(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】歯科病理学の治療のための解剖学的構造によるコンピュータ支援設計および歯科修復物の製造
(51)【国際特許分類】
A61C 13/00 20060101AFI20241101BHJP
A61C 5/77 20170101ALI20241101BHJP
【FI】
A61C13/00 Z
A61C5/77
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529589
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 IB2021061083
(87)【国際公開番号】W WO2023094866
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522322538
【氏名又は名称】インスティテュート ストローマン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クナート, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ, セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】クレッソン, シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】バイ, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】カスパー, フルール
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィチカ, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シャープ, マーロン
(72)【発明者】
【氏名】ギンドン, マチュー
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159RR15
4C159SS01
4C159TT10
(57)【要約】
デジタル歯科修復モデルを作成するための方法。本方法は、患者の口腔構造の3次元仮想モデルを受け取るステップと、患者の口腔状況を分類する分類データを受け取るステップと、デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3次元(3D)幾何学的形状を決定するステップと、を含む。本方法は、決定された3D幾何学的形状に基づいて、決定された3D幾何学的形状と互換性があるようにそれぞれの第1の修復設計変数を制限することによって可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップと、フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取るステップと、をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル歯科修復物を作製するための方法であって、
患者の口腔構造の3次元仮想モデルを受け取るステップと、
前記患者の口腔状況を分類する分類データを受け取るステップと、
前記デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3次元(3D)幾何学的形状を決定するステップと、
前記決定された3D幾何学的形状に基づいて、それぞれの第1の修復設計変数を、前記決定された3D幾何学的形状と適合性があるように制限することによって、可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップと、
前記フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取るステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記デジタル歯科修復物の前記表面解剖学的構造を画定する前記3D幾何学的形状が、前記修復物の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する3D幾何学的形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタル歯科修復物の前記表面解剖学的構造を画定する前記3D幾何学的形状を決定するステップが、前記修復物の前記1つまたは複数の歯冠部分の前記外面を画定するデータ構造を作成するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データ構造がポリゴンメッシュである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリゴンメッシュが三角形メッシュである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分類データが、前記歯科修復物によって置き換えられる前記患者の1つまたは複数の歯の各々のそれぞれの状態を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記それぞれの状態が歯の状態のセットから選択され、前記歯の状態のセットが、前記それぞれの歯が調製歯であること、インプラントが前記それぞれの歯を置き換えること、前記それぞれの歯が引き抜かれており、インプラントによって置き換えられていないこと、のうちの1つまたは複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記デジタル歯科修復物の前記表面解剖学的構造を画定する前記3D幾何学的形状を決定するステップの後に、前記歯科修復物によって置き換えられる前記患者の前記1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、それぞれの修復タイプを決定するステップ
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記歯科修復物によって置き換えられる前記患者の前記1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、前記それぞれの修復タイプを前記決定するステップが、前記歯科修復物によって置き換えられる前記患者の前記1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、前記それぞれの修復タイプを示すユーザ入力を受け取るステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記それぞれの修復タイプが、修復タイプのセットから選択され、前記修復タイプのセットが、インプラント支持歯冠、調製歯支持歯冠、架工歯、インプラント支持部分歯冠、調製歯支持部分歯冠、インレイ、オンレイ、オーバーレイ、ベニア、のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記可能な第1の修復設計変数のセットが、前記歯科修復物によって置き換えられる前記患者の前記1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、マージンライン、エマージェンスプロファイル、セメントギャップ、歯冠材料の最小厚さ、のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記決定された3D幾何学的形状と互換性のないそれぞれの第1の修復設計変数を制限するステップが、有効マージンラインパラメータ範囲、有効エマージェンスプロファイルパラメータ範囲、有効セメントギャップパラメータ範囲、有効歯冠材料厚さ範囲、のうちの1つまたは複数を指定するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取るステップが、有効マージンラインパラメータ、有効エマージェンスプロファイルパラメータ、有効セメントギャップパラメータ、有効歯冠材料厚さ、のうちの1つまたは複数を受け取るステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記可能な第1の修復設計変数のセットが、インプラント装着アバットメント、インプラント装着バー、バー装着修復物、のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記決定された3D幾何学的形状と互換性のないそれぞれの第1の修復設計変数を制限するステップが、インプラント装着アバットメントの有効パラメータ、インプラント装着バーの有効パラメータ、バー装着修復物の有効パラメータ、のうちの1つまたは複数を指定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記決定された3D幾何学的形状と前記選択された第1の修復設計変数とに基づいて、前記決定された3D幾何学的形状と前記選択された第1の修復設計変数との組合せに適合するように第2の修復設計変数を制限することによって、可能な第2の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記可能な第2の修復設計変数のセットが、前記デジタル歯科修復物に対応する歯科修復物の製造に使用するための可能な材料および材料色のセットを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記決定された3D幾何学的形状と前記選択された第1の修復設計変数との組合せに適合するように第2の修復設計変数を前記制限するステップが、前記歯科修復物の製造に提供される材料および対応する材料色のセットから、前記決定された3D幾何学的形状および前記選択された第1の修復設計変数に適合しない材料および対応する材料色を除去するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
デジタル歯科修復物を作製するためのシステムであって、
処理回路と、
ユーザインターフェースを提供し、前記デジタル歯科修復物の視覚的レンダリングを表示するように構成されたディスプレイと、
前記処理回路への通信のためのユーザ入力を受け取るように構成されたユーザ入力デバイスと、
を備え、
前記処理回路が、
患者の口腔構造の3次元(3D)仮想モデルを受け取り、
前記患者の口腔状況を分類する分類データを受け取り、
前記デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状を決定し、
前記決定された3D幾何学的形状に基づいて、それぞれの第1の修復設計変数を、前記決定された3D幾何学的形状と適合性があるように制限することによって、可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングし、
前記ユーザ入力デバイスを介して提供される、前記第1の修復物特徴のセットから選択された第1の修復物特徴を識別する入力を受け取る、
前記ユーザ入力デバイスを介して提供される、第1の修復物特徴のセットから選択された前記第1の修復物特徴を識別する入力を受け取る、
ように構成される、システム。
【請求項20】
処理回路によって実行されると、前記処理回路にデジタル歯科修復物を作製するための方法を実行させる命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
患者の口腔構造の3次元(3D)仮想モデルを受け取るステップと、
前記患者の口腔状況を分類する分類データを受け取るステップと、
前記デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状を決定するステップと、
前記決定された3D幾何学的形状に基づいて、それぞれの第1の修復設計変数を、前記決定された3D幾何学的形状と適合性があるように制限することによって、可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップと、
