(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】食品
(51)【国際特許分類】
A23G 1/48 20060101AFI20241101BHJP
A23G 3/48 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A23G1/48
A23G3/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532947
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022051700
(87)【国際公開番号】W WO2023102214
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512268077
【氏名又は名称】マーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ホートゥム ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ラールマン ロビン
(72)【発明者】
【氏名】メーレンステーン ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ポペスク ラウレン
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB04
4B014GB07
4B014GB09
4B014GG04
4B014GG05
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG09
4B014GG13
4B014GG14
4B014GK05
4B014GL01
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP02
4B014GP04
4B014GP18
(57)【要約】
本発明は、植物性ヌガー成分を含む食品に関し、植物性ヌガー成分は、0.5~20重量%の植物性タンパク質及び1~30重量%の植物性粉末、植物性キャラメル成分、及び植物性チョコレート成分を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品であって、
植物性ヌガー成分であって、0.5~20重量%の植物性タンパク質及び5~20重量%の植物性粉末を含む、植物性ヌガー成分と、
植物性キャラメル成分と、
植物性チョコレート成分と、を含む、食品を提供する。
【請求項2】
前記植物性ヌガー成分が、30~75重量%、又は40~65重量%、又は45~55重量%の糖シロップを含む、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記植物性ヌガー成分が、1~15重量%、2~10重量%の植物タンパク質単離物、例えば、ジャガイモタンパク質単離物を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の食品。
【請求項4】
前記植物性ヌガーが、1~40重量%の可溶性繊維を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品。
【請求項5】
前記植物性キャラメル成分が、1~70重量%の可溶性繊維を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品。
【請求項6】
前記植物性チョコレート成分が、1~30重量%の可溶性繊維を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品。
【請求項7】
前記植物性粉末が、野菜粉末又は果物粉末であり、任意選択的に、前記野菜粉末又は果物粉末が、ニンジン粉末、サツマイモ粉末、チェリー粉末、バターナットカボチャ粉末、及びビートルート粉末から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の食品。
【請求項8】
前記植物性ヌガー成分が、15~25重量%の可溶性繊維を含み、及び/又は前記可溶性繊維が、可溶性トウモロコシ繊維又はオリゴフルクトサッカリドの形態での可溶性繊維を含む、請求項1~7のいずれかに記載の食品。
【請求項9】
前記植物性ヌガー成分が、スクロース又はグルコースから選択される10重量%未満の添加糖を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の食品。
【請求項10】
前記植物性ヌガー成分が、ホールナッツ及び刻みナッツのうちの一つ以上のナッツ含有物を含み、任意選択的に、前記ホールナッツ及び刻みナッツが、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオナッツ、ペカンナッツ、クルミ、及びマカダミアナッツから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の食品。
【請求項11】
前記植物性キャラメル成分が、植物性ミルク、植物性タンパク質、植物性脂肪、及び糖シロップを含み、任意選択的に、前記植物性キャラメル成分が、含有物を含み、任意選択的に、前記植物性キャラメルが、ナッツを含むか、又は5~50重量%のナッツ、又は5~30重量%のナッツ、又は10~20重量%のナッツを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の食品。
【請求項12】
前記キャラメル成分の前記含有物が、ホールナッツ及び刻みナッツのうちの一つ以上のナッツ含有物を含み、任意選択的に、前記ホールナッツ及び刻みナッツが、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオナッツ、ペカンナッツ、クルミ、及びマカダミアナッツから選択される、請求項11に記載の食品。
【請求項13】
前記植物性キャラメル成分が、スクロース又はグルコース又はそのシロップから選択される30重量%未満、例えば、25重量%未満、例えば20重量%未満の添加糖を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の食品。
【請求項14】
前記植物性キャラメル成分が、1~50重量%の可溶性繊維を含み、及び/又は前記植物性キャラメル成分が、可溶性トウモロコシ繊維、イヌリン又はフラクトオリゴ糖の形態での可溶性繊維を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の食品。
【請求項15】
前記植物性キャラメル成分が、1~50重量%、例えば、1~10重量%の転化糖シロップを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の食品。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の植物性ヌガー成分を製造する方法であって、前記方法が、植物性タンパク質を含むホイップ溶液をエアレーションすることを含み、糖シロップが、前記ホイップ溶液のエアレーション前、エアレーション中又はエアレーション後に前記ホイップ溶液に添加されて、フラッペを形成することと、前記フラッペに植物性粉末を添加して、前記植物性ヌガーを形成することと、任意選択的に、植物性ヌガー成分に含有物を添加することと、を含み、前記含有物がナッツを含むか、又は5~50重量%のナッツ、又は10~40重量%のナッツ、又は20~30重量%のナッツを含む、方法。
【請求項17】
前記植物性キャラメル成分の層及び前記植物性ヌガー成分の層を含むバーの形態である、請求項1~16のいずれか一項に記載の食品。
【請求項18】
前記植物性キャラメルの層及び前記植物性ヌガーの層が、前記植物性チョコレート成分にエンロービングされる、請求項17に記載の食品。
【請求項19】
前記植物性チョコレート成分が、スクロース、グルコース、及びフルクトースから選択される30重量%未満の添加糖を有する、低糖植物性ミルクチョコレートを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の食品。
【請求項20】
前記植物性チョコレート成分が、デキストリン、イヌリン、及びフラクトオリゴ糖から選択される一つ以上の可溶性繊維を含む、低糖植物性ミルクチョコレートを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の食品。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の食品であって、
1~70重量%、例えば、10~60重量%、又は25~55重量%の植物性ヌガー成分と、
1~60重量%、例えば5~40重量%、又は10~20重量%の植物性キャラメル成分と、
