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特表2024-541693ガス作動式自動注入器およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ガス作動式自動注入器およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61M5/20 500
A61M5/20 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533830
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2022052050
(87)【国際公開番号】W WO2023107515
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,508
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518380643
【氏名又は名称】アルタヴィズ,リミティッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ALTAVIZ,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マッコーリー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】オールド,ジャック,アール.
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD03
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH02
4C066HH12
4C066NN08
(57)【要約】
自動注入器は、ハウジングの遠位端内の作動キャップに隣接する針を含むシリンジを担持するハウジング内の駆動アセンブリを含む。駆動アセンブリは、ガスキャニスタを保持する第1のチャンバ、シリンジに結合された第2のチャンバ内のプランジャ、および近位および遠位チャンバを含む。作動キャップは、対象者の皮膚に押し当てられて、駆動アセンブリを近位方向に導き、それによりキャニスタの出口を開いて加圧ガスを第1のチャンバ内に放出させ、その後、ガスは近位チャンバ内に入り、それにより駆動アセンブリを前進させて針を対象者内に導く遠位方向の力を発生させるとともに、第2のチャンバ内に入り、それによりプランジャを前進させてシリンジから対象者内に薬剤を送達する。プランジャが前進した後、ガスは遠位チャンバ内に入り、それにより駆動アセンブリを後退させて針をハウジング内に戻す近位方向の力を発生させる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するためのデバイスであって、
近位端および遠位端を含む外側ハウジングと、
前記ハウジングの遠位端に取り付けられた作動キャップであって、接触面が前記ハウジングの遠位端よりも遠位側に配置された作動キャップと、
前記ハウジング内でスライド可能な駆動アセンブリと、
前記駆動アセンブリの遠位端にあるシリンジであって、前記シリンジの針が前記ハウジングの遠位端内で前記作動キャップに隣接して配置される、シリンジと、
前記駆動アセンブリの近位端内の第1のチャンバ内のガスキャニスタと、
前記駆動アセンブリの第2のチャンバ内の近位端と、前記シリンジのピストンに結合された遠位端とを含むプランジャと、
前記ガスキャニスタの出口に隣接する開放ピンとを備え、
前記作動キャップは、前記ハウジングに対して移動可能であり、前記作動キャップの接触面が対象者の皮膚に押し付けられたときに、前記作動キャップが近位方向に移動して前記駆動アセンブリを前記ハウジング内で近位方向に導くことにより、前記開放ピンが前記ガスキャニスタの出口を開いて、加圧ガスが前記第1のチャンバ内に放出されるように構成され、
前記駆動アセンブリは、前記第1のチャンバと連通する近位チャンバを密閉する一対の近位シールを含み、前記近位シールは、加圧ガスが放出されたときに、加圧ガスが、前記駆動アセンブリを遠位方向に前進させて前記針を前記ハウジングの遠位端から対象者の皮膚内に導く遠位方向の力を発生させるとともに、加圧ガスが前記第2のチャンバ内に進入して前記プランジャを初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導いて、前記シリンジから前記針を介して1または複数の薬剤を対象者内に送達するように構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記駆動アセンブリは、遠位チャンバと、前記プランジャが最終位置に到達したときに前記第2のチャンバに連通する通路とを密閉する一対の遠位シールを備え、加圧ガスが前記遠位チャンバ内に進入したときに、加圧ガスが、前記駆動アセンブリを近位方向に後退させて前記針を前記ハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させるように、前記遠位シールが構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するためのデバイスであって、
近位端および遠位端を含む外側ハウジングと、
前記ハウジングの遠位端に取り付けられた作動キャップであって、接触面が前記ハウジングの遠位端よりも遠位側に配置された作動キャップと、
前記ハウジング内でスライド可能な駆動アセンブリと、
前記駆動アセンブリの遠位端にあるシリンジであって、前記シリンジの針が前記ハウジングの遠位端内で前記作動キャップに隣接して配置される、シリンジと、
前記駆動アセンブリの近位端内の第1のチャンバ内のガスキャニスタと、
前記駆動アセンブリの第2のチャンバ内の近位端と、前記シリンジのピストンに結合された遠位端とを含むプランジャと、
前記ガスキャニスタの出口に隣接する開放ピンとを備え、
前記作動キャップは、前記ハウジングに対して移動可能であり、前記作動キャップの接触面が対象者の皮膚に押し付けられたときに、前記作動キャップが近位方向に移動して前記駆動アセンブリを前記ハウジング内で近位方向に導くことにより、前記開放ピンが前記ガスキャニスタの出口を開いて、加圧ガスが前記第1のチャンバ内に放出されるように構成されるとともに、加圧ガスが前記第2のチャンバ内に進入して前記プランジャを初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導いて、前記シリンジから前記針を介して1または複数の薬剤を対象者内に送達し、
前記駆動アセンブリは、遠位チャンバと、前記プランジャが最終位置に到達したときに前記第2のチャンバに連通する通路とを密閉する一対の遠位シールを備え、加圧ガスが前記遠位チャンバ内に進入したときに、加圧ガスが、前記駆動アセンブリを近位方向に後退させて前記針を前記ハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させるように、前記遠位シールが構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1または2に記載のデバイスにおいて、
前記近位シールが、前記ハウジングの近位領域内で前記ハウジングの内壁にスライド可能に係合する第1および第2のOリングを含み、前記内壁が前記近位チャンバを取り囲むことを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスにおいて、
前記第2のOリングが前記第1のOリングよりも遠位側に位置し、前記第2のOリングが第1のOリングよりも大きい直径を有し、それにより前記近位チャンバ内の加圧ガスが前記駆動アセンブリを遠位方向に導く正味の遠位方向の力を発生させることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスにおいて、
前記第1のOリングが前記内壁の第1の領域にスライド可能に係合し、前記第2のOリングが前記内壁の第2の領域にスライド可能に係合し、前記第2の領域が前記第1の領域よりも大きい直径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項2または3に記載のデバイスにおいて、
