IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特表2024-541726電解液が注液された電池セルを移送する移送装置
<>
  • 特表-電解液が注液された電池セルを移送する移送装置 図1
  • 特表-電解液が注液された電池セルを移送する移送装置 図2
  • 特表-電解液が注液された電池セルを移送する移送装置 図3
  • 特表-電解液が注液された電池セルを移送する移送装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】電解液が注液された電池セルを移送する移送装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529877
(86)(22)【出願日】2023-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2023009843
(87)【国際公開番号】W WO2024019395
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0090528
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン ウー
(72)【発明者】
【氏名】パエ、ピョウン スン
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA10
5H028BB04
5H028BB18
5H028CC02
5H028CC08
5H028EE06
(57)【要約】
本発明は、電解液が注入されたパウチバッテリーセルを移送するための移送装置に関するものであって、上記移送装置は、パウチセルを支持する垂直ガイドに、パウチセルの重量によってパウチセルの表面を固定するグリッパーと、内部に注液された電解液の流体運動を制御する加圧部と、を備えることにより、パウチセルの移送時の電解液の流体運動を低減させ得るので、これにより発生する電極と分離膜との界面剥離、分離膜の折り畳み現象などが改善される効果に優れるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液が注入された未シーリングパウチセルを移送するための二次電池用移送装置であって、
パウチセルを移送するための移送部と、前記移送部と結合されて前記パウチセルを固定するグリッピング部と、を含み、
前記グリッピング部は、
前記パウチセルが搭載される本体と、
前記本体の上面に互いに平行に一対に垂直に配置され、前記パウチセルの両面を支持する垂直ガイドと、
前記垂直ガイドの下部に下端部が連結され、一対の前記垂直ガイドの間に挿入される前記パウチセルの重量によって作動するグリッパーと、
前記グリッパーの上端部に連結されて前記パウチセルの表面を加圧する加圧部と、を含む、二次電池用移送装置。
【請求項2】
前記加圧部は、
前記垂直ガイドの内側に位置し、前記パウチセルの表面を加圧することによって前記電解液の流体運動を制御する加圧ガイドと、
前記グリッパーの上端部と前記加圧ガイドとの間に配置される弾性部材と、を含む、請求項1に記載の二次電池用移送装置。
【請求項3】
前記垂直ガイドは上部貫通ホールを含み、
前記加圧ガイドは、前記上部貫通ホールに挿入された連結部を介して前記グリッパーの上端部と結合される、請求項2に記載の二次電池用移送装置。
【請求項4】
前記加圧ガイドは、
前記グリッピング部の前記本体と水平に配置され、前記連結部と結合される第1ガイドバーと、
前記第1ガイドバーから下方に延長された1つ以上の第2ガイドバーと、を含む、請求項3に記載の二次電池用移送装置。
【請求項5】
前記第1ガイドバーは、前記パウチセル内部に注液された前記電解液の高さと同等であるかまたは高く位置する、請求項4に記載の二次電池用移送装置。
【請求項6】
前記加圧ガイドは、前記パウチセルと相接する加圧面にエポキシ樹脂、シリコーン、スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタン、軟質PVCおよびポリプロピレン共重合体のうち1種以上を含む素材を含む、請求項2に記載の二次電池用移送装置。
【請求項7】
前記垂直ガイドは下部貫通ホールを含む、請求項1に記載の二次電池用移送装置。
【請求項8】
前記グリッパーは、
前記垂直ガイドを基準として斜線方向に前記垂直ガイドの前記下部貫通ホールに挿入され、前記垂直ガイドの内側に突出する突出部を含む第1フレームと、
