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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】相変化メモリの間隙
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/10 20230101AFI20241101BHJP
【FI】
H10B63/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529430
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2022080260
(87)【国際公開番号】W WO2023088663
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/528,197
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】オク、インジョ
(72)【発明者】
【氏名】セオ、スン-チェオン
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】グルシェンコフ、オレグ
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA56
5F083JA60
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR22
5F083PR40
(57)【要約】
PCMセルは、第1の電極と、第1の電極に電気的に接続されたヒーター/PCM部分であって、PCM材料を含んでいる、ヒーター/PCM部分と、PCM材料に電気的に接続された第2の電極と、突起ライナーを取り囲む電気絶縁体スタックとを含む。このスタックは、第1の材料から構成される、突起ライナーの方を向いている複数の第1の内側面を有する複数の第1の層、および複数の第1の層と互い違いになっている複数の第2の層を含み、複数の第2の層が、第1の材料と異なる第2の材料から成り、複数の第2の層が、突起ライナーの方を向いている複数の第2の内側面を有する。複数の第1の内側面からオフセットされた複数の第2の内側面が、複数の間隙を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化メモリ(PCM)セルであって、
第1の電極と、
第1の電極に電気的に接続されたヒーター/PCM部分であって、PCM材料を含んでいる、前記ヒーター/PCM部分と、
前記PCM材料に電気的に接続された第2の電極と、
前記ヒーター/PCM部分の少なくとも一部を取り囲む電気絶縁体スタックと
を備え、前記スタックが、
第1の材料から構成され、前記ヒーター/PCM部分の方を向いている複数の第1の内側面を有する複数の第1の層、および
前記複数の第1の層と互い違いになっている複数の第2の層を備え、前記複数の第2の層が、前記第1の材料と異なる第2の材料から構成され、前記複数の第2の層が、前記ヒーター/PCM部分の方を向いている複数の第2の内側面を有し、
前記複数の第1の内側面からオフセットされた前記複数の第2の内側面が、複数の間隙を形成する、PCMセル。
【請求項2】
前記第1の電極、前記第2の電極、および前記PCM材料と直接接触している突起ライナーをさらに備える、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項3】
前記突起ライナーおよび前記スタックと直接接触している壁をさらに備える、請求項2に記載のPCMセル。
【請求項4】
前記複数の間隙の各々が、前記複数の第1の層のうちの2つ、前記複数の第2の層のうちの1つ、および前記壁によって囲まれる、請求項3に記載のPCMセル。
【請求項5】
前記複数の第1の層が前記壁と直接接触し、
前記複数の第2の層が前記壁から離れて間隔を空けられる、請求項3に記載のPCMセル。
【請求項6】
各間隙が前記壁によってさらに囲まれる、請求項3に記載のPCMセル。
【請求項7】
前記第1の材料が材料除去プロセスに耐性があり、
前記第2の材料が前記材料除去プロセスの影響を受けやすい、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項8】
前記ヒーター/PCM部分が、前記PCM材料から分離している、高電気抵抗材料から構成されるヒーターをさらに備える、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項9】
相変化メモリ(PCM)セルを製造する方法であって、
第1の電極を形成することと、
電気絶縁体スタックを前記第1の電極の上に形成することであって、前記スタックが、
第1の材料から構成される複数の第1の層、および
前記複数の第1の層と互い違いになっている複数の第2の層を備え、前記複数の第2の層が、前記第1の材料と異なる第2の材料から構成される、前記形成することと、
前記スタック内にビアを形成することと、
前記複数の第1の層をそのまま残しながら、前記複数の第2の層の一部を前記ビアから除去することと、
前記ビア内の前記複数の第1の層に壁を形成し、複数の間隙を作成することと、
前記壁の内側にヒーター/PCM部分を形成することと、
