(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】調整式シャントシステム、並びに関連するシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533845
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022052002
(87)【国際公開番号】W WO2023107486
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サポジニコフ, キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ソール, トム
(72)【発明者】
【氏名】バッテン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブロンズ, テッサ
(57)【要約】
本技術は、全般的に、異なる流体抵抗を有する、少なくとも2つの個別の流体流路を有する調整式シャントシステムを含む、調整式シャントシステムを対象とする。少なくともいくつかの実施形態では、シャントシステムは、2つの個別の流体流路のうちのどちらを流体流に「開放」するかを制御するアクチュエータを、含む。例えば、アクチュエータは、(i)第2の流路を閉じながら、第1の流路を開くことと、(ii)第1の流路を閉じながら、第2の流路を開くこととを選択的に交互に行うことによって、システムを通る流体の流れを選択的に制御するように構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療するための調整式シャントシステムであって、前記調整式シャントシステムは、
第1のチャネル入口、及び第1の流体抵抗を有する第1のチャネルと、
第2のチャネル入口、及び前記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する第2のチャネルと、
単一アクチュエータであって、少なくとも、(i)前記単一アクチュエータの一部分が前記第1のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第1の位置と、(ii)前記単一アクチュエータの前記一部分が前記第2のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第2の位置との間で遷移可能な単一アクチュエータとを含む、調整式シャントシステム。
【請求項2】
前記第1の位置において、前記単一アクチュエータの前記一部分は、前記第1のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第2のチャネル入口を通る流れを許容する、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項3】
前記第2の位置において、前記単一アクチュエータの前記一部分は、前記第2のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第1のチャネル入口を通る流れを許容する、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項4】
前記第1の流体抵抗は、前記第2の流体抵抗よりも小さい、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項5】
前記第1の流体抵抗は、前記第2の流体抵抗よりも大きい、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項6】
前記単一アクチュエータは、前記単一アクチュエータの前記一部分が前記第1のチャネル入口、又は前記第2のチャネル入口からオフセットを有するように整列する、第3の位置に遷移可能である、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項7】
前記第3の位置において、前記単一アクチュエータの前記一部分は、前記第1のチャネル入口と前記第2のチャネル入口との間に位置する、請求項6に記載の調整式シャントシステム。
【請求項8】
前記第3の位置において、前記単一アクチュエータの前記一部分は、前記第1のチャネル入口、及び前記第2のチャネル入口を通る流れを可能にする、請求項6に記載の調整式シャントシステム。
【請求項9】
第3の流体入口、及び第3の流体抵抗を有する第3のチャネルを更に含み、前記単一アクチュエータは、前記単一アクチュエータの前記一部分が前記第3の流体入口と少なくとも部分的に整列する、第3の位置へと更に遷移可能である、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項10】
前記第3の流体抵抗は、前記第1の流体抵抗、又は前記第2の流体抵抗とは異なる、請求項9に記載の調整式シャントシステム。
【請求項11】
前記第3の位置において、前記アクチュエータの前記一部分は、前記第3のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第1のチャネル入口、及び前記第2のチャネル入口のうちの少なくとも1つを通る流れを許容する、請求項9に記載の調整式シャントシステム。
【請求項12】
前記アクチュエータの前記一部分は、前記単一アクチュエータのゲート要素を含み、
前記単一アクチュエータが前記第1の位置にある場合、前記ゲート要素は、前記第1のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第2のチャネル入口を通る流れを許容し、
前記単一アクチュエータが前記第2の位置にある場合、前記ゲート要素は、前記第2のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第1のチャネル入口を通る流れを許容する、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項13】
前記ゲート要素は、球形部分を含む、請求項12に記載の調整式シャントシステム。
【請求項14】
前記球形部分は、前記第1のチャネル入口、及び/又は、前記第2のチャネル入口に封止係合するように構成される、請求項13に記載の調整式シャントシステム。
【請求項15】
前記ゲート要素は、シリコーンを含む、請求項12に記載の調整式シャントシステム。
【請求項16】
流量制御アセンブリを更に含み、前記流量制御アセンブリは、前記第1のチャネルと、前記第2のチャネルと、前記単一アクチュエータを受容するように構成されたチャンバとを画定する、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項17】
前記第1のチャネルは、前記第1のチャネル入口によって前記チャンバに流体結合し、
前記第2のチャネルは、前記第2のチャネル入口によって前記チャンバに流体結合する、請求項16に記載の調整式シャントシステム。
【請求項18】
前記チャンバは、前記流量制御アセンブリの内部に位置決めされ、前記流量制御アセンブリは更に、前記チャンバに流体的に結合し、かつ、前記流量制御アセンブリの外部の環境からの流体が前記チャンバに入ることを許容するように構成された、流体入口を含む、請求項16に記載の調整式シャントシステム。
【請求項19】
前記流体入口と前記チャンバとを流体結合する流体入口導管を更に含む、請求項18に記載の調整式シャントシステム。
【請求項20】
前記流体入口導管は、前記第1の流体抵抗、及び/又は前記第2の流体抵抗よりも小さい第3の流体抵抗を有する、請求項19に記載の調整式シャントシステム。
【請求項21】
前記流体入口導管は、前記第1の流体抵抗、又は前記第2の流体抵抗以上の第3の流体抵抗を有する、請求項20に記載の調整式シャントシステム。
【請求項22】
前記流量制御アセンブリは少なくとも1つのプレートを含み、前記少なくとも1つのプレートは、前記第1のチャネル、及び前記第2のチャネルを画定する第1のプレートを含む、請求項16に記載の調整式シャントシステム。
【請求項23】
前記流量制御アセンブリは更に、前記単一アクチュエータを含み、かつ、前記チャンバを少なくとも部分的に画定する第2のプレートを含む、請求項22に記載の調整式シャントシステム。
【請求項24】
前記流量制御アセンブリは更に、前記チャンバに流体結合し、かつ、前記流量制御アセンブリの外部の環境からの流体が前記チャンバに入ることを許容するように構成された流体入口を含む第3のプレートを含む、請求項23に記載の調整式シャントシステム。
【請求項25】
前記第1のプレートは、前記第2のプレートの第1の側に位置決めされ、前記第3のプレートは、前記第2のプレートの第2の側に位置決めされ、前記第2の側は、前記第1の側の反対側である、請求項24に記載の調整式シャントシステム。