1~60重量%、例えば、10~50重量%、又は25~40重量%の植物性チョコレート成分と、を含む、食品。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の食品を製造する方法であって、前記方法が、前記植物性キャラメル成分、前記植物性ヌガー成分、及び前記植物性チョコレート成分を組み合わせて、前記食品を形成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子と呼ばれ得る植物性食品に関連する。食品を製造するための方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
チョコレートなどの菓子製品は人気のある食品であり、植物性食品は消費者にとってますます望ましいものとなっている。これは、動物福祉、畜産の環境への影響、及び動物製品に関連する健康リスクに関連する消費者の懸念によるものである。植物性食品には、ビーガン食品が含まれる。チョコレートの従来の原料は、カカオ豆に由来する。このように、チョコレートは、植物性製品として調製されることができる。
【0003】
しかしながら、多くのチョコレート製品は、動物由来の原料を含有し、植物性ではない。「ミルクチョコレート」とラベル付けされた製品は通常、糖を添加した動物由来のミルクを含む。「ダークチョコレート」とラベル付けされた製品もミルクと糖を含む場合があるが、量は少ない。チョコレート製品は、動物に由来する他の原料、例えば、乳清、カゼイン、及び特定の乳化剤を含有する場合がある。数多くのチョコレート製品には、キャラメル、ヌガー、ビスケットなどの追加的な要素も含まれ、そのすべてもまた、糖を含有する。消費者が享受する食品を依然として提供しつつ、動物由来の原料を含有する既存の食品を植物性製品又はビーガン製品に再調整することは、典型的に困難である。
【0004】
ミルク、卵、及び乳タンパク質などの動物由来の原料を含有するミルクチョコレート又は菓子製品などの乳製品も、アレルギー又は食物不耐性を有する人、又は乳製品不使用の食事又はビーガン食主義の人にとって問題となり得る。乳製品原料又は動物性の原料を含む標準的なミルクチョコレート又は菓子製品と同じ味覚及び心地よい口当たりを有するビーガン又は乳製品不使用のチョコレート又は菓子製品を提供する必要性が高まっている。したがって、感覚受容的に望ましいビーガン又は植物性の菓子という観点から、菓子分野において消費者の期待に合わせるという継続的なニーズがある。
【0005】
さらに、高レベルの精製糖又は添加糖を含有する菓子製品は、糖尿病患者、又は肥満もしくは過体重であり、減量しようとしている人にとって問題となる可能性がある。したがって、ビーガン又は乳製品不使用のチョコレート又は菓子製品だけでなく、標準的なミルクチョコレート菓子の味覚、食感、感触を有し、生産が経済的であり、好ましい加工性及びレオロジー特性を有する、低糖菓子を提供する必要性も増している。「ビーガンミルクチョコレート」はよく知られており、ココナッツミルク、ライスミルク、又はアーモンドミルクを使用して、先行技術で調製されている。
【0006】
しかしながら、特に、典型的には、ヌガー、キャラメル、及び/又はナッツからなる成分を含む複合チョコレートバーなどの様々な食感のある植物性の菓子品目を提供する必要性がある。これらのタイプの菓子は、こうした製品の製造が困難であり得るため、特定の課題を提供する。さらなる植物性の低糖食品に対する必要性がある。
【0007】
ヌガーは、別の人気のある菓子品目である。ヌガーは通常、植物性製品ではない。ヌガーは、それ自体で別個の製品として利用可能であり得るか、又はチョコレートなどの他の要素を含むバーなどの複合菓子品目の成分、同様に、エアレーションされたキャラメル、トフィー、ファッジ、ナッツ、ウエハース、ビスケット、ゲル、香味クリーム又はプラリネを含むキャラメルとして存在し得る。ヌガーは、従来、ハチミツ又は精製糖に基づく糖シロップの形態にあり得る糖、同様にタンパク質の供給源を提供する卵白を含む。一部のヌガーは硬く噛みごたえがあるが、ヌガーティンと呼ばれることもある柔らかいヌガーはより高い水分含量を含む。これらは、ショートニング効果を有する、ココア、乳粉末、ラクトース、麦芽、及び粉砂糖などの原料を含有し得る。脂肪及び乳化剤もまた、含まれ得る。典型的なヌガーレシピは、例えば、‘Sugar Confectionery Manufacture’ (Berlin:Springer) Second edition, 1995 Ed. E.B. Jackson、特に、いくつかの具体的な例を示す表13.3に記載されている。
【0008】
米国特許第2017/245519A1号に記載されるように、ヌガーは、典型的には、適切な量の糖シロップとタンパク質混合物とを混合し、混合物にエアレーションし、その後、得られたフラッペを好適な量の香料/穀物混合物と混合することによって調製される。典型的には、フラッペは、グラニュースクロースなどの糖を十分な水と混合して溶液を形成することによって調製されたシロップ溶液を使用して調製され、糖溶液は、グルコース及び任意選択的に塩などの他の原料の添加によって、「ベースシロップ」又は「ドクターシロップ」へと形成される。
【0009】
次いで、シロップが適切な濃度のものである前に、水のうちの少なくとも一部を除去するために、加熱又は調理手順にベースシロップを供することが、一般的に必要である。例えば、140℃までの高温は、レシピに従って水分含量を低減するため水を蒸発させるために一般的に必要とされる。冷却時に、得られたシロップは、製造中に結晶性形態に状態を変化させて所望のテクスチャー特性を得る、高飽和溶液を形成する。残留エネルギーは、タンパク質の凝固を助けるためにその後で使用され得る。特に、タンパク質は、典型的には、粉末卵及び/又は乳タンパク質などの動物に由来する。卵及び/又は乳タンパク質は、典型的には、安定したエアレーションされた糖ネットワークを作り出すために必要であると考えられる。
【0010】
キャラメルは、もう一つの人気のある菓子製品である。キャラメル、トフィー、ファッジは特に人気のある菓子品目である。これらは、それ自体で別個の製品として利用可能であり得る。代替的には、これらは、チョコレートなどの他の要素を含むバーなどの複合菓子品目の構成成分、同様に、ヌガー、ナッツ、ウエハース、ビスケット、ゲル、香味クリーム又はプラリネとして存在する。キャラメルは、糖の高い菓子として特徴付けられる。糖の実質的な割合は、グルコースシロップ又はスクロースによって提供され得るが、キャラメルは、典型的には、脂肪、ミルク、香料剤、及び水も含有する。
【0011】
任意の特定のキャラメル、トフィー、又はファッジに存在する水の量は、その味覚及び食感だけでなく、その加工性にも影響を与える。また、一部のキャラメル、トフィー、又はファッジの菓子は、望ましくは、例えば、アイスクリームのトッピング又は特定の中に詰め物のある菓子など、より多くの流体であるが、他の用途では、これらの菓子は、望ましくは、歯ごたえのある食感を有してもよい。このような菓子品目は、より少ない水を含む。前者は、消費する際は散らかりがちであるが堆積させやすく、後者は、よりきれいな消費体験を提供するが、製造中の取り扱いが困難であり得る。
【0012】
ヌガー及びキャラメルは、乳タンパク質及び/又は卵タンパク質などの原料を含有するため、典型的には植物性食品ではない。例えば、典型的なヌガーは、乳タンパク質及び/又は卵タンパク質によって安定化されるエアレーションされた糖ネットワークを含む。典型的なキャラメルは、ミルクなどの乳製品を含む。ヌガー及びキャラメルに対する植物性の低カロリー代替物のニーズがある。
【0013】
国際特許第2018/167788 A1号は、乳製品不使用及び/又はビーガンの菓子製品、特にチョコレートを主原料とした製品、ならびにそれらの調製方法を開示している。国際特許第2011/072834 A1号は、カカオバター、糖、及びココナッツミルクを含むチョコレート組成物を開示している。欧州特許第3369324 A1号は、その組成物中に繊維が含まれているかを問わず、ミルク不使用(乳タンパク質不使用、かつラクトース不使用)、糖を含まない、及び大豆不使用のホワイトチョコレートを製造するために特に設計された混合物の製剤を開示している。欧州特許第3338559 A1号は、ココア及びイナゴマメを主成分として使用して、代替的にやし油、米誘導体、粉末サツマイモ、及び低血糖指数を有する糖を補充した、カフェイン及びテオブロミンの含有量が低く、動物性ミルク不使用で、添加糖の含有の有無は問わず、グルテンフリーで、大豆不使用で、繊維の含有の有無は問わない、イナゴマメを用いたチョコレート配合を開示している。
【0014】
台湾特許第201032726 A号は、32~41重量%のマルトース、17~22重量%の糖、6~8重量%の脂肪/油、6~10重量%の混合穀物粉末、20~30重量%のナッツ材料、3~6重量%の水、及び0.01~5重量%のタンパク質材料を含むヌガー組成物を開示している。
【0015】
