(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】廃プラスチックを処理するための方法
(51)【国際特許分類】
C10G 45/06 20060101AFI20241101BHJP
C10G 45/08 20060101ALI20241101BHJP
B01J 23/882 20060101ALI20241101BHJP
B01J 23/883 20060101ALI20241101BHJP
C08J 11/12 20060101ALN20241101BHJP
C08J 11/14 20060101ALN20241101BHJP
【FI】
C10G45/06
C10G45/08
B01J23/882 Z
B01J23/883 Z
C08J11/12 ZAB
C08J11/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525487
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022080245
(87)【国際公開番号】W WO2023073194
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505081261
【氏名又は名称】ネステ オサケ ユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルキイェルビ、アンチ
(72)【発明者】
【氏名】アホ、マルユト
(72)【発明者】
【氏名】ケラ、ヤルモ
(72)【発明者】
【氏名】パーシカッリオ、ビッレ
(72)【発明者】
【氏名】サイラネン、エンマ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス ネブレダ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ケイリレイネン、ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】ウオチラ、ペルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ケッツネン、ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ヤミエソン、ヨン
【テーマコード(参考)】
4F401
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401AA11
4F401AA13
4F401AA22
4F401AA24
4F401AA27
4F401BA01
4F401CA22
4F401CA25
4F401CA29
4F401CA70
4F401CA72
4F401EA44
4F401EA46
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4G169AA03
4G169BA01
4G169BA01A
4G169BB02
4G169BB02A
4G169BC59
4G169BC59A
4G169BC67
4G169BC67A
4G169BC68
4G169BC68A
4G169CB02
4G169DA05
4H129AA02
4H129CA08
4H129CA20
4H129CA22
4H129CA25
4H129CA29
4H129DA15
4H129KA06
4H129KB03
4H129KC03X
4H129KC04X
4H129KD15X
4H129KD16X
4H129KD22X
4H129NA01
4H129NA37
(57)【要約】
液化廃プラスチック(LWP)を処理するための方法が提供すされる。該方法は、工程a)水素化処理されたLWPのストリームを形成するために、温和な水素化処理条件での第1の水素化処理工程において、水素および触媒の存在下、液化廃プラスチック(LWP)のストリームを、少なくとも1つの触媒床をそれぞれ備える少なくとも1つのリアクターを含むリアクターシステム中で、水素化処理する工程、ならびに、工程b)水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを形成するために、該水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドする工程、を含む。精製された炭化水素生成物もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチック(LWP)を処理するための方法であって、
工程a)水素化処理されたLWPのストリームを形成するために、温和な水素化処理条件での第1の水素化処理工程において、水素および触媒の存在下、液化廃プラスチック(LWP)のストリームを、少なくとも1つの触媒床をそれぞれ備える少なくとも1つのリアクターを含むリアクターシステム中で、水素化処理する工程、
工程b)水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを形成するために、前記水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドする工程
を含む方法。
【請求項2】
前記方法がさらに
工程c)精製されたストリームを提供するために、厳しい水素化処理条件で、水素および触媒の存在下、前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを水素化処理する工程
