(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】化学組成物及びペットリター用抗菌臭気制御添加剤の使用方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20241031BHJP
A01N 37/10 20060101ALI20241031BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241031BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A01K1/015 B
A01N37/10
A01P3/00
A01N25/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533331
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022051643
(87)【国際公開番号】W WO2023102179
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500233555
【氏名又は名称】マイクロバン プロダクツ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイ リー フォン ハー
(72)【発明者】
【氏名】イバン ウェイ カン オング
【テーマコード(参考)】
2B101
4H011
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101GB05
2B101GB08
4H011AA02
4H011BB06
4H011BC03
4H011DA13
(57)【要約】
本発明は、ペットリターの臭気を制御するための組成物及び方法に関する。組成物は、安息香酸と、一般に安全と認められる酸と、、湿潤液とを含む。組成物は、ペットリターの抗菌剤と臭気制御防腐剤との両方として作用可能である。安息香酸と液体とをともに混合、又は、リター材料に添加することで、ペットリターの内容物から発生する悪臭に対処することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GRAS酸で処理された、又は、GRAS酸を混合したリター材料を含む、製品。
【請求項2】
前記GRAS酸は、安息香酸である、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用される、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
液体をさらに含む、請求項1に記載の製品。
【請求項5】
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記液体は、グリコール、鉱油、水、又は、それらの組合せをさらに任意で含む、請求項5に記載の製品。
【請求項7】
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、請求項5に記載の製品。
【請求項8】
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、請求項7に記載の製品。
【請求項9】
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
前記GRAS酸は、安息香酸であり、
前記液体は、3-フェニルプロパノールを含む、
請求項4に記載の製品。
【請求項11】
前記安息香酸は、安息香酸と3-フェニルプロパノールとの比率が10:1から1:10の範囲で使用される、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
前記安息香酸は、0.01重量%から3重量%の量で存在し、
前記重量パーセントは、前記リター材料の重量に基づく、請求項10に記載の製品。
【請求項13】
前記安息香酸は、0.05重量%から0.5重量%の量で存在し、
前記重量%は、前記リター材料の前記重量に基づく、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記3-フェニルプロパノールは、0.01重量%から3重量%の量で存在し、
前記重量%は、前記リター材料の重量に基づく、請求項10に記載の製品。
【請求項15】
前記3-フェニルプロパノールは、0.05重量%から0.5重量%の範囲であり、
前記重量%は、前記リター材料の前記重量に基づく、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
GRAS酸と、液体とを含む、化学組成物。
【請求項17】
前記GRAS酸は安息香酸である、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項18】
前記安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用される、請求項17に記載の化学組成物。
【請求項19】
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項20】
前記液体は、グリコール、鉱油、水、又は、それらの組合せをさらに任意で含む、請求項19に記載の化学組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、請求項19に記載の化学組成物。
【請求項22】
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、請求項21に記載の化学組成物。
【請求項23】
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、請求項22に記載の化学組成物。