前記フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取るステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
歯科修復物を製造するための方法であって、
請求項1に記載の方法と、
前記デジタル歯科修復物に基づいて前記歯科修復物を製造するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、歯科補綴学および補綴歯科に関し、特に、歯科修復物の設計および製造のための方法、システム、およびコンピュータ可読媒体に関する。歯科修復物は、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して設計し、歯科病態の治療のために患者の口腔に挿入可能であるように製造することができる。
【背景技術】
【0002】
[0002]歯科修復設計のための現在利用可能なコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアは、初期入力のセットとして、特定の補綴構成要素、特定の補綴構成要素の製造に使用される材料、および補綴構成要素の製造に使用されるプロセスの選択を必要とする。結果として、決定的な修復特性は、修復の機能的および審美的構成要素の設計中に開発された情報の利益なしに、事例作成のまさに最初に定義されなければならない。
【発明の概要】
【0003】
[0003]一実施形態によれば、本開示は、デジタル歯科修復モデルを作成するための方法を提供する。本方法は、患者の口腔構造の3次元仮想モデルを受け取るステップと、患者の口腔状況を分類する分類データを受け取るステップと、デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3次元(3D)幾何学的形状を決定するステップと、を含む。本方法は、決定された3D幾何学的形状に基づいて、決定された3D幾何学的形状と互換性があるようにそれぞれの第1の修復設計変数を制限することによって可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップと、フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取るステップと、をさらに含む。
【0004】
[0004]本開示の主題は、例示的な図面に基づいて以下でさらに詳細に説明される。本明細書に記載および/または例示されるすべての特徴は、単独でまたは異なる組合せで使用することができる。様々な実施形態の特徴および利点は、以下を示す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】患者の歯列および口腔組織の3Dデジタルモデルを構築するためのスキャンデータを取得するように設計された口腔内スキャナを示す図である。
【
図2】
図1の口腔内スキャナを含む口腔内スキャナハードウェアプラットフォームを示す図である。
【
図3】
図1の口腔内スキャナを含む代替的な口腔内スキャナハードウェアプラットフォームを示す図である。
【
図4】歯担持完全解剖学的構造歯冠のための事例作成環境(CCE)内で歯科補綴モデルを構築する例示的な方法を示す図である。
【
図5】歯担持低減解剖学的構造ブリッジのためのCCE内の歯科補綴モデルを構築する例示的な方法を示す図である。
【
図6】傾斜したねじチャネルを有するインプラント担持ブリッジおよび完全解剖学的構造ブリッジのためのCCE内に歯科補綴モデルを構築する例示的な方法を示す図である。
【
図7】傾斜したねじチャネルを有するインプラント担持ブリッジのためのCCE内に歯科補綴モデルを構築する例示的な方法を示す図である。
【
図8】特徴選択の複数のセットが同時にユーザに利用可能である、独立した操作可能なデータ構造として解剖学的構造を提示するCCEのユーザインターフェース(UI)の例示的な実施形態を示す図である。
【
図9】治療計画の作成のための特徴選択を提示するCCEのUIの例示的な実施形態を示す図である。
【
図10】本明細書に記載の動作を実行するように構成され得る、例示的な処理システムのブロック図である。
【
図11】本明細書に記載の動作を実行するように構成されたシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0016]歯担持歯科修復物、インプラント担持歯科修復物、および無歯顎歯科修復物のための特定の構成要素、材料、および製造プロセスの選択は、そのような修復物の機能的および審美的特徴の設計から流れる特定の口腔状態を完全に分析または考慮することなく、いくつかの問題につながる可能性がある。そのような修復物の機能的および審美的特徴は、近位および咬合の間隔を決定し、歯肉の状態に影響を及ぼし、口腔状況の他の態様に影響を及ぼすので、修復物の設計前の特定の構成要素、材料、および製造プロセスの選択は、機能的および審美的特徴の選択ミス、すなわち修復タイプおよび補綴構成要素、材料、および製造プロセスにつながり得る。
【0007】
[0017]そのような誤った選択の結果として、設計プロセスの特定の部分は、患者の既存の口腔状況に適合し、かつ患者の歯科病状に適切に対処する実行可能な歯科修復物を生成するために、場合によっては複数回繰り返される必要があり得る。場合によっては、そのような誤った選択は、最初から設計プロセスの再開を強制する可能性がある。結果として、設計プロセスは非常に時間がかかり、そのような修復物を生成するコストを増加させる可能性がある。さらに、そのような修復物の機能的および審美的特徴を決定する前に特定の構成要素、材料、および製造プロセスを選択することにより、修復物の機能的および審美的特徴と適合し、例えば歯科修復物の構成要素部分の統合を強化して信頼性および耐用年数を改善することによって、全体的に優れた修復を提供する特定の選択肢の選択を排除することができる。さらに、修復物の機能的および審美的特徴を設計する前に修復設計パラメータを選択することにより、機能的および審美的特徴が以前に選択された設計パラメータに適合するように選択される。しかしながら、審美性および咀嚼機能性は歯科補綴修復の最も重要な設計上の考慮事項であるため、それらは任意の設計プロセスにおいて優先されるべきである。最初に修復の機能的および審美的特徴を設計し、続いて修復の他の特徴/特性を選択することは、優れた修復の設計を容易にし、患者の転帰の改善につながる。
【0008】
[0018]本開示の態様は、歯科修復物の設計および製造を提供する方法、システム、およびコンピュータ可読媒体を提供する。本開示の態様によれば、歯科修復物は、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して設計され、その後に、歯科病状の治療のために患者の口腔に挿入可能であるように製造され得る。本開示の態様は、設計および製造ワークフロー中に患者事例およびその特性を徐々に定義することによって、(修復の機能的および審美的特徴の定義前の修復特徴の選択に関連する)前述の問題に対処する。特に、患者事例およびその特性は、例えば、修復物の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する3次元(3D)幾何学的形状に基づいて、修復物の審美的および機能的特徴の定義に続いて定義される。例えば3次元三角形メッシュの形態でデータ構造として提供することができるそのような3次元幾何学的形状の設計に従って、本開示の方法、システム、およびコンピュータ可読媒体は、患者事例の追加の特徴を決定するために3D幾何学的形状を利用する。
【0009】
[0019]患者事例およびその特性を徐々に定義することにより、設計ステップの重複および関連する無駄な時間および労力につながる高価な誤選択なしに設計プロセスを最初から最後まで進めることができることが保証される。このようにして、本開示の態様は、補綴の設計および製造プロセスにおける無駄な時間および労力を回避することができる。さらに、患者の事例およびその特性を徐々に定義することにより、補綴構成要素のパラメータ、材料、および製造プロセスの選択に関する決定を、修復の機能的および審美的特徴に関する情報の恩恵を受けて行うことができることが保証される。補綴の機能的および審美的特徴に関する情報、例えば修復物の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する幾何学的形状を使用して、様々な補綴設計選択を通知することにより、設計プロセスは、そのような補綴設計選択と機能的および審美的特徴との適合性を改善することによって、より良好な患者転帰を促進することができる。このようにして、本開示の態様は、それらの構成部品間の適合性の向上によって信頼性の向上を示す補綴修復物の設計を容易にする。さらに、補綴設計の選択(例えば、内部、構造構成要素、材料、および製造プロセス)が、修復の機能的および審美的特徴に基づくことを保証することによって、修復の機能的および審美的特徴を初期の比較的情報のない設計選択に基づくのとは対照的に、本開示の態様は、改善された審美性、咀嚼機能性、および患者の口腔状況との適合性を示す補綴修復の設計を容易にする。
【0010】
[0020]歯科補綴修復の構築は、修復の特性を指定し、および/または構造的構成要素を表す多くの異なる設計変数(DV)の指定を必要とする。さらに、1つのDVの選択は、多くの場合、他のDVの選択に依存する。本発明の態様は、事例作成を分割し、事例作成プロセス内で必須の修復特性の選択を再配置および事前フィルタリングすることによって、補綴修復の設計および作成の複雑さおよびエラー率を低減する。結果として、歯科補綴専門家、例えば、歯科補綴専門家および歯科補綴実験技師は、最終的な修復タイプ、製造プロセス、および材料を決定する前に口腔状態をより良好に分析することができる。これにより、例えば、互いに組み合わせて患者の口腔状況と適合しないDVの選択による修復タイプ、材料、または製造プロセスの変更が必要であることに起因する、歯科補綴専門家の側の無駄な時間および労力が回避される。
【0011】
[0021]設計プロセス、および歯科補綴専門家の経験を改善するために、さらには、すべての必須および関連する選択を、頂部から底部へのフィルタアプローチによって駆動することができる。そのような手法を使用する際には、異なる選択を通じて専門家を徐々に案内し、例えば修復物の1つまたは複数の歯冠部分の外面の3D幾何学的形状を表すデータ構造と互換性のある選択のみを専門家に提供するユーザインターフェースを提供することができる。このアプローチでは、本開示の態様は、ユーザが選択するための補綴DVの有効な組合せのみを提供することができ、無効な組合せが作成されるたびに、事例作成プロセスまたはそのサブセットを繰り返すことに関連する無駄な時間およびリソースを排除する。したがって、本開示の態様は、歯科補綴専門家が歯科補綴DVの不適合または無効な組合せを選択することを防止し、UIの複雑さを低減するのに役立つ。したがって、本開示の態様は、ユーザ体験を改善し、ユーザエラーの数を低減し、所与の時間枠内で歯科補綴専門家によって生成され得る歯科補綴修復の数を増加させる。
【0012】
[0022]本開示の態様はさらに、歯科修復物の解剖学的構造、例えば、修復物の咀嚼機能を主に決定し、その審美性に大きな影響を及ぼす歯科修復物の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する3D幾何学的形状が、設計ワークフローの早期に画定されることを保証する。設計プロセスの初期段階で歯科修復物の解剖学的構造を画定することにより、歯科修復物の最終的なまたは非常に最終的に近い解剖学的構造の利益を伴ってDVのその後の選択を行うことができることが保証される。設計プロセスの初期段階で解剖学的構造を画定することは、修復物が患者の口腔に挿入されたときに生じる口腔環境をユーザが分析するのをさらに助ける。さらに、初期段階で解剖学的構造を定義することにより、修復物の内部特徴、例えばコアおよびシェル構成要素、ならびにコアおよびシェル構成要素を構成する様々な材料の厚さに関連するDVを、定義された解剖学的構造との適合性に基づいて選択することが可能になる。これは、歯冠の内側特徴が再計算されるときに補綴の解剖学的構造を部分的に定義することを含む最先端のCADソリューションを超える大きな利点を表す。
