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特表2024-541730多成分スペーサおよびハイドロダイセクション溶液を送達するデバイス、システム、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】多成分スペーサおよびハイドロダイセクション溶液を送達するデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20241101BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A61M5/158 500
A61M5/158 500D
A61M5/158 500F
A61M5/158 500H
A61M5/145 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530502
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2021060570
(87)【国際公開番号】W WO2023096630
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ベイル,ディラン
(72)【発明者】
【氏名】アディソン,ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】モーリー,ニック
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターステイン,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ストーム,ヘザー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA03
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066EE14
4C066FF04
4C066HH02
4C066HH12
(57)【要約】
送達デバイス、ならびにそれを組み込んだシステム、およびそれを使用する方法が開示される。針組立体は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、および補助ポートを有するハブと、注射針組立体とを含む。注射針組立体は、ハブから遠位方向に延在する細長い中空スタイレットを含み、細長い中空スタイレットは、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、外管腔内に配設され第1の入口ポートと流体結合された中間管腔を画定する第1の内側壁と、中間管腔内に配設され第2の入口ポートと流体結合された内管腔を画定する第2の内側壁と、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合された混合室とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入口ポート、第2の入口ポート、および補助ポートを備えるハブと、
注射針組立体と、を備える針組立体であって、
前記注射針組立体は、
前記ハブから遠位方向に延在し、前記ハブのところの近位部分と前記近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有する細長い中空スタイレットを備え、
前記細長い中空スタイレットは、
前記近位部分から前記遠位部分へ延在し、前記補助ポートと流体結合された外管腔を画定する、外側壁と、
前記近位部分から前記遠位部分へ延在し、前記外管腔が中間管腔を取り囲むように前記外管腔内に配設された前記中間管腔を画定する、第1の内側壁であって、前記中間管腔が前記第1の入口ポートと流体結合されている、第1の内側壁と、
前記近位部分から前記遠位部分へ延在し、前記中間管腔が内管腔を取り囲むように前記中間管腔内に配設された前記内管腔を画定する、第2の内側壁であって、前記内管腔が前記第2の入口ポートと流体結合されている、第2の内側壁と、
前記細長い中空スタイレットの前記遠位部分に配設された混合室であって、前記外管腔、前記中間管腔、および前記内管腔と流体結合されている、混合室と、を備える、針組立体。
【請求項2】
前記細長い中空スタイレットの前記遠位部分の前記混合室が、前記細長い中空スタイレットの周方向に延在する少なくとも1つの側部ポートを備える、請求項1に記載の針組立体。
【請求項3】
前記細長い中空スタイレットの前記遠位部分の前記混合室が、前記細長い中空スタイレットの周方向に延在する、前記遠位部分における少なくとも2つの長手方向に離隔された側部ポートを備える、請求項1または2に記載の注射針組立体。
【請求項4】
前記細長い中空スタイレットの前記遠位部分の前記混合室が、前記細長い中空スタイレットの周方向に延在する、前記遠位部分における少なくとも3つの側部ポートを備える、請求項1に記載の注射針組立体。
【請求項5】
前記混合室が、前記注射針組立体の前記遠位部分に位置する少なくとも1つの先端ポートを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項6】
前記細長い中空スタイレットの遠位端が前記内管腔、前記中間管腔、および前記外管腔の遠位方向の範囲を終わらせる鈍い先端である、請求項1から4のいずれか一項に記載の注射針組立体。
【請求項7】
前記注射針組立体が閉じられたスタイレット針先端を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項8】
前記ハブが、前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートの周りに配設された少なくとも1つの封止部をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの封止部がOリングまたはスタジアム形状封止部である、請求項8に記載の針組立体。
【請求項10】
前記ハブが、前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートから径方向外側に配設された1つまたは複数の封止部収容突起をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項11】
前記ハブが、前記ハブを二室式アプリケータに連結するような形状およびサイズに形成されたコネクタを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項12】
前記コネクタが四半回転コネクタである、請求項11に記載の針組立体。
【請求項13】
前記コネクタが、前記第1の入口ポートおよび前記第2の入口ポートを前記二室式アプリケータの排出ポートと整列させるような形状およびサイズにさらに形成されている、請求項11に記載の針組立体。
【請求項14】
前記補助ポートが、補助アプリケータと結合されるような形状およびサイズに形成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項15】
前記外管腔が、前記中間管腔および前記内管腔のうちの少なくとも一方と同心である、請求項1から14のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項16】
前記中間管腔が前記内管腔と同心である、請求項1から14のいずれか一項に記載の針組立体。
【請求項17】
流体送達システムであって、
互いに別個の2つの室を備える二室式アプリケータであって、各室がその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを備える、二室式アプリケータと、
請求項1から16のいずれか一項に記載の注射針組立体と
を備える、流体送達システム。
【請求項18】
前記補助ポートを介して前記注射針組立体と流体結合される補助アプリケータをさらに備える、請求項17に記載の流体送達システム。
【請求項19】
流体送達システムであって、
互いに別個の2つの室を備える二室式アプリケータであって、各室がその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを備える、二室式アプリケータと、
注射針組立体と、を備え、
前記注射針組立体は、
ハブであって、
前記二室式アプリケータの前記2つの室の各々の前記少なくとも1つの排出ポートと整列させられる第1の入口ポートおよび第2の入口ポートと、
補助ポートと
を備える、ハブと、
前記ハブから遠位方向に延在し、前記ハブのところの近位部分と前記近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有する細長い中空スタイレットと、を備え、
前記細長い中空スタイレットは、
前記近位部分から前記遠位部分へ延在し、前記補助ポートと流体結合された外管腔を画定する、外側壁と、
前記近位部分から前記遠位部分へ延在し、前記外管腔が中間管腔を取り囲むように前記外管腔内に配設された前記中間管腔を画定する、第1の内側壁であって、前記中間管腔が前記第1の入口ポートと流体結合されている、第1の内側壁と、
前記近位部分から前記遠位部分へ延在し、前記中間管腔が内管腔を取り囲むように前記中間管腔内に配設された前記内管腔を画定する、第2の内側壁であって、前記内管腔が前記第2の入口ポートと流体結合されている、第2の内側壁と、
前記細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された混合室であって、前記外管腔、前記中間管腔、および前記内管腔と流体結合されている、混合室と、を備える、流体送達システム。
【請求項20】
前記補助ポートを介して前記注射針組立体と流体結合される補助アプリケータをさらに備える、請求項19に記載の流体送達システム。
【請求項21】
流体送達システムであって、
近位端と前記近位端から長さを隔てた遠位端とを有し、前記近位端に配設されたハブを備える注射針組立体を備え、前記ハブが、
前記注射針組立体の前記長さにわたって延在する第1の管腔に流体結合された、第1の入口ポートと、
前記注射針組立体の前記長さにわたって延在する第2の管腔に流体結合された、第2の入口ポートであって、前記第2の管腔が前記第1の管腔から分離されている、第2の入口ポートと、