前記垂直ガイドと水平になるように突出部がある前記第1フレームの他端部に折曲されるように連結され、前記第1フレームと連結された端部の他端部で前記パウチセルの上部表面を加圧する加圧部と連結される第2フレームと、を含む、請求項7に記載の二次電池用移送装置。
【請求項9】
前記突出部は、前記パウチセルと接触するように配置され、前記パウチセルとの接触または非接触時に加えられる前記パウチセルの重量変化に応じて前記第1フレームの昇降運動を具現する、請求項8に記載の二次電池用移送装置。
【請求項10】
前記突出部は、エポキシ、シリコーン、スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタン、軟質PVCおよびポリプロピレン共重合体のうち1種以上の樹脂でコーティングされた構造を有する、請求項8に記載の二次電池用移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液が注入された未シーリングパウチ電池を移送するための装置に関するものである。本出願は、2022年7月21日付の韓国特許出願第10-2022-0090528号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型電子機器などの小型装置のみならず、ハイブリッド自動車や電気自動車のバッテリーパックまたは電力貯蔵装置などの中大型装置にも二次電池が広く適用されている。
【0003】
このような二次電池は、ケース内部に電池セルおよび電解液を含んで構成される。そのうち、電池セルは、リチウムイオンの挿入および脱離が可能な材料で製作され交互に積層される負極および正極と、正極と負極が直接接触しないように正極と負極との間に挿入される分離膜で構成される。
【0004】
二次電池ケースの内部に電池セルが挿入され、電解液が注入された後は、ケースの側面部分をシーリングするなどの追加工程のために、二次電池をキャリア内に収納した後に所望の地点に移送する。このような二次電池の収納および移送は自動化により行われる。
【0005】
このとき、電解液が注入された二次電池は、移送過程でキャリアの移動と停止に伴ってスロッシング(sloshing)などの内部電解液の流体運動が発生する。このような電解液の流体運動は、電極と分離膜との界面を剥離したり、分離膜が電極内に折り畳まれたりする現象を発生させる。このような電極と分離膜との界面剥離や分離膜の折り畳みは、負極の外部露出による短絡不良などを誘導し、これにより電池の発火など安全性低下をもたらすという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0027689号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2021-0011261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、電解液が注入された二次電池のシーリング前移送時の電解液の流体運動による分離膜の界面剥離や折り畳み現象を防止し得る電池セル移送装置およびそれを用いた電池セルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述された問題を解決するために、
本発明は一実施形態において、
電解液が注入された未シーリングパウチセルを移送するための二次電池用移送装置であって、
パウチセルを移送するための移送部と、上記移送部と結合されてパウチセルを固定するグリッピング部と、を含み、
上記グリッピング部は、パウチセルが搭載される本体と、上記本体上面に互いに平行に一対に垂直に配置され、パウチセルの両面を支持する垂直ガイドと、上記垂直ガイドの下部に下端部が連結され、一対の垂直ガイドの間に挿入されるパウチセルの重量によって作動するグリッパーと、上記グリッパーの上端部に連結されてパウチセルの表面を加圧する加圧部と、を含む二次電池用移送装置を提供する。
【0009】
このとき、上記加圧部は、垂直ガイドの内側に位置し、パウチセルの表面を加圧することによって電解液の流体運動を制御する加圧ガイドと、グリッパーの上端部と上記加圧ガイドとの間に配置される弾性部材と、を含み得る。
【0010】
また、上記垂直ガイドは上部貫通ホールを含み、加圧ガイドは、上記上部貫通ホールに挿入された連結部を介してグリッパーの上端部と結合され得る。
【0011】
また、上記加圧ガイドは、グリッピング部の本体と水平に配置され、連結部と結合される第1ガイドバーと、上記第1ガイドバーから下方に延長された1つ以上の第2ガイドバーと、を含み得る。