以下の開示は、本発明の一般原理の例示を提供するために提示されており、いかなる方法であれ、本明細書に含まれる本発明の概念を限定することを意図するものではない。さらに、本項に記載される特徴は、本明細書に含まれる多数の可能性のある並べ替え及び組み合わせの各々における他の記載の特徴と組み合わせて使用することができる。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、
植物性ヌガー成分であって、0.5~20重量%の植物性タンパク質及び1~30重量%の植物性粉末を含む、植物性ヌガー成分と、
植物性キャラメル成分と、
植物性チョコレート成分と、を含む、食品を提供する。
【0017】
いくつかの実施例では、植物性ヌガー成分、植物性キャラメル成分、及び植物性チョコレート成分のうちの一つ以上は、可溶性繊維を含む。本発明による植物性の低糖食品は、消費者の味覚試験で良好な評点を受け、それ故に動物由来の原料を含有する既存の食品に対する許容可能な代替物を提供することが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書は、本発明をより良好に定義し、本発明の実施において当業者を導くための、特定の定義及び方法を提供する。特定の用語又は語句の定義の提供、又は提供の欠如は、いかなる特定の重要性も暗示するものではなく、又は重要性の欠如も暗示するものではない。むしろ、別段の記載がない限り、用語は、関連技術分野の当業者による従来の使用に従って理解されるべきである。本発明の追加的な特徴及び利点は、以下に続く、現在好ましい実施形態の説明に記載されており、それらから明らかになるであろう。
【0019】
本明細書で使用される場合、「植物性」という用語は、動物由来の原料なしで配合される製品を指す。植物性製品は、微量の乳製品原料など、微量の動物由来の原料を含み得る。例えば、乳製品を製造するために以前に使用されてきた製造ラインの使用に起因して、微量の乳製品原料が植物性製品中に存在し得る。「植物性」という用語は、1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の動物由来の原料を含む製品を指し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「植物性」という用語は、ビーガンという用語を包含する。「ビーガン」という用語は、動物由来又は昆虫由来の原料なしで配合される製品を指す。「ビーガン」という用語は、動物由来又は昆虫由来の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の原料を含む製品を指し得る。本発明の植物性製品及びプロセスは、ビーガン製品及びプロセスであることが好ましい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「低糖」、「添加糖」、「単糖」、及び「精製糖」という用語は、例えば、純粋な単糖類のグルコース及びフルクトース、又は二糖類のスクロースを得るために、テンサイ及びサトウキビの処理から得られることになる加工糖を指す。純粋なスクロース、グルコース、及びフルクトースなどの精製糖は、高血糖の炭水化物であり、したがって、体重を管理しようとする人にとって望ましくない。この用語は、ハチミツなどの天然由来の糖産物、又はグルコースもしくはフルクトースを含有する任意の天然由来の多糖類もしくはオリゴ糖類、又は食品の調製に使用され得る任意のミルクもしくは乳製品に天然に存在し得る任意のラクトース(二糖類)を包含することを意図していない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「食物繊維」、「可溶性食物繊維」、「可溶性繊維」、又は「水溶性(食物)繊維」という用語は、水溶性である、又は少なくとも水中で膨潤する、イヌリン、ポリフルクトースに基づくフルクタン、及びより短いオリゴフルクトサッカリドなどの天然由来の材料に対するものである。本食品の任意の成分に使用され得るその他の可溶性食物繊維にはデキストリンが含まれ、これはデンプン又はグリコーゲンの加水分解によって生成される低分子量ポリグルコース分子である。これらの材料は、低カロリー含量(約1 cal/g)であり、そのため精製糖、特に菓子で典型的に使用されるバルク糖交換物として望ましい代替物である。水溶性食物繊維の他の供給源としては、ベータグルカン、カラゲネン、グアー、アカシアガム、キサンタンガム、及びペクチン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。可溶性食物繊維のさらなる例は、可溶性トウモロコシ繊維(SCF)を含み、このようなSCFの例は、PROMITOR(登録商標)Soluble Fibre 70(Tate & Lyle社によって提供される)である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「低糖」ミルクチョコレートは、そのシロップを含めて、スクロース、グルコース、及びフルクトースから選択される添加糖/精製糖の50重量%未満、又は30重量%未満、又は25重量%未満を有するミルクチョコレートである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「重量パーセント」又は「重量%」への言及は、その組成物の総重量に基づく、組成物中の特定の成分の量を指す。例えば、キャラメル成分中の可溶性繊維の「重量%」への言及は、別段の記載がない限り、キャラメル成分を含む食品中の可溶性繊維の総量(重量%)ではなく、キャラメル成分中の可溶性繊維の量(重量%)への言及である。
【0025】
食品
本明細書では、
植物性ヌガー成分であって、0.5~20重量%の植物性タンパク質及び1~30重量%の植物性粉末を含む、植物性ヌガー成分と、
植物性キャラメル成分と、
植物性チョコレート成分と、を含む、食品を提供する。
【0026】
本明細書では、
本明細書に記載される植物性ヌガー成分と、
本明細書に記載される植物性キャラメル成分と、
本明細書に記載される植物性チョコレート成分と、を含む、食品が提供される。
【0027】
食品は、
本明細書に記載される植物性ヌガー成分と、
本明細書に記載される植物性キャラメル成分と、
本明細書に記載の植物性チョコレート成分と、を含む、又はこれらから実質的になる、又はこれらからなってもよい。
【0028】
食品は、菓子製品に典型的な重量を有してもよい。例えば、重量は、1~70g、例えば、5~70g、5~60g、任意選択的に20~60g、任意選択的に30~60g、任意選択的に40~60g、任意選択的に20~40g、任意選択的に1~20g、任意選択的に1~10gであってもよい。重量は好ましくは約20gであってもよい。食品は菓子製品であってもよい。製品は、菓子製品に典型的な寸法を有してもよい。食品は、一口サイズの製品又はバーの形態であってもよい。バーは、15~50mm、好ましくは20~45mm、最も好ましくは25~40mmの長さ、また、10~50mm、好ましくは15~45mm、最も好ましくは20~40mmの幅、また、5~35mm、好ましくは10~30mm、最も好ましくは12~25mmの高さを有してもよい。植物性ヌガーの高さは、食品の長さ(最長寸法)に沿って4~25mm、例えば4~20mm、例えば6~15mm、好ましくは8~12mm、好ましくは約10mmであってもよい。植物性キャラメルの高さは、食品の長さ(最長寸法)に沿って1~10mm、好ましくは約3mmであってもよい。
【0029】
植物性食品は、複合菓子製品であることが好ましい。植物性食品は、植物性チョコレート、植物性ヌガー、及び植物性キャラメルの成分を含む複合菓子であることが好ましい。植物性の複合食品は、成分のいずれかの中に含有物をさらに含んでもよい。植物性チョコレートは、植物性ヌガー及び植物性キャラメルを包むか又はエンロービングするコーティングを形成することが好ましい。
【0030】
食品は、1~60重量%、好ましくは10~50重量%、好ましくは15~55重量%、好ましくは25~45重量%、好ましくは25~40重量%、最も好ましくは30~40重量%の植物性チョコレート、1~60重量%、好ましくは5~40重量%、好ましくは10~20重量%、好ましくは15~55重量%、好ましくは25~45重量%、最も好ましくは30~40重量%の植物性キャラメルを含んでもよく、残りの食品の少なくとも90重量%、任意選択的に100重量%が植物性ヌガーである。食品は、植物性ヌガーを含む層と、植物性チョコレートを含むさらなる層とを含み得る。植物性チョコレートは、植物性ヌガーを部分的に又は完全に覆ってもよい。植物性ヌガーは層を形成してもよく、植物性チョコレートは、植物性ヌガーの層の一つ以上の側面、任意選択的にすべての側面を覆ってもよい。食品は、植物性ヌガーを含む層と、植物性キャラメルを含むさらなる層とを含み得る。植物性キャラメルは、植物性ヌガーを部分的又は完全に覆ってもよい。植物性ヌガーは、層を形成してもよく、植物性キャラメルは、植物性ヌガーの層の一つ以上の側面、任意選択的にすべての側面を覆ってもよい。食品は、バーの形態であってもよく、これは細長いバー又はほぼ正方形のバーであってもよい。
【0031】