前記ヒーター/PCM部分の上に第2の電極を形成することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記複数の間隙の各々が、前記複数の第1の層のうちの2つ、前記複数の第2の層のうちの1つ、および前記壁によって囲まれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒーター/PCM部分を形成する前に、突起ライナーを前記第1の電極および前記壁の上に形成し、前記突起ライナーが前記壁と前記ヒーター/PCM部分の間に位置するようにすることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒーター/PCM部分を前記壁の内側に形成することが、PCM材料を前記壁の内側および前記スタックの上に成膜することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒーター/PCM部分を前記壁の内側に形成することが、
高電気抵抗材料を前記壁の内側および前記スタックの上に成膜してヒーターを形成することと、
PCM材料を前記ヒーターの上および前記スタックの上に成膜することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ・メモリに関連しており、より詳細には、空隙を含む相変化材料メモリ・デバイスに関連している。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリ(PCM:Phase change memory)は、人工知能に関してアナログ計算におけるトレーニングおよび推論の両方に利用され得る。PCM構造体は、エネルギー消費量を最小限に抑えるための高い保持力と共に、調整可能な導電率および全体的に高いデバイス抵抗を有する、相変化メモリスタ・デバイスを含むことができる。この調整は、PCM材料の結晶相およびアモルファス相の比率が変化する異なる構造状態を形成することによって実現され得る。これらの相の形成は、制御された方法で、さまざまな量でPCM材料を加熱することによって、発生することができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態によれば、PCMセルは、第1の電極と、第1の電極に電気的に接続されたヒーター/PCM部分であって、PCM材料を含んでいる、ヒーター/PCM部分と、PCM材料に電気的に接続された第2の電極と、突起ライナーを取り囲む電気絶縁体スタックとを含む。このスタックは、第1の材料から構成される、突起ライナーの方を向いている複数の第1の内側面を有する複数の第1の層、および複数の第1の層と互い違いになっている複数の第2の層を含み、複数の第2の層が、第1の材料と異なる第2の材料から成り、複数の第2の層が、突起ライナーの方を向いている複数の第2の内側面を有する。複数の第1の内側面からオフセットされた複数の第2の内側面が、複数の間隙を形成する。
【0004】
本発明の実施形態によれば、PCMセルを製造する方法は、第1の電極を形成すること、および第1の電極の上に電気絶縁体スタックを形成することを含む。このスタックは、第1の材料から構成される複数の第1の層、および複数の第1の層と互い違いになっている複数の第2の層を含み、複数の第2の層が、第1の材料と異なる第2の材料から構成される。この方法は、スタック内にビアを形成することと、複数の第1の層をそのまま残しながら、複数の第2の層の一部をビアから除去することと、ビア内の複数の第1の層に壁を形成し、複数の間隙を作成することと、壁の内側にヒーター/PCM部分を形成することと、ヒーター/PCM部分の上に第2の電極を形成することとも含む。
【0005】
本発明の実施形態によれば、PCMセルは、第1の電極と、第1の電極に電気的に接続されたヒーター/PCM部分であって、PCM材料を含んでいる、ヒーター/PCM部分と、PCM材料に電気的に接続された第2の電極と、突起ライナーを取り囲む電気絶縁体スタックとを含み、このスタックが、複数の間隙を定める。間隙の各々は、トロイダル形状を有し、1つまたは複数の他の間隙から互いに離れて軸方向に間隔を空けられ、PCM材料の一部を取り囲む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本発明の実施形態に従う、空隙を含んでいるPCMセルの断面図である。
図1B】本発明の実施形態に従う、アモルファス・ゾーンを含んでいる図1AのPCMセルの断面図である。
図2】本発明の実施形態に従う、図1AのPCMセルを製造する方法のフローチャートの図である。
図3A】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3B】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3C】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3D】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3E】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3F】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3G】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3H】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図3I】本発明の実施形態に従う、PCMセルを製造する図2の方法の断面図である。
図4】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する代替の方法のフローチャートの図である。
図5A】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