【0012】
ここで、上記第1ガイドバーは、パウチセル内部に注液された電解液の高さと同等であるかまたは高く位置し得る。
【0013】
また、上記加圧ガイドは、パウチセルの表面損傷を防止するためにパウチセルと相接する加圧面にエポキシ樹脂、シリコーン、スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタン、軟質PVCおよびポリプロピレン共重合体のうち1種以上を含む素材を含み得る。
【0014】
一方、上記垂直ガイドは、下部貫通ホールを含み得る。
【0015】
また、上記グリッパーは、垂直ガイドを基準として斜線方向に垂直ガイドの下部貫通ホールに挿入され、垂直ガイドの内側に突出する突出部を含む第1フレームと、垂直ガイドと水平になるように突出部がある上記第1フレームの他端部に折曲されるように連結され、第1フレームと連結された端部の他端部でパウチセルの上部表面を加圧する加圧部と連結される第2フレームと、を含み得る。
【0016】
また、上記突出部は、パウチセルと接触するように配置され、パウチセルとの接触または非接触時に加えられるパウチセルの重量変化に応じて第1フレームの昇降運動を具現し得る。
【0017】
このとき、上記突出部は、挿入されたパウチセルの表面損傷を防止するために、エポキシ樹脂、シリコーン、スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタン、軟質PVCおよびポリプロピレン共重合体のうち1種以上でコーティングされた構造を有し得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る移送装置は、パウチセルを支持する垂直ガイドに、パウチセルの重量によってパウチセルの表面を固定するグリッパーと、内部に注液された電解液の流体運動を制御する加圧部と、を備えることにより、パウチセルの移送時の電解液の流体運動を低減させ得るので、これにより発生する電極と分離膜との界面剥離、分離膜の折り畳み現象などが改善される効果に優れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の電解液が注入されたパウチセルの移動時に使用される移送装置のグリッピング部を示す斜視図である。
図2】本発明に係る移送装置の構成を示す平面図である。
図3】パウチセルが挿入されたか否かによる本発明の移送装置の構造を示す断面図である。
図4】本発明に係る加圧ガイドの例示を示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有し得るので、特定の実施形態を詳細な説明に詳細に説明する。
【0021】
しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0022】
本発明において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。
【0023】
また、本発明において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あると記載された場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あると記載された場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0024】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0025】
<移送装置>
本発明は一実施形態において、
パウチセルを移送するための移送部と、上記移送部と結合されてパウチセルを固定するグリッピング部と、を含み、
上記グリッピング部は、パウチセルが搭載される本体と、上記本体上面に互いに平行に一対に垂直に配置され、パウチセルの両面を支持する垂直ガイドと、上記垂直ガイドの下部に下端部が連結され、一対の垂直ガイドの間に挿入されるパウチセルの重量によって作動するグリッパーと、上記グリッパーの上端部に連結されてパウチセルの表面を加圧する加圧部と、を含む二次電池用移送装置を提供する。
【0026】
本発明に係る移送装置は、二次電池の製造時の工程間移送に使用されるものであって、具体的には、パウチ状の二次電池の組立過程で電極組立体が挿入されたパウチに電解液を注入し、未シーリングした状態で移送する場合に使用されるものであり得る。
【0027】
