(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-12
(54)【発明の名称】封止用グロメット構造
(51)【国際特許分類】
F16J 3/04 20060101AFI20241105BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20241105BHJP
【FI】
F16J3/04 C
F16J15/52 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530410
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022082882
(87)【国際公開番号】W WO2023094408
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130679.5
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514062655
【氏名又は名称】スタビラス ゲ―エムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】324010677
【氏名又は名称】タイス,クリストフ
(71)【出願人】
【識別番号】324010666
【氏名又は名称】アイニグ,クリスティアン
(71)【出願人】
【識別番号】324010655
【氏名又は名称】クロンツ,カトリーン
(71)【出願人】
【識別番号】324010644
【氏名又は名称】クノップ,アクセル
(71)【出願人】
【識別番号】324010633
【氏名又は名称】ケッスラー,ヨナタン
(71)【出願人】
【識別番号】324010622
【氏名又は名称】ボーヘン,ヤン
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タイス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】アイニグ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クロンツ,カトリーン
(72)【発明者】
【氏名】クノップ,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ケッスラー,ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】ボーヘン,ヤン
【テーマコード(参考)】
3J043
3J045
【Fターム(参考)】
3J043AA03
3J043BA01
3J043DA09
3J043FA02
3J043FA05
3J043FB20
3J045AA14
3J045CB14
3J045CB30
3J045EA10
(57)【要約】
【解決手段】封止用グロメット(1)を備える封止用グロメット構造であって、封止用グロメット(1)は、その長さにわたって外径が一定の波形管として設計され、その一端がハウジング壁(10)の開口部(12)を貫通して突出すると共に、ハウジング壁に保持するための保持リング(6)が位置決めされる。保持リングは、その貫通開口部(7)の内側輪郭により、封止用グロメットの波形凹部(2)内に半径方向内側に突出し、ハウジング壁の開口部を閉じるように、ハウジング壁に接続可能である。保持リングは、中央貫通開口部の内側輪郭(8)により、封止用グロメットの波形凹部内に突出し、封止用グロメットは弾性変形可能な材料からなり、所定の最小限の力が軸方向に加わることにより、保持リング(6)が、ある波形凹部(2)から隣接する波形凹部(2)へと移動できるように弾性変形する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止用グロメット(1)を備える封止用グロメット構造であって、
前記封止用グロメット(1)は、その長さにわたって外径が一定の波形管として設計され、その一端がハウジング壁(10)の開口部(12)を貫通して突出すると共に、前記ハウジング壁(10)に保持するための保持リング(6)が配置され、
前記保持リング(6)は、その貫通開口部(7)の内側輪郭により、前記封止用グロメット(1)の波形凹部(2)内に半径方向内側に突出し、
前記保持リング(6)は、前記ハウジング壁(10)の前記開口部(12)を閉じるように、前記ハウジング壁(10)に接続可能である封止用グロメット構造において、
前記保持リング(6)は、前記封止用グロメット(1)の波形凹部(2)内に突出する、前記貫通開口部(7)の内側輪郭(8)を有し、