【請求項26】
前記単一アクチュエータは、
前記単一アクチュエータを前記第1の位置から前記第2の位置に向かって遷移させるように動作可能な第1の作動要素と、
前記単一アクチュエータを前記第2の位置から前記第1の位置に向かって遷移させるように動作可能な第2の作動要素とを含む、請求項1に記載の調整式シャントシステム。
【請求項27】
前記第1の作動要素、及び前記第2の作動要素は、形状記憶材料から構成されている、請求項26に記載の調整式シャントシステム。
【請求項28】
患者に埋め込まれたシャントシステムを通る流体流を選択的に制御するための方法であって、前記方法は、
前記シャントシステムのアクチュエータの作動要素にエネルギーを印加することによって、前記システム全体の流体抵抗を調整することを含み、
前記作動要素にエネルギーを印加することにより、(i)前記アクチュエータが前記システムの第1のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記システムの第2のチャネルを通る流れを許容する、第1の位置と、(ii)前記アクチュエータが前記第2のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第1のチャネルを通る流れを許容する、第2の位置との間で、前記アクチュエータを移動させ、
前記第1のチャネルは、第1の流体抵抗を有し、前記第2のチャネルは、前記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する、方法。
【請求項29】
前記流体抵抗を調整することは、前記流体抵抗を前記第2の流体抵抗から前記第1の流体抵抗に増加させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記流体抵抗を調整することは、前記流体抵抗を前記第2の流体抵抗から前記第1の流体抵抗に減少させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記作動要素は、第1の作動要素であり、前記方法は更に、エネルギーを前記アクチュエータの第2の作動要素に印加することによって、前記流体抵抗を調整することを含み、エネルギーを前記第2の作動要素に印加することによって、前記アクチュエータを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させる、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記アクチュエータを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させることは、(i)ゲート要素が前記第1のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第2のチャネルを通る流れを許容する、第1の向きから、(ii)前記ゲート要素が前記第2のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、前記第1のチャネルを通る流れを許容する、第2の向きに、前記アクチュエータの前記ゲート要素を移動させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記ゲート要素を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させることは、前記ゲート要素の少なくとも一部分を前記第2のチャネルの流体入口と少なくとも部分的に整列させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
エネルギーを印加することは、前記患者の外部のエネルギー源からレーザエネルギーを印加することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
エネルギーを前記作動要素に印加することは、エネルギーを前記作動要素の標的領域に印加することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
患者を治療するための調整式シャントシステムであって、前記調整式シャントシステムは、
流体入口と、
前記流体入口に流体結合する第1のチャネルであって、第1のチャネル入口、及び第1の流体抵抗を有する、第1のチャネルと、
前記流体入口に流体結合する第2のチャネルであって、第2のチャネル入口、及び前記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する、第2のチャネルと、
単一アクチュエータであって、少なくとも、(i)前記単一アクチュエータの一部分が前記第1のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第1の位置と、(ii)前記単一アクチュエータの前記一部分が前記第2のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第2の位置との間で遷移可能な単一アクチュエータとを含み、前記単一アクチュエータは、前記流体入口と、前記第1のチャネル、及び前記第2のチャネルのうちの少なくとも1つとの間で位置決めされる、調整式シャントシステム。
【請求項37】
前記単一アクチュエータは、前記第1のチャネル、及び前記第2のチャネルのうちの少なくとも1つの上方に位置決めされる、請求項36に記載の調整式シャントシステム。
【請求項38】
前記単一アクチュエータは、前記流体入口と、前記第1のチャネル入口、及び/又は前記第2のチャネル入口のうちの少なくとも1つとの間で位置決めされる、請求項36に記載の調整式シャントシステム。
【請求項39】
前記流体入口に流体結合し、そこから流体を受容するように構成されたチャンバを更に含み、前記単一アクチュエータは、前記チャンバ内で位置決めされ、前記第1の位置、又は前記第2の位置のうちの少なくとも1つにおいて、前記単一アクチュエータの前記一部分は、前記チャンバ内の前記流体が前記第1のチャネル入口、又は前記第2のチャネル入口のうちの少なくとも1つを通って流れることを少なくとも部分的に防止するように構成される、請求項36に記載の調整式シャントシステム。
【請求項40】
患者に埋め込まれたシャントシステムを通る流体流を選択的に制御するための方法であって、前記方法は、
前記シャントシステムのアクチュエータの作動要素にエネルギーを印加することによって、前記システム全体の流体抵抗を調整することを含み、
前記作動要素にエネルギーを印加することにより、(i)前記アクチュエータが前記システムの第1のチャネル、及び前記システムの第2のチャネルの両方と整列しておらず、かつ、これらのチャネルの両方を通る流体流を妨げない、第1の位置と、(ii)前記アクチュエータが前記第1のチャネル、又は前記第2のチャネルを通る流体流を少なくとも部分的に遮断する、第2の位置との間で、前記アクチュエータを移動させ、
前記第1のチャネルは、第1の流体抵抗を有し、前記第2のチャネルは、前記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月6日に出願された米国仮特許出願第63/286,283号、及び2022年04月20日に出願された米国仮特許出願第63/332,997号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示は、その全体が参照により本明細書で援用される。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、概して、埋め込み式医療デバイスに関し、具体的には、患者の第1の身体領域と第2の身体領域との間の流体流を選択的に制御するための調整式シャントシステム、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み式シャントシステムは、第1の身体領域/体腔から第2の身体領域/体腔に流体をシャントすることによって、様々な患者の状態を治療するために広く使用されている。例えば、緑内障を治療するためのシャントシステムが提案されている。シャントシステムを流れる流体の流れは、主に、シャント全体にわたる圧力勾配と、シャントを通して画定される流路の物理的特性(例えば、シャントルーメンの抵抗)とによって制御される。従来の早期シャントシステム(低侵襲緑内障手術デバイス又は「MIGS(minimally invasive glaucoma surgery)」デバイスと称されることもある)は、臨床上の利点を示している。しかしながら、眼圧の上昇、及び緑内障に関連付けられたリスクに対処するための、改善されたシャントシステム、かかるシャントシステムを送達するシステム、及び技術が必要とされている。例えば、提供される療法を調整して、患者一人一人の様々な必要性を満たすこと、かつ/又は、2つの流体接続された身体間の流量を含む、流れ関連特性の変化を考慮することができるシャントシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術は、全般的に、少なくとも2つの個別の流体流路を有する調整式シャントシステムを含む、調整式シャントシステムを対象とする。少なくともいくつかの実施形態では、シャントシステムは、2つの個別の流体流路のうちどちらを流体流に「開放」するかを選択的に制御するためのアクチュエータを含む。例えば、アクチュエータは、(i)第2の流路を閉じながら、第1の流路を開くことと、(ii)第1の流路を閉じながら、第2の流路を開くこととを選択的に交互に行うことによって、システムを流れる流体の流れを制御するように構成することができる。