図1は、従来の移送装置を概略的に示す斜視図である。図1を参照すると、従来の移送装置1は、下部でパウチセルE-PCを支持しながら、支持されたパウチセルE-PCを移動させる本体10を含み、上記本体10の上面にパウチセルE-PCの両面を支持して固定する一対の垂直ガイド20が配置された構造を有する。このような移送装置1は、パウチセルE-PCを移動させるのに有用であるが、パウチセルの移動により発生するパウチセル内部の電解液の流体運動、すなわち、電解液のスロッシング(sloshing)を抑制するのに限界がある。
【0028】
しかしながら、本発明に係る移送装置は、電解液が注入された未シーリングパウチセルを支持する垂直ガイドにパウチセルの重量によってパウチセルの両面を固定しながら、内部に注液された電解液の流体運動を制御する加圧ガイドを含むグリッパーを備えてパウチセル内の電解液の流体運動を制御し得る。より具体的には、図2および図3は、本発明に係る移送装置の構造を概略的に示す平面図および断面図である。図2および図3を参照すると、本発明に係る移送装置100は、パウチセルを移送するための移送部(図示せず)と、上記移送部と結合されてパウチセルを固定するグリッピング部100と、を含む。上記グリッピング部100は、パウチセルが搭載される本体110と、上記本体100上面に互いに平行に一対に垂直に配置され、パウチセ ルE-PCの両面を支持する垂直ガイド120と、上記垂直ガイド120の下部に下端部が連結され、一対の垂直ガイド120の間に挿入されるパウチセルE-PCの重量によって作動するグリッパー130と、上記グリッパー130の上端部に連結されてパウチセルE-PCの表面を加圧する加圧部140と、を含む。
【0029】
ここで、上記本体110と垂直ガイド120は、電解液が注入された未シーリングパウチセルE-PCを長手方向に支持して垂直に立てられた状態で移送されるようにする役割を果たす。このために、上記本体110は、パウチセルE-PCの下部に位置してパウチセルE-PCを支持すると同時に、パウチセルを移送するためにコンベヤベルトおよび上記コンベヤベルトを回転させる駆動ローラーなどを含む移送部(図示せず)と締結され、上部に支持されたパウチセルを移送する構造を有し得る。上記本体110は、パウチセルE-PCの下部で上記セルを支持し、移送部と締結される形態であれば特に制限されずに適用され得る。
【0030】
また、上記垂直ガイド120は、上記本体110の上面に左右一対に配置され得る。左右一対の垂直ガイド120は、それらの間に上部が開放され、下部は遮断された形態の収納空間を形成し得る。上記収納空間には、パウチセルE-PCが収納されて支持され得る。ここで、上記垂直ガイド120は、パウチセルE-PCを支持し得る構造であれば特に制限されるものではない。
【0031】
一つの例として、上記垂直ガイド120は、図2および図3に示すように、一対の垂直バー(vertical bar)の形態を有し得る。この場合、パウチセルE-PCの収納時にパウチセルの表面に密接し、かつパウチセル内部に注入された電解液が外部に漏れないようにパウチセルの表面を加圧しない程度に離隔した形態を有し得る。また、上記垂直バー(vertical bar)は、パウチセルE-PCの移送時の電池の揺れを低減させるために複数の対、具体的には2対以上、より具体的には2対~5対、または2対~4対が本体110の上面に設けられ得る。
【0032】
他の一つの例として、上記垂直ガイド120は、一対の隔板(diaphragm)の形態を有し得る。この場合、上記隔板は、パウチセルE-PCの両面中央に配置され得る。
【0033】
また、上記垂直ガイド120は、移送時にパウチセルE-PCが垂直に立てられるように支持し、支持されたパウチセルE-PCの内部に注液された電解液Eの流体運動を低減させるための構成、具体的には、グリッパー130と加圧部140が連結された構造を有する。
【0034】
上記グリッパー130は、移送時に電解液が注液されたパウチセルE-PC自体の揺れを最小化し得るようにパウチセルの表面を固定する役割を果たす。このとき、上記グリッパー130は、下端部が垂直ガイド120の下部と連結され、パウチセルE-PCの挿入時に挿入されたパウチセルE-PCの重量によって作動することになる。このために、図3に示すように、垂直ガイド120は、挿入されたパウチセルE-PCとグリッパー130が接触され得るように下部貫通ホール121を含み得る。具体的には、上記グリッパー130は、垂直ガイド120を基準として斜線方向に上記下部貫通ホール121に挿入される第1フレーム130aと、垂直ガイド120と平行になるように垂直ガイド120の外側で第1フレーム130aと折曲されるように連結され、第1フレームと連結された端部の他端で加圧部140と連結される第2フレーム130bと、を含み得る。