前記封止用グロメット(1)は弾性変形可能な材料からなり、所定の最小限の力が軸方向に加わることにより弾性変形して、前記保持リング(6)が、ある波形凹部(2)から隣接する波形凹部(2)へと移動できるように構成される、
ことを特徴とする封止用グロメット構造。
【請求項2】
前記保持リング(6)は、前記貫通開口部(7)の前記内側輪郭(8)により、前記封止用グロメット(1)の前記波形凹部(2)内に接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の封止用グロメット構造。
【請求項3】
前記保持リング(6)の前記貫通開口部(7)は、円形の輪郭を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の封止用グロメット構造。
【請求項4】
前記保持リング(6)は、前記貫通開口部(7)の前記内側輪郭(8)により、前記波形凹部(2)の外形輪郭に対して予め荷重をかける、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の封止用グロメット構造。
【請求項5】
前記封止用グロメット(1)は、その端部領域の一方に把持輪郭を有し、この把持輪郭により、前記封止用グロメット(1)が把持され、軸方向の力を受ける、
ことを特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の封止用グロメット構造。
【請求項6】
前記保持リング(6)は、その半径方向外側の外周領域に、前記ハウジング壁(10)に接続可能な接続構造を有する、
ことを特徴とする請求項1から5のうち何れか1項に記載の封止用グロメット構造。
【請求項7】
前記接続構造は、前記ハウジング壁(10)の壁厚に対応する溝幅を有する、半径方向外向きに開口した環状溝(9)であり、
前記環状溝(9)の底部(11)の直径は、前記ハウジング壁(10)の前記開口部(12)の直径に対応する、
ことを特徴とする請求項6に記載の封止用グロメット構造。
【請求項8】
前記保持リング(6)は、弾性変形可能な材料からなり、
前記保持リング(6)は、前記環状溝(9)により、前記ハウジング壁(10)の前記開口部(12)に嵌め込まれる、
ことを特徴とする請求項7に記載の封止用グロメット構造。
【請求項9】
前記保持リング(6)は、その半径方向外側の外周に、半径方向に取り囲む封止用リップ(13)を有する、
ことを特徴とする請求項1から8のうち何れか1項に記載の封止用グロメット構造。
【請求項10】
前記封止用リップ(13)は弾性を有し、その半径方向内側領域(14)が前記環状溝(9)の、前記ハウジング壁(10)から離れた側の溝壁(15)に接続され、
前記封止用リップ(13)の、自由に突出する半径方向外側領域(16)は、前記ハウジング壁(10)に向かって傾いている、
ことを特徴とする請求項9に記載の封止用グロメット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用グロメットを備えた封止用グロメット構造であって、封止用グロメットが、その長さにわたって外径が一定の波形管として設計され、その一端がハウジング壁の開口部を貫通して突出すると共に、ハウジング壁に保持するための保持リングが配置され、保持リングは、半径方向内側領域により、封止用グロメットの波形凹部内に半径方向内側に向かって突出し、保持リングは、ハウジング壁の開口部を閉じるようにハウジング壁に接続可能である構造、に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの封止用グロメット構造では、係止突起部を有する保持リングが波形管の波形凹部に係合してハウジング壁に接続され、この保持リングにより、所定の位置に保持されることが知られている。このような封止用グロメット構造は複雑な設計となり、その組み立てにかなりの労力が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、簡単な構造で容易に組み立てることができ、また、封止用グロメットの、ハウジング壁の開口部から突出する長さを異ならせる場合にも、同じ封止用グロメットを用いることができる、上述したタイプの封止用グロメット構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、保持リングが、中央貫通開口部の内側輪郭により、封止用グロメットの波形凹部内に突出し、封止用グロメットは弾性変形可能な材料からなり、所定の最小限の力を軸方向に加えることにより封止用グロメットを弾性変形させながら、保持リングを、ある波形凹部から隣接する波形凹部へと移動させる構造により解決される。
【0005】
