(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-12
(54)【発明の名称】新生仔牛のためのウシサプリメント
(51)【国際特許分類】
A23K 50/10 20160101AFI20241105BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20241105BHJP
A23K 10/33 20160101ALI20241105BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20241105BHJP
A23K 20/163 20160101ALI20241105BHJP
A23K 20/137 20160101ALI20241105BHJP
【FI】
A23K50/10
A23K10/30
A23K10/33
A23K20/158
A23K20/163
A23K20/137
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578180
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022040059
(87)【国際公開番号】W WO2022266557
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523475309
【氏名又は名称】テックミックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウパー,ネイサン,シー.
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェン,アーロン,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】マッキリガン,デニス,エム.
(72)【発明者】
【氏名】コルスタッド,ブラッドリー,ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005BA04
2B150AA02
2B150AA04
2B150AE21
2B150AE34
2B150AE42
2B150AE44
2B150AE45
2B150CJ08
2B150DA32
2B150DA55
2B150DB12
2B150DC13
2B150DC14
(57)【要約】
本発明は一般に、反芻動物への投与のための飼料サプリメント調製物、より具体的には、高い粘度の安定な液体形態にて、天然のカフェイン、および必要に応じて、抗酸化剤および他の電解質を送達する、新生仔牛のための経口ウシサプリメント用の製剤に関する。緑茶抽出物を含有する10~40mlの液体用量は、約100~400mgの濃縮された量のカフェインを新生仔牛に送達する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然の供給源のカフェインの用量を新生仔牛に送達する新生児ウシ栄養サプリメントであって、サプリメントが新生仔牛の口腔粘膜内層を介して吸収されるように、21℃で約400~800センチポアズの粘度をもたらすように製剤化された、液体形態の非合成カフェインおよび粘度調整剤を含む、新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項2】
サプリメント製品の粘度範囲が、21℃で約500~650cpsである、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項3】
天然のカフェインが、緑茶、緑茶抽出物、紅茶、コーヒー、またはココアによって供給される、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項4】
天然のカフェインが、サプリメント製品の約1~3%wtを占める、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項5】
粘度調整剤が、コーンシロップ、糖蜜、グリセリン、植物油、グルコースシロップ、または高フルクトースシロップのような増粘剤を含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項6】
粘度調整剤が、サプリメント製品の約50~60%wtを占める、請求項5に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項7】
粘度調整剤が、キサンタンガム、グアーガム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、クエン酸、ギ酸、アスコルビン酸、酢酸またはリン酸のようなさらなる増粘剤を含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項8】