図5B】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
図5C】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
図5D】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
図5E】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
図5F】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
図5G】本発明の実施形態に従う、代替のPCMセルを製造する図4の代替の方法の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、関連する図面を参照して、本発明のさまざまな実施形態が説明される。本発明の範囲から逸脱することなく、代替の実施形態が考案され得る。以下の説明および図面において、要素間のさまざまな接続および位置関係(例えば、上、下、隣接など)が示されるということに注意する。それらの接続または位置関係あるいはその両方は、特に規定されない限り、直接的または間接的であることができ、本開示はこの点において限定するよう意図されていない。したがって、実体の結合は、直接的結合または間接的結合を指すことができ、実体間の位置関係は、直接的位置関係または間接的位置関係であることができる。間接的位置関係の一例として、本説明において、層「B」の上に層「A」を形成することへの言及は、層「A」および層「B」の関連する特性および機能が中間層によって大幅に変更されない限り、1つまたは複数の中間層(例えば、層「C」および層「D」)が層「A」と層「B」の間にある状況を含んでいる。
【0008】
以下の定義および略称が、特許請求の範囲および本明細書の解釈に使用される。本明細書において使用されるとき、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「含有する」、「含有している」という用語、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的包含をカバーするよう意図されている。例えば、要素のリストを含んでいる組成、混合、プロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明示されていないか、またはそのような組成、混合、プロセス、方法、物品、または装置に固有の、他の要素を含むことができる。加えて、本明細書に含まれる任意の数値範囲は、特に明示的に述べられない限り、それらの数値範囲の境界を含む。
【0009】
以下では、説明の目的で、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」という用語、およびこれらの派生語は、作図において方向付けられたとおりに、説明された構造体および方法に関連するものとする。「覆っている」、「上に(atop)」、「上に(on top)」、「上に位置する(positioned on)」、または「上に位置する(positioned atop)」という用語は、第1の構造体などの第1の要素が、第2の構造体などの第2の要素の上に存在しており、界面構造体などの介在する要素が、第1の要素と第2の要素の間に存在し得るということを意味している。「直接的接触」という用語は、第1の構造体などの第1の要素および第2の構造体などの第2の要素が、これらの2つの要素の界面に中間の導電層、絶縁層、または半導体層がいずれも存在せずに、接続されているということを意味している。例えば「第2の要素に対して選択的な第1の要素」などの、「~に対して選択的」という用語は、第1の要素をエッチングすることができ、第2の要素がエッチング停止として機能できるということを意味しているということに注意するべきである。
【0010】
簡潔にするために、半導体デバイスおよび集積回路(IC:integrated circuit)の製造に関連する従来技術は、本明細書において詳細に説明されることもあれば、説明されないこともある。さらに、本明細書に記載されたさまざまな作業およびプロセス・ステップは、本明細書に詳細に記載されない追加のステップまたは機能を含んでいるさらに包括的な手順またはプロセスに組み込まれ得る。具体的には、半導体デバイスおよび半導体ベースのICの製造におけるさまざまなステップはよく知られているため、簡潔にするために、多くの従来のステップは、本明細書では、周知のプロセスの詳細を提供することなく、簡潔にのみ述べられるか、または全体的に省略される。
【0011】
一般に、ICにパッケージ化されるマイクロチップを形成するために使用されるさまざまなプロセスは、4つの一般的なカテゴリ、すなわち、成膜、除去/エッチング、半導体ドーピング、およびパターン形成/リソグラフィに分類される。
【0012】
成膜は、材料をウェハー上で成長させるか、材料でウェハーを覆うか、または他の方法で材料をウェハーに移す、任意のプロセスであることができる。使用可能な技術は、特に、物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、電気化学堆積(ECD:electrochemical deposition)、分子線エピタキシ(MBE:molecular beam epitaxy)、および最近の原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)を含む。別の成膜技術は、プラズマ内のエネルギーを使用してウェハー表面で反応を引き起こすプロセスである、プラズマ化学気相堆積(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)であり、この反応は、他の方法では、従来のCVDに関連するより高い温度を必要とする。PECVD成膜中のエネルギー的イオン衝撃は、膜の電気的特性および機械的特性を改善することもできる。