このような構造では、封止用グロメットの保持リングを、ハウジング壁の開口部から突出する封止用グロメットの所望の長さに対応する波形凹部に移動させる。これにより、封止用グロメットの、ハウジング壁から突出する長さを異ならせる場合にも、1つの同じ封止用グロメットを使用することが可能になる。その際、追加の部品や特別なツールは必要とされない。
【0006】
また、同じグロメットにおいて、保持リングの外径を変更して設計することにより、ハウジング壁の開口部の直径が異なる場合にも使用することが可能になる。
【0007】
これにより、グロメットの保管および物流コストを大幅に低減することができる。
【0008】
同じ封止用グロメットを様々な用途に使用することができるため、製造に必要な金型は1つのみでよい。
【0009】
保持リングは、その貫通孔の内側輪郭により封止用グロメットの波形凹部内に接する構造であれば、封止用グロメット上に遊びなく保持することができる。
【0010】
保持リングの貫通開口部が円形の輪郭を有する構造であれば、その回転位置とは無関係に封止用グロメット上に配置することができるため、取り付けが容易になる。
【0011】
保持リングが、その貫通孔の内側輪郭により、波形凹部の外側輪郭に対して予め荷重をかけた状態で接している場合、保持リングを封止用グロメット上にしっかりと嵌めることができる。
【0012】
封止用グロメットは、その端部領域の一方に把持輪郭を有し、この把持輪郭により、封止用グロメットは、例えば、手で把持され、軸方向の力を受ける。
【0013】
このような構造では、把持輪郭を引っ張ることによって、保持リングを封止用グロメット上の所望の位置に引っ張ることが可能になる。
【0014】
保持リングをハウジング壁に固定するために、保持リングの半径方向外側の外周領域に、ハウジング壁に接続可能な接続構造を設けてもよい。
【0015】
単純な設計では、接続構造は、半径方向外側で外向きに開口した環状溝であり、その溝幅はハウジング壁の壁厚に対応し、その底部の直径はハウジング壁の開口部の直径に対応する。
【0016】
保持リングは弾性変形可能な材料で形成され、その環状溝により、ハウジング壁の開口部に嵌め込むことができる構造であれば、ハウジング壁の開口部に対して単に嵌め込むことにより、保持リングをハウジング壁に接続することができる。
【0017】
保持リングが、その半径方向外側の周囲に、半径方向に取り囲む封止用リップを有する構造であれば、保持リングは、設置されると、ハウジング壁を封止して接触する。
【0018】
封止用リップが弾性を有し、その半径方向内側領域が、環状溝の、ハウジング壁から離れた側の溝壁に接続され、封止用リップの、自由に突出する半径方向外側領域が、ハウジング壁に向かって傾いている構造であれば、保持リングは予め荷重をかけた状態でハウジング壁に当接するため、ハウジング壁に取り付けられたときの封止効果が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】長手方向の断面における封止用グロメット構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を図面に示し、以下で詳細に説明する。図面は、長手方向の断面における封止用グロメット構造を示している。
【0021】
図に示す封止用グロメット構造では、封止用グロメット1は、その長さにわたって一定の直径を有する波形管として設計され、波形凹部2と波形凸部3が交互に配置されている。
【0022】
封止用グロメットは、弾性部材により形成される。
【0023】
封止用グロメット1の左端には、把持輪郭としてのタブ4が設けられ、右端には、よじれた構造の接続部5が設けられている。
【0024】
接続部5は、他の形状に設けられてもよい。例えば、封止用グロメット1に対して真っ直ぐに延在させてもよいし、任意の方向に柔軟に曲がるように設計されてもよい。
【0025】
封止用グロメット1の左側の端部領域において、保持リング6は、その中央の貫通開口部7が波形凹部2内に位置するように配置され、封止用グロメット1を、保持リング6の内側輪郭8によって囲んでいる。保持リング6は、貫通開口部7の内側輪郭8により、波形凹部2の外側輪郭に予め荷重をかけた状態で、封止用グロメット1に対して静止している。
【0026】
封止用グロメット1の左側の端部領域において、保持リング6は、ハウジング壁10に取り付けられた状態で示されており、また、封止用グロメット1の右側では、同一の保持リング6´,6´´が別の2つの位置において示されている。
【0027】
保持リング6,6´,6´´は、その半径方向外側の外周領域に、半径方向外向きに開口した環状溝9を有し、この環状溝9の溝幅は、ハウジング壁10の壁厚に対応する。
【0028】