【0013】
[0023]本開示の実施形態は、ユーザが、特定の口腔状態、例えば、近位および咬合間隔、残存歯、および歯肉状態が分析された後に、歯科修復特有の決定を行うことを可能にする。したがって、事例作成は分割され、設計ワークフロー中に患者事例固有の要件を段階的に定義する。換言すれば、歯科補綴専門家は、口腔状況およびその特定の制限に関するより多くの知識が得られるにつれて徐々に患者事例を作成する。例えば、修復物の1つまたは複数の歯冠部分を形成するための材料の選択は、最先端のCAD解決策と比較して、設計プロセスの後期段階で実行することができる。材料は、選択できる幾何学的形状の制限を表すことが多く、従来技術の材料は通常、早期に選択されるが、本発明は、幾何学的制約が選択された材料と互換性がない場合に、材料構成要素の選択ステップに戻る反復プロセスの無駄を回避することができる。
【0014】
[0024]本開示の一態様によれば、デジタル歯科修復物を作製するための方法が提供される。本方法は、患者の口腔構造の3次元(3D)仮想モデルを受け取るステップと、患者の口腔状況を分類する分類データを受け取るステップと、デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状を決定するステップと、を含む。本方法は、決定された3D幾何学的形状に基づいて、それぞれの第1の修復設計変数を、決定された3D幾何学的形状と適合性があるように制限することによって、可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップをさらに含む。さらに、本方法は、フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取るステップを含む。
【0015】
[0025]デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状は、修復物の1つもしくは複数の歯冠部分の外面を画定する、または1つもしくは複数の歯冠部分の一部の外面を画定する3D幾何学的形状とすることができる。デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状を決定するステップは、修復物によって置き換えられる1つもしくは複数の歯冠の外面、または1つもしくは複数の歯冠の部分を定義するデータ構造を作成することをさらに含むことができる。データ構造は、ポリゴンメッシュ、例えば三角形メッシュとすることができる。
【0016】
[0026]本開示の第1の態様による方法では、分類データは、歯科修復物によって置き換えられる1つまたは複数の歯のそれぞれの状態を提供することができる。分類データはまた、患者の口腔構造の3D仮想モデルに表される患者の各歯または患者の各歯のそれぞれの状態を提供することができる。分類データは、例えば、歯の数に従って、例えば、FDI世界歯科連合表記(FDI表記)に従って指定されるようにインデックス付けすることができる。例えば、分類データは、FDI表記によって指定された歯ごとに、歯の状態のセットから選択されたそれぞれの状態を含むことができる。歯の状態のセットは、それぞれの歯が調製歯であること、インプラントがそれぞれの歯を置き換えること、それぞれの歯が抽出され、インプラントによって置き換えられていないことを示す個々の状態を含むことができる。例えば、歯番号7~9の分類データは、「インプラント-歯肉-インプラント」を指定することができる。
【0017】
[0027]本開示の第1の態様による方法は、デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状を決定した後に、歯科修復物によって置き換えられる患者の1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、それぞれの修復タイプを決定するステップをさらに含むことができる。このようにして、本方法は、デジタル歯科修復物の表面解剖学的構造が既に決定された後に、それぞれの修復タイプを特定することができる。修復タイプは、歯科修復物によって置き換えられるそれぞれの歯について、例えばFDI表記に従ってインデックス付けされるように、修復タイプを含むことができる。それぞれの修復タイプは、修復タイプのセットから選択することができ、修復タイプのセットは、インプラント支持歯冠、調製歯支持歯冠、架工歯、インプラント支持部分歯冠、調製歯支持部分歯冠、インレイ、オンレイ、オーバーレイ、ベニア、のうちの1つまたは複数を含む。例えば、歯番号7~9の修復タイプは、「インプラント支持歯冠、架工歯、インプラント支持歯冠」として指定することができる。それぞれの修復タイプを決定することは、歯科修復物によって置き換えられる患者の1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、それぞれの修復タイプを示すユーザ入力を受け取ることによって達成することができる。あるいは、それぞれの修復タイプを決定することは、例えば、決定された3D幾何学的形状および対応する1つまたは複数の歯の分類データに基づいて、各歯の修復タイプを自動的に識別することによって達成することができ、自動的に識別された修復タイプは、ユーザによって検証することができる。
【0018】
[0028]本開示の第1の態様による方法では、可能な第1の修復設計変数のセットは、歯科修復物によって置き換えられる患者の1つまたは複数の歯のそれぞれの歯について、マージンライン、エマージェンスプロファイル、セメントギャップ、最終的な修復物の最小厚さ、例えば歯冠材料の最小厚さのうちの1つまたは複数を含むことができる。決定された3D幾何学的形状と互換性のないそれぞれの第1の修復設計変数を制限することは、有効マージンラインパラメータ範囲、有効エマージェンスプロファイルパラメータ範囲、有効セメントギャップパラメータ範囲、有効歯冠材料厚さ範囲、有効シェル材料厚さ範囲、のうちの1つまたは複数を指定することを含むことができる。フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取ることは、有効マージンラインパラメータ、有効エマージェンスプロファイルパラメータ、有効セメントギャップパラメータ、有効歯冠材料厚さ、有効シェル材料厚さ、のうちの1つまたは複数を受け取ることを含むことができる。可能な第1の修復設計変数のセットはまた、インプラント装着アバットメント、インプラント装着バー、バー装着修復物、のうちの1つまたは複数を含むことができる。決定された3D幾何学的形状と互換性のないそれぞれの第1の修復設計変数を制限することは、インプラント装着アバットメントの有効パラメータ、インプラント装着バーの有効パラメータ、バー装着修復物の有効パラメータ、のうちの1つまたは複数を指定することを含むことができる。次いで、フィルタリングされた第1の修復設計変数のセットから選択された第1の修復設計変数を識別する入力を受け取ることは、インプラント装着アバットメントの有効パラメータ、インプラント装着バーの有効パラメータ、バー装着修復物の有効パラメータ、のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0019】
[0029]本開示の第1の態様による方法は、決定された3D幾何学的形状と選択された第1の修復設計変数とに基づいて、決定された3D幾何学的形状と選択された第1の修復設計変数との組合せに適合するように第2の修復設計変数を制限することによって、可能な第2の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングするステップをさらに含むことができる。可能な第2の修復設計変数のセットは、デジタル歯科修復物に対応する歯科修復物の製造に使用するための可能な材料および材料色のセットを含むことができる。決定された3D幾何学的形状と選択された第1の修復設計変数との組合せと適合するように第2の修復設計変数を制限することは、歯科修復物の製造に提供される材料および対応する材料色のセットから、決定された3D幾何学的形状および選択された第1の修復設計変数と適合しない材料および対応する材料色を除去することを含むことができる。
【0020】
[0030]本開示の別の態様によれば、デジタル歯科修復物を作製するためのシステムが提供される。システムは、処理回路と、ユーザインターフェースを提供し、デジタル歯科修復物の視覚的レンダリングを表示するように構成されたディスプレイと、処理回路への通信のためのユーザ入力を受け取るように構成されたユーザ入力デバイスと、を含む。処理回路は、患者の口腔構造の3次元(3D)仮想モデルを受け取り、患者の口腔状況を分類する分類データを受け取り、デジタル歯科修復の表面解剖学的構造を画定する3D幾何学的形状を決定し、決定された3D幾何学的形状に基づいて、それぞれの第1の修復設計変数を決定された3D幾何学的形状と互換性があるように制限することによって可能な第1の修復設計変数のセットを自動的にフィルタリングし、ユーザ入力デバイスを介して提供される、第1の修復特徴のセットから選択された第1の修復特徴を識別する入力を受け取るように構成される。システムの様々な実施形態およびその処理回路は、本開示またはその任意の実施形態による方法と同じ特徴を有することができる。
【0021】
[0031]本開示の別の態様によれば、処理回路によって実行されると、処理回路に、本開示またはその任意の実施形態による方法を実行させる命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体。
【0022】
[0032]本開示のさらなる態様によれば、歯科修復物を製造するための方法が提供される。歯科修復物を製造するための方法は、上述の態様およびその様々な実施形態によるデジタル歯科修復物を作製するための方法を含む。歯科修復物の製造方法は、デジタル歯科修復物を製造装置に提供するステップと、デジタル歯科修復物に基づいて、歯科修復物を製造するように製造装置を制御するための制御ルーチンを決定するステップと、をさらに含むことができる。製造装置は、例えば、ミリング装置または積層造形装置とすることができる。
【0023】
[0033]本開示の実施形態は、患者の口腔内の1つまたは複数の調製歯に装着されるように構成された歯科修復物の設計、ならびに患者の口腔内に設置された1つまたは複数のインプラントに装着されるように構成された歯科修復物に関することができる。設計プロセスの初期段階において、ユーザ、例えば歯科補綴専門家は、患者の口腔状況、例えば病状を定義する。本開示の実施形態は、CCEにUIを提供することができ、UIは、患者の口腔状況の定義または分類に関する入力を受け取るように構成されたUI構成要素を提供する。例えば、歯が調製されている場合、ユーザは、例えば歯の番号によって分類されるように、患者の口腔内の特定の歯の口腔状況を分類するためのオプションのドロップダウンメニューから「調製」を選択することができる。2つの歯が調製され、歯が抽出された場合、ユーザは、3つの歯のそれぞれに対応する口腔状況のための調製、歯肉、および調製を選択することができる。このような口腔状況の選択は、同じ状況に対する修復タイプ、例えばブリッジ(歯冠-架工歯-歯冠)の選択とは対照的である。本開示の実施形態では、事例作成の初期段階は、最終的な修復タイプおよびその特性を完全に定義するのではなく、ユーザが口腔状況を定義することのみを必要とする。
【0024】
[0034]患者の口腔状況の画像は、患者の口腔状況の3Dモデルに基づいて、CCE内でレンダリングすることができる。例えば、CCEは、患者の歯列の口腔内スキャンによって提供された患者の口腔状況の3Dモデルをインポートすることができる。あるいは、CCEは、陽性プラスターキャストの実験室スキャンによって提供される3Dモデルをインポートすることができる。典型的には、患者の口腔状況の3Dモデルは、咬合構成で上顎、下顎、ならびに上下顎の特定の部分をスキャンし、次いでスキャンの各々からのすべてのデータを3D座標系で組み立てて位置合わせすることによって生成されたデータから構築される。患者の口腔状況の3Dモデルは、典型的には、患者の口腔構造、例えば歯列および歯肉の3D幾何学的構造を表す3Dメッシュの形態で提供されるデータ構造である。3Dモデルは、3Dメッシュに関連付けられたテクスチャ、例えば色をさらに含むことができる。