【0005】
本明細書に記載の調整式システムは、異なる流体抵抗を有する2つの流体チャネルを含むことができ、アクチュエータは、例えば、流体チャネルのそれぞれのチャネル入口に選択的に干渉することによって、各流体チャネルを流れる流体の流れを制御するように構成することができる。例えば、アクチュエータは、(i)アクチュエータが第1の流体チャネルを通る流体の流れに干渉する、かつ/又は少なくとも部分的に遮断する第1の構成と、(ii)アクチュエータが第2の流体チャネルを通る流体の流れに干渉する、かつ/又は少なくとも部分的に遮断する第2の構成との間で遷移することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、第1の構成にある場合、流体が第2のチャネルを通って流れることを許容する(例えば、遮断しない)。同様に、いくつかの実施形態では、アクチュエータは、第2の構成にある場合、流体が第1のチャネルを通って流れることを許容する(例えば、遮断しない)。かかる実施形態では、調整式シャントシステムは、任意の所与の時間に、少なくとも1つの開放流路、及び少なくとも1つの部分的に遮断された流路を有することが予想される。
【0006】
以下でより詳細に説明されるように、少なくともいくつかの実施形態において、本技術は、調整式シャントシステムの動作を改善する1つ以上の有利な特性を示し得ることが期待される。例えば、複数の流路を流れる流体の流れを制御するために単一アクチュエータを使用することにより、流路ごとに別個のアクチュエータを有するシステムと比較して、システム全体のサイズを有利に低減することが期待される。これは、システムが患者の眼内など、特定の位置に埋め込まれるように設計されている実施形態において有益であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本技術の多くの態様は、以下の図面を参照してよりよく理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描画されていない。代わりに、本技術の原理を明確に例示することに、重点がおかれている。更に、構成要素は、例示を明瞭にするだけのために特定の図において透明として示される場合があり、構成要素が必ずしも透明であることを示すものではない。また、構成要素が概略的に示されている場合もある。
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本技術の実施形態に従って構成された調整式シャントシステムの部分概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に提示される説明で使用される用語は、本技術の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されている場合であっても、その最も広い合理的な方法で解釈されることを意図している。特定の用語は、以下で強調されることさえあり得る。しかしながら、任意の限定された方法で解釈されることが意図される任意の用語は、この発明を実施するための形態のセクションにおいてそのように明白、かつ具体的に定義される。更に、本技術は、請求項の範囲内であるが、
図1A~
図2Bに関して詳述されていない、他の実施形態を含むことができる。
【0010】
本明細書全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」と言及するとき、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で「一実施形態では(in one embodiment)」又は「ある実施形態では(in an embodiment)」という句が現れても、必ずしも全てが同じ実施形態に言及している訳ではない。更に、本明細書に記載の特定の特徴又は特性は、1つ以上の実施形態においていかなる好適な方法で組み合わされてもよい。
【0011】
本明細書で使用する場合、「約(about)」、「ほぼ(approximately)」、「実質的に(substantially)」などの相対的な用語の使用は、述べられた値±10パーセントを指す。例えば、用語「約100(about 100)」の使用は、90~110(両端を含む)の範囲を指す。文脈がそうでないことを必要とする場合、及び/又は相対的な用語が数値を含まないものに関して使用される場合、これらの用語は当業者にとっての通常の意味を与えられる。
【0012】
本明細書全体を通して「抵抗(resistance)」という用語への言及は、文脈が他に明確に規定しない限り、流体抵抗を指す。「排液量(drainage rate)」及び「流量(flow rate)」という用語は、特定の体積流量で構造物を流れる流体の移動を説明するために交換可能に使用される。「流れ(flow)」という用語は、本明細書において、全般的に、流体の動きを指すために使用される。
【0013】
本明細書における特定の実施形態は、眼の前眼房からの流体をシャントすることに関して説明されているが、当業者であれば、本技術が、眼の他の部分(後眼房を含む)から、及び/若しくはそれらの間で、又はより一般的には、第1の身体領域及び第2の身体領域から、及び/若しくは第1の身体領域と第2の身体領域との間で流体をシャントするように容易に適合され得ることを理解するであろう。更に、本明細書の特定の実施形態は、緑内障治療の文脈で説明されているが、「緑内障シャント」又は「緑内障デバイス」と称されるものを含む、本明細書の実施形態のいずれも、それにもかかわらず、眼又は他の身体領域の他の疾患又は状態を含む、他の疾患又は状態を治療するために使用及び/又は修正され得る。例えば、本明細書において説明されるシステムは、限定されるものではないが、心不全(例えば、駆出率を維持する心不全、駆出率が低下した心不全など)、肺不全、腎不全、水頭症などを含む、圧力の増加及び/又は流体の蓄積を特徴とする疾患を治療するために使用することができる。更に、概して、房水をシャントすることに関して述べているが、本明細書において説明されるシステムは、第1の身体領域と第2の身体領域との間で、血液又は脳脊髄液などの他の流体をシャントするために等しく適用され得る。
【0014】
図1Aは、本技術の実施形態に従って構成されたシャントシステム100(「システム100」)の部分概略平面図である。以下でより詳細に述べるように、システム100は、患者の眼の前眼房から房水を排液するなど、患者の第1の身体領域から異なる第2の身体領域に流体を排液するための調整式療法を提供するように構成されている。
【0015】
システム100は、ほぼ伸長ハウジング102、及び流量制御アセンブリ120を含む。伸長ハウジング102(ケーシング、メンブレン、シャント要素などとも称され得る)は、第1の端部102aと第2の端部102bとの間に延在している。
図1Bを参照して以下に詳述するように、流量制御アセンブリ120(流量制御プレート、流量制御カートリッジ、プレート構造、プレートアセンブリなどとも称され得る)は、伸長ハウジング102内で位置決めされて、システム100を通る流体の流れを選択的に制御するように構成されている。例示の実施形態では、伸長ハウジング102は、
図1Bを参照して以下で更に詳述するように、流量制御アセンブリ120内の流体開口又は入口124と整列する開口部104を含む。いくつかの実施形態では、流量制御アセンブリ120の外側表面は、伸長ハウジング102の内側表面と実質的な流体シールを形成し、これにより、開口部104を介してシステム100に流入する流体は、総じて、流量制御アセンブリ120を通過しなければならなくなる。伸長ハウジング102は更に、伸長ハウジング102の第2の端部102bに近接して位置決めされた1つ以上の流体出口106に流量制御アセンブリ120を流体結合する主流体導管110を含む。いくつかの実施形態では、伸長ハウジング102は、わずかに弾性又は可撓性の生体適合性材料(例えば、シリコーンなど)からなる。更に、伸長ハウジング102は、必要に応じて、伸長ハウジング102を患者内の所望の位置に固定するための1つ以上のウィング、又は付加物112を有することができる。
