(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-11
(54)【発明の名称】デジタル時間コンバータのオンライン利得較正のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H03K 21/00 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H03K21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533008
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 US2022051601
(87)【国際公開番号】W WO2023102154
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤワーダン ジャナルダナン
(72)【発明者】
【氏名】ヨゲシュ ダルウェカール
(72)【発明者】
【氏名】スブハシシュ ムケルジー
(57)【要約】
システム(100)が、第1のデジタル時間コンバータ(DTC)コードと第1のクロック信号とを受け取るように適合される第1のDTC(140)を含む。第1のDTC(140)は出力クロック信号を提供する。システム(100)は、較正DTCコードと第2のクロック信号とを受け取るように適合される較正DTC(150)を含む。較正DTC(150)は較正出力信号を提供する。システム(100)は、出力クロック信号と較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示す出力を提供するラッチ比較器(188)を含む。システム(100)は、ラッチ比較器の出力の平均値を提供する平均計算モジュール(196)を含む。システム(100)は、平均値を受け取るように適合されるデジタルコントローラ(120)を含む。デジタルコントローラ(120)はDTCコードと較正DTCコードとを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
デジタル時間コンバータ(DTC)コードを受け取るように適合される第1の入力と、第1のクロック信号を受信するように適合される第2の入力とを有する第1のDTCであって、第1のDTC出力において出力クロック信号を提供するように動作可能である、前記第1のDTC、
較正DTCコードを受け取るように適合される第1の入力と、第2のクロック信号を受け取るように適合される第2の入力とを有する較正DTCであって、較正DTC出力において較正出力信号を提供するように動作可能である、前記較正DTC、
前記第1のDTC出力に結合される第1の入力と、前記較正DTC出力に結合される第2の入力とを有するラッチ比較器であって、前記出力クロック信号と前記較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示す複数の出力値をラッチ比較器出力において提供するように動作可能である、前記ラッチ比較器、
前記ラッチ比較器出力に結合される入力を有する平均計算モジュールであって、前記複数の出力値の平均値を前記平均計算モジュールの出力において提供するように動作可能である前記平均計算モジュール、及び
前記平均計算モジュールの前記出力に結合される入力を有するデジタルコントローラであって、前記DTCコードと、前記較正DTCコードと、利得誤差信号とを提供するように動作可能である、前記デジタルコントローラ、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、前記デジタルコントローラがシグマデルタ変調器を含み、前記シグマデルタ変調器が、前記利得誤差信号を受信するように適合される入力を有し、前記DTCコードを提供するように動作可能である、システム。
【請求項3】
請求項1のシステムであって、前記デジタルコントローラがコードレベル検出器を含み、前記コードレベル検出器が、前記第1のDTCコードを受け取るように適合される入力を有し、前記第1のDTCコードが下側閾値よりも小さい場合に第1の指標を提供し、前記第1のDTCコードが上側閾値よりも大きい場合に第2の指標を提供するように動作可能である、システム。
【請求項4】
請求項3のシステムであって、前記デジタルコントローラが状態機械を含み、前記状態機械が、前記平均値を受け取るように適合される第1の入力と、前記第1の指示又は前記第2の指標を受け取るように適合される第2の入力とを有し、前記状態機械が、前記利得誤差信号及び前記較正DTCコードを提供するように動作可能である、システム。
【請求項5】
請求項4のシステムであって、前記状態機械が、前記平均値を0.5に近づけるために前記較正DTCコードを調整するように動作可能である、システム。
【請求項6】
請求項4のシステムであって、前記状態機械が、前記較正DTCコードを調整することによって前記平均値を0.5に近づけることで、前記出力クロック信号と前記較正出力信号とを整合させるように動作可能である、システム。
【請求項7】
請求項1のシステムであって、前記ラッチ比較器によって提供される前記出力値が、前記出力クロック信号と前記較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示すバイナリ数である、システム。
【請求項8】
システムであって、
平均値信号を受け取るように適合される第1の入力を有し、第2の入力を有する状態機械であって、第1の状態機械出力において誤差信号を出力し、第2の状態機械出力において較正デジタル時間コンバータ(DTC)コードを出力するように動作可能である、前記状態機械、
第1のクロック信号を受信するように適合される第1の入力と、第1のDTCコードを受け取るように適合される第2の入力とを有する第1のDTCであって、第1のDTC出力において出力クロック信号を提供するように動作可能である、前記第1のDTC、
第2のクロック信号を受信するように適合される第1の入力と、前記第2の状態機械出力に結合される第2の入力とを有する較正DTCであって、較正DTC出力において較正出力信号を提供するように動作可能である、前記較正DTC、
前記第1のDTC出力に結合される第1の入力と、前記較正DTC出力に結合される第2の入力とを有するラッチ比較器であって、前記出力クロック信号と前記較正出力信号とのどちらが最初に受信されるかを示す複数の出力信号をラッチ比較器出力において提供するように動作可能である、前記ラッチ比較器、
前記ラッチ比較器出力に結合される入力を有する平均計算モジュールであって、前記複数の出力信号の前記平均値信号を平均計算モジュール出力において提供するように動作可能であり、前記状態機械の前記第1の入力に結合される、前記平均計算モジュール、
前記第1のDTCの前記第2の入力に結合される入力を有するコードレベル検出器であって、前記第1のDTCコードが下側閾値より小さい場合に、コードレベル検出器出力において、第1の指標信号を提供し、前記第1のDTCコードが上側閾値より大きい場合に、前記コードレベル検出器出力において、第2の指標信号を提供するように動作可能である、前記コードレベル検出器、
前記コードレベル検出器出力に結合される第1の入力を有する較正DTCコード計算モジュールであって、前記状態機械の前記第2の入力に結合される較正DTCコード計算モジュール出力において、前記較正DTCコードを提供するように動作可能である、前記較正DTCコード計算モジュール、及び