を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水素化処理工程a)における前記温和な水素化処理条件が、100℃~350℃の温度を含む請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記水素化処理工程c)における前記厳しい水素化処理条件が、355℃~400℃の温度を含む請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記LWPのストリームが、前記水素化処理工程a)の前に前処理工程に付され、および、前記前処理工程が、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、ろ過、遠心分離、酸化、還元、またはそれらの任意の組み合わせを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素を含むストリームが、少なくとも1つの原油留分を含む原油由来のフィードストック、またはバイオベースの脂肪もしくはオイルもしくは脂肪酸、またはリグノセルロースベースの炭化水素、またはフィッシャー・トロプシュ炭化水素であり、前記原油留分が、真空ガス油(VGO)留分、ガス油(GO)留分、重質ガス油(HGO)留分、灯油留分、軽質ガス油留分、大気残留物(AR)留分、真空残留物(VR)留分および脱アスファルト油(DAO)留分から選択される請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームが、前記水素化処理工程c)に付される前に、140℃~370℃の温度に保たれる、好ましくは、前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームが、200℃~350℃の温度に保たれる請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームが、ストリームの総計の重量をベースとして、70wt.%までのLWPを含み、好ましくは、前記ストリーム中のLWP含有量が、5wt.%~70wt.%、より好ましくは10wt.%~50wt.%、およびさらにより好ましくは15wt.%~30wt.%である請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化処理工程a)における触媒が、担持された触媒であり、および、前記触媒は、好ましくは、元素周期表のIUPAC第6族、第8族または第10族から選択される少なくとも1つの成分を含む請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記担持された触媒が、例えば担持NiMo触媒または担持CoMo触媒などの、担体上にMoおよび少なくとも1つのさらなる遷移金属を含み、前記担体が、好ましくは、アルミナおよび/またはシリカを含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記触媒が担持CoMo触媒であり、および前記担体がアルミナを含み(CoMo/Al
2O
3)、および/または、前記触媒が担持NiMo触媒であり、および前記担体がアルミナを含む(NiMo/Al
2O
3)請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記水素化処理工程a)の後および/または前記水素化処理工程c)の後に、前記プロセスに水を添加する工程および/または前記プロセスからの水相の除去の工程をさらに含む請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記水素化処理工程a)が、水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを形成するために前記水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドする工程の前に、繰り返される請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記LWPのストリームがLWPのみからなり、および、前記水素化処理工程a)がLWPに対してのみ行われる請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記水素化処理工程a)が、以下の条件
H
2/オイル比は200~450Nm
3/stdm
3、好ましくは220~400Nm
3/stdm
3である、
0.1~2.0h
-1、好ましくは0.2~0.5h
-1であるLHSV、
100~350℃、好ましくは170~340℃である温度
にて行われる請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記水素化処理工程c)が、以下の条件
オイルに対するH
2の比は150~400Nm
3/stdm
3、好ましくは180~250Nm
3/stdm
3である、
0.5~2.0h
-1、好ましくは1.0~1.5h
-1であるLHSV、
355~400℃、好ましくは360~390℃である温度
にて行われる請求項2~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法がさらに、2つまたはそれ以上の生成物ストリームを形成するために、前記精製ストリームを1つまたはそれ以上の分留工程に付す工程を含み、好ましくは、前記生成物ストリームは、30~200℃、好ましくは約30℃~約180℃、より好ましくは約30℃~約110℃の5~95重量%沸点範囲を有するナフサ留分と、約150℃~約400℃、好ましくは約160℃~約360℃、およびより好ましくは約160℃~約330℃の沸点範囲を有する5~95重量%の中間留分とを含む請求項2~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ナフサ留分がさらに水蒸気分解に付され、および/または、中間留分がさらに水蒸気分解に付され、および/または、LPG留分がさらに水蒸気分解に付される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記水素化処理工程a)およびc)が、少なくとも1つの触媒床を含む単一のリアクターユニット中で、それぞれ行われる、または、前記水素化処理工程a)およびc)が、リアクターユニットのそれぞれが少なくとも1つの触媒床を備える少なくとも2つのリアクターユニットまたはそれらの組み合わせを含むリアクターシステム中で、それぞれ行われる請求項2~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのリアクターがリアクターへの直接的な水素クエンチを備える請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