【0035】
ここで、上記第1フレーム130aは、垂直ガイド120の下部に設けられた下部貫通ホール121に垂直ガイド120を基準として斜線方向に挿入され、垂直ガイド120の内側に端部が所定の長さほど突出し得る。このように突出した端部、すなわち突出部131は、垂直ガイド120の内側に挿入されるパウチセルE-PCの重量によって昇降運動を行い得、これにより、グリッパー130の上端部の左右運動によりパウチセルE-PCを固定し得る。
【0036】
一つの例として、上記突出部131は図3の(b)に示すように、パウチセルE-PCがグリッピング部100に挿入される場合には、パウチセルE-PCの下端または下部が接触され得、接触されたパウチセルE-PCの重量により押されて下降運動を行い得る。上記突出部131の下降運動は、突出部が設けられた第1フレーム130aの他端部、すなわち、第2フレーム130bとの連結部の上昇運動を誘導し得る。このような上昇運動は、垂直ガイド120の内側に第2フレーム130bの左右運動を誘導し、パウチセルE-PCの表面を加圧および/または固定し得る。
【0037】
それとは逆に、上記突出部131は図3の(a)に示すように、パウチセルE-PCがグリッピング部100から除去される場合には、下端または下部に加えられたパウチセルE-PCの重量がなくなって上昇運動を行い得る。このような突出部131の上昇運動は、突出部が設けられた第1フレーム130aの他端部、すなわち、第2フレーム130bとの連結部の下降運動を誘導し得る。上記下降運動は、垂直ガイド120の外側に第2フレーム130bの左右運動を誘導し、パウチセルE-PCの表面に加えられる圧力および/または固定を除去し得る。
【0038】
一方、上記突出部131は、接触されたパウチセルE-PCの表面損傷を防止するために、端部がパウチセルE-PCの挿入方向に沿ってテーパー状を有しながら丸くラウンディング処理され得る。また、場合によっては、エポキシ、シリコーン、スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタン、軟質PVCおよびポリプロピレン共重合体のうち1種以上の樹脂で端部表面がコーティングされた形態を有し得る。上記樹脂は弾性力を有するので、突出部とパウチセルE-PCとの接触時の表面損傷を最小化し得る。
【0039】
さらに、上記加圧部140は、グリッパー130の第2フレーム130bの上端部に設けられ、上記第2フレーム130bの左右運動に応じてパウチセルE-PCの表面を加圧し得る。これにより、パウチセルE-PC内部に存在する電解液の流体運動を制御する役割を果たし得る。
【0040】
このために、上記加圧部140は、垂直ガイドの内側に位置してパウチセルE-PC表面を加圧して固定し、セル内部の電解液Eの流体運動を制御する加圧ガイド142と、グリッパー上端部、具体的には第2フレーム130bの上端部と上記加圧ガイド142との間に配置される弾性部材141と、を含み得る。
【0041】
ここで、上記垂直ガイド120は、垂直ガイド120の外側に位置するグリッパー130と、垂直ガイド120の内側に位置する加圧ガイド142を結合するために、上部貫通ホール122を含み得る。また、上記加圧ガイド142は、上記貫通ホール122に挿入された連結部を介してグリッパー130の上端部、具体的には第2フレーム130bの上端部と結合され得る。このとき、上記連結部は、弾性部材141が導入された形態を有し得る。上記弾性部材141は、グリッパー130と加圧ガイド142との間に配置された連結部に設けられ、グリッパー130に備えられた第2フレーム130bの左右運動時に加圧ガイド142に圧力が直接的に加えられて、挿入されたパウチセルE-PCの損傷を防止する一方、加えられた圧力による弾性力を加圧ガイド142に加えることにより、パウチセルE-PCを強固に固定し得る。
【0042】
また、上記加圧ガイド142は、第2フレーム130bの左右運動に応じてグリッパー130がパウチセルE-PCの表面を固定するときにパウチセルE-PCの表面を加圧する動作を行う。
【0043】
このような加圧動作は、加圧ガイド142が相接する領域におけるパウチとパウチ内部の電極組立体Sとの間隔を最小化し得る。これにより、上記加圧ガイド142は、パウチセルE-PCの移動時にパウチ内部で電極組立体Sに含浸されない残留電解液Eがスロッシング(sloshing)などの流体運動を誘導することを抑制し得る。
