットクラスター状態のそれぞれについて、少なくとも4つの2キュービットXおよび/またはZ測定を実行して、3つの3キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0014】
いくつかの態様において、2つ以上の初期リソース状態を融合することは、第1の初期リソース状態の第1のキュービットと第2の初期リソース状態の第2のキュービットの間でベル測定を実行することを含む。
【0015】
いくつかの態様において、第1のキュービットで状態を初期化することは、単一の光子源を使用して、フォトニックキュービットを生成することを含む。
【0016】
いくつかの態様において、第1のキュービットの状態を初期化することは:1つ以上の光またはマイクロ波の供給源を使用して1つ以上の光またはマイクロ波のシグナルを生成すること;および生成された1つ以上の光またはマイクロ波のシグナルを第1のキュービットに伝達して、状態を初期化することを含む。
【0017】
いくつかの態様は量子システムに関する。量子システムは:複数の物理キュービット;複数の駆動波形を記憶する少なくとも1つのコンピューター読み取り可能媒体;および複数の物理キュービットの物理キュービットにおいてX開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを初期化して;複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットをX型キュービットとなるように初期化して;X基準において複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットを測定して、対応するクラスター状態のXZZXスタビライザを測定するように構成される少なくとも1つのコントローラーを含む。
【0018】
いくつかの態様は、複数の物理キュービットを含む量子システムを使用してフォールトトレラントクラスター状態を構築する方法に関する。該方法は:複数の物理キュービットの物理キュービットにおいてX開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを初期化すること;複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットをX型キュービットとなるように初期化すること;ならびにX基準において複数の物理キュービットの少なくとも1つの物理キュービットを測定して、対応するクラスター状態のXZZXスタビライザを測定することを含む。
【0019】
いくつかの態様において、X開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを初期化することは、1つ以上のCXおよび/またはCZゲートを複数の物理キュービットの1つ以上に適用することを含む。
【0020】
いくつかの態様において、該方法は、論理情報を、X基準においてX型物理キュービットを測定すること;およびZ基準においてZ型物理キュービットを測定することにより、複数の物理キュービットの他の物理キュービットにテレポートすることをさらに含む。
【0021】
いくつかの態様において、該方法は、X型物理キュービット上のZ誤りまたはZ型物理キュービット上のX誤りの1つを測定することにより、複数の物理キュービットの1つにおいて誤りを検出することをさらに含む。
【0022】
いくつかの態様において、誤りを検出することは:少なくとも1つのX型キュービットを測定することによりはじかれたスタビライザを検出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面の簡単な説明
以下の図面を参照して、種々の局面および態様を説明する。図は必ずしも一定の割合で描かれない。明確化のために、全ての図において、全てではない構成要素に符号が付されることがある。図面において、
【
図1】
図1Aは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、Raussendorf-Harrington-Goyal (RHG)表面コードを示す概略図である。
図1Bは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XZZX表面コードを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、RHGおよび/またはXZZX表面コードを初期化するのに適した例示的な量子システムの概略図である。
【
図3】
図3は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、RHGおよび/またはXZZX表面コードを初期化するために適した別の例示的な量子システムの概略図である。
【
図4-1】
図4Aおよび4Bは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、|+>状態で初期化される2つのキュービットの間のカップリングおよび|+>状態で初期化されるキュービットおよび任意の状態|ψ>で初期化されるキュービットの間のカップリングの概略的表記を図示する概略図であり、ここでカップリングはCZゲートにより生成される。
図4Cは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、論理演算子およびスタビライザ測定を使用した一次元クラスター状態のテレポーテーションを図示する概略図である。
図4Dは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、論理演算子のみを使用する一次元クラスター状態のテレポーテーションを図示する概略図である。
【
図4-2】
図4Eは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、多キュービット論理演算子がテレポーテーションの間に測定されるように、アンシラキュービットを一次元クラスター状態にカップリングすることによりRHGクラスター状態の形成を図示する概略図である。
図4Fは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、RHGクラスター状態を示す概略図である。
図4Gは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、RHGクラスター状態におけるXおよびZ誤りの概略図である。
【
図5-1】
図5A、5Bおよび5Cは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、(i)|0>状態で初期化されるZ型キュービットと|+>状態で初期化されるX型キュービットの間、(ii)|0>状態で初期化されるZ型キュービットと任意の状態|ψ>で初期化されるX型キュービットの間、および(iii)任意の状態|ψ>で初期化されるZ型キュービットと|+>状態で初期化されるX型キュービットの間のカップリングの概略的表記を図示する概略図であり、ここでカップリングはCXゲートにより生成される。
図5Dは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、論理演算子およびスタビライザ測定を使用してX型キュービットで開始される一次元クラスター状態のテレポーテーションを図示する概略図である。
図5Eは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、論理演算子のみを使用してX型キュービットで開始される一次元クラスター状態のテレポーテーションを図示する概略図である。
【
図5-2】
図5Fは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、論理演算子およびスタビライザ測定を使用してZ型キュービットで開始される一次元クラスター状態のテレポーテーションを図示する概略図である。
図5Gは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、論理演算子のみを使用してZ型キュービットで開始される一次元クラスター状態のテレポーテーションを図示する概略図である。
図5Hは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、多キュービット論理演算子がテレポーテーションの間に測定されるように、アンシラキュービットを一次元クラスター状態にカップリングすることによりXZZXクラスター状態の形成を図示する概略図である。
【
図5-3】
図5Iは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XZZX表面コードの単位胞の概略図である。
図5Jは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XZZX表面コードにおけるXおよびZ誤りの効果の概略図である。
【
図6】
図6は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XZZXおよびRHGクラスター状態についての偏りの関数としての閾値誤り率を示すグラフである。
【
図7-1】
図7Aおよび7Bは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XおよびZ型キュービットのペア上の例示的な融合測定の概略図である。
図7Cおよび7Dは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、例示的な3および4キュービットクラスター状態の概略図である。
【
図7-2】
図7Eは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、3キュービットクラスター状態を融合することにより、より大きな5キュービットクラスター状態の生成を図示する概略図である。
図7Fは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、別の5キュービットクラスター状態の生成を図示する概略図である。
図7Gは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、5キュービットクラスター状態を使用するXZZXクラスター状態の一部の生成を図示する概略図である。