前記第1の状態機械出力に結合される入力を有するシグマデルタ変調器であって、前記第1のDTCの前記第2の入力に結合される変調器出力において前記第1のDTCコードを提供するように動作可能である、前記シグマデルタ変調器、
を含む、システム。
【請求項9】
請求項8のシステムであって、前記平均値信号が平均値を示し、前記状態機械が、前記平均値を0.5に近づけるために前記較正DTCコードを調整するように動作可能であるシステム。
【請求項10】
請求項9のシステムであって、前記状態機械が、記較正DTCコードを調整することによって、前記平均値を0.5に近づけることで、前記出力クロック信号と前記較正出力信号とを整合させるように動作可能である、システム。
【請求項11】
請求項8のシステムであって、前記ラッチ比較器が、前記出力クロック信号と前記較正出力信号とのどちらが最初に受信されるかを示すバイナリ数を提供するように動作可能である、システム。
【請求項12】
請求項11のシステムであって、前記平均計算モジュールが、前記バイナリ数の前記平均値を提供するように動作可能である、システム。
【請求項13】
較正DTCを用いて第1のデジタル時間コンバータ(DTC)を較正する方法であって、前記方法が、
前記第1のDTCによって、第1のデジタルコード及び第1のクロック信号を受け取ることと、
前記第1のデジタルコード及び前記第1のクロック信号を受け取ることに応答して、前記第1のDTCによって、出力クロック信号を提供することと、
前記第1のデジタルコードが下側閾値よりも小さい場合に、第1の較正デジタルコード及び第2のクロック信号を前記較正DTCに提供すること、及び較正出力信号を提供することであって、前記第1の較正デジタルコードが前記第1のデジタルコードに等しいことと、
前記較正出力信号を前記クロック出力信号と整合させるために、前記第1の較正デジタルコードを調整することと、
前記較正DTCに印加される前記第2のクロック信号を1クロック周期だけ遅延させることと、
第3のデジタルコードを前記第1のDTCに提供することと、
前記第3のデジタルコードが上側閾値よりも大きい場合に、第2の較正デジタルコードを前記較正DTCに提供することと、
前記出力クロック信号と前記較正出力信号とを整合させるために前記第2の較正デジタルコードを調整することと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13の方法であって、前記較正DTCに適用される前記調整された第2の較正デジタルコードから前記第1のDTCの利得誤差を判定することを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項13の方法であって、前記較正DTCに適用される前記第2の較正デジタルコードを調整することによって、前記出力クロック信号のエッジと前記較正出力信号の対応するエッジとを整合させることを更に含む、方法。
【請求項16】
請求項13の方法であって、前記第1及び第2の較正デジタルコードを前記調整することが、前記出力クロック信号と前記較正出力信号との間の時間差を測定することを含む、方法。
【請求項17】
請求項13の方法であって、前記第1の較正デジタルコードを前記調整することが、
前記出力クロック信号及び前記較正出力信号に応答して、前記出力クロック信号と前記較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示すバイナリ出力を提供することと、
前記バイナリ出力の平均値を判定することと、
前記バイナリ出力の前記平均値が0.5に近くなるまで.前記較正デジタルコードを調整することと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、前記平均値が0.5に近いとき、前記出力クロック信号と前記較正出力信号とが整合されている、方法。
【請求項19】
請求項13の方法であって、前記較正DTCに適用される前記調整された第2の較正デジタルコードから前記第1のDTCの利得誤差を判定することを更に含む、方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって、前記利得誤差を用いて前記第1のデジタルコードを生成することを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、概してデジタル時間コンバータ(DTC)に関し、特に、DTCのオンライン利得較正に関する。
【0002】
デジタル時間コンバータ(DTC)は、位相同期ループ(PLL)システム及び小数出力分周器(FOD)において用いられる。FODにおいて、DTCがデジタルコントローラから入力(例えば、DTCコード)を受け取り、それに応答して、DTCは、入力クロックエッジの間を補間することで細かい時間エッジを合成してDTCの出力信号の所望の位相を生成する。
【0003】
DTCの出力位相の精度は、入力クロック周波数及びその利得に依存する。DTCは数年間中断無しに動作され得るため、アナログ障害(DTCの経年劣化により発生する利得偏差等)が生じ、これは利得誤差となり得る。利得誤差を補償するために、DTCの利得を再較正する必要がある。
【0004】
動作中のDTCの再較正は困難である。DTCコードがゼロのときに動作中にDTCの利得を再較正する方法はいくつか知られている。これらの方法の欠点は、DTCコードがゼロになる確率が非常に低いことである。例えば、DTCコードが12ビットを有する場合、コードがゼロである確率は、0.00024であり、従って、そのような事象はまれにしか発生しない。動作中にDTCの利得を再較正する他の方法は、出力におけるジッタを増加させ、それによって、DTCの性能が低下する。ほとんどのFODは、厳しいジッタ要件を有するため(例えば、出力におけるジッタが125フェムト秒未満)、出力におけるジッタが増加すると、FODが所望の用途に適さなくなり得る。
【発明の概要】
【0005】
一つの態様において、或るシステムが、第1のデジタル時間コンバータ(DTC)を含み、第1のDTCは、DTCコードを受け取るように適合される第1の入力と、第1のクロック信号を受信するように適合される第2の入力とを有する。第1のDTCは、第1のDTC出力において出力クロック信号を提供する。システムは、較正DTCを含み、較正DTCは、較正DTCコードを受け取るように適合される第1の入力と、第2のクロック信号を受信するように適合される第2の入力とを有する。較正DTCは、較正DTC出力において較正出力信号を提供する。システムは、ラッチ比較器を含み、ラッチ比較器は、第1のDTC出力に結合される第1の入力と、較正DTC出力に結合される第2の入力とを有する。ラッチ比較器は、出力クロック信号と較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示す複数の出力値を、ラッチ比較器出力において提供する。システムは、ラッチ比較器出力に結合される入力を有する平均計算モジュールを含む。平均計算モジュールは、ラッチ比較器から受け取った複数の出力値の平均値を、平均計算モジュールの出力において提供する。システムは、平均計算モジュールの出力に結合される入力を有するデジタルコントローラを含む。デジタルコントローラは、DTCコード、較正DTCコード、及び利得誤差信号を提供する。
【0006】
また、デジタルコントローラは、利得誤差信号を受信するように適合される入力を有するシグマデルタ変調器を含む。シグマデルタ変調器はDTCコードを提供する。
【0007】