前記遠位シールが、前記ハウジングの遠位領域内で前記ハウジングの内壁にスライド可能に係合する第3および第4のOリングを含み、前記内壁が前記遠位チャンバを取り囲むことを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスにおいて、
前記第3のOリングが前記第4のOリングよりも近位側に位置し、前記第3のOリングが前記第4のOリングよりも大きい直径を有し、それにより前記遠位チャンバ内の加圧ガスが前記駆動アセンブリを近位方向に後退させる正味の近位方向の力を発生させることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスにおいて、
前記第3のOリングが前記内壁の第3の領域にスライド可能に係合し、前記第4のOリングが前記内壁の第4の領域にスライド可能に係合し、前記第3の領域が前記第4の領域よりも大きい直径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項8に記載のデバイスにおいて、
前記正味の近位方向の力が前記正味の遠位方向の力よりも大きくなるように、前記第3および第4のOリングが前記第2のOリングの直径よりも大きい直径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項8に記載のデバイスにおいて、
前記正味の近位方向の力が前記正味の遠位方向の力よりも大きくなるように、前記第3および第4のOリングが前記第2のOリングの断面積よりも大きい断面積を有することを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記作動キャップが近位方向に導かれるのを防止するために、前記作動キャップよりも遠位側で前記ハウジングの遠位端に連結された安全キャップをさらに備えることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
安全キャップが取り外される前に、前記針が前記ハウジングから露出するのを防止するために、前記作動キャップよりも遠位側で前記ハウジングの遠位端に取り外し可能に連結された安全キャップをさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記ガスキャニスタが、最初は前記開放ピンから離間した出口を密閉するボールを含み、前記駆動アセンブリが最初に後退すると、前記ガスキャニスタが変位することにより、前記開放ピンが前記ボールを押して前記出口を開き、前記ガスキャニスタ内のガスを放出させることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のデバイスにおいて、
前記開放ピンが、前記出口が開放された後に前記開放ピンが前記ガスキャニスタから離れるのを防止するように構成された1または複数の特徴部を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスにおいて、
前記1または複数の特徴部が、前記開放ピンと前記駆動アセンブリの近位端の一方または両方にある複数のラチェットまたは戻り止めを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記ガスキャニスタが、最初は前記開放ピンから間隔をあけて配置された貫通可能な隔壁を備え、前記駆動アセンブリが最初に後退すると、前記ガスキャニスタが変位して前記開放ピンが前記隔壁を貫通し、前記ガスキャニスタ内のガスを放出させることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスにおいて、
前記ガスキャニスタの隔壁が前記第1のチャンバ内で近位方向に向けられ、前記開放ピンが前記隔壁に向かって遠位方向に向けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記プランジャが、前記第2のチャンバと連通する近位端の開口部から延びるプランジャチャンバを含み、前記第2のチャンバ内に入る前記ガスキャニスタからの加圧ガスが前記プランジャチャンバを満たすようになっていることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記ピストンの近位端が、前記第2のチャンバを近位領域と遠位領域とに分離するフランジを備え、前記ピストンの近位端が、前記第2のチャンバ内に入る前記ガスキャニスタからのガスが前記近位領域から前記遠位領域内に通過することを許容するように構成された1または複数の通路を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項20に記載のデバイスにおいて、
前記プランジャが、前記第2のチャンバと連通する近位端の開口部から延びるプランジャチャンバを含み、前記第2のチャンバ内に入る前記ガスキャニスタからの加圧ガスが前記プランジャチャンバを満たすようになっていることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
請求項20に記載のデバイスにおいて、
前記プランジャの近位端が、前記プランジャの遠位端よりも大きい断面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項23】
請求項22に記載のデバイスにおいて、
前記プランジャの断面には、前記プランジャの近位端と遠位端との間でテーパが付けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項24】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記ハウジングが、前記シリンジのピストンの観察を可能にする窓を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記シリンジが、前記薬剤チャンバを規定するバレルを含み、前記針が前記シリンジの遠位端から延び、前記ピストンが前記バレル内でスライド可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項26】
請求項25に記載のデバイスにおいて、
前記シリンジおよび前記駆動アセンブリの一方または両方が、前記シリンジを前記駆動アセンブリの遠位端に固定するための1または複数のコネクタを備えることを特徴とするデバイス。
【請求項27】
請求項25に記載のデバイスにおいて、
前記針を前記ハウジングの遠位端に隣接して配置するために、前記駆動アセンブリに結合された前記シリンジの長さに対応する長さを有する前記プランジャに結合されたシリンジスペーサをさらに備えることを特徴とするデバイス。
【請求項28】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記作動キャップおよびハウジングが、前記作動キャップの遠位方向の移動を防止するための協働する特徴部を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項29】
請求項28に記載のデバイスにおいて、
前記1または複数の協働する特徴部が、前記作動キャップおよび前記ハウジングの内面の一方または両方にある1または複数の歯またはラチェットを含み、前記1または複数の歯またはラチェットが、前記作動キャップが近位方向に移動することを可能にするが、その後の遠位方向の移動を防止することを特徴とするデバイス。
【請求項30】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記駆動アセンブリを後退させて前記針を前記ハウジング内に戻す際に、前記ハウジングから過剰な加圧ガスを放出するためのベントをさらに備えることを特徴とするデバイス。
【請求項31】
請求項1~3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記作動キャップが、前記シリンジに接触する近位端を備え、前記シリンジが、前記駆動アセンブリに結合され、前記作動キャップの近位方向の移動により前記作動キャップの近位端が前記シリンジを近位方向に押して前記駆動アセンブリを近位方向に導くようになっていることを特徴とするデバイス。
【請求項32】
請求項31に記載のデバイスにおいて、
前記作動キャップの近位端に、前記シリンジを近位方向に押すために前記シリンジに接触する1または複数の戻り止めまたはタブをさらに備え、前記1または複数の戻り止めまたはタブは、前記駆動アセンブリが遠位方向に導かれるときに、前記シリンジの邪魔にならないようにそれて、対象者の皮膚内に前記針を導くことへの干渉を回避するように構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項33】