【
図7-3】
図7Hは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、5キュービットクラスター状態の整列を図示する概略図である。
【
図8-1】
図8Aおよび8Bは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XZZXクラスター状態を生成するために使用され得る代替的な4キュービットクラスター状態を図示する概略図である。
【
図8-2】
図8Cは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図8Aおよび8Bの4キュービットクラスター状態を生成するための例示的なフォトニック回路の概略図である。
【
図9-1】
図9Aは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、6キュービットクラスター状態を図示する概略図である。
図9Bおよび9Cは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図9Aの6キュービットクラスター状態を生成するために使用され得る3キュービットクラスター状態を図示する概略図である。
図9Dは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図9Aの6キュービットクラスター状態を生成するために使用される融合プロセスを図示する概略図である。
【
図9-2】
図9Eは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図9Bおよび9Cの3キュービットクラスター状態を生成するための例示的なフォトニック回路の概略図である。
【
図9-3】
図9Fは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図9Aの6キュービットクラスター状態を生成するための例示的なフォトニック回路の概略図である。
図9Gおよび9Hは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、Z型およびX型キュービットのペア上の融合操作を図示する概略図である。
【
図9-4】
図9Iは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、6キュービットクラスター状態を連結してXZZXクラスター状態を形成するために使用される融合パターンを図示する概略図である。
【
図10】
図10は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、4キュービットおよび6キュービットのクラスター状態を使用するXZZXクラスター状態の生成のための融合操作の失敗の確率の関数としての光子当たりの消失の確率のプロットである。
【
図11】
図11は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、融合測定を使用してXZZXクラスター状態を生成するプロセスを説明するフローチャートである。
【
図12】
図12は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、例示的な従来のコンピューターシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
量子コンピューターを構築するための2つの主要なアプローチがある。回路モデル量子コンピューター計算において、コンピューター計算を通じて固定されたままであるキュービットにゲートが適用される。対照的に、測定に基づく量子コンピューター計算(measurement-based quantum computing)(MBQC)は、「クラスター状態」として知られる多体もつれ状態を含むもつれリソース状態においてキュービットを調製することにより進行する。次いでクラスター状態は、特定の基準においてキュービットを測定することによりコンピューター計算を実行するために使用され得る。光子は、調製される直後に測定されるので、MBQCは、フォトニック量子コンピューター計算プラットフォームに特に適しているが、空洞量子電磁力学(cQED)システム、トラップされた中性原子量子コンピューター計算システムおよびトラップされたイオン量子コンピューター計算システムにも適用可能である。MBQCは、物理的に利用可能なゲートおよび他の操作が物理的ハードウェアにおいて制限される場合、例えば破壊的な単一または多キュービット測定のみが物理的レベルで利用可能である場合にも適切である。MBQCとは別に、クラスター状態は、頑強な量子通信およびネットワーキングにも有用である。
【0025】
量子テクノロジーの構築における主要な困難さは、物理的量子ハードウェアにおいて誤りを訂正することである。量子誤り訂正コードは、誤りの確率がいくつかの閾値未満であると仮定すると、情報を冗長的に分類することにより、ハードウェアにおいて誤りを検出および訂正することを可能にする。高い誤り閾値を有する誤り訂正コードは、より雑音の多いハードウェアを許容し得るので望ましい。
【0026】
本発明者らは、誤り訂正コードがクラスター状態に埋め込まれ得ることを認識および理解している。回路モデルにおける量子誤り訂正コードは、葉状化(foliation)として知られる方法を使用して、MBQCについての誤り訂正クラスター状態に変換され得る。広く使用される標準的なクラスター状態はRaussendorf-Harrington-Goyal (RHG)格子と称される。このクラスター状態は、
図1Aに示される標準的な表面コードを葉状化することにより生成される。二次元表面コード100は、XおよびZスタビライザを有する交互のプラケット(plaquette)104および106において整列されるキュービット102の網目構造を特徴とする。RHG格子は、|+>状態にあるキュービットを有する標準的な表面コード100を調製し、次いで制御相(CZ)ゲートを使用してキュービットのペアをもつれさせることにより構築される。
【0027】
本発明者らは、いくつかのキュービットハードウェアが、非対称または偏った雑音を示し(例えば位相フリップなどの1種類の誤りが、ビットフリップなどの他のものよりも支配的である場合)、この特徴がより効率的な誤り訂正に活用され得ることをさらに認識している。本発明者らは、葉状化のプロセスが高い確率の誤りを低い確率の誤りに変換し、雑音チャンネルを有効に対称的にすることを認識および理解している。すなわち、このプロセスは偏り保存ではない。XZZXコードなどの新規の種類の表面コードが、回路に基づくアプローチにおける偏った雑音の有効な誤り訂正のために最近発見された。XZZX表面コード110は、
図1Bに概略的に示され、それぞれのプラケット114上に同じXおよびZスタビライザを有するキュービット112の網目構造を含む。
【0028】
本発明者らは、XZZX表面コードなどのコードの標準的な葉状化は、基礎となるキュービットが上述の雑音対称化効果のために偏った雑音を有する場合であっても高い閾値のクラスター状態を生じないことを認識している。したがって、本発明者らは、偏り保存であるMBQCシステムのための誤り訂正コードを開発した。誤り訂正コードは、測定に基づくモデルにおいてフォールトトレランスのためのツールとしての一般化されたクラスター状態を含む。雑音が位相フリップにより支配される場合、一般化されたクラスター状態は、キュービットを|0>および|+>状態で調製し、次いで制御位相(CZ)および制御not(CX)ゲートの両方を使用してキュービットの対をもつれさせることにより構築される。一般化されたクラスター状態を使用して、雑音偏りを保存する葉状化プロトコルは、構築され得る。この特性により、回路に基づくアプローチにおいて偏った雑音のために設計されるスタビライザコードの高い閾値の葉状化バージョンを構築するための一般化されたクラスター状態の使用が可能になる。この方法は、任意のスタビライザコードに適用され得るが、本明細書における記載は、単純な適合デコーダーにより効率的にデコードされ得る(すなわち誤りの位置が決定され得る)ように、XZZX表面コードを葉状化することに明示的に焦点を当てる。偏った回路レベルの雑音の下で、この新規のクラスター状態、XZZXクラスター状態は、標準的なRHGクラスター状態よりも約2倍高い雑音閾値(すなわち2.2% 対 1.0%未満)を有することが示される。
【0029】
いくつかの態様によると、一般化されたクラスター状態は、2組のスタビライザ演算子:1種類のパウリ演算子の積(例えばパウリZの積)を含む1組および別の種類のパウリ演算子の積(例えばパウリXの積)を含む他の組のスタビライザ状態であるもつれた直鎖のキュービット(「線形クラスター状態」)を使用して、最初に構築される。次いでかかる線形クラスター状態は、標準的な技術を使用して他のスタビライザコードにより葉状化され得る。
【0030】
本明細書に記載される葉状化手順は、一般化されたクラスター状態を使用して既存の葉状化手順を拡大させて、偏った雑音を利用し得る誤り訂正状態を生成する。既存の葉状化手順は雑音偏りを重んじず、Z誤りを、有効なZ誤りおよび有効なX誤りの混合物に変換する。これは、偏りのある雑音に対して高い閾値を有する回路モデルコードを利用することを可能にしない。一般化されたクラスター状態を使用して、偏りのある雑音を保存する葉状化手順が開発され、偏った雑音に対して高い閾値を有する誤り訂正クラスター状態を生じる。
【0031】
いくつかの実験プラットフォームは、一般化されたクラスター状態を生成するための基本的な操作を実現する能力を有する。XZZXクラスター状態による利点を実現するために、自然にMBQCに向いており、その誤りが偏っている高品質キュービットが望ましい。例として、一般化されたクラスター状態は、二重レールフォトニックプラットフォームにおいて実現され得る。さらに、一般化されたクラスター状態はまた、回路-QED、トラップされた中性原子システムおよびオプトメカニクスアーキテクチャーにおいて実現され得る。
【0032】
本願は、量子システムの状態において誤りを訂正するための向上された量子誤り訂正技術に関する。この文脈における「誤り」は、例えばシステムのキュービット喪失、キュービット利得、位相緩和(dephasing)、時間進展等により引き起こされ得、システムに記憶される情報が変化されるようにシステムの状態を変化させる量子システムの状態の変化をいう。