前記注射針組立体の前記長さにわたって延在する第3の管腔に流体結合された、補助ポートであって、前記第3の管腔が前記第1の管腔および前記第2の管腔から分離されている、補助ポートと
を備え、
前記流体送達システムは、さらに、
二室式アプリケータであって、
前記ハブの前記第1の入口ポートと整列させられる第1の排出ポートを有する、第1の室と、
前記第1の室とは別個の第2の室であって、前記ハブの前記第2の入口ポートと整列させられる第2の排出ポートを有する、第2の室と
を備える、二室式アプリケータと、
前記ハブの前記補助ポートと流体結合される、補助アプリケータと
を備える、流体送達システム。
【請求項22】
対象に流体を送達する方法であって、
流体送達システムの注射針組立体の遠位端を前記対象の標的区域に挿入するステップであって、前記流体送達システムが、ハブを介して流体結合された二室式アプリケータおよび補助アプリケータ、ならびに細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された遠位混合室への3つの別個の流路を画定する前記細長い中空スタイレットを備える、挿入するステップと、
前記3つの別個の流路のうちの第1の流路を介して前記補助アプリケータ内の第1の流体を前記標的区域に送達させて空間を作成するステップと、
前記3つの別個の流路のうちの第2の流路および第3の流路を介して前記二室式アプリケータ内の2つの前駆材料を前記空間に送達させて混合させるステップであって、前記2つの前駆材料を混合することにより前記空間内にハイドロゲルが形成される、混合させるステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記標的区域から前記注射針組立体を取り除くステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に成分送達システムに関し、より詳細には、複数の成分を送達するためのデバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]前立腺がんは、男性が診断される皮膚がん以外のがんの中で最も一般的ながんである。放射線療法は前立腺がんに対する優れた治療選択肢である。しかし、放射線への暴露は腸に副作用を引き起こすおそれがある。
【0003】
[0003]ハイドロゲルスペーサが、腸(直腸)と前立腺との間に空間を提供することによって腸の損傷を軽減するかまたは最小化するために使用されてもよい。加えて、ハイドロゲルスペーサは、泌尿器の症状および性的な症状を軽減するかまたは最小化するためにも使用されてもよい。
【0004】
[0004]しかし、そのようなスペーサを配置するとき、スペーサの配置前に空間をハイドロダイセクションする必要が生じる場合がある。このステップは、スペーサを送達する装置とは別個のダイセクションを行うための追加の構成要素またはデバイスを典型的には必要とする。加えて、このステップは通常、追加の穿刺および/または挿入を伴うため、結果として合併症が増加するおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一態様において、針組立体は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、および補助ポートを有するハブと、注射針組立体とを含む。注射針組立体は、ハブから遠位方向に延在する細長い中空スタイレットを含む。細長い中空スタイレットは、ハブのところの近位部分と、近位部分から距離を隔てた遠位部分とを含む。細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁をさらに含む。細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、外管腔が中間管腔を取り囲むように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁をさらに含む。中間管腔は第1の入口ポートと流体結合されている。細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が内管腔を取り囲むように中間腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁をさらに含む。内管腔は第2の入口ポートと流体結合されている。細長い中空スタイレットは、細長い中空スタイレットの遠位部分に配設された混合室をさらに含む。混合室は、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されている。
【0006】
[0006]別の態様において、流体送達システムは、互いに別個の2つの室を有する二室式アプリケータを含み、各室はその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを含む。流体送達システムは注射針組立体をさらに含む。注射針組立体は、二室式アプリケータの2つの室の各々の少なくとも1つの排出ポートと整列される第1の入口ポートおよび第2の入口ポートと、補助ポートとを有する、ハブを含む。注射針組立体は、ハブから遠位方向に延在する細長い中空スタイレットをさらに含む。細長い中空スタイレットは、ハブのところの近位部分と、近位部分から距離を隔てた遠位部分とを含む。細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁をさらに含む。細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、外管腔が中間管腔を取り囲むように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁をさらに含む。中間管腔は第1の入口ポートと流体結合されている。細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が内管腔を取り囲むように中間腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁をさらに含む。内管腔は第2の入口ポートと流体結合されている。細長い中空スタイレットは、細長い中空スタイレットの遠位部分に配設された混合室をさらに含む。混合室は、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されている。
【0007】
[0007]さらなる別の態様において、流体送達システムは、近位端と近位端から長さを隔てた遠位端とを有する注射針組立体を含む。注射針組立体は近位端に配設されたハブを含む。ハブは、注射針組立体の長さにわたって延在する第1の管腔に流体結合された第1の入口ポートと、注射針組立体の長さにわたって延在する第2の管腔に流体結合された第2の入口ポートであって、第2の管腔が第1の管腔から分離されている第2の入口ポートと、注射針組立体の長さにわたって延在する第3の管腔に流体結合された補助ポートであって、第3の管腔が第1の管腔および第2の管腔から分離されている補助ポートとを含む。流体送達システムは、ハブの第1の入口ポートと整列させられる第1の排出ポートを有する第1の室、および第1の室とは別個の第2の室であって、ハブの第2の入口ポートと整列させられる第2の排出ポートを有する第2の室を有する二室式アプリケータと、ハブの補助ポートと流体結合される補助アプリケータと、をさらに含む。
【0008】
[0008]さらなる別の態様において、対象に流体を送達する方法が、流体送達システムの注射針組立体の遠位端を対象の標的区域に挿入するステップを含む。流体送達システムは、ハブを介して流体結合された二室式アプリケータおよび補助アプリケータ、ならびに細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された遠位混合室への3つの別個の流路を画定する細長い中空スタイレットを備える。上記方法は、3つの別個の流路のうちの第1の流路を介して補助アプリケータ内の第1の流体を標的区域に送達させて空間を作成するステップをさらに含む。上記方法は、3つの別個の流路のうちの第2の流路および第3の流路を介して二室式アプリケータ内の2つの前駆材料を上記空間に送達させて混合させるステップをさらに含む。2つの前駆材料を混合することで、結果として空間内にハイドロゲルが形成される。
【0009】
[0009]本明細書に記載される態様の追加的な特徴および利点が、以下の発明を実施するための形態に記載され、一部は発明を実施するための形態から当業者により容易に明らかになるか、または以下の発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および添付の図面を含む、本明細書に記載される態様を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
[0010]前述の概略的な説明および以下の発明を実施するための形態はどちらも、様々な態様を説明し、特許請求される主題の性質および特性を理解するための概要または枠組みを提供することが意図されることを理解されたい。添付の図面は、様々な態様のさらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ本明細書の一部を構成する。図面は本明細書に記載される様々な態様を図解し、特許請求される主題の原理および作用を本明細書と共に説明する働きをする。
【0011】
[0011]図面に示される実施形態は、本質的に例証的かつ例示的であり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することは意図されない。例証的実施形態の以下の発明を実施するための形態は添付の図面と併せて読まれることで理解されてもよく、同一の構造は同一の参照符号により示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、二室式アプリケータと、補助アプリケータと、入口ポートおよび補助ポートを有するハブとハブ組立体から延在する細長い中空スタイレットとを有する注射針組立体とを含む例証的な多成分送達システムの側面図である。
図2】[0013]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、図1の注射針組立体の斜視図である。