さらなる増粘剤が、サプリメント製品の約0.05~0.20%wtを占める、請求項7に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項9】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項10】
抗酸化剤が緑茶抽出物を含む、請求項9に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項11】
サプリメント製品中での非合成カフェインの懸濁を容易にするための植物油消泡剤をさらに含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項12】
カッシア油またはクエン酸のような保存剤または抗微生物剤をさらに含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項13】
ポリソルベート80のような乳化剤をさらに含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項14】
クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、または塩化カリウムのような電解質をさらに含む、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項15】
10~40mlの液体用量のサプリメントが100~400mgのカフェインを新生仔牛に送達するように、緑茶抽出物が濃縮された量のカフェインを含有する、請求項1に記載の新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項16】
天然の供給源のカフェインの用量を新生仔牛に送達する新生児ウシ栄養サプリメントであって、サプリメントが、緑茶抽出物、キサンタンガムまたはグアーガム、コーンシロップ、及び、水を含み、サプリメントが新生仔牛の口腔粘膜内層を介して吸収されるように、サプリメントの粘度が21℃で約400~800センチポアズである、新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項17】
天然の供給源のカフェインの用量を新生仔牛に送達する新生児ウシ栄養サプリメントであって、サプリメントが、緑茶抽出物、キサンタンガムまたはグアーガム、コーンシロップ、及び、水を含み、サプリメントが新生仔牛の口腔粘膜内層を介して吸収されるように、サプリメントの粘度が21℃で約400~800センチポアズである、新生児ウシ栄養サプリメント。
【請求項18】
新生仔牛のための天然の供給源のカフェインを含有する新生児ウシ栄養サプリメントの使用方法であって、
(a)ウシ異常分娩に罹患している新生仔牛を用意するステップ;
(b)新生仔牛に、21℃で約400~800センチポアズの粘度をもたらすように製剤化された、液体形態の非合成カフェインおよび粘度調整剤を含むサプリメントの用量を投与するステップ;ならびに
(c)サプリメントが新生仔牛の口腔粘膜内層を介して吸収されるステップ
を含む、前記方法。
【請求項19】
天然のカフェインが、緑茶抽出物によって提供されたものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
粘度調整剤が、コーンシロップおよびキサンタンガムまたはグアーガムを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
サプリメントの用量が100~400mgのカフェインを新生仔牛に送達するよう、該サプリメント用量が、濃縮された量のカフェインを含有する緑茶抽出物を含む10~40mlの液体を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
新生仔牛の口腔粘膜内層を介して天然の供給源のカフェインの用量を送達する新生児ウシ栄養サプリメントを調製する方法であって、
(a)ミキサー容器に水を添加し、それを少なくとも50℃に加熱するステップ;
(b) キサンタンガム、グアーガム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、クエン酸、ギ酸、アスコルビン酸、酢酸、またはリン酸のような増粘剤をミキサー容器に添加するステップ;
(c)緑茶抽出物、緑茶、紅茶、またはコーヒーなどの非合成カフェインをミキサー容器に添加するステップ;
(d)コーンシロップ、糖蜜、グリセリン、植物油、グルコースシロップ、または高フルクトースシロップのようなさらなる増粘剤をミキサー容器に添加するステップ;
(e)混合物を約24時間にわたり静置させるステップであって、その時点において、得られる新生児ウシ栄養サプリメントは、21℃で約400~800センチポアズの粘度を示す、
を含む、方法。
【請求項23】
混合物を静置するステップ(e)の前に、1以上の下記ステップ、すなわち、
(f)カフェインのような抗酸化剤をミキサー容器に添加するステップ;
(g)カッシア油のような風味増強剤をミキサー容器に添加するステップ;
(h)ポリソルベート80のような乳化剤をミキサー容器に添加するステップ;