【0033】
I. 例示的なハードウェア実行
図2は、本願の局面を実施するために適した例示的な量子システムを示す。システム200において、物理キュービット210aは、別の物理キュービット210bにカップリングされる。エネルギー源230は、物理キュービット210aおよび/または210bの1つ以上でゲート操作を実行する、物理キュービット210aおよび/または210bの1つ以上に他の操作を適用する(例えば検出された誤りを訂正するため、物理キュービット210aおよび/または210bを使用してクラスター状態を構築するため)またはそれらの組合せなどのシステム上の操作を実行するために、物理キュービット210a、物理キュービット210bの1つまたは両方に、および/またはカップリング機構にエネルギーを供給し得る。
図2は2つの物理キュービット210aおよび210bのみを示すが、いくつかの態様において、本明細書に記載されるテクノロジーの局面がこれに関して限定されないように、複数の物理キュービット210a/210bがあってもよいことが理解されるべきである。
【0034】
いくつかの態様によると、物理キュービット210aおよび/または210bは、任意の電磁気的、機械的、磁気的(例えばマグノンとしても公知の量子化されたスピン波)技術、および/または限定されないが、任意の空洞共振器(例えばマイクロ波空洞)、フォトニックキュービット、トラップされた中性原子キュービットおよび/またはオプトメカニクスキュービットなどの他の技術を使用して実行され得る複数のボゾンモードを支持する任意のボゾンシステムを含み得る。
【0035】
システム200はまた、エネルギー源230、コントローラー240および記憶媒体250に加えてシステム201を含む。いくつかの態様において、予めコンピューター計算された駆動波形のライブラリは、コンピューター読み取り可能記憶媒体上に記憶され得、該波形を量子システムに適用するためにアクセスされ得る。例えばコントローラー240は、(例えばコントローラーに提供されるユーザー入力に応答して)記憶媒体250上に記憶される駆動波形252にアクセスし得、駆動波形を物理キュービット210aおよび/または210bに適用するようにエネルギー源230を制御する。
【0036】
図3は、本願の局面を実施するのに適した別の例示的な量子システムを示す。システム300は、キュービットとしての使用に適した単一の光子および/または光子のペアを生成するように構成される光子源302を含む。
【0037】
いくつかの態様において、光子源302の出力は、光学的構成要素304のアレイにカップリングされる。光学的構成要素304のアレイは、光子源302により生成される、フォトニックキュービット上で1つ以上の量子操作を実行するように構成および整列される任意の適切な光学的構成要素を含み得る。例えば、光学的構成要素304のアレイは、ビームスプリッター304a、位相シフター304bおよび/または光検出器304cを含み得る。
【0038】
いくつかの態様において、光学的構成要素304のアレイは、クラスター状態306を集合させるように、光子源302により生成されるフォトニックキュービット上で一連の操作を実行するように構成され得る。クラスター状態306は、本明細書に記載されるように、任意の適切な様式で集合され得る。したがって、光学的構成要素304のアレイを通過した後、フォトニックキュービットは、クラスター状態306としてのアレイ304からの出力であり得る。
【0039】
II. テレポーテーションを使用したRHGクラスター状態の構築
葉状化は、スタビライザコードからフォールトトレラントクラスター状態を構築するための柔軟なアプローチである。葉状化の一例として、スタビライザコード中のそれぞれのキュービットは、単一の論理的自由度をテレポートさせるために使用され得る一次元クラスター状態で置き換えられ得る。これらの一次元クラスター状態は、コードのスタビライザがテレポーテーションの間に反復的に測定されるようにカップリングされ得る。次いでこれらのクラスター状態は、最初のエンコードされた状態をフォールトトレラント的に記憶するように使用され得る。構築されたクラスター状態はテレポーテーションの間に論理ゲートを適用しないが、ユニバーサルフォールトトレラントMBQCを可能にするように基本的フォールトトレラントクラスター状態を改変するための方法がある。
【0040】
葉状化の考えを説明するために、表面コードを葉状化することによりRHGクラスター状態をどのように構築するかの概観が本明細書に記載される。該プロセスは、単一のキュービットをテレポートさせ得る一次元クラスター状態を構築することにより開始される。次いでそれぞれの表面コードキュービットは、一次元テレポーテーションクラスター状態で置き換えられる。テレポーテーションの間に、一次元クラスター状態は、表面コードスタビライザが測定され得るようにカップリングされる。次いで得られるRHGクラスター状態は、誤りを検出するために使用され得る。
【0041】
図4Aおよび4Bは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、|+>状態で初期化された2つのキュービットの間のカップリングおよび|+>状態で初期化されたキュービットと任意の状態|ψ>で初期化されたキュービットの間のカップリングの概略的表記を図示する概略図であり、ここでカップリングはCZゲートにより生成される。塗りつぶされた黒丸400は、|+>状態で初期化されたキュービットを示し、斜線で充填される丸404は、任意の状態で初期化されたキュービットを示す。線402でつながれるキュービットは、それらの間に適用されるCZゲートを有する。
【0042】
標準的な一次元テレポーテーションクラスター状態を
図4Cおよび4Dに図示する。クラスター状態を調製するために、任意の状態|ψ>は第1のキュービット410上で初期化され、|+>状態は残りのキュービット412上で初期化される。次いで隣接するキュービットは、制御位相またはCZゲートを隣接体の全てのペアに適用することによりもつれる。重要なことに、CZゲートは、相互に交換され、任意の順序で適用され得る。
【0043】
スタビライザ形式論は、クラスター状態を説明するために使用され得る。CZゲートの前に、|Ψ>上の論理パウリ演算子は、X
L=X
1およびZ
L=Z
1により与えられ、該状態は、{X
2,X
3,...}により安定化される。CZゲートを適用した後、新規の論理演算子およびスタビライザは、CZゲートとコンジュゲートすることにより以前のもの(old)から得られる。これは、
【数1】
を送り、式中、N
iは部位iの隣接体を示す。したがって、クラスター状態は、X
L=X
1Z
2およびZ
L=Z
1を有し、スタビライザ{Z
1X
2X
3,Z
2X
3Z
4,...}を有する。論理演算子414にスタビライザをかけることにより、それらは、第1の2nキュービット上にX演算子のみを含む形式416に書き換えられ得る:
【数2】
【0044】
n=3の場合を
図4Cに図示する。この形式は、第1の2nキュービットがX基準で測定される場合、論理演算子がキュービット{2n+1,2n+2}にテレポートされることを明らかにする。例えば、n=3の場合、キュービット1~6が結果{x
1,x
2,x
3,x
4,x
5,x
6}を伴い、x
i=±1を伴い測定されるなら、論理演算子が:
【数3】
により与えられることが暗示される。
【0045】
フォールトトレラントクラスター状態を構築するために、個々の一次元テレポーテーションクラスター状態を組み合わせ得、クラスターがテレポートされる場合にスタビライザコードのチェック演算子を測定するようにクラスターは改変され得る。表面コードを生成するために、
図4Aおよび4Bに示される表面コードのそれぞれのキュービットは一次元テレポーテーション鎖を有する。
図4Eに示されるように、表面コードのそれぞれのXスタビライザプラケット106について、アンシラキュービットは、テレポーテーション鎖の奇の部位のそれぞれの組に取り付けられ得、それぞれのZスタビライザプラケット104について、本発明者らは、アンシラを、テレポーテーション鎖の偶の部位のそれぞれの組に取り付ける。これらのアンシラキュービットは|+>でも初期化され、CZゲートを有するそれらの隣接体ともつれる。X基準においてアンシラキュービットを測定することは、テレポーテーションの間に対応するプラケットの表面コードスタビライザを測定することを生じる。
【0046】
得られた3次元クラスター状態、RHGクラスター状態を
図4Fに図示し、単位胞420を破線で強調する。この状態を通って情報をフォールトトレラントにテレポートするために、データキュービットおよびアンシラキュービットの両方をX基準で測定する。誤りなしのRHGクラスター状態について、胞の面上のX演算子の積は、クラスター状態のスタビライザであるので、胞の面の周囲のX測定の積は、(+1)であるべきであることがチェックされ得る。
【0047】
例として、単一のパウリ誤りをRHGクラスター状態に適用することを考慮する。面キュービット上のZまたはY誤り430は、2つの隣接する胞のシンドロームをはじき、
図4Gに示されるようにこれらの誤りの検出を可能にする。多キュービットパウリ誤りは、それらがはじくシンドロームを考慮することにより同様に検出され得る。最終クラスター状態上のX誤り432は効果を有さないが、2つのCZゲートの間で生じるX誤りは、隣接するキュービット上でZ誤りに伝播することに注意。誤りは、最小重量完全適合(MWPM)デコーダーを使用して互いに対して(-1)シンドロームをペアにすることにより訂正され得、このデコーダーの下、RHGクラスターは論理パウリ雑音についての閾値を有する。
【0048】