図3A】[0014]図3Aは、本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、例証的な細長い中空スタイレットの側面図である。
図3B】[0015]図3Bは、本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、図3Aの細長い中空スタイレットの正面図である。
図4】[0016]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、鋭利な先端を有する例証的な注射針組立体の遠位部分の断面図である。
図5】[0017]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、鈍先端および径方向に配設された出口ポートを有する別の例証的な注射針組立体の遠位部分の断面図である。
図6】[0018]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、鈍先端および遠位方向に配設された出口ポートを有する別の例証的な注射針組立体の遠位部分の断面図である。
図7】[0019]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、注射針組立体のハブの四半切欠図である。
図8】[0020]本明細書に示され記載される1つまたは複数の態様による、送達システムを使用する例証的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0021]一形態における本開示は、前駆成分送達前にハイドロダイセクション溶液を送達するための補助ポートを組み込んだ多成分ハイドロゲル前駆体送達デバイス、ならびにそれを組み込んだシステムおよび方法、に関する。本明細書に記載される送達システムは、二室式アプリケータを含む、多成分ハイドロゲルの前駆材料を送達する構成要素を含む。加えて、本明細書に記載される送達システムは、注射針組立体と、ハイドロダイセクション溶液を送達するために使用される補助シリンジとをさらに含む。二室式アプリケータ内に位置する前駆材料は共に組み合わせられると急速にハイドロゲルスペーサを形成するため、ハイドロゲル生成物が分配されるべき側で組み合わせが生じることを確実にする必要がある。さらに、ハイドロゲルスペーサを送達する前にその部位でハイドロダイセクションを行うことが必要な場合もあるが、別個の構成要素を使用すると結果的に追加の穿刺または挿入を生じる場合があり、合併症の可能性が増加するおそれがある。従って、本明細書に記載されるデバイス、システム、および方法は細長い中空スタイレットと結合されたハブを含み、ハブは二室式アプリケータに結合するための1対の入口ポートと補助シリンジに結合するための補助ポートとを含み、細長い中空スタイレットはその遠位端に混合室を含み、外管腔内に配設された中間管腔内に内管腔が配設されて3つの別個の通路を画定し、それら通路のうちの2つはアプリケータの2つの室から遠位端の混合室まで延び、第3の通路は補助ポートから遠位端の混合室まで延びる。
【0014】
[0022]ハイドロゲルスペーサは、前立腺と直腸との間に一時的に空間を作成する吸収性ゲルである。この余剰空間は、直腸を治療中の放射線暴露から保護する。加えて、スペーサは、放射線療法の有害な効果を軽減し、標的決定の改善を可能にし、放射線量の増加を可能にし、治療時間の短縮を可能にすることができる。
【0015】
[0023]典型的なスペーサを置く手順は、前立腺と直腸との間に針を置くことと、生理食塩水または別のハイドロダイセクション溶液を注射することにより空間をハイドロダイセクションすることと、針を取り除くことと、空間内にアプリケータを置くことと、ゲルスペーサに凝固する、前駆材料を置くこととを含む。スペーサは全治療期間を通じて空間内に残され、最終的にある期間(例えば6ヶ月)が過ぎた後に体に吸収される。
【0016】
[0024]本開示の利点は、多成分ハイドロゲルスペーサがそれが置かれるべき位置においてハイドロゲル成分から形成されるという点で、本明細書に記載される様々な態様が典型的な解決策を改善することである。さらに、本開示の別の利点は、追加の穿刺および/または挿入を行うことを必要とせずにハイドロダイセクション溶液が送達され得ることである。
【0017】
[0025]ここで図面に着目すると、図1は、様々な実施形態による例証的送達システム100を示す。本発明の一態様において、送達システム100は、ハイドロダイセクション手順を介して準備された部位に多成分スペーサ(例えばハイドロゲル)が送達されるスペーサ送達手順で使用するためのものであってもよい。送達システム100は、二室式アプリケータ110、補助アプリケータ120、および/または注射針組立体130を全体として含む。図1で破線によって示されかつ本明細書に記載されるように、送達システム100のための様々な構成要素は、二成分混合物(例えば二成分ハイドロゲル)および追加の材料(例えば生理食塩水または他のハイドロダイセクション溶液など)を送達することを目的として、合わせて結合可能である。
【0018】
[0026]二室式アプリケータ110が注射針組立体130に結合されている場合、送達システム100は注射部位への流動性ハイドロゲル前駆材料の送達を促進する。注射針組立体130の針部分が、注射針組立体130を介してハイドロダイセクション溶液を事前に注射することによって形成された対象の直腸と前立腺との間の空間などの、標的部位に位置している場合、ハイドロゲル前駆材料が注射され得る。本明細書に記載される構成要素は、直腸と前立腺との間にスペーサを配置することを伴う手順に関して具体的に記載されているが、本出願の範囲内で他の使用が企図されかつ含まれることに留意されたい。
【0019】
[0027]二室式アプリケータ110は、近位端111-1と近位端111-1から距離を隔てた遠位端111-2とを有する本体111を全体として含む。本体111は1対のシリンジ112も画定する。二室式アプリケータ110は、多成分ハイドロゲルの第1の前駆材料および多成分ハイドロゲルの第2の前駆材料のそれぞれを別々に運搬するように構成されている。第1の前駆材料の例証的例は、アルブミン、ポリエチレンイミン(PEI:polyethylenimine)、またはポリエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)もしくはタンパク質を含有するアミンなどを含むが、それらに限定されない。第2の前駆材料の例証的例は、PEG-(SS)2、PEG-(SS)4、PEG-(SS)8、PEG-(SG)4、および/またはPEG-(SG)8などのN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS:N-hydroxysuccinimide)エステル成分などを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、PEG成分の分子量は約2,000から約100,000の範囲であってもよい。本実施形態において、第1の前駆材料および第2の前駆材料は、本明細書により詳細に記載されるように、注射針組立体130の混合室内で組み合わされ混合される。
【0020】
[0028]1対のシリンジ112は、アクチュエータ113と、第1の成分室112Aと、第2の成分室112Bとを含む。第1の成分室112Aは、例えば、ハイドロゲルスペーサの第1の前駆材料を運搬するように構成された円筒状管であってもよい。第1の成分室112Aは第1の排出ポート112A-1(例えば第1の成分ポート)を有する。第2の成分室112Bも、例えば、ハイドロゲルスペーサの第2の前駆材料を運搬するように構成された円筒状管であってもよい。第2の成分室112Bは第2の排出ポート112B-1(例えば第2の成分ポート)を有する。いくつかの態様において、第1の成分室112Aおよび第2の成分室112Bは、実質的に長手方向に平行な配置で配置される。
【0021】
[0029]いくつかの態様において、アクチュエータ113は、第1のピストン114Aと、第2のピストン114Bと、ハンドル115とを含む。ハンドル115の押下または引き抜きによる第1のピストン114Aおよび第2のピストン114Bの同時移動を容易にするために、ハンドル115は、第1のピストン114Aおよび第2のピストン114Bのそれぞれの間で垂直に延在し、それらのそれぞれに連結された連係部材の形態である。第1のピストン114Aは、第1のシーラント成分に近位の第1の成分室112Aに位置決めされたプランジャの形態である。第2のピストン114Bは、第2のシーラント成分に近位の第2の成分室112Bに位置決めされたプランジャの形態である。
【0022】
[0030]第1の成分室112Aの第1の排出ポート112A-1および第2の成分室112Bの第2の排出ポート112B-1は、二室式アプリケータ110の本体111の遠位端111-2内に配置されてよい。第1の排出ポート112A-1および第2の排出ポート112B-1は、一般に、第1の前駆材料および第2の前駆材料がそれぞれの成分室112A、112Bから分注され得、かつ/またはそれぞれの成分室112A、112B内に受け取られ得るように、本明細書に記載されるように他の構成要素の他のポートと整列される、流体出口である。いくつかの態様において、第1の排出ポート112A-1は第1の成分室112Aと同心円状に整列されてもよく、第2の排出ポート112B-1は第2の成分室112Bと同心円状に整列されてもよい。しかし、図1に示される態様などの他の態様において、第1の排出ポート112A-1および第2の排出ポート112B-1が二室式アプリケータ110の本体111の中心軸線C1にできる限り近接して本明細書に記載される送達システム100の他の構成要素との位置合わせが容易になるように、第1の排出ポート112A-1は第1の成分室112Aの中心区域の径方向内側に位置されていてもよく、第2の排出ポート112B-1は第2の成分室112Bの中心区域の径方向内側に位置されていてもよい。
【0023】
[0031]二室式アプリケータ110の本体111は、二室式アプリケータ110を注射針組立体130に連結するための連結機構109を全体として含む。例えば、いくつかの実施形態において、二室式アプリケータ110の本体111は、二室式アプリケータ110の遠位端111-2と一体化された四半回転コネクタまたは他のコネクタを含んでもよい。いくつかの実施形態において、連結機構109および本体111が単一の一体的な部片となるように、連結機構109の様々な構成要素は本体111と一体化されている。しかし、これは単に例証的なものに過ぎず、連結機構109の様々な構成要素は、二室式アプリケータ110の本体111と永久的にまたは半永久的に接合されている(例えば二室式アプリケータ110の遠位結合片116と永久的にまたは半永久的に接合されている)別個の部片であってもよいことを理解されたい。