水素が、前記水素化処理工程a)および/または工程c)を行う前に、前記LWPのストリームと混合されている請求項2~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記水素化処理工程a)にしたがってLWPを水素化処理し、および前記工程b)にしたがってブレンドすることによって得られ得る、精製された炭化水素生成物であって、
ICP-MS/MSにより測定されて、6mg/kg未満、より好ましくは1mg/kg未満であるように減少された量のケイ素、および/または、5mg/kg未満、より好ましくは1mg/kg未満であるように減少された量のリン、
ASTMD8071により測定されて、0.01未満、より好ましくは0.001未満である総計のオレフィン含有量に対するジオレフィンの低い比、
ASTMD8071により測定されて、2未満、より好ましくは1未満である非共役ジオレフィンに対する共役ジオレフィンの低い比、
5mg/kg未満、好ましくは1mg/kg未満であるハロゲン含有量
を含む精製された炭化水素生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックを処理するための方法、特には水素化処理による液化廃プラスチック処理に関する。該方法は、不純物の除去およびLWPの水素化を含む。詳細には、該方法は、LWPの2つの別個の水素化処理を含み、ここで、2つ目の水素化処理は、炭化水素および既に水素化処理されたLWPのブレンドに対して行われる。
【背景技術】
【0002】
環境への懸念および化石ベースのフィードストックの使用を制限したいという願いから、廃プラスチックの利用可能性を開発する必要性が生じている。プラスチックを構成するポリマーの多くは非常に安定であり、および自然には分解しないため、廃プラスチックは環境への増大する懸念である。廃プラスチックの焼却は温室効果ガスを増加し、および、大気および土地の汚染という形での他の環境問題も引き起こす。廃プラスチックの焼却は主に、たとえ熱という形でエネルギーが回収される場合であっても、価値のある原料の浪費であると考えられている。
【0003】
プラスチックまたはポリマーは主に炭素、水素、および例えば酸素および/または窒素などのヘテロ原子で構成される。しかしながら、廃プラスチックはまた、例えば金属および塩素不純物などの多くの不純物を含む。様々な炭化水素成分を製造するために廃プラスチックを利用することへの関心が高まっている。燃料は炭化水素の混合物であるが、廃プラスチックからの液体燃料の製造は、一般的に有用であるとは考えられていない。廃プラスチックの直接焼却はまた、エネルギーを生成し、これは回収され、および暖房および/または発電などに利用され得る。したがって、新しいプラスチック、化学品、またはその他の材料の製造に利用され得るハイエンドの炭化水素成分に廃プラスチックをアップグレードする必要性がある。
【0004】
廃プラスチックは、液化廃プラスチック(LWP)を製造するために、熱分解により処理されているが、LWPフィードは、依然として、多量の様々な不純物および汚染物質を含んでいる。そのため、LWPフィードは、する様々なアップグレードプロセスのためのフィードストックとして使用され得る前に、様々な精製および前処理工程を経る必要がある。
【0005】
特許文献1は、廃プラスチック熱分解油を含むフィードを処理するためのプロセスを記載し、該プロセスは、100℃~250℃の温度での水素化工程と、それに続く250℃~430℃の温度での水素化処理工程とを含んでいる。結果として得られた生成物は、さらに、ガス状流出物、水性流出物および炭化水素流出物に分離される。
【0006】
本発明は、例えば廃プラスチックの熱分解などによって得られるLWPを処理し、および精製するための改良されたプロセスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明は、廃プラスチックの化学的リサイクルのための最適化された解決策を提供することを目的とする。本発明は、化学的リサイクルを、実行可能かつ経済的に、そしてそれによって、機械的なリサイクルに適していないリサイクルされた廃プラスチックストリームのための補完的な解決策にしようとするものである。必要とされる化学的プロセスは、廃棄物製品中の化学成分の複雑さに対処できるように考えられている。廃プラスチックは、一般的なレベルにおいて、非常に不均一な材料である。ポリマーのタイプおよびそれがどのような用途で使用されたかによって、種々のプラスチック製品は、例えば顔料、充填剤、難燃剤などの種々のタイプの添加剤を含むであろう。廃プラスチックが例えば熱分解などを経てLWPへと変換されると、ポリマーおよび様々な添加剤などが特定の方法で反応/分解し、およびその結果、複数の種々の化合物が製品LWPに移行されるであろう。LWPのより高品質の付加価値製品への変換は、触媒プロセスの使用を伴い、および、このようなプロセスで一般的に使用される触媒は、種々の不純物に対して感受性であり、すなわち、触媒の活性が、様々な触媒毒の体積に起因して不活性化され得る。LWPが触媒にとって有害である様々な不純物を含んでいることが観察されており、およびその結果、そのさらなる触媒的処理は、例えば従来の原油と比較された場合、技術的により困難である。これが、これらの問題が特許請求の範囲に記載されたプロセス工程によって解決された本発明につながった。特許請求の範囲に記載のプロセスは、廃プラスチックの処理を、それらの処理を行うアセットに生じる損傷および有害な影響を心配することなく、連続的かつ経済的なものとすることを可能にする。