【0013】
除去/エッチングは、材料をウェハーから除去する任意のプロセスであることができる。例としては、エッチング・プロセス(ウェットまたはドライのいずれか)、化学機械平坦化(CMP:chemical-mechanical planarization)などが挙げられる。除去プロセスの1つの例は、イオン・ビーム・エッチング(IBE:ion beam etching)である。一般に、IBE(またはミリング)は、リモートの広いビーム・イオン/プラズマ源を利用して、物理的不活性気体または化学反応気体あるいはその両方の手段によって基板材料を除去するドライ・プラズマ・エッチング方法のことを指す。他のドライ・プラズマ・エッチング技術のように、IBEは、エッチング速度、異方性、選択性、均一性、アスペクト比、および基板の損傷の最小化などの利点を有する。ドライ除去プロセスの別の例は、反応性イオン・エッチング(RIE:reactive ion etching)である。一般に、RIEは、化学反応性プラズマを使用して、ウェハーに成膜された材料を除去する。RIEでは、電磁場によって低圧(真空)下でプラズマが生成される。RIEプラズマからの高エネルギー・イオンが、ウェハー表面を攻撃してウェハー表面と反応し、材料を除去する。
【0014】
半導体ドーピングは、一般に、拡散によって、またはイオン注入によって、あるいはその両方によって、例えば、トランジスタのソースおよびドレインをドープすることによる、電気特性の変更であることができる。これらのドーピング・プロセスの後に、炉アニーリングまたは急速熱アニーリング(RTA:rapid thermal annealing)が続く。アニーリングは、埋め込まれたドーパントを活性化するのに役立つ。導体(例えば、ポリシリコン、アルミニウム、銅など)および絶縁体(例えば、さまざまな形態の二酸化ケイ素、窒化ケイ素など)の両方の膜が、トランジスタおよびそれらの構成要素を接続するため、および分離するために使用される。半導体基板のさまざまな領域の選択的ドーピングは、電圧の印加によって基板の導電率が変更されることを可能にする。これらのさまざまな構成要素の構造体を作成することによって、数百万個のトランジスタが構築されて一緒に配線され、最新のマイクロ電子デバイスの複雑な回路を形成することができる。
【0015】
半導体リソグラフィは、基板へのその後のパターンの転写のための、半導体基板上への3次元レリーフ画像またはパターンの形成であることができる。半導体リソグラフィでは、パターンは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーによって形成される。回路のトランジスタおよび数百万個のトランジスタを接続する多くのワイヤを構成する複雑な構造を構築するために、リソグラフィおよびエッチング・パターン転写のステップが複数回繰り返される。ウェハー上に印刷される各パターンが、すでに形成されているパターンに揃えられ、導体、絶縁体、および選択的にドープされた領域が徐々に構築されて、最終的なデバイスを形成する。
【0016】
図1Aおよび図1Bは、例えば、集積回路(図示されていない)において使用するための、PCMセル100の断面図である。示されている実施形態では、PCMセル100は、下部ワイヤ102、絶縁体104、下部電極106、絶縁体108、壁110、突起ライナー112、PCM材料114、スタック116、間隙118、絶縁体120、上部電極122、および上部ワイヤ124を備える。
【0017】
示されている実施形態では、下部電極106の下部は、下部ワイヤ102の上部と直接接触し、電気的に接続されており、下部ワイヤ102は、集積回路の他の構成要素(図示されていない)から電気信号を受信することができる。突起ライナー112の下部は、下部電極106の上部と直接接触し、電気的に接続されている。PCM材料114の下部および側面は、突起ライナー112の内面と直接接触し、電気的および熱的に接続されている。上部電極122の下部は、PCM材料114の上部と直接接触し、電気的に接続されている。上部ワイヤ124の下部は、上部電極122の上部と直接接触し、電気的に接続されており、上部ワイヤ124は、PCMセル100から集積回路の他の構成要素(図示されていない)に電気信号を配信することができる。
【0018】
示されている実施形態では、壁110は、突起ライナー112の外側と直接接触し、横方向に取り囲んでいる。そのため、壁110は、少なくとも1つの方向での、すべての平行な側面(例えば、図1Aに示されているように、垂直方向に伸びる側面)で、突起ライナー112を取り囲む。スタック116は、概して、壁110の外側を横方向に取り囲み、それと選択的に直接接触している。より詳細には、スタック116は、交互に重なったA層128およびB層130を含む2層構成を有する電気絶縁体である。A層128の内側面129は、壁110と直接接触し、それに対応する軸方向断面を横方向に取り囲んでいるが、B層130の内側面131は、壁110から離れて横方向に間隔を空けられている。これによって、壁110、突起ライナー112、およびPCM材料114の一部をそれぞれ取り囲む、一連の軸方向に間隔を空けられたトロイダル間隙118を形成し、各間隙118は、2つのA層128、B層、および壁110によって囲まれる。間隙118はスタック116内の空洞であるため、間隙118で壁110の外側と固体材料が接触することはない。絶縁体108、下部電極106、絶縁体120、および上部電極122とそれぞれ直接接触する2つのA層128によって、スタック116の下部および上部が形成される。上部電極122も、絶縁体120と直接接触し、外側で横方向にかつ上面の一部で軸方向に絶縁体120に囲まれており、上部ワイヤ124の外側が、絶縁体120と直接接触し、絶縁体120に横方向に囲まれている。