食品は、植物性ヌガーを含む第一の層、植物性キャラメルを含む第二の層、及び植物性チョコレートを含む第三の層を含み得る。植物性チョコレートは、植物性ヌガー及び植物性キャラメルを部分的又は完全に覆ってもよい。食品は、植物性ヌガーの層と、植物性ヌガーの側面上に配置された植物性キャラメルの層とを備えてもよく、植物性チョコレートは、植物性ヌガー及び植物性キャラメルの層の一つ以上の側面、任意選択的にすべての側面を覆ってもよい。食品は、植物性ヌガーの単一の層と、植物性ヌガーの側面上に配置された植物性キャラメルの単一の層とを含んでもよく、植物性チョコレートは、植物性ヌガー及び植物性キャラメルの層の一つ以上の側面、任意選択的にすべての側面を覆って、植物性チョコレートで覆われたバーを形成してもよい。食品は、バーの形態であってもよく、これは細長いバー又はほぼ正方形のバーであってもよい。
【0032】
本明細書では、食品を製造する方法が提供され、方法は、本明細書に記載の植物性ヌガー成分、本明細書に記載の植物性キャラメル成分、及び本明細書に記載の植物性チョコレート成分を組み合わせて、食品を形成することを含む。
【0033】
一実施形態では、植物性ヌガーは、好ましくは層の形態で製造され、次いで、植物性キャラメルの層が、植物性ヌガー上に配置されて、中間バーを形成し、次いで、植物性チョコレートが、中間バーの一つ以上の側面、好ましくは全ての側面上にコーティングされて、植物性キャラメル及び植物性ヌガーを完全に包む。
【0034】
いくつかの実施例では、食品は、30重量%未満の糖含有量を含むが、これは、可溶性繊維として存在し得る任意の天然由来の多糖類又はオリゴ糖類ではなく、精製糖及び/又はハチミツなどの天然由来の糖の総含有量を指すことが理解されよう。
【0035】
予想外なことに、チョコレートでエンロービングされたキャラメル及びヌガーの植物性食品は、少なくとも風味及び食感に関して感覚的経験のいずれをも犠牲にすることなく調製できることが見出された。
【0036】
植物性ヌガー
食品は、0.5~20重量%の植物性タンパク質及び1~30重量%の植物性粉末を含む植物性ヌガー成分を含む。
【0037】
植物性ヌガー成分は、0.5~20重量%の植物性タンパク質、1~30重量%の植物性粉末を含んでもよい。いくつかの実施例では、植物性ヌガーは、低糖ヌガーであり、0.5~20重量%の植物性タンパク質、1~40重量%の可溶性繊維、及び1~30重量%の植物性粉末、好ましくは、別名で水溶性食物繊維とも呼ばれる15~25重量%の可溶性繊維、好ましくは1~20重量%の植物性粉末を含む。可溶性繊維が含まれることで、製品の品質及び官能特性を維持しつつ、精製糖の量を減少させることを可能にする。水溶性食物繊維は、血糖値の増加をもたらさないため、糖尿病患者に適している。ヌガーは、可溶性繊維の含有量によって、高繊維ヌガーと呼ばれてもよい。これらのレベルの繊維をヌガーに導入することは、望ましい感覚的体験を有する栄養のある食品をもたらし、ユーザーの満足度及び製品寿命を維持するために必要とされる精製糖及び従来の保湿剤の量を低減することができる。
【0038】
植物性ヌガー成分は、PROMITOR(登録商標)85Lなどの可溶性トウモロコシ繊維の形態の可溶性食物繊維、少なくとも85%の食物繊維を有する液体形態のプレバイオティック可溶性トウモロコシ繊維、及び2%未満の糖を含んでもよい。植物性ヌガー成分は、フルクタンなどの天然由来の多糖類、又はオリゴフルクトサッカリドの形態の可溶性食物繊維を含んでもよい。植物性ヌガー成分は、チコリーの根に由来する可溶性食物繊維を含んでもよい。しばしば機能性繊維と呼ばれる可溶性食物繊維は、腸内細菌叢のバランスをとり、低血糖食を支持する上で重要であることが証明されているプレバイオティック材料である。植物性ヌガー成分中の可溶性食物繊維は、クリーミーな食感及び甘い味覚を与えることができ、これは、より少ない脂肪及びより少ない精製糖を植物性ヌガーに含める必要があることを意味する。
【0039】
植物性ヌガー成分は、植物性粉末、例えば、野菜又は果物に由来する粉末を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「植物性粉末」は、植物性ヌガーの基礎を形成するために使用される任意の植物性タンパク質とは異なる原料であると理解されるべきである。いくつかの実施例では、植物性粉末は、植物性着色剤及び/又は植物性香料剤成分と呼ばれてもよく、本明細書で使用される植物性タンパク質は、任意の識別可能な臭気又は風味を実質的に欠き、主にヌガーの構造成分であり、安定性を与えることが理解される。粉末は、任意の適切な野菜又は果物の任意の適切な部分を乾燥させ、これらの乾燥させた野菜又は果物を任意の適切な手段によって粉砕して粉末を得ることによって得られ得る。同様に、上記の粉末のいずれかを購入してもよい。果物又は野菜の乾燥は、果物又は野菜の凍結乾燥部分によって、又は恒量が得られるまで約50℃以下、例えば約35℃の温度で加熱することによって行われてもよい。恒量を有することは、果物又は野菜が完全に乾燥している、すなわち、すべての水が除去されたことを示す。乾燥された材料から粉末を形成することは、任意の粉砕装置の使用を通して達成することができ、小規模では乳棒及び乳鉢が使用されてもよく、一方、大規模製造では粉砕機及び工業用磨砕機が使用されてもよい。
【0040】
野菜又は果実の粉末は、根菜類、冬カボチャ、及び果物の群から選択され得る。植物性粉末を形成するために使用され得る根野菜の例としては、ニンジン、アメリカボウフウ、ルタバガ、サツマイモ(塊根野菜である)、ビーツ(ビートルートを含む)、キャッサバ、ショウガ、ターメリック、チョウセンニンジン、及びレンコンが挙げられる。冬カボチャの例としては、カボチャ、バターナットカボチャ、セイヨウカボチャ、ドングリカボチャ、キンシウリ、及びアンバーカップスカッシュが挙げられる。果物の例としては、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、ブドウ、マンゴー、パパイヤ、プラム、モモ、アプリコット、ブルーベリー、ブラックベリー、及びクロフサスグリが挙げられる。消費に適合する植物又は野菜の任意の部分を使用して、植物性粉末を生成してもよい。例えば、葉の頂部を含むビートルート全体を使用して、ビートルート系粉末を形成してもよく、又は葉の頂部は、他の実施例では省略されてもよい。いくつかの実施例では、野菜又は果物の粉末は、ニンジン、サツマイモ、サクランボ、バターナットカボチャ、又はビートルート粉末のうちのいずれか一つから選択される。いくつかの実施例では、ブレンドされた粉末形態で、二つ以上のタイプの果物及び/又は野菜が使用されてもよい。例えば、イチゴ、ブラックベリー、ラズベリー、アカフサスグリ及びクロフサスグリのうちの二つ以上のブレンドを使用して、「森の果物」の香りがする粉末を生成してもよい。
【0041】
いくつかの実施例では、植物性粉末は、アップサイクルされた野菜又は果物を乾燥させることから得られた粉末を含んでもよく、又はそれからなってもよい。本明細書で使用される場合、「アップサイクルされた」という用語は、消費者の期待に適合しないため生産者又は小売業者によって廃棄されるか既に廃棄され、人間による消費に至らなかったであろう果物又は野菜の栽培物を指す。これらは、検証可能なサプライチェーンを使用して調達及び生産され、このような栽培物をアップサイクリングすることは、環境にプラスの影響を与える可能性がある。植物性粉末が上述の野菜又は果物のいずれかのアップサイクルされた粉末であることに加えて、植物性粉末はまた、コーヒーの出し殻、醸造及び蒸留産業からの使用済み穀物、廃棄されたパン、ココア殻などのココア副産物、又はパルプ及びピーナッツ殻を含む任意の果物副産物を含むがこれらに限定されない、任意の他の植物性材料をアップサイクルすることによって得られる粉末を含んでもよい。
【0042】
植物性ヌガーは、ブラウニーヌガーであってもよい。植物性ヌガーは、それを植物性ブラウニーヌガーにするチョコレート成分を含んでもよい。植物性ヌガーは、植物性ブラウニーヌガーを形成するために、カカオバター、カカオリカー、ココア粉末、又はそれらの混合物を含んでもよい。
【0043】
さらに、植物性ヌガーは、植物性タンパク質及び糖シロップを含む。植物性ヌガーはまた、ナッツ含有物を含んでもよい。植物性タンパク質は、ナッツ含有物中に存在する任意のタンパク質に加えてのものであることが理解されよう。有利なことに、原料の組み合わせに起因して、植物性ヌガーは、安定剤として卵タンパク質又は乳タンパク質を必要とすることなく、安定したエアレーションされた糖ネットワークを維持することができる。安定性とは、崩壊、分離、又は分割することなく、その構造を維持するヌガーの能力を指す。
【0044】