フォールトトレラントクラスター状態を生成するこの方法は、調整されるかまたはXZZXの表面コードを実現するクラスター状態を生成するためにも使用され得る。しかしながら、これらのコードは、ビットフリップ誤りの有効な確率が位相フリップ誤りと比較して抑制される場合に通常の表面コードに対して向上された閾値を提供するのみである。不運なことに、上に概略を述べられる一次元テレポーテーション手順は、雑音を偏りがないものにし、物理Z誤りを論理X誤りに変換する。本発明者らは、2つの方法でこの現象を理解し得る。第1に、ZL演算子は、キュービット2,4,...,2n上に物理X演算子を含むので、これらのキュービット上のZ誤りは、ZLと反交換であり、そのためXL誤りと同等である。代替的に、キュービット1および2からの論理情報が例えばキュービット7および8にテレポートされる場合、該状態についての論理情報を回復するために正確な測定x1,...,x6が必要とされる。キュービット2、4または6上のZ誤りは、x2、x4またはx6の誤った符号の測定を引き起こす。これは、ZLの-ZLでの置き換えを生じ、これはXL誤りと同等である。
【0049】
そのため物理Z雑音は論理X雑音に変換される。結果的に、誤り訂正コードのチェック演算子を測定するためにその後組み合される一次元テレポーテーション鎖の有効誤りチャンネルは、偏らない。したがって、得られるフォールトトレラントクラスター状態は、測定されたスタビライザが、XZZX表面コードなどの偏った雑音について特異的に設計されるコードに対応する場合であっても向上された閾値を有さない。実際に、このアプローチにより生じるXZZXクラスター状態は、任意の偏りで標準的なRHGよりも良好に作動しない。
【0050】
ナイーブに、RHGクラスター状態上のX誤りはテレポーテーションについて効果を有さないので、RHG格子はZ偏り雑音に対して頑強でないが、それはX偏り雑音に対して頑強であるべきであることが推定され得る。しかしながら、物理キュービットがX誤りのみを経験する場合であっても、CZc,t、ここでcは対照を示し、tは標的を示す、を適用することは、Xc誤りをXcZtに伝播させる。したがって、RHG格子の構築の間にX誤りが生じる場合に、それらは最終クラスター上でZ誤りに伝播し、クラスター状態の構築後にX偏り雑音があることは推定され得ない。対照的に、CZゲートはZ誤りと交換可能であり、そのためZ偏り雑音は、クラスター状態を構築することに適合性である。
【0051】
III. テレポーテーションを使用するXZZXクラスター状態の構築
XZZXコードを実現するクラスター状態を構築するために、クラスター状態の通常の構築は、Z
Lが物理Z演算子のみを含む一次元テレポーテーションクラスター状態を生成することを目標として改変され得る。これを達成するために、一般化されたクラスター状態は、2種類のキュービット、X型およびZ型を用いて構築される。X型キュービットは、通常のクラスター状態と同様に|+>状態で初期化され、X基準で測定され、Z型キュービットは、|0>状態で初期化され、Z基準で測定される。
図5A~5Cに示されるように、X型キュービットは、小さな塗りつぶされた丸(例えばキュービット500および506)で示され、Z型キュービットは、大きな開放の丸(例えばキュービット502および508)で示される。隣接するキュービットをもつれさせるために、異なるゲートはもつれるキュービットの種類に依存して適用される。2つのX型キュービットをもつれさせるために、通常のCZゲートが適用され、XおよびZ型キュービットをもつれさせるために、CXゲート504が適用され、ここでX型キュービットは対照キュービットであり、Z型キュービットは標的キュービットである。重要なことに、ゲートをもつれさせることは、依然として相互に交換可能であり、任意の順序で適用され得る。この構築において、CXおよびCZのゲートの両方は、偏り保存でなければならない。Z偏りを保存するCXゲートは、複数のキュービットプラットフォームにおいて既に提唱されており、Z誤りは自然にCZと交換可能であるので、CZゲートは、自然にZ偏りを保存する。
【0052】
この一般化された構築は、
図5D~5Gに示される2つの別個の一次元テレポーテーションクラスター状態の構築を可能にする。
図5Dおよび5Eに示される最初のものは、第1のキュービット506上で状態|Ψ>により開始され、交互のZ型キュービット502およびX型キュービット500が続くX開始クラスター状態である。第1のキュービットは|+>状態で初期化されないが、これはもつれおよび測定の間にX型キュービットとして処理される。
図5Fおよび5Gに示される第2の一次元テレポーテーションクラスター状態はZ開始クラスター状態であり、これは第1のキュービット506上で状態|Ψ>で開始され、交互のX型キュービット500およびZ型キュービット502が続く。ここで第1のキュービット506は、もつれおよび測定の間にZ型キュービットとして処理される。
【0053】
もつれゲートを適用する後、新規の論理演算子およびスタビライザは、もつれゲートとのコンジュゲートにより以前のものから得られる。これは:
【数4】
を送信し、ここでXおよびZはX型およびZ型キュービットのそれぞれの組を示し、N
iは部位iの隣接体を示す。X開始クラスター状態について、スタビライザ{Z
1Z
2Z
3,X
2X
3X
4,...}を有する論理演算子X
L=X
1X
2およびZ
L=Z
1があり、Z開始クラスター状態について、スタビライザ{X
1X
2X
3,Z
2Z
3Z
4,...}を有する論理演算子X
L=X
1およびZ
L=Z
1Z
2がある。それぞれの型のクラスター状態について論理演算子にスタビライザをかけることにより、
図5Eおよび5Gに示されるように、第1のn X型キュービット上にX演算子のみおよび第1のn Z型キュービット上にZ演算子のみを含む形態で表され得る。X開始クラスター状態の場合:
【数5】
【数6】
であり、Z開始クラスター状態の場合、
【数7】
がある。
【0054】
両方のクラスターについてn=3の場合を
図5D~5Gに図示する。この形式は、第1のn X型キュービットがX基準において測定され、第1のn Z型キュービットがZ基準で測定される場合に、論理演算子がキュービット{2n+1,2n+2}にテレポートされることを明らかにする。例えば、X開始クラスター状態についてn=3の場合、キュービット1~6が結果{x
1,z
2,x
3,z
4,x
5,z
6}を伴い、x
i,z
i=±1を伴って測定されるなら、上述の等式は、論理演算子が:
【数8】
により与えられることを暗示する。
【0055】
重要なことに、このクラスター状態において、ZLは物理Z演算子の積であり、XLは物理X演算子の積であり、物理Z誤りは論理XL誤りを引き起こし得ないことを意味する。したがって、両方のテレポーテーションクラスターは、雑音偏りを保存する。これらの偏り保存テレポーテーションクラスターは、従来のアプローチを使用して可能でなかった大きな閾値の利点を獲得するために、任意の偏りのある雑音スタビライザコードを葉状化するために使用され得る。
【0056】
XZZXコードを実現する偏り保存クラスター状態を構築するために、
図5Hに示されるように、X開始およびZ開始クラスター状態の交互のグリッドを使用することが最も都合がよい。XZZXコードのそれぞれのプラケット114について、X型アンシラキュービットを付加する。これらのアンシラキュービットは、|+>状態においても初期化され、それらの隣接体ともつれる。X基準でアンシラキュービットを測定することは、テレポーテーションの間に対応するプラケットのXZZXコードスタビライザを測定することを生じる。得られるXZZXクラスター状態を、単位胞520と共に
図5Iに示す。
【0057】
交互のキュービット上でHによりスタビライザをコンジュゲートすることにより通常の表面コードからXZZX表面コードが得られ得るのとほぼ同様に、XZZXクラスター状態は、Z型キュービットの部位でアダマール(H)ゲートを適用することによりRHGクラスター状態から得られ得る。しかしながら、H操作は雑音偏りを保存しないので、HゲートをRHG格子に適用することよりも、CXおよびCZゲートを有するXZZXクラスター状態を物理的に構築することが重要である。
【0058】
XZZXクラスター状態のそれぞれの胞は、その面上に4つのX型キュービットおよび2つのZ型キュービットを有し;誤りを有さないXZZXクラスター状態について、X型キュービット上のX演算子およびZ型キュービット上のZ演算子の積が状態のスタビライザであるので、対応するXおよびZ測定の積が(+1)であるべきであることを示すことが直接的である。
図5Jに示されるように、X型キュービット532上のZまたはY誤りは、Z型キュービット530上のXまたはY誤りと同様に、隣接する胞のシンドロームをはじく。全体のクラスター状態上のX誤りはX型キュービットに対して効果を有さず、全体のクラスター状態上のZ誤りはZ型キュービットに対して効果を有さないが、2つのCXゲートの間で生じるZ型キュービット上のZ誤りは、隣接するX型キュービット上のZ誤りおよび同様にX型キュービット上のX誤りに伝播することに注意。偏り保存CXゲートを使用することにより、Z誤りがXまたはY誤りに伝播しないことが確実になる。全体的に、MWPMデコーダーを使用して(-1)シンドロームを互いに対してペアにすることにより誤りは再度訂正され得る。重要なことに、本発明者らは、XZZXクラスター状態においてZ誤りが、切断された2D面に限定される誤り鎖を生成し、RHGクラスター状態においてZ誤りが、三次元で蛇行し得る誤り鎖を生成することを観察する。直覚的に、これは、偏った雑音の存在下でXZZXクラスター状態をデコードすることをより容易にする。偏った雑音の場合における適合グラフの次元の有効な低減は、調整されるおよびXZZX表面コードにおける増加した閾値についての機構である。
【0059】
偏った雑音の存在下でXZZXクラスター状態の利点を示すために、XZZXクラスター状態およびRHGクラスター状態の両方について完全な回路レベル雑音シミュレーションを行った。該シミュレーションは、物理的に良好に刺激された偏った雑音モデルを使用する。このモデルにおいて、CZ
c,tゲートは、確率p
zを有する誤り
【数9】
、確率
【数10】
を有するZ
cZ
tならびに確率p
zηを有する全ての他の誤りを経験する。また、CX
c,tゲートは、確率p
z/2を有する誤り
【数11】
およびZ
cZ
t、確率p
zを有する
【数12】
ならびに確率p
zηを有する全ての他の誤りを経験する。最終的に、調製および測定の両方の間に、それぞれのキュービットは確率p
zを有するZ誤りならびに確率p
zηを有するXおよびY誤りを経験する。
【0060】