【請求項24】
前記GRAS酸と前記液体とは、GRAS酸と液体との比率が1:100から100:1の範囲で存在する、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項25】
前記化学組成物は、リター材料に対して、抗菌剤と、臭気制御防腐剤との両方として作用可能である、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項26】
ペットリターの製造方法であって、前記方法は、
安息香酸と液体とを提供することと、
前記安息香酸と前記液体とを、添加剤パッケージとして共に、あるいは別々に、リター材料の処理時にアプライすること(applying)と、
を含む、
方法。
【請求項27】
アプリケーション(applying)は、スプレー、タンブリング、混合、又は、それらの組み合わせによる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
検査方法ATCC TM211-2021又はASTM E2180に従って、請求項1に記載のリター材料を検査することを有する、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年12月5日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第63/286,064号からの優先権を主張する。本開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ペットリターが生じる臭気を制御するための組成物及び方法に関し、より詳細には、リター材料のための二重作用抗菌臭気制御添加剤を使用する組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
室内で飼育されているペットの多くは、糞尿の回収にリターボックスを使用している。リターボックスの主な問題は、排泄物から発生する臭いである。固有の臭いだけでなく、リターボックスは細菌の温床となり、細菌は代謝の過程で悪臭を発生する。この悪臭を軽減するために、現在家庭で使用されているのは、臭いを吸収する重曹、悪臭を隠す香料のような物質、及び、細菌が発生する臭いに有効なオクチリノン(OIT)及びベンズイソチアゾリノン(BIT)のような抗菌剤等である。重曹は、酸っぱい牛乳又はチーズのような酸性の臭いを緩和することができるが、糞便及び尿の臭いにはほとんど効果がない。さらに、この用途に使用される現在の抗菌剤は毒性があり、皮膚感作を引き起こすおそれがある。
【0004】
リターボックスが作り出す継続的な悪臭及び細菌の増殖に対処するため、より良く、安全な悪臭防止の解決策が、ペットの飼い主によって望まれている。本発明は、このようなニーズに対処し、解決する方法を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ペットリター製品及びペットリターと共に使用するための化学組成物、ならびに、その製造、使用及び/又は検査方法に関する。本発明では、「一般に安全と認められる(Generally Regarded As Safe)」(GRAS)酸である安息香酸を、リター材料中の抗菌臭気制御添加剤として使用する。安息香酸は、抗菌剤と臭気吸収防腐剤との両方として作用する機能を有する。安息香酸は、酸として、排泄物から発生する臭気と直接結合する。安息香酸は抗菌剤として、細菌の増殖を防ぎ、よって細菌が発生する臭いを防ぐ。ペットリターの臭気を隠すために使用される現在の技術は、安息香酸とは異なり、アンモニアベースの臭気を化学的に捕捉できず、異なる毒性の抗菌剤を使用し、抗菌と臭気の吸収のために2つの別々の添加剤を使用しなければならない。背景として、ペットリターの臭気を制御する現在の伝統的なアプローチは、一般的に、抗菌剤を使用してペットリターの微生物増殖を制御することであり、活性微生物が少なくなれば、微生物の作用によって発生する悪臭も少なくなると期待されている。
【0006】
さらに、安息香酸は水溶性が低いため、酸とリター材料との反応は非常に限られている。安息香酸を使用しても、リターの表面特性は変化しないため、リター材料の吸収特性には影響しない。
【0007】
本発明の更なる適用可能な領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び具体例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に関する以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その適用又は使用を限定することを決して意図するものではない。以下の説明は、本発明の実施可能な開示を提供する目的で、単なる例示として本明細書に提供されるものであり、本発明の範囲又は内容を限定するものではない。
【0009】
さらに、本開示及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。すなわち、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを用いる」という表現は、自然な包括的順列のいずれかを意味することを意図している。つまり、「XはA又はBを用いる」という表現は、XがAを用いる、XがBを用いる、又は、XがAとBとの両方を用いる、といういずれの場合によっても満たされる。さらに、本願明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、別段の指定がない限り、又は、文脈から単数形を意図することが明らかでない限り、一般に「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈上別段の指示がない限り、本明細書において明示的に関連付けられた意味を少なくとも持つ。以下に特定される意味は、必ずしも用語を限定するものではなく、単に用語の例示を提供するものである。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の意味は、複数の参照を含む場合があり、「~内で(in)」の意味は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、「~内で(in)」、「~において(at)」、及び/又は、「~上で(on)」を含む場合がある。本明細書で使用される「一実施形態において」という表現は、同じ実施形態を指すとは限らないが、そうであってもよい。