【0024】
[0032]連結機構109は、連結機構109の様々な構成要素が第1の排出ポート112A-1および第2の排出ポート112B-1に隣接して位置決めされるように、二室式アプリケータ110の本体111の遠位端111-2に全体として位置されている。連結機構109は、全体として、注射針組立体130の対応する連結機構129に解放可能に噛み合うような形状およびサイズに形成されていてもよい。本明細書でより詳細に説明されるように、注射針組立体130が二室式アプリケータ110にそれらの連結機構109、129を介して結合されるとき、注射針組立体130のポートは二室式アプリケータ110の第1の排出ポート112A-1および第2の排出ポート112B-1と整列されかつ封止される。
【0025】
[0033]連結機構109は本開示によって限定されず、二室式アプリケータ110と注射針組立体130との間の連結を提供するいかなる機構であってもよい。一方で、連結機構109の一例証的例は、二室式アプリケータ110の遠位端111-2から遠位方向に延在する突出部(例えば円形突出部)、および/または上記突出部の径方向外側に配設された1つもしくは複数の結合部材を含んでもよい。そのような実施形態において、第1の排出ポート112A-1および第2の排出ポート112B-1は突出部内に配設されていてよい。すなわち、いくつかの実施形態において、第1の成分室112Aおよび第2の成分室112Bへの開口部が突出部に位置している。
【0026】
[0034]本明細書でより詳細に説明されるように、突出部は全体として、注射針組立体130に形成された凹部に対応するような形状およびサイズに形成されている。突出部は、本体111の遠位端111-2の中心区域に、またはその周りに全体として配設されていてもよい。いくつかの実施形態において、突出部は、本体111の中心軸線C1が突出部の中心を通って延びるように本体と同心であってもよい。突出部が本体の遠位端111-2から離れて延在する距離は、概して、突出部が凹部内に完全に挿入され得るような、注射針組立体130に形成された凹部の深さに対応する距離であるが、それ以外の点は本開示によって限定されない。
【0027】
[0035]いくつかの実施形態において、連結機構109は1つまたは複数の結合部材を含んでもよい。例えば、結合部材は、二室式アプリケータ110の本体111の遠位端111-2から延在してもよく、注射針組立体130を二室式アプリケータ110と結合されているときに保定するような形状およびサイズに全体として形成される。例証的な結合部材は、差込式(bayonet style)結合部材、またはL型ビーム結合部材などを含むが、それらに限定されない。
【0028】
[0036]補助アプリケータ120は、近位端121-1と近位端121-1から距離を隔てた遠位端121-2とを有する本体121を全体として含む。本体121はシリンジ122も画定する。シリンジ122は、ハイドロダイセクション溶液(例えば生理食塩水または別のハイドロダイセクション溶液)、および/または麻酔溶液などの物質を運搬するように構成されている。
【0029】
[0037]シリンジ122は、アクチュエータ123と、室122Aとを含む。室122Aは、例えば、ハイドロダイセクション溶液、および/または麻酔溶液などを運搬するように構成された円筒状管であってもよい。室122Aは排出ポート122A-1を有する。
【0030】
[0038]いくつかの態様において、アクチュエータ123はピストン124およびハンドル125を含む。ハンドル125の押下または引き抜きによりピストン124の移動を容易にするために、ハンドル125はピストン124にその近位端で連結されている。ピストン124は、ハイドロダイセクション溶液、および/または麻酔溶液などに近位の室122Aに位置決めされたプランジャの形態である。
【0031】
[0039]室122Aの排出ポート122A-1は、アプリケータ120の本体121の遠位端121-2内に配置されていてよい。排出ポート122A-1は、一般に、室122A内の流体がハブ131の補助ポート132C-1を介して送達可能なように、ハブ131の補助ポート132C-1と流体結合される流体出口である。いくつかの態様において、図1に示されるように、排出ポート122A-1は管材などを介して補助ポート132C-1に結合可能であってもよい。
【0032】
[0040]ここで図1図2図3A、および図3Bを参照すると、注射針組立体130は、近位方向(例えば図1の座標軸の+X方向)に延在する近位端130-1と、遠位方向(例えば図1の座標軸の-X方向)に延在する遠位端130-2とを有する。注射針組立体130は、ハブ131と、ハブ131から遠位方向(例えば図1の座標軸の-X方向)に延在する細長い中空スタイレット132とを全体として含む。細長い中空スタイレット132は近位端132-1および遠位端132-2を有する。ハブ131は、細長い中空スタイレット132の近位端132-1に(例えばオーバモールド、接着剤、および/または圧入により)固定的に取り付けられている。ハブ131は、注射針組立体130の複数の入口ポート(例えば第1の入口ポート132A-1、第2の入口ポート132B-1、および/または補助入口ポート132C-1)を含む。ハブ131は、対応する連結機構129を介して、二室式アプリケータ110と着脱可能に連結するように構成されている。本明細書でより詳細に説明されるように、対応する連結機構129は、連結時に、注射針組立体130の第1の入口ポート132A-1が二室式アプリケータ110の第1の排出ポート112A-1と整列されかつ封止され、注射針組立体130の第2の入口ポート132B-1が二室式アプリケータ110の第2の排出ポート112B-1と整列されかつ封止されるようになっている。加えて、補助入口ポート132C-1を介して(例えばシリンジ122の室122Aの排出ポート122A-1とハブ131の補助入口ポート132C-1との間で結合された管材などを介して)アプリケータ120と流体結合するためのハブ131。
【0033】
[0041]注射針組立体130の細長い中空スタイレット132は、二室式アプリケータ110からハイドロゲルスペーサの2つの前駆材料を受け取って、混合および送達のためにその2つの成分を細長い中空スタイレット132の遠位端132-2に誘導するべく、二室式アプリケータ110の複数の排出ポート112A-1、112B-1との流体連通を促進するように構成されている。加えて、注射針組立体の細長い中空スタイレット132は、補助アプリケータ120の内容物を受け取って、送達のためにその内容物を細長い中空スタイレット132の遠位端132-2に誘導するべく、補助アプリケータ120の排出ポート122A-1との流体連通を促進するように構成されている。図4図6を簡潔に参照すると、遠位端132-2は、閉じられた遠位端133、133’(図4および図5)または開放遠位部分137(図6)を含んでもよい。加えて、遠位端132-2は、閉じられた遠位端133、133’(図4および図5)または遠位ポート134C(図6、先端ポートとも呼ばれる)に近位の、複数の(例えば2つ、3つ、またはそれより多い)側部ポート134を含んでもよい。図4の実施形態において、細長い中空スタイレット132の閉じられた遠位端133は、例えば閉鎖スタイレット針先端135であってもよい。図5の実施形態において、細長い中空スタイレット132の閉じられた遠位端133’は、例えば構造(例えば直腸壁)を穿刺する可能性を回避するかまたは減少させる鈍い先端であってもよい。同様に、図6の実施形態において、細長い中空スタイレット132の開放遠位部分137は、例えば構造(例えば直腸壁)を穿刺する可能性を回避するかまたは減少させる鈍い先端であってもよい。
【0034】
[0042]図1を参照しかつ図4の実施形態を参照すると、細長い中空スタイレット132は、例えば閉鎖スタイレット針先端135と固定的に連結された細長いカニューレ150により構成されていてもよい。図4で詳細に示されるように、複数の側部ポート134(例えば第1の側部ポート134Aおよび第2の側部ポート134B)が、細長いカニューレ150で、閉じられた遠位端133にすぐ近位のその遠位室151に位置している。より詳細には、細長い中空スタイレット132の細長いカニューレ150は、細長い中空スタイレット132の外管腔153を取り囲む外側壁152を画定する。加えて、細長いカニューレ150の外管腔153の内側に中間管腔155を取り囲む第1の内側壁154が位置しており、第1の通路が第1の内側壁154と外側壁152との間に画定される。さらに、細長いカニューレ150の中間管腔155の内側に内管腔157を取り囲む第2の内側壁156が位置しており、第2の通路が第1の内側壁154と第2の内側壁156との間に画定され、第3の通路が第2の内側壁156より内部に画定される。すなわち、外側壁152、第1の内側壁154、および第2の内側壁156の間隔および配置はそれらの内側の3つの別個の通路を画定し、各通路は外側壁152から内側に進むにつれ小さくなる断面サイズを有する。いくつかの実施形態において、中間管腔155は、外管腔153および/または内管腔157と同心であってもよい。外管腔153の第1の遠位開口部153-1、中間管腔155の第2の遠位開口部155-1、および内管腔157の第3の遠位開口部157-1は全て、細長い中空スタイレット132の遠位室151へ開口する。従って、流体が遠位室151に達するまで管腔153、155、157のそれぞれが流体の分離を維持する、技術的効果が実現される。例えば、本明細書に記載されるように、中間管腔155内に配設された第1の成分および内管腔157内に配設された第2の成分は、成分が遠位室151に達するまで共に混合せず、それにより成分が早期に混合する状況を回避する。
【0035】