【0025】
[0035]
図1は、患者の歯列および口腔組織、例えば歯肉の3Dモデルを構築するためのスキャンデータを取得するように設計された口腔内スキャナ300を示す。口腔内スキャナは、複数のカメラ304および照明光源が配置されたハンドピース302を含む。カメラ304は、例えば、紫外光が投影された画像を取得するように構成されたカメラと、赤、緑、および青のモノクロカメラ(赤、緑、および青のモノクロ画像を取り込むように構成されている)と、を含むことができる。照明光源は、紫外パターン光、ならびに白色または赤色、緑色、および青色(RGB)光を投影するように構成することができる。UV光および白色/RGB光は、異なる光源から提供することができる。口腔内スキャナ300は、データを取り込むように構成されたいくつかの異なるセンサと、センサによって取り込まれたデータを、例えばデータと画像の両方をタイムスタンプと関連付けることによって、カメラ304によって取り込まれた画像と関連付けるように構成された処理回路とをさらに含む。センサは、それ自体が1つまたは複数の加速度計および/または1つまたは複数のジャイロスコープを含むことができる位置、配向、および速度センサを含む。
【0026】
[0036]
図2は、
図1の口腔内スキャナ300を含む口腔内スキャナハードウェアプラットフォーム306を示す。
図2のハードウェアプラットフォーム306は、カート308と、カート308に取り付けられたディスプレイ310とをさらに含む。
図2のハードウェアプラットフォーム306はまた、
図1の口腔内スキャナ300によって取得されたデータを処理し、補綴修復を設計するための方法、例えば
図10に記載されているような処理システムを実行するように構成された追加の処理回路を含むことができる。カートに取り付けられたディスプレイ310は、CCEおよびその関連UIをユーザ、例えば、補綴専門家に表示するように構成される。
図3は、
図1の口腔内スキャナ300を含む代替的な口腔内スキャナハードウェアプラットフォーム312を示す。
図3の代替ハードウェアプラットフォーム312は、口腔内スキャナ300が接続されるラップトップコンピュータ314を含む。ラップトップコンピュータ314は、
図1の口腔内スキャナ300によって取得されたデータを処理し、補綴修復、例えば
図10に記載されているような処理システムを設計するための方法を実行するように構成された追加の処理回路を含むことができる。ラップトップコンピュータ314は、CCEおよびその関連UIをユーザ、例えば補綴専門家に表示するように構成されたディスプレイ316をさらに含む。口腔内スキャナ300によって取得されたデータを処理し、補綴修復を設計するための方法を実行するように構成された追加の処理回路を含むことの代替として、またはそれに加えて、
図2のハードウェアプラットフォーム306および
図3の代替的なハードウェアプラットフォーム312の両方を、データ接続を介して、例えばクラウドに配置されたそのような追加の処理回路に接続することができる。
【0027】
[0037]CCE内の3Dモデルから患者の口腔状況をレンダリングする前に、3Dモデルを方向付けてタグ付けすることができる。インポートされた3Dモデルのファイルを評価して、3Dモデルが適切に方向付けられ、CCEの寸法および座標内に配置されていることを確認することができる。次いで、インポートされたモデルをトリミングして、モデルの関連部分に焦点を合わせることができる。スキャンを中継するファイルシステムの座標がCCE内の適切に配向され位置決めされたモデルをもたらさない場合、インポートされたモデルの座標をCCEの座標に配向するために座標変換を実行することができる。この配向ステップは、3DモデルがCCEによって使用されるものとは異なる第1の座標系で生成され得るので有利である。したがって、本開示によって提供される配向ステップは、CCEの座標と互換性のある異なる座標系でインポートされたモデルをレンダリングするために必要に応じて座標変換を実行することによって、広範囲の3Dモデルおよびそれらが構築されるシステムとの互換性を提供する。
【0028】
[0038]3DモデルがCCEにインポートされると、例えば、モデル内の歯に番号を付けるか、個々の歯もしくは歯のグループ、またはモデルの他の何らかの特徴に対応する顎の部分をセグメント化および区分することによって、3Dモデルにタグ付けすることができる。タグ付けは、CCEによって自動的に、またはユーザによって手動で実行することができる。あるいは、3Dモデルは、CCEによって受け取られる前に既にタグ付けすることができ(例えば、3Dモデルに関連するメタデータにタグを含める)、タグは、CCEによって自動的に、またはユーザによって手動で検証することができる。
【0029】
[0039]代替的な実施形態では、3DモデルをCCEにインポートし、患者の口腔状況を定義する前にレンダリングすることができ、または患者の口腔状況を3Dモデルのインポートおよびレンダリングの前にCCEに定義することができる。
【0030】
[0040]3Dモデルの準備の後に、ユーザは解剖学的構造ライブラリを選択することができる。解剖学的ライブラリは、CCEに入力されたパラメータに応じて多かれ少なかれ適用可能な一般的な解剖学的構造のセットを含む。解剖学的構造ライブラリは、いくつかのパラメータに基づいて編成することができる。例えば、患者の年齢または性別に基づいて異なる解剖学的構造ライブラリを利用することができる。適用可能な解剖学的構造ライブラリが選択されると、解剖学的構造ライブラリ内から特定の歯の形状/形態を選択することができる。次いで、選択された歯の形状/形態を、調製歯またはインプラントの所定の位置にほぼ投影することができる。ユーザは、解剖学的構造ライブラリ内から様々な歯の形状から選択することができ、選択は3Dビュー内の3Dモデルの準備領域に反映される。これは多くの利点を提供する。例えば、解剖学的構造を調製の位置にほぼ投影することは、選択歯の形状が残存歯に関して適切であるかどうかをユーザが確認するのに役立つ。さらに、ユーザは、適合するかどうかを知らずに解剖学的構造のリストから選択する代わりに、選択された解剖学的構造ライブラリが残存歯の形状および年齢に適合するかどうかをリアルタイムで確認することができる。本開示の解剖学的構造ライブラリの可能な実施形態は、解剖学的構造テンプレートがスキャンファイルから生成された患者の口腔状況またはモデルに基づいて人工知能モジュールによって提案または生成されるように、人工知能で拡張することができる。
【0031】
[0041]解剖学的構造ライブラリを選択した後に、解剖学的構造、例えば歯科修復物の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する3D幾何学的形状を修復物のために画定することができる。解剖学的構造ライブラリから選択された一般的な歯の形状および解剖学的構造の形態は、最終的な3D幾何学的形状に作成することができる。解剖学的構造ライブラリから選択された解剖学的構造は、配置、スケーリング、変形、コピー(例えば、残存歯または別の解剖学的ライブラリ歯のコピーによって置き換えられる)、またはクローニングすることができる。この解剖学的構造は、この段階で、機能的および審美的選択の両方に基づいて設計および選択することができる。ユーザは、まだ定義されていないので、マージンライン、挿入経路、セメントギャップ、および材料の最小厚さを制限することなく、解剖学的構造を3次元空間内に自由に配置することができる。例えば、ユーザは、CCEの3次元空間内の解剖学的構造の外部3D実施形態を把持、操作、回転、スケーリングなどすることができる。これは、どの修復タイプを選択することができるか、および軌跡の周囲領域(対向するアーチ、残存歯および歯肉の状態)に応じて最終的な修復物をどのように設計することができるかの第1の指示を提供する。得られた解剖学的構造の形状およびその位置は、底部、例えば解剖学的構造の内側部分への変更、または解剖学的構造を再計算または再作成する必要がないため修復タイプへの変更の後でも、ワークフロー全体を通して保存することができる。
【0032】
[0042]本開示の実施形態は、CCE内で、患者の口腔状況と共にレンダリングすることができる独立したスタンドアロンデータ構造として解剖学的構造を構築することができる。解剖学的構造データ構造は、例えば、3D三角形メッシュなどの3Dポリゴンメッシュとすることができる。
【0033】
[0043]軌跡の周囲領域が分析され、解剖学的構造がアーチに適合するように配置された後に、ユーザは、最終的な修復タイプ、その特性、および関連する製造プロセス(例えば、社内または集中型)を決定することができる。実施形態では、設計変数(DV)選択プロセスは、頂部から底部へのフィルタ手法によって駆動される。頂部から底部へのアプローチは、典型的には、歯の外部DVが最初に、他の変数への依存性に基づく順序で決定されることから始まる。頂部部分の実施形態は、以下の構造を有する設計ワークフローを展開する、すなわち、第1のDV選択は第2のDVに対して可能な選択を絞り込む、第2のDV選択は第3のDVに対して可能な選択を絞り込む、第3のDV選択は第4のDVに対して可能な選択を絞り込む、第4のDV選択は第5のDVに対して可能な選択を絞り込み、第5のDVが利用可能であるかどうかを制御する。各DV選択の例示的な内容は、単一歯冠またはブリッジの第1のDV選択、患者の歯の1つまたは複数のそれぞれについて、修復タイプ、例えば、完全歯冠、縮小歯冠、コーピング、架工歯、歯冠の第2のDV選択、生産出力、例えば社内生産または集中生産の第3のDV選択、解剖学的構造を形成するために使用される材料、例えばセラミック、ジルコニウムのタイプの第4のDV選択、ならびに材料色の第5のDVを含むことができる。ワークフローの各段階において、DVの可能な選択は、修復の解剖学的構造によって制限することができ、すなわち、可能なDVは、歯科修復の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する3D幾何学的形状との互換性/非互換性に基づいてフィルタリングすることができる。
【0034】
[0044]例えば、第1のDV選択は、単一の歯の修復または隣接する歯に接合された1つまたは複数の歯のブリッジ修復の間で選択することであり得る。シングルまたはブリッジは、DVの第1のセットからの可能な第1のDV選択である。単一またはブリッジの選択は、直後のDVのセットで利用可能なDV選択、すなわち第2のDV選択に影響を及ぼす。第2のDV選択は修復タイプの選択を含むことができ、第2のDV選択内のすべてのDVのセットは、完全歯冠、縮小歯冠、コーピング、架工歯歯冠などを含むことができる。しかしながら、シングルまたはブリッジの選択に基づいて、ユーザが利用可能な、あり得る第2のDV選択は、シングルまたはブリッジのいずれかの選択に適合する修復タイプのみを含む。したがって、第3のDV選択は、生産出力の選択を含むことができ、第3のDV選択内のすべてのDVのセットは、社内生産、集中生産などを含むことができる。しかしながら、シングルまたはブリッジの選択、およびシングルまたはブリッジと互換性のある完全、縮小、コーピング、または架工歯歯冠の選択に基づいて、ユーザが利用可能な、あり得る第3のDV選択は、第1のDV選択および第2のDV選択の両方と互換性のある社内または集中生産オプションのみを含むことができる。その後に、すべてのDV選択を行うことができるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
【0035】
[0045]既に選択されたDVと互換性があるようにCCEによってフィルタリングされた可能なDV選択は、多くの異なるフォーマット、シーケンス、および組合せでUIに表示することができる。UIは、ユーザが、事例の生成のための人物情報または識別情報を入力し、歯科補綴治療の3D表現の様々な特徴に関する決定を行い、さらに最終仮想モデルを最終製造業者または製粉業者のための通信および注文に処理することなどによって、CCEと対話することを可能にする。
【0036】