【0009】
本発明の目的は、独立請求項に記載されていることによって特徴づけられる方法によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0010】
したがって、本発明の目的は、液化廃プラスチック(LWP)を処理するための方法を提供することであり、該方法は、工程a)水素化処理されたLWPのストリームを形成するために、温和な水素化処理条件での第1の水素化処理工程において、水素および触媒の存在下、液化廃プラスチック(LWP)のストリームを、少なくとも1つの触媒床をそれぞれ備える少なくとも1つのリアクターを含むリアクターシステム中で、水素化処理する工程、工程b)水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを形成するために、前記水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドする工程、を含む。
【0011】
以下、本発明が、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によってより詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の特定の実施形態を示す概略図である。
図1において、点線枠=任意の工程;P1=生成物1;P2=生成物2;A1/A2=水素化処理工程a);B=ブレンド工程b);C=水素化処理工程c);CF=炭化水素ストリーム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、液化廃プラスチックを処理するための方法に関し、ここで、該方法は、温和な条件下でのLWPの第1の水素化処理、その後該水素化処理されたLWPを、炭化水素を含むストリームとブレンドすることを含む。
【0014】
用語「液化廃プラスチック(liquefied waste plastic)」とは、本明細書において、任意の廃プラスチックから非酸化的熱分解プロセスを通じて製造される液体生成物を意味する。典型的には、液化廃プラスチックは、廃プラスチックの熱分解によって製造される。LWPを製造する他のプロセスとしては、例えば水熱液化プロセスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。LWPは、幅広い炭素鎖長をもつ炭化水素系有機成分の混合物である。ただし、炭素鎖長および化学構造およびLWPの特性における大きなバリエーションは、LWPの製造において使用されるプラスチック(ポリマー)のタイプ、液化プロセスの種類、液化プロセスの条件によって異なる。液化法で使用される典型的な廃プラスチックのフィードストックは、各種量のポリプロピレン、ポリスチレンならびに例えばポリアミド、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ塩化ビニルなどの他のマイナーな成分と共に、主にポリエチレンを含む。
【0015】
液化廃プラスチックは、廃プラスチックを熱分解し、その後、熱分解された廃プラスチックから液体留分を回収することによって得られ得る。典型的な熱分解プロセスでは、固形の廃プラスチックが、非酸化条件下で、400~600℃の温度に加熱される。ポリマーは熱分解し、およびその結果、リアクターから抜ける蒸気およびガスを気相に放出する。この蒸気/ガスのストリームは、次いで、LWP生成物を凝縮させ、およびガスを分離するために冷却される。LWPは典型的には、約40℃~550℃である沸点範囲を有し、これはC5~C55の炭素鎖長におおよそ相当する。変換技術に依存して、LWPの最終沸点は750℃まで上がり得る。
【0016】
LWPは様々なポリマーの熱分解生成物であり、ならびに、主にパラフィン、オレフィン、ナフテンおよび芳香族炭化水素の複雑な混合物である。オレフィンの総計の量は、典型的には多く、40wt.%~60wt.%であるが、芳香族炭化水素の量は、典型的には20wt.%より少ない。LWPはまた、例えば酸素、窒素、塩素および硫黄などのヘテロ原子を、ヘテロ原子置換基をもつ有機化合物の形で含む。ヘテロ原子の量は、LWPの製造に使用されるポリマーによって異なる。通常、水はLWP生成物から除去されるが、いくらかの溶存水は依然としてLWP中に存在し得る。
【0017】
液化廃プラスチックはまた、本発明による水素化処理の前に、前処理プロセスを経ていてもよい。LWPは、水素化処理工程a)の前に前処理工程に付され、および、前処理工程は、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、ろ過、遠心分離、酸化、還元、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0018】
本発明によれば、水素化処理工程a)は、温和な条件下でLWPに対して行われる第1の水素化処理工程として定義される。液化廃プラスチック(LWP)のストリームは、水素化処理されたLWPのストリームを形成するために、温和な条件下で、水素および触媒の存在下、水素化処理工程a)に付される。水素化処理工程a)における温和な条件は、100℃~350℃、好ましくは170℃~340℃の温度であり得る。ここで、任意の水素化処理工程の全ての温度は、特に言及がない場合、水素化処理が行われるリアクターの加重平均温度として定義される。
【0019】