また、デジタルコントローラは、第1のDTCコードを受け取るように適合される入力を有するコードレベル検出器を含む。コードレベル検出器は、第1のDTCコードが下側閾値より小さい場合に第1の指標を提供し、第1のDTCコードが上側閾値より大きい場合に第2の指標を提供する。
【0008】
また、デジタルコントローラは状態機械を含み、状態機械は、平均値を受け取るように適合される第1の入力と、第1の指標又は第2の指標を受け取るように適合される第2の入力とを有する。状態機械は、利得誤差信号及び較正DTCコードを提供する。
【0009】
また、状態機械は、較正DTCコードを調整することによって平均値を0.5に近づけることで、出力クロック信号と較正出力信号とを整合させる。
【0010】
また、ラッチ比較器によって提供される出力値は、出力クロック信号と較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示すバイナリ数である。
【0011】
また、或るシステムが、第1のデジタル時間コンバータ(DTC)を含み、第1のDTCは、第1のDTCコードを受け取るように適合される第1の入力と、第1のクロック信号を受け取るように適合される第2の入力とを有する。第1のDTCは出力クロック信号を提供する。このシステムは、較正DTCを含み、較正DTCは、較正DTCコードを受け取るように適合される第1の入力と、第2のクロック信号を受け取るように適合される第2の入力とを有する。較正DTCは較正出力信号を提供する。システムは、出力クロック信号を受信するように適合される第1の入力と、較正出力クロック信号を受信するように適合される第2の入力とを有するラッチ比較器を含む。ラッチ比較器は、出力クロック信号と較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示すバイナリ出力を提供する。システムは、平均計算モジュールを含み、平均計算モジュールは、バイナリ出力を受け取るように適合される入力を有し、バイナリ出力の平均値を提供する。このシステムは、状態機械を含み、状態機械は、平均値を受け取るように適合される第1の入力と、第1のDTCコードが下側閾値よりも小さい場合に第1の指標を受け取り、第1のDTCコードが上側閾値より大きい場合に第2の指標を受け取るように適合される第2の入力とを有する。状態機械は、利得誤差信号及び較正DTCコードを提供する。このシステムは、シグマデルタ変調器を含み、シグマデルタ変調器は、利得誤差信号を受信するように適合される入力を有し、第1のDTCコードを提供する。
【0012】
また、較正DTCを用いて第1のDTCを較正する方法が、第1のデジタルコード及び第1のクロック信号を第1のDTCに提供することと、出力クロック信号を提供することとを含む。第1のデジタルコードが下側閾値よりも小さい場合、この方法は、第1の較正デジタルコード及び第2のクロック信号を較正DTCに提供することと、較正出力信号を提供することとを含み、第1の較正デジタルコードは、第1のデジタルコードに等しい。この方法は、較正出力信号を出力クロック信号と整合させるために、第1の較正デジタルコードを調整することを含む。この方法は、較正DTCに印加される第2のクロック信号を1クロック周期遅延させることと、第3のデジタルコードを第1のDTCに提供することとを含む。第3のデジタルコードが上側閾値よりも大きい場合、この方法は、第2の較正デジタルコードを較正DTCに提供することと、出力クロック信号と較正出力信号とを整合させるために第2の較正デジタルコードを調整することとを含む。
【0013】
また、この方法は、調整された第2の較正デジタルコードから第1のDTCの利得誤差を判定することを含む。
【0014】
また、この方法は、較正DTCに印加される第2の較正デジタルコードを調整することによって、出力クロック信号のエッジと較正出力信号の対応するエッジとを整合することを含む。
【0015】
また、第1の較正デジタルコードを調整する方法は、出力クロック信号及び較正出力信号に応答して、出力クロック信号と較正出力信号のどちらが最初に受信されるかを示すバイナリ出力を提供することと、バイナリ出力の平均値を判定することと、バイナリ出力の平均値が0.5に近づくまで較正デジタルコードを調整することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一例の利得較正を備える小数出力分周器(FOD)のブロック図である。
【0017】
【
図2】一例のデジタルコントローラのブロック図である。
【0018】
【0019】
【
図4A】DTCを較正する例示の方法のタイミング図である。
【
図4B】DTCを較正する例示の方法のタイミング図である。
【0020】
図面において、(構造的及び/又は機能的に)同じ又は類似の特徴を示すために同じ参照番号又は他の参照識別子が用いられている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、一例の小数出力分周器(FOD)100のブロック図である。FOD100は、入力クロック信号CLK_INを受信し、CLK_INを小数分周器によって分周することで出力クロック信号CLK_OUTを生成する。出力クロック信号CLK_OUTは、CLK_INの特定の小数に等しい周波数を有する。
【0022】
FOD100は、出力106において適切な周波数(例えば、100MHz、1GHz、10GHz)の入力クロック信号CLK_INを提供する信号生成器104(例えば、バルク音響波(BAW)デバイス等の発振器)を含む。FOD100は周波数分周器110を含み、周波数分周器110は、CLK_INを受信するように結合される第1の入力112と、整数N(例えば、N=2,5,10,100)を表す信号(デジタル信号等)を受信するように結合される第2の入力114とを有する。整数Nは、小数分周器の整数部分に対応する。例えば、小数分周器が10.5である場合、対応する整数部分は10である。周波数分周器110は、CLK_INを整数Nで分周し、出力116において中間クロック信号CLK_IMDを提供する。
【0023】
幾つかの例において、周波数分周器110は、所望の出力信号のおおよその周期に近い周期を有する信号を生成するために、CLK_INのエッジの数(小数分周器の整数部分に等しい)をカウントするカウンタを備えて実装され得る。例えば、小数分周器が10.5の場合、周波数分周器110は、10個のエッジをカウントし、所望の出力クロック信号CLK_OUTのおおよその周期を有する対応する信号CLK_IMDを生成し得る。そのため、この例では、CLK_IMDは、CLK_INの10個のクロック周期に等しいクロック周期を有する。
【0024】
幾つかの例において、デジタルコントローラ120が、CLK_INのN個のエッジをカウントしCLK_IMDを生成するための命令を周波数分周器110に提供し得る。デジタルコントローラ120又はその一部分は、ハードウェア(例えば、論理回路要素、状態機械、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路)、ファームウェア、及び/又は、ソフトウェアにおいて実装され得る。
【0025】
FOD100は、中間クロック信号CLK_IMDを受信するように結合されるデータ入力132を有する第1のラッチ130を含む。第1のラッチ130は、入力クロック信号CLK_INを受信するように結合されるクロック入力134を有する。第1のラッチ130は、中間クロック信号CLK_IMDを、CLK_INの1クロック周期だけ遅延させ、遅延された中間信号DEL_CLK_IMDを出力136において提供する。
【0026】