(i)クエン酸のような保存剤をミキサー容器に添加するステップ
をさらに含む、請求項22に記載の新生児ウシ栄養サプリメントを調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月30日に出願された米国特許出願第16/117,227号の一部継続出願であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、反芻動物への投与のための飼料サプリメント調製物、より具体的には、新生仔牛の口腔粘膜を介する吸収のための安定な液体形態で、天然のカフェインおよび粘度調整剤を送達する新生仔牛のための経口ウシサプリメントのための製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
「ウシ異常分娩」とは、雌牛がヒトの援助なしに仔牛を分娩するのが困難になるか、または不可能になる出産プロセスの間の状態を指す。それは、分娩第1または第2期の間に起こることがあり、通常、仔牛が、産道において逆さまに、もしくはさらには横向きになって正しく配置されていないこと、またはそうでなければ、産道の形状およびサイズに適していないことを含む。乳牛における異常分娩の発生率は、2~22%の範囲であると報告されているが、分娩中にヒトの援助を必要とするウシの割合は、10~50%の範囲である。
【0004】
ウシ異常分娩の寄与因子としては、仔牛の出生時体重および母牛(「若い雌牛」または「ダム」)の骨盤領域のサイズが挙げられる。かくして、乳牛および肉牛の事業は、その育種プログラムから小さい骨盤領域を有する若い雌牛を間引き、小さい出生時体重を有するウシを作ると証明されている雄牛を意図的に使用することが多い。分娩プロセスの前に若い雌牛に適切な栄養を供給することは、仔牛が産道を通過するためのより大きな推進力を発揮するその能力を確保することにもつながる。しかしながら、適切な群れの管理および栄養政策を用いても、ウシ異常分娩の多くの事例が依然として起こっている。若い雌牛および雌牛を受精および懐胎させる際に費やされる費用および時間、ならびに異常分娩に起因する母牛または仔牛の潜在的な傷害または死亡を考慮すると、これは酪農または畜牛事業に関する実質的な経済的リスクをもたらし得る。
【0005】
実際、分娩プロセス中にヒトの援助を必要とする仔牛は、50%高い死亡リスクを経験する。分娩プロセス中に、胎仔は、新生児仮死を経験し、「低酸素症」と称される、低い血中酸素レベルおよび血流が低下した領域をもたらす。そのような低酸素症は、酸素欠乏(血中に酸素がないこと)に進行し得る。長期に及ぶ酸素欠乏は、6分以内に胎仔の死亡をもたらし得る。
【0006】
新生仔牛は、誕生直後に即時の初乳サプリメントを必要とする。しかし、低酸素症の新生仔牛は、起立し、初乳を飲むその身体能力を妨げる、眠気および臥位の状態に罹ることが多い。さらに、新生仔牛が初乳の免疫グロブリンおよび他の成分を吸収する能力は、新生仔牛が低酸素状態にある場合、障害を受ける。検査を受けていない低酸素状態は数時間長引くことがあり、天然に生じる腸の閉鎖と重複する可能性があり、それにより、初乳からの免疫グロブリンの受動的伝達能を悪化させるか、または完全に停止させる二次的なシナリオを作り得る。この因子は、新生児ウシの迅速な酸素供給および活力を補助する必要性をさらに構成する。さらに、昏睡状態の仔牛は、典型的には、筋肉収縮および全体的な活力を刺激する試みにおいて、補給量のグルコースも受けるであろう。しかし、そのようなグルコース補給は、新生仔牛において食欲を低下させるインスリン応答をもたらし、昏睡状態をさらに増幅させる低血糖の期間をもたらす。この悪循環は、食欲が初乳摂取にとって重要である新生仔牛の生涯の最初の12~24時間の間の新生仔牛にとって極めて有害であり得る。
【0007】
カフェインは、ヒト乳児の無呼吸発作を軽減するための有効な介入として実証されている。しかしながら、カフェインは、家畜にとって必要な栄養素であるとは考えられていないため、合成カフェインは、アメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials(「AAFCO」))によって「一般的に安全と認められている」(「GRAS」)ステータスを欠く。かくして、仔牛における低酸素症を処置するために合成カフェインを含有するヒトサプリメントを投与することは、違法であると考えられる。しかしながら、茶はAAFCOによってGRASステータスを付与されており、茶葉は天然形態のカフェインを含有する。
【0008】
カフェインを含有する様々な栄養サプリメント製品が、健康を改善する目的でヒトのための当業界内で公知である。例えば、Mowerらによって出願された米国特許出願公開第2011/0123651号は、ヒトにおける加齢プロセスと戦うために使用される栄養飲料を開示している。それは、ぶどうの皮から供給されるか、またはぶどうおよびぶどうの皮から生産されるワインの形態にあり得るレスベラトロルを含有する。水、クエン酸ナトリウムのような懸濁剤、ならびに必要に応じて、抗酸化剤および抗炎症剤であるケルセチンも、飲料内に含まれる。Mowerはさらに、飲料が、ヒトにおける有益な細胞の増殖の増大のための遺伝的刺激を促進する緑茶の茶葉抽出物に多く由来するポリフェノールであるカテキンも含むことを開示している。