[0046]ワークフローの底部部分の実施形態により、ユーザは、最終的な修復のフィッティングおよび材料の完全性を定義する修復固有の特徴を設定することができる。底部部分のDVの定義は、マージンライン、挿入経路、フィッティング、および材料厚さなどのいくつかの連続ステップに分割することができる。すべてのパラメータ変化がリアルタイムで表示され、したがって特定の条件に適合させることができるので、底部部分DVの定義を正確に定義することができる。
【0037】
[0047]マージンラインを画定することにより、歯科医によって行われる調製物の縁部または境界の画定が可能になる。挿入の経路を画定することにより、歯科修復物が支持組織またはアバットメント歯の中に配置されるかまたはそこから除去される方向を画定することができ、挿入ラインが他の歯と干渉しないことを確認することができる。フィッティングを画定することにより、修復物と調製物との間にギャップ(セメントギャップなど)を画定することによって、修復物が調製された歯にどの程度密接にまたは緩く適合するかを画定することが可能になる。例えば、セメントギャップが大きいほど、コアおよび外殻に利用可能な体積が少なくなる。材料の最小厚さを定義することにより、解剖学的構造が以前のワークフローのステップに既に配置されているため、近位および咬合の空間的条件に関連して材料の最小厚さパラメータを適合させることができる。最小材料厚さは、修復物の完全性を保証するために、修復物を生成するために使用される物理的材料および修復物を生成するための生成プロセス、例えば、フライス加工、焼結、印刷、鋳造に関して定義されなければならない。最小材料厚さの調整は、解剖学的構造の所望の形状に対する最小厚さの影響に関してCCEが生成するリアルタイム情報に基づいて、最小材料厚さを増減する決定とすることができる。最小材料厚さは、修復物の供給者または生産者によって標準化または与えることができる。
【0038】
[0048]本開示の実施形態はまた、修復物のシェル、コア、およびコネクタの調整の従来の統一されたステップを分解することができる。本開示では、シェルワークフローステップは、解剖学的構造(歯冠の外側)と底部(歯冠の内側)とが接続された時点で修復物の解剖学的特徴に最終的な調整を行うための設計および適合ツールのサブセットを提供する。コアワークフローステップは、シェルワークフローステップで行われた修正に基づいて歯冠を削減するためにある。低減された歯冠は、解剖学的構造に基づいて均等に低減されたフレームワークである。この手法では、フレームワークは、手動プロセスで頂部に積層されるセラミックを支持する。ブリッジコネクタは、通常、設計ワークフローのステップ中に配置されるが、しかし、これは、ユーザが解剖学的構造およびコネクタ形状を同時に修正することができるため、様々な問題につながる可能性がある。シェル、コア、およびブリッジコネクタの決定を別々に分割すると、ユーザインターフェースの決定の複雑さを低減することによってユーザの理解が向上する。
【0039】
[0049]修復タイプを選択し、ワークフローの底部部分が十分に完了した後に、ユーザは、他の歯の修復物への接触点が強すぎる場所を見ることができる。修復タイプが選択され設計された後でも、解剖学的構造および修復物の形状は、口腔状況の必要性に適合するように修正することができる。
【0040】
[0050]この設計ワークフローは、以前の決定との互換性を確認するために必要な情報が利用可能であるため、修復物特有の決定を行うことを可能にする。したがって、修復物特有の決定が行われる前に、あらゆる環境条件を考慮する必要はない。
【0041】
[0051]修復タイプが選択された後に、完成品をCCE内でレビューすることができる。完成したモデルは、物理的修復物の最終生産のために、例えばミリングシステムにエクスポートすることができる。
【0042】
[0052]インプラント担持修復は、歯担持修復とは様々に異なる。インプラント担持修復は、患者の顎の骨と骨結合するインプラントを含む恒久的な解決策である。インプラントは、通常、内ねじと外ねじの両方を備えた準円筒形であり、内ねじはアバットメントを有する。アバットメントは調製歯と同じ目的を果たし、そのアバットメントに歯冠を形成することができる。インプラントのアバットメントは、ある種の結合に接続することができる。
【0043】
[0053]本開示の一実施形態では、最初の臨床治療の後に、患者の口腔状況は、最終的な修復結果ではなく、事例作成の開始時に定義することができる。例えば、インプラントが配置されている場合、ユーザは、修復タイプのアバットメントの代わりにインプラントを選択することができる。2つのインプラントが配置され、歯が抽出された場合、ユーザは、患者の口腔の状況を、修復型ブリッジ(インプラント上の歯冠-架工歯-インプラント上の歯冠)の代わりにインプラント、歯肉、インプラントとして定義することができる。本開示の実施形態では、事例作成の初期段階は、最終的な修復物およびそのすべての特性を完全に定義するのではなく、ユーザがモデル上で見るもの、口腔状況を定義することのみを必要とする。
【0044】
[0054]上述したように、口腔スキャンは、口腔状況がCCEに記述される前または後のいずれかにCCEにインポートすることができる。インポート後に、3Dモデルをトリミングし、上述のようにCCEの座標系に向けることができる。
【0045】
[0055]患者の歯が既に摘出され、インプラントがその場所に取り付けられているかどうかに応じて、ワークフローは、取り付けられるインプラントを選択すること、または既に取り付けられているインプラントの種類を単に識別することを提供することができる。いずれの場合も、様々なインプラント関連特徴が選択される。例えば、ユーザは、インプラントライブラリプロバイダ、ブランド、接続、およびスキャンボディタイプを選択することができる。3Dモデルにおけるスキャンボディの正確な位置は、患者の口腔内のインプラントの正確な位置を定義する。スキャンボディの選択は、抽出されたスキャンボディの正確な角度および位置に基づいて、ユーザがデジタル3Dモデル内のスキャンボディをインプラントおよびそのインターフェースのデジタル表現に置き換えるために使用することができるインプラントライブラリを選択する。予め設定されたインプラントライブラリの選択は、同時に示すライブラリの数を減らし、したがってユーザ体験を単純化する特定のフィルタの助けを借りて行うことができる。インプラントライブラリはまた、組織レベル、骨レベル、隣接する歯の形状などに関する情報を含み、所望のパラメータごとに異なるライブラリを含むことができる。特定のインプラントライブラリは、患者の口腔状態に基づいて指定することができる。例えば、RC接続を有する骨レベルインプラントが所望される場合、RCをインプラントライブラリから選択することができ、共通RC接続の幾何学的形状をモデルにロードすることができる。この新しい手法の別の利点は、ソフトウェアがスキャンされたスキャンボディとデジタルスキャンボディの両方の視覚的表現を提供することである。スキャンボディは、顎内のスキャンボディの配向、ならびにスキャンボディが顎内にどのように配置および配置されるかに関する情報をユーザに提供する。スキャンボディを特定のインプラントと交換したことを知らせるデータを提供するために、スキャンボディを製造業者にリンクすることができる。
【0046】
[0056]いくつかのスキャンファイルの準備の後に、解剖学的構造ライブラリを上記のように選択することができる。選択された歯の形状/形態は、既に定義されたインプラント位置にほぼ投影することができる。これは、選択された歯の形状が残留歯に関して適切であるかどうかをチェックするのに役立つ。様々な歯の形状を選択することができ、選択を3Dビュー内の3Dモデルのインプラント領域に反映することができる。
【0047】
[0057]解剖学的構造が解剖学的構造ライブラリから選択された後に、選択された解剖学的構造は、ここで、配置、スケーリング、変形、コピー(残留歯)またはクローン化(ワックスアップ)することができる。これは、どのインプラント担持修復タイプを選択することができるか、および周囲領域(対向するアーチ、残存歯および歯肉の状態)に応じて最終的な修復物をどのように設計することができるかについての第1の指示を提供する。従来のCAD解決策とは異なり、解剖学的構造の配置は制限されない。これは、この時点では、エマージェンスプロファイルライン、セメントギャップ、および材料最小厚さがまだ定義されていないためである。得られた解剖学的構造の形状およびその位置は、設計ワークフロー全体を通して保存することができる。内側部分(底部)への変更または修復タイプへの変更の後でも、解剖学的構造は変更されない。
【0048】
[0058]歯型修復と同様に、インプラント担持修復のための治療計画は、次第に制限される一連の選択肢によって生成することができる。DV選択は、頂部から底部へのフィルタアプローチによって駆動され、これは、ユーザが異なる選択を通して徐々に誘導され得ることを意味する。この手法では、ソフトウェアはDV選択の有効な組合せのみを提供することができる。
【0049】
[0059]治療計画内のすべてのDVは、定義された順序で後続のDVに影響を及ぼすことができ、可能な選択を絞り込む。本開示の実施形態は、治療計画を作成するための頂部から底部へのフィルタアプローチによって駆動される。頂部部分の実施形態は、以下の構造を有する設計ワークフローを展開する、すなわち、第1のDV選択は第2のDVに対して可能な選択を絞り込む、第2のDV選択は第3のDVに対して可能な選択を絞り込む、第3のDV選択は第4のDVに対して可能な選択を絞り込む、第4のDV選択は第5のDVに対して可能な選択を絞り込み、第5のDVが利用可能であるかどうかを制御する。各DV選択の例示的な内容は、単一またはブリッジの第1のDV選択、修復タイプ、例えばアバットメント、インプラント上のフル歯冠、インプラント上の縮小歯冠の第2のDV選択、生産出力、例えば社内生産または集中生産の第3のDV選択、解剖学的構造を形成するために使用される材料、例えばセラミック、ジルコニウムのタイプの第4のDV選択、ならびに材料色の第5のDVを含むことができる。ワークフローの各段階において、DVの可能な選択は、修復の解剖学的構造によって制限することができ、すなわち、可能なDVは、歯科修復の1つまたは複数の歯冠部分の外面を画定する3D幾何学的形状との互換性/非互換性に基づいてフィルタリングすることができる。
【0050】
[0060]底部部分ステップは、最終的な修復物のフィッティングおよび材料完全性を規定する修復物特有の特徴を設定することができる場所である。底部部分ステップはまた、次第に制限されるDV選択のセットを含む。各選択がすべての連続するDV選択に影響を及ぼすDV選択の例示的な順序は、最初に補綴要素を選択し、次に回転(傾斜したねじチャネルが選択された場合)、フィッティングパラメータは、修復物の最小材料厚さおよびエマージェンスプロファイルである。インプラントのタグ付けおよび位置決めは、DV選択のセット内の可能なDV選択に影響を及ぼし得る。例えば、インプラントの位置は、補綴要素、例えばアバットメントの選択に影響を及ぼす可能性があり、インプラントおよび補綴要素の位置は、傾斜したねじチャネルが必要か否か、すなわち回転を選択する必要があるか否かに影響を及ぼす可能性があり、解剖学的構造は以前の設計ワークフローのステップで既に配置されているため、ユーザは、近位および咬合の空間的状態に関してフィッティング、カッター半径補償、および最小材料壁厚パラメータを適合させることができる。次いで、これらのDV選択に関する情報をすべて使用して、修復物が歯肉に適合する修復物のエマージェンスプロファイルの形状を知らせることができる。
【0051】
[0061]底部部分のDV選択が行われた後に、シェル、コア、およびブリッジコネクタを個別に連続して選択することができる。シェルワークフローステップは、解剖学的構造と底部(内部の歯冠)とが接続された時点で修復物の解剖学的特徴に最終的な調整を行うための設計および適合ツールのサブセットを提供する。コアワークフローステップは、歯担持修復物の減少およびすべてのインプラント担持修復物に対してのみ利用可能である。ブリッジコネクタは、通常、設計ワークフローのステップ中に配置されるが、これは、ユーザが解剖学的構造およびコネクタ形状を同時に修正することができるため、様々な問題につながる可能性がある。