また、RHGクラスター状態がX偏り雑音下で顕著に高い閾値を有するべきでないというより初期の主張を検証するために、RHGクラスター状態はX偏り雑音下でシミュレーションされる。RHGクラスター状態におけるX偏り雑音について、CZゲートの特異的な実行に基づく物理的に刺激される誤りモデルが使用される。X偏り雑音が物理キュービット上にあると推定される場合であっても、CZゲートはX偏りを保存しないので、CZゲートの雑音はX偏りであるとは予想されないことに注意。このモデルにおいて、CZc,tゲートを適用した後、誤りIcXt、XcIt、ZcXtおよびXcZtは確率0.375pxを伴って生じ、誤りIcYt、YcIt、ZcYtおよびYcZtは確率0.125pxを伴って生じ、全ての他の誤りは確率pxηを伴って生じる。CZゲートの間の誤りに加えて、調製および測定の両方の間に、X誤りは、確率pxを伴って生じ、YおよびZ誤りは確率pxηを伴って生じる。
【0061】
Z偏り雑音モデルにおいて、CZゲートの総誤り確率は、
【数13】
であり、CXゲートの総誤り確率は、2p
z+12p
zηであり、ここでηは誤りモデルのパラメーターであり、位相緩和誤りの確率 対 ビットフリップを引き起こす誤りの確率の比は示さない。しばしば偏りとして見積もられるこの比はη/6であるので、例えばη=1000は166.67に等しい確率の比に対応する。X偏り雑音モデルにおいて、CZゲートの総誤り確率は2p
x+7p
xηである。クラスター状態を比較するために、CZゲートの誤り確率に関して閾値を測定するが、XZZXクラスター状態のCXゲートは、低いp
zについてCZゲートとほぼ同一の誤り比を有する。それぞれの雑音モデルについて、回路レベル雑音についてのMWPMデコーダーは誤りを訂正するために使用される。
【0062】
図6は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、XZZXおよびRHGクラスター状態についての偏りの関数としての閾値誤り比を示すグラフである。
図6において、結果を、1≦η≦10000の閾値についてプロットする。η=1で、全ての3つのクラスター状態についての閾値は同様である。ηを増加するにつれて、X偏り雑音を有するRHGクラスター状態の閾値はZ偏り雑音を有するRHGクラスター状態よりも性能が優れるが;本発明者らのXZZXクラスター状態の誤り閾値はRHGクラスター状態の両方のバージョンよりも強く性能が優れる。高い偏り、η≧1000について、XZZXクラスター状態の閾値はp
th>2.2%を有し、Z偏り雑音を有するRHGクラスター状態の閾値の2倍よりも大きく、RHGクラスター状態の閾値のp
th<1.0%を有する。
【0063】
IV. 融合を使用したXZZXクラスター状態の構築
最も一般的な測定に基づく誤り訂正(MBEC)フレームワークにおいて、クラスター状態は、交換可能(commuting)2キュービットもつれゲートの組を用いて生成される。代替的に、より小さい少数体もつれ状態のいくつかのコピーを用いて開始し得、次いでそれらを一緒に、融合またはベル測定とも称される2キュービットパウリ演算子:
【数14】
の破壊的測定を使用して多体もつれクラスター状態にまとめ得る。このアプローチは融合に基づく誤り訂正(FBEC)と称されており、融合が、別個の可変フォトニックキュービットなどの根源的な操作であるアーキテクチャーについてのより自然な選択であり、連続の可変キュービットおよびマヨラナキュービットを超伝導する。
【0064】
したがって、本発明者らは、XZZXクラスター状態を用いた誤り訂正について融合に基づいたアーキテクチャーを開発した。本発明者らは2つの構築物を開発し、1つは4キュービットもつれリソース状態の集合の使用に基づき、もう一方は6キュービットもつれリソース状態の集合の使用に基づく。重要なことに、両方の構築物は、融合回路中の雑音が偏り、
【数15】
測定が
【数16】
測定よりも信頼できない場合に実際の利点を提供する。これは、欠陥のある
【数17】
測定のためにクラスター状態に導入される誤りが、デコーディング問題をかなり単純化する二次元システム対称性を生じ、偏り融合雑音に対して閾値の実質的な向上をもたらすためである。
【0065】
本明細書に記載される融合に基づく技術は、FBECのフレームワークにおいて最も広く試験されるプラットフォームである、線形光学特性における二重レールキュービットにより刺激される。二重レールキュービット上の線形光学特性融合は、本来的に見込みがある。最も単純な融合回路は確率1/2で失敗する。アンシラリー(2
n-2)光子もつれ状態を使用して失敗確率は1/2
nまで低減され得るが、n=2の特殊な場合について、4つのもつれない光子は、1/4失敗確率を達成するために十分である。顕著に、融合試みが失敗する場合、
【数18】
情報は完全に消去されるが、
【数19】
情報は依然として回復され得る。本明細書に記載されるアーキテクチャーは、記録-高閾値を融合失敗まで達成するためにこの偏り雑音構造を強化する。フォトニック二重レールキュービットおよびもつれたアンシラを有する融合に基づくXZZXクラスター状態の数的シミュレーションにより、25%を超える融合失敗に対する閾値は、1光子当たりゼロでない消失速度の実験的に関連のあるレジームにおいて達成される。これは、フォトニック状態上のさらなるエンコーディングを有さない線形光学特性における融合失敗に対する最も高い公知の閾値であり、2つのみのもつれた光子または4つのもつれない光子のアンシラを使用して、初めて大規模化可能なFBECを可能にする。
【0066】
偏り雑音下のXZZXクラスター状態の誤り閾値の有意な増加を仮定すると、次の工程は、いずれのキュービットプラットフォームが増加した閾値を自然に利用し得るかを考慮することである。しかしながら、このセクションにおいて、本発明者らは、別の形態の誤り訂正とは異なる、XZZXクラスター状態を実現することから利益を受け得る量子コンピューター計算アプローチについてのいくつかの予備的な提案をする。以下の提案のそれぞれは、XZZXクラスター状態を実現するための2工程戦略を使用し、ここで小さなクラスター状態は最初に生成され(「初期リソース状態」)、次いでXZZXクラスター状態はベル測定を使用してX型キュービットとZ型キュービットを融合することにより生成される。かかる融合は偏り保存であり:融合に含まれるキュービット上のZ誤りは、最終クラスター状態上でZ誤りを生じる。さらに、以下の特定のプラットフォームについて示されるように、融合の間に導入されるさらなる誤りもZ偏りである。したがって、これらの構築物は全て、Z偏り雑音を有する最終クラスター状態を生じる。
【0067】
XZZXクラスター状態を実現するための主要な候補は二重レールエンコードフォトニックキュービットであり、ここでキュービットは、2つのフォトニックモードのうちの1つにある光子により表される。キュービット状態を
【数20】
により表記すると、キュービット状態は、
【数21】
として画定され得る。標準的な線形光学素子のみを使用して、任意の単一キュービットゲートを二重レールキュービットに適用し得るが、もつれ操作は本来的に見込みがある。二重レールフォトニックキュービットについての現代のアーキテクチャー案は、見込みのある破壊的ベル測定(「融合」)を使用してより小さなリソース状態からクラスター状態を構築することを含む。誤りを訂正するために、これらのプロトコルはRHGクラスター状態を使用するが、改変されたリソース状態を使用することにより、その代わりにXZZXクラスター状態を実現し得る。リソース状態からXZZXクラスター状態を構築することは、RHGクラスター状態と同じ数の融合測定を使用する。
【0068】
図7A~7Jは、融合によりXZZXクラスター状態を構築する1つの方法を図示する。
図7Aおよび7Bは、X型およびZ型キュービットをぶら下げる(dangling)ための2つの融合プロセスを示す。グラフG=(V,E)上で画定されるクラスター状態を考慮する。Gに、v
i'でキュービットに対する縁を有する次数1の頂点v
iでZ型キュービット、およびv
j'≠v
i'でキュービットに対する縁を有する次数1の頂点v
jでX型キュービットを持たせる。次数1の頂点上のキュービットは本明細書において「懸垂(dangling)キュービット」と称される。
図7Aおよび7Bに示されるように、懸垂キュービットのペア上で
【数22】
測定を実行することにより、それらをシステムの残りからほどき、頂点v
i、v
jおよび縁(v
i,v
i')、(v
j,v
j')を除去し、新たな縁(v
i',v
j')を付加する。結果的に、v
iおよびv
jで中心にあるスタビライザは除去され、v
i'およびv
j'で中心にある2つの新規のスタビライザが得られる。新規のクラスター状態がこれらの新規のスタビライザの+1固有状態であることを確実にするために、
【数23】
測定(m
XX)および
【数24】
測定(m
ZZ)の結果に従って、v
i'およびv
j'でキュービットにパウリ訂正を適用する。
【数25】
の場合、訂正は
【数26】
であり、
【数27】
である場合、訂正は
【数28】
である。これらのパウリ訂正を物理的に適用することは必要なく、代わりにそれらはただ、ソフトウェアにおいて追跡され得る。信頼できない
【数29】
測定の場合に、v
i' (v
j')上の適切なパウリ訂正は適切に訂正することができず、これはキュービット上に有効な誤りを生じることが観察される。実際に、線形光学特性における融合失敗のために生じる
【数30】
測定結果の完全な末梢は、50%の確率を有するv
i'でX型キュービットにIまたはZを適用することに等しい。
【0069】
図7Cおよび7Dは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、例示的な3および4キュービットクラスター状態の概略図である。
図7Cの3キュービットクラスター状態は、2つのX型キュービットおよび1つのZ型キュービットを|+>状態で初期化することならびに3キュービットZ測定700を行って3つのキュービットをカップリングすることにより生成され得る。
図7Dの4キュービットクラスター状態は、3つのZ型キュービットおよび1つのX型キュービットを|+>状態で初期化することならびに2キュービットZ測定702を行って示されるようにキュービットをカップリングすることにより生成され得る。
【0070】