【0010】
本明細書には、ペットリターが生じる臭気を検査し、制御するための組成物及び方法を含む、様々な実施形態が記載されている。
【0011】
本発明の一実施形態では、ペットリターとして使用するための製品が提供される。この製品は、細菌の増殖を防ぎ、動物がペットリター上に糞及び/又は尿をした後に生じる臭気を制御する。
【0012】
本発明の製品は、GRAS酸で処理された、又は、GRAS酸を混合したリター材料を含む。リター材料は、様々な種類の粘土、植物材料(とうもろこし、松のおがくず等を含んでもよい)、香料、鉱油などの材料を含むが、これらに限定されない、様々な成分で構成されることができる。
【0013】
「GRAS」という略語は、適正な製造慣習に従って使用されるときに「一般に安全と認められる(Generally Recognized As Safe)」と考えられる物質を示すために、連邦規制機関によって使用されている。例えば、21 CFR 182、21 CFR 184、及び、21 CFR 186などの規則がある。GRAS成分又は化合物の例は、食品防腐剤を含むが、これらに限定されない。分類として、食品防腐剤は、抗菌効果を提供する一方で最小危険殺菌剤として分類されるため、本発明の組成物における使用に好適であり得る。GRAS酸の例は、有機酸である。GRAS酸には、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、エリソルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、グリコール酸、これらの誘導体、及び、これらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
本発明において、好ましくは、GRAS酸は安息香酸である。しかし、安息香酸は、1つ又は複数のGRAS酸と組み合わせて使用されてもよい。安息香酸は、リター材料中の二重作用の抗菌及び臭気吸収添加剤として使用される。安息香酸は、酸として、排泄物が発生する固有の臭気と直接的に結合する。安息香酸は、抗菌剤として、細菌の増殖を防ぎ、従って、細菌が発生する臭気を防ぐ。安息香酸は、粉末又は液体の形態であってもよい。
【0015】
液体は、GRAS酸及び/又はリター材料と組み合わせて、使用されてもよい。液体は、グリコール、鉱油、水、アルコール、及び、それらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。GRAS酸と液体とは、GRAS酸とアルコールとの比率が1:100から100:1の範囲で存在してもよい。液体は、芳香族アルコールのような1つ又は複数のアルコールを含んでいてもよい。芳香族アルコールは、好ましくはフェニルプロパノイドファミリー誘導体アルコールである。フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、例えば、3-フェニルプロパノールであってもよい。
【0016】
GRAS抗菌剤/防腐剤と、3-フェニルプロパノールとの間に、相乗的な抗菌効果があることが予想外に発見された。この相乗的な効果により、より低いレベルで抗菌剤を使用すること、及び、他の方法では実現不可能な材料にも抗菌剤を使用することが可能になる。
【0017】
本発明の好ましい態様において、安息香酸と、フェニルプロパノールとの組み合わせが使用される。安息香酸と、3-フェニルプロパノールとの比率は、1:100から100:1、好ましくは10:1から1:10の範囲であってよい。
【0018】
安息香酸は、0.01重量%から3重量%の量で、好ましくは0.05重量%から0.5重量%の範囲で存在してもよく、重量パーセントは、リター材料の重量に基づく。3-フェニルプロパノールは、0.01重量%から3重量%の量で、好ましくは0.05重量%から0.5重量%の範囲で存在してもよく、重量パーセントは、リター材料の重量に基づく。
【0019】
本発明の一態様では、化学組成物が提供される。化学組成物は、GRAS酸と、液体とを含む。好ましくは、GRAS酸は安息香酸である。安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用されてもよい。液体は、グリコール、鉱油、水、アルコール、及び、それらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。好ましくは、アルコールは芳香族アルコールを含み、芳香族アルコールはフェニルプロパノールである。GRAS酸と液体とは、1:100~100:1の範囲の比率で存在してもよい。この化学組成物は、リター材料の抗菌剤と、臭気制御防腐剤との両方として作用可能である。
【0020】