対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するための方法であって、
請求項2または3に記載のデバイスを提供するステップと、
前記接触面を対象者の皮膚に当てるステップと、
前記デバイスを押して、前記作動キャップを近位方向に移動させることにより、前記駆動アセンブリを前記ハウジング内で近位方向に導いて、前記開放ピンにより前記ガスキャニスタの出口を開けて、前記第1のチャンバ内に加圧ガスを放出させるステップとを備え、その後、
加圧ガスは、一対の近位シールによって密閉された前記駆動アセンブリの近位チャンバ内に入り、それにより、加圧ガスが前記駆動アセンブリを遠位方向に前進させて前記針を前記ハウジングの遠位端から対象者の皮膚内に導く遠位方向の力を発生させるように構成され、
加圧ガスは、前記第2のチャンバ内に入って、前記プランジャを初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導き、それにより、前記シリンジから前記針を介して1または複数の薬剤を対象者の体内に送達し、
前記プランジャが最終位置に到達したときに、加圧ガスは、一対の遠位シールによって密閉された前記遠位チャンバ内に入り、それにより、加圧ガスが前記駆動アセンブリを近位方向に後退させて前記針を前記ハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させることを特徴とする方法。
【請求項34】
対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するための方法であって、
注入デバイスを提供するステップであって、前記注入デバイスが、近位端および遠位端を含む外側ハウジングと、前記ハウジングの遠位端に取り付けられた作動キャップであって、接触面が前記ハウジングの遠位端よりも遠位側に配置された作動キャップと、前記ハウジング内でスライド可能な駆動アセンブリと、前記駆動アセンブリの遠位端にあるシリンジであって、前記シリンジの針が前記ハウジングの遠位端内で前記作動キャップに隣接して配置される、シリンジと、前記駆動アセンブリの近位端内の第1のチャンバ内のガスキャニスタと、前記駆動アセンブリの第2のチャンバ内の近位端と、前記シリンジのピストンに結合された遠位端とを含むプランジャと、前記ガスキャニスタの出口に隣接する開放ピンとを備える、ステップと、
前記接触面を対象者の皮膚に当てるステップと、
前記デバイスを押して、前記作動キャップを近位方向に移動させることにより、前記駆動アセンブリを前記ハウジング内で近位方向に導いて、前記開放ピンにより前記ガスキャニスタの出口を開けて、前記第1のチャンバ内に加圧ガスを放出させるステップとを備え、その後、
加圧ガスは、一対の近位シールによって密閉された前記駆動アセンブリの近位チャンバ内に入り、それにより、加圧ガスが前記駆動アセンブリを遠位方向に前進させて前記針を前記ハウジングの遠位端から対象者の皮膚内に導く遠位方向の力を発生させるように構成され、
加圧ガスは、前記第2のチャンバ内に入って、前記プランジャを初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導き、それにより、前記シリンジから前記針を介して1または複数の薬剤を対象者の体内に送達し、
前記プランジャが最終位置に到達したときに、加圧ガスが一対の遠位シールによって密閉された前記遠位チャンバ内に入り、それにより、加圧ガスが前記駆動アセンブリを近位方向に後退させて前記針を前記ハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記接触面を対象者の皮膚に当てる前に、前記作動キャップを覆う安全キャップを取り外すステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、対象者の体内に薬剤を送達するためのデバイスおよび方法に関し、より詳細には、注入デバイスのための自動注入器および/またはガスを動力源とする駆動システム、並びに、そのようなデバイスの製造方法および使用方法に関する。
【0002】
関連出願データ
本出願は、2021年12月6日に出願された同時係属中の米国仮出願第63/286,508号の利益を主張するものであり、その開示全体が、引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
皮下、筋肉内、または他の方法で患者の体内に薬物または他の薬剤を送達することを含む用途が数多く存在する。例えば、患者の皮膚に当てて作動させた後、患者の体内に自動的に送達される予め設定された用量の薬剤を含む自動注入器を利用することができる。通常、そのような自動注入器は、バネ荷重シリンジであり、作動させることでバネが解放されて、それにより、針が皮膚を貫通し、シリンジ内の投与量を送達するのに十分な力が発生する。粘性のある流体の場合、流体の流れを生じさせるのに必要な力が、バネを動力源とするシステムが提供できる力よりも大きくなる可能性がある。バネが使用される場合、比較的大きい力を生成する必要があり、それには質量の大きいバネが必要となる。その結果、そのような自動注入器は、かなりの騒音を発し、ガラス破損につながるシリンジ内の圧力スパイクを生成し、振動し、かつ/または針を患者の皮膚に強く打ち込む可能性があり、それは、特に患者自身が注入を行う場合に、痛みを引き起こし、かつ/または使用者を驚かせる可能性がある。
【0004】
したがって、患者の体内に薬剤を送達するための改良されたデバイスおよび方法が有用であろう。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、概して、対象者の体内に薬剤を送達するためのデバイスおよび方法に関し、より詳細には、注入デバイスのための自動注入器および/またはガスを動力源とする駆動システム、並びに、そのようなデバイスの製造方法および使用方法に関する。
【0006】
一実施例によれば、対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するためのデバイスが提供され、このデバイスが、近位端および遠位端を含む外側ハウジングと、ハウジングの遠位端に取り付けられた作動キャップであって、接触面がハウジングの遠位端よりも遠位側に配置された作動キャップと、ハウジング内でスライド可能な駆動アセンブリと、駆動アセンブリの遠位端にあるシリンジであって、シリンジの針がハウジングの遠位端内で作動キャップに隣接して配置される、シリンジと、駆動アセンブリの近位端内の第1のチャンバ内のガスキャニスタと、駆動アセンブリの第2のチャンバ内の近位端と、シリンジのピストンに結合された遠位端とを含むプランジャと、ガスキャニスタの出口に隣接する開放ピンとを備え、作動キャップは、ハウジングに対して移動可能であり、作動キャップの接触面が対象者の皮膚に押し付けられたときに、作動キャップが近位方向に移動して駆動アセンブリをハウジング内で近位方向に導くことにより、開放ピンがガスキャニスタの出口を開いて、加圧ガスが第1のチャンバ内に放出されるように構成され、駆動アセンブリは、第1のチャンバと連通する近位チャンバを密閉する一対の近位シールを含み、近位シールは、加圧ガスが放出されたときに、加圧ガスが、駆動アセンブリを遠位方向に前進させて針をハウジングの遠位端から対象者の皮膚内に導く遠位方向の力を発生させ、加圧ガスが第2のチャンバ内に進入してプランジャを初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導いて、シリンジから針を介して1または複数の薬剤を対象者内に送達するように構成されている。任意選択的には、駆動アセンブリは、遠位チャンバと、プランジャが最終位置に到達したときに第2のチャンバに連通する通路とを密閉する一対の遠位シールも含むことができ、加圧ガスが遠位チャンバ内に進入したときに、加圧ガスが、駆動アセンブリを近位方向に後退させて針をハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させるように、遠位シールが構成されている。
【0007】