【0016】
図1Bは、
図1Aの調整式シャントシステムの流量制御アセンブリ120の部分概略平面図である。上述のとおり、流量制御アセンブリ120は、システム100(
図1A)を通る1つ以上の流路を少なくとも部分的に画定することができる。例示の実施形態では、例えば、流量制御アセンブリ120の流体入口124は、伸長ハウジング102(
図1A)の開口部104(
図1A)と整列する。流体入口124は、流量制御アセンブリ120の内部に位置決めされたチャンバ又は空洞121に流体入口124を流体結合する流体入口導管125と流体連通している(例えば、流体入口導管へのアクセスを提供する)。したがって、流体入口124は、流体が流体入口導管125に入り、システム100の外部の環境から、流量制御アセンブリ120のチャンバ121、ひいては、伸長ハウジング102の内部に流れることを許容し得る。流体入口導管125は、
図1A~
図1Cでは「U」字形状を有するものとして例示されているが、他の実施形態では、流体入口導管125は、線形、直線、湾曲、曲線、又は任意の他の適切な形状を有してもよい。更なる実施形態では、流体入口導管125を省略してもよく、流体入口124を介して、流体がシステム100の外部の環境から直接チャンバ121に入ることができるように、流体入口124をチャンバ121と少なくとも部分的に整列させることができる。
【0017】
流体は、チャンバ121と主流体導管110(
図1A)との間に延在する、1つ以上のチャネル136を介して、チャンバ121から流出することができる。各チャネル136が流量制御アセンブリ120を通る個別の流路を画定できるように、各チャネル136を流体的に隔離することができる。例えば、例示の実施形態では、流量制御アセンブリ120は、第1のチャネル136a、及び第2のチャネル136bを含み、そのそれぞれが、チャンバ121にそれぞれのチャネル入口135(例えば、第1のチャネル136a用の第1のチャネル入口135a(
図1C及び
図1D)、及び第2のチャネル136b用の第2のチャネル入口135b)を有する。更に、チャネル136a~bのそれぞれは、主流体導管110(
図1A)に流体結合されたそれぞれのチャネル出口137(例えば、第1のチャネル136a用の第1のチャネル出口137a、及び第2のチャネル136b用の第2のチャネル出口137b)を含むことができる。流体入口124を介して流量制御アセンブリ120に入る流体は、チャンバ121に流れ込み、チャネル136a~bのうちの少なくとも1つを介して、主流体導管110(
図1A)に排液することができる。チャネル136a~bのそれぞれ、及び/又は、そのそれぞれの部分はまた、それらが異なる流体抵抗を有し、ひいては、所与の圧力に対して異なる流量を提供するように、互いに対して異なる幾何学的構成、及び/又は、寸法(例えば、長さ、幅、直径、断面積など)を有することができる。例示の実施形態では、例えば、第1のチャネル136aは、第1の流体抵抗に対応する第1の長さを有し、第2のチャネル136bは、第1の長さよりも長く、かつ、第1の流体抵抗よりも大きい第2の流体抵抗に対応する第2の長さを有する。他の実施形態では、第1のチャネル及び第2のチャネル136a~bは、同じ長さを有してもよいが、第1のチャネル136aは、第2のチャネル136bよりも小さい断面積を有することができる。更なる実施形態では、チャネル136a~bは、互いに対して任意の他の適切な構成を有することができる。
【0018】
以下に記載するように、様々な流路を選択的に開放及び/又は閉鎖することによって(例えば、個々のチャネル入口135a~bを通る流れを選択的に干渉するか、又は許容することによって)、ユーザがシステム100によって提供される療法のレベルを調整できるように、各流路(例えば、チャネル136a~b)によって提供される治療の相対的レベルを異なるものにすることができる。例えば、所与の圧力下で、流体が主として第1のチャネル136aを通して排液される場合、システム100は、第1の排液量を提供することができ、流体が主として第2のチャネル136bを通して排液される場合、システム100は、第1の排液量よりも少ない第2の排液量を提供することができる。
【0019】
流量制御アセンブリ120は、システム100の少なくとも一部分を通る流体の流れを選択的に制御するように構成することができる。とりわけ、流量制御アセンブリ120は、チャンバ121内で位置決めされ、第1のチャネル136aの第1のチャネル入口135a、及び第2のチャネル136bの第2のチャネル入口135bを通る流体の流れを制御するように構成されたアクチュエータ130を含む。したがって、本技術の様々な実施形態によるアクチュエータは、複数のチャネル入口、及び関連するチャネルを通る流体の流れを制御するように構成することができる。
【0020】
アクチュエータ130は、突起部、又はゲート要素134を含むことができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ130及び/又はゲート要素134は、入口124とチャネル入口135a~bとの間に位置決めされ得る。例示の実施形態では、
図1B及び
図1Cに見られるように、ゲート要素134は、チャネル入口135a~b、及び関連するチャネル136a~bの上に位置決めされ、アクチュエータ130は、ゲート要素134の下に位置決めされた1つ以上のチャネル136a~bを通る流体の流れを制御するように構成される。したがって、例示のゲート要素134は、入口124を介してチャンバ121に入った流体の流れを選択的に制御して、例えば、チャネル136a~bの1つ以上を介したチャンバ121から主流体導管110への流体流を可能にする、かつ/又は、防止するように構成される。しかしながら、他の実施形態では、ゲート要素134は、チャネル入口135a~bの下に位置決めされてもよく、かつ/又は、チャネル入口135a~bに対して任意の他の好適な位置を有してもよい。
【0021】
ゲート要素134は、第1のチャネル入口135a、及び第2のチャネル入口135bと移動可能に接面するように構成することができる。例えば、アクチュエータ130は、少なくとも、(i)ゲート要素134が、(例えば、第1のチャネル入口135aと干渉しないことによって)流体が第1のチャネル入口135aを通って流れることを許容し、(例えば、第2のチャネル入口135bを遮断することによって)流体が第2のチャネル入口135bを通って流れることを実質的に防止する第1の位置又は構成(図示せず)と、(ii)ゲート要素134が、(例えば、第1のチャネル入口135aを遮断することによって)流体が第1のチャネル入口135aを通って流れることを実質的に防止し、(例えば、第2のチャネル入口135bと干渉しないことによって)流体が第2のチャネル入口135bを通って流れることを許容する第2の位置又は構成(
図1Bに示す)との間を移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ゲート要素134は、必要に応じて、第1のチャネル入口135aと第2のチャネル入口135bがそれぞれ、遮断されている、部分的に遮断されている、又は完全に遮断されていない、第1の位置と第2の位置との間の1つ以上の中間位置(例えば、第3の位置、第4の位置など)に移動するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態において、例えば、ゲート要素134は、第1の位置と第2の位置とは異なる、第3の位置に移動するように構成することができる。
図1Cに例示する実施形態では、例えば、ゲート要素134は、第1のチャネル入口135aと第2のチャネル入口135bとの間に、少なくとも部分的に位置する。ゲート要素134が第3の位置にある場合、第1のチャネル入口135a、及び第2のチャネル入口135bはそれぞれ個別に、遮断されないか、部分的に遮断されるか(例えば、