本発明の一実施形態では、ペットリター用臭気制御化学組成物の製造方法が提供される。本方法は、(好ましくは粉末状の)安息香酸を、(好ましくは顆粒状の)リター材料と混合することと、酸が均一に顆粒を被覆することを補助するために液体を使用することと、を含む。液体の例は、グリコール、鉱油、水、及び/又は、アルコールを含むが、これらに限定されない。安息香酸は、液体内に分散/溶解されて、リター材料に対して一度に添加されることができ、あるいは、スプレー(spraying)、タンブリング(tumbling)、又は、化学組成物をリター材料と混合することにより、プロセスにおける異なる適切な時点で、別個に添加されることもできる。
【0021】
検査方法には、検査方法ATCC TM211-2021が含まれるが、これらに限定されない。ATCC TM211-2021は、抗菌処理製品における細菌臭の低減を測定する検査方法である。この方法は、微生物の作用による臭気の発生を定量化する直接的な手段として開発された。この検査では、細菌の活動によって発生するアンモニアを測定するために、視覚的に明らかな検出方法であるドレーゲルカラムを利用する。ATCC TM211-2021の利点には、臭気抑制の指標として細菌の生存に依存することなく、発生したアンモニアを直接的かつ定量的に測定できることと、結果が短時間で得られることと、安価で再現可能であること、等がある。定量的な微生物検査は、ASTM E2180法によって実施されてもよい。
【0022】
ATCC TM211-2021を用いた検査方法は、5mlの容量フラスコに1gのリターを加えることを含む。その後、栄養素と細菌とを含む1mlの培養材料をリターに加え、細菌がアンモニアを発生するように、36℃で18時間培養する。あるいは、実生活でのリターの使用条件をシミュレートするために、培養を室温でより長時間行う等、検査条件を変更することもできる。アンモニアの定量化のため、培養期間の終わりに、ドレーゲルカラムを検査容器に挿入する。
【0023】
この発明のユニークな点は、安息香酸と適切な補助剤との組み合わせにより、より強力で毒性の強いイソチアザリノンベースのパッケージと同等の効果が得られることである。
【0024】
実施例1
【0025】
安息香酸とフェニルプロパノールとを、猫用リターに個別に添加した。サンプルは、修正されたAATCC 211-2021検査法の対象となり、プロテウスブルガリスをチャレンジテスト対象の細菌を用いて、合成尿とともに室温で培養した。7日間の培養後、アンモニアドレーガーチューブを挿入して、未処理サンプルが最大レベルに達する1.5時間後に、アンモニアレベルを読み取った。以下の表1のデータが示すように、安息香酸と3-フェニルプロパノールとで処理された猫用リターにおいて発生したアンモニアの量は、未処理の対照群猫用リターよりも極めて少ない。さらに、安息香酸と3-フェニルプロパノールとの組み合わせは、現在使用されている、より毒性の強いイソチアゾロンベースの処理済猫用リターと比較して、同量のアンモニアを発生させる。
【0026】
表1-プロテウスブルガリスと合成尿とを用いて、7日間チャレンジテストした後に発生したアンモニア。
【表1】
【0027】
プロテウスブルガリスをチャレンジテスト対象の細菌として用いた、ASTM E 2180検査法を用いて、定量的バクテリア検査を行った。栄養素を合成尿とともに添加し、室温で14日間培養した。以下の表2のデータは、安息香酸と3-フェニルプロパノールとで処理した猫用リターの生存可能な細菌が、未処理の対照群リターよりも、繰り返して、著しく少ないことを示す。さらに、安息香酸と3-フェニルプロパノールとで処理した猫用リターの対数減少は、4.2~4.8の範囲であり、より毒性の強いイソチアゾロンで処理した猫用リターと同等の効果を示している。
【0028】
表2-プロテウスブルガリスと合成尿とを用いて、14日間チャレンジテストした後の、ASTM E 2180による定量的な細菌検査結果。
【表2】
【0029】
実施例2
【0030】
【0031】
GRAS猫用リター処理配合物1を猫用リターに添加し、サンプルは、修正されたAATCC 211-2021検査法の対象となり、プロテウスブルガリスをチャレンジテスト対象の細菌として用いて、合成尿とともに室温で培養した。培養7日後及び14日後にアンモニアドレーガーチューブを挿入して、未処理サンプルが最大レベルに達する時間である2時間後に、アンモニアレベルを読み取った。
【0032】
表4-プロテウスブルガリスと合成尿とを用いて、7日間及び14日間チャレンジテストした後に発生したアンモニア。
【表4】
【0033】
表4に示すように、配合物1で処理した猫用リターは、7日間及び14日間の培養後、より強力で有毒なイソチアザリノンベースの処理済リターと同様に、アンモニアの発生量を減少させるのに有効であることが判明した。さらに、アンモニアの発生量は、未処理の対照群猫用リターと比較して、配合物1で処理したリターでは著しく少ない。
【0034】
ASTM E 2180検査方法を用いて、定量的バクテリア検査を行った。栄養素とともに合成尿を添加し、室温で14日間培養した。表5のデータは、配合物1で処理した猫用リターの生存可能な細菌の数が未処理の対照群リターより著しく少なく、対数減少の範囲は2.1~2.9であることを示す。このことは、本発明が微生物の増殖を抑制する機能を有し、抗菌に関する主張を支持することを示している。
【0035】
表5-プロテウスブルガリスと合成尿とを用いて、14日間チャレンジテストした後の、ASTM E 2180による定量的な細菌検査結果。
【表5】
【0036】
実施例3
【0037】
【0038】
ASTM E 2180検査方法を用いて、定量的な細菌検査を行った。栄養素とともに合成尿を添加し、室温で14日間培養した。以下の表7に示すように、配合物2で処理した猫用リターの生存可能な細菌の数は、未処理の対照群リターよりも著しく少なく、対数減少範囲は4.6~5.2であった。これは、本発明の配合物2の抗菌臭気制御効果を示す。
【0039】
表7-プロテウスブルガリスと合成尿とを用いて、14日間チャレンジテストした後の、ASTM E 2180による定量的な細菌検査結果。