別の実施例では、対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するためのデバイスが提供され、このデバイスが、近位端および遠位端を含む外側ハウジングと、ハウジングの遠位端に取り付けられた作動キャップであって、接触面がハウジングの遠位端よりも遠位側に配置された作動キャップと、ハウジング内でスライド可能な駆動アセンブリと、駆動アセンブリの遠位端にあるシリンジであって、シリンジの針がハウジングの遠位端内で作動キャップに隣接して配置される、シリンジと、駆動アセンブリの近位端内の第1のチャンバ内のガスキャニスタと、駆動アセンブリの第2のチャンバ内の近位端と、シリンジのピストンに結合された遠位端とを含むプランジャと、ガスキャニスタの出口に隣接する開放ピンとを備え、作動キャップは、ハウジングに対して移動可能であり、作動キャップの接触面が対象者の皮膚に押し付けられたときに、作動キャップが近位方向に移動して駆動アセンブリをハウジング内で近位方向に導くことにより、開放ピンがガスキャニスタの出口を開いて、加圧ガスが第1のチャンバ内に放出されるように構成され、駆動アセンブリは、遠位チャンバと、プランジャが最終位置に到達したときに第2のチャンバに連通する通路とを密閉する一対の遠位シールを備え、加圧ガスが遠位チャンバ内に進入したときに、加圧ガスが、駆動アセンブリを近位方向に後退させて針をハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させるように、遠位シールが構成されている。
【0008】
さらに別の実施例によれば、対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するための方法が提供され、この方法が、注入デバイスを提供するステップであって、この注入デバイスが、近位端および遠位端を含む外側ハウジングと、ハウジングの遠位端に取り付けられた作動キャップであって、接触面がハウジングの遠位端よりも遠位側に配置された作動キャップと、ハウジング内でスライド可能な駆動アセンブリと、駆動アセンブリの遠位端にあるシリンジであって、シリンジの針がハウジングの遠位端内で作動キャップに隣接して配置される、シリンジと、駆動アセンブリの近位端内の第1のチャンバ内のガスキャニスタと、駆動アセンブリの第2のチャンバ内の近位端と、シリンジのピストンに結合された遠位端とを含むプランジャと、ガスキャニスタの出口に隣接する開放ピンとを備える、ステップと、接触面を対象者の皮膚に当てるステップと、デバイスを押して、作動キャップを近位方向に移動させることにより、駆動アセンブリをハウジング内で近位方向に導いて、開放ピンによりガスキャニスタの出口を開けて、第1のチャンバ内に加圧ガスを放出させるステップとを備え、その後、加圧ガスは、一対の近位シールによって密閉された駆動アセンブリの近位チャンバ内に入り、それにより、加圧ガスが駆動アセンブリを遠位方向に前進させて針をハウジングの遠位端から対象者の皮膚内に導く遠位方向の力を発生させるように構成され、加圧ガスは、第2のチャンバ内に入って、プランジャを初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導き、それによりシリンジから針を介して1または複数の薬剤を対象者の体内に送達する。任意選択的には、プランジャが最終位置に到達したときに、加圧ガスは、一対の遠位シールによって密閉された遠位チャンバ内に入り、加圧ガスが、駆動アセンブリを近位方向に後退させて針をハウジングの遠位端内に戻す近位方向の力を発生させる。
【0009】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解される。一般的な慣例によれば、図面の様々な特徴および設計要素は、一定の縮尺ではないことを強調しておく。逆に、様々な特徴および設計要素の寸法は、明確にするために任意に拡大または縮小されている。図面には以下の図が含まれる。
図1図1Aおよび図1Bは、外側ハウジング内のシリンジに結合された駆動アセンブリを含む例示的な自動注入デバイスの側面図および断面図である。
図2図2は、使用前にハウジングの遠位端から安全キャップが取り外された状態の図1Aおよび図1Bのデバイスの詳細図である。
図3図3Aおよび図3Bは、作動キャップを対象者の皮膚に押し付けて駆動アセンブリを近位方向に導くことにより駆動アセンブリ内のガスキャニスタからガスを放出させるときのデバイスの初期動作を示す、図1Aおよび図1Bのデバイスの断面図である。
図4図4Aおよび図4Bは、開放ピンがガスキャニスタを開いて加圧ガスを放出させることによりデバイスに動力を与える様子を示す詳細図である。図4Cは、一旦開いたガスキャニスタの再閉鎖を防止する特徴部を含む開放ピンの一例を示す詳細図である。
図5図5Aおよび図5Bは、加圧ガスが駆動アセンブリを遠位方向に前進させてハウジングの遠位端からシリンジの針を導くときの、図3Aおよび図3Bのデバイスを示している。図5Cは、駆動アセンブリを前進させる遠位方向の力を発生させるOリングによって密閉された近位チャンバ内に加圧ガスが移動する経路を示す詳細図である。
図6図6Aは、ガスキャニスタからの加圧ガスが駆動アセンブリ内のプランジャを前進させて、シリンジから1または複数の薬剤を送達する様子を示す、図5Aおよび図5Bのデバイスの断面図である。図6Bは、駆動アセンブリの前進中に作動キャップの遠位方向の移動を防止するために、駆動アセンブリが前進する際に係合する作動キャップおよび外側ハウジングの例示的な特徴部を示す詳細図である。図6Cは、プランジャ近位端よりも小さいプランジャ遠位端を含む駆動アセンブリ内に含まれ得るプランジャの一例を示している。
図7図7Aおよび図7Bは、プランジャが完全に遠位方向に前進して、Oリングにより密閉された遠位チャンバへの流体経路が開き、それにより駆動ハウジングが近位方向に後退して針がハウジング内に引き戻される様子を示す、図6Aのデバイスの断面図である。図7Cは、加圧ガスを遠位チャンバ内に送達する例示的な流路を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例を説明する前に、本発明は、記載の特定の実施例に限定されるものではなく、当然のことながら、変更し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0012】
値の範囲が与えられる場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値も具体的に開示されているものと理解されたい。任意の記載値または記載の範囲内の介在値と、任意の他の記載値または記載の範囲内の介在値との間の小さい各範囲は、本発明に包含される。それら小さい範囲の上限値および下限値は、それぞれ独立に範囲に含まれることも除外されることもあり、その両方または一方が小さい範囲に含まれる場合においても、またはどちらも小さい範囲に含まれない場合においても、各範囲は、記載の範囲内の特に除外された限界値を条件として、本発明に包含される。記載の範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外した範囲もまた本発明に含まれるものとする。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、いくつかの可能性のある例示的な方法および材料をここで説明する。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。このため、例えば、「化合物」に対する言及は、複数のそのような化合物を含み、「ポリマー」に対する言及は、当業者に公知の1または複数のポリマーおよびその均等物に対する言及を含む。
【0015】
本明細書では、特定の範囲が、数値の前に「約」という用語が付されて示される。「約」という用語は、本明細書において、その用語の後の正確な数値と、その用語の後の数値に近い数値または近似値に対する文字通りの裏付けを提供するために使用される。ある数値が具体的に言及された数値に近いかまたは近似しているか否かを判断する際に、その近いまたは近似している未言及の数値は、それが提示される文脈において、具体的に言及された数値と実質的に同等のものを提供する数値であり得る。
【0016】