環状溝9の底部11の直径は、ハウジング壁10の開口部12の直径に対応する。保持リング6,6´,6´´は弾性材料で形成されており、波形構造の複数の凸部3に対して嵌め込まれることにより、封止用グロメット1上で位置決めされる。環状溝9がハウジング壁10の開口部12内に係合すると、保持リング6は、封止用グロメット1と共にハウジング壁10に固定される。
【0029】
保持リング6,6´,6´´は、その半径方向の外側に、半径方向に取り囲む封止用リップ13を備え、封止用リップ13の半径方向内側領域14は、環状溝9の、ハウジング壁10から離れた側の溝壁15に接続される。封止用リップ13の、自由に突出する半径方向外側領域16は、ハウジング壁10に取り付けられていないときには、ハウジング壁10に向かって傾いている。
【0030】
保持リング6は、ハウジング壁10に設置されると、封止用リップ13が半径方向外側に変形し、封止するための予荷重によってハウジング壁10に当接する。
【符号の説明】
【0031】
1 封止用グロメット
2 波形凹部
3 波形凸部
4 タブ
5 接続部
6 保持リング
7 貫通開口部
8 内側輪郭
9 環状溝
10 ハウジング壁
11 底部
12 開口部
13 封止用リップ
14 半径方向内側領域
15 溝壁
16 半径方向外側領域
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止用グロメット(1)を備える封止用グロメット構造であって、
前記封止用グロメット(1)は、その長さにわたって外径が一定の波形管として設計され、その一端がハウジング壁(10)の開口部(12)を貫通して突出すると共に、前記ハウジング壁(10)に保持するための保持リング(6)が配置され
、
前記保持リング(6)は、前記ハウジング壁(10)の前記開口部(12)を閉じるように、前記ハウジング壁(10)に接続可能である封止用グロメット構造において、
前記保持リング(6)は、
その中央の貫通開口部(7)から前記封止用グロメット(1)の波形凹部(2)内に突出する
、前記貫通開口部(7)の内側輪郭(8)を有し、
前記封止用グロメット(1)は弾性変形可能な材料からなり、所定の最小限の力が軸方向に加わることにより弾性変形して、前記保持リング(6)が、ある波形凹部(2)から隣接する波形凹部(2)へと移動できるように構成される
、
封止用グロメット構造。
【請求項2】
前記保持リング(6)は、前記貫通開口部(7)の前記内側輪郭(8)により、前記封止用グロメット(1)の前記波形凹部(2)内に接する
、
請求項1に記載の封止用グロメット構造。
【請求項3】
前記保持リング(6)の前記貫通開口部(7)は、円形の輪郭を有する
、
請求項2に記載の封止用グロメット構造。
【請求項4】
前記保持リング(6)は、前記貫通開口部(7)の前記内側輪郭(8)により、前記波形凹部(2)の外形輪郭に対して予め荷重をかける
、
請求項
2に記載の封止用グロメット構造。
【請求項5】
前記封止用グロメット(1)は、その端部領域の一方に把持輪郭を有し、この把持輪郭により、前記封止用グロメット(1)が把持され、軸方向の力を受ける
、
請求項
1に記載の封止用グロメット構造。
【請求項6】
前記保持リング(6)は、その半径方向外側の外周領域に、前記ハウジング壁(10)に接続可能な接続構造を有する
、
請求項
1に記載の封止用グロメット構造。
【請求項7】
前記接続構造は、前記ハウジング壁(10)の壁厚に対応する溝幅を有する、半径方向外向きに開口した環状溝(9)であり、
前記環状溝(9)の底部(11)の直径は、前記ハウジング壁(10)の前記開口部(12)の直径に対応する
、
請求項6に記載の封止用グロメット構造。
【請求項8】
前記保持リング(6)は、弾性変形可能な材料からなり、
前記保持リング(6)は、前記環状溝(9)により、前記ハウジング壁(10)の前記開口部(12)に嵌め込まれる
、
請求項7に記載の封止用グロメット構造。
【請求項9】
前記保持リング(6)は、その半径方向外側の外周に、半径方向に取り囲む封止用リップ(13)を有する
、
請求項
1に記載の封止用グロメット構造。
【請求項10】
前記保持リング(6)は、その半径方向外側の外周領域に、前記ハウジング壁(10)に接続可能であって、前記ハウジング壁(10)の壁厚に対応する溝幅を有する、半径方向外向きに開口した環状溝(9)を有し、
前記封止用リップ(13)は弾性を有し、その半径方向内側領域(14)が前記環状溝(9)の、前記ハウジング壁(10)から離れた側の溝壁(15)に接続され、
前記封止用リップ(13)の、自由に突出する半径方向外側領域(16)は、前記ハウジング壁(10)に向かって傾いている
、
請求項9に記載の封止用グロメット構造。
【国際調査報告】