【表7】
【0040】
したがって、本発明が広範囲で役立ち、適用され得ることは、当業者には容易に理解されるであろう。本明細書で説明した以外の本発明の多くの実施形態及び適応例、ならびに多くの変形、修正及び同等の配置が、本発明の本質又は範囲から逸脱することなく、本発明及びその前述の説明から明らかになるか、又は合理的に示唆されるであろう。従って、本明細書において、本発明をその好ましい実施形態に関連して詳細に説明してきたが、この開示は、本発明の理解を助けるもの、かつ、例示的なものに過ぎず、単に本発明の完全、かつ、有効な開示を提供する目的でなされたものであることを理解されたい。前述の開示は、本発明を限定すること、又は他の実施形態、適応、変形、修正、及び同等の配置を排除することを意図するものではなく、またそう解釈されるものでもない。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GRAS酸で処理された、又は、GRAS酸を混合したリター材料を含む、製品。
【請求項2】
前記GRAS酸は、安息香酸である、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用される、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
液体をさらに含む、請求項1に記載の製品。
【請求項5】
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記液体は、グリコール、鉱油、水、又は、それらの組合せをさら
に含む、請求項5に記載の製品。
【請求項7】
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、請求項5に記載の製品。
【請求項8】
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、請求項7に記載の製品。
【請求項9】
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
前記GRAS酸は、安息香酸であり、
前記液体は、3-フェニルプロパノールを含む、
請求項4に記載の製品。
【請求項11】
前記安息香酸は、
前記安息香酸と
前記3-フェニルプロパノールとの比率が10:1から1:10の範囲で使用される、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
前記安息香酸は、0.01重量%から3重量%の量で存在し、
前記重量
%は、前記リター材料の重量に基づく、請求項10に記載の製品。
【請求項13】
前記安息香酸は、0.05重量%から0.5重量%の量で存在し、
前記重量%は、前記リター材料の前記重量に基づく、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記3-フェニルプロパノールは、0.01重量%から3重量%の量で存在し、
前記重量%は、前記リター材料の重量に基づく、請求項10に記載の製品。
【請求項15】
前記3-フェニルプロパノールは、0.05重量%から0.5重量%の範囲であり、
前記重量%は、前記リター材料の前記重量に基づく、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
GRAS酸と、液体とを含む、化学組成物。
【請求項17】
前記GRAS酸は安息香酸である、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項18】
前記安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用される、請求項17に記載の化学組成物。
【請求項19】
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項20】
前記液体は、グリコール、鉱油、水、又は、それらの組合せをさら
に含む、請求項19に記載の化学組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、請求項19に記載の化学組成物。
【請求項22】
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、請求項21に記載の化学組成物。
【請求項23】
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、請求項22に記載の化学組成物。
【請求項24】
前記GRAS酸と前記液体とは、
前記GRAS酸と
前記液体との比率が1:100から100:1の範囲で存在する、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項25】
前記化学組成物は、リター材料に対して、抗菌剤と、臭気制御防腐剤との両方として作用可能である、請求項16に記載の化学組成物。
【請求項26】
ペットリターの製造方法であって、前記方法は、
安息香酸と液体とを提供することと、
前記安息香酸と前記液体とを、添加剤パッケージとして共に、あるいは別々に、リター材料の処理時にアプライすること(applying)と、
を含む、
方法。
【請求項27】
前記アプライすることは、スプレー、タンブリング、混合、又は、それらの組み合わせによる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
検査方法ATCC TM211-2021又はASTM E2180に従って、請求項1に記載のリター材料を検査することを有する、検査方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