図面を参照すると、図1Aおよび図1Bは、自動注入デバイス6の一例を示しており、このデバイスは、外側ハウジング8と、デバイス6に動力を供給するためのガスキャニスタまたは加圧ガス40の他の供給源を含む、ハウジング8内に移動可能に収容された駆動アセンブリ12と、対象者の体内に1または複数の薬剤を送達するための針78を含むシリンジ70と、プランジャ50とを含む。また、デバイス6は、キャニスタ40を開いてキャニスタ40内の加圧ガスをデバイス6の一連のチャンバに放出するための作動キャップ80およびオープナ機構60も含む。全体として、駆動アセンブリ12は、作動キャップ80により作動すると、加圧ガスがキャニスタ40からデバイス6のチャンバ内に放出されることにより、駆動アセンブリ12を前進させて針78を対象者の皮膚内に導くとともに、プランジャ50を前進させてシリンジ70から1または複数の薬剤を対象者の体内に送達する遠位方向の力を生じさせ、プランジャ50が前進した後に、駆動アセンブリ12を後退させて針78をハウジング8内に戻す近位方向の力を生じさせるように構成されている。このため、一旦作動キャップ80がデバイス6を作動させると、オペレータがそれ以上操作しなくても、加圧ガスの放出によって動作全体が自動的に実行される。本明細書において「薬剤」は、例えば、液体または気体の形態の、溶液または懸濁液中の、および粘性流体などの、1または複数の治療用および/または診断用の化合物または材料を含み得る。
【0017】
一般に、外側ハウジング8は、近位端8aと、遠位端8bと、それらの間に延びる内壁10a、10bとを含む。近位端および遠位端8a、8b間の外面は、デバイス6の操作を容易にするように、例えば、デバイス6を作動させて1または複数の薬剤を注入するために対象者の皮膚に作動キャップ80を配置して押し付けることを容易にするように、サイズおよび/または形状を設定することができる。例えば、外面は、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、オペレータがデバイス6を片手で保持し、作動キャップ80を皮膚に押し付けるのを容易にするために、1または複数のテクスチャまたはグリップ特徴部を任意に含む概ね円筒形の形状を有することができる。図示のように、ハウジング8の近位端8aは、駆動アセンブリ12の動きとの干渉を避けるために、必要に応じて空気がハウジング8に出入りするのを可能にするベント8dを含む、近位端8aを取り囲む壁8cを含むことができる。
【0018】
ハウジング8は、冷間引抜き、成形、注型、機械加工などのうちの1または複数によって、鋼、アルミニウムなどの金属、プラスチックおよび/または複合材料から形成された、複数の別個の構成要素、例えばクラムシェル半体から形成されるものであってもよく、それらが、例えば、溶接、半田付け、融着、接着剤による接着、干渉嵌合などのうちの1または複数によって実質的に恒久的に互いに取り付けられている。代替的には、ハウジング8を単一の一体構成要素として形成することもできる。例えば、図示のように、ハウジング8は、内壁10aを含む近位端8aを含む第1の部分9aと、内壁10aよりも大きい断面を有する内壁10bを含む遠位端8bを含む第1の部分9aに恒久的に取り付けられた第2の部分9bとを含むことができる。本明細書の他の箇所でさらに説明するように、各内壁10a、10bは、様々な実質的に均一な内径または他の断面を有する複数の領域を有することができ、それら領域が、駆動アセンブリ12のシールと協働して、デバイス6の動作中に駆動アセンブリ12を遠位方向および近位方向に導くのに必要な力を発生させる。
【0019】
駆動アセンブリ12は、長手方向軸18に沿って整列する近位端14および遠位端16を含み、例えば、本明細書の他の箇所で説明するように、駆動アセンブリ12がデバイス6の動作中にハウジング8内で軸18に沿って遠位方向および近位方向に移動することができる。駆動アセンブリ12は、例えば、冷間引抜き、成形、注型、機械加工などのうちの1または複数によって、鋼、アルミニウムなどの金属、プラスチックおよび/または複合材料から、単一の一体構成要素として形成することができる。代替的には、駆動アセンブリ12は、例えば、溶接、半田付け、融着、接着剤による接着、干渉嵌合などのうちの1または複数によって、実質的に恒久的に互いに取り付けられる複数の別個の構成要素から形成することもできる。
【0020】
図1Bに示す例では、駆動アセンブリ12は、キャニスタ40を収容するための第1のチャンバ22を規定する近位端14に隣接する第1の部分または近位部分20と、プランジャ50を収容する第1のチャンバ22と連通する第2のチャンバ26を規定する遠位端16に隣接する別個の第2の部分または遠位部分24として形成することができる。ハウジング部分20、24はともに、例えば、以下にさらに説明するように、駆動アセンブリ12の長さ方向に沿って間隔をあけて配置された1または複数の追加のチャンバまたは領域を規定する、概ね円筒形または他の適切な形状を有することができる。近位部分および遠位部分20、24は、例えば、嵌合ネジ25、圧力嵌め、接着剤による接合、音波溶接、融着などのうちの1または複数によって、互いに恒久的に接続することができる。
【0021】
例えば、近位部分20は、キャニスタ40から放出された加圧ガスがキャニスタ40の周囲を遠位方向に通過して第2のチャンバ24に入ることを可能にしながらも、キャニスタ40を収容する大きさの、均一な直径の第1の領域22a、テーパ状領域22bおよび均一な直径の第2の領域22cを含む第1のチャンバ22を取り囲む環状壁を含むことができる。さらに、近位部分20は、環状壁を通って延びる1または複数の通路28、例えば、第2の領域22cを通って近位部分20の一部分を取り囲む近位チャンバ30内に延びる、例えば環状壁領域22b、22cとハウジング8の内壁10aとの間に延びる一対の通路28を含む。駆動アセンブリ12は、第1のチャンバ20よりも近位側に、例えば環状壁に結合された近位ハブ14aを含むことができ、このハブ14aは、ハウジング8の内壁10aへと外側に延びている。
【0022】
全体として、図4A図4Cをさらに参照すると、キャニスタ40は本体42を含み、この本体は、第1の閉じた端部42a、第2の出口端部42bと、出口端部42bに溶接または他の方法で取り付けられた閉鎖体46を有するキャップ44とを含み、それにより、キャビティ48内のガスを少なくとも部分的に液化するのに十分な圧力まで圧縮された二酸化炭素またはフルオロカーボンガスなどの液化ガスを含む流体で満たされた密閉されたキャビティ48を提供する。代替的には、アルゴン、窒素、ヘリウムアルゴン、またはそれらの他の組合せなどのガスを含む、ガス状のままである流体をキャビティ48内に貯蔵することもできる。本明細書の他の箇所で説明するように、キャビティ48内に収容された加圧流体は、デバイス6を動作させる力を発生させるために、例えば、シリンジ70から対象者の体内に1または複数の薬剤を注入するために使用することができる。
【0023】
一例では、本体42およびキャップ44を、ステンレス鋼または他の所望のもしくは適切な金属、プラスチックまたは複合材料から、例えば、絞り加工、プレス加工、機械加工、注型、成形などのうちの1または複数によって形成することができる。例えば、本体42は、1または複数のダイおよびパンチ(図示せず)を使用して、シートメタル、例えば、タイプ305ステンレス鋼の丸いシートメタルブランクから深絞り加工され、主バレル領域、閉じた端部42a、任意選択的なテーパ状の肩領域、およびキャップ44が取り付けられる開口部を規定する出口端部42bを形成することができる。
【0024】
図4A図4Cに示す例では、閉鎖体46が、ボールまたは他の部材であり、キャップ44の出口を閉じるように付勢されるか他の方法で構成されているが、オープナ機構60によってキャップ44から離れる方向に、例えばキャニスタ40内に導かれて、それにより出口を開いてキャビティ48内の加圧ガスを放出するようになっている。この例では、オープナ機構60が、駆動アセンブリ12の近位ハブ14aを通って延びる開放ピン62を含み、この開放ピンが、ハウジング8の閉じた近位壁8cに隣接して配置された近位端または第1の端部62aと、キャップ44に隣接して配置された遠位端64であって、例えば出口に入り、閉鎖体46を出口から押し出すサイズの先細の先端64aを含む遠位端とを含む。例えば、開放ピン62の近位端62aは、例えば、駆動アセンブリ12が近位方向に導かれるときに、ハウジング8の近位端8cに当接して、開放ピン62の近位方向への移動を防止することができる。その結果、駆動アセンブリ12が最初に近位方向に導かれるときに、キャニスタ40は、近位方向に導かれて、それにより開放ピン62の先端64aが出口に入って、キャップ44から出口端部42b内に閉鎖体46を押し出すことにより、加圧ガスを放出することができる。