図1Cに示されるように)、又は、完全に遮断されない場合がある。付加的、又は、代替的に、ゲート要素134は、必要に応じて、第1の位置及び第2の位置の外側にある1つ以上の追加位置に移動するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、例えば、ゲート要素134が第1のチャネル入口及び第2のチャネル入口135a~bの同じ側(例えば、左側、右側など)に位置決めされ、かつ/又はチャネル入口135a~bのいずれも遮断されない第3の位置に移動するように、ゲート要素134を構成することができる。システム100が3つ以上のチャネルを含む実施形態では、1つ以上の中間位置の個々の位置は、遮断されていない、部分的に遮断されている、及び/又は完全に遮断されている3つ以上のチャネルの全て又はサブセットに対応することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、ゲート要素134は、第1のチャネル入口及び第2のチャネル入口135a~bの一方又は両方と少なくとも部分的に整列するように構成されたビーズ又はボール形状要素などの球状構成要素又は部分を含むことができる。球状構成要素又は部分は、例えば、それぞれの第1のチャネル入口及び/又は第2のチャネル入口135a~bと整列すると、第1のチャネル入口及び/又は第2のチャネル入口135a-bを封止係合するか、又は閉塞するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、例えば、ゲート要素134は、第1のチャネル入口及び/又は第2のチャネル入口135a~bの一方又は両方と対応するように成形された、かつ/又はこれらのチャネル入口の中で少なくとも部分的に受容されるように構成された湾曲下面又は円弧状下面を有する球形部分を含むことが可能であり、これにより、湾曲下面又は円弧状下面が、第1のチャネル入口及び/又は第2のチャネル入口135a~bの一方又は両方に封止係合する。付加的、又は、代替的に、ゲート要素134は、国際特許出願第PCT/US21/49140号に記載されているゲート要素のうちの少なくとも1つと概ね類似する、又は同一であるシリコーン及び/又は1つ以上の他の態様を含むことができ、その開示は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書で援用される。これらの実施形態及び他の実施形態では、ゲート要素134は、任意の他の適切な材料、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの態様では、球形部分を有する、かつ/又はシリコーンを含むゲート要素によって、例えば、ゲート要素134が対応するチャネル入口135a~bに係合するとき、流体がチャネル136a~b内に漏れるのを部分的に、又は完全に防止するために、チャネル入口135a~bとの改善された封止係合が得られる。
【0023】
アクチュエータ130は更に、第1の位置と第2の位置との間のゲート要素134の移動を駆動する、第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bを含むことができる。第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは、少なくとも部分的に形状記憶材料、又は合金(例えば、ニチノール)から構成され得る。したがって、第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは、少なくとも第1の材料相又は状態(例えば、マルテンサイト状態、R相、マルテンサイトとR相との間の複合状態など)と、第2の材料相又は状態(例えば、オーステナイト状態、R相状態、オーステナイトとR相との間の複合状態など)との間で遷移可能であり得る。第1の材料状態では、第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは、作動要素が第2の材料状態にある場合と比較して、作動要素をより容易に変形可能にする(例えば、圧縮可能、拡張可能など)低減された(例えば、相対的に剛性が低い)機械的特性を有し得る。第2の材料状態では、第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは、第1の材料状態と比較して、機械的特性が増大し(例えば、相対的により剛性である)、特定の好ましい幾何学形状(例えば、元の幾何学形状、製造又は作製された幾何学形状、ヒートセットされた幾何学形状など)への選好が増大し得る。第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは、エネルギー(例えば、レーザエネルギー、電気エネルギーなど)を第1の作動要素132a、又は第2の作動要素132bに印加して、遷移温度を超えて(例えば、一般に体温よりも高いオーステナイト仕上げ(Af)温度を超えて)加熱することによって、第1の材料状態と第2の材料状態との間で選択的、かつ独立して遷移させることができる。遷移温度を超えて加熱されたとき、第1の作動要素132a(又は、第2の作動要素132b)がその好ましい幾何学形状に対して変形すると、第1の作動要素132a(又は、第2の作動要素132b)は、その好ましい幾何学形状に合わせて、かつ/又はその好ましい幾何学形状に向けて移動する。いくつかの実施形態では、作動した作動要素(例えば、第1の作動要素132a)がその好ましい幾何学形状に向けて遷移する場合、作動していない作動要素(例えば、第2の作動要素132b)がその好ましい幾何学形状に対して更に変形するように、第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは動作可能に結合する。
【0024】
第1の作動要素及び第2の作動要素132a、132bは、互いに、かつゲート要素134と協調して移動するように構成される。いくつかの実施形態では、ゲート要素134は、現在作動している作動要素に向かって移動するように構成される。しかしながら、他の実施形態では、ゲート要素134は、現在作動している作動要素から離れて移動するように構成される。第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bは、概して、反対に作用する。例えば、第1の作動要素132aは、ゲート要素134を第1の位置へと、かつ/又はこの位置に向けて移動させるように作動させることができ、第2の作動要素132bは、ゲート要素134を第2の位置へと、かつ/又はこの位置に向けて移動させるように作動させることができる。他の実施形態では、第1の作動要素132aを作動させて、ゲート要素134を第2の位置へと、かつ/又はこの位置に向けて移動させることができ、第2の作動要素132bを作動させて、ゲート要素を第1の位置へと、かつ/又はこの位置に向けて移動させることができるように、向きを逆にすることができる。更に、上記のとおり、材料の相遷移時に一方がその好ましい幾何学形状に向けて移動すると、他方がその好ましい幾何学形状に対して変形するように、第1の作動要素132a、及び第2の作動要素132bを結合することができる。これにより、作動要素132a~bを繰り返し作動させて、ゲート要素134を第1の位置と第2の位置との間で繰り返し循環させることができる。
【0025】
図1Bに最も良く見られるように、いくつかの実施形態では、各作動要素132a~bは、1つ以上のターゲット138(第1の作動要素132a上の第1のターゲット138a、及び第2の作動要素132b上の第2のターゲット138bとして示される)を含むことができる。ターゲット138a~bは、ターゲット138a~bで受け取ったエネルギー(例えば、レーザエネルギー)が対応する作動要素132a~bを通して、熱として放散することができるように、対応する作動要素132a~bと熱的に結合することができる。したがって、ターゲット138a~bは、作動要素132a~bを作動させるために、非侵襲エネルギーで選択的に標的化され得る。例えば、第1の作動要素132aを作動させるために、患者の眼の外部に位置決めされたエネルギー源(例えば、レーザ)などから、熱/エネルギーを第1のターゲット138aに印加することができる。第1のターゲット138aに印加された熱は、第1の作動要素132aの少なくとも一部分を通して広がり、この熱によって、第1の作動要素132aをその遷移温度を超えて加熱することができる。第2の作動要素132bを作動させるために、熱/エネルギーを第2のターゲット138bに印加することができる。第2のターゲット138bに印加された熱は、第2の作動要素132bを通して広がり、この熱によって、第2の作動要素132bの少なくとも一部分をその遷移温度を超えて加熱することができる。例示の実施形態では、ターゲット138は、各個々の作動要素132a~bの長さに沿って、概ね中心に位置決めされる。しかしながら、他の実施形態では、ターゲット138a~bは、各個々の作動要素132a~bの端領域に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、ターゲット138a~bは、作動要素132a~bと同じ材料(例えば、ニチノール)から構成される。理論に束縛されるものではないが、作動要素132a~bに対するターゲット138a~bの表面積の増加は、身体の外部に位置決めされたエネルギー源(例えば、レーザ)を使用して、アクチュエータ130を作動させることを可能にする上での容易さ、及び一貫性を増加させることが予想される。