【0009】
しかしながら、このMowerのアンチエイジングサプリメント製品は、カフェインを、二次的な成分として微量(すなわち、0.067%wt)含むに過ぎない。彼はまた、ヒト顧客に「頬送達」される液体形態で彼の製品を提供し、ヒトは、飲料を嚥下する前にその口中に1分間保持しなければならない。言うまでもなく、新生仔牛が、口内を介してレスベラトロルまたはカフェインのような成分の送達をもたらすためにその口中でそれを保持しながら、液体サプリメント製品の嚥下を1分間にわたって遅らせることは期待できない。Mowerの製品は粘膜吸着を用いない液体形態で送達されるため、この目的のために、それは増粘剤として非常に少量のキサンタンガムのみを含む。
【0010】
Nairらによって出願された米国特許出願公開第2008/0038409号は、コカ製品または粉末に浸した水から作られた「ココア水飲料」を開示している。得られる製品は、免疫系を刺激する、心臓の健康を改善する、解毒する、筋肉を回復させる、認知能力を増強するなどのためにヒトによって消費されている。しかしながら、Nairのコーンシロップは、粘度調整剤としてではなく、甘味剤として用いられている。同様に、彼の植物油成分は、コカ製品から抽出されたポリフェノールおよびフラバノール化合物の酸化を防止するために用いられている。彼は、新生児ウシの栄養サプリメント中での緑茶抽出物の懸濁を容易にするためにその植物成分を使用していない。
【0011】
緑茶抽出物から供給されるカフェインを含む、カフェインを含有する食品が、当業界内で公知である。例えば、Ekanayakeらに対して発行された米国特許第5,879,733号は、緑茶抽出物飲料を例示しており、そこでは、緑茶抽出物を酸抽出し、濁りをもたらす金属カチオンを除去するためにカチオン交換樹脂を通過させた後、飲料の色および透明さを害する高分子量成分を除去するためにナノ濾過を通過させる。しかしながら、Ekanayakeの製品は、新生仔牛の口腔粘膜内層を介する吸収に適さない液体形態であるばかりか、糖で甘み付けされた飲料に見出されるその0.5%wtの緑茶濃縮液は異常分娩または低酸素症に罹患している新生仔牛を刺激するのに必要とされるレベルよりも有意に低い。実際、Ekanayakeの参考文献は、彼の最終製品中の992ppmのカフェインレベルを開示している。1000ppmは0.1%wtと等価であり、992ppmのカフェインは、0.0992%wtのカフェインに換算され、これは非常に低い。
【0012】
一方、Dakeらに対して発行された米国特許第5,624,698号は、希釈ジュース飲料を分注するための「ソーダ・ファウンテン」において用いられるシロップ製品を教示している。このシロップは、ジュースフレーバーと共に緑茶または紅茶のようなフレーバー成分を含む。植物油のような油成分は、所望の不透明度および濁りを、得られるジュース飲料に提供する。シロップからの分離を引き起こす油成分の分散を防止するために、乳化剤としてキサンタンガムがシロップに添加される。
【0013】
Dakeのシロップ製品を新生仔牛に給餌した場合であっても、異常分娩の影響を処置することはできないであろう。250cps未満、好ましくは、150cps未満の製品の粘度は、製品の新生仔牛への粘膜送達にとっては単純に低すぎる。対照的に、Dakeは、ヒトによって飲用されるファウンテン飲料に彼のシロップ製品を添加することを意図している。さらに、Dakeは、彼の紅茶または緑茶成分(0.5%wt未満)を、カフェインの刺激原としてではなく、香料として使用しているに過ぎない。さらに、Dakeは、彼の最終溶液中の茶に関する標的カフェイン含量に言及していない。
【0014】
迅速な刺激を提供するためにヒトによって消費される人気のある「エナジードリンク」でさえ、異常分娩に罹患している新生仔牛を処置するのには適さない。例えば、Leviらによって出願された米国特許出願公開第2017/0231996号は、過飽和カフェインレベルを含有するエナジードリンクを開示している。それらは、1.7~3.0%(w/v)のレベルのカフェインを含有する。それらはまた、9mlの水の中に150~250mgのカフェインを含有すると開示されている。しかしながら、9mlの水の中のこの150mgは、1.66%wtのカフェインを送達するに過ぎない。これは、驚くほど低いカフェインレベルである。さらに、Leviは、食用動物に関するAAFCOの規則によって必要とされる天然のカフェイン源ではなく、クエン酸カフェインの形態で合成カフェインを使用しているようである。
【0015】