【0019】
図1Aには9つの層(すなわち、5つのA層128および4つのB層130)が示されているが、より少ない(例えば、3つの)層またはより多い(例えば、21個の)層が存在してよい。加えて、A層128およびB層130は、例えば、2ナノメートル(nm)~20nmの厚さであてよい。さらに、A層128の厚さは、B層130の厚さと同じであってもよいし、または異なってもよい。
【0020】
示されている実施形態では、A層128およびB層130は、例えば、NBLoK、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ケイ素(SiO)、またはオキシ炭化ケイ素(SiO)などの、誘電体(電気絶縁)材料から構成される。大幅にA層128を除去することなくB層130の一部が選択的に除去され得る(それによって、間隙118を形成する)ように、A層128およびB層130は、異なる材料から構成される。例えば、A層128がSiNから構成されても良くB層130がAINから構成されてもよい。A層128およびB層130の材料の違いは、PCMセル100の製造中に利用され得る。例えば、何らかの反応物質またはプロセスあるいはその両方によるAINの除去およびSiNの除去に関する、例えば、5:1、10:1、またはさらに大きいエッチング速度の比率(例えば、AIN:SiNまたはSiN:AIN)を伴う、有意な選択性が存在する。より詳細には、SiNは、RIEプロセスを使用して除去されやすく、一方、AINは、RIEプロセスに耐性があり、このため、AINを大幅に除去することなくSiNが除去され得る。他方では、AINは、特定のウェット・エッチング・プロセスおよび科学物質を使用して除去されやすく、一方、SiNは、そのようなプロセスに耐性があるため、SiNを大幅に除去することなくAINが除去され得る。別の例では、A層128がSiOから構成されてもよく、B層130がAlから構成されてもよい。Alは、塩素ガス(Cl)、アルゴン(Ar)、およびアルゴン-ホウ素-塩素(Ar/B/Cl)混合物に、より高い選択性を有する。さらに、SiOおよびSiNのエッチング速度は、四フッ化炭素(CF4)および酸素(O)に関連しており、一方、Alのエッチング速度は、塩化アルミニウム(AlCl)または塩素-三塩化ホウ素(Cl/BCl)混合物に関連している。したがって、フッ素(F)、CL、六フッ化硫黄(SF)、フッ化炭素(C)、Ar、水素(H)などの気体は、AlとSiNまたはSiOとの間のRIEの選択性をもたらすことができる。
【0021】
示されている実施形態では、絶縁体104、108、120、およびスタック116は、PCMセル100の他の構成要素を構造的に支持し、選択的に、電気的に絶縁し、必要に応じてそれらの間の空間を満たす。したがって、下部ワイヤ102の外側が、絶縁体104と直接接触し、絶縁体104に横方向に囲まれ、下部電極106の外側が、絶縁体108と直接接触し、絶縁体108に横方向に囲まれる。さらに、スタック116の上面、上部電極122の外側および上面の一部、ならびに上部ワイヤ124の外側が、絶縁体120と直接接触する。
【0022】
示されている実施形態では、さまざまな構成要素またはPCMセル100全体あるいはその両方の(図1のページ内への)断面は、円形であることができるが、他の実施形態では、長方形、正方形、楕円形、または任意の他の適切な形状であることができる。加えて、PCM材料114の幅は、下部電極106および上部電極122の幅より小さく、一方、PCM材料114の軸方向の長さは、その幅より大幅に長い。それによって、PCMセル100は、閉じ込めセル構成(confined cell configuration)を有すると言うことができ、この構成では、電気信号(すなわち、電流)が、突起ライナー112およびPCM材料114を通って下部電極106から上部電極122に流れることができる。一部の実施形態では、PCM材料114は、幅が20nm~50nm、厚さ(すなわち、高さ)が30nm~100nmであってもよい。
【0023】
示されている実施形態では、下部電極106および上部電極122は、金属または金属化合物、例えば、窒化チタン(TiN)またはタングステン(W)などの、非常に導電性の高い材料から構成される。壁110は、誘電体(例えば、SiN)、または例えば窒化タンタル(TaN)などの、より高抵抗の金属から構成される高電気抵抗の構成要素を含む。壁110は、例えば、5nm~50nmの範囲内の厚さを有することができる。加えて、突起ライナー112は、例えばTaNなどの、より高抵抗の金属から構成される。突起ライナー112は、例えば、2nm~10nmの範囲内の厚さを有することができる。
【0024】
示されている実施形態では、絶縁体104、108、120は、例えば、SiN、SiO、窒化炭化ケイ素(SiNC)、またはオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)などの、誘電体(電気絶縁)材料から構成される。一部の実施形態では、絶縁体104、108、120のすべては同じ材料であり、他の実施形態では、絶縁体104、108、120の一部またはすべてに異なる材料が使用される。一部の実施形態では、絶縁体108(および下部電極106)は、10nm~100nmの範囲内の厚さを有する。