【0026】
いくつかの実施形態では、システム100、及び/又は流量制御アセンブリ120は、逆に動作するように構成され得る。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、流体は、1つ以上の流体出口106(
図1A)を介してシステム100に入ることができ、アクチュエータ130は、チャンバ121内への流体の流れを制御することができ、流体は、流体入口124を介して流量制御アセンブリ120から排液することができる。本技術との使用に適している形状記憶アクチュエータ、並びに調整式緑内障シャントの動作に関する追加の詳細は、米国特許第11,058,581号、同第11,166,849号、及び同第11,291,585号、米国特許出願第17/774,310号、並びに、国際特許出願第PCT/US22/13336号、同第PCT/US20/55144号、同第PCT/US20/55141号、同第PCT/US21/14774号、同第PCT/US21/18601号、同第PCT/US21/23238号、同第PCT/US21/27742号、及び同第PCT/US21/49140号に記載され、その開示は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書で援用される。
【0027】
図1Dは、
図1Bの流量制御アセンブリ120の分解斜視図である。図示のように、いくつかの実施形態では、流量制御アセンブリ120は、1つ以上の個々のプレート、又は層122を含むことができる。例示の実施形態では、例えば、流量制御アセンブリ120は、4つのプレート122a~d(例えば、第1のプレート122a、第2のプレート122b、第3のプレート122c、及び第4のプレート122d)を含む。しかしながら、他の実施形態では、流量制御アセンブリ120は、より多くの、又はより少ないプレート122を含むことができる。プレート122a~dのそれぞれは、他のプレート122a~dのうちの1つ以上に結合され得るか、少なくとも部分的に整列され得るか、かつ/又は、他の方法でこれらのプレートに対して(例えば、上方、下方などに)位置決めされ得る。例えば、例示の実施形態では、第3のプレート122cは、第4のプレート122dの上に位置決めされ、このプレートと少なくとも部分的に整列し、第2のプレート122bは、第3のプレート122cの上に位置決めされ、このプレートと少なくとも部分的に整列し、第1のプレート122aは、第2のプレート122bの上に位置決めされ、このプレートと少なくとも部分的に整列する。他の実施形態では、プレート122a~dのそれぞれは、互いに対して任意の他の適切な整列、及び/又は位置を有することができる。プレート122a~dのそれぞれは、1つ以上の隣接するプレートに結合可能である。例示の実施形態では、例えば、第1のプレート122aの下面は、第2のプレート122bの上面に結合することができ、第2のプレート122bの下面は、第3のプレート122cの上面に結合することができ、第3のプレート122cの下面は、第4のプレート122dに結合することができる。各隣接するプレート同士の結合は、流体が流体入口124、及び/又はチャネル出口137a~bを介して、プレートアセンブリ120に入ることができる(例えば、プレートアセンブリ120にしか入ることができない)ように、隣接するプレート間で実質的な流体シールを形成することができる。
【0028】
プレート122a~dの1つ以上は、流量制御アセンブリ120の様々な形状部を含むか、又は、少なくとも部分的に画定することができる。例示の実施形態では、例えば、第1のプレート122aは、流体入口124と、チャンバ121への上面とを含む。第2のプレート122bは、流体入口導管125、チャンバ121の容積、及びアクチュエータ130を含み、第3のプレート122cは、チャネル入口135a~b、チャネル136a~b、及びチャネル出口137a~bを含む。他の実施形態では、個々のプレート又は層は、流量制御アセンブリ120の様々な形状部を他の配置で含むか、又は画定することができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、流量制御アセンブリ120の形状部の1つ以上は、複数の異なる(例えば、隣接する)プレート122間に分散され得る。例えば、例示の実施形態では、第2のプレート122bが第1のプレート122aに結合された場合、第1のプレート122aの下面の少なくとも一部分が流体入口導管125の上面を形成するように、流体入口導管125は第2のプレート122bの上面に形成される。
【0029】
図1A~
図1Dの流量制御アセンブリ120は、単一の流体入口124、チャンバ121、及びアクチュエータ130を有するものとして例示されているが、他の実施形態では、流量制御アセンブリ120は、より多くの流体入口、チャンバ、及び/又は、アクチュエータを含むことができる。例えば、流量制御アセンブリ120は、少なくとも2つ、3つ、4つ、又は任意の他の適切な数の流体入口、チャンバ、及び/又はアクチュエータを含むことができる。
図1A~
図1Cでは、流量制御アセンブリ120は、2つのチャネル136a~bを有するものとして例示されているが、他の実施形態では、流量制御アセンブリ120は、より多くのチャネルを含むことができる。例えば、流量制御アセンブリ120は、少なくとも3つ、4つ、5つ、又は任意の他の適切な数のチャネル136を含むことができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、前述のように、アクチュエータ130は、少なくともチャネル136の数と同数の位置の間で遷移可能であり得、これにより、アクチュエータ130は、チャネル136のそれぞれを通る流体流に選択的に干渉することができる。いくつかの実施形態では、各アクチュエータ130は、アクチュエータ130の2倍のチャネル136が存在するように、2つのチャネル136を通る流体の流れを制御し得る。
【0030】
図2A及び
図2Bは、システム100を通る流路を概略的に示す回路図である。具体的には、
図2Aは、アクチュエータ130のゲート要素(図示せず)が第1の位置(第1のチャネル136aを通る流体流を許容し、第2のチャネル136bを通る流体流を遮断する)にある第1の構成のシステム100を例示し、
図2Bは、アクチュエータ130のゲート要素(図示せず)が第2の位置(第2のチャネル136bを通る流体流を許容し、第1のチャネル136aを通る流体流を遮断する)にある第2の構成のシステム100を例示する。
図2A及び
図2Bでは、明確にするために、システム100の選択された部分(例えば、流体入口124、流体入口導管125、アクチュエータ130、チャネル136a~b、主流体導管110)が、破線ボックスを使用して概略的に示されている。
【0031】
まず
図2Aを参照すると、システム100が第1の構成にあるとき、流体は、流体入口124を介してシステム100に入り、流体入口導管125を通って、アクチュエータ130に向かって進むことができる。アクチュエータ130が第1の位置にある状態で、流体は、第1のチャネル136aを通って主流体導管110に向かって流れ、出口106を介してシステム100から排液される。次に
図2Bを参照すると、システム100の動作は、
図2Aを参照して説明した動作と概ね同様であり得る。しかしながら、
図2Bでは、システム100内の流体が第1のチャネル136aではなく、第2のチャネル136bを流れるように、アクチュエータ130は、第2の位置に遷移している。
【0032】
図2A及び
図2Bを共に参照すると、前述のように、チャネル136a~bのそれぞれは、それぞれの流体抵抗を有することができる。例示の実施形態では、例えば、第1のチャネル136aは第1の流体抵抗R
1を有し、第2のチャネル136bは第2の流体抵抗R
2を有する。全般的に、第1の流体抵抗R
1は、第2の流体抵抗R
2とは異なる(例えば、より大きい、又はより小さい)。したがって、少なくともいくつかの実施形態において、流体が主として、第1のチャネル136aを流れる第1の位置(
図2A)から、流体が主として第2のチャネル136bを流れる第2の位置(
図2B)へのアクチュエータ130の遷移は、システム100の全体的な流体抵抗を変化させることができる。いくつかの実施形態では、システム100の1つ以上の他の部分は、システム100を通る流れに対する全体的な流体抵抗に影響を及ぼす、それぞれの流体抵抗を有することができる。例えば、流体入口導管125は第3の流体抵抗R
3を有し、主流体導管110は第4の流体抵抗R
4を有する。第3の流体抵抗R
3、及び/又は第4の流体抵抗R
4はそれぞれ、第1の流体抵抗R