図7Eおよび7Fは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図7Cおよび7Dの基本的なクラスター状態を融合することによるより大きな5キュービットクラスター状態の生成を図示する。
図7Eの5キュービットクラスター状態は、非破壊的
【数31】
測定704、その後に破壊的
【数32】
測定706を使用して生成され得る。
図7Fの5キュービットクラスター状態は、|+>状態においてさらなるX型キュービットを初期化することおよび新たに初期化されたキュービットと
図7Dの4キュービットクラスター状態の中心のキュービットの間でCZゲート708を実行することにより生成され得る。
【0071】
図7Eの5キュービットクラスター状態は中心にZ型キュービットを有し、
図7Fの5キュービットクラスター状態はその中心にX型キュービットを有する。中心キュービットは最終的に、所望のXZZXクラスター状態を形成するために使用される。Z中心化およびX中心化状態は、
図7Hに示されるように、所望のクラスター状態においてZおよびX型キュービットのそれぞれの位置に配置される。5体状態のこの整列は、隣接する懸垂キュービットが常に反対の型であり;隣接する懸垂キュービットが
図7Aおよび7Bに従って融合され得ることを確実にする。次いで、いくつかの態様において5キュービットクラスター状態を含むこれらの初期リソース状態は、融合されて、より大きなXZZXクラスター状態を生成し得る。
図7Gは、
図7Eおよび7Fの5キュービットクラスター状態を使用した、XZZXクラスター状態の一部の生成を図示する。これらの5キュービットクラスター状態を融合するために、2つの5キュービットクラスター状態のキュービットの間で非破壊的
【数33】
測定710次いで破壊的
【数34】
測定712を実行する。
【0072】
融合されたキュービットはクラスターから除去され、新たな結合が中心のキュービットの間に生じて、所望のXZZXクラスター状態を生じる。最終的に、クラスター状態キュービットは、誤り訂正についての以前のセクションに記載される適切な基準において測定され得る。それぞれの中心キュービットが、その隣接する懸垂キュービット上の4つの融合測定の後に最終的なクラスター状態にもつれ;結果的に、4つのパウリ訂正がこのキュービットに計上されることに注意。この計上は、クラスター状態キュービットの最終的な測定の結果を単純に再度解釈することによりソフトウェア中でなされ得る。これは、パウリZ(X)後のクラスター状態中のX(Z)型キュービットのX(Z)測定をそれに適用することが、X(Z)測定、その後の測定結果の古典的フリップ
【数35】
と同等であるためである。
【0073】
融合がソフトウェア中で単純に計上され得るために、これらの測定が異なるキュービットおよびパウリ訂正上で実行されるので、最終クラスター状態を含むキュービットを測定することが融合測定と交換可能であることに注意することにより初期5-キュービットクラスター状態を4-キュービットクラスター状態に単純化することが可能である。すなわち、XZZXクラスター状態を形成する中心キュービットは融合測定を実行する前に測定され得る。一旦融合が実現されると、以前の中心キュービット測定の結果は、融合結果上で条件的にはじかれ得る。XおよびZ基準のそれぞれで5-キュービット状態の中心XおよびZ型キュービットを測定することにより、
図8Aおよび8Bに示されるより単純な4スターリソース状態が生成される。したがって、XZZXクラスター状態を生成するプロセスは、これらの4キュービットリソース状態により直接的に始まり得、中心キュービットが+1測定結果を用いてX/Z基準で測定されていることが推定される。このアプローチにおいて、中心キュービットは、仮想のキュービットと同様に働く。それは物理的には決して実現されず、物理的には決して測定されず、その効果的な測定結果は全体的に、ソフトウェアにおいて追跡されるパウリ訂正により決定される。
【0074】
図8Cは、本明細書に記載されるいくつかの態様による、
図8Aの4キュービットクラスター状態を生成するための例示的なフォトニック回路800の概略図である。フォトニック回路800は、いくつかの単一光子源802、50:50ビームスプリッター804および光検出器806を含む。4キュービットクラスター状態は、特定の検出器出力上で条件付けられる一連のビームスプリッターおよび光子検出器により単一の光子から蓋然論的に生成され得る。フォトニック回路800は、単一の光子がそれぞれの検出器ペアでの出力である場合に進行する。フォトニック回路800は、フォトニック回路800からの出力である4つのキュービットの3つに適用されるビームスプリッターをさらに含むことにより、
図8Bの4キュービットクラスター状態を生成するように改変され得る。
【0075】
代替として、XZZXクラスター状態は、6キュービットリソース状態を使用して生成され得、その例を
図9Aに示す。6キュービットリソース状態は、
図9Bおよび9Cに図示される3キュービットGHZ状態に基づいて生成され得る。次いで、6リングリソース状態は、
図6Dに示されるように、3つのGHZ状態の組上で融合を実行することにより構築され得る。
【0076】
いくつかの態様において、3キュービットGHZ状態は、
図6Eの回路を使用して生成され得る。基準GHZ状態
【数36】
(先導された(heralded)パウリ訂正まで)は、1つの光子が検出器のそれぞれのペアで検出される場合に、
図9Eに示されるフォトニック回路900により生成され得る。これは、確率1/32を伴って生じる。
図9Cの第2のGHZ状態は、フォトニック回路900およびアダマール操作を実行する2つのさらなるビームスプリッターを含むフォトニック回路910により生成され得る。これらの入力状態は、
図9Fの回路920に供給され得、個々のGHZ状態の末梢キュービットの間で融合を実行して、
図9Dに示される6キュービットクラスター状態を生成する。
【0077】
これらの6キュービットリソース状態を使用してXZZXクラスター状態を生成するために、同じ型(例えばXまたはZ)の6キュービットリソース状態を有するキュービットはいくつかの態様においてならびに
図9Gおよび9Hに図示されるように融合され得る。
【数37】
であり、v
iおよびv
jが一般に隣接体を共有しないように頂点
【数38】
でZ(X)型キュービットを有するグラフG=(V,E)上で画定されるクラスター状態を考慮する。これらの2つのキュービット上で
【数39】
を測定することは、パウリ演算子
【数40】
を有する有効な二次元サブ空間にそれらを投影する。
図9Gおよび9Hに示されるように、新規のクラスター状態は、単一の頂点v
ijで置き換えられる頂点v
i、v
jおよびこの頂点に配置される有効なZ(X)型キュービットにより得られる。v
iおよびv
jでの全ての縁の入射は、新規のグラフでのv
ijでの入射である。新規のクラスター状態が全てのスタビライザの+1固有状態であることを確実にするために、
【数41】
測定結果により決定されるパウリ訂正m
XX (m
ZZ)は、もとはv
jに隣接したキュービットに適用されなければならない。具体的に
【数42】
は隣接するX型キュービットに適用され、
【数43】
は隣接するZ型キュービットに適用される。
【0078】
図9Aの6リングリソースクラスター状態を使用してXZZXクラスター状態を生成するために、2コピーの6キュービットクラスター状態は、
図9Iに示されるようにXZZXクラスター状態のそれぞれの単位胞の反対のコーナーに配置され得る。同じ型の2つのキュービットは、面または縁を共有する。Z型キュービットのそれぞれのペアの
【数44】
が測定され、X型キュービットのそれぞれのペアの
【数45】
が測定されて、面および/または縁を共有し、必要なパウリ訂正を適用する場合、所望のXZZXクラスター状態は生成され、有効なキュービットで構成される。Z型キュービット上の信頼できない
【数46】
測定は、その隣接するX型キュービットに対する不正確なパウリZ訂正のみをもたらすことに注意。最終的に、有効なX型キュービットの有効なパウリ
【数47】
が測定され、有効なZ型キュービットの有効なパウリ
【数48】
が誤り訂正について測定される。第2の組の測定の信頼できない
【数49】
測定は、有効なX型キュービット上の
【数50】
誤りと同様であることに注意。以前のように、クラスター状態を生成する第1の組の測定からのパウリ訂正の物理的適用は必要でない。これらは、誤り訂正に使用される第2の組の測定の結果を再度解釈することによりソフトウェアにおいて単純に追跡され得る。次いで全体的に、誤り訂正は、縁または面を共有するキュービットのペア上で融合を実行している交換可能なオブザーバブル
【数51】
を測定することにより本発明者らの構築物において実行される。上述の議論は、線形光学的特性における場合と同様に、偏り融合失敗が、XZZXクラスター状態のX型キュービット上で偏りパウリZ雑音を有効にもたらすことを暗示する。
【0079】
これまでは、光子喪失を導入し得る実際のハードウェアにおける不完全さは無視されている。幸運なことに、理想的な融合回路は、光子の数を保存し、すなわち全ての検出器のクリックは、入力光子の数と等しくなければならない。そのため融合回路における任意の光子の喪失は、検出器で予想されるクリックよりも少なく観察することにより先導され、両方の
【数52】
測定結果の抹消を生じる。1光子当たりの喪失の確率がp
lossである場合、合計で1/p
fail光子を有する高められた融合回路におけるかかる末梢の確率は、
【数53】
である。この等式は、融合失敗のために
【数54】
結果のみが抹消される割合および光子喪失のために
【数55】
結果の両方が抹消される割合の間のトレードオフを強調する。融合回路においてより多くの光子を追加することによりp
failを減少することが望ましいが;これは融合回路からの光子喪失のない低下した確率およびそのためのp
full eraseの増加を犠牲にする。
【0080】