植物性ヌガーは、30~75重量%、又は40~65重量%、又は45~55重量%の糖シロップを含んでもよい)。糖シロップは、スクロース、グルコース、転化糖、ハチミツ、及びそれらの混合物から選択され得る。糖シロップは水を含んでもよい。例えば、糖シロップは、1~20重量%の水及び99~85重量%の糖、好ましくは10~20重量%の水及び90~80重量%の糖を含んでもよい。ヌガーは、少なくとも50重量%の糖シロップ、任意選択的に少なくとも60重量%の糖シロップ、任意選択的に少なくとも65重量%の糖シロップ、任意選択的に少なくとも70重量%の糖シロップを含んでもよく、又はそれから形成されてもよい。植物性ヌガーは、41~72重量%の糖、好ましくは56~76重量%の糖、最も好ましくは60~68重量%の糖(この文脈では糖は乾燥糖である)を含んでもよい。糖は、スクロース、グルコース、転化シロップからの糖、ハチミツからの糖、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0045】
いくつかの実施例では、植物性ヌガーは、30重量%未満、例えば20重量%未満、例えば15重量%未満、例えば10重量%未満の添加糖もしくは単糖、例えば純粋なスクロース、フルクトースもしくはグルコースから選択される精製糖、又はそのシロップを含む。
【0046】
植物性ヌガーは、0.5~20重量%、好ましくは1~15重量%、最も好ましくは2~10重量%の植物性タンパク質を含んでもよい。これらの量は、例えば、ナッツ含有物などのヌガーの他の原料中に存在する植物性タンパク質を含まないことが理解されよう。植物性ヌガーの植物性タンパク質は、ジャガイモタンパク質、例えばジャガイモタンパク質単離物、豆の煮汁、及び大豆タンパク質、例えば大豆タンパク質単離物から選択されてもよいが、当業者であれば、植物性タンパク質の他の供給源も適切であることを理解するであろう。植物性タンパク質及び糖シロップは、安定したエアレーションされた糖ネットワークを形成することができる。
【0047】
本発明は、一般的なジャガイモタンパク質単離物の形態で添加され得る天然ジャガイモタンパク質混合物、又はパタチン単離物もしくはプロテアーゼ阻害剤単離物を利用するかのいずれかを利用してもよい。本発明者らは、ジャガイモタンパク質が、他の植物性タンパク質で製造された同等の製品と比較して、エアレーションされた製品が特に安定しており、卵タンパク質又は乳タンパク質などの動物性タンパク質から製造されたヌガーと同等の味覚、食感、及び外観で製造することができるという点で、生産プロセスにおいて特に効果的であることを見出した。
【0048】
ジャガイモタンパク質は、多くの方法で分類することができる。一つの分類では、ジャガイモタンパク質は、酸可溶性であるか、又は酸凝固可能であるかに応じて分類することができる。酸可溶性タンパク質は、pH3~5で水に可溶化するタンパク質であり、酸凝固可能なタンパク質は、(凝固したため)pH3~5で水に不溶性であるタンパク質である。酸可溶性ジャガイモタンパク質は、画分化することができ、すなわち、酸凝固可能なジャガイモタンパク質から単離又は分離することができる。酸可溶性タンパク質は、酸可溶性タンパク質よりも高い分子量を有する傾向がある。酸可溶性タンパク質は、SDS-PAGE分析によって測定した場合、32~87kDaの範囲の分子量を有することが見出されている。酸凝固可能なジャガイモタンパク質は、SDS-PAGE分析によって測定した場合、17~28kDaの分子量を有することが見出されている。ジャガイモタンパク質単離物は、分子量に基づいて単離及び画分されたジャガイモタンパク質、例えば、酸可溶性又は酸凝固可能なタンパク質を主に含有する単離物に画分されたジャガイモタンパク質単離物を含んでもよい。
【0049】
一実施形態では、SDS-PAGE分析によって測定した場合、ジャガイモタンパク質単離物の少なくとも50重量%、任意選択的に少なくとも75重量%、任意選択的に少なくとも90重量%、任意選択的に少なくとも95重量%は、30kDa以上の分子量を有するジャガイモタンパク質を含有する。このような分子量を有するジャガイモタンパク質は、Avebe社から市販されている、例えば、Solanic 200である。こうしたジャガイモタンパク質は、糖タンパク質ファミリーであるパタチンを含む。
【0050】
このタイプのジャガイモタンパク質で生産されたヌガーは、より低い分子量のタンパク質の色と比較してわずかに暗い色を有し、ジャガイモの味覚がわずかに高いことが見出された。その食感は、卵タンパク質又は乳タンパク質で従来の方法で作られたヌガーの食感と匹敵する。
【0051】
一実施形態では、SDS-PAGE分析によって測定した場合、ジャガイモタンパク質単離物の少なくとも50重量%、任意選択的に少なくとも75重量%、任意選択的に少なくとも90重量%、任意選択的に少なくとも95重量%は、30kDa未満の分子量を有するジャガイモタンパク質を含有する。このような分子量を有するジャガイモタンパク質は、Avebe社から市販されている、例えば、Solanic 3000である。こうしたジャガイモタンパク質は、プロテアーゼ阻害剤を含む。こうしたジャガイモタンパク質を得る方法は、例えば、国際特許第2008/069650号に公開されている。このタイプのジャガイモタンパク質で生産されたヌガーは、卵タンパク質又は乳タンパク質で従来の方法で生産されたヌガーと同じ色及び実質的に同じ食感及び味覚を有することが見出された。これは、より分子量の高いジャガイモタンパク質で生産されたヌガーよりも、より低いホイップ時間を必要とするようであった。
【0052】
上記の画分又は誘導体を使用することができる。上述のこれらのタンパク質又はその画分は、水分含量が5~10重量%の乾燥ジャガイモタンパク質粉末の形態で投与されることが好ましい。ヌガー中に存在する天然ジャガイモタンパク質の量は、0.5~15重量%のヌガー、任意選択的に0.5~10重量%、任意選択的に0.5~8.0重量%のヌガーであってもよい。
【0053】
豆の煮汁は、ひよこ豆などのマメ科植物の種子が調理及び/又は浸漬された水である。マメ科植物の種子は、インゲン豆、ひよこ豆、皮付き緑レンズ豆、黄色えんどう豆、大豆、及び同類のものであってもよい。マメ科種子はひよこ豆であることが好ましい。ひよこ豆から形成される豆の煮汁は、「アクアファバ」として知られている。一態様では、植物性タンパク質はアクアファバである。
【0054】
豆の煮汁は、さらなる原料を含んでもよく、又は豆の煮汁からなってもよい。好ましくは、豆の煮汁は塩を含んでもよい。塩は、豆の煮汁の1~10重量%、好ましくは3~7重量%、最も好ましくは約5重量%の量で存在してもよい。例示的な豆の煮汁は、99~90重量%のひよこ豆の水及び10~1重量%の塩、好ましくは97~93重量%のひよこ豆の水及び7~3重量%の塩、最も好ましくは約95重量%のひよこ豆の水及び約5重量%の塩を含む。
【0055】
植物性タンパク質は、乾燥粉末、例えば、ジャガイモタンパク質粉末、又は大豆タンパク質粉末の形態で提供されてもよい。有利なことに、タンパク質の乾燥粉末形態は、大規模な工業製造プロセスでの使用に効率的である。
【0056】
植物性ヌガーは、例えば、5~50重量%のナッツ、好ましくは10~40重量%のナッツ、最も好ましくは20~30重量%のナッツなどのナッツ含有物を含んでもよい。存在する場合、植物性ヌガー中のナッツは、ホールナッツ及び刻みナッツ、例えば、約2~4mmのサイズの刻みナッツのうちの一つ以上であってもよい。植物性ヌガー中のホールナッツ又は刻みナッツは、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオナッツ、ペカンナッツ、クルミ、及びマカダミアナッツから選択され得る。最も好ましくは、ナッツはピーナッツである。
【0057】
植物性ヌガーの密度は、600~1100kg/m3、好ましくは800~1000kg/m3、最も好ましくは約890kg/m3であってもよい。
【0058】
ヌガーは、典型的には、ゼラチン及び/又はゲル化デンプンを欠き、例えば、植物性ヌガーは、5重量%未満のゼラチン及び/又はゲル化デンプン、任意選択的に2重量%未満のゼラチン及び/又はゲル化デンプン、任意選択的に1重量%未満のゼラチン及び/又はゲル化デンプン、任意選択的に0.5重量%未満のゼラチン及び/又はゲル化デンプンを含有してもよく、任意選択的にゼラチン及び/又はゲル化デンプンを含有しなくてもよい。
【0059】
有利なことに、植物性ヌガーは、典型的な非植物性ヌガーと比較して、許容可能な感覚特性を提供する。
【0060】
植物性ヌガーを作製するためのプロセス
本明細書では、植物性ヌガーを製造する方法が提供され、方法は、植物性タンパク質を含むホイップ溶液をエアレーションすることを含み、ホイップ溶液のエアレーションの前、最中、又は後に、糖シロップがホイップ溶液に添加されて、フラッペを形成し、植物性粉末をフラッペに添加して、植物性ヌガーを形成する。代替的な実施形態では、植物性粉末は、エアレーション前にホイップ溶液に添加されてフラッペを形成し、次にフラッペはヌガーである。植物性粉末は、スラリーの一部としてフラッペに添加されてもよい。スラリーは、脂肪の基質、例えばパーム油中に分散された植物性粉末を含んでもよい。
【0061】
植物性ヌガーは、以下の工程を含むプロセスによって作製されてもよい:
-植物性タンパク質を含むホイップ溶液を提供することと、
-ホイップ溶液をエアレーションすることと、
-加熱された糖シロップをホイップ溶液に添加することと、
-添加糖シロップを含むホイップ溶液を泡立てて、フラッペを形成することと、
-植物性粉末をフラッペの中に混ぜ合わせること。
【0062】
いくつかの実施形態では、植物性粉末は、最初に脂肪由来媒体又は基質に添加され、次いでフラッペに添加される。
【0063】
糖シロップは、ホイップ溶液がエアレーションされる前に、ホイップ溶液に添加されてもよい。好ましくは、ホイップ溶液がエアレーションされた後、糖シロップをホイップ溶液に添加する。
【0064】
すなわち、好ましくは、植物性ヌガーを作製するためのプロセスは、
-植物性タンパク質を含むホイップ溶液を提供することと、
-ホイップ溶液をエアレーションして、エアレーションされたホイップ溶液を提供することと、
-加熱された糖シロップをエアレーションされたホイップ溶液に添加することと、
-添加糖シロップを含むエアレーションされたホイップ溶液を泡立てて、フラッペを形成することと、
-植物性粉末をフラッペの中に混ぜ合わせること。
【0065】
植物性ヌガーが低糖植物性ヌガーである実施例では、上述のプロセスで使用される糖シロップは、本明細書に記載される可溶性繊維のシロップを含むか、又は実質的にそれによって置き換えられ得る。
【0066】
「フラッペ」という用語は、タンパク質によって安定化された糖及びタンパク質を含む、エアレーション又は発泡された混合物を指す。
【0067】
プロセスは、例えば、ナッツバターがフラッペ内に混ぜ合わせられるのと同時にナッツ含有物を混ぜ合わせることによって、一つ以上のナッツ含有物をフラッペ内に混ぜ合わせることをさらに含み得る。ナッツ含有物は、植物性ヌガーを作製するために使用される原料の5~50重量%、好ましくは10~40重量%、最も好ましくは20~30重量%を形成し得る。ナッツ含有物は、植物性ヌガーに関連して上述した通りであり、ホールナッツもしくは刻みナッツ、又はナッツバターであってもよい。
【0068】
植物性タンパク質、植物性粉末、糖シロップ、及びナッツ含有物は、植物性ヌガーに関連して上述した通りである。例えば、ナッツ含有物は、ホールナッツ又は刻みナッツであってもよい。ホイップ溶液を提供することは、乾燥粉末形態の植物性タンパク質を水に添加することを含み得る。あるいは、ホイップ溶液を提供することは、溶液の形態又は水などの液体中の懸濁液の形態での植物性タンパク質を、水又は糖シロップ中に存在し得るさらなる量の水に添加することを含み得る。あるいは、ホイップ溶液は、植物性ヌガーに関連して上述したように、豆の煮汁の形態であってもよい。
【0069】
ホイップ溶液は、植物性ヌガーを作製するために使用される原料の0.5~45重量%、好ましくは1~15重量%、最も好ましくは2~10重量%を形成し得る。糖シロップは、植物性ヌガーを作製するために使用される原料の30~75重量%、又は40~65重量%、又は45~55重量%を形成し得る。ナッツ含有物は、植物性ヌガーを作製するために使用される原料の5~50重量%、好ましくは10~40重量%、最も好ましくは20~30重量%を形成し得る。
【0070】
糖シロップは、110~150℃、好ましくは115~145℃、最も好ましくは120~140℃に加熱されてもよい。
【0071】
適切なエアレーション技術には、空気を圧力下で混合物内に分散させること、又は圧力ビーターを利用して混合物をエアレーションすることが含まれる。エアレーションはまた、泡立てることによって達成され得る。エアレーションは、圧力ビーターを使用して加圧システムで達成されてもよい。こうした装置は、一般に、ピンを備えて提供され得るステーター及びローターを備え、「ピンビーター」を形成する。この配置では、混合物は、加圧された空気が供給される容器内で混合される。加圧された空気の圧力は、エアレーションされる媒体(糖及びタンパク質を含む)の一貫性、ならびに加圧システムのパラメータ、例えば、下流圧力弁によって圧力装置内に送達される背圧の程度などの要因に依存するが、典型的には3~5バールの範囲内である。適切な混合速度は、300~1200rpmの範囲内である。エアレーションが実行される温度は、混合物をかき混ぜ、気泡がその中に閉じ込められて分散され、気泡をその中に保持することを可能にするために混合物の粘度が適切であることを確実にするように選択される。これは、25~110℃、又は30~90℃、又は35~65℃の範囲内であってもよいが、より高いレベルでは、タンパク質は凝固してもよい。これが必要でない場合、温度は65℃未満に保たれ得る。泡立てとは、強い撹拌を指す。泡立てはまた、エアレーションを引き起こし得る。
【0072】
植物性キャラメル
【0073】
食品は植物性キャラメル成分を含む。植物性キャラメルは、植物性ミルク、植物性タンパク質、植物性脂肪、及び糖シロップを含んでもよい。いくつかの実施例では、植物性キャラメルは、1~70重量%、好ましくは1~50重量%の糖シロップ、例えばグルコースシロップを含む。
いくつかの実施例では、植物性キャラメル成分は、低糖植物性キャラメル成分であり、糖シロップの一部又はすべてが、水溶性食物繊維とも呼ばれる、1~70重量%、好ましくは1~50重量%の可溶性繊維で置換される。可溶性繊維が含まれることで、製品の品質及び官能特性を維持しつつ、精製糖の量を減少させることを可能にする。水溶性食物繊維は、血糖値の増加をもたらさないため、糖尿病患者に適している。キャラメルは、可溶性繊維の含有量によって、高繊維キャラメルと呼ばれてもよい。これらのレベルの繊維をキャラメルに導入することは、望ましい感覚的体験を有する栄養のある食品をもたらし、ユーザーの満足度及び製品寿命を維持するために必要とされる精製糖及び従来の保湿剤の量を低減することができる。
【0074】
植物性キャラメル成分は、PROMITOR(登録商標)85Lなどの可溶性トウモロコシ繊維の形態の可溶性食物繊維、少なくとも85%の食物繊維を有する液体形態のプレバイオティック可溶性トウモロコシ繊維、及び2%未満の糖を含んでもよい。植物性キャラメル成分は、イヌリン、フルクタンなどの天然由来の多糖類、又はオリゴフルクトサッカリドの形態の可溶性食物繊維を含んでもよい。キャラメル成分は、チコリーの根に由来する可溶性食物繊維を含んでもよい。しばしば機能性繊維と呼ばれる可溶性食物繊維は、腸内細菌叢のバランスをとり、低血糖食を支持する上で重要であることが証明されているプレバイオティック材料である。植物性キャラメル成分中の可溶性食物繊維は、クリーミーな食感及び甘い味覚を与えることができ、これは、より少ない脂肪及びより少ない精製糖をキャラメルに含める必要があることを意味する。
【0075】
いくつかの実施例では、植物性キャラメルは、可溶性食物繊維及び転化シロップなどの糖シロップを含む。いくつかの実施例では、植物性キャラメルは、可溶性食物繊維及び転化シロップ及び添加グルコースなどの糖シロップを含む。
【0076】
糖シロップは、スクロース、グルコース、転化糖、ハチミツ、及びそれらの混合物から選択され得る。糖シロップは水を含んでもよい。植物性キャラメルは、50重量%未満、例えば40重量%未満、例えば30重量%未満、例えば20重量%未満、例えば10重量%未満、例えば1~10重量%の糖シロップを含んでもよい。可溶性食物繊維の含有物は、より少ない量の精製糖及び糖シロップの使用を可能にする。いくつかの実施例では、糖シロップは、転化糖シロップである。植物性キャラメル成分は、50重量%未満、例えば40重量%未満、例えば30重量%未満、例えば20重量%未満、例えば10重量%未満、例えば1~10重量%の糖転化シロップを含んでもよい。
【0077】
いくつかの実施例では、植物性キャラメルは、30重量%未満、例えば25重量%未満、例えば20重量%未満、例えば10重量%未満の添加糖もしくは単糖、例えば、純粋なスクロース、フルクトースもしくはグルコースから選択される精製糖、又はそのシロップを含む。
【0078】
いくつかの実施例では、植物性キャラメルは、1~70重量%(例えば1~50重量%)の可溶性食物繊維、及び1~50重量%(例えば1~20重量%、例えば1~10重量%)の転化シロップなどの糖シロップを含む。いくつかの実施例では、植物性キャラメルは、1~70重量%(例えば1~50重量%)の可溶性食物繊維、及び1~50重量%(例えば1~20重量%、例えば1~10重量%)の転化シロップなどの糖シロップ、及び10重量%未満の添加グルコースを含む。
【0079】
植物性キャラメルは、ココナッツミルク、アーモンドミルク、豆乳、ライスミルク、カシューミルク、ヘンプミルク、オーツミルク、フラックスミルク、ヘーゼルナッツミルク、エンドウ豆ミルク、及びそれらの混合物から選択される植物性ミルクを含んでもよい。植物性ミルクは、ココナッツミルク及び/又は豆乳から選択されることが好ましい。植物性ミルクは、15~55重量%、例えば25~45重量%、例えば30~40重量%の量で植物性キャラメル中に存在し得る。植物性ミルクは、市販されてもよい。
【0080】