1、及び/又は第2の流体抵抗R
2よりも小さくても、等しくても、又は大きくてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、チャネル136a~bのそれぞれの流体抵抗R
1~2がシステム100の全体的な流体抵抗の全て、又は実質的に全てを提供するように、第3の流体抵抗R
3、及び/又は第4の流体抵抗R
4は、軽微であるか、又は無視できるものであり得る。したがって、所与の圧力下で、システム100を通る流量は、アクチュエータ130の位置に基づいて変動し得る。
【0033】
実施例
本技術のいくつかの態様を以下の実施例に記載する。
1.患者を治療するための調整式シャントシステムであって、上記調整式シャントシステムは、
第1のチャネル入口、及び第1の流体抵抗を有する第1のチャネルと、
第2のチャネル入口、及び上記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する第2のチャネルと、
単一アクチュエータであって、(i)上記単一アクチュエータの一部分が上記第1のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第1の位置と、(ii)上記単一アクチュエータの上記一部分が上記第2のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第2の位置との間で遷移可能な単一アクチュエータとを含む、調整式シャントシステム。
2.上記第1の位置において、上記単一アクチュエータの上記一部分は、上記第1のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第2のチャネル入口を通る流れを許容する、実施例1に記載の調整式シャントシステム。
3.上記第2の位置において、上記単一アクチュエータの上記一部分は、上記第2のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第1のチャネル入口を通る流れを許容する、実施例1又は実施例2に記載の調整式シャントシステム。
4.上記第1の流体抵抗は、上記第2の流体抵抗よりも小さい、実施例1~3のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
5.上記第1の流体抵抗は、上記第2の流体抵抗よりも大きい、実施例1~3のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
6.上記単一アクチュエータは、上記単一アクチュエータの上記一部分が上記第1のチャネル入口、又は上記第2のチャネル入口からオフセットを有するように整列する、第3の位置に遷移可能である、実施例1~5のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
7.上記第3の位置において、上記単一アクチュエータの上記一部分は、上記第1のチャネル入口と上記第2のチャネル入口との間に位置する、実施例6に記載の調整式シャントシステム。
8.上記第3の位置において、上記単一アクチュエータの上記一部分は、上記第1のチャネル入口、及び上記第2のチャネル入口を通る流れを可能にする、実施例6に記載の調整式シャントシステム。
9.第3の流体入口、及び第3の流体抵抗を有する第3のチャネルを更に含み、上記単一アクチュエータは、上記単一アクチュエータの上記一部分が上記第3の流体入口と少なくとも部分的に整列する、第3の位置へと更に遷移可能である、実施例1~8のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
10.上記第3の流体抵抗は、上記第1の流体抵抗、又は上記第2の流体抵抗とは異なる、実施例9に記載の調整式シャントシステム。
11.上記第3の位置において、上記アクチュエータの上記一部分は、上記第3のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第1のチャネル入口、及び上記第2のチャネル入口のうちの少なくとも1つを通る流れを許容する、実施例9又は10に記載の調整式シャントシステム。
12.上記アクチュエータの上記一部分は、上記単一アクチュエータのゲート要素を含み、
上記単一アクチュエータが上記第1の位置にある場合、上記ゲート要素は、上記第1のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第2のチャネル入口を通る流れを許容し、
上記単一アクチュエータが上記第2の位置にある場合、上記ゲート要素は、上記第2のチャネル入口を通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第1のチャネル入口を通る流れを許容する、実施例1~11のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
13.上記ゲート要素は、球形部分を含む、実施例12に記載の調整式シャントシステム。
14.上記球形部分は、上記第1のチャネル入口、及び/又は、上記第2のチャネル入口に封止係合するように構成される、実施例13に記載の調整式シャントシステム。
15.上記ゲート要素は、シリコーンを含む、実施例12に記載の調整式シャントシステム。
16.流量制御アセンブリを更に含み、上記流量制御アセンブリは、上記第1のチャネルと、上記第2のチャネルと、上記単一アクチュエータを受容するように構成されたチャンバとを画定する、実施例1~15のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
17.
上記第1のチャネルは、上記第1のチャネル入口によって上記チャンバに流体結合し、
上記第2のチャネルは、上記第2のチャネル入口によって上記チャンバに流体結合する、実施例16に記載の調整式シャントシステム。
18.上記チャンバは、上記流量制御アセンブリの内部に位置決めされ、上記流量制御アセンブリは更に、上記チャンバに流体的に結合し、かつ、上記流量制御アセンブリの外部の環境からの流体が上記チャンバに入ることを許容するように構成された、流体入口も含む、実施例16又は17に記載の調整式シャントシステム。
19.上記流体入口と上記チャンバとを流体結合する流体入口導管を更に含む、実施例18に記載の調整式シャントシステム。
20.上記流体入口導管は、上記第1の流体抵抗、及び/又は上記第2の流体抵抗よりも小さい第3の流体抵抗を有する、実施例19に記載の調整式シャントシステム。
21.上記流体入口導管は、上記第1の流体抵抗、又は上記第2の流体抵抗以上の第3の流体抵抗を有する、実施例20に記載の調整式シャントシステム。
22.上記流量制御アセンブリは少なくとも1つのプレートを含み、上記少なくとも1つのプレートは、上記第1のチャネル、及び上記第2のチャネルを画定する第1のプレートを含む、実施例16~21のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
23.上記流量制御アセンブリは更に、上記単一アクチュエータを含み、かつ、上記チャンバを少なくとも部分的に画定する第2のプレートを含む、実施例22に記載の調整式シャントシステム。
24.上記流量制御アセンブリは更に、上記チャンバに流体結合し、かつ、上記流量制御アセンブリの外部の環境からの流体が上記チャンバに入ることを許容するように構成された流体入口を含む第3のプレートを含む、実施例23に記載の調整式シャントシステム。
25.上記第1のプレートは、上記第2のプレートの第1の側に位置決めされ、上記第3のプレートは、上記第2のプレートの第2の側に位置決めされ、上記第2の側は、上記第1の側の反対側である、実施例24に記載の調整式シャントシステム。
26.上記単一アクチュエータは、
上記単一アクチュエータを上記第1の位置から上記第2の位置に向かって遷移させるように動作可能な第1の作動要素と、
上記単一アクチュエータを上記第2の位置から上記第1の位置に向かって遷移させるように動作可能な第2の作動要素とを含む、実施例1~25のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
27.上記第1の作動要素、及び上記第2の作動要素は、形状記憶材料から構成されている、実施例26に記載の調整式シャントシステム。
28.患者に埋め込まれたシャントシステムを通る流体流を選択的に制御するための方法であって、上記方法は、
上記シャントシステムのアクチュエータの作動要素にエネルギーを印加することによって、上記システム全体の流体抵抗を調整することを含み、