[0043]図1および図4をやはり参照すると、いくつかの実施形態において、複数の側部ポート134が、遠位室151から細長い中空スタイレット132のその遠位端132-2における外側壁152を通って径方向に延在する(例えば周方向に延在する)。閉鎖スタイレット針先端135は、細長い中空スタイレット132の閉じられた遠位端133によって少なくとも部分的に画定される。閉鎖スタイレット針先端135は、細長い中空スタイレット132の細長いカニューレ150の遠位室151を遠位方向で閉鎖するために、細長いカニューレ150に(例えば溶接、圧入、または接着剤により)取り付けられている。すなわち、閉鎖スタイレット針先端135は、細長い中空スタイレット132の遠位室151の遠位方向の範囲を終わらせる。送達システム100が組み立てられる際、複数の側部ポート134は、複数の入口ポート132A-1、132B-1、中間管腔155、内管腔157、および細長い中空スタイレット132の遠位室151を通じて、二室式アプリケータ110の複数の排出ポート112A-1、112B-1と流体連通する。加えて、複数の側部ポート134は、外管腔153および細長い中空スタイレット132の遠位室151を通じて、補助入口ポート132C-1と流体連通する。
【0036】
[0044]図1を参照しかつ図5の実施形態を参照すると、細長い中空スタイレット132は、例えば閉じられた遠位端133’と固定的に連結された細長いカニューレ150により構成されていてよい。図5で詳細に示されるように、複数の側部ポート134(例えば第1の側部ポート134Aおよび第2の側部ポート134B)が、細長いカニューレ150で、閉じられた遠位端133’にすぐ近位のその遠位室151に位置している。より詳細には、細長い中空スタイレット132の細長いカニューレ150は、細長い中空スタイレット132の外管腔153を取り囲む外側壁152を画定する。加えて、細長いカニューレ150の外管腔153の内側に中間管腔155を取り囲む第1の内側壁154が位置しており、中間管腔155は外管腔153と同心であり、第1の通路が第1の内側壁154と外側壁152との間に画定される。さらに、細長いカニューレ150の中間管腔155の内側に内管腔157を取り囲む第2の内側壁156が位置しており、内管腔157は外管腔153および中間管腔155と同心であり、第2の通路が第1の内側壁154と第2の内側壁156との間に画定され、第3の通路が第2の内側壁156より内部に画定される。すなわち、外側壁152、第1の内側壁154、および第2の内側壁156の間隔および配置はそれらの内側の3つの別個の通路を画定し、各通路は外側壁152から内側に進むにつれ小さくなる断面サイズを有する。外管腔153の第1の遠位開口部153-1、中間管腔155の第2の遠位開口部155-1、および内管腔157の第3の遠位開口部157-1は全て、細長い中空スタイレット132の遠位室151へ開口する。
【0037】
[0045]図1および図5をやはり参照すると、いくつかの実施形態において、複数の側部ポート134が、遠位室151から細長い中空スタイレット132のその遠位端132-2における外側壁152を通って径方向に延在する。閉じられた遠位端133’は、その遠位壁138によって少なくとも部分的に画定される。遠位壁138は、細長い中空スタイレット132の細長いカニューレ150の遠位室151を遠位方向で閉鎖するために、細長いカニューレ150に(例えば溶接、圧入、もしくは接着剤により)取り付けられているか、または外側壁152と一体化されている(例えば外側壁152の延出部)。すなわち、遠位壁138は、細長い中空スタイレット132の遠位室151の遠位方向の範囲を終わらせる。送達システム100が組み立てられる際、複数の側部ポート134は、複数の入口ポート132A-1、132B-1、外管腔153、内管腔157、および細長い中空スタイレット132の遠位室151を通じて、二室式アプリケータ110の複数の排出ポート112A-1、112B-1と流体連通する。加えて、複数の側部ポート134は、外管腔153および細長い中空スタイレット132の遠位室151を通じて、補助入口ポート132C-1と流体連通する。
【0038】
[0046]いくつかの態様において、図4および図5の実施形態で詳細に示されるように、細長い中空スタイレット132の遠位端132-2における複数の側部ポート134は、閉じられた遠位端133、133’に位置されかつ例えば120°刻みなどで(例えば細長い中空スタイレット132の外周周りに環状パターンで)配置された、第1の側部ポート134A、第2の側部ポート134B、および第3の側部ポート(図示せず)を含む。一応用において、例えば、複数の側部ポート134は、標的区域の全体にスペーサを置くことを確実にするように流動性多成分ハイドロゲルが細長い中空スタイレット132周りの360°に送達され得る状態で、閉鎖スタイレット針先端135に近傍であるが近位の少なくとも3つの側部ポートを有するように、少なくとも3つの側部ポート(例えば3つから7つの側部ポート)を含む。別の例として、いくつかの応用においては2つまたは2対の直径方向に対向する側部ポートとして構成される複数の側部ポート134を有することが望ましい場合があることが企図される。
【0039】
[0047]任意選択で、複数の側部ポート134が、例えば別の側部ポートに近位して長手方向に離隔された(例えば1から3ミリメートル)側部ポートなどの、少なくとも2つの長手方向に離隔された側部ポートを含む場合があることがさらに企図される。例えば、複数の側部ポート134は、細長い中空スタイレット132の外周周りに配置された3つの側部ポートのリングを2つ含んでもよく、ここで3つの側部ポートの2つのリングは細長い中空スタイレット132の遠位端132-2において長手方向に離隔されている。
【0040】
[0048]図1を参照しかつ図6の実施形態を参照すると、細長い中空スタイレット132は、例えば開放遠位部分137と固定的に連結された細長いカニューレ150により構成されていてよい。図6で詳細に示されるように、遠位ポート134Cは、細長いカニューレ150における開放遠位部分137の遠位壁139の内側に画定される。遠位壁139は、開放遠位部分137に隣接する遠位室151を画定する。より詳細には、細長い中空スタイレット132の細長いカニューレ150は、遠位壁139に結合されているかまたは一体化されている外側壁152を画定する。外側壁152は細長い中空スタイレット132の外管腔153を取り囲む。加えて、細長いカニューレ150の外管腔153の内側に中間管腔155を取り囲む第1の内側壁154が位置しており、中間管腔155は外管腔153と同心であり、第1の通路が第1の内側壁154と外側壁152との間に画定される。さらに、細長いカニューレ150の中間管腔155の内側に内管腔157を取り囲む第2の内側壁156が位置しており、内管腔157は外管腔153および中間管腔155と同心であり、第2の通路が第1の内側壁154と第2の内側壁156との間に画定され、第3の通路が第2の内側壁156より内部に画定される。すなわち、外側壁152、第1の内側壁154、および第2の内側壁156の間隔および配置はそれらの内側の3つの別個の通路を画定し、各通路は外側壁152から内側に進むにつれ小さくなる断面サイズを有する。外管腔153の第1の遠位開口部153-1、中間管腔155の第2の遠位開口部155-1、および内管腔157の第3の遠位開口部157-1は全て、細長い中空スタイレット132の遠位室151へ開口する。
【0041】
[0049]図1および図6をやはり参照すると、いくつかの実施形態において、遠位ポート134Cが、遠位室151から細長い中空スタイレット132の遠位壁139を通って延在する。開放遠位部分137は、その遠位壁139によって少なくとも部分的に画定される。遠位壁139は、細長い中空スタイレット132の細長いカニューレ150の遠位室151の遠位端を少なくとも部分的に閉鎖するために、細長いカニューレ150に(例えば溶接、圧入、もしくは接着剤により)取り付けられているか、または外側壁152と一体化されている(例えば外側壁152の延出部)。すなわち、遠位壁139は、細長い中空スタイレット132の遠位室151の遠位方向の範囲を終わらせる。送達システム100が組み立てられる際、遠位ポート134Cは、複数の入口ポート132A-1、132B-1、中間管腔155、内管腔157、および細長い中空スタイレット132の遠位室151を通じて、二室式アプリケータ110の複数の排出ポート112A-1、112B-1と流体連通する。加えて、遠位ポート134Cは、外管腔153および細長い中空スタイレット132の遠位室151を通じて、補助入口ポート132C-1と流体連通する。
【0042】
[0050]いくつかの態様において、遠位ポート134Cは、標的区域にスペーサを置くことを確実にするように、流動性多成分ハイドロゲルが細長い中空スタイレット132の遠位端132-2から送達され得るように位置決めされている。別の例として、いくつかの応用においては遠位壁139に位置された複数の遠位ポート134Cを有することが望ましい場合があることが企図される。
【0043】
[0051]図4図6の実施形態には示されないが、特定の実施形態が側部ポートおよび遠位ポートの両方を含む場合があることがさらに企図される。すなわち、細長い中空スタイレット132の特定の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の側部ポート134および遠位ポート134Cを含んでもよい。
【0044】
[0052]ここで図1図2、および図7を参照すると、ハブ131は、第1の入口ポート132A-1および第2の入口ポート132B-1を図4図6の実施形態に示される遠位室151と流体結合するために、その内部に複数の通路をさらに含んでもよい。図1図2、および図7をやはり参照すると、例えばいくつかの態様において、第1の流路142Aが、第1の入口ポート132A-1からハブ131を通って中間管腔155へ延びることによって、第1の入口ポート132A-1を中間管腔155と結合してもよい。別の例において、第2の流路142Bが、第2の入口ポート132B-1からハブ131を通って内管腔157へ延びることによって、第2の入口ポート132B-1を内管腔157と結合してもよい。さらなる別の例において、第3の流路142Cが、補助入口ポート132C-1からハブ131を通って外管腔153へ延びることによって、補助入口ポート132C-1を外管腔153と結合してもよい。
【0045】