【0044】
このとき、上記加圧ガイド142は、グリッピング部100の本体110と水平に配置され、弾性部材141を含む連結部と連結される第1ガイドバー142aと、上記第1ガイドバー142aから下方に延長された1つ以上の第2ガイドバー142bと、を含み得る。
【0045】
上記第1ガイドバー142aは、パウチセルE-PCの内部に存在する電解液Eの垂直方向への動きを制御する役割を果たし得、パウチセルE-PCが移送されない時の電解液の高さと同等であるかまたは高い高さに位置し得る。これにより、上記第1ガイドバー142aは、移送時のパウチセルE-PC内部の電解液Eの溢れを防止し得、同時に移送時に露出する電極組立体Sの側面部の損傷を最小化し得る。
【0046】
また、上記第1ガイドバー142aは、中心部にグリッパーの第2フレーム130bと連結される弾性部材141が配置され得る。この場合、上記第1ガイドバー142aは、弾性部材141を介して加えられる力がガイドバー全体に均等に分配され得るので、パウチセルE-PCの表面損傷なしに電解液Eの流体運動を容易に制御し得る。
【0047】
また、上記第2ガイドバー142bは、第1ガイドバー142aの下方に延長され、加圧ガイド142の加圧時にパウチセルE-PCの内部に存在する電解液Eの水平方向への動きを制御するバリアとしての役割を果たし得る。このとき、上記第2ガイドバー142bは、第1ガイドバー142aから1つ以上が延長された形態を有し得、具体的には1つ~5つ、1つ~3つ、または2つ~4つが延長された形態を有し得る。
【0048】
一つの例として、本発明に係る加圧ガイド242は、図4の(a)~(c)に示すように、第1ガイドバー142aから1つ~3つの第2ガイドバー142bが下方に延長されてT字型、n字型、m字型などの形状を有し得る。
【0049】
さらに、上記加圧ガイドは、本体上に2対以上の垂直ガイドが存在する場合に、それぞれの垂直ガイドに備えられたグリッパーに連結され得、このとき連結された加圧ガイドは、隣接する加圧ガイドと結合された形態を有し得る。
【0050】
一つの例として、本発明に係る加圧ガイド242は、本体上に2対の垂直ガイドが存在する場合に、弾性部材241を介して各垂直ガイドに備えられたグリッパーに個別的に連結され得る。連結された加圧ガイド242は、図4の(d)に示すように、隣接する加圧ガイド242と結合された形態を有し得る。
【0051】
この場合、上記加圧ガイド242は、パウチセルE-PCに注液された電解液Eの流体運動、特に電極組立体Sの縁で発生する電解液Eの流体運動をより効果的に制御し得る。これにより、電極組立体Sに含まれた分離膜の折り畳みおよび損傷を最小化し得る。
【0052】
また、上記加圧ガイド142は、パウチセルE-PCと相接する加圧面に弾性力を有する素材を含み得る。具体的には、上記加圧ガイド142は、パウチセルE-PCの表面損傷を最小化するために表面と相接する加圧面に弾性力を有する素材で構成されるシート、パッド、フィルムなどが設けられ得る。上記素材としては弾性力を有するものであれば特に制限されるものではないが、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン、スチレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタン、軟質PVCおよびポリプロピレン共重合体のうち1種以上を含み得る。
【0053】
一方、上記弾性部材141は、グリッパー130の第2フレーム130bと加圧ガイド142との間、より具体的には、第2フレーム130bと加圧ガイド142との間に位置する連結部に導入され得る。これにより、上記弾性部材141は、垂直ガイド120の内側に挿入されたパウチセルE-PCの重量による第2フレーム130bの左右移動時に弾性力を付与し得るので、加圧ガイド142がパウチセルE-PCの表面をより強固に固定するようにすると同時に、過度な圧力によるパウチセルE-PCの表面損傷を防止し得る。
【0054】
一つの例として、上記弾性部材141は、図3に示すように、一対の垂直ガイド120の間にパウチセルE-PCが挿入されると、パウチセルE-PCの重量により第1フレーム130aの突出部131が下降し得る。このとき、第2フレーム130bの上端部が左右運動を介して垂直ガイド120の内側方向に動くことになる。また、上記第2フレーム130bの上端部と加圧ガイド142との間に位置する弾性部材141は、収縮により挿入されたパウチセルE-PCをより強固に固定し得る。