本明細書に記載の全ての水素化処理は、少なくとも1つの触媒の存在下で行われる。触媒は、例えば、元素周期表のIUPAC第6族、第8族または第10族から選択される少なくとも1つの成分を含み得る。担持触媒を用いる場合、触媒は、好ましくは、担体上のMoおよび少なくとも1つのさらなる遷移金属を含む。このような担持触媒の例としては、例えば、担持NiMo触媒または担持CoMo触媒または両者の混合物が挙げられる。担持触媒中、担体は、好ましくは、アルミナおよび/またはシリカを含む。これらの触媒は通常、触媒が活性(硫化)形態であることを確実なものとするために、硫化触媒として使用される。触媒をそれらの活性な(硫化)形態に変えることは、それらを予め(すなわち、水素化処理反応を開始する前)硫化することによって、および/または、硫黄含有フィード(例えば有機または無機硫化物などとして硫黄を含有する)を添加することによって、達成され得る。フィードは最初から硫黄を含んでいてもよく、または、硫黄添加剤がフィードに混合されてもよい。好ましい実施形態において、水素化処理は触媒を使用し、および、触媒は担持されたNiMo触媒であり、および、担体はアルミナを含み(NiMo/Al2O3)、および/または、触媒は担持されたCoMo触媒であり、および、担体はアルミナを含む(CoMo/Al2O3)。
【0020】
水素化処理工程a)の触媒は、好ましくは担持NiMoであり、ここで担体は、好ましくはアルミナおよび/またはシリカを含む。
【0021】
水素化処理工程a)の条件は、好ましくは以下から選択される:
H2/オイル比は200~450Nm3/stdm3、好ましくは220~400Nm3/stdm3である、
0.1~2.0h-1、好ましくは0.2~0.5h-1であるLHSV、
100~350℃、好ましくは170~340℃である温度、
4000~6000kPa(a)、好ましくは4800~5500kPa(a)である圧力。
【0022】
本発明の一実施形態において、水素化処理工程a)は、その次のブレンド工程の前に繰り返される。水素化処理工程a)は、ストリーム中のLWPの十分な水素化処理を確実にするために繰り返され得る。水素化処理工程a)を繰り返すためのあり得べき必要性は、とりわけ、水素化処理条件、水素化処理触媒、ならびに、例えばリアクターの数、触媒床のタイプおよびリアクター内の触媒床の数などのリアクターのデザインに依存する。
【0023】
本発明の一実施形態において、LWPのストリームは、LWPのみからなり、および、工程a)における水素化処理は、LWPに対してのみ行われる。この特定の実施形態において、温和な水素化処理条件での水素化処理a)は、LWPのみを含むストリームに対してだけに行われ、および、他のいかなるストリームも、第1の水素化処理工程(特許請求の範囲に記載の工程a))に導かれない。この実施形態における水素化処理工程a)は、廃プラスチックに由来するLWPのストリームの成分のみが温和な水素化処理条件で水素化処理される工程である。
【0024】
本発明の一実施形態において、水素化処理工程a)は、水素化処理工程a)からの水素化処理されたLWPの形成されたストリームの一部が、水素化処理工程a)を実施するリアクターに戻されてリサイクルされる工程を含む。リサイクルが存在する場合、リサイクル量は、とりわけ、水素化処理条件、水素化処理触媒、ならびに、例えばリアクターの数、触媒床のタイプおよびリアクター内の触媒床の数などのリアクターのデザインに依存する。
【0025】
水素化処理工程a)の結果、第1の水素化処理されたLWPのストリームが形成される。形成された水素化処理されたLWPのストリームは、水素化処理される前のLWPフィードと比較して、より少ない量の不純物、汚染物質および有害成分を含む。不純物、汚染物質および有害成分とは、本明細書中において、水素化処理の下流の任意の成分、装置または触媒に対して有害な特性を有する任意の物質、化合物または組成物を意味している。特に有害な成分は、ヘテロ原子、金属および金属化合物を含む化合物である。特に有害なヘテロ原子としては、例えば塩素などのハロゲンが挙げられる。特に有害な金属としては、例えば水銀、鉛、ナトリウム、ヒ素、バナジウム、鉄、亜鉛およびアルミニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ケイ素、リン、酸素、窒素および硫黄を含む化合物もまた、除去されなければ、水素化処理の下流で問題となる可能性がある。さらに、共役ジオレフィンおよびオレフィンは、例えば処理されたLWPが水蒸気分解のためのフィードストックとして下流で使用されるためにはLWPからは最小現にしておかなければならないコーキングまたは目詰まりを引き起こす作用剤と考えられている。
【0026】
本発明による液化廃プラスチック(LWP)のストリームを水素化処理する目的は、LWP中に存在するかもしれない任意の不純物、汚染物質および有害成分の悪影響なおよび/または有害な特性のリスクを低減することである。水素化処理工程は、これらの成分の量を減少させ、およびそれゆえ、そうでなければそれらが水素化処理の下流にある任意の成分、装置または触媒に与えたであろうリスクおよび害を減少させる。規定された温和な水素化処理条件での水素化処理工程a)の後、LWP中の共役ジオレフィン含有量は、0.2wt.%未満まで減少される。
【0027】
本発明の方法は、水素化処理されたLWPと炭化水素とを含む混合されたストリームを形成するために、温和な水素化処理工程a)から得られる水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドすることをさらに含む。該炭化水素はLWP以外の任意の起源であり、したがって、「炭化水素(hydrocarbons)」および「他の起源の炭化水素(hydrocarbons of other origins)」は同義語として意味されるため、炭化水素を含むストリームは、水素化処理工程a)に付されるLWPフィードとは異なる不純物プロファイルを有するであろう。
【0028】
本発明の一実施形態において、ストリームの形態にある他の起源の炭化水素は、真空ガス油(VGO)留分、ガス油(GO)留分、重質ガス油(HGO)留分、灯油留分、軽質ガス油留分、大気残留物(AR)留分、真空残留物(VR)留分および脱アスファルト油(DAO)留分から選択される。ブレンドのために使用される他の適切な炭化水素ストリームとしては、例えば、少なくとも1つの原油留分を含む原油由来のフィードストック、またはバイオベースの脂肪もしくはオイルもしくは脂肪酸、またはリグノセルロースベースの炭化水素、またはフィッシャー・トロプシュもしくは他の合成系炭化水素が挙げられる。