FOD100は、第1のDTC140とも称される、メインデジタル時間コンバータ(DTC)140を含む。メインDTC140は、遅延された中間信号DEL_CLK_IMDを受信するように結合される第1の入力142と、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEを受け取るように結合される第2の入力144とを有する。幾つかの例において、デジタルコントローラ120は、MAIN_DTC_CODEをメインDTC140に提供し得る。メインDTCコードMAIN_DTC_CODEは、メインDTC140に、入力クロック信号CLK_INの小数周期を補間するように、及び、小数周期をDEL_IMD_CLKのエッジの間に付加して出力146において出力クロックCLK_OUTを生成するように、命令し得る。これは、エッジの間に小数周期を付加することによって、CLK_OUTのエッジの間に所望の長さを生成する効果を有する。
【0027】
例えば、小数分周器が10.5の場合、整数部分は10であり、小数部分は0.5である。周波数分周器110は、CLK_INを10(例えば、小数分周器の整数部分)で分周する。メインDTCコードMAIN_DTC_CODEは、メインDTC140に、CLK_INの0.5周期に等しい小数周期を補間するように命令し得る。メインDTC140は、CLK_OUTのエッジの間に所望の長さを生成するために、CLK_INの0.5周期を判定し、CLK_INの周期の0.5をDEL_IMD_CLKのエッジの間に付加し得る。これの効果は、出力146における出力クロック信号CLK_OUTが、CLK_INの10.5クロック周期に等しいクロック周期を有することである。
【0028】
幾つかの例において、CLK_INの小数周期を補間するプロセスは、CLK_OUTの各周期に対して繰り返される。小数比は、CLK_INとCLK_OUTとの間のエッジの関係を継続的に変化させるので、各周期は異なる量の補間を必要とする。幾つかの例において、補間の量を計算するために、シグマデルタ変調器が実装される(
図1には示されていない)。
【0029】
幾つかの例において、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEは、12ビットのバイナリ数である。そのため、MAIN_DTC_CODEは、4096の最大値、及び0の最小値を有し得る。他の例において、MAIN_DTC_CODEは、より大きい又はより小さいビット数を有し得る。
【0030】
FOD100は長年にわたって中断なく運転され得るため、メインDTC140の利得は、アナログ障害に起因して時間の経過とともに変化し得る。例えば、時間の経過とともに、キャパシタの静電容量が変化し得、利得誤差を生じることがあり、そのため、利得誤差を補償するために、メインDTC140の利得の修正(例えば、再較正)が必要となる。
【0031】
或る例において、メインDTC140は、その性能を低下させることなく、動作中に較正される。FOD100は、第2のDTC150とも称される較正DTC150を含む。較正DTC150は、動作中にメインDTC140を較正するために用いられる。
【0032】
FOD100は、第2のラッチ160を含み、第2のラッチ160は、中間クロック信号CLK_IMDを受信するように結合されるデータ入力162と、入力クロック信号CLK_INを受信するように結合されるクロック入力164とを有する。第2のラッチ160は、CLK_INの1クロック周期の遅延を、中間クロック信号CLK_IMDに付加し、遅延された中間信号DEL1_CLK_IMDを出力165において提供する。FOD100は、マルチプレクサ166を含み、マルチプレクサ166は、周波数分周器110からCLK_IMDを受信するように結合される第1の入力168と、第2のラッチ160からDEL1_CLK_IMDを受信するように結合される第2の入力170とを有する。マルチプレクサ166は、デジタルコントローラ120によって提供され得るマルチプレクサ制御信号MUX_CNTRを受信するように結合される制御入力172を有する。マルチプレクサ制御信号MUX_CNTRに応答して、マルチプレクサ166は、CLK_IMDとDEL1_CLK_IMDのうちの1つを選択し、選択された信号を出力174において提供する。FOD100は、マルチプレクサ166の出力174に結合されるデータ入力182を有する第3のラッチ180を含む。第3のラッチ180は、入力クロック信号CLK_INを受信するように結合されるクロック入力184を有する。第3のラッチ180は、CLK_INの1クロック周期の遅延を、マルチプレクサ166の出力に適用する(例えば、CLK_IMD又はDEL1_CLK_IMD)。第3のラッチ180は、出力186において信号DEL2_CLK_IMDを提供する。信号DEL2_CLK_IMDは、遅延された中間クロック信号(マルチプレクサ166によってCLK_IMDが出力される場合)又は遅延されたクロック信号(マルチプレクサ166によってDEL1_CLK_IMDが出力される場合)であり得る。マルチプレクサ166が、その第1の入力168における信号を選択するか又はその第2の入力170における信号を選択するかに応じて、信号経路は、CLK_INの1クロック周期か又はCLK_INの2クロック周期に等しい遅延を含み得る。
【0033】
較正DTC150は、第3のラッチ180の出力186に結合される第1の入力152を含み、デジタルコントローラ120によって提供される較正コードCALIB_CODEを受け取るように結合される第2の入力154を含む。較正コードCALIB_CODEに応答して、較正DTC150は、CLK_INの周期の小数を補間し、DEL2_CLK_IMDの2つのエッジ間に小数周期を付加し、出力155においてCALIB_OUTを提供する。
【0034】
或る例において、メインDTC140の利得は、較正DTC150を用いて、2つの較正段階において較正される。第1の較正段階において、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEが0に近いときメインDTC140の利得が較正される。
【0035】
第1の較正段階において、マルチプレクサ制御信号MUX_CNTRに応答して、マルチプレクサ166は、その第1の入力168における信号を選択する。そのため、第1の較正段階において、マルチプレクサ166は、周波数分周器110によって提供されるCLK_IMDを選択する。選択された信号CLK_IMDは、第3のラッチ180によって受信され、第3のラッチ180は、CLK_INの1クロック周期の遅延を印加し、DEL2_CLK_IMDを出力する。
【0036】
DEL2_CLK_IMDが較正DTC150に印加されると、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEが0に近いか又は近接しているとき、較正DTC150の利得は、メインDTC140の利得と整合される。
【0037】
例えば、MAIN_DTC_CODEが12ビットのバイナリ数である場合、それは、0の最小値、及び4096の最大値を有する。デジタルコントローラ120は、MAIN_DTC_CODEを下側閾値と比較し、MAIN_DTC_CODEが下側閾値に等しい又かはそれよりも小さい場合、MAIN_DTC_CODEは、デジタルコントローラ120によって0に近いか又は近接しているとみなされる。下側閾値は、ユーザ入力又はシステム要件によって設定され得る。
【0038】