植物性キャラメルは、植物性粉及び/又は植物性タンパク質粉末、例えば、ナッツ粉及び/又はナッツタンパク質粉末から形成されてもよい。植物性キャラメルは、ナッツ粉又はナッツタンパク質を水及び糖と組み合わせて、「ミルクミックス」を得ることによって形成され得る。ナッツ粉、又はナッツタンパク質は、1~40重量%、例えば1~30重量%、例えば1~20重量%の量でミルクミックス中に存在してもよい。ナッツ粉又はナッツタンパク質粉末は、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオナッツ、ペカンナッツ、クルミ、マカダミアナッツ、及びそれらの組み合わせに由来してもよい。糖は、1~70重量%、例えば1~60重量%、例えば15~50重量%、例えば20~40重量%の量で存在する純粋なスクロース、フルクトースもしくはグルコース、又はそのシロップから選択される精製糖であってもよい。水は、残りの差量を占める量で存在してもよい。
【0081】
植物性脂肪は、ラッカセイ油、パーム油、カカオバター、パーム脂肪、オリーブ油、及びヒマワリ油、ならびにそれらの混合物から選択されてもよい。植物性脂肪は、植物性ミルク中に存在する脂肪に加えてのものであることが理解されよう。脂肪は、1~30重量%、例えば1~20重量%、例えば1~15重量%の量でキャラメル中に存在してもよい。
【0082】
植物性キャラメルは、保湿剤を含んでもよい。保湿剤はポリオールであってもよい。保湿剤は、ソルビトール、グリセロール、水素化デンプン加水分解物、水素化イソマルトース、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びそれらの混合物から選択されてもよい。保湿剤はグリセロールであることが好ましい。植物性キャラメルは、0.5~60重量%、2~30重量%、好ましくは5~25重量%、最も好ましくは10~20重量%の保湿剤を含んでもよい。
【0083】
植物性キャラメルの密度は、800~1400kg/m3、例えば約1160kg/m3、最も好ましくは400~1400kg/m3であってもよい。
【0084】
植物性キャラメルは、含有物をさらに含み得る。植物性キャラメルは、ナッツをさらに含むことが好ましい。植物性キャラメルは、5~50重量%のナッツ、好ましくは5~30重量%のナッツ、最も好ましくは10~20重量%のナッツを含んでもよい。存在する場合、植物性キャラメル内のナッツは、ホールナッツ及び刻みナッツのうちの一つ以上であってもよい。植物性キャラメル中のホールナッツ又は刻みナッツは、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオナッツ、ペカンナッツ、クルミ、及びマカダミアナッツから選択され得る。最も好ましくは、ナッツはピーナッツである。
【0085】
有利なことに、植物性キャラメルは、精製糖の含有量がはるかに高いキャラメル、ならびに典型的な非植物性キャラメルと同等の感覚特性を提供する。
【0086】
植物性キャラメルを作製するためのプロセス
キャラメルは、以下の工程を含むプロセスによって作製されてもよい:
-植物性ミルク及び植物性脂肪、又は植物性粉及び植物性脂肪を含む「ミルクミックス」を含むバッチミルクを提供することと、
-加熱された糖シロップをバッチミルクに添加して、キャラメルを形成すること。
【0087】
方法は、糖シロップの添加と同時に、又は異なる時間で、又は糖シロップの一部又はすべての代わりに、可溶性繊維をバッチミルクに添加することを含み得る。プロセスは、含有物をキャラメルに混合することをさらに含み得る。
【0088】
糖シロップは、115~145℃、好ましくは120~140℃、最も好ましくは125~135℃に加熱されてもよい。糖シロップは、植物性キャラメルを作製するために使用される原料の25~55重量%、好ましくは30~50重量%、最も好ましくは35~45重量%を形成してもよい。可溶性繊維は、加熱前に糖シロップに添加されてもよく、又は同じ温度に別々に加熱され、バッチミルクに別々に添加されてもよい。
【0089】
バッチミルクは、糖シロップが添加される前に、好ましくは30~80℃、最も好ましくは40~70℃に加熱されてもよい。プロセスは、好ましくは100~150℃、最も好ましくは120~145℃の温度でキャラメルを加熱し水分を蒸発させて褐色キャラメルを形成する、さらなる工程を含んでもよい。有利なことに、褐色キャラメルは改善された風味を有する。加熱時間及び温度は、必要に応じて調整することができ、より長い時間及びより高い温度は、より強い風味を有するより暗褐色のキャラメルにつながる。キャラメルに含まれる可溶性繊維は、キャラメルの形成又は品質に悪影響を及ぼさず、実際には、糖及びカロリー含有量を低減しつつ消費者体験を改善することができる。
【0090】
プロセスは、保湿剤をキャラメルに添加するさらなる工程を含み得る。保湿剤は、褐色キャラメルに添加されることが好ましい。保湿剤は、植物性キャラメルを作製するために使用される原料の1~20重量%、又は3~15重量%、又は7~12重量%を形成してもよい。有利なことに、保湿剤は、植物性キャラメルのレオロジー特性を改善し、下流プロセスでの使用により適する。保湿剤は上述の通りである。
【0091】
バッチミルクは、グルコースなどの糖、バニラ抽出物などの風味剤、塩、及びそれらの混合物から選択されるさらなる原料を含んでもよい。例えば、バッチミルクは、1~25重量%又は5~15重量%の植物性キャラメルを作製するために使用される原料を形成するグルコースなどの糖を含んでもよい。
【0092】
植物性ミルク又は植物性粉は、植物性キャラメルを作製するために使用される原料の15~55重量%、好ましくは25~45重量%、最も好ましくは30~40重量%を形成してもよい。植物性脂肪は、植物性キャラメルを作製するために使用される原料の1~20重量%、好ましくは3~15重量%、最も好ましくは5~10重量%を形成してもよい。これらの量は、キャラメルの他の原料、例えば、植物性ミルク中に存在する植物性脂肪を含まないことが理解されよう。
【0093】
植物性キャラメルは、0.1重量%~16重量%、好ましくは0.5重量%~14重量%、さらにより好ましくは5.0重量%~14重量%の範囲の水分含量を有してもよい。
【0094】
本発明の植物性キャラメルは、100~8000kg/m3、好ましくは500~5000kg/m3、より好ましくは600~3000kg/m3、より好ましくは800~1500kg/m3、最も好ましくは400~1400kg/m3の密度を有してもよい。
【0095】
植物性キャラメルを作製するためのプロセスは、加熱容器内で原料を混合することと、焦げつきを回避するために加熱中に容器の底をこそげ落とす間に原料を加熱して均一な加熱された混合物を形成することと、所望のレベルのキャラメル化を達成するために、熱を高めて原料をある温度までかつある時間沸騰させることと、を含み得る。プロセスは、加熱前にナッツ含有物をキャラメルに混合してキャラメル化を達成することを含んでもよく、又はキャラメル化が達成された後にナッツ含有物をキャラメルに混合することを含んでもよい。
【0096】
植物性チョコレート
食品は植物性チョコレート成分を含む。植物性チョコレート成分は、1~30重量%の可溶性繊維を含む低糖植物性チョコレート成分であってもよい。いくつかの実施例では、チョコレート成分は、デキストリン、イヌリン、及びフラクトオリゴ糖から選択される一つ以上の食物繊維を含む、低糖植物性ミルクチョコレートを含む。これらなどの可溶性食物繊維は、甘味を失うことなく精製糖を置き換えるのに好適であると同時に、食品のクリーミー性を強化することが見出されている。
【0097】
植物性チョコレート成分は、植物性チョコレート成分の主要成分として一つ以上のタイプの可溶性食物繊維を含んでもよい。一つ以上のタイプの可溶性食物繊維は、任意の添加糖成分又は精製糖成分よりも多い量で存在し得る。例えば、植物性チョコレート成分は、1~30重量%の可溶性食物繊維、例えば10~30重量%、例えば20~30重量%を含んでもよい。植物性チョコレート成分はまた、カカオバター、カカオリカー、植物性ミルク、野菜の脂肪などの植物性脂肪、及びバニラなどの風味剤を含む、植物性ミルクチョコレートを作製するために必要な他の原料を含んでもよいことが理解されよう。
【0098】
いくつかの実施例では、植物性ミルクチョコレートは、30重量%未満、例えば25重量%未満、例えば20重量%未満の添加糖もしくは単糖、例えば、純粋なスクロース、フルクトースもしくはグルコースから選択される精製糖、又はそのシロップを含む。
【0099】
植物性チョコレートは、多数の商業的サプライヤーから容易に入手可能である。植物性チョコレートは、複合チョコレートであってもよい。植物性チョコレートは、植物性「ミルクチョコレート」であることが好ましい。植物性「ミルクチョコレート」は、糖、カカオバター、ココア固体、及び植物性ミルクを含んでもよい。ライスミルクを含む植物性「ミルクチョコレート」又はクーベルチュールチョコレートは、食品の他の成分と組み合わせて良好な風味プロファイルを提供することが見出された。