【0029】
一実施形態において、炭化水素を含むストリームは、以下の特性のうちの1つまたはそれ以上を有する:
60℃~700℃、最も好ましくは100℃~600℃である沸点範囲であって、沸点は沸点範囲に応じて、ASTMD2887またはEN15199-2にしたがって測定され得る;
ASTMD2887にしたがって測定されて、250~400g/mol、最も好ましくは280~350g/molである分子量;
ASTMD2549にしたがって測定されて、10wt.%より多い、最も好ましくは35wt.%より多い芳香族含有量;
ENISO12185にしたがって測定されて、870~940kg/m3、最も好ましくは890~920kg/m3である密度;
5wt.%未満、好ましくは1.8wt.%未満である硫黄含有量;
ISO3839Mによる、10gBr/100gより小さい、好ましくは4gBr/100gより小さい臭素数;
TOTAL642による、300mg/kg未満、好ましくは250mg/kg未満であるアスファルテン含有量;および
ASTMD5185による、2.5mg/kg未満、好ましくは1mg/kg未満であるケイ素含有量。
【0030】
本発明の一実施形態において、水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームは、混合されたストリームをその次の水素化処理工程c)に付す前、少なくとも140℃の温度に保たれ、好ましくは、水素化処理されたLWPおよび炭化水素を含む該混合されたストリームは、140℃~370℃、より好ましくは200℃~350℃の温度に保たれる。混合されたストリームを昇温された温度に保つことにより、2つのストリームの十分な混合が確実となる。昇温された温度での混合はまた、不純物の沈殿がないこと、または最小限しかないことも確実とされる。水素化処理されたLWPとブレンドされる炭化水素のストリームは、典型的には、水素化処理されたLWPのストリームと比較して、より高い温度を有する。
【0031】
本発明の一実施形態において、水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームは、ストリームの総計の重量をベースとして、70wt.%までのLWPを含み、好ましくは、該ストリーム中のLWP含有量は、5wt.%~70wt.%、より好ましくは10wt.%~50wt.%、およびさらにより好ましくは15wt.%~30wt.%である。
【0032】
本発明の一実施形態において、本方法はさらに以下の工程
c)精製されたストリームを提供するために、厳しい水素化処理条件で、水素および触媒の存在下、水素化処理されたLWPおよび炭化水素の該混合されたストリームを水素化処理する工程
を含む。
【0033】
水素化処理工程c)は、355℃~400℃、好ましくは360℃~390℃の温度で実施され得るその厳しい条件によって規定される。さらに、水素化処理工程c)は、工程a)の水素化処理されたストリームが他の起源の炭化水素のストリームとブレンドされた後の、水素化処理工程a)に続く水素化処理工程と称される。
【0034】
本発明の一実施形態において、水素化処理工程a)およびc)の触媒は担持された触媒であり、および、触媒は、好ましくは、元素周期表のIUPAC第6族、第8族または第10族から選択される少なくとも1つの成分を含む。さらに、担持された触媒は、例えば担持NiMo触媒または担持CoMo触媒などの、担体上にMoおよび少なくとも1つのさらなる遷移金属を含み得、ここで担体は、好ましくは、アルミナおよび/またはシリカを含む。特には、触媒は、担持CoMo触媒であり、および、担体はアルミナを含み(CoMo/Al2O3)、および/または、触媒は、担持NiMo触媒であり、および、担体はアルミナを含む(NiMo/Al2O3)。
【0035】
水素化処理工程c)の条件は、好ましくは以下から選択される:
オイルに対するH2の比は150~400Nm3/stdm3、好ましくは180~250Nm3/stdm3である、
0.5~2.0h-1、好ましくは1.1~1.5h-1であるLHSV、
355~400℃、好ましくは360~390℃である温度、
4000~6000kPa(a)、好ましくは4800~5500kPa(a)である圧力。
【0036】
一実施形態において、水素化処理工程a)およびc)は、少なくとも1つの触媒床を含む単一のリアクターユニット中で、それぞれ行われ得る。別の実施形態において、水素化処理工程a)およびc)は、少なくとも2つのリアクターユニットを含むリアクターシステム中で、それぞれ行われ得、ここで、リアクターユニットのそれぞれが少なくとも1つの触媒床を備える。
【0037】
本発明の一実施形態において、水素化処理工程a)および/または工程c)を行う前に、水素がLWPと混合されている。
【0038】
本発明の一実施形態において、LWPは、水素化処理工程a)の前に前処理工程を経ており、および、前処理工程は、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、ろ過、遠心分離、酸化、還元、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0039】
一実施形態において、本方法は、該水素化処理工程a)の後および/または該水素化処理工程c)の後に、該プロセスに水を添加する工程および/または該プロセスからの水相の除去の工程をさらに含む。本発明の一実施形態において、水は、不純物を除去するために、いずれかの水素化処理工程の後にプロセスに添加される。不純物は、水素化処理において水溶性であるか、または水溶性となり、これゆえ、水素化処理されたLWPストリームを水で洗浄することによって除去され得る。水溶性不純物は、水ストリーム中に溶解され、および、不純物を含む水相は、水素化処理されたLWPストリームからデカンテーションされる。
【0040】