一例として、下側閾値は15に設定され得る。そのため、0~15の値を有し得るMAIN_DTC_CODEが、0に近いか又は近接しているとみなされ得る。既存の方法は較正のためにDTCコードを0にする必要があり、DTCコードが0に等しくなる確率が低いのでそういったことはほとんど発生しないが、そのような既存の方法とは対照的に、説明される例は、MAIN_DTC_CODEが0に近いか又は近接していることのみを必要とする。MAIN_DTC_CODEが、正確に0であることの代わりに、0に近いか又は近接していることを必要とすることによって、その発生確率が大幅に増加する。下側閾値が15に設定される場合、0に近いか又は近接している値を有するMAIN_DTC_CODEの発生確率は、0の値を有するコードの発生確率よりも15倍高い。下側閾値の数を大きくすることによって所望のコードの発生の確率を増大させ、それによって、動作の間のメインDTC140の頻繁な較正を可能にし得る。
【0039】
MAIN_DTC_CODEが0に近いか又は近接している場合、デジタルコントローラ120は、CALIB_CODEをMAIN_DTC_CODEに等しく設定する。例えば、MAIN_DTC_CODEが15である場合、CALIB_CODEは15に等しい。CALIB_CODEがMAIN_DTC_CODEに等しい場合、較正DTC150の出力信号(CALIB_OUT)を、メインDTC140の出力信号(CLK_OUT)の対応するエッジと整合させるように、CALIB_CODEが調整される。較正DTCコードCALIB_CODEは、CLK_OUTのエッジとCALIB_OUTの対応するエッジとの間の任意の時間差を最小化するように調整される。これは、ストロングアームラッチ(SAL)188を用いて行われる。SAL188は、メインDTC140の出力CLK_OUTが受信される第1の入力190と、較正DTC150の出力CALIB_OUTが受信される第2の入力194と、を有するラッチ比較器である。SAL188は、受信された入力信号の各ペアのうちどれが最初に到着したかを判定し、どの入力信号が最初に到着したかを示すバイナリ数(0又は1)を出力189において提供する。
【0040】
非理想的な動作条件に起因して、CLK_INにノイズやジッタが存在し得る。この影響は、第1のDTC140の出力(CLK_OUT)と較正DTC150の出力(CALIB_OUT)とが、正確に同じ時間に到着しない恐れがあるということである。そのため、CALIB_OUTのエッジがCLK_OUTのエッジと完全には整合せず、SAL188にバイナリ0又はバイナリ1を出力させる。
【0041】
例えば、CALIB_CODEにおける増加に応答して、CALIB_OUTのエッジとCLK_OUTのエッジとの間の時間差が近づく傾向がある場合、SAL188の出力における0と1の分布はほぼ等しくなる。そのため、CALIB_CODEにおける増加に応答して、CALIB_OUTとCLK_OUTが徐々に整合に近づくと、SAL188の出力における0及び1の数がほぼ等しくなる。従って、SAL188の出力のサンプル(例えば、100、200)の平均が0.5に近づく傾向がある。逆に、較正コードCALIB_OUTとCLK_OUTが整合から遠ざかる傾向があると、SAL188の出力における0と1の数が不均衡になる。CALIB_OUTとCLK_OUTが更に整合から遠ざかると、1の数が増加し0の数が減少するか、又は、0の数が増加し1の数が減少する。従って、出力のサンプル(例えば、100、200)の平均が0.5から遠ざかる傾向がある(1に近いか又は0に近い)。SAL188の出力のサンプルの平均に基づいて、CALIB_CODEにおける増加又は減少によって、CALIB_OUT及びCLK_OUTが整合に近づくか否かの判定がなされ得る。
【0042】
FOD100は、SAL188の出力を受け取る入力197を有する平均計算ユニット196を含む。平均計算ユニット196は、SAL188の出力のサンプル(例えば、100、200)の平均を計算し、平均値AVGを出力198において提供する。デジタルコントローラ120は、入力122において平均値AVGを受け取り、それに応答して、CALIB_CODEを調整して、平均計算ユニット196の出力AVGが、較正DTC150の出力(CALIB_OUT)がメインDTC140(CLK_OUT)の出力と整合されていることを示すほぼ0.5になるまで、較正DTC150の利得を調整する。平均計算ユニット196は、ハードウェア(例えば、論理回路要素、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアにおいて実装され得る機能ユニットである。
【0043】
第1の段階において、メインDTC140が、0のDTCコードに近接しているか又は近く(例えば、MAIN_DTC_CODEが上述の閾値よりも小さい)において較正された後、DTCコードがフルコード(即ち、最大値)に近接しているか又は近い(例えば、MAIN_DTC_CODEが後述の上側閾値に等しい又はそれよりも大きい)とき、メインDTC140は、第2の段階において較正される。第2の段階において、マルチプレクサ制御信号MUX_CNTRに応答して、マルチプレクサ166は、その第2の入力170(DEL1_CLK_IMD)において信号を選択する。マルチプレクサ166は、DEL1_CLK_IMDを第3のラッチ180に提供し、第3のラッチ180は、CLK_INの1クロック周期に等しい遅延を印加し、DEL2_CLK_IMDを較正DTC150に提供する。第2の段階において、メインDTC140は、CLK_INの1クロック周期だけ遅延された信号を受信し、一方、較正DTC150は、CLK_INの2クロック周期だけ遅延された信号を受信する。そのため、較正DTC150への入力信号は、メインDTC140への入力信号に対してCLK_INの1クロック周期遅延される。
【0044】
DEL2_CLK_IMDが較正DTC150に印加されると、MAIN_DTC_CODEがフルコードに近いか又は近接しているとき、較正DTC150の出力をメインDTC140の出力と整合させるように、CALIB_CODEが調整される(即ち、増加又は減少される)。例えば、MAIN_DTC_CODEが12ビットのバイナリ数である場合、それは4096の最大値を有する。デジタルコントローラ120は、MAIN_DTC_CODEを上側閾値と比較し、MAIN_DTC_CODEが上側閾値に等しいかそれよりも大きい場合、MAIN_DTC_CODEは、フルコードに近いか又は近接していると、デジタルコントローラ120によってみなされる。上側閾値はユーザ入力又はシステム要件によって設定され得る。
【0045】
一例として、上側閾値は、フルコードから15を引いたもの(例えば、4096-15)に等しくなるように設定され得る。そのため、4081~4096のMAIN_DTC_CODEは、フルコードに近いか又は近接しているとみなされ得る。まれにしか発生しない、コードがフルコード値であることを較正のために必要とする既存の方法とは対照的に、本発明では、MAIN_DTC_CODEがフルコードに近いか又は近接していることのみを必要とする。MAIN_DTC_CODEが、フルコードではなく、フルコードに近いか又は近接していることを必要とすることによって、その発生確率が大幅に増加し、それによって、動作の間のメインDTC140の頻繁な較正が可能になる。
【0046】
MAIN_DTC_CODEがフルコードに近いか又は近接している場合、デジタルコントローラ120は、CALIB_CODEを0に近い値に等しく設定する(例えば、フルコードからMAIN_DTC_CODEを引いたものに設定される)。例えば、MAIN_DTC_CODEが4090である場合、CALIB_CODEは、6(4096-4090=6)に設定される。