図10は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、4キュービットおよび6キュービットリソース状態を使用して生成されるXZZXクラスター状態についての閾値曲線である。曲線1002および1006は、本明細書に記載されるXZZXクラスター状態を構築するための技術についてシミュレーションされるような閾値曲線を示す。対照的に、曲線1004および1008は、XZZXクラスター状態を構築するための以前の技術についてシミュレーションされるような閾値曲線を示す。両方の曲線1002および1006は、曲線1004および1008よりも高い誤り閾値を示す。さらに、6リング構築についての閾値は、より少ない融合を有し、そのためにクラスター状態キュービット当たりより低い誤りの確率を有する場合に4スター構築よりも高い。光子喪失の非存在下で、本発明者らのスキームを使用して、偏り融合失敗について数的に得られる閾値は、6リング構築について約30.5%であり、4スター構築について約19%である。これらの数的に得られた閾値は、以前の提案を用いて得られた偏りがない融合失敗についての閾値よりも有意に高く、これは相応じて、6リング構築について約24%であり、4スター構築について約14.5%である。先に記載されるように、これは、純粋な融合失敗が二次元システム対称性、およびそのためにデコードすることがより簡単である二次元シンドロームグラフをもたらすためである。対照的に、以前の戦略を用いて、純粋な融合失敗から生じるシンドロームグラフは、デコードがより困難である三次元である。
【0081】
融合失敗の偏った構造を利用することにより、本発明者らは、偏った融合失敗のより効率的な誤り訂正を可能にする新規のリソース状態およびFBECについての融合戦略を導入した。このFBEC戦略は特に、二重レールフォトニックキュービットに基づく線形光学量子コンピューターに関連し、ここで偏った融合失敗は、誤りの支配的な源である。本明細書に記載されるリソース状態および融合戦略は、実現するためのさらなるオーバーヘッドを必要としないが、4スターおよび6リングリソース状態の両方についての融合失敗に対してより高い閾値を生じる。特に6リング構築において、記載される技術は、融合失敗に対して25%を超える閾値を有し、これは2光子もつれアンシラまたは4光子もつれなしアンシラのみを使用して達成され得るので;記載される構築は、フォトニック量子コンピューター計算についての重要な障壁を克服する。
【0082】
図11は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、融合測定を使用してXZZXクラスター状態を生成するプロセス1100を記載するフローチャートである。いくつかの態様において、プロセス1100は行為1102で開始し得、ここで量子状態は第1のキュービットで初期化される。第1のキュービットは、X型およびZ型キュービットを含み得る。
【0083】
いくつかの態様において、第1のキュービットはフォトニックキュービットを含み得る。かかる態様において、第1のキュービットにおいて状態を初期化することは、1つ以上の光源を使用してフォトニックキュービットを生成することを含み得る。例えば、フォトニックキュービットは、1つ以上の単一の光子源により生成され得る。
【0084】
いくつかの態様において、第1のキュービットは、トラップされた中性原子を含み得る。かかる態様において、第1のキュービットにおいて状態を初期化することは、トラップされた中性原子を駆動シグナルで駆動することにより、トラップされた中性原子の状態を励起することを含み得る。例えば駆動シグナルは、光学および/またはマイクロ波シグナルであり得る。そのため、第1のキュービットにおいて状態を初期化することは、1つ以上の光またはマイクロ波の供給源を使用して1つ以上の光またはマイクロ波のシグナルを生成すること;および生成された1つ以上の光またはマイクロ波のシグナルを第1のキュービットに伝達して、状態を初期化することを含み得る。
【0085】
いくつかの態様において、行為1102の後、プロセス1100は行為1104まで進み得、ここで初期リソース状態(例えば初期クラスター状態)は、第1のキュービットのXおよび/またはZキュービットの組上で第1のパウリ積測定を実行することにより生成される。初期リソース状態は、少なくとも3つのキュービットを含むキュービットクラスター状態を含み得る。
【0086】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、第1の3キュービットクラスター状態を生成することを含む。第1の3キュービットクラスター状態は、2つのX型キュービットおよび1つのZ型キュービットにおいて最初に状態を初期化することにより生成され得る。次いで、3キュービットZ測定は、3つのキュービットをカップリングすることにより第1の3キュービットクラスター状態を生成するために、初期化されたキュービットに対して実行され得る。
【0087】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、第1の3キュービットクラスター状態の1つ以上を使用して、5キュービットクラスター状態を生成することを含む。5キュービットクラスター状態を生成することは、第1の3キュービットクラスター状態の2つのX型キュービットのそれぞれと第2および第3の3キュービットクラスター状態のZ型キュービットを融合することを含み得る。2つのX型キュービットとZ型キュービットを融合することは、X型キュービットの1つとそれぞれのZ型キュービットの間で融合測定を作製すること(例えば2キュービットZ測定および2キュービットX測定を実行すること、ベル測定を実行すること)を含み得る。
【0088】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、4キュービットクラスター状態を生成することを含む。4キュービットクラスター状態は、3つのZ型キュービットおよび1つのX型キュービットにおいて状態を最初に初期化することにより生成され得る。その後、4キュービットクラスター状態は、3つのZ型キュービットのそれぞれと1つのX型キュービットの間で2キュービットZ測定を実行することにより生成され得る。いくつかの態様において、5キュービットクラスター状態はさらに、4キュービットクラスター状態を使用して生成され得る。5キュービットクラスター状態は、さらなるX型キュービットにおいて状態を最初に初期化し、その後さらなるX型キュービットと4キュービットクラスター状態の1つのX型キュービットの間でCZゲートを実行することにより生成され得る。
【0089】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、4キュービットクラスター状態を別々に生成することを含む。この4キュービットクラスター状態は、4つのX型キュービットで状態を最初に初期化することにより生成され得る。その後、4キュービットクラスター状態は、初期化された4つのX型キュービットのキュービットのペアの間で2キュービットX測定を実行することにより生成され得る。いくつかの態様において、4キュービットクラスター状態はさらに、初期化された4つのX型キュービットの3つのZ測定を実行することにより生成され得る。
【0090】
いくつかの態様において、初期リソース状態を生成することは、6キュービットクラスター状態(例えば6リングクラスター状態)を生成することを含む。6キュービットクラスター状態は、3つの3キュービットクラスター状態を最初に生成することにより生成され得る。3キュービットクラスター状態は、6つのX型キュービットおよび3つのZ型キュービットで状態を初期化すること、ならびに3つの3キュービットクラスター状態のそれぞれについて、少なくとも4つの2キュービットXおよび/またはZ測定を実行して、3つの3キュービットクラスター状態を生成することにより生成され得る。その後、3キュービットクラスター状態のキュービットは、融合されて、6キュービットクラスター状態を生成し得る。6キュービットクラスター状態は、2つのZ型キュービットおよび4つのX型キュービットを含み得る。
【0091】
いくつかの態様において、行為1104の後、プロセス1100は、行為1106に進行し得、ここでXZZXクラスター状態は、2つ以上の初期リソース状態を融合することにより生成され、該融合することは、初期リソース状態の2つ以上のキュービットの間で第2のパウリ積測定を実行することを含む。いくつかの態様において、2つ以上の初期リソース状態を融合することは、第1の初期リソース状態の第1のキュービットと第2の初期リソース状態の第2のキュービットの間でベル測定を実行することを含む。
【0092】
本明細書に提供される開示の態様のいずれかに関して使用され得る古典的コンピューターシステム1200の例示的な実行を
図12に示す。いくつかの態様において、本明細書に記載されるプロセスのいずれか1つは、コンピューターシステム1200上でおよび/またはそれを使用して実行され得る。コンピューターシステム1200は、1つ以上のプロセッサ1210および非一時的コンピューター読み取り可能記憶媒体(例えばメモリ1220および1つ以上の非揮発性記憶媒体1230)を含む1つ以上の製造物品を含み得る。プロセッサ1210は、任意の適切な様式で、メモリ1220および非揮発性記憶デバイス1230へのデータの書き込みおよびそれからのデータの読み取りを制御し得る。本明細書に記載される機能のいずれかを実行するために、プロセッサ1210は、プロセッサ1210による実行のためのプロセッサ実行可能指示を記憶する非一時的コンピューター読み取り可能記憶媒体として働き得る1つ以上の非一時的コンピューター読み取り可能記憶媒体(例えばメモリ1220)に記憶される1つ以上のプロセッサ実行可能指示を実行し得る。
【0093】
本開示に記載される技術のいくつかの局面および態様はこのように記載されるが、種々の変更、改変および向上は当業者に容易に実行されることが理解される。かかる変更、改変および向上は、本明細書に記載される技術の精神および範囲内にあることが意図される。例えば、当業者は、機能を実行するためおよび/または結果および/または本明細書に記載される利点の1つ以上を得るために種々の他の手段および/または構造を容易に構想し、かかる変更および/または改変のそれぞれは、本明細書に記載される態様の範囲内にあると考えられる。当業者は、本明細書に記載される特定の態様に対する常套的な実験の多くの同等物を超えないものを使用することを認識するかまたは確かめ得る。そのため、前述の態様は例示のみとして示されること、および添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、発明の態様は、具体的に記載されるもの以外として実施され得ることが理解される。また、本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、かかる特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾しない場合は、本開示の範囲内に含まれる。