【0052】
[0062]修復タイプが選択された後に、完成品はCCE内でレビューすることができる。次いで、完成したモデルは、物理的修復物の製造のために、例えばミリングシステムにエクスポートすることができる。
【0053】
[0063]
図4の実施形態では、CCE1における歯担持完全解剖学的構造歯冠のための歯科補綴モデルの作成は、いくつかのプロセスを介して達成することができ、これらのプロセスの各々は、ソフトウェアまたはユーザのいずれかによって実行されるいくつかのステップを含む。
図4の例示的なプロセスは、事例作成2、スキャン4、セットアップ6、設計8、ネスティング10、およびエクスポート12である。ネスティングは、可能な限り最も効率的な方法で修復物をミリングすることができるように修復物を適切に位置決めするために必要なブランクの物理的サイズを決定するために、ミリングブランク(通常はディスクまたはブロック)の仮想表現の内側に最終修復物幾何学的形状を仮想的に配置することを含む。各プロセス内で実行されるステップは、例えば、患者のニーズまたは歯科補綴モデルの性質に基づいて変化することができ、プロセスまたは各プロセス内に含まれるステップの順序は、実施形態ごとに異なることができ、例えば、
図4の実施形態では、事例作成2プロセスのステップである口腔状況22を識別する前に、スキャン4プロセスのステップであるスキャン24をインポートすることができ、あるいは、
図4に示すように、スキャン24をインポートする前に口腔状況22を識別することができる。
【0054】
[0064]
図4の実施形態では、事例作成2において、様々な識別および事例参照情報を処理して、事例ID16識別子、患者ID18識別子、および歯科医名またはユーザ名20などの事例14を作成する。事例作成2プロセスのステップとして、口腔状況22は、スキャン4プロセス中にスキャン24をインポートする前に定義されてもよい。口腔状況22を定義することは、特定の歯の状態、歯のどの部分が残っているか、それらの歯がどこに位置しているかなどの情報をCCE1に提供することを含むことができる。例えば、特定の歯が部分的に欠けているだけであり、歯の一部がまだ残っている場合には、特定の歯を調製として識別することができ、歯が残っていない場合には「欠損歯」とラベル付けすることができる。修理を必要としない歯は、事例作成において無視または説明することができる。別の実施形態では、口腔状況22を定義する前にスキャン24をインポートすることができる。いずれの例示的な実施形態も、事例作成2プロセスおよびスキャン4プロセスなどのプロセスは、各プロセスに関連するものとして
図4に示すものと重複するか、または異なるステップを含むことができることを示す。言い換えれば、プロセスは、ステップの特定の集合に厳密に限定されない。
【0055】
[0065]
図4のスキャン4プロセス中に、スキャン24がCCE1にインポートされ得る。スキャンをインポートすることは、上顎、下顎、咬合、上部ワックスアップ、下部ワックスアップ、上部歯肉および下部歯肉を統合して3Dモデルにレンダリングすることができるなど、顎の複数の部分のスキャンをインポートすることを含むことができる。3Dモデルは、モデルの関連部分のみに焦点が合わされるようにトリミング26を受けることができる。次いで、3Dモデルは、3DモデルのファイルのCCE1の座標系への座標変換、または3DモデルのCCE1の座標の適切な配向への再配向を含むことができる配向28ステップを経ることができる。3Dモデルは、CCE1内で必要に応じて操作および配向することができるスキャンのモデルとして示すことができる。配向ステップ28は、モデルのバイトの角度および平面に座標平面を挿入することなどによって、少なくとも1つの軸に沿ってモデルを分割することによって、操作に対するモデルの応答性を支援することができる。3DモデルをCCE1の座標系に適合させることはまた、顎の上部モデルおよび顎の下部モデルを様々なステップで別々に検査および検討することができ、単一の上部または下部顎の操作および調整を可能にするので、CCE1内の後続のステップを支援する。
【0056】
[0066]
図4のセットアップ6プロセス中に、3Dモデルにタグ付けすることができる30。タグ付けは、口腔状況の重要な特徴に対応するモデルの部分を識別する、例えば、歯の番号、位置、歯の状態(存在、欠落、部分的、切れ端)を識別するなど、多くの機能を果たす。3Dモデルがタグ付けされた後30、解剖学的構造ライブラリを生成および/または32から選択することができる。解剖学的構造ライブラリは、予め設定された補綴歯解剖学的構造のライブラリであり、解剖学的構造ライブラリの解剖学的構造は形状および形態が異なる。解剖学的構造ライブラリ32からの解剖学的構造34の選択は、解剖学的構造をフィルタリングして、それぞれの口腔状況を表す解剖学的構造のセットを見つけることによって支援することができる。例えば、解剖学的構造ライブラリは、患者の年齢、性別、食事または医学的状態、または注意を必要とする歯の位置などの現在の事例の要因に基づいて異なる解剖学的構造を含むことができる。解剖学的構造ライブラリは、適切な解剖学的構造の選択を支援するために、様々な解剖学的構造を見ながら、識別された歯に解剖学的構造を投影することができる。解剖学的構造ライブラリ32からの選択は、ユーザ駆動フィルタリングシステムまたは人工知能支援フィルタリングシステムの両方であり得る。しかしながら、解剖学的構造34の選択は、
図4の実施形態の解剖学的構造ライブラリからもたらされる必要はなく、所望の解剖学的構造をCCE1にインポートすることができる。
【0057】
[0067]
図4の設計8のプロセスでは、ユーザは、頂部から底部へのアプローチを使用して、潜在的な補綴歯の様々な特徴を設計することができる。解剖学的構造が解剖学的構造ライブラリ32から使用するために選択された後34、解剖学的構造は、必要に応じて口腔状況22に適合するようにCCE1内で成形、彫刻、複製、フィッティング、ワックスアップ、編集などを行うことができる。解剖学的構造34の選択および設計に続いて、治療計画を構築することができる36。治療計画36の作成は、最終結果または最終補綴を徐々に定義するために行われる解剖学的構造のDVの一連の選択、すなわちDV選択の頂部部分と呼ばれる。
図4の実施形態では、CCE1は、既に行われたDV選択に照らして、DV選択38、40、42、44、46のセットから行われる各DV選択を提示する。
【0058】
[0068]
図4の実施形態では、CCE1は、DV選択の第1のセット38からの、単一の補綴または複数の補綴を連結するブリッジ(両方とも解剖学的構造のDV)の選択を処理する。次いで、DV選択の第2のセット40からどの修復タイプ、例えば、完全歯冠、完全架工歯などの選択が行われるべきである場合、CCE1は、口腔状況22を考慮して、単一またはブリッジの選択と互換性のある修復タイプのみの選択を提示または許可する。同様に、DV選択の第3のセット42からの出力、例えばステレオリソグラフィ(STL)、製造業者固有の出力などに関して選択が行われる場合、CCE1は、DV選択の第2のセット40から選択された修復タイプとDV選択の第1のセット38からの単一またはブリッジの選択の両方に適合する解剖学的構造の出力のみを提示または選択することを可能にする。したがって、この段階では、修復タイプの選択は、単一またはブリッジの選択と互換性があり、出力の選択は、修復タイプおよび単一またはブリッジの選択の両方と互換性がある。解剖学的構造の材料、例えばセラミック、ジルコニウムなどの選択がDV選択の第4のセット44から行われるべきである場合、CCE1は、単一またはブリッジ、修復タイプ、および出力に関して行われた選択と互換性のある材料の選択のみを提示する。したがって、DV選択の第5のセット46から解剖学的構造の材料色に関して選択が行われるべきであるとき、CCE1は、単一またはブリッジ、修復タイプ、出力、および材料に関して行われた選択と互換性のある材料の色の選択のみを提示または許可する。したがって、DV選択の第5のセット46からの選択は、DV選択38、40、42、44の各セットから行われるDV選択と互換性がある。
【0059】
[0069]
図4の実施形態の各ステップにおけるCEEの選択肢の1つの制限により、CCE1は、DV選択の各連続セットからのDVの選択が、特徴選択の以前の選択と互換性があることを保証することができる。
【0060】
[0070]
図4の設計プロセス8の底部DV選択48は、頂部から底部への漸進的な設計部分の底部部分を含む。
図4の実施形態では、CCE1は、以前に行われたすべてのDV選択に照らして、DV選択50、51、52、54のセットからの各DV選択を提示する。底部DV選択の第1のセット50の選択されたマージンラインに基づいて、CCE1は、底部DV選択の第2のセット51内の挿入経路の利用可能な選択肢の数、底部DV選択の第3のセット52内のフィッティングパラメータ、および底部DV選択の第4のセット54内の材料厚さを制限する。言い換えれば、選択されたマージンラインに基づいて、CCE1は、どの挿入経路およびフィッティングパラメータが選択されるかを制限し、材料の厚さは、以前のDV選択、解剖学的構造、および口腔状況22と互換性のある選択のみに選択することができる。
【0061】
[0071]底部DV選択の選択中に、マージンラインの選択はまた、CCE1によって提案され、手動で入力され、またはいくつかの方法で検出され得る。挿入経路の選択は、選択された解剖学的構造DVおよび口腔状況に適合するいくつかの提案または手動入力によって支援することができる。フィッティングパラメータの選択は、周縁ギャップサイズ、面取りギャップサイズ、セメントギャップサイズ、カラーオフセットサイズなどの解剖学的構造底部のいくつかの異なるパラメータを含む。材料厚さの仕様はいくつかの方法で提供することができ、CCE1は仕様を取り込み、所与の仕様が現在選択されているDVおよび口腔状況に適合するかどうかの即時の指示を与えることができる。
【0062】
[0072]
図4の設計8プロセス中のシェル56の選択は、治療計画36および底部48の作成に続く。シェルの選択は、シェルを成形および造形すること、ならびにシェルが占める咬合条件または近位条件を指定することを含む。
【0063】
[0073]
図4の実施形態では、シェルが選択された後(56)、事例作成2、スキャン4、セットアップ6、および設計8のプロセスの結果生成物をレビュー58することができる。次いで、結果として得られた補綴モデルは、ネスティング10プロセス中にネスティング60され得る。
【0064】
[0074]ネスティング10プロセスの後に、エクスポート12プロセスは、結果として得られた補綴モデルを、補綴モデルをミリング、形成、または作成することができるエンティティに送信またはエクスポート62することを含むことができる。
【0065】
[0075]実施形態の連続するDV選択の各セットの例示的なDV選択は、必ずしも厳密な順序に限定されない。DV選択のセットを様々な順序で行うこと、またはDV選択の複数のセットを一度に利用可能にすることが可能である。この場合、最初から選択されるDV選択のセットが何であれ、DV選択の第1のセットになり、第2の選択は第1の選択の影響を受け、以下同様である。
【0066】
[0076]
図5の実施形態では、CCE1における歯担持縮小解剖学的構造ブリッジのための歯科補綴モデルの作成は、
図4の実施形態のプロセスと同様のいくつかのプロセスを介して達成することができ、これらのプロセスの各々は、ソフトウェアまたはユーザのいずれかによって実行されるいくつかのステップを含む。
図5の実施形態は、事例作成2、スキャン4、セットアップ6、設計8、ネスティング10、およびエクスポート12のプロセスを含む。
図4の実施形態と同様に、
図5の実施形態のプロセスは、必ずしも限定された順序ではなく、またはステップの特定の集合に結び付けられていない。
【0067】
[0077]
図5の事例作成2のプロセスの間、ユーザは、事例ID16、患者情報18、および歯科医情報20を入力することができる。次いで、口腔状況64は、スキャン66をインポートする前または後のいずれかにCCE1内に作成することができる。次いで、トリミング68を3Dモデルに対して実行することができ、モデルをCCE内で配向70することができる。セットアップ6のプロセス中に、3Dモデルにタグを付けることができ(72)、提供された解剖学的構造ライブラリ74にアクセスして、そこから選択する解剖学的構造を提示することができる。