【0047】
FOD100において、たとえ数十ピコ秒であっても遅延を付加する構成要素は避けるべきである。第1のラッチ130は第1のDTC140への入力信号に遅延を付加するため、第3のラッチ180が較正DTC150の信号経路に付加される。第3のラッチ180は、較正DTC150への信号経路に遅延を付加し、それによって、第1のラッチ130によって付加された遅延が補償される。しかしながら、マルチプレクサ166が、その第2の入力170において信号を選択するとき、第2のラッチ160によって、付加的な遅延が信号経路に付加される。その結果、較正DTC150への入力信号は、第1のDTC140の入力信号に対して、CLK_INの1クロック周期だけ遅延される。付加的な遅延を補償するために、デジタルコントローラ120は、CALIB_CODEを0に近い値(例えば、フルコードからMAIN_DTC_CODEを引いたもの)に等しく設定する。
【0048】
CALIB_CODEがゼロに等しい(又はゼロに近い)場合、CALIB_CODEは、その後、較正DTC150の出力信号(CALIB_OUT)のエッジをメインDTC140の出力信号(CLK_OUT)のエッジと整合させるように調整される(即ち、増加又は減少される)。較正DTCコードCALIB_CODEは、CLK_OUTのエッジとCALIB_OUTの対応するエッジとの間の時間差を最小にするように調整される。これは、上述のように、ストロングアームラッチ(SAL)188を用いて行われる。
【0049】
SAL188の出力は、SAL188の出力のサンプルの平均を計算する平均計算ユニット196によって受け取られる。平均計算ユニット196は、出力198において平均値AVGを生成する。デジタルコントローラ120は、平均値AVGを入力122において受け取り、それに応答して、CALIB_CODEを調整して、平均計算ユニット196(AVG)の出力が約0.5になるまで、較正DTC150の利得を調整する。AVGが約0.5であることは、DTCコードDTC1_CODEがフルコードに近いか又は近接しているとき、較正DTC150の出力(CALIB_OUT)がメインDTC140(CLK_OUT)の出力と整合されていることを示す。メインDTC140の利得誤差は、CALIB_OUTがCLK_OUTと整合されている(即ち、AVGが約0.5である)とき、CALIB_CODEに適用される、フルコードに近いか又は近接している初期値から調整されたコードまでの増分又は減分調整から判定される。
【0050】
例えば、12ビットのDTCコードの場合、フルコードは4096であり、初期コード(MAIN_DTC_CODEのための初期コード)は、4090(即ち、フルコードに近接しているか近い)であり得る。そのため、初期の較正コードCALIB_CODEは6(フルコードから4090の初期コードを引いたもの)である。調整されたCALIB_CODEが100のとき、CALIB_OUTとCLK_OUTが整合されている場合、メインDTC140の利得誤差=100-(-6)=106である。利得誤差は、利得補正小数Fcを計算するために用いられる。Fが小数の場合、利得補正小数Fcは、下記式で表され得る。
【0051】
Fc=F×(フルコード-利得誤差)/フルコード
【0052】
例えば、フルコードが4096に等しく、利得誤差が106である場合、Fc=F×(4096-106)/4096である。幾つかの例において、シグマデルタ変調器が、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEを生成するために用いられる利得補正小数Fcを計算する。
【0053】
本明細書に説明されるFOD100は、一つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、一つ又は複数の受動要素(抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は一つ又は複数の供給源(電圧源及び/又は電流源等)を含み得る。FOD100は、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に半導体要素のみを含み得、製造時又は製造時以降に、エンドユーザ及び/又は第三者等によって、受動要素及び/又は供給源の少なくとも一部に結合されて記載された構造を形成するように適合され得る。
【0054】
図2は、一例のデジタルコントローラ120のブロック図である。デジタルコントローラ120は状態機械204を含み、状態機械204は、平均計算ユニット196から平均値AVGを受け取るように結合される第1の入力206を有する。状態機械204は、0に近いコードか又はフルに近いコードかの指標を受け取るように結合される第2の入力250を有し、較正DTCコードCALIB_CODEを受け取るように結合される第3の入力252を有する。状態機械204は、第1の出力208において利得誤差信号GAIN_ERRORを提供し、第2の出力210において較正DTCコードCALIB_CODEを提供し、第3の出力212においてマルチプレクサ制御信号MUX_CNTRを提供する。幾つかの例において、状態機械204は、較正DTCコードCALIB_CODEを受け取らないが、代わりに、状態機械204は、平均値AVG、及び、0に近いコードか又はフルに近いコードかの指標に基づいて、較正DTCコードCALIB_CODEを計算する。状態機械204又はその一部は、ハードウェア(例えば、論理回路要素、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアにおいて実装され得る。
【0055】
デジタルコントローラ120はシグマデルタ変調器220を含み、シグマデルタ変調器220は、利得誤差信号GAIN_ERRORを受け取るように結合される入力222を有し、出力224においてメインDTCコードMAIN_DTC_CODEを提供する。メインDTC140は、MAIN_DTC_CODEを受け取り、CLK_INの1クロック周期の小数を補間し、DEL_IMDのクロックエッジ間に小数周期を付加する。これは、エッジ間に小数周期を付加することによって、CLK_OUTのエッジ間に所望の長さを生成する効果を有する。シグマデルタ変調器220又はその一部は、ハードウェア(例えば、論理回路要素、状態機械、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアにおいて実装され得る。
【0056】
デジタルコントローラ120は、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEを受け取るように結合される入力232を有するコードレベル検出器230を含む。コードレベル検出器230は、MAIN_DTC_CODEを下側閾値及び上側閾値と比較して、0に近いコードか又はフルに近いコードが到着したか否かを検出する。0に近いコードか又はフルに近いコードが検出された場合、コードレベル検出器230は、フルに近いコードか又は0に近いコードかの指標を出力234において提供する。デジタルコントローラ120は、ゼロに近いコードか又はフルに近いコードかの指標を受け取るように結合される入力242を有する較正コード計算ユニット240を含む。較正コード計算ユニット240は、ゼロに近いコード又はフルに近いコードに基づいて較正コードCALIB_CODEを計算し、出力244においてCALIB_CODEを提供する。状態機械204は、ゼロに近いコードか又はフルに近いコードかの指標を受け取るように結合される第2の入力250と、CALIB_CODEを受け取るように結合される第3の入力252とを有する。入力250及び252を受け取ることに応答して、状態機械204はマルチプレクサ制御信号MUX_CNTRを提供する。ゼロに近いコードが検出された場合、MUX_CNTR信号は、第1の入力168における信号を選択するようにマルチプレクサ166に命令し、フルに近いコードが検出された場合、MUX_SELECT信号は、第2の入力170における信号を選択するようにマルチプレクサ166に命令する。本明細書に説明される2段階における較正は、ゼロに近いコードとフルに近いコードを必要とするため、これら2つの条件が検出されない場合、状態機械204は、その条件が発生するまで待機する。