[0053]第1の流路142Aおよび第2の流路142Bの位置決めは、第1の入口ポート132A-1および第2の入口ポート132B-1の位置に依存してもよい。例えば、図1図2、および図7に示される態様において、第1の入口ポート132A-1および第2の入口ポート132B-1は、二室式アプリケータ110の排出ポート112A-1、112B-1と整列されるように離隔されている。従って、第1の入口ポート132A-1および第2の入口ポート132B-1は、注射針組立体130の中心軸線C3から径方向外側にほぼ同じ距離だけ隔てられている。そのような態様において、第1の流路142Aは、注射針組立体130の遠位端132-2に向かって長手方向に(例えば針組立体の中心軸線C3と平行に)延びて、ハブ131の遠位端近傍で中間管腔155と結合してよい。第2の流路142Bは、中心軸線C3に対して角度をつけて第2の入口ポート132B-1から内管腔157へ延びてよい。しかし、本開示はそのようなものに限定されないことを理解されたい。例えば、図示されない別の態様において、第1の流路142Aは、第1の入口ポート132A-1を中間管腔155と流体結合するために、ハブ131を通って長手方向に延びる第1の流路部分と、側方に(例えば第1の流路部分に対して横方向に)延びる第2の流路部分とを有してもよい。第2の入口ポート132B-1はハブ131の中心に位置されていてもよく、第2の流路142Bは第2の入口ポート132B-1から内管腔157へ長手方向に延びてもよい。
【0046】
[0054]第1の流路142Aおよび第2の流路142Bとは異なり、第3の流路142Cの位置決めは、補助入口ポート132C-1の位置にそれほど依存しない。すなわち、第3の流路142は、補助入口ポート132C-1の位置に関わらず、補助入口ポート132C-1と外管腔153との間に任意の流体路を画定してもよい。例えば、図1図2、および図7に示される態様において、補助入口ポート132C-1を外管腔153と流体結合するために、第3の流路142Cの第1の流路部分はハブ131を通って側方に(例えば中心軸線C3に対して横方向に)延びてもよく、第3の流路142Cの第2の流路部分は長手方向に(例えば第1の流路部分に対して横方向に)延びてもよい。別の例において、第3の流路142Cは、角度をつけて補助入口ポート132C-1と外管腔153との間に延びてもよい。さらなる別の例において、第3の流路142Cは、第1の流路142Aおよび第2の流路142Bから分離された、補助入口ポート132C-1と外管腔153との間の開放された空洞部などであってもよい。
【0047】
[0055]補助入口ポート132C-1は、ハブ131の本体の1つの側に位置して、図1図2図3A図3B、および図7に示されている。すなわち、補助入口ポート132C-1はハブ131の外壁の開口部として図示されている。しかし、補助入口ポート132C-1の位置は本開示によって限定されず、ハブ131上の任意の位置に位置決めされていてよい。いくつかの実施形態において、補助入口ポート132C-1は、本明細書に記載されるように、それに流体結合される物体(例えば連結管材または補助アプリケータ120など)が二室式アプリケータ110とハブ131との結合を妨げることなく結合され得るように位置決めされていてよい。いくつかの実施形態において、補助入口ポート132C-1は、連結管材または補助アプリケータ120などの物体と結合するように成形され、サイズ設定され、かつ/または構成された突出部などの内部に位置されていてよい。
【0048】
[0056]一実施形態において、注射針組立体130のこれらの特徴(例えば内管腔157、中間管腔155、遠位室151、およびポート134を含む細長い中空スタイレット132)は、多成分ハイドロゲルの別個の成分を、スペーサが位置されるべき地点にそれら成分が達するまでそれら成分が混合されず、それにより閉塞などに関する問題を回避するように、ハイドロゲルが加えられるべき地点へ別個に送達する組立体を有利にもたらすことができる。さらに、注射針組立体130の特徴(例えば外管腔153、遠位室151、およびポート134を含む細長い中空スタイレット132)は、異なるデバイスを空間内に挿入すること、および/または異なる構成要素を分離し連結することなどを必要とせずに、多成分ハイドロゲルの分配前または分配後に標的部位へ生理食塩水またはハイドロダイセクション溶液などの別の流体を分配するために同一の組立体が使用され得る組立体を有利にもたらすことができる。
【0049】
[0057]本開示は、一般に、外管腔153、中間管腔155、および内管腔157(例えば3つの別個の通路)を有し、各管腔がそれぞれのポート(例えば第1の入口ポート132A-1、第2の入口ポート132B-1、および補助入口ポート132C-1)に流体結合されている細長いカニューレ150に関する一方で、本開示はそのようなものに限定されない。すなわち、いくつかの実施形態において、細長いカニューレ150は一方の管腔が2つのポートと結合される2つの同心管腔を含んでもよい(例えば、他方の管腔が第2の入口ポート132B-1と結合されるのに対し第1の入口ポート132A-1および補助入口ポート132C-1と結合される一方の管腔、他方が第2の入口ポート132B-1および補助入口ポート132C-1と結合されるのに対し第1の入口ポート132B-1と結合される一方の管腔)。そのような実施形態において、スペーサ材料は一般に前駆材料とは異なるタイミング(例えば前駆材料の前)で送達されるため、スペーサ材料は2つの前駆材料のうちの一方と同じ管腔を介して送達されてもよい。さらに、そのような実施形態において、前駆材料のうちの一方が補助入口ポート132C-1を逆流しないように、スペーサ材料の送達後に補助入口ポート132C-1が外されてもよい。他の実施形態において、細長いカニューレ150は、第1の管腔が第1の入口ポート132A-1および第2の入口ポート132B-1の両方と結合され第2の管腔が補助入口ポート132C-1と結合される、2つの同心管腔を含んでもよい。
【0050】
[0058]図1図2、および図7を参照すると、いくつかの実施形態において、ハブ131は、ハブ131を二室式アプリケータ110に連結して前駆材料の送達のためにそれらの様々なポートを整列させるような形状およびサイズに形成された、コネクタを有してよい。例えば、ハブ131は四半回転コネクタを有してもよい。いくつかの態様において、ハブ131の四半回転コネクタは、二室式アプリケータ110の遠位端111-2の対応する円形突出部を受けるようにサイズ設定された、円形凹部180を含む。円形凹部180は、全体的に、注射針組立体130の近位端130-1から近位方向(例えば図1の座標軸の+X方向)に延在する(例えば注射針組立体130のハブ131から近位方向に延在する)壁182によって画定される凹部である。壁182は、注射針組立体130の中心軸線C3周りに延在して円形凹部180を形成する。壁182は、それによって形成される円形凹部180が二室式アプリケータ110の円形突出部の形状およびサイズに対応するような形状およびサイズに形成されていてよい。いくつかの態様において、壁182は、注射針組立体130のハブ131の側壁の延出部であってよい。
【0051】
[0059]複数の入口ポート132A-1、132B-1は、円形凹部180内の注射針組立体130の近位端130-1から延在する。すなわち、円形凹部180はその内部に複数の入口ポート132A-1、132B-1を含む。いくつかの態様において、円形凹部180は、複数の入口ポート132A-1、132B-1の周りで少なくとも1つの封止部を保持するように適合された1つまたは複数の特徴(例えば追加の凹部、保定部片、流路など)を含んでもよい。例えば、図1および図2に詳細に示されるように、第1の封止部136Aが円形凹部180内で第1の入口ポート132A-1の周りに保持されていてもよく、第2の封止部136Bが円形凹部180内で第2の入口ポート132B-1の周りに保持されていてもよい。封止部136A、136Bはそれぞれ、注射針組立体130が二室式アプリケータ110と本明細書に記載されるように組み合わせられる際に封止部を形成することを可能にする任意の封止部であってもよい。上記任意の封止部は、(例えば第1の入口ポート132A-1と第1の排出ポート112A-1との間に流体結合を形成するために)第1の入口ポート132A-1が第1の排出ポート112A-1と接合および封止され、(例えば第2の入口ポート132B-1と第2の排出ポート112B-1との間に流体結合を形成するために)第2の入口ポート132B-1が第2の排出ポート112B-1と接合および封止されるような、封止部である。例えば、封止部はOリング、スタジアム形状封止部、および/または楕円形封止部などであってもよい。本明細書では各ポートに対して単一の封止部が図示されている一方で、本開示はそのようなものに限定されない。例えば、数字の8の形状のガスケットなどの単一の封止部が、本明細書に記載されるようにポートを個別に封止するために使用されてもよい。ただし、ポート(例えば第1の入口ポート132A-1および第2の入口ポート132B-1)は、成分が遠位室151(図4図6)に達する前に早期に組み合わさることを避けるために、互いから封止されたままとなることを理解されたい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の封止部収容突起(図示せず)が、封止部136A、136Bをそれぞれの入口ポート132A-1、132B-1の周りで収容するために使用されてもよい。すなわち、入口ポート132A-1、132B-1のそれぞれの外周周りでハブ131から近位方向(例えば図1の座標軸の+X方向)に延在する突起が、封止部が突起内で圧入されるような形状およびサイズに形成されていてもよい。いくつかの実施形態において、封止部136A、136Bは、接着剤などによりそれぞれの入口ポート132A-1、132B-1の周りに固定されていてもよい。いくつかの実施形態において、封止部136A、136Bは、ハブ131の代わりに二室式アプリケータ110と結合または一体化されていてもよい。
【0052】
[0060]円形凹部、対応する突出部、および四半回転コネクタは単に例証的な例に過ぎないことを理解されたい。すなわち、本開示は、ハブ131を二室式アプリケータ110と結合するための手段としてこれらの特徴に限定されず、同様の目的を達成する他の構成要素(例えば係止タブ、クリップ、ねじ山など)も本開示の範囲内において企図されかつ含まれる。
【0053】