本発明の一実施形態において、本方法はさらに、2つまたはそれ以上の生成物ストリームを形成するために、水素化処理工程c)後の精製されたストリームを1つまたはそれ以上の分留工程に付す工程を含む。好ましくは、分留された生成物ストリームは、30~200℃、好ましくは約30℃~約180℃、より好ましくは約30℃~約110℃の5~95重量%沸点範囲を有するナフサ留分と、約150℃~約400℃、好ましくは約160℃~約360℃、およびより好ましくは約160℃~約330℃の沸点範囲を有する5~95重量%の中間留分と、エタン、プロパンまたはブタンのうちの1つまたはそれ以上を含む液化石油ガス(LPG)留分を含む。ナフサ留分はさらに水蒸気分解に付され得、および/または、中間留分はさらに水蒸気分解に付され得、および/または、LPG留分はさらに水蒸気分解に付され得る。
【0041】
本発明のさらなる一実施形態において、水素化処理工程a)および水素化処理工程c)は、1つまたはそれ以上のリアクターを含むリアクターシステム中で行われ、各リアクターは1つまたはそれ以上の触媒床を有し、および、少なくとも1つのリアクターはリアクターへの直接の水素フィードを備える。水素化処理工程a)およびc)用に指定されたリアクターはまた、別個のリアクター中でそれぞれ行われ得、それぞれは独立した複数の触媒層および独立した反応温度、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
【0042】
本発明の一実施態様において、それはさらに、LWPを水素化処理工程a)にしたがって水素化処理し、および工程b)にしたがってブレンドすることによって得られ得るLWP生成物P1に関し、ここで該生成物は以下
ICP-MS/MSにより測定されて、6mg/kg未満、より好ましくは1mg/kg未満であるように減少された量のケイ素、および/または、5mg/kg未満、より好ましくは1mg/kg未満であるように減少された量のリン、
ASTMD8071により測定されて、0.01未満、より好ましくは0.001未満である総計のオレフィン含有量に対するジオレフィンの低い比、
ASTMD8071により測定されて、2未満、より好ましくは1未満である非共役ジオレフィンに対する共役ジオレフィンの低い比、
5mg/kg未満、好ましくは1mg/kg未満であるハロゲン含有量
を含む。
【0043】
ICP-MS/MSによる金属測定は、秤量前に必要に応じて液体までに温められたサンプルに対して行われる。それはマイクロ波オーブン中で酸を用いて透明な水/酸マトリックスとなるまで分解され、規定量まで希釈され、および、ICP-MS/MSを用いて酸ベースの較正に対して分析される。低量の元素測定の結果はppb(μg/kg)として測定される。
【0044】
本発明の一実施形態において、本方法は、2つまたはそれ以上の生成物ストリームを形成するために、水素化処理工程a)およびブレンド工程b)の後の精製されたストリームすなわち生成物P1を1つまたはそれ以上の分留工程に付す工程をさらに含む。好ましくは、分留された生成物ストリームは、30~200℃、好ましくは約30℃~約180℃、より好ましくは約30℃~約110℃の5~95重量%沸点範囲を有するナフサ留分と、約150℃~約400℃、好ましくは約160℃~約360℃、およびより好ましくは約160℃~約330℃の沸点範囲を有する5~95重量%の中間留分と、エタン、プロパンまたはブタンのうちの1つまたはそれ以上を含む液化石油ガス(LPG)留分を含む。ナフサ留分はさらに水蒸気分解に付され得、および/または、中間留分はさらに水蒸気分解に付され得、および/または、LPG留分はさらに水蒸気分解に付され得る。
【0045】
技術の進歩に伴い、本発明の概念が様々な方法で実施され得ることは当業者には明らかであろう。本発明およびその実施形態は、上述した例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で変更可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチック(LWP)を処理するための方法であって、
工程a)水素化処理されたLWPのストリームを形成するために、温和な水素化処理条件での第1の水素化処理工程において、水素および触媒の存在下、液化廃プラスチック(LWP)のストリームを、少なくとも1つの触媒床をそれぞれ備える少なくとも1つのリアクターを含むリアクターシステム中で、水素化処理する工程、
工程b)水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを形成するために、前記水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドする工程
を含む方法。
【請求項2】
前記方法がさらに
工程c)精製されたストリームを提供するために、厳しい水素化処理条件で、水素および触媒の存在下、前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを水素化処理する工程
を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水素化処理工程a)における前記温和な水素化処理条件が、100℃~350℃の温度を含む請求項
1記載の方法。
【請求項4】
前記水素化処理工程c)における前記厳しい水素化処理条件が、355℃~400℃の温度を含む請求項
2記載の方法。
【請求項5】
前記LWPのストリームが、前記水素化処理工程a)の前に前処理工程に付され、および、前記前処理工程が、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、ろ過、遠心分離、酸化、還元、またはそれらの任意の組み合わせを含む請求項
1記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素を含むストリームが、少なくとも1つの原油留分を含む原油由来のフィードストック、またはバイオベースの脂肪もしくはオイルもしくは脂肪酸、またはリグノセルロースベースの炭化水素、またはフィッシャー・トロプシュ炭化水素であり、前記原油留分が、真空ガス油(VGO)留分、ガス油(GO)留分、重質ガス油(HGO)留分、灯油留分、軽質ガス油留分、大気残留物(AR)留分、真空残留物(VR)留分および脱アスファルト油(DAO)留分から選択される請求項