【0057】
幾つかの例において、デジタルコントローラ120は、較正コード計算ユニット240を含まない。代わりに、状態機械204は、入力250において受け取る第1又は第2の指標に基づいて、較正DTCコードCALIB_CODEを計算する。コードレベル検出器230及び較正コード計算ユニット240は、ハードウェア(例えば、論理回路要素、状態機械、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアにおいて実装され得る。
【0058】
図3は、一例の方法300のフローチャートである。ブロック304において、ゼロに近いコードが検出される。或る例において、コードレベル検出器230は、MAIN_DTC_CODEを下側閾値と比較し、MAIN_DTC_CODEが下側閾値よりも小さい場合、コードレベル検出器230は、ゼロに近いコードが到着したと判定する。
【0059】
ブロック308において、較正DTCコードCALIB_CODEは、MAIN_DTC_CODEに等しく設定される。そのため、CALIB_CODEは検出されたゼロに近いコードに等しく設定される。或る例において、状態機械204は、ゼロに近いコードの指標を受け取り、CALIB_CODEをゼロに近いコードに等しく設定する。ブロック312において、CALIB_CODEは、CALIB_OUT(較正DTC150の出力)のエッジをCLK_OUT(メインDTC140の出力)の対応するエッジと整合させるように調整される。或る例において、ストロングアームラッチ188が、CLK_OUT及びCALIB_OUTを受信する。ストロングアームラッチ188は、受信した入力信号の各ペアについて、どちらが最初に到着したかを判定し、どちらの入力信号が最初に到着したかを示すバイナリ数(0又は1)を出力189において提供する。平均判定モジュール196が、設定された周期において、ストロングアームラッチ188からの複数の出力を受け取り、出力の平均AVGを計算し、平均値AVGを状態機械204に提供する。状態機械204は、平均値AVGを受け取り、これに応答して、CALIB_OUTがCLK_OUTと整合するように、CALIB_CODEを調整する。
【0060】
ブロック316において、較正DTC150の入力は、メインDTC140への入力に対して、CLK_INの付加的な1クロック周期遅延される。或る例において、マルチプレクサ166は、第2のラッチ160によってCLK_INの1クロック周期だけ遅延された第2の入力170からの信号を選択する。そのため、較正DTC150の入力152への信号経路は、メインDTC140の入力142への信号経路に対するCLK_INの1クロック周期の付加的な遅延を含む。
【0061】
ブロック320において、フルに近いコードが検出される。或る例において、コードレベル検出器230は、MAIN_DTC_CODEを上側閾値と比較し、MAIN_DTC_CODEが上側閾値よりも大きい場合、コードレベル検出器230は、フルに近いコードが到着したと判定し、フルに近いコードの指標を状態機械204に提供する。ブロック324において、フルに近いコードの指標に応答して、状態機械204は、CALIB_CODEを0(フルに近いコードからDTC1_CODEを引いたもの)に等しく設定する。ブロック328において、CALIB_CODEは、その後、CALIB_OUTのエッジがCLK_OUTの対応するエッジと整合するように、調整(即ち、増加又は減少)される。
【0062】
或る例において、ストロングアームラッチ188は、CLK_OUT及びCALIB_OUTの各ペアについて、どちらが最初に到着したかを判定し、どちらの入力信号が最初に到着したかを示すバイナリ数(0又は1)を提供する。平均計算ユニット196は、ストロングアームラッチ188の出力のサンプルの平均を計算し、平均値AVGを状態機械204に提供する(状態機械204は、その後、CALIB_OUTをCLK_OUTと整合するように、CALIB_CODEを調整する)。
【0063】
ブロック332において、メインDTC140の利得誤差は、CALIB_OUTがCLK_OUTと整合されているとき、フルに近いか又は近接している初期のコードから、調整されたコードまでCALIB_CODEに印加される漸進的な調整(例えば、SAL188を介して供給される漸進的な増加又は減少)から判定される。幾つかの例において、ブロック336で、利得誤差は、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEを生成するために用いられる利得補正小数Fcを計算するためにシグマデルタ変調器220によって用いられる。その後、この方法はブロック320に戻る。
【0064】
幾つかの例において、利得誤差は、利得誤差における誤った変化を除去又は抑制するために、ローパスフィルタ(
図3には示されない)を通過され得る。例えば、状態機械204によって計算された利得誤差は、高周波成分を除去するために、ローパスフィルタ(
図2には示されない)を通過され得、フィルタを通過した利得誤差がシグマデルタ変調器220によって用いられて、メインDTCコードMAIN_DTC_CODEを生成する。この効果は、利得誤差における誤った変化がCLK_OUTのフェーズに影響を与えないことである。
【0065】
幾つかの例において、ブロック336の後、或る条件が変化すると、この方法はブロック304に戻る(
図3には示されない)。例えば、オンチップ温度センサによって検知された温度が、事前定義された閾値だけ変化した場合、この方法はブロック304に戻る。幾つかの例において、利得誤差測定は、複数回繰り返され得、メインDTC140に印加される前にフィルタリングされる。
【0066】
図4A~
図4Bは、DTC150の例示の較正方法のタイミング図である。
図4Aにおいて、x軸は、CLK_OUT及びCALIB_OUTに対するグラフに関する時間を表す。y軸は、CLK_OUT及びCALIB_OUTに対するグラフに関する電圧を表す。CALIB_CODEに対するグラフに関し、y軸は、この例において、0から2
12まで変化するコード値を表し、一方、x軸は時間を示すものではない。MAIN_DTC_CODEが0に近い場合、CALIB_CODEは、0に近いCALIB_CODE1に設定される(即ち、CALIB_CODEはMAIN_DTC_CODEに等しく設定される)。これに応答して、メインDTC140はCLK_OUTを出力し、較正DTC150はCALIB_OUT1を出力する。CALIB_OUT1の立ち上がりエッジは、CLK_OUTの立ち上がりエッジより遅れるので、CALIB_CODEは、CALIB_CODE2に増加され、それによって、CALIB_OUT2の立ち上がりエッジがCLK_OUTの立ち上がりエッジの一層近くにシフトされるが、CALIB_OUT2はまだCLK_OUTと整合されていない。このプロセスは、CALIB_CODEがCALIB_CODE4に調整されるまで繰り返され、それによって、CALIB_OUT4がシフトされ、CLK_OUTと整合される。