【0100】
食品を作製するためのプロセス
食品を製造する方法が本明細書で提供されており、方法は、植物性キャラメル成分、植物性ヌガー成分、及び植物性チョコレート成分を組み合わせて食品を形成することを含む。
【0101】
一実施形態では、植物性ヌガー成分が製造され、次いで、食品の他の成分が植物性ヌガー成分上にコーティングされる。
【0102】
一実施形態では、植物性ヌガーは、好ましくは層の形態で製造され、次いで、植物性キャラメルは、植物性ヌガーの一つ以上の側面上にコーティングされ、次いで、植物性チョコレートは、植物性ヌガー及び植物性キャラメルの少なくとも一つの側面、任意選択的には、植物性ヌガー及び植物性キャラメルのすべての側面上に、植物性チョコレート中の植物性ヌガー及び植物性キャラメルを完全に包むように、コーティングされる。
【0103】
加工を容易にするために、植物性ヌガーの粘度を低減し、エンロービング中に液体形態のチョコレート成分がより迅速に固化することが可能になるため、植物性ヌガーは、製造中に冷却された形態であってもよい。
【実施例】
【0104】
実施例1 - ビートルートブラウニーヌガー
植物性ヌガーを、以下の原料から調製した。
1.以下を含むフラッペ(50重量%):
a)ホイップ溶液(13重量%):
80重量%のベースシロップ
14重量%の水
6重量%のジャガイモタンパク質(Solanic(登録商標)200)
合計100%
b)糖シロップ(87重量%):
38重量%のグルコース62DE
34重量%のグラニュー糖
7重量%の転化糖
20重量%の水
1重量%の塩
合計100%
合計100%
2.以下を含むビートルートスラリー(26重量%):
9重量%のチョコレートリカー
30重量%の軟質パーム脂肪
51重量%のビートルート粉末
10重量%の植物性チョコレート
合計100%
3.刻みピーナッツ(24重量%)
【0105】
ホイップ溶液をエアレーションし、糖シロップを140℃に調理し、エアレーションされたホイップ溶液に添加し、成果物を泡立ててフラッペにした。刻みピーナッツ及びビートルート(ブラウニー)スラリーをフラッペに添加した。
【0106】
植物性キャラメルを、以下の原料から調製した。
1.以下を含むキャラメルシロップ(55重量%):
>98重量%のシロップ69 DE
1重量%の塩
<1重量%のバニラ風味剤
合計100%
2.以下を含むバッチミルク(45重量%):
a)ミルクミックス(83重量%):
33重量%の水
13重量%の大豆タンパク質粉末
54重量%のグラニュー糖
合計100%
b)脂肪(17重量%):
100重量%の軟質パーム脂肪
合計100%
【0107】
バッチミルクを60~70℃に加温した。シロップを130~140℃に調理し、バッチミルクに添加した。得られたキャラメルを130~140℃で調理した。その後、ピーナッツをキャラメルに混合してもよい。
【0108】
食品は、植物性のヌガー、植物性キャラメル、及び市販の植物性ミルクチョコレートから作製された。製品は、51重量%のヌガー(24重量%のピーナッツを含む)、14重量%のキャラメル、及び35重量%のチョコレートを含有した。
【0109】
実施例2 - ニンジンヌガー
同様のヌガースラリー(26重量%のヌガー成分)を調製し、実施例1と他の点では同一の別のヌガー成分及び食品に組み込んだ。ヌガースラリーは、30重量%のパーム脂肪、51重量%のニンジン粉末、及び19重量%の「ミルク化合物」を含んだ。
【0110】
実施例3 - バターナットカボチャヌガー
植物性ヌガーを、以下の原料から調製した。
1.以下を含むフラッペ(56重量%):
a)ホイップミックス(86重量%):
‐以下を含む93重量%の生シロップ:
40重量%のシロップ63 DE
40重量%の糖
>19重量%の水
<1重量%の塩
合計100%
‐7重量%のジャガイモタンパク質(Solanic(登録商標)200)
合計100%
b) 水(14重量%)
合計100%
2.以下を含むスラリー(14重量%):
パーム油(75重量%)
バターナットカボチャ粉末(21重量%)
バニラ風味剤(4重量%)
合計100%
3.ピーナッツスプリッツ(30重量%)
【0111】
ホイップ溶液をエアレーションし、糖シロップを50~60℃に調理し、エアレーションされたホイップ溶液に添加し、結果を泡立ててフラッペにした。刻みピーナッツ及びスラリーをフラッペに添加した。
【0112】
植物性キャラメルを、以下の原料から調製した。
1.以下を含む糖シロップ(71重量%):
67重量%のシロップ63 DE
1重量%の塩
24重量%の糖
<1重量%のバニリン
8重量%の水
合計100%
2.以下を含む「ミルク」ミックス(29重量%):
a)Recon(50重量%):
30重量%のピーナッツ粉
35重量%の水
35重量%の糖
合計100%
b)脂肪(50重量%):
100重量%のパーム油(4R400)
合計100%
【0113】
Reconを20分間混合した(1700rpm)。次いで、Recon及び脂肪を20分間混合して(2800rpm)、「ミルク」ミックスを形成した。「ミルク」ミックスを60~70℃に加温した。シロップを100~120℃に調理し、バッチミルクに添加した。得られたキャラメルを100~120℃で調理した。
【0114】
実施例4 - チェリーヌガー
同様のスラリー(14重量%のヌガー成分)を調製し、実施例3に記載されるような、他の点では同一の別のヌガー成分に組み込んだ。スラリーは、パーム油(81重量%)、アセロラチェリー粉末(9重量%)、ビートルート粉末(9重量%)、及び天然ココア粉末(<1重量%)を含有した。
2つの食品は、2つの植物性ヌガー(バターナット及びサクランボ)、植物性キャラメル、及び市販の植物性ミルクチョコレートから作製された。バターナットカボチャヌガーバー、及びチェリーヌガーバーの写真を、それぞれ
図1及び
図2に示す。
【0115】
実施例5 - ビートルートヌガー
植物性ヌガーを、以下の原料から調製した。
1.以下を含むフラッペ(52重量%):
a)ホイップミックス(86重量%):
‐以下を含む93重量%の生シロップ:
40重量%のシロップ63 DE
40重量%の糖
>19重量%の水
<1重量%の塩
合計100%
‐7重量%のジャガイモタンパク質(Solanic(登録商標)200)
合計100%
b) 水(14重量%)
合計100%
2.以下を含むスラリー(25重量%):
パーム油(53重量%)
ビートルート粉末(47重量%)
合計100%
3.ピーナッツスプリッツ(23重量%)
【0116】
ホイップ溶液をエアレーションし、糖シロップを130~140℃に調理し、エアレーションされたホイップ溶液に添加し、結果を泡立ててフラッペにした。刻みピーナッツ及びスラリーをフラッペに添加した。
【0117】
植物性キャラメルを、以下の原料から調製した。
1.以下を含む糖シロップ(71重量%):
67重量%のシロップ63 DE
1重量%の塩
24重量%の糖
8重量%の水
バニリン
合計:100%
2.以下を含む「ミルク」ミックス(29重量%):
a)Recon(50重量%):
20重量%のアーモンドタンパク質粉末
20重量%の水
60重量%の糖
合計100%
b)脂肪(50重量%):
100重量%のパーム油(4R400)
合計100%
【0118】
Reconを30分間混合した(1500rpm)。次いで、Recon及び脂肪を20分間混合して(2600rpm)、「ミルク」ミックスを形成した。「ミルク」ミックスを60~70℃に加温した。シロップを120~130℃に調理し、バッチミルクに添加した。得られたキャラメルを120~130℃で調理した。
【0119】
実施例6 - 紫イモヌガー
同様のスラリー(25重量%のヌガー成分)を調製し、実施例5に記載されるような、他の点では同一の別のヌガー成分に組み込んだ。スラリーは、パーム油(78重量%)、紫イモ粉末(22重量%)を含んだ。
【0120】
2つの食品を、2つの植物性ヌガー(ビートルート及び紫イモ)、植物性キャラメル、及び市販の植物性ミルクチョコレートから作製した。ビートルートヌガーバー及び紫イモヌガーバーの写真を、それぞれ
図3及び
図4に示す。
【0121】
製品は、チョコレートに包まれた、ヌガーの層及びキャラメルの層を有するバーの形態であった。味覚パネルは、植物性の低カロリー食品であったにもかかわらず、製品が味を楽める菓子製品であることを見出した。
【0122】
本明細書に記載される現在好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が当業者には明らかであろうことが、理解されるべきである。こうした変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつその付随する利点を減少させることなく行うことができる。したがって、こうした変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅され得ることが意図される。
【国際調査報告】