【0068】
[0078]
図5の実施形態の設計8プロセスは、解剖学的構造76の選択から始まる。解剖学的構造が選択されると(76)、治療計画は、以前のDV選択と互換性のある現在のDV選択のセットのオプションのみを示すために、以前のDV選択から情報を取得する一連のDV選択のセット80、82、84、86、88を使用して行われるDV選択を通じて作成することができる(78)。
図5の実施形態では、DV選択の第1のセット80は単一またはブリッジの選択を含み、DV選択の第2のセット82は修復タイプを含み、DV選択の第3のセット84は出力を含み、DV選択の第4のセット86は解剖学的構造を形成する材料を含み、DV選択の第5のセット88は解剖学的構造の材料の色を含む。
【0069】
[0079]治療計画78の作成、すなわち、可能性のある補綴歯の作成への頂部から底部への段階的なアプローチの頂部部分の完了後に、底部90の作成は、DV選択の連続するセット92、94、96、98からのDV選択を含む。DV選択80、82、84、86、88と同様に、DV選択92、94、96、98の連続する底部セットは、前の底部DV選択から情報を取得し、前のDV選択と互換性のある現在の底部DV選択のセットのオプションを示す。
図5の実施形態では、底部DV選択の第1のセット92はマージンラインを含み、底部DV選択の第2のセット94は挿入経路を含み、底部DV選択の第3のセットはフィッティングパラメータを含み、底部DV選択の第4のセット98は最終修復物の材料最小厚さ、例えば修復物の歯冠部分の材料最小厚さを含む。挿入経路の選択は、選択された解剖学的構造DVおよび口腔状況64に適合するいくつかの提案または手動入力によって支援することができる。
【0070】
[0080]治療計画78および底部部分90の作成後に、解剖学的構造のシェル100の作成を実行することができる。シェル100の選択に続いて、コア102の選択を行うことができる。コア102の選択は、CCE1内のコアの様々な寸法を減少または増加させ、調整の適合性のリアルタイム表示を受け取ることと共に、コアを成形および造形することを含むことができる。コネクタ104の選択は、コア102の選択に続き、CCE1内では、コネクタの遠位、中間、および近心の寸法を供給または編集することを含むことができ、これは、コネクタが接続する歯の中でのコネクタの位置決めの表示と相関する。
図5の実施形態では、コネクタ104の選択後に、最終モデルをレビュー106することができ、設計プロセスの様々な部分に戻る。次いで、結果として得られた補綴モデルは、ネスティング10プロセス中にネスティングされ得る108。ネスティング10プロセスの後に、エクスポート12プロセスは、結果として得られた補綴モデルを、補綴モデルをミリング、形成、または作成することができるエンティティに送信またはエクスポートすること110を含むことができる。エクスポート12プロセスおよびエクスポート62は、様々なレベルの詳細および事例情報と関連付けられた様々なビットの情報をミルに提供することができる。
【0071】
[0081]
図6の実施形態では、CCE1内の傾斜したねじチャネルおよび完全な解剖学的構造ブリッジを有するインプラント担持ブリッジのための歯科補綴モデルの作成は、いくつかのプロセスを通して達成することができ、これらのプロセスの各々は、ソフトウェアまたはユーザのいずれかによって実行されるいくつかのステップを含む。
図6の例示的なプロセスは、事例作成2、スキャン4、セットアップ6、設計8、ネスティング10、およびエクスポート12である。
【0072】
[0082]
図6の事例作成2プロセスの間、ユーザは、事例ID16、患者情報18、および歯科医情報20を入力することができる。次いで、口腔状況112は、CCE1によって生成されたスキャンのモデルを参照して、または参照せずに、スキャン114をインポートする前または後のいずれかにCCE1内に作成することができる。
図4の実施形態において入力可能な情報に加えて、口腔状況112の作成は、インプラントを有するまたは有することになる特定の歯を示す能力を含む。
【0073】
[0083]
図6の実施形態のスキャン4プロセス中に、口腔内スキャンをインポートすることができ(114)、トリミングすることができ(116)、CCE1の座標系に向けることができる(118)。
【0074】
[0084]
図6の実施形態のセットアップ6プロセスは、関連する歯、インプラント、歯肉の位置決め、およびインプラント計画122の作成を識別するためにモデル120にタグ付けすることから始まる。タグ付けされたインプラント(スキャンボディ)位置は、インプラント計画から生成された仮想インプラントに関連付けることができる。
図6の実施形態では、インプラント計画122の作成は、患者の顎部に以前に設置されたインプラントを識別することを含む。インプラントが識別/選択されると、デジタル3Dモデル内のスキャンボディがユーザによって選択され、識別/選択されたインプラントと置き換えられ得る。
図6の実施形態では、DV選択124、126、128、130、132の連続するセットは、現在のDV選択が行われる前に各DV選択で提供される情報を考慮する。
図6の実施形態は、インプラントライブラリプロバイダによって与えられるものなどのインプラントライブラリからのインプラントDV選択の第1のセット124、インプラントプロバイダブランドを含むインプラントDV選択の第2のセット126、組織レベルシステムなどのインプラントシステムを含むインプラントDV選択の第3のセット128、RNレギュラーネックなどのインプラント接続の形態を含むインプラントDV選択の第4のセット130、およびインプラントのスキャンボディを含むインプラントDV選択の第5のセット132を提供する。インプラントライブラリプロバイダは、インプラント用のデジタルモデルと、様々なインプラントに接続することができる様々なアバットメント構造との両方を含むインプラントライブラリを提供することができる。インプラントライブラリプロバイダは、複数の製造業者によって製造されたインプラントを含むインプラントライブラリを提供することができる。
【0075】
[0085]
図6の実施形態では、各DV選択のセットからのDV選択が行われると、インプラント計画は、インポートされたスキャンのCCE1によって生成されたモデルに取り込むことができる。デジタルスキャンボディを選択または生成することができ(134)、選択されたインプラント計画から生成されたインプラントに関連付けることができる(122)。スキャン型インプラントにスキャンボディ134を関連付けることはまた、解剖学的構造の選択を続ける前にスキャンボディ選択の検証を提供する。次いで、解剖学的構造ライブラリ136を提供、生成、および/または検索することは、インプラント計画に対するスキャンボディ134のデジタル関連付けに従うことができる。
【0076】
[0086]
図6の実施形態の設計8プロセスは、解剖学的構造138の選択から始まる。解剖学的構造は、CCE1のモデリング環境にレンダリングされると、スキャン4プロセスからインポートされた口腔スキャンから生成された3Dモデルの部分を操作、配向、および配置することができる。解剖学的構造は、モデリング環境内で再成形およびサイズ変更することができ、CCE1は、口腔状況112または既に行われた様々なDV選択とのそれらの変更の有効性または互換性を示すために変更が行われるとき、ユーザにリアルタイムフィードバックを提供することができる。さらに、解剖学的構造がインプラントに接続するかまたは軟組織(歯肉)から現れる方法は、変更、例えば、成形、彫刻、フィッティングが行われるときに表示および更新することができる。解剖学的構造がCCE1にロードされた後に、DV選択の5つの連続するセット142、144、146、148、150のDV選択から形成される治療計画140の作成を開始することができ、DV選択の各セットで行われるDV選択の選択は、以下のDV選択でのDV選択の利用可能な選択に影響を及ぼす。
図6の実施形態では、解剖学的構造DV選択の第1のセット142は、単一またはブリッジの選択を含み、解剖学的構造DV選択の第2のセット144は、修復タイプ、例えばカスタムアバットメントを含み、解剖学的構造DV選択の第3のセット146は、出力を含み、解剖学的構造DV選択の第4のセット148は、例えばコバルト-クロム合金から解剖学的構造を形成する材料を含み、解剖学的構造DV選択の第5のセット150は、解剖学的構造の材料の色を含む。
【0077】
[0087]
図6の実施形態では、治療計画140の作成に続いて、底部部分152の作成またはモデリングは、底部DV選択154、155、156、158、160、162、164、166、168の9つの連続するセットから特徴を選択することによって形成することができる。インプラント計画122の作成および治療計画140の作成と同様に、底部DV選択の各連続するセットで利用可能な底部DV選択は、底部DV選択の各以前のセットで行われたDV選択によって制限される。
図6の実施形態では、最初の5つのDV選択は底部部分152のインプラント担持設計サイクルをアドレス指定し、最後の4つのDV選択は底部部分152の歯担持設計サイクルをアドレス指定する。底部DV選択の第1のセット154は、提供者、接続、材料などの他の情報の中でも、補綴構成要素、例えば構成要素グループ、構成要素(Tiベース/アバットメント)の選択を含み、底部DV選択の第2のセット155は、第1のDV選択154の補綴構成要素の回転を調整することを含み、底部DV選択の第3のセット156は、セメントギャップなどのフィッティングパラメータを含み、底部DV選択の第4のセット158は、特定の最小材料厚さを含み、底部DV選択の第5のセット160は、例えば、典型的には軟組織(歯肉)の下に位置する修復部の形状および高さなどのエマージェンスプロファイルを含み、底部DV選択の第6のセット162は、マージンラインの位置決めおよびサイズを含み、底部DV選択の第7のセット164は挿入経路の選択を含み、底部DV選択の第8のセット166は、底部部分152の歯担持部分の追加のフィッティングパラメータを含み、底部DV選択の第9のセット168は、底部部分152の歯担持部分の追加の材料厚さを含む。
【0078】
[0088]解剖学的構造の底部部分152の作成後に、解剖学的構造のシェル100の作成を実行することができる。コア172およびコネクタ174の作成および変更は、その後に続くことができる。コア172の調整は、ねじチャネルおよび保護厚さのサイズを提供するなど、様々なDV選択を含むことができる。
図6の設計8プロセスは、レビュー176で終了し、次いで、ネスティング10およびエクスポート12のステップを介してネスティング178およびエクスポート180のプロセスに進む。
【0079】
[0089]
図7の実施形態は、CCE1の傾斜したねじチャネルを有するインプラント担持ブリッジのための歯科補綴モデルの作成を提供する。
図7のCCE1は、
図6のプロセスと同様のプロセスを展開する。ただし、
図7の設計8工程は、
図6の設計8工程と異なる。
図7の実施形態では、解剖学的構造の底部182の作成は、底部DV選択184、186、188、190、192の5つの連続するセットからのDV選択によって達成される。底部DV選択の連続するセット184、186、188、190、192は、底部DV選択の連続するセット154、155、156、158、160、162、164、166、168と同じように互いに関連し、底部DV選択の第1のセット184は、補綴構成要素の選択を含み、底部DV選択の第2のセット186は、解剖学的構造の底部の回転の調整、例えば、ねじ孔半径、対称角度、最小角度、および最大角度の調整を含み、底部DV選択の第3のセット188は、フィッティングパラメータの選択を含み、底部DV選択の第4のセット190は、底部を形成する材料の厚さの調整を含み、底部DV選択の第5のセット192は、解剖学的構造の底部のエマージェンスプロファイル、例えば、保護距離、歯肉までの距離などの調整を含む。
【0080】