【0055】
また、上記弾性部材141は、第2フレーム130bと加圧ガイド142との間で収縮と膨張により弾性力を付与し得るものであれば特に制限されるものではないが、具体的にはスプリング、弾性発泡体、弾性構造体などを含み得る。
【0056】
本発明に係る移送装置は、上述された構成を有することにより、パウチセル内部の電解液の流体運動量を低減させ得る。したがって、上記移送装置は、電解液の流体運動により発生する電極と分離膜との界面剥離、分離膜の折り畳み現象などを低減させ得るので、それによる内部短絡不良、電池発火など電池安全性を向上させ得るという利点がある。
【0057】
<パウチセルの移動方法>
また、本発明は一実施形態において、
上述された本発明に係る移送装置を用いるパウチセルの移動方法を提供する。
【0058】
具体的には、上記パウチセルの移動方法は、電解液注入前、電池パウチに電極組立体が挿入されたパウチセルを本発明に係る移送装置に装着し、パウチセルが装着された移送装置を作動させて電解液注入工程およびパウチセルシーリング工程のために移動を行い得る。
【0059】
本発明に係るパウチセルの移動方法は、本発明の移送装置を用いて移動時に発生するパウチセル内の電解液のスロッシング(sloshing)現象を規制し得るので、電解液が注入された未シーリングパウチセルの移動時に内部で発生する電極と分離膜との界面剥離、分離膜の折り畳み現象などを防止し得る。
【0060】
以下、本発明を実施例および実験例によってより詳細に説明する。
【0061】
ただし、下記実施例および実験例は本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記実施例および実験例に限定されるものではない。
【0062】
<実施例および比較例>
電池パウチに電極組立体が挿入された未シーリングパウチセルを用意し、用意されたパウチセルを移送装置に装着した。その後、パウチセルが装着された移送装置を用いて電解液注入装置にパウチセルを移動させ、パウチセル内に電解液を注入した。その後、移送装置を用いて未シーリング状態のパウチセルをパウチシーリング機まで移動させ、移動されたパウチセルから電極組立体と電解液を分離して分離膜の折り畳み発生の有無を確認し、電解液の損失量を測定した。このような過程を100回繰り返し行って分離膜の折り畳み発生率と電解液の損失発生率を算出し、その結果を表1に示した。
【0063】
このとき、各パウチセルの移動に使用された移送装置としては、表1に示すように、図1または図2の構造を有するグリッピング部を備えるものを使用し、図2の構造を有するグリッピング部を備える場合に加圧ガイドの形態は図4に示す形態に調節された。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、本発明に係る移送装置は、電解液が注入された未シーリングパウチセルの電解液スロッシング(sloshing)などの流体運動が低減され、分離膜の折り畳み現象や電解液の損失などが改善されることが分かる。
【0066】
以上では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者または当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲に記載された本発明の思想および技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更させ得ることを理解し得るだろう。
【0067】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の発明の概要に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0068】
1:従来の移送装置 100:グリッピング部
10、110:本体 20、120:垂直ガイド
121:下部貫通ホール 122:上部貫通ホール
130:グリッパー 130a:第1フレーム
130b:第2フレーム 131:突出部
140および240:加圧部 141、241:弾性部材
142、242:加圧ガイド 242a:第1ガイドバー
242b:第2ガイドバー
E-PC:電解液が注入された未シーリングパウチセル
SD:パウチセルの移動方向/移送装置の移動方向
E:電解液
S:電極組立体
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】