したがって、本発明が広範囲で役立ち、適用され得ることは、当業者には容易に理解されるであろう。本明細書で説明した以外の本発明の多くの実施形態及び適応例、ならびに多くの変形、修正及び同等の配置が、本発明の本質又は範囲から逸脱することなく、本発明及びその前述の説明から明らかになるか、又は合理的に示唆されるであろう。従って、本明細書において、本発明をその好ましい実施形態に関連して詳細に説明してきたが、この開示は、本発明の理解を助けるもの、かつ、例示的なものに過ぎず、単に本発明の完全、かつ、有効な開示を提供する目的でなされたものであることを理解されたい。前述の開示は、本発明を限定すること、又は他の実施形態、適応、変形、修正、及び同等の配置を排除することを意図するものではなく、またそう解釈されるものでもない。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の内容である。
(項目1)
GRAS酸で処理された、又は、GRAS酸を混合したリター材料を含む、製品。
(項目2)
前記GRAS酸は、安息香酸である、項目1に記載の製品。
(項目3)
前記安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用される、項目2に記載の製品。
(項目4)
液体をさらに含む、項目1に記載の製品。
(項目5)
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、項目4に記載の製品。
(項目6)
前記液体は、グリコール、鉱油、水、又は、それらの組合せをさらに任意で含む、項目5に記載の製品。
(項目7)
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、項目5に記載の製品。
(項目8)
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、項目7に記載の製品。
(項目9)
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、項目8に記載の製品。
(項目10)
前記GRAS酸は、安息香酸であり、
前記液体は、3-フェニルプロパノールを含む、
項目4に記載の製品。
(項目11)
前記安息香酸は、安息香酸と3-フェニルプロパノールとの比率が10:1から1:10の範囲で使用される、項目10に記載の製品。
(項目12)
前記安息香酸は、0.01重量%から3重量%の量で存在し、
前記重量パーセントは、前記リター材料の重量に基づく、項目10に記載の製品。
(項目13)
前記安息香酸は、0.05重量%から0.5重量%の量で存在し、
前記重量%は、前記リター材料の前記重量に基づく、項目12に記載の製品。
(項目14)
前記3-フェニルプロパノールは、0.01重量%から3重量%の量で存在し、
前記重量%は、前記リター材料の重量に基づく、項目10に記載の製品。
(項目15)
前記3-フェニルプロパノールは、0.05重量%から0.5重量%の範囲であり、
前記重量%は、前記リター材料の前記重量に基づく、項目14に記載の製品。
(項目16)
GRAS酸と、液体とを含む、化学組成物。
(項目17)
前記GRAS酸は安息香酸である、項目16に記載の化学組成物。
(項目18)
前記安息香酸は、1つ又は複数の他のGRAS酸と組み合わせて使用される、項目17に記載の化学組成物。
(項目19)
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、項目16に記載の化学組成物。
(項目20)
前記液体は、グリコール、鉱油、水、又は、それらの組合せをさらに任意で含む、項目19に記載の化学組成物。
(項目21)
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、項目19に記載の化学組成物。
(項目22)
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、項目21に記載の化学組成物。
(項目23)
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、項目22に記載の化学組成物。
(項目24)
前記GRAS酸と前記液体とは、GRAS酸と液体との比率が1:100から100:1の範囲で存在する、項目16に記載の化学組成物。
(項目25)
前記化学組成物は、リター材料に対して、抗菌剤と、臭気制御防腐剤との両方として作用可能である、項目16に記載の化学組成物。
(項目26)
ペットリターの製造方法であって、前記方法は、
安息香酸と液体とを提供することと、
前記安息香酸と前記液体とを、添加剤パッケージとして共に、あるいは別々に、リター材料の処理時にアプライすること(applying)と、
を含む、
方法。
(項目27)
アプリケーション(applying)は、スプレー、タンブリング、混合、又は、それらの組み合わせによる、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記液体は、少なくとも1つのアルコールを含む、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記少なくとも1種のアルコールは、芳香族アルコールを含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記芳香族アルコールは、フェニルプロパノイド誘導体アルコールである、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記フェニルプロパノイド誘導体アルコールは、3-フェニルプロパノールである、項目30に記載の方法。
(項目31)
検査方法ATCC TM211-2021又はASTM E2180に従って、項目1に記載のリター材料を検査することを有する、検査方法。
【国際調査報告】