Clif Bar & Co.の人気のある「Clif Shot Turbo Double Espresso Energy Gel」製品およびさらにより人気のある「5-Hour Energy」ドリンクでさえも、それぞれ、0.24%wtおよび0.43%wtのカフェインレベルを含有するに過ぎない。さらに、5-Hour Energy製品は、150cps以下の粘度レベルを有し、これは、新生仔牛への粘膜送達にとって必要とされる粘度レベルよりも有意に低い。したがって、「エナジーゲル」の用語が示唆するにもかかわらず、これらの型の製品はあまり粘度が高くなく、確実に、新生仔牛の口中で保持し、粘膜内層を介してカフェインを送達することができない。
【0016】
かくして、仔牛が初乳を消費し、その呼吸を刺激し、浮腫を低減して、ウシ異常分娩および低酸素症の影響を生き延びることができるのを促すための刺激剤として非合成カフェインを含有する新生仔牛のためのウシサプリメントを提供することは非常に有益であろう。そのようなウシサプリメントは、サプリメントの成分の仔牛への粘膜送達のために比較的高い粘度レベルを示すべきである。
【発明の概要】
【0017】
仔牛の生涯のこの脆弱な初期段階の間の栄養摂取を増強するために新生仔牛に供給される新生児ウシ栄養サプリメントが、本発明によって提供される。ウシ異常分娩は、新生仔牛を弱め、新生仔牛が初乳を消費するために起立するのを妨げる全身抑制および臥位を引き起こし得る。新生児ウシ栄養サプリメントは、サプリメントが新生仔牛の口および舌におけるその口腔粘膜内層を介して新生仔牛によって吸収されるように、緑茶抽出物のような天然源から得られた非合成カフェインならびに液体サプリメントの粘度を21℃で約400~800センチポアズに増大させるコーンシロップおよびキサンタンガムまたはグアーガムのような粘度調整剤を含む。サプリメント製品の比重(相対密度)は、好ましくは約0.9~1.6の範囲である。新生児ウシ栄養サプリメントは、必要に応じて、抗酸化剤および電解質を含んでもよい。
【0018】
このように、サプリメントは、そもなくば誕生後数時間以内の初乳および他の動物飼料成分の新生仔牛の重要な栄養摂取を妨害し得る浮腫を低減させ、呼吸を刺激し、新生仔牛のエネルギーレベルを増大させるために、新生仔牛にカフェインを確実に供給する。さらに、緑茶抽出物中の濃縮カフェインレベルは、10~40ml用量の液体溶液サプリメント製品が、そうでなければ新生仔牛が初乳および他の重要な動物飼料成分を消費するのを止めるのを促し得る、その胃の充満なしに新生仔牛に送達するために、約100~400mgのカフェインを含有するのを可能にする。さらに、新生仔牛のためのウシサプリメントのこの新規製剤は、必要に応じて、抗酸化剤および他の電解質を含んでもよい、高粘度の安定液体形態で天然のカフェインを送達する。サプリメントは、液体サプリメントの粘度が、舌および口腔への付着を容易にすることによって、粘膜吸収を容易にし、サプリメントの有効性を大きく増強するようなものである、高濃縮液体経口用量製剤として、天然カフェインを首尾よく組込む。さらに、製品の濃縮された性質のため、カフェインを最小容量で送達し、それによって、満腹を最小化することができ、その結果、十分な量の初乳を十分に摂取することができる。
【0019】
配合物は、抽出物であってもよい緑茶の形態で天然のカフェインが首尾よく添加されており、該緑茶はまた抗酸化剤に富んでおり、該配合物は、キサンタンガムまたはグアーガム、コーンシロップ、水および電解質との独自の混合物中に、高濃度のカフェインを含有する。コーンシロップおよびキサンタンガムは、溶液が口腔および舌に付着して、カフェインのより迅速な吸収を可能にするように粘度を調整するために添加される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
異常分娩の悪影響を克服するために、例えば、緑茶抽出物から供給される、天然の、濃縮用量のカフェイン、抗酸化剤、および電解質を送達する、誕生後に投与される新生仔牛サプリメントのための独自の製剤が、本発明によって提供される。サプリメントは、迅速な処置のための新生仔牛の口腔粘膜を介する吸収に関するサプリメントの有効性を大きく増強しながら、液体形態で常温保存可能なままである製品を生産するために、キサンタンガムまたはグアーガムおよびコーンシロップのような粘度調整剤を首尾よく組込む。サプリメントは、新しく産まれた仔牛に対して必要な多系統(すなわち、CNS/心臓/呼吸)の刺激をもたらすだけでなく、呼吸も刺激し、浮腫も低減させ、筋肉収縮も刺激する。このように、サプリメントは、低酸素症の仔牛が直面する3つの最大の問題:昏睡状態、呼吸速度、および高濃度のアデノシンを処置する。
【0021】
本発明の新生児ウシ栄養サプリメントは、21℃で約400~800センチポアズ(「cps」)、好ましくは、約500~650cps、さらにより好ましくは、約600cpsの粘度をもたらすために粘度調整剤によって改変された、液体溶液中の濃縮用量の非合成カフェインおよび水を含み、それによりサプリメントが異常分娩または低酸素症に罹患している新生仔牛の口中に導入された場合、粘膜内層を介するカフェインの迅速な吸収のために、該サプリメントは新生仔牛の舌および口中の頬の内側に付着する。新生仔牛の口腔粘膜表面に対する血管の近接性のため、これは、摂取された製品が循環系に進入するのに数時間かかることがある消化器系と比較して、循環系へのカフェインのはるかにより速い進入を可能にする。新生児ウシ栄養サプリメントは、制約下にある新生仔牛の健康を増強する安定な溶液を生産するために、いくつかの他の任意の成分を含有してもよく、抗酸化剤、電解質、溶解補助剤、消泡剤、および保存剤が挙げられる。