[0061]図1図2図3A、および図3Bを参照すると、注射針組立体130は、誘導具カニューレ(換言すれば、イントロデューサカニューレ)160(当該技術分野では同軸誘導針と呼ばれる場合もある)と協働して使用されてもよく、これにより、同軸誘導針による処置部位へのアクセスを維持しながら、細長い中空スタイレット132が誘導具カニューレ160から取り除かれることを可能にする。すなわち、送達システム100の一部分が誘導具カニューレ160から取り除かれ、生検デバイスまたは別のスタイレットなどの様々な他の器具に置き換えられてもよい。いくつかの態様において、誘導具カニューレ160は、同軸ハブ162と、同軸カニューレ164と、カニューレ管腔166と、遠位環状縁168とを有する。カニューレ管腔166は、例えば、(例えば円筒形状を有して)注射針組立体130の細長い中空スタイレット132を受けるように構成されている。注射針組立体130の細長い中空スタイレット132が誘導具カニューレ160のカニューレ管腔166内に完全に挿入される(例えば細長い中空スタイレット132の遠位方向への移動が注射針組立体130のハブ131と誘導具カニューレ160の同軸ハブ162とが接触することによって停止される)とき、細長い中空スタイレット132の複数の側部ポート134は、誘導具カニューレ160の遠位環状縁168より遠位に位置する。すなわち、細長い中空スタイレット132の遠位端132-2は、誘導具カニューレ160が複数の側部ポート134を塞がないように遠位環状縁168を越えて延出する。
【0054】
[0062]ここで図8に着目し、かつ図1図7を参照すると、本明細書に記載される送達システム100を使用する方法800は、例えば、ブロック802で(多成分ハイドロゲルの前駆材料で事前に満たされた)二室式アプリケータ110をハブ131と結合するステップを一般に含む。加えて、(生理食塩水またはハイドロダイセクション溶液などの流体で事前に満たされた)補助アプリケータ120は、ブロック804で補助入口ポート132C-1と結合される。次いで、ブロック806で注射針組立体130が対象の標的領域内、例えば対象の前立腺と直腸壁との間などに挿入される。いくつかの実施形態において、遠位端132-2が適切に位置決めされていることが確認されてもよい(決定ブロック808)。それが適切に位置決めされていない場合、工程は、さらなる挿入および移動のためにブロック806に戻ってもよい。それが適切に位置決めされている場合、工程は、材料が標的領域内に分注されるブロック810およびブロック812に移行する。1つの特定の実施形態において、ブロック810で補助アプリケータ120のハンドル125が押下され、ピストン124を移動させ、補助アプリケータ120内の流体を分配する。上記流体は、外管腔153を介して遠位室151に進み、ポート134を介して注射針組立体130から標的領域内に出て、空間(例えば対象の前立腺と直腸との間の空間)を作成する。その後、ブロック812でハンドル115が押下され、ピストン114A、114Bを移動させ、二室式アプリケータ110内の前駆材料を分配する。上記前駆材料は、それぞれ中間管腔155および内管腔157を介してそれらが混合する遠位室151に進み、ポート134を介して注射針組立体130から上記流体により作成された空間内に流れ出て、スペーサを形成する。ブロック810およびブロック812での材料の分配の順番は、単に1つの特定の手順に対する例証的なものに過ぎず、別の順番が企図されることを理解されたい。
【0055】
[0063]本開示が、アクセス経路に沿って前立腺と直腸との間の空間などの標的区域に多成分ハイドロゲルを送達する構成要素を含む、様々な多成分ハイドロゲル送達システムに関することをここで理解されたい。本明細書に記載される送達システムは、二室式アプリケータを含む、多成分ハイドロゲルの前駆材料を送達する構成要素を含む。加えて、本明細書に記載される送達システムは、注射針組立体と、ハイドロダイセクション溶液を送達するために使用される補助シリンジとをさらに含む。本明細書に記載される送達システムは細長い中空スタイレットと結合されたハブを含み、ハブは二室式アプリケータに結合するための1対の入口ポートと補助シリンジに結合するための補助ポートとを含み、細長い中空スタイレットはその遠位端に混合室を含み、外管腔内に同心円状に配設された中間管腔内に内管腔が同心円状に配設されて3つの別個の通路を画定し、それら通路のうちの2つはアプリケータの2つの室から遠位端の混合室まで延在し、第3の通路は補助ポートから遠位端の混合室まで延在する。
【0056】
[0064]以下の実施形態も本開示に関する。
[0065]一実施形態において、針組立体は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、および補助ポートを備えるハブと、ハブから遠位方向に延在する細長い中空スタイレットを備える注射針組立体とを備え、細長い中空スタイレットはハブのところの近位部分と近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有し、細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が外管腔と同心であり外管腔より小さい断面サイズを有するように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁であって、中間管腔が第1の入口ポートと流体結合されている第1の内側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、内管腔が外管腔および中間管腔と同心であり中間管腔より小さい断面サイズを有するように中間管腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁であって、内管腔が第2の入口ポートと流体結合されている第2の内側壁と、細長い中空スタイレットの遠位部分に配設された混合室であって、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されている混合室とを備える。
【0057】
[0066]細長い中空スタイレットの遠位部分の混合室が、細長い中空スタイレットの外周周りに配置された少なくとも1つの側部ポートを備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0058】
[0067]細長い中空スタイレットの遠位部分の混合室が、細長い中空スタイレットの外周周りに配置された、遠位部分における少なくとも2つの長手方向に離隔された側部ポートを備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0059】
[0068]細長い中空スタイレットの遠位部分の混合室が、細長い中空スタイレットの外周周りに配置された、遠位部分における少なくとも3つの側部ポートを備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0060】
[0069]混合室が、注射針組立体の遠位部分に位置する少なくとも1つの先端ポートを備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
[0070]細長い中空スタイレットの遠位端が内管腔、中間管腔、および外管腔の遠位方向の範囲を終わらせる鈍い先端である、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0061】
[0071]注射針組立体が閉じられたスタイレット針先端を備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
[0072]ハブが、第1の入口ポートおよび第2の入口ポートの周りに配設された少なくとも1つの封止部をさらに備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0062】
[0073]上記少なくとも1つの封止部がOリングまたはスタジアム形状封止部である、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
[0074]ハブが、第1の入口ポートおよび第2の入口ポートから径方向外側に配設された1つまたは複数の封止部収容突起をさらに備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0063】
[0075]ハブが、ハブを二室式アプリケータに連結するような形状およびサイズに形成されたコネクタを備える、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
[0076]上記コネクタが四半回転コネクタである、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0064】
[0077]上記コネクタが、第1の入口ポートおよび第2の入口ポートを二室式アプリケータの排出ポートと整列させるような形状およびサイズにさらに形成されている、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
【0065】
[0078]補助ポートが、補助アプリケータと結合されるような形状およびサイズに形成されている、先の実施形態のいずれかによる針組立体。
[0079]別の実施形態において、流体送達システムは、互いに別個の2つの室を備える二室式アプリケータであって、各室がその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを備える二室式アプリケータと、先の実施形態のいずれか1つによる注射針組立体とを備える。
【0066】
[0080]補助ポートを介して注射針組立体と流体結合される補助アプリケータをさらに備える、先の実施形態のいずれかによる流体送達システム。