図4Aの例において、CALIB_CODEを変化させることによって、CALIB_OUTの立ち上がりエッジのみがシフトされる。幾つかの例において(
図4Aには示されない)、CALIB_OUTの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方が、CLK_OUTの対応するエッジと整合されない場合があり、そのため、CALIB_OUTをCLK_OUTと整合させるためには、CALIB_OUTの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方の調整を必要とする。
【0067】
図4Bにおいて、x軸は、CLK_OUT及びCALIB_OUTに対するグラフに関する時間を表す。y軸は、CLK_OUT及びCALIB_OUTに対するグラフに関する電圧を表す。CALIB_CODEに対するグラフに関し、y軸は、この例において、0から2
12まで変化するコード値を表し、x軸は、時間を示さない。MAIN_DTC_CODEがフルに近いコードであるとき、CALIB_CODEは、CALIB_CODE1=フルに近いコードに設定される。これに応答して、メインDTC140は、CLK_OUTを出力し、較正DTC150は、CALIB_OUT1を出力する。CALIB_OUT1の立ち上がりエッジがCLK_OUTの立ち上がりエッジより遅れるため、CALIB_CODEは、CALIB_CODE2に減少され、それによって、CALIB_OUT2の立ち上がりエッジは、CLK_OUTの立ち上がりエッジに一層近づくが、CALIB_OUT2は、まだCLK_OUTと整合されていない。このプロセスは、CALIB_CODEがCALIB_CODE4に調整されるまで繰り返され、それによって、CALIB_OUT4は、シフトし、CLK_OUTと整合する。
図4Bの例において、CALIB_CODEを変化させることによって、CALIB_OUTの立ち上がりエッジのみがシフトされる。幾つかの例において、CALIB_OUTの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方が、CLK_OUTの対応するエッジと整合されない場合があり、そのため、CALIB_OUTをCLK_OUTと整合させるためには、CALIB_OUTの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの両方に対する調整が必要である。
【0068】
本記載において、用語「結合する」は、本記載と一貫した機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAがデバイスBを制御して或るアクションを実施するための信号を提供する場合、(a)第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在する構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変更しない場合、デバイスAは、介在する構成要素Cを介してデバイスBに結合され、その結果、デバイスBは、デバイスAによって提供される制御信号を介してデバイスAによって制御される。或るタスク又は機能を実施「するように構成される」デバイスが、製造時に製造業者によってその機能を実施するように構成され(例えば、プログラムされ、及び/又はハードワイヤードされ)得、及び/又は、製造後にユーザによって、その機能及び/又は他の付加的な又は代替の機能を実施するように構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、ハードウェア構成要素の構築及び/又はレイアウト、及びデバイスの相互接続、又はそれらの組み合わせを介し得る。また、或る構成要素を含む回路又はデバイスが、代わりに、それらの構成要素に結合されて、説明される回路要素又はデバイスを形成するように構成されてもよい。例えば、1つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、1つ又は複数の受動要素(抵抗、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は1つ又は複数の供給源(電圧源及び/又は電流源等)が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に半導体要素のみを含み得、製造時又は製造後に、例えばエンドユーザ及び/又は第三者によって、少なくとも幾つかの受動要素及び/又は供給源に結合されて、説明される構成を形成するように構成されてもよい。
【0069】
本明細書に記載されるように、用語「端子」、「ノード」、「相互接続」、及び「ピン」は交換可能に用いられる。特に反対の記載がない限り、これらの用語は、概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又は他の電子機器は半導体構成要素、の間の相互接続又は終端を意味するために用いられる。
【0070】
幾つかの例は、或る要素が集積回路に含まれており、一方、他の要素がその集積回路の外にあることを示唆する。他の例において、付加的な又はより少ない特徴がその集積回路に組み込まれてもよい。また、集積回路の外にあると図示されている特徴の一部又は全てが集積回路に含まれてもよく、及び/又は、集積回路内にあると図示されている幾つかの特徴が集積回路の外に組み込まれていてもよい。本明細書で用いられるように、用語「集積回路」は、(i)半導体基板内又はその上に組み込まれている、(ii)単一の半導体パッケージ内に組み込まれている、(iii)同じモジュールに組み込まれている、及び/又は(iv)同じプリント回路基盤内又はその上に組み込まれている、一つ又は複数の回路を意味する。
【0071】
或る構成要素が特定のプロセス技術のものとして説明されるが、これらの構成要素は他のプロセス技術のものと交換可能であり得る。本明細書に記載される回路は、構成要素交換の前に利用可能であった機能性に少なくとも部分的に類似した機能を提供するために、交換された構成要素を含むように再構成可能である。別途記載されていない限り、抵抗器として図示されている構成要素は、概して、図示された抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するために直列又は並列に結合される、任意の一つ又は複数の要素を表す。例えば、本明細書に単一の構成要素として示され説明された抵抗器又はキャパシタが、代わりに、それぞれ、単一の抵抗器又はキャパシタとして同じ2つのノード間に直列又は並列に結合される、複数の抵抗器又はキャパシタであり得る。また、本記載における「接地」という語句の使用は、本記載の教示に適用可能な又は適切な、シャーシ接地、アース接地、フローティング接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は任意のその他の形式の接地接続を含む。別途記載のない限り、或る値の前にある「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10パーセントを意味する。
【0072】
特許請求の範囲内で、説明した例における改変が可能であり、他の例が可能である。
【国際調査報告】