【0025】
示されている実施形態では、PCM材料114は、基本的に、ゲルマニウム-アンチモン-テルル(GST)材料、ガリウム-アンチモン-テルル(GaST)材料、または銀-イリジウム-アンチモン-テルル化物(AIST)材料などの相変化材料から構成されるが、必要に応じて他の材料が使用され得る。他のPCM材料の例としては、ゲルマニウム-テルル複合材料(GeTe)、シリコン-アンチモン-テルル(Si-Sb-Te)合金、ガリウム-アンチモン-テルル(Ga-Sb-Te)合金、ゲルマニウム-ビスマス-テルル(Ge-Bi-Te)合金、インジウム-テルル(In-Se)合金、ヒ素-アンチモン-テルル(As-Sb-Te)合金、銀-インジウム-アンチモン-テルル(Ag-In-Sb-Te)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、Ge-Te合金、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。PCM材料114は、ドープされないか、またはドープされてよい(例えば、酸素(O)、窒素(N)、シリコン(Si)、またはチタン(Ti)のうちの1つまたは複数を使用してドープされてよい)。「基本的に、~から構成される(composed essentially)」および「基本的に、~から成る(consist essentially)」という用語は、さまざまな層の材料に関して本明細書において使用されるとき、他の材料が存在する場合に、他の材料が列挙された材料の基本特性を実質的に変更しないということを示す。例えば、基本的にGST材料から成るPCM材料114は、GST材料の基本特性を実質的に変更する他の材料を含まない。
【0026】
示されている実施形態では、PCMセル100は、下部電極106から上部電極122に電流パルスを通してPCMセル100をプログラムすることによって、メモリ・セルとして操作され得る。この操作は、PCMセル100の値を読み取るか、または書き込むために、さまざまな電圧で、またはさまざまな持続時間の間、あるいはその両方で実行され得る。例えば、書き込むために、短い持続時間の間、高電圧(例えば、1ボルト(V)~4V)が使用されることが可能であり、これが、PCM材料114が融点を越えて(抵抗加熱によって)それ自身を加熱することを引き起こすことができる。それによって、PCM材料114は、ヒーターおよびメモリの機能を果たす。電流の流れが停止した後に、PCM材料114は急速に冷えることができ、これによって、「再設定(resetting)」と呼ばれるプロセスでアモルファス・ゾーン126を形成する。アモルファス・ゾーン126は、アモルファス構成を有するPCM材料114のドーム形の領域であるが、PCM材料114の残りの部分は、依然として多結晶構成である。概して、このアモルファス構成は、明確な構造を有さない。しかし、局所的なまとまりのない結晶性の核(すなわち、相変化材料114の小さい結晶化した領域)が、アモルファス・ゾーン126に存在する可能性がある。アモルファス・ゾーン126の生成は、PCMセル100全体の電気抵抗を、(図1AのPCMセル100のような)多結晶だけの構成と比較して増大させ得る。PCMセル100のこれらの抵抗値は、例えば、低電圧(例えば、0.2V)で電流パルスを下部電極106から上部電極122に送信することによって、(アモルファス・ゾーン126の状態を含む)PCM材料114の状態もPCMセル100の抵抗値も変更せずに、読み取られ得る。
【0027】
加えて、PCM材料114は、PCMセル100を「設定する(setting)」ことによって、再び書き込まれ、多結晶だけの構成に戻され得る。PCM材料114を設定するための1つの方法は、短期間(例えば、10ナノ秒(ns))の間、高電圧(例えば、1V~4V)の電気パルスを使用し、これによって、PCM材料114が結晶点を越えて熱くなるが、融点に達しないようにし得る。結晶化温度が融解温度より低いため、電流の流れが停止した後に、PCM材料114はアニールして結晶を形成することができる。PCM材料114を設定するための別の方法は、PCM材料114をその融点を越えて加熱するのに十分なほど強い、(数ナノ秒オーダーの相対的に短い立下りエッジ(trailing edge)を含む方形パルスとは対照的に)相対的に長い(例えば、1マイクロ秒の)立下りエッジを含む電気パルスを使用し、その後、PCM材料114がゆっくりと冷却され、結晶が形成できるようにする。これらのプロセスのうちのどちらかが、(図1BのPCMセル100のような)アモルファス・ゾーン126を含むPCMセル100と比較して、多結晶だけのPCMセル100全体の電気抵抗が減少することを引き起こす。その後、低電圧(例えば、0.2V)で電流を使用して、PCM材料114の状態もPCMセル100の抵抗値も変更せずに、この新しい抵抗値が読み取られ得る。
【0028】
一部の実施形態では、PCM材料114の融解温度は約600℃である。一部の実施形態では、PCM材料114の結晶化温度は約180℃である。加えて、PCMセル100の設定および再設定のプロセスは、繰り返し発生することができ、一部の実施形態では、(例えば、異なるサイズのアモルファス・ゾーン126またはアモルファス・ゾーン126内の異なる量の結晶化核あるいはその両方を含むことに起因して)異なる抵抗を有する異なるアモルファス・ゾーン126がPCM材料114内に生成され得る。これによって、PCMセル100が、再設定パラメータを変えることによって生成され得る、さまざまな異なる抵抗を有することを可能にする。それによって、PCMセル100が情報デジットを表すと見なされる場合、これらのデジットは、(従来のビットとは対照的に)非二進数である場合がある。しかし、一部の実施形態では、PCMセル100は、均一なアモルファス・ゾーン126をPCM材料114に含むか、または含まないことによって、ビットとして使用され得る。そのような実施形態では、PCMセル100は、高抵抗(低電圧出力または「0」としても知られている)または低抵抗(高電圧出力または「1」としても知られている)を有することができる。