【0022】
新生児ウシ栄養サプリメントのために、非合成カフェインは、化学的に合成されていない種々の天然のカフェインから供給されてもよい。そのような非合成カフェイン源としては、緑茶、緑茶抽出物、紅茶、コーヒー、およびココアが挙げられる。約90%、好ましくは、約99%のカフェインレベルを有する緑茶抽出物が好ましい。非合成カフェイン成分は、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約1~15%wt、好ましくは、約1~5%wtを占めるべきである。
【0023】
新生児ウシ栄養サプリメント製品の水成分は、水道水または脱イオン水であってもよい。水は、清浄であるべきであり、新生仔牛の健康を害するであろういかなる夾雑物も含むべきではない。水成分は、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約30~60%wt、好ましくは35~50%wt、さらにより好ましくは、約39%wtを占めるべきである。
【0024】
21℃で約400~800cps、好ましくは約500~650cps、さらにより好ましくは、約600cpsの望ましい粘度レベルを得るために、1種以上の増粘剤を、水、非合成カフェイン、およびクエン酸三ナトリウムを含有する溶液に添加するべきである。コーンシロップを使用して、得られる新生児ウシ栄養サプリメント製品の粘度を増強することができるが、他の好適な代替粘度増強成分としては、糖蜜、グリセリン、植物油、グルコースシロップ、および高フルクトースシロップが挙げられる。このコーンシロップまたは代替粘度増強剤は、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約40~75%wt、好ましくは、約50~60%wtを占めるべきである。
【0025】
新生児ウシ栄養サプリメント製品をさらに増粘させるための第2の粘度調整成分は、キサンタンガムであってよいが、グアーガム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、またはクエン酸、ギ酸、アスコルビン酸、酢酸、もしくはリン酸のような酸を用いてもよい。このさらなる増粘剤は、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約0.05~5.0%wt、好ましくは、約0.05~0.20%wtのみを占めるべきである。
【0026】
本発明の新生児ウシ栄養サプリメントはまた、1種以上の抗酸化剤を含有してもよい。そのような抗酸化剤は、分娩プロセスの間の酸素の欠乏によって引き起こされる新生仔牛におけるフリーラジカルの増加に対処するであろう。カフェインは、本発明のサプリメント製品のために抗酸化剤として機能する。上記のように、カフェインの好適な非合成源としては、緑茶、緑茶抽出物、紅茶、コーヒー、およびココアが挙げられる。したがって、カフェイン源に、抗酸化剤機能をさらに提供することによって製品製剤内で2つの機能を実行させることが好都合である。緑茶抽出物が、新生仔牛に抗酸化剤を与えるために好ましい。
【0027】
クエン酸ナトリウムを製品製剤に添加して、カフェイン成分を溶液中で可溶化し、抗酸化剤を新生仔牛により接近可能にすることができる。クエン酸ナトリウムはまた、低酸素症、または水分不均衡によって引き起こされる新生仔牛における代謝アシドーシスも低減させるであろう。それは、新生仔牛の血液を適切なpHレベルに緩衝化する。
【0028】
クエン酸ナトリウムから解離した結果であるナトリウムは、新生仔牛のための電解質としても役立つ。そのような電解質は、新生仔牛の水分補給状態を管理するのに役立つであろう。ナトリウムは、動物内の水の吸収および貯蔵に役立つ。新生児ウシ栄養サプリメント製品製剤のための他の好適な電解質としては、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムが挙げられる。
【0029】
製剤の目的のための好ましい形態のクエン酸ナトリウムは、クエン酸三ナトリウム二水和物である。そのようなクエン酸ナトリウムは、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約1~10%wt、好ましくは、約1~5%wtを占めるべきである。
【0030】