[0081]別の実施形態において、流体送達システムは、互いに別個の2つの室を備える二室式アプリケータであって、各室がその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを備える二室式アプリケータと、ハブおよび細長い中空スタイレットを備える注射針組立体とを備え、ハブは、二室式アプリケータの2つの室の各々の少なくとも1つの排出ポートと整列させられる第1の入口ポートおよび第2の入口ポートと、補助ポートとを備え、細長い中空スタイレットはハブから遠位方向に延在し、細長い中空スタイレットはハブのところの近位部分と近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有し、細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が外管腔と同心であり外管腔より小さい断面サイズを有するように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁であって、中間管腔が第1の入口ポートと流体結合されている第1の内側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、内管腔が外管腔および中間管腔と同心であり中間管腔より小さい断面サイズを有するように中間管腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁であって、内管腔が第2の入口ポートと流体結合されている第2の内側壁と、細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された混合室であって、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されている混合室とを備える。
【0067】
[0082]補助ポートを介して注射針組立体と流体結合される補助アプリケータをさらに備える、先の実施形態のいずれかによる流体送達システム。
[0083]別の実施形態において、流体送達システムは、注射針組立体と、二室式アプリケータと、補助アプリケータとを備え、注射針組立体は近位端と近位端から長さを隔てた遠位端とを有し、注射針組立体は近位端に配設されたハブを備え、ハブは、注射針組立体の長さにわたって延在する第1の管腔に流体結合された第1の入口ポートと、注射針組立体の長さにわたって延在する第2の管腔に流体結合された第2の入口ポートであって、第2の管腔が第1の管腔から分離されている第2の入口ポートと、注射針組立体の長さにわたって延在する第3の管腔に流体結合された補助ポートであって、第3の管腔が第1の管腔および第2の管腔から分離されている補助ポートと、を備え、二室式アプリケータは、ハブの第1の入口ポートと整列させられる第1の排出ポートを有する第1の室と、第1の室とは別個の第2の室であって、ハブの第2の入口ポートと整列させられる第2の排出ポートを有する第2の室とを備え、補助アプリケータはハブの補助ポートと流体結合される。
【0068】
[0084]別の実施形態において、対象に流体を送達する方法であって、上記方法が、流体送達システムの注射針組立体の遠位端を対象の標的区域に挿入するステップであって、流体送達システムが、ハブを介して流体結合された二室式アプリケータおよび補助アプリケータ、ならびに細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された遠位混合室への3つの別個の流路を画定する細長い中空スタイレットを備える、挿入するステップと、3つの別個の流路のうちの第1の流路を介して補助アプリケータ内の第1の流体を標的区域に送達させて空間を作成するステップと、3つの別個の流路のうちの第2の流路および第3の流路を介して二室式アプリケータ内の2つの前駆材料を上記空間に送達させて混合させるステップであって、2つの前駆材料を混合することで結果として空間内にハイドロゲルが形成される、混合させるステップとを含む。
【0069】
[0085]標的区域から注射針組立体を取り除くステップをさらに含む、先の実施形態のいずれかによる方法。
[0086]別の実施形態において、針組立体は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、および補助ポートを備えるハブと、ハブから遠位方向に延在する細長い中空スタイレットを備える注射針組立体とを備え、細長い中空スタイレットはハブのところの近位部分と近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有し、細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、外管腔が中間管腔を取り囲むように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁であって、中間管腔が第1の入口ポートと流体結合されている第1の内側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が内管腔を取り囲むように中間管腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁であって、内管腔が第2の入口ポートと流体結合されている第2の内側壁と、細長い中空スタイレットの遠位部分に配設された混合室であって、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されている混合室とを備える。
【0070】
[0087]別の実施形態において、混合すべき成分をそれら成分が標的区域に達するまで隔離する針組立体は、第1の入口ポート、第2の入口ポート、および補助ポートを備えるハブと、ハブから遠位方向に延在する細長い中空スタイレットを備える注射針組立体とを備え、細長い中空スタイレットはハブのところの近位部分と近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有し、細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、外管腔が中間管腔を取り囲むように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁であって、中間管腔が第1の入口ポートと流体結合されている第1の内側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が内管腔を取り囲むように中間管腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁であって、内管腔が第2の入口ポートと流体結合されている第2の内側壁と、細長い中空スタイレットの遠位部分に配設された混合室であって、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されており中間管腔および内管腔から受け取られる流体を混合するように構成されている混合室とを備える。
【0071】
[0088]別の実施形態において、流体送達システムは、互いに別個の2つの室を備える二室式アプリケータであって、各室がその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを備える二室式アプリケータと、ハブおよび細長い中空スタイレットを備える注射針組立体とを備え、ハブは、二室式アプリケータの2つの室の各々の少なくとも1つの排出ポートと整列させられる第1の入口ポートおよび第2の入口ポートと、補助ポートとを備え、細長い中空スタイレットはハブから遠位方向に延在し、ハブのところの近位部分と近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有し、細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、外管腔が中間管腔を取り囲むように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁であって、中間管腔が第1の入口ポートと流体結合されている第1の内側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が内管腔を取り囲むように中間管腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁であって、内管腔が第2の入口ポートと流体結合されている第2の内側壁と、細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された混合室であって、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されている混合室とを備える。
【0072】
[0089]他の実施形態において、流体送達システムは、互いに別個の2つの室を備える二室式アプリケータであって、各室がその遠位端に少なくとも1つの排出ポートを備える二室式アプリケータと、混合すべき成分をそれら成分が標的区域に達するまで隔離する注射針組立体とを備え、注射針組立体はハブと細長い中空スタイレットとを備え、ハブは、二室式アプリケータの2つの室の各々の少なくとも1つの排出ポートと整列させられる第1の入口ポートおよび第2の入口ポートと、補助ポートとを備え、細長い中空スタイレットはハブから遠位方向に延在し、ハブのところの近位部分と近位部分から距離を隔てた遠位部分とを有し、細長い中空スタイレットは、近位部分から遠位部分へ延在し、補助ポートと流体結合された外管腔を画定する外側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、外管腔が中間管腔を取り囲むように外管腔内に配設された中間管腔を画定する第1の内側壁であって、中間管腔が第1の入口ポートと流体結合されている第1の内側壁と、近位部分から遠位部分へ延在し、中間管腔が内管腔を取り囲むように中間管腔内に配設された内管腔を画定する第2の内側壁であって、内管腔が第2の入口ポートと流体結合されている第2の内側壁と、細長い中空スタイレットの端部遠位部分に配設された混合室であって、外管腔、中間管腔、および内管腔と流体結合されており中間管腔および内管腔から受け取られる流体を混合するように構成されている混合室とを備える。
【0073】
[0090]特定の実施形態が本明細書で例証され記載されている一方で、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な他の変更および修正がなされてもよいことを理解されたい。さらに、特許請求される主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。従って、添付の特許請求の範囲は特許請求される主題の範囲内のそのような変更および修正の全てを包含することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】