【0029】
PCMセル100の構成要素および構成は、間隙118がPCM材料114から離れて熱伝導を減らすことを可能にする。これは、間隙118が、B層130が有するよりも低い熱伝導率を有するためである。これによって、PCM材料114内に生成された熱をより多くPCM材料114内に留めることを可能にし、これにより、PCMセル100の速度および効率を向上させ、PCMセル100を調整/プログラムするために必要とされるエネルギー量を減らす。さらに、PCMセル100の性能の劣化も軽減され、下部ワイヤ102および上部ワイヤ124は、間隙118がない場合よりも少なく加熱される。加えて、突起ライナー112が、下部電極106をPCM材料114から熱的に絶縁し、PCMセル100の効率をさらに向上させる。
【0030】
図2は、PCMセル100を製造する方法200のフローチャートである。図3A図3Iは、PCMセル100を製造する方法200の一連の図である。ここで、図2および図3A図3Iが互いに併用して説明され、方法200の各動作が、図3A図3Iのうちの1つによって例示される。加えて、この説明の間に、図1Aまたは1Bあるいはその両方に示されたPCMセル100の特徴への参照が行われることがある。
【0031】
示されている実施形態では、方法200は、動作202で開始し、2層誘電体ブロック332が、下部電極106および絶縁体108の上に形成される。動作204で、マスク334が、ブロック332の上に形成される。マスク334は、有機平坦化層(OPL:organic planarization layer)336、反射防止膜付きシリコン(SiARC:silicon with anti-reflective coating)338、およびフォトレジスト層340から構成される。フォトレジスト層340は、動作206の間のビア344の形成のための間隙342を含む。より詳細には、ビア344は、下部電極106の幅より小さい、例えば20nmの幅を有する。ブロック332の各層を同じようにエッチングすることによってビア344が形成され、その後、マスク334が除去される。
【0032】
動作208で、例えば、ウェット・プロセスまたはRIEプロセスを使用して、ブロック332が選択的にエッチングされて、ビア344内の2層誘電体材料の一方の種類の一部を、2層誘電体材料の他方の種類のものをそのまま残しながら、除去する。それによって、動作208で、(A層128およびB層130を含んでいる)スタック116のように、細孔346が形成され、B層130の内側面131が、A層128の内側面129からオフセットされる。動作210で、CVDプロセスまたはPVDプロセスを使用して、TaN層348がスタック116の上に形成される。それによって、TaN層348は、A層128の内側エッジに従い、B層130との接触を回避し、細孔346を空洞350および間隙118内に分離する。間隙118の形成は、その間に真空が存在する、CVDプロセスまたはPVDプロセスの条件下で発生する。この真空は、例えば10ミリトル(mTorr)以下の圧力であってもよく、これは、一部の流体(例えば、空気)を間隙118内に密封されたままにする。一部の実施形態では、CVDまたはPVDの代わりに、動作210でALDプロセスが使用される。しかし、ALDが使用される場合、結果として得られたTaN層348が、細孔346内にさらに侵入してB層130に向かい、間隙118をより小さくすることがある。空気が誘電体材料より低い熱伝導率を有するため、これが、スタック116の断熱性を低下させる可能性がある。
【0033】
動作212で、例えば、RIEプロセスを使用してTaN層348がエッチングされて、その水平部を除去し、それによって、下部電極106およびスタック116を露出することに加えて、壁110を形成する。動作214で、突起層352およびPCM層354が壁110の内側に成膜される。より詳細には、突起層352が、スタック116、壁110、および下部電極106の上に形成され、PCM層354が、突起層352の上に形成される。動作216で、化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)が実行されて、突起層352およびPCM層354から余分な材料を除去して、スタック116と隣接する突起ライナー112およびPCM材料114をそれぞれ形成する。動作218では、絶縁体120、上部電極122、および上部ワイヤ124が、それぞれ、スタック116、壁110、突起ライナー112、およびPCM材料114の上に形成される。
【0034】
PCMセル100および方法200の構成要素、構成、および動作は、PCM材料114の周囲に間隙118が形成されることを可能にする。これは、B層130が少なくとも1つの材料除去プロセスの影響を受けやすく、A層128がこの材料除去プロセスに耐性があるため、発生することができる。
【0035】
図4は、PCMセル500を製造する方法400のフローチャートである。図5A図5Gは、PCMセル500を製造する方法400の一連の断面図である。ここで、図4および図5A図5Gが互いに併用して説明され、方法400の各動作が、図5A~5Gのうちの1つによって例示される。この説明の間に、(図1に示された)PCMセル100および(図5Gに示された)PCMセル500の特徴への参照が行われることがある。PCMセル100と同じPCMセル500における特徴は、同じ参照番号を有する可能性があり、PCMセル100の特徴に類似するPCMセル500における特徴は、400大きい参照番号を有する可能性がある。