Trans-400は、食品製造プロセスの間に構築される水性環境中の気泡を破壊するように設計された、100%活性な、食品等級の消泡剤である。それは、Elkhorn, WisconsinのApplied Material Solutions, Inc.から取得することができる。植物油に基づく消泡剤として、それを米国および一部の外国における新生児ウシ栄養サプリメント製品に添加して、滑らかで均一な最終製品を生産するために気泡が逃げるように、製造プロセスの間に蓄積する気泡を放出させることができる。使用する場合、Trans-400は、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約0.0~1.0%wt、好ましくは、約0.1~0.5%wtを占めるべきである。
【0031】
カッシア油は、保存剤および抗微生物剤としても作用する風味増強剤である。桂皮アルデヒドは、その必須成分である。それを、約0.1%wtレベルで新生児ウシ栄養サプリメント製品に添加することができる。オレガノ油などのフェノールプロピオノイドを、製品製剤中の代用物として使用してもよい。
【0032】
ポリソルベート80液は、新生児ウシ栄養サプリメント製品内の油成分が水中で一体化するのを助ける乳化剤である。かくして、それは溶解補助剤である。それは、ポリエトキシル化ソルビタンおよびオレイン酸から誘導され、いくつかの製造元から広く入手可能である。それは、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約0.0~3.0%wt、好ましくは、約0.07~0.70%wtを占めるべきである。
【0033】
クエン酸を保存剤として新生児ウシ栄養サプリメント製品に添加してもよい。それは、製剤化された新生児ウシ栄養サプリメント製品の、約0.5~3.0%wt、好ましくは、約1.2~1.6%wtを占めるべきである。
【0034】
同様に、着色剤を新生児ウシ栄養サプリメント製品に添加してもよい。製剤化された製品は、そのままだとミルキーホワイト色である。FD&C Blue染料またはベータ-カロテンは、好適な着色剤である。
【0035】
本発明の新生児ウシ栄養サプリメントのための1つの上首尾の処方は、以下の好ましい範囲の成分を有していた。
【0036】
【0037】
サプリメントは、加熱および包装した場合、均一な溶液であり、室温では懸濁液になる。溶液は、好ましくは加温した時に瓶詰めされる。サプリメントは、2時間より長い期間にわたって常温保存可能であり、工場での真空包装を必要とせず、カビ、酵母または細菌を増殖させない。
【0038】
本発明の新生児ウシ栄養サプリメント製品を調製するためのプロセスは、以下の通りである:
【0039】
1.羽根を有するジャケット型タンクミキサー容器に水を添加する。約50℃超、好ましくは、約50~75℃、さらにより好ましくは、約52~57℃に、蓋をして水を加熱する。
【0040】
2. キサンタンガムまたはグアーガム増粘剤の半分を容器に添加し、約15分間にわたって、バッチの容量に応じて約250~500rpmで組成物を混合する。
【0041】
3. キサンタンガムまたはグアーガム増粘剤の他方の半分を容器に添加し、混合プロセスを繰り返す。キサンタンガムまたはグアーガムが水中で完全に水和するには時間がかかる。全てのキサンタンガムまたはグアーガム成分を同時に容器中の混合物に添加した場合、組成物はあまりに速く増粘することとなる。
同時に、混合プロセス中に環境からの空気の取込みを回避するべきである。
【0042】
4.非合成カフェイン成分をミキサー容器に添加する。
【0043】
5.クエン酸三ナトリウム二水和物成分を容器に添加する。
【0044】
6.ミキサー容器の加熱を停止する。
【0045】
7.カッシア油を容器に添加する。
【0046】
8.ポリソルベート80を容器に添加する。
【0047】
9.約70°F(約21℃)のコーンシロップを容器に添加する。
【0048】
10.クエン酸を容器に添加する。
【0049】
新生児ウシ栄養サプリメント製品の最終混合物は一般に、混合直後の優勢な50℃の温度で約75~150cpsの粘度レベルを示すこととなる。グアーガムまたはキサンタンガムが完全に水和するには数時間かかる。カフェインが完全に溶解したら、室温への冷却中の12~24時間以内に、その後の粘度の増加と共に、カフェイン結晶が形成し始めるであこととなる。かくして、混合プロセスが完了した約24時間後に、新生児ウシ栄養サプリメント製品は、21℃で約550~600cpsというその望ましい粘度レベルを達成することとなる。
【0050】
最終製品は、好ましくは、15~20mlのスクイーズチューブまたはシリンジプランジャー中に包装される。そのようなスクイーズチューブまたはシリンジプランジャーは、新生仔牛の口の中に製品を都合よく導入することとなる。
【0051】
新生児ウシ栄養サプリメントの典型的な製品用量は、約100~400mgの濃縮カフェイン用量を含有する約10~40mlの液体溶液である。
【0052】
上記明細書は、本発明の新生児ウシ栄養サプリメント製品の成分および調製プロセスの完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく為すことができるため、本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲の中に存在する。
【国際調査報告】