上記作動要素にエネルギーを印加することにより、(i)上記アクチュエータが上記システムの第1のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記システムの第2のチャネルを通る流れを許容する、第1の位置と、(ii)上記アクチュエータが上記第2のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第1のチャネルを通る流れを許容する、第2の位置との間で、上記アクチュエータを移動させ、
上記第1のチャネルは、第1の流体抵抗を有し、上記第2のチャネルは、上記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する、方法。
29.上記流体抵抗を調整することは、上記流体抵抗を上記第2の流体抵抗から上記第1の流体抵抗に増加させることを含む、実施例28に記載の方法。
30.上記流体抵抗を調整することは、上記流体抵抗を上記第2の流体抵抗から上記第1の流体抵抗に減少させることを含む、実施例28に記載の方法。
31.上記作動要素は、第1の作動要素であり、上記方法は更に、エネルギーを上記アクチュエータの第2の作動要素に印加することによって、上記流体抵抗を調整することを含み、エネルギーを上記第2の作動要素に印加することによって、上記アクチュエータを上記第2の位置から上記第1の位置に移動させる、実施例28~30のいずれかに記載の方法。
32.上記アクチュエータを上記第1の位置から上記第2の位置に移動させることは、(i)上記ゲート要素が上記第1のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第2のチャネルを通る流れを許容する、第1の向きから、(ii)上記ゲート要素が上記第2のチャネルを通る流れを少なくとも部分的に遮断し、上記第1のチャネルを通る流れを許容する、第2の向きに、上記アクチュエータのゲート要素を移動させることを含む、実施例28~31のいずれかに記載の方法。
33.上記ゲート要素を上記第1の向きから上記第2の向きに移動させることは、上記ゲート要素の少なくとも一部分を上記第2のチャネルの流体入口と少なくとも部分的に整列させることを含む、実施例32に記載の方法。
34.エネルギーを印加することは、上記患者の外部のエネルギー源からレーザエネルギーを印加することを含む、実施例28~33のいずれかに記載の方法。
35.エネルギーを上記作動要素に印加することは、エネルギーを上記作動要素の標的領域に印加することを含む、実施例28~34のいずれかに記載の方法。
36.患者を治療するための調整式シャントシステムであって、上記調整式シャントシステムは、
流体入口と、
上記流体入口に流体結合する第1のチャネルであって、第1のチャネル入口、及び第1の流体抵抗を有する、第1のチャネルと、
上記流体入口に流体結合する第2のチャネルであって、第2のチャネル入口、及び上記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する、第2のチャネルと、
単一アクチュエータであって、少なくとも、(i)上記単一アクチュエータの一部分が上記第1のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第1の位置と、(ii)上記単一アクチュエータの上記一部分が上記第2のチャネル入口と少なくとも部分的に整列する、第2の位置との間で遷移可能な単一アクチュエータとを含み、上記単一アクチュエータは、上記流体入口と、上記第1のチャネル、及び上記第2のチャネルのうちの少なくとも1つとの間で位置決めされる、調整式シャントシステム。
37.上記単一アクチュエータは、上記第1のチャネル、及び上記第2のチャネルのうちの少なくとも1つの上方に位置決めされる、実施例36に記載の調整式シャントシステム。
38.上記単一アクチュエータは、上記流体入口と、上記第1のチャネル入口、及び/又は上記第2のチャネル入口のうちの少なくとも1つとの間で位置決めされる、実施例36に記載の調整式シャントシステム。
39.上記流体入口に流体結合し、そこから流体を受容するように構成されたチャンバを更に含み、上記単一アクチュエータは、上記チャンバ内で位置決めされ、上記第1の位置、又は上記第2の位置のうちの少なくとも1つにおいて、上記単一アクチュエータの上記一部分は、上記チャンバ内の流体が上記第1のチャネル入口、又は上記第2のチャネル入口のうちの少なくとも1つを通って流れることを少なくとも部分的に防止するように構成される、実施例36~38のいずれかに記載の調整式シャントシステム。
40.患者に埋め込まれたシャントシステムを通る流体流を選択的に制御するための方法であって、上記方法は、
上記シャントシステムのアクチュエータの作動要素にエネルギーを印加することによって、上記システム全体の流体抵抗を調整することを含み、
上記作動要素にエネルギーを印加することにより、(i)上記アクチュエータが上記システムの第1のチャネル、及び上記システムの第2のチャネルの両方と整列しておらず、かつ、これらのチャネルの両方を通る流体流を妨げない、第1の位置と、(ii)上記アクチュエータが上記第1のチャネル、又は上記第2のチャネルを通る流体流を少なくとも部分的に遮断する、第2の位置との間で、上記アクチュエータを移動させ、
上記第1のチャネルは、第1の流体抵抗を有し、上記第2のチャネルは、上記第1の流体抵抗とは異なる第2の流体抵抗を有する、方法。
【0034】
結論
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、又は本技術を上記で開示されたとおりの形態に限定することを意図していない。本技術の特定の実施形態及び例が例示の目的で上に説明されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な同等の修正が可能である。例えば、本明細書において説明される眼内シャントの特徴のいずれかを、本明細書において説明される他の眼内シャントの特徴のいずれかと組み合わせることができ、またその逆も可能である。更に、所与の順序でステップが提示されているが、代替的な実施形態では、異なる順序でステップが実施されてもよい。本明細書において説明された様々な実施形態はまた、組み合わせて、更なる実施形態を提供し得る。
【0035】
上述のことから、本技術の特定の実施形態が例示の目的で本明細書において説明されてきたが、眼内シャントと関連付けられた周知の構造及び機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示されるか又は説明されていないことが理解されよう。文脈が許す場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ、複数形又は単数形の用語も含み得る。
【0036】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、説明及び例全体を通して、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、それに限定されない」という意味である。本明細書で使用する場合、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はそれらのいかなる変形も、2つ以上の要素間の直接的又は間接的ないかなる接続又は結合も意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、又はそれらの組み合わせであってもよい。追加的に、「本明細書(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」という語、また同様の意味の語は、本出願で使用される際、本出願全体を指すものとし、本出願のいかなる特定の部分のことを指すものではない。文脈が許す場合、単数又は複数を使用する上記の発明を実施するための形態における語は、それぞれ、複数も単数も含み得る。本明細書で使用する場合、「A及び/又はB(A and/or B)」のように「及び/又は(and/or)」という語句は、Aのみ、Bのみ、またA及びBを指す。加えて、「含んでいる(comprising)」という用語は、より多くのあらゆる同じ特徴、及び/又は追加の種類の他の特徴が除外されないように、少なくとも列挙された特徴を含むことを意味するように全体を通して使用される。特定の実施形態が例示の目的で本明細書において説明されているが、本技術から逸脱することなく様々な修正がなされ得ることも理解されよう。更に、本技術のいくつかの実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示す場合があり、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書で明示的に図示又は説明されていない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】