【0036】
一部の実施形態では、方法400は、(図3Eに示された)方法200の動作210で開始し、他の実施形態では、方法400は、(図3Fに示された)方法200の動作212の後に開始する。図5A図5Iは、後者の実施形態を示す。動作414で、TiN層556および高電気抵抗層558が壁110の内側に成膜される。より詳細には、TiN層556が、スタック116、壁110、および下部電極106の上に形成され、高電気抵抗層558が、TiN層556の上に形成され、例えば、SiNまたは高抵抗のTaNから構成されてもよい。動作416で、化学機械研磨(CMP)が実行されて、TiN層556および高電気抵抗層558から余分な材料を除去して、スタック116と隣接するヒーター560を形成する。動作418で、PCM層562、TiN層564、およびSiN層566が、スタック116およびヒーター560の上に形成される。一部の実施形態では、PCM層562の厚さは約80nmであり、TiN層564の厚さは約75nmであり、SiN層566の厚さは約220nmである。一部の実施形態では、動作418の前に、突起ライナー568(方法400のその後のステップに含まれないため、透視で示されている)が、スタック116およびヒーター560の上に形成される。
【0037】
動作420で、PCM材料514、上部電極522、およびハード・マスク570を形成するために、マスキングおよびエッチングが実行され、これらはスタック116を露出する。示されている実施形態では、PCM材料514および上部電極522の横方向の幅は同じであり、一方、ヒーター560の幅は、比較的に大幅に(例えば、1/3~1/7または約1/5に)減らされる。それによって、PCMセル500は、マッシュルーム形の構成を有すると言うことができ、ここでは、電気信号(すなわち、電流)が、ヒーター560およびPCM材料114を通って下部電極104から上部電極522に流れ得る。PCMセル100とは対照的に、PCMセル500は、ヒーター560および分離したPCM材料114で構成され2つの部分から構成されるヒーター/PCM部分を含む。しかし、PCM材料514自体を加熱するためにPCM材料514に依存する代わりに、ヒーター560を使用してPCM材料514をプログラムするが、PCMセル100と同じ方法でメモリ機能が操作され得る。
【0038】
動作422で、封止層(encapsulation layer)572が、スタック116、PCM材料514、上部電極522、およびハード・マスク570の上に形成される。封止層572は、例えば、SiNまたは炭窒化ケイ素(SiCN)から構成され得る。動作424で、封止材(encapsulator)574およびキャップ576を形成するために、エッチングが実行され、絶縁体108を露出する。動作426で、絶縁体520および上部ワイヤ524が、絶縁体108、スタック116、上部電極522、封止材574、およびキャップ576の上にそれぞれ形成され、PCMセル500を完成させる。
【0039】
PCMセル500および方法400の構成要素、構成、および動作は、ヒーター560の周囲に間隙118が形成されることを可能にする。これは、B層130が少なくとも1つの材料除去プロセスの影響を受けやすく、A層128がこの材料除去プロセスに耐性があるため、発生することができる。
【0040】
本発明のさまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されておらず、開示された実施形態に制限されない。説明された実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が、当業者にとって明らかになるであろう。本明細書で使用された用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、あるいは他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解できるようにするために選択されている。
【0041】
本明細書に記載された本発明の好ましい実施形態では、第1の電極と、第1の電極に電気的に接続されたヒーター/PCM部分であって、PCM材料を含んでいる、ヒーター/PCM部分と、PCM材料に電気的に接続された第2の電極と、突起ライナーを取り囲む電気絶縁体スタックとを備える相変化メモリ(PCM)セルが提供されており、このスタックが、複数の間隙を定め、間隙の各々が、トロイダル形状を有し、1つまたは複数の他の間隙から互いに離れて軸方向に間隔を空けられ、ヒーター/PCM部分の一部を取り囲む。このスタックは、複数の第1の層、および複数の第1の層と互い違いになっている複数の第2の層を含むのが好ましく、各間隙が、複数の第1の層のうちの2つおよび複数の第2の層のうちの1つによって囲まれる。PCMセルは、第1の電極、第2の電極、およびPCM材料と直接接触している突起ライナーをさらに備えてよい。PCMセルは、突起ライナーおよびスタックと直接接触している壁をさらに備えてよい。各間隙は、壁によってさらに囲まれてよい。各間隙は、壁の一部を取り囲んでよい。ヒーター/PCM部分は、PCM材料から分離している、高電気抵抗材料から構成されるヒーターをさらに備えてよい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
【国際調査報告】