【0025】
任意選択的には、図4Cに示すように、開放ピン62は、出口が開かれた後に開放ピン62がガスキャニスタ40から離れる方向に移動するのを防止するように構成された1または複数の特徴部を含むことができる。例えば、複数のラチェットまたは戻り止め66が、開放ピン62と駆動アセンブリ12の近位ハブ14aの一方または両方に設けられ、駆動アセンブリ12が最小限の干渉で開放ピン62に対して近位方向に移動することが可能となっている。しかしながら、駆動アセンブリ12が後退して開放ピン62が出口を開いた後は、戻り止め66は、開放ピン62を駆動アセンブリ12に結合するか、または他の方法で移動を制限し、開放ピン62が駆動アセンブリ12のその後の遠位方向の動きに追従して出口が閉じるのを防止するようになっている(仮に、戻り止めがなければ、駆動アセンブリ12およびキャニスタ40が開放ピン62から遠位方向に離れるように移動してしまう可能性がある)。
【0026】
代替的には、キャップ44は、オープナ機構によって開けられる隔壁または他の弱められた領域(図示せず)を含む密閉キャップであってもよい。この代替例では、オープナ機構が、隔壁に穴を開けるか、または隔壁を優先的に引き裂くように構成された穿刺ピン(図示せず)を含むことができる。使用可能なキャニスタおよびその製造方法に関する追加の情報は、米国公開第2017/0258583号に記載されており、その開示全体は、引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【0027】
図4A図4Cに示すように、出口端部42bが閉じた端部42aよりも近位側となるようにキャニスタ40を向けて、出口端部44よりも近位側にオープナ機構60を設けることができる。代替的には、向きを逆にして、出口端部42bを遠位方向に向けて、出口端部42bよりも遠位側にオープナ機構60を設けることもできる(図示せず)。この代替例では、オープナ機構が駆動アセンブリ12に結合され、キャニスタ40がハウジング8内で実質的に静止し、駆動アセンブリ12の近位方向の移動によって開放ピンが近位方向に導かれてキャニスタを開けることができる。
【0028】
図1Bに戻ると、駆動アセンブリ12は、近位チャンバ30を密閉する一対の近位シール32、例えば、近位ハブ14aの周囲に取り付けられた第1または近位のOリング32aと、環状壁の第1の領域22aの周囲に、例えば、それぞれの環状溝または凹部に取り付けられた第2または遠位のOリング32bとを含む。Oリング32a、32bは、ハウジング8の内壁10aにスライド可能に係合して、ハウジング8内での駆動アセンブリ12の軸方向移動に適応しながらも、近位チャンバ30を密閉する流体密シールを提供することができる。例えば、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、加圧ガスがキャニスタ40から放出されると、加圧ガスは、第1のチャンバ22および通路28を通って近位チャンバ30内に入り、それにより、駆動アセンブリ12を遠位方向に前進させて針78をハウジング8の遠位端8bから対象者の皮膚内に導く遠位方向の力を発生させる。
【0029】
遠位方向の力を達成するために、第2のOリング32bは、第1のOリング32aよりも大きい外径を有することができ、ハウジング8の内壁10aは、Oリング32a、32bの直径に対応する第1および第2の領域を含むことができる。例えば、図4A図4Bおよび図5Cに最もよく見られるように、内壁10aは、第1のOリング32aから遠位方向に延びる第1の領域または近位領域10a1と、第1の領域10a1よりも大きい直径を有する第2のOリング32bから遠位方向に延びる第2の領域または遠位領域10a2とを含むことができる。デバイス6が作動されて駆動アセンブリ12がその初期位置から遠位方向に移動するときに、第1のOリング32aは、第1の領域10a1にスライド可能に係合し、第2のOリング32bは、第2の領域10a2にスライド可能に係合する。
【0030】
Oリング32a、32bおよび近位チャンバ30は、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、駆動アセンブリ12を遠位方向に前進させるように、すなわち、針78をハウジング8から対象者の皮膚内に導くように構成されている。加圧ガスが(キャニスタ40から放出された直後に)近位チャンバ30内に流入すると、圧力は、Oリング32a、32bの直径の差に起因して、駆動アセンブリ12を遠位方向に導く正味の遠位方向の力を発生させる。直径の差を考慮すると、すなわち、第2または遠位のOリング32bが第1または近位のOリング32aよりも大きい直径を有することにより、ガス圧に曝される第2のOリング32bの表面積も、第1のOリング32aより大きくなる。対向する表面領域に作用する加圧ガスからの均一な圧力を考慮すると、第2のOリング32bに作用する遠位方向の力は、第1のOリング32aに作用する近位方向の力よりも大きくなり、それにより、駆動アセンブリ12を遠位方向に前進させる正味の遠位方向の力が発生する。
【0031】
図1Aおよび図1Bに戻ると、シリンジ70は、全体として、バレル72を含み、このバレルが、閉じた遠位端72aであって、そこから針78が延びる遠位端と、開いた近位端72bであって、ピストンまたはストッパ74をスライド可能に受け入れて、例えば液体または他の流動可能な形態の1または複数の治療薬および/または診断薬を含む薬剤チャンバ73を囲う近位端とを含む。近位端72bおよび駆動アセンブリ12の遠位端16は、シリンジ70を駆動アセンブリ12に固定するために、例えば、軸方向の移動を互いに結合するために、協働する特徴部を含むことができる。例えば、図1Bに最もよく見られるように、バレル72の近位端72bは、駆動アセンブリ12の遠位端16の対応する凹部内に受け入れられる1または複数のフランジ、例えば、半径方向フランジまたは一対の対向フランジ76を含むことができる。追加的または代替的には、シリンジ70を固定するために、1または複数の戻り止め、隆起または他の特徴部(図示せず)を駆動アセンブリ12に設けることができる。
【0032】
一例では、シリンジ70が、例えばガラス、プラスチックなどから形成され、例えば患者の1回投与量に相当する予め設定された量の薬剤で充填されたプレフィルドシリンジであってもよい。代替的には、薬剤チャンバおよび針を、必要に応じて、駆動アセンブリと一体化することができる(図示せず)。さらに別の代替例では、シリンジ70(または一体型薬剤チャンバ)が、針のない遠位ポート(図示せず)を含むことができ、その場合、注入の直前に、または必要に応じて、例えば、ルアーフィッティング、嵌合ネジおよび/または他の協働コネクタを使用して、別個の針(同様に図示せず)をポートに結合することができる。
【0033】
プランジャ50は、細長いロッドまたは他の部材を含むことができ、第2のチャンバ26内にスライド可能に配置される近位端52、例えば最初は第1のチャンバ20にすぐ隣接する近位端と、ストッパ74に結合される遠位端54とを含む。プランジャ50は、初期位置または後退位置(例えば、図1B図5Aおよび図5Bに示す)から最終位置または伸長位置(例えば、図7Aに示す)まで移動可能であり、例えば、遠位端54が駆動アセンブリ12の第2の端部16からシリンジ70の薬剤チャンバ73内に延びる。
【0034】
プランジャ50の近位端52には、第2のチャンバ26の壁にスライド可能に係合するフランジまたは他のガイド部材53が設けられている。その結果、加圧ガスが(第1のチャンバ22を介して)第2のチャンバ26内に入ると、その圧力により、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、プランジャ50を初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導いて、ストッパ74を前進させ、1または複数の薬剤を薬剤チャンバ73から針78を介して対象者内に送達する遠位方向の力が発生する。
【0035】