[0090]本開示の実施形態では、既に選択されたDVと互換性があるようにCCE1によってフィルタリングされた可能なDV選択を提示し、多くの異なるフォーマット、シーケンス、および組合せから選択するために利用可能とすることができる。例えば、以前のDV選択のセットからのDV選択に応じて、いくつかのDV選択のセットがまったく提供されない場合がある。例えば、ブリッジではなく単一が選択された場合、コネクタのDV選択のセットは制限することができ、例えば、UIから除去されてもよく、または示されているがアクセスできないか、またはアクセスできるが入力を受け入れることを望まない。別の例では、解剖学的構造に選択された材料の厚さに応じて、セメントギャップのサイズに対するDV選択のセットは、口腔状況、解剖学的構造、および以前に選択されたDVに適合するように有効値の範囲を制限する。
【0081】
[0091]UIが複数のDV、DV選択、およびDV選択のセットを一度に表示することも可能である。例えば、
図8の実施形態におけるCCE200のUIは、配向ガイド194によって示される、モデル化された口腔状況196からの別個の操作可能なデータ構造として解剖学的構造192を示す。解剖学的構造192の3D表現は、歯科補綴治療の物理的構成要素を表すために生成される。
図8に示すように、解剖学的構造192の3D表現は、口腔状況196の3D表現とは別個のデータ構造としてレンダリングすることができるが、依然として同じCCE200内に配置することができる。次いで、解剖学的構造192の3D表現は、解剖学的構造192の2つの表現および口腔状況196が互いにどのように相互作用するかを理解するために操作、スケーリング、スカルプティングなどを行うことができ、解剖学的構造196の3D表現への変更が口腔状況196とどのように相互作用するか、ならびに解剖学的構造196の1つの特徴への変更が歯科補綴治療DVのその後または以前の選択にどのように影響するかに関するリアルタイムフィードバックを提供する。
図8はまた、一度にユーザに表示されるDV選択の複数のセット、すなわち、DV選択のセットの複製202、フィッティング204、成形206、および彫刻208を示している。プロセススキャン4、セットアップ6、設計8はまた、ユーザがプロセスのどこにいるかの指示として見ることもできる。
【0082】
[0092]
図9の実施形態は、CCE200のUIが、単一またはブリッジ210のDV選択の複数のセット、修復計画212、出力214、およびDV選択治療計画218のセットの材料216を、上部口腔状況220a、閉塞口腔状況220b、および下部口腔状況220cの異なる配向と併せて表示することができることを示している。さらに、UIは、周縁部ギャップのサイズなどの数値の要求としてDV選択を提示することができ、DV選択のセットからの可能なDV選択の制限は、CCE200が受け入れる値の範囲を制限することによって実現される。
【0083】
[0093]本開示の様々な実施形態は、利用可能な情報、および口腔状況および口腔内スキャンの固有の特徴などの事例の必要性に応じて、CCE1内のステップおよびプロセスを高度な柔軟性で調整することを可能にする。
【0084】
[0094]
図10は、本明細書に開示する動作を実行するように構成することができる例示的なプロセッシングシステムのブロック図である。
図10を参照すると、処理システム320は、1つまたは複数のプロセッサ322、メモリ324、1つまたは複数の入出力(I/O)デバイス326、1つまたは複数のセンサ328、1つまたは複数のUI330、および1つまたは複数のアクチュエータ332を含むことができる。処理システム320は、本明細書に開示する各コンピューティングシステムを表すことができる。
【0085】
[0095]プロセッサ322は、各々が1つまたは複数のコアを有する1つまたは複数の別個のプロセッサを含むことができる。別個のプロセッサの各々は、同じまたは異なる構造を有することができる。プロセッサ322は、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)、1つまたは複数のグラフィック処理装置(GPU)、回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、デジタル信号プロセッサ(DSP)などを含むことができる。プロセッサ322は、共通の基板または複数の異なる基板に取り付けることができる。
【0086】
[0096]プロセッサ322は、少なくとも、別個のプロセッサのうちの1つまたは複数が機能、方法、または動作を具現化する動作を実行することができるときに、特定の機能、方法、または動作(例えば、機能、方法、または動作の実行を提供するように構成される)を実行するように構成される。プロセッサ322は、例えば、メモリ324に記憶されたコード(例えば、スクリプトの解釈)を実行すること、および/または1つもしくは複数のASICを介してデータをトラフィッキングすることによって、機能、方法、または動作を具現化する動作を実行することができる。プロセッサ322、したがって処理システム320は、本明細書に開示した任意のおよびすべての機能、方法、および動作を自動的に実行するように構成することができる。したがって、処理システム320は、本明細書に記載のプロトコル、デバイス、機構、システム、および方法のいずれか(例えば、すべて)を実装するように構成することができる。
【0087】
[0097]例えば、本開示が、方法またはデバイスがプロセス、ステップ、またはタスク「X」を実行する(またはタスク「X」が実行される)と述べている場合、そのような記述は、処理システム320をタスク「X」を実行するように構成することができることを開示すると理解されるべきである。処理システム320は、少なくともプロセッサ322がそれを行うように構成されている場合に、機能、方法、または動作を行うように構成される。
【0088】
[0098]メモリ324は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、およびデータを記憶することができる任意の他の媒体を含むことができる。揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および任意の他のタイプのメモリの各々は、複数の異なる位置に配置され、各々が異なる構造を有する複数の異なるメモリデバイスを含むことができる。メモリ324は、リモートホスト(例えば、クラウド)ストレージを含むことができる。
【0089】
[0099]メモリ324の例は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROMなどの非一時的コンピュータ可読媒体、DVD、Blu-Ray(登録商標)ディスクなどの任意の種類の光学記憶ディスク、磁気記憶装置、ホログラフィックストレージ、HDD、SSD、命令またはデータ構造の形態でプログラムコードを記憶するために使用することができる任意の媒体などを含む。本明細書で説明される方法、機能、および動作のいずれかおよびすべては、メモリ324に保存された有形および/または非一時的な機械可読コード(例えば、解釈可能なスクリプト)の形態で完全に実施することができる。
【0090】
[0100]入出力デバイス326は、ポート、アンテナ(すなわち、送受信機)、印刷された導電性経路など、データを輸送するための任意の構成要素を含むことができる。入出力デバイス326は、USB(登録商標)、DisplayPort(登録商標)、HDMI(登録商標)、Ethernet(登録商標)などの有線通信が可能である。入出力デバイス326は、適切なメモリ324との電子的、光学的、磁気的、およびホログラフィック通信を可能にすることができる。入出力デバイス326は、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、セルラー(例えば、LTE(登録商標)、CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、WiMax(登録商標)、NFC(登録商標))、GPSなどによる無線通信が可能である。入出力デバイス1206は、有線および/または無線通信経路を含むことができる。
【0091】
[0101]UI330は、ディスプレイ、物理ボタン、スピーカ、マイクロフォン、キーボードなどを含むことができる。アクチュエータ332は、プロセッサ322が機械的力を制御することを可能にすることができる。
【0092】
[0102]処理システム320を分散させることができる。例えば、処理システム320のいくつかの構成要素は、遠隔ホスト型ネットワークサービス(例えば、クラウドコンピューティング環境)に存在することができ、処理システム320の他の構成要素は、ローカルコンピューティングシステムに存在することができる。処理システム320は、特定のモジュールが
図10に示す複数の特徴/機能を含むモジュール設計を有することができる。例えば、I/Oモジュールは、揮発性メモリおよび1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。別の例として、個々のプロセッサモジュールは、読み出し専用メモリおよび/またはローカルキャッシュを含むことができる。
【0093】
[0103]
図11は、本明細書に記載の動作を実行するように構成されたシステムのブロック図である。少なくとも1つまたは複数のプロセッサ336は、事例作成2、スキャン4、セットアップ6、設計8、ネスティング10、およびエクスポート12のプロセスなどの設計プロセスを実行するように構成される。さらに、プロセッサ336は、ユーザ入力、スキャン情報、クラウド接続情報などの情報を受け取り、本開示の設計プロセスを同時に動作させるように構成される。プロセッサ336は、例えば、コード(例えば、スクリプトの解釈)を実行することによって、機能、方法、または動作を具現化する動作を実行することができる。ディスプレイ338は、プロセッサの出力を表示し、ユーザに通知し、ユーザが本開示の設計プロセスと対話するのを支援するプロセッサの出力をユーザに提示するように構成される。UI340は、ユーザが対話することができる形式で情報をユーザに提示し、ユーザ入力を受け取るように構成される。UI340を介して入力を受け取ると、プロセッサ336は、ユーザ入力を処理するように構成される。
【0094】
[0104]本開示の主題は、図面および前述の説明において詳細に例示および説明されているが、そのような例示および説明は、例示的または例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明を特徴付ける本明細書でなされる任意の記述も、本発明が特許請求の範囲によって定義されるので、例示的または例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。当業者であれば、上記の異なる実施形態からの特徴の任意の組合せを含み得る以下の特許請求の範囲内で変更および修正を行うことができることが理解されよう。
【0095】
[0105]特許請求の範囲で使用される用語は、前述の説明と一致する最も広い合理的な解釈を有すると解釈されるべきである。例えば、要素を導入する際の冠詞「a」または「the」の使用は、複数の要素を除外するものとして解釈されるべきではない。同様に、「または」の列挙は包括的であると解釈されるべきであり、文脈または前述の説明からAおよびBの一方のみが意図されていることが明らかでない限り、「AまたはB」の列挙は「AおよびB」を排除しない。さらに、「A、BおよびCの少なくとも1つ」という記載は、A、BおよびCがカテゴリとして関連しているかどうかにかかわらず、A、BおよびCからなる要素の群の1つまたは複数として解釈されるべきであり、列挙された要素A、BおよびCの各々の少なくとも1つを必要とすると解釈されるべきではない。さらに、「A、Bおよび/またはC」または「A、BまたはCの少なくとも1つ」の列挙は、列挙された要素、例えばAからの任意の単数実体、列挙された要素、例えばAおよびBからの任意のサブセット、または要素A、BおよびCの全リストを含むものとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】