【0094】
上述の態様は、多くの方法のいずれかで実行され得る。プロセスまたは方法の性能を含む本開示の1つ以上の局面および態様は、プロセスまたは方法を実行またはその性能を制御するためにデバイス(例えばコンピューター、プロセッサまたは他のデバイス)により実行可能なプログラム指示を利用し得る。この局面において、種々の発明の概念は、1つ以上のコンピューターまたは他のプロセッサ上で実行される場合に上述の種々の態様の1つ以上を実行する方法を実行する1つ以上のプログラムによりエンコードされるコンピューター読み取り可能記憶媒体(または複数のコンピューター読み取り可能記憶媒体)(例えばコンピューターメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光学ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体デバイス内の回路構成、または他の実体的コンピューター記憶媒体)として具体化され得る。コンピューター読み取り可能媒体(1つまたは複数)は、そこに記憶されるプログラム(1つまたは複数)が、上述の局面の種々のものを実行するために1つ以上の異なるコンピューターまたは他のプロセッサに負荷され得るように輸送可能であり得る。いくつかの態様において、コンピューター読み取り可能媒体は、実体的(例えば非一時的)コンピューター読み取り可能媒体であり得る。いくつかの態様において、コンピューター読み取り可能媒体は、持続性メモリを含み得る。
【0095】
用語「プログラム」または「ソフトウェア」は、コンピューターまたは他のプロセッサをプログラムして、上述の種々の局面を実行するように使用され得る任意の種類のコンピューターコードまたはコンピューター実行可能指示の組に言及する一般的な意味で本明細書において使用される。さらに、一局面によると、実行される場合に本開示の方法を実行する1つ以上のコンピュータープログラムは、単一のコンピューターまたはプロセッサ上に存在する必要はないが、本開示の種々の局面を実行するためのいくつかの異なるコンピューターまたはプロセッサの間で、モジュール様式で分配されてもよいことが理解されるべきである。
【0096】
コンピューター実行可能指示は、1つ以上のコンピューターまたは他のデバイスにより実行されるプログラムモジュールなどの多くの形態で存在し得る。一般的に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するかまたは特定のアブストラクトデータ型を実行するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等が挙げられる。典型的に、プログラムモジュールの機能は、種々の態様において所望のように組み合され得るかまたは分配され得る。
【0097】
ソフトウェアにおいて実行される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピューターに提供されるかまたは複数のコンピューター間で分配されるかのいずれにせよ、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合上で実行され得る。
【0098】
さらに、コンピューターは、非限定的な例としてラックマウントコンピューター、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューターまたはタブレットコンピューターなどのいくつかの形態のいずれかにおいて具体化され得ることが理解されるべきである。さらに、コンピューターは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォンまたは任意の他の適切なポータブルもしくは固定電子デバイスなどの一般的にはコンピューターとみなされないが適切な処理能力を有するデバイスに埋め込まれ得る。
【0099】
また、コンピューターは、1つ以上の入力および出力デバイスを有し得る。これらのデバイスは、特にユーザーインターフェースを提示するために使用され得る。ユーザーインターフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの例としては、出力の視覚的提示のためのプリンターまたはディスプレイスクリーンおよび出力の聴覚的提示のためのスピーカーまたは他の音生成デバイスが挙げられる。ユーザーインターフェースのために使用され得る入力デバイスの例としては、キーボードおよび指示デバイス、例えばマウス、タッチパッドおよびデジタル化タブレットが挙げられる。別の例としては、コンピューターは、会話認識を介してまたは他の聴覚形式で入力情報を受信し得る。
【0100】
かかるコンピューターは、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク、例えばエンタープライズネットワークおよびインテリジェントネットワーク(IN)またはインターネットなどの任意の適切な形態の1つ以上のネットワークにより相互連結され得る。かかるネットワークは、任意の適切なテクノロジーに基づき得、任意の適切なプロトコルに従って作動し得、無線ネットワーク、有線ネットワークまたは光ファイバーネットワークを含み得る。
【0101】
また、記載されるように、いくつかの局面は1つ以上の方法として具体化され得る。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序づけられ得る。したがって、例示態様において連続的な行為として示されるとしても行為が図示されるものとは異なる順序で実行され、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る態様が構築され得る。
【0102】
本明細書で定義および使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により援用される文書における定義および/または定義される用語の通常の意味に対して支配的であることが理解されるべきである。
【0103】
不定冠詞「a」および「an」は明細書および特許請求の範囲において使用される場合、反対のことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0104】
句「および/または」は明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そのように連結される要素、すなわちいくつかの場合に接続的に存在し、他の場合に離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」と共に列挙される複数の要素は、同じ様式、すなわちそのように連結される要素の「1つ以上」で解釈されるべきである。他の要素は、具体的に同定されるこれらの要素に関連するか関連しないかのいずれにせよ、「および/または」節により具体的に同定される要素以外で任意に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」についての参照は、「含む(comprising)」などの開放型の言語に関して使用される場合、一態様においてAのみ(任意にB以外の要素を含む);別の態様においてBのみ(任意にA以外の要素を含む);さらに別の態様においてAとBの両方(任意に他の要素を含む);等をいい得る。
【0105】
明細書および特許請求の範囲において使用される場合、句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストに関して、要素のリスト内に具体的に列挙されるそれぞれおよび全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含むのではなく、要素のリストにおける要素の任意の組合せを排除することなく、要素のリストにおける要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するように理解されるべきである。この定義はまた、具体的に同定されるこれらの要素に関連するか関連しないかのいずれにせよ、句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で具体的に同定された要素以外に要素が任意に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも1つ)または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一態様において、Bが存在せずに任意に1つより多くのAを含む少なくとも1つ(および任意にB以外の要素を含む);別の態様において、Aが存在せずに任意に1つより多くのBを含む少なくとも1つ(および任意にA以外の要素を含む);さらに別の態様において、任意に1つより多くのAを含む少なくとも1つ、および任意に1つより多くのBを含む少なくとも1つ(および任意に他の要素を含む);等をいい得る。
【0106】
特許請求の範囲および上述の明細書において、全ての一過的な句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」等は、開放型である、すなわち限定されないが含むことを意味すると理解される。移行(transitional)句「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」のみはそれぞれ閉鎖型または半閉鎖型の移行句であるものとする。
【0107】
用語「約(approximately)」および「約(about)」は、いくつかの態様において標的の値の±20%以内、いくつかの態様において標的の値の±10%以内、いくつかの態様において標的の値の±5%以内、いくつかの態様において標的の値の±2%以内を意味するように使用され得る。用語「約(approximately)」および「約(about)」は標的の値を含み得る。
【国際調査報告】