任意選択的には、例えば、プランジャ50の遠位端54とピストン74との間にコネクタを設けるために、かつ/またはピストン74がプランジャ50と連動して前進するように適切な間隔を確保するために、それらの間にインターフェースを与えるシリンジスペーサまたはアダプタ75を提供することができる。このため、ハウジング8の遠位端8bに隣接する針78を適切に位置決めしながら、様々な長さのシリンジをハウジング8内に装填することができるように、様々な長さのスペーサ75を提供することができる。例えば、製造中または組立中に、例えば遠位端8bの開口部を介して、ハウジング8内に挿入され、駆動アセンブリ12の遠位端16に結合されるシリンジ70を選択することができる。シリンジ70を装填する前に、対応するスペーサ74をピストン74またはプランジャ50の遠位端54に結合することができる。
【0036】
任意選択的には、駆動アセンブリ12は、第1および第2のチャンバ22、26の間に壁または中間通路(図示せず)を含むことができる。中間通路は、第2のチャンバ26内の圧力上昇時間を短縮するための制限器を与えるために、比較的小さな直径を有することができ、例えば、それにより、近位チャンバ30内への加圧ガスの初期の流れを強化して、プランジャ50が前進し始める前に駆動アセンブリ12および針78を前進させることができる。代替的には、制限器として機能することが望ましい場合、精密オリフィス(図示せず)を第1および第2のチャンバ22、26の間に挿入することができる。例えば、オリフィスは、i)ガスの過渡的な流れを遅くし、プランジャ50に加えられる圧力の上昇を遅らせ、例えば、注入にソフトスタートを提供し、シリンジ内の注入される流体内の圧力衝撃波を低減/除去し、薬剤注入が緩やかに開始されるため、患者の痛みを軽減することが可能であり、かつ/またはii)ガスの定常状態の流れを遅くし、プランジャ50に加えられる他の圧力を低下させ、患者に注入される薬剤の流量に制限効果を与えることができる。
【0037】
任意選択的には、図6Cに示すように、プランジャ50の近位端のフランジ53は、フランジ53の近位面および遠位面53b、53cの間に延びる1または複数の通路53aを含むことができる。例えば、フランジ53は、フランジ53の外周の周りに互いに間隔を空けて配置された複数の円形または他の囲まれた通路53aを含むことができ、各々が近位面および遠位面53b、53cの間に延びる。代替的には、1または複数の通路は、近位面および遠位面53b、53cの間に延びるフランジの外面に形成された溝(図示せず)であってもよい。
【0038】
この場合、フランジ53は、第2のチャンバ26の壁とスライド可能に係合して、例えば、プランジャ50が初期位置から伸長位置まで移動することができるようなサイズおよび/または形状とすることができるが、Oリングまたは他のシールを必要としない。例えば、フランジ53は、プランジャ50よりも大きい外径を有する円筒形ヘッドであってもよく、プランジャ50と一体成形または他の方法で形成されるか、または別個に製造されて、プランジャ50に恒久的に取り付けられるものであってもよい。
【0039】
任意選択的な1または複数の通路は、フランジ53よりも近位側の第2のチャンバ26の領域26aと、プランジャ50を取り囲む第2のチャンバ26よりも遠位側の領域26bとの間を連通する。シリンダシール90が、駆動アセンブリ12内に、例えば、プランジャ50とスライド可能に係合し得る第2のチャンバ26の遠位端に設けられ、それにより、プランジャ50の軸方向の移動を実質的に妨げることなく第2のチャンバ26の内壁との流体密シールを提供することができる。シール90は、例えば、シール90の内面から半径方向外向きに延びる1または複数の通路92を含むことができ、それら通路は、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、加圧ガスを遠位チャンバ96内に送達するために、駆動アセンブリ12の壁内の1または複数の通路94と連通することができる。
【0040】
任意選択的には、プランジャ50は、例えば、図6Cに最もよく見られるように、プランジャ50の開いた近位端52から閉じた遠位端54まで延びるプランジャチャンバ56も含むことができる。その結果、加圧されたガスが第2のチャンバ26に入ると、ガスは、1または複数の通路53aを通って、プランジャ50の周りの第2のチャンバ26の両側へと、そしてさらに後述するように、プランジャチャンバ56内へと自由に流入することができる。
【0041】
例えば、キャニスタ40が開放されて加圧ガスが放出されると、ガスが満たす必要がある初期容積(キャニスタ40の周囲の第1のチャンバ22、近位チャンバ30、プランジャ50の周囲の第2のチャンバ26、および任意選択的なプランジャチャンバ56を含む)は、空いている容積をガスが満たす際に初期圧力低下をもたらす可能性がある。しかしながら、プランジャ50が前進すると、ガスが満たす必要のある容積の変化は、最小限にしか増加しない(例えば、駆動アセンブリ12の遠位端16から押し出される第2のチャンバ26内でプランジャ50が占める容積)。その結果、容積の変化が最小限に抑えられるため、プランジャ50にかかる圧力によって加えられる力は、実質的に一定のままであるか、または僅かに減少するだけである。このため、プランジャ50に加えられる力の低下は最小限に抑えられ、シリンジ70からの薬剤のより均一な送達速度を提供することができる。圧力低下を低減することができるプランジャに関する追加情報は、同時係属中の米国出願第17/965,707号に記載されており、その開示全体は引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【0042】
任意選択的には、図6Cに示すように、プランジャ50の近位端52は、プランジャ50の遠位端54よりも大きい直径または他の断面を有することができる。例えば、図示のように、外径または断面に、プランジャ50の近位端52と遠位端54との間でテーパを付けることができる。そのようなテーパ形状は、プランジャ50が初期位置から最終位置に向かって進むにつれて、プランジャの断面積を増加させることができ、それにより、容積の変化によるシリンジストッパに加えられる遠位方向の力の変化を最小限に抑えることができる。これは、一定の送達速度が求められる用途に特に有用である。
【0043】
プランジャ50に関連するこれらの任意の特徴は、必要に応じて、互いに組み合わせたり、省略したりできることが理解されよう。
【0044】
図6Cおよび図7Cをさらに参照しながら図1Bに戻ると、駆動アセンブリ12は、遠位チャンバ96を密閉する一対の遠位シール98、例えば、駆動アセンブリ12の第2の部分24の周囲で、例えば、それぞれの環状溝または凹部内に取り付けられた第1または遠位のOリング98aおよび第2または近位のOリング98bを含む。Oリング98a、98bは、ハウジング8の内壁10bにスライド可能に係合して、ハウジング8内での駆動アセンブリ12の軸方向移動に適応しながら、遠位チャンバ96を密閉する流体密シールを提供することができる。プランジャ50が最終位置に達したとき(対象者に1または複数の薬剤を注入した後)、加圧ガスが遠位チャンバ96内に入り、例えば図7Aおよび図7Bに示すように、駆動アセンブリ12を近位方向に後退させて針78をハウジング8の遠位端8b内に戻す近位方向の力を発生させるように、遠位シール98および遠位チャンバ96を構成することができる。
【0045】
例えば、プランジャ50の近位端52は、例えば、フランジ53よりも遠位側の近位端52から半径方向外側に延びる1または複数の通路52aを含む。プランジャが最終位置まで前進すると、例えば図7A図7Cに示すように、1または複数の通路52aがシリンダシール90内の通路92と整列する。その後、(プランジャ50を前進させるためにキャニスタ40から放出された)第2のチャンバ26内の加圧ガスは、プランジャチャンバ56から通路52a、92、94を通って遠位チャンバ96内に自由に移動し、それにより駆動アセンブリ12を近位方向に後退させて針78をハウジング8の遠位端8b内に引き戻す近位方向の力を発生させる。
【0046】
近位方向の力を得るために、第2のOリング98bは、第1のOリング98aよりも大きい外径を有することができ、ハウジング8の内壁10bは、Oリング98a、98bの直径に対応する第1および第2の領域を含むことができる。例えば、図6Cおよび図7Cに最もよく見られるように、内壁10bは、第1のOリング98aから近位方向に延びる第1の領域または遠位領域10b1と、第1の領域10b1よりも大きい直径を有する第2のOリング98bから近位方向に延びる第2の領域または近位領域10b2とを含むことができる。シリンジ70内の1または複数の薬剤の送達後に駆動アセンブリ12がその前進位置から近位方向に移動するときに、第1のOリング98aは、第1の領域10b1にスライド可能に係合し、第2のOリング98bは、第2の領域10b2にスライド可能に係合する。