1記載の方法。
【請求項7】
前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームが、前記水素化処理工程c)に付される前に、140℃~370℃の温度に保たれる、好ましくは、前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームが、200℃~350℃の温度に保たれる請求項
2記載の方法。
【請求項8】
前記水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームが、ストリームの総計の重量をベースとして、70wt.%までのLWPを含み、好ましくは、前記ストリーム中のLWP含有量が、5wt.%~70wt.%、より好ましくは10wt.%~50wt.%、およびさらにより好ましくは15wt.%~30wt.%である請求項
1記載の方法。
【請求項9】
前記水素化処理工程a)における触媒が、担持された触媒であり、および、前記触媒は、好ましくは、元素周期表のIUPAC第6族、第8族または第10族から選択される少なくとも1つの成分を含む請求項
1記載の方法。
【請求項10】
前記担持された触媒が、例えば担持NiMo触媒または担持CoMo触媒などの、担体上にMoおよび少なくとも1つのさらなる遷移金属を含み、前記担体が、好ましくは、アルミナおよび/またはシリカを含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記触媒が担持CoMo触媒であり、および前記担体がアルミナを含み(CoMo/Al
2O
3)、および/または、前記触媒が担持NiMo触媒であり、および前記担体がアルミナを含む(NiMo/Al
2O
3)請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記水素化処理工程a)の後および/または前記水素化処理工程c)の後に、前記プロセスに水を添加する工程および/または前記プロセスからの水相の除去の工程をさらに含む請求項
1記載の方法。
【請求項13】
前記水素化処理工程a)が、水素化処理されたLWPおよび炭化水素の混合されたストリームを形成するために前記水素化処理されたLWPのストリームを、炭化水素を含むストリームとブレンドする工程の前に、繰り返される請求項
1記載の方法。
【請求項14】
前記LWPのストリームがLWPのみからなり、および、前記水素化処理工程a)がLWPに対してのみ行われる請求項
1記載の方法。
【請求項15】
前記水素化処理工程a)が、以下の条件
H
2/オイル比は200~450Nm
3/stdm
3、好ましくは220~400Nm
3/stdm
3である、
0.1~2.0h
-1、好ましくは0.2~0.5h
-1であるLHSV、
100~350℃、好ましくは170~340℃である温度
にて行われる請求項
1記載の方法。
【請求項16】
前記水素化処理工程c)が、以下の条件
オイルに対するH
2の比は150~400Nm
3/stdm
3、好ましくは180~250Nm
3/stdm
3である、
0.5~2.0h
-1、好ましくは1.0~1.5h
-1であるLHSV、
355~400℃、好ましくは360~390℃である温度
にて行われる請求項
2記載の方法。
【請求項17】
前記方法がさらに、2つまたはそれ以上の生成物ストリームを形成するために、前記精製ストリームを1つまたはそれ以上の分留工程に付す工程を含み、好ましくは、前記生成物ストリームは、30~200℃、好ましくは約30℃~約180℃、より好ましくは約30℃~約110℃の5~95重量%沸点範囲を有するナフサ留分と、約150℃~約400℃、好ましくは約160℃~約360℃、およびより好ましくは約160℃~約330℃の沸点範囲を有する5~95重量%の中間留分とを含む請求項
2記載の方法。
【請求項18】
前記ナフサ留分がさらに水蒸気分解に付され、および/または、中間留分がさらに水蒸気分解に付され、および/または、LPG留分がさらに水蒸気分解に付される請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記水素化処理工程a)およびc)が、少なくとも1つの触媒床を含む単一のリアクターユニット中で、それぞれ行われる、または、前記水素化処理工程a)およびc)が、リアクターユニットのそれぞれが少なくとも1つの触媒床を備える少なくとも2つのリアクターユニットまたはそれらの組み合わせを含むリアクターシステム中で、それぞれ行われる請求項
2記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのリアクターがリアクターへの直接的な水素クエンチを備える請求項
1記載の方法。
【請求項21】
水素が、前記水素化処理工程a)および/または工程c)を行う前に、前記LWPのストリームと混合されている請求項
2記載の方法。
【請求項22】
前記水素化処理工程a)にしたがってLWPを水素化処理し、および前記工程b)にしたがってブレンドすることによって得られ得る、精製された炭化水素生成物であって、
ICP-MS/MSにより測定されて、6mg/kg未満、より好ましくは1mg/kg未満であるように減少された量のケイ素、および/または、5mg/kg未満、より好ましくは1mg/kg未満であるように減少された量のリン、
ASTMD8071により測定されて、0.01未満、より好ましくは0.001未満である総計のオレフィン含有量に対するジオレフィンの低い比、
ASTMD8071により測定されて、2未満、より好ましくは1未満である非共役ジオレフィンに対する共役ジオレフィンの低い比、
5mg/kg未満、好ましくは1mg/kg未満であるハロゲン含有量
を含む精製された炭化水素生成物。
【国際調査報告】