【0047】
Oリング32a、32bおよび近位チャンバ30と同様に、加圧ガスが遠位チャンバ30内に入ったときに、圧力がOリング98a、98bの直径の差に起因して駆動アセンブリ12を近位方向に導く正味の近位方向の力を発生させるため、遠位Oリング98a、98bおよび遠位チャンバ96は、加圧ガスによって駆動アセンブリ12を近位方向に後退させる近位方向の力を発生させるように構成されている。直径の差を考慮すると、すなわち、近位Oリング98bが遠位Oリング98aより大きい直径を有することにより、第2のOリング98bの表面積も、第1のOリング98aより大きくなる。対向する表面領域に作用する加圧ガスからの均一な圧力を考慮すると、第2のOリング98bに作用する近位方向の力は、第1のOリング98aに作用する遠位方向の力よりも大きくなり、それにより、駆動アセンブリ12を近位方向に後退させる正味の近位方向の力が発生する。
【0048】
さらに、Oリング98a、98bは、近位Oリング32a、32bの直径よりも大きい直径を有する(そして、遠位内壁10bは、近位内壁10aよりも大きい直径を有する)。その結果、遠位チャンバ96によって生成される正味の近位方向の力は、近位チャンバ30によって生成される正味の遠位方向の力よりも大きくなり、その結果、正味の力は近位方向となって、駆動アセンブリ12が確実に引き込まれる。
【0049】
一対の近位シール30および一対の遠位シール96の相対的な直径は、デバイス6の動作の対応する段階中に所望の正味の遠位方向の力および正味の近位方向の力を発生させるように選択することができることが理解されよう。例えば、駆動アセンブリ12を最初に前進させるための正味の遠位方向の力は、針78を対象者の皮膚内に所望の速度で前進させるように、例えば、不快感を最小限に抑えるために比較的低い力を選択することができ、一方、正味の近位方向の力は、例えば、シリンジ70内の1または複数の薬剤を送達した後に針を迅速に除去するように、遥かに大きくすることができる。さらに、プランジャ50およびストッパ74を前進させて1または複数の薬剤を送達するためにプランジャ50に加えられる力は、1または複数の薬剤を迅速に送達して、注入を完了するのに必要な全体時間を最小化するために、比較的大きくすることができる。
【0050】
シール32、98およびデバイス6の他のシール、例えばシリンダシール90は、キャニスタ40からの加圧ガスが最小限の漏れで一連のチャンバに送られる密閉されたシステムまたは封じ込められたシステムを形成することができる。
【0051】
使用中、デバイス6には、例えば図1Aおよび図1Bに示すように、ハウジング8の遠位端8bに取り付けられた安全キャップ86を最初に設けることができる。例えば、安全キャップ86は、例えば作動キャップ80が接触されるのを防ぐことによって、作動キャップ80が近位方向に導かれるのを防ぐことができる。追加的または代替的には、安全キャップ86は、安全キャップ86が取り外されたときに針シールド79も取り外されるように、針シールド79と係合する特徴部を含むことができる。安全キャップ86および針シールド79は、使用前に針78がハウジング8から露出するのを防ぐことができる。このため、注入を行う直前に、例えば図2に示すように、安全キャップ86を取り外して、作動キャップ80の接触面84を露出させることができる。
【0052】
図3Aおよび図3Bに示すように、接触面84を対象者の皮膚(図示せず)に当て、次いで、デバイス6を皮膚に押し付けることにより、作動キャップ80を近位方向に移動させて、駆動アセンブリ12をハウジング8内で近位方向に導き、それにより開放ピン60がガスキャニスタ40の出口を開いて加圧ガスを第1のチャンバ22内に放出させることができる。例えば、図示のように、作動キャップ80の近位端82は、1または複数の戻り止めまたはタブ83を含むことができ、それらがシリンジ70のバレル72に接触してシリンジ70を押し、それにより、シリンジ70に結合された駆動アセンブリ12全体(駆動アセンブリ12によって運ばれるキャニスタ40を含む)を近位方向に導くことができる。駆動アセンブリ12およびキャニスタ40が近位方向に移動すると、例えば図4Cに示すように、開放ピン60がキャニスタ40の出口を開いて、加圧ガスをキャニスタ40の周囲の第1のチャンバ22内に放出させる。
【0053】
その後、図5Cに示すように、加圧ガスは、1または複数の通路28を介して、近位シール32によって密閉された近位チャンバ30内に入り、その結果、遠位方向の力を発生させて、例えば図5Aおよび図5Bに示すように、駆動アセンブリ12全体を遠位方向に前進させて針78をハウジング8の遠位端8bから対象者の皮膚内に導くことができる。キャニスタ40が、例えば図5Cに示すように、ボール閉鎖体46を含む場合、特徴部66は、図5Bに示すように、開放ピン60を駆動アセンブリとともに遠位方向に移動させるように係合し、それによってボールが出口を閉じるのを防止することができる。
【0054】
駆動アセンブリ12が前進する際に、作動キャップ80上の1または複数のタブ83は、例えば図6Aに示すように、シリンジ70が作動キャップ80の近位端82内に前進するのを邪魔しないようにそれるか、他の方法でそれを可能にするように構成することができ、それにより、ハウジング8の遠位端8bから対象者の皮膚内に針78を導く際の干渉を回避することができる。作動キャップ80および/またはハウジング8は、例えば駆動アセンブリ12およびシリンジ70が前進する際に、作動キャップ80が遠位方向に移動するのを防止するための1または複数の協働する特徴部を含むことができる。例えば、図6Bに示すように、1または複数の歯またはラチェット81、11が、作動キャップ80およびハウジング8の内面に設けられ、それにより作動キャップ80が近位方向(例えば、初期の作動中)に移動するのを許容するが、その後に遠位方向に移動するのを阻止することができる。
【0055】
例えば、対象者の皮膚に作動キャップ80を押し当てると、戻り止め83が初期作動中にシリンジ70および駆動アセンブリ12を近位方向に押すことを可能にするのに十分な比較的小さい力が発生し、歯またはラチェット81、11が干渉することなく、そのような近位方向の動きを許容する。しかしながら、加圧ガスが放出されて駆動アセンブリが一旦前進すると、作動キャップ80上の戻り止め83をそらすために比較的大きい力が発生し、それにより、作動キャップ80が遠位方向に移動すること、またはシリンジ70が前進して針78を対象者の皮膚内に導くのを妨げることを、歯またはラチェット81、11が防止することができる。
【0056】
さらに、図6Aおよび図7Aに示すように、加圧ガスは、第1のチャンバ22から第2のチャンバ26に入り、プランジャ50を初期位置から最終位置に向かって遠位方向に導き、シリンジ70から1または複数の薬剤を針78を介して対象者の体内に送達することができる。
【0057】
図7Aおよび図7Bに示すように、プランジャ50が最終位置に達すると、加圧ガスは、遠位シール98によって密閉された遠位チャンバ96内に、すなわち通路52a、92、94を通って入り、この加圧ガスが、駆動アセンブリ12を近位方向に後退させて針78をハウジング8の遠位端8b内に戻す近位方向の力を発生させる。このため、デバイス6の動作全体が、単に作動キャップ80を対象者の皮膚に押し当てるだけで開始され、オペレータがそれ以上操作することなく、加圧ガスがチャンバと連通して、針を前進させ、1または複数の薬剤を注入し、針を後退させることができる。その後、デバイス6は、針78とのその後の接触の危険性なしに安全に廃棄することができる。任意選択的には、必要に応じて、安全キャップ86および/または針シールド79をハウジング8の遠位端8bに再び取り付けることもできる。
【0058】
本発明は、様々な変更および代替的な形態が可能であるが、その具体的な例が図面に示され、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、開示の具体的な形態または方法に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更物、均等物および代替物を網羅するものであることを理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】